説明

形状面が調節される金型ブロックを備える成形装置

パイプ成型装置は、成形経路に沿って移動して、パイプ波形部の外径を決定する波形部を有する外壁と前記パイプを貫通する穴の周りの内壁とを有する二重壁プラスチックパイプを形成する複数の金型ブロック(9)を備える。金型ブロック(9)は、パイプの形状を決定する形状面を有し、該形状面は、パイプの外径を変えずに、また、パイプの肉厚を略一定に保ちながら、波形部の深さおよびパイプを貫通する穴の直径を変えるように、第1および第2の面形状部間で形状を再構成可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、金型ブロックを移動することによって形成される金型トンネルを備えるパイプ成形システムであって、金型ブロックを交換する必要なくパイプの形状を変えることができるパイプ成形システムに関する。
【0002】
[発明の背景]
成形経路に沿って移動して、移動金型トンネルとして知られているものを形成する金型ブロックを使用するタイプの従来のパイプ成形装置では、パイプの形状を変える唯一の方法は、パイプを形成する金型ブロック部を交換することである。これは、これらの金型ブロック部が、パイプの形成に必要な真空開口部、冷却チャネル等の特徴部を備えるため、金型ブロック部自体が極めて高価であることから非常に費用がかかる。しかしながら、移動金型トンネルを使用する既知のパイプ形成装置によれば、様々な形状および寸法のパイプを製造するためには、交換可能な金型ブロック部を備えることが必要である。
【0003】
各作業用途に同径のパイプが必要とされる場合であっても、様々な作業用途には様々なパイプの強度が必要とされる。この状況に対処する簡単な方法は、パイプの肉厚を変えることであり、それによって、肉厚を増やすことでパイプをより強く、すなわちより剛直に作製するか、または肉厚を減らすことでパイプをより軟質に、すなわちより可撓性を持たせるように作製することであるように思われる。しかしながら、工業規格により、特定の肉厚が必要であると規定されているので、パイプにより可撓性を持たせるためにパイプの壁を薄肉にすることができない。
【0004】
ほとんどのパイプは、パイプの外側表面に波形部を設けることにより壁の強度を得る。深い波形部を有するパイプは浅い波形部を有するパイプよりも強いことが分かっている。繰り返して言うが、既知のプラスチックパイプ押出成形方法によれば、コルゲータの金型ブロック部を交換せずにパイプの波形高さを変えることはできない。
【0005】
[発明の概要]
本発明は、成形システムの全ての金型ブロック部を交換する必要なく、押出成形されたパイプの形状を変えることができる成形システムを提供する。
【0006】
特に、本発明は、連続した長さのプラスチックパイプを作製するパイプ成形システムを提供し、本システムは、全ての金型ブロックを交換する必要なく、パイプの形状に変化を与えるために、面形状を再構成することができる形状面を有する金型ブロック部を備える。
【0007】
本発明の1つの態様によれば、成形システムは、成形経路に沿って移動して、パイプの外径を決定する波形部を有する外壁とパイプを貫通する穴の周りの内壁とを有する二重壁プラスチックパイプを形成する、複数の金型ブロックを備える。金型ブロック部は、パイプの形状を決定する形状面を有し、それらの形状面は、波形の深さおよびパイプを貫通する穴の直径の両方を変えるために、第1および第2の面形状部間で形状を再構成することができる。これは、パイプ壁の肉厚を本質的に一定の厚さに維持しながら、パイプの外径を変えずに行われる。
【0008】
直前に述べた本発明の態様の結果として、金型ブロックの交換を必要としない単一成形システムは、より強い、すなわちより剛直なパイプ、またはより軟質の、すなわちより可撓性のあるパイプを作製するのに使用することができる。
【0009】
本発明の好ましい実施形態に従って、本発明の上記利点および特徴ならびに他の利点および特徴をより詳細に説明する。
【0010】
[本発明の好ましい実施形態による詳細な説明]
図1は、全体を1で示すパイプ成形装置を示す。このパイプ成形装置は、溶融プラスチックを、押出機ダイ5のプラスチック流路に通して、全体を7で示す移動金型トンネルへ供給する押出機3を備える。移動金型トンネルは、金型トンネルの各側にある複数の金型ブロック部9によって形成される。これらの金型ブロック部は、形状面すなわち波形面を有し、金型トンネル内に位置するダイ装置の2つのチャネル口6aおよび6bから流れてくるプラスチックを受け取る。チャネル口6aから流れ出るプラスチックは、金型ブロックの面にある溝へ流れて、パイプの波形外壁を形成する。チャネル口6bから流れ出るプラスチックは、パイプを貫通する中央穴を画定するパイプ内壁を形成する。パイプ内壁の溶融プラスチックは、成形されて、金型トンネル内部にある冷却プラグ11によって冷却される。
【0011】
図面の図2は、パイプ内壁19およびパイプ波形外壁21を有する二重壁パイプ18を製造するために設置された装置を示す。
【0012】
金型ブロック9はそれぞれ、波形部21をパイプ18に成型する溝13を備える。これらの波形部はパイプの外径を決定する。
【0013】
金型ブロックはそれぞれ、溝13それぞれの間に金型ブロック突起をさらに備える。本発明の好ましい一実施形態によれば、波形部の深さを変えるために、この金型ブロック突起の高さは可変である。この変化により、パイプの肉厚がほとんどまたは全く変わらずパイプの穴の直径が変わる。
【0014】
再び図面の図2を参照すると、金型ブロック部9はそれぞれ、金型ブロック部の溝13それぞれの各側に取り付け表面12を有する。この取り付け表面12には、様々な金型ブロック突起形成取り付け部が交換可能に収容されるようになっている。図2では、突起形成取り付け部15が、金型ブロック取り付け表面12それぞれに取り付けられる。
【0015】
次に図3を見ると、金型ブロック部9および特に金型ブロック部の形状面が、図2の面形状部から異なる面形状部に再構成されていることが分かる。これは、図3の設置において、突起形成取り付け部23を金型ブロック部の取り付け表面12に取り付けることによって行われる。図3の突起形成取り付け部23は、図2の設置での突起形成取り付け部15よりも実質的に長い。さらに、図面の図3で分かるように、図3の設置を使用して形成された、全体を27で示すパイプは、図2のパイプ18の波形部21よりも実質的に高い波形部31によって形成された外壁を備える。さらに、図3では、パイプ内壁29によって画定されたパイプ27の穴の直径は、図2の内壁19によって画定されたパイプ18を貫通する穴の直径よりも実質的に小さい。したがって、図3のパイプ27は、図2のパイプ18よりも実質的に強いまたは剛直なパイプである。しかしながら、2つのパイプの全外径は同じである。さらに、パイプ18の肉厚は、パイプ29の肉厚と本質的に同じである。
【0016】
図2のパイプ形状から図3のパイプ形状へのパイプの再構成は、金型ブロック部を交換する必要なしに、金型ブロック面において、様々な高さの交換可能な面取り付け部を使用することによって簡単に達成される。さらに、図3では、小径の冷却プラグ25が大径の冷却プラグ11の代わりに用いられ、図3のより小さい穴を有するパイプ27を形成することに留意されたい。
【0017】
図面の図4および図5は、本発明のいくつかの好ましい特徴を示す。特に、図4は、金型ブロック部の面にある溝13の両側に、取り付け表面12によって支持されたより短い突起形成部材15を備える金型ブロック部9を示す。一方、図5は、金型ブロック部9の形状面にある溝13の両側に、取り付け表面12に取り付けられたより高い突起形成部材23を示す。
【0018】
他のいくつかの特徴は、図面の図4および図5で見ることができる。特に、これらの図面により、金型ブロック部は、金型ブロックの面において、プラスチックをまず成型して次に冷却するのに必要な高度な真空チャネルおよび冷却チャネルを備える。金型ブロック部の取り付け表面12での面取り付け部の交換可能性は、真空チャネルまたは冷却チャネルのいずれも決して妨げない、または影響を及ぼさない。
【0019】
図4、図5および図6は、面取り付け部を金型ブロック部に交換可能に取り付ける特定の手段を示す。この手段は、両端に前方に延びるアーム37および39を有するブラケット35を備える。金型ブロック部の取り付け表面は、パイプ形成領域から離隔して設けられ、ネジ付きボルト41が嵌まる穴40を有する。また金型ブロック部には、ブラケット35の脚39が嵌まるリセス10が設けられる。ブラケット35の脚37が嵌まる同様のリセス16が面取り付け部15に設けられる。
【0020】
上記説明から理解されるように、ブラケットは、面取り付け部15を固定するために金型ブロックに容易に固定されるために、または面取り付け部15をそれと対応するブラケットが嵌まるリセスを有する面取り付け部23と交換されるために、金型ブロックに容易に固定されるか、または取り外される。
【0021】
本発明の各種の好ましい実施形態を詳細に説明してきたが、当業者であれば、本発明の精神または添付の特許請求の範囲から逸脱することなく変更がなされてもよいことを理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の好ましい一実施形態によるパイプ成形システムで使用されるパイプ成形装置の概略図である。
【図2】金型ブロックが第1の面形状状態に設置されて、比較的可撓性のある長さの波形パイプを製造する、図1の装置のパイプ成形領域のさらなる概略図である。
【図3】金型ブロックが第2の面形状状態に設置されて、比較的剛直な長さの波形パイプを製造する、図1の装置のパイプ成形領域のさらなる概略図である。
【図4】装置が図2の状態に設置された、金型ブロック部のうちの1つの正面図である。
【図5】図3の状態に設置された装置の金型ブロック部のうちの1つの正面図である。
【図6】図4の金型ブロック部の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形経路に沿って移動して、パイプ波形部の外径を決定する波形部を有する外壁と前記パイプを貫通する穴の周りの内壁とを有する二重壁プラスチックパイプを形成する複数の金型ブロックを備える成形システムであって、
前記金型ブロックは、前記パイプの形状を決定する形状面を有し、
該形状面は、前記パイプの外径を変えずに前記波形部の深さおよび前記パイプを貫通する前記穴の直径を変えるように、第1および第2の面形状部間で形状を再構成可能な成形システム。
【請求項2】
前記金型ブロックの前記形状面は、第1の面形状部で構成される場合、前記パイプを、第1の波形深さおよび第1の穴の直径を有するように形成し、且つ、第2の面形状部で構成される場合、前記パイプを、前記第1の波形深さよりも大きい第2の波形深さ、および前記第1の穴の直径よりも小さい第2の穴の直径を有するように形成する請求項1に記載の成形システム。
【請求項3】
前記第1および第2の面形状部間で前記金型ブロックの前記形状面を再構成する場合、前記パイプの前記内壁は、本質的に一定のままである肉厚を有する請求項2に記載の成形システム。
【請求項4】
前記金型ブロックはそれぞれ、取り付け表面を備え、該システムは、前記金型ブロックの前記形状面を再構成するように前記取り付け表面に交換可能に取り付けられる第1および第2の金型ブロック面取り付け部を備える請求項2に記載の成形システム。
【請求項5】
前記金型ブロックの前記形状面は、突起および溝を交互に備えることにより、前記パイプの前記外壁に前記波形部を形成し、
前記第1および第2の面取り付け部は、第1および第2の突起形成部材を備え、
該第1の突起形成部材は、該第2の突起形成部材よりも短く、且つ前記金型ブロックに前記第1の面形状部を提供するのに使用され、
前記第2の突起形成部材は、前記第1の突起形成部材よりも長く、且つ前記金型ブロックに前記第2の面形状部を提供するのに使用される請求項4に記載の成形システム。
【請求項6】
前記成形経路は、前記パイプの前記内壁用の冷却および形状保持手段を備え、該手段は、径が可変であり、それに従って面形状部が前記金型ブロックの前記面に提供される請求項2に記載の成形システム。
【請求項7】
前記冷却および形状保持手段は、前記成形経路に交換可能に取り付けることができる第1および第2の冷却プラグを備え、
該第1の冷却プラグは、該第2の冷却プラグの直径よりも大きい直径を有し、
前記第1の冷却プラグは、前記金型ブロックが前記第1の面形状部を有する場合に使用され、且つ、前記第2の冷却プラグは、前記金型ブロックが前記第2面形状部を有する場合に使用される請求項6に記載の成形システム。
【請求項8】
プラスチックパイプの連続した長さを作製するパイプ成形システムであって、
溶融プラスチックの連続した流れが供給される金型トンネル間を形成するように内方および外方に移動し、波形外部表面を有する壁に囲まれた内部穴を有する前記パイプを形成する第1および第2の金型ブロック部を備え、
前記第1の金型ブロック部は、前記第2の金型ブロックと閉じ合うことにより、前記金型トンネルを形成するように移動しつつ閉じられた金型ブロックの移動ラインを形成し、
前記第1および第2のブロック部は、前記金型トンネルから離れた後に再び該金型トンネルの方へ移動しつつ互いから離れ、
前記第1および第2の金型ブロック部はいずれも、前記パイプの形状を決定する形状面を有し、
前記形状面は、前記金型ブロック部を交換せずに前記パイプの形状を変えるように、異なる構成の他の面取り付け部と前記形状面において交換可能な面取り付け部を備える、プラスチックパイプの連続した長さを作製するパイプ成形システム。
【請求項9】
内部穴の平滑な壁と波形外側表面とを有する前記パイプを形成するのに使用され、
前記金型ブロック部の前記面は、その前記形状面に突起および溝を交互に有し、
前記面取り付け部は、第1の長さの第1の取り付け部および第2の長さの第2の取り付け部を備え、
該第1および第2の取り付け部は、前記金型ブロック部の前記形状面に交換可能に取り付けることができ、前記第1および第2の取り付け部のうちの一方が前記形状面に取り付けられることに従って前記突起の高さを変え、それによって前記金型ブロック部の前記形状面の前記溝の深さを変化させる請求項8に記載のパイプ成形システム。
【請求項10】
前記金型ブロック部の前記形状面のそれぞれにおいて、前記面取り付け部をそれぞれ、解除可能にロックするロック部材を備える請求項9に記載のパイプ成形システム。
【請求項11】
連続した長さのプラスチックパイプを作製するパイプ成形装置であって、
金型ブロック部の形状面の突起および溝によって形成される形状面をそれぞれ有する第1および第2の金型ブロック部と、
前記金型ブロック部の形状面に交換可能且つ着脱可能に取り付けることができる、第1および第2の組の面取り付け部と、
径が互いに異なる第1および第2の冷却プラグとを備え、
前記第1および第2の金型ブロック部は、前記冷却プラグのうちの一方を収容する該装置の金型トンネルを形成するように内方および外方に移動し、
前記金型トンネルは、溶融プラスチックが連続して流れることにより、前記冷却プラグのうちの一方の上で、内部穴と該内部穴の周りに波形外部表面を有する壁とを有するパイプを形成し、
前記波形表面は前記パイプの外径を画定し、
前記第1の金型ブロック部は、前記第2の金型ブロックと閉じ合うことにより、前記金型トンネルを形成するように移動しつつ閉じられた金型ブロックの移動ラインを形成し、且つ、前記第1および第2のブロック部は、前記金型トンネルから離れた後に再び該金型トンネルの方へ移動しつつ互いから離れ、
該装置は、第1の設置状態の場合、すなわち前記第1の組の面取り付け部が前記第1および第2の金型ブロック部の形状面に取り付けられる場合および前記第1の組の冷却プラグが前記金型トンネルに配置される場合、第1の穴の直径を有するパイプを製造し、また、第2の設置状態の場合、すなわち前記第2の組の面取り付け部が前記第1および第2の金型ブロック部の前記形状面に取り付けられる場合および前記第2の冷却プラグが前記金型トンネルに配置される場合、前記第1の穴の直径とは異なる第2の穴の直径を有するパイプを、該パイプの肉厚を本質的に一定に維持しつつ製造し、該装置の前記第1および前記第2の設置状態の両方において、前記パイプの前記外径は一定のままである、連続した長さのプラスチックパイプを作製するパイプ成形装置。
【請求項12】
前記第1の組および第2の組の面取り付け部は、前記第1および第2の金型ブロック部の前記形状面を突起形成部材として交換可能且つ着脱可能に固定し、前記第1の組の面取り付け部は、前記第2の組の面取り付け部の長さよりも短い第1の長さであり、且つ、前記第1の冷却プラグは、前記第2の冷却プラグの直径よりも大きい直径を有し、且つ、前記パイプの前記第2の穴の直径は、前記パイプの前記第1の穴の直径よりも小さい、請求項11に記載のパイプ成形装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2006−506250(P2006−506250A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−552299(P2004−552299)
【出願日】平成15年11月12日(2003.11.12)
【国際出願番号】PCT/CA2003/001719
【国際公開番号】WO2004/045828
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(500134333)
【出願人】(500134344)
【Fターム(参考)】