説明

微粉化オピオイド組成物、製剤および剤形、ならびにそれらの製造方法

安定化された微粉化オピオイド粒子を含む新規組成物、製剤および剤形を開示する。例示的なオピオイドとしては、例えば、遊離塩基または塩としての、オキシコドン、オキシモルホン、ヒドロコドン、およびヒドロモルホンが挙げられる。10μ以下または20μ以下のDv90粒子サイズ分布を有する安定化された微粉化オピオイド粒子を開示する。安定化された微粉化オピオイド粒子を提供するためにオピオイドを微粉化するための方法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2007年12月6日に出願された米国特許仮出願第61/012,033号および2008年11月3日に出願された米国特許仮出願第61/110,855号に対し優先権を主張し、その各々は全て参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
分野
本開示は概して、微粉化オピオイド、例えば、該微粉化オピオイドを含む新規組成物、製剤および剤形、ならびにそれらの調製および使用方法に関する。オキシコドンなどのオピオイドの微粉化調製物、およびオピオイドの微粉化製剤を調製する方法は、安定な医薬品を製造するために有用である。
【背景技術】
【0003】
背景
オピオイドは体内においてモルフィン様作用を有する化学物質である。オピオイドの主な治療用途は疼痛の緩和である。これらの作用物質は、中枢神経系および消化管において主に見られる、オピオイド受容体に主として結合することにより作用すると考えられている。
【0004】
ミクロンサイズの薬物粒子を含む薬剤粉末は、いくつかの医薬剤形において使用されている。多くの薬物、とりわけ新たに開発された物質は水溶性が低く、このためその経口バイオアベイラビリティが制限されている。これは一般に可溶性であるオピオイドの塩形態には当てはまらない。不溶性薬物の溶解速度は微粉化薬物を使用することにより増強させることができる。小さな薬物粒子はまた、標的とされる器官における幾何学的理由によりミクロンサイズの薬物を必要とするある投与形態において要求されている(例えば、肺用途のための薬物)。かさねて、これは、一般に経口または注射により投与されるオピオイドには当てはまらない。ミクロンサイズの薬物を調製するための一般的な技術は、前もって形成させたより大きな粒子の機械的粉砕(例えば、圧砕、粉砕、およびミリングによる)である。
【0005】
これらの技術の使用にも関わらず、例えば、表面特性を含む薬剤物質の特性が主に制御されていない様式で変更されてしまうので、微粉化過程は小さな粒子の製造にとって問題となり得る。例えば、微粉化粒子の結晶構造の表面は、かなり不安定なものとなるように影響を受ける可能性がある。特に、微粉化粒子は、微粉化中、貯蔵時、様々な程度でのアモルファス固体への変換によりその天然の粒子表面結晶構造を喪失する可能性があり、その固体状態で粒子がより不安定になり得る。例えば、微粉化硫酸サルブタモールの粉末などの微粉化粒子調製物中に少量のアモルファス材料が存在しても、粉末の物理的安定性に悪影響を与えることが、Brodka-Pfeifferら、2003、Drug Development and Industrial Pharmacy, 29(10):1077-1084により報告されている。アモルファス材料は再結晶化し、製品中で望ましい粒子分布範囲外での粒子成長につながる傾向があり、例えば、粒子を標的組織に到達できなくしてしまう、または医薬製剤または剤形の調製におけるそれらの有用性を阻止してしまう。
【発明の概要】
【0006】
概要
安定化された微粉化オピオイド粒子を含む組成物、製剤および剤形を提供する。限定はしないが、例として、これらのオピオイドとしてオキシコドン、オキシモルホン、ヒドロモルホンおよびヒドロコドンが挙げられる。当該オピオイドは遊離塩基または塩の形態をとることができる。
【0007】
1つの態様では、安定化された微粉化オピオイド粒子を含む活性成分を有する薬学的組成物、製剤または剤形、特に非エアロゾル組成物、製剤または剤形が提供される。
【0008】
いくつかの実施形態では、安定化された微粉化オピオイド粒子は、約10μ(ミクロンつまりμm)以下または約20μ以下のDv90粒子分布を有する。いくつかの実施形態では、安定化された微粉化オピオイド粒子は約20μ以下のDv90粒子分布を有する。
【0009】
例えば、0.2μ未満は1%未満であるサイズを有する、有意の量または集団の微粉化オピオイド粒子を含まない安定化された微粉化オピオイド粒子調製物を含む組成物、製剤および剤形が提供される。組成物、製剤および剤形は、1μサイズの粒子および20μまでのサイズの粒子、例えば、約10μ未満の粒子、約20μ未満の粒子を、粒子の均質な分散が提供されるマトリクスまたは媒質中に含む。その他の利点として、製剤または剤形中の微粉化粒子の均質な分散(例えば、実質的に均一または均一)は、インビトロ試験時および/またはインビボ投与時に、製剤または剤形からのオピオイドの放出のより高い均一性(例えば、一貫性)を提供することができる。
【0010】
約10μ以下または約20μ以下、および主にナノサイズ範囲(10-9m)を超える微粉化オピオイド粒子の調製物もまた、とりわけ、所望の固体、半固体または流体(例えば、液体)組成物、製剤または剤形中での粒子の懸濁を促進し維持する、例えば、製剤または剤形の流体組成物内での懸濁液における粒子の分散を維持するには好都合である。微粉化オピオイド粒子を含む組成物、製剤または剤形は、経口、経皮、坐薬または液体懸濁液であるものを含む。微粉化オピオイド粒子の均質分散物は、製剤または剤形中の微粉化オピオイドのより高い均一性および/または安定性を提供することができる。
【0011】
本開示によるオピオイド粒子の微粉化により、とりわけ、製造過程における処理中のオピオイド粒子の懸濁液(例えば、分散物)を支援する(例えば、実質的に均一なまたは均一な懸濁液を生成させる)という利点が提供される。この点において、剤形用に調製した微粉化オピオイドの総粒子の約90%が、10μ以下、または約20μ以下の粒子サイズを有することが好ましい。ある製品を製造するためのそのような微粉化オピオイド粒子調製物は、媒質またはマトリクス、例えば固体、半固体、または流体(例えば、液体製剤または剤形)媒質またはマトリクスの少なくともかなりの部分にわたって、微粉化オピオイド成分の適切で所望の分散均質性を有する。さらに、微粉化オピオイドが約10μ以下または約20μ以下の粒子サイズを有することはまた、最終製剤または剤形における微粉化薬物粒子の有意の沈降の発生を低減させるのに有用である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
本開示は、活性成分として、オピオイドの微粉化調製物を有する組成物、製剤または剤形の形態の非エアロゾル薬学的調製物を提供する。例えば、微粉化オピオイド調製物は製剤または剤形用の流体媒質内に懸濁される。
【0013】
本開示は、微粉化オピオイド粒子を有する製剤を含む剤形を提供し、例えば、微粉化オピオイド粒子が流体媒質中に懸濁されている場合が挙げられる。
【0014】
本開示によるオピオイドの微粉化は、とりわけ、オピオイドの分散および/懸濁を促進する、ならびに/または製造過程および/または製剤もしくは剤形においてオピオイドの均一性を促進するという利点を提供する。流体媒質またはマトリクス、例えば、液体および/または液化(例えば、溶融)固体中に均一に分散されると直ちに、微粉化オピオイドは、沈降の妨害(例えば、遅延、低減)を実証する。この点において、ある剤形のために調製された微粉化オピオイドの総粒子の少なくともかなりのパーセンテージが、少なくとも1μ、約10μ未満または約20μ未満の粒子サイズを有することが好ましい。微粉化オピオイド粒子調製物は、薬物製剤媒質またはマトリクス、例えば、流体媒質またはマトリクスの少なくともかなりの部分にわたって、微粉化オピオイド成分の適切で所望の分散均質性を有する製品を提供する。さらに、少なくとも約1μ、約10μ未満、約20μ未満の微粉化オピオイド粒子サイズを有することはとりわけ、例えば、最終のおよび/または製剤化した微粉化オピオイドを含む製品において、微粉化薬物の有意の沈降の妨害(例えば、遅延、低減)を促進するという利点を提供する。
【0015】
一般に、塩形態のオピオイド、例えば、オキシコドンHClは、かなり水溶性である。オピオイド遊離塩基、例えば、オキシコドン遊離塩基は、より溶解性が低く、より疎水性であり、そういうものとして、処理または製造においてさらなる課題を提示しうる。しかしながら、体内(例えば、胃)に入った時点で、オピオイド遊離塩基は直ちにそれらの塩形態に変換され、水溶性が増加する。薬物送達装置/カプセル/デポー/坐薬/パッチまたは他の送達形態内で微粉化サイズ型のオピオイド粒子集団を提供することにより、それらの遊離塩基形態を含むオピオイドの利点は、製造中の処理の相対的容易さの増加を含むこととなる。
【0016】
本開示によれば、オピオイド粒子の微粉化は、非微粉化オピオイド調製物のバイオアベイラビリティに比べ、オピオイドの相対バイオアベイラビリティを変化させなかった。このように、製剤または剤形において、微粉化オピオイド粒子を用いて従来可能であったものよりも、オピオイドのより均質な(例えば、より均一な)分散が、オピオイドのバイオアベイラビリティを変化させずに、例えば、微粉化オピオイド粒子が分散されている流体(例えば、高粘性液体などの液体)製剤を含むカプセルである剤形において達成可能である。本開示によれば、貯蔵時の安定性を有し、より予測可能で、安定な放出および/または送達プロファイルを保持する微粉化オピオイド粒子を有する製剤および剤形が提供される。さらに、オピオイドの微粉化の別の利点が、粒子サイズが低減したために、オピオイド粒子が、製造過程中に、およびオピオイド製品の製剤または剤形中で、望ましくない沈降を受ける可能性が低くなるという点に見られる。
【0017】
本開示は、10μ以下または20μ以下のDv90粒子分布を有するそのような粒子の調製物を含む、安定化された微粉化オピオイド粒子を含む組成物、製剤および剤形を提供する。そのような粒子の調製物は好ましくは、0.2μ以下(例えば、0.2μ未満は1%以下)または1.0μ(例えば、1.0μ未満は10%以下)の粒子サイズ分布を有する有意の量の粒子は含まない。
【0018】
本開示はまた、粒子の少なくとも90%が10μ以下の粒子サイズを有する、微粉化オピオイド粒子と、ミリスチン酸イソプロピルなどの追加の成分とを含む組成物を提供する。必要に応じて、当該組成物はさらにトリアセチンを含むことができる。そのような組成物は、微粉化オピオイド粒子を含むことができ、ここで、粒子の10%以下が0.2μ以上および1μ以下の粒子サイズを有する。当該組成物は懸濁液または非錠剤剤形で提供することができる。そのような非錠剤剤形としては、カプセル、坐薬、懸濁液(例えば、経口、耳、眼、局所など)または吸入に適していない剤形が挙げられる。
【0019】
微粉化オピオイド組成物、製剤および剤形
本開示は、安定化された微粉化オピオイド粒子を含む組成物、製剤および剤形を提供する。そのような組成物、製剤または剤形は非エアロゾルまたは非舌下とすることができる。限定はしないが、例えば、微粉化オピオイドとしては、オキシコドン、オキシモルホン、ヒドロモルホンおよびヒドロコドン、ならびに/またはそれらの塩が挙げられる。別のオピオイドとしては、トラマドール、フェンタニル、スフェンタニル、レミフェンタニル、タペンタドール、ナルトレキソン、ナルメフェンおよびナロキソンが挙げられる。いくつかの実施形態では、組成物、製剤または剤形は、高純度オピオイド、例えば、0.001%または0.0001%あるいは、20ppmなどの、低下したレベルのα,β-不飽和ケトン(ABUK)を含むオピオイドを含むことができる。当該微粉化オピオイドは、遊離塩基または塩の形態であってもよい。当該微粉化オピオイドは、α,β-不飽和ケトン(ABUK)の不純物が実質的に除去されている(例えば、0.003%、0.0025%、0.002%、0.0015%、0.001%、0.0001% w/w ABUKまたは30ppm、25ppm、20ppm、15ppm、10ppm、5ppm、3ppmもしくは1ppm ABUK)高純度オピオイドとすることができる。例えば、該オピオイド粒子は、オピオイドがオキシコドン(例えば、オキシコドン塩基またはオキシコドンHCl)である場合、0.001%(w/w)または0.0001%(w/w)以下の14-ヒドロキシコデイノン、または、20ppm、15ppm、10ppm、5ppm、3ppmもしくは1ppmの14-ヒドロキシコデイノンを含み得る。例えば、該オピオイド粒子は、オピオイドがヒドロコドン(例えば、ヒドロコドン塩基またはヒドロコドン酒石酸水素塩)である場合、0.025%または0.0025%以下のコデイノンを含み得る。
【0020】
好ましい実施形態では、剤形用に調製された微粉化オピオイドの総粒子の少なくともかなりのパーセンテージが、少なくとも約1μ、約10μ未満および約20μ未満の粒子サイズを有する。例えば、そのような微粉化オピオイド粒子調製物は、製剤媒質またはマトリクス、例えば、流体媒質またはマトリクスの少なくともかなりの部分にわたって、微粉化オピオイド成分の適切で所望の分散均質性を有する製品を提供し得る。さらに、少なくとも約1μ、約10μ未満、約20μ未満の微粉化オピオイド粒子サイズはとりわけ、例えば、最終のおよび/または製剤化した微粉化オピオイド含有製品において、微粉化薬物の有意の沈降の妨害(例えば、遅延、低減)を促進するという利点を提供する。
【0021】
安定化された微粉化オピオイド粒子調製物は、同じオピオイドの非微粉化調製物に比べ、標的とするおよび一貫した粒子サイズ分布、適したおよび/または改善された粉体流特性を有し、有意の粒子凝集挙動がなく、実質的にまたは本質的に望ましくない物理的変質がない、微粉化オピオイド粒子を含む。そのような安定化された微粉化オピオイド粒子調製物は、安定な外観(白色〜オフホワイト、微細粉末)、化学安定性、例えば、HPLCにより測定した安定なクロマトグラフィー純度プロファイル、静水含量(例えば、25℃/60% RHで12ヶ月貯蔵後、約1.0%未満)、および/または安定な粒子サイズ分布により特徴づけられる。
【0022】
安定化された微粉化オピオイド粒子組成物は、調製および/または貯蔵時に化学的および/または物理的安定性を有する微粉化オピオイド粒子を含む。これらの安定化された調製物は、例えば、微粉化オピオイド粒子を含み、該微粉化オピオイド粒子は、貯蔵時、一般に、非微粉化粒子に比べ、有意の粒子サイズ成長(例えば、粒子凝集または融合)に抵抗し、不純物および/または分解生成物(例えば、オキシコドンN-オキシド)の有意の形成に抵抗し、流体媒質またはマトリクス内での沈降に抵抗し、および/または、非微粉化粒子に比べ、媒質(例えば、流体媒質)中での懸濁および/または分散の改善された均一性を有し、例えば、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月、または密閉状態の貯蔵下のさらに長い期間の貯蔵後などの、非微粉化粒子と比べた場合の、流体または粘性媒質中での懸濁および/または分散の均一性の増強、および/または流体媒質内での懸濁および/または分散の均質性の増強が挙げられる。
【0023】
オピオイド分解生成物としては、例えば、オピオイドの化学修飾により得られる化合物が挙げられる。該修飾は、例えば、熱的または光化学的に誘発される反応の結果とすることができる。そのような反応としては、遊離塩基または塩としての、酸化および加水分解が挙げられるが、それらに限定されない。
【0024】
本開示の組成物、製剤および剤形は、高純度オピオイド粒子を含む、微粉化オピオイド粒子(例えば、10μ以下のDv90粒子分布または20μ以下のDv90粒子分布を有する安定化された微粉化オピオイド粒子)と、他の成分、例えば、ミリスチン酸イソプロピルおよび/またはトリアセチンなどの1つまたは2つの溶媒を含む溶媒とを含むことができる。そのような組成物、製剤および剤形は、様々な特性を有する追加の成分、例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)などの酸化防止剤として作用する成分、あるいはコロイド二酸化ケイ素、セルロースアセテートイソブチレートまたはヒドロキシエチルセルロースなどの粘度調整剤として作用する成分を含むことができる。追加の成分としては、Gelucineなどの他の液体または半固体脂質系が挙げられる。液体成分としては、スクロースアセテートイソブチレートなどの高粘性液体が挙げられる。例えば、本開示の組成物、製剤および剤形(例えば、非錠剤剤形)としては、微粉化オピオイド粒子およびミリスチン酸イソプロピルを含み、任意で必要に応じて、トリアセチンをさらに含む液体組成物、製剤(例えば、懸濁液)または剤形が挙げられる。
【0025】
様々な剤形および/または送達方法のいずれも、本開示の組成物、製剤または剤形と併せて使用することができる。本開示の組成物、製剤または剤形と共に使用するのに適した送達法および/または剤形は、あらゆる様々な薬物放出機構を利用することができる。例えば、本明細書で記載されるような使用に適した剤形は、例えば、予め選択した期間の間、1〜数時間、1〜数週間、1〜数ヶ月、または最大1年以上の年数の範囲の投与期間の間、治療に十分なある量の製剤を保持するように適合させることができる(例えば、薬物リザーバ中に含有させる、あるいはポリマ、蝋、結合固体、液体などのビヒクル、基質またはマトリクス中に溶解、懸濁または統合させる)。例えば、本明細書で記載されるように使用するための製剤および剤形は、即時、制御、持続、遅延または標的放出(あるいはそれらの組み合わせ)などの放出調節のために適合させることができる。例示的な剤形としては、薬物送達装置(例えば、浸透圧ポンプを含む薬物ポンプ)、移植物(例えば、生物学的浸食性移植物)、持続放出注射剤(例えば、注射可能な液体製剤、ヒドロゲル、例えば、コラーゲンヒドロゲルを含むゲル)、微粒子懸濁液、ミクロスフェア懸濁液、リポソーム製剤、ミセル製剤、油懸濁液(エマルジョンを含む)、蝋系製剤(例えば、坐薬)またはカプセル化微粒子懸濁液が挙げられる。本開示と共に使用するのに適し得る例示的な薬物送達剤形は、Encyclopedia of Controlled Drug Delivery (1999), Edith Mathiowitz (Ed.), John Wiley & Sons, Inc.において記載されている。剤形は、例えば、薬物送達システムまたは浸透圧剤形を含む経口剤形の外部要素(例えば、外部ポンプ)または移植要素として従来使用されているあらゆる様々な従来の薬物放出装置から選択することができる。
【0026】
例えば、剤形(例えば、送達装置)は、オピオイド、例えば、限定はしないが、遊離塩基または塩としての、オキシコドン、オキシモルホン、ヒドロモルホン、ヒドロコドン、またはそれらの任意の混合物もしくは組み合わせの、長期またはかなり短縮された期間にわたる送達に適合させたものである。そのような送達装置は、数時間(例えば、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間、または24時間〜48時間もしくはそれ以上)、数日間(例えば、2〜5日間またはそれ以上、約100日間からそれ以上)、数ヶ月または数年間にわたるオピオイドの投与のために適合させることができる。
【0027】
本開示は微粉化オピオイド粒子を有する製剤を含む剤形を提供し、例えば、微粉化オピオイド粒子が流体媒質内に懸濁されている。
【0028】
本開示はさらに、蝋などとの製剤を含む、多くの異なる剤形、例えば、固体、半固体、液体、および半液体調製物を提供するように製剤化することができる、安定化された微粉化オピオイド、例えば、オキシコドンを提供する。Remington’s Pharmaceutical Sciences 20th edition:(ed. Gennard, Alfonso R.) Mack Publishing Company, 1995は、特定的に参照により本明細書に組み入れられており、本開示による微粉化オピオイド調製物と併せて使用することができる様々な送達形態および製剤の技術指導および情報を提供する。
【0029】
本明細書で開示されているような様々な剤形は、外部装置、部分的に移植された装置、または移植装置(例えば、生分解性移植物またはポンプ)とすることができ、これらは、例えば、薬物拡散系、電気化学系、電気機械系、浸透圧ポンプ、電気拡散系、電気浸透系、蒸気圧ポンプ、電解ポンプ、発泡ポンプ、圧電ポンプ、浸食に基づく系、拡散系などに基づくことができる。
【0030】
非制限的例として、坐薬(例えば、蝋媒質型)、パッチ(例えばオピオイドを単独で、または任意の乱用抑止性成分(例えば、ナロキソン、ナルトレキソンまたはナルメフェン)と共に送達するため)、カプセル、シロップ、ローション、クリームなどを、本明細書で記載されているようなオピオイドの微粉化調製物を含むように、例えば、疼痛、例えば、慢性疼痛の治療、および/または疼痛緩和を提供する、例えば、中程度〜重度の疼痛の治療のための投与のために、製剤化させることができる。非制限的例として、下記薬物送達形態を、微粉化オピオイド粒子を含む本開示の様々な製剤において使用することができる:経皮/皮膚、坐薬、経口懸濁液、経口流体、例えば、カプセル化流体(例えば、ハードゲルカプセルまたはソフトゲルカプセル、例えば、ゼラチンカプセル)。
【0031】
薬学的組成物は、経皮剤形、例えば、流体リザーバまたは薬物含有接着マトリクス系のいずれか一方を用いた拡散駆動経皮系(経皮パッチ)、局所ゲル、ローション、軟膏、経粘膜系および装置、またはイオン泳動的(電気拡散)送達系として製剤化することができる。経皮剤形は、例えば、本開示の微粉化オピオイド調製物などのオピオイドが挙げられるが、それに限定されない、多くの異なる治療的に有効な活性剤を送達するための便利な剤形である。オピオイド活性剤としては、オキシコドン、オキシモルホン、ヒドロモルホン、ヒドロコドン、またはそれらの任意の組みあわせが挙げられるが、それらに限定されず、オピオイドを遊離塩基または塩として含むことができる。経皮剤形は、活性剤の時限放出および持続放出のために特に有用であり得、例えば、この場合、活性剤は安定化された微粉化オピオイド粒子調製物を含む。経皮剤形は、経皮投与品および経皮投与組成物に分類することができる。一般的な経皮投与品としては、流体リザーバまたは薬物含有接着マトリクス系のいずれか一方を使用する拡散駆動経皮系(経皮パッチ)が挙げられる。経皮投与組成物としては、局所ゲル、ローション、軟膏、経粘膜系および装置、ならびに、イオン泳動的(電気拡散)送達系が挙げられるが、それらに限定されない。好ましくは、経皮剤形は経皮パッチである。
【0032】
経皮剤形は、安定化された微粉化オピオイドに対し不透過性である薬学的に許容される材料で製造されたバッキング層を含むことができる。該バッキング層は好ましくは、オピオイド(例えば、オキシコドン)に対する保護カバーとして機能し、支持機能を提供することもできる。該バッキング層を製造するのに適した材料の例は、高および低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリ(エチレンフタレート)などのポリエステルの膜、金属箔、そのような適したポリマ膜の金属箔積層物、リザーバの成分がその物理的特性などのために織物に浸透できない場合の織物である。好ましくは、バッキング層のために使用される材料は、そのようなポリマ膜の、アルミ箔などの金属箔との積層物である。バッキング層は、所望の保護および支持機能を提供する任意の適切な厚さとすることができる。適した厚さは約10μから約200μである。望ましい材料および厚さが、当業者に明らかとなる。
【0033】
経皮送達系は、剤形を患者の皮膚に所望の投与期間の間(例えば、約1〜約5〜8時間)貼付するための接着層を含むことができる。剤形の接着層が所望の期間の間接着を提供できない場合、例えば、剤形を患者の皮膚に接着テープ、例えば、サージカルテープを用いて貼付することにより、剤形と皮膚との間の接触を維持することができる。該剤形の患者の皮膚への接着は、該剤形の接着層のみにより、または周囲接着源、例えば、サージカルテープで覆うことにより、達成することができるが、剤形は好ましくは患者の皮膚に必須の投与期間の間接着される。接着層は、薬学的に剤形と適合可能であり、好ましくは、低アレルギー性である当技術分野で公知の任意の接着剤、例えば、ポリアクリル接着ポリマ、アクリレートコポリマ(例えば、ポリアクリレート)およびポリイソブチレン接着ポリマを含むことができる。接着剤は感圧接触接着剤とすることができ、これは好ましくは低アレルギー性である。
【0034】
経皮剤形は、例えば、ポリエステルで作製された不透過性バッキング層と、例えば、ポリアクリレートで作製された接着層と、微粉化オピオイド、例えば、微粉化オキシコドン、および他の所望の薬学的補助剤、例えば、柔軟剤、透過性増強剤、粘性剤などを含むマトリクスとを含む。
【0035】
安定化された微粉化オピオイド粒子の形態の活性剤は、装置内で、薬物リザーバ、薬物マトリクスまたは薬物/接着層に含有させることができる。例えば、パッチの面積、単位体積あたりの活性量により、当業者は容易に決定することができるので、制限用量が決定される。
【0036】
ある経皮送達系はまた、柔軟剤を含むことができる。適した柔軟剤としては、高級アルコール、例えば、ドデカノール、ウンデカノール、オクタノール、カルボン酸エステル類(この場合、アルコール成分はまたポリエトキシル化アルコールとすることができる)、ジカルボン酸のジエステル、例えば、ジ-n-ブチルアジパート、およびトリグリセリドが挙げられ、特に、カプリル酸/カプリン酸またはヤシ油の中鎖脂肪酸トリグリセリドが特に適していることが証明されている。適した柔軟剤のさらなる例は多価アルコールである。
【0037】
経皮送達系では、微粉化オピオイド粒子、例えば、微粉化オキシコドンと共に溶媒を含有させることができる。リザーバまたはマトリクス中に含有させることができる薬学的に許容される化合物としては、溶媒、例えば、イソプロパノールなどのアルコール、透過性増強剤、または粘性剤、例えば、セルロース誘導体類、天然または合成ガム類、例えば、グアーガムなどが挙げられる。
【0038】
経皮剤形は、除去可能な保護層を含むことができる。そのような除去可能な保護層は、適用前に除去され、例えば、シリコーン処理により除去可能にされることを条件として、上記バッキング層の製造のために使用される材料から構成される。他の除去可能な保護層は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、表面加工紙、アロフェン、ポリ塩化ビニル、などを含む。一般に、除去可能な保護層は接着層と接触し、望ましい適用時まで、接着層との一体性を維持する便利な手段を提供する。
【0039】
経皮剤形のある組成物およびある型の装置は、所望の期間、経皮剤形の望ましい流動速度および/または望ましい送達速度で、活性剤(例えば、安定化された微粉化オピオイド粒子)を送達する組成物または装置として有用である。
【0040】
安定化された微粉化オピオイド粒子を含むオピオイド調製物は、蝋または蝋様材料内で、坐薬を提供するように製剤化され得る。室温でまたは冷却により固化すると、安定化された微粉化オピオイド粒子集団を含む蝋状または蝋様担体マトリクスは、安定化された微粉化オピオイド粒子を定位置で固定するように作用する。坐薬などの形態で投与されるとすぐに、該蝋状担体は軟化および/または溶融し、活性剤をその部位で放出する。例えば、坐薬が、安定化された微粉化オピオイド粒子を含む組成物の動物(例えば、ヒト)への送達用に作製されている場合、動物の体表、例えば粘膜表面との接触により与えられる温度の上昇は、蝋状マトリクスを軟化および/または溶融させ、オピオイド剤を動物に放出するように作用することができる。
【0041】
安定化された微粉化オピオイド粒子を含むオピオイド調製物は、経口懸濁液内で製剤化され得る。一般に、経口懸濁液製剤は、貯蔵時にはより薄く、粘度が増加する(より濃くなる)。このように、ここで記載したオピオイド粒子の粒子サイズが小さいほど、とりわけ、潜在的により長い期間、オピオイドの適した懸濁液を維持し、このため、均一な投与に関連する製品の望ましさが増強するという利点が提供される。そのような製品形態の送達では、患者への投与前のある量の振盪および/または他の分散過程が望ましく、活性剤の分散の均一性が、オピオイド粒子の安定化された微粉化調製物により容易に促進され得る。
【0042】
治療方法
安定化された微粉化オピオイドは、被験体における疼痛の治療法において有用であり、例えば、この場合、当該方法は、微粉化オキシコドンまたは他のオピオイドもしくはオピオイドの組み合わせを含む微粉化オピオイド組成物、製剤または剤形からの送達を含む。該微粉化オピオイド組成物、製剤または剤形は、微粉化オピオイドを含む薬物送達装置または剤形の形態で提供され得る。微粉化オピオイドは被験体の身体に、所望のように、1つまたは複数の部位で提供され得る。
【0043】
微粉化オピオイドは治療薬として有用である。薬物または治療薬または活性剤は同じ意味で使用され得、オキシコドンなどの任意のオピオイドを遊離塩基またはその塩として含むことができる。例えば、オピオイドのみへの言及または選択したオピオイドのみへの言及、例えば、微粉化オキシコドンへの言及は、組成物、製剤または剤形における使用に適した薬物の例示にすぎないと理解することができ、決して制限することを意味しない。
【0044】
被験体は任意の動物、一般に哺乳類(例えば、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ウシなど)を含み、例えば、オピオイドの投与により疼痛の治療、軽減または管理が望まれる被験体が挙げられるが、それらに限定されない。
【0045】
オピオイドは好ましくは、オキシコドン、オキシモルホン、ヒドロモルホン、ヒドロコドンを、例えば、遊離塩基または塩として含むことができる。別のオピオイドとしては好ましくは、トラマドール、フェンタニル、スフェンタニル、レミフェンタニル、ナルトレキソン、ナルメフェンおよびナロキソンが挙げられる。オピオイドとしては、アルフェンタニル、アリルプロジン、α-プロジン、アニレリジン、アポモルフィン、アポコデイン、ベンジルモルフィン、ベンジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、シクラゾシン、シクロルファン、シプレノルフィン、デソモルフィン、デキストロモラミド、デゾシン、ジアンプロミド、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルフィン、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアムブテン、ジオキシアフェチルブチレート、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアムブテン、エチルモルフィン、エトニタゼン、フェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロキシメチルモルフィナン、ヒドロモルホン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レバロルファン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メチルモルフィン、メトポン、モルフィン、ミロフィン、ナルブフィン、ナルセイン、ニコモルフィン、ノルレボファノール、ノルメタドン、ナロルフィン、ノルモルフィン、ノルピパノン、オーメフェンタニル、アヘン、オキシコドン、オキシモルホン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、フォルコジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロフェプタジン、プロメドール、プロファドール、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、レミフェンタニル、スフェンタニル、タペンタドール、トラマドール、チリジン、ナルトレキソン、ナロキソン、ナルメフェン、メチルナルトレキソン、ナロキソンメチオジド、ナロルフィン、ナロキソナジン、ナリド、ナルメキソン、ナルブフィン、ナロルフィンジニコチネート、ナルトリンドール(NTI)、ナルトリンドールイソチオシアネート(NTII)、ナルトリベン(NTB)、ノルビナルトルフィミン(nor-BNI)、β-フナルトレキサミン(β-FNA)、BNTX、シプロジム、ICI-174,864、LY117413、MR2266、エトイフィン、DAMGO、CTOP、ジプレノルフィン、ナロキソンベンゾイルヒドラゾン、ブレマゾシン、チルケトシクラゾシン、U50,488、U69,593、スピラドリン、DPDPE、「D-Ala2,Glu4」デルトルフィン、DSLET、Met-エンケファリン、Leu-エンケファリン、β-エンドルフィン、ダイノルフィンA、ダイノルフィンB、α-ネオエンドルフィン、またはナルメフェン、ナルトレキソン、ブプレノルフィン、レボルファノール、メプタジノール、ペンタゾシン、デゾシンと同じ五環核を有するオピオイド、またはそれらの薬学的に有効なエステル類もしくは塩類が挙げられる。いくつかの実施形態では、組成物、製剤または剤形は、高純度オピオイド、例えば、低下したレベルのα,β-不飽和ケトン(ABUK)、例えば、0.003%、0.0025%、0.002%、0.0015%、0.001%、0.0001% w/w ABUKまたは、30ppm、25ppm、20ppm、15ppm、10ppm、5ppm、3ppm、もしくは1ppm ABUKを含むオピオイドを含有することができる。例えば、オピオイド粒子は、オピオイドがオキシコドン(例えば、オキシコドン塩基またはオキシコドンHCl)である場合、0.001%(w/w)もしくは0.0001%(w/w)以下の14-ヒドロキシコデイノン、または、20ppm、15ppm、10ppm、5ppm、3ppm、もしくは1ppmの14-ヒドロキシコデイノンを含み得る。例えば、当該オピオイド粒子は、オピオイドがヒドロコドン(例えば、ヒドロコドン塩基またはヒドロコドン酒石酸水素塩)である場合、0.025%または0.0025%以下のコデイノンを含み得る。
【0046】
安定化された微粉化オピオイドは、組成物、製剤または剤形によって、ある期間にわたり持続的であってよく、数時間、1〜数週間、1〜数ヶ月、最高1年もしくは複数年の範囲の予め選択された投与期間、連続して送達することができる。
【0047】
軽減および/または治療可能な疼痛としては、中程度〜重度の疼痛などの任意の型の急性または慢性疼痛、例えば、癌疼痛、慢性炎症疾患疼痛、神経因性疼痛、術後疼痛、医原性疼痛、複合性局所疼痛症候群、背部痛(例えば、機能不全背部痛)、軟部組織疼痛、関節痛、骨痛、中枢痛、損傷痛、関節炎痛(例えば、変形性関節炎または関節リウマチなどの関節炎状態に由来)、遺伝性疾患、感染症、頭痛、灼熱痛、知覚過敏、交感神経性ジストロフィ、幻肢症候群、または除神経が挙げられる。
【0048】
微粉化オピオイドの治療的有効量は、所望の治療効果を促進するのに有効な、治療薬(例えば、活性剤または薬物)、例えば、微粉化オピオイド粒子を含む組成物、製剤または剤形の量、または治療薬の送達速度つまり程度を示すことができる。正確な所望の治療効果(例えば、疼痛緩和の程度、緩和された疼痛源、など)は、治療される状態、投与される製剤または剤形、および当業者に認識される様々な他の因子によって、変動する。例えば、所望の治療効果としては、あらゆる様々な識別可能または識別不能の病因と関連し得る疼痛に苦しむ被験体における疼痛の抑制、低減または緩和が挙げられる。
【0049】
オピオイドの微粉化のための方法
本開示は、安定化された微粉化オピオイド組成物、製剤または剤形を提供するためにオピオイド(例えば、オキシコドン、オキシモルホン、ヒドロコドンまたはヒドロモルホン)を微粉化するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、本方法は、非微粉化オピオイドを含む組成物中の粒子を、空気ジェットミル内で、窒素ガス(例えば、液体窒素由来)などの粉砕ガスの存在下、50%を超える微粉化オピオイド組成物を含む組成物を提供するのに十分な期間の間、衝突させる工程を含み、例えば、この場合、該微粉化組成物は、約10μ以下または約20μ以下の粒子サイズを有する、50%を超える(例えば、いくつかの実施形態では、60%、70%、80%、または90%)の微粉化オピオイド粒子を含む。
【0050】
当該微粉化オピオイド粒子は、調整工程において評価つまり試験することができ、この場合、微粉化オピオイド粒子の新たに微粉化された調製物は規定された調整パラメータの組に供せられる。例えば、該調整パラメータは、規定された相対湿度(例えば、60%RH)下、規定された温度(例えば25℃)での、24時間の間の粒子の貯蔵を含み得る。
【0051】
非エアロゾル製剤または剤形中のオピオイドを含む組成物、製剤または剤形の製造処理の改善および/または安定化を含む、本明細書で記載した利点を提供するために、約10μ以下のサイズを有する微粉化オピオイド粒子が好ましい。好ましい組成物、製剤または剤形は微粉化オピオイド粒子を含み、この場合、粒子の90%の粒子サイズは10μ未満である。
【0052】
生物学的に利用可能なという用語は、政府規制機関、例えば米国FDAにより一般に決定され、承認されるように、公知の参照薬物製品に比べた場合の、単位剤形の投与後に所望の治療効果を提供するのに利用可能となるように吸収される薬剤物質の総量を示すことができる。バイオアベイラビリティは、該薬物(例えば、オピオイド鎮痛薬)が単位剤形から吸収され、薬物作用部位で有効となる程度を示すことができる。
【0053】
微粉化は、粒子サイズが作用物質の非微粉化形態よりも小さなサイズまで低減された任意の作用物質の粒子を示すことができる。微粉化は、所望の粒子サイズを提供するようにミリングにより処理された、または空気ジェットミルなどの小粒子を製造するための任意の他の手段により所望の粒子サイズを獲得している粒子を示すことができ、ここで、調製中での粒子間での粒子衝撃/衝突は、粒子をそれらの元のサイズの何分の一かを有するより小さな粒子に分割させるように機能する。例えば、該粒子がオピオイド、例えば、オキシコドンの粒子である場合、オキシコドン粒子の非微粉化形態は約50μ〜約56μの粒子サイズを有し得る。そのため、例として、オキシコドン粒子の微粉化調製物は、約50μ〜約56μ未満のサイズを有するオキシコドン粒子を含むことができる。例として、そのようなオキシコドンの微粉化調製物は、非微粉化オキシコドン調製物に比べ、実質的に低減した粒子サイズを有するオキシコドン粒子を組成物の50重量%以上含有する調製物を含むことができる。例えば、オキシコドン粒子の微粉化調製物は、約20μ、10μ、5μ、4μ、3μ、2μ、または、さらに1μ以下の粒子サイズを有する微粉化オキシコドン粒子の混合物を含み得、例えば、この場合、微粉化オキシコドン粒子のサイズはレーザ光法により決定される。好ましくは、該微粉化粒子は相当量の0.2μ以下の粒子は含まない(例えば、1%の粒子0.2μ)。該粒子サイズは、非エアロゾルオピオイド粒子サイズを参照にして提供される。これは、エアロゾル調製物を参照にして記載されているオピオイド粒子と区別される。
【0054】
例示的なオピオイド、例えば、オキシコドンの微粉化のための例示的な製造過程は下記のように、簡単にまとめて示すことができる。微粉化のために使用される機器としては、オピオイド材料のミルへの制御された供給速度を提供するための材料供給機(例えば、スクリュー供給機)、およびオピオイド薬剤物質の粒子サイズを低減させるためのジェットミル(例えば、マイクロナイザー)が挙げられる。非微粉化オピオイド薬剤物質を獲得し、好ましくは、窒素ガス(例えば、NF品質)を使用して、微粉化過程中に薬物粉末を粉砕し、分類する(例えば、プロセスガスとして選択)。窒素はオピオイド薬剤物質を酸化から保護し、および/または処理中の空中粉末の発火可能性を低減させることができる。窒素ガスは、液体窒素源から生成させ、微粉化のための体積流量および圧力を供給するように調節することができる。この例示的な過程では、プロセスガス(例えば、窒素)以外の材料(例えば、流体担体、溶媒、試薬、または触媒)は、オピオイド、例えばオキシコドンの微粉化に関与しない。
【0055】
例示的な過程は、下記の設定工程を含む:(a)材料供給機からの非微粉化オピオイド、例えば、オキシコドンの供給速度を較正する工程、および(b)非微粉化オピオイド、例えば、オキシコドンのミルへの供給開始直前に、ジェットミルのフィードインジェクタおよび粉砕チャンバへの窒素ガス流を開始する工程。オキシコドンなどのオピオイドの微粉化は、ジェットミルに、連続して粉末を供給し、ガス(例えば、窒素)圧力を調節することにより、好ましくは下記作動パラメータを用いて、達成される:(a)50g/分の標的平均速度で維持された供給速度(約20〜60g/分の範囲)、(b)6.7barの標的ゲージ圧に設定されたガス(例えば、窒素)圧、フィードインジェクタ(5.9〜7.6bar)、および(c)6.2barの標的ゲージ圧に設定されたガス(例えば、窒素)圧、粉砕チャンバ(5.4〜7.1bar)。インジェクタと粉砕ガス圧との間の約0.3〜0.7barの圧力差は、好ましくは、確実にジェットミルを通って供給材料が適正に吸引されるように維持される。ジェットミルを通る微粉化材料の第2のパスまたは追加のパスは、所望の粒子サイズが達成されるように実施され得る。本過程は、収集容器およびバッグフィルタから、静電気防止ポリエチレンライナーで裏打ちされたバルク貯蔵ドラム中へ微粉化オピオイド、例えばオキシコドンを取り出すために定期的に停止させることができる。ガス(例えば、窒素)流は好ましくは、オピオイド、例えば、オキシコドンの供給を中止した後の短時間(例えば、約30秒)、維持される。定期的に、ミルチャンバの内側は、生成物が集積していないか点検することができ、これをプロセス性能に影響する可能性があるミルチャンバ内での粉砕ジェットの閉塞または蓄積を阻止するために必要に応じて除去することができる。ロットを代表する複合試料を、品質制御試験のために引き出すことができる。単一ロットの微粉化オピオイド、例えば、オキシコドンは、複数の製剤ロットおよび/または複数の剤形のための薬剤物質を提供することができる。
【0056】
当該マイクロナイザーは好ましくはスパイラルジェットミル型であり、摩擦のための粒子-粒子衝撃を生成させるためにエネルギーを使用する。固体粒子が単一パスで粉砕され、μサイズに分類され得る。オピオイド、例えば、オキシコドンに対しては、高圧窒素が好ましくは、微粉化ガス(例えば、処理剤)として使用される。窒素は作動中ミル内で不活性環境を維持することができ、および/または、空中ダスト蓄積による爆発の危険を低減し得る。該窒素ガスは好ましくは、微粉化のために、オピオイドと共に、しかし、他の作用物質または材料(例えば、流体担体、溶媒、試薬または触媒)の非存在下で、使用される。
【0057】
微粉化が進行している間、オピオイド薬剤物質はスクリュー供給機によりミル入口ホッパー内に連続して供給され得、好ましくは、生成物加速ノズルにより、窒素ガス(例えば、噴射剤ガスとして)により粉砕ゾーンに推進される。材料は、該ミル内のジェットポートを通して供給される高圧窒素ガス(例えば、粉砕ガスとして)により誘導される高速衝突により生じる摩擦によってサイズが低減され得る。微粉化中、粒子は、ミル内で高速で移動するにつれ流動化され得、求心力により粒子がサイズによって分類され得る。さらに、該流動化粒子は、そのサイズが低減されるにつれ、連続してより大きな半径方向距離からミルの中心に移動し得る。粒子はその最終的なサイズまで低減され、該ミルの中心領域まで移動し得、そこで、粒子はガス流により収集容器内に取り込まれ得る。生成物コレクタと一体化されたフィルタバッグにより、材料のガス流からの分離が可能となる。
【0058】
Hosokawa Alpine Spiral Jet Mill, Model 50ASが、微粉化薬剤物質を製造するために好ましくは使用される。当該ジェットミルの構成は好ましくは、(a)0.9mmのインジェクタノズル直径、(b)50.0mmの粉砕チャンバ直径、(c)複数のノズル(例えば、2つまたは4つ)、(d)0.8mmのノズル直径、および(e)50°の入射角を含む。微粉化過程の最適化中に評価され得る作動パラメータとしては、下記が挙げられる:(i)噴射剤ガス(例えば、N2)圧;(ii)粉砕ガス(例えば、N2)圧、(iii)生成物供給速度、および(iv)インジェクタノズルクリアランス。
【0059】
インジェクタノズルクリアランスの効果は試験することができる。インジェクタクリアランスは、オピオイド薬剤物質が微粉化チャンバに入る直前に移動する、供給インジェクタノズルとベンチュリオリフィスとの間のギャップ距離に対応する。クリアランスが大きいと、ベンチュリオリフィスに入るオピオイド薬剤物質のより大きな質量流量が可能となり、ここで、インジェクタノズルからの高圧ガス流(好ましくは窒素)が微粉化チャンバに薬剤物質を推進している。インジェクタクリアランスは、インジェクタノズルの位置を決定するブッシングにより設定され、製造前の機器アセンブリ中に確立される。
【0060】
オキシコドンなどのオピオイドの微粉化は、デフォルト位置(例えば、0mm、ブッシングの使用なし)で設定され、次第により大きなクリアランス設定とされるインジェクタノズルクリアランスを用いて実施することができる。最小および最大の達成可能な生成物供給速度は、試験した設定の各々に対して決定することができる。最小供給速度は、ブローバックがもはや起こらない時に、観察により決定することができる。ブローバックはミル粉砕チャンバ内での材料の不十分な添加により引き起こされ、この場合、少量の空中オピオイド薬剤物質がミル入口から排出されることになる。オピオイド、例えば、オキシコドンの供給速度は、徐々に増加させることができ、ブローバックが中止される最低供給速度は、過程に対する最小有効供給速度として確立することができる。最大供給速度は、微粉化材料は供給速度よりもずっとゆっくりミルから出て行くので、供給入口で生成物蓄積が観察された時、決定することができる。各供給速度で得られる微粉化オピオイド試料の粒子サイズ分布(PSD)は、レーザ光散乱により分析することができる。インジェクタおよび粉砕圧は好ましくは、それぞれ、試験条件に対し6.8および6.2barに設定される。例示的な試験結果の概要は下記の通りである。インジェクタノズルクリアランス設定がデフォルトであり、最小供給速度が20g/分、最大供給速度が22g/分である場合、最小供給速度でのPSDは0.7μのDv10、1.7μのDv50および6.5μのDv90であった。インジェクタノズルクリアランス設定がデフォルト+3mmであり、最小供給速度が17g/分であり、一方最大供給速度が65g/分である場合、最小供給速度でのPSDは0.8μのDv10、1.9μのDv50および3.3μのDv90であり、最大供給速度でのPSDは0.7μのDv10、3.1μのDv50および6.6μのDv90であった。インジェクタノズルクリアランス設定がデフォルト+6mmであり、最小供給速度が14g/分であり、一方最大供給速度が14g/分である場合、最小供給速度でのPSDは0.8μのDv10、2.0μのDv50および5.0μのDv90であり、最大供給速度でのPSDは0.7μのDv10、3.9μのDv50および8.4μのDv90であった。これらの結果から、インジェクタノズルクリアランスを増加させることにより、より大きな範囲の供給範囲が達成され、10μ以下のDv90という微粉化オピオイド粒子サイズ規格を満たす過程の能力が維持されることが示される。
【0061】
処理時間の効果もまた試験することができる。硬化生成物がミルチャンバの内表面上に堆積した場合冷間溶接が起こる可能性があり、ミル内の粉砕ジェットポートが閉塞される程度まで蓄積する可能性があり、そのため、プロセス性能に悪影響を与える。冷間溶接が起こる可能性は、ミリングされる材料の特性に依存し得る。冷間溶接による蓄積生成物は好ましくは、その過程を中止させ、ミルチャンバをクリーニングすることにより、微粉化中、妥当な間隔で除去される。冷間溶接の程度および/または影響の試験では、例示的なオピオイド、例えば、オキシコドンの4kgバッチを、下記の通りの作動パラメータ設定を用いて微粉化した:(a)4kgのバッチサイズ、(b)デフォルト+3mmのインジェクタノズルクリアランス、(c)40〜50g/分の生成物供給速度、(d)6.2barの粉砕圧、および(e)6.8barのインジェクタ圧。試料を約500gの間隔で作業全体を通して取り、レーザ光散乱にて分析した。これらの結果から、粉砕チャンバ内では少量の冷間溶接しか観察されず、有意の蓄積はなく、微粉化プロセス性能への妨害はないことが示された。全過程の間に取った試料の粒子サイズ分布は一貫したままであった。これらのデータから、微粉化は連続して実施することができ、定期的または規則的なクリーニング間隔の必要がなく、プロセス性能を変える証拠もないことが示される。
【0062】
好ましくは窒素ガス(例えば、高純度のNF品質)およびマルチキログラムのバッチサイズに対する好ましい作動パラメータを用いた例示的なオピオイド微粉化過程は下記を含んだ:(a)デフォルトでのインジェクタノズルクリアランス設定、6〜20g/分の生成物供給速度、6.2barの粉砕圧および6.8〜6.9barのインジェクタ圧(20kgの最大バッチサイズに対する)、(b)デフォルト+3mmとしてのインジェクタノズルクリアランス設定、20〜60g/分の範囲を有する50g/分を標的とする生成物供給速度、6.2barの粉砕圧および6.8〜6.9barのインジェクタ圧(28kgの最大バッチサイズに対する)、および(c)デフォルト+最大6mmまでのインジェクタノズルクリアランス設定、6〜80g/分の範囲を有する50g/分を標的とする生成物供給範囲、5.4〜7.1の範囲を有する6.2barの粉砕圧および5.9〜7.6bar範囲を有する6.7barを標的とするインジェクタ圧。高純度オキシコドンを用いた例示的な微粉化過程は上記(b)(6kgの最大バッチサイズに対する)および上記(c)(280kgまでの最大バッチサイズに対する)のパラメータを使用した。高純度オキシコドンを含む、微粉化のための作動手順の好ましい組は、下記を含んだ:デフォルト+3mmでのインジェクタノズルクリアランス設定、40〜50g/分の生成物供給速度、6.2barの粉砕圧および6.8barのインジェクタ圧(28kg以下のバッチサイズに対する)。
【0063】
安定化された微粉化オピオイド粒子調製物は、同じオピオイドの非微粉化調製物に比べ、標的とするおよび一貫した粒子サイズ分布、適したおよび/または改善された粉体流特性を有し、有意の粒子凝集挙動がなく、実質的にまたは本質的に望ましくない物理的変質がない、微粉化オピオイド粒子を含む。そのような安定化された微粉化オピオイド粒子調製物は、安定な外観(白色〜オフホワイト、微細粉末)、化学安定性、例えば、HPLCにより測定した安定なクロマトグラフィー純度プロファイル、静水含量(例えば、25℃/60% RHで12ヶ月貯蔵後、約1.0%未満)、および/または安定な粒子サイズ分布により特徴づけられる。
【0064】
安定化された微粉化オピオイド粒子調製物は微粉化オピオイド粒子を含み、該微粉化オピオイド粒子は、貯蔵時、一般に、非微粉化粒子に比べ、有意の粒子サイズ成長または粒子凝集に抵抗し、不純物および/または分解生成物(例えば、オキシコドンN-オキシド)の有意の形成に抵抗し、流体媒質内での沈降に抵抗し、および/または、非微粉化粒子に比べ、媒質(例えば、流体媒質)中での懸濁および/または分散の改善された均一性を有し、例えば、非微粉化粒子と比べた場合の、流体または粘性媒質中での懸濁および/または分散の均一性の増強、および/または流体媒質内での懸濁および/または分散の均質性の増強が挙げられる。
【0065】
安定化された微粉化オピオイド粒子調製物は、貯蔵中、例えば、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月、または密閉状態の貯蔵下のさらに長い期間の貯蔵後での、有意の粒子サイズ成長(例えば、粒子凝集または融合)にかなり抵抗する、微粉化オピオイド粒子、例えば、微粉化後の調整を有するものまたは有さないものを含む。
【0066】
安定化された微粉化オピオイド粒子調製物は、調製(例えば、調整を有するまたは有さない)および/または貯蔵時、例えば、1、3、6、9および/または12ヶ月またはそれ以上の月の間の貯蔵時に、化学的および/または物理的安定性を有する微粉化オピオイド粒子を含む。そのような調製物は好ましくは、10μまたは20μのDv90粒子分布を有する粒子を含むことができる。
【0067】
微粉化オピオイド粒子は調整され得る。調整された微粉化オピオイド粒子調製物は、オピオイド粒子が微粉化された後、特別な処理条件に供せられた微粉化オピオイド粒子を含む。例えば、微粉化オピオイド粒子は、粒子を規定された組の調整パラメータ、例えば、特定の相対湿度(例えば、周囲湿度または43%RHまたは60%RH)に、規定された期間(例えば、24時間)、特定の温度(例えば、25℃または60℃)に供すことにより調整され得る。安定化された微粉化オピオイド粒子調製物の貯蔵条件としては、静電気防止/乾燥貯蔵が挙げられる。
【0068】
この開示はさらに、下記実施例により説明されており、これらの実施例は、本開示方法の実施を容易にするために提供されたものである。これらの実施例はいかなる意味においても本開示の範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0069】
実施例1
オキシコドン(例えば、オキシコドン塩基またはオキシコドン塩酸塩)、ヒドロモルホン(例えば、ヒドロモルホン塩基またはヒドロモルホン塩酸塩)、ヒドロコドン(例えば、ヒドロコドン塩基またはヒドロコドン酒石酸水素塩)、またはオキシモルホン(例えば、オキシモルホン塩基またはオキシモルホン塩酸塩)を含むオピオイド調製物は、空気ジェットマイクロナイザを用いて微粉化することができる。例示的な方法では、オピオイド調製物の微粉化は、Schenck Accurate 300 Feeder (Screw Feeder)を備えたHosokawa Alpine Spiral Jet Mill 50Asを用いて実施した。例えば、非微粉化オピオイドを含む供給材料は、周壁上に接線方向に配列されたノズルを有する平らな円筒形粉砕チャンバ中に、オピオイド粒子の互いの衝突を実施させるのに必要とされるチャンバ内の所望の流体力学を提供するのに適切な噴射剤ガス圧および粉砕ガス圧の存在下で、注入される。噴射剤ガス圧(例えば、6.8barのインジェクタガス圧)および粉砕ガス圧(例えば6.2bar)の適切な速度および圧力が適用される。粒子-粒子衝突およびチャンバ壁との相互作用によりサイズの低減が達成される。本質的に、当該粒子は高速ガス流中で加速され、粒子間衝突および/または固体表面に対する衝撃により低減される。オピオイドの微粉化のためには、窒素ガスなどの不活性ガスが使用され、例えば、超高純度液体窒素シリンダが挙げられる。遠心(質量)力によってより大きな粒子がミル内に保持され、一方、微細な微粉化粒子はガス流で、ミルから離れ、収集される(けん引力)。
【0070】
Hosokawa Alpine Spiral Jet Mill 50ASの50mmスパイラルジェット微粉化チャンバの設計は、周壁上に接線方向に配列されたノズルを有する平らな円筒形粉砕チャンバを含み、該装置は粉砕チャンバ内に可動部品を有していない。
【0071】
約0.1μまたは0.2μ未満の微粉化粒子は、均質な調製物/生成物を提供するのに最も望ましい製剤可能特性を提供しないので、一般に本発明の調製物の一部として好ましくない。そのため、ナノ(10-9)範囲の粒子は一般に、本過程ならびに生成物製造方法および手順において標的とされない。
【0072】
例えば、オキシコドン塩基の微粉化により、例示的な非微粉化試料の平均粒子サイズ51μが例示的な微粉化試料に対する5〜6μのDv90まで低減された。例示的な微粉化オキシコドン調製物の粒子サイズは、25℃/60% RHおよび40℃/75%RHで貯蔵した、3ヶ月後、わずかしか増加しないようであり、例えば、5〜6μ(Dv90、時間0)から6〜11μ(3ヶ月の時点でのDv90)となった。この例示的な安定性データは、微粉化オキシコドン調製物は安定化された微粉化オピオイド粒子を含むという証拠を提供する。
【0073】
乾燥させながらの貯蔵で維持された微粉化オピオイド粒子のより小さな粒子サイズが、製剤および剤形の調製には望ましい。微粉化オキシコドンを含むそのような微粉化調製物は、オピオイド製剤および剤形、例えば、流体媒質を含む製剤および剤形の物理的安定性を、流体媒質を通る沈降速度を実質的に遅らせることにより促進することができるという点で望ましい。さらに、オキシコドンなどの微粉化オピオイドは、製剤および剤形の溶解速度を増加または安定化させるように作用することができ、および/または配合およびカプセル充填(例えば、均一分散を維持する場合)を含む製造過程を改善することができる。
【0074】
Schenck Accurate 300 Feeder (Screw Feeder)を備えたHosokawa Alpine Spiral Jet Mill 50A5内で微粉化オピオイド調製物を調製するための方法において使用することができる処理パラメータの例示的な組は、4kgのバッチサイズ、デフォルト+3のインジェクタクリアランス、40〜50g/分の供給速度、6.2barの粉砕ガス圧、6.8barのインジェクタガス圧、300rpmのスクリュー速度、および500rpmの撹拌機速度を含む。処理パラメータの別の例示的な組は、20kgのバッチサイズ、20g/分の供給速度、6.2barの粉砕ガス圧、および6.9barのインジェクタ(噴射剤)ガス圧を含む。
【0075】
粒子サイズを変化させるために多くのパラメータを調節することができる。第1のパラメータはノズルの数/ノズルのサイズである。例えば、ノズル直径を増加させると、粒子サイズが減少する。同様に、ノズルの数を増加させると、粒子サイズが減少する。調節することができる別のパラメータはノズルの入射角である。入射角がより広くなると、より微細な粒子サイズが得られる。調節することができる第3のパラメータはガス圧である。例えば、粉砕または噴射剤ガス圧を増加させると粒子サイズが減少する。インジェクタ/噴射剤圧を増加させると、粉砕チャンバ内での滞留時間が短くなるため粒子サイズが増加する。噴射剤圧が低すぎると、生成物摂取が低くなりすぎる。噴射剤圧が高すぎると、生成物がシュートから吐き出されてしまう。噴射剤ガス圧は、粉砕ガス圧と少なくとも同じであり、好ましくはそれよりも高い(〜1bar)。両方の噴射剤ガスに対する最大推奨圧は、10barであり、推奨作動圧力は6〜8barである。調節することができる別のパラメータは生成物供給速度である。例えば、供給速度が増加すると粒子サイズが増加する。供給速度はスクリュー速度および撹拌機速度により制御される。
【0076】
例示的なオピオイドオキシコドンのための例示的な微粉化過程は、下記のように概説することができる。Schenck Accurate 300 Feeder (Screw Feeder)を備えたHosokawa Alpine Spiral Jet Mill 50A5を用い、非微粉化オピオイドを平らな円筒形粉砕チャンバに注入する。該過程中、インジェクタ(噴射剤)窒素ガス圧は、Spiral Jet Millへのオキシコドンの一定流量を得るために、粉砕窒素ガス圧よりも高く確立され、維持される(例えば、0.3〜0.7bar高い)。遠心(質量)力により大きな粒子がミル内に保持され、一方、微細な微粉化粒子はガス流で、ミルから離れ、収集される(けん引力)。この過程の結果、低減した粒子サイズを有する微粉化オキシコドン調製物が得られ、その粒子サイズは約10μ未満である。微粉化直後、微粉化オキシコドンはプラスチックバッグに乾燥剤と共にパッケージされ、その後、微粉化粒子の完全性を保存するためにプラスチックドラム内で貯蔵される。これは、安定化された微粉化オピオイド粒子調製物を維持するのに必要である。微粉化オピオイド、特にオキシコドンHClまたはヒドロモルホンHClなどの塩形態は吸湿性である。凝集および/または融合粒子を阻止するために乾燥を伴う即時パッケージングが必要とされる。例えば、微粉化オキシコドンをラベルした静電気防止バッグに入れ、バッグの開端をケーブルまたはビニタイで締める。静電気防止バッグを、8ユニットの層と、シリカゲルと、プリンタと、Natrasorb(登録商標)S Tyvek(登録商標)四面密閉バッグ乾燥剤とを有するポリバッグ内に、静電防止バッグをポリバッグから分離して、入れる。静電防止バッグの上のラベルをチェックし、確実にポリバッグを通して視認できるようにし、ポリバッグをその開端で密閉させる。ポリバッグを、8ユニットの層と、シリカゲルと、プリンタと、Natrasorb(登録商標)S Tyvek(登録商標)四面密閉バッグ乾燥剤とを有する高密度ポリエチレン(HDPE)ドラムに、ポリバッグをドラムから離して入れる。蓋をドラムの開端上に置き、サイドレバーロック(SSL)により、独自に番号が付けられたセキュリティロッキングタグを用いて締められる。そのような乾燥剤パッケージングおよび貯蔵微粉化オキシコドン調製物を、製造過程、例えば、安定化された微粉化オキシコドンの様々な製剤および剤形の調製のための配合過程において、使用することができる。
【0077】
実施例2
例示的な剤形に有用な微粉化または非微粉化オキシコドン遊離塩基に対する粒子サイズ分布は、レーザ回折粒子サイズ分析により決定することができる。例示的な方法では、Hydro 2000 Sアタッチメントを用いたMalvern Mastersizer 2000レーザディフラクタを使用して、粒子サイズ分布(PSD)を決定することができる。本分析は下記試験法に従い実施することができる。第1の工程で、担体流体を調製する。バルク試験試料(例えば、約0.75g)(例えば、オキシコドン塩基)を、1リットルフラスコに添加し、5〜6滴の1% Triton X-100で湿らせる。フラスコに脱イオン水を、1リットルの印に到達するまで充填し、約15分間撹拌し、飽和溶液を生成させ、0.2μナイロンフィルタを通して濾過させる。第2の工程で、試験試料を調製し、分散させる。一定分量のバルク質量試験試料をシンチレーションバイアルに添加し(試料重量は必要に応じて15〜30%の曖昧さに到達するように調節される)、約3ミリリットルの1% Triton X-100で湿らせる。該試料を20ミリリットルの飽和溶液で分散させ、30秒間、Bransonic3超音波処理器内で超音波処理する。該試料を顕微鏡下で検査し、十分な分散を確認する。第3の工程では、該試料を分析する。Malvern Hydro 2000Sリサーキュレータを、飽和溶液(工程1で調製)で満たす。ホールピペットを使用して、全試料懸濁液(工程2で調製)を担体流体槽中に添加し、15〜30パーセントの範囲の曖昧レベルを得る。適正な曖昧範囲が達成されると直ぐに、粒子サイズ分布を測定する。これらの結果を、示したサイズより小さい蓄積体積直径、%として示す(例えば、Dv10またはD[v,0.10]、μ)。微粉化により、非微粉化試料に対してDv90=56μから低下して、ロット1およびロット2に対してDv90=3〜5μの粒子サイズが得られる。表1に示されるように、微粉化ロット2の分析は2回実施し、双方の値を示す。
【0078】
(表1)例示的なオキシコドンロットに対する固体特性

【0079】
第2の分析法として、表1で示した結果を有する、レーザ回折により分析した微粉化および非微粉化オキシコドンを、光学顕微鏡により分析し、粒子サイズを評価し、それらの結果を表2に示す。試料アリコート(微粉化に対しては〜50mgおよび非微粉化に対しては〜225mg)をヒマワリ油10ml中に分散させ、10X対物レンズを備えたNikon顕微鏡で観察した。粒子サイズ(平均直径)をImage Pro(登録商標)Plusソフトウエアを用いて決定し、アンダーサイズの数(%)として表した。表2に示すように光学顕微鏡により決定した粒子サイズ値は、表1で示したレーザ回折粒子サイズデータと一致する。
【0080】
(表2)例示的なオキシコドンロットの顕微鏡観察による粒子サイズ分析

【0081】
追加のレーザ回折粒子サイズ分析をロット1およびロット2を用いて実施する。これらの500gの微粉化ロットは実施例1の方法に従い、表3に示すように異なる供給速度を用いて調製する。Dv90は、非微粉化および微粉化ロット試料の各々に対し、51μから5〜6μに減少した。異なる供給速度を用いて調製した異なるロットの粒子サイズ分布において差は観察されない(表3)。
【0082】
(表3)例示的なオキシコドンロットに対する粒子サイズ

【0083】
微粉化ロットはまた、X-線粉末回折(XRPD)により分析される。XRPDは、粉末Bruker D8 Advance回折計上、2〜45 2θ角で、下記条件を用いて実施する:発散スリット=0.6mm、受光スリット=0.1mm、ステップサイズ=0.02°、散乱防止スリット=0.6mm、検出器スリット=0.6mm、ステップ時間=5秒。相対強度>20%を有する特性ピークは8.4、11.5、12.4、15.1、17.0、および22.0 2θ角にある。微粉化試料と非微粉化試料のピーク位置を比較すると、両者は同じ2θ位置を有し、同じ多形であることが示唆される。ピーク強度は微粉化試料間で一致するが、非微粉化試料と比較すると異なっている。そのような変動は通常、選択配向および/または粒子サイズ、形状および密度における差に起因し得る。
【0084】
微粉化ロットはまた、示差走査熱量測定(DSC)により分析することができる。DSCはTA機器Q100上、5℃/分の速度の25〜235℃の加熱傾斜を用いて実施される。微粉化ロットおよび非微粉化ロットの両方に対するDSCデータは、結晶試料と一致する急激な融解吸熱を示す。観察された220℃までの平らなサーモグラムは、微粉化試料中には揮発成分および水分がないことを示す。観察された急激な吸熱は、結晶材料と一致し、他の熱事象がないことから、融解中に多形変態が存在しないことが証明される。
【0085】
当該DSCデータは、融点(DSC開始温度)が微粉化試料および非微粉化試料の両方に対し同じであったことを示す。また、融解吸熱は微粉化試料および非微粉化試料に対し急激であり、同じである。融解エンタルピーには有意の差はない。非微粉化および微粉化試料に対する同じ融解吸熱および融解熱が、結晶度変化がないことと一致する。XRPDおよびDSCの両方が、微粉化中に変化しない結晶性開始材料を支持する。例示的な剤形は40mg(5.13%)のオキシコドン塩基(微粉化または非微粉化)と、319,6mg(40.98%)の薬剤スクロースアセテートイソブチレート(SAIB)と、213.1mg(27.32%)のトリアセチン、USPと、111.0mg(14.23%)のミリスチン酸イソプロピル、NF(IPM)と、37.0mg(4.74%)のセルロースアセテートブチレート(CAB)381-20BPと、44.4mg(5.69%)のヒドロキシエチルセルロース(HEC)と、14.8mg(1.90%)のコロイド二酸化ケイ素と、0.16mg(0.02%)のブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)とを含む。別の例示的な剤形、例えば、異なる強度のカプセルは、オピオイド、例えば5mg、10mg、20mg、30mg、または40mgのオピオイドと、賦形剤とを下記% w/wで含むことができる:5.13%の、塩基または塩のいずれかとしての、オピオイド(例えば、オキシコドン、オキシモルホン、ヒドロコドンまたはヒドロモルホン)(微粉化または非微粉化)、40.98%の薬剤スクロースアセテートイソブチレート(SAIB)と、27.32%のトリアセチン、USPと、14.23%のミリスチン酸イソプロピル、NF(IPM)と、4.74%のセルロースアセテートブチレート、NF/EPと、精製アルコール(例えば、グレード381-20BP)と、5.69%のヒドロキシエチルセルロース、NFと、1.90%のコロイド二酸化ケイ素、NFと、0.02%のブチル化ヒドロキシトルエン、NFとを含む。例えば、60mgまたは80mgカプセル剤形では、下記の代わりの% w/wを調製し、本明細書で記載するように使用することができる:(a)10.26%の、塩基または塩としてのオピオイド(例えば、オキシコドン、オキシモルホン、ヒドロコドンまたはヒドロモルホン)(微粉化または非微粉化)と、36.21%の薬剤スクロースアセテートイソブチレート(SAIB)と、26.82%のトリアセチン、USPと、14.36%のミリスチン酸イソプロピル、NFと、4.94%のセルロースアセテートブチレート、NF/EPと、精製アルコール(例えば、グレード381-20BP)と、5.38%のヒドロキシエチルセルロース、NFと、2.02%のコロイド二酸化ケイ素、NFと、0.02%のブチル化ヒドロキシトルエン、NF、または、(b)10.26%の、塩基または塩としてのオピオイド(例えば、オキシコドン、オキシモルホン、ヒドロコドンまたはヒドロモルホン)(微粉化または非微粉化)と、36.46%の薬剤スクロースアセテートイソブチレート(SAIB)と、27.01%のトリアセチン、USPと、14.36%のミリスチン酸イソプロピル、NFと、5.38%のセルロースアセテートブチレート、NF/EPと、精製アルコール(例えば、グレード381-20BP)と、2.69%のヒドロキシエチルセルロース、NFと、2.02%のコロイド二酸化ケイ素、NFと、1.79%のGelucire(例えば、44/14)、EP/NFと、0.02%のブチル化ヒドロキシトルエン、NF。
【0086】
実施例3
実施例2の試料と、例示的な剤形に対し有用な微粉化および非微粉化オキシコドンを含む別の試料を、その化学的安定性および物理的安定性に対し試験する。25℃/60% RHおよび40℃/75% RHの両方で貯蔵した微粉化および非微粉化試料からの安定性データの比較に基づき、例示的なロットに対する表4および5で示されるように、3ヶ月の研究を通して不純物プロファイルに差は観察されない。分析した不純物としては、(HOXY)、14-ヒドロキシコデイノン、(DHOXYN)、7,8-ジヒドロ-8,14-ジヒドロキシコデイノン、(DHOXY)、7,8-ジヒドロ-14-ヒドロキシコデイン、(OXYE)、オキシコドンエチルエノレート、(OXYN)、1-ヒドロキシオキシコドンおよびオキシコドンN-オキシドが挙げられる。これらの不純物のほとんどが、0.1%で変化しなかったHOXYおよびDHOXYNを除き、定量限界(LOQ)未満であることが見出される。効力アッセイは、微粉化試料に対し99.2〜100.7%、非微粉化ロットに対して99.5〜101.1%である。微粉化オキシコドンの固体状態安定性を、表6に示されるように、粒子サイズ、XRPD、DSC、および顕微鏡観察に対してモニタする。
【0087】
(表4)微粉化オキシコドン遊離塩基の化学安定性

【0088】
(表5)非微粉化オキシコドン遊離塩基の化学安定性

【0089】
(表6)微粉化オキシコドン遊離塩基の物理的安定性

a非微粉化ロットのXRPD
ロット3を25℃/60% RHで貯蔵し、さらに、1、6、9および12ヶ月で安定性に対し試験したところ、粒子サイズ(Dv90)はそれぞれ、9μ、10μ、8μおよび8μであった。ロット3を40℃/75% RHで貯蔵し、さらに、1および6ヶ月で試験したところ、粒子サイズ(Dv90)はそれぞれ、9μおよび10μであった。
【0090】
オピオイドの別のロットを調製した。オキシコドン塩基の3つの大量ロット(例えば、28kg、28kg、25.9kg)を微粉化し、乾燥剤中でパッケージし(例えば、実施例1を参照されたい)、25℃/60% RHで貯蔵した。これらの微粉化ロットを、0、6、9および12ヶ月での安定性に対し試験したところ、粒子サイズ(Dv90)は、第1のロットでは、それぞれ、6μ、7μ、6μおよび7μであり、第2のロットでは、それぞれ、4μ、5μ、6μおよび6μであり、第3のロットではそれぞれ、4μ、6μ、6μおよび7μであった。ABUK(例えば、14-ヒドロキシコデイノン)濃度は、安定性試験全体を通して0.07%または0.08%(w/w)であった。0.001%以下のABUK(例えば、14-ヒドロキシコデイノン)を有する高純度オキシコドン塩基の3つのロット(例えば、それぞれ6kg)を微粉化し、乾燥剤中でパッケージし(例えば、実施例1を参照されたい)、例えば、25℃/60% RHおよび/または40℃/75% RHで貯蔵した。これらの高純度微粉化ロットを0、1、3、6、9および12ヶ月での安定性に対し試験したところ、粒子サイズ(Dv90)は、第1の高純度ロットでは、それぞれ、4μ、5μ、5μ、5μ、6μおよび6μであり、第2の高純度ロットでは、それぞれ、4μ、4μ、4μ、5μ、5μおよび5μであり、第3の高純度ロットではそれぞれ、5μ、4μ、4μ、5μ、5μおよび5μであった。これらの高純度微粉化ロットを25℃/60% RHで貯蔵し、0、1、3、6、9および12ヶ月での安定性に対し試験したところ、粒子サイズ(Dv90)は、第1の高純度微粉化ロットでは、それぞれ、4μ、4μ、5μ、5μ、7μおよび6μであり、第2の高純度微粉化ロットでは、それぞれ、4μ、4μ、4μ、6μ、5μおよび6μであり、第3の高純度微粉化ロットではそれぞれ、5μ、4μ、4μ、5μ、5μおよび5μであった。これらの高純度微粉化ロットを40℃/75% RHで貯蔵し、0、1、3および6ヶ月での安定性に対し試験したところ、粒子サイズ(Dv90)は、第1の高純度微粉化ロットでは、それぞれ、4μ、5μ、5μおよび5μであり、第2の高純度微粉化ロットでは、それぞれ、4μ、5μ、5μおよび6μであり、第3の高純度微粉化ロットではそれぞれ、5μ、4μ、5μおよび5μであった。
【0091】
実施例4
ヒドロモルホンHCl調製物の微粉化は、実施例2で記載されるように、Spiral Jet Millおよびスクリュー供給機装置を用いて実施することができる。微粉化または非微粉化ヒドロモルホンHClの粒子サイズ分布は、Malvern Hydro 2000Sリサーキュレータを2%のレシチンを含むIsopar G溶液で満たし、そのシンチレーションバイアルを約20mlの2%のレシチンを含むIsopar G溶液で満たし、試料調製物の超音波処理は15秒間であり、試料懸濁液を担体流体槽中に添加して10〜20%の範囲の曖昧レベルを得ることを除き、実施例2で記載したものと同様の例示的な方法にしたがい、レーザ回折粒子サイズ分析により決定することができる。
【0092】
例示的な微粉化法では、供給ホッパーにヒドロモルホンHCl(例えば、500mgロット)が添加され、ヒドロモルホンHClの微粉化が実施例1で記載されたSpiral Jet Millを用いて実施される。ミリング連続の開始では、粉砕機チャンバ直径は50mmであり、ノズルリングは50°、4×0.8mmに設定され、インジェクタノズル直径は0.9mmであり、ギャップ設定は+3mmである。標的供給速度は50g/分である。インジェクタガス圧は、ヒドロキシモルホンHClを、Spiral Jet Mill、チャンバ内へ常時に引きこむために粉砕ガス圧よりも約0.3〜0.7bar高く、例えば、インジェクタガス圧が5.5barであり、粉砕ガス圧が4.8barである。
【0093】
ヒドロモルホンHClを、70psiおよび50g/分供給速度の圧縮N2ガスで、計3回の実施で微粉化する。実施例1で記載したように、ヒドロモルホンHClの微粉化後直ちに、乾燥下で貯蔵しても、分散されず、凝集され、または塊状化された材料となる粒子の不安定性が観察される。ヒドロモルホンHClの安定性を増加させるために調整研究が設計されている。3回の実施を調整研究のために使用する。500gの非微粉化試料から、450gの微粉化試料が得られる。約60gを、微粉化ヒドロモルホン製剤および剤形の調製のために直ちに配合する。残りの量を実施例1で記載したように静電気防止/乾燥貯蔵に入れる。
【0094】
(表7)ヒドロモルホンHClの貯蔵前24時間の調整

【0095】
上記バッチから得られた微粉化試料(例えば、125g)は、試料が微粉化された同じ日に得られ、非微粉化開始材料の試料(例えば、125g)を表7で記載したような調整試験のために使用する(グループ1〜5は微粉化、およびグループ6〜10は非微粉化)。例示的な調整研究の結果は、例えば、表7で示される条件5の処理により安定化された微粉化ヒドロモルホンHCl調製物が得られることを示す。例示的な非微粉化ヒドロモルホンHCl調製物は226μのDv90、116μのDv50および26μのDv10を有する。24時間60℃で調整され(表7の条件5)、実施例1で記載したように乾燥下、周囲温度で貯蔵された例示的な微粉化ヒドロモルホンHCl調製物は、11.2μのDv90、4.7μのDv50および0.8μのDv10を有する。微粉化調製物を25℃/60% RHの安定性試験条件下に3ヶ月置くと、Dv90は11.2μ、Dv50は4.5μ、Dv10は0.8μとなり、12ヶ月ではDv90は10.5μ、Dv50は4.4μ、Dv10は0.8μとなる。微粉化調製物を40℃/75% RHの安定性試験条件下に3ヶ月置くと、Dv90は17.1μ、Dv50は8.4μ、Dv10は0.9μとなり、12ヶ月ではDv90は16.5μ、Dv50は8μ、Dv10は0.8μとなる。このように、微粉化させた後、調整した微粉化調製物を数ヶ月(例えば、3ヶ月および12ヶ月)貯蔵し、試験した場合、粒子サイズは、安定化され、長期安定性(25℃/60% RH)または加速安定性(40℃/75% RH)の試験条件下で20μ以下である。
【0096】
本開示は、その特定の実施形態を参照して記載してきたが、本開示の真の精神および範囲から逸脱しなければ、様々な変化が可能であること、等価物と置換可能であることは当業者には理解されるはずである。さらに、特定の状況、材料、物質組成、過程、過程の1つまたは複数の工程を、本開示の目的、精神および範囲に適合させるように多くの改変が可能である。そのような改変は全て、添付の特許請求の範囲内にあるように意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約10μ以下または約20μ以下のDv90粒子サイズ分布を含む安定化された微粉化オピオイド粒子を含む、非エアロゾル医薬製剤。
【請求項2】
前記粒子が流体媒質中に存在する、請求項1記載の非エアロゾル医薬製剤。
【請求項3】
前記オピオイドがオキシコドンである、請求項1記載の非エアロゾル医薬製剤。
【請求項4】
前記オピオイドがヒドロモルホンである、請求項1記載の非エアロゾル医薬製剤。
【請求項5】
前記オピオイドが遊離塩基形態である、請求項1記載の非エアロゾル医薬製剤。
【請求項6】
前記オピオイドが塩形態である、請求項1記載の非エアロゾル医薬製剤。
【請求項7】
前記製剤が経口投与に適している、請求項1記載の非エアロゾル医薬製剤。
【請求項8】
前記製剤が経皮投与に適している、請求項1記載の非エアロゾル医薬製剤。
【請求項9】
前記製剤が坐薬投与に適している、請求項1記載の非エアロゾル医薬製剤。
【請求項10】
前記製剤が非経口投与に適している、請求項1記載の非エアロゾル医薬製剤。
【請求項11】
前記製剤が賦形剤をさらに含む、請求項1記載の非エアロゾル医薬製剤。
【請求項12】
前記賦形剤が溶媒である、請求項1記載の非エアロゾル医薬製剤。
【請求項13】
前記溶媒が親水性溶媒である、請求項12記載の非エアロゾル医薬製剤。
【請求項14】
前記溶媒が疎水性溶媒である、請求項12記載の非エアロゾル医薬製剤。
【請求項15】
前記賦形剤が酸化防止剤である、請求項11記載の非エアロゾル医薬製剤。
【請求項16】
安定化された微粉化オピオイド粒子と流体媒質とを含む経口剤形であって、前記安定化された微粉化オピオイド粒子が前記流体媒質内に均一に分散されている、経口剤形。
【請求項17】
賦形剤をさらに含む、請求項16記載の経口剤形。
【請求項18】
前記賦形剤が溶媒である、請求項17記載の経口剤形。
【請求項19】
前記溶媒が親水性溶媒である、請求項18記載の経口剤形。
【請求項20】
前記溶媒が疎水性溶媒である、請求項18記載の経口剤形。
【請求項21】
前記オピオイドがオキシコドンである、請求項20記載の経口剤形。
【請求項22】
5mg、10mg、20mg、30mgまたは40mgのオキシコドンを含む、請求項21記載の経口剤形。
【請求項23】
前記オキシコドンがオキシコドン遊離塩基である、請求項21または22記載の経口剤形。
【請求項24】
前記オキシコドンがオキシコドンHClである、請求項21または22記載の経口剤形。
【請求項25】
前記オピオイドがヒドロモルホンである、請求項16記載の経口剤形。
【請求項26】
前記オピオイドが遊離塩基形態である、請求項16記載の経口剤形。
【請求項27】
前記オピオイドが塩形態である、請求項16記載の経口剤形。
【請求項28】
懸濁化剤をさらに含む、請求項16記載の経口剤形。
【請求項29】
ポリマをさらに含む、請求項16記載の経口剤形。
【請求項30】
前記流体媒質内の前記安定化された微粉化オピオイド粒子が、約10μ以下または約20μ以下のDv90粒子分布サイズを含む、請求項16記載の経口剤形。
【請求項31】
液体、半液体、または蝋状媒質中の安定化された微粉化オピオイド粒子を含む薬物送達形態であって、該安定化された微粉化オピオイド粒子が約10μ以下または約20μ以下のDv90粒子サイズ分布を含む、薬物送達形態。
【請求項32】
前記オピオイドがオキシコドンである、請求項31記載の薬物送達形態。
【請求項33】
前記薬物送達形態が、経皮パッチ、坐薬、ローション、クリーム、軟膏、ゲル、移植物またはポンプである、請求項31記載の薬物送達形態。
【請求項34】
(a)インジェクタガスを用いて空気ジェットミル内に注入させた非微粉化オピオイド粒子を、粉砕ガスの存在下、オピオイドを微粉化させるのに十分な期間およびガス圧レベル下、衝突させる工程であって、前記インジェクタガス圧が前記粉砕ガス圧よりも大きく、前記微粉化オピオイド粒子が約10μ以下または約20μ以下のDv90粒子を有する、工程と、
(b)工程(a)直後に、前記微粉化オピオイド粒子を乾燥下でパッケージし、貯蔵する工程と
を含む、微粉化オピオイド粒子を調製するための方法。
【請求項35】
前記オピオイドが遊離塩基または塩形態である、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記オピオイドがオキシコドン遊離塩基である、請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記オキシコドンがオキシコドンHClである、請求項36記載の方法。
【請求項38】
前記オピオイドがヒドロモルホンである、請求項35記載の方法。
【請求項39】
前記ヒドロモルホンがヒドロモルホンHClである、請求項38記載の方法。

【公表番号】特表2011−506342(P2011−506342A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537128(P2010−537128)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/085738
【国際公開番号】WO2009/076236
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(510156398)ペイン セラピューティクス インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】