説明

微細構造薄膜転写用ローラモールド

【課題】量産に有利であり、テンプレートの繰り返し使用が可能で、且つテンプレートを容易に取り替えることができる微細構造薄膜転写用ローラモールドを提供することを課題とする。
【解決手段】外周表面を有するローラと、微細構造薄膜転写パターンを有する薄膜金属テンプレートとを備え、磁気吸着または真空吸着により薄膜金属テンプレートが取り替え自在にローラに結合され、ローラを回転させつつ押圧させることで、微細構造薄膜転写パターンにより微細構造薄膜が転写形成される微細構造薄膜転写用ローラモールドを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写技術に関し、より詳しくは、微細構造薄膜転写用ローラモールド(Rolling Mold)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
集積回路の配線幅の微細化への要求が高まるに伴い、従来のフォトリソグラフィ(Photo Lithography)技術により加工を行う場合、配線幅が光源の波長(Wave Length)より小さく、例えば100ナノメートル以下であれば、光源の回折限界に制限され、より小さなサイズの加工が困難となる。このため、米国プリンストン大学のステファン Y.チュー(Stephen Y. Chou)によって、配線幅が10mmにまで微細化されたパターンを高温高圧により転写するナノインプリント技術(Nano-Imprint Lithography, NIL)が研究発表され、その関連技術が、例えば米国特許第5,772,905号に開示されている。
【0003】
その後、ステップ・アンド・スタンプ・インプリント・リソグラフィ(Step and Stamp Imprint Lithography, SSIL)技術、およびローラ・インプリント・リソグラフィ(Roller Imprint Lithography)技術が開発され、ローラ・インプリント・リソグラフィに係る技術は、例えば米国特許第6,375,870号および台湾特許公告第548433号に開示されている。
【0004】
米国特許第6,375,870号には、ナノスケールパターン(Nanoscale Pattern)を複製する方法が開示されている。この発明は、ローラを利用して転写を行うものであって、ローラ表面にリリースコーティング(Release Coating)を予め一層塗布した上で、当該リリースコーティング表面全面に高分子フォトレジスト(Polymer Resist)を被覆するとともに、パターンを有する金型にローラを押しつけて回転させることにより、ローラ表面の高分子フォトレジストに対称のパターンを形成することができ、若しくは、パターンを有する金型の表面に紫外光により固化可能な高分子フォトレジスト(UV-curable Polymer)を予め一層塗布しておき、当該金型にローラを押しつけて回転させることにより、ローラ表面に、対称パターンを有する高分子フォトレジストを形成することもできる。この発明において、ローラ表面にパターンを有する高分子フォトレジストを用いることにより、パターンをガラス基板に転写させることができる。
【0005】
ただし、この発明は、ナノメタルグリッド(Metal Grid)を製作することを目的としているため、ローラにおけるテンプレート(Template)材料は高分子材料であり、且つ、リソグラフィ技術により直接作成された上でローラに転写される。このように、テンプレートが高分子材料であり、且つ粘着方式が採用されているため、一旦剥離すると、微細構造の破壊を招き、繰り返し使用することができなくなる。また、このような従来技術を応用する場合、小面積のテンプレートの製造のみに限られ、量産用の大面積のテンプレートを作成することができない。また、このような従来技術に使用された高分子テンプレートは磨耗しやすいため、使用寿命が短く、作業の準備時間も長く、コストの増大を招く。そして、このような従来技術のナノ構造薄膜作成への応用が試みられているが、実際には、形状の簡単なマイクロ構造薄膜にのみ適用され、必要に応じて形状の複雑な製造プロセスを行うことができなかった。
【0006】
台湾特許公告第548433号には、光学フィルム、光反射フィルム、液晶表示パネル、光学フィルム製造方法および装置、型ローラ製造方法、ならびに光学フィルム貼付方法および装置が開示されている。この発明において、ローラ表面には複数の凹部または凸部が行列配置され、それらの凹部または凸部が、一直線上に連続して列を成し且つ平行に複数列隣接され、ローラの周方向に対して所定の傾斜角度を成し、ローラを薄膜に回転させつつ押圧させることにより、それらの凹部または凸部を薄膜の表面に転写させることができる。
【0007】
ただし、この発明においては、製造表面に角錐形上の突起部分が含まれる光反射フィルムにより、モアレ縞の発生を防止するものであり、また、そのローラ上におけるテンプレートも高分子材料からなるため、米国特許第6,375,870号と同様に繰り返し使用することができない。また、このような従来技術の応用は、複数本のローラ、例えば型ローラ、コーティングローラ、巻取りローラ、送りローラ等を使用して薄膜を作成する必要があり、しかも小面積テンプレートの製造プロセスに限定されているため、大面積テンプレートの製造ができず、操作が複雑で製造に不利になることがあった。
【0008】
また、このような従来技術においても高分子材料を応用しているため、テンプレートが磨耗しやく、使用寿命が短く、作業の準備時間も長く、コストが相対的に増大することとなる。しかも、このような従来技術は、一次元または構造が簡単なマイクロ構造薄膜のみに適用され、必要に応じて形状の複雑なマイクロまたはナノ構造薄膜を製造することができないため、その応用範囲が制限されることとなる。
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,772,905号
【特許文献2】米国特許第6,375,870号
【特許文献3】台湾特許公告第548433号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述のように、従来技術においては、量産に不利である、テンプレートの繰り返し使用が不可能である、コストが高い、製造プロセスの時間が長い、応用範囲が限られている等の種々の欠点があるため、従来技術に存在する問題を如何にして効果的に解決するかが、業界において極めて重要な課題となっている。
【0011】
そこで、以上のとおりの事情に鑑み、本発明は、量産に有利である微細構造薄膜転写用ローラモールドを提供することを課題とする。
【0012】
また、本発明は、テンプレートの繰り返し使用が可能である微細構造薄膜転写用ローラモールドを提供することを課題とする。
【0013】
また、本発明は、テンプレートを容易に取り替えることができる微細構造薄膜転写用ローラモールドを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するために、本発明に係る微細構造薄膜転写用ローラモールドは、外周表面を有するローラと、微細構造薄膜転写パターンを有し、真空吸着により前記ローラの外周表面に結合された薄膜金属テンプレートと、を備える。
【0015】
前述の微細構造薄膜転写用ローラモールドにおいて、ローラは金属ローラであるのがよいが、それに限定されるものではない。好ましい実施態様において、ローラの外周表面にテンプレート収容部が設けられ、テンプレート収容部は例えば溝であるのがよい。他の好ましい実施態様において、テンプレート収容部には、薄膜金属テンプレートを真空吸着するための複数の溝および孔が選択的に設けられるのがよい。また、他の好ましい実施態様において、薄膜金属テンプレートを真空吸着するための複数の溝および孔が、ローラの外周表面に直接設置されてもよい。
【0016】
また、微細構造薄膜転写用ローラモールドにおいて、外周表面を有するローラと、磁性材料により作成され、微細構造薄膜転写パターンを有し、磁気吸着により前記ローラの外周表面に結合された薄膜金属テンプレートと、を備えるようにしてもよい。
【0017】
前述の微細構造薄膜転写用ローラモールドにおいて、ローラは金属ローラであるのがよいが、それに限定されるものではない。好ましい実施態様において、ローラの外周表面にテンプレート収容部が設けられ、テンプレート収容部は例えば溝であるのがよい。他の好ましい実施態様において、薄膜金属テンプレートを結合するための磁性体をさらに備えてもよい。磁性体は、軟質磁石(又は軟磁性体材料の磁石)、合金磁石、永久磁石、および電磁石のいずれか一つからなるものである。磁性体は、ローラの外周表面またはローラのテンプレート収容部に設けられるのがよい。また、磁性体は、例えば接着剤によりローラに結合されるのがよい。
【0018】
従来技術と比較して、本発明に係る微細構造薄膜転写用ローラモールドは、磁力または真空吸着によって大面積の薄膜金属テンプレートをローラに結合させることにより、微細構造薄膜転写用のローラテンプレートを作成することができるため、大量生産に有利になる。また、本発明によれば、テンプレートの結合または分離が容易であるため、作業が簡単で且つ位置の調整を自由におこなえる。また、本発明に使用される薄膜金属テンプレートは、硬度が高く、寿命が長く、相対的にコストを低減させることができる。また、本発明は、形状が複雑で、マイクロまたはナノ構造の製造に適用されることにより、応用範囲の拡大が図られ、従来技術のように応用領域が限定される欠点を解決することができる。
【発明の効果】
【0019】
上述のように、本発明に係る微細構造薄膜転写用ローラモールドおよびその製法によれば、量産に有利になり、テンプレートの繰り返し使用が可能となり、コストが低減され、製造プロセスの時間が短くなり、しかも産業利用価値が向上する等の効果があるため、従来技術に存在する問題を解決することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明が属する技術分野において通常知識を有する者が本発明に係る技術特徴や効果を容易に理解できるように、本発明に係る実施形態を具体的に説明する。
【0021】
<第1の実施形態>
図1および図2は、本発明に係る微細構造薄膜転写用ローラモールドおよびその製法の第1の実施形態に基づいて描かれた図面である。
【0022】
図1は、本発明に係る微細構造薄膜転写用ローラモールドを模式的に示している。図に示すように、微細構造薄膜転写用ローラモールド1は、ローラ11と、ローラ11に結合された薄膜金属テンプレート13と、ローラ11と薄膜金属テンプレート13との間に設けられた磁性体15と、を備える。
【0023】
ローラ11は、外周表面111を有し、磁性体15を粘着するために外周表面111には適度な円筒度を有している。本実施形態において、ローラ11は非金属ローラであって、ローラ11の外周表面111にテンプレート収容部1111が設けられ、テンプレート収容部1111は例えば溝であるのがよい。ここで注意すべき点は、本実施形態におけるテンプレート収容部1111は、例えば外周表面111の全体に亘るものであるのがよいが、それに限定されるものではなく、例えば、ローラ11の外周表面111の局部に設けられるようにしてもよい。すなわち、本発明が属する技術分野において通常知識を有する者は、実際の必要または設計に応じて変更をおこなうことが可能であり、このような薄膜金属テンプレート13を設けることにより、所要の微細構造薄膜の転写に対応することができる。
【0024】
薄膜金属テンプレート13は、磁性材料からなり、微細構造薄膜転写用パターン(図示せず)を有しており、且つローラ11の外周表面111に取り替え自在に結合され、ローラ11を回転させつつ押圧させることで、微細構造薄膜転写パターンにより微細構造薄膜が転写形成される。本実施形態においては、例えば電子ビームリソグラフィおよびエッチング技術により小テンプレートが作成された後、転写方式により大面積の母型が作成され、さらに電鋳成形により転写用の薄膜金属テンプレートが、その厚さが例えば0.05mm〜0.2mmとなるように作成される。薄膜金属テンプレート13およびその微細構造薄膜転写パターンを形成する技術は従来のものであるため、ここでは詳しい説明を省略する。また、ここで注意すべき点は、図面に示したものはいずれも簡略化された模式図であり、単に本発明に係る薄膜金属テンプレート13の構造を模式的に示すものに過ぎず、それらの図面に示した構造は実際に実施する場合の数、形状、寸法に基づいて描かれたものではなく、実際に実施する場合の規格寸法は自由に設計できることにある。また、本実施形態における薄膜金属テンプレート13は、例えばニッケルを含む金属材料からなるテンプレートであるが、それに限定されるものではなく、薄膜金属テンプレート13はその他の金属材料からなるものであってよく、或いはクロム等の合金材料が加えられたものであってもよい。
【0025】
磁性体15は、薄膜金属テンプレート13に取り替え自在に結合されている。本実施形態においては、磁性体15は、ローラ11のテンプレート収容部1111に設けられている。また、磁性体15は、例えば接着剤151によりローラ11のテンプレート収容部1111に結合されている。また、本実施形態において、磁性体15は軟質磁石からなるが、他の実施形態においては、磁性体15は例えば合金磁石、永久磁石、電磁石またはその他の均等の磁性素子であってもよい。ここで注意すべき点は、本発明が属する技術分野において通常知識を有する者は、実際の必要または設計に応じて薄膜金属テンプレート13と磁性体15の厚さを変更または修正してもよく、図1に示すものに限定されるものではない。
【0026】
図2は、本発明に係る微細構造薄膜転写用ローラモールドを製造する方法のフローを模式的に示している。図に示すように、本発明に係る製法は以下の工程を備えている。工程S1において、外周表面を有するローラ11を準備する。次に、工程S2において、微細構造薄膜を転写形成するために、微細構造薄膜転写パターンを有する薄膜金属テンプレート13を準備する。最後に、工程S3において、前記薄膜金属テンプレート13を前記ローラ11の表面に取り替え自在に結合させる。
【0027】
本実施形態においては、例えば接着剤151により磁性体15を予めローラ11のテンプレート収容部1111に結合しておき、その後、薄膜金属テンプレート13を磁性体15に結合させる。このように、磁気吸着により薄膜金属テンプレート13をローラ11に取り替え自在に結合させることができる。当然ながら、本実施形態においては、磁性体15をローラ11に結合させた後、薄膜金属テンプレート13を磁性体15に結合させるが、その他の実施形態においては、薄膜金属テンプレート13を磁性体15に結合させた後、薄膜金属テンプレート13に結合された磁性体15をローラ11に結合させてもよく、本実施形態に記載の製法に限定されるものではない。
【0028】
本実施形態において、工程S3では、薄膜金属テンプレート13を磁気吸着により取り替え自在にローラ11の表面に結合させているが、真空吸着を利用しても取り替え自在な結合効果が図られるため、本実施形態における磁気吸着に限定されるものではないことは、本発明が属する技術分野において通常知識を有する者であれば容易に理解することができる。従って、本発明に係る製法の工程S3において、薄膜金属テンプレート13を真空吸着によりローラ11の表面に取り替え自在に結合させる方法に変更することもできる。真空吸着による効果は本実施形態の工程によるそれと実質的に同様であり、明細書を簡単明瞭にするため、ここでは詳しい説明を省略する。
【0029】
従来技術に比較して、本実施形態においては、薄膜金属テンプレートを磁気吸着によりローラに結合させるようにしているため、結合効果が良好であり、操作も簡単で、大量生産に極めて有利である。また、テンプレートはローラに取り替え自在に結合されているため、テンプレートの繰り返し使用が可能となるのみならず、テンプレートの設置位置を任意に調整することができ、テンプレートが損傷しにくくなる利点がある。また、熱圧転写製造プロセスまたはUV接着剤転写製造プロセスを使用することで、製造工程時間の短縮および生産コストの低下を効果的に達成することができる。また、本発明においては高強度の薄膜金属テンプレートが使用されているため、テンプレートの寿命が向上し、相対的に生産コストが低減されている。また、本発明は、現在発展が進んでいるオプトエレクトロニクス、光学及び民生品関連産業、例えばバックライト、反射防止フィルム等の製品に適用することができ、当該産業の発達に寄与する技術であるため、発展の価値が極めて高い。従って、本発明は、量産に有利であり、テンプレートの繰り返し使用が可能となり、コストが低減され、製造工程の時間が短縮され、さらに産業利用価値が向上しているため、従来技術に存在した問題を解決することができる。
【0030】
<第2の実施形態>
図3は、本発明に係る第2の実施形態に基づいて描かれた図面であり、本発明の説明がより容易に理解できるように、前記実施形態と同一または近似の素子については、同一又は近似の符号を付し、その詳しい説明を省略する。
【0031】
第2の実施形態と第1の実施形態の最大の相違点は、第1の実施形態においてローラは非金属ローラであるのに対し、第2の実施形態においてはローラは金属ローラであり、また、第1の実施形態において薄膜金属テンプレートはローラ外周表面に凹設されたテンプレート収容部に設けられているのに対し、第2の実施形態においては薄膜金属テンプレートがローラの外周表面に設けられていることにある。
【0032】
図3に示すように、磁性体15をローラ11の外周表面111の局部に埋め込む。磁性体15は例えば合金磁石或いはその他の均等の磁性素子である。このように、磁性体15の磁力により第1の実施形態における薄膜金属テンプレート13を磁性体15とローラ11とに同時に結合させることもできる。換言すれば、本実施形態におけるローラモールドは、曲率の大きいローラおよび厚いテンプレートに適用することができる。
【0033】
<第3の実施形態>
図4は、本発明に係る第3の実施形態に基づいて描かれた図面であり、本発明の説明がより容易に理解できるように、前記実施形態と同一または近似の素子については、同一又は近似の符号を付し、その詳しい説明を省略する。
【0034】
第3の実施形態と前述の実施形態の最大の相違点は、第3の実施形態においてはローラが磁性材料からなることにある。
【0035】
図4に示すように、ローラ11は磁性材料からなるローラであるため、第1の実施形態における接着剤151を省略してもよく、ローラ11を直接磁性体15に結合させ、磁性体15の磁力により薄膜金属テンプレート13をローラ11に同時に結合させることができる。
【0036】
第2の実施形態および第3の実施形態から分かるように、金属ローラまたは磁性材料からなるローラにより第1の実施形態における接着剤を省略することができ、それによって、粘着時に起りうる気泡の発生を回避できるとともに、薄膜金属テンプレート13の設置位置をより容易に調整することができる。
【0037】
<第4の実施形態>
図5は、本発明に係る第4の実施形態に基づいて描かれた図面であり、本発明の説明がより容易に理解できるように、前記実施形態と同一または近似の素子については、同一又は近似の符号を付し、その詳しい説明を省略する。
【0038】
第4の実施形態と前述の実施形態の最大の相違点は、前述の実施形態において薄膜金属テンプレートを磁気吸着によりローラに結合させているのに対し、本実施形態においては薄膜金属テンプレートを真空吸着によりローラに結合させていることにある。
【0039】
図4に示すように、本実施形態におけるローラ11は、外周表面111を有し、外周表面111は、テンプレート収容部1111と、テンプレート収容部1111に設けられた複数の溝1113と、それに対応して溝1113に設けられた複数の孔1115とを備え、溝1113および孔1115と、外付けの抽気設備との組み合わせにより薄膜金属テンプレート13を真空吸着する。
【0040】
当然ながら、その他の実施形態において、薄膜金属テンプレートを真空吸着するために、ローラの外周表面に複数の溝および孔を直接設けてもよい。また、薄膜金属テンプレートを真空吸着によりテンプレート収容部にではなくローラの外周表面に結合させてもよい。このように、必要とする素子数量をさらに低減することができる。このような変化は、本発明が属する技術分野において通常知識を有する者が、容易に想像でき、且つ実際の必要または設計に応じて行うことの可能な変更例であるため、ここではその他の均等の変更例の説明や図面を省略する。
【0041】
上述のように、本発明に係る微細構造薄膜転写用ローラモールドおよびその製法は、主として磁力吸着または真空吸着によって大面積の薄膜金属テンプレートをローラに結合させることにより、マイクロ/ナノ構造薄膜の生産を行うため、本発明を応用すれば、量産性が向上し、製品の必要に応じてテンプレートの設置位置を調整することができ、装着や取り替えも容易となり、薄膜金属テンプレートの寿命も長くなる。このように、大量生産に有利であり、作業時間の大幅な短縮やコストの削減が図られ、形状が複雑で、マイクロまたはナノ構造の製造に適用することが可能となり、従来技術に存在した欠点を解決することができる。
【0042】
上述の実施形態は本発明の原理と効果を例示する目的で示すものにすぎず、本発明は、これらによって何ら限定されるものではない。本発明は、この技術分野に精通したものが、例えば、第二の実施形態における金属ローラを磁性材料からなるローラに変更する等のように、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の修飾や変更が可能であり、そうした修飾や変更も本発明の請求範囲に入るものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る第1の実施形態の微細構造薄膜転写用ローラモールドを模式的に示した図である。
【図2】本発明に係る第1の実施形態の微細構造薄膜転写用ローラモールドの製法を模式的に示したフローチャートである。
【図3】本発明に係る第2の実施形態の微細構造薄膜転写用ローラモールドを模式的に示した図であり、薄膜金属テンプレートが省略されている。
【図4】本発明に係る第3の実施形態の微細構造薄膜転写用ローラモールドを模式的に示した図である。
【図5】本発明に係る第4の実施形態の微細構造薄膜転写用ローラモールドを模式的に示した図である。
【符号の説明】
【0044】
1 ローラモールド
11 ローラ
111 外周表面
1111 テンプレート収容部
1113 溝
1115 孔
13 薄膜金属テンプレート
15 磁性体
151 接着剤
S1、S2、S3 工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細構造薄膜転写用ローラモールドにおいて、
外周表面を有するローラと、
微細構造薄膜転写パターンを有し、真空吸着により前記ローラの外周表面に結合された薄膜金属テンプレートと、
を備えていることを特徴とする微細構造薄膜転写用ローラモールド。
【請求項2】
前記ローラの外周表面には、テンプレート収容部を有していることを特徴とする請求項1に記載の微細構造薄膜転写用ローラモールド。
【請求項3】
前記テンプレート収容部は、溝であることを特徴とする請求項2に記載の微細構造薄膜転写用ローラモールド。
【請求項4】
前記テンプレート収容部には、前記薄膜金属テンプレートを前記ローラに真空吸着によって取り付けるために、複数の溝および孔が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の微細構造薄膜転写用ローラモールド。
【請求項5】
前記ローラの外周表面には、前記薄膜金属テンプレートを前記ローラに真空吸着によって取り付けるために、複数の溝および孔が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の微細構造薄膜転写用ローラモールド。
【請求項6】
前記ローラは、金属ローラであることを特徴とする請求項1に記載の微細構造薄膜転写用ローラモールド。
【請求項7】
前記薄膜金属テンプレートの厚さは、0.05mm〜0.2mmであることを特徴とする請求項1に記載の微細構造薄膜転写用ローラモールド。
【請求項8】
微細構造薄膜転写用ローラモールドにおいて、
外周表面を有するローラと、
磁性材料により作成され、微細構造薄膜転写パターンを有し、磁気吸着により前記ローラの外周表面に結合された薄膜金属テンプレートと、
を備えていることを特徴とする微細構造薄膜転写用ローラモールド。
【請求項9】
前記ローラの外周表面には、テンプレート収容部を有していることを特徴とする請求項8に記載の微細構造薄膜転写用ローラモールド。
【請求項10】
前記テンプレート収容部は、溝であることを特徴とする請求項9に記載の微細構造薄膜転写用ローラモールド。
【請求項11】
前記薄膜金属テンプレートを前記ローラに結合させるために、前記ローラと前記薄膜金属テンプレートとの間に設けられた磁性体をさらに備えていることを特徴とする請求項8に記載の微細構造薄膜転写用ローラモールド。
【請求項12】
前記磁性体は、軟質磁石、合金磁石、永久磁石、および電磁石のいずれか一つからなることを特徴とする請求項11に記載の微細構造薄膜転写用ローラモールド。
【請求項13】
前記磁性体は、前記ローラの外周表面に設けられていることを特徴とする請求項11に記載の微細構造薄膜転写用ローラモールド。
【請求項14】
前記磁性体は、接着剤により前記ローラに結合されていることを特徴とする請求項11に記載の微細構造薄膜転写用ローラモールド。
【請求項15】
前記ローラは、金属ローラであることを特徴とする請求項8に記載の微細構造薄膜転写用ローラモールド。
【請求項16】
前記ローラは、磁性材料より作成されたことを特徴とする請求項8に記載の微細構造薄膜転写用ローラモールド。
【請求項17】
前記薄膜金属テンプレートの厚さは、0.05mm〜0.2mmであることを特徴とする請求項8に記載の微細構造薄膜転写用ローラモールド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−313894(P2007−313894A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−130355(P2007−130355)
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【出願人】(390023582)財団法人工業技術研究院 (524)
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】195 Chung Hsing Rd.,Sec.4,Chutung,Hsin−Chu,Taiwan R.O.C
【Fターム(参考)】