説明

弾性フィラメント及びこれを用いた伸縮シート

【課題】紡糸成形性に優れ、紡糸ノズルから引き取る際に糸切れを起こさず且つ蛇行し難い弾性フィラメント、及びこれを用いた伸縮シート、吸収性物品を提供すること。
【解決手段】ビニル芳香族重合体を主体とする重合体ブロックA1及びA2と、ポリオレフィンを主体とする重合体ブロックBとからなる、A1−B−A2型トリブロック共重合体を含んで構成される樹脂組成物からなる弾性フィラメントを提供する。前記重合体ブロックA1及びA2それぞれのゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定される重量平均分子量の合計が14000〜20000であり、且つ前記重合体ブロックBのゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定される重量平均分子量が40000〜80000である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性フィラメント、及びこれを用いた伸縮シート、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば使い捨ておむつ等の吸収性物品には、ずれ落ち防止やフィット性向上のため、伸縮性の部材が用いられており、この伸縮性の部材として、弾性を有する繊維と不織布とを複合化してなる伸縮シートが用いられている。伸縮シートは、風合い、肌触り感に優れているため、使い捨ておむつのような触感の良さが求められる用途に特に好適である。
【0003】
伸縮シートに関する従来の技術として、例えば特許文献1には、不織布等からなるシートの一面に、冷却されると弾性を有する溶融熱可塑性材料(例えば、エラストマー系ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン又はポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレン)からなる弾性ストランドを、互いに交差せずに一方向に延びるように配列してなる弾性シート状複合材が記載されている。このような複数のフィラメントが互いに交差せずに一方向に延びるように配列された伸縮シートは、シートの搬送方向と直交する方向に所定間隔を置いて配列された複数の紡糸ノズルから溶融状態のフィラメントを押し出して、該シートに融着させることにより製造される。
【0004】
しかし、上記の伸縮シートの製造方法においては、紡糸ノズルから溶融状態で押し出されたフィラメントが、シートに融着する前に、風や静電気等の影響により蛇行してしまうことがある。その結果、本来最終製品において一方向にまっすぐに延びるべきフィラメントが、蛇行した状態でシート上に接合されてしまい、複数のフィラメントが等間隔に配列された伸縮シートを製造できないという問題があった。フィラメントの蛇行は、紡糸ノズルから押し出されたフィラメントを、一定以上の張力で引き取ることにより防止することができるが、蛇行防止に有効な程度の張力を溶融状態のフィラメントにかけると、該フィラメントが切れてしまい(糸切れ)、フィラメントの紡糸成形ができない場合があった。特にフィラメントの径が細い場合は、引き取りにより糸切れを起こす場合が多く、伸縮シートの生産性の低下が深刻となっていた。一方で、フィラメントの径は、伸縮シートの風合いの向上等の観点から、市販のおむつ等の吸収性物品に用いられる弾性糸よりも更に細いものが望まれる傾向にある。
【0005】
【特許文献1】特表平10−501195号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、紡糸成形性に優れ、紡糸ノズルから引き取る際に糸切れを起こさず且つ蛇行し難い弾性フィラメント、及びこれを用いた伸縮シート、吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ビニル芳香族重合体を主体とする重合体ブロックA1及びA2と、ポリオレフィンを主体とする重合体ブロックBとからなる、A1−B−A2型トリブロック共重合体を含んで構成される樹脂組成物からなる弾性フィラメントであって、前記重合体ブロックA1及びA2それぞれのゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定される重量平均分子量の合計が14000〜20000であり、且つ前記重合体ブロックBのゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定される重量平均分子量が40000〜80000である弾性フィラメントを提供することにより前記目的を達成したものである。
【0008】
また本発明は、互いに交差せずに一方向に延びるように配列した多数の前記弾性フィラメントが、伸張可能な不織布の少なくとも片面に接合されてなる伸縮シートを提供することにより前記目的を達成したものである。
また本発明は、前記伸縮シートを用いた吸収性物品を提供することにより前記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の弾性フィラメントは、紡糸成形性に優れ、径が細い場合でも、糸切れを起こさず且つ蛇行させずに紡糸ノズルから吐出成形することができ、高速生産が可能である。
また、本発明の伸縮シートは、前記弾性フィラメントを含んで構成されているため、例えば、使い捨ておむつ等の吸収性物品をはじめとする各種の着衣、その他の人体に装着される種々の物品の形成材料として適用された場合に、該弾性フィラメントの作用によって優れたフィット性を示し、着衣のずれ落ちを効果的に防止することができる。
また、本発明の吸収性物品は、前記伸縮シートを含んで構成されているため、装着中のフィット性に優れ、ずれ落ちしにくい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[弾性フィラメント]
以下、本発明の弾性フィラメントについて説明する。
本発明の弾性フィラメントは、ビニル芳香族重合体を主体とする重合体ブロックA1及びA2と、ポリオレフィンを主体とする重合体ブロックBとからなる、A1−B−A2型トリブロック共重合体を含んで構成される樹脂組成物からなる。
【0011】
また、前記重合体ブロックA1及びA2それぞれのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定される重量平均分子量の合計が14000〜20000、好ましくは14000〜18000であり、且つ前記重合体ブロックBのGPC法により測定される重量平均分子量が40000〜80000、好ましくは40000〜70000である。
尚、本明細書において、GPC法により測定される重量平均分子量は、カラム:TSKgel G−2000H、カラム温度:40℃、移動相:テトラヒドロフラン(THF)、流量:1.0mL/min、試料濃度:10mg/5mL−THF、注入量:500μLの条件で測定され、ポリスチレンにより換算した値である。なお、分析試料には、前処理として、試料10mgを5mLのテトラヒドロフランに常温で10分間溶解後、孔径0.45μmの焼結フィルターでろ過したものを用いる。
【0012】
また、前記樹脂組成物が2種類以上のA1−B−A2型トリブロック共重合体を含んでいる場合、例えば前記の「重合体ブロックA1のGPC法により測定される重量平均分子量」は、2種類以上のA1−B−A2型トリブロック共重合体それぞれの重合体ブロックA1のGPC法により測定される重量平均分子量の重量平均値として求められる。
即ち、例えば、前記樹脂組成物がA1−B−A2型トリブロック共重合体として、(A1’−B’−A2’)及び(A1’’−B’’−A2’’)の2種類のA1−B−A2型トリブロック共重合体を含み、(A1’−B’−A2’)の含有率〔樹脂組成物に含まれる2種類以上のA1−B−A2型トリブロック共重合体の合計量に占める、A1’−B’−A2’の含有率〕80重量%、(A1’’−B’’−A2’’)の含有率20重量%である場合、前記の「重合体ブロックA1のGPC法により測定される重量平均分子量」は、次式により求められる。 (重合体ブロックA1’のGPC法により測定される重量平均分子量)×0.8+(重合体ブロックA1’’のGPC法により測定される重量平均分子量)×0.2
前記樹脂組成物が2種類以上のA1−B−A2型トリブロック共重合体を含んでいる場合における、前記の「重合体ブロックA2のGPC法により測定される重量平均分子量」及び「重合体ブロックBのGPC法により測定される重量平均分子量」についても、それぞれ、重合体ブロックA1についての前記例に準じて求められる。
また、前記樹脂組成物が2種類以上のA1−B−A2型トリブロック共重合体を含んでいる場合における、前記の「重合体ブロックA1及びA2それぞれのGPC法により測定される重量平均分子量の合計」は、こうして求められる重合体ブロックA1及びA2それぞれの前記重量平均分子量の重量平均値の合計である。
【0013】
本発明の弾性フィラメントは、前記物性を満たすA1−B−A2型トリブロック共重合体を含んで構成される樹脂組成物からなることにより、紡糸成形性に優れ、径が細い場合でも、糸切れを起こさず且つ蛇行させずに紡糸ノズルから吐出成形することができる。本発明の弾性フィラメントは、弾性を有する長繊維である。弾性とは、伸ばすことができ且つ伸ばした力から解放されたときに収縮する性質である。
【0014】
重合体ブロックA1は、ビニル芳香族重合体を主体として構成されている。このビニル芳香族重合体を構成するビニル芳香族としては、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、クロロメチルスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、ジメチルアミノメチルスチレン、ジメチルアミノエチルスチレン、ビニルトルエン、1−ビニルナフタレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン等が挙げられる。ビニル芳香族重合体は、これらのビニル芳香族の1種から構成されていても良く、2種以上から構成されていても良い。これらのビニル芳香族のうち、重合の容易性や汎用性の点からスチレンが好ましい。
【0015】
重合体ブロックA1における前記ビニル芳香族重合体の含有量は、重合体ブロックA1の全構造単位に対して、好ましくは90〜100重量%、更に好ましくは95〜100重量%である。
【0016】
重合体ブロックA1は、前記ビニル芳香族重合体に加えて、共役ジエン化合物重合体を含んで構成されていてもよい。この共役ジエン化合物重合体を構成する共役ジエン化合物としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、フェニルブタジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン等が挙げられる。共役ジエン化合物重合体は、これらの共役ジエン化合物の1種から構成されていても良く、2種以上から構成されていても良い。
【0017】
重合体ブロックA1における前記共役ジエン化合物重合体の含有量は、重合体ブロックA1の全構造単位に対して、好ましくは0〜10重量%、更に好ましくは0〜5重量%である。
【0018】
重合体ブロックA1のGPC法により測定される重量平均分子量は、好ましくは7000〜10000、更に好ましくは7000〜9000である。
【0019】
重合体ブロックA2としては、上述した重合体ブロックA1と同様のものを用いることができる。重合体ブロックA2について特に説明しない点は、重合体ブロックA1についての説明が適宜適用される。
本発明で用いられるA1−B−A2型トリブロック共重合体において、重合体ブロックA1と重合体ブロックA2とは構造が同じでも良く、異なっていても良い。
【0020】
特に、重合体ブロックA1及びA2が何れもポリスチレンであることが好ましい。即ち、本発明の弾性フィラメントは、重合体ブロックA1としてポリスチレンのみを含有し、重合体ブロックA2としてポリスチレンのみを含有する構成であることが好ましい。
【0021】
A1−B−A2型トリブロック共重合体における重合体ブロックA1及びA2の合計含有量は、A1−B−A2型トリブロック共重合体の全構造単位に対して、好ましくは15〜40重量%、更に好ましくは18〜30重量%である。
【0022】
また上述したように、重合体ブロックA1及びA2が何れもポリスチレンである場合、A1−B−A2型トリブロック共重合体における重合体ブロックA1と重合体ブロックA2との比率は、重量比で、好ましくは(A1/A2)=0.8〜1.2、更に好ましくは(A1/A2)=0.9〜1.1である。
【0023】
重合体ブロックBはポリオレフィンを主体として構成されている。このポリオレフィンを構成するオレフィンとしては、例えば、イソプレン、ブタジエン、エチレン、プロピレン、ブチレン等が挙げられる。重合体ブロックBを構成するオレフィンは、これらのオレフィンの1種から構成されていても良く、2種以上から構成されていても良い。これらのオレフィンのうち、耐候性、伸縮特性の点からエチレン、プロピレンが好ましい。
【0024】
重合体ブロックBにおける前記ポリオレフィンの含有量は、重合体ブロックBの全構造単位に対して、好ましくは90〜100重量%、更に好ましくは95〜100重量%である。
【0025】
重合体ブロックBは、前記ポリオレフィンに加えて、他の重合性モノマーから誘導される、ポリオレフィンと重合可能な他の重合体を含んで構成されていても良い。この他の重合性モノマーとしては、例えば、スチレンが挙げられる。重合体ブロックBを構成する前記ポリオレフィンと重合可能な他の重合体は、これらの他の重合性モノマーの1種から構成されていても良く、2種以上から構成されていても良い。
【0026】
重合体ブロックBにおける前記他の重合体の含有量は、重合体ブロックBの全構造単位に対して、好ましくは0〜10重量%、更に好ましくは0〜5重量%である。
【0027】
重合体ブロックBの具体例としては、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリ(エチレン−プロピレン)、ポリ(エチレン−ブチレン)等が挙げられる。これらの中でも、ポリ(エチレン−プロピレン)は、耐候性、伸縮特性のため好ましい。
【0028】
A1−B−A2型トリブロック共重合体における重合体ブロックBの含有量は、A1−B−A2型トリブロック共重合体の全構造単位に対して、好ましくは60〜85重量%、更に好ましくは70〜82重量%である。
【0029】
好ましいA1−B−A2型トリブロック共重合体の具体例としては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、SBSの水素添加物であるスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、SISの水素添加物であるスチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)等が挙げられる。これらの中でも、SEBS、SEPS、SEEPSは、熱安定性・耐候性に優れた弾性フィラメントが得られるため好ましい。
【0030】
A1−B−A2型トリブロック共重合体としては、市販品を用いることもできる。本発明で好ましく用いられるA1−B−A2型トリブロック共重合体の市販品としては、例えば、クレイトンポリマー社の商品名「クレイトン」、旭化成ケミカルズ株式会社の商品名「タフテック」及び「タフプレン」、株式会社クラレの商品名「セプトン」「ハイブラー」シリーズ等が挙げられる。
【0031】
A1−B−A2型トリブロック共重合体は、例えば次の工程で合成できる。
先ず、シクロヘキサン等の炭化水素溶媒に、ビニル芳香族化合物を添加し、有機リチウム化合物や金属ナトリウム等を開始剤としてアニオン重合を行い重合体ブロックA1を得る。
さらに、オレフィンモノマーを加えて重合し、重合体ブロックA1−Bを得る。オレフィンモノマーが共役ジエンの場合は、この共重合体の共役ジエンに基づく二重結合に水素を添加して、目的とする重合体ブロックA1−Bを得る。共役ジエンに基づく二重結合の水素添加率は、その80%以上、特に90%以上であることが、耐熱性、耐候性の点から好ましい。水素添加反応は、白金、パラジウム等の貴金属系触媒や、有機ニッケル化合物、有機コバルト化合物又はこれらの化合物と他の有機金属化合物との複合触媒を用いて行うことができる。水素添加率は、ヨウ素価測定法によって算出される。
さらにビニル芳香族化合物を添加して重合を行い、重合体ブロックA1−B−A2を得る。
【0032】
本発明の弾性フィラメントを構成する前記樹脂組成物は、上述したA1−B−A2型トリブロック共重合体のみを含んで構成されていても良く、必要に応じ本発明の目的を損なわない範囲でA1−B−A2型トリブロック共重合体に加えて、他の1種又は2種以上の樹脂を含んで構成されていてもよい。前記樹脂組成物がA1−B−A2型トリブロック共重合体及び他の樹脂を含有する場合、該樹脂組成物におけるA1−B−A2型トリブロック共重合体の含有量は、好ましくは90〜100重量%、更に好ましくは95〜100重量%である。但し、紡糸成形性及び伸縮性を最大限に向上させる観点から、前記樹脂組成物は、A1−B−A2型トリブロック共重合体のみを含んで構成されることが好ましい。
【0033】
また、前記樹脂組成物は、1種類のA1−B−A2型トリブロック共重合体を含んで構成されていても良く、構造の異なる2種類以上のA1−B−A2型トリブロック共重合体を含んで構成されていても良い。
【0034】
前記樹脂組成物が、A1−B−A2型トリブロック共重合体に加えて他の樹脂を含有する場合、当該他の樹脂としては、例えば、ゴム、又はポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマーなどの熱可塑性エラストマー等を用いることができる。また、熱可塑性エラストマー以外の樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂等を用いることができる。これらは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0035】
前記樹脂組成物は、A1−B−A2型トリブロック共重合体、又はA1−B−A2型トリブロック共重合体及び前記他の樹脂を、種々の公知の方法で溶融混合して得られる。例えば、上記各成分を同時に、または逐次的に、ヘンシェルミキサー、V型ブレンダー、タンブラーミキサー、リボンブレンダー等に装入して混合した後、単軸押出機、多軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練装置で溶融混練することによって得られる。
【0036】
前記樹脂組成物には、前記樹脂成分(A1−B−A2型トリブロック共重合体、他の樹脂)以外に、必要に応じ、可塑剤(例えば、パラフィン系オイル、パラフィン系ワックス、ナフテン系オイル、エチレン−α−オレフィンオリゴマー、低分子量ポリエチレン等)、耐候安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、滑剤、スリップ剤、核剤、難燃剤、顔料、染料、無機あるいは有機充填剤等を、本発明の目的を損なわない範囲で含有させることができる。
【0037】
前記樹脂組成物は、245℃で加熱溶融された状態で、内径0.45mm、長さ4.5mmの円筒形状のノズル孔より吐出速度8.4m/min.で吐出されたときの溶融張力の最大値が、好ましくは0.06〜0.20cN、更に好ましくは0.07〜0.15cNである。図5に、溶融張力の測定方法を示した。図5に示すロードセルに掛かる上向きの力を測定し、この測定値を溶融張力とする。
本発明の弾性フィラメントを構成する樹脂組成物の溶融張力の最大値が上記範囲にあることにより、紡糸成形性がより一層良好になる。溶融張力の調整は、例えば、可塑剤(パラフィン等)、ゴム、熱可塑性樹脂などの添加によって行なうことができる。上述の如く構成される樹脂組成物は、溶融張力が上記範囲にある。
【0038】
本発明の弾性フィラメントは、上述した樹脂組成物を原料とし、公知の紡糸技術を用いて製造することができる。例えば、溶融した樹脂組成物をノズル孔より押し出し、この押し出された溶融状態の樹脂組成物を熱風により伸長させることによって繊維を細くするメルトブローン法や、半溶融状態の樹脂組成物を冷風や機械的ドロー比によって延伸するスパンボンド法によって製造することができる。また、溶融紡糸法の一種であるスピニングブローン法によっても弾性フィラメントを製造することができる。
【0039】
本発明の弾性フィラメントは、未延伸糸を延伸して得られたものであることが好ましい。延伸することで、弾性フィラメントを構成する高分子が、該弾性フィラメントの長さ方向に分子配向するので、50%伸張時強度の行き/戻り比の値が高まり、伸縮時におけるヒステリシスロスが小さくなる。ここで、50%伸張時強度の行き/戻り比とは、弾性フィラメントの延びる方向に沿って100%伸長させ、その状態から50%戻したときの荷重A(以下、50%戻り強度ともいう)と、弾性フィラメント13の延びる方向に沿って50%伸長させたときの荷重B(以下、50%行き強度ともいう)との比(A/B)である。また、延伸によって細い弾性フィラメントが得られる。この観点から、本発明の弾性フィラメントは、1.1〜400倍、特に4〜100倍に延伸されたものであることが好ましい。延伸の具体的な操作としては、(イ)弾性フィラメントの原料となる樹脂組成物を溶融紡糸して一旦未延伸糸を得、その未延伸糸の弾性フィラメントを再度加熱して軟化温度(ハードセグメントのガラス転移点温度Tg)以上の状態で延伸する操作や、(ロ)弾性フィラメントの原料となる樹脂組成物を溶融紡糸して得られた溶融状態の繊維を直接延伸する操作が挙げられる。
【0040】
本発明の弾性フィラメントは、長繊維であり、具体的には繊維長が50mm以上のものであり、連続繊維も含むものである。本発明の弾性フィラメントは、好ましくは連続繊維の形態である。弾性フィラメントが連続繊維であると、ノズルリップからの熱風によって連続して伸長されるので、繊維径が細くなるばかりでなく、繊維径のバラツキが少なくなるという利点があるからである。また、冷風にて延伸する場合も同様の傾向となる。これによって、本発明の弾性フィラメントを用いて不織布を製造した場合、該不織布を透かして見たときの地合いが良好となり、また、不織布の伸縮特性のバラツキが小さくなる。繊維径の細いものが得られるということは、熱風及び冷風の容量を小さくでき、製造コストの点でもメリットがある。
【0041】
本発明の弾性フィラメントの直径は、特に限定されず、弾性フィラメントの用途に応じて適宜調整することができる。本発明の弾性フィラメントの直径は、30〜300μmの範囲で調整可能である。従来、使い捨ておむつなどの吸収性物品に用いられている弾性フィラメントの直径は、0.2〜1mmの範囲にあることが多いが、おむつの風合いの向上の点から、弾性フィラメントの直径はより小さいものが望まれている。弾性フィラメントの直径が小さくなると、紡糸時に糸切れを起こすおそれが高まり、生産性の低下を招くおそれがあるが、本発明の弾性フィラメントは、直径を30μmという細径に設計しても、紡糸時の糸切れを起こすおそれがない。
【0042】
[伸縮シート]
以下、本発明の伸縮シートを、その好ましい実施形態に基づき図面を参照して説明する。
本発明の伸縮シートは、上述した本発明の弾性フィラメントを用いて製造されるものであり、互いに交差せずに一方向に延びるように配列した多数の該弾性フィラメントが、伸張可能な不織布の少なくとも片面に接合されてなるものである。
【0043】
図1には、本発明の伸縮シートの一実施形態の一部破断斜視図が示されている。本実施形態の伸縮シート10は、第1の不織布11及び第2の不織布12の計2枚の不織布と、両不織布間に挟持された多数の弾性フィラメント13とから構成されている。各弾性フィラメント13は、第1及び第2の不織布11,12と接合している。第1の不織布11と第2の不織布12は、同種のものでもよく、あるいは異種のものでもよい。ここで言う同種の不織布とは、不織布の製造プロセス、不織布の構成繊維の種類、構成繊維の繊維径や長さ、不織布の厚みや坪量等がすべて同じである不織布どうしを意味する。これらのうちの少なくとも一つが異なる場合には異種の不織布であるという。
【0044】
各不織布11,12は何れも伸長可能なものである。各不織布11,12は、弾性フィラメント13の延びる方向と同方向に伸長可能になっている。伸長可能とは、(イ)不織布11,12の構成繊維自体が伸長する場合と、(ロ)構成繊維自体は伸長しなくても、交点において結合していた繊維どうしが離れたり、繊維どうしの結合等により複数本の繊維で形成された立体構造が構造的に変化したり、構成繊維がちぎれたりして、不織布全体として伸長する場合とを包含する。
【0045】
各不織布11,12は、弾性フィラメント13と接合される前の原反の状態で既に伸長可能になっていてもよい。あるいは、弾性フィラメント13と接合される前の原反の状態では伸長可能ではないが、弾性フィラメント13と接合された後に伸長可能となるように加工が施されて、伸長可能になるものであってもよい。不織布を伸長可能にするための具体的な方法としては、熱処理、ロール間延伸、歯溝やギアによるかみ込み延伸、テンターによる引張延伸などが挙げられる。後述する伸縮シート10の好適な製造方法に鑑みると、弾性フィラメント13を不織布11,12に融着させるときの該不織布11,12の搬送性が良好になる点から、不織布11,12はその原反の状態では伸長可能でないことが好ましい。
【0046】
各不織布11,12は伸長可能であり、且つ実質的に非弾性である。弾性とは、伸ばすことができ且つ伸ばした力から解放したときに収縮する性質であるところ、各不織布11,12は、かかる性質を有していない。各不織布11,12が弾性を有する場合には、その構成繊維として弾性樹脂を含む繊維が必要となり、弾性樹脂を含む繊維は、不織布の風合いを低下させる一因となるべたつき感を呈する傾向にある。したがって本実施形態においては、各不織布11,12を実質的に非弾性となして、その風合いの低下を防止している。
【0047】
各弾性フィラメント13は、伸縮シート10の全長にわたって実質的に連続している。各弾性フィラメント13は、互いに交差せずに一方向に延びるように配列している。尚、伸縮シート10の製造条件の不可避的な変動に起因して、意図せず弾性フィラメント13が交差することは許容される。各弾性フィラメント13は、互いに交差しない限り、直線状に延びていてもよく、或いは蛇行しながら延びていてもよい。尚、弾性フィラメント13が、伸縮シート10の製造条件の不可避的な変動によって意図せずに蛇行するおそれが少ないものであることは、前記[弾性フィラメント]の項で述べたとおりである。弾性フィラメント13の延びる方向は、第1及び第2の不織布11,12の製造時の流れ方向と一致していてもよく、あるいは不織布11,12の製造時の流れ方向と直交していてもよい。後述する好適な製造方法に従い伸縮シート10を製造すると、弾性フィラメント13の延びる方向は、第1及び第2の不織布11,12の製造時の流れ方向と一致する。
【0048】
弾性フィラメント13は、実質的に非伸長状態で不織布11,12に接合されている。弾性フィラメント13が伸長していないため、伸長による緩和(クリープ)が起こらず、該弾性フィラメント13を不織布11,12と貼り合わせた後の原反保存時や延伸等の加工後における伸縮性の低下がないという利点がある。また、巻き取られた原反の巻き締まりによる変形もない。更に、例えば弾性フィラメント13を2倍に伸長させて不織布11,12と貼り合わせた場合に、初期の1.3倍まで仮に戻ったとすると、この状態からは1.7倍までしか伸ばすことができないが、非伸長状態で貼り合わせを行った場合には、伸縮シートを伸長させたときの初期原点が異なるため、不織布11,12の伸長可能な長さまで又は弾性フィラメント13の最大伸度まで伸ばすことが可能となるという利点がある。
【0049】
弾性フィラメント13は、未延伸糸を延伸して得られたものであることが好ましく、1.1〜400倍、特に4〜100倍に延伸されたものであることが好ましい。その理由、延伸の具体的な操作については、前記[弾性フィラメント]の項で述べたとおりである。
【0050】
延伸により得られた弾性フィラメント13は、その直径が30〜200μm、特に50〜130μmであることが好ましい。この範囲は、伸縮シート10の風合いや、弾性フィラメント13の生産性を考慮して決定されたものである。詳細には、弾性フィラメント13の直径が大きすぎると、伸縮シート13に触れたときに、弾性フィラメント13に起因する段差が知覚されやすくなってしまう。この段差は、伸縮シート10の風合いにマイナスに作用するものである。この観点からは、弾性フィラメント13の直径は小さいほど、各不織布11,12の風合いのみが知覚されやすくなるので好ましい。また、弾性フィラメント13に隠蔽性を持たせる意味でも細い方が好ましい。更に、後述する歯溝ロールによる延伸において、弾性フィラメント13の直径を歯溝ロール間の歯と歯のクリアランス以下(好ましいクリアランスとしては歯の耐久性を高める点と噛み込み量による延伸倍率を高くする点でクリアランスが小さくなり、250μm以下、より好ましくは200μm以下である)にすることで、延伸時に弾性フィラメントがダメージ(亀裂や切断)を受けにくくなるので、細い方が好ましい。弾性フィラメントの直径と上記クリアランスとの比は0.2〜1、特に0.2〜0.5が好ましい。尤も、弾性フィラメント13が細径になる程その製造が容易でなくなる。これらを考慮すると、弾性フィラメント13の直径は前記の範囲内であることが好ましい。
【0051】
上述の段差を発生させないようにする観点から、伸縮シート10の厚みに対する弾性フィラメント13の伸縮シートの厚み方向の直径の割合は、1〜30%、特に5〜12%であることが好ましい。
【0052】
弾性フィラメント13は、その断面が円形であり得るが、場合によっては楕円形の断面のこともある。例えば後述する製造方法に従い伸縮シート10を製造する場合には、弾性フィラメント13の断面は楕円形になりやすい傾向にある。この場合、伸縮シート10中において、弾性フィラメント13は、楕円形の長軸が伸縮シート10の平面方向と同方向になり、且つ短軸が伸縮シート10の厚さ方向と同方向になるように配置されることが好ましい。
【0053】
弾性フィラメント13の断面が楕円形である場合、長軸/短軸の比率(平均偏平率)は1.0〜7.0、特に1.1〜3.0であることが、伸縮特性及び弾性フィラメント13と不織布11,12の構成繊維との接合強度、及び伸縮シート11の隠蔽性が増す点から好ましい。断面が楕円形である弾性フィラメント13は、その長軸方向が、伸縮シート11の平面方向とほぼ一致するように配されている。なお、弾性フィラメント13の断面が楕円形である場合、弾性フィラメント13の直径とは、長軸径と短軸径を数平均したものを意味する。
【0054】
弾性フィラメント13は、第1及び第2の不織布11,12の色と異なる色に着色されていることも好ましい。これによって、弾性フィラメント13が第1の不織布11及び/又は第2の不織布12越しに透けて見えて、伸縮シート10が縞模様を呈するようになるという意匠的な効果が奏される。このような効果は、特に各不織布の厚み及び坪量が後述する範囲内であると一層顕著なものとなる。
【0055】
伸縮シート10が十分な伸縮性を発現する観点から、布様の良好な風合いを発現させる観点、及び必要に応じ上述の意匠的な効果を発現させる観点、隣り合う弾性フィラメント13のピッチ(隣り合う弾性フィラメントの中心間の距離)は、該弾性フィラメント13の直径が上述した範囲であることを条件として、0.1〜5mm、特に0.3〜1.8mmであることが好ましい。
【0056】
弾性フィラメント13は、その全長にわたって各不織布11,12に接合している。ここで、「その全長にわたって接合している」とは、弾性フィラメント13と接触しているすべての繊維(不織布11,12の構成繊維)が、該弾性フィラメント13と接合していることを要せず、弾性フィラメント13に、意図的に形成された非接合部が存在しないような態様で、弾性フィラメント13と不織布11,12の構成繊維とが接合されていることを言う。弾性フィラメント13が各不織布11,12にその全長にわたって接合していることで、弾性フィラメント13と各不織布11,12との接合力を十分に高めることができる。その結果、伸縮シート10を引き伸ばしても、弾性フィラメント13が各不織布11,12から剥離しづらくなる。弾性フィラメント13が各不織布11,12から剥離してしまうと、自然状態(弛緩状態)において、弾性フィラメント13と各不織布11,12との間に浮きが生じて、伸縮シート10に皺が発生しやすくなり、伸縮シート10全体としての一体感に欠けるものとなる。
【0057】
弾性フィラメント13と、第1及び第2の不織布11,12との接合の様式としては、例えば融着、接着剤による接着などが挙げられる。後述する好適な製造方法に従い伸縮シート10を製造すると、弾性フィラメント13は、各不織布11,12に融着により接合される。この方法によれば、各不織布11,12に熱は加えられず、溶融紡糸により得られた弾性フィラメント13の固化前に、該弾性フィラメント13を不織布に融着させるので、該弾性フィラメント13の周囲に存在する繊維のみが該弾性フィラメント13と接合し、それよりも離れた位置にある繊維は不織布11,12の風合いを維持したままになっているので、伸縮シート10の風合いが良好に保たれるという利点がある。この場合、各不織布11,12と弾性フィラメント13とを接合させる前に、補助的な接合手段として接着剤を塗布することができる。あるいは、各不織布11,12と弾性フィラメント13とを接合させた後に、補助的な接合手段として、熱処理(スチームジェット、ヒートエンボス)や、機械交絡(ニードルパンチ、スパンレース)などを行うこともできる。尤も、これらの補助的な接合手段は、得られる伸縮シート10の風合いを損なったり、弾性フィラメント13にダメージを与えたりする場合がある。したがって、弾性フィラメント13をその溶融熱で不織布11,12と融着することが好ましい。但し、補助的な接合手段として、エアスルー法による熱風吹き付けからなる熱処理を用いた場合には、得られる伸縮シート10の風合いは損なわれず、また不織布11,12の接合強度の高いものが得られる点で好ましい。
【0058】
伸縮シート10は、弾性フィラメント13の延びる方向と同方向に伸縮可能になっている。伸縮シート10の伸縮性は、弾性フィラメント13の弾性に起因して発現する。伸縮シート10を、弾性フィラメント13の延びる方向と同方向に引き伸ばすと、弾性フィラメント13並びに第1及び第2の不織布11,12が伸長する。そして伸縮シート10の引き伸ばしを解除すると、弾性フィラメント13が収縮し、その収縮に連れて第1及び第2の不織布11,12が引き伸ばし前の状態に復帰する。
【0059】
本実施形態の伸縮シート10においては、弾性フィラメント13と直交した状態で結合している他の弾性フィラメントは存在していない。したがって伸縮シート10を、弾性フィラメント13の延びる方向と同方向に引き伸ばしたときには、該伸縮シート10が幅縮みをほとんど起こさずに伸長する。つまり、伸縮シート10はその引き伸ばし状態において、その長手方向にわたり幅がほぼ一様になっている。その結果、伸縮シート10を、その伸長状態で搬送させてこれを加工するときのハンドリング性が良好になる。また、伸縮シート10を例えばパンツ型おむつの外包材として用いた場合、おむつの着用中にずれ落ちが起こったり、皺が寄ったりすることが効果的に防止される。この観点から、伸縮シート10は、これを1.5倍に伸長したときの幅縮みの割合が、伸長前の幅の90%〜99%、特に95%〜99%であることが好ましい。幅縮みは伸長後の幅を伸長前の幅で割った値として求めることができる。測定は長さ1m、幅300mmのサンプルを切り出し、伸長する両端の間隔を幅300mmに保った状態で1.5倍に伸長させて行う。伸長後の幅の測定位置は中央部とする。
【0060】
図2(a)及び(b)には、本実施形態の伸縮シート10における弾性フィラメント13の延びる方向に沿う縦断面図が示されている。図2(a)は、自然状態(弛緩状態)における伸縮シート10の縦断面図であり、図2(b)は、伸長状態における伸縮シート10の縦断面図である。自然状態においては、伸縮シート10は、頂部14’及び谷部14”が交互に配列した波形形状になっている。頂部14’と谷部14”とは稜線部15’を介して連なっている。頂部14’及び谷部14”の厚みに対して、稜線部15’の厚みは若干小さくなっており、頂部14’及び谷部14”よりも光を透過させやすくなっている。伸縮シート10を平面視したとき、頂部14’、稜線部15’及び谷部14”は、伸縮シート10の伸長方向と直交する方向へ延びている。したがって伸縮シート10には、その自然状態において、光を透過させやすい稜線部15’と、それよりも光を透過させにくい頂部14’及び谷部14”に起因する横縞模様がうっすらと現れる。この横縞模様は、伸縮シート10を伸長させると一層顕著なものとなる。
【0061】
即ち、図2(b)に示すように、伸長状態の伸縮シート10においては、弾性フィラメント13の延びる方向に沿って、高坪量部分14と低坪量部分15とが交互に配列している。各部分14,15は、弾性フィラメント13の延びる方向と直交する方向にそれぞれ帯状に延びている。高坪量部分14と低坪量部分15とは、一定の周期で交互に配列している。高坪量部分14については、シート10の上側に突出しているものと、シート10の下側に突出しているものとが交互に配置されている。シート10の上側に突出している高坪量部分14は、図2(a)に示す自然状態のシート10における頂部14’に由来している。一方、シート10の下側に突出している高坪量部分14は、図2(a)に示す自然状態のシート10における谷部14”に由来している。また、低坪量部分15は図2(a)に示す自然状態のシート10における稜線部15’に由来している。高坪量部分14と低坪量部分15とでは、それらの坪量差に起因して光の透過の程度に差がある。その結果、伸縮シート10は、弾性フィラメント13の延びる方向と直交する方向に延びる横縞模様を呈するようになり、意匠性が高くなる。特に、先に述べたとおり、伸縮シート10は弾性フィラメント13に起因する縞模様も呈するので、伸縮シート10は、この縞模様と、高坪量部分14及び低坪量部分15に起因する縞模様が組み合わされた格子状の模様も呈することになり、意匠性が一層高くなる。
【0062】
高坪量部分14は、低坪量部分15に比較して坪量が大きく且つ厚みも大きくなっている。それに起因して、高坪量部分14と低坪量部分15とでは光の透過の程度が相違し、その相違に起因して縞模様が呈される。各高坪量部分14は互いに実質的に等幅であり、同様に各低坪量部分15も互いに実質的に等幅である。
【0063】
高坪量部分14の厚みは、0.3〜10mm、特に0.5〜1mmであることが好ましい。低坪量部分15の厚みは、伸縮特性及び通気性の観点から0.1〜3mm、特に0.2〜0.6mmであることが好ましい。厚みの測定は、伸縮シート10を20±2℃、65±5%RHの環境下に無荷重にて、2日以上放置した後、次の方法にて求める。先ず伸縮シート10を1.5倍に伸長方向へ伸ばした状態にて、0.5cN/cm2の荷重にて平板間に挟む。断面をマイクロスコープにより50〜200倍の倍率で観察し、各視野において平均厚みをそれぞれ求め、三視野の厚みの平均値として求める。高坪量部分14及び低坪量部分15は、後述する製造方法に従い伸縮シート10を製造することで容易に形成される。
【0064】
次に、伸縮シート10を構成する第1及び第2の不織布11,12の構成材料について説明する。弾性フィラメント13については、前記[弾性フィラメント]の項での説明が適宜適用される。
各不織布11,12を構成する繊維としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル(PETやPBT)、ポリアミド等からなる繊維等が挙げられる。各不織布11,12を構成する繊維は、短繊維でも長繊維でもよく、親水性でも撥水性でもよい。また、芯鞘型又はサイド・バイ・サイドの複合繊維、分割繊維、異形断面繊維、捲縮繊維、熱収縮繊維等を用いることもできる。これらの繊維は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。各不織布11,12は、連続フィラメント又は短繊維の不織布であり得る。特に、伸縮シート10を厚みのある嵩高なものとする観点からは、各不織布11,12は、短繊維の不織布であることが好ましい。伸縮シート10を、肌に接触する部材として用いる場合には、肌の接触する側に風合いの良い短繊維不織布を用い、その反対面に強度の高い連続フィラメントの不織布を用いてもよい。
【0065】
各不織布11,12は、その構成繊維が低融点成分及び高融点成分の2成分以上からなることが好ましい。その場合には、少なくとも低融点成分の熱融着により、その構成繊維同士が繊維交点で接合される。低融点成分及び高融点成分の2成分以上からなる芯鞘型の複合繊維としては、芯が高融点PET、PPで、鞘が低融点PET、PP、PEのものが好ましい。特にこれらの複合繊維を用いると、弾性フィラメント13との融着が強くなり、両者間での剥離が起こりにくくなるので好ましい。
【0066】
各不織布11,12の構成繊維は高伸度(例えば繊維の最大伸度が150〜400%)のものであることが、最大強度の高い伸縮シート10が得られる点で好ましい。繊維の伸度は、JIS L−1015に準拠し、測定環境温湿度20±2℃、65±5%RH、引張試験機のつかみ間隔20mm、引張速度20mm/minの条件での測定を基準する。なお、既に製造された不織布から繊維を採取して伸度を測定するときを始めとして、つかみ間隔を20mmにできない場合、つまり測定する繊維の長さが20mmに満たない場合には、つかみ間隔を10mm又は5mmに設定して測定する。
【0067】
各不織布11,12の厚みは、好ましくは0.05〜5mm、更に好ましくは0.1〜1.0mm、一層好ましくは0.15〜0.5mmある。厚みの測定は、0.5cN/cm2の荷重にて平板間に挟み伸縮性不織布の断面をマイクロスコープにより50〜200倍の倍率で観察し、各視野において平均厚みをそれぞれ求め、3視野の厚みの平均値として求めることができる。シート全体の厚みは平板間の距離を測ることで求められる。各不織布11,12の坪量は、風合い、厚み及び意匠性等の観点から、それぞれ3〜100g/m2、特に5〜30g/m2であることが好ましい。
【0068】
2枚の不織布11,12間に配されている、多数の弾性フィラメント13からなる弾性フィラメント層の坪量は、伸縮特性、風合い、厚み、コストの観点から、4〜30g/m2、特に6〜15g/m2であることが好ましい。
【0069】
本実施形態の伸縮シート10は、例えば次のようにして製造することができる。本製造方法においては、紡糸ノズル16から紡出された溶融状態の多数の弾性フィラメント13を所定速度で引き取って延伸しつつ、該弾性フィラメント13の固化前に、該弾性フィラメント13が互いに交差せず一方向に配列するように該弾性フィラメント13を不織布11,12に融着させ、次いで該弾性フィラメント13が融着した不織布11,12を、該弾性フィラメント13の延びる方向に沿って延伸して該不織布11,12に伸長性を付与する。
【0070】
図3に示すように、紡糸ノズル16は、紡糸ヘッド17に設けられている。紡糸ヘッド17は、押出機に接続されている。ギアポンプを介して紡糸ヘッド17へ樹脂を供給することもできる。該押出機によって溶融混練された弾性樹脂は、紡糸ヘッド17に供給される。紡糸ヘッド17には、多数の紡糸ノズル16が直線状に一列に配置されている。紡糸ノズル16は、第1及び第2の不織布11,12の幅方向に沿って配置されている。隣り合う紡糸ノズル16の間隔は、目的とする伸縮シート10における弾性フィラメント13の間隔に相当する。紡糸ノズル16は通常円形であり、円筒形状のノズル孔を有しており、その直径(内径)は弾性フィラメント13の直径及び延伸倍率に影響を及ぼす。この観点から、紡糸ノズル16の直径(内径)は0.1〜2mm、特に0.2〜0.6mmであることが好ましい。
【0071】
紡出された溶融状態の弾性フィラメント13は、それぞれ原反から同速度で繰り出された第1の不織布11及び第2の不織布12と合流し、両不織布11,12間に挟持されて所定速度で引き取られる。弾性フィラメント13の引き取り速度は、両不織布11,12の繰り出し速度と一致している。弾性フィラメント13の引き取り速度は、該弾性フィラメント13の直径及び延伸倍率に影響を及ぼす。延伸によって弾性フィラメント13に生じる張力は、該弾性フィラメント13を不織布11,12と貼り合わせるときの風や静電気に起因する該弾性フィラメント13の乱れを防止する。それによって弾性フィラメントどうしを交差させずに一方向へ配列させることができる。これらの観点から、弾性フィラメント13の引き取り速度は、紡糸ノズル孔内の樹脂吐出速度に対し、その延伸倍率が1.1〜400倍、特に4〜100倍、更に10〜80倍となるように調整されることが好ましい。
【0072】
弾性フィラメント13は、その固化前に、即ち融着可能な状態で第1及び第2の不織布11,12と合流する。その結果、弾性フィラメント13は、第1及び第2の不織布11,12に挟持された状態で、これらの不織布11,12に融着する。つまり、固化前の弾性フィラメント13を搬送される不織布11,12に融着させることで、弾性フィラメント13は引き取られて延伸される。弾性フィラメント13の融着に際しては第1及び第2の不織布11,12には、外部から熱は付与されていない。つまり、融着可能になっている弾性フィラメント13に起因する溶融熱によってのみ、該弾性フィラメント13と両不織布11,12とが融着する。その結果、両不織布11,12の構成繊維のうち、弾性フィラメント13の周囲に存在する繊維のみが該弾性フィラメント13と融着し、それよりも離れた位置に存在する繊維は融着しない。その結果、両不織布11,12に加わる熱は最小限にとどまるので、該不織布自身が本来的に有する良好な風合いが維持される。それによって、得られる伸縮シート10の風合いが良好になる。
【0073】
紡出された弾性フィラメント13が、第1及び第2の不織布11,12と合流するまでの間、該弾性フィラメント13は延伸されて延伸方向に分子が配向する。また直径が小さくなる。分子配向によって、50%伸長時強度の行き/戻り比(前述のA/B)の大きな弾性フィラメント13が得られる。弾性フィラメント13を十分に延伸させる観点及び弾性フィラメント13の糸切れを防止する観点から、紡出された弾性フィラメント13に所定温度の風(熱風、冷風)を吹き付けて、該弾性フィラメント13の温度を調整してもよい。
【0074】
弾性フィラメント13の延伸は、該弾性フィラメント13を構成する樹脂組成物の溶融状態での延伸(溶融延伸)だけでなく、その冷却過程における軟化状態の延伸(軟化延伸)であってもよい。溶融状態とは、外力を加えたとき樹脂が流動する状態である。樹脂の溶融温度は粘弾性測定による(例えば円形並行平板間に挟んだ樹脂に回転方向の振動歪を加えて測定される)Tanδのピーク温度として測定される。樹脂組成物の延伸時に糸切れが起こらないようにするために、延伸区間を長く確保することがよい。この観点から、樹脂組成物の溶融温度は130〜300℃が好ましい。また、樹脂組成物の耐熱性(成形温度)の観点から、溶融温度は130〜220℃が好ましい。軟化温度は、シート状にした樹脂組成物の測定試料の粘弾性特性における貯蔵弾性率G’の変曲点の温度として測定される。軟化温度から溶融温度までの範囲を軟化状態という。軟化温度は、伸縮シート10の保存時における樹脂組成物の結晶の成長や、体温による伸縮シート10の伸縮特性の低下の観点から、60℃以上が好ましく、80℃〜180℃がより好ましい。
【0075】
弾性フィラメント13と不織布11,12とを接合させるときの弾性フィラメント13の温度は、繊維融着を確実にするために100℃以上であることが好ましい。また弾性フィラメント13の形状を保持して伸縮特性の良好な伸縮シート10を得る観点から、弾性フィラメントの温度は180℃以下であることが好ましい。より好ましくは120〜160℃の範囲である。接合時の温度は、弾性フィラメント13と接合させるラミネート基材として、弾性フィラメント13を構成する樹脂組成物の融点と異なる融点を有する変性ポリエチレンや変性ポリプロピレンなどからなるフィルムを用いて、その接合状態を観察することで測定できる。このとき、弾性フィラメント13とラミネート基材が融着していれば、接合温度はラミネート基材の融点以上である。
【0076】
弾性フィラメント13と不織布11,12との接合時には、弾性フィラメント13は実質的に非伸長状態(外力を取り除いたときに縮まない状態)である。両者の接合状態においては、不織布11,12を構成する繊維の少なくとも一部が、弾性フィラメント13へ融着するか、更には弾性フィラメント13と不織布11,12を構成する繊維の少なくとも一部との両方が融着することがより好ましい。十分な接合強度が得られるからである。得られる伸縮シート10の伸縮特性は、弾性フィラメント13と不織布11,12との接合点の密度に影響を受ける。また、伸縮特性は、接合温度、接合圧力、後述する不織布11,12の延伸による接合点のはずれによって調整することができる。不織布11,12の構成繊維を弾性フィラメント13に融着させることで、接合点一つ一つの接合強度が高くなる。接合点の密度を低くすると、不織布11,12による伸縮阻害が少なくなり、且つ十分な接合強度を有する伸縮シート10が得られるので好ましい。
【0077】
弾性フィラメント13を第1及び第2の不織布11,12と合流させるときには、各弾性フィラメント13が互いに交差せず一方向に配列するようにする。そして、弾性フィラメント13を第1及び第2の不織布11,12と合流させて両不織布11,12間に該弾性フィラメント13を挟持させた状態で、これら三者を一対のニップロール18,18によって挟圧する。挟圧の条件は、得られる伸縮シート10の風合いに影響を及ぼす。挟圧力が大きすぎると弾性フィラメント13が両不織布11,12内に食い込みやすくなり、それに起因して得られる伸縮シート10の風合いが低下しやすい。この観点から、ニップロール18,18による挟圧力は、弾性フィラメント13が両不織布11,12に接触する程度で足り、過度に高い挟圧力は必要とされない。
【0078】
ニップロール18による挟圧の別の条件として、ニップロール18の温度が挙げられる。本発明者らの検討の結果、ニップロール18を加熱した状態で挟圧を行うよりもむしろ、加熱しないか(つまり成り行きにまかせるか)、又は冷却しながら挟圧を行う方が、風合いの良好な伸縮シート10が得られることが判明した。ニップロール18を冷却する場合には、冷却水等の冷媒を用い、ニップロール18の表面設定温度が10〜50℃になるように温度調節することが好ましい。
【0079】
このようにして2枚の不織布11,12間に弾性フィラメント13が挟持された複合体19が得られる。不織布11,12として本来的に伸長性を有するものを用いた場合には、この複合体19が伸縮シート10そのものとなる。一方、不織布11,12として本来的に伸長性を有しないものを用いた場合には、該不織布11,12を含む複合体19に延伸処理を施す。この延伸処理は、複合体19を、弾性フィラメント13の延びる方向に沿って延伸して、該不織布11,12に伸長性を付与する操作によって行われる。
【0080】
前記延伸処理は、例えば図4に示すように延伸装置を用いて行なうことができる。図4には、それぞれ歯と歯底が周方向に交互に形成された一対の歯溝ロール20,21を備えた延伸装置を用い、複合体19をその搬送方向、即ち弾性フィラメント13の延びる方向に沿って延伸させることで、複合体19に延伸処理を施している様子が模式的に示されている。
【0081】
図4に示す延伸装置は、一方又は双方の歯溝ロール20,21の枢支部を上下に変位させる公知の昇降機構(図示せず)を有し、歯溝ロール20,21間の間隔が調節可能になっている。本製造方法においては、各歯溝ロール20,21を、一方の歯溝ロール20の歯が他方の歯溝ロール21の歯間に遊挿され、他方の歯溝ロール21の歯が一方の歯溝ロール20の歯間に遊挿されるように組み合わせ、その状態の両歯溝ロール20,21間に、複合体19を挿入してこれを延伸させる。
【0082】
前記延伸装置においては、一対の歯溝ロール20,21の両方が駆動源によって駆動するようになっていてもよく(共回りロール)、一方の歯溝ロール20又は21のみが駆動源によって駆動するようになっていてもよい(連れ回りロール)が、本製造方法においては、下側の歯溝ロール21のみが駆動源によって駆動し、上側の歯溝ロール20は駆動源に接続されておらず、歯溝ロール21の回転に伴って従動する(連れ回る)ようになっている。連れ回りロールを用いることは、延伸加工後において伸縮シート10に高坪量部分14及び低坪量部分15がくっきりと縞模様に現れやすく、伸縮性シート10の意匠性が向上する点、及び低坪量部15がより低坪量になり通気性が向上する点で好ましい。歯溝ロール20,21の歯形としては、一般的なインボリュート歯形、サイクロイド歯形が用いられ、特にこれらの歯幅を細くしたものが好ましい。
【0083】
図4に示すように、複合体19が歯溝ロール20,21間を通過する際には、複合体19は、歯溝ロール20,21の歯23,24に当接する領域(P3−P2間、P1−P4間)においては、ほとんど延伸されない。これに対し、駆動ロールである歯溝ロール21の歯24の歯面によって、従動ロールである歯溝ロール20の歯23の歯面に向けて押圧される領域(P2−P1間)においては、両歯20,21によって大きく延伸される。また、歯溝ロール21の歯24の先端部によって、歯溝ロール20の歯23から引き離される領域(P4−P3間)においては、前記領域(P2−P1間)程ではないが、大きく延伸される。
【0084】
また複合体19は、歯溝ロール20,21の歯23,24の先端部に当接する領域(P3−P2間、P1−P4間)においては、前述のとおりほとんど延伸されないが、歯23,24の先端部によって、その径方向に、つまり複合体19の厚み方向に片押しされるので、厚み方向に薄くなる。但し領域(P3−P2間)と領域(P1−P4間)とは片押しされる方向が反対向きであるため、薄くなる方向が反対向きとなる。
【0085】
前記の延伸プロセスによって、弾性フィラメント13と両不織布11,12との剥離を防止しつつ、複合体19における両不織布11,12を効率的に延伸させ、伸長性を付与することができる。そして、大きく延伸される領域(P2−P1間及びP4−P3間)が低坪量部分15となり、ほとんど延伸されない領域(P3−P2間、P1−P4間)が高坪量部分14となる。
【0086】
複合体19が一対の歯溝ロール20,21によって延伸されることで、目的とする伸縮シート10が得られる。得られた伸縮シート10は、歯溝ロール20,21を通過した後、自身の収縮復元力により速やかにMD方向への延伸状態が解放される。即ち伸長が緩和される。その結果、伸縮シート10は、搬送方向へ収縮する。それによって、伸長した状態では高坪量部分14及び低坪量部分15が、弾性フィラメント13の延びる方向に交互に配列するようになる。尚、延伸状態を解放する場合、延伸状態が完全に解放されるようにしてもよく、伸縮性が発現する限度において、ある程度の延伸状態が維持された状態で延伸状態を解放してもよい。
【0087】
前記の延伸加工によって、伸縮シート10の厚みは、延伸加工前の複合体19の厚みに対して1.1倍〜4倍、特に1.3倍〜3倍に増すことが好ましい。これによって、両不織布11,12の構成繊維が塑性変形して伸びることで繊維が細くなる。これと同時に、両不織布11,12が一層嵩高となり、肌触りが良く、クッション性が良好になる。
【0088】
このようにして得られた伸縮シート10は、前述の50%伸張時の行き/戻り比(A/B)が50%以上、特に65%以上となることが、十分な伸縮特性の発現の点から好ましい。
【0089】
また、具体的な用途にもよるが、伸縮シート10は、その全体の坪量が10〜150g/m2、特に25〜50g/m2であることが好ましい。伸縮シート10の厚みに関しては、0.05〜5mm、特に0.5〜2mmであることが好ましい。伸縮シート10の厚みは、先に述べた各不織布11,12の厚みの測定と同様の方法で測定される。
【0090】
本実施形態の伸縮シート10は、パンツ型使い捨ておむつの外層シートとして好適に用いられる。この場合、本発明の伸縮シートを外層シートとし、内層シートとして非伸縮性のシートを用い、両シートを張り合わせて使用することもできる。
またこの用途以外に、その良好な風合いや、毛羽立ち防止性、伸縮性、通気性等の利点を生かし、外科用衣類や清掃シート等の各種の用途に用いることもできる。特に生理用ナプキンや使い捨ておむつなどの吸収性物品の構成材料として好ましく用いられる。該構成材料としては、例えば、吸収体よりも肌側に位置する液透過性のシート(サブレイヤー等を含む)である表面シートや、使い捨ておむつの外面を構成するシート、胴回り部やウエスト部、脚周り部等に弾性伸縮性を付与するためのシート等が挙げられる。また、ナプキンの伸縮性ウイングを形成するシート等として用いることができる。また、それ以外の部位であっても、伸縮性を付与したい部位等に用いることができる。伸縮シート10の坪量や厚みは、その具体的な用途に応じて適切に調整できる。例えば吸収性物品の構成材料として用いる場合には、坪量20〜60g/m2程度、厚み0.5〜1.5mm程度とすることが望ましい。
【0091】
本発明の伸縮シートは、前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態の伸縮においては、2枚の不織布11,12間に多数の弾性フィラメント13が挟持された構造になっていたが、これに代えて、1枚の不織布の表面に多数の弾性フィラメントを接合して伸縮シートとなしてもよい。
【0092】
また前記実施形態においては、弾性フィラメント13はすべて同径で、等ピッチで配置されていたので、伸縮シート10のどの部分をとっても伸長応力は同じになっていた。しかし、これに代えて、弾性フィラメントの伸長方向における伸長応力が異なる2以上の領域からなるように伸縮シートを構成してもよい。2つ以上の該領域は、該伸長方向に対してほぼ並列配置されている。この場合、伸長応力が異なる各領域間では、隣り合う弾性フィラメントのピッチが異なっているか、及び/又は、弾性フィラメントの直径が異なっている。それによって各領域間での伸長応力を異ならせることができる。
【0093】
伸縮シート10に部分的にエンボス加工を行ったり、弾性フィラメント13を部分的にカットしたり部分的に熱シールしたりすることもできる。これらの操作は、伸縮シート10に伸縮しない部分を形成したり、強度を部分的に上げたりする目的で行われる。あるいは、他の部材と貼り合わせたり、デザイン性を持たせたりする目的で行う。
【0094】
また、弾性フィラメント13を不織布11,12に接合した後に行う延伸に関し、延伸方向は不織布11,12の流れ方向のみでなく、例えば斜めであっても良い。更に、2種以上の延伸方法を組み合わせたり、段階的に延伸倍率を上げたり、部分的に延伸を行ったりすることもできる。延伸方向は一方向のみでなく、直交する二方向であってもよい。一方向に伸縮する不織布とこれに直交する方向に伸縮する不織布とを接合して、伸縮シートの全方向に伸縮性を持たせることもできる。
【0095】
また前記実施形態の製造方法においては、複合体19の延伸加工に一対の歯溝ロール20,21を備えた延伸装置を用いたが、これに代えてテンターを備えた延伸装置を用いて延伸加工を行ってもよい。
【0096】
更に、前記の製造方法において、弾性フィラメント13と不織布11,12とを接合する方法の別法として、一方の不織布上に直接弾性フィラメント13を溶融延伸することなしにダイレクト押出することもできるこの場合の延伸倍率は1倍である。また、弾性フィラメント13と不織布11,12とを接合する前に、不織布又は弾性フィラメントに接着剤を塗布し、その後に弾性フィラメントを実質的に未伸長の状態で貼り合わせることもできる。更に、接着剤を塗布せずに、弾性フィラメント13と不織布11,12とを重ねた後に熱処理(エアスルー法による熱風の吹き付け、スチームジェット、ヒートエンボス)や、機械交絡(ニードルパンチ、スパンレース)などを行うこともできる。このとき、不織布の代わりに繊維ウエブを片面又は両面に用いることもできる。
【実施例】
【0097】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明の範囲はかかる実施例に制限されるものではない。
【0098】
弾性フィラメントの形成材料(樹脂組成物)として、下記の8種類のA1−B−A2型トリブロック共重合体(1)〜(8)を用意した。トリブロック共重合体(1)〜(5)は、本発明の範囲内のものであり、トリブロック共重合体(6)〜(8)は、本発明の範囲外のものである。
【0099】
A1−B−A2型トリブロック共重合体(1): A1’−B’−A2’型トリブロック共重合体(SEPSトリブロック共重合体、スチレン含有量30重量%、エチレン−プロピレン含有量70重量%、A1’、A2’の重量平均分子量7500、B1の重量平均分子量35000)を80重量%、A1’’−B’’−A2’’型トリブロック共重合体(SEPSトリブロック共重合体、スチレン含有量18重量%、エチレン−プロピレン含有量82重量%A1’’、A2’’の重量平均分子量8100、B’’の重量平均分子量73800)20重量%をヘンシェルミキサーで混合したものを、トリブロック共重合体(1)として用いた。トリブロック共重合体(1)の前記溶融張力の最大値(245℃で加熱溶融された状態で、内径0.45mm、長さ4.5mmの円筒形状のノズル孔より吐出速度8.4m/min.で吐出されたときの溶融張力の最大値)は、0.07cNであった。
【0100】
トリブロック共重合体(1)における重合体ブロックA1の重量平均分子量は、〔(重合体ブロックA1’の重量平均分子量)×(樹脂組成物に含まれる2種類以上のA1−B−A2型トリブロック共重合体の合計量に占める、当該A1’−B’−A2’の含有率)+(重合体ブロックA1’’の重量平均分子量)×(樹脂組成物に含まれる2種類以上のA1−B−A2型トリブロック共重合体の合計量に占める、当該A1’’−B’’−A2’’の含有率)=〕7620であった。
トリブロック共重合体(1)における重合体ブロックBの重量平均分子量は、〔(重合体ブロックB’の重量平均分子量)×(樹脂組成物に含まれる2種類以上のA1−B−A2型トリブロック共重合体の合計量に占める、当該A1’−B’−A2’の含有率)+(重合体ブロックB’’の重量平均分子量)×(樹脂組成物に含まれる2種類以上のA1−B−A2型トリブロック共重合体の合計量に占める、当該A1’’−B’’−A2’’の含有率)=〕42760であった。
トリブロック共重合体(1)における重合体ブロックA2の重量平均分子量は、〔(重合体ブロックA2’の重量平均分子量)×(樹脂組成物に含まれる2種類以上のA1−B−A2型トリブロック共重合体の合計量に占める、当該A1’−B’−A2’の含有率)+(重合体ブロックA2’’の重量平均分子量)×(樹脂組成物に含まれる2種類以上のA1−B−A2型トリブロック共重合体の合計量に占める、当該A1’’−B’’−A2’’の含有率)=〕7620であった。
【0101】
A1−B−A2型トリブロック共重合体(2):A1−B−A2型トリブロック共重合体(SEPSトリブロック共重合体、スチレン含有量18重量%、エチレン−プロピレン含有量82重量%、A1、A2の重量平均分子量8100、B1の平均分子量73800)100重量%をトリブロック共重合体(2)として用いた。トリブロック共重合体(2)の前記溶融張力の最大値は0.13cNであった。
【0102】
A1−B−A2型トリブロック共重合体(3): A1−B−A2型トリブロック共重合体(SEBSトリブロック共重合体、スチレン含有量20重量%、エチレン−ブチレン含有量80重量%、A1、A2の重量平均分子量9400、B1の平均分子量75200)100重量%をトリブロック共重合体(3)として用いた。トリブロック共重合体(3)の前記溶融張力の最大値は0.15cNであった。
【0103】
A1−B−A2型トリブロック共重合体(4): A1’−B’−A2’型トリブロック共重合体(SEPSトリブロック共重合体、スチレン含有量30重量%、エチレン−プロピレン含有量70重量%、A1’、A2’の重量平均分子量7500、B1の平均分子量35000)を60重量%、A1’’−B’’−A2’’型トリブロック共重合体(SEPSトリブロック共重合体、スチレン含有量18重量%、エチレン−プロピレン含有量82重量%、A1’’、A2’’の重量平均分子量8100、B’’の重量平均分子量73800)40重量%をヘンシェルミキサーで混合したものを、トリブロック共重合体(4)として用いた。トリブロック共重合体(4)の前記溶融張力の最大値は、0.20cNであった。
【0104】
トリブロック共重合体(4)における重合体ブロックA1の重量平均分子量は、〔(重合体ブロックA1’の重量平均分子量)×(樹脂組成物に含まれる2種類以上のA1−B−A2型トリブロック共重合体の合計量に占める、当該A1’−B’−A2’の含有率)+(重合体ブロックA1’’の重量平均分子量)×(樹脂組成物に含まれる2種類以上のA1−B−A2型トリブロック共重合体の合計量に占める、当該A1’’−B’’−A2’’の含有率)=〕7740であった。
トリブロック共重合体(4)における重合体ブロックBの重量平均分子量は、〔(重合体ブロックB’の重量平均分子量)×(樹脂組成物に含まれる2種類以上のA1−B−A2型トリブロック共重合体の合計量に占める、当該A1’−B’−A2’の含有率)+(重合体ブロックB’’の重量平均分子量)×(樹脂組成物に含まれる2種類以上のA1−B−A2型トリブロック共重合体の合計量に占める、当該A1’’−B’’−A2’’の含有率)=〕50520であった。
トリブロック共重合体(4)における重合体ブロックA2の重量平均分子量は、〔(重合体ブロックA2’の重量平均分子量)×(樹脂組成物に含まれる2種類以上のA1−B−A2型トリブロック共重合体の合計量に占める、当該A1’−B’−A2’の含有率)+(重合体ブロックA2’’の重量平均分子量)×(樹脂組成物に含まれる2種類以上のA1−B−A2型トリブロック共重合体の合計量に占める、当該A1’’−B’’−A2’’の含有率)=〕7740であった。
【0105】
A1−B−A2型トリブロック共重合体(5): A1’−B’−A2’トリブロック型共重合体(SEPSトリブロック共重合体、スチレン含有量30重量%、エチレン−プロピレン含有量70重量%、A1’、A2’の重量平均分子量7500、B1の平均分子量35000)を50重量%、A1’’−B’’−A2’’型トリブロック共重合体(SEPSトリブロック共重合体、スチレン含有量30重量%、エチレン−プロピレン含有量70重量%、A1’’、A2’’の重量平均分子量10500、B’’の重量平均分子量49000)50重量%をヘンシェルミキサーで混合したものを、トリブロック共重合体(5)として用いた。トリブロック共重合体(5)の前記溶融張力の最大値は、0.07cNであった。
【0106】
トリブロック共重合体(5)における重合体ブロックA1の重量平均分子量は、〔(重合体ブロックA1’の重量平均分子量)×(樹脂組成物に含まれる2種類以上のA1−B−A2型トリブロック共重合体の合計量に占める、当該A1’−B’−A2’の含有率)+(重合体ブロックA1’’の重量平均分子量)×(樹脂組成物に含まれる2種類以上のA1−B−A2型トリブロック共重合体の合計量に占める、当該A1’’−B’’−A2’’の含有率)=〕9000であった。
トリブロック共重合体(5)における重合体ブロックBの重量平均分子量は、〔(重合体ブロックB’の重量平均分子量)×(樹脂組成物に含まれる2種類以上のA1−B−A2型トリブロック共重合体の合計量に占める、当該A1’−B’−A2’の含有率)+(重合体ブロックB’’の重量平均分子量)×(樹脂組成物に含まれる2種類以上のA1−B−A2型トリブロック共重合体の合計量に占める、当該A1’’−B’’−A2’’の含有率)=〕42000であった。
トリブロック共重合体(5)における重合体ブロックA2の重量平均分子量は、〔(重合体ブロックA2’の重量平均分子量)×(樹脂組成物に含まれる2種類以上のA1−B−A2型トリブロック共重合体の合計量に占める、当該A1’−B’−A2’の含有率)+(重合体ブロックA2’’の重量平均分子量)×(樹脂組成物に含まれる2種類以上のA1−B−A2型トリブロック共重合体の合計量に占める、当該A1’’−B’’−A2’’の含有率)=〕9000であった。
【0107】
A1−B−A2型トリブロック共重合体(6):A1−B−A2型トリブロック共重合体(SEPSトリブロック共重合体、スチレン含有量30重量%、エチレン−プロピレン含有量70重量%、A1、A2の重量平均分子量10500、B1の平均分子量49000)100重量%をトリブロック共重合体(6)として用いた。トリブロック共重合体(6)の前記溶融張力の最大値は0.08cNであった。
【0108】
A1−B−A2型トリブロック共重合体(7): A1−B−A2型トリブロック共重合体(SEBSトリブロック共重合体、スチレン含有量20重量%、エチレン−ブチレン含有量80重量%、A1、A2の重量平均分子量4750、B1の平均分子量38000)100重量%をトリブロック共重合体(7)として用いた。トリブロック共重合体(7)の前記溶融張力の最大値は、0.05cNであった。
【0109】
A1−B−A2型トリブロック共重合体(8): A1−B−A2型トリブロック共重合体(SEBSトリブロック共重合体、スチレン含有量30重量%、エチレン−含有量70重量%、A1、A2の重量平均分子量22750、B1の平均分子量84500)100重量%をトリブロック共重合体(8)として用いた。図5の如く溶融張力を測定したが、高粘度のために押し出すことができず、測定するに至らなかった。
【0110】
〔実施例1〕
図3に示す如き装置を用いて複合体19(図1及び図2に示す如き伸縮シート10の前駆体)を得、これを実施例1のサンプルとした。即ち、内径0.45mm、長さ4.5mmの円筒形状のノズル孔が1mm間隔で一直線上に250個配列された紡糸ノズル16を備えた紡糸ヘッド17を、一軸押出機に取り付けた構成の装置を用いて、樹脂組成物としての前記トリブロック共重合体(1)を、溶融温度290℃、吐出量0.3kg/分で紡糸ノズル16より吐出させて、弾性フィラメント13の前駆体であるフィラメントを得、該フィラメントを、紡糸ノズル16から下方に100mm離間した位置にて、150m/min.の速度で繰り出される坪量20g/m、厚さ0.4mm、繊維径3dtexのエアスルー不織布11及び12ではさみ込んで接合させ、弾性フィラメント13が不織布11と不織布12との間に挟持された複合体19を得た。尚、不織布11及び12は、何れも本来的に伸長性を有しないものである。
【0111】
〔実施例2〜5及び比較例1〜3〕
実施例1において、樹脂組成物として、トリブロック共重合体(1)に代えて前記トリブロック共重合体(2)〜(8)をそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にして複合体19を得、これらを実施例2〜5及び比較例1〜3のサンプルとした。
【0112】
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた複合体19(弾性フィラメント13)の特性を、樹脂組成物(弾性フィラメント13の形成材料)の組成と併せて下記表1及び表2に示す。表1及び表2中の各項目の測定方法は次の通りである。
【0113】
<弾性フィラメントの紡糸成形性>
弾性フィラメントの形成材料である樹脂組成物〔前記トリブロック共重合体(1)〜(8)〕を、245℃で加熱溶融された状態で、内径0.45mm、長さ4.5mmの円筒形状のノズル孔より吐出速度8.4m/min.で図5に示す如く吐出させてフィラメントとし、該ノズル孔から下方に100mmの位置に設置されたステンレス板上にて該フィラメントを採取する。採取したフィラメントが破断せずに連続しており、且つ該フィラメントをマイクロスコープで200倍に拡大して観察したときに、フィラメントの側面が平滑である場合を○(紡糸成形性良好)とし、フィラメントが破断して不連続になっている場合、又はフィラメントがダイスウェルによって太さが不均一になる場合を×とする。
【0114】
<蛇行状態>
実施例及び比較例で得られた複合体から、機械流れ方向(MD方向、複合体製造時における該複合体の流れ方向)に30cmをサンプリングし、弾性フィラメントの蛇行状態を、該弾性フィラメントを被覆している不織布越しに目視観察する。隣接する250本の弾性フィラメントが1本も交差又は接触していない場合を○とし、1本でも交差又は接触している場合を×とする。
【0115】
<おむつずれ落ち性>
実施例及び比較例で得られた複合体に、図4に示す如き一対の歯溝ロールを備えた延伸装置を用いて延伸処理を施し、図1及び図2に示す如き伸縮シートを作製し、これをおむつの外層シートとして用い、ウエスト部の周長が35cmのパンツ型使い捨ておむつを作製した。図6に示すように、このおむつを周長44cmのアクリルパイプにはかせ、おむつ下部を鰐口クリップで留め、該クリップが上側に来るようにし、アクリルパイプをジャッキに載せた。このときに、おむつのウエスト部の位置をアクリルパイプに記しておき(このときの位置を初期位置Aとする)、クリップを固定したまま、ジャッキを50mm下げた。ジャッキを50mm下げた後のウエスト部の位置(このときの位置をズレ位置とする)と初期位置Aとの距離を測定し、この距離をおむつのズレ落ち量とした。該ズレ落ち量が10mm未満の場合を◎(おむつずれ落ち性非常に良好)、10mm以上20mm未満の場合を○(おむつずれ落ち性良好)、20mm以上30mm未満を△(実用上問題ないレベル)、30mm以上を×と判定した。
【0116】
【表1】

【0117】
【表2】

【0118】
表1及び表2に示す結果から明らかなように、実施例1〜5は、何れも本発明の範囲内の樹脂組成物を用いているため、フィラメントの紡糸成形性に優れ、伸縮シートにおいてはフィラメントの蛇行がなく、伸縮シートをおむつに用いた場合にはずれ落ち難いおむつが得られる。これに対し比較例1では、ダイスウェルによってフィラメントの太さが均一でなくなり、極端に細くなった部分からフィラメントが破断し、連続フィラメントを得ることができなかった。比較例2では、太さは均一であるが、溶融張力が低いためにフィラメントが破断し、連続フィラメントを得ることができなかった。このため、比較例1及び2では、得られた伸縮シートをおむつに用いた場合に、フィラメントの破断による伸縮特性の低下のため、ずれ落ち性が悪化した。比較例3では、トリブロック共重合体(8)が高粘度のために紡糸成形できず、フィラメントを得ることができなかった。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】図1は、本発明の伸縮シートの一実施形態を示す一部破断斜視図である。
【図2】図2(a)及び図2(b)はそれぞれ、図1に示す伸縮シートにおける弾性フィラメントの延びる方向に沿う自然状態及び伸長状態での縦断面図である。
【図3】図3は、図1に示す伸縮シートの製造に好適に用いられる装置を示す模式図である。
【図4】図4は、複合体が延伸される状態を示す模式図である。
【図5】図5は、溶融張力の測定方法の説明図である。
【図6】図6は、おむつずれ落ち性の評価方法の説明図である。
【符号の説明】
【0120】
10 伸縮シート
11 第1の不織布
12 第2の不織布
13 弾性フィラメント
14 高坪量領域
14’ 頂部
14” 谷部
15 低坪量領域
15’ 稜線部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビニル芳香族重合体を主体とする重合体ブロックA1及びA2と、ポリオレフィンを主体とする重合体ブロックBとからなる、A1−B−A2型トリブロック共重合体を含んで構成される樹脂組成物からなる弾性フィラメントであって、
前記重合体ブロックA1及びA2それぞれのゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定される重量平均分子量の合計が14000〜20000であり、且つ前記重合体ブロックBのゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定される重量平均分子量が40000〜80000である弾性フィラメント。
【請求項2】
前記樹脂組成物は、245℃で加熱溶融された状態で、内径0.45mm、長さ4.5mmの円筒形状のノズル孔より吐出速度8.4m/min.で吐出されたときの溶融張力の最大値が、0.06〜0.20cNである請求項1記載の弾性フィラメント。
【請求項3】
互いに交差せずに一方向に延びるように配列した多数の請求項1又は2記載の弾性フィラメントが、伸張可能な不織布の少なくとも片面に接合されてなる伸縮シート。
【請求項4】
請求項3記載の伸縮シートを用いた吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−30182(P2009−30182A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−192665(P2007−192665)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】