説明

微細有機顔料の製造方法及び微細有機顔料着色組成物の製造方法並びに連続式捏和機

【課題】微細有機顔料を含む微細有機顔料着色組成物の提供。
【解決手段】有機顔料と、水溶性無機塩と、水溶性有機溶剤との混合物を、連続式捏和機を用いて連続的に混練して混練組成物を得る第1工程と、第1工程で得られる混練組成物から水溶性無機塩及び水溶性有機溶剤を水に溶解させて除去することで微細有機顔料を得る第2工程とを含み、第1工程では連続式捏和機として、複数個の固定円盤21と、これに対向配置されるとともに該固定円盤21に通された回転軸15に支持され、固定円盤21と中心軸線を同じくして回転駆動される複数個の回転円盤23とを含み、固定円盤21と回転円盤23とでそれらの隙間に入り込む処理対象材料に剪断及び分散処理を施す剪断分散処理域が複数段形成されており、回転円盤温度制御機構及び混練処理時間制御機構のうち少なくとも一方を備えている連続式捏和機10を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は微細な有機顔料の製造方法及び微細有機顔料着色組成物(オフセット印刷用インキ、グラビア印刷用インキ、印刷用インクジェットインキ、カラーフィルタ用レジスト、塗料用の微細有機顔料着色組成物等)の製造方法並びにこれら製造方法の実施に用いる連続式捏和機に関し、さらにはこれら製造方法により得られる微細な有機顔料及び該微細有機顔料を含む微細有機顔料着色組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
有機顔料には、例えば、アゾ顔料のように合成時に適切な反応条件を選択することにより微細で整粒された顔料粒子を得ることができるものがある。一方、銅フタロシアニングリーン顔料のように、合成時に生成する極めて微細で凝集した粒子を、後工程で粒子成長、整粒させることにより顔料化するものも知られている。また、銅フタロシアニンブルー顔料やジケトピロロピロール顔料のように、合成時に生成する粗大で不揃いな粒子を、後工程で微細化し、整粒させることにより顔料化するものも知られている。
【0003】
粗大な粗製顔料粒子を顔料化する方法として、現在広く用いられている方法には、ソルベントソルトミリング法、乾式粉砕法等がある。
【0004】
乾式粉砕法は、粗大な粗製顔料粒子を、ボールミル、アトライター、振動ミル等により乾式で粉砕することで顔料化する方法であり、ソルベントソルトミリング法と比較して、単位エネルギー当たりの生産効率は良い。しかしながら、粒子径のばらつきが大きく、又粒子間の凝集力が極めて強いため、多数の微細な一次粒子が極めて強い力で結合した巨大な凝集体しか得られない。そのため、乾式粉砕法については、種々の改善方法が検討されているが、高品質の顔料を得ることは困難である。
【0005】
一方、ソルベントソルトミリング法は、粗大な粗製顔料粒子を、塩化ナトリウムや硫酸ナトリウム等の無機塩類と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール等の粘性の高い水溶性有機溶剤との存在下で、ニーダー等により機械的に摩砕して顔料化する方法である。混練する際には溶剤量を調節することによって混練物を稠密な塊状(ドウ)にし、任意の温度、時間で処理することにより、所望の微細化度の顔料を得ることが可能である。
【0006】
しかし、従来のバッチ式ニーダー等では、バッチ式に由来する生産スケールの制約、品質のロット毎のバラツキ、開放型であるための異物混入や粉塵発生による作業環境の汚染等の問題がある。また、有機顔料の微細化に対して多大なエネルギーを使用することになり、微細化レベルにも限界がある。得られた微細化顔料をグラビアインキ、オフセットインキ等の印刷インキ、印刷用インクジェットインキ、カラーフィルタ用レジスト等として、水溶性もしくは非水溶性溶媒に分散して使用する場合に、日々一層高品位を求める市場の要求を満たすことが難しくなってきている。
【0007】
特にカラーフィルタは、ガラス等の透明な基板の表面に2種以上の異なる色相の微細な帯(ストライプ)状のフィルタセグメントを平行又は交差して配置したもの、或いは微細なフィルタセグメントを縦横一定の配列で配置したものである。そして、フィルタセグメントは、数ミクロン〜数100ミクロンと微細であり、しかも色相毎に所定の配列で整然と配置されている。
【0008】
例えば、カラー液晶表示装置では、一般的には、カラーフィルタの上に液晶を駆動させるための透明電極が蒸着或いはスパッタリングにより形成され、さらにその上に液晶を一定方向に配向させるための配向膜が形成されている。これらの透明電極及び配向膜の性能を充分に得るには、その形成を一般に200℃以上、好ましくは230℃以上の高温で行う必要がある。このため、現在、カラーフィルタの製造方法としては、耐光性、耐熱性に優れる顔料を着色剤とする顔料分散法と呼ばれる方法が主流となっている。
【0009】
しかし、一般に顔料を分散したカラーフィルタは、顔料による光の散乱等により、液晶が制御した偏光度合いを乱してしまうという問題がある。すなわち、光を遮断しなければならないとき(OFF状態)に光が漏れたり、光を透過しなければならないとき(ON状態)に透過光が減衰したりするため、ON状態とOFF状態における表示装置上の輝度の比(コントラスト比)が低くなるという問題がある。カラーフィルタの高コントラスト化を実現させるためには、フィルタセグメント中に含まれる顔料を微細化処理することが必須である。
【0010】
従来、顔料微細化の方法としてバッチ式のニーダー、連続式の1軸方式や2軸方式の捏和機等が用いられてきた。例えば、特開2006−77062号公報及び特開2007−241050号公報には1軸方式の捏和機が記載されているとともにそれら捏和機による顔料の製造方法やカラーフィルタ用着色組成物の製造方法が記載されている。
【0011】
これら公開公報に記載されている捏和機は、基本的に次の構造の連続的に捏和処理、換言すれば混練処理とも言える処理を行う連続式捏和機である。
すなわち、処理対象材料を供給する供給部と、前記供給部から供給される前記処理対象材料を連続的に混練処理する混練処理部とを含んでおり、
前記混練処理部は、複数個の環状の固定円盤と、該環状固定円盤に対向配置されるとともに該環状固定円盤に通された回転軸に支持され、該回転軸が回転駆動されることで該環状固定円盤と中心軸線を同じくして回転駆動される複数個の回転円盤とを含んでおり、該環状固定円盤と該回転円盤とで該環状固定円盤と該回転円盤との隙間に入り込む処理対象材料に剪断及び粉砕処理を施す剪断粉砕処理域が複数段形成されており、前記回転軸は前記供給部から連続して延びて一体的に回転可能な連続回転軸を形成しており、該供給部に位置する該連続回転軸の部分は該部分の回転により前記処理対象材料を前記混練処理部へ送るための送り部材を有している連続式捏和機である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2006−77062号公報
【特許文献2】特開2007−241050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、これら従来のバッチ式のニーダー、連続式の1軸方式や2軸方式の捏和機等では、捏和機の材料混練部を構成している固定部(容器やケースに相当する部品)と回転部(駆動機のエネルギーで回転運動させる部品)との間で大きな温度差が発生していた。
【0014】
そこで、固定部に温度検知器が取り付けられるように加工した小孔に、温度検知器を挿入して固定部の温度を検知し、混練を行う際の温度設定はこの温度検知器が検知した温度を温度調節計等に表示し、設定温度との差がある場合はヒーター等の加温装置で固定部を昇温させ、混練操作中に処理対象材料の剪断発熱等で温度調節計等の表示温度が設定値よりも上がり過ぎたときには、固定部品に加工されているジャケット部に冷却水等の熱媒が自動的に流入し、設定温度へ降温するようにしていた。
【0015】
このような温度制御では、固定部の実際の温度は設定値に近い温度となるが、本発明者の調査によると、回転部の実際の温度は固定部の実際の温度よりも5℃から50℃程度高くなり、そのため、混練組成物の一部が局所的に温度上昇し、結晶成長の発生により顔料の微細化の進行が抑制されることがあった。
【0016】
また、従来のバッチ式のニーダー、連続式の1軸方式や2軸方式の捏和機等では、短時間に大きな剪断力を与えることが難しく、顔料等の材料の微細化のためには長時間混練し続けるとか、捏和機に複数回通過させるなどの操作が必要であり、それだけエネルギー浪費が大きくなっていた。
【0017】
そこで本発明は、粗大な有機顔料から、それより微細で均一状の粒径に整粒化された、微細有機顔料着色組成物等を製造するのに適する有機顔料を生産性良好に得ることができる微細有機顔料の製造方法を提供することを第1の課題とする。
【0018】
また本発明は前記第1の課題を解決する微細有機顔料の製造方法の実施に用いることができる連続式捏和機を提供することを第2の課題とする。
【0019】
また、インキ、塗料、カラーフィルタ形成を目的とする有機顔料着色組成物に適した細かさの微細有機顔料を含有する微細有機顔料着色組成物についても本発明の範囲である。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は前記第1の課題を解決するために、
有機顔料と、水溶性無機塩と、水溶性有機溶剤との混合物を、連続式捏和機を用いて連続的に、前記有機顔料を細粒化しつつ混練して混練組成物を得る第1工程と、
前記第1工程で得られる混練組成物から水溶性無機塩及び水溶性有機溶剤を除去して前記有機顔料より微細な有機顔料を得る第2工程とを含み、
前記第1工程では前記連続式捏和機として、複数個の環状の固定円盤と、該環状固定円盤に対向配置されるとともに該環状固定円盤に通された回転軸に支持され、該回転軸が回転駆動されることで該環状固定円盤と中心軸線を同じくして回転駆動される複数個の回転円盤とを含み、該環状固定円盤と該回転円盤とで該環状固定円盤と該回転円盤との隙間に入り込む処理対象材料に剪断及び粉砕処理を施す剪断粉砕処理域が複数段形成されており、(1) 前記回転円盤に温度制御用熱媒体を流通させるための該回転円盤に形成された熱媒体通路及び該熱媒体通路に熱媒体を流通させるための前記回転軸に沿って形成された熱媒体通路を含む回転円盤温度制御機構及び(2) 前記回転軸に外嵌する固定円筒体と該固定円筒体内周面に対して予め定めた処理対象材料移動制御間隙を介して内嵌されるとともに前記回転軸に支持された回転体とを含む混練処理時間制御機構のうち少なくとも一方を備えている連続式捏和機を採用する微細有機顔料の製造方法を提供する。
【0021】
本発明に係る微細有機顔料の製造方法によると、第1工程では、有機顔料と、水溶性無機塩と、水溶性有機溶剤との混合物が、連続式捏和機において前記有機顔料が細粒化及び均一状粒径へ整粒化されつつ全体的に混練されて混練組成物が得られる。
【0022】
このとき、有機顔料と、水溶性無機塩と、水溶性有機溶剤とを含む処理対象材料は、連続式捏和機における前記剪断粉砕処理域を通過することで、剪断力と粉砕作用を受けて、有機顔料が細粒化されつつ、材料全体が均一状に混合され、細粒化された有機顔料の凝集が抑制された状態の混練組成物が得られる。
【0023】
また、連続式捏和機は前記回転円盤温度制御機構及び混練処理時間制御機構のうち少なくとも一方を備えており、回転円盤温度制御機構を備えているときには、回転円盤を熱媒体で冷却して処理対象材料から形成されていく混練組成物の昇温による粘度の低下を抑制でき、それにより、処理対象材料或いは混練組成物が前記剪断粉砕処理域を通過するときにそれに加わる剪断力をそれだけ大きくして、出発顔料の微細化及び均一状粒径への整粒化を促進できる。
【0024】
また、回転円盤を熱媒体で冷却して処理対象材料或いは混練組成物の前記剪断粉砕処理域を通過するときの剪断発熱を抑制して、昇温による顔料の結晶成長発生による微細化の妨げを抑制することができる。
【0025】
さらに付言すれば、連続式捏和機が前記回転円盤温度制御機構を備えているときには、前記回転円盤に熱媒体を流通させて該回転円盤と前記環状固定円盤等の固定部との間に著しい温度差が生じることを抑制することもでき、それにより、例えば回転円盤が比較的高温になってしまって混練組成物が優先的に回転円盤部分へ流れる、というようなことを抑制して処理対象材料或いは混練組成物の移動を全体的に均一状に円滑化できる。
【0026】
また、回転円盤を熱媒体で冷却して処理対象材料或いは混練物の混練中の温度を低下させて熱履歴による弊害を軽減することもできる。
【0027】
連続式捏和機が前記混練処理時間制御機構を備えているときには、処理対象材料或いは混練組成物が該機構の前記固定円筒体とこれに内嵌された前記回転体との間の処理対象材料移動制御間隙を通過せしめられるとき、移動速度が制限され、それにより該間隙より上流側において処理対象材料或いは混練組成物が滞留気味となり、それにより、それらが前記剪断粉砕処理域を通過するときにそれらに剪断力をそれだけ強く作用させることができ、有機顔料に水溶性無機塩間で生じる摩砕力を良好に作用させ、有機顔料の微細化、均一粒径への整粒化を促進できる。
【0028】
さらに言えば、連続式捏和機が前記混練処理時間制御機構を備えているときには、前記剪断粉砕処理域に強い圧縮力が発生し、それにより大きい剪断力が生まれる。前記剪断粉砕処理域における材料が圧密状態になることから回転円盤の分配作用も効率よくなる。また、剪断粉砕処理域を材料が少ない滞留時間で通過してしまう、所謂ショートパスの現象も防止できる。
【0029】
そして、このように微細化された有機顔料を含む混練組成物から水溶性無機塩及び水溶性有機溶剤を除去して前記有機顔料より微細で均一の粒径に整粒化された有機顔料を得ることができる。水溶性無機塩及び水溶性有機溶剤の除去は、例えば水や鉱酸水溶液に投入することにより混練組成物を処理し、濾過、水洗するなどして行える。
【0030】
かくして、粗大な、そして(又は)粒径の不揃いな有機顔料から、それより微細で均一の粒径に整粒化された、微細有機顔料着色組成物等を製造するのに適する微細有機顔料を生産性良好に得ることができる。
【0031】
前記連続式捏和機における前記環状固定円盤と前記回転円盤との隙間に入り込む処理対象材料に前記剪断粉砕処理を施す剪断粉砕処理域は、該環状固定円盤の該回転円盤に向けられた側面に形成された凹所と、該回転円盤の該環状固定円盤に向けられた側面に形成された凹所とを含み、該凹所は、該凹所に捕捉される処理対象材料が該固定円盤に対する該回転円盤の回転に伴って移動する際に剪断力を受けるとともに粉砕される凹所である場合を例示できる。
【0032】
また、処理対象材料や混練組成物の円滑な搬送のために前記回転円盤に隣り合う前記回転軸の部分には処理対象材料を搬送するスクリューを周設した中間送り部材が設けられていてもよい。
【0033】
前記第1工程では前記連続式捏和機として、前記回転円盤温度制御機構及び前記混練処理時間制御機構のうち少なくとも前記回転円盤温度制御機構を備えており、前記回転円盤は該回転円盤及び前記環状固定円盤と中心軸線を同じくする固定シリンダーに内嵌されていて回転円盤外周面に処理対象材料を搬送するスクリューを備えており、前記環状固定円盤及び該固定シリンダーには温度制御用熱媒体を流通させるための熱媒体通路が形成されている連続式捏和機を採用してもよい。
【0034】
このような連続式捏和機を採用することで、混練部全体の伝熱面積増加及び境膜伝熱係数の向上により冷却効率が増加するため、剪断発熱による混練組成物中の顔料の結晶成長発生による微細化の抑制を一層防止することができる。
【0035】
また、回転円盤と、それに隣り合う環状固定円盤及び固定シリンダーとの温度を均一化することが可能となり、かかる部材の温度均一化により、処理対象材料や混練組成物の温度が均一化して、それらに剪断力を均等に与えることが可能となる。
【0036】
また、処理対象材料や混練組成物が通過する部材表面の温度を均一化して、混練組成物を一層均等に流れやすくして、前記剪断粉砕域における剪断と粉砕作用がそれだけ効率よく行われると同時に、得られる混練組成物の温度制御も精度よく行うことが可能となる。
【0037】
前記第1工程では前記連続式捏和機として少なくとも前記回転円盤温度制御機構を備えたものを採用する場合、該第1工程は、該第1工程により得られる混練組成物の温度が10℃〜50℃となるように実施する例を挙げることができる。
【0038】
前記第1工程では前記連続式捏和機として、少なくとも前記混練処理時間制御機構を備えるものを採用してもよく、その場合、該機構における前記固定円筒体と前記回転体との間の処理対象材料移動制御間隙は0.1mmから10mm程度の間隙、或いは0.1mmから3mm程度の隙間とする例を挙げることができる。
【0039】
前記有機顔料としては、代表例として、ジケトピロロピロール系有機顔料、キノフタロン系有機顔料、ジオキサジン系有機顔料及びフタロシアニン系有機顔料からなる群から選ばれた少なくとも一種の有機顔料を挙げることができる。
【0040】
また本発明は前記第2の課題を解決するため、
処理対象材料を供給する供給部と、
前記供給部から供給される前記処理対象材料を連続的に混練処理する混練処理部と、
さらに、回転円盤温度制御機構及び混練処理時間制御機構のうち少なくとも一方とを含んでおり、
前記混練処理部は、複数個の環状の固定円盤と、該環状固定円盤に対向配置されるとともに該環状固定円盤に通された回転軸に支持され、該回転軸が回転駆動されることで該環状固定円盤と中心軸線を同じくして回転駆動される複数個の回転円盤とを含んでおり、該環状固定円盤と該回転円盤とで該環状固定円盤と該回転円盤との隙間に入り込む処理対象材料に剪断及び粉砕処理を施す剪断粉砕処理域が複数段形成されており、前記回転軸は前記供給部から連続して延びて一体的に回転可能な連続回転軸を形成しており、該供給部に位置する該連続回転軸の部分は該部分の回転により前記処理対象材料を前記混練処理部へ送るための送り部材を有しており、
前記回転円盤温度制御機構は、前記回転円盤に温度制御用熱媒体を流通させるための該回転円盤に形成された熱媒体通路及び該熱媒体通路に熱媒体を流通させるための前記回転軸に沿って形成された熱媒体通路を含むものであり、
前記混練処理時間制御機構は、前記回転軸に外嵌する固定円筒体と該固定円筒体内周面に対して予め定めた処理対象材料移動制御間隙を介して内嵌されるとともに前記回転軸に支持された回転体とを含むものである連続式捏和機を提供する。
【0041】
本発明に係るこの連続式捏和機によると、前記処理対象材料の供給部から供給する処理対象材料を有機顔料と、水溶性無機塩と、水溶性有機溶剤との混合物とすることで、該有機顔料がより微細化された有機顔料と水溶性無機塩及び水溶性有機溶剤との混練物を得ることができ、前記回転円盤温度制御機構及び混練処理時間制御機構のうちいずれか一方を備えていることで、該混練物を生産性よく得ることができる。
【0042】
本発明に係る連続式捏和機においても、前記環状固定円盤と前記回転円盤との隙間に入り込む処理対象材料に前記剪断粉砕処理を施す剪断粉砕処理域は、例えば、該環状固定円盤の該回転円盤に向けられた側面に形成された凹所と、該回転円盤の該環状固定円盤に向けられた側面に形成された凹所とを含み、該凹所は、該凹所に捕捉される処理対象材料が該固定円盤に対する該回転円盤の回転に伴って移動する際に剪断力を受けるとともに粉砕される凹所である処理域とすることができる。
【0043】
本発明に係る連続式捏和機においても、処理対象材料の円滑な搬送のために、前記回転円盤に隣り合う前記回転軸の部分には処理対象材料を搬送するスクリューを周設した中間送り部材を設けてもよい。
【0044】
本発明に係る連続式捏和機は、前記回転円盤温度制御機構及び混練処理時間制御機構のうちいずれか一方を備えているだけでもよく、両方備えていてもよい。
【0045】
例えば、前記回転円盤温度制御機構及び前記混練処理時間制御機構のうち少なくとも前記回転円盤温度制御機構を備えている場合を挙げることができる。
また、前記回転円盤は該回転円盤及び前記環状固定円盤と中心軸線を同じくする固定シリンダーに内嵌されていて回転円盤外周面に処理対象材料を搬送するスクリューを備えており、前記環状固定円盤及び該固定シリンダーには温度制御用熱媒体を流通させるための熱媒体通路が形成されている場合を例示できる。
【0046】
また例えば、前記回転円盤温度制御機構及び前記混練処理時間制御機構のうち少なくとも前記混練処理時間制御機構を備えている場合を挙げることかできる。
前記混練処理時間制御機構における前記固定円筒体と前記回転体との間の処理対象材料移動制御間隙として、0.1mmから10mmの間隙、或いは0.1mm〜3mm程度の間隙を例示できる。
【0047】
前記の本発明に係る微細有機顔料の製造方法により目的色を示す微細有機顔料を得ること、かつ該微細有機顔料と顔料担体とを混合して目的とする微細有機顔料着色組成物を得ることが可能である。
【0048】
この方法においては、例えば、前記目的とする微細有機顔料着色組成物を得るための該目的色を示す微細有機顔料以外の材料に非水系溶剤が含まれる場合を挙げることができる。
【0049】
本発明に係る微細有機顔料着色組成物の製造方法によると、オフセット印刷用インキ、グラビア印刷用インキ等の印刷用インク、インクジェットプリンタ等のプリンタ用インキ、カラーフィルタ用レジスト、塗料用の微細有機顔料着色組成物等を製造することができる。
本発明の微細有機顔料着色組成物は、従来得ることが困難であった微細で且つ均一に整粒された微細有機顔料を採用するため、塗膜状にすることにより、例えばカラーフィルタ等において従来よりも高いコントラスト比や透明度を実現することが可能になる。
【発明の効果】
【0050】
以上説明したように本発明によると、粗大な有機顔料から、それより微細で均一に整粒化された、微細有機顔料着色組成物等を製造するのに適する微細有機顔料を生産性良好に得ることができる微細有機顔料の製造方法を提供することができる。
【0051】
また本発明によると、上記の微細有機顔料の製造方法の実施に用いることができる連続式捏和機を提供することができる。
【0052】
また本発明によると、インキ、塗料、カラーフィルタ形成用組成物等への使用を目的とする微細有機顔料ならびに該微細有機顔料と顔料担体とを混合して目的とする微細有機顔料着色組成物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係わる連続式捏和機の1例の構成を概略的に示す図である。
【図2】回転軸に沿って形成される熱媒体通路を示すための図1のY−Y線に沿う概略断面図である。
【図3】回転円盤における熱媒体通路及びこれに連通する、回転軸に沿って形成される熱媒体通路を示すための、混練部の一部の概略断面図である。
【図4】回転円盤における熱媒体通路を示すための、回転円盤を図3においてX方向に見て、しかし、側面の凹所は省略して示す図である。
【図5】回転円盤の1例の上流側面及び下流側面を示す図である。
【図6】回転円盤の他の例の上流側面及び下流側面を示す図である。
【図7】回転円盤のさらに他の例の上流側面及び下流側面を示す図である。
【図8】環状固定円盤の1例の上流側面及び下流側面を示す図である。
【図9】環状固定円盤の他の例の上流側面及び下流側面を示す図である。
【図10】環状固定円盤のさらに他の例の上流側面及び下流側面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
本発明に係る実施形態の微細有機顔料の製造方法は、出発有機顔料、水溶性無機塩及び水溶性有機溶剤などからなる混練組成物を図1に示す連続式捏和機を用いて得た後、この混練物を水に投入し、濾過精製することによって水溶性無機塩と水溶性有機溶剤とを除去して製造される。
【0055】
まず図1を参照して、連続式捏和機10について説明する。
図1に示すように、捏和機10は、フィード部1、混練部2、ベント部3、メータリング部4を備えた基本構成を有している。
【0056】
フィード部1は材料供給部の1例である。フィード部1は、水平方向に延びる筒状のケーシング11と、このケーシング11に中心軸線を同じく、且つ、摺接状態で嵌挿されたスパイラルロッド12とを備えている。スパイラルロッド12は回転軸15に材料搬送のための螺旋羽根(スクリュー)121を有する部材を外嵌したものである。
【0057】
ケーシング11の、スパイラルロッド12による材料供給方向において上流側端部の上部に、粉体原料を受け入れる粉体原料受け入れ口111が設けられている。
スパイラルロッド12の中心回転軸15は、その基端部(図1において右側端部)が歯車伝動機構16を介して駆動モータMにより回転駆動可能である。
【0058】
図示省略の定量フィーダからフィード部1の原料受け入れ口111に投入された粉体原料は、スパイラルロッド12の回転によって円筒状シリンダー13を通り、次に述べる液体原料とともに混練部2、ベント部3、メータリング部4、排出口411へと順次圧送される。
【0059】
混練処理の対象となる粉体原料は、タイプ、方式等が特に限定される必要がない図示省略の定量フィーダからフィード部1の原料受け入れ口111へ供給されるが、液体原料は、タイプ、方式等が特に限定される必要がない図示省略の圧送設備で液体原料受け入れ口112からフィード部1へ強制的に供給される。
【0060】
混練部2は、複数枚の環状の固定円盤21と、この固定円盤21間に狭持された状態で固定円盤21と交互に配設された複数枚の環状の混練シリンダー22と、複数枚の回転円盤23とを含んでいる。
【0061】
回転円盤23は、フィード部1の材料供給方向において上流側面及び下流側面(図1において右側面及び左側面)が固定円盤21と対向した状態で混練シリンダー22に中心軸線を一致させて嵌挿されている。
【0062】
各回転円盤23は、スパイラルロッド12から突出延在している前記回転軸15に外嵌されている。隣り合う回転円盤23間には、材料搬送スクリューを周設した筒条の中間送り部材24が配置されており、回転軸15に外嵌されている。回転軸15には回転円盤23と中間送り部材24とが交互に装着された状態になっている。
【0063】
回転軸15はその長手方向にキー相当の突条を形成したスプライン軸であり、スパイラルロッド12のスクリュー羽根を設けた部分、回転円盤23及び中間送り部材24等の回転軸15の回転とともに回転すべき部材には該キー相当の突条にかみ合う溝が形成してある。
【0064】
最上流側の固定円盤21(図1において最も右側の固定円盤21)の上流側面には、スパイラルロッド12から供給される材料を受入れ易いように、漏斗状に口を拡げて開いた開口部210が形成されている(図1、図3参照)。
【0065】
回転円盤23は、外径寸法が混練シリンダー22の内径寸法より僅かに小さく設定されている。中間送り部材24は、外径寸法が固定円盤21の内径寸法より僅かに小さく設定されている。各回転円盤23及び各中間送り部材24は、回転軸15に交互に外嵌された状態で、外周面が混練シリンダー22及び固定円盤21の内周面に対して処理対象材料が通過し得る隙間を介してそれぞれ対向している。
【0066】
かかる連続式捏和機10の構成によれば、各種粉体原料は図示省略の定量フィーダにより、各種液体原料は図省略の圧送装置によってそれぞれフィード部1のケーシング11内に導入される。ケーシング11内に導入されたこれら原料からなる処理対象材料は、スパイラルロッド12の駆動回転によるスクリュー羽根121の回転によって順次下流側の混練部2へ向けて搬送される。
【0067】
混練部2へ搬送された材料は、まず、回転している最上流側(図1の最も右側)の中間送り部材24の外周面と、最上流側の固定円盤21の内周面との問を通過し、引き続き最上流側の固定円盤21の図1における左側面と、回転している最上流側の回転円盤23の右側面との間を通過し、これらの隙間の通過に際して当該材料に粉砕処理が施される。かかる処理対象材料に対する粉砕操作が固定円盤21、混練シリンダー22、回転円盤23及び中間送り部材24の設置数分だけ複数段で繰り返される。
【0068】
このように互いに対向する回転円盤23の側面と固定円盤21の側面とで、これら側面間に入り込む処理対象材料に剪断及び粉砕処理を施す剪断粉砕処理域が提供されている。 混練部2の最終段の回転円盤23に達した被処理物は流量制限が行われるシールリング25に達する。
【0069】
ここで回転円盤23及び固定円盤21についてさらに説明する。図5、図6及び図7はそれぞれ回転円盤23の例23a、23b、23cを示している。また、図8、図9及び図10は固定円盤21の例21a、21b、21cを示している。なお、図8〜図10において、21hは、後述するようにタイロッド9(図1参照)を通す孔である。
【0070】
回転円盤23はいずれも、上流側面に、周縁で開口する凹所(キャビティ)230を有しており、下流側面にも周縁で開口する凹所(キャビティ)230’を有している(図3も参照)。
固定円盤21はいずれも、上流側面に、周縁で開口する凹所(キャビティ)211を有しており、下流側面にも周縁で開口する凹所(キャビティ)212を有している(図3も参照)。
【0071】
図5は扇型キャビティ230a、230a’を具備した回転円盤23a、図6は菊型キャビティ230b、230b’を具備した回転円盤23b、図7は臼型キャビティ230c、230c’を具備した回転円盤23cを示している。
【0072】
図8は扇型キャビティ211a、212aを具備した固定円盤21a、図9は菊型キャビティ211b、212bを具備した固定円盤21b、図10は臼型キャビティ211c、212cを具備した固定円盤21cを示している。
【0073】
固定円盤21のキャビティの縁と回転円盤23のキャビティの縁とは、回転円盤の回転に伴ってそれら縁がすれ違うときに、回転円盤の上流側の面においては処理対象材料が回転円盤の円周側へ送られ、回転円盤の下流側の面においては処理対象材料が回転円盤の中心側へ送られるように、円盤半径方向に対する延び方向角度(固定円盤のキャビティ縁及び回転円盤のキャビティ縁間の相対角度)が調整されている。
【0074】
スパイラルロッド12の駆動により押し出されて固定円盤21及び回転円盤23間の隙間(剪断粉砕処理域)に入り込んだ処理対象材料は固定円盤21と回転円盤23の各キャビティ内に順次入り込み、この状態で回転円盤23が回転することによって両円盤21、23間において各キャビティ間に剪断力が付与される。すなわち、対向する固定円盤21と回転円盤23の各キャビティ内の材料には、各キャビティ内でスライスされるようにして剪断力と置換が作用し、これによって処理対象材料が混練粉砕される。また、有機顔料が次第に細かく砕かれて微細化されていくとともに均一粒径に整粒化されていく。
【0075】
かかる固定円盤21及び回転円盤23のキャビティの例として扇型、菊型、臼型を挙げているのは、キャビティの形状によって、処理対象材料の進行を必要以上に妨げることなく処理対象材料の進行に応じて材料に対する剪断力を大きくしていくためである。すなわち、各キャビティの空間率の割合は、扇型のキャビティ、菊型のキャビティ及び臼型のキャビティの順に小さくなるように構成されている。空間率が小さくなるに従って処理対象材料に大きな圧縮力が働き大きい剪断力が作用する。
【0076】
図1に示す捏和機10の混練部2においては、例えばこれを回転軸15の長手方向に略3等分して、そのうち右側部分には概ね、扇型キャビティの回転円盤及び固定円盤を配置し、中央部分には概ね、菊型キャビティの回転円盤及び固定円盤を配置し、左側部分には概ね、臼型のキャビティの回転円盤及び固定円盤を配置することができる。
【0077】
既述のように混練部2の最終段の回転円盤23に達した処理対象材料が次に到達する流量制限が行われるシールリング25は、最終段の混練シリンダー22とベントシリンダー31間に狭持された円筒状の固定円盤26に内嵌されて回転軸15に支持されている。シールリング2は固定円盤26の内径寸法よりも僅かに小さい外径寸法を持っており、回転軸15の回転に伴って回転する回転体である。
【0078】
シールリング25に達した処理対象材料乃至被処理物は固定円盤26とシールリング25で形成された隙間を流量制限を受けながら通過する。シールリング25の回転軸15と同方向の長さは固定円盤26の回転軸15と同方向の長さと同一である。流量制限を受けた被処理物はベント部3へ押し出される。
【0079】
ベント部3へ達した被処理物は固定円盤26と中心軸線を一致させて固定されたベントシリンダー31とシールリング25と中心軸線を一致させて回転軸15に取り付けられたベントブレード32で構成された僅かな隙間をベントブレード32のスパイラルフィン321によってメータリング部4へ押し出される。
【0080】
ベント部3に用意されたベント口部311はベントプラグ33で閉じられているが、メータリング部4で最終的に得ようとする混練組成物にとって不要なガス状の配合材料又は副産物等を除去する場合には、ベントプラグ33を取り外し排出することができる。排出する手段として真空ポンプ、自然廃棄等が考えられるが、その方法に特別の限定はない。
【0081】
メータリング部4は、ベント部3のベントシリンダー31に隣り合わせて配置されたメータリングシリンダー41と、メータリングシリンダー41に中心軸線を一致させて嵌挿されたメータリングスクリュー42を含んでいる。
【0082】
メータリングスクリュー42は、ベント部3のベントブレード32の左側面と接するようにして回転軸15に外嵌されている。
メータリング部4へ搬送された被処理物は回転するメータリングスクリュー42の外周面と、メータリングシリンダー41の内周面との間を通過し、排出口411から外へ定量排出される。
なお、メータリング部4を省略し、混練部2の最下流側に図示しない排出部を設けることも可能である。
【0083】
スパイラルロッド12、回転円盤23、中間送り部材24、シールリング25、ベントブレード32、メータリングスクリュー42は回転軸15先端部分のオネジ部にメネジ加工を施したスクリューヘッド43を締め付けることによって回転軸長手方向に対して動かないように固定される。
【0084】
固定円盤21、混練シリンダー22、ベントシリンダー31及びメータリングシリンダー41には、タイロッド9(図1参照)が貫通され、このタイロッド9がフィード部1のケーシング11に螺合固定されることにより、固定円盤21、混練シリンダー22、ベントシリンダー31及びメータリングシリンダー41がケーシング11に固定されている。
【0085】
図1の連続式捏和機10においては、固定円盤21に温度制御用熱媒体を流通させる熱媒体通路21sが、シリンダー22にも温度制御用熱媒体を流通させる熱媒体通路22sが形成されており、これらに必要に応じ図示省略の熱媒体循環装置により熱媒体を循環させてそれらの温度、ひいてはそれらに接触する処理対象材料の温度を制御できるようになっている。
【0086】
また、回転円盤23の温度を制御する回転円盤温度制御機構も設けられている。
この回転円盤温度制御機構は、回転円盤23に形成された熱媒体流入通路231、円盤内の媒体通路232及び熱媒体排出通路233(図3及び図4参照)のほか、通路231、232、233に熱媒体を流通させるための、回転軸15に沿って形成された熱媒体通路150、151、153(図1参照) 等を含んでいる。
【0087】
図4に示すように、回転円盤23に形成された熱媒体流入通路231は回転円盤23の上流側面に120°中心角度間隔で開口するように3箇所形成されている。熱媒体排出通路233は回転円盤23の下流側面に上流側面の通路開口に対して60°ずれて120°中心角度間隔で開口するように3箇所形成されている。これら熱媒体通路231、232は回転円盤23内の通路232に連通しており、上流側の通路231から通路232へ流入した熱媒体は下流側の通路233から回転円盤23外へ流出することができる。
【0088】
回転軸15に沿って形成された熱媒体通路150、151、153のうち、通路150は、図1において回転軸15の右側端部から回転軸内へ途中まで断面リング形状に形成されている熱媒体供給通路である。
この通路150の回転軸15内の端部から回転軸半径方向に3本の中継通路15Rが形成されており、各中継通路15Rの回転軸外周面の開口に通路151が連通している。
【0089】
通路151はここでは、スパイラルロッド12の螺旋羽根(スクリュー)121部分の内周面に溝状に形成されて回転軸15外周面に被さることで提供されている通路、各中間送り部材24の内周面に溝状に形成されて回転軸15の外周面に被さることで提供されている通路、シールリング25の内周面に溝状に形成されて回転軸15の外周面に被さることで提供されている通路等を総称している。
【0090】
回転軸半径方向の各中継通路15Rの回転軸外周面の開口に連通している通路151は、スパイラルロッド12の螺旋羽根(スクリュー)121部分の内周面に溝状に形成されて回転軸15外周面に被さることで提供されている通路である。
各回転円盤23の入口出口通路231、233には、中間送り部材24の内周面に溝状に形成されて回転軸15の外周面に被さることで提供されている通路及び最終段の回転円盤についてはシールリング25の内周面に溝状に形成されて回転軸15の外周面に被さることで提供されている通路が連通する。
【0091】
熱媒体通路153は回転軸15の中心部に形成された熱媒体の戻り循環通路である。
シールリング25の内周面に溝状に形成されて回転軸15の外周面に被さることで提供されている最終段の通路151はベント部3の回転体( ベントブレード)32に形成されて通路153に連通する通路152に連通している。
【0092】
熱媒体供給通路150及び循環通路153にはそれ自体すでに知られているロータリージョイント14が接続されており、必要に応じこのジョイント14に図示省略の熱媒体循環装置を接続して各回転円盤23に熱媒体を流通させることで、各回転円盤23の温度、さらに言えばキャビティ表面の温度、ひいてはそれに接触する処理対象材料の温度を制御できるようになっている。
【0093】
図3で示した回転円盤23に形成された媒体流入通路231及び排出通路233の各個数は3個に限定されない。状況に応じて1個又は3個ではない複数個形成してもよい。
回転円盤23等の表面温度を制御する熱媒体としては冷却を目的とした冷媒体又は加温を目的とした温媒体が考えられるが、何れの媒体も気体、液体等の種類に制限はない。
【0094】
以上説明した連続式捏和機10によると、例えば有機顔料と、水溶性無機塩と、水溶性有機溶剤との混合物を該捏和機により処理して、有機顔料が細粒化及び均一粒径へ整粒化されつつ全体的に混練された混練組成物が得られる。
【0095】
このとき、有機顔料と、水溶性無機塩と、水溶性有機溶剤とを含む処理対象材料は、連続式捏和機10における固定円盤21と回転円盤23との隙間に提供される剪断粉砕処理域を通過することで、剪断力と粉砕作用を受けて、有機顔料が細粒化されつつ、材料全体が均一状に混合され、細粒化された有機顔料の凝集が抑制された状態の混練組成物が得られる。
【0096】
また、連続式捏和機10は、回転円盤23の熱媒体通路等を含む回転円盤温度制御機構を備えているので、回転円盤を熱媒体で冷却して処理対象材料から形成されていく混練組成物の昇温による粘度の低下を抑制し、それにより、処理対象材料或いは混練組成物が前記剪断粉砕処理域を通過するときにそれに加わる剪断力をそれだけ大きくして、出発顔料の微細化及び均一状粒径への整粒化を促進できる。
【0097】
また、回転円盤を熱媒体で冷却して処理対象材料或いは混練組成物の前記剪断粉砕処理域を通過するときの剪断発熱を抑制して、昇温による顔料の結晶成長発生による微細化の妨げを抑制することができる。
【0098】
また、回転円盤23に熱媒体を流通させて回転円盤23と固定円盤21等の固定部との間に著しい温度差が生じることを抑制することもでき、それにより、例えば回転円盤23が比較的高温になってしまって混練組成物が優先的に回転円盤23部分へ流れる、というようなことを抑制して処理対象材料或いは混練組成物の移動を全体的に均一状に円滑化できる。
【0099】
また、回転円盤23を熱媒体で冷却して処理対象材料或いは混練物の混練中の温度を低下させて熱履歴による弊害を軽減することもできる。
【0100】
捏和機10は、固定円筒体(固定シリンダー26)とそれに内嵌する回転体(シールリング25)とを含む混練処理時間制御機構を備えているので、処理対象材料或いは混練組成物が該機構の固定円筒体26とこれに内嵌された回転体25との間の処理対象材料移動制御間隙を通過せしめられるとき、移動速度が制限され、それにより該間隙より上流側において処理対象材料或いは混練組成物が滞留気味となり、それにより、それらが回転円盤23と固定円盤21との隙間に提供される前記剪断粉砕処理域を通過するときにそれらに剪断力をそれだけ強く作用させることができ、有機顔料に水溶性無機塩間で生じる摩砕力を良好に作用させ、有機顔料の微細化、均一粒径への整粒化を促進できる。
【0101】
さらに言えば、混練処理時間制御機構を備えていることで、剪断粉砕処理域に強い圧縮力が発生し、それにより大きい剪断力が生まれる。剪断粉砕処理域における材料が圧密状態になることから回転円盤23の分配作用も効率よくなる。また、剪断粉砕処理域を材料が少ない滞留時間で通過してしまう、所謂ショートパスの現象も防止できる。
【0102】
なお、既述のとおり、捏和機10の混練部2においては、処理対象材料が扇型キャビティのある剪断粉砕処理域→菊型キャビティのある剪断粉砕処理域→臼型キャビティのある剪断粉砕処理域と進むにしたがい、あたかも配管の太さが細くなるような効果を受け圧縮を受けると同時に流れ性も制限される。しかし、これだけでは混練物の流れ性の制御を充分には行なえず、有機顔料微細化のために混練時に必要な滞留時間を生み出すことは困難である。この点、捏和機10のようにシールリングを用いる機構において、回転側と固定側の隙間を任意に選定することで、混練物に必要な滞留時間を任意に与えることができる。
【0103】
そして、このように微細化された有機顔料を含む混練組成物から水溶性無機塩及び水溶性有機溶剤を除去して前記有機顔料より微細で均一粒径に整粒化された有機顔料を得ることができる。
かくして、有機顔料から、それより微細で均一の粒径に整粒化された、微細有機顔料着色組成物等を製造するのに適する微細有機顔料を生産性良好に得ることができる。
【0104】
固定シリンダー26と回転体( シールリング)25との間隙は、処理対象材料の流れを抑制して混練が十分行われるようにするためのものであるが、その隙間の大きさは、混練物の流動性や混練状況により任意に選択できる。有機顔料の微細化では0.1mmから10mmが好ましく、0.1mmから3mmがより好ましい。
かかる隙間はどの部分でも同じものでも、一部がさらに狭くなっているものでも、両端だけが狭くなっているもの等でもよく、形状は問わない。しかし、隙間は全体的に均一隙間であることが好ましい。回転体の直径と長さの比及び固定シリンダー(固定筒体)の内径と長さの比については特段の制限はない。
【0105】
更に隙間を形成する固定シリンダー26とシールリング25は、その位置が特に限定されているわけではなく、混練物の流動性や混練状況等に応じて任意に選択できる。
以上説明したタイプの連続式捏和機のより具体例として、浅田鉄工株式会社製の連続捏和機「ミラクルKCK」を改良したものを挙げることができるが、特に限定されない。
浅田鉄工株式会社製の連続捏和機「ミラクルKCK」それ自体には回転円盤温度制御機構や混練処理時間制御機構はないので、ミラクルKCKにそれら機構を設けることで連続式捏和機10と同タイプの捏和機に改良することができる。
【0106】
混練組成物形成に用いられる有機顔料としては、例えば、カラーフィルタに用いられている公知の有機顔料を挙げることができ、この類の有機顔料を1種を単独で、又は2種類以上を混合して用いることができる。
【0107】
連続捏和機10を用いて得られる混練組成物を水に溶解させて有機顔料を製造することにより、平均一次粒子径が0.005μm〜0.1μm程度の非常に微細な有機顔料を得ることができ、例えば微細有機顔料をカラーフィルタ用塗膜に使用したときには、より高いコントラストが得られ、優れた性能を発揮することが可能となる。
【0108】
この有機顔料を、目的とする微細有機顔料着色組成物を得るための該有機顔料以外の、有機顔料担体を含む材料と混合して目的とする微細有機顔料着色組成物を得ることができる。この方法においては、例えば、前記目的とする微細有機顔料着色組成物を得るための有機顔料以外の材料に非水系溶剤が含まれる場合を挙げることができる。
【0109】
微細有機顔料製造に用いる有機顔料は、特に限定されるものではなく、粗製有機顔料、すなわち合成により得られたままの、平均一次粒子径が1μm〜200μm程度の大きな粒子や、平均一次粒子径が0.005μm以下の非常に微細な粒子が非常に強く凝集した粒子(凝集物)を使用することも可能であり、微細化をある程度進めた0.01μm〜1μmの粒子を繰り返し複数回微細化させることも可能である。
【0110】
その中でも、よく使用されるものとしては、ジケトピロロピロール系有機顔料、キノフタロン系有機顔料、ジオキサジン系有機顔料、及びフタロシアニン系有機顔料等が挙げられ、これら有機顔料からなる群から選ばれる少なくとも一種の有機顔料を使用することがより好ましい。
【0111】
ジケトピロロピロール系有機顔料は、赤〜橙色の顔料で、優れた耐光性、耐熱性を有している。
ジケトピロロピロール系有機顔料の具体例をカラーインデックスナンバーで示すと、C.I.Pigment Red254、255、264、又は272、或いはC.I.Pigment Orange71、73又は81等が挙げられる。
【0112】
キノフタロン系有機顔料は、黄色の有機顔料で、優れた耐光性、耐熱性を有している。キノフタロン系有機顔料の具体例をカラーインデックスナンバーで示すと、C.I.PigmentYellow138等が挙げられる。
【0113】
ジオキサジン系有機顔料は、紫色の有機顔料で、優れた耐光性、耐熱性を有している。ジオキサジン系顔料の具体例をカラーインデックスナンバーで示すと、C.I.PigmentViolet23、34、35、又は37等が挙げられる。
【0114】
フタロシアニン系有機顔料は、青色もしくは緑色の有機顔料で、優れた耐光性、耐熱性を有している。青色用のフタロシアニン系有機顔料の具体例をカラーインデックスナンバーで示すと、C.I.Pigment Blue15:1、2、3、4、5、6、16、又は17等が、緑色用のフタロシアニン系有機顔料の具体例をカラーインデックスナンバーで示すと、C.I.Pigment Green7、36、又は58等が挙げられる。
【0115】
捏和機による混練組成物形成に用いられる水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料を破砕し、顔料の一次粒子が微細化される。水に溶解するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、食塩(塩化ナトリウム)、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、塩化亜鉛、塩化カルシウム、塩化マグネシウム又はこれらの混合物等を挙げることができ、価格面から塩化ナトリウムを用いることが好ましい。
【0116】
混練組成物中の水溶性無機塩の量は、特に限定されるものではないが、顔料重量に対し1重量倍〜30重量倍の範囲が好ましく、3重量倍〜20重量倍の範囲であることがより好ましく、目的とする粒度に応じて選択できる。1 重量倍以上だと、微細化及び整粒が進み易く、30重量倍以下だと混練物中の顔料の処理量が多いため、生産性が高く工業的に有利である。
【0117】
水溶性無機塩の粒子径は、特に限定されるものではないが、体積基準のメディアン粒子径(D50)で0.5μm〜50μmであることが好ましい。D50が50μm以下だと、粗製有機顔料を微細にするための処理時間が短く、D50が0.5μm以上だと、水溶性無機塩を得るためのエネルギーが少なくて済む。又、水溶性無機塩の粒子径は、乾式仕様のレーザー回折式粒度分布測定機を用いて求めることが可能である。
【0118】
混練組成物に用いられる水溶性有機溶剤としては、有機顔料と水溶性無機塩とが均一な塊状となるように加えるもので、水と自由に混和するもの、又は自由に混ざらないが工業的に水洗による除去が可能な程度の溶解度を有するものが望ましい。又、混練時に混練組成物の温度が上昇し、水溶性有機溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から高沸点溶剤が好ましい。
【0119】
具体的に水溶性有機溶剤としては、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液体ポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、低分子量ポリプロピレングリコール、アニリン、ピリジン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n −プロパノール、イソブタノール、n −ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、又はN−メチルピロリドン等を挙げることができる。又必要に応じて2種類以上の溶剤を混合して使用してもよい。
【0120】
混練組成物中の水溶性有機溶剤の量は、特に限定されるものではないが、混練組成物中の割合が3重量%〜40重量%であることが望ましく、水溶性無機塩の量と混練組成物の硬さに応じて選択できる。水溶性有機溶剤が不足する場合には混練組成物がまとまらず、エネルギーが与えられないため微細化することが難しい、もしくは混練組成物がかたくなり過ぎることにより、安定した運転状態を保持することが難しい場合がある。又、過剰に投入した場合には混練組成物が軟らかくなり過ぎるため、所望の微細化度や整粒度を得ることが難しい場合がある。
【0121】
混練組成物中には、各種樹脂、分散助剤、可塑剤、分散剤、界面活性剤等の添加剤、有機顔料の分子に置換基を導入した化合物である色素誘導体、或いは一般に体質顔料として用いられている炭酸カルシウム、硫酸バリウム、及びシリカ等の無機顔料を併用してもよい。又、色相を調整するために他の顔料と混合して処理を行ってもよい。
【0122】
特に、有機顔料の結晶成長や結晶転移を防止し、効率的に微細な有機顔料を製造するために、色素誘導体、アントラキノン誘導体、アタリドン誘導体又はトリアジン誘導体から選ばれる少なくとも一種の誘導体を混練組成物に含有させることが好ましい。前記各誘導体は、有機顔料、アントラキノン、アクリドン又はトリアジンに、塩基性置換基、酸性置換基、又はフタルイミドメチル基を導入した化合物である。ブタルイミドメチル基は、置換基を有していても良い。中でも色素誘導体、とくに微細化される有機顔料と同一の構造を母体骨格とする色素誘導体は、顔料の結晶成長を抑制する効果が特に高いため好ましい。
【0123】
ここで色素誘導体は、有機色素に置換基を導入した化合物であり、用いる顔料の色相に近いものが好ましいが、添加量が少なければ色相の異なるものを用いても良い。有機色素には、一般に色素とは呼ばれていないナフタレン系等の淡黄色の芳香族多環化合物も含まれる。色素誘導体としては、特開昭63−305173号公報、特開昭52−132031号公報、特開昭54−062227号公報、特開昭56−061461号公報、又は特開昭60−088185号公報等に記載されているものを使用できる。特に、塩基性基を有する色素誘導体は、顔料の分散効果が大きいため、好適に用いられる。これらは単独で又は2種類以上を混合して用いることができる。
【0124】
色素誘導体は、下記一般式(1)で示される化合物である。
一般式(1):A−B
(一般式(1)中、Aは有機顔料残基であり、Bは塩基性置換基、酸性置換基、又はフタルイミドメチル基である。)
【0125】
一般式(1)中、Aの有機顔料残基を構成する有機顔料としては、ジケトピロロピロール系顔料、アゾ、ジスアゾ、若しくはポリアゾ等のアゾ系顔料、銅フタロシアニン、ハロゲン化銅フタロシアニン、若しくは無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アミノアントラキノン、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、若しくはビオラントロン等のアントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、チオインジゴ系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、ベンズイミダゾロン顔料、スレン系顔料、又は金属錯体系顔料等が挙げられる。
一般式(1)中、Bの塩基性置換基としては、下記一般式(2)、一般式(3)、又は一般式(4)で示される置換基が挙げられ、酸性置換基としては、一般式(5)、一般式(6)、又は一般式(7)で示される置換基が挙げられる。
【0126】
一般式(2)
【化1】

一般式(3)
【化2】

一般式(4)
【化3】

【0127】
〔一般式(2)〜(4)において、
Xは、−SO2 −、−CO−、−CH2 −、−CH2 NHCOCH2 −、−CH2 NHSO2 CH2 −、又は直接結合であり、
Yは、−NH−、−O−、又は直接結合であり、
nは、1〜10の整数であり、
1 は、−NH−、−NR10−Z−NR11−、又は直接結合であり、
10、及びR11は、それぞれ独立に、水素結合、置換基を有しても良い炭素数1〜36のアルキル基、置換基を有しても良い炭素数2〜36のアルケニル基、又は置換基を有しても良いフェニル基であり、
Zは、置換基を有しても良いアルキレン基、又は置換基を有しても良いアリーレン基であり、R2 、R3 は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有しても良い炭素数1〜30のアルキル基、置換基を有しても良い炭素数2〜30のアルケニル基、又はR2 とR3 とが一体となって更なる窒素、酸素、若しくは硫黄原子を含む、置換基を有しても良い複素環であり、
4 、R5 、R6 、及びR7 は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有しても良い炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有しても良い炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有しても良い炭素数6〜20のアリーレン基であり、
8 は、水素原子、置換基を有しても良い炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有しても良い炭素数2〜20のアルケニル基であり、
9 は、上記一般式(2)で示される置換基、又は上記一般式(3)で示される置換基であり、
Qは、水酸基、アルコキシル基、上記一般式(2)で示される置換基、又は上記一般式(3)で示される置換基である。〕
【0128】
一般式(2)〜(4)で示される置換基を形成するために使用されるアミン成分としては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、メチルエチルアミン、N,N−エチルイソプロピルアミン、N,N−エチルプロピルアミン、N,N−メチルブチルアミン、N,N−メチルイソブチルアミン、N,N−ブチルエチルアミン、N,N−tert−ブチルエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジプロピルアミン、N,N−sec−ブチルプロピルアミン、ジブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、N,N−イソブチル−sec−ブチルアミン、ジアミルアミン、ジイソアミルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミン、ジオクチルアミン、N,N−メチルオクタデシルアミン、ジデシルアミン、ジアリルアミン、N,N−エチル−1,2−ジメチルプロピルアミン、N,N−メチルヘキシルアミン、ジオレイルアミン、ジステアリルアミン、N,N−ジメチルアミノメチルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルアミン、N,N−ジメチルアミノアミルアミン、N,N−ジメチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノエチルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノへキシルアミン、N,N−ジエチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノペンチルアミン、N,N−ジプロピルアミノブチルアミン、N,N−ジブチルアミノプロピルアミン、N,N−ジブチルアミノエチルアミン、N,N−ジブチルアミノブチルアミン、N,N−ジイソブチルアミノペンチルアミン、N,N−メチル−ラウリルアミノプロピルアミン、N,N−エチル−ヘキシルアミノエチルアミン、N,N−ジステアリルアミノエチルアミン、N,N−ジオレイルアミノエチルアミン、N,N−ジステアリルアミノブチルアミン、ピペリジン、2−ピペコリン、3−ピペコリン、4−ピペコリン、2,4−ルペチジン、2,6−ルペチジン、3,5−ルペチジン、3−ピペリジンメタノール、ピペコリン酸、イソニペコチン酸、イソニペコチン酸メチル、イソニペコチン酸エチル、2 −ピペリジンエタノール、ピロリジン、3−ヒドロキシピロリジン、N−アミノエチルピペリジン、N−アミノエチル−4−ピペコリン、N−アミノエチルモルホリン、N−アミノプロピルピペリジン、N−アミノプロピル−2−ピペコリン、N−アミノプロピル−4−ピペコリン、N−アミノプロピルモルホリン、N−メチルピペラジン、N−ブチルピペラジン、N−メチルホモピペラジン、1−シクロペンチルピペラジン、1−アミノ−4−メチルピペラジン、又は1−シクロペンチルピペラジン等が挙げられる。
【0129】
一般式(5):
【化4】

一般式(6):
【化5】

一般式(7):
【化6】

【0130】
〔上記一般式(5)〜(7)において、
Mは、水素原子、カルシウム原子、バリウム原子、ストロンチウム原子、マンガン原子、又はアルミニウム原子であり、
iは、Mの価数であり、
12、R13、R14、及びR15は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜36のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜36のアルケニル基、置換基を有していてもよいフェニル基、又はポリオキシアルキレン基である。〕
【0131】
一般式(7)のスルホン酸アミン塩を形成するために使用されるアミン成分は、1級、2級、3級、4級のいずれのアミンでもよい。
【0132】
1級アミンとしては、側鎖を有していてもよいへキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、ノナデシルアミン、又はエオコシルアミン等の飽和アミン、或いは、前記飽和アミンの炭素数に対応する不飽和アミンが挙げられる。
【0133】
2級アミンとしては、ジオレイルアミン、又はジステアリルアミン等が挙げられる。
3級アミンとしては、ジメチルオクチルアミン、ジメチルデシルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジラウリルモノメチルアミン、又はトリオクチルアミン等が挙げられる。
【0134】
4級アミンとしては、ジメチルジドデシルアンモニウムクロリド、ジメチルジオレイルアンモニウムクロリド、ジメチルジデシルアンモニウムクロリド、ジメチルジオクチルアンモニウムクロリド、トリメチルステアリルアンモニウムクロリド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド、トリメチルデシルアンモニウムクロリド、トリメチルヘキサデシルアンモニウムクロリド、トリメチルオクタデシルアンモニウムクロリド、ジメチルドデシルテトラデシルアンモニウムクロリド、又はジメチルヘキサデシルオクタデシルアンモニウムクロリド等が挙げられる
【0135】
また、一般式(7)におけるR12、R13、R14、及びR15のいずれかがポリオキシアルキレン基を表す場合、その例としてはポリオキシエチレン基、又はポリオキシプロピレン基等が挙げられる。
【0136】
混練組成物中の色素誘導体の配合量は、有機顔料100重量部に対して、好ましくは1重量部〜30重量部、更に、好ましくは2重量部〜25重量部である。誘導体の配合量が1重量部以上の場合には、添加した効果が得られ易く、30重量部以下の場合には、余剰の誘導体により分散に影響を及ぼすことがない。
【0137】
有機顔料、水溶性無機塩、水溶性有機溶剤などの供給方法としては、特に限定されるものではなく、個々に供給しても、粉体のみ予備混合した後供給しても、全て予備混合した後供給してもよい。個々を分けて供給することによって予備混合する手間を省くことが可能となり、予備混合して供給することにより供給機器の台数を減じることができ、有機顔料と水溶性有機溶剤とを予備混合することにより、有機顔料表面をあらかじめ濡らしておくことが可能となる。
【0138】
混練組成物を機械的に混練するときの温度は、特に限定されるものではないが、5℃〜80℃で処理することが好ましく、10℃〜50℃で処理することがより好ましい。このような処理温度条件は、回転円盤23の熱媒体通路231、232、233及び( 又は) 固定シリンダー21の熱媒体通路21s及び混練シリンダー22の熱媒体通路22sに温度制御用の熱媒体を図示省略の熱媒体循環装置を用いて循環させることで得ることができる。
【0139】
5℃以上80℃以下の混練条件においては混練物吐出量を低減する、もしくは混練組成物の粘度を低減する等の所作、もしくはこれら所作の併用をすることなく、有機顔料粒子を砕いて微細化する速度と有機顔料粒子の結晶成長速度の制御が容易であり、所望の微細化度を達成できる。なお、混練開始後、必要に応じて加熱又は冷却を行い、混練温度を機械ゾーン毎に変更し顔料粒子の成長を変化させることも可能である。
【0140】
混練後の微細有機顔料は、常法により処理される。すなわち、混練組成物を水又は鉱酸水溶液で処理し、濾過、水洗により水溶性無機塩及び水溶性有機液体を除去し、微細有機顔料を単離する。具体的には、混練後の微細有機顔料を水中に投入し、攪拌してスラリーとし、次いで、このスラリーを濾過、水洗することにより水溶性無機塩と水溶性有機溶剤とを除去して微細有機顔料を製造することができる。これらの工程を複数回繰り返してもよい。鉱酸水溶液としては、特に限定されないが、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸を含む水溶液が挙げられる。攪拌には、例えば、ハイスピードミキサーを用いてもよい。濾過には、例えば、フィルタープレスを用いてもよい。微細顔料は、このまま湿潤状態で使用することも、乾燥・粉砕により粉末状態で使用することも可能である。
【0141】
得られる微細有機顔料の平均一次粒子径は、40nm以下であることが好ましく、より好ましくは30nm以下であり、更に好ましくは20nm以下である。又、平均一次粒子径は1nm以上であることが好ましい。顔料の平均一次粒子径が前記上限値40nmより大きい場合には、着色膜の透明性等が低下する。又、下限値1nmより小さい場合は、顔料分散が難しくなり、着色組成物としての安定性を保ち、流動性を確保することが困難になる。又、一次粒子径の算出方法としては、例として以下のものが挙げられる。透過型電子顕微鏡(TEM)で撮影した微細化有機顔料の像を画像処理すること等により、粒子個々の投影面積を求め、その投影面積に相当する円の直径を算出する。個々に算出された粒子の円の直径の総和を個数で除した値を、平均一次粒子径として使用することが可能である。
【0142】
得られた微細有機顔料を用いて微細有機顔料着色組成物とすることができる。微細有機顔料着色組成物は、微細有機顔料及び顔料担体を含む。
【0143】
微細有機顔料着色組成物に含まれる顔料担体は、微細有機顔料を分散させるものであり、樹脂、その前駆体又はそれらの混合物により構成される。樹脂は、可視光領域の400nm〜700nmの全波長領域において、透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上である。樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及び活性エネルギー線硬化性樹脂が含まれ、その前駆体には、活性エネルギー線照射により硬化して樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれ、これらを単独で、又は2種以上混合して用いることができる。
【0144】
顔料担体は、微細有機顔料着色組成物中の微細有機顔料100重量部に対して、30重量部〜700重量部、好ましくは60重量部〜450重量部の量で用いることができる。又、樹脂とその前駆体との混合物を顔料担体として用いる場合には、樹脂は、微細有機顔料着色組成物中の微細有機顔料100重量部に対して、20重量部〜400重量部、好ましくは50重量部〜250重量部の量で用いることができる。又、樹脂の前駆体は、微細有機顔料着色組成物中の微細有機顔料100重量部に対して、10重量部〜300重量部、好ましくは10重量部〜200重量部の量で用いることができる。
【0145】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、又はポリイミド樹脂等が挙げられる。
【0146】
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、又はフェノール樹脂等が挙げられる。
【0147】
活性エネルギー線硬化性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、又はアミノ基等の反応性の置換基を有する高分子に、イソシアネート基、アルデヒド基、又はエポキシ基等の反応性の置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、又はスチリル基等の光架橋性基を導入したものが用いられる。又、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシァルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
【0148】
樹脂の前駆体であるモノマー及びオリゴマーとしては、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)、ターシャリブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アタリレート、イソオクチル(メタ)アタリレート、2 −エチルヘキシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アタリレート、又はイソステアリル(メタ)アクリレート等の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アタリレート類;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ターシャリブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、又はイソボルニル(メタ)アクリレート等の環状アルキル(メタ)アクリレート類;
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、又はテトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等のフルオロアルキル(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリロキシ変性ポリジメチルシロキサン(シリコーンマクロマー)類;
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、又は3−メチル−3−オキセタニル(メタ)アクリレート等の複素環を有する(メタ)アクリレート類;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、又はノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の芳香族環を有する(メタ)アタリレート類;
2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アタリレート、2−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ−2−エチルへキシルエーテル(メタ)アタリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノラウリルエーテル(メタ)アクリレート、又はポリエチレングリコールモノステアリルエーテル(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリル酸、アクリル酸ダイマー、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルヘキサヒドロフタレート、エチレンオキサイド変性コハク酸(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アタリレート、又はω−カルボキシポリカプロラクトン(メタ)アクリレート等のカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート類;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル(メタ)フタレート、 ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アタリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、又はグリセロール(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート類;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート,ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、又は2−エチル,2−ブチループロパンジオールジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;
ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、テトラメチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、テトラメチレンオキサイド変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ジアクリル酸亜鉛、エチレンオキサイド変性リン酸トリアクリレート、又はグリセロールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート類;
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、又はジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等の3級アミノ基を有する(メタ)アクリレート類;
グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、又はジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アタリレート等の三官能以上の多官能(メタ)アクリレート;
グリセロールトリグリシジルエーテル−(メタ)アクリル酸付加物、グリセロールジグリシジルエーテル−(メタ)アクリル酸付加物、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル−(メタ)アクリル酸付加物、1,6−ブタンジオールジグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテル−(メタ)アクリル酸付加物、アリルグリシジルエーテル−(メタ)アクリル酸付加物、フェニルグリシジルエーテル−(メタ)アクリル酸付加物、スチレンオキサイドー(メタ)アクリル酸付加物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル−(メタ)アクリル酸付加物、プロピレンオキサド変性ビスフェノールAジグリシジルエーテル−(メタ)アクリル酸付加物、ビスフェノールFジグリシジルエーテル−(メタ)アクリル酸付加物、エピクロルヒドリン変性フタル酸−(メタ)アクリル酸付加物、エピクロルヒドリン変性ヘキサヒドロフタル酸−(メタ)アクリル酸付加物、エチレングリコールジグリシジルエーテルー(メタ)アクリル酸付加物、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルー(メタ)アクリル酸付加物、プロピレングリコールジグリシジルエーテル−(メタ)アクリル酸付加物、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル−(メタ)アクリル酸付加物、フェノールノボラック型エポキシ樹脂−(メタ)アクリル酸付加物、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂−(メタ)アクリル酸付加物、又はその他のエポキシ樹脂−(メタ)アクリル酸付加物等のエポキシ(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリロイル変性イソシアヌレート、(メタ)アクリロイル変性ポリウレタン、(メタ)アクリロイル変性ポリエステル、(メタ)アクリロイル変性メラミン、(メタ)アクリロイル変性シリコーン、(メタ)アクリロイル変性ポリブタジエン、又は(メタ)アクリロイル変性ロジン等の(メタ)アクリロイル変性樹脂オリゴマー類;
スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸ビニル、又は(メタ)アクリル酸アリル等のビニル類;
ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、又はペンタエリスリトールトリビニルエーテル等のビニルエーテル類;
(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、又はN−ビニルホルムアミド等のアミド類;或いは
アクリロニトリル等が挙げられる。これらは、単独で又は2種類以上混合して用いることができる。
【0149】
本発明の微細有機顔料着色組成物には、該組成物を紫外線照射により硬化するときには、光重合開始剤等が添加される。
【0150】
光重合開始剤としては、
4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、又は2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等のアセトフェノン系光重合開始剤;
ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、又はベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系光重合開始剤;
ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、又は4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン系光重合開始剤;
チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、又は2, 4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系光重合開始剤; 2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、又は2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系光重合開始剤;
ボレート系光重合開始剤; カルバゾール系光重合開始剤; 或いは、イミダゾール系光重合開始剤等が用いられる。
【0151】
光重合開始剤は、着色組成物中の有機微細顔料100重量部に対して、5重量部〜200重量部、好ましくは10重量部〜150重量部の量で用いることができる。
上記光重合開始剤は、単独或いは2種以上混合して用いるが、増感剤として、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル−9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、又は4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等の化合物を併用することもできる。増感剤は、着色組成物中の光重合開始剤100 重量部に対して、0.1〜60重量部の量で用いることができる。
【0152】
本発明の微細有機顔料着色組成物は、溶剤現像型或いはアルカリ現像型着色レジストの形態で調整することができる。着色レジストは、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又は活性エネルギー線硬化性樹脂とモノマーを含む顔料担体中に顔料を分散させたものであり、1種又は2種以上の上記微細有機顔料を、必要に応じて光重合開始剤と共に、顔料担体中に、三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、又はアトライター等の各種分散手段を用いて製造することができる。又、本発明の微細有機顔料着色組成物は、数種類の上記微細有機顔料を別々に顔料担体に分散したものを混合して製造することもできる。
【0153】
微細有機顔料を顔料担体中に分散する際には、適宜、樹脂型顔料分散剤、界面活性剤、及び色素誘導体等の分散助剤を用いることができる。分散助剤は、顔料の分散に優れ、分散後の顔料の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて顔料を顔料担体中に分散してなる着色組成物を用いて着色膜を作製した場合には、透明性に優れる。分散助剤は、着色組成物中の顔料100重量部に対して、0.1重量部〜40重量部、好ましくは0.1重量部〜30重量部の量で用いることができる。
【0154】
中でも、色素誘導体は、微細有機顔料の凝集を防ぎ、有機顔料が微細に分散した状態を維持する働きに優れ、これらの誘導体を含有する微細有機顔料着色組成物を用いることにより、高コントラスト比で色純度の高い着色膜を製造することができるため、分散助剤として好ましい。
【0155】
本発明の微細有機顔料着色組成物において添加する樹脂型顔料分散剤は、顔料に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、顔料担体と相溶性のある部位とを有し、顔料に吸着して顔料の顔料担体への分散を安定化する働きをするものである。
【0156】
樹脂型顔料分散剤は、ポリビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ホルマリン縮合系、シリコーン系、又はこれらの複合系ポリマーが挙げられ、
顔料親和性部位としては、カルポキシル基、ヒドロキシル基、燐酸基、燐酸エステル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、アミノ基、4級アンモニウム塩基、又はアミド基等の極性基、並びに、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、又はこれらの複合系等の親水性ポリマー鎖等が挙げられ、
色素担体と相溶性のある部位としては、長鎖アルキル鎖、ポリビニル鏡、ポリエーテル鎖、又はポリエステル鎖等が挙げられる。
【0157】
樹脂型顔料分散剤として具体的には、
スチレン−無水マレイン酸共重合物、オレフィン−無水マレイン酸共重合物、ポリ(メタ)アクリル酸塩、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、(メタ)アクリル酸−ポリビニル系マクロマー共重合体、燐酸エステル基含有アクリル樹脂、芳香族カルボキシル基含有アクリル樹脂、ポリスチレンスルホン酸塩、アクリルアミド−(メタ)アクリル酸共重合物、カルボキシメチルセルロース、カルボキシル基を有するポリウレタン、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、又はアルギン酸ソーダ等のアニオン系樹脂型顔料分散剤;
ポリビニルアルコール、ポリアルキレンポリアミン、ポリアクリルアミド、又はポリマー澱粉等のノニオン系樹脂型顔料分散剤;或いは
ポリエチレンイミン、アミノアルキル(メタ)アクリレート共重合物、ポリビニルイミダゾリン、アミノ基を有するポリウレタン、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応物、又はサトキンサン等のカチオン系樹脂型顔料分散剤が挙げられ、これらを単独又は2種以上を混合して用いることができる。
【0158】
市販の樹脂型顔料分散剤としては、
Disperbyk−101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、2020、2090、2091、2164、若しくは2163、又は、Anti−Terra−U、203、若しくは204、又は、BYK−Pl04、Pl04S、若しくは220S、又は、Lactimon、若しくはLactimon−WS、又はBykumen等のビックケミー社製樹脂型顔料分散剤;
SOLSPERSE−3000、9000、13240、13650、13940、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32600、34750、36600、38500、41000、41090、又は53095等の日本ルーブリゾール社製樹脂型顔料分散剤;或いは
EFKA−46、47、48、452、LP4008、4009、LP4010、LP4050、LP4055、400、401、402、403、450、451、453、4540、4550、LP4560、120、150、1501、1502、又は1503等のBASF社製樹脂型顔料分散剤等が挙げられるが、これらに限定されることなく任意の樹脂型顔料分散剤が使用でき、これらを単独又は2種以上を混合して用いることもできる。
【0159】
界面活性剤としては、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、又はポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等のアニオン性界面活性剤;
ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、又はポリエチレングリコールモノラウレート等のノニオン性界面活性剤;
アルキル4級アンモニウム塩、又はそれらのエチレンオキサイド付加物等のカオチン性界面活性剤;
アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン;或いは
アルキルイミダゾリン等の両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0160】
本発明の微細有機顔料着色組成物には、非水系溶剤を含有させることができる。これにより、微細有機顔料を充分に顔料担体中に分散させ、ガラス基板等の透明基板上に乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布して着色膜を形成することを容易にする。
【0161】
非水系溶剤としては、例えば1,2,3−トリクロロプロパン、1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,4−ジオキサン、2−ヘプタノン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3−メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、4−へプタノン、m−キシレン、m−ジエチルベンゼン、m−ジクロロベンゼン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、n−ブチルアルコール、n−ブチルベンゼン、n−プロピルアセテート、N−メチルピロリドン、o−キシレン、o−クロロトルエン、o−ジエチルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−クロロトルエン、p−ジエチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、γ−ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n−アミル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、又は二塩基酸エステル等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。溶剤は、顔料分散体及び着色組成物中の顔料100重量部に対して、800重量部〜4000重量部、好ましくは1000重量部〜2500重量部の量で用いることができる。
【0162】
また、本発明の微細有機顔料着色組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。貯蔵安定剤としては、例えば、ベンジルトリメチルアンモニウムタロライド、又はジエチルヒドロキシアミン等の4級アンモニウムクロライド類;乳酸、又はシュウ酸等の有機酸類;前記有機酸のメチルエステル類;t−ブチルピロカテコール等のカテコール類;トリフェニルホスフィン、テトラエチルホスフィン、又はテトラフェニルフォスフィン等の有機ホスフィン類;或いは、亜リン酸塩類等が挙げられる。貯蔵安定剤は、微細有機顔料着色組成物中の微細有機顔料100重量部に対して、0.1重量部〜10重量部の量で用いることができる。
【0163】
本発明の微細有機顔料着色組成物は、グラビアオフセット用印刷インキ、水無しオフセット印刷インキ、シルクスクリーン印刷用インキ、溶剤現像型或いはアルカリ現像型着色レジストの形態で調製することができる。
【0164】
アルカリ現像型着色レジストは、バインダー樹脂と、モノマー及び/又はオリゴマーと、光重合開始剤と、有機溶剤とを含有する組成物中に本発明の微細有機顔料を分散させたものである。バインダー樹脂は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及び感光性樹脂からなる群から選ばれる1種類以上の樹脂であり、且つ、少なくともアルカリ可溶性樹脂を含む樹脂である。
【0165】
微細有機顔料着色組成物として、アルカリ現像性着色レジストを調整する場合、バインダー樹脂と、モノマー及び/又はオリゴマーと、光重合性開始剤と、有機溶剤とを含有する組成物中に、本発明の微細有機顔料を分散するか、或いは、予め、バインダー樹脂と、有機溶剤とを含有する組成物中に、本発明の微細有機顔料を分散して調整した微細有機顔料分散体と、モノマー及び/又はオリゴマーと、光重合性開始剤とを混合することによって調製できる。
【0166】
塗膜の色特性、顔料の分散安定性、及び処方調整の簡便性等の観点から、後者の調整法が好ましいが、これに限定されるものではない。
【0167】
微細有機顔料分散体は、それ自体本発明の微細有機顔料着色組成物であり、必要に応じて、モノマー及び/又はオリゴマーの一部を含有させることができ、バインダー樹脂及び又は有機溶剤の−部を、着色レジスト調整時に、混合することもできる。
【0168】
微細有機顔料は、微細有機顔料着色組成物の全固形分量を基準(100重量%)として5重量%〜70重量%の割合で含有されることが好ましい。20重量%〜50重量%の割合であることがより好ましい。
【0169】
また本発明の微細有機顔料着色組成物には、調色のため、耐熱性を低下させない範囲内で染料を含有させることができる。
【0170】
本発明の微細有機顔料着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、更に、好ましくは0.5μm以上の粗大粒子及び混入した塵の除去を行うことが好ましい。
【0171】
〔実施例〕
以下に、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、以下の実施例は本発明をそれらに限定するものではない。なお、各実施例における「部」及び「%」は、「重量部」及び「重量%」をそれぞれ表す。
【0172】
(測定法)
<顔料の粒子径>
まず、透過型電子顕微鏡(日本電子社製)を用いて顔料の一次粒子を撮影した画像を得た。更に、画像解析型粒度分布測定ソフト(マウンテック社製)を用いて、得られた画像の粒子個々の投影面積を求め、粒子の投影面積の総和から粒子の個数を除することにより、顔料粒子の平均粒子径を算出した。
<着色膜の形成方法>
着色膜は、微細有機顔料着色組成物を用いて、スピンコーターを用いて任意に回転数を変化させ、乾燥膜厚が2.0μmとなるように作製した。塗布後、80℃で30分、熱風オーブンで乾燥した。
【0173】
<コントラスト比>
着色膜を形成した基板の両面にそれぞれ偏光板を両偏光板の偏光軸が互いに平行になるよう重ね、一方の偏光板側からバックライトを入射させ、他方の偏光板を透過した光の輝度(Lp)を輝度計にて測定した。次に、基板の両面に重ねられた偏光板を、両偏光板の偏光軸が互いに直交するように配置し、一方の偏光板側からバックライトを入射させ、他方の偏光板を透過した光の輝度(Lc)を輝度計にて測定した。得られた測定輝度値を用いて、コントラスト比Lp/Lcを算出した。測定は基板の法線方向において行った。又、二つの偏光板として、いずれも、「NPF−SEG1224DU」(日東電工社製)を用いた。輝度計としては、「BM−5A」(トプコン社製)を用い、2°視野の条件で輝度を測定した。なお、コントラスト比が高いほど、着色膜(着色組成物)の透明性に優れる。
【0174】
<半価幅>
乾燥した顔料を80meshの金網で粉砕した後、X線測定を実施した。X線回折スペクトルは下記条件で測定を実施した。
・装置:リガク社製Ultima2001
・X線源:CuKα
・電圧:40kV
・電流:40mA
・測定範囲:5.0°〜35.0°
・ステップ角:0.01°
この測定結果より、下記条件でデータ処理を行い、半価幅(△2θ°)を求めた。ここで、半価幅とは、任意の2θ°のピークにおいて、そのX線回折強度の1/2強度となる強度位置でのピーク幅で定義されるブラック角値である。
【0175】
キノフタロン系顔料では2θ°11.0〜13.7°、24.5〜27.0°、27.0〜29.3°、ジオキサジン系顔料では2θ°4.0〜7.0°、8.0〜12.0°、15.5〜18.5°、24.5〜27.5°、フタロシアニン系顔料では5.0〜12.0°、ハロゲン化銅フタロシアニン系顔料では15.5〜18.3°、21.6〜22.7°を結ぶ直線をベースラインとし、バックグラウウンド除去を行った。本データ処理後、各範囲内の最大強度を選択し、半価幅を求めた。複数箇所でピークを持つ場合平均値を算出し半価幅とした。ここで求める半価幅は、粒子の大きさに対応するものと考えられる。つまり半価幅が大きい場合、粒子は小さい。
【0176】
<アクリル樹脂溶液の調製>
反応容器にプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート800部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら100℃に加熱して、同温度で、メタクリル酸80.0部、メチルメタクリレート85.0部、ブチルメタクリレート85.0部、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル10.0部の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。滴下後、更に、100℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル2.0部をプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート50部で溶解させたものを添加し、更に、100℃で1時間反応を続けて、重量平均分子量(Mw)が40,000のアクリル樹脂溶液を得た。
【0177】
以下、回転軸に取り付けられた、表面に凹部を複数個持った回転円盤が、捏和機10の回転円盤23のように熱媒体通路を有する場合は「回転部冷却機構」ありとし、処理対象材料の流れを制限するシリンダー26及びシールリング25の間の隙間からなるような機構が有る場合は「堰き止め機構」ありとする。
【0178】
〔実施例1〕
あらかじめほぼ均一となるようにコンバートミキサー(淺田鉄工社製)で予備混合し、粉体混合物1を作製した。1000部に対する割合を下記に示す。
・ジオキサジンバイオレット顔料(C.I.Pigment Violet 23、住友化学社製「スミトンファーストバイオレットRLベース」) 89部 ・ジオキサジン系色素誘導体1 24部 ・塩化ナトリウム 887部 ここでジオキサジン系色素誘導体1の構造式は下記のとおりである。
【化7】

【0179】
粉体混合物1をスクリュー式定量フィーダー(クボタ社製)で、ジエチレングリコールをチューブポンプで連続捏和機(「ミラクルKCK−32型」淺田鉄工社製)に供給し、有機顔料を摩砕して微細有機顔料を製造した。ここで連続捏和機の運転条件は、固定円盤と回転円盤からなる混練部組数は8組で、主軸回転数100rpm、粉体混合物1の供給量5.1kg/H(時間)、ジエチレングリコールの供給量0.92kg/H、混練温度20℃とした。隙間0.5mmの堰き止め機構は1部設けたが、回転部冷却機構は設けなかった。
【0180】
ここで得られた混練物を70℃の1%硫酸水溶液8800部に取り出し、1時間保温攪拌後、濾過、水洗、乾燥、粉砕し、微細ジオキサジンバイオレット顔料1を得た。
次いで、得られた微細ジオキサジンバイオレット顔料を含む下記組成の混合物を均一に攪拌した後、直径1mmのジルコニアビーズを用いて、ビーズミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し、紫色微細有機顔料分散体1を作製した。
・微細ジオキサジンバイオレット顔料1 10部 ・ジオキサジン系色素誘導体 1部 ・アクリル樹脂溶液 40部 ・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 48部
【0181】
さらに、得られた紫色微細有機顔料分散体1を含む下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過して、紫色微細有機顔料組成物1(紫色アルカリ現像型レジスト材1)を作製した。
・紫色微細有機顔料分散体1 45.0部 ・アクリル樹脂溶液 15.0部 ・トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学社製「NKエステルATMPT」) 9.0部 ・光重合開始剤2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン(BASF社製「イルガキュアー907」) 2.0部 ・増感剤4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(保土ケ谷化学社製「EAB−F」) 0.2部 ・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 28.8部
【0182】
〔実施例2〕
実施例1の連続捏和機(「ミラクルKCK−32型」淺田鉄工(株)製)の運転条件につき、隙間0.5mmの堰き止め機構を1部及び隙間1.5mmの堰き止め機構を1部の計2部設け、それ以外は実施例1と変更せずに運転して得た混練組成物を、実施例1と同様に処理することにより微細ジオキサジンバイオレット顔料2を得た。次いで、微細ジオキサジンバイオレット顔料1を微細ジオキサジンバイオレット顔料2に替える以外は、実施例1と同様にして、紫色微細有機顔料分散体2を作製した。更に、紫色微細顔料分散体1を紫色微細顔料分散体2に替える以外は、実施例1と同様にして、紫色微細有機顔料組成物2(紫色アルカリ現像型レジスト材2)を作製した。
【0183】
〔実施例3〕
実施例1の連続捏和機(「ミラクルKCK−32型」淺田鉄工(株)製)の運転条件につき、ジエチレングリコール供給量を1.07kg/H(時間)とし、回転部冷却機構を設けた以外は実施例1と変更せずに運転して得た混練組成物を、実施例1と同様に処理することにより微細ジオキサジンバイオレット顔料3を得た。次いで、微細ジオキサジンバイオレット顔料1を微細ジオキサジンバイオレット顔料3に替える以外は、実施例1と同様にして、紫色微細有機顔料分散体3を作製した。更に、紫色微細顔料分散体1を紫色微細顔料分散体3に替える以外は、実施例1と同様にして、紫色微細有機顔料組成物3(紫色アルカリ現像型レジスト材3)を作製した。
【0184】
〔実施例4〕
実施例1の連続捏和機(「ミラクルKCK−32型」淺田鉄工(株)製)の運転条件につき、ジエチレングリコール供給量を0.99kg/Hとし、回転部冷却機構を設けた以外は実施例1変更せずに運転して得た混練組成物を、実施例1と同様に処理することにより微細ジオキサジンバイオレット顔料4を得た。次いで、微細ジオキサジンバイオレット顔料1を微細ジオキサジンバイオレット顔料4に替える以外は、実施例1と同様にして、紫色微細有機顔料分散体4を作製した。更に、紫色微細顔料分散体1を紫色微細顔料分散体4に替える以外は、実施例1と同様にして、紫色微細有機顔料組成物4(紫色アルカリ現像型レジスト材4)を作製した。
【0185】
〔比較例1〕
実施例1の連続捏和機(「ミラクルKCK−32型」淺田鉄工(株)製)の運転条件につき、粉体混合物供給量を1.8kg/H、ジエチレングリコール供給量を0.36kg/Hとし、堰き止め機構を設けていないこと以外は実施例1と変更せずに運転して得た混練組成物を、実施例1と同様に処理することにより微細ジオキサジンバイオレット顔料5を得た。次いで、微細ジオキサジンバイオレット顔料1を微細ジオキサジンバイオレット顔料5に替える以外は、実施例1と同様にして、紫色微細有機顔料分散体5を作製した。更に、紫色微細顔料分散体1を紫色微細顔料分散体5に替える以外は、実施例1と同様にして、紫色微細有機顔料組成物5(紫色アルカリ現像型レジスト材5)を作製した。
【0186】
〔比較例2〕
下記組成の混練物を3000容量部のニーダー(井上製作所製)に投入して、回転数24.5rpm、処理温度60℃で12時間混練した。
・ジオキサジンバイオレット顔料(C.I.Pigment Violet 23、住友化学社製「スミトンファーストバイオレットRLベース」) 131部 ・ジオキサジン系色素誘導体 36部 ・塩化ナトリウム 1333部 ・ジエチレングリコール 250部
【0187】
ここで得られた混練物を実施例1と同様に処理することにより微細ジオキサジンバイオレット顔料6を得た。次いで、微細ジオキサジンバイオレット顔料1を微細ジオキサジンバイオレット顔料6に替える以外は実施例1と同様にして、紫色微細有機顔料分散体6を作製した。さらに、紫色微細顔料分散体1を紫色微細顔料分散体6に替える以外は実施例1と同様にして、紫色微細有機顔料分散体6を作製した。更に、紫色微細顔料分散体1を紫色微細顔料分散体6に替える以外は、実施例1と同様にして、紫色微細有機顔料組成物6(紫色アルカリ現像型レジスト材6)を作製した。
【0188】
上記例の方法により作製した際の実施例1〜4、比較例1、2の運転時の電流、電力、電力量、混練部温度、及び微細ジオキサジンバイオレット顔料1〜6の粒径、半価幅、紫色アルカリ現像型レジスト材1〜6のコントラスト比を測定した。測定結果を表1に示す。
【0189】
【表1】

【0190】
表1より、堰き止め機構を設けた実施例1及び2においては、比較例1と比較して、混練組成物の供給量を上げて高負荷な条件で運転することが可能となり、高微細化度且つ高コントラスト比が得られる微細化顔料の作製が可能となったことから、堰き止め機構が非常に有効な形状であることが明らかである。
また、実施例1と2の比較から、堰き止め機構を増量することによってもより高微細化度且つ高コントラス比が得られる微細化顔料の作製が可能となったと言え、堰き止め機構が効果を有することは明らかである。
【0191】
実施例3及び4のように、さらに回転部冷却機構を設けることにより、実施例1及び比較例1と比較して高負荷な条件で運転することが可能となると同時に、混練物の発熱を防ぎ混練組成物の温度の上昇を抑制することにより、より高微細化度且つ高コントラスト比が得られる微細化顔料の作製が可能となったことから、回転部冷却機構が非常に有効な手段及び形状であることが明らかである。
【0192】
また比較例2のように、他の捏和機を使用して微細化した場合、同等或いはそれ以上の電力量を有機顔料に与えて微細化しても、顔料の微細化度及びコントラスト比共に実施例1〜4の品位に到達しなかったことから、本発明の製造方法を実施することにより、高い微細化度を有し、塗膜を形成した場合に優れた性能を発揮させることが可能であることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0193】
本発明は微細な有機顔料を生産性良好に得る微細有機顔料の製造方法及び該製造方法の実施に使用できる連続式捏和機を提供する。また、かかる有機顔料を利用して得られる微細有機顔料着色組成物を提供する。
【符号の説明】
【0194】
1 フィード部
2 混練部
3 ベント部
4 メータリング部
11 ケーシング
111 粉体原料受け入れ口
112 液体原料受け入れロ
12 スパイラルロッド
121 スクリュー羽根
13 円筒状シリンダー
14 ロータリージョイント
15 回転軸
151 熱媒体通路
152 熱媒体通路
153 熱媒体還流通路
16 歯車伝動機構
M モータ
21 固定円盤
22 混練シリンダー
23 回転円盤
231 熱媒体流入通路
232 熱媒体通路
233 熱媒体排出通路
24 中間送り部材
25 シールリング
26 固定円盤
31 ベントシリンダー
311 ベント口部
32 ベントブレード
321 スパイラルフィン(ベント)
33 ベントプラグ
41 メータリングシリンダー
42 メータリングスクリュー
411 排出口
43 スクリューヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機顔料と、水溶性無機塩と、水溶性有機溶剤との混合物を、連続式捏和機を用いて連続的に、前記出発有機顔料を細粒化しつつ混練して混練組成物を得る第1工程と、
前記第1工程で得られる混練組成物から水溶性無機塩及び水溶性有機溶剤を除去して前記有機顔料より微細な有機顔料を得る第2工程とを含み、
前記第1工程では前記連続式捏和機として、複数個の環状の固定円盤と、該環状固定円盤に対向配置されるとともに該環状固定円盤に通された回転軸に支持され、該回転軸が回転駆動されることで該環状固定円盤と中心軸線を同じくして回転駆動される複数個の回転円盤とを含み、該環状固定円盤と該回転円盤とで該環状固定円盤と該回転円盤との隙間に入り込む処理対象材料に剪断及び粉砕処理を施す剪断粉砕処理域が複数段形成されており、(1) 前記回転円盤に温度制御用熱媒体を流通させるための該回転円盤に形成された熱媒体通路及び該熱媒体通路に熱媒体を流通させるための前記回転軸に沿って形成された熱媒体通路を含む回転円盤温度制御機構及び(2) 前記回転軸に外嵌する固定円筒体と該固定円筒体内周面に対して予め定めた処理対象材料移動制御間隙を介して内嵌されるとともに前記回転軸に支持された回転体とを含む混練処理時間制御機構のうち少なくとも一方を備えている連続式捏和機を採用することを特徴とする微細有機顔料の製造方法。
【請求項2】
前記連続式捏和機における前記環状固定円盤と前記回転円盤との隙間に入り込む処理対象材料に前記剪断粉砕処理を施す剪断粉砕処理域には、該環状固定円盤の該回転円盤に向けられた側面に形成された凹所と、該回転円盤の該環状固定円盤に向けられた側面に形成された凹所とが含まれており、該凹所は、該凹所に捕捉される処理対象材料が該固定円盤に対する該回転円盤の回転に伴って移動する際に剪断力を受けるとともに粉砕される凹所である請求項1記載の微細有機顔料の製造方法。
【請求項3】
前記回転円盤に隣り合う前記回転軸の部分には処理対象材料を搬送するスクリューを周設した中間送り部材が設けられている請求項1又は2記載の微細有機顔料の製造方法。
【請求項4】
前記第1工程では前記連続式捏和機として、前記回転円盤温度制御機構及び前記混練処理時間制御機構のうち少なくとも前記回転円盤温度制御機構を備えており、前記回転円盤は該回転円盤及び前記環状固定円盤と中心軸線を同じくする固定シリンダーに内嵌されていて回転円盤外周面に処理対象材料を搬送するスクリューを備えており、前記環状固定円盤及び該固定シリンダーには温度制御用熱媒体を流通させるための熱媒体通路が形成されている連続式捏和機を採用する請求項1、2又は3記載の微細有機顔料の製造方法。
【請求項5】
前記第1工程では前記連続式捏和機として、前記回転円盤温度制御機構及び前記混練処理時間制御機構のうち少なくとも前記混練処理時間制御機構を備えており、該混練処理時間制御機構における前記固定円筒体と前記回転体との間の処理対象材料移動制御間隙は0.1mmから10mmの間隙である請求項1、2又は3記載の微細有機顔料の製造方法。
【請求項6】
前記有機顔料が、ジケトピロロピロール系有機顔料、キノフタロン系有機顔料、ジオキサジン系有機顔料及びフタロシアニン系有機顔料からなる群から選ばれた少なくとも一種の有機顔料である請求項1から5のいずれか1項に記載の微細有機顔料の製造方法。
【請求項7】
前記第1工程では前記連続式捏和機として前記回転円盤温度制御機構及び前記混練処理時間制御機構のうち少なくとも前記回転円盤温度制御機構を備えている連続式捏和機を採用し、該第1工程は、該第1工程により得られる混練組成物の温度が10℃〜50℃となるように実施する請求項1から6のいずれか1項に記載の微細有機顔料の製造方法。
【請求項8】
処理対象材料を供給する供給部と、
前記供給部から供給される前記処理対象材料を連続的に混練処理する混練処理部と、
さらに、回転円盤温度制御機構及び混練処理時間制御機構のうち少なくとも一方とを含んでおり、
前記混練処理部は、複数個の環状の固定円盤と、該環状固定円盤に対向配置されるとともに該環状固定円盤に通された回転軸に支持され、該回転軸が回転駆動されることで該環状固定円盤と中心軸線を同じくして回転駆動される複数個の回転円盤とを含んでおり、該環状固定円盤と該回転円盤とで該環状固定円盤と該回転円盤との隙間に入り込む処理対象材料に剪断及び粉砕処理を施す剪断粉砕処理域が複数段形成されており、前記回転軸は前記供給部から連続して延びて一体的に回転可能な連続回転軸を形成しており、該供給部に位置する該連続回転軸の部分は該部分の回転により前記処理対象材料を前記混練処理部へ送るための送り部材を有しており、
前記回転円盤温度制御機構は、前記回転円盤に温度制御用熱媒体を流通させるための該回転円盤に形成された熱媒体通路及び該熱媒体通路に熱媒体を流通させるための前記回転軸に沿って形成された熱媒体通路を含むものであり、
前記混練処理時間制御機構は、前記回転軸に外嵌する固定円筒体と該固定円筒体内周面に対して予め定めた処理対象材料移動制御間隙を介して内嵌されるとともに前記回転軸に支持された回転体とを含むものであることを特徴とする連続式捏和機。
【請求項9】
前記環状固定円盤と前記回転円盤との隙間に入り込む処理対象材料に前記剪断粉砕処理を施す剪断粉砕処理域には、該環状固定円盤の該回転円盤に向けられた側面に形成された凹所と、該回転円盤の該環状固定円盤に向けられた側面に形成された凹所とが含まれており、該凹所は、該凹所に捕捉される処理対象材料が該固定円盤に対する該回転円盤の回転に伴って移動する際に剪断力を受けるとともに粉砕される凹所である請求項8記載の連続式捏和機。
【請求項10】
前記回転円盤に隣り合う前記回転軸の部分には処理対象材料を搬送するスクリューを周設した中間送り部材が設けられている請求項8又は9記載の連続式捏和機。
【請求項11】
前記回転円盤温度制御機構及び前記混練処理時間制御機構のうち少なくとも前記回転円盤温度制御機構を備えており、前記回転円盤は該回転円盤及び前記環状固定円盤と中心軸線を同じくする固定シリンダーに内嵌されていて回転円盤外周面に処理対象材料を搬送するスクリューを備えており、前記環状固定円盤及び該固定シリンダーには温度制御用熱媒体を流通させるための熱媒体通路が形成されている請求項8、9又は10記載の連続式捏和機。
【請求項12】
前記回転円盤温度制御機構及び前記混練処理時間制御機構のうち少なくとも前記混練処理時間制御機構を備えており、該混練処理時間制御機構における前記固定円筒体と前記回転体との間の処理対象材料移動制御間隙は0.1mmから10mmの間隙である請求項8、9又は10記載の連続式捏和機。
【請求項13】
請求項1から7のいずれか1項に記載の製造方法により得られることを特徴とする微細有機顔料。
【請求項14】
請求項13記載の微細有機顔料、及び顔料担体を含むことを特徴とする微細有機顔料着色組成物。
【請求項15】
更に、非水系溶剤を含むことを特徴とする請求項14記載の微細有機顔料着色組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−25890(P2012−25890A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−167612(P2010−167612)
【出願日】平成22年7月26日(2010.7.26)
【出願人】(000222118)東洋インキSCホールディングス株式会社 (2,229)
【出願人】(591111868)浅田鉄工株式会社 (11)
【Fターム(参考)】