説明

徐放性不織布及びその製造方法

【課題】 徐放性物質を含有する複合繊維を含む徐放性不織布に関し、長期間安定して徐放性能を維持すると共に徐放効果に優れた徐放性不織布及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 徐放性複合繊維を含み、前記徐放性複合繊維の熱融着により構成繊維が結合してなる徐放性不織布であって、前記徐放性複合繊維は、徐放性物質を含有する熱可塑性の繊維形成性樹脂成分からなる芯部と、酸素透過率が20cc・mm/m・day・atm以下である熱可塑性の繊維形成性樹脂成分からなる鞘部とから形成され、さらに芯部または鞘部の少なくとも一方に無機質の粒子を含有している徐放性不織布。並びに、前記徐放性複合繊維を含む繊維ウエブを加熱することにより、前記徐放性複合繊維の熱融着により構成繊維を結合する徐放性不織布の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、徐放性物質を含有する複合繊維を含む徐放性不織布に関し、特に長期間安定して徐放性能を維持すると共に徐放効果に優れた徐放性不織布に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、徐放性物質を含有する複合繊維は知られており、この複合繊維はその徐放性能を生かして、例えば香料成分や、防虫、防ダニまたは抗菌性成分などを用いることにより、布団、枕、クッション、縫いぐるみなどの詰め綿、テーブルクロス、カーペット、カーテン、インテリア、車両内装、衣類および各種衛生用品などの各種の用途に使用されている。
【0003】
このような複合繊維を用いた繊維集合体からなるクッション材としては、例えば特許文献1に、構成繊維の少なくとも20重量%が、精油を0.1〜5重量%含有する下記(A)及び(B)のオレフィン系重合体組成物を芯部とし、ポリエステルを鞘部とする芯鞘型中実複合短繊維である徐放性芳香クッション材が記載されている。
(A)実質的にα−オレフィンからなる極性基を有しないオレフィン重合体:98〜50重量%、及び(B)不飽和カルボン酸、不飽和アルコール及びこれらのエステル、酸無水物またはアミドから選ばれる少なくとも1種を3〜30重量%共重合させた変性オレフィン重合体:2〜50重量%。
また、同文献には、繊維集合体の繊維交絡点の少なくとも一部が熱可塑性エラストマーによって熱融着されていることが記載されている。このように、このクッション材にあっては、徐放性の複合繊維は熱融着性を有していないので、繊維集合体に耐久性のある構造を付与するには、他の熱融着性の繊維を混入させて、加熱処理により構成繊維の繊維交点を熱融着する必要があった。したがって、この場合、少なくとも他の熱融着性の繊維の混入する分は徐放性の効果が得られないことになり、徐放性の効果を十分に得ることができなかった。
【0004】
また、繊維集合体に耐久性のある構造を付与するには、熱融着性の繊維を用いずに、接着樹脂を含浸などによって付着させて、構成繊維の繊維交点を接着する方法も考えられるが、この場合は、徐放性の複合繊維の表面を接着樹脂で覆ってしまうため、やはり徐放性の効果を十分に得ることができなかった。
【0005】
また、徐放性物質を含有する複合繊維自体の徐放性の効果を改良しようとする試みもなされている。このような試みとしては、例えば特許文献2に、繊維形成性重合体からなる鞘部、および徐放性成分を保持させた多孔性物質を含有する低融点重合体からなる芯部よりなる徐放性芯鞘型複合繊維が記載されており、徐放性を長時間にわたり持続させる効果が示されている。しかし、この徐放性芯鞘型複合繊維を用いて不織布を形成しようとしても、この複合繊維は熱融着性を有していないので、不織布に耐久性のある構造を付与するには、他の熱融着性の繊維を混入させて、加熱処理により構成繊維の繊維交点を熱融着する必要があった。したがって、この場合、少なくとも他の熱融着性の繊維の混入する分は徐放性の効果が得られないことになり、やはり徐放性の効果を十分に得ることはできなかった。
【0006】
【特許文献1】特開平4−263893号公報
【特許文献2】特開平6−322612号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の問題を解決し、徐放性物質を含有する複合繊維を含む徐放性不織布に関し、長期間安定して徐放性能を維持すると共に徐放効果に優れた徐放性不織布及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、徐放性複合繊維を含み、前記徐放性複合繊維の熱融着により構成繊維が結合してなる徐放性不織布であって、前記徐放性複合繊維は、徐放性物質を含有する熱可塑性の繊維形成性樹脂成分からなる芯部と、酸素透過率が20cc・mm/m・day・atm以下である熱可塑性の繊維形成性樹脂成分からなる鞘部とから形成され、さらに芯部または鞘部の少なくとも一方に無機質の粒子を含有していることを特徴とする徐放性不織布であり、長期間安定して徐放性能を維持すると共に徐放効果に優れた徐放性不織布を提供することが可能となる。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記鞘部の繊維形成性樹脂成分の融点が、前記芯部の繊維形成性樹脂成分の融点よりも低いことを特徴とする請求項1に記載の徐放性不織布であり、加熱処理により確実に構成繊維が結合しており、高い強度を有するという利点がある。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記鞘部の繊維形成性樹脂成分が湿熱により溶融する樹脂からなることを特徴とする請求項1または2に記載の徐放性不織布であり、湿熱下の加熱処理により確実に構成繊維が結合しており、高い強度を有するという利点がある。
【0011】
請求項4に係る発明は、前記徐放性複合繊維の熱融着がスチームジェットによるものであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の徐放性不織布であり、熱風により徐放性複合繊維が熱融着する場合と比較して、短時間で熱融着が可能であるので、徐放性物質の損失が少ないものとなっている。また、一般的に、加熱処理により強制的に徐放性物質が芯部の外側付近から失われるので、徐放性物質の放散がしばらく低下することが考えられるが、スチームジェットによれば、低下の度合いも少なくなるという効果がある。
【0012】
請求項5に係る発明は、
徐放性複合繊維を含む繊維ウエブを加熱することにより、前記徐放性複合繊維の熱融着により構成繊維を結合する徐放性不織布の製造方法であって、前記徐放性複合繊維は、徐放性物質を含有する熱可塑性の繊維形成性樹脂成分からなる芯部と、酸素透過率が20cc・mm/m・day・atm以下である熱可塑性の繊維形成性樹脂成分からなる鞘部とから形成され、さらに芯部または鞘部の少なくとも一方に無機質の粒子を含有していることを特徴とする徐放性不織布の製造方法であり、請求項1〜4の徐放性不織布を好適に製造することができる。
【0013】
請求項6に係る発明は、前記繊維ウエブの加熱が、スチームジェットによる加熱であることを特徴とする請求項5に記載の徐放性不織布の製造方法であり、特に請求項4の徐放性不織布を好適に製造することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によって、徐放性物質を含有する複合繊維を含む徐放性不織布に関し、長期間安定して徐放性能を維持すると共に徐放効果に優れた徐放性不織布及びその製造方法を提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の徐放性不織布は、徐放性複合繊維を含み、前記徐放性複合繊維の熱融着により構成繊維が結合してなる徐放性不織布である。
【0016】
前記徐放性複合繊維は、徐放性物質を含有する熱可塑性の繊維形成性樹脂成分からなる芯部と、前記繊維形成性樹脂成分よりも融点の低い熱可塑性の繊維形成性樹脂成分からなる鞘部とから形成され、さらに芯部または鞘部の少なくとも一方に無機質の粒子を含有している。
【0017】
前記芯部を構成する熱可塑性の繊維形成性樹脂成分としては、繊維形成性能を有する限り、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリアクリロニトリルなどのアクリル系樹脂およびポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂などを挙げることができる。これらの中でも、特に徐放性物質や無機質の粒子を含有させることが容易な点で、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。また、ポリオレフィン系樹脂であれば、ガスバリヤー性が極端に高いというわけではなく芯部として徐放性物質を比較的放出しやすく、また例えばポリプロピレン樹脂とポリエチレン樹脂とを混合させることが可能であるなど、ポリオレフィン系樹脂相互の相溶性にも優れるので好ましい。
【0018】
前記鞘部を構成する熱可塑性の繊維形成性樹脂成分としては、繊維形成性能を有し、且つ酸素透過率が20cc・mm/m・day・atm以下である熱可塑性の繊維形成性樹脂成分である限り、特に限定されず、例えば、変成ポリエチレンテレフタレート、ナイロン12、ポリエステル共重合樹脂、ナイロン6共重合樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂などが挙げられ、これらの樹脂の酸素透過率の値はそれぞれ15、12〜16、10、4〜6、0.2〜1であり、この順にガスバリヤー性は高くなる。酸素透過率が20cc・mm/m・day・atm以下であるので、鞘部の繊維形成性樹脂成分のガスバリヤー性が高く、長期間安定して徐放性能を維持する効果がより優れているという利点がある。
【0019】
本発明では、鞘部を構成する樹脂成分は芯部を構成する樹脂成分よりも融点が低いことが好ましい。鞘部を構成する樹脂成分が芯部を構成する樹脂成分よりも融点が低いことによって、当該鞘部を有する複合繊維を含む繊維ウエブを、芯部の樹脂成分の融点未満且つ鞘部の樹脂成分の融点以上で加熱処理した際に、複合繊維の芯部は溶融しないで鞘部のみ溶融するので、複合繊維の繊維形態と強度を保ちながら、構成繊維が確実に熱融着して徐放性不織布が形成されている。このように、鞘部を構成する樹脂成分は芯部を構成する樹脂成分よりも融点が低いことが好ましく、具体的には芯部を構成する樹脂成分よりも5℃以上低いことが好ましく、10℃以上低いことがより好ましく、15℃以上低いことが更に好ましい。5℃未満であると、当該鞘部を有する複合繊維を含む繊維ウエブを加熱処理した際に、加熱温度にばらつきがあると、複合繊維全体が溶融してしまい、強度のある不織布を形成できない場合がある。鞘部を構成する樹脂成分は芯部を構成する樹脂成分よりも融点が低いことによって、徐放性不織布において、加熱処理により確実に構成繊維が結合しており、高い強度を有するという利点がある。
【0020】
また、本発明では、前記鞘部の繊維形成性樹脂成分が湿熱により溶融する樹脂からなることも可能であり、この場合、湿熱下の加熱処理により確実に構成繊維が結合しており、高い強度を有するという利点がある。湿熱により溶融する樹脂としては、例えば変成ポリエチレンテレフタレート、ナイロン12、ポリエステル共重合樹脂、ナイロン6共重合樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂などが挙げられるが、これらの中で特に湿熱により溶融しやすい樹脂としてはエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂を挙げることができる。湿熱を利用した場合、融点以上で加熱する場合と比較してより低い温度で溶融するので、加熱時に芯部に含まれる徐放性成分の放出を少なくすることができるという利点がある。
【0021】
この湿熱を利用した加熱方法としては、例えばスチームジェットによる加熱方法があり、スチームジェットによる加熱方法であれば、湿熱により溶融する樹脂に対して、融点以上で加熱する場合と比較してより低い温度で溶融するという前述の効果をより顕著に得ることができる。すなわち、通常の湿熱による温度よりも更に低い温度で溶融することができる。また、スチームジェットによる加熱方法であれば、短時間で溶融させることができるという利点もある。このように、スチームジェットによる加熱方法であれば、加熱時に芯部に含まれる徐放性成分の放出を少なくすることができるという効果を顕著に得ることができる。
【0022】
また、本発明では、芯部を構成する樹脂成分と鞘部を構成する樹脂成分は同じ種類の樹脂であっても、または異なる樹脂であってもよい。芯部を構成する樹脂成分と鞘部を構成する樹脂成分の好ましい組合せとしては、例えば芯部がポリプロピレンを主体とするポリオレフィンであり、鞘部が、変成ポリエチレンテレフタレートである複合繊維や、芯部がポリプロピレンを主体とするポリオレフィンであり、鞘部がエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂である複合繊維などがある。
【0023】
また、本発明では、芯部を構成する樹脂成分と鞘部を構成する樹脂成分の割合も特に限定されず、不織布の用途などに応じて種々調節することができるが、複合紡糸時のトラブル、得られる複合繊維の機械的強度などの物性、徐放性能などの点から、芯部を構成する樹脂成分/鞘部を構成する樹脂成分の割合が30/70〜90/10であることが好ましく、40/60〜70/30であることがより好ましい。
【0024】
本発明では、芯部を構成する熱可塑性の繊維形成性樹脂成分は徐放性物質を含有しているが、この徐放性物質としては、沸点が比較的低くて空気中に徐々に揮発する徐放性能を有する物質である限り、特に限定されず不織布の用途などに応じて徐放性物質の種類を適宜選択することができる。徐放性物質の例としては、樹木の香りを放ついわゆる森林浴繊維に用いられる天然精油や香料が挙げられ、こられのほとんどが200℃以下の沸点を有し、空気中に徐々に揮散してゆく。またそれ以外にも、花や果物などの香りのする揮発性の香料、揮発性を有する防虫・防ダニ剤、殺菌剤、殺カビ剤などを挙げることができる。徐放性物質の具体的な一例を示すと、クラレリビング株式会社の製品名SROPEとして販売されているマスターバッチに含まれる液状機能剤である、ユーカリプタス精油、ペパーミント精油、シダーウッド精油、カプサイシン精油、ラベンダー精油、リモネン精油などを挙げることができる。
【0025】
前記芯部を構成する熱可塑性の繊維形成性樹脂成分に対する徐放性物質の割合は、0.1〜20質量%であることが好ましく、0.5〜15質量%であることがより好ましく、1〜10質量%であることが更に好ましい。また、芯部の樹脂成分に徐放性物質を含有させる方法も、特に限定されず、徐放性物質を芯部の樹脂成分中に均一に混合分散させ得る方法であればいずれも採用できるが、徐放性物質を高濃度で含有する繊維形成性樹脂のマスターバッチやマスターチップを予め製造しておき、このマスターバッチやマスターチップを別に用意した繊維形成性樹脂と混合するのが均一な混合物を得る上で好ましい。
【0026】
本発明では、前記芯部または鞘部の少なくとも一方に無機質の粒子を含有していることを必要としている。この無機質の粒子は、徐放性成分を吸着などにより一時的に保持させる機能を有する核剤となることができる限り特に限定されず、複合繊維の紡糸時や融着時の加熱などによって変性を受けないものが望ましい。このような無機質の粒子としては、例えば、シリカ、ゼオライト、炭酸カルシウム、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタンなどの無機微粒子を挙げることができ、特に多孔性物質であるシリカ、ゼオライト、炭酸カルシウム、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどが好ましい。
【0027】
前記無機質の粒子は、徐放性成分を吸着などにより一時的に保持させる機能を有する核剤として機能するので、徐放性不織布において、徐放効果が長期間にわたり持続するという効果をもたらす。なお、特許文献2に記載されるように、徐放性成分を保持させた多孔性物質を芯部の低融点重合体に含有させた場合は、徐放性成分の放出能が規制されすぎて、長期間にわたり徐放性能が維持されるものの、徐放性成分による効果が劣るという問題があった。これに対して、本発明では前記無機質の粒子が徐放性成分を一時的に保持させる機能、いわば緩衝機能を有するため徐放効果が長期間にわたり持続すると共に徐放性成分の放出によって得られる効果も優れているという利点がある。
【0028】
前記無機質の粒子は、その平均粒径が0.01〜3μmの範囲にあるのが好ましく、0.01〜1μmのものがより好ましい。無機質の粒子の平均粒径が0.01μmよりも小さいと、熱による凝集によって紡糸工程でのフィルターの目詰まりの恐れがあり、一方3μmよりも大きいと、やはり複合繊維の紡糸時にフィルターの目詰まりや断糸等を生じて紡糸時の工程性が不良になり易く、延伸工程での毛羽の発生やローラーへの巻き付き、製品品質の低下などを生じ易い。
【0029】
前記芯部または鞘部を構成する熱可塑性の繊維形成性樹脂成分に対する無機質の粒子の割合は、0.5〜20質量%であることが好ましく、1〜15質量%であることがより好ましく、2〜10質量%であることが更に好ましい。また、芯部または鞘部の樹脂成分に無機質の粒子を含有させる方法も、特に限定されず、無機質の粒子を芯部または鞘部の樹脂成分中に均一に混合分散させ得る方法であればいずれも採用できるが、無機質の粒子を高濃度で含有する繊維形成性樹脂のマスターバッチやマスターチップを予め製造しておき、このマスターバッチやマスターチップを別に用意した繊維形成性樹脂と混合するのが均一な混合物を得る上で好ましい。
【0030】
また、前記芯部または鞘部を構成する熱可塑性の繊維形成性樹脂成分は、必要に応じて有機合成繊維に通常使用されている紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、難燃剤、可塑剤、染顔料などの他の添加剤を含有することも可能である。
【0031】
本発明では、前記徐放性複合繊維は、熱可塑性の繊維形成性樹脂を用いて複合繊維を製造する従来公知の製造方法により製造することができ、その製法についても特に限定されない。また前記徐放性複合繊維の断面形状も特に限定されず、例えば、丸断面の他に、偏平断面、ドッグボーン断面、T型断面、V型断面、3〜6角形断面、3〜14葉断面などの異形断面など任意の断面形状とすることが可能である。また、前記徐放性複合繊維の太さや繊維長も特に限定されず、不織布の製造方法に応じ、また各々の用途に適した太さや繊維長とすることが可能である。
【0032】
本発明は、前記徐放性複合繊維を含み、前記徐放性複合繊維の熱融着により構成繊維が結合してなる徐放性不織布であり、前記徐放性複合繊維の熱融着により構成繊維が結合している限り、不織布の形態は特に限定されず、通常不織布の製法として知られる例えば乾式法や湿式法などによって得られる不織布を適用することができる。このうち、乾式法であれば、例えばカード機やエアレイ装置などを使用して、予めクリンプ加工がなされたステープル繊維の形態をした、前記徐放性複合繊維を含む繊維原綿を開繊して繊維フリースとした後、この繊維フリースを一方向に、或いはクロスレイなどにより積層して、前記徐放性複合繊維を含む繊維ウエブを形成しておき、その後加熱処理を行なうことにより、前記徐放性複合繊維の熱融着により構成繊維を結合する方法を採用することができる。
【0033】
乾式法であれば、繊維長が15〜100mm程度の、捲縮数が5〜30個/インチ程度を有するステープル繊維を用いることになり、前記徐放性複合繊維の繊維断面からの徐放効果が期待されるとともに、他の機能性のある繊維を混入することが容易であり、厚さ、面密度、物性などを広範囲に選択でき、目的とする用途にきめ細かく対応した不織布とすることができるという利点がある。
【0034】
また、湿式法による場合は、水平長網方式、傾斜ワイヤー型短網方式、円網方式、又は長網・円網コンビネーション方式の抄紙機などを用いて、カットした形態の前記徐放性複合繊維を含む原料繊維をスラリー化させ、このスラリーから繊維シートを漉き上げて、前記徐放性複合繊維を含む繊維ウエブを形成しておき、その後加熱処理を行なうことにより、前記徐放性複合繊維の熱融着により構成繊維を結合する方法を採用することができる。
【0035】
湿式法であれば、繊維長が15mm程度以下のカット繊維を用いることになり、前記徐放性複合繊維の繊維断面からの徐放効果が期待されるとともに、他の機能性のある繊維を混入することが容易であり、特に厚さが薄く、緻密な徐放性不織布とすることができ、小体積でありながら高い徐放効果を期待することができるという利点がある。
【0036】
また、メルトブロー法によりノズルから極細繊維を紡出させて繊維流としておき、この繊維流の中に、前記徐放性複合繊維からなる開繊したステープル繊維を混入させることにより、前記徐放性複合繊維を含む繊維ウエブを形成しておき、その後加熱処理を行なうことにより、前記徐放性複合繊維の熱融着により構成繊維を結合する方法を採用することができる。このようにして形成された徐放性不織布は、極細繊維の特徴を有しながら徐放効果も有しており、エアフィルタなどに好適である。
【0037】
本発明では、前記徐放性複合繊維以外の繊維を含むことも可能であり、含有可能な繊維としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系繊維、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド系繊維、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系繊維、ポリアクリロニトリルなどのアクリル系繊維およびポリビニルアルコール繊維などの合成繊維に限らず、レーヨンなどの半合成繊維、あるいは綿、セルロース系繊維などの天然繊維を挙げることができる。
【0038】
本発明では、前記徐放性複合繊維の含有割合は、徐放性不織布全体に対して、好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは100%である。30%未満では、徐放性物質による効果が減少すると共に徐放性不織布の引張り強さが不足する場合がある。
【0039】
本発明では、前記徐放性複合繊維の熱融着の前に、ニードルパンチや水流の作用によって構成繊維を交絡させることも可能である。ニードルパンチによる場合は、例えば針密度5〜100本/cm程度で構成繊維を交絡させる方法を適用することができる。また、高圧水を内蔵するノズルヘッドより噴射される水流の作用により、繊維ウエブ中の繊維を交絡させるには、通常の水流絡合による不織布の製法を用いることが可能であり、例えば、前記繊維ウエブをベルトコンベアなどからなる開孔支持体の上に載置して、この開孔支持体を移動させながら、繊維ウエブの上部に設置した、高圧水を内蔵するノズルヘッドより、多数のノズル孔を直線状に配置したノズルプレートを通して、柱状流を噴出して、繊維ウエブに水流を作用させる方法がある。この方法で用いるノズル孔の直径は0.1〜0.3mmが好ましく、ノズル孔の間隔は0.5〜2mmが好ましく、また複数本のノズルヘッドを用いることが好ましい。またノズルヘッド内の水圧は0.2〜2MPaが好ましく、分割性繊維を分割する場合には分割性の程度にもよるが0.5〜2MPaが好ましい。このように、構成繊維間が交絡した徐放性不織布であれば、交絡により繊維交点が増加して、徐放性複合繊維の熱融着の効果が高まり、徐放性不織布の引張り強さがより高くなるという利点がある。
【0040】
本発明では、前記徐放性複合繊維の熱融着により構成繊維が結合しているが、この熱融着の方法としては、従来不織布で採用されている方法を用いることが可能であり、例えば、前記繊維ウエブを搬送コンベアーに載置して、熱風ドライヤーや赤外線ランプによって、繊維ウエブを加熱する方法や、エアースルータイプのドライヤーを用いる方法がある。このような場合、筐体内を所定の温度環境に制御し、この筐体内を繊維ウエブが通過することによって安定した熱処理を行い得る方法および装置が望ましい。また、熱融着の方法として、加熱した一対の平滑ロールの間、または加熱した凹凸のあるロールと平滑ロールの間で繊維ウエブを圧着しながら加熱する方法も可能である。
【0041】
本発明では、前記徐放性複合繊維を加熱処理する必要があるため、加熱加工中に徐放性複合繊維から徐放性物質が失われることも考えられる。そこで、その対策として、スチームジェットによる熱融着が好ましい。スチームジェットによる方法としては、例えば、前述の水流の作用によって構成繊維を交絡させる場合と同様の装置を使用して、高圧水の代わりに高圧蒸気を用い、水流の代わりにスチームジェット流を作用させる方法がある。具体的には、例えば、前記繊維ウエブをベルトコンベアなどからなる開孔支持体の上に載置して、この開孔支持体を移動させながら、繊維ウエブの上部に設置した、高圧蒸気を内蔵するスチームジェット用ノズルヘッドより、多数のノズル孔を直線状に配置したノズルプレートを通して、蒸気流を噴出して、繊維ウエブにスチームジェット流を作用させる方法がある。このように、徐放性複合繊維の熱融着がスチームジェットによるものである場合、熱風により徐放性複合繊維が熱融着する場合と比較して、短時間で熱融着が可能であるので、徐放性物質の損失が少ないという利点がある。また、一般的に、加熱処理により強制的に徐放性物質が芯部の外側付近から失われるので、徐放性物質の放散がしばらく低下することが考えられるが、スチームジェットによれば、低下の度合いも少なくなるという効果がある。なお、スチームジェットによる方法であれば、前記繊維ウエブに密度勾配を形成することも可能であり、濾過寿命の長い濾材を得ることも可能である。
【0042】
以上説明したように、本発明によって、徐放性物質を含有する複合繊維を含む徐放性不織布に関し、長期間安定して徐放性能を維持すると共に徐放効果に優れた徐放性不織布及びその製造方法を提供することが可能となった。
【実施例】
【0043】
以下、本発明の実施例につき説明するが、これは発明の理解を容易とするための好適例に過ぎず、本願発明はこれら実施例の内容に限定されるものではない。
【0044】
(徐放性不織布の芳香性評価方法)
徐放性不織布100gを80℃の熱風式乾燥機中に3日間放置、次いで24時間室温25℃の大気中に放置した後に、蒸散臭気を鼻でかいで点数評価した。なお点数評価は、乾燥機に挿入前の匂いの強さを5点とし、匂いが感じられなくなった場合を1点として、匂いの強さを5段階にわけて行った。
【0045】
(徐放性不織布の物性評価方法)
引張強さ、伸び率はJIS L1096−1999(一般織物試験方法)に規定される、8.12.1A法(ストリップ法)に準じて測定した。ただし、試験片の巾は5cm、長さ20cm、つかみ間隔10cm、引張速度20cm/分とした。また、厚さは20g/cmの加圧下での厚さで表す。
【0046】
(徐放性複合繊維Aの準備)
液状機能剤としてラベンダー精油が10質量%となるように混入した低密度ポリエチレンからなるマスターバッチ(クラレリビング株式会社製:製品名SROPE−LL)40質量部に、シリカ粉体(平均粒径0.4μm)5質量部とポリプレン(MI=20)55質量部を加えて希釈して、ポリプロピレン主体組成物Aの全質量に対して、ラベンダー精油を4質量%およびシリカ5質量%の割合で含有するポリプロピレン主体組成物Aを製造した。次いで、前記ポリプロピレン主体組成物Aを芯部として、変性ポリエステル樹脂(酸素透過率15cc・mm/m・day・atm)を鞘部として用いて、鞘部と芯部とを50:50の質量比率で複合繊維用紡糸装置に供給して、吐出量40g/分、巻取り速度390m/分、紡糸温度220℃で紡糸して、変性ポリエステル樹脂の鞘部(融点:135℃)とラベンダー精油4質量%およびシリカ粉体5質量部を含有するポリプロピレン主体組成物の芯部(融点:167℃)とからなる断面丸型の芯鞘型複合繊維を製造した。この複合繊維を常法にしたがって延伸、捲縮、熱処理した後、切断して単繊維繊度3.3デシテックス、カット長51mmの徐放性複合繊維Aを得た。
【0047】
(徐放性複合繊維Bの準備)
液状機能剤としてラベンダー精油が10質量%となるように混入した低密度ポリエチレンからなるマスターバッチ(クラレリビング株式会社製:製品名SROPE−LL)40質量部に、シリカ粉体(平均粒径0.4μm)5質量部とポリプレン(MI=20)55質量部を加えて希釈して、ポリプロピレン主体組成物Aの全質量に対して、ラベンダー精油を4質量%およびシリカ5質量%の割合で含有するポリプロピレン主体組成物Aを製造した。次いで、前記ポリプロピレン主体組成物Aを芯部として、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂(酸素透過率0.5cc・mm/m・day・atm)(MI=40)を鞘部として用いて、鞘部と芯部とを50:50の質量比率で複合繊維用紡糸装置に供給して、吐出量40g/分、巻取り速度260m/分、紡糸温度220℃で紡糸して、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂の鞘部(融点:160℃)とラベンダー精油4質量%およびシリカ粉体5質量部を含有するポリプロピレン主体組成物の芯部(融点:167℃)とからなる断面丸型の芯鞘型複合繊維を製造した。この複合繊維を常法にしたがって延伸、捲縮、熱処理した後、切断して単繊維繊度7.7デシテックス、カット長51mmの徐放性複合繊維Bを得た。
【0048】
(徐放性繊維Cの準備)
液状機能剤としてラベンダー精油が10質量%となるように混入した低密度ポリエチレンからなるマスターバッチ(クラレリビング株式会社製:製品名SROPE−LL)40質量部に、シリカ粉体(平均粒径0.4μm)5質量部とポリプレン(MI=20)55質量部を加えて希釈して、ポリプロピレン主体組成物Aの全質量に対して、ラベンダー精油を4質量%およびシリカ5質量%の割合で含有するポリプロピレン主体組成物Aを製造した。次いで、前記ポリプロピレン主体組成物Aを芯部として、高密度ポリエチレン(MI=20)(酸素透過率55cc・mm/m・day・atm)を鞘部として用いて、鞘部と芯部とを50:50の質量比率で複合繊維用紡糸装置に供給して、吐出量40g/分、巻取り速度390m/分、紡糸温度240℃で紡糸して、高密度ポリエチレンの鞘部(融点:142℃)とラベンダー精油4質量%およびシリカ粉体5質量部を含有するポリプロピレン主体組成物の芯部(融点:167℃)とからなる断面丸型の芯鞘型複合繊維を製造した。この複合繊維を常法にしたがって延伸、捲縮、熱処理した後、切断して単繊維繊度3.3デシテックス、カット長51mmの徐放性複合繊維Cを得た。
【0049】
(徐放性繊維Dの準備)
液状機能剤としてラベンダー精油が10質量%となるように混入した低密度ポリエチレンからなるマスターバッチ(クラレリビング株式会社製:製品名SROPE−LL)40質量部に、高密度ポリエチレン(MI=20)(酸素透過率55cc・mm/m・day・atm)60質量部を加えて希釈して、高密度ポリエチレン主体組成物Dの全質量に対して、ラベンダー精油を4質量%の割合で含有する高密度ポリエチレン主体組成物Dを製造した。次いで、ポリプロピレン(MI=20)を芯部として、前記高密度ポリエチレン主体組成物Dを鞘部として用いて、鞘部と芯部とを50:50の質量比率で複合繊維用紡糸装置に供給して、吐出量40g/分、巻取り速度390m/分、紡糸温度240℃で紡糸して、ラベンダー精油を4質量%含有する高密度ポリエチレン主体組成物の鞘部(融点:142℃)とポリプロピレンの芯部(融点:167℃)とからなる断面丸型の芯鞘型複合繊維を製造した。この複合繊維を常法にしたがって延伸、捲縮、熱処理した後、切断して単繊維繊度3.3デシテックス、カット長51mmの徐放性複合繊維Dを得た。
【0050】
(実施例1)
3.3デシテックスの前記徐放性複合繊維A(繊維長51mm)100%からなる原料繊維を使用してカード機により開繊して繊維フリースを形成した。次いで、この繊維フリースを積層して、クロスレイにより一方向性繊維フリースが交差したクロスレイ繊維フリースと一方向性繊維フリースとが積層された繊維ウエブを形成した。
次いで、この繊維ウエブをベルトコンベアからなる開孔支持体の上に載置して、この開孔支持体を移動させながら、繊維ウエブの上部に設置した、高圧水(水圧8MPa)を内蔵するノズルヘッドより、多数のノズル孔(直径0.13mm)を直線状に配置したノズルプレートを通して、柱状流を噴出して、繊維ウエブに水流を作用させ絡合ウエブを形成した。
次いで、この繊維ウエブをベルトコンベアからなる開孔支持体の上に載置して、この開孔支持体を移動させながら、繊維ウエブの上部に設置した、高圧水(水圧8MPa)を内蔵するノズルヘッドより、多数のノズル孔(直径0.13mm)を直線状に配置したノズルプレートを通して、柱状流を噴出して、繊維ウエブに水流を作用させ、引き続き、繊維ウエブの上部に設置した、高圧蒸気(蒸気温度160℃)を内蔵するスチームジェット用ノズルヘッドより、多数のノズル孔(直径0.3mm)を直線状に配置したノズルプレートを通して、またウエブとノズルプレートの間を8mmとして、蒸気流を噴出して、繊維ウエブを加熱処理して、複合繊維の鞘部を溶融させることで、構成繊維を熱融着させて、面密度65g/mの徐放性不織布を得た。
この徐放性不織布は厚さが0.7mmで、縦方向の引張強さが120N/50mm巾であり、横方向の引張強さが25N/50mm巾であり、縦方向の伸び率が55%であり、横方向の伸び率が95%であった。また、芳香性の評価において、3点であった。
【0051】
(実施例2)
実施例1において、徐放性複合繊維Aの替わりに徐放性複合繊維Bを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、面密度65g/mの徐放性不織布を得た。
この徐放性不織布は厚さが0.85mmで、縦方向の引張強さが125N/50mm巾であり、横方向の引張強さが30N/50mm巾であり、縦方向の伸び率が60%であり、横方向の伸び率が110%であった。また、芳香性の評価において、4点であった。
なお、この実施例2においては、高圧蒸気(蒸気温度160℃)を内蔵するスチームジェット用ノズルヘッドより蒸気流を噴出して繊維ウエブを加熱処理しているが、蒸気流の温度は断熱膨張により前記高圧蒸気の温度160℃よりも低くなっていると考えられる。それにもかかわらず、融点が160℃である徐放性複合繊維Bの鞘部を溶融して、実施例1の徐放性不織布と遜色のない引張強さが得られていることから明らかなように、鞘部のエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂は融点の160℃よりも低い温度で熱融着していることが確かめられた。
【0052】
(比較例1)
3.3デシテックスの前記徐放性複合繊維C(繊維長51mm)100%からなる原料繊維を使用してカード機により開繊して繊維フリースを形成した。次いで、この繊維フリースを積層して、クロスレイにより一方向性繊維フリースが交差したクロスレイ繊維フリースと一方向性繊維フリースとが積層された繊維ウエブを形成した。
次いで、この繊維ウエブをベルトコンベアからなる開孔支持体の上に載置して、この開孔支持体を移動させながら、繊維ウエブの上部に設置した、高圧水(水圧8MPa)を内蔵するノズルヘッドより、多数のノズル孔(直径0.13mm)を直線状に配置したノズルプレートを通して、柱状流を噴出して、繊維ウエブに水流を作用させ絡合ウエブを形成した。
次いで、この絡合ウエブを金網ネットが開孔ドラムに巻かれた支持体からなるスルーエアー型の乾燥機に通し、145℃で加熱処理して、複合繊維の鞘部を溶融させることで、構成繊維を熱融着させて、面密度65g/mの徐放性不織布を得た。
この徐放性不織布は厚さが0.8mmで、縦方向の引張強さが96N/50mm巾であり、横方向の引張強さが21N/50mm巾であり、縦方向の伸び率が60%であり、横方向の伸び率が90%であった。また、芳香性の評価において、2点であった。
【0053】
(比較例2)
実施例1において、徐放性複合繊維Aの替わりに徐放性複合繊維Dを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、面密度65g/mの徐放性不織布を得た。
この徐放性不織布は厚さが0.8mmで、縦方向の引張強さが90N/50mm巾であり、横方向の引張強さが20N/50mm巾であり、縦方向の伸び率が60%であり、横方向の伸び率が92%であった。また、芳香性の評価において、1点であった。
【0054】
実施例の結果から明らかなように、実施例1〜2の徐放性不織布は、長期間安定して徐放性能を維持すると共に徐放効果にも優れており、機械的強度にも優れていた。これに対して、比較例1〜2の不織布は徐放性能の維持に劣り、徐放効果にも劣っていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
徐放性複合繊維を含み、前記徐放性複合繊維の熱融着により構成繊維が結合してなる徐放性不織布であって、前記徐放性複合繊維は、徐放性物質を含有する熱可塑性の繊維形成性樹脂成分からなる芯部と、酸素透過率が20cc・mm/m・day・atm以下である熱可塑性の繊維形成性樹脂成分からなる鞘部とから形成され、さらに芯部または鞘部の少なくとも一方に無機質の粒子を含有していることを特徴とする徐放性不織布。
【請求項2】
前記鞘部の繊維形成性樹脂成分の融点が、前記芯部の繊維形成性樹脂成分の融点よりも低いことを特徴とする請求項1に記載の徐放性不織布。
【請求項3】
前記鞘部の繊維形成性樹脂成分が湿熱により溶融する樹脂からなることを特徴とする請求項1または2に記載の徐放性不織布。
【請求項4】
前記徐放性複合繊維の熱融着がスチームジェットによるものであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の徐放性不織布。
【請求項5】
徐放性複合繊維を含む繊維ウエブを加熱することにより、前記徐放性複合繊維の熱融着により構成繊維を結合する徐放性不織布の製造方法であって、前記徐放性複合繊維は、徐放性物質を含有する熱可塑性の繊維形成性樹脂成分からなる芯部と、酸素透過率が20cc・mm/m・day・atm以下である熱可塑性の繊維形成性樹脂成分からなる鞘部とから形成され、さらに芯部または鞘部の少なくとも一方に無機質の粒子を含有していることを特徴とする徐放性不織布の製造方法。
【請求項6】
前記繊維ウエブの加熱が、スチームジェットによる加熱であることを特徴とする請求項5に記載の徐放性不織布の製造方法。

【公開番号】特開2009−79330(P2009−79330A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−250347(P2007−250347)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000229542)日本バイリーン株式会社 (378)
【Fターム(参考)】