説明

後処理装置

【課題】トルクを下げることなく、物理的な要素以上の分解性能でカーソル位置を制御することができる後処理装置を提供する。
【解決手段】1パルス移動距離よりも高い分解能でカーソル217の停止位置を検出し、カーソル217の停止位置から、整合位置までの必要移動距離、ステッピングモーター218によってカーソル217を移動させるために必要なパルス数を算出し、必要移動距離が1パルス移動距離の整数倍か否かを判断し、必要移動距離が1パルス移動距離の整数倍でないと判断した場合には、ステッピングモーター218の励磁制御を変えて、カーソル217を1パルス移動距離よりも短いステップで移動させて、再度パルス数を算出し、必要移動距離が1パルス移動距離の整数倍であると判断した場合には、算出したパルス数をステッピングモーター217に印加して整合位置までカーソルを移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置で印刷された記録紙を取り込み、取り込んだ記録紙を積み重ねてストックする後処理装置に関し、特に積み重ねてストックする記録紙を整合するカーソルを備えた後処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置で印刷された記録紙を取り込んでストックし、ストックした用紙束に穿孔処理やステープル処理を行う後処理装置では、画像形成装置から取り込んだ記録紙の端を揃える整合手段としてカーソルが設けられている。カーソルは、記録紙の搬送方向と直交する方向に移動して記録紙の端を揃えるように構成されている。カーソルの移動には、駆動手段としてステッピングモーターを有するラックアンドピニオン機構等が一般的に用いられている。
【0003】
カーソルの移動に際しては、記録紙の端部位置を認識して、その位置までカーソルを正確に移動させる必要がある。従って、カーソルのホームポジションをセンサーで認識し、そこから必要な移動距離をステッピングモーターに送るパルス数に変換し、そのパルス数分モーターを駆動することで、カーソル位置を制御している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−181982号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のカーソル移動制御では、カーソルの最小の移動距離は、基本的にステッピングモーターのステップ角度と減速比とからなる物理的な要素で決定されてしまう。従って、物理的な要素以上の分解性能で、カーソル位置の精度を求める場合、ステッピングモーターの励磁制御を変えて対応しなければならない。このように励磁制御を変えてステッピングモーターを駆動させた場合には、ステッピングモーターへの電流設定が同じ場合、トルクが低くなってしまい、記録紙の端を十分に揃えることができなくなってしまうという問題点があった。
【0006】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、従来技術の問題を解決し、トルクを下げることなく、物理的な要素以上の分解性能でカーソル位置を制御することができる後処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の後処理装置は、記録紙を取り込み、カーソルを用いて取り込んだ前記記録紙を整合してストックする後処理装置であって、前記カーソルをパルス信号によって駆動するステッピングモーターと、前記ステッピングモーターに1パルスを印加した場合の前記カーソルの移動距離である1パルス移動距離よりも高い分解能で前記カーソルの停止位置を検出する位置検出手段と、該位置検出手段によって検出された前記カーソルの停止位置から、前記カーソルが前記記録紙に当接して前記記録紙を整合する整合位置までの必要移動距離、前記ステッピングモーターによって前記カーソルを移動させるために必要なパルス数を算出し、前記必要移動距離が前記1パルス移動距離の整数倍か否かを判断するパルス数算出手段と、該パルス数算出手段によって、前記必要移動距離が前記1パルス移動距離の整数倍でないと判断された場合には、前記ステッピングモーターの励磁制御を変えて、前記カーソルを前記1パルス移動距離よりも短いステップで移動させ、前記パルス数算出手段によって再度パルス数を算出させる停止位置調整手段と、前記移動距離判断手段によって、前記必要移動距離が前記1パルス移動距離の整数倍であると判断された場合には、前記パルス数算出手段によって算出されたパルス数を前記ステッピングモーターに印加して前記整合位置まで前記カーソルを移動させるカーソル駆動手段とを具備することを特微とする後処理装置。
さらに、本発明の後処理装置において、前記位置検出手段は、前記カーソルに取り付けられ、幅の異なる複数のスリットが端から順に幅長を変えて形成された遮光板と、該遮光板に形成されている前記スリットを検出するカーソル位置検出センサーとを具備し、前記スリットの幅と、前記スリット間の間隔とは前記1パルス移動距離よりも短く形成されていることを特徴とする。
さらに、本発明の後処理装置において、前記遮光板は、前記カーソルが前記整合位置から遠ざかるほど、幅が短い前記スリットが前記カーソル位置検出センサーによって検出されるように配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ステッピングモーターに1パルスを印加した場合のカーソルの移動距離である1パルス移動距離よりも高い分解能でカーソルの停止位置を検出し、カーソルの停止位置から、カーソルが記録紙に当接して記録紙を整合する整合位置までの必要移動距離、ステッピングモーターによってカーソルを移動させるために必要なパルス数を算出し、必要移動距離が1パルス移動距離の整数倍か否かを判断し、必要移動距離が1パルス移動距離の整数倍でないと判断した場合には、ステッピングモーターの励磁制御を変えて、カーソルを1パルス移動距離よりも短いステップで移動させて、再度パルス数を算出し、必要移動距離が1パルス移動距離の整数倍であると判断した場合には、算出したパルス数をステッピングモーターに印加して整合位置までカーソルを移動させるように構成することにより、トルクを下げることなく、物理的な要素以上の分解性能でカーソル位置を制御することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る後処理装置の実施の形態の構成例を示す斜視図である。
【図2】構成例を示す模型的正面断面図である。
【図3】図2に示すストックトレイの用紙搬送機構例を示す概略斜視図ある。
【図4】図4に示すカーソルの駆動機構例を示す概略斜視図ある。
【図5】図1に示す画像形成装置及び後処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【図6】図5に示す遮光版の構成を示す平面図である。
【図7】本発明に係る後処理装置の実施の形態における整合動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
本実施の形態の後処理装置200は、図1を参照すると、画像形成装置100で印刷された記録紙を取り込み、穿孔処理やステープル処理等を行う装置であり、画像形成装置100の側面に取り付けられている。
【0011】
画像形成装置100の前面側には、画像形成装置100や後処理装置200の設定や動作指示を行う操作パネル101が配設されている。操作パネル101には、タッチパネル式の液晶表示や、数字入力用のテンキー部や、各種設定後、コピー等の実行を指示するスタートキー等が設けられている。
【0012】
画像形成装置100は、複写機であり、図2を参照すると、原稿読取部120と、原稿給送部130と、本体部140とを備えている。原稿読取部120は、本体部140の上部に配設され、原稿給送部130は、原稿読取部120の上部に配設されている。
【0013】
原稿読取部120は、スキャナー121と、プラテンガラス122と、原稿読取スリット123とを備える。スキャナー121は、露光ランプ及びCCD(Charge Coupled Device)センサー等から構成され、原稿給送部130による原稿の搬送方向に移動可能に構成されている。プラテンガラス122は、ガラス等の透明部材により構成された原稿台である。原稿読取スリット123は、原稿給送部130による原稿の搬送方向と直交方向に形成されたスリットを有する。
【0014】
プラテンガラス122に載置された原稿を読み取る場合には、スキャナー121は、プラテンガラス122に対向する位置に移動され、プラテンガラス122に載置された原稿を走査しながら原稿を読み取って画像データを取得し、取得した画像データを本体部140に出力する。また、原稿給送部130により搬送された原稿を読み取る場合には、スキャナー121は、原稿読取スリット123と対向する位置に移動され、原稿読取スリット123を介し、原稿給送部130による原稿の搬送動作と同期して原稿を読み取って画像データを取得し、取得した画像データを本体部140に出力する。
【0015】
原稿給送部130は、原稿載置部131と、原稿排出部132と、原稿搬送機構133とを備えている。原稿載置部131に載置された原稿は、原稿搬送機構133によって、1枚ずつ順に繰り出されて、原稿読取部120の読取スリット123に対向する位置へ搬送され、その後、原稿排出部122に排出される。なお、原稿給送部130は、可倒式に構成され、原稿給送部130を上方に持ち上げることで、プラテンガラス122の上面を開放させることができる。
【0016】
本体部140は、記録部150を備えると共に、給紙部160と、搬送路170と、搬送ローラー181と、排出ローラー182a及び排出ローラー182bと、排出トレイ190とを備えている。
【0017】
給紙部160は、記録紙を収納する複数の給紙カセット161と、給紙カセット161から記録紙を1枚ずつ搬送路170に繰り出す給紙ローラー162とを備えている。給紙ローラー162、搬送ローラー181及び排出ローラー182a、182bが搬送部として機能し、記録紙が搬送される。給紙ローラー162によって搬送路170に繰り出された記録紙は、搬送ローラー181によって記録部150に搬送される。そして、記録部150によって記録が施された記録紙は、排出ローラー182aもしくは排出ローラー182bによって機外に排出される。排出ローラー182aと排出ローラー182bとの切換は、例えば、操作パネル101の操作に応じて動作する切替爪183によって行われる。記録が施された記録紙は、切替爪183によって排出ローラー182aに導かれると、排出トレイ190に排出される。また、記録が施された記録紙は、切替爪183によって排出ローラー182bに導かれると、後処理装置200に排出される。なお、本実施の形態では、4個の給紙カセット161が備えられている。
【0018】
記録部150は、感光体ドラム151と、帯電部152、露光部153と、画像形成部154と、転写部155と、クリーニング部156と、定着部157とを備えている。露光部153は、レーザー装置やミラー等を備えた光学ユニットであり、画像データに基づいてレーザー光を出力して、露光部153によって帯電された感光体ドラム151を露光し、感光体ドラム151の表面に静電潜像を形成する。画像形成部154は、トナーを用いて感光体ドラム151に形成された静電潜像を現像する現像ユニットであり、静電潜像に基づいたトナー像を感光体ドラム151上に形成させる。転写部155は、画像形成部154によって感光体ドラム151上に形成されたトナー像を記録紙に転写させる。定着部157は、転写部155によってトナー像が転写された記録紙を加熱してトナー像を記録紙に定着させる。
【0019】
後処理装置200は、図2を参照すると、複数枚の記録紙を積み重ねて一時的にストックするストック部210と、ストック部210に積み重ねられた複数枚の記録紙(以下、用紙束と称す)に対して穿孔処理を行うパンチ部201、ストック部210の用紙束に対してステープル処理を行うステープル部202とを備えている。
【0020】
画像形成装置100から後処理装置200に向けて排出された記録紙は、後処理装置200の側面に設けられた搬入口203を通って後処理装置200内に搬入される。搬入口203の下流には、用紙を搬送する搬送ローラー204と、記録紙の搬送先にあわせて回動する案内爪205が設けられる。操作パネル101への入力等で、ステープル処理や穿孔処理を行う選択されている場合、案内爪205は、記録紙を下方のストック部210に送り込むように回動する。その結果、記録紙は、ストック部210に向けて搬送される。なお、ステープル処理や穿孔処理を行うように選択されていない場合、案内爪205は、記録紙を上方の排出ローラー206に送り込むように回動する。その結果、記録紙は、排出ローラー206によって副排出トレイ207に排出される。
【0021】
ストック部210は、カバートレイ211及びストックトレイ212を備えている。ストック部210に搬送されてきた記録紙は、カバートレイ211とストックトレイ212との間に通され、ストックトレイ212の上面に記録紙が積み重ねられてストックされる。カバートレイ211は、ストック部210に積み重ねられる記録紙を上方から押さえるカバーとして機能する。また、カバートレイ211には、パンチ部201が設けられている。パンチ部201は、ストック部210の用紙束に穿孔処理を行う。さらに、ストックトレイ212の下方に隣接してステープル部202が設けられている。ステープル部202は、ストック部210の用紙束の先端を1箇所もしくは2箇所を綴じるステープル処理を行う。穿孔処理やステープル処理が行われた用紙束は、ストック部210によって上方に搬送され、主排出トレイ208に排出される。
【0022】
図3を参照すると、ストック部210に送られてきた記録紙は、断面が略コの字状のストッパ213によりストックトレイ212の表面で受け止められる。ストッパ213は、ストックトレイ212の幅方向の略中央に配置された無端ベルト214に取り付けられている。無端ベルト214は、プーリー215aと回転軸215bとの間に掛け渡されており、回転軸215bを回転駆動するモーター216によって無端ベルト214が正逆回転される。ストッパ213は、使用される記録のサイズに対応して、記録紙の上端が一定位置でストックされるように制御される。
【0023】
ストックトレイ212には、ストック部210に送られてきた記録紙の幅方向に整合するための一対のカーソル217が設けられている。一対のカーソル217は、ストックトレイ212の幅方向に並設されている。一対のカーソル217は、図4を参照すると、例えば、ラックアンドピニオン機構によって、記録紙の搬送方向と直交するストックトレイ212の幅方向に揺動される。ラックアンドピニオン機構は、パルス信号によって駆動されるステッピングモーター218と、ステッピングモーター218によって回転駆動される歯車219と、一対のカーソル217にそれぞれ取り付けられたラック220とからなる。一対のカーソル217は、記録紙がストック部210に到達すると、ストックトレイ212の幅方向に揺動し、ストック部210の用紙束を整合する整合動作が実行される。具体的な整合動作には、一対のカーソル217は、その間隔が記録紙の幅よりも広いホームポジションで待機し、記録紙がストック部210に送られてくると、互いが近づく方向に移動される。カーソル217の移動は、その間隔が記録紙の幅になるまで行われ、記録紙の端に当接して、用紙束を揃えた後、ホームポジションに戻るようになっている。
【0024】
上記のような機構により、記録紙は、用紙束としてストック部210に整合されてストックされる。穿孔処理を行う場合には、ストッパ213を上下動させ、記録紙のサイズに合わせ、ストックされた用紙束を適切な位置に移動させ、パンチ部201によって穿孔処理を行う。ステープル処理を行う場合には、ストッパ213を上下動させ、記録紙のサイズに合わせ、ストックされた用紙束を適切な位置に移動させ、ステープル部202によってステープル処理を行う。穿孔処理やステープル処理が完了すると、無端ベルト214が用紙束を上方に搬送する方向に回転され、ストッパ213が用紙束を上方に押し上げる。これにより、用紙束は、主排出トレイ208に排出される。
【0025】
次に、画像形成装置100及び後処理装置200のハードウェア構成例について図5を参照して説明する。画像形成装置100内には、画像形成装置100全体を制御する本体制御部10が設けられる。本体制御部10は、操作パネル101、原稿読取部120、原稿給送装置130、本体部140と接続され、これらの制御を行う。本体制御部10は、制御用プログラム、制御用データ、設定データ、画像データ等の各種データを記憶する記憶手段と、制御プログラムに基づき演算等を行い、各部を制御するCPUとを備えている。本体制御部10の記憶手段は、ROM、RAM、HDD等の不揮発性と揮発性の記憶装置を組み合わせて構成される。
【0026】
本体制御部10は、操作パネル101からの入力によって、後処理装置200を利用する設定、すなわち、穿孔処理やステープル処理を行う設定になっている場合には、本体部140の切替爪183を制御することで、記録が施された記録紙を後処理装置200に排出させる。本体制御部10は、後処理装置200内に設けられている後処理制御部20と通信可能に接続され、穿孔処理やステープル処理の設定を後処理制御部20に指示する。
【0027】
後処理装置200の後処理制御部20は、ストック部210、パンチ部201、ステープル部202と接続され、これらの制御を行う。後処理制御部20は、制御用プログラム、制御用データ、設定データ、画像データ等の各種データを記憶する記憶手段と、制御プログラムに基づき演算等を行い、各部を制御するCPUとを備えている。後処理制御部20の記憶手段は、ROM、RAM、HDD等の不揮発性と揮発性の記憶装置を組み合わせて構成される。
【0028】
図4を参照すると、カーソル217には、遮光板221が取り付けられている。遮光板221には、複数のスリット221aが形成されている。スリット221aは、記録紙の搬送方向と平行に形成されており、スリット221aをカーソル位置検出センサー222によって検出することで、本体制御部10はカーソル217の位置を認識することができるようになっている。カーソル位置検出センサー222は、例えば、発光素子と受光素子とを有する透過型センサーを用いることができ、遮光板221を挟んで発光素子と受光素子とが配置されている。なお、本実施の形態では、一対のカーソル217がラックアンドピニオン機構によって同じ距離を移動するように構成されているため、一方のカーソル217にのみ遮光板221が取り付けられている。
【0029】
図6(a)を参照すると、遮光板221においてスリット221aは、等間隔Wで形成されている。また、スリット221aの幅A〜Pは、端から順に幅長を変えて形成されており、一対のカーソル217間の幅が広がるほど、幅が短いスリット221aがカーソル位置検出センサー222によって検出されるように配置されている。さらに、スリット221aの幅A〜Pと、スリット221a間の間隔Wとは、ステッピングモーター218に1パルスを印加した場合のスリット221aの移動距離(以下、1パルス移動距離と称す)よりも短く形成されている。これにより、遮光板221とカーソル位置検出センサー222とは、1パルス移動距離よりも高い分解能でカーソル217の位置を検出する位置検出手段として機能することになる。
【0030】
図5を参照すると、カーソル位置検出センサー222の出力は、ストック部210の動作、すなわち、ステッピングモーター218の駆動を制御する後処理制御部20に入力される。従って、後処理制御部20は、カーソル217の移動速度を把握しているため、カーソル位置検出センサー222の出力に基づいて、カーソル217の位置を正確に認識することができる。図6(b)には、カーソル217が等速で移動した場合に、カーソル位置検出センサー222によって検出されて出力されるパルス信号が示されている。このように、カーソル217の速度を等速な換算することで、スリット221aの幅A〜Pがパルス信号のデューティ比によって認識され、後処理制御部20は、停止直前のスリット幅によってカーソル217の位置を正確に認識することができる。
【0031】
次に、カーソル217による整合動作について図7を参照して詳細に説明する。
操作パネル101への入力等で、ステープル処理や穿孔処理が選択されると、本体制御部10から後処理制御部20に記録紙のストックが指示される。記録紙のストックが指示されると、後処理制御部20は、まず、カーソル217を記録紙のサイズに応じたホームポジションHPに移動させる(ステップS1)。例えば、図6(a)に示すように、遮光板221においてスリット幅が「L」のスリット221aがホームポジションHPに設定されている場合、すなわちカーソル位置検出センサー222によってスリット幅が「L」のスリット221aが検出されるカーソル217のホームポジションHPに設定されている場合について説明する。後処理制御部20は、ステッピングモーター218を駆動することで、カーソル位置検出センサー222によってスリット幅が「L」のスリット221aが検出される方向にカーソル217を移動させる。次に、カーソル位置検出センサー222によってスリット幅が「L」のスリット221aが検出されると、後処理制御部20は、スローダウン制御を行ってカーソル217を停止させる。従って、ステップS1におけるホームポジションHPへのカーソル217の移動は、ホームポジションHPに正確に停止されるわけではなく、例えば、図6に示す「X」のように、ホームポジションHPからずれた位置にカーソル217が停止することになる。
【0032】
次に、後処理制御部20は、カーソル位置検出センサー222からの出力に基づいて、すなわち停止直前のスリット幅に基づいて、カーソル217の停止位置を正確に認識する(ステップS2)。さらに、後処理制御部20は、カーソル217の停止位置から、一対のカーソル217の間隔が記録紙の幅になる位置(以下、整合位置と称す)までの距離を算出し、算出した距離を1パルス移動距離で除算することで、整合位置にカーソル217を移動させるために必要なパルス数を算出する(ステップS3)。
【0033】
次に、後処理制御部20は、ステップS3で検出したパルス数が整数倍か否か、すなわち整合位置までの距離が1パルス移動距離の整数倍になっているか否かを判断する(ステップS4)。ステップS3で検出したパルス数が整数倍でない場合には、ステッピングモーター218の励磁制御を変えて、1パルス移動距離よりも短いステップで、カーソル217を移動させる停止位置調整動作(相合わせ動作)を実行し(ステップS5)、ステップS3に戻る。これにより、ステップS3において、新しい停止位置から整合位置までの距離を再度算出し、整合位置にカーソル217を移動させるために必要なパルス数が算出されることになる。なお、ステップS4での判断には、カーソル217の位置検出誤差等の基づく誤差範囲が設定されており、誤差範囲内であれば、整数倍と判断されることになる。また、停止位置調整動作でカーソル217を移動させる方向は、一対のカーソル217間の幅が広がる方向が好ましい。さらに、停止位置調整動作でカーソル217を移動させる距離は、1パルス移動距離よりも短い方が好ましい。
【0034】
ステップS3で検出したパルス数が整数倍である場合には、後処理制御部20は、記録紙検出センサ(不図示)からの出力に基づいて、ストック部210への記録紙の到達を監視し(ステップS6)、ストック部210に記録紙が到達すると、ステップS3で算出したパルス数をステッピングモーター218に印加することで、カーソル217を整合位置まで移動させ(ステップS7)、ステップS1に戻る。このステップS1〜S7の整合動作は、ストックする最終の記録紙まで行われ、その後、ステープル処理や穿孔処理が行われる。
【0035】
以上説明したように本実施の形態においては、ステッピングモーター218に1パルスを印加した場合のカーソル217の移動距離である1パルス移動距離よりも高い分解能でカーソル217の停止位置を検出し、カーソル217の停止位置から、カーソル217が記録紙に当接して記録紙を整合する整合位置までの必要移動距離、ステッピングモーター218によってカーソル217を移動させるために必要なパルス数を算出し、必要移動距離が1パルス移動距離の整数倍か否かを判断し、必要移動距離が1パルス移動距離の整数倍でないと判断した場合には、ステッピングモーター218の励磁制御を変えて、カーソル217を1パルス移動距離よりも短いステップで移動させて、再度パルス数を算出し、必要移動距離が1パルス移動距離の整数倍であると判断した場合には、算出したパルス数をステッピングモーター218に印加して整合位置までカーソルを移動させるように構成することにより、トルクを下げることなく、物理的な要素以上の分解性能でカーソル位置を制御することができステッピングモーター218や駆動設計を変えることなく、必要トルクと制御位置精度を同時に満足させることができる。
【0036】
さらに、本実施の形態においては、カーソル217に取り付けられ、幅の異なる複数のスリット221aが端から順に幅長を変えて形成された遮光板221と、遮光板221に形成されているスリット221を検出するカーソル位置検出センサー222とを設け、スリット221aの幅と、スリット221a間の間隔とを1パルス移動距離よりも短く形成することにより、カーソル位置の絶対値を正確に検出することが可能になり、.検出精度は、カーソル217と連動して移動する遮光版221のスリット221aの幅だけの変更で調整することができる。
【0037】
さらに、本実施の形態においては、カーソル217が整合位置から遠ざかるほど、幅が短いスリット221aがカーソル位置検出センサー221によって検出されるように前記遮光板221を配置することにより、ホームポジションHP近傍の位置検出をより正確に行うことができる。
【0038】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付している。
【符号の説明】
【0039】
10 本体制御部
20 後処理制御部(パルス数算出手段、停止位置調整手段、カーソル駆動手段)
100 画像形成装置
101 操作パネル
120 原稿読取部
121 スキャナー
122 プラテンガラス
123 原稿読取スリット
130 原稿給送部
131 原稿載置部
132 原稿排出部
133 原稿搬送機構
140 本体部
150 記録部
151 感光体ドラム
152 帯電部
153 露光部
154 画像形成部
155 転写部
156 クリーニング部
157 定着部
160 給紙部
161 給紙カセット
162 給紙ローラー
165 クリーニング部
170 搬送路
181 搬送ローラー
182a、182b 排出ローラー
183 切替爪
190 排出トレイ
200 後処理装置
201 パンチ部
202 ステープル部
203 搬入口
204 搬送ローラー
205 案内爪
206 排出ローラー
207 副排出トレイ
208 主排出トレイ
210 ストック部
211 カバートレイ
212 ストックトレイ
213 ストッパ
214 無端ベルト
215a プーリー
215b 回転軸
216 モーター
217 カーソル
218 ステッピングモーター
219 歯車
220 ラック
221 遮光板
221a スリット
222 カーソル位置検出センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録紙を取り込み、カーソルを用いて取り込んだ前記記録紙を整合してストックする後処理装置であって、
前記カーソルをパルス信号によって駆動するステッピングモーターと、
前記ステッピングモーターに1パルスを印加した場合の前記カーソルの移動距離である1パルス移動距離よりも高い分解能で前記カーソルの停止位置を検出する位置検出手段と、
該位置検出手段によって検出された前記カーソルの停止位置から、前記カーソルが前記記録紙に当接して前記記録紙を整合する整合位置までの必要移動距離、前記ステッピングモーターによって前記カーソルを移動させるために必要なパルス数を算出し、前記必要移動距離が前記1パルス移動距離の整数倍か否かを判断するパルス数算出手段と、
該パルス数算出手段によって、前記必要移動距離が前記1パルス移動距離の整数倍でないと判断された場合には、前記ステッピングモーターの励磁制御を変えて、前記カーソルを前記1パルス移動距離よりも短いステップで移動させ、前記パルス数算出手段によって再度パルス数を算出させる停止位置調整手段と、
前記移動距離判断手段によって、前記必要移動距離が前記1パルス移動距離の整数倍であると判断された場合には、前記パルス数算出手段によって算出されたパルス数を前記ステッピングモーターに印加して前記整合位置まで前記カーソルを移動させるカーソル駆動手段とを具備することを特微とする後処理装置。
【請求項2】
前記位置検出手段は、前記カーソルに取り付けられ、幅の異なる複数のスリットが端から順に幅長を変えて形成された遮光板と、
該遮光板に形成されている前記スリットを検出するカーソル位置検出センサーとを具備し、
前記スリットの幅と、前記スリット間の間隔とは前記1パルス移動距離よりも短く形成されていることを特徴とする請求項1記載の後処理装置。
【請求項3】
前記遮光板は、前記カーソルが前記整合位置から遠ざかるほど、幅が短い前記スリットが前記カーソル位置検出センサーによって検出されるように配置されていることを特徴とする請求項2記載の後処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−75744(P2013−75744A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216465(P2011−216465)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】