説明

微粒子とその製造方法、およびハードコート剤

【課題】工程数が少ない製造方法でシリカ化合物を粒子の外郭に偏在させ、屈折率非連続的な変化のない微粒子を得ること、高い防眩性、防反射性、防ニュートンリング性等の光学特性を付与する際に、ベース樹脂との密着性に優れ、防眩性や視認性などの光学特性および鉛筆硬度や擦傷性などの機械特性に優れたハードコート剤およびハードコートフィルムを得ることである。
【解決手段】ウレタン結合を介して重合性不飽和基を有するシリカ化合物と重合性不飽和基含有単量体を懸濁重合により製造した微粒子をラジカル重合性熱硬化樹脂を含有すハードコート剤とし、これにより、フィルムを得ることである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶、プラズマ等の各種ディスプレイの表面に使用する光学フィルムのハードコート剤に配合する微粒子とその製造方法、およびそれを利用したハードコート剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイの表面に使用される光学フィルムとしては、ディスプレイ内部から照射される光の眩しさを軽減したり、蛍光灯や外光の映り込みを防止して画像の視認性を高められる防眩性が要求されている。しかし、従来の技術では画像の写り込み性と画像視認性は相反する関係にあり、画像の写り込み性を高めると画像視認性が低下する問題が生じていた。さらには、ディスプレイの解像度向上に伴ない、チラツキや白ボケなどの現象が生じやすくなり、それに対する解決策として微粒子の粒子径や屈折率、形状などを変更したり、防眩層表面の凹凸の高さや間隔を精密に制御することで対応してきたが、これまでのところ防眩性および画像視認性などの光学性能、鉛筆硬度や擦傷性の機械特性両者を満足するフィルムは開発されていない。例えば 特開平6−87632号公報においては、防眩性を高めるために無定形シリカを添加した透明膜材料を偏向フィルムの表面に塗工しているが、無定形シリカでは光の乱反射が多くなり、画像の視認性が劣るという問題が生じていた。
他方、これまで有機微粒子内に金属酸化物を含有させる処方として、懸濁重合時に金属酸化物微粒子を分散させる方法や、コア部の重合を行った後に金属酸化物含有成分をシード重合させる方法などが提案されている。前者は粒子内の均一に屈折率等を向上させる手法として、後者は粒子内の屈折率を層として変化させる手段として開発されているが、光学的な特性を十分に満足させる方法ではない。例えば特開2001−287308は 光学用途のハードコート剤微粒子としてハードコート剤とシリカ化合物微粒子のシリルオキシ基を介して重合性不飽和基の導入は記載されているものの本願のウレタン結合による具体例はなく、また 本願の微粒子の構成組成物と微粒子そのものとは異なり視認性等の光学特性は開示されていない。
【0003】
ハードコート剤としては、硬化性、設計性、柔軟性、コスト等からラジカル重合型バインダーが広くを用いられ、熱、紫外線、電子線、α−線、γ−線、X−線等で硬化させる。このバインダーに防眩性、防反射性、防ニュートンリング性を付与するために微粒子を配合するが、無機化合物や金属酸化物は硬度付与に相反して樹脂との密着性が悪くなり、また密着性改善のためにカップリング剤を用いるものの十分な効果は得られていない。逆に 有機微粒子を使用した場合は樹脂との密着性に優れるものの、硬さが十分ではない。また 両者の折中方法として、有機微粒子中に無機化合物を構成することも検討されているが、製造上の問題等で使用できるレベルには到っていない。
【0004】
特開2004−256753は本発明で使用しているウレタン結合を介して重合性不飽和基を有するシリカ化合物の基本となる特許公報である。
【特許文献1】特開2004−256753公報
【特許文献2】特開平6−87632号公報
【特許文献3】特開2001−287308公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明が解決しようとする第一の課題は、工程数が少ない製造方法でシリカ化合物を粒子の外郭に偏在させることができ、しかも 屈折率の非連続的な変化を伴わない微粒子を得ることである。第二の課題は高い防眩性、防反射性、防ニュートンリング性等の光学特性を付与する際に、ベース樹脂との密着性に優れ、防眩性や視認性などの光学特性および鉛筆硬度や擦傷性などの機械特性に優れたハードコート剤およびハードコートフィルムを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、請求項記載の手段、条件で独特な粒子構造を有する微粒子を合成し、この微粒子をハードコート剤に配合することで、ベース樹脂との密着性に優れるとともに、防眩性や視認性などの光学特性および鉛筆硬度や擦傷性などの機械特性に優れたハードコートフィルムを製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。粒子構造としてはシリカ化合物が微粒子の外郭に偏在した特徴を有しており、本発明のウレタン結合を介して重合性不飽和基を有するシリカ化合物と重合性不飽和基を有する単量体を懸濁重合することで工程数が少ない。また推測の域を脱しないが、シリカ化合物の表面の水酸基等による親水性傾向とシリカ化合物より疎水性である重合性不飽和基を有する単量体が懸濁重合時に混在する極性溶剤が、シリカ化合物が粒子の外郭に偏在化することに寄与していると考えられる。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明は、ウレタン結合を介して重合性不飽和基を有するシリカ化合物と重合性不飽和基含有単量体とを懸濁重合により製造してなる微粒子であり、得られた微粒子は前記シリカ化合物が外郭に偏在する。この微粒子はラジカル重合性樹脂に配合すると、耐久性および密着性に優れるばかりか、防眩性と視認性などの光学特性にも優れる。
請求項2の発明は、前記重合性不飽和基含有単量体が、スチレン、ジビニルベンゼン、αメチルスチレン等スチリル基を有する単量体、あるいはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等のアクリレート類から選ばれてなる微粒子であり、ウレタン結合を介して不飽和基を有するシリカ化合物と共重合をする。この単量体として、懸濁、重合時に疎水性が高いスチリル基を有する単量体を用いることにより、親水性基を含むシリカ化合物が微粒子の外郭に偏在することを助長する。
請求項3の発明は、前記微粒子が、ウレタン結合を介して重合性不飽和基を有するシリカ化合物と重合性不飽和基含有単量体との懸濁重合時に極性溶剤を含有して重合されることを特徴とする微粒子の製造方法であり、請求項1記載微粒子のシリカ化合物の偏在を効率的に発現する方法である。
請求項4の発明は 請求項1ないし2に記載の微粒子とラジカル重合性熱硬化樹脂を含有するハードコート剤であり、ラジカル重合性熱硬化樹脂にアクリル樹脂などの有機材料を使用することにより、鉛筆硬度や擦傷性などのハードコート特性の他に、防眩性や画像視認性などの光学特性も付与できる。
請求項5の発明は 前記のラジカル重合性熱硬化樹脂がウレタン結合を介して重合性不飽和基を有するシリカ化合物を含む請求項4記載ハードコート剤であり、ラジカル重合性熱硬化樹脂が請求項1ないしは2に記載の微粒子と同成分のシリカ化合物が使用されているために微粒子との密着性に優れ、また、シリカ化合物が分子レベルで結合されているため、鉛筆硬度や擦傷性などの機械特性が特に優れたハードコート性能を有し、また防眩性や画像視認性などの光学特性も併せ持つことが可能である。
以下、本発明について詳細に説明する。
【0008】
ウレタン結合を介して重合性不飽和基を有するシリカ化合物
本発明においては、ウレタン結合を介して重合性不飽和基を有するシリカ化合物を二つのケースで用いる。1つ目は微粒子を製造する時の懸濁重合用単量体として、もう一つはハードコート剤の組成単量体としても用いる。両者とも製造手法は同じであり、用途、目的に応じてシリカ化合物の種類や粒子径、イソシアネート基の種類や官能数、重合性不飽和基の種類や官能数を変更することもできる。導入する不飽和基の数、単量体間の相溶/不相溶等についてはイソシアネート基含有化合物や重合性不飽和基を有する水酸基含有単量体を適宜選択し、使用する。上記に示す微粒子を製造する際のウレタン結合を介して重合性不飽和基を有するシリカ化合物の懸濁液中での単量体中配合比率はシリカとして1〜50重量%である。好ましくは5重量%以上、10重量%以下で効率良く粒子の外郭にシリカを存在させられ、防眩性や視認性などの光学特性および鉛筆硬度や擦傷性などの機械特性に優れたハードコート剤が得られる。さらには、ハードコート剤単量体としても重合性不飽和基を有するシリカ化合物を使用することで本微粒子の分散が容易になり、かつ他のハードコート剤より機械特性に優れたハードコートフィルムが得られる。
シリカ化合物としては、特に限定はされないが、有機溶剤を分散媒とした市販品スラリーを使用することができる。シリカとしてはコロイダル状態である必要はなく、シリケートを有する化合物で良いが、シリカ表面上に存在する水酸基の一部が表面処理されており、有機溶媒に分散可能な疎水基を持つコロイダルシリカを使用することが望ましい。さらに好ましくは、コロイダルシリカ表面上の水酸基の一部をシロキサン化合物および/またはモノアルコキシシラン化合物のようなシリル化剤等で表面処理し、0.1〜12重量%の水溶解度を有する疎水性有機溶媒にコロイダル分散していることが望ましい。
【0009】
コロイダルシリカの分散媒としての有機溶剤としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等を挙げることができる。また反応性溶媒としてメチルメタクリレートをはじめとするアクリル単量体などをあげることができる。
【0010】
イソシアネート基と重合性不飽和基とを持つイソシアネート化合物、例えば(メタ)アクリロイル基およびイソシアネート基を含む化合物としては、アクリロイルイソシアナート、メタクリロイルイソシアナート、アクリル酸2−イソシアナートエチル、メタクリル酸2−イソシアナートエチル等があげられる
【0011】
また、二つ以上のイソシアネート基を含有する化合物も使用でき、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタントリイソシアネート、3,3’−ジメチルフェニレンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネート、4−ジフェニルプロパンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,5(又は6)−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、トリエチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、トリエチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートのオリゴマー、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体等が挙げられる。
また、これらのイソシアネート化合物は、単独或いは二種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0012】
上記イソシアネート化合物のイソシアネート基に導入する重合性不飽和基を有する化合物は、水酸基含有単量体などが挙げられる。単官能アクリレートとして2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールアクリレートなどがあげられる。多官能アクリレートとしてトリメチロールプロパンジアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパンジアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどの水酸基含有単量体などが挙げられる。また、鉛筆硬度や擦傷性などのハードコート性能や硬化速度を高めるためにイソシアネート基に導入する重合性不飽和基を有する水酸基含有単量体を多官能アクリレートにすることが好ましい。
また、水酸基以外のイソシアネート基と反応する重合性不飽和基を持つ化合物としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、ケイヒ酸、マレイン酸、フマル酸、2−(メタ)アクリロキシプロピルヘキサヒドロゲンフタレ−ト、2−(メタ)アクリロキシエチルヘキサヒドロゲンフタレ−ト等の不飽和脂肪族カルボン酸類、2−(メタ)アクリロキシプロピルフタレ−ト等の不飽和基を有する芳香族カルボン酸、ビニルオキシエチルアミン、ビニルオキシドデシルアミン、アリルオキシプロピルアミン、2−メチルアリルオキシへキシルアミン、ビニルオキシ−(2−ヒドロキシ)ブチルアミン等のアミノ基含有単量体なども使用することができる。
これらの重合性不飽和基を有する化合物は、単独或いは二種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0013】
上記イソシアネート化合物への重合性不飽和基を導入するための反応、および上記コロイダルシリカと上記イソシアネート基との反応を促進させるため、触媒を添加することもできる。たとえば、ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、ラウリル酸ジn−ブチルスズ、トリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、2,6,7−トリメチル−1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンなどのウレタン化触媒を、反応物の総量100重量部に対して0.01〜1重量部用いるのが好ましい。
【0014】
また 上記イソシアネート化合物への重合性不飽和基を導入するための反応は、ウレタン触媒の存在下で、イソシアネート基に対して不活性な溶剤、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネートなどのグリコールエーテルエステル系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、フルフラール等の極性溶剤の1種または2種以上を使用して行われる。
【0015】
上記イソシアネート基とコロイダルシリカとの反応途中においてIRもしくはアミン滴定を行い経時的に残存イソシアネート基の濃度を測定し変化が見られなくなったところを反応の終点とする。残存イソシアネート基がある場合は過剰のイソシアネート基をブロックするために、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類や前記のイソシアネート基と反応可能な化合物を添加してもよい。残存イソシアネート基が存在すると保存性の低下とともに、後で利用する時に副反応を生じる恐れがある。
【0016】
重合性不飽和基を有する単量体、ラジカル重合性熱硬化樹脂
重合性不飽和基を有する単量体はウレタン結合を介して重合性不飽和基を有するシリカ化合物との共重合単量体として、またハードコート剤の組成物単量体として使用する。共重合単量体としてはラジカル共重合可能な単量体が好ましく、不飽和基を有するシリカ化合物との相溶性、懸濁分散媒との相溶性を考慮して選択決定する。その中でもスチリル基を有する単量体が共重合性、疎水性の点から望ましい。水酸基を有する単量体はシリカ化合物より親水性になり、本発明のシリカ化合物が粒子の外郭に偏在する特徴が得られなくなるため、懸濁重合時の使用には適さない。また、微粒子の耐溶剤性や耐樹脂性を高めるために多官能単量体などを添加しても良いが、多官能単量体は一般的に粘度が高くて懸濁液に適さないため、溶剤などを利用して懸濁液の粘度を落としたりする工夫が必要である。それら重合性不飽和基を有する単量体はシリカ化合物の濃度が1〜50重量%になるように配合し、5重量%以上10重量%以下で効率良く粒子内にシリカ化合物を偏在化させられる。
ハードコート剤に使用されるラジカル重合性熱硬化樹脂は、(メタ)アクリロイル基を含有するポリエステルアクリレート、オリゴエステルアクリレート、主鎖がポリエーテル、ポリエステルであるウレタンアクリレート、アクリルメラミン、シリコーンアクリレート等の各種アクリレート系オリゴマーやプレポリマー等がある。基本的には共重合単量体と同じであるが、ハードコート性能を付与するために多官能単量体が好ましい。また、生産性のため 重合時間すなわち硬化速度を速くする必要があるため、反応速度が速いアクリロイル基を有する単量体が使用される。
重合性不飽和基を有する単量体としてはアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル、不飽和ニトリル単量体、不飽和カルボン酸、アミド基含有単量体、メチロール基含有単量体、アルコキシメチル基含有単量体、エポキシ基含有単量体、多官能性単量体、ビニルエステル、オレフィンなど分子鎖中に反応性二重結合をもつ化合物である。
以下、例示する。
アクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステルの例としてメチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレートなどが挙げられる。
不飽和ニトリル単量体の例としてアクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
不飽和カルボン酸の例としてアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、モノアルキルイタコネート等がある。
【0017】
上記以外のラジカル重合性単量体も必要に応じて組み合わせてもよい。例えばアミド基含有単量体具体的にはアクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−メチレンビスアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミド、メチロール基含有単量体具体的にはN−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、ジメチロールアクリルアミド、ジメチロールメタクリルアミド、アルコキシメチル基含有単量体具体的にはN−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミド、エポキシ基含有単量体具体的にはグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、メチルグリシジルアクリレート、メチルグリシジルメタクリレート、多官能性単量体具体的にはジビニルベンゼン、ポリオキシエチレンジアクリレート、ポリオキシエチレンジメタクリレート、ポリオキシプロピレンジアクリレート、ポリオキシプロピレンジメタクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸のモノまたはジエステル、例えばマレイン酸モノまたはジブチル、フマル酸モノまたはジオクチル、ビニルエステル具体的には酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、オレフィン例えばブタジエン、イソプレン、塩素含有ビニル単量体例えば 塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレン、その他スチレンなどを挙げることができる。
これら重合性不飽和基をもつ化合物は、単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
懸濁重合
本発明の微粒子は重合性単量体の懸濁重合により製造することができ、この微粒子の個数平均粒子径および個数粒度分布(実施例では個数分布と省略)は、ベックマン・コールター社のコールターマルチサイザーIIにより測定することができる。本発明の微粒子の個数平均粒子径や個数粒度分布は懸濁液の粘度、分散剤の種類および濃度、重合前の反応開始に先立つ分散機の回転数や分散時間を調整することで、任意に調整できる。粒度分布の狭い微粒子を製造するためには懸濁液にかかるせん断力が均一になるような分散機の種類および容器の構造を選ぶ必要がある。分散機としてホモディスパーやコロイドミルタイプが好ましい。懸濁重合に使用する単量体の組み合わせは、非水溶性不飽和単量体であれば使用でき、たとえば、スチリル系では、スチレン、ジビニルベンゼン、αメチルスチレン等の単量体、アクリル系では、メチルメタクリレート単量体、メチルアクリレート単量体、ブチルメタクリレート単量体、ブチルアクレート単量体などの単量体があり、耐熱性や耐溶剤性を改善する目的でこれらに多官能ビニル単量体などの重合性単量体を配合することがある。
分散剤としては、たとえば、ゼラチン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコールなどの水溶性高分子、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウムなどの無機物などがあげられる。これらの分散剤のうち、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、リン酸三カルシウムなどが好ましく用いられる。これらの分散剤は、一種または二種以上使用することができる。分散剤の使用量は、例えば単量体混合物全体に対して、0.1〜50重量%、好ましくは20〜40重量%である。さらに懸濁液を安定化するために界面活性剤(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤やノニオン性界面活性剤など)、水溶性メルカプタン化合物や亜硝酸ナトリウムなどの水相重合の禁止剤などを添加してもよい。
ラジカル重合開始剤としては例えばベンゾイルパーオキサイド、o−メトキシベンゾイルパーオキサイド、o−クロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物などが例示される。これらのラジカル重合開始剤のうち、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを用いる場合が多い。ラジカル重合開始剤は一種又は2種以上使用でき、その使用量は、単量体混合物全体に対して0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜2重量%程度である。
懸濁重合により生成した懸濁液からポリマー微粒子を回収する方法としては、例えば遠心分離機により脱水して、減圧乾燥機などにより乾燥する方法や、噴霧乾燥などの方法により得ることができる。また、ベース樹脂との分散性を高めるために粒子表面上に残存する分散剤や界面活性剤をできる。さらには、空気分級や湿式分級などを使用して粒子径や粒度分布を任意に調整できる。
【0019】
極性溶剤
極性溶剤は多官能単量体の希釈剤として、また推測の域を脱しないが懸濁液の懸濁、重合時にシリカ化合物の偏在化に寄与している。希釈剤としては非極性溶剤でも使用できるが、残留溶剤として残る可能性がある点、また前記シリカ化合物の溶解性に問題がある点などにより適さない。極性溶媒は、ウレタン結合を介して重合性不飽和基を有するシリカ化合物と重合性不飽和基を有する単量体との相溶/非相溶性に作用し、シリカ化合物が粒子内で偏在化することを助長している。
極性溶剤としてはウレタン結合を介して重合性不飽和基を有するシリカ化合物製造時のコロイダルシリカの分散媒をそのまま用いても良く、さらに、前記反応後過剰のイソシアネート基をブロックするアルコール類を代用しても良い。代用で不足の場合や適性が劣る場合は二種類以上を併用しても良い。
以下に例を記す。
酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネートなどのグリコールエーテルエステル系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、フルフラール等、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等かある。
【0020】
重合性不飽和基含有単量体
懸濁重合時のウレタン結合を介して重合性不飽和基を有するシリカ化合物は、共重合単量体である重合性不飽和基を有する単量体の内、疎水性基として知られるスチリル基を有する単量体を有するものに対して顕著な効果を有する。推測の域を脱しないが、ウレタン結合を介して重合性不飽和基を有するシリカ化合物との相溶性、非極性によるものと考えられる。例えばスチリル基を有する単量体としてスチレン、ジビニルベンゼン、αメチルスチレン等をあげることができる。
スチリル基以外でも、ウレタン結合を介して重合性不飽和基を有するシリカ化合物との相溶性、非極性から、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレートなどでもよく、水酸基、エーテル基、カルボキシキ基、スルフォニル基、メルカプト基なとの極性基を持たない単量体が好ましい。
スチリル基を有する単量体はシリカ化合物の濃度が1〜50重量%になるように配合し、5重量%以上10重量%以下で効率良く粒子内にシリカ化合物を偏在化させられる。
【0021】
ラジカル重合性熱硬化樹脂を含有するハードコート剤
微粒子及びラジカル重合性熱硬化樹脂を含有するハードコート剤は防眩性および画像視認性などの光学特性、鉛筆硬度や擦傷性などの機械特性を両立するハードコート剤である。微粒子の含有量としてはヘイズ値2〜15%になるように微粒子の添加量を任意に調整でき、ヘイズ値3〜8%で防眩性能および写像性に優れたものになる。
また 上記 ハードコート剤のうち、ラジカル重合性熱硬化樹脂がウレタン結合を介して重合性不飽和基を有するシリカ化合物を含むハードコート剤は微粒子とラジカル重合性熱硬化樹脂との相溶がさらによくなり、表面硬度や耐擦傷性、払拭性、リコート性に優れたものとなる。
ハードコート剤として各種の基材等に対する密着性を確保するために、適宜粘着付与樹脂(以下TFという)が配合される。TFには変成ロジン、重合ロジン、フェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂等のフェノール系、クマロンインデン系、脂肪族炭化水素系、テルペン樹脂等の芳香族石油系等の樹脂が使用できる。カルボキシル変性や水酸基変性をさせたものも使用できる。
その他、配合材料として、老化防止を向上させる目的で酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の金属酸化物が配合できる。
【0022】
また、帯電防止剤、導電性高分子、金属酸化物等を添加し帯電防止機能を付与することができる。
帯電防止剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノール、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、脂肪酸ポリエチレングリコールエステル、脂肪酸ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸ソルビタンエステル、脂肪酸グリセリンエステル、アルキルポリエチレンイミン等を挙げることができる。カチオン系としてアルキルアミン塩、アルキル第4級アンモニウム塩、アルキルイミダゾリン誘導体等を挙げることができる。またエチレンオキサイドを骨格に持つアクリレート化合物なども使用することができる。
導電性高分子としてポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ3,4−エチレンジオキシチオフェン及びこれらの誘導体を使用することができる。
金属酸化物としてアンチモンドープ型酸化錫(ATO)、錫ドープ型酸化インジウム(ITO)、アルミニウムドープ型酸化亜鉛、アンチモン副酸化物なども使用することができる。
またその他にリチウムイオンなどの金属イオンを混合するイオン伝導型の帯電防止剤も用いることができる。
ハードコートフィルムは微粒子および重合性不飽和基を有する単量体よりも屈折率の低い樹脂を積層することで、反射防止機能も併用することができる。屈折率の低い材料としては特に限定されないが、フッ素樹脂やシリコーン樹脂などを使用することができる。
【0023】
ハードコート剤の硬化に関して、加熱硬化の場合は硬化温度に適した半減期、活性を有する重合開始剤を使用し、重合開始剤としては、過酸化物、アゾビス化合物等が挙げられる。過酸化物としては、例えば過酸化ジブチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、クメンハイドロ過酸化物等、アゾビス化合物としては、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2‘−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド等が挙げられる。
【0024】
また、放射線重合も可能であり、電子線等は無触媒で硬化可能であるが、可視光、紫外線硬化の場合、光重合開始剤を使用することも可能である。例えば1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシドなどが挙げられ、市販品としてはIrgacure184、369、651、500、907、CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG24−61(以上、チバガイギー製)LucirinLR8728(BASF製)Darocure1116、1173(以上、メルク製)ユベクリルP36(UCB製)などが挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明について実施例、比較例を挙げてより詳細に説明するが、具体例を示すものであって特にこれらに限定するものではない。
<ウレタン結合を介して重合性不飽和基を有するシリカ化合物>
2−ヒドロキシエチルメタアクリレート(HEMA)2.84重量部に等モルのイソホロンジイソシアネート(IPDI)4.85重量部、触媒としてジラウリン酸ジーn−ブチルスズ(DBTDL)を0.01重量部加え、HEMA−IPDI単量体を得た。この単量体をMIBK分散コロイダルシリカ(SiO成分30%、平均粒子径20nm/日産化学(株)製)40重量部に添加し24時間、室温で撹拌後、イソプロパノールを加えた。IRにてイソシアネート基の反応の確認を行い、ウレタン結合を介して重合性不飽和基を有するシリカ化合物(以下シリカ含有単量体と示す)を製造した。
【0026】
<スチレン微粒子I>
スチレン単量体90重量部およびシリカ含有単量体10重量部、過酸化ベンゾイル1重量部の混合液にポリビニルアルコール(クラレ(株)製、PVA205)の10重量部水溶液5重量部およびイオン交換水275重量部を添加した。得られた混合液をホモミキサー(特殊機化工業(株)製)を用いて8000rpmで10分間分散処理し、単量体分散液を調整した。ついで、単量体分散液を攪拌機および還流冷却器を備えた重合容器内に仕込み、窒素気流下で撹拌しながら、80℃に昇温し、さらに80〜85℃で3時間熟成後、室温まで冷却し、多量の温水でPVAを除去した後、濾別、洗浄、乾燥し、スチレン微粒子I(以下PSt−Si微粒子と示す、個数分布:2.0μm)を製造した。
図1にスチレン微粒子Iの走査電子顕微鏡(SEM)観察写真を示す。撮影のため、エポキシ樹脂包埋、ウルトラミクロトーム切削、イオンエッチング、導電処理を行い、観察した。写真倍率は×20,000である。装置は日本電子製JSM−6340Fでる。中央部は微粒子であり、周辺部は本発明には関係のない上記包埋エポキシ樹脂である。
図2にスチレン微粒子Iの抽出画像を示す。
【0027】
<メチルメタクリレート微粒子I>
メチルメタクリレート90重量部およびシリカ含有単量体10重量部、過酸化ラウロイル1重量部の混合液にPVA205の10重量部水溶液5重量部およびイオン交換水275重量部を添加した。得られた混合液をホモミキサーを用いて6000rpmで10分間分散処理し、単量体分散液を調整した。ついで、単量体分散液を攪拌機および還流冷却器を備えた重合容器内に仕込み、窒素気流下で撹拌しながら、70℃に昇温し、さらに80〜85℃で3時間熟成後、室温まで冷却し、多量の温水でPVAを除去した後、濾別、洗浄、乾燥し、メチルメタクリレート微粒子I(以下MMA−Si微粒子と示す、個数分布:1.9μm)を製造した。
【0028】
<スチレン微粒子II>
スチレン単量体90重量部、ジビニルベンゼン10重量部および過酸化ベンゾイル1重量部の混合液にPVA205の10重量部水溶液5重量部およびイオン交換水275重量部を添加した。得られた混合液をホモミキサーを用いて8000rpmで10分間分散処理し、単量体分散液を調整した。ついで、単量体分散液を攪拌機および還流冷却器を備えた重合容器内に仕込み、窒素気流下で撹拌しながら、80℃に昇温し、さらに80〜85℃で3時間熟成した。その後、室温まで冷却し、多量の温水でPVAを除去した後、濾別、洗浄、乾燥し、スチレン微粒子II(以下PSt微粒子と示す、個数分布:2.0μm)を得た。
【0029】
<メチルメタクリレート微粒子II>
メチルメタクリレート90重量部、ジビニルベンゼン10重量部および過酸化ラウロイル1重量部の混合液にPVA205の10重量部水溶液5重量部およびイオン交換水275重量部を添加した。得られた混合液をホモミキサーを用いて6000rpmで10分間分散処理し、単量体分散液を調整した。ついで、単量体分散液を攪拌機および還流冷却器を備えた重合容器内に仕込み、窒素気流下で撹拌しながら、70℃に昇温し、さらに80〜85℃で3時間熟成した。その後、室温まで冷却し、多量の温水でPVAを除去した後、濾別、洗浄、乾燥し、メチルメタクリレート微粒子II(以下MMA微粒子と示す、個数分布2.1μm)を得た。
【実施例1】
【0030】
シリカ含有単量体/PSt−Si微粒子配合ハードコートフィルムの製造方法
製造したPSt−Si微粒子をシリカ含有単量体100重量部に対して1.1重量部添加し、さらにUV開始剤としてイルガキュア184(チバスペシャリティーケミカル(株))をシリカ含有単量体100重量部に対して5重量部添加し、超音波を用いて粒子を分散させた溶液を作製する。その後に188μmのPET(ポリエチレンテレフタレート:東レ(株)ルミラー(商品名))フィルムに硬化後の膜厚が2μmとなるように溶液を塗布し、80W/cmの水銀灯で、300mJ/cmの紫外線処理を行いハードコートフィルムを得た。
【実施例2】
【0031】
シリカ含有単量体/MMA−Si微粒子配合ハードコートフィルムの製造方法
製造したMMA−Si微粒子をシリカ含有単量体100重量部に対して0.8重量部添加し、さらにイルガキュア184をシリカ含有単量体100重量部に対して5重量部添加し、超音波を用いて粒子を分散させた溶液を作製する。その後に188μmのPETフィルムに硬化後の膜厚が2μmとなるように溶液を塗布し、80W/cmの水銀灯で、300mJ/cmの紫外線処理を行いハードコートフィルムを得た。
【実施例3】
【0032】
多官能アクリル単量体/PSt−Si微粒子配合ハードコートフィルムの製造方法
製造したPSt−Si微粒子をジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(ライトアクリレートDTMP−4A:共栄社化学(株))100重量部に対して1.0重量部添加し、さらにイルガキュア184をライトアクリレートDTMP100重量部に対して5重量部添加し、超音波を用いて粒子を分散させた溶液を作製する。その後に188μmのPETフィルムに硬化後の膜厚が2μmとなるように溶液を塗布し、80W/cmの水銀灯で、300mJ/cmの紫外線処理を行いハードコートフィルムを得た。
比較例1
【0033】
シリカ含有単量体/PSt微粒子配合ハードコートフィルムの製造方法
製造したPSt微粒子をシリカ含有単量体100重量部に対して1.0重量部添加し、さらにイルガキュア184をシリカ含有単量体100重量部に対して5重量部添加し、超音波を用いて粒子を分散させた溶液を作製する。その後に188μmのPETフィルムに硬化後の膜厚が2μmとなるように溶液を塗布し、80W/cmの水銀灯で、300mJ/cmの紫外線処理を行いハードコートフィルムを得た。
比較例2
【0034】
シリカ含有単量体/MMA微粒子配合ハードコートフィルムの製造方法
製造したMMA微粒子をシリカ含有単量体100重量部に対して1.0重量部添加し、さらにイルガキュア184をシリカ含有単量体100重量部に対して5重量部添加し、超音波を用いて粒子を分散させた溶液を作製する。その後に188μmのPETフィルムに硬化後の膜厚が2μmとなるように溶液を塗布し、80W/cmの水銀灯で、300mJ/cmの紫外線処理を行いハードコートフィルムを得た。
比較例3
【0035】
シリカ含有単量体/単分散性シリカ粒子配合ハードコートフィルムの製造方法
単分散シリカ粒子(SS−020:(株)トクヤマ、個数分布:2.0μm)をシリカ含有単量体100重量部に対して1.5重量部添加し、さらにイルガキュア184をシリカ含有単量体100重量部に対して5重量部添加し、超音波を用いて粒子を分散させた溶液を作製する。その後に188μmのPETフィルムに硬化後の膜厚が2μmとなるように溶液を塗布し、80W/cmの水銀灯で、300mJ/cmの紫外線処理を行いハードコートフィルムを得た。
比較例4
【0036】
シリカ含有単量体/多分散性シリカ粒子配合ハードコートフィルムの製造方法
多分散シリカ粒子(UF−305:(株)トクヤマ、個数分布:2.0μm)をシリカ含有単量体100重量部に対して2.0重量部添加し、さらにイルガキュア184をシリカ含有単量体100重量部に対して5重量部添加し、超音波を用いて粒子を分散させた溶液を作製する。その後に188μmのPETフィルムに硬化後の膜厚が2μmとなるように溶液を塗布し、80W/cmの水銀灯で、300mJ/cmの紫外線処理を行いハードコートフィルムを得た。
【0037】
【表1】

【0038】
評価方法は以下の通りとした。
1)全光線透過率:JIS K 7361−1(2000年版)3.2の規定に基づきヘイズメータ(スガ試験機製)により測定
2)ヘイズ度:JIS K 7136(2000年版)の規定に基づきヘイズメータ(スガ試験機製)により測定
3)写像鮮明度:JIS K 7105(2000年版)の規定に基づきTM式写像性測定器(スガ試験機製)により測定
4)防眩性:作製した防眩フィルムの表面に蛍光灯を照射し、45℃の角度から防眩フィルムを覗き込み、フィルム上で蛍光灯の形状を目視で確認した。
○:蛍光灯の形状が見えにくい
×:蛍光灯の形状がはっきりと分かる
5)密着性:JIS K 5600−5−6(1999年版)に基づく碁盤目試験による。塗工面に10×10にマス目を作成し、セロハンテープを貼り、上方に引っ張り剥離状況を確認する。剥がれなかったマス目を数える。「残存ます目数/全ます目数(100)」
6)鉛筆硬度:JIS K 5600に準じ、斜め45度に固定した鉛筆の真上から荷重をかけ引っ掻き試験を行い、傷の付かない鉛筆硬度を表示。

【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は鉛筆硬度や耐擦傷性などの機械特性や画像視認性や写像性に優れもことが必須であるタッチパネル、液晶表示体、プラズマディスプレイ、ELディスプレイ等の各種の表示機器用には好適であり、微粒子、微粒子を配合したハードコート剤、微粒子の製造方法は、有用なものとなる。

【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】<スチレン微粒子I>の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図2】図1の<スチレン微粒子I>の抽出画像(写真)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウレタン結合を介して重合性不飽和基を有するシリカ化合物と重合性不飽和基含有単量体とからなり、該シリカ化合物と該重合性不飽和基含有単量体とを懸濁重合により製造してなることを特徴とする微粒子。
【請求項2】
前記重合性不飽和基含有単量体が、スチレン、ジビニルベンゼン、αメチルスチレン等スチリル基を有する単量体、あるいはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等のアクリレート類から選ばれてなる請求項1記載の微粒子。
【請求項3】
前記微粒子が、ウレタン結合を介して重合性不飽和基を有するシリカ化合物と重合性不飽和基含有単量体との懸濁重合時に極性溶剤を含有して重合されることを特徴とする微粒子の製造方法。
【請求項4】
前記微粒子とラジカル重合性熱硬化樹脂とを含有することを特徴とするハードコート剤。
【請求項5】
前記ラジカル重合性熱硬化樹脂がウレタン結合を介して重合性不飽和基を有するシリカ化合物を含むことを特徴とする請求項4記載のハードコート剤。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−273956(P2006−273956A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−93046(P2005−93046)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000100698)アイカ工業株式会社 (566)
【Fターム(参考)】