説明

微細構造体、微細構造体の製造方法、及び微細構造体製造用の重合性樹脂組成物

【課題】本発明の課題は、微細な凹凸パターンの転写用の樹脂膜を、基板上に非常に薄く、かつ均一に形成することができ、欠陥の発生を低減した微細構造体の製造方法を提供することにある。
【解決手段】本発明は、基板6上に形成した接着促進層7上に、高分子量成分と低分子量成分と反応性希釈成分とを含む液状の重合性樹脂組成物を塗布して樹脂膜8を形成し、微細な凹凸パターンが形成されたモールド5を前記樹脂膜8に押し付けて前記凹凸パターンを転写する微細構造体10の製造方法であって、前記接着促進層7の構成成分、前記高分子量成分、前記低分子量成分及び前記反応性希釈成分にはそれぞれ互いに架橋反応可能な官能基を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細な凹凸パターンが転写された微細構造体、微細構造体の製造方法、及び微細構造体製造用の重合性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路は微細化及び集積化が進んでおり、その微細加工を実現するためのパターン転写技術としてフォトリソグラフィ装置の高精度化が進められてきた。しかしながら、加工方法が光露光の光源の波長に近づき、リソグラフィ技術も限界に近づいてきた。そのため、更なる微細化及び高精度化を進めるために、リソグラフィ技術に代わり、荷電粒子線装置の一種である電子線描画装置が用いられるようになった。
【0003】
電子線を用いたパターン形成は、i線、エキシマレーザー等の光源を用いたパターン形成における一括露光方法とは異なり、マスクパターンを描画していく方法をとる。そのため、電子線を用いたパターン形成は、描画するパターンが多いほど露光(描画)時間がかかり、パターン形成に時間を要する問題がある。そのため、メモリ容量が256メガ、1ギガ、及び4ギガへと集積度が飛躍的に高まるにつれ、パターンが高密度化する。その分パターン形成時間も飛躍的に長くなることになり、スループットが著しく劣ることが懸念される。
そこで、電子ビーム描画装置の高速化のために、各種形状のマスクを組み合わせそれらに一括して電子ビームを照射して複雑な形状の電子ビームを形成する一括図形照射法の開発が進められている。その結果、パターンの微細化が進められる一方で、電子線描画装置の大型化及び複雑化が必須となり、装置コストが高くなる問題があった。
【0004】
これに対し、微細なパターン形成を低コストで行うことができる転写技術が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、及び非特許文献1参照)。この技術は、基板上に形成したい微細な凹凸パターンに対応する凹凸パターンを有するモールド(金型)を、基板上に付与した硬化性樹脂に対して型押しすることで凹凸パターンを転写するものである。特に特許文献2及び非特許文献1のナノインプリント技術によれば、シリコンウエハをモールドとして用い、凹凸パターンのピッチが25nm以下の微細構造体を転写により形成することができる。
【0005】
また、基板上に付与した樹脂に微細な凹凸パターンを転写した後、この凹凸パターンを転写した樹脂膜を介して基板にエッチングを施して凹凸パターンに対応する微細構造を基板に形成する微細構造体の製造方法が知られている(例えば、特許文献3参照)。この微細構造体の製造方法は、凹凸パターンの凸部を形成する樹脂膜部分をマスクとし、凹凸パターンの凹部を形成する樹脂膜部分(ベース層)及びこのベース層に接する基板部分をエッチングすることによって基板に微細構造体を形成するものである。
【0006】
また、このような転写技術においては、基板上に転写用の樹脂を塗布する方法として、ディスペンサによって基板上で樹脂が液滴状に分布するように塗布する方法が開示されている(例えば、特許文献4参照)。この液滴状に分布した樹脂は、モールドが押し付けられる際に基板上で膜状に広げられることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5259926号明細書
【特許文献2】米国特許第5772905号明細書
【特許文献3】特表2002−539604号公報
【特許文献4】特表2004−504714号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】S.Y.Chou et al.、Appl.Phys.Lett.、vol.67、p.3314(1995)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の塗布方法(例えば、特許文献4参照)によって樹脂を基板上で液滴状に分布させると、モールドが押し付けられて樹脂が基板上で広がる際に、樹脂に気泡を巻き込む場合があると共に、液滴状の樹脂が基板上で均一に広がらずに厚さにムラが生じる場合がある。そして、樹脂に巻き込んだ気泡や樹脂の厚さのムラは、この樹脂で形成される微細構造に欠陥を生じさせることとなる。
【0010】
また、転写した凹凸パターンをマスクに基板をエッチングする微細構造体の製造方法(例えば、特許文献3参照)では、転写された凹凸パターンの凹部の樹脂層(ベース層)における厚さにムラが生じると、基板に対するエッチング加工が適正に行われずに、得られる微細構造体に欠陥を生じさせる。具体的には、例えば、ベース層の面方向の厚さのばらつきが最大厚さと最小厚さの差で50nmである凹凸パターンは、深さ50nmでエッチングが施されると、ベース層が薄い箇所では基板にエッチングが施されるが、厚い箇所ではエッチングが施されない場合がある。したがって、エッチングの所定の精度を維持しようとすれば、基板上に形成するベース層の厚さが均一である必要がある。つまり、このような均一なベース層を形成しようとすれば、基板上に形成される樹脂膜は面方向にその厚さが薄く均一である必要がある。
【0011】
しかしながら、凹凸パターンを転写する従来の樹脂としては、複数の単量体成分のみから構成される硬化性の樹脂が一般に用いられており、このような樹脂を基板上に薄く塗布すると、塗布した樹脂がひけてしまい膜状にならないことが判明した。
したがって、微細な凹凸パターンの転写用の樹脂膜を基板上に非常に薄く、かつ均一に形成することができ、欠陥の発生を低減することができる微細構造体の製造技術が望まれている。
【0012】
そこで、本発明の課題は、微細な凹凸パターンの転写用の樹脂膜を、基板上に非常に薄く、かつ均一に形成することができ、欠陥の発生を低減した微細構造体、微細構造体の製造方法、及び微細構造体製造用の重合性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決する本発明は、基板上に接着促進層を形成する接着促進層形成工程と、前記接着促進層上に、高分子量成分と低分子量成分と反応性希釈成分とを含む液状の重合性樹脂組成物を塗布して樹脂膜を形成する樹脂膜形成工程と、微細な凹凸パターンが形成されたモールドを前記樹脂膜に押し付けて前記凹凸パターンを転写するモールド押付工程と、前記モールドを押し付けたままで前記重合性樹脂組成物を重合させて前記樹脂膜を硬化させる硬化工程と、硬化した前記樹脂膜から前記モールドを剥離する剥離工程と、を有する微細構造体の製造方法であって、前記接着促進層の構成成分、前記高分子量成分、前記低分子量成分及び前記反応性希釈成分にはそれぞれ互いに架橋反応可能な官能基を有することを特徴とする。
【0014】
また、前記課題を解決する本発明は、基板上に接着促進層を形成する接着促進層形成工程と、前記接着促進層上に、高分子量成分と低分子量成分と反応性希釈成分とを含む液状の重合性樹脂組成物を塗布して樹脂膜を形成する樹脂膜形成工程と、微細な凹凸パターンが形成されたモールドを前記樹脂膜に押し付けて前記凹凸パターンを転写するモールド押付工程と、前記モールドを押し付けたままで前記重合性樹脂組成物を重合させて前記樹脂膜を硬化させる硬化工程と、硬化した前記樹脂膜から前記モールドを剥離する剥離工程と、転写された前記凹凸パターンを有する硬化した前記樹脂膜をマスクとして前記基板にエッチングを施して前記凹凸パターンに対応する微細構造を形成するエッチング工程と、を有する微細構造体の製造方法であって、前記接着促進層の構成成分、前記高分子量成分、前記低分子量成分及び前記反応性希釈成分にはそれぞれ互いに架橋反応可能な官能基を有することを特徴とする。
【0015】
また、前記課題を解決する本発明は、微細な凹凸パターンを有するモールドを押し付けて前記凹凸パターンを転写して硬化させた樹脂膜を、基板上に接着促進層を介して有する微細構造体であって、前記樹脂膜は、重合性樹脂組成物を前記基板上に塗布して形成され、前記重合性樹脂組成物は、高分子量成分と低分子量成分と反応性希釈成分とを含むと共に、前記接着促進層の構成成分、前記高分子量成分、前記低分子量成分及び前記反応性希釈成分にはそれぞれ互いに架橋反応可能な官能基を有することを特徴とする。
【0016】
また、前記課題を解決する本発明は、微細な凹凸パターンを有するモールドを押し付けて前記凹凸パターンを転写するための樹脂膜を、基板上に接着促進層を介して形成する微細構造体製造用の重合性樹脂組成物であって、高分子量成分と低分子量成分と反応性希釈成分とを含むと共に、前記接着促進層の構成成分、前記高分子量成分、前記低分子量成分及び前記反応性希釈成分にはそれぞれ互いに架橋反応可能な官能基を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、微細な凹凸パターンの転写用の樹脂膜を、基板上に非常に薄く、かつ均一に形成することができ、欠陥の発生を低減した微細構造体、微細構造体の製造方法、及び微細構造体製造用の重合性樹脂組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(a)は実施形態の方法で製造する微細構造体を模式的に示す斜視図、(b)は(a)のI−I断面における部分拡大断面図である。
【図2】(a)から(d)は、図1(a)の実施形態に係る微細構造体の製造方法を説明する工程図である。
【図3】(a)から(d)は、他の実施形態に係る微細構造体の製造方法を説明する工程図である。
【図4】(a)から(e)は、実施例1で使用したモールドの作製手順を示す工程図である。
【図5】比較例1で製造した微細構造体の表面の状態をオプティカルサーフェスアナライザ(OSA)で観察した際の画像写真である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施形態について適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
《微細構造体の構成》
図1(a)に示すように、本実施形態での微細構造体10は、円盤形状であって中央に同心円状の中心孔6aを有するものである。この微細構造体10は、その片面の環状の領域11に、微細な凹凸パターンからなる後記する微細構造4(図1(b)参照)を有している。
なお、本実施形態での微細構造体10は、両面に微細構造4を有していてもよい。また、本実施形態において微細構造4が形成される領域11は、図1(a)に示すように、外縁部と内縁部を除いて環状に設定されているが、微細構造体10の全面に亘って領域11が設定されていてもよい。また、この領域11は、環状に限定されずに他の形状で形成されていてもよい。
【0020】
図1(b)に示すように、本実施形態での微細構造4は、基板6上に接着促進層7を介して設けられた樹脂膜8に形成されている。この微細構造4は、微細な凹凸パターンを有する後記するモールド5(図2(b)参照)を押し付けて、凹凸パターンを樹脂膜8に転写して硬化させたものである。この樹脂膜8は、後記する重合性樹脂組成物を基板6上の接着促進層7に塗布して形成したものである。接着促進層7及び樹脂膜8、並びに重合性樹脂組成物については、後で詳しく説明する。
【0021】
この微細構造4は、図1(b)に示すように、断面視で略矩形の線状突起4bが複数並んで形成されている。更に詳しく説明すると、線状突起4bは、同心円状に微細構造体10の径方向Dに複数並ぶように形成されている。ちなみに、本実施形態での線状突起4bは、幅W、ピッチP及び高さHがnm(ナノメートル)オーダで形成されている。また、図1(b)中、凹凸パターンの凹部の樹脂層8は、ベース層9を形成している。
なお、本発明の微細構造4は、このような線状突起4bに限定されるものではなく、微細構造体1の用途に応じて、例えば柱状突起、ラメラ状突起(襞状突起)等の他の凹凸パターンで構成することもできる。
【0022】
基板6は、微細構造体10と同じ平面形状を有する板体で形成されており、本実施形態では、中心孔6aを有する円盤形状のものが使用されている。
基板6としては、表面が平坦なもので、強度と加工性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、シリコンウエハ、各種金属材料、ガラス、石英、セラミック、プラスチック等からなるものが挙げられる。ちなみに、本実施形態での基板6は、単一の材料からなるものを想定しているが、本発明はこれに限定するものではなく、複数の材料が層状に積層されたものでもよい。また、平面形状も楕円形や多角形等の平面形状を有する板状体であってもよい。
なお、円盤形状以外の平面形状を有する基板6を使用した微細構造体10は、その平面形状が基板6の平面形状と同じになることは言うまでもない。
本実施形態での基板6のように、円盤形状であって中央に同心円状の中心孔6a(図1(a)参照)を有するものは、これに後記する重合性樹脂組成物をスピンコート法にて塗布する際に、より均一で薄い塗膜を形成できるので望ましい。
【0023】
《微細構造体の製造方法》
次に、微細構造体10の製造方法について主に図2(a)から(d)を参照しながら説明する。なお、図中に示される凹凸パターン(微細構造)は模式的に表している。
この製造方法は、次に説明する接着促進層形成工程と、樹脂膜形成工程と、モールド押付工程と、硬化工程と、剥離工程とを有している。
【0024】
接着促進層形成工程では、図2(a)に示すように、前記した基板6上に接着促進層7が形成される。なお、図2(a)中、符号6aは、基板6の中心孔である(以下、図2(b)から(d)において同じ)。
接着促進層7は、基板6上に配置されて、基板6と樹脂膜8との接着性を高めるものである。つまり、接着促進層7の構成成分は、樹脂膜8の構成成分である後記する高分子量成分、低分子量成分、及び反応性希釈成分と架橋反応可能な官能基を有し、かつ基板6の表面と共有結合可能な官能基を有している。したがって、このような官能基を有していれば接着促進層7の構成成分は特に制限はないが、中でも、(メタ)アクリレート基、ビニル基、エポキシ基、及びオキセタニル基の少なくとも一つを有するアルコシキシラン(ケイ素含有化合物)が望ましい。このような官能基を有するアルコシキシランは、重合性樹脂組成物の構成成分との反応性が高く、より短時間での転写性の向上に寄与する。
【0025】
このようなアルコシキシランとしては、例えば、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0026】
樹脂膜形成工程では、図2(b)に示すように、接着促進層7上に、後記する液状の重合性樹脂組成物が塗布されて樹脂膜8が形成される。
【0027】
本実施形態での樹脂膜8は、従来の微細構造体の製造技術(例えば、特許文献4参照)における、液滴状に分布する樹脂とは異なって、膜状、更に好ましくは連続膜になっている。ここでいう膜状とは、基板6に対する塗布面積当り、連続膜の形成面積が90%以上の実質的な連続膜を含む意味である。
本実施形態での樹脂膜8の厚さは、100nm以下が望ましい。
本実施形態での重合性樹脂組成物の塗布方法は、例えば、樹脂膜8の厚さが100nm以下となるように、重合性樹脂組成物を膜状に塗布することができる方法であれば特に制限はないが、スピンコート法が最も望ましい。
【0028】
モールド押付工程では、図2(b)に示すように、微細な凹凸パターン(図示省略)で構成される微細構造4を型として有するモールド5が樹脂膜8に押し付けられて凹凸パターンが転写される。
【0029】
モールド5としては、強度と要求される加工精度を実現できるものであれば特に制限はなく、例えば、各種金属材料、ガラス、石英、セラミック、樹脂材料等からなるものが挙げられる。具体的には、Si、SiC、SiN、SiO、多結晶Si、Ni、Cr、Cu、光硬化性樹脂及びこれらを1種以上含むものが望ましい。中でも、石英からなるモールド5は、透明性が高く、後記する重合性樹脂組成物を光硬化させる際に、このモールド5を介して重合性樹脂組成物に光(紫外線)を効率的に照射することができるので望ましい。ちなみに、光を透過しない材料からなるモールド5を使用する場合には、透明な基板6を用い、この基板6側から光を照射して重合性樹脂組成物を硬化することができる。
【0030】
また、弾性変形可能な樹脂材料からなるモールド5は、基板6の表面に異物等が存在した場合に、樹脂膜8に押し付けられたモールド5が異物等の周辺で弾性変形するので、剛性に富むモールド5と比較して異物周辺の不良領域(転写不能領域)を小さくとどめることができる点で望ましい。
【0031】
モールド5の凹凸パターンの形成方法としては、特に制限はないが、例えば、フォトリソグラフィ、集束イオンビームリソグラフィ、電子ビーム描画法、ナノプリント法等が挙げられる。これらの方法は、凹凸パターンの加工精度に応じて適宜に選択することができる。
【0032】
以上のようなモールド5の表面には、硬化した樹脂膜8に対するモールド5の離型性を高めるために、離型処理が施されていることが望ましい。離型処理としては、例えばシリコーン系やフッ素系の離型剤を、モールド5の表面で数nmの厚さとなるように塗布する処理が挙げられる。また、モールド5の表面には、金属化合物等の薄膜を離型層として形成することもできる。
【0033】
硬化工程では、図2(c)に示すように、モールド5を押し付けたままで樹脂膜8に紫外線UVが照射されて樹脂膜8を硬化させる。本実施形態での硬化工程は、モールド5として光透過性の材料からなるものを使用したことを想定して、紫外線UVをモールド5側から照射している。
【0034】
剥離工程では、硬化した樹脂膜8からモールド5が剥離される。
その結果、図2(d)に示すように、モールド5の微細構造4(図2(b)参照)に対応するように、微細構造4が転写された樹脂膜8を基板6上に有する微細構造体10が得られた。なお、図2(d)中、符号9はベース層である。
【0035】
《重合性樹脂組成物》
次に、微細構造体10の樹脂膜8(図1(b)参照)を形成する本発明の重合性樹脂組成物について説明する。
【0036】
重合性樹脂組成物は、高分子量成分と、低分子量成分と、反応性希釈成分とを含む液状のものであって、スピンコート法によって前記した樹脂膜8を形成し得るものである。重合性樹脂組成物の重合型は、ラジカル重合型、カチオン重合型、及びアニオン重合型のいずれであってもよい。また、本実施形態での重合性樹脂組成物は、更に光反応開始剤を含んでおり、光硬化性の樹脂組成物を構成しているが、本発明の重合性樹脂組成物は、熱硬化性の樹脂組成物とすることもできる。
【0037】
高分子量成分としては、その分子中に、前記した接着促進層7の構成成分、後記する低分子量成分及び反応性希釈成分と架橋反応可能な官能基を有するものであれば特に制限はないが、数平均分子量(Mn)が300以上のものが望ましく、構成する単量体の繰返し単位数が20以下のオリゴマーが更に望ましい。
【0038】
このような高分子量成分としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、エトキシ化ビスフェノールA型アクレート、芳香族ウレタンアクリレート、脂肪族ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、不飽和ポリエステル、アクリル変性脂環式エポキシド、ビスフェノールA系エポキシド、水添ビスフェノールA系エポキシド、ビスフェノールF系エポキシド、ノボラック型エポキシド、脂肪族環式エポキシド、ナフタレン型エポキシド、ビフェニル型エポキシド、2官能アルコールエーテル型エポキシド等が挙げられる。中でも、(メタ)アクリレート基、ビニル基、エポキシ基、及びオキセタニル基の少なくとも一つを有するものが望ましい。
【0039】
低分子量成分は、前記した接着促進層7の構成成分及び高分子量成分、並びに後記する反応性希釈成分と架橋反応可能な官能基を有するものであれば特に制限はないが、単量体であることが更に望ましい。中でも、末端に(メタ)アクリレート基、ビニル基、エポキシ基及びオキセタニル基を少なくとも一つ有する単量体が望ましい。特に、分子量が300未満の単量体はさらに望ましい。
【0040】
(メタ)アクリレート基を有する単量体としては、例えば、フェノキシグリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化2−メチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイキシプロピルメタクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、リエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチルプールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0041】
また、分子鎖中に環状構造を有する (メタ)アクリレートは、ドライエッチング耐性に優れるので望ましく、特にベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンタニル(メタ)アクリレート、シクロペンテニル(メタ)アクリレート、及びアダマンチェル(メタ)アクリレートが望ましい。
【0042】
ビニル基を有する単量体としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、イソフタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、グルタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、コハク酸ジ(4−ビニロキシ)ブチルトリメチロールプロパントリビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシヘキシルビニルエーテル等が挙げられる。
【0043】
エポキシ基を有する単量体としては、例えば、低分子量の脂環式エポキシド、ビスフェノールA系エポキシド、水添ビスフェノールA系エポキシド、ビスフェノールF系エポキシド、ノボラック型エポキシド、脂肪族環式エポキシド、ナフタレン型エポキシド、ビフェニル型エポキシド、2官能アルコールエーテル型エポキシド1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0044】
オキセタニル基を有する単量体としては、例えば、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−{[3−(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン、オキセタニルシルセスキオキサン、フェノールノボラックオキセタン等が挙げられる。
【0045】
本発明での単量体は、分子鎖中に(メタ)アクリレート基、ビニル基、エポキシ基及びオキセタニル基の少なくとも一つを有し、室温で低粘度のものであれば基本的に本発明に使用することができる。
【0046】
反応性希釈成分は、主に前記した高分子量成分を希釈して重合性樹脂組成物の粘度を低減するものである。この反応性希釈成分は、前記した接着促進層7の構成成分、高分子量成分、及び低分子量成分と架橋反応可能な官能基を有するものであれば特に制限はないが、単量体であることが望ましい。中でも、末端に(メタ)アクリレート基、ビニル基、エポキシ基及びオキセタニル基を少なくとも一つ有する単量体が望ましい。
【0047】
このような反応性希釈成分としては、例えば、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルフォリン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ビニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、メタアリル(メタ)アクリレート、アクリルグリシジルエーテルやアルキルフェノールモノグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルオキセタン等が挙げられる。中でも、ビニル(メタ)アクリレートは成膜性に優れているので望ましい。
【0048】
光反応開始剤は、重合性樹脂組成物の重合型、具体的には、ラジカル重合型、カチオン重合型及びアニオン重合型に応じて、紫外線が照射された際にラジカル、酸、又は塩基を発生するものであれば特に制限はないが、接着促進層7の構成成分の前記した官能基と、重合性樹脂組成物の構成成分の前記した官能基と、反応性希釈成分の前記した官能基とを架橋反応させる反応開始剤が選択される。
【0049】
(メタ)アクリレート基及びビニル基の架橋反応を開始させる光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、ベンゾフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−1イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム等が挙げられる。これらは単独で使用することも可能であるが、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0050】
エポキシ基及びオキセタニル基の架橋反応を開始させる光反応開始剤としては、例えば、鉄−アレン錯体化合物、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、ピリジニウム塩、アルミニウム錯体/シリルエーテル、プロトン酸、ルイス酸等が挙げられる。これらは単独で使用することも可能であるが、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0051】
また、紫外線により硬化を開始するカチオン重合開始剤の上市品としては、例えば、IRGACURE261(チバガイギー社製)、オプトマーSP−150(旭電化工業社製)、オプトマーSP−151(旭電化工業社製)、オプトマーSP−152(旭電化工業社製)、オプトマーSP−170(旭電化工業社製)、オプトマーSP−171(旭電化工業社製)、オプトマーSP−172(旭電化工業社製)、UVE−1014(ゼネラルエレクトロニクス社製)、CD−1012(サートマー社製)、サンエイドSI−60L(三新化学工業社製)、サンエイドSI−80L(三新化学工業社製)、サンエイドSI−100L(三新化学工業社製)、サンエイドSI−110(三新化学工業社製)、サンエイドSI−180(三新化学工業社製)、CI−2064(日本曹達社製)、CI−2639(日本曹達社製)、CI−2624(日本曹達社製)、CI−2481(日本曹達社製)、Uvacure 1590(ダイセルUCB社製)、Uvacure 1591(ダイセルUCB社製)、RHODORSIL Photo In Itiator2074(ローヌ・プーラン社製)、UVI−6990(ユニオンカーバイド社製)、BBI−103(ミドリ化学社製)、MPI−103(ミドリ化学社製)、TPS−103(ミドリ化学社製)、MDS−103(ミドリ化学社製)、DTS−103(ミドリ化学社製)、DTS−103(ミドリ化学社製)、NAT−103(ミドリ化学社製)、NDS−103(ミドリ化学社製)、CYRAURE UVI6990(ユニオンカーバイト日本社製)等が挙げられる。これらカチオン重合開始剤は、単独で使用することも可能であるが、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0052】
重合性樹脂組成物における高分子量成分と、低分子量成分と、反応性希釈成分との配合量は、高分子量成分1質量部に対して、低分子量成分1〜10質量部、反応性希釈成分10〜100質量部程度に設定することができる。
そして、重合性樹脂組成物の粘度は、10mP・s以下が望ましい。
以上のような重合性樹脂組成物には、重合促進剤、増感剤、界面活性剤等を配合することができ、必要に応じて重合禁止剤を添加することもできる。
【0053】
以上のような微細構造体10の製造方法によれば、従来の微細構造体の製造方法(例えば、特許文献4参照)のように、硬化性樹脂を基板上で液滴状に分布させるものと異なって、樹脂膜8を基板6上に非常に薄く、かつ均一に形成することができる。つまり、この製造方法によれば、重合性樹脂組成物に反応性希釈成分を含むことによって、基板6上で薄く、かつ均一な膜状となるようにスピンコート法で塗布することが可能となる。
【0054】
また、この製造方法によれば、従来の製造方法(例えば、特許文献4参照)における液滴状に分布した硬化性樹脂と異なって、膜状に広がった重合性樹脂組成物(樹脂膜8)にモールド5を押し付けて凹凸パターンを転写するので、樹脂膜8に気泡を巻き込むこともなく、基板6上で重合性樹脂組成物を均一で厚さにムラがないように広げることができる。
【0055】
また、この製造方法によれば、反応性希釈成分が、重合性樹脂組成物を構成する他の高分子量成分及び低分子量成分のそれぞれと、互いに架橋反応可能な官能基を有しているので、例えば、揮発性溶媒を希釈成分として使用する重合性樹脂組成物と異なって、重合性樹脂組成物の硬化時に希釈成分が揮発することがないので、硬化した樹脂膜8には揮発した痕跡としてのボイドを形成することがない。
【0056】
また、この製造方法によれば、重合性樹脂組成物の構成成分(高分子量成分、低分子量成分及び反応性希釈成分)と接着促進層7の構成成分とが、互いに架橋反応可能な官能基を有しているので、硬化した樹脂膜8と基板6との接合性が良好となる。このことから、ベース層9を極めて薄く形成した場合であっても、硬化した樹脂膜8からモールド5を剥離する際に、基板6からベース層9が脱落することを防止することができる。
【0057】
そして、この製造方法によって得られた微細構造体10は、磁気記録媒体や光記録媒体等の情報記録媒体に適用可能である。また、この微細構造体10は、大規模集積回路部品や、レンズ、偏光板、波長フィルタ、発光素子、光集積回路等の光学部品、免疫分析、DNA分離、細胞培養等のバイオデバイスへの適用が可能である。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、種々の形態で実施することができる。
前記実施形態においては、基板6に接着促進層7を介して設けた樹脂膜8に凹凸パターンからなる微細構造4(図2(b)参照)を転写することによって、微細構造体10(図2(d)参照)を製造したが、本発明は凹凸パターンを有する樹脂膜8をマスクとして基板6をエッチングする微細構造体の製造方法であってもよい。ここで参照する(a)から(d)は、他の実施形態に係る微細構造体の製造方法を説明する工程図である。なお、図3(a)から(d)において、前記実施形態と同じ構成要素については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0059】
この製造方法では、図3(a)に示すように、まず、前記実施形態に係る製造方法で得た微細構造体10を用意する。図3(a)中、符号4は微細な凹凸パターンからなる微細構造であり、符号6は基板であり、符号7は接着促進層であり、符号8はモールド5の微細構造4が転写された樹脂膜であり、符号6aは基板6の中心孔であり、符号9はベース層である。
【0060】
次に、この製造方法では、樹脂膜8に対してエッチングを施して、図3(b)に示すように、基板6の表面を露出させる。つまり、このエッチングでは、凹凸パターンの凸部を形成する樹脂膜8部分をマスクとし、凹凸パターンの凹部を形成する樹脂膜8部分(ベース層9)をエッチングすることとなる。
【0061】
次に、図3(c)に示すように、基板6上に残存している樹脂膜8部分をマスクとし、露出した基板6の表面をエッチングする。
その結果、基板6には、図3(a)に示す樹脂膜8の凹凸パターンに対応する凹凸パターンが形成される。
【0062】
そして、基板6上に残存している樹脂膜8及び接着促進層7を除去することによって、図3(d)に示すように、樹脂膜8の凹凸パターンに対応する凹凸パターンが表面に形成された基板6からなる微細構造体10´が得られる。
【0063】
この微細構造体10´の製造方法によれば、凹凸パターンの凹部を形成する樹脂膜8部分(ベース層9)をエッチングして基板6の表面を露出させ、そして露出した基板6を更にエッチングする際に、前記したように、ベース層9が極めて薄く、かつ均一な厚さになっているので、樹脂膜8の凹凸パターンに正確に対応した凹凸パターンを、基板6上に、欠陥がなく、かつ均一にエッチングすることができる。その結果、この微細構造体10´は、欠陥がなく、かつ均一な凹凸パターンを有するものとなる。
【実施例】
【0064】
次に、実施例を示しながら本発明を更に具体的に説明する。なお、以下に使用される「部」及び「%」は特に示さない限りすべて質量基準である。
【0065】
(実施例1)
本実施例では、まずモールド(金型)を作製した。ここで参照する図4(a)から(e)は、本実施例で使用したモールドの作製手順を示す工程図である。
このモールドの作製手順では、図4(a)に示すように、先ずモールド基材1を用意した。このモールド基材1は、石英板(150mm×150mm×0.7mm)の表面にγ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製のKBM5103)を付与してカップリング処理したものである。
【0066】
次に、図4(b)に示すように、モールド基材1のカップリング処理を行った表面に、スピンコート法によって光学接着剤(ノーランド社製のNOA65)を塗布し、これを光硬化させて厚さ70μmの緩衝層2を形成した。そして、図4(c)に示すように、緩衝層2の表面に塗布したラジカル重合性の光硬化型アクリル樹脂8´に、ダイキン工業社製のOPTOOL DSXにて予め離型処理したマスターモールド3を押し付けると共に、図4(d)に示すように、押し付けた状態で紫外線UV(波長365nm、照射条件30J/cm)を照射して光硬化型アクリル樹脂8´を硬化させた。その結果、モールド基材1上には、マスターモールド3の凹凸パターンが転写されたパターン層4aが形成された。
【0067】
この際、光硬化型アクリル樹脂8´は緩衝層2の中央付近に滴下され、その滴下量は100μLであった。また、マスターモールド3としては、円盤形状であって、内径30mmφから外径60mmφの環状領域に、同心円状に線状突起が連続する凹凸パターンを有する石英製のものを使用した。この線状突起の幅は50nmであり、線状突起の高さは40nmであり、線状突起同士の間隔(ピッチ)は90nmであった。
【0068】
そして、この作製手順では、マスターモールド3をパターン層4aから剥離することによって、図4(e)に示すように、モールド基材1上に緩衝層2を介してパターン層4aを有するモールド5を得た。
なお、この光硬化型アクリル樹脂8´に凹凸パターンを形成したモールド5を以下に樹脂モールド5ということがある。
【0069】
次に、このモールド5を使用した本実施例での微細構造体10の形成方法について、前記した図2(a)から(d)を参照しながら説明する。
この形成方法では、図2(a)に示すように、内径20mmφの中心孔を有する外径65mmφのディスク状の基板6(ガラス製、厚さ635μm)の表面に、接着促進層7を形成した。接着促進層7は、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製のKBM5103)を気相蒸着法によって蒸着させて形成した。
【0070】
次に、図2(b)に示すように、接着促進層7上に液状の重合性樹脂組成物を塗布して樹脂膜8を形成した。この重合性樹脂組成物は、表1に示すように、高分子量成分としてのスチレン型不飽和ポリエステル樹脂、DHM社製のサンドーマ(登録商標)CN−325)1質量部と、単量体成分としてのベンジルメタクリレート(分子量176、日立化成社製のFA−BZM)1質量部、及びネオペンチルグリコールジアクリレート(分子量212、新中村化学社製)1質量部と、反応性希釈成分としてのビニルメタクリレート(分子量126、東京化成工業社製)30質量部と、光反応開始剤(チバスペシャリティケミカルズ社製のI−369)0.3質量部とを含むものである。
【0071】
【表1】

【0072】
接着促進層7に対する重合性樹脂組成物の塗布は、スピンコート法を使用して行った。
この際、基板6の接着促進層7上に付与した重合性樹脂組成物は、500μLであった。このスピンコート法では、重合性樹脂組成物を付与した基板6を、最初の10秒間で0rpmから5000rpmとなるまで回転速度を上昇させた後、更にこの5000rpmの回転速度で90秒間回転させて接着促進層7上に樹脂膜8を形成した。
【0073】
そして、接着促進層7上の樹脂膜8の厚さをエリプソメータ(アルバック社製のEMS−7500)で測定したところ、膜厚は、60nmであって、ばらつきが±5nm以下であった。このスピンコート法を使用した重合性樹脂組成物の塗布方法によれば、接着促進層7上に均一な厚さの樹脂膜8が形成されることが確認された。なお、重合性樹脂組成物(樹脂膜8)の厚さの測定は、基板6の中心で直交する四方向に中心からそれぞれ15mm、22mm及び30mm離れた各位置の合計12箇所について行った。
【0074】
また、前記した膜厚測定用のサンプルとは別に、図2(b)に示した同様の方法で、基板6上に接着促進層7を介して樹脂膜8を形成した。次いで、図2(c)に示すように、樹脂膜8に作製したモールド5を0.45kNの推力で30秒間加圧した後、波長365nmの紫外線を4.2J/cmの条件で照射して樹脂膜8を硬化させた。
【0075】
本実施例では、図2(d)に示すように、モールド5を硬化した樹脂膜8から剥離することによって、モールド5の凹凸パターンが転写された樹脂膜8を有する微細構造体10を得た。
【0076】
そして、樹脂膜8に転写された凹凸パターン(微細構造4)の状態をオプティカルサーフェスアナライザ(KLA テンコール社製のCandela CS10)で観察したところ、殆ど欠陥もなく均一に凹凸パターンが転写されていることが確認された。
【0077】
次に、このサンプルの一部を剥離し、AFM(Atomic Force Microscope:原子間力顕微鏡)で、凹凸パターンのベース層9(図2(d)参照)の厚さを測定した。その結果、ベース層9の厚さは、10nmであって、ばらつきが±2nm以下であった。この微細構造体10の製造方法によれば、非常に薄く、均一な厚さのベース層9が形成されることが確認された。
【0078】
次に、凹凸パターンが形成された樹脂膜8をマスクとして使用して基板6をエッチングする微細構造体10´の製造方法について前記した図3(a)から(d)を参照しながら説明する。
本実施例では、図3(a)に示すように、転写された凹凸パターンを有する硬化した樹脂膜8を備えた基板6が準備された。この樹脂膜8への凹凸パターンの転写は、前記した微細構造体10の製造方法(図2(a)から(d)参照)を使用して行われた。なお、図3(a)中、符号7は接着促進層である。そして、微細構造体10の樹脂膜8に対して酸素プラズマによるエッチングが施された。
【0079】
この酸素プラズマによるエッチングは、図3(b)に示すように、基板6の表面が露出するまで行われた。次に、酸素プラズマによるエッチングに代えて、フッ素系ガスプラズマによるエッチングが施された。
その結果、図3(c)に示すように、樹脂膜8をマスクとして、露出した基板6が更にエッチングされた。
【0080】
そして、基板6上に残存する樹脂膜8及び接着促進層7を酸素プラズマ処理により除去することで、図3(d)に示すように、樹脂膜8(図3(a)参照)の凹凸パターンに対応する微細構造4が形成された微細構造体10´を得た。
【0081】
この微細構造体10´の表面の状態をオプティカルサーフェスアナライザ(KLA テンコール社製のCandela CS10)で観察したところ、殆ど欠陥もなく均一に凹凸パターンが形成されていることが確認された。
【0082】
(実施例2)
ガラス製の基板6に代えてシリコンウエハ(直径4インチ(10.2cm))を基板6として使用すると共に、作製したモールド5(樹脂モールド)に代えて、石英製のマスターモールド3を使用した以外は、実施例1と同様に、微細構造体10(図2(d)参照)を形成し、この微細構造体10を使用して微細構造体10´(図3(d)参照)を製造した。
なお、スピンコート法によって重合性樹脂組成物を接着促進層7上に塗布して形成した樹脂膜8の厚さは、60nmであって、ばらつきが±5nm以下であった。
また、樹脂膜8に形成した凹凸パターンのベース層9(図2(d)参照)の厚さは、10nmであって、ばらつきが±2nm以下であった。
【0083】
そして、微細構造体10´の表面の状態をオプティカルサーフェスアナライザ(KLA テンコール社製のCandela CS10)で観察したところ、殆ど欠陥もなく均一に凹凸パターンが形成されていることが確認された。
【0084】
(実施例3)
前記した重合性樹脂組成物に代えて、高分子量成分としてのエポキシアクリレート樹脂(数平均分子量(Mn)780、新中村化学社製のBPE−10)1質量部と、単量体成分としてのベンジルメタクリレート(分子量176、日立化成社製)1質量部、及びネオペンチルグリコールジアクリレート(分子量212、新中村化学社製)1質量部と、反応性希釈成分としてのビニルアクリレート(分子量112、ABCR社製)30質量部と、光反応開始剤(チバスペシャリティケミカルズ社製、I−369)0.3質量部とを含む重合性樹脂組成物を使用した以外は、実施例1と同様に、微細構造体10(図2(d)参照)を形成し、この微細構造体10を使用して微細構造体10´(図3(d)参照)を製造した。
なお、スピンコート法によって重合性樹脂組成物を接着促進層7上に塗布して形成した樹脂膜8の厚さは、60nmであって、ばらつきが±5nm以下であった。
【0085】
また、樹脂膜8に形成した凹凸パターンのベース層9(図2(d)参照)の厚さは、10nmであって、ばらつきが±2nm以下であった。
【0086】
そして、微細構造体10´の表面の状態をオプティカルサーフェスアナライザ(KLA テンコール社製のCandela CS10)で観察したところ、殆ど欠陥もなく均一に凹凸パターンが形成されていることが確認された。
【0087】
(実施例4)
ガラス製の基板6に代えてシリコンウエハ(直径4インチ(10.2cm)、厚さ525μm)を基板6として使用すると共に、作製したモールド5に代えて、石英製のマスターモールド3を使用した以外は、実施例3と同様に、微細構造体10(図2(d)参照)を形成し、この微細構造体10を使用して微細構造体10´(図3(d)参照)を製造した。
なお、スピンコート法によって重合性樹脂組成物を接着促進層7上に塗布して形成した樹脂膜8の厚さは、60nmであって、ばらつきが±5nm以下であった。
【0088】
また、樹脂膜8に形成した凹凸パターンのベース層9(図2(d)参照)の厚さは、10nmであって、ばらつきが±2nm以下であった。
【0089】
そして、微細構造体10´の表面の状態をオプティカルサーフェスアナライザ(KLA テンコール社製のCandela CS10)で観察したところ、殆ど欠陥もなく均一に凹凸パターンが形成されていることが確認された。
【0090】
(実施例5)
実施例1の重合性樹脂組成物に代えて、高分子量成分としてのビスフェノールAD型エポキシ樹脂(数平均分子量(Mn)350、プリンテック社製のEPOX−MK R1710)1質量部、単量体成分としてのフェニルグリシジルエーテル(分子量150、ナガセケムテックス社製のEX−141)1質量部、及び1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(分子量(Mn)230、ナガセケムテックス社製のEX−212L)1質量部と、反応性希釈成分としてのアリルグリシジルエーテル(分子量115、ナガセケムテックス社製のデナコールEX−111)50質量部と、光反応開始剤としてのアデカオプトマー(アデカ社製のSP−172)0.3質量部とを含む重合性樹脂組成物を使用した以外は、実施例1と同様に、微細構造体10(図2(d)参照)を形成し、この微細構造体10を使用して微細構造体10´(図3(d)参照)を製造した。
なお、スピンコート法によって重合性樹脂組成物を接着促進層7上に塗布して形成した樹脂膜8の厚さは、60nmであって、ばらつきが±5nm以下であった。
【0091】
また、樹脂膜8に形成した凹凸パターンのベース層9(図2(d)参照)の厚さは、10nmであって、ばらつきが±2nm以下であった。
【0092】
そして、微細構造体10´の表面の状態をオプティカルサーフェスアナライザ(KLA テンコール社製のCandela CS10)で観察したところ、殆ど欠陥もなく均一に凹凸パターンが形成されていることが確認された。
【0093】
(実施例6)
ガラス製の基板6に代えてシリコンウエハ(直径4インチ(10.2cm)、厚さ525μm)を基板6として使用すると共に、作製したモールド5(樹脂モールド5)に代えて、石英製のマスターモールド3を使用した以外は、実施例5と同様に、微細構造体10(図2(d)参照)を形成し、この微細構造体10を使用して微細構造体10´(図3(d)参照)を製造した。
なお、スピンコート法によって重合性樹脂組成物を接着促進層7上に塗布して形成した樹脂膜8の厚さは、60nmであって、ばらつきが±5nm以下であった。
【0094】
また、樹脂膜8に形成した凹凸パターンのベース層9(図2(d)参照)の厚さは、10nmであって、ばらつきが±2nm以下であった。
【0095】
そして、微細構造体10´の表面の状態をオプティカルサーフェスアナライザ(KLA
テンコール社製のCandela CS10)で観察したところ、殆ど欠陥もなく均一に凹凸パターンが形成されていることが確認された。
【0096】
(比較例1)
スピンコート法に代えて、インクジェト法を使用して重合性樹脂組成物が接着促進層7上で液滴状に分布するように塗布した以外は、実施例1と同様に、微細構造体10(図2(d)参照)を形成した。
なお、樹脂膜8に形成した凹凸パターンのベース層9(図2(d)参照)の厚さは、10nmであったが、その表面の状態をオプティカルサーフェスアナライザ(KLA テンコール社製のCandela CS10)で観察したところ、厚さムラと、重合性樹脂組成物の未充填欠陥が確認された。図5は、比較例1で形成した微細構造体の表面をオプティカルサーフェスアナライザで観察した際の表面状態写真である。
【0097】
図5に示すように、比較例1で形成された微細構造体の表面には、樹脂膜8の厚さムラが同心円状の濃淡縞Aとして現れている。また、重合性樹脂組成物の未充填欠陥は、図5中に白いカスレBとして現れている。
【0098】
(比較例2)
実施例1で使用した重合性樹脂組成物において、高分子量成分(スチレン型不飽和ポリエステル樹脂)を含まない重合性樹脂組成物を調製した。この重合性樹脂組成物を使用して実施例1と同様に接着促進層7上に樹脂膜8(図2(b)参照)を形成しようとしたところ、塗布した重合性樹脂組成物が接着促進層7上でひけてしまい、基板上に重合性樹脂組成物が膜状に広がった樹脂膜8を形成することができなかった。
【0099】
(比較例3)
基板6に接着促進層7を形成しなかった以外は、実施例1と同様に、重合性樹脂組成物を接着促進層7上に塗布して樹脂膜8を形成した。樹脂膜8の厚さは、60nmであって、ばらつきが±5nm以下であった。
しかしながら、硬化した樹脂膜8からモールド5(図2(c)参照)を剥離する際に、樹脂膜8が基板6から剥離して微細構造体10(図2(d)参照)を形成することができなかった。
【0100】
(比較例4)
実施例1で使用した重合性樹脂組成物において、反応性希釈成分(ビニルメタクリレート)を含まない重合性樹脂組成物を調製した。この重合性樹脂組成物を使用して、実施例1と同様に、接着促進層7上に樹脂膜8を形成した。樹脂膜8の厚さは、540nmであって、ばらつきが±50nmであった。
この重合性樹脂組成物では、樹脂膜8の厚さを100nm以下にすることができず、しかも厚さのばらつきが大きい樹脂膜8となることが確認された。
【符号の説明】
【0101】
1 モールド基材
2 緩衝層
3 マスターモールド
4 微細構造
4a パターン層
4b 線状突起
5 モールド
6 基板
6a 中心孔
7 接着促進層
8 樹脂膜
9 ベース層
10 微細構造体
10´ 微細構造体
UV 紫外線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に接着促進層を形成する接着促進層形成工程と、
前記接着促進層上に、高分子量成分と低分子量成分と反応性希釈成分とを含む液状の重合性樹脂組成物を塗布して樹脂膜を形成する樹脂膜形成工程と、
微細な凹凸パターンが形成されたモールドを前記樹脂膜に押し付けて前記凹凸パターンを転写するモールド押付工程と、
前記モールドを押し付けたままで前記重合性樹脂組成物を重合させて前記樹脂膜を硬化させる硬化工程と、
硬化した前記樹脂膜から前記モールドを剥離する剥離工程と、
を有する微細構造体の製造方法であって、
前記接着促進層の構成成分、前記高分子量成分、前記低分子量成分及び前記反応性希釈成分にはそれぞれ互いに架橋反応可能な官能基を有することを特徴とする微細構造体の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の微細構造体の製造方法において、
前記高分子量成分の数平均分子量が300以上であり、前記低分子量成分の数平均分子量が300未満であることを特徴とする微細構造体の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の微細構造体の製造方法において、
前記低分子量成分が単量体であることを特徴とする微細構造体の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の微細構造体の製造方法において、
前記樹脂膜形成工程の前記重合性樹脂組成物の塗布方法がスピンコート法であることを特徴とする微細構造体の製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載の微細構造体の製造方法において、
前記官能基は、紫外線の照射により互いに架橋する官能基であることを特徴とする微細構造体の製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載の微細構造体の製造方法において、
前記官能基は、(メタ)アクリレート基又はビニル基であることを特徴とする微細構造体の製造方法。
【請求項7】
請求項1に記載の微細構造体の製造方法において、
前記官能基は、エポキシ基又はオキセタニル基であることを特徴とする微細構造体の製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載の微細構造体の製造方法において、
前記接着促進層はケイ素を含有していることを特徴とする微細構造体の製造方法。
【請求項9】
請求項1に記載の微細構造体の製造方法において、
前記樹脂膜は厚さが100nm未満であることを特徴とする微細構造体の製造方法。
【請求項10】
請求項1に記載の微細構造体の製造方法において、
前記基板は円形基板であって中心に同心円状の穴を有することを特徴とする微細構造体の製造方法。
【請求項11】
基板上に接着促進層を形成する接着促進層形成工程と、
前記接着促進層上に、高分子量成分と低分子量成分と反応性希釈成分とを含む液状の重合性樹脂組成物を塗布して樹脂膜を形成する樹脂膜形成工程と、
微細な凹凸パターンが形成されたモールドを前記樹脂膜に押し付けて前記凹凸パターンを転写するモールド押付工程と、
前記モールドを押し付けたままで前記重合性樹脂組成物を重合させて前記樹脂膜を硬化させる硬化工程と、
硬化した前記樹脂膜から前記モールドを剥離する剥離工程と、
転写された前記凹凸パターンを有する硬化した前記樹脂膜をマスクとして前記基板にエッチングを施して前記凹凸パターンに対応する微細構造を形成するエッチング工程と、
を有する微細構造体の製造方法であって、
前記接着促進層の構成成分、前記高分子量成分、前記低分子量成分及び前記反応性希釈成分にはそれぞれ互いに架橋反応可能な官能基を有することを特徴とする微細構造体の製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の微細構造体の製造方法において、
前記高分子量成分の数平均分子量が300以上であり、前記低分子量成分の数平均分子量が300未満であることを特徴とする微細構造体の製造方法。
【請求項13】
請求項11に記載の微細構造体の製造方法において、
前記低分子量成分が単量体であることを特徴とする微細構造体の製造方法。
【請求項14】
請求項11に記載の微細構造体の製造方法において、
前記樹脂膜形成工程の前記重合性樹脂組成物の塗布方法がスピンコート法であることを特徴とする微細構造体の製造方法。
【請求項15】
請求項11に記載の微細構造体の製造方法において、
前記官能基は、紫外線の照射により互いに架橋する官能基であることを特徴とする微細構造体の製造方法。
【請求項16】
請求項11に記載の微細構造体の製造方法において、
前記官能基は、(メタ)アクリレート基又はビニル基であることを特徴とする微細構造体の製造方法。
【請求項17】
請求項11に記載の微細構造体の製造方法において、
前記官能基は、エポキシ基又はオキセタニル基であることを特徴とする微細構造体の製造方法。
【請求項18】
請求項11に記載の微細構造体の製造方法において、
前記接着促進層はケイ素を含有していることを特徴とする微細構造体の製造方法。
【請求項19】
微細な凹凸パターンを有するモールドを押し付けて前記凹凸パターンを転写して硬化させた樹脂膜を、基板上に接着促進層を介して有する微細構造体であって、
前記樹脂膜は、重合性樹脂組成物を前記基板上に塗布して形成され、
前記重合性樹脂組成物は、高分子量成分と低分子量成分と反応性希釈成分とを含むと共に、
前記接着促進層の構成成分、前記高分子量成分、前記低分子量成分及び前記反応性希釈成分にはそれぞれ互いに架橋反応可能な官能基を有することを特徴とする微細構造体。
【請求項20】
微細な凹凸パターンを有するモールドを押し付けて前記凹凸パターンを転写するための樹脂膜を、基板上に接着促進層を介して形成する微細構造体製造用の重合性樹脂組成物であって、
高分子量成分と低分子量成分と反応性希釈成分とを含むと共に、
前記接着促進層の構成成分、前記高分子量成分、前記低分子量成分及び前記反応性希釈成分にはそれぞれ互いに架橋反応可能な官能基を有することを特徴とする微細構造体製造用の重合性樹脂組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−138850(P2011−138850A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296620(P2009−296620)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】