説明

循環触媒流中の重質物の制御プロセス

特に、ヒドロホルミル化工程への循環のための、続く触媒の分離を伴う、オレフィンを合成ガスによって、ヒドロホルミル化触媒の存在下で転化してアルデヒド生成物流を生成する連続ヒドロホルミル化プロセスに於いて使用するための、循環触媒流中の重質物の制御プロセス。重質物は、凝縮器からのオーバーヘッド流の一部として取られた循環気体流を、蒸発器(そこで、アルデヒド生成物流が分離される)に戻し供給する手段によって、制御され、好ましくは減少される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願に対するクロスリファレンス
本件特許出願は、2008年7月3日出願の米国仮特許出願第61/078,046号(参照して本明細書中に含める)に対する優先権を請求する。
本発明は、触媒循環流中の重質物の制御プロセスに関する。更に詳しくは、本発明は、ヒドロホルミル化及びヒドロホルミル化段階への触媒循環流中の重質物を制御するための生成物−触媒分離の二段プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
オレフィン性不飽和化合物を一酸化炭素及び水素と、金属−有機リン配位子錯体(ligand complex)触媒の存在下で、反応させることによって、アルデヒドを製造できること、そして好ましいプロセスは、連続ヒドロホルミル化及び金属−有機リン配位子錯体触媒(ここで、この金属は第8族、第9族又は第10族から選択される)を含有する触媒溶液の循環を含むことは、当該技術分野で周知である。ロジウムは好ましい第9族金属である。このような技術は特許文献1、特許文献2及び特許文献3によって例示されている。このようなプロセスによって製造されたアルデヒドは、広範囲の有用性、例えば脂肪族アルコールへの水素化、脂肪族アミンへのアミノ化、脂肪族酸への酸化及び可塑剤の成分を製造するためのアルドール縮合のための中間体としての有用性を有している。
【0003】
特許文献4には、ヒドロホルミル化からの実質的に液体の排出物を循環するためのプロセスが開示されている。このプロセスに従えば、液体及び気体成分含有ヒドロホルミル化排出物はフラッシュ容器内で膨張される。膨張容器からの液相は、塔の上方部分の中に供給され、気相は、塔の下方部分の中に導入され、そうして、この液相は、この気相と向流で処理される。このプロセスは、充分な量でブテン/ブタンを含有するヒドロホルミル化排出物を必要とする。ヒドロホルミル化に於いて高い転化率に至る1−ブテン富化の供給物が使用される場合には、問題が起こる。
【0004】
特許文献5には、連続ヒドロホルミル化から液体生産物を作るためのプロセスであって、液体ヒドロホルミル化生産物を、第一の降圧(depressurization)段階に於いて、反応器圧力よりも2〜20バール低い圧力まで降下させて、液相と気相とに分離し、その後、第一の降圧段階で得られた液相を、第二の降圧段階に於いて降圧して、高沸点副生物、均質に溶解したヒドロホルミル化触媒及び少量のヒドロホルミル化生成物並びに未反応オレフィンから本質的になる液相と、ヒドロホルミル化生成物の大部分、未反応オレフィン及び低沸点副生物から本質的になる気相とに分離するプロセスが記載されている。このプロセスに於いて、ヒドロホルミル化反応器、第一のフラッシュ及び第二のフラッシュの間の圧力に於ける差は、大気圧への第一のフラッシュ及び大気圧よりも低い圧力での更なる仕上げを有するプロセスに於けるよりも低い。それにもかかわらず、このプロセスも、エネルギー消費に関して更に改良することもできる。
【0005】
ロジウム−トリオルガノホスフィン配位子錯体触媒、例えばロジウム−トリフェニルホスフィン配位子錯体触媒の存在下でのC4オレフィンの商業的ヒドロホルミル化は、典型的には、図1に示されるものと同様の統合(integration)反応−分離システムに於いて実施される。C4オレフィンは、本質的に純粋な1−ブテン又は2−ブテン流並びに1−ブテン、2−ブテン、イソブチレン及びブタンからなる混合C4ラフィネートI及びラフィネートII流からなる。図1を参照して、混合ブテン(1)を含有するラフィネート流が、一酸化炭素及び水素(合成ガス)を含む流れ(2)と共に、第一の反応器(反応器1)に供給される。液体生成物流(3)が、第一の反応器の底部から取り出され、第二の反応器(反応器2)に供給され、一方、第一の反応器の頂部から得られる気体流(4)を、第二の反応器(反応器2)の中に供給することもできる。それぞれの反応器には、一定量のロジウム−トリフェニルホスフィン配位子錯体触媒及び、任意的に、遊離トリフェニルホスフィン配位子が含まれている。この錯体触媒及び任意的な遊離配位子は、C4供給物のヒドロホルミル化から誘導される、アルデヒド縮合二量体、三量体及び高級オリゴマーを含む液体重質副生物中に有利に可溶化される。最後の反応器から出る気体生成物流(5)は、第一の反応器に循環させるか又は燃焼させるか又は下流のプロセスに燃料として供給することができる。最後の反応器から出る液体生成物流(6)は、蒸発器(ストリッパーとしても知られている)に送られ、そこから、1種又はそれ以上のC5アルデヒド生成物(群)、1種又はそれ以上の未転化C4オレフィン、未転化合成ガス、揮発性不活性物質(例えばブタン)及びある程度までの重質副生物からなるオーバーヘッド流(7)が取り出される。蒸発器からのオーバーヘッド流(7)は、約40℃及び10psig(69kPa)で凝縮され、得られる液体流(8)は、C5分離及び精製のための精製ゾーン(図示せず)に送られる。ベント流(9)は、凝縮器から揮発性物質を除去する。これらの揮発性物質は、主として、窒素、一酸化炭素、水素及び1%未満のアルデヒド生成物を含む。ベントガスは、燃焼させ、ベント回収流に送ることができ又は下流プラント燃料流に送ることができる。液体重質副生物中に溶解されているロジウム−トリフェニルホスフィン配位子錯体触媒及び任意の遊離トリフェニルホスフィン配位子を含有する触媒循環流(10)が、蒸発器から液体テール流(tail stream)として得られ、通常、第一のヒドロホルミル化反応器(反応器1)に循環される。蒸発器運転条件は、反応システム中の重質物の生成速度が、蒸発器内のそれらの除去速度に実質的に等しくなるように調節される。蒸発器は、約135℃及び大気圧よりも高い圧力で運転される。これらの蒸発器条件下で、ロジウム−トリフェニルホスフィン配位子錯体触媒は熱的に安定である。更に、第一の反応器への触媒循環流中の重質物濃度は、通常一定のままであり、ヒドロホルミル化反応器(群)への循環流中の重質副生物の蓄積を回避する。
【0006】
今日のヒドロホルミル化プロセスはトリオルガノホスフィン配位子をオルガノホスファイト配位子によって置き換えることを好む。それは、後者が、より高い活性を有し、直鎖(normal)異性体アルデヒド生成物の分枝鎖(branched)異性体アルデヒド生成物に対する、より高い比率をもたらすからである。先行技術には、現代のヒドロホルミル化プロセスに於いて使用するための、種々のモノ−、ビス−及びポリ−オルガノホスファイト配位子が記載されている。不利なことに、オルガノホスファイト配位子は、トリオルガノホスフィン配位子と比較したときあまり安定ではない、即ち熱分解に対して一層敏感である傾向がある。例えばロジウム−オルガノホスファイト触媒は、ロジウム−トリフェニルホスフィン配位子に適している運転条件で、蒸発器内で熱的に分解する傾向がある。従って、オルガノホスファイト配位子の熱分解を最小にするために、蒸発器を135℃よりも低い温度で運転することが望ましい。
【0007】
蒸発器を135℃よりも低い温度で運転することは、重質物オーバーヘッドを所望の程度まで除去するために、大気圧よりも低い圧力の使用を必要とする。蒸発器からのテール流中の重質物の量は、ヒドロホルミル化反応器に戻る液体流中で循環するために、触媒及び任意の遊離配位子を可溶化させるのに充分でなくてはならない。しかしながら、循環流中の重質物の蓄積は望ましくは回避される。従って、ヒドロホルミル化反応器(ここで、重質物が占めると、常に反応器体積を増加させ、生産性を低下させる)に戻される重質物の量を増加させることを回避するために、重質物は、望ましくは、ヒドロホルミル化段階で生成されるのと本質的に同じ速度で、蒸発器からオーバーヘッド除去される。従って、オルガノホスファイト触媒を安定化させて、重質物を望ましい程度まで除去すれば、蒸発器は、135℃よりも低い温度でそして大気圧よりも低い圧力で、運転することが必要となる。不利なことに、蒸発器から得られるオーバーヘッド流の凝縮は、大気圧よりも低い圧力で問題になる。0℃又はそれ以下の凝縮温度は、費用が嵩む冷凍装置を必要とし、全体システムに複雑性を付加する。蒸発器からのオーバーヘッド流を凝縮させるのに単純な水冷凝縮装置を使用することによって、この費用及び複雑性を回避することが望ましいであろうが、ヒドロホルミル化段階に於いて、望ましいオルガノホスファイト配位子を使用するとき、一般的な水冷を使用する方法は、先行技術から明らかではない。
【0008】
更に、大気圧よりも低い圧力の使用は、高価な装置、例えば高いエネルギー消費を有する圧縮機又はタービンを必要とする。従って、高いエネルギー消費を伴う及び/又は装置に高い支出をもたらす、このようなプロセス工程を回避することが望ましいであろう。
【0009】
大気圧よりも低い圧力での作業は、触媒活性の低下及び/又は触媒分解の増加を起こしかねない、装置の中への空気漏洩の或る種の危険性を負う。従って、装置の中への空気漏洩を防止することが望ましいであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第4,148,830号明細書
【特許文献2】米国特許第4,717,775号明細書
【特許文献3】米国特許第4,769,498号明細書
【特許文献4】国際特許出願公開第WO97/07086号明細書
【特許文献5】国際特許出願公開第WO01/58844号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
一つの態様に於いて、本発明は触媒循環流中の重質物の量の制御プロセスであって、
(a)1種又はそれ以上の生成物、1種又はそれ以上の重質副生物、遷移金属−オルガノホスファイト配位子錯体触媒、1種又はそれ以上の未転化反応剤及び1種又はそれ以上の不活性軽質物を含む粗製生成物流を、蒸発器(ストリッパーとしても知られている)の中に供給し、
(b)この蒸発器から、1種又はそれ以上の生成物、1種又はそれ以上の未転化反応剤、1種又はそれ以上の不活性軽質物及び重質副生物の一部を含むオーバーヘッド気体流を取り出して、このオーバーヘッド気体流を凝縮器の中に供給し、
(c)この凝縮器から、1種又はそれ以上の未転化反応剤及び1種又はそれ以上の不活性軽質物を含むオーバーヘッド気体流を取り出し、
(d)凝縮器オーバーヘッド気体流の一部を、蒸発器に循環させ、そして
(e)この蒸発器から、テール流として、遷移金属−オルガノホスファイト配位子錯体触媒及び残部の重質副生物を含む液体循環触媒流を取り出す
ことを含んでなるプロセスを提供する。
【0012】
本発明のプロセスは、第一に、オルガノホスファイトを、1種又はそれ以上の反応剤から1種又はそれ以上の生成物を製造するための反応に於いて、遷移金属−配位子錯体触媒中の配位子として使用し、第二に、そこから、粗製生成物流を得、そして蒸発器の中に供給して、第一の反応工程への触媒の戻し循環のために、このようにして製造された生成物(群)をこの触媒から分離する、任意の工程プロセスに、有利に適合される。有利には、本発明のプロセスは、このプロセスが、工程(d)が使用されない以外は同様の条件下で運転される時の重質物の増加量と比較したとき、反応工程に循環される重質物の制御された量になる。(この比較は、例えば触媒の可溶化のために、重質物のより高いレベルを維持するのに、重質物をこのプロセス発明に故意に添加しないことを仮定する)。従って、反応器体積は、非生産的な重質物の常に増加する体積によって消費されるのではなくて、所望の生成物(群)の製造のために最適に利用可能であるままである。本発明のプロセスは、最も有利には、オレフィンが、一酸化炭素及び水素によって、遷移金属−オルガノホスファイト配位子錯体触媒の存在下でヒドロホルミル化され、得られる粗製生成物混合物が、蒸発器内で分離されて、ヒドロホルミル化工程への循環のために触媒を回収する2工程プロセスに適合される。
【0013】
一つの態様に於いて、本発明は、触媒循環流中の重質物を制御するための、ヒドロホルミル化及び触媒−生成物分離の統合プロセスであって、
(a)1種又はそれ以上のオレフィン反応剤及び1種又はそれ以上の不活性軽質物を含む供給物流を、一酸化炭素及び水素で、遷移金属−オルガノホスファイト配位子錯体触媒及び、任意的に、遊離オルガノホスファイト配位子の存在下で、1種又はそれ以上のアルデヒド生成物、1種又はそれ以上の重質副生物、遷移金属−オルガノホスファイト配位子錯体触媒、任意的に、遊離オルガノホスファイト配位子、1種又はそれ以上の未転化オレフィン反応剤並びに1種又はそれ以上の不活性軽質物、一酸化炭素及び任意的に水素を含有する軽質物を含む粗製液体ヒドロホルミル化生成物流を製造するために充分なヒドロホルミル化条件下で、接触させ、
(b)工程(a)からの粗製液体ヒドロホルミル化生成物流を、蒸発器の中に供給し、
(c)この蒸発器から、1種又はそれ以上のアルデヒド生成物、1種又はそれ以上の未転化オレフィン反応剤、1種又はそれ以上の重質副生物の一部並びに1種又はそれ以上の不活性軽質物、一酸化炭素及び、任意的に、水素を含有する軽質物を含むオーバーヘッド気体流を取り出して、この蒸発器オーバーヘッド気体流を凝縮器の中に供給し、
(d)この凝縮器から、1種又はそれ以上の未転化オレフィン反応剤並びに1種又はそれ以上の不活性軽質物、一酸化炭素及び、任意的に、水素を含有する軽質物を含むオーバーヘッド気体流を取り出し、
(e)凝縮器オーバーヘッド気体流の一部を、蒸発器に循環させ、そして
(f)この蒸発器から、テール流として、残部の重質副生物、遷移金属−配位子錯体触媒及び任意的に遊離オルガノホスファイト配位子からなる液体循環触媒流を取り出し、そしてこの液体循環触媒流を工程(a)に循環させる
ことを含んでなるプロセスを提供する。
【0014】
一つの態様に於いて、蒸発器からのオーバーヘッド気体流中の重質副生物の除去速度は、本質的に、ヒドロホルミル化工程に於ける重質副生物の製造速度に等しい。
【0015】
一つの態様に於いて、本発明は、生成物相ストリッパー(即ち蒸発器)内で、生成物相をストリッピングガスによってストリッピングし、それによって蒸気相を分離し、この蒸気相を生成物凝縮器内で冷却し、それによって、オレフィン、アルカン及びアルデヒドを、ストリッピングガスから少なくとも部分的に凝縮分離し、そしてストリッピングガスを生成物相ストリッパーに循環することからなるプロセスであって、生成物相ストリッパーと生成物凝縮器とが、本質的に等圧で運転されるプロセスである。
【0016】
一つの態様に於いて、本発明は、生成物相ストリッパー内で、液体生成物相をストリッピングガスによってストリッピングし、それによって未反応オレフィン、アルカン、アルデヒドを含有する蒸気相を、触媒残渣及び高沸点副生物から分離し、この残渣の少なくとも一部をヒドロホルミル化ゾーンに循環し、この蒸気相を生成物凝縮器内で冷却し、それによって、未反応オレフィン、アルカン及びアルデヒドを、ストリッピングガスから少なくとも部分的に凝縮分離し、そしてストリッピングガスを生成物相ストリッパーに循環することを含んでなる、配位子として少なくとも1種の有機リン化合物を有するロジウム錯体を含むヒドロホルミル化触媒の存在下でのオレフィン供給原料の連続ヒドロホルミル化からの、未反応オレフィン、アルカン、アルデヒド、触媒液及び高沸点副生物を含有する液体生産物の仕上げプロセス(process for working up)であって、生成物相ストリッパーと生成物凝縮器とが本質的に等圧で運転されるプロセスである。
【0017】
一つの態様に於いて、本発明は、オレフィン供給原料を一酸化炭素及び水素と、ヒドロホルミル化ゾーン内で、配位子として少なくとも1種の有機リン化合物を有するロジウム錯体を含むヒドロホルミル化触媒の存在下で接触させて、未反応オレフィン、アルカン、アルデヒド、触媒液及び高沸点副生物を含有する液体生成物相を生成することによる、アルデヒドの製造プロセスであって、この液体生成物相を前記の仕上げに付すことからなるプロセスである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1はヒドロホルミル化ゾーンへの液体触媒流の循環を有する、ヒドロホルミル化及び蒸発器内での液体ヒドロホルミル化生成物の分離のための従来の統合プロセスを示す。
【図2】図2はヒドロホルミル化ゾーンへの液体触媒流の循環を有する、ヒドロホルミル化及び続く蒸発器内での液体ヒドロホルミル化生成物の分離のための本発明の統合プロセスを示す。
【図3】図3は実施例1に例示した本発明のプロセスに於ける、凝縮器温度の関数としての、蒸発器オーバーヘッド気体流中の一酸化炭素モル分率のグラフである。
【図4】図4は実施例1に例示した本発明のプロセスに於ける、凝縮器温度の関数としての、蒸発器オーバーヘッド気体流中の水素モル分率のグラフである。
【図5】図5は流れでの日数の関数としての、ヒドロホルミル化プロセスに於ける重質物のグラフである。このグラフは、本発明の実施例2の重質物を、比較実験Aのものと比較している。
【図6】図6は流れでの日数の関数としての、ヒドロホルミル化プロセスに於ける配位子アカウンタビリティ(accountability)のグラフである。このグラフは、本発明の実施例2の配位子アカウンタビリティを、比較実験Aのものと比較している。
【図7】図7は流れでの日数の関数としての、ヒドロホルミル化プロセスに於けるロジウムアカウンタビリティのグラフである。このグラフは、本発明の実施例2のロジウムアカウンタビリティを、比較実験Aのものと比較している。
【図8】図8は実施例3に於いて報告したプロセスの図解ダイヤグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書に於いて、元素の周期律表に対する参照は、Nomenclature of Inorganic Chemistry:IUPAC Recommendations 2005,Royal Society of Chemistry,2005,N.G.Connelly及びT.Damhus編で刊行された元素の周期律表を指すものとする。また、族又は族群に対する任意の参照は、族に番号を付けるためのIUPACシステムを使用するこの元素の周期律表中に反映されている族又は族群であるものとする。
【0020】
米国特許手続の目的のために、任意の参照された特許、特許出願又は刊行物の内容は、それらの全部が参照されて含められる(又は、その対応する米国版が、参照によりそのように含められる)。
【0021】
全てのパーセント(%)、好ましい量又は測定値、範囲及び終点は、包括的である。即ち「約10よりも小さい」は、約10を含む。「少なくとも」は、「等しい又はそれ以上」に等価であり、従って、「最大」は、「等しい又はそれ以下」に等価である。数字は、記載したもの以下の精度を有する。従って、「115」は、少なくとも114.5から115.49までを含む。「少なくとも」、「よりも大きい」、「等しい又はそれ以上」又は同様に記載されたパラメーターから、「最大」、「まで」、「よりも小さい」、「等しい又はそれ以下」又は同様に記載されたパラメーターまでの全ての範囲は、それぞれのパラメーターについて示される好ましさの相対程度に無関係に好ましい範囲である。従って、最も好ましい上限と組み合わせられた有利な下限を有する範囲は、本発明の実施のために好ましい。用語「有利な」は、必要なものよりも大きい好ましさの程度を示すために使用されるが、よりも小さいは、用語「好ましくは」によって示される。
【0022】
本発明に於いて、本発明者らは、以下、1種又はそれ以上の反応剤を、金属−オルガノホスファイト配位子錯体触媒、1種又はそれ以上の不活性軽質物及び、任意的に、遊離オルガノホスファイト配位子の存在下で接触させて、1種又はそれ以上の反応生成物、1種又はそれ以上の未転化反応剤、遷移金属−オルガノホスファイト配位子錯体触媒、任意的に、遊離オルガノホスファイト配位子、1種又はそれ以上の重質副生物及び1種又はそれ以上の不活性軽質物を含む粗製液体生成物流を製造する、「反応プロセス」又は「反応」を参照する。
【0023】
本発明の目的のために、用語「重質物(heavies)」は、反応プロセスの所望の生成物の標準沸点よりも25℃以上高い標準沸点を有する化合物として特徴付けられる、このプロセスの液体副生物を指す。例えばヒドロホルミル化反応に於いて、反応剤は、1種又はそれ以上のオレフィン(オレフィン性不飽和化合物)を含み、所望の生成物は、1種又はそれ以上の異性体アルデヒドを含み、そして重質副生物は、このアルデヒド生成物の標準沸点よりも25℃以上高くて沸騰する化合物を含む。
【0024】
本発明の目的のために、用語「軽質物」は、反応プロセスの所望の生成物の標準沸点よりも少なくとも25℃、好ましくは少なくとも50℃低い標準沸点を有するとして特徴付けられる、反応剤、不活性物質、プロセスの副生物又はこれらの組合せを指すものとする。本明細書中で使用される用語「不活性軽質物」又は「軽質不活性物」は、本プロセスに於いて反応性でない軽質物を指すものとする。「反応性軽質物」は、本プロセスに於いて反応性である軽質物を指すものとする。例えばヒドロホルミル化プロセスに於いて、反応性軽質物には、一酸化炭素及び水素が含まれ、一方、不活性軽質物には、反応へのオレフィン供給物中に存在するアルカンが含まれる。
【0025】
「本質的に等圧で」及び類似の用語は、本質的に一定の圧力で又は1バール(100kPa)又はそれ以下、好ましくは0.5バール(50kPa)又はそれ以下の圧力差内を意味する。換言すると、本発明の一態様に於いて、生成物相ストリッパーと生成物凝縮器とに亘る最大圧力差は、1バール(100kPa)又はそれ以下、好ましくは0.5バール(50kPa)又はそれ以下である。
【0026】
生成物相ストリッパー及び生成物凝縮器は、本質的に一定の圧力で運転できるので、本発明のプロセスのこの態様に於いて、気体流の大きい圧縮は必要ではない。それぞれ、生成物相ストリッパーから生成物凝縮器への蒸気相の循環及び生成物凝縮器から生成物相ストリッパーへのストリッピングガスの循環のために、ブロワー又はファンが適切に使用される。圧縮装置と比較して、ブロワー又はファンは、著しく少ない資本費用及び保全費用がかかる。一般的に、生成物相ストリッパー及び生成物凝縮器は、1.5バール(150kPa)〜4バール(400kPa)、好ましくは2〜3バール(200〜300kPa)の範囲内の圧力で運転される。
【0027】
本発明の一つの態様に於いて、オルガノホスファイト配位子はオルガノビスホスファイト配位子を含む。
【0028】
それが、続く生成物−触媒分離を伴うヒドロホルミル化プロセスに関するとき、本発明を具体的に示す図2を参照して、1種又はそれ以上のオレフィン性不飽和化合物及び1種又はそれ以上の不活性軽質物、例えばアルカンを含むオレフィン供給物が、1個又はそれ以上のヒドロホルミル化反応器(オキソ反応器)を含む反応器システムの中に供給される。同時に、一酸化炭素、水素及び、任意的に、1種又はそれ以上の気体状不活性物を含む合成ガスの供給物も、ヒドロホルミル化反応器の中に供給される。後で記載する液体重質副生物相中に可溶化され、溶解された、遷移金属−オルガノホスファイト配位子錯体触媒、好ましくはロジウム−オルガノビスホスファイト配位子錯体触媒及び、任意的に、遊離の又は錯化されていないオルガノホスファイト配位子を含む、循環触媒流(23)が、ヒドロホルミル化反応器システムの中に供給され、そこで、オレフィンのヒドロホルミル化が起こって、1種又はそれ以上のヒドロホルミル化プロセスのアルデヒド生成物、1種又はそれ以上の重質副生物、1種又はそれ以上の未転化オレフィン反応剤、遷移金属−オルガノホスファイト配位子錯体触媒、任意的に遊離オルガノホスファイト配位子並びに不活性軽質物、一酸化炭素及び、任意的に、水素を含有する軽質物を含む粗製液体ヒドロホルミル化生成物流(21)を製造する。ヒドロホルミル化反応器は、図2に於いて、単一の装置として示されているが、これは、事実上且つ典型的には、実際には、一連の連続して接続されたヒドロホルミル化反応器であり得る。主として、不活性軽質物、水素及び一酸化炭素を含有する軽質成分からなるベント流(27)を、オキソ反応器システムから、その中のいずれか1個又はそれ以上の反応器からの気体流として、オーバーヘッドで取り出すことができる。液体ヒドロホルミル化生成物流(21)は、蒸発器装置の中に供給され、そこから、1種又はそれ以上のアルデヒド生成物、1種又はそれ以上の未転化オレフィン反応剤、重質副生物の一部並びに1種又はそれ以上の不活性軽質物、一酸化炭素及び、任意的に、水素を含有する軽質物を含むオーバーヘッド気体流(22)が得られる。蒸発器からのオーバーヘッド気体流(22)は、凝縮器の中に供給され、そこから、1種又はそれ以上のオレフィン反応剤の一部並びに不活性軽質物、一酸化炭素及び、任意的に、水素の一部を含むオーバーヘッド気体流(28)が得られる。凝縮器から、1種又はそれ以上のアルデヒド生成物、蒸発器からのオーバーヘッド気体流からの重質副生物の一部及び残部の未転化オレフィン反応剤(群)を含む液体生成物流(26)が得られる。凝縮器オーバーヘッド気体流(28)は、蒸発器への循環流(24)と、ヒドロホルミル化反応器(群)に循環されるか又は燃焼されるか又は別の下流のプロセスへの若しくは中の燃料として使用することができる流れ(25)とに分割される。循環流(24)は、1種又はそれ以上の未転化オレフィン反応剤並びに1種又はそれ以上の不活性軽質物、一酸化炭素及び、任意的に、水素を含有する軽質物を含む。流れ(25)は、1種又はそれ以上の未転化オレフィン反応剤並びに1種又はそれ以上の不活性軽質物、一酸化炭素及び、任意的に、水素を含有する軽質物を含む。蒸発器から、重質物副生物の残り、遷移金属−オルガノホスファイト配位子錯体触媒及び、任意的に、遊離オルガノホスファイト配位子を含むテール流(23)が得られ、テール流(23)は、オキソ反応器(群)へ戻る液体触媒流として循環される。
【0029】
本発明プロセスに於いて適切に使用されるオレフィン性不飽和化合物は、ヒドロホルミル化プロセスに関与して、対応するアルデヒド生成物(群)を製造することができ、蒸発によって粗製液体ヒドロホルミル化生成物流から分離することができるものである。本発明の目的のために、「オレフィン」は、少なくとも炭素原子及び水素原子を含有し、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合(C=C)を有する脂肪族有機化合物として定義される。好ましくは、このオレフィンには、1個又は2個の炭素−炭素二重結合、更に好ましくは1個の炭素−炭素二重結合が含まれる。この二重結合(群)は、炭素鎖に沿った末端位置(α−オレフィン)又は鎖に沿った任意の内部位置(内部オレフィン)に配置されていてよい。任意的に、このオレフィンは、例えば窒素、酸素並びにハロゲン、好ましくは、塩素及び臭素を含む、炭素及び水素以外の元素を含んでいてよい。このオレフィンは、例えばヒドロキシ、アルコキシ及びアルキル置換基を含む官能性置換基によって置換されていてもよい。好ましくは、本発明のプロセスに於いて使用されるオレフィンは、合計で4〜10個の炭素原子を有する置換又は非置換のオレフィンを含む。本発明のプロセスのために適している例示的オレフィンには、限定することなく、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン及びデセンの下記のモノオレフィンの異性体(具体的な限定されない例には、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン及び1−ヘキセン、2−ヘキセン、3−ヘキセンが含まれ、そしてヘプテン、オクテン、ノネン及びデセンが同様に含まれる)が含まれる。適切なオレフィンの他の限定されない例には、2−メチルプロペン(イソブチレン)、2−メチルブテン、シクロヘキセン、ブタジエン、イソプレン、2−エチル−1−ヘキセン、スチレン、4−メチルスチレン、4−イソプロピルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、3−フェニル−1−プロペン、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン並びにアルケノール、例えばペンテノール;アルケナール、例えばペンテナール;アリルアルコール、酪酸アリル、ヘキス−1−エン−4−オール、オクト−1−エン−4−オール、酢酸ビニル、酢酸アリル、酢酸3−ブテニル、プロピオン酸ビニル、プロピオン酸アリル、メタクリル酸メチル、ビニルエチルエーテル、ビニルメチルエーテル、アリルエチルエーテル、3−ブテンニトリル、5−ヘキセンアミド及びジシクロペンタジエンを含むためのこのような種が含まれる。
【0030】
好ましくは、本発明のプロセスに於いて使用されるオレフィン流は、ブテン−1、ブテン−2、イソブチレン、ブタン及び任意的に、ブタジエンを含むC4ラフィネートI又はC4ラフィネートII異性体混合物を含む。C4ラフィネートI流は、15〜50重量%のイソブチレン及び40〜85重量%のノルマルブテンを含み、100%までの残りは、主としてn−ブタン及びイソブタンを含む。ノルマルブテンは、一般的に、ブテン−1及びブテン−2(シス−及びトランス−形)の混合物である。流れ成分の相対比率は、石油供給物の組成、スチームクラッキング又は接触分解運転に於いて及びそこからC4流が誘導される次のプロセス工程に於いて使用される条件に依存する。C4ラフィネートIIの流れは、約15〜55体積%の1−ブテン、約5〜約15体積%の2−ブテン(5〜35体積%のトランス−2−ブテン)、約0.5〜約5体積%のイソブチレン及び約1〜約40体積%のブタンを含む。
【0031】
本発明のヒドロホルミル化工程のために、水素及び一酸化炭素も必要である。これらの気体は、石油クラッキング運転及び精製運転を含む任意の利用可能な源泉から得ることができる。合成ガス混合物が、好ましく使用される。気体状水素の一酸化炭素に対するH2:COモル比は、好ましくは、約1:10〜約100:1の範囲であってよく、更に好ましいH2:COモル比は、約1:10〜約10:1、なお更に好ましくは、約1:10〜約1:2である。
【0032】
本発明のヒドロホルミル化プロセスに於いて使用することができる遷移金属−配位子錯体触媒及びそれらの製造方法は、当該技術分野で公知である。一般的に、このような触媒は、予備形成されるか又はその場(インシトゥ)で形成されることができ、有機リン配位子、好ましくは、オルガノホスファイト配位子と錯体組合せにある遷移金属から本質的になる。金属−配位子錯体を形成する適切な遷移金属には、ロジウム(Rh)、コバルト(Co)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、オスミウム(Os)及びこれらの混合物から選択された、第8、9及び10族金属が含まれ、好ましい金属は、ロジウム、コバルト、イリジウム及びルテニウムであり、更に好ましくはロジウム、コバルト及びルテニウムであり、最も好ましくはロジウムである。他の適切な金属には、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)及びこれらの混合物から選択された、第6族金属が含まれる。第6、8、9及び10族からの金属の混合物も、本発明に於いて使用することができる。
【0033】
金属−オルガノホスファイト配位子錯体を作る好ましいオルガノホスファイト配位子及び遊離オルガノホスファイト配位子には、モノ−、ジ−、トリ−及びより高級のオルガノホスファイトが含まれる。所望により、金属−オルガノホスファイト配位子錯体触媒及び/又は遊離配位子中に、このような配位子の混合物を使用することができ、このような混合物は、同じか又は異なっていてよい。
【0034】
本明細書及び特許請求の範囲中に使用される用語「錯体(complex)」は、1個又はそれ以上の電子的に富んだ分子又は原子と、1個又はそれ以上の電子的に乏しい分子又は原子との結合体(union)によって形成される配位化合物を意味する。例えば本発明に於いて使用することができるオルガノホスファイト配位子は、それぞれ電子の、利用可能な1個、又は非共有対を有する1個又はそれ以上のリンドナー原子を有し、これらのそれぞれの対は、独立に又は金属と(例えばキレート化により)協力して配位共有結合を形成することができる。一酸化炭素も存在することができ、金属と錯化することができる。錯体触媒は、追加の配位子、例えば水素又は金属の配位部位又は核電荷を満たすアニオンを含有することもできる。例示的追加の配位子には、例えばハロゲン(Cl、Br、I)、アルキル、アリール、置換されたアリール、アシル、CF3、C25、CN、(R)2PO及びRP(O)(OH)O(式中、それぞれのRは、同じか又は異なっており、置換又は非置換の炭化水素基、例えばアルキル又はアリールである)、アセテート、アセチルアセトネート、SO4、PF4、PF6、NO2、NO3、CH3O、CH2=CHCH2、CH3CH=CHCH2、C25CN、CH3CN、NH3、ピリジン、(C253N、モノオレフィン、ジオレフィン及びトリオレフィン、テトラヒドロフラン等が含まれる。
【0035】
前記の遷移金属上の利用可能な配位部位の数は当該技術分野で公知である。従って、この触媒種は、好ましくは、遷移金属、例えばロジウムの1分子当たり錯化された少なくとも1個の有機リン含有分子によって特徴付けられる、モノマー性、ダイマー性及び/又は高級ヌクリアリティ(nuclearity)形にある錯体触媒混合物からなっていてよい。ヒドロホルミル化反応に於いて使用される好ましい触媒の触媒種は、ヒドロホルミル化反応によって使用される一酸化炭素及び水素ガスを考慮して、オルガノホスファイト配位子(群)に加えて、一酸化炭素及び水素によって錯化され得る。
【0036】
金属−オルガノホスファイト配位子錯体触媒の配位子及び/又は遊離オルガノホスファイト配位子として機能し得る好ましいオルガノホスファイトは、アキラル(光学的に不活性)又はキラル(光学的に活性)であってよく、当該技術分野で公知である。アキラルオルガノポリホスファイトが好ましい。代表的なオルガノポリホスファイトは、2個又はそれ以上の第三級(三価)リン原子を含み、式:
【0037】
【化1】

【0038】
(式中、Xは炭素数2〜40の置換又は非置換のn価の有機橋架け基を表し、それぞれのR1は、同じか又は異なり、炭素数4〜40の二価の有機基を表し、それぞれのR2は、同じか又は異なり、炭素数1〜24の置換又は非置換の一価の炭化水素基を表し、a及びbは同じか又は異なっていてよく、それぞれ0〜6の値を有し、但し、a+bの合計は2〜6であり、そしてnはa+bに等しい)
を有するものを含むことができる。aが2又はそれ以上の値を有するとき、それぞれのR1基は同じか又は異なっていてよく、bが1又はそれ以上の値を有するとき、それぞれのR2基は同じか又は異なってよいことが理解されるべきである。
【0039】
上記の、Xによって表される代表的なn価(好ましくは二価)の炭化水素橋架け基及びR1によって表される代表的な二価の有機基は、非環式基及び芳香族基の両方、例えばアルキレン、アルキレン−Qm−アルキレン、シクロアルキレン、アリーレン、ビスアリーレン、アリーレン−アルキレン及びアリーレン−(CH2y−Qm−(CH2y−アリーレン基(式中、それぞれのyは同じか又は異なり、0又は1の値である)を含む。Qは、−C(R32−、−O−、−S−、−NR4−、−Si(R52−及び−CO−(式中、それぞれのR3は同じか又は異なり、水素、炭素数1〜12のアルキル基、フェニル、トリル及びアニシルを表し、R4は水素又は置換若しくは非置換の一価の炭化水素基、例えば炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれのR5は同じか又は異なり、水素又はアルキル基を表す)から選択された二価の橋架け部分を表し、そしてmは、0又は1の値である。上記のX及びR1によって表される更に好ましい非環式基は、二価のアルキレン基であり、一方、上記のX及びR1によって表される更に好ましい芳香族基は、例えば米国特許第4,769,498号明細書、米国特許第4,774,361号明細書、米国特許第4,885,401号明細書、米国特許第5,179,055号明細書、米国特許第5,113,022号明細書、米国特許第5,202,297号明細書、米国特許第5,235,113号明細書、米国特許第5,264,616号明細書、米国特許第5,364,950号明細書、米国特許第5,874,640号明細書、米国特許第5,892,119号明細書、米国特許第6,090,987号明細書及び米国特許第6,294,700号明細書中に開示されているような、二価のアリーレン基及びビスアリーレン基である。上記のそれぞれのR2基によって表される好ましい一価の炭化水素基には、アルキル基及び芳香族基が含まれる。
【0040】
好ましいオルガノポリホスファイトは、ビスホスファイト、例えば下記の式(II)〜(IV):
【0041】
【化2】

【0042】
(式中、式(II)〜(IV)のそれぞれのR1、R2及びXは、式(I)について前記定義したのと同じものである)
のものを含むことができる。好ましくは、それぞれのR1及びXは、アルキレン、アリーレン、アリーレン−アルキレン−アリーレン及びビスアリーレンから選択された二価の炭化水素基を表し、一方、それぞれのR2基はアルキル基及びアリール基から選択された一価の炭化水素基を表す。このような式(II)〜(IV)のオルガノポリホスファイト配位子は、例えば米国特許第4,668,651号明細書、米国特許第4,748,261号明細書、米国特許第4,769,498号明細書、米国特許第4,774,361号明細書、米国特許第4,885,401号明細書、米国特許第5,113,022号明細書、米国特許第5,179,055号明細書、米国特許第5,202,297号明細書、米国特許第5,235,113号明細書、米国特許第5,254,741号明細書、米国特許第5,264,616号明細書、米国特許第5,312,996号明細書、米国特許第5,364,950号明細書及び米国特許第5,391,801号明細書中に開示されている。
【0043】
オルガノビスホスファイトの更に好ましい種類の代表は下記の式(V)〜(VII):
【0044】
【化3】

【0045】
(式中、Q、R1、R2、X、m及びyは、前記定義の通りであり、それぞれのArは、同じか又は異なり、置換又は非置換のアリール基を表す)
のものである。最も好ましくは、Xは二価のアリール−(CH2y−(Q)m−(CH2y−アリール基(式中、それぞれのyは、独立に、0又は1の値を有し、mは、0又は1の値を有し、Qは、−O−、−S−又は−C(R32−(式中、それぞれのR3は、同じか又は異なり、水素又はメチル基を表す)である)を表す。更に好ましくは、上記定義されたR2部分のそれぞれのアルキル基は、1〜24個の炭素原子を含有することができ、前記式(V)〜(VII)の前記定義されたAr、X、R1及びR2部分のそれぞれのアリール基は、6〜18個の炭素原子を含有することができ、該基は、同じか又は異なっていてよく、一方、Xの好ましいアルキレン基は2〜18個の炭素原子を含有することができ、R1の好ましいアルキレン基は5〜18個の炭素原子を含有することができる。更に、好ましくは前記の式の二価のAr基及びXの二価のアリール基はフェニレン基(ここで、−(CH2y−(Q)m−(CH2y−によって表される橋架け部分が、フェニレン基を式のそれらのリン原子に接続している、式の酸素原子に対してオルトである位置で、該フェニレン基に結合している)である。このようなフェニレン基上に存在しているとき、任意の置換基は、所定の置換されたフェニレン基をそのリン原子に結合している酸素原子に関して、フェニレン基のパラ及び/又はオルト位で結合されていることが、また好ましい。
【0046】
任意的に、前記の式(I)〜(VII)中の任意の与えられたオルガノポリホスファイトは、イオン性ホスファイトであってよい。即ちこれは、例えば米国特許第5,059,710号明細書、米国特許第5,113,022号明細書、米国特許第5,114,473号明細書及び米国特許第5,449,653号明細書中に記載されているような、−SO3M(式中、Mは無機又は有機カチオンを表す)、−PO3M(式中、Mは無機又は有機カチオンを表す)、N(R631(式中、それぞれのR6は同じか又は異なり、炭素数1〜30の炭化水素基、例えばアルキル、アリール、アルカリール、アラルキル及びシクロアルキル基を表し、X1は無機又は有機アニオンを表す)、−CO2M(式中、Mは無機又は有機カチオンを表す)からなる部分から選択された1種又はそれ以上のイオン性部分を含有することができる。従って、所望により、このようなオルガノポリホスファイト配位子は、1〜3個のこのようなイオン性部分を含有することができるが、好ましくは配位子が1個より多い、このようなイオン性部分を含有するとき、1個のみのこのようなイオン性部分が、オルガノポリホスファイト配位子中の任意の与えられたアリール部分上に置換されている。イオン性オルガノポリホスファイトのアニオン性部分のための、適切な対イオン、M及びX1として、水素(即ちプロトン)、アルカリ金属及びアルカリ土類金属、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、ルビジウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム及びストロンチウム、アンモニウムカチオン及び第四級アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、アルソニウムカチオン並びにイミニウムカチオンを挙げることができる。ラジカルの適切なアニオン性原子には、例えばスルフェート、カーボネート、ホスフェート、クロリド、アセテート、オキサレート等が含まれる。
【0047】
勿論、前記の式(I)〜(VII)のこのような非イオン性及びイオン性オルガノポリホスファイトのR1、R2、X、Q及びAr基のいずれも、所望により、本発明のプロセスの所望の結果に悪影響を与えない、炭素数1〜30の任意の適切な置換基によって置換されていてよい。適切な置換基の非限定例には、限定することなく、炭化水素基、例えばアルキル、アリール、アラルキル、アルカリール及びシクロヘキシル置換基;シリル基、例えば−Si(R73;アミノ基、例えば−N(R72;ホスフィン基、例えば−アリール−P(R72;アシル基、例えば−C(O)R7;アシルオキシ基、例えば−OC(O)R7;アミド基、例えば−CON(R72及び−N(R7)COR7;スルホニル基、例えば−SO27;アルコキシ基、例えば−OR7;スルフィニル基、例えば−SOR7;スルフェニル基、例えば−SR7;ホスホニル基、例えば−P(O)(R72並びにハロゲン、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル及びヒドロキシ基(式中、それぞれのR7は、個々に、炭素数1〜18の同じ又は異なった一価の炭化水素基(例えばアルキル、アリール、アラルキル、アルカリール及びシクロヘキシル基)を表し、但し、アミノ置換基、例えば−N(R72に於いて、それぞれのR7は、一緒になって、窒素原子と共に複素環式基を形成する二価の橋架け基を表すこともでき、アミド置換基、例えば−C(O)N(R72及び−N(R7)COR7に於いて、Nに結合されたそれぞれのR7は水素であってもよい)が含まれる。勿論、特定の与えられたオルガノポリホスファイトを作る、置換又は非置換の炭化水素基のいずれも、同じ又は異なっていてよいことが理解されるべきである。
【0048】
更に詳しくは、例示的置換基には、第一級、第二級及び第三級アルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、アミル、sec−アミル、t−アミル、イソオクチル、デシル及びオクタデシル;アリール基、例えばフェニル及びナフチル;アラルキル基、例えばベンジル、フェニルエチル及びトリフェニルメチル;アルカリール基、例えばトリル及びキシリル;脂環式基、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、シクロオクチル及びシクロヘキシルエチル;アルコキシ基、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、t−ブトキシ、−OCH2CH2OCH3、−O(CH2CH22OCH3及び−O(CH2CH23OCH3;アリールオキシ基、例えばフェノキシ並びにシリル基、例えば−Si(CH33、−Si(OCH33及び−Si(C373;アミノ基、例えば−NH2、−N(CH32、−NHCH3及び−NH(C25);アリールホスフィン基、例えば−P(C652;アシル基、例えば−C(O)CH3、−C(O)C25及び−C(O)C65;カルボニルオキシ基、例えば−C(O)OCH3;オキシカルボニル基、例えば−O(CO)C65;アミド基、例えば−CONH2、−CON(CH32及び−NHC(O)CH3;スルホニル基、例えば−S(O)225;スルフィニル基、例えば−S(O)CH3;スルフェニル基、例えば−SCH3、−SC25及び−SC65;ホスホニル基、例えば−P(O)(C652、−P(O)(CH32、−P(O)(C252、−P(O)(C372、−P(O)(C492、−P(O)(C6132、−P(O)CH3(C65)及び−P(O)(H)(C65)が含まれる。
【0049】
このようなオルガノビスホスファイト配位子の具体的な例示的例には、下記のものが含まれる。
【0050】
6,6’−[[4,4’−ビス(1,1−ジメチルエチル)−[1,1’−ビナフチル]−2,2’−ジイル]ビス(オキシ)]ビス−ジベンゾ[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフェピン(配位子A)。
【0051】
式:
【0052】
【化4】

【0053】
を有する、6,6’−[[3,3’−ビス(1,1−ジメチルエチル)−5,5’−ジメトキシ−[1,1’−ビフェニル]−2,2’−ジイル]ビス(オキシ)]ビス−ジベンゾ[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフェピン。
【0054】
式:
【0055】
【化5】

【0056】
を有する、6,6’−[[3,3’,5,5’−テトラキス(1,1−ジメチルプロピル)−[1,1’−ビフェニル]−2,2’−ジイル]ビス(オキシ)]ビス−ジベンゾ[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフェピン。
【0057】
式:
【0058】
【化6】

【0059】
を有する、6,6’−[[3,3’,5,5’−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)−[1,1’−ビフェニル]−2,2’−ジイル]ビス(オキシ)]ビス−ジベンゾ[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフェピン。
【0060】
(2R,4R)−ジ[2,2’−(3,3’,5,5’−テトラキス−tert−アミル−1,1’−ビフェニル)]−2,4−ペンチルジホスファイト(配位子E)。
【0061】
(2R,4R)−ジ[2,2’−(3,3’,5,5’−テトラキス−tert−ブチル−1,1’−ビフェニル)]−2,4−ペンチルジホスファイト(配位子F)。
【0062】
(2R,4R)−ジ[2,2’−(3,3’−ジアミル−5,5’−ジメトキシ−1,1’−ビフェニル)]−2,4−ペンチルジホスファイト(配位子G)。
【0063】
(2R,4R)−ジ[2,2’−(3,3’−ジ−tert−ブチル−5,5’−ジメチル−1,1’−ビフェニル)]−2,4−ペンチルジホスファイト(配位子H)。
【0064】
(2R,4R)−ジ[2,2’−(3,3’−ジ−tert−ブチル−5,5’−ジエトキシ−1,1’−ビフェニル)]−2,4−ペンチルジホスファイト(配位子I)。
【0065】
(2R,4R)−ジ[2,2’−(3,3’−ジ−tert−ブチル−5,5’−ジエチル−1,1’−ビフェニル)]−2,4−ペンチルジホスファイト(配位子J)。
【0066】
(2R,4R)−ジ[2,2’−(3,3’−ジ−tert−ブチル−5,5’−ジメトキシ−1,1’−ビフェニル)]−2,4−ペンチルジホスファイト(配位子K)。
【0067】
6−[[2’−[(4,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−1,3,2−ベンゾジオキサホスホール−2−イル)オキシ]−3,3’−ビス(1,1−ジメチルエチル)−5,5’−ジメトキシ[1,1’−ビフェニル]−2−イル]オキシ]−4,8−ビス(1,1−ジメチルエチル)−2,10−ジメトキシジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン(配位子L)。
【0068】
6−[[2’−[1,3,2−ベンゾジオキサホスホール−2−イル)オキシ]−3,3’−ビス(1,1−ジメチルエチル)−5,5’−ジメトキシ[1,1’−ビフェニル]−2−イル]オキシ]−4,8−ビス(1,1−ジメチルエチル)−2,10−ジメトキシジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン(配位子M)。
【0069】
6−[[2’−[(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン−2−イル)オキシ]−3,3’−ビス(1,1−ジメチルエチル)−5,5’−ジメトキシ[1,1’−ビフェニル]−2−イル]オキシ]−4,8−ビス(1,1−ジメチルエチル)−2,10−ジメトキシジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン(配位子N)。
【0070】
亜リン酸の2’−[[4,8−ビス(1,1−ジメチルエチル)−2,10−ジメトキシジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル]オキシ]−3,3’−ビス(1,1−ジメチルエチル)−5,5’−ジメトキシ[1,1’−ビフェニル]−2−イル ビス(4−ヘキシルフェニル)エステル(配位子O)。
【0071】
亜リン酸の2−[[2−[[4,8−ビス(1,1−ジメチルエチル)−2,10−ジメトキシジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキソホスフェピン−6−イル]オキシ]−3−(1,1−ジメチルエチル)−5−メトキシフェニル]メチル]−4−メトキシ 6−(1,1−ジメチルエチル)フェニルジフェニルエステル(配位子P)。
【0072】
亜リン酸の3−メトキシ−1,3−シクロヘキサメチレン テトラキス[3,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−2−ナフタレニル]エステル(配位子Q)。
【0073】
亜リン酸の2,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−1,4−フェニレン テトラキス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)フェニル]エステル(配位子R)。
【0074】
亜リン酸のメチレンジ−2,1−フェニレン テトラキス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)フェニル]エステル(配位子S)。
【0075】
亜リン酸の[1,1’−ビフェニル]−2,2’−ジイル テトラキス[2−(1,1−ジメチルエチル)−4−メトキシフェニル]エステル(配位子T)。
【0076】
一つの態様に於いて、二座配位子又はキレート化配位子は、とりわけ、国際特許出願公開第WO0056451 A1号明細書中に開示されているような二座ホスホルアミダイト配位子である。これらの配位子の代表は、下記のものである。
【0077】
【化7】

【0078】
【化8】

【0079】
【化9】

【0080】
本発明のプロセスに於いて使用できるオルガノモノホスファイト配位子は、1個のホスファイト部分を有する任意の有機化合物からなる。代表的なオルガノモノホスファイトには、式:
【0081】
【化10】

【0082】
(式中、R8は置換又は非置換の炭素数約4〜40の三価の炭化水素基、例えば三価の非環式基及び三価の環式基、例えば三価のアルキレン基、例えば1,2,2−トリメチロールプロパンから誘導されるもの又は三価のシクロアルキレン基、例えば1,3,5−トリヒドロキシシクロヘキサンから誘導されるものを表す)
を有するものが含まれる。このようなオルガノモノホスファイトは、例えば米国特許第4,567,306号明細書中に記載されている。
【0083】
代表的なジオルガノモノホスファイトには、下記の式:
【0084】
【化11】

【0085】
(式中、R9は、置換又は非置換の炭素数約4〜40の二価の炭化水素基を表し、Wは、置換又は非置換の炭素数1〜約18の一価の炭化水素基を表す)
を有するものが含まれてよい。
【0086】
上記の式に於いて、Wによって表される代表的な置換及び非置換の一価の炭化水素基には、アルキル及びアリール基が含まれ、他方、R9によって表される、代表的な置換及び非置換の二価の炭化水素基には、二価の非環式基及び二価の芳香族基が含まれる。例示的二価の非環式基には、例えばアルキレン、アルキレン−オキシ−アルキレン、アルキレン−NX2−アルキレン(式中、X2は水素又は置換若しくは非置換の炭化水素基である)、アルキレン−S−アルキレン及びシクロアルキレン基が含まれる。更に好ましい二価の非環式基は、二価のアルキレン基、例えば米国特許第3,415,906号明細書及び米国特許第4,567,302号明細書中に開示されているものである。例示的二価の芳香族基には、例えばアリーレン、ビスアリーレン、アリーレン−アルキレン、アリーレン−アルキレン−アリーレン、アリーレン−オキシ−アリーレン、アリーレン−NX2−アリーレン(式中、X2は前記定義の通りである)、アリーレン−S−アリーレン及びアリーレン−S−アルキレンが含まれる。更に好ましくは、R9は二価の芳香族基、例えば米国特許第4,599,206号明細書及び特許文献2中に開示されているものである。
【0087】
ジオルガノモノホスファイトの更に好ましいクラスの代表は、式:
【0088】
【化12】

【0089】
(式中、Wは、前記定義の通りであり、それぞれのArは、同じか又は異なり、置換又は非置換の二価のアリール基を表し、それぞれのyは、同じか又は異なり、0又は1の値であり、Qは、−C(R102−、−O−、−S−、−NR11−、−Si(R122−及び−COから選択された二価の橋架け部分を表し、それぞれのR10は同じか又は異なり、水素、炭素数1〜12のアルキル基、フェニル、トリル及びアニシルを表し、R11は水素又は炭素数1〜10のアルキル基、好ましくはメチルを表し、それぞれのR12は同じか又は異なり、水素又は炭素数1〜約10のアルキル基、好ましくはメチルを表し、そしてmは、0又は1の値である)
のものである。このようなジオルガノモノホスファイトは、例えば米国特許第4,599,206号明細書、特許文献2,米国特許第4,789,753号明細書及び米国特許第4,835,299号明細書中に詳細に記載されている。
【0090】
代表的なトリオルガノモノホスファイトには、式:
【0091】
【化13】

【0092】
(式中、それぞれのR13は同じか又は異なり、置換又は非置換の一価の炭化水素基、例えばアルキル、シクロアルキル、アリール、アルカリール又はアラルキル基(これらは、1〜24個の炭素原子を含有してよい)である)
を有するものが含まれてよい。例示的トリオルガノモノホスファイトには、例えばトリアルキルホスファイト、ジアルキルアリールホスファイト、アルキルジアリールホスファイト及びトリアリールホスファイト、例えばトリフェニルホスファイト、トリス(2,6−トリイソプロピル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェニル)ホスファイト並びに更に好ましいトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトが含まれる。置換基が、遷移金属と著しく相互作用しないか又は他の方法でヒドロホルミル化を妨害しない限り、一価の炭化水素基部分自体が置換されていてよい。代表的な置換基には、例えばアルキル又はアリール基、エーテル、ニトリル、アミド、エステル、−N(R112、−Si(R123及びホスフェート(式中、R11及びR12は前記に定義されている)が含まれる。このようなトリオルガノモノ−ホスファイトは米国特許第3,527,809号明細書及び米国特許第5,277,532号明細書中に詳細に記載されている。
【0093】
部分R8〜R13のいずれも、1個又はそれ以上の不活性置換基によって置換されていてよい。更に詳しくは、例示的置換基には、例えば第一級、第二級及び第三級アルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、アミル、sec−アミル、t−アミル、イソオクチル、デシル及びオクタデシル;アリール基、例えばフェニル及びナフチル;アラルキル基、例えばベンジル、フェニルエチル及びトリフェニルメチル;アルカリール基、例えばトリル及びキシリル;脂環式基、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、シクロオクチル及びシクロヘキシルエチル;アルコキシ基、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、t−ブトキシ、−OCH2CH2OCH3、−O(CH2CH22OCH3及び−O(CH2CH23OCH3;アリールオキシ基、例えばフェノキシ並びにシリル基、例えば−Si(CH33、−Si(OCH33及び−Si(C373;アミノ基、例えば−NH2、−N(CH32、−NHCH3及び−NH(C25);アリールホスフィン基、例えば−P(C652;アシル基、例えば−C(O)CH3、−C(O)C25及び−C(O)C65;カルボニルオキシ基、例えば−C(O)OCH3;オキシカルボニル基、例えば−O(CO)C65;アミド基、例えば−CONH2、−CON(CH32及び−NHC(O)CH3;スルホニル基、例えば−S(O)225;スルフィニル基、例えば−S(O)CH3;スルフェニル基、例えば−SCH3、−SC25及び−SC65;ホスホニル基、例えば−P(O)(C652、−P(O)(CH32、−P(O)(C252、−P(O)(C372、−P(O)(C492、−P(O)(C6132、−P(O)CH3(C65)及び−P(O)(H)(C65)が含まれる。最も好ましいジオルガノリン配位子はメチル[3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジメトキシ−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル]ホスフェート(配位子BB)を含んでなる。
【0094】
最も好ましいトリオルガノ−モノホスファイト配位子はトリス−(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(配位子CC)を含んでなる。
【0095】
ヒドロホルミル化工程中に存在する遷移金属−配位子錯体触媒の量は、選択されたヒドロホルミル化プロセスに触媒作用するために必要な金属濃度を与えるために必要なその最少量である。一般的に、ヒドロホルミル化反応流体中の遊離金属として計算した、約10部/100万〜約1000部/100万の範囲内の、金属濃度、例えばロジウム濃度が、殆どのプロセスのために充分であるが、一般的に、約10〜500部/100万の金属、更に好ましくは25〜350部/100万の金属を使用することが好ましい。
【0096】
任意的に、遊離配位子(即ち金属と錯化していない配位子)がヒドロホルミル化反応流体中に存在していてもよい。遊離配位子は前記のオルガノホスファイト配位子のいずれかに対応してよい。本発明のヒドロホルミル化プロセスは、有利には、ヒドロホルミル化反応流体中の金属1モル当たり約0.1〜約100モルの遊離配位子を含有してよい。好ましくはヒドロホルミル化は、反応流体中に存在する金属の1モル当たり、約1〜約50モルの配位子、更に好ましくは約1.1〜約4モルの配位子の存在下で実施され、配位子の該量は、存在する金属に錯化されている結合配位子の量及び存在する遊離(錯化されていない)配位子の量の両方の合計である。所望により、補充(make-up)又は追加の配位子を、任意の時点で任意の適切な方法で、例えば反応流体中の遊離配位子の予定のレベルを維持するために、ヒドロホルミル化プロセスに供給することができる。
【0097】
ヒドロホルミル化プロセスの反応条件は広範囲に変えることができる。例えば気体状の水素対一酸化炭素のH2:COモル比は、有利には約1:10〜100:1又はそれ以上の範囲であってよく、更に好ましい水素対一酸化炭素モル比は、約1:10〜約10:1である。有利には、ヒドロホルミル化プロセスは、約−25℃よりも高い、更に好ましくは約50℃よりも高い反応温度で実施できる。ヒドロホルミル化プロセスは、有利には、約200℃よりも低い、好ましくは約120℃よりも低い反応温度で実施できる。有利には、オレフィン反応剤、一酸化炭素、水素及び任意の不活性軽質物を含む全気体圧力は、約1psia(6.8kPa)〜約10,000psia(68.9MPa)の範囲であってよい。好ましくは、このプロセスは、約2,000psia(6,895kPa)よりも低い、更に好ましくは約500psia(34.5kPa)よりも低い、オレフィン反応剤、一酸化炭素及び水素を含む全気体圧力で運転される。有利には、一酸化炭素分圧は、約1psia(6.8kPa)から約1000psia(6,800kPa)まで、好ましくは約3psia(20.7kPa)から約800psia(5,516kPa)まで、更に好ましくは約15psia(103.4kPa)から約100psia(689kPa)まで変化し、他方、水素分圧は、好ましくは、約5psia(34.5kPa)から約500psia(3,450kPa)まで、更に好ましくは約10psia(68.0kPa)から約300psia(2,070kPa)まで変化する。
【0098】
合成ガス(CO+H2)の供給流量は、所望のヒドロホルミル化プロセスを得るために充分な任意の運転可能な流量に亘って、広範囲に変化させることができる。合成ガス供給流量は、触媒の特定の形状、オレフィン供給流量及びその他の運転条件に依存する。同様に、オキソ反応器(群)からのベント流量は、所望のヒドロホルミル化プロセスを得るために充分な任意の運転可能な流量であってよい。ベント流量は、反応器の規模並びに反応剤及び合成ガス供給物の純度に依存性である。適切な合成ガス供給流量及びベント流量は、下記の文献、“Process Economics Program Report 21D: Oxo Alcohols 21d,”SRI Consulting、カリフォルニア州Menlo Park、1999年12月刊行に記載されている。他の合成ガス及びベント流量は、当業者によって決定されるように、プロセスの設計に依存して適切であってよい。
【0099】
ヒドロホルミル化反応器システムからの粗製液体生産物は、蒸発器の中に直接的に供給することができる。所望により、ヒドロホルミル化反応器システムからの粗製液体生産物を、最初に、フラッシュ塔の中に供給して、圧力を低下させ、低分子量の揮発物質(軽質物)、例えば一酸化炭素、水素及び不活性軽質物の小さいベント流を除去し、その後、残留するバルク(bulk)液体生成物をフラッシュ塔の底部から取り出して、蒸発器に供給することができる。遷移金属−オルガノホスファイト配位子錯体触媒及び任意の遊離配位子を除く、ヒドロホルミル化反応器からの粗製液体生産物の組成は、有利には、重量基準で、約38〜約58%の1種又はそれ以上のアルデヒド生成物、約16〜約36%の重質物副生物、約2〜約22%の未転化オレフィン反応剤、約1〜約22%の不活性軽質物、約0.02〜約0.5%の一酸化炭素及び約100部/100万未満の水素を含む。
【0100】
蒸発器又はストリッパー内で使用されるストリッピングガスは、一般的に、プロセス条件下で非凝縮性である気体、例えば窒素若しくは異なった不活性気体、合成ガス、メタン又はプロセス条件下で凝縮性である気体、例えば未反応オレフィン若しくはメタンとは異なるアルカンであってよい。ストリッピングガスが、窒素、合成ガス又は他の非凝縮性気体であるとき、蒸気相中に含有されている未反応オレフィン、アルカン、アルデヒドは、完全に又は殆ど完全に凝縮され得る。ストリッピングガスが、未反応オレフィン及び/又はアルカンを含むとき、生成物凝縮器の運転条件は、好ましくは生成物相ストリッパー及び生成物凝縮器内の所望の圧力が維持されるように制御される。換言すると、幾らかのオレフィン又はアルカンは、好ましくは、生成物凝縮器内で凝縮されないままであり、ストリッピングガスとして生成物相ストリッパーに循環される。適切な態様に於いて、プロセス条件下で非凝縮性である気体、例えば窒素又は異なった不活性気体は、プロセスの始動のためのストリッピングガスとして使用される。次いで、始動期の後、前記定義されたような異なったストリッピングガス、例えばオレフィン及び/又はアルカン(未反応のブテン及びブタンのようなもの)が、使用される。
【0101】
生成物相ストリッパー/生成物凝縮器循環中の望まない気体(例えばアルカン及び/又は不活性気体)の蓄積を防止するために、循環されたストリッピングガスの亜流を、パージ流の手段によって排出することが望ましい。パージ流中に同伴されるアルデヒド、未反応オレフィン及びアルカンは、例えば冷却液として冷水を使用することによる又は冷却液として、例えばブライン若しくは他の塩溶液を使用する極低温凝縮による、凝縮によって回収することができる。
【0102】
蒸発器は、当業者に公知であるように、設計に於いて一般的である。蒸発器は、有利には、加熱手段を有する、竪型管型熱交換器として設計される。蒸発器寸法(管の数、直径及び長さ)は、プラント容量によって決定され、売り主の製作所能力によってのみ制限される。通常、供給物の良好な分布を保証するために、熱交換器の入口ヘッドの中に形成されている、液体及び気体ディストリビューター以外に、内蔵物は存在しない。1種又はそれ以上の生成物、1種又はそれ以上の重質物副生物、遷移金属−オルガノホスファイト配位子錯体触媒、1種又はそれ以上の未転化反応剤、1種又はそれ以上の反応性軽質物及び任意的に、1種又はそれ以上の不活性軽質物を含む粗製液体生成物流が、有利に、蒸発器の頂部1/3、好ましくはトップヘッドの中に、重質副生物の一部を含む所望のオーバーヘッド気体流並びに残部の重質副生物及び遷移金属−オルガノホスファイト配位子錯体触媒を含む液体循環テール流の取得のために適した温度及び圧力で供給される。流入物が、1種又はそれ以上のアルデヒド生成物、1種又はそれ以上の重質副生物、1種又はそれ以上の未転化オレフィン反応剤、遷移金属−オルガノホスファイト配位子錯体触媒、任意的に遊離オルガノホスファイト配位子、一酸化炭素、水素及び不活性軽質物を含む液体ヒドロホルミル化生成物流である、本発明の好ましい態様に於いて、蒸発器は、気体オーバーヘッド流中の重質物の少なくとも一部を除去するために充分に高く、一方、蒸発器内の触媒及びオルガノホスファイト配位子の安定性を確保するために充分に低い温度で運転される。好ましくは、蒸発器温度は、約80℃よりも高く、更に好ましくは約90℃よりも高い。好ましくは、蒸発器温度は、約130℃よりも低く、更に好ましくは約120℃よりも低い。蒸発器圧力は、有利には、約14psia(96.5kPa)よりも高く、好ましくは約20psia(138kPa)よりも高い。蒸発器圧力は、有利には、約100psia(689kPa)よりも低く、好ましくは約60psia(414kPa)よりも低い。蒸発器は、有利には、約2/1〜約5/1の、好ましくは約2.0/1〜約3.0/1の範囲内の、粗製液体生成物供給物対液体テールの質量比で作動する。蒸発器への粗製液体生成物供給物対循環気体供給物の質量比は、好ましくは約0.1/1よりも大きく、更に好ましくは約0.5/1よりも大きいが、好ましくは2/1よりも小さく、更に好ましくは約1/1よりも小さい。
【0103】
蒸発器からのオーバーヘッド気体流は、重量基準で、有利には約15〜約35%のアルデヒド生成物、約25〜約35%の未転化オレフィン反応剤、約25〜35%の不活性軽質物、約1〜5%の一酸化炭素、約0.05〜約0.2%の重質副生物及び任意的に約0.1〜約1%の水素を含む。
【0104】
蒸発器からのオーバーヘッド気体流は、凝縮器の中に供給される。凝縮器は、有利には、一般的な水冷却を使用し、特別の冷凍装置は必要とされない。水は、凍結よりも高く(即ち32℃よりも高く)から約50℃まで、好ましくは、約34℃から約45℃までの範囲内の運転温度で、好ましい冷却液である。凝縮器からのオーバーヘッド流は、気体生産物流(図2(ライン25))と、蒸発器への気体循環流(図2(ライン24))とに分割される。この分割は、有利には、生産物流(25)に、不活性軽質物の約25〜40%(好ましくは約33%)、未転化オレフィン反応剤の約25〜40%(好ましくは約33%)及び一酸化炭素の約85〜95%を送り、一方、流れ4中で、約60〜75%(好ましくは不活性軽質物の約66%)、未転化オレフィン反応剤の約60〜75%(好ましくは約66%)及び一酸化炭素の約5〜15%を循環する。有利には、生産物流(25)の組成は、重量基準で、約40〜50%の一酸化炭素、約10〜約25%の未転化オレフィン反応剤、約26〜約46%の不活性軽質物及び任意的に約0.01〜3%の水素を含む。蒸発器への循環流(24)の組成は、有利には、重量基準で、約35〜55%の未転化オレフィン反応剤、約33〜約43%の不活性軽質物、約1〜20%の一酸化炭素及び任意的に約0.01〜3%の水素を含む。凝縮器から蒸発器へのオーバーヘッド気体循環流(24)中のアルデヒド生成物は全流の約5重量%未満を含む。
【0105】
オーバーヘッド気体循環流(24)中の一酸化炭素の分圧は、凝縮器の運転温度に於ける狭い変化のみの関数として広く変化する。凝縮器から蒸発器への気体循環流(24)中の一酸化炭素のモル分率を、凝縮器の運転温度の関数としてプロットした図3を参照する。CO分圧の尺度である気体循環流(24)中の一酸化炭素の分率が、凝縮器が、約36℃から44℃までの更に好ましい温度で運転されるとき、約6モル%から16モル%まで変化することが判る。一酸化炭素は、蒸発器内で遷移金属−オルガノホスファイト配位子錯体触媒を安定化する際に特に有用であると考えられるが、このような理論を、いかなる方法でも本発明に結び付けるべきではない。従って、凝縮器の運転温度の操作は、ヒドロホルミル化触媒の安定化のために蒸発器に循環される一酸化炭素の所望の量に亘る制御を与える。凝縮器の運転温度の関数としての循環流(24)中の水素のモル分率のプロットを示す図4を参照する。気体循環流(24)中の水素のモル分率が、凝縮器温度によって適度にのみ影響を受ける、特に、約36℃から44℃までの凝縮器の更に好ましい運転温度範囲に亘って、僅かに0.5モル%から2.3モル%まで変化することが判る。
【0106】
凝縮器からの液体テール流(図2(26))は、主として、1種又はそれ以上のアルデヒド生成物、未転化オレフィン反応剤の一部、不活性軽質物の一部及び重質副生物の一部を含む。有利には、凝縮器からの液体流(26)は、重量基準で、約55〜約75%のアルデヒド生成物、約8〜約28%の未転化オレフィン反応剤、約6〜約26%の不活性軽質物,主として不活性アルカン及び約0.01〜約0.2%の重質副生物を含む。任意の所定の時間の単位内で、テール流(26)から凝縮器を出る重質副生物は、凝縮器からの液体流の小部分を構成するが、この重質生産物は、ヒドロホルミル化工程に於ける重質副生物の蓄積を減少させることを招く。好ましくは、単位時間当たりの生産物流(26)中の重質物の部分は、ヒドロホルミル化プロセスに於いて同じ単位時間当たり製造される重質副生物の部分に、本質的に等価である。この例に於いて、重質物は、反応システムから、それらが製造される本質的に同じ速度で除去される。従って、ヒドロホルミル化工程に循環される重質物に於ける望ましくない増加は存在せず、ヒドロホルミル化工程に循環される重質物は、ちょうど、触媒を安定化するために必要な望ましい量で、本質的に定常状態に留まることができる。
【0107】
図2を参照して、蒸発器から得られる液体テール流(23)は、主として、重質物及び遷移金属−オルガノホスファイト配位子錯体触媒を含み、1種又はそれ以上のアルデヒド生成物及び/又は遊離オルガノホスファイト配位子を更に含んでいてよい。一般的に、本発明者らが液体触媒循環流として参照する液体テール流(23)は、遷移金属−オルガノホスファイト配位子錯体触媒及び任意の任意的な遊離オルガノホスファイト配位子の重量を除いて、重量基準で、約68〜約88%の重質物副生物及び約7〜約27%のアルデヒド生成物(群)を含む。この流は、少量の未転化オレフィン反応剤及び不活性アルカンも含んでいてよい。明らかに、錯体触媒及び配位子は揮発性ではなく、従って、触媒及び配位子の本質的に全部は、液体触媒循環流(23)中でヒドロホルミル化反応器に循環される。
【0108】
本発明のプロセスを前記のようにして実施するとき、触媒循環流が、気体を、凝縮器オーバーヘッド気体流からもとの蒸発器に循環しない以外は、本発明のプロセスと同一である基準(baseline)プロセス(比較プロセス)と比較して、重質物の制御された量で、好ましくは、減少した量で得られる。基準プロセスについて、図1を参照するに、図1には、粗製生成物供給物が蒸発器に供給され、蒸発器からのオーバーヘッドガス流が凝縮器に供給され、そして凝縮器からの気体オーバーヘッド生産物が、そのいずれの部分も蒸発器に循環により戻されることなく、示されている。基準プロセスに於いて、特に、遷移金属−オルガノホスファイト配位子錯体触媒及び遊離オルガノホスファイト配位子の、より低い安定性に配慮するために、蒸発器の温度を低下させなくてはならないとき、重質物は充分な量で蒸発器から出ず、そのようなものとして、より大量の重質副生物が、ヒドロホルミル化工程に有害に循環される。本発明のプロセスは、蒸発器オーバーヘッド気体流中により多くの重質副生物を除去し、触媒寿命のためにより低い温度での蒸発器の有利な運転並びに費用が嵩む冷却液及び冷凍装置無しでの一般的な水冷凝縮器の使用を可能にする。
【0109】
本発明の目的及び利点を、以下の実施例(これらは、本発明を更に明瞭にもする)によって更に例示する。これらの実施例中に挙げた、具体的な材料及びそれらの量並びに他の条件及び詳細は、本発明を限定するために使用されるべきではない。逆に、これらは、発明全体の例示である。本発明の他の態様は、本明細書及びそこに開示された本発明の実施の考慮から、当業者に容易に明らかであろう。本発明の実施例には番号を付し、本発明の実施例ではない比較サンプルは、アルファベットによって指定する。
【0110】
特定の態様
実施例1(E−1)
図2を参照して、ヒドロホルミル化生成物流からの触媒及びアルデヒド生成物の続く分離並びに液体触媒流のヒドロホルミル化プロセスへの戻し循環を伴う、ヒドロホルミル化プロセスのための、本発明の態様を例示するフローダイヤグラムを示す。図2に例示されるプロセスは、米国マサチューセッツ州ケンブリッジの、ASPEN Technology,Inc.から入手可能なASPEN Plusソフトウエアを使用してモデル化する。このモデルは、重量基準で、1−ブテン、44%;シス−2−ブテン、10%;トランス−2−ブテン、24%;イソブチレン、2%及びブタン、20%からなるC4ラフィネートII流の、一酸化炭素及び水素による、配位子Dのロジウム−オルガノビスホスファイト配位子錯体触媒の存在下でのヒドロホルミル化を想定している。表1に示すように、ASPENモデルは、図2のそれぞれの流れについての物質収支を提供する。
【0111】
図2及び表1を参照して、オキソ装置は、直列に接続された2個の反応器を含んでなる。重量基準で、80%の反応性ブテン及び20%のブタンを含むC4ラフィネートII流を、直列の第一のオキソ反応器に供給する。重量基準で、90.5%の一酸化炭素、6.6%の水素、2.2%の水及び0.7%の気体不活性物を含む合成ガス流も、直列の第一のオキソ反応器に供給する。第一のオキソ反応器は、75℃及び12バール(1200kPa)全圧で作動する。第二のオキソ反応器は、75℃及び10バール(1000kPa)全圧で作動する。主としてブテン、ブタン、一酸化炭素、水素及び幾らかの軽質不活性物を含む気体ベント流(27)がオキソ装置から得られる。液体生成物流(21)がオキソ装置の最後の反応器から生産物として得られる。流れ(21)は、73℃及び6バール(600kPa)で作動するプレ−フラッシュ塔(図示せず)に送る。少量のブタン及び合成ガスを含む非凝縮性物のオーバーヘッド流がプレ−フラッシュ塔から得られるが、残りの液体は110.5℃及び2.7バール(270kPa)で作動する蒸発器に送る。蒸発器は、重量基準で、36.2%の未反応ブテン、34.5%のブタン、24.1%のC5アルデヒド、3.8%の一酸化炭素、0.8%の他の不活性軽質物及び0.1%の重質副生物からなる蒸気流(22)を発生する。蒸発器からの液体触媒循環流(23)は、重量基準で、78.6%の重質物、17.5%のC5アルデヒドを含む。ロジウム−オルガノビスホスファイト配位子錯体触媒及び任意の遊離配位子の全部は、液体流(23)中に存在し、上記の流れの物質収支の中に算入されない。流れ(23)は、オキソ装置に戻し循環される。粗製生成物流(21)中の重質物の全質量は、液体循環流(23)中の重質物の質量よりも大きく、これは、重質物が反応システムから除去されることを示している。蒸発器からのオーバーヘッド気体流(22)は、40℃で冷却水を使用する凝縮器内で凝縮する。ブテン、ブタン、一酸化炭素、一定量のC5アルデヒド及び少量の水素を含む凝縮器からの気体蒸気組成物は、循環気体流(24)と生産物流(25)とに分割される。循環気体流(24)は、45.1%のブテン、43.4%のブタン、5.6%の一酸化炭素及び4.2%のC5アルデヒド生成物を含む。気体生産物流(25)は、43.5%の一酸化炭素、18.2%の気体不活性物、18.4%のブタン及び17.9%の未転化ブテンを含む。凝縮器の底部から、主としてC5アルデヒド生成物、0.1%の重質副生物、16.5%のブタン及び18.3%の未転化ブテンを含む液体触媒循環流(26)が得られる。液体生成物流(26)中の重質副生物の質量は、低いように見えるが、この量は反応器内で製造される重質副生物の全部を表す(この場合に、特に−19kg/時)。
【0112】
【表1】

【0113】
表2並びに図3及び4に於いて、ストリップガス循環流(24)中の、それぞれ、一酸化炭素及び水素のモル分率が、凝縮器温度の関数として示されている。一酸化炭素のモル分率は、蒸発器凝縮器温度を40±5℃内に調節することによって、比較的広い範囲に亘って、増加又は減少することが判る。蒸発器内の一酸化炭素は、配位子安定性を助長する(即ち触媒分解を減少させる)ことができ、従って、凝縮器運転温度の単純な調節による、蒸発器内のCO分圧の調節は、プロセスに有利に利益をもたらす。他方、気体循環流(24)の水素組成に於ける変動は同じ狭い運転温度範囲内で顕著ではない。
【0114】
【表2】

【0115】
実施例2(E−2)
1−ブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン及びブタンを含むC4ラフィネート混合物のヒドロホルミル化を、図2に示したものと同一の反応器システム内で実施する。オキソ装置は、直列に接続された2個の反応器を含む。反応混合物は、重量基準で、約30%のブタンを含み、残りは、トランス−2−ブテン対シス−2−ブテンの70/30比でブテンである。触媒は、配位子Uのロジウム−ジオルガノホスファイト配位子錯体触媒を含む。ヒドロホルミル化反応条件及び蒸発器条件を表3に報告する。
【0116】
【表3】

【0117】
このプロセスを44日間、連続的に運転する。この運転についての平均結果を表4に示す。
【0118】
【表4】

【0119】
表5は、運転の日数の関数としての、ヒドロホルミル化反応器内の重質物含有量を表にまとめ、このデータを図5に於いてグラフ化する。重質物が循環流から消尽されたので、液体n−バレルアルデヒド三量体重質物をヒドロホルミル化反応器に添加して、触媒の可溶化に必要な重質物含有量を維持した。重要なことに、それぞれの重質物を添加した後、本発明のプロセスによる反応器システムからの重質物の除去の証拠として、重質物濃度が急速に減少する。
【0120】
【表5】

【0121】
表6は、運転の日数の関数としての配位子のアカウンタビリティを例示するデータを表す。このデータを図6に於いてグラフ化する。
【0122】
【表6】

【0123】
表7は、運転の日数の関数としてのロジウム金属のアカウンタビリティを例示するデータを表す。このデータを図7に於いてグラフ化する。
【0124】
【表7】

【0125】
比較実験A
この比較実験に於いて、凝縮器から蒸発器への気体循環流(4)を使用しない以外は、実施例2を繰り返す。反応器構成について、図1を参照する。更に詳しくは、蒸発器からの気体オーバーヘッド流は、そのいかなる部分も、実施例2に於いて行われるように蒸発器へ循環しないで、生産物流(図1、(7))として完全に切り離す。蒸発器温度は、重質物をできるだけ多く除去するために、135℃に維持する。しかしながら、この温度で、触媒は、より短い寿命の危険に曝されている。表5及び図5(CE−A)は、運転の日数の関数としてのヒドロホルミル化反応器内重質物含有量を示す。第一日目から第25日目まで、重質物はヒドロホルミル化反応器内で増加し、より僅かな重質物が蒸発器を経てシステムから出て、より多くの重質物が、蒸発器からヒドロホルミル化反応器への液体テール流中で触媒及び配位子と共に循環することになることが判る。従って、重質物によって占められる反応器の体積は時間と共に増加し、これは、より低いアルデヒド製造速度に至り得る。この結果は、本発明のプロセスとは対照的であり、本発明のプロセスに於いては、重質物含有量は時間と共に急速に低下し、ヒドロホルミル化反応器への循環物中に蓄積しないことが判る。実際に、本発明のこの例示に於いて、触媒の溶解度を維持するために、重質物を、第2日目、第13日目及び第21日目で循環物流中に添加する必要がある。
【0126】
表6及び図6は、実施例2と比較したとき、比較CE−Aについての、運転の日数の関数としての配位子のアカウンタビリティを示す。比較実験のより高い蒸発器温度は、増加した配位子安定性のためにより低い蒸発器温度で作動する本発明の実施例と比較したとき、第25日目までに増加した配位子分解に至ることが判る。
【0127】
表7及び図7は、実施例2と比較したとき、比較CE−Aについての、運転の日数の関数としてのロジウム金属のアカウンタビリティを示す。再び、ロジウム濃度は、本発明の実施例で、増加した触媒安定性のために、定常状態のままであり、一方、ロジウム濃度は、比較実験に於いて、触媒がより速く分解するので、減少することが判る。
【0128】
実施例3
図8を参照して、反応媒体の液体流は、ヒドロホルミル化反応器からライン(82)を経て出て、圧力低下バルブを通過し、そして6バール(600kPa)で運転するフラッシュ容器(83)に入れた。反応器オフガスは、圧力低下バルブも含むライン(81)を経て、容器(83)内に導入した。パージガス流(84)を、フラッシュ容器(83)から取り出した。これらの気体(主として、合成ガス、ブテン及びブタンを含む)は、ブテン及びブタンを回収するために冷却水によって運転される凝縮器に送られ、次いでオフガスヘッダーに送られた。残留する液相(約70℃、43.5t/h)を、セパレーター容器(83)から取り出し、ライン(85)を経て、熱水によって加熱されている流下薄膜型蒸発器(86)中に輸送した。本質的に未反応ブテン及びブタンからなるストリッピングガス(50t/h)を、ライン(87)を経て、流下薄膜型蒸発器(86)の中に導入する。流下薄膜型蒸発器(86)は、約2.5バール(250kPa)及び約110℃に維持する。バレルアルデヒドの実質的に全部が蒸発する。ライン(88)を経て流下薄膜型蒸発器(86)から出る液相及び蒸気相は、蒸気−液体セパレーター(89)内で分離する。触媒液体を含有する液相(ヒドロホルミル化からの高沸点副生物中に溶解された触媒及び少量のブタン、ブタン、アルデヒド)を、ライン(90)を経て蒸気−液体セパレーター(89)の底部から取り出し、熱を熱交換器(91)内で取り出す。この液体の大部分は、液相をできるだけ迅速に冷却するために、蒸気−液体セパレーターに循環する。残りの部分(12.9t/h)は、ヒドロホルミル化反応器に循環する。未反応ブテン、ブタン、バレルアルデヒドを載せたストリッピングガスを含有する、蒸気−液体セパレーター(89)からの蒸気相は、ラインを経て、気体−気体熱交換器(93)に入る。熱交換器(93)内で、積載されたストリッピングガスは、蒸気−液体セパレーター(97)の頂部から取り出し、ライン(98)、ブロワー(99)、熱交換器及びライン(87)を経て流下薄膜型蒸発器(86)に循環する非凝縮気体成分と熱交換する。任意的に、積載されたストリッピングガスの一部は、ライン101を通ってシステムからベント又は他の方法で除去することができる。このようにして、積載されたストリッピングガスは、循環されるストリッピングガスによって向流で間接的熱交換によって冷却される。
【0129】
冷却され、積載されたストリッピングガスは、ライン(94)を経て、生成物凝縮器(95)に送る。生成物凝縮器(95)には冷却水(図示せず)を供給し、蒸気相を冷却し、部分的に凝縮させるように機能する。液相及び非凝縮気体セパレーター(97)。
【0130】
本発明に従って、蒸気−液体セパレーター(97)の頂部で取り出す非凝縮気体成分は、落下薄膜型蒸発器(86)への液体ライン(87)をストリッピングするためのストリッピングガスとして使用する。
【0131】
生成物であるバレルアルデヒド、未反応ブテン及びブタンを含有する液体生成物流(30.8t/h)は、蒸気−液体セパレーター水の底部でライン(100)を経て回収し、ブテン及びブタンを回収し、次いでオフガスヘッダーに送る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒循環流中の重質物の制御プロセスであって、
(a)1種又はそれ以上の生成物、1種又はそれ以上の重質副生物、遷移金属−オルガノホスファイト配位子錯体触媒、1種又はそれ以上の未転化反応剤及び1種又はそれ以上の不活性軽質物を含む粗製生成物流を、ストリッパー中に供給し、
(b)前記ストリッパーから、1種又はそれ以上の生成物、1種又はそれ以上の未転化反応剤、1種又はそれ以上の不活性軽質物及び重質副生物の一部を含むオーバーヘッド気体流を取り出し、そして該オーバーヘッド気体流を凝縮器中に供給し、
(c)前記凝縮器から、1種又はそれ以上の未転化反応剤及び1種又はそれ以上の不活性軽質物を含むオーバーヘッド気体流を取り出し、
(d)前記凝縮器オーバーヘッド気体流の一部を、前記ストリッパーに循環させ、そして
(e)前記ストリッパーから、テール流として、遷移金属−オルガノホスファイト配位子錯体触媒及び残部の重質副生物を含む液体循環触媒流を取り出す
ことを含んでなるプロセス。
【請求項2】
触媒循環流中の重質物を制御するための、ヒドロホルミル化及び触媒−生成物分離の統合プロセスであって、
(a)1種又はそれ以上のオレフィン反応剤及び1種又はそれ以上の不活性軽質物を含む供給物流を、一酸化炭素及び水素と、遷移金属−オルガノホスファイト配位子錯体触媒及び、任意的に、遊離オルガノホスファイト配位子の存在下で、1種又はそれ以上のアルデヒド生成物、1種又はそれ以上の重質副生物、遷移金属−オルガノホスファイト配位子錯体触媒、任意的に、遊離オルガノホスファイト配位子、1種又はそれ以上の未転化オレフィン反応剤並びに一酸化炭素、1種又はそれ以上の不活性軽質物及び任意的に水素を含有する軽質物を含む粗製液体ヒドロホルミル化生成物流を製造するのに充分なヒドロホルミル化条件下で、接触させ、
(b)工程(a)からの粗製液体ヒドロホルミル化生成物流を、ストリッパー中に供給し、
(c)前記ストリッパーから、1種又はそれ以上のアルデヒド生成物、1種又はそれ以上の未転化オレフィン反応剤、1種又はそれ以上の重質副生物の一部並びに1種又はそれ以上の不活性軽質物、一酸化炭素及び、任意的に、水素を含有する軽質物を含むオーバーヘッド気体流を取り出して、該ストリッパーオーバーヘッド気体流を凝縮器中に供給し、
(d)前記凝縮器から、1種又はそれ以上の未転化オレフィン反応剤の一部並びに1種又はそれ以上の不活性軽質物の一部、一酸化炭素及び、任意的に、水素を含有する軽質物を含むオーバーヘッド気体流を取り出し、
(e)前記凝縮器オーバーヘッド気体流の一部を、蒸発器に循環させ、そして
(f)前記ストリッパーから、テール流として、残部の重質副生物、遷移金属−配位子錯体触媒及び、任意的に、遊離オルガノホスファイト配位子を含む液体循環触媒流を取り出し、そしてこの液体循環触媒流を工程(a)に循環させる
ことを含んでなるプロセス。
【請求項3】
配位子として少なくとも1種の有機リン化合物を有するロジウム錯体を含むヒドロホルミル化触媒の存在下でのオレフィン供給原料の連続ヒドロホルミル化からの、未反応オレフィン、アルカン、アルデヒド、触媒液及び高沸点副生物を含む液体生産物の仕上げプロセスであって、
生成物相ストリッパー内で、液体生成物相をストリッピングガスによってストリッピングし、それによって未反応オレフィン、アルカン、アルデヒドを含有する蒸気相を、触媒残渣及び高沸点副生物から分離し、
前記残渣の少なくとも一部をヒドロホルミル化ゾーンに循環し、
前記蒸気相を生成物凝縮器内で冷却し、それによって未反応オレフィン、アルカン及びアルデヒドを、ストリッピングガスから少なくとも部分的に凝縮分離し、そして
ストリッピングガスを生成物相ストリッパーに循環する
ことを含んでなり、前記生成物相ストリッパーと前記生成物凝縮器とを、本質的に等圧で運転するプロセス。
【請求項4】
オレフィン供給原料を一酸化炭素及び水素と、ヒドロホルミル化ゾーン内で、配位子として少なくとも1種の有機リン化合物を有するロジウム錯体を含んでなるヒドロホルミル化触媒の存在下に、接触させて、未反応オレフィン、アルカン、アルデヒド、触媒液及び高沸点副生物を含む液体生成物相を生成せしめることによる、アルデヒドの製造プロセスであって、前記液体生成物相を請求項3に於いて定義されたような仕上げに付すことを含んでなるプロセス。
【請求項5】
前記ストリッパーを、約80℃よりも高く、約130℃よりも低い温度及び約14psia(96.5kPa)よりも高く、約100psia(689kPa)よりも低い圧力で運転する請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記ストリッパーを、約2/1〜約5/1の範囲内の、粗製液体生成物供給物対液体テールの質量比で運転する請求項1〜5のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記ストリッパーを、約0.1/1よりも大きく、2/1よりも小さい、ストリッパーへの、粗製液体生成物供給物対循環気体供給物の質量比で運転する請求項1〜6のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記ストリッピングガスが未反応オレフィン及びアルカンを含む、前記請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記生成物相ストリッパーが流下薄膜型蒸発器である前記請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記ストリッピングガスを液体生産物相と同時に、前記流下薄膜型ストリッパー中に供給する請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記循環されたストリッピングガスを、生成物相ストリッパーから出る蒸気相による間接的熱交換によって加熱する前記請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記ストリッパーからのオーバーヘッド気体流中の重質副生物の除去速度がヒドロホルミル化反応器内の重質副生物の製造速度に本質的に等しい請求項2に記載のプロセス。
【請求項13】
前記オレフィンが、ブテン−1、ブテン−2、イソブチレン、ブタン及び、任意的に、ブタジエンを含むC4ラフィネートI又はC4ラフィネートII異性体混合物を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項14】
工程(a)に於いて、水素及び一酸化炭素を、約1:10〜約100:1のH2:COモル比で使用する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−527287(P2011−527287A)
【公表日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516877(P2011−516877)
【出願日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際出願番号】PCT/US2009/049540
【国際公開番号】WO2010/003073
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(508168701)ダウ テクノロジー インベストメンツ リミティド ライアビリティー カンパニー (19)
【出願人】(511002984)ベーアーエスエフ エスエー (1)
【Fターム(参考)】