説明

弾性表面波素子を用いた変位センサ、変位測定方法及び変位測定装置。

【課題】弾性表面波の伝播経路の特性に影響されない小型な変位センサを提供する。
【解決手段】圧電材料基板10を挟んで、弾性表面波伝播面α,βを対向させ、弾性表面波の伝播方向の互いの距離が可変となるように圧電材料基板10の表面に配置した2つの弾性表面波素子弾性表面波素子20,30のうち一方の弾性表面波素子20の櫛歯電極22にアンテナ40を介して印加した高周波信号によって励起される弾性表面波が前記弾性表面波伝播面αから圧電材料基板10を介して伝播することにより、他方の弾性表面波素子30の櫛歯電極32に、一方の弾性表面波素子20の櫛歯電極22に印加した高周波信号より遅れた高周波信号が得られ、アンテナ42を介して出力される。変位計測装置100では、この遅れ時間と圧電材料基板10における弾性表面波の伝播速度を乗じて2つの弾性表面波素子20,30間の変位を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性表面波素子を用い、弾性表面波の伝達遅れを利用して変位を測定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波センサを用いて対象物までの距離を計測する試みは多くなされている。例えば、超音波センサから超音波を送信し、対象物から反射してきた超音波を、その超音波センサで受信する。そして、超音波の送信から受信までの遅延時間や送信した超音波と受信した超音波の位相差により対象物までの距離を計測する超音波距離計がある。
【0003】
このような超音波距離計において、対象物までの距離を正確に計測するため、対象物が移動する場合に、対象物の移動速度に基づいて移動平均処理を施したり、対象物からの反射波の反射強度に基づいて移動平均処理を施したりしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−291857号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の超音波距離計では、下記(1)〜(3)に示すような問題がある。
(1)超音波の伝播経路が空間(気体中)や構造物内部(固体中)であることからエネルギ拡散損失が大きく、また伝播経路での乱反射によるノイズの影響を受けやすい。
【0005】
(2)これを補うためには、高出力の素子や伝播経路の最適化が必要であることから、センサ全体として小型化が困難である。
(3)また、伝播経路の温度による音速変化を別途温度センサなどで補正する必要がある。
【0006】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたもので、弾性表面波の伝播経路の特性に影響されない小型な変位センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる問題を解決するためになされた請求項1に記載の変位センサ(1:この欄においては、発明に対する理解を容易にするため、必要に応じて「発明を実施するための最良の形態」欄において用いた符号を付すが、この符号によって請求の範囲を限定することを意味するものではない。)は、伝播材(10)と2つの弾性表面波素子(20,30)とを備えている。
【0008】
伝播材(10)は、弾性表面波を伝播し、2つの弾性表面波素子(20,30)は、伝播材(10)を挟んで、弾性表面波伝播面が対向し、弾性表面波の伝播方向の互いの距離が可変となるように構成された、櫛歯電極(22,32)を有する弾性表面波素子である。
【0009】
また、弾性表面波素子(20,30)のうち一方の弾性表面波素子(20)の櫛歯電極(22)に印加した高周波信号によって励起される弾性表面波が弾性表面波伝播面から伝播材(10)を介して伝播することにより、他方の弾性表面波素子(30)の櫛歯電極(32)に、一方の弾性表面波素子(20)の櫛歯電極に印加した高周波信号より遅れた高周波信号が得られる。
【0010】
このような、変位センサ(1)では、一方の弾性表面波素子(20)の櫛歯電極(22)に印加された高周波信号により弾性表面波が励起され、励起された弾性表面波が弾性表面波伝播面から伝播材(10)を介し他方の弾性表面波素子(30)に伝達される。他方の弾性表面波素子(30)では、伝達された弾性表面波が櫛歯電極(32)により高周波信号として得られる。
【0011】
つまり、他方の弾性表面波素子(30)では、一方の弾性表面波素子(20)の櫛歯電極(22)に印加された高周波信号よりも伝播材(10)を伝播する伝播時間分だけ遅れた高周波信号が得られる。
【0012】
したがって、得られた伝播時間に伝播材(10)における弾性表面波の速度を乗ずれば、弾性表面波素子(20)と弾性表面波(30)との間の距離を得ることができる。
さらに、弾性表面波素子(20)と弾性表面波素子(30)の弾性表面波の伝播方向の互いの距離が可変となるように構成されているので、互いの弾性表面波素子(20,30)の素子間の変位を計測することができる。
【0013】
また、伝播材(10)を介して弾性表面波を伝播させている。伝播材(10)は、空間(気体)や構造物と異なり、エネルギ拡散も少なく、伝播経路中での乱反射も少ないので、ノイズの影響を受けにくい。
【0014】
また、伝播材(10)の特性は前もって把握でき、必要に応じた特性を有する伝播材(10)を選択又は製造することが可能であり、伝播経路の特性を補正する必要はない。
また、ノイズが少ないので、弾性表面波素子(20,30)を小出力とすることができるし、伝播材(10)の材質の選択や特性改善のみによって伝播経路の最適化を行うこともできる。つまり伝播経路の最適化のために他の装置等を必要としないので、変位センサ(1)を小型化することもできる。
【0015】
ところで、表面弾性波素子(20,30)が移動できるように構成されているので、弾性表面波素子(20,30)に高周波信号を外部から印加したり、弾性表面波素子(20,30)で得られた高周波信号を外部へ出力したりする場合、非接触で高周波の入出力ができると都合がよい。
【0016】
そこで、請求項2に記載のように、一方の弾性表面波素子(20)の櫛歯電極(22)に外部から高周波を印加するとともに、他方の弾性表面波素子(30)の櫛歯電極(32)で得られた高周波を外部へ出力するためのアンテナ(40,42)を備えるようにすると、弾性表面波素子(20,30)に対する高周波信号の入出力を非接触で行うことができるので、高周波信号の入力にケーブルや接触子が必要なくなる。したがって、回転体など動きのある部分への設置が可能となる。
【0017】
請求項3に記載の変位センサ(2)は、弾性表面波の伝播材(10)、櫛歯電極(22)を有する弾性表面波素子(20)及び弾性表面波素子から励起される弾性表面波を反射する反射面を有する反射器(34)を備え、弾性表面波素子(20)と、反射器(34)は、伝播材(10)を挟んで、弾性表面波素子(20)の弾性表面波伝播面と反射器(34)の反射面とを対向させ、弾性表面波素子(20)の弾性表面波伝播面と反射器(34)の反射面の距離が可変となるように構成し、弾性表面波素子(20)の櫛歯電極(22)に印加した高周波信号によって励起される弾性表面波が弾性表面波伝播面から伝播材(10)を介して伝播し、さらに、反射器(34)の反射面で反射することにより、弾性表面波素子(20)の櫛歯電極(22)に、弾性表面波素子(20)の櫛歯電極(22)に印加した高周波信号より遅れた高周波信号が得られることを特徴としている。
【0018】
このような変位センサ(2)によれば、入力された高周波信号により弾性表面波素子(20)で励起された弾性表面波が伝播材(10)を介して反射器(34)で反射され、反射された弾性表面波が伝播材(10)を介して弾性表面波素子(20)で高周波信号として得られる。
【0019】
この際、入力した高周波信号と反射した後に得られる高周波信号とには遅延時間が生じる。したがって、その遅延時間に伝播材(10)における弾性表面波の速度を乗ずれば、弾性表面波素子(20)から反射器(34)までの距離を得ることができる。
【0020】
さらに、弾性表面波素子(20)の弾性表面波伝播面と反射器(34)の反射面の距離が可変となるように構成されているので、弾性表面波素子(20)と反射器(34)の間の変位を計測することができる。
【0021】
また、請求項1に記載の変位センサ(1)における弾性表面波素子(30)の代わりに反射器(34)を用いているので、1つのアンテナ(40)しか必要としない。したがって、より小型化することができ、製造コストも安価にすることができる。
【0022】
また、請求項4に記載に記載のように、弾性表面波素子(20)の櫛歯電極(22)に外部から高周波を印加するとともに、反射器(34)から反射され弾性表面波素子(20)の櫛歯電極(22)で得られた高周波を外部へ出力するためのアンテナ(40)を備えると、請求項2に記載の変位センサ(1)と同様に、弾性表面波素子(20)に対する高周波信号の入出力を非接触で行うことができるので、高周波信号の入力にケーブルや接触子が必要なくなる。したがって、回転体など動きのある部分への設置が可能となる。
【0023】
請求項5に記載の変位測定方法は、請求項1又は請求項2に記載の変位センサ(1)を用い、一方の弾性表面波素子(20)の櫛歯電極(22)に印加した高周波信号と、他方の弾性表面波素子(30)の櫛歯電極(32)から得られる高周波信号との時間差及び伝播材(10)における弾性表面波の速度から変位を測定することを特徴とする。
【0024】
このような変位測定方法によれば、一方の弾性表面波素子(20)に印加した高周波信号と他方の弾性表面波素子(30)から得られる高周波信号の時間差は、それぞれの弾性表面波素子(20、30)の間にある伝播材(10)を伝播する弾性表面波によるものであるから、伝播材(10)における弾性表面波の速度が分かれば、時間差に弾性表面波の速度を乗じて2つの弾性表面波素子(20,30)間の変位を得ることができる。
【0025】
請求項6に記載の変位測定方法は、請求項3又は請求項4に記載の変位センサ(2)を用い、弾性表面波素子(20)の櫛歯電極(22)に印加した高周波と、反射器(34)から反射され弾性表面波素子(20)から得られる高周波信号との時間差及び伝播材(10)における弾性表面波の速度から変位を測定することを特徴とする。
【0026】
このような変位測定方法によれば、弾性表面波素子(20)に印加した高周波信号とその弾性表面波素子(20)から得られる高周波信号の時間差は、弾性表面波素子(20)と反射器(34)との間にある伝播材(10)を伝播する弾性表面波によるものであるから、伝播材(10)における弾性表面波の速度が分かれば、時間差に弾性表面波の速度を乗じて、1/2とすれば、弾性表面波素子(20)と反射器(34)間の変位を得ることができる。
【0027】
請求項7に記載の変位測定装置(5,7)は、弾性材料を用いて他の物理量を変位量に変換する変換手段(60)を備え、変換手段(60)により他の物理量から変換された変位を請求項5又は請求項6に記載の変位測定方法により測定可能に構成されたことを特徴とする。
【0028】
このような変位測定装置(5,7)によれば、変換手段(60)により他の物理量を変位量に変換し、例えば、圧力を弾性体で変位に変換すれば、その変位を請求項5又は請求項6に記載の変位測定方法により測定することができる。
【0029】
つまり、請求項5又は請求項6に記載の変位測定方法を用いて、例えば、圧力などの変位以外の物理量も測定することが可能となる。
請求項8に記載の変位測定器具(9)は、請求項5又は請求項6に記載の変位測定方法を用いて変位測定可能に構成されたことを特徴とする。
【0030】
このような変位測定器具(9)は、例えば、ノギスやマイクロメータなどのように、構成品の一部をスライドさせ、変位させる部分に対して請求項5又は請求項5に記載の変位測定方法を用いれば、スライドする部分の変位を測定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明が適用された実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
[第1実施形態]
(変位センサ1の構成)
図1は、変位センサ1の概略の構成と各構成部分における信号の伝達の様子を示す図である。変位センサ1は、図1(a)に示すように、圧電材料基板10、弾性表面波素子20,30及びアンテナ40,42を備えている。
【0032】
圧電材料基板10は、基板材料及びカット方向によりレイリー波やリーキー波等の様々な波の伝播形態が混在するが、本第1実施形態では、低リップル・低群遅延特性に優れた材料であるSTカット水晶(レイリー波)を用いる。STカット水晶は温度特性に優れており、常温付近で1次温度係数が零となる点を有する圧電基板材料である。
【0033】
弾性表面波素子20は、外部の変位計測装置100から供給される高周波信号を弾性表面波に変換する素子であり、櫛歯電極22を備えている。
櫛歯電極22は、電気信号を弾性表面波に変換する変換器であり、2つの櫛形金属電極の櫛歯部分が交差するように対向して配置され、アンテナ40で受信した電気信号を弾性表面波に変換し、櫛歯に対して垂直方向へ弾性表面波を出力する。
【0034】
弾性表面波素子30は、弾性表面波を電気信号に変換するものであり、構造は弾性表面波素子20と同じである。弾性表面波素子30は、圧電材料基板10を伝播してきた弾性表面波を櫛歯電極32で電気信号に変換し、アンテナ42を介して変位計測装置100へ出力する。
【0035】
アンテナ40は、変位計測装置100から供給される高周波信号を受信するためのアンテナであり、タブレットアンテナやパッチアンテナなどを用いることができ、変位計測装置100までの距離や取付け部分の形状、あるいは用いる高周波信号の周波数によって最適な形態や特性を有するアンテナを用いることができる。
【0036】
アンテナ42は、櫛歯電極32から出力される高周波信号を外部の変位計測装置100へ出力するためのものであり、アンテナ40と同じ構造を有している。
弾性表面波素子20と弾性表面波素子30とは、圧電材料基板10を挟んで、互いの弾性表面波伝播面αが対向し、弾性表面波の伝播方向の互いの距離が可変となるように圧電材料基板10の表面に配置されている。
【0037】
(変位計測装置100の構成)
次に、変位計測装置100の構成について説明する。変位計測装置100は、アンテナ110、高周波信号発生部112、スイッチ114、電圧計116及び信号処理部200を備えている。
【0038】
アンテナ110は、高周波信号発生部112で発生した高周波信号を外部の変位センサ1に出力するとともに、変位センサ1から出力される高周波信号を入力するためのアンテナである。
【0039】
アンテナ110は、アンテナ40と同じように、タブレットアンテナやパッチアンテナなどを用いることができ、弾性表面波素子20,30までの距離や取付け部分の形状、あるいは用いる高周波信号の周波数によって最適な形態や特性を有するアンテナを用いることができる。
【0040】
高周波信号発生部112は、変位センサ1の櫛歯電極22において弾性表面波を発生させるための高周波信号を発生させるための発振器である。発振周波数は、315MHz、434MHz、2.45GHz帯などである。
【0041】
スイッチ114は、高周波信号発生部112で発生される高周波信号をアンテナ110へ供給したり供給させなかったりするためのスイッチであり、オンで高周波信号をアンテナ110へ供給し、オフで供給しないようにする。
【0042】
電圧計116は、高周波信号発生部112から出力される高周波信号及びアンテナ110から入力される高周波信号の電圧を計測するものである。
信号処理部200は、高周波信号発生部112から高周波信号を発生させたり、電圧計116で計測した高周波信号の電圧に基づいて変位センサ1において計測される変位の算出を行うものである。
【0043】
(信号処理部200の構成と作動)
次に、信号処理部200の構成と作動について図2、図3、図4、図5に基づき説明する。
【0044】
信号処理部200は、図2に示すように、アナログ回路部210とディジタル回路部250とを備えている。アナログ回路部210は、印加電圧生成部220と時間計測パルス生成部230とから構成される。
【0045】
印加電圧生成部220は、オフセット回路222、第1増幅回路224、フィルタ回路226及びアナログスイッチ228から構成される。
オフセット回路222は、図3(イ)に示すように、カウンタ258(図2参照)から出力されるGNDレベルを基準とする0[V]〜+5[V]のパルス波形(図4(ア)に示す。)にマイナスのオフセット電圧を印加し、±2.5[V]のパルス波形に変換する。
【0046】
第1増幅回路224は、図3(ウ)に示すように、オフセット回路222において得られた±2.5[V]のパルス波形を増幅し±5[V]のパルス波形に変換する。
フィルタ回路226は、ローパスフィルタであり、図3(エ)に示すように、第1増幅回路224で得られた±5[V]のパルス波形の高周波成分を除去し、振幅5[V]の正弦波を生成する。
【0047】
アナログスイッチ228は、図3(オ)に示すように、カウンタ258(図2参照)にゲートパルスが入力されると、図3(カ)に示すように、フィルタ回路226で生成した正弦波を外部へ出力する。
【0048】
次に、時間計測パルス生成部230は図2に示すように、クリップ回路232、オフセット回路234、半波整流回路236、第2増幅回路238、平滑回路240及び比較回路242から構成される。
【0049】
クリップ回路232は、図4(ア)に示すような電圧計116から入力される検出電圧波形を、図4(イ)に示すように、出力の最大値が回路を構成する図示しないオペアンプの最大出力値である±10[V]となるよう検出電圧波形のピーク値をクリップする。
【0050】
オフセット回路234は、図4(ウ)に示すように、クリップ回路232から出力される電圧波形に重畳しているノイズの最大値の電圧をマイナスするようにオフセット電圧を印加する。
【0051】
半波整流回路236は、図4(エ)に示すように、オフセット回路234の出力電圧を半波整流し、出力電圧のプラス側成分のみを取り出して出力する。
第2増幅回路238は、図4(オ)に示すように、半波整流回路236の出力を図示しないオペアンプの飽和出力値まで増幅する。
【0052】
平滑回路240は、ローパスフィルタであり、図4(カ)に示すように、第2増幅回路238の出力(パルス波形)の高周波成分を除去し、複数のパルス群からなる波形を立ち上がり及び立ち下がりが鋭くない1つのパルス波形に変換する。
【0053】
比較回路242は、図4(キ)に示すように、平滑回路240の出力パルスと予め定められている比較電圧とを比較し、出力パルスの立ち上がり電圧が比較電圧を超えたときに一定電圧を出力し、出力パルスの立ち下がり電圧が比較電圧より小さくなったときに、出力を停止する。
【0054】
このようにすると、平滑回路240から出力される立ち上がり及び立ち下がりが鋭くないパルス波形が、立ち上がり及び立ち下がりが鋭いパルス波形に整形される。このようにして、波形が整形されたパルスが時間計測パルスとして外部に出力される。
【0055】
次に、ディジタル回路部250では、図5(ア)に示すように、カウンタ258(図2参照)において、図示しないパルス発生器でカウントの基準となる一定周波数のカウント周波数パルスが生成されている。
【0056】
そして、図5(イ)に示すように、図示しない第1カウント回路においてカウント周波数パルス数がカウントされ、所定のカウント値に達した場合、第1カウント回路がリセットされるとともに、図5(ウ)に示すように、印加周波数パルスが立ち上がる。
【0057】
そして、再びカウントが行われカウント値が所定の値に達すると印加周波数パルスが立ち下げられる。このようにして、印加周波数パルスが生成され、印加電圧生成部220のオフセット回路222に出力される。
【0058】
そして、図5(エ)に示すように、印加周波数パルスがオフセット回路222に出力されるとともに、図示しない第2カウント回路においてそのパルス数がカウントされ、パルス数が所定の値に達すると、第2カウント回路がリセットされるとともに図5(オ)に示すように、印加周波数ゲートパルスが立ち上げられる。
【0059】
そして、図5(オ)に示すように、第2カウント回路において再び印加周波数パルスがカウントされ、所定の値に達すると印加電圧ゲートパルスが立ち下げられる。
このように印加電圧ゲートパルスが立ち上げ及び立ち下げられると、印加電圧ゲートパルスが立ち上げられてから立ち下げられるまでの間、図5(カ)に示すように検出電圧が時間計測パルス生成部230に入力される。
【0060】
そして、検出電圧がクリップ回路232に入力されると、図5(ク)に示すように、時間計測パルスの立ち下がりで、図示しない第3カウンタで時間カウントが開始され、遅延波により時間計測パルスが入力される。そして、そのパルスの立ち下がりで時間カウントが停止され、そのときのカウント値がカウンタ258からCPU252(図2参照)に出力される。
【0061】
CPU252は、メモリ254に記憶されている圧電材料基板10の伝播速度にカウンタ258から入力された時間カウント値に乗じて変位量を算出する。
(変位センサ1による変位計測)
次に、変位センサ1及び変位計測装置100を用いて変位を測定する方法について図1に基づき説明する。
【0062】
まず、変位計測装置100からアンテナ110を介して高周波信号が変位センサ1に対して出力される。変位センサ1では、アンテナ110から出力された高周波信号をアンテナ40で受信する。
【0063】
アンテナ40で受信された高周波信号は、弾性表面波素子20の櫛歯電極22に供給され、櫛歯電極22では、供給された高周波信号により弾性表面波が励起される。励起された弾性表面波は、弾性表面波伝播面αから圧電材料基板10を介して弾性表面波素子30に伝播する。
【0064】
弾性表面波素子30では、圧電材料基板10を伝播してくる弾性表面波を弾性表面波伝播面βから取得し、櫛歯電極32で高周波信号に変換し、アンテナ42から外部へ出力する。アンテナ42から出力された高周波信号は、変位計測装置100のアンテナ110で受信される。
【0065】
このときの各地点における信号の伝達の様子を示したのが図1(b)である。図1(b)の(ア)に示すように、変位計測装置100の内部のスイッチ114がオンされると高周波信号発生部112から出力される高周波信号がアンテナ110から出力される。
【0066】
このとき、変位計測装置100の電圧計116に、図1(b)の(イ)に示すように高周波信号が印加されるので、電圧計116で高周波信号の電圧が計測される。そして、高周波信号は、アンテナ40を介して弾性表面波素子20に印加され、弾性表面波に変換される。
【0067】
そして、弾性表面波は、弾性表面波素子30で高周波信号に変換され、アンテナ42から出力され、変位計測装置100の電圧計116に印加され、図1(b)(ウ)に示すように電圧計116によって再び電圧が計測される。
【0068】
したがって、変位計測装置100において、図1(b)(イ)、(ウ)に示すように電圧計116より電圧が計測される間の時間を計測し、計測した時間に圧電材料基板10における弾性表面波の速度を乗ずれば、弾性表面波素子20と弾性表面波素子30との間の変位を計測することができるのである。
【0069】
(変位センサ1の特徴)
このような、変位センサ1では、圧電材料基板10を介して弾性表面波が伝播していく。圧電材料基板10は、エネルギ拡散も少なく、伝播経路中での乱反射も少ないので、ノイズの影響を受けにくい。また、圧電材料基板10の特性を把握しておくことができるので、弾性表面波の伝播経路の特性を補正する必要もない。
【0070】
また、ノイズが少ないので、弾性表面波素子20を小出力とすることができ、また、圧電材料基板10の材質の選択や特性改善のみによって伝播経路の最適化を行うこともできる。つまり伝播経路の最適化のために他の装置等を必要としないので、変位センサ1を小型化することもできる。
【0071】
さらに、弾性表面波素子20の櫛歯電極22に、アンテナ40を介して外部から高周波を印加するとともに、弾性表面波素子30の櫛歯電極32で得られた高周波をアンテナ42を介して出力している。
【0072】
つまり、弾性表面波素子20,30に対する高周波信号の入出力を非接触で行うことができるので、高周波信号の入力にケーブルや接触子が必要なくなる。したがって、変位センサ1の回転体など動きのある部分への取付が可能となる。
【0073】
[第2実施形態]
次に、変位センサ2について図6に基づき説明する。図6は、変位センサ2の概略の構成と各構成部分における信号の伝達の様子を示す図である。なお、変位センサ2は第1実施形態における変位センサ1と同じ構成品が多いので、同じものには同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0074】
変位センサ2は、図6(a)に示すように、第1実施形態の変位センサ1において、弾性表面波素子30を反射器34に置き換えたものである。
反射器34は、弾性表面波素子20から励起される弾性表面波を反射する反射面γを有するものであり、圧電材料基板10を挟んで、弾性表面波素子20の弾性表面波伝播面αと反射器34の反射面γとを対向させ、弾性表面波素子20の弾性表面波伝播面αと反射器34の反射面γの距離が可変となるように圧電材料基板10の表面に配置している。
【0075】
アンテナ40は、弾性表面波素子20の櫛歯電極22に外部から高周波を印加するとともに、弾性表面波素子20の櫛歯電極22で得られた高周波を外部へ出力する。
つまり、アンテナ40は、外部から入力される高周波信号を受信し、弾性表面波素子20へ供給するとともに、弾性表面波素子20で励起され、反射器34で反射された弾性表面波が弾性表面波素子20で高周波信号に変換されたものを外部へ出力する。
【0076】
(変位センサ2の作動)
変位センサ2は、弾性表面波素子20の櫛歯電極22に印加した高周波信号によって励起される弾性表面波が弾性表面波伝播面αから圧電材料基板10を介して伝播させ、さらに、反射器34の反射面γで反射させることにより、弾性表面波素子20の櫛歯電極22に、弾性表面波素子20の櫛歯電極22に印加した高周波信号より遅れた高周波信号を得る。
【0077】
このときの各地点における信号の伝達の様子を示したのが図6(b)である。図6(b)の(ア)に示すように、変位計測装置100の内部のスイッチ114がオンされると高周波信号発生部112から出力される高周波信号がアンテナ110から出力される。
【0078】
このとき、変位計測装置100の電圧計116に、図1(b)の(イ)に示すように高周波信号が印加されるので、電圧計116で高周波信号の電圧が計測される。そして、高周波信号は、アンテナ40を介して弾性表面波素子20に印加され、弾性表面波に変換される。
【0079】
そして、弾性表面波は、圧電材料基板10を伝橋し、反射器34で反射され、再度圧電材料基板10を伝播して弾性表面波素子20で高周波信号に変換される。
変換された高周波信号は、アンテナ40から出力され、変位計測装置100の電圧計116に印加され、図6(b)(ウ)に示すように電圧計116によって再び電圧が計測される。
【0080】
したがって、図6(b)(イ)、(ウ)に示すように電圧計116より電圧が計測される間の時間を計測し、計測した時間に圧電材料基板10における弾性表面波の速度を乗じ、その1/2を採れば、弾性表面波素子20と反射器34との間の変位を計測することができる。
【0081】
(変位センサ2の特徴)
変位センサ2は、変位センサ1における弾性表面波素子30の代わりに反射器34を用いているので、1つのアンテナ40しか必要としない。したがって、より小型化することができ、製造コストも安価にすることができる。
【0082】
[第3実施形態]
次に、変位測定装置5について図7に基づき説明する。図7は、変位測定装置5の概略の構成を示す構成図である。変位測定装置5は、変位を測定する装置であり、筐体50、大ラック52、小ラック54、大ピニオンギア56、小ピニオンギア58、スプリング60及び変位センサ2を備えている。
【0083】
変位測定装置5に用いられている変位センサ2は、第2実施形態における変位センサ2と同じものであるので、その構成品には同じ符号を付し、その構造や機能についての説明は省略する。
【0084】
筐体50は、金属や合成樹脂が角筒状に形成されてできている。
大ラック52は、筐体50の内部に筐体50の筒軸方向にスライド可能に装着されている。また大ラック52は、大ピニオンギア56の小径ギアと嵌合している。大ラック52の一端は、その端面が図7中筐体の右端面から約1/3の深さの位置でスプリング60の端面に接触するように装着され、他端は筐体50から外部へ突出するように装着されている。
【0085】
スプリング60は、螺旋バネであり、その軸が筐体50の筒軸方向と同じで、かつ、スプリング60の一端(図7中右端)が、大ラック52の一端(図7中左端)に接するように、筐体50の内部に装着されている。
【0086】
大ピニオンギア56は、大径ギアと小径ギアからなる歯車であり、大径ギアの歯は小ピニオンギア58、小径ギアは大ラック52とそれぞれ嵌合している。
小ピニオンギア58は、大ピニオンギア56の大径ギア及び小ラック54と嵌合している。
【0087】
小ラック54は、大ラック52のスライド方向と同じ方向にスライド可能なように筐体50の内部に装着されており、筐体内側に向かう短手面は、変位センサ2の弾性表面波素子30の端部に結合されるように装着されている。
【0088】
変位センサ2は、筐体50の図7中下部に配置されており、弾性表面波素子30の一端(図7中右端)は、小ラック54の端部(図7中左端)に結合され、小ラック54の移動とともに筐体50内部をスライドして移動するようになっている。また、弾性表面波素子20は、筐体50の底面に固定されている。
【0089】
このような、変位測定装置5では、大ラック52が筐体50内部側(図7中左向き)に押し込まれると、大ラック52に嵌合している大ピニオンギア56が図7中反時計方向に回転する。大ピニオンギア56が反時計方向に回転すると、大ピニオンギア56に嵌合している小ピニオンギア58が時計方向に回転する。
【0090】
すると、小ピニオンギア58に嵌合している小ラック54が筐体50内部側(図7中左向き)にスライドする。それに伴い、弾性表面波素子30が図7中左にスライドする。
弾性表面波素子30が左にスライドすると、弾性表面波素子30の反射器34と弾性表面波素子20の櫛歯電極22の距離が短くなるので、第2実施形態と同じようにして変位を得ることができる。
【0091】
変位が得られた後、大ラック52に押し込み力が加わらなくなると、スプリング60の弾性力により大ラック52は元の位置まで戻される。
大ピニオンギア56の大径ギアと小径ギアの比を変えることで、大ラック52の移動距離を弾性表面波素子30に拡大または縮小して伝達することが可能となる。
【0092】
[第4実施形態]
次に、変位測定装置7について図8に基づき説明する。図8は、変位測定装置7の概略の構成を示す構成図である。変位測定装置7は、弾性材料を用いて他の物理量を変位量に変換し、他の物理量から変換された変位を第2実施形態の変位センサ2で計測するものである。
【0093】
変位測定装置7に用いられている変位センサ2は、第2実施形態における変位センサ2と同じものであるので、その構成品には同じ符号を付し、その構造や機能についての説明は省略する。
【0094】
変位測定装置7は、図8に示すように、金属材料や樹脂材料を筒状に成形した筐体80、ピストン70及び変位センサ2を備えている。
筐体80の右短から約1/4の位置の筐体80の内部に、ピストン70の動きを止めるための円柱状のストッパ82が設けられている。ストッパ82の中心部分には、ピストン70の軸を通すための穴が設けられている。
【0095】
ピストン70は、軸部分がストッパ82の穴に挿入された状態で筐体80内部に挿入される。ピストン70のヘッド72には、2個のOリングが装着されており、そのOリングが筐体80の内壁面に密着することにより、図中右からのタイヤ内部の空気が筐体80の変位センサ2が装着されている部分へ侵入するのを防いでいる。
【0096】
ストッパ82とヘッド72との間には、スプリング60が、その中心軸とピストン70の中心軸とが同軸になるように装着されている。このスプリング60により、ピストン70のヘッド72の端面(図8中ヘッド72の右端面)にタイヤ内部から掛かる圧力がピストン70の変位に変換される。
【0097】
つまり、タイヤ内部の圧力が低くなると、スプリング60によりピストン70が図8中右に変位し、タイヤ内部の圧力が高くなると、ピストン70が図8中左に変位する。
ピストン70の軸の先端には変位センサ2の弾性表面波素子30の右端面が固定されている。したがって、ピストン70が図8中左右に変位すると、弾性表面波素子30もピストン70と同じように図8中左右に変位する。
【0098】
一方変位センサ2の弾性表面波素子20は、筐体80に固定されているので、弾性表面波素子30がピストン70の変位に従って変位すると、弾性表面波素子30の反射器34と弾性表面波素子20の櫛歯電極22との間の距離が変化する。
【0099】
この距離の変化により、櫛歯電極22で励起され圧電材料基板10を伝播し、反射器34で反射される弾性表面波の遅れ時間が変化するため、その遅れ時間の変化により第2実施形態と同様に変位を得ることができる。
【0100】
このように、変位測定装置7によれば、タイヤ内部の空気圧の変化を変位として得ることができる。
変位測定装置7では、異なるバネ定数のスプリング60を用いることにより、タイヤ内部の空気圧に対する変位センサ2の弾性表面波素子30の変位量を自在に変えることができるので、タイヤ内部の空気圧に対する圧力感度を自在に変化させることが可能となる。
【0101】
[第5実施形態]
次に、変位測定器具9について図9に基づき説明する。図9は、変位測定器具9の概略の構成を示す構成図である。変位測定器具9は、ノギス90に第2実施形態の変位センサ2を装着したものであり、ノギス90のジョウ91やクチバシ92の間の距離、あるいはデップスバー93の突き出しの量を計測するものである。
【0102】
変位測定器具9に用いられている変位センサ2は、第2実施形態における変位センサ2と同じものであるので、その構成品には同じ符号を付し、その構造や機能についての説明は省略する。
【0103】
変位測定器具9は、図9に示すようにノギス90の本尺94の上端部、つまり、副尺95とのスライド面に接触する上端面に、圧電材料基板10が装着され、圧電材料基板10の、本尺94のデップスバー近傍に変位センサ2の弾性表面波素子20が装着されている。また、ノギス90の副尺95の内側、つまり、本尺94のスライド面に接触する内側の面に弾性表面波素子30が装着されている。
【0104】
このように、ノギス90の本尺94に弾性表面波素子20を装着し、副尺95に弾性表面波素子30を装着しているので、副尺95を本尺94に沿ってスライドさせると、弾性表面波素子20と弾性表面波素子30との間の距離が変化し、弾性表面波素子20で励起され、圧電材料基板10を伝播し、反射器34で反射される表面弾性波の遅れ時間が変化する。
【0105】
この遅れ時間の変化に基づいて第2実施形態と同じように、弾性表面波素子20と弾性表面波素子30の変位の変化が計測できる。この変位の変化は、ノギス90のジョウ91やクチバシ92の間の距離の変化あるいはデップスバーの突き出し量の変化であるので、それらを計測することができる。
【0106】
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
【0107】
例えば、変位センサの弾性表面波の伝播経路を複数枚の圧電材料基板で構成してもよい。このように構成した変位センサ3について図10に基づいて説明する。図10は、変位センサ3の概略の構成と各構成部分における信号の伝達の様子を示す図である。
【0108】
変位センサ3では、図10(a)に示すように、圧電材料基板10を挟んで、弾性表面波伝播面を対向させ、弾性表面波の伝播方向の互いの距離が可変となるように弾性表面波素子20、30あるいは反射器34を配置する際、2枚の圧電材料基板12,14を用い、一方の圧電材料基板12の弾性表面波の伝播面と他方の圧電材料基板14の弾性表面波の伝播面とを密着させるようにする。
【0109】
この圧電材料基板12,14は、同じ材質の材料で形成され、さらに、2つの圧電材料基板12,14が弾性表面波の伝播方向にスライドするように構成されている。
このようにすると、弾性表面波素子20の櫛歯電極22で生成された弾性表面波は圧電材料基板12を伝達した後、圧電材料基板12,14の接触面又は接近面をまたぐように伝播し、圧電材料基板14に伝播し、弾性表面波素子30又は反射器34に入力される。
【0110】
ここで、図10(a)に示すように、弾性表面波素子30を用い、弾性表面波素子20に変位計測装置100から配線で高周波信号を入力する場合には、図10(c)の(ア)に示すように、スイッチ114がオン/オフされると電圧計116に、弾性表面波素子20に入力される高周波信号が印加される電圧(検出電圧1)が計測され、弾性表面波の伝播による遅れ時間が経過した後、図10(c)の(ウ)に示すように、電圧計118で高周波信号の電圧(検出電圧2)が計測される。
【0111】
この遅延時間と圧電材料基板12,14における弾性表面波の伝搬速度とから信号処理部200において弾性表面波素子20と弾性表面波素子30との間の変位が算出される。
このとき、図10(a)に示すように、弾性表面波素子30が位置Bからスライドして位置Aになると、弾性表面波素子20,30間の離間距離が大きくなるので、図10(c)(ウ)に示すように、遅延時間が大きくなり、大きくなった変位を算出することができる。
【0112】
一方、図10(a)及び(b)に示すように、弾性表面波素子30の代わりに、反射器34を用い、変位計測装置100からアンテナ40を介して高周波信号を入力する場合には、図10(c)の(ア)に示すように、スイッチ114がオン/オフされると電圧計116に、図10(c)の(イ)に示すように、弾性表面波素子20に入力される高周波信号が印加される電圧(検出電圧1)が計測され、弾性表面波の伝播及び反射器34による反射波の伝播による遅れ時間が経過した後、図10(c)の(イ)に示すように、再度電圧計116で高周波信号の電圧(検出電圧1)が計測される。
【0113】
この遅延時間と圧電材料基板12,14における弾性表面波の伝搬速度とから信号処理部200において弾性表面波素子20と反射器34との間の変位が算出される。
このとき、図10(a)に示すように、反射器34が位置Bからスライドして位置Aになると、弾性表面波素子20と反射器34の間の離間距離が大きくなるので、図10(c)(イ)に示すように、遅延時間が大きくなり、大きくなった変位を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】変位センサ1の概略の構成と各構成部分における信号の伝達の様子を示す図である。
【図2】信号処理部200の概略の構成を示すブロック図である。
【図3】印加周波数パルスから印加電圧波形を得る様子を示す図である。
【図4】電圧計116で検出した検出電圧から時間計測パルスを得る様子を示す図である。
【図5】遅延時間の計測を行う様子を示した図である。
【図6】変位センサ2の概略の構成と各構成部分における信号の伝達の様子を示す図である。
【図7】変位測定装置5の概略の構成を示す構成図である。
【図8】変位測定装置7の概略の構成を示す構成図である。
【図9】変位測定器具9の概略の構成を示す構成図である。
【図10】変位センサ3の概略の構成と各構成部分における信号の伝達の様子を示す図である。
【符号の説明】
【0115】
1,2,3…変位センサ、5,7…変位測定装置、9…変位測定器具、10,12,14…圧電材料基板、20,30…弾性表面波素子、22,32…櫛歯電極、34…反射器、40,42…アンテナ、50,80…筐体、52…大ラック、54…小ラック、56…大ピニオンギア、58…小ピニオンギア、60…スプリング、70…ピストン、72…ヘッド、82…ストッパ、90…ノギス、91…ジョウ、92…クチバシ、93…デップスバー、94…本尺、95…副尺、100…変位計測装置、110…アンテナ、112…高周波信号発生部、114…スイッチ、116,118…電圧計、200…信号処理部、210…アナログ回路部、220…印加電圧生成部、222…オフセット回路、224…第1増幅回路、226…フィルタ回路、228…アナログスイッチ、230…時間計測パルス生成部、232…クリップ回路、234…オフセット回路、236…半波整流回路、238…第2増幅回路、240…平滑回路、242…比較回路、250…ディジタル回路部、252…CPU、254…メモリ、258…カウンタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性表面波の伝播材と、
前記伝播材を挟んで、弾性表面波伝播面を対向させ、前記弾性表面波の伝播方向の互いの距離が可変となるように構成した、櫛歯電極を有する2つの弾性表面波素子と、
を備え、
前記弾性表面波素子のうち一方の弾性表面波素子の櫛歯電極に印加した高周波信号によって励起される弾性表面波が前記弾性表面波伝播面から前記伝播材を介して伝播することにより、他方の弾性表面波素子の櫛歯電極に、前記一方の弾性表面波素子の櫛歯電極に印加した高周波信号より遅れた高周波信号が得られることを特徴とする変位センサ。
【請求項2】
前記一方の弾性表面波素子の前記櫛歯電極に外部から前記高周波を印加するとともに、前記他方の弾性表面波素子の前記櫛歯電極で得られた高周波を外部へ出力するためのアンテナを備えていることを特徴とする請求項1に記載の変位センサ。
【請求項3】
弾性表面波の伝播材と、
櫛歯電極を有する弾性表面波素子と、
前記弾性表面波素子から励起される弾性表面波を反射する反射面を有する反射器と、
を備え、
前記弾性表面波素子と、前記反射器は、前記伝播材を挟んで、前記弾性表面波素子の弾性表面波伝播面と前記反射器の反射面とを対向させ、前記弾性表面波素子の弾性表面波伝播面と前記反射器の反射面の距離が可変となるように構成し、
前記弾性表面波素子の前記櫛歯電極に印加した高周波信号によって励起される弾性表面波が前記弾性表面波伝播面から前記伝播材を介して伝播し、さらに、前記反射器の反射面で反射することにより、前記弾性表面波素子の櫛歯電極に、前記弾性表面波素子の櫛歯電極に印加した高周波信号より遅れた高周波信号が得られることを特徴とする変位センサ。
【請求項4】
前記弾性表面波素子の前記櫛歯電極に外部から前記高周波を印加するとともに、前記反射器から反射され前記弾性表面波素子の前記櫛歯電極で得られた高周波を外部へ出力するためのアンテナを備えていることを特徴とする請求項3に記載の変位センサ。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の変位センサを用い、
前記一方の弾性表面波素子の櫛歯電極に印加した高周波信号と、前記他方の弾性表面波素子の櫛歯電極から得られる高周波信号と、の時間差及び前記伝播材における弾性表面波の速度から変位を測定することを特徴とする変位測定方法。
【請求項6】
請求項3又は請求項4に記載の変位センサを用い、
前記弾性表面波素子の櫛歯電極に印加した高周波と、前記反射器から反射され前記弾性表面波素子から得られる高周波信号と、の時間差及び前記伝播材における弾性表面波の速度から変位を測定することを特徴とする変位測定方法。
【請求項7】
弾性材料を用いて他の物理量を変位量に変換する変換手段を備え、
前記変換手段により前記他の物理量から変換された前記変位量を請求項5又は請求項6に記載の変位測定方法により測定可能に構成されたことを特徴とする変位測定装置。
【請求項8】
請求項5又は請求項6に記載の変位測定方法を用いて変位測定可能に構成されたことを特徴とする変位測定器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図8】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−216440(P2009−216440A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−57973(P2008−57973)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】