説明

微粒子測定装置

【課題】本発明は、微粒子測定装置に係り、排気ガス中に含まれる微粒子の漏れ又は排気ガス中に含まれる微粒子の量を簡易な構成で精度よく測定することにある。
【解決手段】絶縁基材表面上に異なる種類の金属層を有し、先端側が排気ガスに晒される微粒子センサと、微粒子センサの後端側で異なる種類の金属層間に生じる、微粒子センサの先端側と後端側との温度差に基づく電位差を検出する電位差検出手段と、電位差検出手段の検出結果に基づいて、排気ガス中に含まれる微粒子の漏れ又は排気ガス中に含まれる微粒子の量を測定する測定手段と、を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微粒子測定装置に係り、特に内燃機関の排気ラインなどに流れる排気ガス中に含まれる微粒子の漏れ又は排気ガス中に含まれる微粒子の量を測定する微粒子測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディーゼルエンジンから排出されるC(炭素)を主とする微粒子(PM)を捕捉するのに、多孔質セラミックより構成される微粒子捕捉フィルタ(DPF:diesel particulate filter)を用いた排気浄化装置が知られている。このような排気浄化装置においては、DPFにディーゼルエンジンの継続的な使用に伴って徐々にPMが堆積する。このため、ディーゼルエンジン側から大気へPMが放出されるのを防止することができ、排気ガスを浄化することが可能である。
【0003】
DPFの使用中に、DPFにクラック等が生ずると、DPF下流側の排気ラインへPMが漏れ出す。DPFへのクラック等を防止する方策としては、適切なタイミングでDPFに堆積したPMを燃焼させて酸化除去することが有効である。そこで、DPFへのPM堆積量を測定してそのPMの燃焼タイミングを適切なものとするために、DPF上流側に接続し、内燃機関から排出された排気ガスの一部をサンプルガスとして取り入れる副排気ラインを設け、その副排気ライン上に微粒子センサを設けることが考えられる。また、DPF下流側の排気ラインへのPM漏れが生じたか否かを判別する方策としては、DPF下流側に接続し、DPF下流側に流通した排気ガスの一部をサンプルガスとして取り入れる副排気ラインを設け、その副排気ライン上に微粒子センサを設けることが考えられる。
【0004】
このような微粒子センサとしては、(1)PMが堆積する検査用フィルタを設け、その検査用フィルタ前後の圧力損失の変化に基づいてDPFへのPM堆積量を推定し又はDPF下流側へのPM漏れを診断する差圧方式のセンサ(例えば、特許文献1参照)、(2)電極を内蔵しPMが堆積する多孔体を設け、電極のショートに伴う抵抗変化に基づいてDPFへのPM堆積量を推定し又はDPF下流側へのPM漏れを診断する抵抗方式のセンサ(例えば、特許文献2参照)、又は(3)副排気ラインに光を照射する光照射部及び光を受光する光受光部を設け、光照射部から光受光部へ透過する光の量を測定してDPFへのPM堆積量を推定し又はDPF下流側へのPM漏れを診断する光方式のセンサ(例えば、特許文献3参照)、などが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−101602号公報
【特許文献2】特開2008−512661号公報
【特許文献3】特開2007−178369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、(1)差圧方式の微粒子センサでは、検査用フィルタ、圧力センサ、PM燃焼(再生)用ヒータなどの複雑かつ高価なシステムを用いることが必要であるため、信頼性の確保が難しくまた故障時における保守に多くの手間や時間が費やされると考えられる。また、(2)抵抗方式の微粒子センサでは、PMの電気的な抵抗が大きいため、検出する電流が微電流となる。また、電極間の抵抗変化を検出するために電源を含めた検出システムを用いることが必要であるため、バッテリ電圧を用いる必要があるが、微電流を検出する場合、バッテリ電圧の変動や周辺機器による外部ノイズなどの影響を受け易くなり、更には、排気ガス中に含まれる水分及びPMの温度の影響も受け易くなるため、精度の高い検出が難しくなると考えられる。更に、(3)光方式の微粒子センサでは、長期間の使用に伴って光照射部や光受光部がPMにより汚れてしまうと、以後、正確な測定が不可能となってしまうと考えられる。
【0007】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、排気ガス中に含まれる微粒子の漏れ又は排気ガス中に含まれる微粒子の量を簡易な構成で精度よく測定することが可能な微粒子測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明の微粒子測定装置は、絶縁基材表面上に異なる種類の金属層を有し、先端側が排気ガスに晒される微粒子センサと、前記微粒子センサの後端側で前記異なる種類の金属層間に生じる、前記微粒子センサの先端側と後端側との温度差に基づく電位差を検出する電位差検出手段と、前記電位差検出手段の検出結果に基づいて、排気ガス中に含まれる微粒子の漏れ又は排気ガス中に含まれる微粒子の量を測定する測定手段と、を備える。
【0009】
尚、上記した微粒子測定装置において、前記異なる種類の金属層同士は、前記微粒子センサの先端側に一定量以上の前記微粒子が堆積した場合に該堆積した微粒子を介して該微粒子センサの先端側で導通し、前記測定手段は、前記電位差検出手段により検出される前記電位差が所定電位差となる場合、一定量以上の前記微粒子の漏れが生じた又は一定量以上の前記微粒子が堆積したと判定することが好ましい。
【0010】
また、上記した微粒子測定装置において、前記異なる種類の金属層のうちの少なくとも一つの、前記微粒子センサの先端側表面は、排気ガスによる腐食又は高温による酸化を防止すべく被覆されていることが好ましい。
【0011】
また、上記した微粒子測定装置において、前記絶縁基材は、排気ガスとの接触部分において対称的に段差が複数段形成され、該排気ガスの流れ方向における段差の高さが外側の段差から中央の段差にかけて徐々に低くなる構造を有し、前記異なる種類の金属層は、排気ガスの流れ方向に対して対称位置にある両段差のうちの一方の表面に配設される第一種類の金属層と、前記両段差のうちの他方の表面に配設される第二種類の金属層と、からなり、前記測定手段は、前記電位差検出手段による、前記微粒子センサの後端側で前記第一種類の金属層と前記第二種類の金属層との間に生じる前記温度差に基づく電位差の検出結果に基づいて、前記微粒子の漏れ量又は前記微粒子の堆積量を測定することが好ましい。
【0012】
また、上記した微粒子測定装置において、前記絶縁基材の段差は、排気ガスとの接触部分において凸状又は凹状に形成されていることとしてもよいし、また、前記絶縁基材の段差は、階段状に形成されていることとしてもよい。
【0013】
また、上記した微粒子測定装置において、前記異なる種類の金属層の先端側に配設され、該異なる種類の金属層の先端側と後端側とで温度差を発生させるために用いられるヒータを備えることが好ましい。
【0014】
また、上記した微粒子測定装置において、前記微粒子センサの先端側に配設され、該微粒子センサの先端側に堆積した微粒子を燃焼除去するために用いられるヒータを備えることが好ましい。
【0015】
また、上記した微粒子測定装置において、前記微粒子センサは、円柱状又は円筒状に形成されていることが好ましい。
【0016】
更に、上記した微粒子測定装置において、前記微粒子センサは、内燃機関の排気ライン上に、先端側が該排気ライン内に晒されかつ後端側が該排気ライン外に位置するように設置されることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、排気ガス中に含まれる微粒子の漏れ又は排気ガス中に含まれる微粒子の量を簡易な構成で精度よく測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態である微粒子測定装置を備えるシステムの全体構成図である。
【図2】本発明の一実施形態である微粒子測定装置が備える微粒子センサの構成図である。
【図3】本発明の一実施形態である微粒子測定装置において微粒子を検知する手法を説明するための図である。
【図4】本発明の一実施形態である微粒子測定装置において実行される微粒子を測定するルーチンの一例のフローチャートである。
【図5】本発明の変形例である微粒子測定装置が備える微粒子センサの構成図である。
【図6】本発明の変形例である微粒子測定装置が備える微粒子センサの構成図である。
【図7】図6に示す微粒子センサを用いて微粒子を検知する手法を説明するための図である。
【図8】本発明の変形例である微粒子測定装置が備える微粒子センサの構成図である。
【図9】図8に示す微粒子センサを用いて微粒子を検知する手法を説明するための図である。
【図10】本発明の変形例である微粒子測定装置を備えるシステムの全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態の微粒子測定装置は、絶縁基材表面上に異なる種類の金属層を有し、先端側が排気ガスに晒される微粒子センサと、前記微粒子センサの後端側で前記異なる種類の金属層間に生じる、前記微粒子センサの先端側と後端側との温度差に基づく電位差を検出する電位差検出手段と、前記電位差検出手段の検出結果に基づいて、排気ガス中に含まれる微粒子の漏れ又は排気ガス中に含まれる微粒子の量を測定する測定手段と、を備える微粒子測定装置である。
【0020】
この態様の発明において、微粒子センサは、絶縁基材表面上に異なる種類の金属層を有し、先端側が排気ガスに晒されている。微粒子センサの先端側は排気ガスにより温められるので、微粒子センサの先端側と後端側とで温度差が発生することで、絶縁基材表面上の異なる種類の金属層に、先端側と後端側とで温度差に応じた熱起電力が発生する。この熱起電力は、異なる種類の金属層ごとに異なる。微粒子センサの先端側に排気ガス中に含まれる微粒子が堆積すると、その堆積した微粒子を介して異なる種類の金属層同士がショートする。このため、微粒子センサの先端側に微粒子が堆積した場合、微粒子センサの後端側で異なる種類の金属層間に上記の温度差に基づく電位差が発生する。一方、微粒子センサの先端側に微粒子が堆積しない場合は、異なる種類の金属層同士がショートしないので、異なる種類の金属層間で電位差が定まらない。
【0021】
本発明においては、微粒子センサの後端側で異なる種類の金属層間に生じる温度差に基づく電位差が検出され、その検出された電位差に基づいて、排気ガス中に含まれる微粒子の漏れ又は排気ガス中に含まれる微粒子の量が測定される。従って、本発明によれば、排気ガス中に含まれる微粒子の漏れ又は排気ガス中に含まれる微粒子の量を簡易な構成で精度よく測定することができる。
【0022】
尚、上記した微粒子測定装置において、前記異なる種類の金属層同士は、前記微粒子センサの先端側に一定量以上の前記微粒子が堆積した場合に該堆積した微粒子を介して該微粒子センサの先端側で導通し、前記測定手段は、前記電位差検出手段により検出される前記電位差が所定電位差となる場合、一定量以上の前記微粒子の漏れが生じた又は一定量以上の前記微粒子が堆積したと判定することが好ましい。
【0023】
また、上記した微粒子測定装置において、前記異なる種類の金属層のうちの少なくとも一つの、前記微粒子センサの先端側表面は、排気ガスによる腐食又は高温による酸化を防止すべく被覆されていることが好ましい。
【0024】
この態様の発明において、異なる種類の金属層のうちの少なくとも一つの、微粒子センサの先端側表面が被覆されることで、微粒子センサの先端側における排気ガスによる腐食又は高温による酸化を防止することができる。
【0025】
また、上記した微粒子測定装置において、前記絶縁基材は、排気ガスとの接触部分において対称的に段差が複数段形成され、該排気ガスの流れ方向における段差の高さが外側の段差から中央の段差にかけて徐々に低くなる構造を有し、前記異なる種類の金属層は、排気ガスの流れ方向に対して対称位置にある両段差のうちの一方の表面に配設される第一種類の金属層と、前記両段差のうちの他方の表面に配設される第二種類の金属層と、からなり、前記測定手段は、前記電位差検出手段による、前記微粒子センサの後端側で前記第一種類の金属層と前記第二種類の金属層との間に生じる前記温度差に基づく電位差の検出結果に基づいて、前記微粒子の漏れ量又は前記微粒子の堆積量を測定することが好ましい。
【0026】
この態様の発明において、微粒子センサの、排気ガスとの接触部分において対称的に段差が複数段形成された絶縁基材は、該排気ガスの流れ方向における段差の高さが外側の段差から中央の段差にかけて徐々に低くなるように形成される。かかる構造においては、微粒子センサの先端側に堆積する微粒子が増える過程で、微粒子で埋もれる段差が中央の段差から外側の段差へ順番に移行し、微粒子で埋もれる段差の数が徐々に増えていく。このため、本発明によれば、排気ガス中に含まれる微粒子が一定量以上漏れたか否かだけでなく、その漏れの量を段階的に測定することができ、或いは、微粒子の堆積量が一定量以上であるか否かだけでなく、その堆積量を段階的に測定することができる。
【0027】
また、上記した微粒子測定装置において、前記絶縁基材の段差は、排気ガスとの接触部分において凸状又は凹状に形成されていることとしてもよいし、また、前記絶縁基材の段差は、階段状に形成されていることとしてもよい。
【0028】
また、上記した微粒子測定装置において、前記異なる種類の金属層の先端側に配設され、該異なる種類の金属層の先端側と後端側とで温度差を発生させるために用いられるヒータを備えることが好ましい。
【0029】
この態様の発明において、金属層の先端側に設けられたヒータによる加熱を行うことにより、金属層の先端側と後端側との温度差を大きくすることができる。このため、本発明によれば、微粒子の漏れの診断精度を向上させることができる。
【0030】
また、上記した微粒子測定装置において、前記微粒子センサの先端側に配設され、該微粒子センサの先端側に堆積した微粒子を燃焼除去するために用いられるヒータを備えることが好ましい。
【0031】
この態様の発明において、微粒子センサの先端側に設けられたヒータによる加熱を行うことにより、微粒子センサの先端側に堆積した微粒子を燃焼除去することができる。更に、排気ガス中に含まれる水分を除去することができるため、微粒子センサの金属間の結露を防止することができる。このため、本発明によれば、微粒子の漏れの診断精度を向上させることができる。
【0032】
また、上記した微粒子測定装置において、前記微粒子センサは、円柱状又は円筒状に形成されていることが好ましい。
【0033】
更に、上記した微粒子測定装置において、前記微粒子センサは、内燃機関の排気ライン上に、先端側が該排気ライン内に晒されかつ後端側が該排気ライン外に位置するように設置されることが好ましい。
【0034】
以下、図面を用いて、本発明に係る微粒子測定装置の具体的な実施の形態について説明する。
【0035】
図1は、本発明の一実施形態である微粒子測定装置10を備えるシステムの全体構成図を示す。本実施形態のシステムは、内燃機関12から大気へ排出される排気ガスを浄化するための排気浄化装置14に適用されるシステムである。
【0036】
図1に示す如く、排気浄化装置14は、内燃機関(特にディーゼルエンジンに適する。)12に接続する排気ライン16上に設けられた、ディーゼル用酸化触媒(DOC:Diesel Oxidation Catalyst)18及び主微粒子捕捉フィルタ(DPF:Diesel Particulate Filter)20を備えている。DOC18は、内燃機関12から排出される排気ガス中に含まれる酸化され易い一酸化炭素及び炭化水素などを除去するための触媒である。また、DPF20は、内燃機関12から排出される排気ガス中に含まれる微粒子(PM:Particulate Matter)を捕捉可能なフィルタである。排気浄化装置14は、DPF20の使用中にDPF20に故障が発生し、所定以上の量のPMが排気ライン16上でDPF20下流側へ漏れ出した場合に、この故障を検出して、アラーム、ランプの点滅又はランプの点灯等を行うことができる装置である。
【0037】
排気浄化装置14は、DPF20の故障を検出するための微粒子測定装置10を備えている。微粒子測定装置10は、排気浄化用センサとしての微粒子センサ22を備えている。微粒子センサ22は、先端側が排気ライン16内のDPF20の下流側に晒されるように配設されている。微粒子センサ22は、排気ライン16上でDPF20の下流側に漏れ出したPMの量に応じて信号を出力することができる。
【0038】
排気浄化装置14は、マイクロコンピュータを主体に構成される演算部26を備えている。演算部26には、微粒子センサ22が配線28を介して電気的に接続されている。微粒子センサ22の出力は、配線28を介して演算部26に送られる。演算部26は、微粒子センサ22の出力信号に基づいて排気ライン16上で微粒子センサ22の先端側にPMが堆積したか否かを判別し、その判別結果に基づいて所定以上の量のPMが排気ライン16上でDPF20下流側へ漏れ出したか否かを判別することができる。
【0039】
図2は、本発明の一実施形態である微粒子測定装置10が備える微粒子センサ22の構成図を示す。尚、図2(A)には微粒子センサ22の断面図を、また、図2(B)には微粒子センサ22の側面図を、それぞれ示す。微粒子センサ22は、円柱状又は円筒状に形成された絶縁基材であるセラミック基材30を有している。セラミック基材30は、排気ライン16に取り付け固定されている。微粒子センサ22は、その先端側が排気ライン16内に晒され、かつ、その後端側が排気ライン16外に位置するように設置されている。微粒子センサ22の先端側には、排気ガス中に含まれるPMが堆積し得る(図2において破線で示す領域)。
【0040】
微粒子センサ22は、セラミック基材30上に異なる種類の金属層32,34を有する。セラミック基材30の表面上には、2つの金属層32,34がセラミック基材30の軸に沿って平行に設けられている。2つの金属層32,34は、排気ガス中のPMが堆積していないときは電気的に絶縁されている。2つの金属層32,34は、排気ライン16中における排気ガスの流れに対して直交する面側に設けられている。
【0041】
2つの金属層32,34は、異なる種類の金属(例えば、ニッケルと白金など)により構成されており、セラミック基材30の表面に厚膜プロセス(例えばペースト印刷及び焼成)又は薄膜プロセス(例えばスパッタ)などにより形成されている。2つの金属層32,34の先端側は排気ライン16内に晒されており、また、2つの金属層32,34の後端側は排気ライン16外に位置している。金属層32の後端側には配線28aの一端が、また、金属層34の後端側には配線28bの一端が、それぞれ接続されている。配線28a,28bの他端はそれぞれ、演算部26に接続されている。
【0042】
セラミック基材30には、ヒータ36が内蔵されている。ヒータ36は、微粒子センサ22の先端側に配設された電熱ヒータである。ヒータ36には、配線38を介して演算部26が電気的に接続されている。ヒータ36は、演算部26から配線38を介して電力が供給されることにより微粒子センサ22の先端側(特に、金属層32,34が配設された面)を温めることが可能である。ヒータ36は、微粒子センサ22の先端側を温めることにより、金属層32,34の先端側と後端側とで温度差を発生させる機能、微粒子センサ22の先端側に堆積したPMを燃焼除去する機能、及び、排気ガス中に含まれる水分を除去する機能を有している。
【0043】
次に、図3及び図4を用いて、本実施形態の微粒子測定装置10の動作について説明する。図3は、本発明の一実施形態である微粒子測定装置10においてPMを検知する手法を説明するための図を示す。また、図4は、本発明の一実施形態である微粒子測定装置10において演算部26が実行する微粒子測定ルーチンの一例のフローチャートを示す。
【0044】
本実施形態において、排気ガスは高温(例えば200℃〜500℃)であるので、微粒子センサ22の先端側はその排気ガスにより温められ、その微粒子センサ22の先端側と後端側とで温度差が発生する(ステップ100)。この場合、セラミック基材30上の2つの金属層32,34において、先端側と後端側とでゼーベック効果によりその温度差に応じた熱起電力が発生する。これら2つの金属層32,34は互いに種類の異なる金属により構成されるので、金属層32に発生する熱起電力と金属層34に発生する熱起電力と、は互いに異なるものとなる。尚、「ゼーベック効果」とは、物体の温度差が電圧に変換される現象のことをいう。
【0045】
DPF20下流側にPMが漏れ出さない場合は、微粒子センサ22の先端側表面に排気ガス中のPMは堆積しない。微粒子センサ22の先端側表面に排気ガス中のPMが堆積していない場合は、2つの金属層32,34同士が微粒子センサ22の先端側でショートする事態は生じない。2つの金属層32,34同士が微粒子センサ22の先端側でショートしていない場合は、2つの金属層32,34間で電流が流れないので、2つの金属層32,34間で電位差自体が定まらない。
【0046】
一方、DPF20下流側にPMが漏れ出す場合は、微粒子センサ22の先端側表面に徐々に排気ガス中のPMが堆積する。微粒子センサ22の先端側表面に所定以上の量のPMが堆積すると、2つの金属層32,34同士が微粒子センサ22の先端側でその堆積したPMを介してショートする。2つの金属層32,34同士が微粒子センサ22の先端側でショートする場合は、2つの金属層32,34間でPMを介して電流(図3に矢印で示す)が流れ得るので、微粒子センサ22の後端側で金属層32と金属層34との間に、先端側と後端側との温度差(すなわち熱起電力の差)に基づく電位差が発生する。
【0047】
本実施形態において、演算部26は、微粒子センサ22から配線28a,28bを介して入力される金属層32の後端側の電位及び金属層34の後端側の電位を検出すると共に、その検出した両電位に基づいて、微粒子センサ22の後端側で2つの金属層32,34間に生じる電位差を検出する。
【0048】
演算部26は、その検出した金属層32,34間の電位差が定まらず、金属層32,34間に所定電位差が発生していないと判定する場合(すなわち、金属層32,34間に生じる電位差を検出することができない場合;ステップ102における否定判定時)は、微粒子センサ22の先端側表面にPMが堆積していないと判定し、所定以上の量のPMが排気ライン16上でDPF20下流側へ漏れ出していないと判定する(ステップ104)。
【0049】
また、演算部26は、上記の検出した金属層32,34間の電位差が所定電位差となり、金属層32,34間に所定電位差が発生すると判定する場合(すなわち、金属層32,34間に生じる電位差を検出することができた場合;ステップ102における肯定判定時)は、微粒子センサ22の先端側表面に所定以上の量のPMが堆積していると判定し、所定以上の量のPMが排気ライン16上でDPF20下流側へ漏れ出したと判定する(ステップ106)。演算部26は、DPF20からのPM漏れが生じていることを判定すると、アラーム、ランプの点滅又はランプの点灯等を行う。
【0050】
このように、本実施形態においては、微粒子センサ22の先端側表面における一定以上のPM堆積の有無を判別してDPF20からのPM漏れを診断することができ、そして、PM漏れが生じていると判定される時は、排気浄化装置14を搭載する車両の運転者などにそのPM漏れを知らせることが可能である。
【0051】
また、本実施形態においては、DPF20下流側へのPM漏れを診断するうえで、セラミック基材30の表面に種類の異なる2つの金属層32,34を設けた微粒子センサ22を用いているので、検査用フィルタ及び圧力センサを有する従来の差圧方式の微粒子センサとは異なり、複雑かつ高価なシステムを用いることは不要である。このため、DPF20からのPM漏れを診断するシステムを簡素かつ安価に構成することができ、これにより、DPF20からのPM漏れを診断するシステムに故障が発生した時などの保守に多くの手間や時間が費やされるのを抑制することができる。
【0052】
また、本実施形態においては、演算部26がDPF20下流側へのPM漏れを診断するのに、配線28a,28bを介して入力される2つの金属層32,34に生じる電位を比較することが必要であるが、微粒子センサ22はセラミック基材30上に異なる種類の金属層32,34を有するため、演算部26が上記の電位比較を行ううえで微粒子センサ22の2つの金属層32,34にバッテリなどから電源供給を行うことは不要である。このため、微粒子測定装置10の構成を簡素なものとすることができると共に、バッテリ電圧の変動や周辺機器による外部ノイズなどの影響を低減することができるため、PM漏れの診断を精度よく行うことができる。
【0053】
従って、本実施形態の微粒子測定装置10によれば、排気ライン16のDPF20下流側へ所定以上の量のPMが漏れ出したか否かを簡素な構成でかつ精度よく診断することが可能である。
【0054】
尚、本実施形態において、演算部26は、上記の如く微粒子センサ22から配線28a,28bを介して入力される金属層32,34間の電位差を検出する際、ヒータ36へ配線38を介して電源供給を行ってヒータ36を作動させることとしてもよい。微粒子センサ22の先端側は、排気ライン16内に晒されるので、微粒子センサ22の後端側に比べて高温となるが、ヒータ36が作動されると、その微粒子センサ22の先端側が更に高温となる。このため、ヒータ36の作動により、微粒子センサ22の先端側にある金属層32,34の先端側とその金属層32,34の後端側とで発生させる温度差をより大きくすることができ、両金属層32,34に発生するゼーベック効果による熱起電力の差をより大きくすることができる。従って、かかる構成によれば、ヒータ36により微粒子センサ22の先端側を昇温させることで、DPF下流側へのPM漏れの診断精度を向上させることが可能である。
【0055】
また、ヒータ36の作動により、微粒子センサ22を加熱(例えば、100℃〜500℃)することにより、排気ガス中に含まれる水分を除去することができるため、微粒子センサ22の金属層32,34間での結露を防止することができる。従って、上記の構成によれば、ヒータ36により微粒子センサ22の先端側を加熱することで、DPF下流側へのPM漏れの診断精度を向上させることが可能である。
【0056】
また、本実施形態において、演算部26は、DPF20下流側へPM漏れが生じたと判定した場合、その後、ヒータ36へ配線38を介して電源供給を行ってヒータ36を作動させる。ヒータ36が作動されると、微粒子センサ22の先端側が加熱されるので、その微粒子センサ22の先端側に堆積するPMを燃焼させることができ、そのPMを除去することができる。従って、本実施形態によれば、ヒータ36により微粒子センサ22の先端側を加熱させることで、その微粒子センサ22の先端側に堆積したPMを燃焼除去することができるため、微粒子センサ22を繰り返し利用することが可能である。
【0057】
ところで、上記の実施形態においては、セラミック基材30が特許請求の範囲に記載した「絶縁基材」に、演算部26が微粒子センサ22の後端側で2つの金属層32,34間に生じる先端側と後端側との温度差に基づく電位差に基づいてDPF20下流側へのPM漏れを診断することが特許請求の範囲に記載した「測定手段」に、それぞれ相当している。
【0058】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨内において様々な変形・変更が可能である。
【0059】
例えば、上記の実施形態においては、図2に示す如く、セラミック基材30の表面上に2つの金属層32,34がセラミック基材30の軸に沿って平行に設けられた微粒子センサ22として、両金属層32,34が共にセラミック基材30の先端から後端まで延び、かつ、排気ライン16内に直接に晒されたものを用いているが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0060】
図5は、本発明の変形例である微粒子測定装置が備える微粒子センサ22の構成図を示す。具体的には、排気ライン16内に晒される微粒子センサ22の先端側に位置する金属層32,34を排気ガスによる腐食又は高温による酸化から防止するため、図5に示す如く、その金属層32,34の微粒子センサ22先端側表面を白金などの被覆材料50により被覆することとしてもよい。例えば、排気ガスによる腐食及び高温による酸化が生じ易いニッケルからなる金属層32の、微粒子センサ22の先端側表面を、排気ガスによる腐食及び高温による酸化が生じ難い白金50により被覆することとしてもよい。
【0061】
かかる変形例によれば、微粒子センサ22の先端側における排気ガスによる腐食及び高温による酸化を防止することができる。尚、かかる変形例において、金属層32,34の先端側が被覆材料50により被覆された場合にも、その先端側が被覆された金属層32,34の先端側と後端側とで温度差が生じるので、その被覆がDPF20下流側へのPM漏れの診断に影響を与えることがない。
【0062】
また、上記の実施形態においては、微粒子センサ22として、図2(A)及び(B)に示す如く、円柱状又は円筒状のセラミック基材30の表面に金属層32,34が一つずつセラミック基材30の軸に沿って平行に設けられているので、PM漏れを診断するうえで利用可能な閾値が一つだけに限定され、微粒子センサ22の先端側に堆積するPMの量が所定以上であるか否かを判別することができるだけであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0063】
図6は、本発明の変形例である微粒子測定装置が備える微粒子センサ22の構成図を示す。また、図7は、図6に示す微粒子センサ22を用いてPMを検知する手法を説明するための図を示す。微粒子センサ22として、図6に示す如く、円柱状又は円筒状のセラミック基材30の、排気ライン16中における排気ガスの流れに対して直交する面に、セラミック基材30の軸に沿って平行に延びる溝100を設け、その溝100に階段状の複数段(例えば3段など)の段差102を排気ガスとセラミック基材30との接触部分において対称的に形成し、対称位置にある一対の段差102の表面に異なる種類の金属層104,106を配設してもよい。かかる変形例の構造によれば、PM漏れを診断するうえで利用可能な閾値を複数設けることができ、微粒子センサ22の先端側に堆積するPMの量を段階的に検知することができるようになる。
【0064】
すなわち、セラミック基材30に断面凹状に設けられた溝100には、排気ガスとセラミック基材30との接触部分において対称的に段差102が複数段形成されている。各段差102は、溝100に沿ってセラミック基材30の軸に平行に延びている。尚、以下では、段差102が三段あるものとし、段差順を添え字1,2,3で表し、また、溝100の中心を挟んで対称位置にある段差102を添え字a,bで表した場合、溝100には、6つの段差102−1a,102−2a,102−3a,102−1b,102−2b,102−3bが存在することとなる。
【0065】
段差102は、その排気ガスの流れ方向における高さが外側寄りの段差から中央寄りの段差にかけて徐々に低くなるように、すなわち、その排気ガスの流れ方向における高さが中央寄りの段差から外側寄りの段差にかけて徐々に高くなるように形成されている。すなわち、最も中央寄りの段差102−1a,102−1bの高さをT1とし、次の段差102−2a,102−2bの高さをT2とし、最も外側寄りの段差102−3a,102−3bの高さをT3とすると、T1<T2<T3の関係が成立する。
【0066】
段差102の表面(排気ガスの流れに対する面)上にはそれぞれ、金属層104,106がセラミック基材30の軸に沿って平行に配設されている。連続して接続する段差102には、同じ種類の金属層104,106が配設されると共に、排気ガスとセラミック基材30との接触部分において対称位置にある段差102には、異なる種類の金属層104,106が配設される。例えば、図6に示す如く、左側の段差102−1a,102−2a,102−3aにはニッケルからなる金属層104が配設され、右側の段差102−1b,102−2b,102−3bには白金からなる金属層106が配設される。以下、段差102−1a,102−2a,102−3aに配設される金属層104を104−1,104−2,104−3とし、段差102−1b,102−2b,102−3bに配設される金属層106を106−1,106−2,106−3とする。各金属層104,106は、PMが堆積していないときは電気的に絶縁されている。
【0067】
各金属層104,106の先端側は排気ライン16内に晒されており、また、各金属層104,106の後端側は排気ライン16外に位置している。各金属層104,106の後端側にはそれぞれ配線の一端が接続され、その配線の他端は演算部に接続されている。
【0068】
かかる変形例の微粒子センサ22の構造においては、微粒子センサ22の先端側に堆積するPMが増える過程で、図7に示す如く、PMで埋もれる段差102が「中央寄りの段差102−1a,102−1b」→「次の段差102−2a,102−2b」→「外側寄りの段差102−3a,102−3b」へ順番に移行し、PMで埋もれる段差102の数が徐々に増えていく。具体的には、微粒子センサ22の先端側に堆積するPMが増加する過程で、まず、そのPMの量が中央寄りの段差102−1a,102−1bの高さT1に相当する量に達すると、その中央寄りの段差102−1a,102−1bがPMで埋もれ、次に、そのPMの量が段差102−2a,102−2bの高さT2に相当する量に達すると、その段差102−2a,102−2bがPMで埋もれ、そして、そのPMの量が最も外側寄りの段差102−3a,102−3bの高さT3に相当する量に達すると、その最も外側寄りの段差102−3a,102−3bがPMで埋もれる。
【0069】
このため、微粒子センサ22の先端側に堆積するPMが増加する過程で、まず、段差102−1a,102−1bの表面に配設された金属層104−1と金属層106−1とが先端側でPMを介して導通され、次に、段差102−2a,102−2bの表面に配設された金属層104−2と金属層106−2とが先端側でPMを介して導通され、そして、段差102−3a,102−3bの表面に配設された金属層104−3と金属層106−3とが先端側でPMを介して導通される。
【0070】
演算部は、微粒子センサ22の各金属層104−1,104−2,104−3,106−1,106−2,106−3から配線を介して入力される電位に基づいて、金属層104−1と106−1との電位差、金属層104−2と106−2との電位差、及び金属層104−3と106−3との電位差を検出する。
【0071】
そして、その検出結果に基づいて、金属層104−1と106−1との間に所定電位差が生じていると判定する場合は、微粒子センサ22の先端側表面に第1所定量(中央寄りの段差102−1a,102−1bの高さT1に相当する量)以上のPMが堆積していると判定し、その第1所定量以上のPMが排気ライン16上でDPF20下流側へ漏れ出したと判定する。また、金属層104−2と106−2との間に所定電位差が生じていると判定する場合は、微粒子センサ22の先端側表面に第2所定量(段差102−2a,102−2bの高さT2に相当する量)以上のPMが堆積していると判定し、その第2所定量以上のPMが排気ライン16上でDPF20下流側へ漏れ出したと判定する。更に、金属層104−3と106−3との間に所定電位差が生じていると判定する場合は、微粒子センサ22の先端側表面に第3所定量(段差102−3a,102−3bの高さT3に相当する量)以上のPMが堆積していると判定し、その第3所定量以上のPMが排気ライン16上でDPF20下流側へ漏れ出したと判定する。
【0072】
このように、本変形例によれば、微粒子センサ22の先端側におけるPMの堆積量が一定量以上であるか否かだけでなく、その堆積量を段階的(例えば、第1所定量以上、第2所定量以上、及び第3所定量以上の3段階)に測定することができるので、排気ガス中に含まれるPMが一定量以上、DPF20下流側へ漏れたか否かだけでなく、そのPM漏れの量を段階的に測定することができる。このため、本変形例によれば、上記した実施形態の効果を得ることができると共に、更に、DPF20からのPM漏れの診断を段階的なものとすることができ、アラーム、ランプの点滅又はランプの点灯等をPMの漏れ量に応じて段階的なものとすることが可能である。
【0073】
尚、上記の変形例においては、微粒子センサ22のセラミック基材30に形成される段差102の断面形状を、図6及び図7に示す如く軸中心へ向けて窪んだ凹状としたが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0074】
図8は、本発明の変形例である微粒子測定装置が備える微粒子センサ22の構成図を示す。また、図9は、図8に示す微粒子センサ22を用いてPMを検知する手法を説明するための図を示す。具体的には、微粒子センサ22のセラミック基材30に形成される段差102の断面形状を、図8及び図9に示す如く外周側へ向けて突起した凸状としてもよい。この構造においても、円筒状のセラミック基材30の、排気ライン16中における排気ガスの流れに対して直交する面に、階段状の複数段(例えば3段など)の段差102を排気ガスとセラミック基材30との接触部分において対称的に形成し、対称位置にある一対の段差102の表面に異なる種類の金属層104,106を配設する。かかる変形例の構造によれば、PM漏れを診断するうえで利用可能な閾値を複数設けることができ、微粒子センサ22の先端側に堆積するPMの量を段階的に検知することができる。
【0075】
段差102は、それぞれセラミック基材30の軸に平行に延びており、その排気ガスの流れ方向における高さが外側寄りの段差から中央寄りの段差にかけて徐々に低くなるように、すなわち、その排気ガスの流れ方向における高さが中央寄りの段差から外側寄りの段差にかけて徐々に高くなるように形成されている。すなわち、最も中央寄りの段差102−1a,102−1bの高さをT1とし、次の段差102−2a,102−2bの高さをT2とし、最も外側寄りの段差102−3a,102−3bの高さをT3とすると、T1<T2<T3の関係が成立する。
【0076】
かかる構造においても、微粒子センサ22の先端側に堆積するPMが増える過程で、PMで埋もれる段差102が「中央寄りの段差102−1a,102−1b」→「次の段差102−2a,102−2b」→「外側寄りの段差102−3a,102−3b」へ順番に移行し、PMで埋もれる段差102の数が徐々に増えていくので、まず、金属層104−1と金属層106−1とが先端側でPMを介して導通され、次に、金属層104−2と金属層106−2とが先端側でPMを介して導通され、そして、金属層104−3と金属層106−3とが先端側でPMを介して導通される。従って、上記の変形例と同様に、微粒子センサ22の先端側におけるPMの堆積量を段階的に測定することができ、DPF20下流側へのPM漏れの量を段階的に測定することができる。
【0077】
更に、図10は、本発明の変形例である微粒子測定装置を備えるシステムの全体構成図を示す。上記の実施形態は、排気ライン16内のDPF20の下流側に微粒子センサ22を配設して、DPF20からのPM漏れを判定する排気浄化装置14のシステムであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、図10に示す如く、排気ライン16内のDPF20の上流側に微粒子センサ200を配設して、DPF20に堆積するPMの量或いは排気ライン16に流れる排気ガス中のPMの濃度を測定する排気浄化装置のシステムに適用することができる。
【0078】
かかる変形例においても、微粒子センサ202の構造を図2や図5に示す微粒子センサ22の構造と同様のものとすれば、上記した実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【符号の説明】
【0079】
10 微粒子測定装置
12 内燃機関
14 排気浄化装置
16 排気ライン
20 DPF
22,200 微粒子センサ
26 演算部
30 セラミック基材
32,34 金属層
36 ヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基材表面上に異なる種類の金属層を有し、先端側が排気ガスに晒される微粒子センサと、
前記微粒子センサの後端側で前記異なる種類の金属層間に生じる、前記微粒子センサの先端側と後端側との温度差に基づく電位差を検出する電位差検出手段と、
前記電位差検出手段の検出結果に基づいて、排気ガス中に含まれる微粒子の漏れ又は排気ガス中に含まれる微粒子の量を測定する測定手段と、
を備えることを特徴とする微粒子測定装置。
【請求項2】
前記異なる種類の金属層同士は、前記微粒子センサの先端側に一定量以上の前記微粒子が堆積した場合に該堆積した微粒子を介して該微粒子センサの先端側で導通し、
前記測定手段は、前記電位差検出手段により検出される前記電位差が所定電位差となる場合、一定量以上の前記微粒子の漏れが生じた又は一定量以上の前記微粒子が堆積したと判定することを特徴とする請求項1に記載された微粒子測定装置。
【請求項3】
前記異なる種類の金属層のうちの少なくとも一つの、前記微粒子センサの先端側表面は、排気ガスによる腐食又は高温による酸化を防止すべく被覆されていることを特徴とする請求項1又は2に記載された微粒子測定装置。
【請求項4】
前記絶縁基材は、排気ガスとの接触部分において対称的に段差が複数段形成され、該排気ガスの流れ方向における段差の高さが外側の段差から中央の段差にかけて徐々に低くなる構造を有し、
前記異なる種類の金属層は、排気ガスの流れ方向に対して対称位置にある両段差のうちの一方の表面に配設される第一種類の金属層と、前記両段差のうちの他方の表面に配設される第二種類の金属層と、からなり、
前記測定手段は、前記電位差検出手段による、前記微粒子センサの後端側で前記第一種類の金属層と前記第二種類の金属層との間に生じる前記温度差に基づく電位差の検出結果に基づいて、前記微粒子の漏れ量又は前記微粒子の堆積量を測定することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載された微粒子測定装置。
【請求項5】
前記絶縁基材の段差は、排気ガスとの接触部分において凸状又は凹状に形成されていることを特徴とする請求項4に記載された微粒子測定装置。
【請求項6】
前記絶縁基材の段差は、階段状に形成されていることを特徴とする請求項4に記載された微粒子測定装置。
【請求項7】
前記異なる種類の金属層の先端側に配設され、該異なる種類の金属層の先端側と後端側とで温度差を発生させるために用いられるヒータを備えることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載された微粒子測定装置。
【請求項8】
前記微粒子センサの先端側に配設され、該微粒子センサの先端側に堆積した微粒子を燃焼除去するために用いられるヒータを備えることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載された微粒子測定装置。
【請求項9】
前記微粒子センサは、円柱状又は円筒状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載された微粒子測定装置。
【請求項10】
前記微粒子センサは、内燃機関の排気ライン上に、先端側が該排気ライン内に晒されかつ後端側が該排気ライン外に位置するように設置されることを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載された微粒子測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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