説明

循環式貯湯給湯システム

【課題】 本発明は、貯湯層に貯留されている給湯水を循環管路に循環させて当該循環管路から給湯栓に給湯する循環式貯湯給湯システムに関し、その目的は、貯湯槽を温度成層型に構成しても、給湯水の循環動力と放熱損失をできるだけ小さくすることができ、更に、捨て水に起因する不便と無駄を回避するべく循環管路における給湯水の循環による即時給湯を実現することができる循環式貯湯給湯システムを提供する点にある。
【解決手段】 貯湯槽1が、温度成層を形成する形態で給湯水を貯留する温度成層型に構成され、循環管路10が、貯湯槽1の最上部2から往管路8に給湯水が流出すると共に復管路9から貯湯槽1の最下部3に給湯水が流入する形態で、貯湯槽1に対して接続され、復管路9に、給湯水の放熱を促す放熱手段20を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯水を貯留する貯湯槽と、前記貯湯槽から給湯栓との接続部に至る往管路と当該接続部から貯湯槽に至る復管路とからなる循環管路とを備え、前記貯湯層に貯留されている給湯水を前記循環管路に循環させて当該循環管路から前記給湯栓に給湯する循環式貯湯給湯システム、特に家庭用もしくはホテル等の業務用に適用可能で貯湯槽に貯留されている給湯水を、循環管路を通じて即時に給湯栓に供給することができる循環式貯湯給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用途等に用いられる給湯システムでは、通常、給湯需要があるときに、給湯器等から給湯管路を通じて給湯バルブ又は湯水混合栓等の給湯栓へ給湯水を送出するように構成されている。従って、給湯需要がないときには給湯管路中に滞留する給湯水が放熱によって温度低下し、給湯栓を開いても最初は適温(例えば30℃)に達しない温度の水が放出されるため、給湯管路中の滞留水を排出してからでないと適温の湯が出てこない不便があった。同時に、そのような滞留水の排出によって水資源を消費する無駄と上下水道料金の浪費を生じていた。
特に、ホテル等の業務用途では、給湯管路が長くなるため、上述のような不便と無駄を回避することが望まれる。
【0003】
そこで、このような不便と無駄を回避することができる貯湯給湯システムとして、図5に示すように、熱源機130により加熱された給湯水を貯留する貯湯槽101と、貯湯槽101から給湯栓105との接続部106に至る往管路108とその接続部106から貯湯槽101に至る復路109とからなる循環管路110と、その貯湯槽101に貯留されている給湯水を循環管路110に循環させる循環ポンプ111とを備え、循環管路110において循環する給湯水を、その循環管路110に接続された給湯栓105に供給する形態で、給湯を行う循環式貯湯給湯システム500が知られている(例えば、特許文献1及び2を参照。)。
そして、このような従来の循環式貯湯給湯システム500は、循環管路110における少なくとも給湯栓105との接続部106よりも上流側の給湯水の温度を適切な給湯適温(例えば50℃)以上に保つことで、その給湯適温以上の給湯水を、循環管路110を通じて即時に給湯栓105に供給することができる。
【0004】
一方、排熱を利用するコージェネレーション装置において、得られる熱の全部もしくは一部には、原動機(燃料電池等を含む。)の冷却の必要から回収される熱が含まれる。例えば、エンジンのジャケット水や、燃料電池冷却水がそれに当る。従って、原動機によっては、冷却水の温度がある基準温度以下に規制されることがあり、このような原動機を用いたコージェネレーションの排熱により加熱された給湯水を一時貯留する貯湯槽は、上部を高温水とし下部を低温水とする温度成層を形成する形態で給湯水を貯留する温度成層型に構成することが好ましい。即ち、その温度成層型の貯湯槽は、下部から低温水が抜き出され、原動機を冷却(排熱回収)して高温となった温水が上部に返されるという循環にて、原動機冷却と排熱回収という二つの目的を同時に達成するわけである。
このような温度成層型の貯湯槽の上部に温度の低い給湯水が流入すると温度成層が壊れるため、原動機から排出される給湯水の温度は、循環流量を調節するなどして制御され、高温に維持される。
【0005】
【特許文献1】特開平8−121800号公報
【特許文献2】特開平8−159501号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の循環式貯湯給湯システム500(図5参照)では、その往管路108に流通する給湯水の温度が上記給湯適温以上に保たれていることから、復管路109を通じて貯湯槽101に戻る給湯水も比較的高い温度にならざるを得なかった。従って、貯湯槽101に温度成層を作ってそれを維持することは困難であるため、用いる貯湯槽101は、温度成層型ではなく完全混合型を前提としていた。
即ち、貯湯槽を温度成層型に構成すると共に、上述した従来の循環式貯層給湯システムのように循環管路等を設けて、給湯適温以上の給湯水を、循環管路を通じて即時に給湯栓に供給することができるように構成することは困難であった。
【0007】
また、復管路109を、貯湯槽101の上下方向における略中央部に接続することで、貯湯槽101を、その接続部102よりも下方において温度成層の境界部を形成する形態で給湯水を貯留する温度成層型として構成することが考えられる。しかしながら、貯湯槽101の接続部102よりも上方に貯留されている給湯水は常に高温に維持する必要があるため、貯湯槽101の活動量が減少する点と、復管路109を通じて貯湯槽101に流入する給湯水の温度を、貯湯槽101から往管路108に流出する給湯水の温度と殆ど差の着かない温度に維持するために大流量の循環を必要とし、循環ポンプ111による給湯水の循環動力と放熱損失が大きくなる点に課題があった。また、それを回避するためには、循環管路110の口径の増大と保温工事の増強が必要となって、設備費が上昇する要因になっていた。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、例えばコージェネレーション装置の排熱を有効に利用するべく、貯湯槽を温度成層型に構成しても、給湯水の循環動力と放熱損失をできるだけ小さくすることができ、更に、捨て水に起因する不便と無駄を回避するべく循環管路における給湯水の循環による即時給湯を実現することができる循環式貯湯給湯システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る循環式貯湯給湯システムは、温度成層型の貯湯槽を循環管路による循環管路における給湯水の循環による即時給湯を実現する循環式貯湯給湯システムに適用したもので、循環管路を循環して貯湯槽に戻る給湯水の温度を、上記放熱手段により例えば水道水に近くなるまで低下させることを共通の手段としており、具体的には以下のように構成される。
【0010】
本発明に係る循環式貯湯給湯システムは、給湯水を貯留する貯湯槽と、前記貯湯槽から給湯栓との接続部に至る往管路と当該接続部から貯湯槽に至る復管路とからなる循環管路とを備え、前記貯湯層に貯留されている給湯水を前記循環管路に循環させて当該循環管路から前記給湯栓に給湯する循環式貯湯給湯システムであって、その第1特徴構成は、前記貯湯槽が、温度成層を形成する形態で給湯水を貯留する温度成層型に構成され、
前記循環管路が、前記貯湯槽の上部から前記往管路に給湯水が流出すると共に前記復管路から前記貯湯槽の下部に給湯水が流入する形態で、前記貯湯槽に対して接続され、
前記復管路に、前記給湯水の放熱を促す放熱手段を備えた点にある。
【0011】
上記第1特徴構成によれば、上記のように循環管路を貯湯槽に対して接続すると共に、貯湯槽の下部に給湯水を流入させる復管路に放熱手段を備えることで、温度成層型に構成された貯湯槽において、貯湯槽の上部から往管路に流出し給湯栓に供給されずに復管路に戻された給湯水の温度(例えば60℃)を、貯湯槽の下部に流入させても貯湯槽の温度成層を破壊しない温度にまで低下させることができる。
また、貯湯槽が、コージェネレーション装置等により加熱された給湯水を貯留するように構成する場合において、貯湯槽の下部の給湯水の温度を比較的低温(例えば25℃)に保つことができるので、その貯湯槽の下部から取り出した低温の水によりコージェネレーション装置の冷却を十分に行うことができ、それにより加熱された給湯水を貯湯槽の上部に供給して貯留することができる。
また、上記のように貯湯槽の温度成層が破壊されずに良好に維持されるので、循環管路において給湯水の循環流量を大流量とする必要がなく、その循環流量は給湯栓に到達する給湯水の温度が給湯適温以上となる程度に極めて小さくすることができるので、循環管路における循環動力を極めて小さくすることができ、更に、復管路を細径かつ無保温の管路で構成することができるので、設備費を削減することができる。
【0012】
本発明に係る循環式貯湯給湯システムの第2特徴構成は、前記復管路に、前記放熱手段側から前記接続部側に向かう給湯水の逆流を防止する復管路逆流防止手段を備えた点にある。
【0013】
復管路における圧力損失が比較的低い場合や、循環管路における給湯水の循環流量が比較的低い場合には、給湯栓を開いて給湯を開始したときに、循環管路の給湯栓との接続部における圧力の減少に伴い、その接続部には、往管路側から供給される給湯適温以上の給湯水に加えて、放熱手段側から逆流する低温の給湯水が供給されることがあり、給湯栓から吐出される給湯水の温度を給湯適温以上に保てなくなることがある。
そこで、上記第2特徴構成によれば、復管路に上記復管路逆流防止手段を設けることで、給湯時に、給湯栓との接続部に放熱手段側から低温の給湯水が逆流することを防止することができるので、給湯栓から吐出される給湯水の温度を給湯適温以上に保つことができる。
【0014】
本発明に係る循環式貯湯給湯システムの第3特徴構成は、前記貯湯槽の下部に供給される上水を給水栓に供給する給水管路を備え、
前記復管路の前記放熱手段よりも下流側を前記給水管路に接続して、前記給水管路が前記復管路の一部として利用されている点にある。
【0015】
上記第3特徴構成によれば、給水管路を復管路の一部として利用して、新たに復管路を設置することを省略又は簡略化することができ、経済的に本発明に係る循環式貯湯給湯システムを実現できる。
即ち、給湯栓に対して近傍又は混合栓として一体化されて給水栓が存在すると期待でき、この場合、その給水栓に接続される給水管路を復管路と兼用できれば、復管路を別途施工する必要がなくなり、安価に循環管路を構成することができる。
そして、復管路に設けられた放熱手段を用いて、放熱手段の下流側の給湯水の温度を給水温度並みに低下させている。従って、復管路の放熱手段よりも下流側を耐熱仕様とされていない給水管路に接続しても技術的に問題なく、使用上も給水管路を通じて給水栓から水を出そうとして湯が出るという不都合や危険を生じることもなく、更には、復管路から給水管路に流入する水は、給水管路に供給される上水と同じものが加熱(例えば殺菌も行われる)後に放冷されただけで、特に滞留もしていないので、衛生上の不都合も生じない。給水栓を開けば、給水栓から放出される水に、放冷されて給水温度に近くなった給湯水が僅かに混じるだけである。
【0016】
本発明に係る循環式貯湯給湯システムの第4特徴構成は、前記放熱手段における給湯水の温度低下により形成される密度差を利用して、前記貯湯槽と前記循環管路とに渡って給湯水を自然循環させるように構成されている点にある。
【0017】
上記第4特徴構成によれば、循環管路における給湯水の循環に必要なエネルギーを外部電力等に頼ることなく、本来放熱により無駄となる熱エネルギーを駆動力として利用することで、省エネルギーであると共に、イニシャル及びランニングの両コストを低減することが可能で、経済的に本発明に係る循環式貯湯給湯システムを実現することができる。
即ち、本発明に係る循環式貯湯給湯システムは、循環管路における給湯水の循環流量が極めて少量で済むところに最大の特長がある。貯湯槽を流出した比較的高温((例えば80℃)の給湯水は、保温された往管路中を流れながら放熱するが、給湯栓との接続部に達した時点で、給湯適温(例えば60℃)以上に保たれていればよい。従って、循環水量は極めて小さくて(例えば0.2L/min)良く、電動ポンプ等の動力源を使うまでもなく、貯湯槽と前記循環管路とに渡る自然循環によって給湯水に流動を起こさせることができる。
尚、自然循環の原理は、温度差に基づく水の密度差であるが、貯湯槽の上部に貯留される高温の給湯水は、往管路と放熱手段を備えた復管路とで構成される循環管路の閉ループ中の放熱手段によって給水温度近くまで冷却されるので、自然対流を起こして循環を継続する。必要な自然循環流量を確保するための温度差は十分である。
【0018】
また、放熱手段の放熱能力が比較的低い場合、例えば放熱手段が大気との熱交換により給湯水の放熱を促す所謂空冷方式で構成されている場合には、放熱手段において、給湯水の温度を上記貯湯槽の下方に貯留されている低温水と同等程度までしか低下させることができず、上記のような給湯水の自然循環を十分に発生させることができない場合がある。
そこで、このような場合には、上記放熱手段を上記貯湯槽の最上部よりも上方に配置することで、上記自然循環を適切に発生させることができる。即ち、上記放熱手段を上記貯湯槽の最上部よりも上方に配置すれば、貯湯槽に形成される温度成層の境界部よりも上方の高さ領域において、貯湯槽には比較的密度が低い高温の給湯水が貯留され、一方、循環管路の放熱手段の下流側には比較的密度が高い低温の給湯水が存在することになる。従って、貯湯槽に形成される温度成層の境界部を上昇させて、貯湯槽と循環管路との圧力を平衡状態とするべく、循環管路において適切な自然対流が発生することになる。
【0019】
本発明に係る循環式貯湯給湯システムの第5特徴構成は、前記放熱手段が、自然対流と放射を放熱原理とするものである点にある。
【0020】
上記第5特徴構成によれば、放熱手段を、復管路の少なくとも一部を非保温管や熱良導体管で構成したり、もしくは自然対流型の熱交換器で構成するなどして、放熱手段を簡略化し、本発明に係る循環式貯湯給湯システムを安価に構成することができる。
即ち、本発明では、循環管路における循環流量を極めて小さくできることから、放熱手段で放熱すべき熱量も小さくて済む。従って、放熱手段を、自然対流と放射を放熱原理とするように構成することができ、強制対流を起こすためのファンが必要ないため、その動力が不用になるだけでなく、騒音も発生することがないため、住宅用には特に好適である。
更に、このような微小な熱量を放熱させるのであれば、放熱手段として敢えて特別な熱交換器を使用する必要もなく、復管路を、熱伝導率の高い金属(例えば銅、錫等)等の熱良導体の細管としたり、更には温水復管路の全部もしくは一部を非保温管としたりして、放熱手段を実現することが可能である。
【0021】
本発明に係る循環式貯湯給湯システムの第6特徴構成は、前記給湯栓が複数配置されていると共に、一の前記往管路に対して前記複数の給湯栓の夫々が順次接続されている点にある。
【0022】
上記第6特徴構成によれば、一の往管路に複数の給湯栓を順次接続する所謂配管分枝工法に適合するものであり、複数の給湯栓が設置される一般的な循環式貯湯給湯システムに適用できて実用性を発揮することができる。
従って、放熱手段は、個々の給湯栓ごとに設ける必要がなく、最も下流側の給湯栓の接続部よりも下流側に配置された復管路に設けるだけでよく、簡便になる。循環管路(往管路)から夫々の給湯栓までの給湯管路長は例えば1m未満と短くすることができ、更に、その給湯管路の管径も小さくすることができるので、給湯開始時の捨て水量は僅かであり、給湯適温以上の給湯水が吐出されるまでの待ち時間は殆ど発生しない。
【0023】
本発明に係る循環式貯湯給湯システムの第7特徴構成は、前記循環管路において最下流側に接続された前記給湯栓との接続部に到達する給湯水の温度が給湯適温以上となるように、前記循環管路における給湯水の循環流量を制御する循環流量制御手段を備えた点にある。
【0024】
上記第7特徴構成によれば、循環管路における給湯水の循環流量が適正に保たれ、温度成層型の貯湯槽を用いた本発明に係る循環式貯湯給湯システムを適切に運転することができる。
即ち、本発明に係る循環式貯湯給湯システムにおいては、循環管路において給湯水の循環を、適当な流れの向き(貯湯槽の上部から給湯水を取り出し貯湯槽の下部に給湯水を返す向き)に起こすと共に、その循環管路における給湯水の循環流量を適当な範囲に維持する必要がある。そこで、上記循環流量制御手段により、例えば循環管路において最下流側に接続された給湯栓との接続部付近に設置された温度検出部で検出される給湯水の温度が給湯適温以上となるように給湯水の循環流量を制御して、夫々の給湯部へ給湯適温以上に維持された給湯水を適正に供給することができる。
【0025】
本発明に係る循環式貯湯給湯システムの第8特徴構成は、前記貯湯槽の下部に水を供給する給水管路と、
前記貯湯槽の下部から熱源機を介して上部に至るように敷設された冷却水管路とを備え、
前記貯湯槽の下部から前記冷却水管路に取り出した水を、前記熱源機により目標貯湯温度以上に加熱した後に、前記貯湯槽の上部に戻すように構成されている点にある。
【0026】
上記第8特徴構成によれば、給水管路から貯湯槽の下部に供給され貯留されている比較的低温の水を冷却水管路に取り出し、その水を熱源機により目標貯湯温度以上に加熱し、その加熱された目標貯湯温度以上の水を給湯水として貯湯槽の上部に戻すことにより、貯湯槽において形成される温度成層を良好なものに維持しながら、貯湯槽に目標貯湯温度以上の給湯水を貯留することができる。また、貯湯槽の下部から取り出した低温の水を、熱源機に供給することができることから、熱源機の加熱効率を良好なものとし、更に、熱源機がコージェネレーション装置である場合には、その低温の水によりコージェネレーション装置を良好に冷却することができる。
【発明の効果】
【0027】
以上により、本発明に係る循環式貯湯給湯システムでは、給湯適温以上の温度の給湯水が給湯栓直上流まで来ているために、給湯栓を開けば、湯待ち時間なく湯を使用することが可能である。
また、本発明に係る循環式貯湯給湯システムでは、最下流の給湯栓での給湯水の温度が給湯適温以上あれば良いため、貯湯槽から最下流の給湯栓に至るまでの往管路中での給湯水の温度低下を最大限許容する。従って、循環管路における給湯水の循環流量を従来に比べて極端に小さくでき、その結果、給湯水を循環させるための循環動力の削減、管路放熱の減少、復管路の口径の縮小及び復管路の保温の省略が可能になるという特筆すべき効果を発揮する。
なお、給湯水の循環を常時行えば、循環を行わない単管の給湯方式と比較すれば管路からの放熱による熱損失が増加するという負の効果も発生するが、これは捨て水の減少という省資源効果と相殺されるものである。また、深夜にはタイマー等を利用して、循環運転を休止することも可能であり、その場合には湯待ち時間は発生するにしても従来の単管給湯方式に戻るに過ぎず、実用上の大きな問題は生じない。更には、電力負荷があるにもかかわらず、貯湯槽への蓄熱が満了すれば運転を停止せざるを得ない熱主運転のコージェネレーション装置においては、上記放熱による熱負荷増でコージェネレーション装置の稼働率が向上し、熱に比べれば価値の高い電力を多く生産できることで熱損失の一部は相殺され得る。発電を継続するために、クーリングタワー等を用いて積極的に放熱する電主運転に比べれば、十分に省エネルギーであるとも言うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明に係る循環式貯湯給湯システム(以下、本発明システムと呼ぶ。)の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0029】
〔第1実施形態〕
第1実施形態の本発明システム100について図1に基づいて説明する。
本発明システム100は、給湯水を貯留する貯湯槽1と、その貯湯槽1から湯水混合栓(給湯栓の一例)5との接続部6に至る往管路8と当該接続部6から貯湯槽1に至る復管路9とからなる循環管路10とを備え、貯湯層1に貯留されている給湯水を循環管路10に循環させて当該循環管路10から湯水混合栓5に給湯する循環式貯湯給湯システムとして構成されている。
【0030】
そして、このような本発明システムでは、貯湯槽1から循環管路10の往管路8に流出した給湯水は、湯水混合栓5との接続部6に至ってもなお給湯適温(例えば60℃)以上を維持されており、その循環管路10に対して湯水混合栓5を比較的短い(例えば1m以内)給湯管路7を介して接続することができる。よって、湯水混合栓5が開かれて給湯の使用があったときには、給湯適温以上の給湯水が、湯水混合栓5の直上流の接続部6まで流通しているため、殆ど時間遅れなく直ちに接続部6から湯水混合栓5に供給され出湯される。
また、循環管路10が湯水混合栓5よりも下方に設置されている場合には、自然対流が生じて循環管路10から分岐する給湯管路7中の給湯水の温度が上昇することも期待できる。
【0031】
上記貯湯槽1は、熱源機30により加熱された給湯水を貯留するように構成されており、詳しくは、貯湯槽1の最下部3から熱源機30を介して最上部2に至るように敷設された冷却水管路31に、貯湯槽1の最下部3側から最上部2側に向けて水を通流させる冷却水ポンプ32(例えば、熱源機30に内蔵されている。)を設け、その冷却水ポンプ32を作動させて冷却水管路31に水を通流させることで、貯湯槽1の最下部3側から冷却水管路31に取り出された水が熱源機30により加熱されて、その加熱された温水が給湯水として貯湯層1の最上部2側に供給される。
尚、上記熱源機30としては、ボイラや湯沸器を用いるのが通常であるが、エンジン駆動発電機や燃料電池などのコージェネレーション装置やヒートポンプ装置などを利用することができる。
【0032】
更に、貯湯槽1の最下部3には、水道メータ26を通じて上水を供給する給水管路25から比較的低温の上水が供給され、その貯湯槽1の最下部3にある低温の水を熱源機30により適切な目標貯湯温度以上に加熱した後に、貯湯槽1の最上部2に戻すことで、貯湯槽1は、温度成層を形成する形態で給湯水を貯留する温度成層型に構成されている。
詳しくは、冷却水管路31において貯湯槽1の最上部2側に供給される温水の温度を検出する温度センサ33を備え、冷却水ポンプ32の動力を温度センサ33の検出結果に基づいて制御して、貯湯槽1の最上部2側に供給される温水の温度が適切な温度以上となるように制御されているので、貯湯槽1に貯留されている給湯水は、最上部2側に高温層を形成し最下部3側に低温層を形成する形態で、温度成層を形成して貯留されている。
尚、貯湯槽1に付随する減圧弁(あるいは減圧逆止弁)や逃し弁等、冷却水管路31に付随する流量調整弁等の通常設置される補機等については、図示を省略しているものもある。
【0033】
循環管路10は、貯湯槽1の最上部2から往管路8に給湯水が流出すると共に復管路9から貯湯槽1の最下部3に給湯水が流入する形態で、貯湯槽1に対して接続されており、更に、この循環管路10の復管路9には、給湯水の放熱を促す放熱手段20が設けられている。
従って、この放熱手段20により、貯湯槽1の最上部2から往管路8に流出し湯水混合栓5に供給されずに復管路9に戻された給湯水の温度(例えば60℃)が、貯湯槽1の最下部3に流入させても貯湯槽1の温度成層を破壊しない温度にまで低下される。
また、貯湯槽1の最下部3の給湯水の温度を比較的低温(例えば25℃)に保たれるので、熱源機30がコージェネレーション装置である場合には、その貯湯槽1の最下部3から冷却水管路31に取り出された低温の水により、そのコージェネレーション装置が十分に冷却される。
【0034】
往管路8については、例えば、銅管を発泡ポリウレタン成型材にて保温したもののように、通常の仕様で構成することができる。
そして、貯湯槽1の温度成層が破壊されず、貯湯槽1の最上部2から往管路8に流出する給湯水の温度は略常時高温に保たれるので、循環管路10における給湯水の循環流量を大流量とすることなく極微量(例えば、0.21L/min)としても、湯水混合栓5との接続部6に到達する給湯水の温度が給湯適温以上に保たれる。
【0035】
放熱手段20としては、一般的な熱交換器を使用することができるが、上述のように循環管路10における給湯水の循環流量が極微量であることから、放熱すべき熱量も小さい(例えば0.6kW)ため、強制対流用のファンを簡略化又は省略して、自然対流型の熱交換器のように、自然対流と放射を放熱原理とするものとして構成することができる。
また、復管路9については、その復管路9を流通する給湯水の流量が小さく温度も低いので、往管路8より数サイズ小さい銅の細径管やポリエチレン等の樹脂の細径管を裸管で用いることができる。
【0036】
尚、放熱手段20において放熱すべき熱量が極めて小さく、復管路9において給湯水は貯湯槽1に戻るまでに温度低下をさせればよいので、復管路9の全部もしくは一部を非保温管で構成して、放熱手段20とすることができる。また、復管路9が短くて、放熱しきれない場合には、復管路9の全部もしくは一部を銅等の金属の裸管(熱良導体管)で構成したり、金属細管を複数並列に配管して伝熱面積を増加させたりすればよい。これにて安価に放熱手段20を構成することができる。
【0037】
循環管路10には、給湯水を往管路8から復管路9に向かう方向に強制循環させるための循環ポンプ11と、その循環流量を調整可能な循環流量調整弁12とが設置されている。そして、この循環ポンプ11及び循環流量調整弁12は、往管路8に設置することができるが、比較的低温の給湯水を扱って耐久性能を向上させることを目的として、復管路9に設置されている。また、循環ポンプ11を復管路9に設置することで、貯湯槽1を良好に加圧することができる。
【0038】
このような本発明システム100では、循環管路10における給湯水の循環流量が過多であれば、放熱手段20で放熱しきれず、高い温度の給湯水を貯湯槽1の最下部3に返して温度成層を破壊したり、熱源機30としてのコージェネレーション装置の冷却不良を起こしたりすることになり、一方で、循環管路10における給湯水の循環流量が過少であれば、湯水混合栓5との接続部6に到達する給湯水の温度が低下して即時給湯の目的を達成することができなくなる場合がある。
また、循環管路10における給湯水の循環流量は極微量(例えば、0.21L/min)で構わないので、循環ポンプ11は吐出能力が小さい小型のものが利用できるが、このような小型の電動の循環ポンプ11を入手しがたく、循環管路10における給湯水の循環流量は過多になりがちである。
【0039】
そこで、本発明システムには、コンピュータで構成される制御装置が設けられ、その制御装置は、循環管路10において湯水混合栓5との接続部6に到達する給湯水の温度が給湯適温以上となるように、循環管路10における給湯水の循環流量が制御する循環流量制御手段35として機能するように構成されている。
【0040】
即ち、貯湯槽1の最上部2から往管路8に流出し湯水混合栓5に供給されずに復管路9に戻された給湯水の温度を検出する温度センサ14を備え、上記循環流量制御手段35は、循環ポンプ11の動力又は循環流量調整弁12の開度を温度センサ33の検出結果に基づいて制御して、温度センサ14で検出される給湯水の温度を給湯適温以上に保つように構成されている。
尚、上記温度センサ14は、循環管路10において、湯水混合栓5との接続部6の代表温度を検知できる位置に設置すべきである。例えば、温度センサ14を復管路9の無保温の位置等に設置すれば、給湯水の温度降下が早くなり、接続部6における給湯水の温度維持には十分であるが、循環管路10における循環流量が増加して省エネルギーに反することになるからである。
【0041】
更に、循環流量制御手段35は、循環管路10に24時間連続で給湯水を循環させるように構成しても構わないが、温度センサ14で検出された給湯水の温度が給湯適温として設定される下限温度(例えば60℃)以下になれば、循環ポンプ11の作動を開始して循環管路10に給湯水を循環させ、給湯水の温度が上限温度(例えば75℃)以上になれば、循環ポンプ11の作動を停止するというようなON−OFF運転も実行可能であり、このような手法は、循環管路10における給湯水の循環流量が微量過ぎて循環ポンプ11の選定が困難な場合に用いれば便利な手法である。また、循環流量制御手段35の時間制御機能を使用して、例えば、給湯使用のない深夜は循環ポンプ11の作動を停止して、省エネルギーを図ることも可能である。
【0042】
また、復管路9において一定流量の給湯水を流せば、循環管路10において湯水混合栓5との接続部6に到達する給湯水の温度が給湯適温以上に保つことができるのであれば、上記のような上記循環ポンプ11の動力制御又は循環流量調整弁12の開度制御を省略して、定流量弁(上流側と下流側との間の差圧が変動しても、常に一定の設定流量を流す機能を持つ弁)により復管路9における給湯水の流量を一定に維持することが簡便である。また、この定流量弁は、減圧弁、手動調節弁もしくは細管等で代用することも可能である。
【0043】
また、湯水混合栓5を開くと、循環管路10の接続部6における圧力が減少するため、その接続部6には往管路8から給湯適温以上の給湯水が供給されるだけでなく、復管路9から低温の給湯水が逆流してくることが懸念される。特に、本発明システム100では、循環管路10の循環流量が小さいため、そのような逆流の危険性は増大する。
従って、復管路9には、接続部6側から放熱手段20側に向かう給湯水の循環流を許容すると共に、放熱手段20側から接続部6側に向かう給湯水の逆流を防止する復管路逆流防止手段として逆止弁13が設置されている。尚、後述する循環流量調整弁12や減圧弁等ように復管路9に設置される機器が逆流防止機能を有している場合や復管路9における逆流流量が十分に小さい場合などには、このような逆止弁13の設置を省略することができる。
【0044】
また、湯水混合栓5は、給湯管路7から供給された給湯水とは別に又はそれに混合する形態で、給水管路25から供給された上水を吐出可能に構成されている。また、給湯水と上水とを混合して吐出する場合には、循環管路10から供給される給湯水の温度が変動することによる吐出水の温度変動を防止するために、自動温度調整機能を内蔵した湯水混合栓5を用いると便利である。
尚、湯水混合栓5の代わりに、上記給湯水を吐出するための給湯栓と、上記上水を吐出するための給水栓とを個別に設けても構わない。
【0045】
尚、この本発明システム100の場合、循環ポンプ11による循環が、貯湯槽1と循環管路10で構成される回路以外の回路、具体的には復管路9と給水管路25と湯水混合栓5とを経由する回路にも生じる可能性がある。また、循環ポンプ11を、往管路8に設ければ、貯湯槽1と往管路8と湯水混合栓5と給水管路25とを経由する回路にも循環が生じる可能性がある。このような循環を回避するためには、給湯管路7及び給水管路25に逆止弁37等の逆流防止手段を設ければよい。また、湯水混合栓5に、このような逆流防止機能が内蔵されている場合には、その逆止弁37を省略することができる。
【0046】
〔第2実施形態〕
第2実施形態の本発明システム200について図2に基づいて説明する。尚、他の実施形態と同様の構成については同じ符号を使用して説明を割愛する場合がある。
【0047】
湯水混合栓5のように、給湯部と給水部とは隣接して設けることが一般的であり、また、給湯管路25が給湯管路7に隣接して敷設されることも通常に行われる。
【0048】
そこで、本発明システム200では、給水管路25を、貯湯槽1の最下部3と湯水混合栓5との両方に接続されて貯湯槽1の最下部3に供給される上水を湯水混合栓5に供給するものとし、復管路9の放熱手段20よりも下流側が、給水管路25に接続されることで、給水管路25が復管路9の一部として利用されており、新たに復管路9を設置することを省略又は簡略化することで、コスト削減が図られている。
【0049】
〔第3実施形態〕
第3実施形態の本発明システム300について図3に基づいて説明する。尚、他の実施形態と同様の構成については同じ符号を使用して説明を割愛する場合がある。
【0050】
循環管路10において給湯水を循環させるための手段としては、常識的には循環ポンプを用いることになるが、本発明システム300においては、循環管路10における給湯水の循環流量が極めて小さく、また、貯湯槽1の最下部3に給湯水を返すために放熱手段20による放熱が必要となる。放熱すれば給湯水は温度低下に伴って密度を増大するために、重力に従って下降しようとする。一方、貯湯槽1では高温の給湯水が最上部2側に貯留されているため、上昇しようとする圧力が働く。従って、両者を閉ループの循環管路10で接続すれば密度差に基づく自然循環が発生して、本発明システム300に必要な循環管路10における給湯水の循環を起こすことが可能になる。
そこで、本発明システム300では、上述した第1実施形態で設けた循環ポンプ11を省略して、放熱手段20における給湯水の温度低下により形成される密度差を利用して、貯湯槽1と循環管路10とに渡って給湯水を自然循環させるように構成されており、省エネルギー性及び経済性が向上されている。 更に、上記放熱手段20は、鉛直方向において、上記貯湯槽1の最上部2よりも上方に配置されているので、貯湯槽1に形成される温度成層の境界部を上昇させて、貯湯槽1と循環管路10との圧力を平衡状態とするべく、上記のような循環管路10における給湯水の自然循環が適切に発生することになる。
【0051】
〔第4実施形態〕
第4実施形態の本発明システム400について図4に基づいて説明する。尚、他の実施形態と同様の構成については同じ符号を使用して説明を割愛する場合がある。
【0052】
湯水混合栓5等の給湯栓は、循環管路10に対して一つだけ単独に設けられることは少なく、家庭用であっても、台所、洗面所、風呂等複数箇所に設置されることが一般的であり、そのような複数設置に対してこそ、給湯水の循環による即時給湯の設置意義があるわけである。
また、給湯管路7は、一般的には配管分枝工法にて施工される。これは、給水管路25にあっても同じである。他の給湯管路工法として、ヘッダー工法が知られているが、このヘッダー工法は細径配管を用いてヘッダーと各給湯栓とを個々に接続する工法であり、管路の滞留水量を減らして捨て水量と給湯待ち時間を減少させるものであり、本発明と目的を一部共通にしている。しかしながら、ヘッダー工法では、一般に、ヘッダーからの給湯管路の長さが長くなって設備費が高額になると共に、放熱面積が増加するため、給湯水の循環を行うためには不都合な面がある。
【0053】
そこで、本発明システム400では、一の循環管路10の往管路8に複数(例えば3個)の湯水混合栓5a,5b,5cの夫々を順次接続する所謂配管分岐工法により、湯水混合栓5が複数設置されている。
即ち、上記配管分枝工法にあっては、一の往管路8を各湯水混合栓5a,5b,5c設置場所近傍に配置し、そこから夫々の湯水混合栓5a,5b,5cへ通じる夫々の給湯管路7a,7b,7cを接続部6a,6b,6cから分枝して、一の往管路8に湯水混合栓5a,5b,5cを個々に接続していく。尚、住宅においては、夫々の給湯管路7a,7b,7cの長さは通常1m未満である。これは、床下の往管路8から流しや浴槽に取り付けられた湯水混合栓5等の給湯栓までの長さに対応している。
【0054】
また、この場合、放熱手段20、及び、循環ポンプ11、循環流量調整弁12、逆止弁13等は、循環管路10において最も下流側に接続された湯水混合栓5cとの接続部6cよりも下流側の復管路9に設ければよい。
尚、本発明システム400は、上述した第2実施形態と同様に、給水管路25が復管路9の一部として利用されており、更には、第3実施形態と同様に、循環ポンプ11を省略して、貯湯槽1と循環管路10とに渡って給湯水を自然循環させるように構成することも可能である。
【0055】
循環流量制御手段35は、循環管路10において最下流側に接続された給湯栓5cとの接続部6cに到達する給湯水の温度が給湯適温以上となるように、循環管路10における給湯水の循環流量を制御するように構成されている。よって、温度センサ14は、その接続部5c付近に設置することが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明に係る循環式貯湯給湯システムは、貯湯槽を温度成層型に構成しても、給湯水の循環動力と放熱損失をできるだけ小さくすることができ、更に、捨て水に起因する不便と無駄を回避するべく循環管路における給湯水の循環による即時給湯を実現することができる循環式貯湯給湯システムとして有効に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係る循環式貯湯給湯システムの第1実施形態を示す概略構成図
【図2】本発明に係る循環式貯湯給湯システムの第2実施形態を示す概略構成図
【図3】本発明に係る循環式貯湯給湯システムの第3実施形態を示す概略構成図
【図4】本発明に係る循環式貯湯給湯システムの第4実施形態を示す概略構成図
【図5】従来の循環式貯湯給湯システムの概略構成図
【符号の説明】
【0058】
1:貯湯槽
2:上部
3:下部
5,5a,5b,5c:湯水混合栓(給湯栓の一例)
6,6a,6b,6c:接続部
8:往管路
9:復管路
10:循環管路
20:放熱手段
25:給水管路
35:循環流量制御手段
100,200,300,400:循環式貯湯給湯システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯水を貯留する貯湯槽と、前記貯湯槽から給湯栓との接続部に至る往管路と当該接続部から貯湯槽に至る復管路とからなる循環管路とを備え、前記貯湯層に貯留されている給湯水を前記循環管路に循環させて当該循環管路から前記給湯栓に給湯する循環式貯湯給湯システムであって、
前記貯湯槽が、温度成層を形成する形態で給湯水を貯留する温度成層型に構成され、
前記循環管路が、前記貯湯槽の上部から前記往管路に給湯水が流出すると共に前記復管路から前記貯湯槽の下部に給湯水が流入する形態で、前記貯湯槽に対して接続され、
前記復管路に、前記給湯水の放熱を促す放熱手段を備えた循環式貯湯給湯システム。
【請求項2】
前記復管路に、前記放熱手段側から前記接続部側に向かう給湯水の逆流を防止する復管路逆流防止手段を備えた請求項1に記載の循環式貯湯給湯システム。
【請求項3】
前記貯湯槽の下部に供給される上水を給水栓に供給する給水管路を備え、
前記復管路の前記放熱手段よりも下流側を前記給水管路に接続して、前記給水管路が前記復管路の一部として利用されている請求項1又は2に記載の循環式貯湯給湯システム。
【請求項4】
前記放熱手段における給湯水の温度低下により形成される密度差を利用して、前記貯湯槽と前記循環管路とに渡って給湯水を自然循環させるように構成されている請求項1〜3の何れか一項に記載の循環式貯湯給湯システム。
【請求項5】
前記放熱手段が、自然対流と放射を放熱原理とするものである請求項1〜4の何れか一項に記載の循環式貯湯給湯システム。
【請求項6】
前記給湯栓が複数配置されていると共に、一の前記往管路に対して前記複数の給湯栓の夫々が順次接続されている請求項1〜5の何れか一項に記載の循環式貯湯給湯システム。
【請求項7】
前記循環管路において最下流側に接続された前記給湯栓との接続部に到達する給湯水の温度が給湯適温以上となるように、前記循環管路における給湯水の循環流量を制御する循環流量制御手段を備えた請求項1〜6の何れか一項に記載の循環式貯湯給湯システム。
【請求項8】
前記貯湯槽の下部に水を供給する給水管路と、
前記貯湯槽の下部から熱源機を介して上部に至るように敷設された冷却水管路とを備え、
前記貯湯槽の下部から前記冷却水管路に取り出した水を、前記熱源機により目標貯湯温度以上に加熱した後に、前記貯湯槽の上部に戻すように構成されている請求項1〜7の何れか一項に記載の循環式貯湯給湯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−17082(P2007−17082A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−198957(P2005−198957)
【出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】