強誘電性記憶素子、その素子を含むデバイス及びその製法
【課題】安価で非揮発性の記憶要素の提供。
【解決手段】 第1の電極システムが、少なくとも1個の強誘電性要素を含んでなる要素システムにより、第2の電極システムから少なくとも一部は絶縁されており、前記第1の電極システムが導電性表面又は導電性層であり、前記第2の電極システムが読み出し又はデータ・入力の目的のためのみに相互から隔離された複数の導電性ピンと接触している電極のパターン又は複数の隔離された導電性領域である、第1の電極システム及び第2の電極システムを含んでなる第1の受動強誘電性記憶要素を提供する。前記の第1の電極システム、前記の第2の電極システム及び前記の要素システムすべてが通常の印刷技術により印刷可能である。
【解決手段】 第1の電極システムが、少なくとも1個の強誘電性要素を含んでなる要素システムにより、第2の電極システムから少なくとも一部は絶縁されており、前記第1の電極システムが導電性表面又は導電性層であり、前記第2の電極システムが読み出し又はデータ・入力の目的のためのみに相互から隔離された複数の導電性ピンと接触している電極のパターン又は複数の隔離された導電性領域である、第1の電極システム及び第2の電極システムを含んでなる第1の受動強誘電性記憶要素を提供する。前記の第1の電極システム、前記の第2の電極システム及び前記の要素システムすべてが通常の印刷技術により印刷可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は強誘電性受動記憶素子(memory cell)、素子を含むデバイス及びその製造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、包装物における偽造防止タグとして又は識別票として情報をその中に保存することができる安価で柔軟なタグ及びラベルの需要が増加してきた。このような記憶デバイス(memory device)の生産は安価でなければならず、それは包装物の印刷工程又は包装工程中へ取り入れることが容易でなければならず、そして複雑でなく安価な材料からならなくてはならず、そして最少の工程段階を伴なわなければならない。包装物中への使用のためには、記憶デバイスは比較的頑丈で、機械的衝撃、温度変化及びその他の環境の影響に非感受性であることが重要である。多数の用途において、記憶デバイス内に保存される情報は電気的に書き込み、読み出し、消去そして書き換えできることが重要である。
【0003】
長期間にわたり書き換え可能で双安定性であることが証明された1タイプの記憶素子は、強誘電性記憶材料に基づく。包装物又はラベル上への記憶デバイスの印刷は、使用される包装材料を考慮すると、比較的低温でのみ可能である。これは、包装材料と一緒の使用に適する、双方とも重合体又は紙に基づく基板の融解又は重大な劣化をもたらすと考えられる300℃〜400℃の範囲の温度を必要とする、無機強誘電性材料及びケイ素に基づく駆動回路の使用を排除する。更に、ポリイミドのような高温で安定な重合体基板の使用は、紙、あるいはポリエチレン(PE)又はポリ(エチレンテレフタレート)(PET)のような安価な重合体基板に比較して、基板材料の高い価格のために除外される。
【0004】
特許文献1は強誘電性高重合体の薄膜を開示し、ビニリデン・フルオリドとトリフルオロエチレンの共重合体がいかに形成され、受動記憶デバイス内の記憶材料として使用されるかを記載している(特許文献1参照)。
【0005】
特許文献2は、相互に相対する第1及び第2面を有する強誘電性薄膜、前記強誘電性薄膜の第1の表面側上に平行に配列された複数の縞状電極を含む第1の電極アセンブリー、前記強誘電性薄膜の第2の表面側上に平行に配列された複数の縞状電極を含む第2の電極アセンブリー(ここで、前記の第2の電極アセンブリーの前記の縞状電極は、前記の第1の電極アセンブリーの前記の縞状電極上を交差する)、前記の第1及び第2の電極アセンブリーそれぞれの末端部分からそして、前記の第1及び第2電極アセンブリーの前記の縞状電極が配列されるそれぞれの方向に延伸して別個に配列された、第1及び第2の共通の電極、並びに、前記の第1及び第2の電極アセンブリーを前記の第1及び第2の共通の電極にそれぞれ接続するための、そして前記の第1及び第2の電極アセンブリーそれぞれの前記の縞状電極の少なくとも1個を選択的に活性化させるための選択手段、を含んでなる強誘電性メモリーを開示している(特許文献2参照)。特許文献2は更に、適当な溶媒を、化学構造及びそれらの組成比率に従って重合体の有機材料のために選択的に使用することができ、そして従って膜は、スピンコート法、浸漬法及び印刷法等における被覆乾燥法を実施することにより形成することができることを開示している(特許文献2参照)。しかし全面に印刷されたデバイスは開示されていない。
【0006】
特許文献3はa)2つの相対する面を有する有機半導体、b)その間の距離がチャンネルの長さであり、その間の有機半導体の部分がチャンネル領域として区画される、有機半導体の片面と接触している2個の間隔を空けた電極、c)誘電定数及び、片面がチャンネ
ル領域の少なくとも一部に対して有機半導体の片面と接触している2つの相対する表面を有する強誘電性重合体、並びにd)チャンネル領域の少なくとも一部に対して強誘電性重合体の片面と接触しているゲート電極、並びにe)強誘電性重合体と有機半導体間に挟まれた有機誘電体、を含んでなる記憶素子を開示している(特許文献3参照)。特許文献3は更に、a)表面を有する基板、b)第1の表面が基板の表面に隣接する、第1及び第2の表面を有する有機半導体、c)それらの間の距離がチャンネルの長さであり、そしてそれらの間の有機半導体の部分がチャンネル領域として区画される、有機半導体の片面と接する2個の間隔を空けられた電極、d)第1の表面が有機半導体の第2の表面と接する、第1及び第2の表面を有する有機誘電体、e)誘電定数並びに、片面が、チャンネル領域の少なくとも一部に対して有機誘電体の第2の表面と接する、2枚の相対する表面、を有する強誘電性重合体、f)チャンネル領域の少なくとも一部に対して強誘電性重合体の片面と接するゲート電極、を含んでなる記憶素子を開示している(特許文献3参照)。特許文献3はまた、これらの有機薄膜半導体が真空蒸着、電気化学重合、溶液スピンコート、スクリーン印刷、インクジェット印刷及びラングミュア−ブロドゲット成長(Langmuir−Blodgett growth)のような周知の方法により製造できることを開示している(特許文献3参照)。これらの有機分野の有効なトランジスターはゲート誘電体として強誘電性薄膜重合体を使用する。これらの装置は、層の厚さ及び電極の間隔に関して厳密な条件を伴なう比較的複雑な構造を有するという欠点を有する。
【0007】
特許文献4は、薄膜が電界に露出することにより偏光逆転することができ、バリヤー部材が、第1の絶縁層及び有機薄膜溶液を反撥する第2層を含むように形成される、バリヤー部材により相互から分離された第1の電極を形成し、第1の電極上に有機薄膜溶液をメッキし、そして有機薄膜溶液の少なくとも一部を固化して薄膜を形成しそして、第1電極上の薄膜上に第2の電極を形成すること、を含んでなる、非揮発性記憶デバイスを形成する方法を開示している(特許文献4参照)。特許文献4は更に、トランジスターを含む半導体基板を提供し、トランジスターに重なる絶縁層を形成し、絶縁層上に下方電極を形成し(ここで下方電極はトランジスターの一部と電気接触している)、絶縁層上に隔壁部材を形成し(ここで隔壁部材は他の下方電極から下方電極を分離するようになっている)、そして隔壁部材により他の下方電極から隔離されている、下方電極上に有機層を形成するための溶液をメッキし(ここで有機層は隔壁部材上に直接はメッキされない)、そしてその後にそれを固化させて有機層を形成する段階、を含んでなる、下方電極と上方電極間に提供されている強誘電性コンデンサーを有する半導体デバイスを製造する方法を開示している(特許文献4参照)。特許文献4はまた、有機薄膜はインクジェットタイプの記録ヘッドにより被覆され、パターン化されることができ、そしてスピンコート、スプレーコート等のような様々な他の印刷法を使用して、有機薄膜材料溶液をコートすることができることを開示している(特許文献4参照)。しかし、全面印刷されたデバイスは開示されていない。
【0008】
特許文献5は、電極(E1、E2)の少なくとも片方が少なくとも1枚の接触層(P1、P2)を含んでなる(ここで前記の少なくとも1枚の接触層(P1、P2)は記憶素子(C)に接触する導電性重合体及び、場合により、導電性重合体(P1、P2)に接触する金属膜の第2の層(M1、M2)を含んでなり、それにより電極(E1、E2)の前記の少なくとも片方は、導電性重合体接触層(P1、P2)のみ、又は導電性重合体接触層(P1、P2)と金属膜層(M1、M2)の組み合わせ物のいずれかを含んでなる)ことを特徴とする、それにより素子の偏光状態を電極(E1、E2)に適当な電圧をかけることにより設定、切り替え又は検出することができる、強誘電性重合体薄膜(F)の形態の強誘電性記憶素子並びにその相対する面において強誘電性記憶素子(F)にそれぞれ接する第1及び第2電極(E1、E2)を含んでなる強誘電性記憶回路(C)を開示している(特許文献5参照)。特許文献5は更に、薄膜において、膜がその上に通常、スピンコートによりメッキされる硬い金属基板が、基板により影響を受ける結晶化配向を決定する異種核形成法により結晶過程を妨げる可能性があり、そしてスピンコートによる導電性重合体薄膜をメッキし、そしてスピンコートにより第1の接触層上に強誘電性重合体薄膜を同様にメッキすることが好ましいことを開示している(特許文献5参照)。例示された全体が(all)重合体の強誘電性記憶デバイスはスピンコート及び蒸着法により作製される。
【0009】
特許文献6は、強誘電性重合体膜の前駆体組成物及び溶媒組成物を含んでなる溶液を基板上にメッキし(ここで溶媒組成物は8.5以上のΔv値を有し、ここでΔv=(δd2+δp2)1/2)、δdはハンセン分散溶解度パラメーターであり、δpはハンセン極性溶解度パラメーターである)、そして溶媒の少なくとも一部を除去して強誘電性重合体膜を生成すること、を含んでなる、強誘電性重合体膜を形成する方法を開示している(特許文献6参照)。特許文献6は更に、特に50〜90モル%のビニリデン・フルオリド及び10〜50モル%のトリフルオロエチレンを含む強誘電性共重合体を請求し、そして特に、PGMEAプロピレングリコールメチルエーテルアセテート及びエチルラクテートの使用を例示し、そして好ましい溶媒として、ホルムアミド、エチレンカーボネート、ジプロピレングリコール、ガンマ−ブチロラクトン、ジメチル・スルホキシド、アセトニトリル、n−ブチルベンジルフタレート、ジエチレングリコール、ジメチルフタレート、アセトフェノン、メトキシプロピルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、エチレングリコール、エチルシンナメート、ジエチルフタレート、N−メチルモルホリン、ベンゾニトリル、エチレングリコール2−エチルヘキシルエーテル、ベンジルアルコール、モルホリン、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコール、1,4−ジオキサン、フルフリルアルコール、シクロヘキサノン、プロピレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチル−3−エトキシプロピオネート、エチレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、N−エチルモルホリン、メチルn−プロピルケトン、メシチレン、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエーテル、シクロヘキサノール、4−メチル−3−ペンテン−2−オン、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、エチルベンゼン、1−デカノール、1−イソプロピル−2−メチルイミダゾール、エチルラクテート、2−ヘキシルアセテート、ジエチレングリコールブチルエーテルアセテート、ジエチルケトン、1−メトキシ−2−ブタノール、ジエチレングリコールブチルエーテル又は前記溶媒の少なくとも1種を含んでなる組み合わせ物、を開示している(特許文献6参照)。
【0010】
導電性インクは有機−又は金属−基剤のいずれでもよい。金属基剤の導電性インクは主として銀又は銅粒子の分散物(例えば、特許文献7参照)又はそれらの前駆体物質(例えば、特許文献8参照)を基剤にする(例えば、特許文献8参照)。
【0011】
柔軟な基板上に、本質的に導電性の重合体の導電性(電極の)パターンを印刷するための水基剤及び溶媒基剤のインクは例えば、特許文献9、10、11、12、13、14及び15に開示され、そしてスクリーン印刷のインクは市販の例えば、AGFA−GEVAERT N.V.からのOrgacon(R)EL−P3040である(特許文献9、10、11、12、13、14及び15参照)。特許文献13及び16は、本質的に導電性重合体を含有するインクによるフレキソ印刷及びオフセット印刷法それぞれを開示している(特許文献13及び16参照)。PEDOT:PSS分散物のインクジェット印刷は例えば、非特許文献1及び2に記載されている(非特許文献1及び2参照)。しかし、通常の印刷法を使用する記憶デバイスの個々の層の印刷と、記憶デバイスの操作に必要な官能層(functional layers)すべてが通常の印刷法により印刷される、全面印刷された記憶デバイスの製造の間には、かなりの技術的相異が存在する。
【0012】
先行技術:
これまで、以下の先行技術の文献が本出願者に知られている。
【特許文献1】特開昭61−048983号公報(1986年3月10日開示)
【特許文献2】米国特許第5,060,191号明細書(1991年10月22日開示)
【特許文献3】米国特許第6,812,509号明細書(2004年11月2日開示)
【特許文献4】米国特許第6,686,211号明細書(2004年2月3に開示)
【特許文献5】国際公開第02/043071号パンフレット(2002年5月30日開示)
【特許文献6】米国特許出願第2004/0131826号明細書(2004年7月8日開示)
【特許文献7】国際公開第00/29208号パンフレット(2000年5月25日開示)
【特許文献8】米国特許出願第2003/0124259号明細書(2001年12月20日開示)
【特許文献9】国際公開第99/34371号パンフレット(1999年7月8日開示)
【特許文献10】国際公開第02/00759A号パンフレット(2002年1月3日開示)
【特許文献11】国際公開第02/079316A号パンフレット(2002年10月10日開示)
【特許文献12】国際公開第02/080627号パンフレット(2002年10月10日開示)
【特許文献13】国際公開第03/000765A号パンフレット(2003年1月3日開示)
【特許文献14】国際公開第03/048228号パンフレット(2003年6月12日開示)
【特許文献15】国際公開第03/048229号パンフレット(2003年6月12日開示)
【特許文献16】欧州特許第1 415 826A号明細書(2004年5月6日開示)
【特許文献17】国際公開第03/025953号パンフレット(2003年3月27日開示)
【非特許文献1】Nature Materials,2004,vol.3,pp.171−176(2004年3月刊行)
【非特許文献2】Advanced Materials,2004,vol.16(3),pp.203−213(2004年3月刊行)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、安価な非揮発性記憶要素を提供することが本発明の局面である。
【0014】
従って、安価な全体的に有機の非揮発性記憶要素を提供することが本発明の更なる局面である。
【0015】
タグ、ラベル又は包装物の印刷工程中に又は包装工程自体の一部として容易に取り入れることができる、情報を保存する、容易で安価な手段を実現することが本発明のまだ更なる局面である。
【0016】
環境に優しい廃棄にそれ自体を適合させることができる、情報を保存する容易で安価な手段を実現することもまた本発明の局面である。
【0017】
そこですべての層が通常の印刷法を使用して印刷される、第1の電極のパターン、強誘電性パターン又は層及び第2の電極のパターンを含んでなる、書き換え可能な記憶デバイスを実現することも本発明の局面である。
【0018】
短時間で乾燥でき、それにより高速度で記憶デバイスの印刷を許す、導電性電極のパターン及び強誘電性重合体層又はパターンのための印刷インクを使用することも本発明の局面である。
【0019】
本発明の更なる局面及び利点は以下の説明から明白になるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0020】
驚くべきことには、受動記憶デバイスの操作に必要なすべての官能層が通常の印刷法により印刷される、強誘電性重合体を基とする受動記憶デバイスが、通常の印刷法により作製されることができ、そして更に、受動記憶デバイスの操作に必要なすべての官能層が通常の印刷法により印刷される、強誘電性重合体に基づく全体的に有機の受動記憶デバイスが、通常の印刷法により作製されることができることが見いだされた。本発明の第1の目的は、通常のインパクト又は非インパクト印刷法により製造することができる、強誘電性受動記憶素子を提供することである。本発明の局面は、通常の印刷法を使用して、第1の基板上に第1の電極のパターンを印刷し、第1の電極のパターン上に強誘電性重合体の層又はパターンを印刷し、そして場合により第2電極のパターンを印刷することにより実現される。いずれか1つの印刷法を記憶デバイス中のすべてのパターン又は層に対して使用しても、あるいは2種以上の異なる印刷法の組み合わせを使用してもよい。記憶デバイスは包装工程の前、その期間中又はその後に包装材料上に直接印刷することができる。あるいはまた、記憶デバイスは包装物に添付されるラベル又はタグ上に印刷される。
【0021】
本発明の局面は、第1の電極システムが、少なくとも1個の強誘電性要素を含んでなる要素システムにより、第2の電極システムから少なくとも一部は絶縁されており、前記第1の電極システムが導電性表面又は導電性層であり、前記第2の電極システムが、読み出し又はデータ・入力の目的のみのために相互から隔離された複数の導電性ピンと接触した電極のパターン又は隔離された複数の導電性領域である、第1の電極システム及び第2電極システムを含んでなる第1の受動強誘電性記憶要素により実現される。
【0022】
本発明の局面はまた、第1の電極システムが、少なくとも1個の強誘電性要素を含んでなる要素システムにより、第2の電極システムから少なくとも一部は絶縁されており、第1の電極システムが導電性表面又は導電性層であり、前記第2電極システムが、読み出し及び/又はデータ・入力の目的のみのために相互から隔離された複数の導電性ピンと接触する電極のパターン又は複数の隔離された導電性領域であり、そして金属基板の導電性面である前記第1の電極システムを除き、前記システムが、通常の印刷法を使用して印刷可能である、少なくとも1個の受動強誘電性記憶要素及び少なくとも1種の基板を含んでなる、第1の受動記憶デバイスにより実現される(そこで前記基板の少なくとも1種は、前記受動強誘電性記憶要素を備えた少なくとも片面上に少なくとも1種の導電性表面又は表面の層を有し、前記受動強誘電性記憶要素は第1の電極システム及び第2の電極システムを含んでなる)。
【0023】
本発明の局面はまた、基板及び、前記基板の少なくとも片面上の、前記基板の導電性表面又は前記基板上の導電性層、前記導電性表面又は前記導電性層上の、有機強誘電性要素を含んでなる要素システムを含んでなる、前記第1の受動記憶デバイスの第1の前駆体により実現される。
【0024】
本発明の局面はまた、基板及び、前記基板の少なくとも片面上の、前記基板の導電性表
面又は前記基板上の導電性層、前記導電性表面又は前記導電性層上の有機強誘電性要素を含んでなる要素システム及び読み出し及び/又はデータ・入力の目的のみのために相互から隔離された複数の導電性ピンとの接触のために提供された複数の隔離された導電性領域、を含んでなる、前記第1の受動記憶デバイスの第2の前駆体により実現される。
【0025】
本発明の局面は、場合により導電性層を提供し、要素システムを提供し、そして複数の隔離導電性領域を提供する段階の少なくとも1つが通常の印刷法により実現される、少なくとも1種の基板を提供し、基板が非金属である場合は前記基板上に導電性層を実現し、前記導電性表面又は導電性層上に少なくとも1個の強誘電性要素を含んでなる要素システムを実現し、前記要素システム上に電極のパターン又は複数の隔離された導電性領域を提供する段階を含んでなる、第1の電極システムが、少なくとも1個の強誘電性要素を含んでなる要素システムにより第2の電極システムから少なくとも一部は絶縁されており、前記第1の電極システムが導電性表面又は導電性層であり、前記第2の電極システムが読み出し及び/又はデータ・入力の目的のみのために相互から隔離された複数の導電性ピンと接触した電極のパターン又は複数の隔離された導電性領域であり、そして金属基板の導電性表面である前記第1の電極システムを除いて、前記システムが通常の印刷法を使用して印刷可能である、少なくとも1個の受動強誘電性記憶要素及び少なくとも1種の基板を含んでなる第1の受動記憶デバイスを提供する方法により実現される(ここで、前記基板の少なくとも1種は前記受動強誘電性記憶要素を備えた少なくとも片面上に少なくとも1つの導電性表面又は表面層を有し、前記受動強誘電性記憶要素は第1の電極システム及び第2の電極システムを含んでなる)。
【0026】
本発明の局面はまた、第1の電極システムが、少なくとも1個の強誘電性要素を含んでなる要素システムにより第2の電極システムから少なくとも一部は絶縁されており、前記の第1の電極システムが電極のパターンであり、そして前記第2の電極システムが電極のパターンであり、そして前記第1の電極システム、前記第2の電極システム及び前記要素システムがすべて通常の印刷法で印刷可能である、第1の電極システム及び第2電極システムを含んでなる第2の受動強誘電性記憶要素により実現される。
【0027】
本発明の局面はまた、第2の受動記憶デバイスにより実現され、ここで前記の受動記憶デバイスは、少なくとも1種の基板及び、前記の少なくとも1種の基板の少なくとも片面上の受動記憶要素を含んでなり、ここで前記の受動記憶要素は、第1のパターン化電極システム、第2のパターン化電極システム、前記の第1のパターン化電極システムと前記の第2のパターン化電極システムの間に少なくとも1個の強誘電性要素を含んでなる要素システムを含んでなり、そしてそこで前記の第2の電極システムは電極のパターンであり、そしてそこで前記の第1の電極システム、前記の第2の電極システム及び前記の要素システムはすべて、通常の印刷法により印刷可能である。
【0028】
本発明の局面はまた、第1のパターン化電極システムを提供し、有機強誘電性層を提供し、そして第2の電極システムを提供する段階がすべて通常の印刷法で実現される、
基板の非導電性表面上に第1の電極のパターンを実現し、前記の第1の電極のパターン上に前記の要素システムを提供し、そして前記要素システム上に第2の電極のパターンを提供する段階を含んでなる、第2の受動記憶デバイスを提供する方法により実現される(ここで前記受動記憶デバイスは、基板及び、前記の少なくとも1種の基板の少なくとも片面上の受動記憶要素を含んでなり、そこで前記の受動記憶要素は、第1のパターン化電極システム、第2のパターン化電極システム、前記の第1のパターン化電極システムと前記の第2のパターン化電極システム間の少なくとも1個の強誘電性要素を含んでなる要素システムを含んでなる)。
【0029】
本発明の更なる目的及び利点は以下の説明から明白になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
定義
本発明を開示する際に使用される用語「基板(substrate)」は、基板上にコートすることができるがそれ自体は自己支持性(self−supporting)ではない「層」から区別するための「自己支持性(self−substrateing)材料」を意味する。それはまた、基板に適用される層又はパターンへの、例えば、付着を補助するために必要な任意の処理又はそのために適用される層を含む。
【0031】
本発明を開示する際に使用される用語「パターン」は、任意の形態の線、正方形、円又は任意のランダムな形態にあることができる非連続層を意味する。
【0032】
本発明を開示する際に使用される用語「層」は、例えば、基板に言及される品物の全領域を覆う被膜を意味する。
【0033】
本発明を開示する際に使用される用語「印刷可能な」は、通常のインパクト印刷及び/又は非インパクト印刷法により印刷することができることを意味し、そこで導電性表面層が例えば、欧州特許出願第1 054 414号明細書及び国際公開第03/025953号パンフレット中に開示された印刷法中の例えば、酸化又は還元によりパターン化される方法を含むが、通常の電子機器、例えば、ケイ素に基づく電子機器の製造において使用される蒸着、エッチング、拡散法のような方法を除く。
【0034】
本発明を開示する際に使用される用語「印刷法」は非インパクト印刷のみならずインパクト印刷をも同様に意味する。当該用語はそれらに限定はされないが、インクジェット印刷、インタグリオ印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、乾平板印刷、電子写真印刷(electrophotographic printing)、エレクトログラフ印刷、オフセット印刷、スタンプ印刷、グラビア印刷、熱及びレーザー誘導法を含むが更に、欧州特許第1 054 414号明細書及び国際公開第03/025953号パンフレットに開示されたような1回の通過法で導電性層の領域を非導電性にさせる印刷法を含むが、通常の電子機器,例えば、ケイ素に基づく電子機器の製造に使用される蒸着、エッチング、拡散法のような方法を除く。
【0035】
本発明を開示する際に使用される用語「インパクト印刷法」は、その中でプリントが製造される媒質(medium)と、印刷システム、例えば、デイジーホイール、ドットマトリックス及びラインプリンターのような,インクリボンを打つことにより作動する印刷機及び、感熱材がサーマル・ヘッド中の加熱要素との直接的接触により印刷される直接的熱印刷機及び、オフセット、グラビア又はフレキソ印刷のような、所望の画像又は形態に対応する領域上でマスターがインク層で覆われ、その後、インクを媒質に移動させる印刷機、との間に接触が実施される印刷法を意味する。
【0036】
本発明を開示する際に使用される用語「非インパクト印刷法」は、プリントが製造される媒質と、プリントが印刷媒質を打つ必要なく製造される印刷システム、例えば、エレクトグラフ印刷機、電子写真式印刷機、レーザー印刷機、インクジェット印刷機との間に接触が実施されない印刷法を意味する。
【0037】
本発明を開示する際に使用される用語「柔軟な」は、損傷されないで、ドラムのような湾曲物体の湾曲に沿うことができることを意味する。
【0038】
本発明を開示する際に使用される用語「本質的に導電性重合体」は(多)−共役π−電子系(例えば、二重結合、芳香族環又は複素芳香族環又は三重結合)をもちそして、それ
らの導電性が相対湿度のような環境因子により影響されない有機重合体を意味する。
【0039】
本発明を開示する際に使用されるPEDOTはポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を表わす。
【0040】
本発明を開示する際に使用されるPSSはポリ(スチレンスルホン酸)又はポリ(スチレンスルホネート)を表わす。
【0041】
本発明を開示する際に使用されるPANIはポリアニリンを表わす。
【0042】
本発明を開示する際に使用される炭素黒及び炭素は有機の性状と見なされる。
【0043】
本発明を開示する際に使用される用語「ワード線」は、強誘電性重合体層の片面上の実質的に平行線の電極のパターンの線電極を意味する。
【0044】
本発明を開示する際に使用される用語「ビット線」は、ワード線の実質的に平行な線のパターンに実質的に直角な、ビット線の実質的に平行な線のパターンをもつ、ワード線に対して強誘電性重合体層の他方の面上の、実質的に平行な線のパターンの線電極を意味する。
【0045】
本発明を開示する際に使用される用語「受動」はトランジスターのような活動的構成部品の不在を意味する。
【0046】
本発明を開示する際に使用される用語「非揮発性記憶」は記憶含量が動力なしに保持されることを意味する。
【0047】
本発明を開示する際に使用される用語「要素システム」は少なくとも1個の要素を含んでなるシステムを意味する。本発明を開示する際に使用される用語「有機強誘電性要素」は有機強誘電性組成物を有する要素システムの一部を意味する。要素システムの他の部分は読み出し又はデータ・入力条件下でボイドであるか又は強誘電特性をもたない絶縁要素のいずれかであることができる。
【0048】
第1の受動記憶要素−形態
本発明の局面は、第1の電極システムが、少なくとも1個の強誘電性要素を含んでなる要素システムにより第2の電極システムから少なくとも一部は絶縁されており、前記第1の電極システムが導電性表面又は導電性層であり、前記第2の電極システムが読み出し又はデータ・入力の目的のみのための相互から隔離された複数の導電性ピンと接触している電極のパターン又は複数の隔離された導電性領域である、第1の電極システム及び第2の電極システムを含んでなる、第1の受動強誘電性記憶要素により実現される。
【0049】
本発明に従う第1の受動強誘電性記憶要素の第1の態様に従うと、前記第2の電極システムは、読み出し及び/又はデータ・入力デバイスの一部である複数の導電性ピンを含んでなる。
【0050】
本発明に従う第1の受動強誘電性記憶要素の第2の態様に従うと、前記受動記憶要素は有機材料のみを含んでなる。
【0051】
本発明に従う第1の受動強誘電性記憶要素の第3の態様に従うと、前記要素システムは更に、前記第1及び前記第2の電極システム間に接触をもたらすボイドを含んでなる。
【0052】
本発明に従う第1の受動強誘電性記憶要素の第4の態様に従うと、要素システムは更に
強誘電特性をもたない絶縁要素を含んでなる。
【0053】
本発明に従う受動記憶素子を、図1に示した記憶素子のマトリックスアドレス可能なアレー中の記憶デバイスとして使用することができる。このような記憶デバイスは、その両側が電極のパターン2及び4と接触する有機強誘電性層3からなる。両側の電極のパターンは好ましくは、縞状であり、相互に実質的に直角に配向され、それによりワード線及びビット線を表わす。第1の電極線と第2の電極線の間の各交差点は記憶素子5を区画する。この記憶デバイス中にはトランジスターが存在しないので、それを受動的であると呼ぶことができる。
【0054】
図2はそこで要素が基板1、第1の電極のパターン2、連続的有機強誘電性層3及び第2の電極のパターン4を含んでなる、図1に示したデバイスの更なるスキーム図を示す。記憶素子は各電極交差点に形成される。従って記憶素子の選択性はビット線及びワード線を介して適用される電気刺激の規定された(defined)操作枠を使用してアレー全体に基づいて(on an array−wide basis)提供される。
【0055】
本発明に従う第1の受動強誘電性記憶要素の第5の態様に従うと、第2の電極のパターンを第2の基板上に印刷し、次に強誘電性受動記憶要素を形成するために強誘電性重合体層と接触させる。
【0056】
本発明に従う第1の受動強誘電性記憶要素の第6の態様に従うと、記憶要素は、第1の電極からなり、そして要素システムは有機強誘電性層である。電気的アドレス指定は記憶素子の数及び記憶素子アレーの幾何学形態に対応するピンの数をもつ読み出しデバイスを使用することにより達成される。ピンのアレーは第2の電極のパターンに対応する。
【0057】
本発明に従う第1の受動強誘電性記憶要素の第7の態様に従うと、第1又は第2の電極は連続的導電性表面又は導電性層である。
【0058】
第9の態様に従うと、要素は基板、第1の電極のパターン、有機強誘電性層のパターン及び第2の電極のパターンからなる要素システムを含んでなる。強誘電性重合体のパターンは連続層を形成せずに、各電極交差点に位置する強誘電性重合体の領域からなることができる。記憶素子は各電極の交差点に形成される。
【0059】
図3は要素が基板1、第1の電極のパターン2、少なくとも1個の有機強誘電性要素3を含んでなる要素システム及び第2の電極のパターン4を含んでなる第10の態様を示す。強誘電性重合体は、強誘電性重合体が幾つかのしかし全部ではない電極の交差点に位置するパターンとして適用される。強誘電性記憶素子5は、強誘電性重合体がそこに存在する電極の交差点にのみ形成される。残りの電極の交差点は短絡され、従って強誘電性動態を示さないであろう。このように、製造中、情報を記憶デバイス中に恒久的に保存することができる。この情報はこのような装置の偽造又はいたずらに対する安全保証特徴物として使用することができる。
【0060】
図4は第11の態様を示し、ここで要素が基板1、第1の電極のパターン2、有機強誘電性組成物の連続的層又はパターン3、読み出しのための掃引電圧において強誘電特性をもたない絶縁材料のパターン6及び第2の電極のパターン4を含んでなる。隔離材料は前以て設計された電極交差点(図4a)又は強誘電性重合体が存在しない電極交差点(図4b)で強誘電性重合体の上又は下のいずれかに適用することができる。絶縁材料は強誘電性動態を示さないであろうから、情報は製造中、記憶デバイス中に恒久的に保存することができる。絶縁材料は溶媒に基づく、水に基づく又はUV硬化性インクあるいは適当な溶媒中の無機、有機又は重合体材料の溶液であることができる。絶縁材料は読み出し/書き
込み操作のために使用される電圧において、すなわち十分に厚い層に適用される場合には、著しい強誘電性挙動を示さない強誘電性材料であることすらできる。
【0061】
第12の態様に従うと、絶縁システムのサイズ及び/又は層の厚さは、インピーダンスの範囲を与えるため、従って更なるビットレベルを与えるために変動させることができる。パッシブ・マトリックス中の絶縁材料のインピーダンスの変動は、引用により本明細書に取り入れられている例えば、国際公開第99/14,762号パンフレット及び米国特許第6,236,587号明細書に既に記載されている。
【0062】
短絡及び絶縁材料を使用することにより記憶要素中に保存される情報は容易に書き換え可能ではないが、デバイスが製造される瞬間に「書き込まれて」いる。この情報は、例えば、強誘電性重合体及び要素システムが透明である場合は、裸眼に対しては(補助なしで)不可視であり、記憶デバイスを偽造することをより困難にさせることができる。
【0063】
適当な電気回路を提供されると、情報の読み出しは直接の接触、容量性又は誘導的であるかも知れない。強誘導性受動記憶デバイスの容量的読み出しは例えば、引用により本明細書に取り入れられている例えば、米国特許第6,611,448号明細書に記載されている。
【0064】
第1の受動記憶デバイス
本発明の局面は、第1の電極システムが、少なくとも1個の強誘電性要素を含んでなる要素システムにより第2の電極システムから少なくとも一部は絶縁されており、前記第1の電極システムが導電性表面又は導電性層であり、前記第2の電極システムが、読み出し及び/又はデータ・入力の目的のためのみに相互から隔離された複数の導電性ピンと接触した電極のパターン又は複数の絶縁された導電性領域であり、そして金属基板の導電性表面である前記第1の電極システムを除いて、前記システムが通常の印刷法を使用して印刷可能である、少なくとも1個の受動強誘電性記憶要素を含んでなる第1の受動記憶デバイス及び少なくとも1種の基板により実現される(ここで前記の基板の少なくとも1つは前記受動強誘電性記憶要素を備えた少なくとも片面上に少なくとも1種の導電性表面又は表面層を有し、前記受動強誘電性記憶要素は、第1の電極システム及び第2の電極システムを含んでなる)。
【0065】
本発明に従う第1の受動記憶デバイスの第1の態様に従うと、前記要素システムは更に、前記第1及び前記第2の電極システム間に接触をもたらすボイドを含んでなる。
【0066】
本発明に従う第1の受動記憶デバイスの第2の態様に従うと、前記要素システムは更に強誘電特性をもたない絶縁要素を含んでなる。
【0067】
本発明に従う第1の受動記憶デバイスの第3の態様に従うと、前記第1の受動記憶デバイスは金属のケイ素を除外する。
【0068】
本発明に従う第1の受動記憶デバイスの第4の態様に従うと、前記第2の電極システムは第2の基板上の電極のパターンである。
【0069】
本発明に従う第1の受動記憶デバイスの第5の態様に従うと、前記第2の基板上の前記電極のパターンは、少なくとも1個の強誘電性要素を含んでなる前記要素システムに張り合され、それにより2枚の基板間に挟まれたデバイスを形成する。
【0070】
本発明に従う第1の受動記憶デバイスの第6の態様に従うと、前記第2の基板上の前記電極のパターンは、読み出し及び/又はデータ・入力の目的のみのために、前記要素システムと接触される。
【0071】
本発明に従う第1の受動記憶デバイスの第7の態様に従うと、前記第1の受動記憶デバイスは透明である。
【0072】
本発明に従う第1の受動記憶デバイスの第9の態様に従うと、前記受動強誘電性記憶デバイスは、前記電極システムを視覚的に隠蔽するために画像又は均質着色又は不透明層で重ね刷りされる。
【0073】
本発明に従う第1の受動記憶デバイスの第10の態様に従うと、前記電極システムの位置を視覚的に隠蔽するために、着色又は不透明のフォイルを前記受動強誘電性記憶デバイス上に張り合わせる。
【0074】
本発明に従う第1の受動的記憶デバイスの第11の態様に従うと、前記第1及び第2のパターン化電極システムの少なくとも1つは無機導電性媒質又は有機導電性媒質を含んでなる。
【0075】
本発明に従う第1の受動的記憶デバイスの第12の態様に従うと、前記有機導電性媒質は本質的に導電性の有機重合体である。
【0076】
本発明に従う第1の受動的記憶デバイスの第13の態様に従うと、前記本質的に導電性の有機重合体は置換又は未置換ポリチオフェン、置換又は未置換ポリアニリンあるいは置換又は未置換ポリピロールであり、そこで好ましい置換ポリチオフェンはポリ(3,4−ジオキシアルキレンチオフェン)であり、そして特に好ましい置換ポリチオフェンはポリ(3,4−ジオキシエチレンチオフェン)である。
【0077】
電極は導電性又は半導体材料であることができる。導電性及び半導体材料は分散又は溶解されて、例えば、導電性金属(例えば、銀ペースト)、導電性金属の合金、導電性金属酸化物、炭素黒、半導体金属酸化物及び本質的に導電性の有機重合体(例えば、ポリアニリン、PEDOT)を基とするもの、を形成することができる。本質的に導電性の有機重合体を基とした導電性インクが好ましく、PEDOT:PSSを基とするインクは、その可視光の低い吸収により、そしてそれがそれ自体を環境に優しい廃棄物にさせるために特に好ましい。
【0078】
第1の受動記憶デバイスを提供する方法
本発明の局面は、場合により導電性層を提供し、要素システムを提供し、そして複数の隔離された導電性領域を提供する段階の少なくとも1つが、通常の印刷法により実施される、前記の少なくとも1種の基板を提供し、当該基板が非金属である場合は前記基板上に前記の導電性層を実現し、前記導電性表面又は導電性層上に少なくとも1個の強誘電性要素を含んでなる要素システムを実現し、前記要素システム上に電極のパターン又は複数の隔離された導電性領域を提供する段階を含んでなる、前記第1の電極システムが、少なくとも1個の強誘電性要素を含んでなる要素システムにより前記第2の電極システムから少なくとも一部は絶縁されており、前記第1の電極システムが導電性表面又は導電性層であり、前記第2の電極システムが、読み出し及び/又はデータ・入力の目的のみのために、相互から隔離された複数の導電性ピンと接触された電極のパターン又は複数の隔離された導電性領域であり、そして、金属基板の導電性表面である前記第1の電極システムを除いて、前記システムが通常の印刷法を使用して印刷可能である、少なくとも1個の受動強誘電性記憶要素を含んでなる第1の受動記憶デバイス及び少なくとも1種の基板、を提供する方法により実現される(ここで、前記基板の少なくとも1種は、前記受動強誘電性記憶要素を備えた少なくとも片面上に少なくとも1種の導電性表面又は表面層を有し、前記受動強誘電性記憶要素は、第1の電極システム及び第2の電極システムを含んでなる)。
【0079】
本発明に従う第1の受動記憶デバイスを提供する方法の第1の態様に従うと、場合により導電性層を提供し、要素システムを提供し、そして複数の隔離された導電性領域を提供するすべての段階は通常の印刷法により実現される。
【0080】
本発明に従う第1の受動記憶デバイスを提供する方法の第2の態様に従うと、前記の少なくとも1種の通常の印刷法は非インパクト印刷法である。
【0081】
本発明に従う第1の受動記憶デバイスを提供する方法の第3の態様に従うと、前記の少なくとも1つの通常の印刷法はインパクト印刷法である。
【0082】
本発明に従う第1の受動記憶デバイスを提供する方法の第4の態様に従うと、前記の通常の印刷法は、インクジェット印刷、インタグリオ印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、スタンプ印刷、グラビア印刷、電子写真印刷、エレクトログラフ印刷、熱及びレーザー誘導法からなる群から選択される。
【0083】
本発明に従う第1の受動的記憶デバイスを提供する方法の第5の態様に従うと、前記第1及び第2の電極システムは、置換又は未置換ポリチオフェン、置換又は未置換ポリアニリンあるいは置換又は未置換ポリピロールであることができる、本質的に導電性の重合体を含んでなる。特に好ましい置換又は未置換チオフェンは式(I):
【0084】
【化1】
【0085】
[式中、nは1より大きく、R1及びR2はそれぞれ独立に水素又は場合により置換されたC1−4アルキル基を表わすか、あるいは一緒になって、場合により置換されたC1−4アルキレン基又は場合により置換されたシクロアルキレン基、好ましくは、エチレン基、場合によりアルキル−置換されたメチレン基、場合によりC1−12アルキル−もしくはフェニル−置換されたエチレン基、1,3−プロピレン基又は1,2−シクロヘキシレン基を表わす]
により表わされる。
【0086】
本発明に従う第1の受動記憶デバイスを提供する方法の第6の態様に従うと、前記受動記憶デバイスは有機材料のみを含んでなる。
【0087】
本発明に従う第1の受動記憶デバイスを提供する方法の第7の態様に従うと、第1の電極のパターン、要素システム及び第2の電極のパターンはそれぞれ同一でも異なってもよい通常の印刷法により実施される。
【0088】
本発明に従う第1の受動記憶デバイスを提供する方法の第8の態様に従うと、第1の電極のパターン、要素システム及び第2の電極のパターンは同一の通常の印刷法により実施される。
【0089】
本発明に従う第1の受動記憶デバイスを提供する方法の第9の態様に従うと、前記要素システムは更に、前記第1及び前記第2の電極システム間の接触をもたらすボイドを含んでなる。
【0090】
本発明に従う第1の受動記憶デバイスの第10の態様に従うと、前記要素システムは更に、読み出し又はデータ・入力条件下で強誘電特性をもたない絶縁要素を含んでなる。
【0091】
本発明に従う第1の受動記憶デバイスを提供する方法の第11の態様に従うと、強誘電性記憶デバイスの多層は相互の上に印刷することができる。プリントの代わりにリソグラフィーにより作製される積み重ねた重合体層をもつこのようなデバイスは米国特許第2003/0,218,191号明細書にすでに記載され、その全体が引用により本明細書に取り込まれている。
【0092】
高速度で印刷することができるために、すべての印刷されるパターン又は層の乾燥時間はできるだけ短くなければならない。
【0093】
印刷されるパターンの最小ディメンションは、印刷される記事のディメンション及び印刷される記事間の距離両方に関与する、選択される印刷法により決定される。その後に印刷されるパターン又は層の配置の許容範囲もまたこれらのディメンションにより決定され、従って印刷法に依存する。更に、最小の実際的ディメンションは情報の書き込み及び読み出しのための電子的制御単位装置により決定される。情報の書き込み及び読み出しは、記憶デバイス及び記憶素子の駆動及び電気的状態の検出のための適当な電子的制御単位装置を相互に接触させることにより実施することができる。記憶デバイス及び電子的制御単位装置の整列を容易にするために、接触パッドは、電子的制御単位装置に対する記憶デバイスの整列誤差の可能性を最小にするために十分に大きく、そして有意な距離だけ離されている必要がある。
【0094】
第2の受動記憶デバイスを提供する方法
本発明の局面は、第1のパターン化電極システムを提供し、有機強誘電性層を提供し、そして第2の電極システムを提供する段階が、すべて通常の印刷法で実現される、基板の非導電性表面上に第1の電極のパターンを実現し、前記の第1の電極のパターン上に前記の要素システムを提供し、そして前記の要素システム上に第2の電極のパターンを提供する段階を含んでなる、第2の受動記憶デバイスを提供する方法により実現される(ここで前記受動記憶デバイスは基板及び、前記の少なくとも1種の基板の少なくとも片面上の受動記憶要素を含んでなり、前記の受動記憶要素は、第1のパターン化電極システム、第2のパターンをもつ電極システム、前記の第1のパターン化電極システムと前記の第2のパターン化電極システム間の少なくとも1個の強誘電性要素を含んでなる要素システムを含んでなる)。
【0095】
本発明に従う第2の受動記憶デバイスを提供する方法の第1の態様に従うと、前記の第1のパターン化電極システムの前記の提供は1回の通過の印刷段階において、前以てコートした導電性層をパターン化することを含む。好ましい態様において、前記の前以てコートされた導電性層は本質的に導電性の重合体を含んでなる。
【0096】
本発明に従う第2の受動記憶デバイスを提供する方法の第2の態様に従うと、前記第1及び第2の電極システムは、置換又は未置換ポリチオフェン、置換又は未置換ポリアニリンあるいは置換又は未置換ポリピロールであることができる本質的に導電性の重合体を含んでなる。特に好ましい置換又は未置換チオフェンは式(I):
【0097】
【化2】
【0098】
[式中、nは1より大きく、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素又は、場合により置換されたC1−4アルキル基を表わすか、あるいは一緒になって、場合により置換されたC1−4アルキレン基又は場合により置換されたシクロアルキレン基、好ましくは、エチレン基、場合によりアルキル−置換されたメチレン基、場合によりC1−12アルキル−もしくはフェニル−置換されたエチレン基、1,3−プロピレン基又は1,2−シクロヘキシレン基を表わす]
により表わされる。
【0099】
本発明に従う第2の受動記憶デバイスを提供する方法の第3の態様に従うと、前記受動記憶装置は有機材料のみを含んでなる。
【0100】
本発明に従う第2の受動記憶デバイスを提供する方法の第4の態様に従うと、前記の少なくとも1種の通常の印刷法は非インパクト印刷法、例えば、インクジェット印刷、電子写真印刷及びエレクトログラフ印刷である。
【0101】
本発明に従う第2の受動記憶デバイスを提供する方法の第5の態様に従うと、前記の少なくとも1種の通常の印刷法はインパクト印刷法、例えば、オフセット印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷及びスタンプ印刷である。
【0102】
本発明に従う第2の受動記憶デバイスを提供する方法の第6の態様に従うと、少なくとも1種の通常の印刷法は、インクジェット印刷、インタグリオ印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、スタンプ印刷、グラビア印刷、電子写真印刷、エレクトログラフ印刷、熱及びレーザー誘導法からなる群から選択され、そこで導電性表面層が印刷工程中に、例えば酸化又は還元によりパターン化される方法を含む。
【0103】
本発明に従う第2の受動記憶デバイスを提供する方法の第7の態様に従うと、第1の電極のパターン、絶縁システム及び第2の電極のパターンはそれぞれ、同一でも異なってもよい通常の印刷法により実施される。
【0104】
本発明に従う第2の受動記憶デバイスを提供する方法の第8態様に従うと、第1の電極のパターン、絶縁システム及び第2の電極のパターンは同一の通常の印刷法により実施される。
【0105】
本発明に従う第2の受動記憶デバイスを提供する方法の第9の態様に従うと、基板は柔軟な又は硬いプラスチック、ガラス、紙、板、ボール紙又は任意のこれらの材料の複合材料である。
【0106】
本発明に従う第2の受動記憶デバイスを提供する方法の第10の態様に従うと、強誘電性記憶デバイスの多層を相互の上に印刷することができる。印刷の代わりにリソグラフィ
ーにより作製される、積み重ねた重合体層をもつこのようなデバイスは米国特許第2003/0,218,191号明細書にすでに記載され、その全体が引用により本明細書に取り込まれている。
【0107】
本発明に従う第2の受動記憶デバイスを提供する方法の第11の態様に従うと、前記要素システムは更に、前記第1及び第2の電極システム間の接触をもたらすボイドを含んでなる。
【0108】
本発明に従う第2の受動記憶デバイスを提供する方法の第12の態様に従うと、前記要素システムは更に、読み出し又はデータ・入力条件下では強誘電特性をもたない絶縁要素を含んでなる。
【0109】
高速度で印刷することができるために、すべての印刷されるパターン又は層の乾燥時間はできるだけ短くなければならない。
【0110】
印刷されるパターンの最小ディメンションは、印刷される記事のディメンション及び印刷される記事間の距離両方に関与する、選択される印刷法により決定される。その後に印刷されるパターン又は層の配置における許容範囲もまた、これらのディメンションにより決定され、従って印刷法に依存する。更に、最小の実際的ディメンションは情報の書き込み及び読み出しのための電気的制御単位装置により決定される。情報の書き込み及び読み出しは、記憶デバイスと、記憶素子の駆動及び電気的状態の検出のための適当な電子的制御単位装置を相互に接触させることにより実施される。記憶デバイスと電子的制御単位装置の整列を容易にするために、接触パッドは、電子的制御単位装置に対する記憶デバイスの整列誤差の可能性を最小にするために十分に大きく、そして有意な距離だけ離されている必要がある。
【0111】
有機強誘電性組成物
記憶素子中の記憶材料は、例えば、ポリビニリデンフルオリド、ビニリデン・フルオリドの共重合体、特にトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン又は双方とビニリデン・フルオリドの共重合体;奇数のナイロン、奇数のナイロン及びそれらの共重合体;ポリビニリデンシアニド(PVCN)、酢酸ビニルとの共重合体のようなビニリデン・シアニドの共重合体のようなシアノ重合体;ポリ尿素;ポリチオ尿素;並びに強度に分極性の末端基をもつ重合体を含んでなる、有機強誘電性組成物である。材料の最適化は共重合体、三元重合体及び混合物(例えば、ポリメチルメタクリレートPMMAとの)を使用して実施することができる。好ましい態様において、有機強誘電性組成物は50重量%のg−エラストマー及び50重量%の圧電性ポリ(ビニリデンフルオリド−トリフルオロエチレン)からなる混合物である。
【0112】
特に好ましい有機強誘電性組成物は、強誘電性重合体の総重量に基づいて10〜100モル%のビニリデン・フルオリドを含むビニリデン・フルオリドの共重合体を含んでなる。この範囲内で少なくとも50モル%のビニリデン・フルオリド濃度が好ましく、少なくとも70モル%の濃度が特に好ましい。トリフルオロエチレンは好ましくは、90モル%までの総強誘電性重合体を含んでなる。この範囲内で、少なくとも10モル%のトリフルオロエチレン濃度が好ましく、少なくとも29モル%の濃度が特に好ましい。ヘキサフルオロプロピレンは好ましくは、強誘電性重合体の総重量の50モル%までを含んでなる。少なくとも10モル%のヘキサフルオロエチレン濃度を使用することができ、少なくとも15モル%が特に好ましい。強誘電性重合体は5,000〜250,000の範囲内の分子量をもち、少なくとも20,000の分子量が好ましく、そして少なくとも30,000が特に好ましく、80,000を超えない分子量が好ましく、60,000を超えない分子量が特に好ましい。
【0113】
ビニリデン・フルオリド及びトリフルオロエチレンの共重合体を含んでなる有機強誘電性層の使用の場合に、有機強誘電性層は好ましくは、約140℃の温度で焼き戻されて、その強誘電特性を最適にする。
【0114】
有機強誘電性層は好ましくは、1μm以下の層の厚さを有する。
【0115】
導電性スクリーン印刷用インク
国際公開第02/079316号パンフレットは、そこで2個のアルコキシ基が同一であるか又は異なるか又は一緒に、場合により置換されたオキシ−アルキレン−オキシ橋を表わすことができる3,4−ジアルコキシチオフェンの重合体又は共重合体、ポリアニオン並びに非ニュートン結合剤を含む水性組成物、場合により下塗りした基板、誘電体層、リン層又は場合により透明な導電性被膜に対して前記の水性組成物を適用し、そしてそれにより適用された水性組成物を乾燥することを含んでなる導電性層の製法、導電性層を作製するための前記の方法に従って作製された静電気防止及び導電性被膜、前記の水性組成物を含んでなる印刷インク又はペースト、並びに前記の印刷インクを提供し、場合により下塗りした基板、誘電体層、リン層又は場合により透明な導電性被膜上に印刷インクを印刷することを含んでなる印刷法を開示している。国際公開第02/079316号パンフレットに開示されたスクリーン印刷インク調製物は明確に本明細書に引用により取り入れられている。
【0116】
国際公開第03/048228号パンフレットは、以下の順序でi)(3,4−ジアルコキシチオフェン)の重合体又は共重合体の水性分散物及びポリアニオンと、非水性溶媒のうちの少なくとも1種を混合し、そしてii)その中の水分含量が少なくとも65重量%だけ減少されるまで、段階i)で調製された混合物から水分を蒸発させる段階を含んでなる、そこで2個のアルコキシ基が同一であるか又は異なり、又は一緒に、場合により置換されたオキシ−アルキレン−オキシ橋を表わすことができる0.08〜3.0重量%の間の3,4−ジアルコキシチオフェンの重合体又は共重合体、ポリアニオン及び、少なくとも1種非水性溶媒、を含有する組成物を、酸素の実質的な不存在下において調製される、(3,4−ジアルコキシチオフェン)の重合体又は共重合体及びポリアニオンの水中分散物から調製する方法;前記の方法に従って調製された一定の透明性における高められた伝導度をもつ層を生成することができる、印刷インク、印刷ペースト又はコート組成物;それにより一定の透明性において高められた伝導度をもつ層を生成する、コート組成物によるコート法、並びにそれにより一定の透明性において高められた伝導度をもつ層を生成する印刷インク又はペーストによる印刷法、を開示している。国際公開第03/048228号パンフレットに開示されたスクリーン印刷インクの調製物は引用により本明細書に明確に取り入れられている。
【0117】
国際公開第03/048229号パンフレットは、(3,4−ジアルコキシチオフェン)の重合体又は共重合体及びポリアニオン、の水中分散物から、以下の順序で、i)(3,4−ジアルコキシチオフェン)の重合体又は共重合体の水性分散物及びポリアニオンと少なくとも1種の非水性溶媒を混合し、そしてii)その中の水分含量が少なくとも65重量%だけ減少されるまで、段階i)で調製された混合物から水分を蒸発させる段階を含んでなる、そこで2個のアルコキシ基が同一であるか又は異なり、又は一緒に、場合により、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、カルボキシ、アルキルスルホナート、アルキルオキシアルキルスルホナート及びカルボキシエステル基からなる群から選択される置換基で場合により置換されたオキシ−アルキレン−オキシ橋を表わすことができる0.08〜3.0重量%の間の3,4−ジアルコキシチオフェンの重合体又は共重合体、ポリアニオン及び少なくとも1種のポリヒドロキシの非水性溶媒を含有する組成物を調製する方法、前記の方法に従って調製される一定の表面抵抗において高められた透明性をもつ層を生成することができる印刷インク、印刷ペースト又はコート組成物、それにより一定の表面抵抗において高められた透明性をもつ層を生成する、コート組成物によるコート法、並びにそれにより一定の表面抵抗において高められた透明性をもつ層を生成する印刷インク又はペーストによる印刷法、を開示している。国際公開第03/048229号パンフレットに開示されたスクリーン印刷のインク調製物は特に引用により本明細書に取り入れられている。
【0118】
導電性フレキソ印刷インク
国際公開第03/000765号パンフレットは、3,4−ジアルコキシチオフェンの重合体又は共重合体がインク中に少なくとも0.1重量%の濃度で存在し、そしてインクが比色分析で付加的な透明なプリントを形成することができることを特徴とする、溶媒又は水性媒質中に、そこで2個のアルコキシ基が同一であるか又は異なり、又は一緒に、場合により置換されたオキシ−アルキレン−オキシ橋を表わすことができる3,4−ジアルコキシチオフェンの重合体又は共重合体、ポリアニオン及びラテックス結合剤を含有する、フレキソ印刷のインクを含む非染料、フレキソイ印刷インクの調製法並びにそれによるフレキソ印刷法、を開示している。国際公開第03/000765号パンフレットに開示されたフレキソ印刷インク調製物は特に引用により本明細書中に取り入れられている。
【0119】
導電性インクジェット印刷インク
インクジェット印刷に適する、溶媒又は水性溶媒中の、そこで2個のアルコキシ基が同一であるか又は異なり、あるいは一緒に、場合により置換されたオキシ−アルキレン−オキシ橋を表わすことができる3,4−ジアルコキシチオフェンの重合体又は共重合体、ポリアニオン及び高沸点の液体を含む調製物を調製することができる。ジェット温度においてUniversal Print Head(AGFA−GEVAERTから)に対して好ましくは、3〜15mPa.sの範囲内にある粘度のような重要な特性は、導電性重合体の濃度及び高沸点の液体の量及びタイプを変更することにより調整することができる。1.2%のPEDOT:PSS溶液は約30mPa.sそして0.6%の濃度で約10mPa.sの粘度を有する。
【0120】
表面張力は好ましくは、Universal Print Headに対する噴出条件下で28〜36mN/mの範囲内にあり、そして適当なアニオン、カチオン又は非イオン界面活性剤又は溶媒、例えば、アルコールを添加することにより調整することができる。界面活性剤はまた、噴出性能、基板上でのインクの湿潤性及び印刷された層のUV−安定性に影響を与えることができる。例えば、5〜20重量%の高沸点液の添加は乾燥後の印刷された層の導電性を改善し、有用な高沸点液はエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、N−メチルピロリドン及び2−ピロリドンを含む。高沸点液の選択はまた、乾燥時間、最低乾燥温度、噴出性能、湿潤化特性、粘度及び表面張力に影響を有する。場合により、ジメチルエタノールアミン、トリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミンのような揮発性塩基をインクジェット印刷溶液を中和するために添加して印刷ヘッドの腐蝕を防止することができる。
【0121】
工業的用途
本発明に従う受動記憶デバイスは例えば、切符、ラベル、タグ、ID−カード、銀行カード、法律文書、紙幣中への安全保証及び偽造防止の用途に使用することができ、そして更に包装物中に取り入れることができる。
【0122】
本発明は比較例及び本発明の実施例により以下に具体的に示される。これらの実施例中に与えられる百分率及び比率は別記されない限り、重量に基づく。
【0123】
本発明の実施例の要素中に使用される非商業的被膜中に使用される成分:
【0124】
【表1】
【0125】
使用されたインク組成物:
本発明の実施例を準備する際に使用されたフレキソ印刷及びインクジェットのインクの組成物は以下の表1、2及び3にそれぞれ要約される。
【0126】
【表2】
【0127】
【表3】
【0128】
【表4】
【実施例】
【0129】
第1の電極、第2の電極及び強誘電性層を以下の印刷法を使用して作製した。
【表5】
【0130】
[実施例1]1枚の基板上に全面フレキソ印刷された記憶要素
印刷法2を使用して、25mmの長さ及び1mm幅をもつ線を有するPEDOT/PSS−電極のパターンで第1のPET−基板を最初に印刷することにより本発明の実施例1の受動記憶要素を製造した。次に強誘電性共重合体1の溶液Bを印刷法4Bを使用して第1の電極に3回適用し、140℃で35分間アニールした。
【0131】
ThermoKett 2000(Akzo Nobelからの水に基づく炭素フレキソ印刷インク)を強誘電性層の上部に手で適用し、140℃で3分間乾燥すると、印刷法7に従う第2の電極のパターンを提供し、2mm幅の線を形成した。
【0132】
強誘電性測定をSawyer−Tower回路[Sawyer C.B.,Tower,C.H.,Phys.Rev.,35,(1930),pp.269−273]を使用し、1μFの静電容量を有する対照コンデンサーにより、本発明の実施例1の受動記憶要素上で実施した。電気信号はWavetek 5MHz関数発生器(function genrator)モデルFG−5000Aにより発信され、Powertek Laboratory Power Amplifier LPA400により増幅された。結果はTektronix 2445A 150MHzのオッシロスコープで観察された。図5は50Hz及び160Vの掃引電圧、すなわち−80V〜+80Vで記録された典型的オッシロスコープ曲線を示し、9μC/cm2の残留分極(remanent polarization)に対応する180mVのポテンシャルを示す。
【0133】
受動記憶要素は共重合体1のタイプの強誘電性重合体に典型的な残留分極を示し(例えば、Applied Physics Letters,85巻,2032−2034ページ(2004)中のR.C.G.Naber等参照)、従ってこの受動記憶要素は受動記憶要素として働くことができる。
【0134】
[実施例2〜4]2部の全面フレキソ印刷された記憶要素
印刷法2を使用して、長さ25mm及び幅1mmの線を有するPEDOT/PSS電極のパターンで第1のPET−基板を最初に印刷することにより、本発明の実施例2〜4の受動記憶要素を製造した。次に強誘電性共重合体1の溶液A、B及びCを、本発明の実施例2、3及び4それぞれの受動記憶要素に対して、それぞれ印刷法4A、4B及び4Cを使用して第1の電極に適用し、層を140℃で35分間アニールした。
【0135】
次に、印刷法2を使用して、25mmの長さ及び1mmの幅の線を有するPEDOT/PSS−電極のパターンで第2の下塗りしたPET−基板を印刷することにより、第2の電極のパターンを製造した。
【0136】
室温で一緒に圧縮することにより、第1の基板上に印刷された強誘電性重合体層を第2の電極のパターンと密接に接触させることにより最終デバイスを製造した。
【0137】
強誘電性測定を、本発明の実施例1の受動記憶要素について説明されたように、本発明の実施例2、3及び4それぞれの受動記憶要素上で実施した。残留分極を1μFのコンデンサー上のポテンシャルから計算し、そしてポテンシャルと一緒に掃引電圧及び周波数及びそれらから計算された残留分極を以下の表4に要約する。
【0138】
【表6】
【0139】
本発明の実施例2、3及び4の受動記憶要素は共重合体1のタイプの強誘電性重合体に典型的な残留分極を示し(例えば、Applied Physics Letters,85巻,2032−2034ページ(2004)中のR.C.G.Naber等参照)、従ってこれらの受動記憶要素は受動記憶要素として働くことができる。
【0140】
[実施例5]2部のインクジェット−フレキソ−インクジェット印刷された記憶要素
本発明の実施例5の受動記憶要素を印刷法3(インクジェット)を使用して、長さ25mm及び幅1mmの線を有するPEDOT/PSS−電極のパターンで第1のPET−基板を最初に印刷することにより製造した。次に強誘電性共重合体1の溶液Aを印刷法4Aを使用して第1電極に適用し、層を140℃で35分間アニールした。
【0141】
次に第2電極のパターンを印刷法3(インクジェット)を使用して25mmの長さ及び1mm幅の線を有するPEDOT/PSS−電極のパターンで第2の下塗りしたPET−基板を印刷することにより製造した。
【0142】
室温で一緒に圧縮することにより、第1の基板上に印刷された強誘電性重合体層を第2の電極のパターンと密接に接触させることにより最終デバイスを製造した。
【0143】
強誘電性測定を、本発明の実施例1の受動記憶要素について説明されたように、本発明の実施例5の受動記憶要素上で実施した。残留分極を1μFのコンデンサー上のポテンシャルから計算し、そしてポテンシャルと一緒に掃引電圧及び周波数及びそれらから計算された残留分極を以下の表5に要約する。
【0144】
【表7】
【0145】
本発明の実施例5の受動記憶要素は共重合体1のタイプの強誘電性重合体に典型的な残留分極を示し(例えば、Applied Physics Letters,85巻,2032−2034ページ(2004)中のR.C.G.Naber等参照)、従ってこの受動記憶要素は受動記憶要素として働くことができる。
【0146】
[実施例6及び7]2部のインクジェット−フレキソ−フレキソ印刷された記憶要素
本発明の実施例6及び7の受動記憶要素を、印刷法3(インクジェット)を使用して、長さ25mm及び幅1mmの線を有するPEDOT/PSS−電極のパターンで第1のP
ET−基板を最初に印刷することにより製造した。次に強誘電性共重合体1の溶液A及びBを本発明の実施例6及び7それぞれの受動記憶要素に付き印刷法4A及び4Bそれぞれを使用して第1電極に適用し、層を140℃で35分間アニールした。
【0147】
次に第2電極のパターンを印刷法2(フレキソ印刷)を使用して25mmの長さ及び1mm幅の線を有するPEDOT/PSS−電極のパターンで第2の下塗りしたPET−基板を印刷することにより製造した。
【0148】
室温で一緒に圧縮することにより、第1の基板上に印刷された強誘電性重合体層を第2の電極のパターンと密接に接触させることにより最終デバイスを製造した。
【0149】
強誘電性測定を、本発明の実施例1の受動記憶要素について説明されたように、本発明の実施例6及び7の受動記憶要素上で実施した。残留分極を1μFのコンデンサー上のポテンシャルから計算し、そしてポテンシャルと一緒に掃引電圧及び周波数及びそれらから計算された残留分極を以下の表6に要約する。
【0150】
【表8】
【0151】
図6は50Hz及び80ボルトで記録された本発明の実施例7の受動記憶要素の典型的な測定値を示し、4.0μC/cm2の残留分極に対応する40mVのポテンシャルを示す。
【0152】
本発明の実施例6及び7の受動記憶要素は共重合体1のタイプの強誘電性重合体に典型的な残留分極を示し(例えば、Applied Physics Letters,85巻,2032−2034ページ(2004)中のR.C.G.Naber等参照)、従ってこれらの受動記憶要素は受動記憶要素として働くことができる。
【0153】
[実施例8]2部のインクジェット−フレキソ−スクリーン印刷された要素
本発明の実施例8の受動記憶要素を、印刷法3を使用して、長さ25mm及び幅1mmの線を有するPEDOT/PSS−電極のパターンで第1のPET−基板を最初に印刷することにより製造した。次に強誘電性共重合体1の溶液Aを印刷法4Bを使用して第1電極に適用し、層を140℃で35分間アニールした。
【0154】
次に第2電極のパターンを、印刷法1を使用して25mmの長さ及び1mm幅の線を有するPEDOT/PSS−電極のパターンで第2の下塗りしたPET−基板を印刷することにより製造した。
【0155】
室温で一緒に圧縮することにより、第1の基板上に印刷された強誘電性重合体層を第2の電極のパターンと密接に接触させることにより最終デバイスを製造した。
【0156】
強誘電性測定を、本発明の実施例1の受動記憶要素について説明されたように実施した。50Hz及び80Vの掃引電圧、すなわち−40V〜+40Vにおいて記録された典型的なオッシロスコープ曲線は3.5μC/cm2の残留分極に対応する35mVのポテンシャルを示し、それは共重合体1のタイプの強誘電性重合体1に典型的であり、従ってこの受動記憶要素は受動記憶要素として働くことができる。
【0157】
[実施例9]2部のフレキソ−フレキソ−インクジェット印刷された要素
本発明の実施例9の受動記憶要素を、印刷法2(フレキソ印刷)を使用して長さ25mm及び幅1mmの線を有するPEDOT/PSS−電極のパターンで第1のPET−基板を最初に印刷することにより製造した。次に強誘電性共重合体1の溶液Cを印刷法4Cを使用して第1電極に適用し、140℃で35分間アニールした。
【0158】
次に第2の電極のパターンを、印刷法3(インクジェット)を使用して25mmの長さ及び1mm幅の線を有するPEDOT/PSS−電極のパターンで第2の下塗りしたPET−基板を印刷することにより製造した。
【0159】
室温で一緒に圧縮することにより、第1の基板上に印刷された強誘電性重合体層を第2の電極のパターンと密接に接触させることにより最終デバイスを製造した。
【0160】
強誘電性測定を、本発明の実施例1の受動記憶要素について説明されたように実施した。20Hz及び70Vの掃引電圧、すなわち−35V〜+35Vにおいて記録された典型的なオッシロスコープ曲線は10.0μC/cm2の残留分極に対応する100mVのポテンシャルを示し、それは共重合体1のタイプの強誘電性重合体に典型的であり、従ってこの受動記憶要素は受動記憶要素として働くことができる。
【0161】
[実施例10及び11]交互の第2電極をもつ2部のフレキソ−フレキソ印刷された記憶要素
本発明の実施例10及び11の受動記憶要素を、印刷法2(フレキソ印刷)を使用して、長さ25mm及び幅1mmの線を有するPEDOT/PSS−電極のパターンで第1のPET−基板を最初に印刷することにより製造した。次に強誘電性共重合体1の溶液A、溶液B及び溶液Cを受動記憶要素に対してそれぞれ印刷法4A、4B及び4Cを使用して、第1の電極に、本発明の実施例10及び11、12及び13それぞれの受動記憶要素に、以下の表7中に与えた層の数で適用し、層を140℃で35分間アニールした。
【0162】
3種の異なるタイプの上部電極:a)印刷法5(フレキソ印刷)を使用してThermoKett 2000(Akzo Nobelからの水を基とする炭素フレキソ印刷インク)、b)印刷法6(スクリーンプリント)を使用してLuxprint 7145L(Dupontからのスクリーン印刷用銀ペースト)及びc)印刷法10を使用してPANIPOL(R)Wを、第2の下塗りしたPET−基板に適用し、1mm幅の線を与えた。
【0163】
室温で一緒に圧縮することにより、第1の基板上に印刷された強誘電性重合体層をそれぞれの「第2の」基板上の第2の電極のパターンと密接に接触させることにより最終デバイスを製造して、本発明の実施例10及び11それぞれの受動記憶要素を製造した。
【0164】
強誘電性測定を、本発明の実施例1の受動記憶要素について説明されたように実施した。残留分極を1μFのコンデンサー上のポテンシャルから計算し、そしてポテンシャルと一緒に掃引電圧及び周波数及びそれらから計算された残留分極を以下の表7に要約する。
【0165】
【表9】
【0166】
図7は50Hz及び160ボルトで記録された本発明の実施例10の受動記憶要素の典型的なオシロスコープ曲線を示し、1.0μC/cm2の残留分極に対応する20mVのポテンシャルを示す。
【0167】
本発明の実施例10及び11の受動記憶要素は共重合体1のタイプの強誘電性重合体に典型的な残留分極を示し(例えば、Applied Physics Letters,85巻,2032−2034ページ(2004)中のR.C.G.Naber等参照)、従ってこれらの受動記憶要素は受動記憶要素として働くことができる。
【0168】
[実施例14〜16]単一基板上に交互の第2電極をもつフレキソ−フレキソ−印刷された記憶要素
本発明の実施例12〜16の受動記憶要素を、印刷法2(フレキソ印刷)を使用して長さ25mm及び幅1mmの線を有するPEDOT/PSS−電極のパターンで第1のPET−基板を最初に印刷することにより製造した。次に強誘電性共重合体1の溶液Bを、印刷法4Bを使用して、以下の表8中に与えた回数だけ第1電極に適用し、層を140℃で35分間アニールした。
【0169】
4種の異なるタイプの上部電極:a)印刷法7を使用してThermoKett 2000(Akzo Nobelからの水を基とする炭素フレキソ印刷用インク)(幅2mmの線を提供)、b)印刷法8を使用してLuxprint 7145L(Dupontからのスクリーン印刷用銀ペースト)(幅3mmの線を提供)、及びc)印刷法9を使用してZONYL(R)FSO100及びグリシドオキシプロピルトリメトキシシランを含有するPEDOT/PSS分散物(幅5mmの線を提供)を、強誘電性層に手で適用し、それにより本発明の実施例12〜16の受動記憶要素を製造した。
【0170】
強誘電性測定を、本発明の実施例1の受動記憶要素について説明されたように実施した。残留分極を1μFのコンデンサー上のポテンシャルから計算し、そしてポテンシャルと一緒に掃引電圧及び周波数及びそれらから計算された残留分極を以下の表8に要約する。
【0171】
【表10】
【0172】
本発明の実施例14及び16の受動記憶要素は共重合体1のタイプの強誘電性重合体に典型的な残留分極を示し(例えば、Applied Physics Letters,85巻,2032−2034ページ(2004)中のR.C.G.Naber等参照)、従ってこの受動記憶要素は受動記憶要素として働くことができる。
【0173】
[実施例17及び18]スクリーン−フレキソ−スクリーン印刷された記憶要素
本発明の実施例17の受動記憶要素を、印刷法1(スクリーン印刷)を使用して、長さ25mm及び幅1mmの線を有するPEDOT/PSS−電極のパターンで第1の下塗りしたPET−基板を最初に印刷することにより製造した。次に強誘電性共重合体1の溶液A及びBを、本発明の実施例17及び18の受動記憶要素それぞれに対して印刷法4A及び4Bをそれぞれ使用して第1電極に適用し、層を140℃で35分間アニールした。
【0174】
次に第2の電極のパターンを、第1の電極について記載されたように第2の下塗りしたPET−基板上に製造した。
【0175】
室温で一緒に圧縮することにより、第1の基板上に印刷された強誘電性重合体層を第2の電極のパターンと密接に接触させることにより最終デバイスを製造した。
【0176】
強誘電性測定を、本発明の実施例1の受動記憶要素について説明されたように実施した。残留分極を1μFコンデンサー上のポテンシャルから計算し、そしてポテンシャルと一緒に掃引電圧及び周波数及びそれらから計算された残留分極を以下の表9に要約する。
【0177】
【表11】
【0178】
図8は50Hz及び130ボルトで記録された本発明の実施例17の受動記憶要素の典型的なオシロスコープ曲線を示し、6.0μC/cm2の残留分極に対応する60mVのポテンシャルを示す。
【0179】
本発明の実施例17及び18の受動記憶要素は共重合体1のタイプの強誘電性重合体に典型的な残留分極を示し(例えば、Applied Physics Letters,85巻,2032−2034ページ(2004)中のR.C.G.Naber等参照)、従ってこの受動記憶要素は受動記憶要素として働くことができる。
【0180】
[実施例19及び20]2部の要素における強誘電性層の厚さの効果
本発明の実施例19及び20の受動記憶要素を、印刷法2(フレキソ印刷)を使用して長さ25mm及び幅1mmの線を有するPEDOT/PSS−電極のパターンで第1の下塗りしたPET−基板を最初に印刷することにより製造した。2種の試料を作製し、本発明の実施例19の受動記憶要素の場合には、強誘電性共重合体1の溶液Cを使用して強誘電性層をフレキソ印刷し、そして本発明の実施例20の受動記憶要素の場合には強誘電性共重合体1の溶液Bを使用して相互の上に2層を印刷した。受動記憶要素19及び20の強誘電性層を140℃で35分間アニールした。
【0181】
次に第2のPEDOT/PSS電極のパターンを、印刷法1を使用することにより第2
の下塗りしたPET−基板上に製造した。
【0182】
室温で一緒に圧縮することにより、第1の基板上に印刷された強誘電性重合体層を第2の電極のパターンと密接に接触させることにより最終デバイスを製造した。
【0183】
強誘電性測定を、本発明の実施例1の受動記憶要素について説明されたように実施した。残留分極を1μFコンデンサー上のポテンシャルから計算し、そしてポテンシャルと一緒に掃引電圧及び周波数及びそれらから計算された残留分極を以下の表10に要約する。
【0184】
【表12】
【0185】
強誘電性層の厚さを厚くすることにより、記憶素子は使用される読み出し電圧において著しく低い活性にさせることができ、従って記憶デバイス中に更なる書き換え不能な情報を保存する可能性を開く。
【0186】
[実施例15及び21]2部の要素における強誘電性層の厚さの効果
本発明の実施例15及び21の受動記憶要素を、印刷法2(フレキソ印刷)を使用して長さ25mm及び幅1mmの線を有するPEDOT/PSS−電極のパターンで第1の下塗りしたPET−基板を最初に印刷することにより製造した。2種の試料を製造し、本発明の実施例15の受動記憶要素の場合には、強誘電性共重合体1の溶液Bを使用して強誘電性層をフレキソ印刷し、そして本発明の実施例21の受動記憶要素の場合には、強誘電性共重合体1の溶液Bを使用して、相互の上に2層を印刷した。受動記憶要素19及び20の強誘電性層を140℃で35分間アニールした。
【0187】
次に第2のPEDOT/PSS電極のパターンを、第2の下塗りしたPET−基板にPANIの電極のパターンを手で適用することにより製造した。
【0188】
室温で一緒に圧縮することにより、第1の基板上に印刷された強誘電性重合体層を第2の基板上の第2の電極のパターンと密接に接触させることにより最終デバイスを製造した。
【0189】
強誘電性測定を、本発明の実施例1の受動記憶要素について説明されたように実施した。残留分極を1μFコンデンサー上のポテンシャルから計算し、そしてポテンシャルと一緒に掃引電圧及び周波数及びそれらから計算された残留分極を以下の表11に要約する。
【0190】
【表13】
【0191】
強誘電性層の厚さを厚くすることにより、記憶素子は使用される読み出し電圧において、著しく、より不活性にさせることができ、従って記憶デバイス中に更なる書き換え不能な情報を保存する可能性を開く。
【0192】
[実施例22〜24]2部の記憶要素における掃引電圧に対する残留分極の依存性
本発明の実施例22〜24の受動記憶要素を、印刷法2(フレキソ印刷)を使用して、長さ25mm及び幅1mmの線を有するPEDOT/PSS−電極のパターンで第1のPET−基板を最初に印刷することにより製造した。次に強誘電性共重合体1の溶液Cを、印刷法4Cを使用して第1電極に適用し、層を140℃で35分間アニールした。
【0193】
次に第2の電極のパターンを、印刷法1(スクリーン印刷)を使用して長さ25mm及び幅1mmの線を有するPEDOT/PSS電極のパターンで第2の下塗りしたPET−基板を印刷することにより製造した。
【0194】
室温で一緒に圧縮することにより、第1の基板上に印刷された強誘電性重合体層を第2の電極のパターンと密接に接触させることにより最終デバイスを製造した。
【0195】
強誘電性測定を、本発明の実施例1の受動記憶要素について説明されたように本発明の実施例22〜24の受動記憶要素につき実施した。残留分極を1μFコンデンサー上のポテンシャルから計算し、そしてポテンシャルと一緒に掃引電圧及び周波数及びそれらから計算された残留分極を以下の表12に要約する。
【0196】
【表14】
【0197】
これらのデバイスの残留分極は掃引電圧増加とともに有意に増加した。
【0198】
[本発明の実施例25〜29]2部の記憶要素における掃引電圧に対する残留分極の依存性
本発明の実施例25〜29の受動記憶要素を、印刷法2(フレキソ印刷)を使用して長さ25mm及び幅1mmの線を有するPEDOT/PSS−電極のパターンで第1のPET−基板を最初に印刷することにより製造した。次に強誘電性共重合体1の溶液Bを、印刷法4Bを使用して第1電極に適用し、層を140℃で35分間アニールした(より短時間でも可能であるかも知れない)。
【0199】
次に第2の電極のパターンを、印刷法2(フレキソ印刷)を使用して長さ25mm及び幅1mmの線を有するPEDOT/PSS電極のパターンで第2の下塗りしたPET−基板を印刷することにより製造した。
【0200】
室温で一緒に圧縮することにより、第1の基板上に印刷された強誘電性重合体層を第2の電極のパターンと密接に接触させることにより最終デバイスを製造した。
【0201】
強誘電性測定を、本発明の実施例1の受動記憶要素について説明されたように本発明の実施例25〜29の受動記憶要素につき実施した。残留分極を1μFコンデンサー上のポテンシャルから計算し、そしてポテンシャルと一緒に掃引電圧及び周波数及びそれらから計算された残留分極を以下の表13に要約する。
【0202】
【表15】
【0203】
図9は50Hz及び80ボルトで記録された本発明の実施例27の受動記憶要素の典型的なオッシロスコープ曲線を示し、2.3μC/cm2の残留分極に対応する23mVのポテンシャルを示す。
【0204】
これらのデバイスの残留分極は掃引電圧増加とともに有意に増加した。
[実施例30]
【0205】
本発明の実施例30の受動記憶要素を、印刷法1(スクリーン印刷)を使用して長さ25mm及び幅1mmの線を有するPEDOT/PSS−電極のパターンで第1のPET−基板を最初に印刷することにより製造した。強誘電性層の代わりに絶縁材料(ProellからのNoripet 093 Clear)をメッシュ62スクリーンをとおすスクリーン印刷により第1の電極のパターン上に適用し、130℃で3分間乾燥した。
【0206】
次に第2の電極のパターンを、印刷法1(スクリーン印刷)を使用して長さ25mm及び幅1mmの線を有するPEDOT/PSS−電極のパターンで第2の下塗りしたPET−基板を印刷することにより製造した。
【0207】
室温で一緒に圧縮することにより、第1の基板上に印刷された絶縁層を第2の電極のパターンと密接に接触させることにより最終デバイスを製造した。
【0208】
強誘電性測定を、本発明の実施例1の受動記憶要素について説明されたように実施した。図10はヒステリシス・ループを示さない、50Hz及び70Vの掃引電圧、すなわち−35V〜+35Vにおいて記録された典型的なオッシロスコープ曲線を示す。強誘電性重合体の代わりに絶縁材料を使用することにより、記憶素子は使用される出力電圧において不活性化させることができ、従って記憶デバイス中に更なる書き換え不能な情報を保存することができる。
【0209】
本発明は、それが現在請求される発明に関するか否かに拘わらず、暗黙に又は明白に本明細書に開示されたあらゆる特徴物又は特徴物の組み合わせ物あるいはそれらの任意の総括を含むことができる。以上の説明を考慮すると、様々な修飾物が本発明の範囲内で作製され得ることは当業者に明白であろう。
【図面の簡単な説明】
【0210】
【図1】本発明に従う受動電極マトリックスを伴なう記憶デバイスの概括的態様のスキームによる平面図である。
【図2】図1に示した受動電極記憶デバイスを伴なう記憶デバイスの概括的態様の断面図である。
【図3】本発明に従う受動マトリックス記憶デバイスの第10の態様の断面図である。
【図4A−B】本発明に従う受動マトリックス記憶デバイスの第11の態様の2つの断面図である。
【図5】y−軸として1μFのコンデンサー上の電圧及びx−軸として掃引電圧を伴なう、フレキソ印刷により適用されたPEDOT/PSS第1電極、溶液Bとともにフレキソ印刷により適用された強誘電性層及び、手動で適用される炭素の第2の電極をもつ、本発明の実施例1の受動記憶要素の典型的なオッシロスコープ曲線である。
【図6】y−軸として1μFのコンデンサー上の電圧及びx−軸として掃引電圧を伴なう、インクジェット印刷により適用されたPEDOT/PSSの第1の電極、溶液Bとともにフレキソ印刷により適用された強誘電性層及び、フレキソ印刷により適用されたPEDOT/PSSの第2の電極をもつ、本発明の実施例7の受動記憶要素の典型的なオッシロスコープ曲線である。
【図7】y−軸として1μFのコンデンサー上の電圧及びx−軸として掃引電圧を伴なう、フレキソ印刷により適用されたPEDOT/PSS第1電極、溶液Aとともにフレキソ印刷により2回適用された強誘電性層及び、これもフレキソ印刷により適用された炭素の第2の電極をもつ、本発明の実施例10の受動記憶要素の典型的なオッシロスコープ曲線である。
【図8】y−軸として1μFのコンデンサー上の電圧及びx−軸として掃引電圧を伴なう、スクリーン印刷により適用されたPEDOT/PSS第1電極、溶液Aとともにフレキソ印刷により適用された強誘電性層及び、スクリーン印刷により適用されたPEDOT/PSS第2の電極をもつ、本発明の実施例17の受動記憶要素の典型的なオッシロスコープ曲線である。
【図9】y−軸として1μFのコンデンサー上の電圧及びx−軸として掃引電圧を伴なう、フレキソ印刷により適用されたPEDOT/PSS第1電極、溶液Bとともにフレキソ印刷により適用された強誘電性層及び、これもフレキソ印刷により適用されたPEDOT/PSSの第2の電極をもつ、本発明の実施例27の受動記憶要素の典型的なオッシロスコープ曲線である。
【図10】y−軸として1μFのコンデンサー上の電圧及びx−軸として掃引電圧を伴なう、スクリーン印刷により適用されたPEDOT/PSS第1電極、スクリーン印刷により適用された絶縁層及び、これもスクリーン印刷により適用されたPEDOT/PSSの第2の電極をもつ、本発明の実施例30の受動記憶要素の典型的なオッシロスコープ曲線である。
【技術分野】
【0001】
本発明は強誘電性受動記憶素子(memory cell)、素子を含むデバイス及びその製造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、包装物における偽造防止タグとして又は識別票として情報をその中に保存することができる安価で柔軟なタグ及びラベルの需要が増加してきた。このような記憶デバイス(memory device)の生産は安価でなければならず、それは包装物の印刷工程又は包装工程中へ取り入れることが容易でなければならず、そして複雑でなく安価な材料からならなくてはならず、そして最少の工程段階を伴なわなければならない。包装物中への使用のためには、記憶デバイスは比較的頑丈で、機械的衝撃、温度変化及びその他の環境の影響に非感受性であることが重要である。多数の用途において、記憶デバイス内に保存される情報は電気的に書き込み、読み出し、消去そして書き換えできることが重要である。
【0003】
長期間にわたり書き換え可能で双安定性であることが証明された1タイプの記憶素子は、強誘電性記憶材料に基づく。包装物又はラベル上への記憶デバイスの印刷は、使用される包装材料を考慮すると、比較的低温でのみ可能である。これは、包装材料と一緒の使用に適する、双方とも重合体又は紙に基づく基板の融解又は重大な劣化をもたらすと考えられる300℃〜400℃の範囲の温度を必要とする、無機強誘電性材料及びケイ素に基づく駆動回路の使用を排除する。更に、ポリイミドのような高温で安定な重合体基板の使用は、紙、あるいはポリエチレン(PE)又はポリ(エチレンテレフタレート)(PET)のような安価な重合体基板に比較して、基板材料の高い価格のために除外される。
【0004】
特許文献1は強誘電性高重合体の薄膜を開示し、ビニリデン・フルオリドとトリフルオロエチレンの共重合体がいかに形成され、受動記憶デバイス内の記憶材料として使用されるかを記載している(特許文献1参照)。
【0005】
特許文献2は、相互に相対する第1及び第2面を有する強誘電性薄膜、前記強誘電性薄膜の第1の表面側上に平行に配列された複数の縞状電極を含む第1の電極アセンブリー、前記強誘電性薄膜の第2の表面側上に平行に配列された複数の縞状電極を含む第2の電極アセンブリー(ここで、前記の第2の電極アセンブリーの前記の縞状電極は、前記の第1の電極アセンブリーの前記の縞状電極上を交差する)、前記の第1及び第2の電極アセンブリーそれぞれの末端部分からそして、前記の第1及び第2電極アセンブリーの前記の縞状電極が配列されるそれぞれの方向に延伸して別個に配列された、第1及び第2の共通の電極、並びに、前記の第1及び第2の電極アセンブリーを前記の第1及び第2の共通の電極にそれぞれ接続するための、そして前記の第1及び第2の電極アセンブリーそれぞれの前記の縞状電極の少なくとも1個を選択的に活性化させるための選択手段、を含んでなる強誘電性メモリーを開示している(特許文献2参照)。特許文献2は更に、適当な溶媒を、化学構造及びそれらの組成比率に従って重合体の有機材料のために選択的に使用することができ、そして従って膜は、スピンコート法、浸漬法及び印刷法等における被覆乾燥法を実施することにより形成することができることを開示している(特許文献2参照)。しかし全面に印刷されたデバイスは開示されていない。
【0006】
特許文献3はa)2つの相対する面を有する有機半導体、b)その間の距離がチャンネルの長さであり、その間の有機半導体の部分がチャンネル領域として区画される、有機半導体の片面と接触している2個の間隔を空けた電極、c)誘電定数及び、片面がチャンネ
ル領域の少なくとも一部に対して有機半導体の片面と接触している2つの相対する表面を有する強誘電性重合体、並びにd)チャンネル領域の少なくとも一部に対して強誘電性重合体の片面と接触しているゲート電極、並びにe)強誘電性重合体と有機半導体間に挟まれた有機誘電体、を含んでなる記憶素子を開示している(特許文献3参照)。特許文献3は更に、a)表面を有する基板、b)第1の表面が基板の表面に隣接する、第1及び第2の表面を有する有機半導体、c)それらの間の距離がチャンネルの長さであり、そしてそれらの間の有機半導体の部分がチャンネル領域として区画される、有機半導体の片面と接する2個の間隔を空けられた電極、d)第1の表面が有機半導体の第2の表面と接する、第1及び第2の表面を有する有機誘電体、e)誘電定数並びに、片面が、チャンネル領域の少なくとも一部に対して有機誘電体の第2の表面と接する、2枚の相対する表面、を有する強誘電性重合体、f)チャンネル領域の少なくとも一部に対して強誘電性重合体の片面と接するゲート電極、を含んでなる記憶素子を開示している(特許文献3参照)。特許文献3はまた、これらの有機薄膜半導体が真空蒸着、電気化学重合、溶液スピンコート、スクリーン印刷、インクジェット印刷及びラングミュア−ブロドゲット成長(Langmuir−Blodgett growth)のような周知の方法により製造できることを開示している(特許文献3参照)。これらの有機分野の有効なトランジスターはゲート誘電体として強誘電性薄膜重合体を使用する。これらの装置は、層の厚さ及び電極の間隔に関して厳密な条件を伴なう比較的複雑な構造を有するという欠点を有する。
【0007】
特許文献4は、薄膜が電界に露出することにより偏光逆転することができ、バリヤー部材が、第1の絶縁層及び有機薄膜溶液を反撥する第2層を含むように形成される、バリヤー部材により相互から分離された第1の電極を形成し、第1の電極上に有機薄膜溶液をメッキし、そして有機薄膜溶液の少なくとも一部を固化して薄膜を形成しそして、第1電極上の薄膜上に第2の電極を形成すること、を含んでなる、非揮発性記憶デバイスを形成する方法を開示している(特許文献4参照)。特許文献4は更に、トランジスターを含む半導体基板を提供し、トランジスターに重なる絶縁層を形成し、絶縁層上に下方電極を形成し(ここで下方電極はトランジスターの一部と電気接触している)、絶縁層上に隔壁部材を形成し(ここで隔壁部材は他の下方電極から下方電極を分離するようになっている)、そして隔壁部材により他の下方電極から隔離されている、下方電極上に有機層を形成するための溶液をメッキし(ここで有機層は隔壁部材上に直接はメッキされない)、そしてその後にそれを固化させて有機層を形成する段階、を含んでなる、下方電極と上方電極間に提供されている強誘電性コンデンサーを有する半導体デバイスを製造する方法を開示している(特許文献4参照)。特許文献4はまた、有機薄膜はインクジェットタイプの記録ヘッドにより被覆され、パターン化されることができ、そしてスピンコート、スプレーコート等のような様々な他の印刷法を使用して、有機薄膜材料溶液をコートすることができることを開示している(特許文献4参照)。しかし、全面印刷されたデバイスは開示されていない。
【0008】
特許文献5は、電極(E1、E2)の少なくとも片方が少なくとも1枚の接触層(P1、P2)を含んでなる(ここで前記の少なくとも1枚の接触層(P1、P2)は記憶素子(C)に接触する導電性重合体及び、場合により、導電性重合体(P1、P2)に接触する金属膜の第2の層(M1、M2)を含んでなり、それにより電極(E1、E2)の前記の少なくとも片方は、導電性重合体接触層(P1、P2)のみ、又は導電性重合体接触層(P1、P2)と金属膜層(M1、M2)の組み合わせ物のいずれかを含んでなる)ことを特徴とする、それにより素子の偏光状態を電極(E1、E2)に適当な電圧をかけることにより設定、切り替え又は検出することができる、強誘電性重合体薄膜(F)の形態の強誘電性記憶素子並びにその相対する面において強誘電性記憶素子(F)にそれぞれ接する第1及び第2電極(E1、E2)を含んでなる強誘電性記憶回路(C)を開示している(特許文献5参照)。特許文献5は更に、薄膜において、膜がその上に通常、スピンコートによりメッキされる硬い金属基板が、基板により影響を受ける結晶化配向を決定する異種核形成法により結晶過程を妨げる可能性があり、そしてスピンコートによる導電性重合体薄膜をメッキし、そしてスピンコートにより第1の接触層上に強誘電性重合体薄膜を同様にメッキすることが好ましいことを開示している(特許文献5参照)。例示された全体が(all)重合体の強誘電性記憶デバイスはスピンコート及び蒸着法により作製される。
【0009】
特許文献6は、強誘電性重合体膜の前駆体組成物及び溶媒組成物を含んでなる溶液を基板上にメッキし(ここで溶媒組成物は8.5以上のΔv値を有し、ここでΔv=(δd2+δp2)1/2)、δdはハンセン分散溶解度パラメーターであり、δpはハンセン極性溶解度パラメーターである)、そして溶媒の少なくとも一部を除去して強誘電性重合体膜を生成すること、を含んでなる、強誘電性重合体膜を形成する方法を開示している(特許文献6参照)。特許文献6は更に、特に50〜90モル%のビニリデン・フルオリド及び10〜50モル%のトリフルオロエチレンを含む強誘電性共重合体を請求し、そして特に、PGMEAプロピレングリコールメチルエーテルアセテート及びエチルラクテートの使用を例示し、そして好ましい溶媒として、ホルムアミド、エチレンカーボネート、ジプロピレングリコール、ガンマ−ブチロラクトン、ジメチル・スルホキシド、アセトニトリル、n−ブチルベンジルフタレート、ジエチレングリコール、ジメチルフタレート、アセトフェノン、メトキシプロピルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、エチレングリコール、エチルシンナメート、ジエチルフタレート、N−メチルモルホリン、ベンゾニトリル、エチレングリコール2−エチルヘキシルエーテル、ベンジルアルコール、モルホリン、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコール、1,4−ジオキサン、フルフリルアルコール、シクロヘキサノン、プロピレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチル−3−エトキシプロピオネート、エチレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、N−エチルモルホリン、メチルn−プロピルケトン、メシチレン、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエーテル、シクロヘキサノール、4−メチル−3−ペンテン−2−オン、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、エチルベンゼン、1−デカノール、1−イソプロピル−2−メチルイミダゾール、エチルラクテート、2−ヘキシルアセテート、ジエチレングリコールブチルエーテルアセテート、ジエチルケトン、1−メトキシ−2−ブタノール、ジエチレングリコールブチルエーテル又は前記溶媒の少なくとも1種を含んでなる組み合わせ物、を開示している(特許文献6参照)。
【0010】
導電性インクは有機−又は金属−基剤のいずれでもよい。金属基剤の導電性インクは主として銀又は銅粒子の分散物(例えば、特許文献7参照)又はそれらの前駆体物質(例えば、特許文献8参照)を基剤にする(例えば、特許文献8参照)。
【0011】
柔軟な基板上に、本質的に導電性の重合体の導電性(電極の)パターンを印刷するための水基剤及び溶媒基剤のインクは例えば、特許文献9、10、11、12、13、14及び15に開示され、そしてスクリーン印刷のインクは市販の例えば、AGFA−GEVAERT N.V.からのOrgacon(R)EL−P3040である(特許文献9、10、11、12、13、14及び15参照)。特許文献13及び16は、本質的に導電性重合体を含有するインクによるフレキソ印刷及びオフセット印刷法それぞれを開示している(特許文献13及び16参照)。PEDOT:PSS分散物のインクジェット印刷は例えば、非特許文献1及び2に記載されている(非特許文献1及び2参照)。しかし、通常の印刷法を使用する記憶デバイスの個々の層の印刷と、記憶デバイスの操作に必要な官能層(functional layers)すべてが通常の印刷法により印刷される、全面印刷された記憶デバイスの製造の間には、かなりの技術的相異が存在する。
【0012】
先行技術:
これまで、以下の先行技術の文献が本出願者に知られている。
【特許文献1】特開昭61−048983号公報(1986年3月10日開示)
【特許文献2】米国特許第5,060,191号明細書(1991年10月22日開示)
【特許文献3】米国特許第6,812,509号明細書(2004年11月2日開示)
【特許文献4】米国特許第6,686,211号明細書(2004年2月3に開示)
【特許文献5】国際公開第02/043071号パンフレット(2002年5月30日開示)
【特許文献6】米国特許出願第2004/0131826号明細書(2004年7月8日開示)
【特許文献7】国際公開第00/29208号パンフレット(2000年5月25日開示)
【特許文献8】米国特許出願第2003/0124259号明細書(2001年12月20日開示)
【特許文献9】国際公開第99/34371号パンフレット(1999年7月8日開示)
【特許文献10】国際公開第02/00759A号パンフレット(2002年1月3日開示)
【特許文献11】国際公開第02/079316A号パンフレット(2002年10月10日開示)
【特許文献12】国際公開第02/080627号パンフレット(2002年10月10日開示)
【特許文献13】国際公開第03/000765A号パンフレット(2003年1月3日開示)
【特許文献14】国際公開第03/048228号パンフレット(2003年6月12日開示)
【特許文献15】国際公開第03/048229号パンフレット(2003年6月12日開示)
【特許文献16】欧州特許第1 415 826A号明細書(2004年5月6日開示)
【特許文献17】国際公開第03/025953号パンフレット(2003年3月27日開示)
【非特許文献1】Nature Materials,2004,vol.3,pp.171−176(2004年3月刊行)
【非特許文献2】Advanced Materials,2004,vol.16(3),pp.203−213(2004年3月刊行)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、安価な非揮発性記憶要素を提供することが本発明の局面である。
【0014】
従って、安価な全体的に有機の非揮発性記憶要素を提供することが本発明の更なる局面である。
【0015】
タグ、ラベル又は包装物の印刷工程中に又は包装工程自体の一部として容易に取り入れることができる、情報を保存する、容易で安価な手段を実現することが本発明のまだ更なる局面である。
【0016】
環境に優しい廃棄にそれ自体を適合させることができる、情報を保存する容易で安価な手段を実現することもまた本発明の局面である。
【0017】
そこですべての層が通常の印刷法を使用して印刷される、第1の電極のパターン、強誘電性パターン又は層及び第2の電極のパターンを含んでなる、書き換え可能な記憶デバイスを実現することも本発明の局面である。
【0018】
短時間で乾燥でき、それにより高速度で記憶デバイスの印刷を許す、導電性電極のパターン及び強誘電性重合体層又はパターンのための印刷インクを使用することも本発明の局面である。
【0019】
本発明の更なる局面及び利点は以下の説明から明白になるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0020】
驚くべきことには、受動記憶デバイスの操作に必要なすべての官能層が通常の印刷法により印刷される、強誘電性重合体を基とする受動記憶デバイスが、通常の印刷法により作製されることができ、そして更に、受動記憶デバイスの操作に必要なすべての官能層が通常の印刷法により印刷される、強誘電性重合体に基づく全体的に有機の受動記憶デバイスが、通常の印刷法により作製されることができることが見いだされた。本発明の第1の目的は、通常のインパクト又は非インパクト印刷法により製造することができる、強誘電性受動記憶素子を提供することである。本発明の局面は、通常の印刷法を使用して、第1の基板上に第1の電極のパターンを印刷し、第1の電極のパターン上に強誘電性重合体の層又はパターンを印刷し、そして場合により第2電極のパターンを印刷することにより実現される。いずれか1つの印刷法を記憶デバイス中のすべてのパターン又は層に対して使用しても、あるいは2種以上の異なる印刷法の組み合わせを使用してもよい。記憶デバイスは包装工程の前、その期間中又はその後に包装材料上に直接印刷することができる。あるいはまた、記憶デバイスは包装物に添付されるラベル又はタグ上に印刷される。
【0021】
本発明の局面は、第1の電極システムが、少なくとも1個の強誘電性要素を含んでなる要素システムにより、第2の電極システムから少なくとも一部は絶縁されており、前記第1の電極システムが導電性表面又は導電性層であり、前記第2の電極システムが、読み出し又はデータ・入力の目的のみのために相互から隔離された複数の導電性ピンと接触した電極のパターン又は隔離された複数の導電性領域である、第1の電極システム及び第2電極システムを含んでなる第1の受動強誘電性記憶要素により実現される。
【0022】
本発明の局面はまた、第1の電極システムが、少なくとも1個の強誘電性要素を含んでなる要素システムにより、第2の電極システムから少なくとも一部は絶縁されており、第1の電極システムが導電性表面又は導電性層であり、前記第2電極システムが、読み出し及び/又はデータ・入力の目的のみのために相互から隔離された複数の導電性ピンと接触する電極のパターン又は複数の隔離された導電性領域であり、そして金属基板の導電性面である前記第1の電極システムを除き、前記システムが、通常の印刷法を使用して印刷可能である、少なくとも1個の受動強誘電性記憶要素及び少なくとも1種の基板を含んでなる、第1の受動記憶デバイスにより実現される(そこで前記基板の少なくとも1種は、前記受動強誘電性記憶要素を備えた少なくとも片面上に少なくとも1種の導電性表面又は表面の層を有し、前記受動強誘電性記憶要素は第1の電極システム及び第2の電極システムを含んでなる)。
【0023】
本発明の局面はまた、基板及び、前記基板の少なくとも片面上の、前記基板の導電性表面又は前記基板上の導電性層、前記導電性表面又は前記導電性層上の、有機強誘電性要素を含んでなる要素システムを含んでなる、前記第1の受動記憶デバイスの第1の前駆体により実現される。
【0024】
本発明の局面はまた、基板及び、前記基板の少なくとも片面上の、前記基板の導電性表
面又は前記基板上の導電性層、前記導電性表面又は前記導電性層上の有機強誘電性要素を含んでなる要素システム及び読み出し及び/又はデータ・入力の目的のみのために相互から隔離された複数の導電性ピンとの接触のために提供された複数の隔離された導電性領域、を含んでなる、前記第1の受動記憶デバイスの第2の前駆体により実現される。
【0025】
本発明の局面は、場合により導電性層を提供し、要素システムを提供し、そして複数の隔離導電性領域を提供する段階の少なくとも1つが通常の印刷法により実現される、少なくとも1種の基板を提供し、基板が非金属である場合は前記基板上に導電性層を実現し、前記導電性表面又は導電性層上に少なくとも1個の強誘電性要素を含んでなる要素システムを実現し、前記要素システム上に電極のパターン又は複数の隔離された導電性領域を提供する段階を含んでなる、第1の電極システムが、少なくとも1個の強誘電性要素を含んでなる要素システムにより第2の電極システムから少なくとも一部は絶縁されており、前記第1の電極システムが導電性表面又は導電性層であり、前記第2の電極システムが読み出し及び/又はデータ・入力の目的のみのために相互から隔離された複数の導電性ピンと接触した電極のパターン又は複数の隔離された導電性領域であり、そして金属基板の導電性表面である前記第1の電極システムを除いて、前記システムが通常の印刷法を使用して印刷可能である、少なくとも1個の受動強誘電性記憶要素及び少なくとも1種の基板を含んでなる第1の受動記憶デバイスを提供する方法により実現される(ここで、前記基板の少なくとも1種は前記受動強誘電性記憶要素を備えた少なくとも片面上に少なくとも1つの導電性表面又は表面層を有し、前記受動強誘電性記憶要素は第1の電極システム及び第2の電極システムを含んでなる)。
【0026】
本発明の局面はまた、第1の電極システムが、少なくとも1個の強誘電性要素を含んでなる要素システムにより第2の電極システムから少なくとも一部は絶縁されており、前記の第1の電極システムが電極のパターンであり、そして前記第2の電極システムが電極のパターンであり、そして前記第1の電極システム、前記第2の電極システム及び前記要素システムがすべて通常の印刷法で印刷可能である、第1の電極システム及び第2電極システムを含んでなる第2の受動強誘電性記憶要素により実現される。
【0027】
本発明の局面はまた、第2の受動記憶デバイスにより実現され、ここで前記の受動記憶デバイスは、少なくとも1種の基板及び、前記の少なくとも1種の基板の少なくとも片面上の受動記憶要素を含んでなり、ここで前記の受動記憶要素は、第1のパターン化電極システム、第2のパターン化電極システム、前記の第1のパターン化電極システムと前記の第2のパターン化電極システムの間に少なくとも1個の強誘電性要素を含んでなる要素システムを含んでなり、そしてそこで前記の第2の電極システムは電極のパターンであり、そしてそこで前記の第1の電極システム、前記の第2の電極システム及び前記の要素システムはすべて、通常の印刷法により印刷可能である。
【0028】
本発明の局面はまた、第1のパターン化電極システムを提供し、有機強誘電性層を提供し、そして第2の電極システムを提供する段階がすべて通常の印刷法で実現される、
基板の非導電性表面上に第1の電極のパターンを実現し、前記の第1の電極のパターン上に前記の要素システムを提供し、そして前記要素システム上に第2の電極のパターンを提供する段階を含んでなる、第2の受動記憶デバイスを提供する方法により実現される(ここで前記受動記憶デバイスは、基板及び、前記の少なくとも1種の基板の少なくとも片面上の受動記憶要素を含んでなり、そこで前記の受動記憶要素は、第1のパターン化電極システム、第2のパターン化電極システム、前記の第1のパターン化電極システムと前記の第2のパターン化電極システム間の少なくとも1個の強誘電性要素を含んでなる要素システムを含んでなる)。
【0029】
本発明の更なる目的及び利点は以下の説明から明白になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
定義
本発明を開示する際に使用される用語「基板(substrate)」は、基板上にコートすることができるがそれ自体は自己支持性(self−supporting)ではない「層」から区別するための「自己支持性(self−substrateing)材料」を意味する。それはまた、基板に適用される層又はパターンへの、例えば、付着を補助するために必要な任意の処理又はそのために適用される層を含む。
【0031】
本発明を開示する際に使用される用語「パターン」は、任意の形態の線、正方形、円又は任意のランダムな形態にあることができる非連続層を意味する。
【0032】
本発明を開示する際に使用される用語「層」は、例えば、基板に言及される品物の全領域を覆う被膜を意味する。
【0033】
本発明を開示する際に使用される用語「印刷可能な」は、通常のインパクト印刷及び/又は非インパクト印刷法により印刷することができることを意味し、そこで導電性表面層が例えば、欧州特許出願第1 054 414号明細書及び国際公開第03/025953号パンフレット中に開示された印刷法中の例えば、酸化又は還元によりパターン化される方法を含むが、通常の電子機器、例えば、ケイ素に基づく電子機器の製造において使用される蒸着、エッチング、拡散法のような方法を除く。
【0034】
本発明を開示する際に使用される用語「印刷法」は非インパクト印刷のみならずインパクト印刷をも同様に意味する。当該用語はそれらに限定はされないが、インクジェット印刷、インタグリオ印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、乾平板印刷、電子写真印刷(electrophotographic printing)、エレクトログラフ印刷、オフセット印刷、スタンプ印刷、グラビア印刷、熱及びレーザー誘導法を含むが更に、欧州特許第1 054 414号明細書及び国際公開第03/025953号パンフレットに開示されたような1回の通過法で導電性層の領域を非導電性にさせる印刷法を含むが、通常の電子機器,例えば、ケイ素に基づく電子機器の製造に使用される蒸着、エッチング、拡散法のような方法を除く。
【0035】
本発明を開示する際に使用される用語「インパクト印刷法」は、その中でプリントが製造される媒質(medium)と、印刷システム、例えば、デイジーホイール、ドットマトリックス及びラインプリンターのような,インクリボンを打つことにより作動する印刷機及び、感熱材がサーマル・ヘッド中の加熱要素との直接的接触により印刷される直接的熱印刷機及び、オフセット、グラビア又はフレキソ印刷のような、所望の画像又は形態に対応する領域上でマスターがインク層で覆われ、その後、インクを媒質に移動させる印刷機、との間に接触が実施される印刷法を意味する。
【0036】
本発明を開示する際に使用される用語「非インパクト印刷法」は、プリントが製造される媒質と、プリントが印刷媒質を打つ必要なく製造される印刷システム、例えば、エレクトグラフ印刷機、電子写真式印刷機、レーザー印刷機、インクジェット印刷機との間に接触が実施されない印刷法を意味する。
【0037】
本発明を開示する際に使用される用語「柔軟な」は、損傷されないで、ドラムのような湾曲物体の湾曲に沿うことができることを意味する。
【0038】
本発明を開示する際に使用される用語「本質的に導電性重合体」は(多)−共役π−電子系(例えば、二重結合、芳香族環又は複素芳香族環又は三重結合)をもちそして、それ
らの導電性が相対湿度のような環境因子により影響されない有機重合体を意味する。
【0039】
本発明を開示する際に使用されるPEDOTはポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を表わす。
【0040】
本発明を開示する際に使用されるPSSはポリ(スチレンスルホン酸)又はポリ(スチレンスルホネート)を表わす。
【0041】
本発明を開示する際に使用されるPANIはポリアニリンを表わす。
【0042】
本発明を開示する際に使用される炭素黒及び炭素は有機の性状と見なされる。
【0043】
本発明を開示する際に使用される用語「ワード線」は、強誘電性重合体層の片面上の実質的に平行線の電極のパターンの線電極を意味する。
【0044】
本発明を開示する際に使用される用語「ビット線」は、ワード線の実質的に平行な線のパターンに実質的に直角な、ビット線の実質的に平行な線のパターンをもつ、ワード線に対して強誘電性重合体層の他方の面上の、実質的に平行な線のパターンの線電極を意味する。
【0045】
本発明を開示する際に使用される用語「受動」はトランジスターのような活動的構成部品の不在を意味する。
【0046】
本発明を開示する際に使用される用語「非揮発性記憶」は記憶含量が動力なしに保持されることを意味する。
【0047】
本発明を開示する際に使用される用語「要素システム」は少なくとも1個の要素を含んでなるシステムを意味する。本発明を開示する際に使用される用語「有機強誘電性要素」は有機強誘電性組成物を有する要素システムの一部を意味する。要素システムの他の部分は読み出し又はデータ・入力条件下でボイドであるか又は強誘電特性をもたない絶縁要素のいずれかであることができる。
【0048】
第1の受動記憶要素−形態
本発明の局面は、第1の電極システムが、少なくとも1個の強誘電性要素を含んでなる要素システムにより第2の電極システムから少なくとも一部は絶縁されており、前記第1の電極システムが導電性表面又は導電性層であり、前記第2の電極システムが読み出し又はデータ・入力の目的のみのための相互から隔離された複数の導電性ピンと接触している電極のパターン又は複数の隔離された導電性領域である、第1の電極システム及び第2の電極システムを含んでなる、第1の受動強誘電性記憶要素により実現される。
【0049】
本発明に従う第1の受動強誘電性記憶要素の第1の態様に従うと、前記第2の電極システムは、読み出し及び/又はデータ・入力デバイスの一部である複数の導電性ピンを含んでなる。
【0050】
本発明に従う第1の受動強誘電性記憶要素の第2の態様に従うと、前記受動記憶要素は有機材料のみを含んでなる。
【0051】
本発明に従う第1の受動強誘電性記憶要素の第3の態様に従うと、前記要素システムは更に、前記第1及び前記第2の電極システム間に接触をもたらすボイドを含んでなる。
【0052】
本発明に従う第1の受動強誘電性記憶要素の第4の態様に従うと、要素システムは更に
強誘電特性をもたない絶縁要素を含んでなる。
【0053】
本発明に従う受動記憶素子を、図1に示した記憶素子のマトリックスアドレス可能なアレー中の記憶デバイスとして使用することができる。このような記憶デバイスは、その両側が電極のパターン2及び4と接触する有機強誘電性層3からなる。両側の電極のパターンは好ましくは、縞状であり、相互に実質的に直角に配向され、それによりワード線及びビット線を表わす。第1の電極線と第2の電極線の間の各交差点は記憶素子5を区画する。この記憶デバイス中にはトランジスターが存在しないので、それを受動的であると呼ぶことができる。
【0054】
図2はそこで要素が基板1、第1の電極のパターン2、連続的有機強誘電性層3及び第2の電極のパターン4を含んでなる、図1に示したデバイスの更なるスキーム図を示す。記憶素子は各電極交差点に形成される。従って記憶素子の選択性はビット線及びワード線を介して適用される電気刺激の規定された(defined)操作枠を使用してアレー全体に基づいて(on an array−wide basis)提供される。
【0055】
本発明に従う第1の受動強誘電性記憶要素の第5の態様に従うと、第2の電極のパターンを第2の基板上に印刷し、次に強誘電性受動記憶要素を形成するために強誘電性重合体層と接触させる。
【0056】
本発明に従う第1の受動強誘電性記憶要素の第6の態様に従うと、記憶要素は、第1の電極からなり、そして要素システムは有機強誘電性層である。電気的アドレス指定は記憶素子の数及び記憶素子アレーの幾何学形態に対応するピンの数をもつ読み出しデバイスを使用することにより達成される。ピンのアレーは第2の電極のパターンに対応する。
【0057】
本発明に従う第1の受動強誘電性記憶要素の第7の態様に従うと、第1又は第2の電極は連続的導電性表面又は導電性層である。
【0058】
第9の態様に従うと、要素は基板、第1の電極のパターン、有機強誘電性層のパターン及び第2の電極のパターンからなる要素システムを含んでなる。強誘電性重合体のパターンは連続層を形成せずに、各電極交差点に位置する強誘電性重合体の領域からなることができる。記憶素子は各電極の交差点に形成される。
【0059】
図3は要素が基板1、第1の電極のパターン2、少なくとも1個の有機強誘電性要素3を含んでなる要素システム及び第2の電極のパターン4を含んでなる第10の態様を示す。強誘電性重合体は、強誘電性重合体が幾つかのしかし全部ではない電極の交差点に位置するパターンとして適用される。強誘電性記憶素子5は、強誘電性重合体がそこに存在する電極の交差点にのみ形成される。残りの電極の交差点は短絡され、従って強誘電性動態を示さないであろう。このように、製造中、情報を記憶デバイス中に恒久的に保存することができる。この情報はこのような装置の偽造又はいたずらに対する安全保証特徴物として使用することができる。
【0060】
図4は第11の態様を示し、ここで要素が基板1、第1の電極のパターン2、有機強誘電性組成物の連続的層又はパターン3、読み出しのための掃引電圧において強誘電特性をもたない絶縁材料のパターン6及び第2の電極のパターン4を含んでなる。隔離材料は前以て設計された電極交差点(図4a)又は強誘電性重合体が存在しない電極交差点(図4b)で強誘電性重合体の上又は下のいずれかに適用することができる。絶縁材料は強誘電性動態を示さないであろうから、情報は製造中、記憶デバイス中に恒久的に保存することができる。絶縁材料は溶媒に基づく、水に基づく又はUV硬化性インクあるいは適当な溶媒中の無機、有機又は重合体材料の溶液であることができる。絶縁材料は読み出し/書き
込み操作のために使用される電圧において、すなわち十分に厚い層に適用される場合には、著しい強誘電性挙動を示さない強誘電性材料であることすらできる。
【0061】
第12の態様に従うと、絶縁システムのサイズ及び/又は層の厚さは、インピーダンスの範囲を与えるため、従って更なるビットレベルを与えるために変動させることができる。パッシブ・マトリックス中の絶縁材料のインピーダンスの変動は、引用により本明細書に取り入れられている例えば、国際公開第99/14,762号パンフレット及び米国特許第6,236,587号明細書に既に記載されている。
【0062】
短絡及び絶縁材料を使用することにより記憶要素中に保存される情報は容易に書き換え可能ではないが、デバイスが製造される瞬間に「書き込まれて」いる。この情報は、例えば、強誘電性重合体及び要素システムが透明である場合は、裸眼に対しては(補助なしで)不可視であり、記憶デバイスを偽造することをより困難にさせることができる。
【0063】
適当な電気回路を提供されると、情報の読み出しは直接の接触、容量性又は誘導的であるかも知れない。強誘導性受動記憶デバイスの容量的読み出しは例えば、引用により本明細書に取り入れられている例えば、米国特許第6,611,448号明細書に記載されている。
【0064】
第1の受動記憶デバイス
本発明の局面は、第1の電極システムが、少なくとも1個の強誘電性要素を含んでなる要素システムにより第2の電極システムから少なくとも一部は絶縁されており、前記第1の電極システムが導電性表面又は導電性層であり、前記第2の電極システムが、読み出し及び/又はデータ・入力の目的のためのみに相互から隔離された複数の導電性ピンと接触した電極のパターン又は複数の絶縁された導電性領域であり、そして金属基板の導電性表面である前記第1の電極システムを除いて、前記システムが通常の印刷法を使用して印刷可能である、少なくとも1個の受動強誘電性記憶要素を含んでなる第1の受動記憶デバイス及び少なくとも1種の基板により実現される(ここで前記の基板の少なくとも1つは前記受動強誘電性記憶要素を備えた少なくとも片面上に少なくとも1種の導電性表面又は表面層を有し、前記受動強誘電性記憶要素は、第1の電極システム及び第2の電極システムを含んでなる)。
【0065】
本発明に従う第1の受動記憶デバイスの第1の態様に従うと、前記要素システムは更に、前記第1及び前記第2の電極システム間に接触をもたらすボイドを含んでなる。
【0066】
本発明に従う第1の受動記憶デバイスの第2の態様に従うと、前記要素システムは更に強誘電特性をもたない絶縁要素を含んでなる。
【0067】
本発明に従う第1の受動記憶デバイスの第3の態様に従うと、前記第1の受動記憶デバイスは金属のケイ素を除外する。
【0068】
本発明に従う第1の受動記憶デバイスの第4の態様に従うと、前記第2の電極システムは第2の基板上の電極のパターンである。
【0069】
本発明に従う第1の受動記憶デバイスの第5の態様に従うと、前記第2の基板上の前記電極のパターンは、少なくとも1個の強誘電性要素を含んでなる前記要素システムに張り合され、それにより2枚の基板間に挟まれたデバイスを形成する。
【0070】
本発明に従う第1の受動記憶デバイスの第6の態様に従うと、前記第2の基板上の前記電極のパターンは、読み出し及び/又はデータ・入力の目的のみのために、前記要素システムと接触される。
【0071】
本発明に従う第1の受動記憶デバイスの第7の態様に従うと、前記第1の受動記憶デバイスは透明である。
【0072】
本発明に従う第1の受動記憶デバイスの第9の態様に従うと、前記受動強誘電性記憶デバイスは、前記電極システムを視覚的に隠蔽するために画像又は均質着色又は不透明層で重ね刷りされる。
【0073】
本発明に従う第1の受動記憶デバイスの第10の態様に従うと、前記電極システムの位置を視覚的に隠蔽するために、着色又は不透明のフォイルを前記受動強誘電性記憶デバイス上に張り合わせる。
【0074】
本発明に従う第1の受動的記憶デバイスの第11の態様に従うと、前記第1及び第2のパターン化電極システムの少なくとも1つは無機導電性媒質又は有機導電性媒質を含んでなる。
【0075】
本発明に従う第1の受動的記憶デバイスの第12の態様に従うと、前記有機導電性媒質は本質的に導電性の有機重合体である。
【0076】
本発明に従う第1の受動的記憶デバイスの第13の態様に従うと、前記本質的に導電性の有機重合体は置換又は未置換ポリチオフェン、置換又は未置換ポリアニリンあるいは置換又は未置換ポリピロールであり、そこで好ましい置換ポリチオフェンはポリ(3,4−ジオキシアルキレンチオフェン)であり、そして特に好ましい置換ポリチオフェンはポリ(3,4−ジオキシエチレンチオフェン)である。
【0077】
電極は導電性又は半導体材料であることができる。導電性及び半導体材料は分散又は溶解されて、例えば、導電性金属(例えば、銀ペースト)、導電性金属の合金、導電性金属酸化物、炭素黒、半導体金属酸化物及び本質的に導電性の有機重合体(例えば、ポリアニリン、PEDOT)を基とするもの、を形成することができる。本質的に導電性の有機重合体を基とした導電性インクが好ましく、PEDOT:PSSを基とするインクは、その可視光の低い吸収により、そしてそれがそれ自体を環境に優しい廃棄物にさせるために特に好ましい。
【0078】
第1の受動記憶デバイスを提供する方法
本発明の局面は、場合により導電性層を提供し、要素システムを提供し、そして複数の隔離された導電性領域を提供する段階の少なくとも1つが、通常の印刷法により実施される、前記の少なくとも1種の基板を提供し、当該基板が非金属である場合は前記基板上に前記の導電性層を実現し、前記導電性表面又は導電性層上に少なくとも1個の強誘電性要素を含んでなる要素システムを実現し、前記要素システム上に電極のパターン又は複数の隔離された導電性領域を提供する段階を含んでなる、前記第1の電極システムが、少なくとも1個の強誘電性要素を含んでなる要素システムにより前記第2の電極システムから少なくとも一部は絶縁されており、前記第1の電極システムが導電性表面又は導電性層であり、前記第2の電極システムが、読み出し及び/又はデータ・入力の目的のみのために、相互から隔離された複数の導電性ピンと接触された電極のパターン又は複数の隔離された導電性領域であり、そして、金属基板の導電性表面である前記第1の電極システムを除いて、前記システムが通常の印刷法を使用して印刷可能である、少なくとも1個の受動強誘電性記憶要素を含んでなる第1の受動記憶デバイス及び少なくとも1種の基板、を提供する方法により実現される(ここで、前記基板の少なくとも1種は、前記受動強誘電性記憶要素を備えた少なくとも片面上に少なくとも1種の導電性表面又は表面層を有し、前記受動強誘電性記憶要素は、第1の電極システム及び第2の電極システムを含んでなる)。
【0079】
本発明に従う第1の受動記憶デバイスを提供する方法の第1の態様に従うと、場合により導電性層を提供し、要素システムを提供し、そして複数の隔離された導電性領域を提供するすべての段階は通常の印刷法により実現される。
【0080】
本発明に従う第1の受動記憶デバイスを提供する方法の第2の態様に従うと、前記の少なくとも1種の通常の印刷法は非インパクト印刷法である。
【0081】
本発明に従う第1の受動記憶デバイスを提供する方法の第3の態様に従うと、前記の少なくとも1つの通常の印刷法はインパクト印刷法である。
【0082】
本発明に従う第1の受動記憶デバイスを提供する方法の第4の態様に従うと、前記の通常の印刷法は、インクジェット印刷、インタグリオ印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、スタンプ印刷、グラビア印刷、電子写真印刷、エレクトログラフ印刷、熱及びレーザー誘導法からなる群から選択される。
【0083】
本発明に従う第1の受動的記憶デバイスを提供する方法の第5の態様に従うと、前記第1及び第2の電極システムは、置換又は未置換ポリチオフェン、置換又は未置換ポリアニリンあるいは置換又は未置換ポリピロールであることができる、本質的に導電性の重合体を含んでなる。特に好ましい置換又は未置換チオフェンは式(I):
【0084】
【化1】
【0085】
[式中、nは1より大きく、R1及びR2はそれぞれ独立に水素又は場合により置換されたC1−4アルキル基を表わすか、あるいは一緒になって、場合により置換されたC1−4アルキレン基又は場合により置換されたシクロアルキレン基、好ましくは、エチレン基、場合によりアルキル−置換されたメチレン基、場合によりC1−12アルキル−もしくはフェニル−置換されたエチレン基、1,3−プロピレン基又は1,2−シクロヘキシレン基を表わす]
により表わされる。
【0086】
本発明に従う第1の受動記憶デバイスを提供する方法の第6の態様に従うと、前記受動記憶デバイスは有機材料のみを含んでなる。
【0087】
本発明に従う第1の受動記憶デバイスを提供する方法の第7の態様に従うと、第1の電極のパターン、要素システム及び第2の電極のパターンはそれぞれ同一でも異なってもよい通常の印刷法により実施される。
【0088】
本発明に従う第1の受動記憶デバイスを提供する方法の第8の態様に従うと、第1の電極のパターン、要素システム及び第2の電極のパターンは同一の通常の印刷法により実施される。
【0089】
本発明に従う第1の受動記憶デバイスを提供する方法の第9の態様に従うと、前記要素システムは更に、前記第1及び前記第2の電極システム間の接触をもたらすボイドを含んでなる。
【0090】
本発明に従う第1の受動記憶デバイスの第10の態様に従うと、前記要素システムは更に、読み出し又はデータ・入力条件下で強誘電特性をもたない絶縁要素を含んでなる。
【0091】
本発明に従う第1の受動記憶デバイスを提供する方法の第11の態様に従うと、強誘電性記憶デバイスの多層は相互の上に印刷することができる。プリントの代わりにリソグラフィーにより作製される積み重ねた重合体層をもつこのようなデバイスは米国特許第2003/0,218,191号明細書にすでに記載され、その全体が引用により本明細書に取り込まれている。
【0092】
高速度で印刷することができるために、すべての印刷されるパターン又は層の乾燥時間はできるだけ短くなければならない。
【0093】
印刷されるパターンの最小ディメンションは、印刷される記事のディメンション及び印刷される記事間の距離両方に関与する、選択される印刷法により決定される。その後に印刷されるパターン又は層の配置の許容範囲もまたこれらのディメンションにより決定され、従って印刷法に依存する。更に、最小の実際的ディメンションは情報の書き込み及び読み出しのための電子的制御単位装置により決定される。情報の書き込み及び読み出しは、記憶デバイス及び記憶素子の駆動及び電気的状態の検出のための適当な電子的制御単位装置を相互に接触させることにより実施することができる。記憶デバイス及び電子的制御単位装置の整列を容易にするために、接触パッドは、電子的制御単位装置に対する記憶デバイスの整列誤差の可能性を最小にするために十分に大きく、そして有意な距離だけ離されている必要がある。
【0094】
第2の受動記憶デバイスを提供する方法
本発明の局面は、第1のパターン化電極システムを提供し、有機強誘電性層を提供し、そして第2の電極システムを提供する段階が、すべて通常の印刷法で実現される、基板の非導電性表面上に第1の電極のパターンを実現し、前記の第1の電極のパターン上に前記の要素システムを提供し、そして前記の要素システム上に第2の電極のパターンを提供する段階を含んでなる、第2の受動記憶デバイスを提供する方法により実現される(ここで前記受動記憶デバイスは基板及び、前記の少なくとも1種の基板の少なくとも片面上の受動記憶要素を含んでなり、前記の受動記憶要素は、第1のパターン化電極システム、第2のパターンをもつ電極システム、前記の第1のパターン化電極システムと前記の第2のパターン化電極システム間の少なくとも1個の強誘電性要素を含んでなる要素システムを含んでなる)。
【0095】
本発明に従う第2の受動記憶デバイスを提供する方法の第1の態様に従うと、前記の第1のパターン化電極システムの前記の提供は1回の通過の印刷段階において、前以てコートした導電性層をパターン化することを含む。好ましい態様において、前記の前以てコートされた導電性層は本質的に導電性の重合体を含んでなる。
【0096】
本発明に従う第2の受動記憶デバイスを提供する方法の第2の態様に従うと、前記第1及び第2の電極システムは、置換又は未置換ポリチオフェン、置換又は未置換ポリアニリンあるいは置換又は未置換ポリピロールであることができる本質的に導電性の重合体を含んでなる。特に好ましい置換又は未置換チオフェンは式(I):
【0097】
【化2】
【0098】
[式中、nは1より大きく、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素又は、場合により置換されたC1−4アルキル基を表わすか、あるいは一緒になって、場合により置換されたC1−4アルキレン基又は場合により置換されたシクロアルキレン基、好ましくは、エチレン基、場合によりアルキル−置換されたメチレン基、場合によりC1−12アルキル−もしくはフェニル−置換されたエチレン基、1,3−プロピレン基又は1,2−シクロヘキシレン基を表わす]
により表わされる。
【0099】
本発明に従う第2の受動記憶デバイスを提供する方法の第3の態様に従うと、前記受動記憶装置は有機材料のみを含んでなる。
【0100】
本発明に従う第2の受動記憶デバイスを提供する方法の第4の態様に従うと、前記の少なくとも1種の通常の印刷法は非インパクト印刷法、例えば、インクジェット印刷、電子写真印刷及びエレクトログラフ印刷である。
【0101】
本発明に従う第2の受動記憶デバイスを提供する方法の第5の態様に従うと、前記の少なくとも1種の通常の印刷法はインパクト印刷法、例えば、オフセット印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷及びスタンプ印刷である。
【0102】
本発明に従う第2の受動記憶デバイスを提供する方法の第6の態様に従うと、少なくとも1種の通常の印刷法は、インクジェット印刷、インタグリオ印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、スタンプ印刷、グラビア印刷、電子写真印刷、エレクトログラフ印刷、熱及びレーザー誘導法からなる群から選択され、そこで導電性表面層が印刷工程中に、例えば酸化又は還元によりパターン化される方法を含む。
【0103】
本発明に従う第2の受動記憶デバイスを提供する方法の第7の態様に従うと、第1の電極のパターン、絶縁システム及び第2の電極のパターンはそれぞれ、同一でも異なってもよい通常の印刷法により実施される。
【0104】
本発明に従う第2の受動記憶デバイスを提供する方法の第8態様に従うと、第1の電極のパターン、絶縁システム及び第2の電極のパターンは同一の通常の印刷法により実施される。
【0105】
本発明に従う第2の受動記憶デバイスを提供する方法の第9の態様に従うと、基板は柔軟な又は硬いプラスチック、ガラス、紙、板、ボール紙又は任意のこれらの材料の複合材料である。
【0106】
本発明に従う第2の受動記憶デバイスを提供する方法の第10の態様に従うと、強誘電性記憶デバイスの多層を相互の上に印刷することができる。印刷の代わりにリソグラフィ
ーにより作製される、積み重ねた重合体層をもつこのようなデバイスは米国特許第2003/0,218,191号明細書にすでに記載され、その全体が引用により本明細書に取り込まれている。
【0107】
本発明に従う第2の受動記憶デバイスを提供する方法の第11の態様に従うと、前記要素システムは更に、前記第1及び第2の電極システム間の接触をもたらすボイドを含んでなる。
【0108】
本発明に従う第2の受動記憶デバイスを提供する方法の第12の態様に従うと、前記要素システムは更に、読み出し又はデータ・入力条件下では強誘電特性をもたない絶縁要素を含んでなる。
【0109】
高速度で印刷することができるために、すべての印刷されるパターン又は層の乾燥時間はできるだけ短くなければならない。
【0110】
印刷されるパターンの最小ディメンションは、印刷される記事のディメンション及び印刷される記事間の距離両方に関与する、選択される印刷法により決定される。その後に印刷されるパターン又は層の配置における許容範囲もまた、これらのディメンションにより決定され、従って印刷法に依存する。更に、最小の実際的ディメンションは情報の書き込み及び読み出しのための電気的制御単位装置により決定される。情報の書き込み及び読み出しは、記憶デバイスと、記憶素子の駆動及び電気的状態の検出のための適当な電子的制御単位装置を相互に接触させることにより実施される。記憶デバイスと電子的制御単位装置の整列を容易にするために、接触パッドは、電子的制御単位装置に対する記憶デバイスの整列誤差の可能性を最小にするために十分に大きく、そして有意な距離だけ離されている必要がある。
【0111】
有機強誘電性組成物
記憶素子中の記憶材料は、例えば、ポリビニリデンフルオリド、ビニリデン・フルオリドの共重合体、特にトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン又は双方とビニリデン・フルオリドの共重合体;奇数のナイロン、奇数のナイロン及びそれらの共重合体;ポリビニリデンシアニド(PVCN)、酢酸ビニルとの共重合体のようなビニリデン・シアニドの共重合体のようなシアノ重合体;ポリ尿素;ポリチオ尿素;並びに強度に分極性の末端基をもつ重合体を含んでなる、有機強誘電性組成物である。材料の最適化は共重合体、三元重合体及び混合物(例えば、ポリメチルメタクリレートPMMAとの)を使用して実施することができる。好ましい態様において、有機強誘電性組成物は50重量%のg−エラストマー及び50重量%の圧電性ポリ(ビニリデンフルオリド−トリフルオロエチレン)からなる混合物である。
【0112】
特に好ましい有機強誘電性組成物は、強誘電性重合体の総重量に基づいて10〜100モル%のビニリデン・フルオリドを含むビニリデン・フルオリドの共重合体を含んでなる。この範囲内で少なくとも50モル%のビニリデン・フルオリド濃度が好ましく、少なくとも70モル%の濃度が特に好ましい。トリフルオロエチレンは好ましくは、90モル%までの総強誘電性重合体を含んでなる。この範囲内で、少なくとも10モル%のトリフルオロエチレン濃度が好ましく、少なくとも29モル%の濃度が特に好ましい。ヘキサフルオロプロピレンは好ましくは、強誘電性重合体の総重量の50モル%までを含んでなる。少なくとも10モル%のヘキサフルオロエチレン濃度を使用することができ、少なくとも15モル%が特に好ましい。強誘電性重合体は5,000〜250,000の範囲内の分子量をもち、少なくとも20,000の分子量が好ましく、そして少なくとも30,000が特に好ましく、80,000を超えない分子量が好ましく、60,000を超えない分子量が特に好ましい。
【0113】
ビニリデン・フルオリド及びトリフルオロエチレンの共重合体を含んでなる有機強誘電性層の使用の場合に、有機強誘電性層は好ましくは、約140℃の温度で焼き戻されて、その強誘電特性を最適にする。
【0114】
有機強誘電性層は好ましくは、1μm以下の層の厚さを有する。
【0115】
導電性スクリーン印刷用インク
国際公開第02/079316号パンフレットは、そこで2個のアルコキシ基が同一であるか又は異なるか又は一緒に、場合により置換されたオキシ−アルキレン−オキシ橋を表わすことができる3,4−ジアルコキシチオフェンの重合体又は共重合体、ポリアニオン並びに非ニュートン結合剤を含む水性組成物、場合により下塗りした基板、誘電体層、リン層又は場合により透明な導電性被膜に対して前記の水性組成物を適用し、そしてそれにより適用された水性組成物を乾燥することを含んでなる導電性層の製法、導電性層を作製するための前記の方法に従って作製された静電気防止及び導電性被膜、前記の水性組成物を含んでなる印刷インク又はペースト、並びに前記の印刷インクを提供し、場合により下塗りした基板、誘電体層、リン層又は場合により透明な導電性被膜上に印刷インクを印刷することを含んでなる印刷法を開示している。国際公開第02/079316号パンフレットに開示されたスクリーン印刷インク調製物は明確に本明細書に引用により取り入れられている。
【0116】
国際公開第03/048228号パンフレットは、以下の順序でi)(3,4−ジアルコキシチオフェン)の重合体又は共重合体の水性分散物及びポリアニオンと、非水性溶媒のうちの少なくとも1種を混合し、そしてii)その中の水分含量が少なくとも65重量%だけ減少されるまで、段階i)で調製された混合物から水分を蒸発させる段階を含んでなる、そこで2個のアルコキシ基が同一であるか又は異なり、又は一緒に、場合により置換されたオキシ−アルキレン−オキシ橋を表わすことができる0.08〜3.0重量%の間の3,4−ジアルコキシチオフェンの重合体又は共重合体、ポリアニオン及び、少なくとも1種非水性溶媒、を含有する組成物を、酸素の実質的な不存在下において調製される、(3,4−ジアルコキシチオフェン)の重合体又は共重合体及びポリアニオンの水中分散物から調製する方法;前記の方法に従って調製された一定の透明性における高められた伝導度をもつ層を生成することができる、印刷インク、印刷ペースト又はコート組成物;それにより一定の透明性において高められた伝導度をもつ層を生成する、コート組成物によるコート法、並びにそれにより一定の透明性において高められた伝導度をもつ層を生成する印刷インク又はペーストによる印刷法、を開示している。国際公開第03/048228号パンフレットに開示されたスクリーン印刷インクの調製物は引用により本明細書に明確に取り入れられている。
【0117】
国際公開第03/048229号パンフレットは、(3,4−ジアルコキシチオフェン)の重合体又は共重合体及びポリアニオン、の水中分散物から、以下の順序で、i)(3,4−ジアルコキシチオフェン)の重合体又は共重合体の水性分散物及びポリアニオンと少なくとも1種の非水性溶媒を混合し、そしてii)その中の水分含量が少なくとも65重量%だけ減少されるまで、段階i)で調製された混合物から水分を蒸発させる段階を含んでなる、そこで2個のアルコキシ基が同一であるか又は異なり、又は一緒に、場合により、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、カルボキシ、アルキルスルホナート、アルキルオキシアルキルスルホナート及びカルボキシエステル基からなる群から選択される置換基で場合により置換されたオキシ−アルキレン−オキシ橋を表わすことができる0.08〜3.0重量%の間の3,4−ジアルコキシチオフェンの重合体又は共重合体、ポリアニオン及び少なくとも1種のポリヒドロキシの非水性溶媒を含有する組成物を調製する方法、前記の方法に従って調製される一定の表面抵抗において高められた透明性をもつ層を生成することができる印刷インク、印刷ペースト又はコート組成物、それにより一定の表面抵抗において高められた透明性をもつ層を生成する、コート組成物によるコート法、並びにそれにより一定の表面抵抗において高められた透明性をもつ層を生成する印刷インク又はペーストによる印刷法、を開示している。国際公開第03/048229号パンフレットに開示されたスクリーン印刷のインク調製物は特に引用により本明細書に取り入れられている。
【0118】
導電性フレキソ印刷インク
国際公開第03/000765号パンフレットは、3,4−ジアルコキシチオフェンの重合体又は共重合体がインク中に少なくとも0.1重量%の濃度で存在し、そしてインクが比色分析で付加的な透明なプリントを形成することができることを特徴とする、溶媒又は水性媒質中に、そこで2個のアルコキシ基が同一であるか又は異なり、又は一緒に、場合により置換されたオキシ−アルキレン−オキシ橋を表わすことができる3,4−ジアルコキシチオフェンの重合体又は共重合体、ポリアニオン及びラテックス結合剤を含有する、フレキソ印刷のインクを含む非染料、フレキソイ印刷インクの調製法並びにそれによるフレキソ印刷法、を開示している。国際公開第03/000765号パンフレットに開示されたフレキソ印刷インク調製物は特に引用により本明細書中に取り入れられている。
【0119】
導電性インクジェット印刷インク
インクジェット印刷に適する、溶媒又は水性溶媒中の、そこで2個のアルコキシ基が同一であるか又は異なり、あるいは一緒に、場合により置換されたオキシ−アルキレン−オキシ橋を表わすことができる3,4−ジアルコキシチオフェンの重合体又は共重合体、ポリアニオン及び高沸点の液体を含む調製物を調製することができる。ジェット温度においてUniversal Print Head(AGFA−GEVAERTから)に対して好ましくは、3〜15mPa.sの範囲内にある粘度のような重要な特性は、導電性重合体の濃度及び高沸点の液体の量及びタイプを変更することにより調整することができる。1.2%のPEDOT:PSS溶液は約30mPa.sそして0.6%の濃度で約10mPa.sの粘度を有する。
【0120】
表面張力は好ましくは、Universal Print Headに対する噴出条件下で28〜36mN/mの範囲内にあり、そして適当なアニオン、カチオン又は非イオン界面活性剤又は溶媒、例えば、アルコールを添加することにより調整することができる。界面活性剤はまた、噴出性能、基板上でのインクの湿潤性及び印刷された層のUV−安定性に影響を与えることができる。例えば、5〜20重量%の高沸点液の添加は乾燥後の印刷された層の導電性を改善し、有用な高沸点液はエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、N−メチルピロリドン及び2−ピロリドンを含む。高沸点液の選択はまた、乾燥時間、最低乾燥温度、噴出性能、湿潤化特性、粘度及び表面張力に影響を有する。場合により、ジメチルエタノールアミン、トリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミンのような揮発性塩基をインクジェット印刷溶液を中和するために添加して印刷ヘッドの腐蝕を防止することができる。
【0121】
工業的用途
本発明に従う受動記憶デバイスは例えば、切符、ラベル、タグ、ID−カード、銀行カード、法律文書、紙幣中への安全保証及び偽造防止の用途に使用することができ、そして更に包装物中に取り入れることができる。
【0122】
本発明は比較例及び本発明の実施例により以下に具体的に示される。これらの実施例中に与えられる百分率及び比率は別記されない限り、重量に基づく。
【0123】
本発明の実施例の要素中に使用される非商業的被膜中に使用される成分:
【0124】
【表1】
【0125】
使用されたインク組成物:
本発明の実施例を準備する際に使用されたフレキソ印刷及びインクジェットのインクの組成物は以下の表1、2及び3にそれぞれ要約される。
【0126】
【表2】
【0127】
【表3】
【0128】
【表4】
【実施例】
【0129】
第1の電極、第2の電極及び強誘電性層を以下の印刷法を使用して作製した。
【表5】
【0130】
[実施例1]1枚の基板上に全面フレキソ印刷された記憶要素
印刷法2を使用して、25mmの長さ及び1mm幅をもつ線を有するPEDOT/PSS−電極のパターンで第1のPET−基板を最初に印刷することにより本発明の実施例1の受動記憶要素を製造した。次に強誘電性共重合体1の溶液Bを印刷法4Bを使用して第1の電極に3回適用し、140℃で35分間アニールした。
【0131】
ThermoKett 2000(Akzo Nobelからの水に基づく炭素フレキソ印刷インク)を強誘電性層の上部に手で適用し、140℃で3分間乾燥すると、印刷法7に従う第2の電極のパターンを提供し、2mm幅の線を形成した。
【0132】
強誘電性測定をSawyer−Tower回路[Sawyer C.B.,Tower,C.H.,Phys.Rev.,35,(1930),pp.269−273]を使用し、1μFの静電容量を有する対照コンデンサーにより、本発明の実施例1の受動記憶要素上で実施した。電気信号はWavetek 5MHz関数発生器(function genrator)モデルFG−5000Aにより発信され、Powertek Laboratory Power Amplifier LPA400により増幅された。結果はTektronix 2445A 150MHzのオッシロスコープで観察された。図5は50Hz及び160Vの掃引電圧、すなわち−80V〜+80Vで記録された典型的オッシロスコープ曲線を示し、9μC/cm2の残留分極(remanent polarization)に対応する180mVのポテンシャルを示す。
【0133】
受動記憶要素は共重合体1のタイプの強誘電性重合体に典型的な残留分極を示し(例えば、Applied Physics Letters,85巻,2032−2034ページ(2004)中のR.C.G.Naber等参照)、従ってこの受動記憶要素は受動記憶要素として働くことができる。
【0134】
[実施例2〜4]2部の全面フレキソ印刷された記憶要素
印刷法2を使用して、長さ25mm及び幅1mmの線を有するPEDOT/PSS電極のパターンで第1のPET−基板を最初に印刷することにより、本発明の実施例2〜4の受動記憶要素を製造した。次に強誘電性共重合体1の溶液A、B及びCを、本発明の実施例2、3及び4それぞれの受動記憶要素に対して、それぞれ印刷法4A、4B及び4Cを使用して第1の電極に適用し、層を140℃で35分間アニールした。
【0135】
次に、印刷法2を使用して、25mmの長さ及び1mmの幅の線を有するPEDOT/PSS−電極のパターンで第2の下塗りしたPET−基板を印刷することにより、第2の電極のパターンを製造した。
【0136】
室温で一緒に圧縮することにより、第1の基板上に印刷された強誘電性重合体層を第2の電極のパターンと密接に接触させることにより最終デバイスを製造した。
【0137】
強誘電性測定を、本発明の実施例1の受動記憶要素について説明されたように、本発明の実施例2、3及び4それぞれの受動記憶要素上で実施した。残留分極を1μFのコンデンサー上のポテンシャルから計算し、そしてポテンシャルと一緒に掃引電圧及び周波数及びそれらから計算された残留分極を以下の表4に要約する。
【0138】
【表6】
【0139】
本発明の実施例2、3及び4の受動記憶要素は共重合体1のタイプの強誘電性重合体に典型的な残留分極を示し(例えば、Applied Physics Letters,85巻,2032−2034ページ(2004)中のR.C.G.Naber等参照)、従ってこれらの受動記憶要素は受動記憶要素として働くことができる。
【0140】
[実施例5]2部のインクジェット−フレキソ−インクジェット印刷された記憶要素
本発明の実施例5の受動記憶要素を印刷法3(インクジェット)を使用して、長さ25mm及び幅1mmの線を有するPEDOT/PSS−電極のパターンで第1のPET−基板を最初に印刷することにより製造した。次に強誘電性共重合体1の溶液Aを印刷法4Aを使用して第1電極に適用し、層を140℃で35分間アニールした。
【0141】
次に第2電極のパターンを印刷法3(インクジェット)を使用して25mmの長さ及び1mm幅の線を有するPEDOT/PSS−電極のパターンで第2の下塗りしたPET−基板を印刷することにより製造した。
【0142】
室温で一緒に圧縮することにより、第1の基板上に印刷された強誘電性重合体層を第2の電極のパターンと密接に接触させることにより最終デバイスを製造した。
【0143】
強誘電性測定を、本発明の実施例1の受動記憶要素について説明されたように、本発明の実施例5の受動記憶要素上で実施した。残留分極を1μFのコンデンサー上のポテンシャルから計算し、そしてポテンシャルと一緒に掃引電圧及び周波数及びそれらから計算された残留分極を以下の表5に要約する。
【0144】
【表7】
【0145】
本発明の実施例5の受動記憶要素は共重合体1のタイプの強誘電性重合体に典型的な残留分極を示し(例えば、Applied Physics Letters,85巻,2032−2034ページ(2004)中のR.C.G.Naber等参照)、従ってこの受動記憶要素は受動記憶要素として働くことができる。
【0146】
[実施例6及び7]2部のインクジェット−フレキソ−フレキソ印刷された記憶要素
本発明の実施例6及び7の受動記憶要素を、印刷法3(インクジェット)を使用して、長さ25mm及び幅1mmの線を有するPEDOT/PSS−電極のパターンで第1のP
ET−基板を最初に印刷することにより製造した。次に強誘電性共重合体1の溶液A及びBを本発明の実施例6及び7それぞれの受動記憶要素に付き印刷法4A及び4Bそれぞれを使用して第1電極に適用し、層を140℃で35分間アニールした。
【0147】
次に第2電極のパターンを印刷法2(フレキソ印刷)を使用して25mmの長さ及び1mm幅の線を有するPEDOT/PSS−電極のパターンで第2の下塗りしたPET−基板を印刷することにより製造した。
【0148】
室温で一緒に圧縮することにより、第1の基板上に印刷された強誘電性重合体層を第2の電極のパターンと密接に接触させることにより最終デバイスを製造した。
【0149】
強誘電性測定を、本発明の実施例1の受動記憶要素について説明されたように、本発明の実施例6及び7の受動記憶要素上で実施した。残留分極を1μFのコンデンサー上のポテンシャルから計算し、そしてポテンシャルと一緒に掃引電圧及び周波数及びそれらから計算された残留分極を以下の表6に要約する。
【0150】
【表8】
【0151】
図6は50Hz及び80ボルトで記録された本発明の実施例7の受動記憶要素の典型的な測定値を示し、4.0μC/cm2の残留分極に対応する40mVのポテンシャルを示す。
【0152】
本発明の実施例6及び7の受動記憶要素は共重合体1のタイプの強誘電性重合体に典型的な残留分極を示し(例えば、Applied Physics Letters,85巻,2032−2034ページ(2004)中のR.C.G.Naber等参照)、従ってこれらの受動記憶要素は受動記憶要素として働くことができる。
【0153】
[実施例8]2部のインクジェット−フレキソ−スクリーン印刷された要素
本発明の実施例8の受動記憶要素を、印刷法3を使用して、長さ25mm及び幅1mmの線を有するPEDOT/PSS−電極のパターンで第1のPET−基板を最初に印刷することにより製造した。次に強誘電性共重合体1の溶液Aを印刷法4Bを使用して第1電極に適用し、層を140℃で35分間アニールした。
【0154】
次に第2電極のパターンを、印刷法1を使用して25mmの長さ及び1mm幅の線を有するPEDOT/PSS−電極のパターンで第2の下塗りしたPET−基板を印刷することにより製造した。
【0155】
室温で一緒に圧縮することにより、第1の基板上に印刷された強誘電性重合体層を第2の電極のパターンと密接に接触させることにより最終デバイスを製造した。
【0156】
強誘電性測定を、本発明の実施例1の受動記憶要素について説明されたように実施した。50Hz及び80Vの掃引電圧、すなわち−40V〜+40Vにおいて記録された典型的なオッシロスコープ曲線は3.5μC/cm2の残留分極に対応する35mVのポテンシャルを示し、それは共重合体1のタイプの強誘電性重合体1に典型的であり、従ってこの受動記憶要素は受動記憶要素として働くことができる。
【0157】
[実施例9]2部のフレキソ−フレキソ−インクジェット印刷された要素
本発明の実施例9の受動記憶要素を、印刷法2(フレキソ印刷)を使用して長さ25mm及び幅1mmの線を有するPEDOT/PSS−電極のパターンで第1のPET−基板を最初に印刷することにより製造した。次に強誘電性共重合体1の溶液Cを印刷法4Cを使用して第1電極に適用し、140℃で35分間アニールした。
【0158】
次に第2の電極のパターンを、印刷法3(インクジェット)を使用して25mmの長さ及び1mm幅の線を有するPEDOT/PSS−電極のパターンで第2の下塗りしたPET−基板を印刷することにより製造した。
【0159】
室温で一緒に圧縮することにより、第1の基板上に印刷された強誘電性重合体層を第2の電極のパターンと密接に接触させることにより最終デバイスを製造した。
【0160】
強誘電性測定を、本発明の実施例1の受動記憶要素について説明されたように実施した。20Hz及び70Vの掃引電圧、すなわち−35V〜+35Vにおいて記録された典型的なオッシロスコープ曲線は10.0μC/cm2の残留分極に対応する100mVのポテンシャルを示し、それは共重合体1のタイプの強誘電性重合体に典型的であり、従ってこの受動記憶要素は受動記憶要素として働くことができる。
【0161】
[実施例10及び11]交互の第2電極をもつ2部のフレキソ−フレキソ印刷された記憶要素
本発明の実施例10及び11の受動記憶要素を、印刷法2(フレキソ印刷)を使用して、長さ25mm及び幅1mmの線を有するPEDOT/PSS−電極のパターンで第1のPET−基板を最初に印刷することにより製造した。次に強誘電性共重合体1の溶液A、溶液B及び溶液Cを受動記憶要素に対してそれぞれ印刷法4A、4B及び4Cを使用して、第1の電極に、本発明の実施例10及び11、12及び13それぞれの受動記憶要素に、以下の表7中に与えた層の数で適用し、層を140℃で35分間アニールした。
【0162】
3種の異なるタイプの上部電極:a)印刷法5(フレキソ印刷)を使用してThermoKett 2000(Akzo Nobelからの水を基とする炭素フレキソ印刷インク)、b)印刷法6(スクリーンプリント)を使用してLuxprint 7145L(Dupontからのスクリーン印刷用銀ペースト)及びc)印刷法10を使用してPANIPOL(R)Wを、第2の下塗りしたPET−基板に適用し、1mm幅の線を与えた。
【0163】
室温で一緒に圧縮することにより、第1の基板上に印刷された強誘電性重合体層をそれぞれの「第2の」基板上の第2の電極のパターンと密接に接触させることにより最終デバイスを製造して、本発明の実施例10及び11それぞれの受動記憶要素を製造した。
【0164】
強誘電性測定を、本発明の実施例1の受動記憶要素について説明されたように実施した。残留分極を1μFのコンデンサー上のポテンシャルから計算し、そしてポテンシャルと一緒に掃引電圧及び周波数及びそれらから計算された残留分極を以下の表7に要約する。
【0165】
【表9】
【0166】
図7は50Hz及び160ボルトで記録された本発明の実施例10の受動記憶要素の典型的なオシロスコープ曲線を示し、1.0μC/cm2の残留分極に対応する20mVのポテンシャルを示す。
【0167】
本発明の実施例10及び11の受動記憶要素は共重合体1のタイプの強誘電性重合体に典型的な残留分極を示し(例えば、Applied Physics Letters,85巻,2032−2034ページ(2004)中のR.C.G.Naber等参照)、従ってこれらの受動記憶要素は受動記憶要素として働くことができる。
【0168】
[実施例14〜16]単一基板上に交互の第2電極をもつフレキソ−フレキソ−印刷された記憶要素
本発明の実施例12〜16の受動記憶要素を、印刷法2(フレキソ印刷)を使用して長さ25mm及び幅1mmの線を有するPEDOT/PSS−電極のパターンで第1のPET−基板を最初に印刷することにより製造した。次に強誘電性共重合体1の溶液Bを、印刷法4Bを使用して、以下の表8中に与えた回数だけ第1電極に適用し、層を140℃で35分間アニールした。
【0169】
4種の異なるタイプの上部電極:a)印刷法7を使用してThermoKett 2000(Akzo Nobelからの水を基とする炭素フレキソ印刷用インク)(幅2mmの線を提供)、b)印刷法8を使用してLuxprint 7145L(Dupontからのスクリーン印刷用銀ペースト)(幅3mmの線を提供)、及びc)印刷法9を使用してZONYL(R)FSO100及びグリシドオキシプロピルトリメトキシシランを含有するPEDOT/PSS分散物(幅5mmの線を提供)を、強誘電性層に手で適用し、それにより本発明の実施例12〜16の受動記憶要素を製造した。
【0170】
強誘電性測定を、本発明の実施例1の受動記憶要素について説明されたように実施した。残留分極を1μFのコンデンサー上のポテンシャルから計算し、そしてポテンシャルと一緒に掃引電圧及び周波数及びそれらから計算された残留分極を以下の表8に要約する。
【0171】
【表10】
【0172】
本発明の実施例14及び16の受動記憶要素は共重合体1のタイプの強誘電性重合体に典型的な残留分極を示し(例えば、Applied Physics Letters,85巻,2032−2034ページ(2004)中のR.C.G.Naber等参照)、従ってこの受動記憶要素は受動記憶要素として働くことができる。
【0173】
[実施例17及び18]スクリーン−フレキソ−スクリーン印刷された記憶要素
本発明の実施例17の受動記憶要素を、印刷法1(スクリーン印刷)を使用して、長さ25mm及び幅1mmの線を有するPEDOT/PSS−電極のパターンで第1の下塗りしたPET−基板を最初に印刷することにより製造した。次に強誘電性共重合体1の溶液A及びBを、本発明の実施例17及び18の受動記憶要素それぞれに対して印刷法4A及び4Bをそれぞれ使用して第1電極に適用し、層を140℃で35分間アニールした。
【0174】
次に第2の電極のパターンを、第1の電極について記載されたように第2の下塗りしたPET−基板上に製造した。
【0175】
室温で一緒に圧縮することにより、第1の基板上に印刷された強誘電性重合体層を第2の電極のパターンと密接に接触させることにより最終デバイスを製造した。
【0176】
強誘電性測定を、本発明の実施例1の受動記憶要素について説明されたように実施した。残留分極を1μFコンデンサー上のポテンシャルから計算し、そしてポテンシャルと一緒に掃引電圧及び周波数及びそれらから計算された残留分極を以下の表9に要約する。
【0177】
【表11】
【0178】
図8は50Hz及び130ボルトで記録された本発明の実施例17の受動記憶要素の典型的なオシロスコープ曲線を示し、6.0μC/cm2の残留分極に対応する60mVのポテンシャルを示す。
【0179】
本発明の実施例17及び18の受動記憶要素は共重合体1のタイプの強誘電性重合体に典型的な残留分極を示し(例えば、Applied Physics Letters,85巻,2032−2034ページ(2004)中のR.C.G.Naber等参照)、従ってこの受動記憶要素は受動記憶要素として働くことができる。
【0180】
[実施例19及び20]2部の要素における強誘電性層の厚さの効果
本発明の実施例19及び20の受動記憶要素を、印刷法2(フレキソ印刷)を使用して長さ25mm及び幅1mmの線を有するPEDOT/PSS−電極のパターンで第1の下塗りしたPET−基板を最初に印刷することにより製造した。2種の試料を作製し、本発明の実施例19の受動記憶要素の場合には、強誘電性共重合体1の溶液Cを使用して強誘電性層をフレキソ印刷し、そして本発明の実施例20の受動記憶要素の場合には強誘電性共重合体1の溶液Bを使用して相互の上に2層を印刷した。受動記憶要素19及び20の強誘電性層を140℃で35分間アニールした。
【0181】
次に第2のPEDOT/PSS電極のパターンを、印刷法1を使用することにより第2
の下塗りしたPET−基板上に製造した。
【0182】
室温で一緒に圧縮することにより、第1の基板上に印刷された強誘電性重合体層を第2の電極のパターンと密接に接触させることにより最終デバイスを製造した。
【0183】
強誘電性測定を、本発明の実施例1の受動記憶要素について説明されたように実施した。残留分極を1μFコンデンサー上のポテンシャルから計算し、そしてポテンシャルと一緒に掃引電圧及び周波数及びそれらから計算された残留分極を以下の表10に要約する。
【0184】
【表12】
【0185】
強誘電性層の厚さを厚くすることにより、記憶素子は使用される読み出し電圧において著しく低い活性にさせることができ、従って記憶デバイス中に更なる書き換え不能な情報を保存する可能性を開く。
【0186】
[実施例15及び21]2部の要素における強誘電性層の厚さの効果
本発明の実施例15及び21の受動記憶要素を、印刷法2(フレキソ印刷)を使用して長さ25mm及び幅1mmの線を有するPEDOT/PSS−電極のパターンで第1の下塗りしたPET−基板を最初に印刷することにより製造した。2種の試料を製造し、本発明の実施例15の受動記憶要素の場合には、強誘電性共重合体1の溶液Bを使用して強誘電性層をフレキソ印刷し、そして本発明の実施例21の受動記憶要素の場合には、強誘電性共重合体1の溶液Bを使用して、相互の上に2層を印刷した。受動記憶要素19及び20の強誘電性層を140℃で35分間アニールした。
【0187】
次に第2のPEDOT/PSS電極のパターンを、第2の下塗りしたPET−基板にPANIの電極のパターンを手で適用することにより製造した。
【0188】
室温で一緒に圧縮することにより、第1の基板上に印刷された強誘電性重合体層を第2の基板上の第2の電極のパターンと密接に接触させることにより最終デバイスを製造した。
【0189】
強誘電性測定を、本発明の実施例1の受動記憶要素について説明されたように実施した。残留分極を1μFコンデンサー上のポテンシャルから計算し、そしてポテンシャルと一緒に掃引電圧及び周波数及びそれらから計算された残留分極を以下の表11に要約する。
【0190】
【表13】
【0191】
強誘電性層の厚さを厚くすることにより、記憶素子は使用される読み出し電圧において、著しく、より不活性にさせることができ、従って記憶デバイス中に更なる書き換え不能な情報を保存する可能性を開く。
【0192】
[実施例22〜24]2部の記憶要素における掃引電圧に対する残留分極の依存性
本発明の実施例22〜24の受動記憶要素を、印刷法2(フレキソ印刷)を使用して、長さ25mm及び幅1mmの線を有するPEDOT/PSS−電極のパターンで第1のPET−基板を最初に印刷することにより製造した。次に強誘電性共重合体1の溶液Cを、印刷法4Cを使用して第1電極に適用し、層を140℃で35分間アニールした。
【0193】
次に第2の電極のパターンを、印刷法1(スクリーン印刷)を使用して長さ25mm及び幅1mmの線を有するPEDOT/PSS電極のパターンで第2の下塗りしたPET−基板を印刷することにより製造した。
【0194】
室温で一緒に圧縮することにより、第1の基板上に印刷された強誘電性重合体層を第2の電極のパターンと密接に接触させることにより最終デバイスを製造した。
【0195】
強誘電性測定を、本発明の実施例1の受動記憶要素について説明されたように本発明の実施例22〜24の受動記憶要素につき実施した。残留分極を1μFコンデンサー上のポテンシャルから計算し、そしてポテンシャルと一緒に掃引電圧及び周波数及びそれらから計算された残留分極を以下の表12に要約する。
【0196】
【表14】
【0197】
これらのデバイスの残留分極は掃引電圧増加とともに有意に増加した。
【0198】
[本発明の実施例25〜29]2部の記憶要素における掃引電圧に対する残留分極の依存性
本発明の実施例25〜29の受動記憶要素を、印刷法2(フレキソ印刷)を使用して長さ25mm及び幅1mmの線を有するPEDOT/PSS−電極のパターンで第1のPET−基板を最初に印刷することにより製造した。次に強誘電性共重合体1の溶液Bを、印刷法4Bを使用して第1電極に適用し、層を140℃で35分間アニールした(より短時間でも可能であるかも知れない)。
【0199】
次に第2の電極のパターンを、印刷法2(フレキソ印刷)を使用して長さ25mm及び幅1mmの線を有するPEDOT/PSS電極のパターンで第2の下塗りしたPET−基板を印刷することにより製造した。
【0200】
室温で一緒に圧縮することにより、第1の基板上に印刷された強誘電性重合体層を第2の電極のパターンと密接に接触させることにより最終デバイスを製造した。
【0201】
強誘電性測定を、本発明の実施例1の受動記憶要素について説明されたように本発明の実施例25〜29の受動記憶要素につき実施した。残留分極を1μFコンデンサー上のポテンシャルから計算し、そしてポテンシャルと一緒に掃引電圧及び周波数及びそれらから計算された残留分極を以下の表13に要約する。
【0202】
【表15】
【0203】
図9は50Hz及び80ボルトで記録された本発明の実施例27の受動記憶要素の典型的なオッシロスコープ曲線を示し、2.3μC/cm2の残留分極に対応する23mVのポテンシャルを示す。
【0204】
これらのデバイスの残留分極は掃引電圧増加とともに有意に増加した。
[実施例30]
【0205】
本発明の実施例30の受動記憶要素を、印刷法1(スクリーン印刷)を使用して長さ25mm及び幅1mmの線を有するPEDOT/PSS−電極のパターンで第1のPET−基板を最初に印刷することにより製造した。強誘電性層の代わりに絶縁材料(ProellからのNoripet 093 Clear)をメッシュ62スクリーンをとおすスクリーン印刷により第1の電極のパターン上に適用し、130℃で3分間乾燥した。
【0206】
次に第2の電極のパターンを、印刷法1(スクリーン印刷)を使用して長さ25mm及び幅1mmの線を有するPEDOT/PSS−電極のパターンで第2の下塗りしたPET−基板を印刷することにより製造した。
【0207】
室温で一緒に圧縮することにより、第1の基板上に印刷された絶縁層を第2の電極のパターンと密接に接触させることにより最終デバイスを製造した。
【0208】
強誘電性測定を、本発明の実施例1の受動記憶要素について説明されたように実施した。図10はヒステリシス・ループを示さない、50Hz及び70Vの掃引電圧、すなわち−35V〜+35Vにおいて記録された典型的なオッシロスコープ曲線を示す。強誘電性重合体の代わりに絶縁材料を使用することにより、記憶素子は使用される出力電圧において不活性化させることができ、従って記憶デバイス中に更なる書き換え不能な情報を保存することができる。
【0209】
本発明は、それが現在請求される発明に関するか否かに拘わらず、暗黙に又は明白に本明細書に開示されたあらゆる特徴物又は特徴物の組み合わせ物あるいはそれらの任意の総括を含むことができる。以上の説明を考慮すると、様々な修飾物が本発明の範囲内で作製され得ることは当業者に明白であろう。
【図面の簡単な説明】
【0210】
【図1】本発明に従う受動電極マトリックスを伴なう記憶デバイスの概括的態様のスキームによる平面図である。
【図2】図1に示した受動電極記憶デバイスを伴なう記憶デバイスの概括的態様の断面図である。
【図3】本発明に従う受動マトリックス記憶デバイスの第10の態様の断面図である。
【図4A−B】本発明に従う受動マトリックス記憶デバイスの第11の態様の2つの断面図である。
【図5】y−軸として1μFのコンデンサー上の電圧及びx−軸として掃引電圧を伴なう、フレキソ印刷により適用されたPEDOT/PSS第1電極、溶液Bとともにフレキソ印刷により適用された強誘電性層及び、手動で適用される炭素の第2の電極をもつ、本発明の実施例1の受動記憶要素の典型的なオッシロスコープ曲線である。
【図6】y−軸として1μFのコンデンサー上の電圧及びx−軸として掃引電圧を伴なう、インクジェット印刷により適用されたPEDOT/PSSの第1の電極、溶液Bとともにフレキソ印刷により適用された強誘電性層及び、フレキソ印刷により適用されたPEDOT/PSSの第2の電極をもつ、本発明の実施例7の受動記憶要素の典型的なオッシロスコープ曲線である。
【図7】y−軸として1μFのコンデンサー上の電圧及びx−軸として掃引電圧を伴なう、フレキソ印刷により適用されたPEDOT/PSS第1電極、溶液Aとともにフレキソ印刷により2回適用された強誘電性層及び、これもフレキソ印刷により適用された炭素の第2の電極をもつ、本発明の実施例10の受動記憶要素の典型的なオッシロスコープ曲線である。
【図8】y−軸として1μFのコンデンサー上の電圧及びx−軸として掃引電圧を伴なう、スクリーン印刷により適用されたPEDOT/PSS第1電極、溶液Aとともにフレキソ印刷により適用された強誘電性層及び、スクリーン印刷により適用されたPEDOT/PSS第2の電極をもつ、本発明の実施例17の受動記憶要素の典型的なオッシロスコープ曲線である。
【図9】y−軸として1μFのコンデンサー上の電圧及びx−軸として掃引電圧を伴なう、フレキソ印刷により適用されたPEDOT/PSS第1電極、溶液Bとともにフレキソ印刷により適用された強誘電性層及び、これもフレキソ印刷により適用されたPEDOT/PSSの第2の電極をもつ、本発明の実施例27の受動記憶要素の典型的なオッシロスコープ曲線である。
【図10】y−軸として1μFのコンデンサー上の電圧及びx−軸として掃引電圧を伴なう、スクリーン印刷により適用されたPEDOT/PSS第1電極、スクリーン印刷により適用された絶縁層及び、これもスクリーン印刷により適用されたPEDOT/PSSの第2の電極をもつ、本発明の実施例30の受動記憶要素の典型的なオッシロスコープ曲線である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極システムが、少なくとも1個の強誘電性要素を含んでなる要素システムにより、第2の電極システムから少なくとも一部は絶縁されており、前記第1の電極システムが導電性表面又は導電性層であり、前記第2の電極システムが、読み出し又はデータ・入力の目的のためのみに、相互から隔離された複数の導電性ピンと接触している電極のパターン又は複数の隔離された導電性領域である、第1の電極システム及び第2電極システムを含んでなる第1の受動強誘電性記憶要素。
【請求項2】
第1の電極システムが、少なくとも1個の強誘電性要素を含んでなる要素システムにより、第2の電極システムから少なくとも一部は絶縁されており、前記第1の電極システムが、導電性表面又は導電性層であり、前記第2の電極システムが読み出し及び/又はデータ・入力の目的のためのみに相互から隔離された複数の導電性ピンと接触している電極のパターン又は複数の隔離された導電性領域であり、そして、金属基板の導電性表面である前記第1の電極システムを除いて、前記システムが通常の印刷法を使用して印刷可能である、少なくとも1個の受動強誘電性記憶要素及び少なくとも1種の基板を含んでなる第1の受動記憶デバイス(ここで少なくとも1種の前記の基板は、前記の受動強誘電性記憶要素を備えた少なくとも片面上に、少なくとも1種の導電性表面又は表面層を有し、ここで前記受動強誘電性記憶要素は、第1の電極システム及び第2の電極システムを含んでなる)。
【請求項3】
前記要素システムが更に、前記第1及び前記第2の電極システム間の接触をもたらすボイド(voids)を含んでなる、請求項2記載の第1の受動記憶デバイス。
【請求項4】
前記要素システムが更に、読み出し又はデータ・入力条件下で、強誘電特性をもたない絶縁要素を含んでなる、請求項2記載の第1の受動記憶デバイス。
【請求項5】
前記第2の電極システムが第2の基板上の電極のパターンである、請求項2〜4のいずれか1項記載の第1の受動記憶デバイス。
【請求項6】
前記第2の基板上の前記電極のパターンが、読み出し及び/又はデータ・入力の目的のみのために前記要素システムと接触させられる、請求項5記載の第1の受動記憶デバイス。
【請求項7】
基板及び、前記基板の少なくとも片面上の前記基板の導電性表面又は前記基板上の導電性層、前記導電性表面又は前記導電性層上の有機強誘電性要素を含んでなる要素システム、を含んでなる、前記第1の受動記憶デバイスのための第1の前駆体。
【請求項8】
基板及び、前記基板の少なくとも片面上の前記基板の導電性表面又は前記基板上の導電性層、前記導電性表面又は前記導電性層上の有機強誘電性要素を含んでなる要素システム、並びに、読み出し及び/又はデータ・入力の目的のみのために相互から隔離された複数の導電性ピンとの接触のために提供された複数の隔離された導電性領域、を含んでなる、前記第1の受動記憶デバイスのための第2の前駆体。
【請求項9】
場合により導電性層を提供し、要素システムを提供し、そして複数の隔離された導電性領域を提供する段階の少なくとも1つは通常の印刷法により実施される、少なくとも1種の基板を提供し、基板が非金属である場合は前記基板上に導電性層を実現し、前記導電性表面又は導電性層上の少なくとも1個の強誘電性要素を含んでなる要素システムを実現し、前記要素システム上に電極のパターン又は複数の隔離された導電性領域を提供する段階を含んでなる、第1の電極システムが少なくとも1個の強誘電性要素を含んでなる要素シ
ステムにより、第2の電極システムから少なくとも一部は絶縁されており、前記第1の電極システムが導電性表面又は導電性層であり、前記第2の電極システムが、読み出し及び/又はデータ・入力の目的のみのために、相互から隔離された複数の導電性ピンと接触している電極のパターン又は複数の隔離された導電性領域であり、そして、金属基板の導電性表面である前記の第1の電極システムを除いて、前記システムが通常の印刷法を使用して印刷可能である、少なくとも1個の受動強誘電性記憶要素及び少なくとも1種の基板を含んでなる第1の受動記憶デバイスを提供する方法(ここで、少なくとも1種の前記基板は、前記受動強誘電性記憶要素を備えた少なくとも片面上に少なくとも1種の導電性表面又は表面層を有し、前記受動強誘電性記憶要素は、第1の電極システム及び第2の電極システムを含んでなる)。
【請求項10】
場合により導電性層を提供し、要素システムを提供し、そして複数の隔離された導電性領域を提供する段階すべてが通常の印刷法により実現される、請求項9に記載の第1の受動記憶デバイスを提供する方法。
【請求項11】
第1のパターン化電極システムを提供し、有機強誘電性層を提供し、そして第2の電極システムを提供する段階がすべて通常の印刷法で実現される、基板の非導電性表面上に第1の電極のパターンを実現し、前記の第1の電極のパターン上に前記の要素システムを提供し、そして前記の要素システム上に第2の電極のパターンを提供する段階を含んでなる、第2の受動記憶デバイスを提供する方法(ここで前記受動記憶デバイスは、基板及び、前記の少なくとも1種の基板の少なくとも片面上の受動記憶要素を含んでなり、前記の受動記憶要素は、第1のパターン化電極システム、第2のパターン化電極システム、前記の第1のパターン化電極システムと前記の第2のパターン化電極システム間に少なくとも1個の強誘電性要素を含んでなる要素システムを含んでなる)。
【請求項12】
前記の第1のパターン化電極システムの前記の提供が、前以てコートされた導電性層を1回の印刷段階(one pass printing step)でパターン化することを含む、請求項11記載の第2の受動記憶デバイスを提供する方法。
【請求項1】
第1の電極システムが、少なくとも1個の強誘電性要素を含んでなる要素システムにより、第2の電極システムから少なくとも一部は絶縁されており、前記第1の電極システムが導電性表面又は導電性層であり、前記第2の電極システムが、読み出し又はデータ・入力の目的のためのみに、相互から隔離された複数の導電性ピンと接触している電極のパターン又は複数の隔離された導電性領域である、第1の電極システム及び第2電極システムを含んでなる第1の受動強誘電性記憶要素。
【請求項2】
第1の電極システムが、少なくとも1個の強誘電性要素を含んでなる要素システムにより、第2の電極システムから少なくとも一部は絶縁されており、前記第1の電極システムが、導電性表面又は導電性層であり、前記第2の電極システムが読み出し及び/又はデータ・入力の目的のためのみに相互から隔離された複数の導電性ピンと接触している電極のパターン又は複数の隔離された導電性領域であり、そして、金属基板の導電性表面である前記第1の電極システムを除いて、前記システムが通常の印刷法を使用して印刷可能である、少なくとも1個の受動強誘電性記憶要素及び少なくとも1種の基板を含んでなる第1の受動記憶デバイス(ここで少なくとも1種の前記の基板は、前記の受動強誘電性記憶要素を備えた少なくとも片面上に、少なくとも1種の導電性表面又は表面層を有し、ここで前記受動強誘電性記憶要素は、第1の電極システム及び第2の電極システムを含んでなる)。
【請求項3】
前記要素システムが更に、前記第1及び前記第2の電極システム間の接触をもたらすボイド(voids)を含んでなる、請求項2記載の第1の受動記憶デバイス。
【請求項4】
前記要素システムが更に、読み出し又はデータ・入力条件下で、強誘電特性をもたない絶縁要素を含んでなる、請求項2記載の第1の受動記憶デバイス。
【請求項5】
前記第2の電極システムが第2の基板上の電極のパターンである、請求項2〜4のいずれか1項記載の第1の受動記憶デバイス。
【請求項6】
前記第2の基板上の前記電極のパターンが、読み出し及び/又はデータ・入力の目的のみのために前記要素システムと接触させられる、請求項5記載の第1の受動記憶デバイス。
【請求項7】
基板及び、前記基板の少なくとも片面上の前記基板の導電性表面又は前記基板上の導電性層、前記導電性表面又は前記導電性層上の有機強誘電性要素を含んでなる要素システム、を含んでなる、前記第1の受動記憶デバイスのための第1の前駆体。
【請求項8】
基板及び、前記基板の少なくとも片面上の前記基板の導電性表面又は前記基板上の導電性層、前記導電性表面又は前記導電性層上の有機強誘電性要素を含んでなる要素システム、並びに、読み出し及び/又はデータ・入力の目的のみのために相互から隔離された複数の導電性ピンとの接触のために提供された複数の隔離された導電性領域、を含んでなる、前記第1の受動記憶デバイスのための第2の前駆体。
【請求項9】
場合により導電性層を提供し、要素システムを提供し、そして複数の隔離された導電性領域を提供する段階の少なくとも1つは通常の印刷法により実施される、少なくとも1種の基板を提供し、基板が非金属である場合は前記基板上に導電性層を実現し、前記導電性表面又は導電性層上の少なくとも1個の強誘電性要素を含んでなる要素システムを実現し、前記要素システム上に電極のパターン又は複数の隔離された導電性領域を提供する段階を含んでなる、第1の電極システムが少なくとも1個の強誘電性要素を含んでなる要素シ
ステムにより、第2の電極システムから少なくとも一部は絶縁されており、前記第1の電極システムが導電性表面又は導電性層であり、前記第2の電極システムが、読み出し及び/又はデータ・入力の目的のみのために、相互から隔離された複数の導電性ピンと接触している電極のパターン又は複数の隔離された導電性領域であり、そして、金属基板の導電性表面である前記の第1の電極システムを除いて、前記システムが通常の印刷法を使用して印刷可能である、少なくとも1個の受動強誘電性記憶要素及び少なくとも1種の基板を含んでなる第1の受動記憶デバイスを提供する方法(ここで、少なくとも1種の前記基板は、前記受動強誘電性記憶要素を備えた少なくとも片面上に少なくとも1種の導電性表面又は表面層を有し、前記受動強誘電性記憶要素は、第1の電極システム及び第2の電極システムを含んでなる)。
【請求項10】
場合により導電性層を提供し、要素システムを提供し、そして複数の隔離された導電性領域を提供する段階すべてが通常の印刷法により実現される、請求項9に記載の第1の受動記憶デバイスを提供する方法。
【請求項11】
第1のパターン化電極システムを提供し、有機強誘電性層を提供し、そして第2の電極システムを提供する段階がすべて通常の印刷法で実現される、基板の非導電性表面上に第1の電極のパターンを実現し、前記の第1の電極のパターン上に前記の要素システムを提供し、そして前記の要素システム上に第2の電極のパターンを提供する段階を含んでなる、第2の受動記憶デバイスを提供する方法(ここで前記受動記憶デバイスは、基板及び、前記の少なくとも1種の基板の少なくとも片面上の受動記憶要素を含んでなり、前記の受動記憶要素は、第1のパターン化電極システム、第2のパターン化電極システム、前記の第1のパターン化電極システムと前記の第2のパターン化電極システム間に少なくとも1個の強誘電性要素を含んでなる要素システムを含んでなる)。
【請求項12】
前記の第1のパターン化電極システムの前記の提供が、前以てコートされた導電性層を1回の印刷段階(one pass printing step)でパターン化することを含む、請求項11記載の第2の受動記憶デバイスを提供する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2007−184462(P2007−184462A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−2405(P2006−2405)
【出願日】平成18年1月10日(2006.1.10)
【出願人】(593194476)アグフア−ゲヴエルト,ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (50)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月10日(2006.1.10)
【出願人】(593194476)アグフア−ゲヴエルト,ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (50)
【Fターム(参考)】
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