説明

微細炭素繊維への親水性物質付着方法

【課題】 ドラッグデリバリーシステムにおけるキャリアとして有用であるカーボンナノチューブに代表される微細炭素繊維に、親水性物質を付着させる方法を提供すること。
【解決手段】微細炭素繊維に親水性物質を付着させる方法であって、親水性物質の親水基を置換基によって保護して疎水性物質とする第1工程、前記疎水性物質を亜臨界または超臨界流体に溶解させて炭素繊維に付着させる第2工程、前記第2工程により製造した炭素繊維に付着した疎水性物質の保護基を脱保護反応によって脱離し、再度親水性物質とする第3工程からなる親水性物質付着微細炭素繊維の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラッグデリバリーシステムにおける薬物キャリアとして有用なカーボンナノチューブに代表される微細炭素繊維に親水性物質、特に親水性を有する生理活性物質や薬剤を付着させる方法、ならびに前記方法により製造された付着体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、医療分野においてドラッグデリバリーシステム(DDS)の開発が行われている。DDSは、薬物を病変部位だけに選択的に運搬し作用させることができるため、薬物の作用が増強されるだけでなく、静脈内注射や経口摂取での投与では副作用が大きく使用が困難な薬物を安全に使用できる点で非常に有用である。DDSの薬物キャリアとしては、従来、直径数nm〜200nm程度の水溶性高分子、リポソーム、高分子ミセルなどが開発されており、そのナノサイズの大きさゆえに病変部位へのターゲッティングを可能としている(例えば、非特許文献1〜3参照)。
近年、新たな薬物キャリアとして、中空構造を有する微細な炭素繊維を用いる発明が開示されている。前記微細炭素繊維には、一般的にカーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーンなどと呼ばれる、炭素6員環を主構造とする黒鉛層からなる円筒構造を有する微細な炭素繊維が挙げられている。これらの微細炭素繊維はナノサイズであるだけでなく、中空構造を有しているため表面積が広く、前記微細炭素繊維の外表面あるいは中空部分に薬物を付着させることができるため、DDSの薬物キャリアとしての利用が期待されている。
【0003】
前記微細炭素繊維の外表面や中空部分に物質を付着させる方法として、単層カーボンナノチューブの内部に、気相を通じて付着させる方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この方法では付着物質を気化させる必要があるため、気体状態での取り扱いが容易な物質でなければならず、熱的に不安定な物質は付着させることができない。別の方法として、液相を通じて付着させる方法があり、例えばカーボンナノチューブと付着させる物質および溶媒の親和性の差を駆動力として、カーボンナノチューブの外表面あるいは内表面に物質を選択的に引き寄せて付着させる方法が開示されている(例えば、特許文献2、3参照)。しかし、この方法では付着物質を溶解した溶液中に微細炭素繊維を浸漬することによって付着体を得る方法であるため、製造した付着体の溶媒からの分離、洗浄工程が必須となり製造方法が煩雑となる。また、本方法では操作手順上あらかじめ微細炭素繊維に付着した空気中の気体分子を取り除くことができないこと、溶液の表面張力が高いことなどにより、ナノサイズの直径をもつ微細炭素繊維の中空部に付着させることは困難である。さらに、浸漬過程において付着物質のみでなく溶媒物質の付着も起こるため、微細炭素繊維の外表面および中空部分に付着物質を密にかつ均一に付着することができない。例えば、溶媒としてベンゼン、トルエン等の毒性の高い有機溶媒を用いて付着体を製造し、目的付着物質以外に有機溶媒分子の付着も起こった場合には、本方法にて製造した付着体をDDSの薬物キャリアとして生体に投与すると、薬物だけでなくこれらの有機溶媒分子も生体内に放出され毒性が高く、DDSの薬物キャリアとしては使用できない。
【0004】
一方、超臨界流体を用いた物質の処理方法が知られている。超臨界流体とは、物質の臨界点以上の温度、圧力下における高密度な流体相であり、その流体の常温常圧状態と比較して物質溶解性、拡散性、反応性等に優れる流体であることから、成分抽出媒体や反応溶媒、物質溶解媒体として有用である。これら超臨界流体の高い物質溶解性と拡散性を利用して、微細炭素繊維の中空部分に有機化合物を付着させる方法が開示されている(例えば、非特許文献4参照)。この方法では超臨界状態を達成するために、それぞれの超臨界流体に対して適度な温度と圧力を加える必要があるが、付着物質が有機化合物であると熱による分解が起こるため、超臨界流体としては、比較的低温低圧にて超臨界状態が達成可能である二酸化炭素が多く用いられる。しかし、超臨界二酸化炭素は無極性であるため、疎水性物質の溶解媒体としては好適であるが、親水性を有する物質の溶解性は著しく低いので、前記物質を溶解させることができず、微細炭素繊維の外表面および中空部への付着ができないという問題点があった。
【0005】
【特許文献1】特開平2002−097010号公報
【特許文献2】特開平2002−255520号公報
【特許文献3】特開平2004−16909号公報
【非特許文献1】Eur.J.Cancer,31A,766(1995)
【非特許文献2】J.Clin.Oncol.,16,2445(1998)
【非特許文献3】J.Drug Targeting,7,171(1999)
【非特許文献4】Chem.Commun.,176(2004)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされ、従来の問題点を解決し、ドラッグデリバリーシステムにおけるキャリアとして有用であるカーボンナノチューブに代表される微細炭素繊維に、親水性物質、特に親水性を有する生理活性物質や薬剤を付着させる方法、ならびに前記方法により製造された付着体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らが鋭意検討した結果、親水性を有する付着物質の親水基を置換基により保護することで疎水性とし、超臨界流体に溶解させて微細炭素繊維の外表面および中空部分に付着させた後、脱保護反応を行い再び親水性物質に変換することにより、親水性物質を微細炭素繊維の外表面および中空部に付着できることを見出した。
【0008】
このような目的は、下記(1)から(10)の本発明により達成される。
(1) 微細炭素繊維に親水性物質を付着させる方法であって、親水性物質の親水基を置換基によって保護して疎水性物質とする第1工程、前記疎水性物質を亜臨界または超臨界流体に溶解させて炭素繊維に付着させる第2工程、前記第2工程により製造した炭素繊維に付着した疎水性物質の保護基を脱保護反応によって脱離し、再度親水性物質とする第3工程からなる親水性物質付着微細炭素繊維の製造方法。
(2) 前記亜臨界または超臨界流体が、二酸化炭素、亜酸化窒素、フレオン13、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ブタン、ヘキサン、メタノール、エタノール、ベンゼン、トルエン、アンモニア、水のいずれか、またはこれらの2種以上の混合物である上記(1)に記載の親水性物質付着微細炭素繊維の製造方法。
(3) 前記亜臨界または超臨界流体が、二酸化炭素である上記(2)に記載の親水性物質付着微細炭素繊維の製造方法。
(4) 前記親水性物質が、低分子化合物およびそれらの塩または錯体、生理活性有機化合物、薬物、または造影剤である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の親水性物質付着微細炭素繊維の製造方法。
(5) 前記薬物が、抗癌剤、抗生物質、生理活性を有するポリペプチド、下熱剤、鎮静剤、免疫賦活剤、抗炎症剤、鎮咳剤、抗てんかん剤、抗ヒスタミン剤、降圧利尿剤、糖尿病治療剤、筋弛緩剤、抗腫瘍剤、抗うつ剤、抗アレルギー剤、強心剤、不整脈治療剤、血管拡張剤、抗凝血剤、麻薬拮抗剤、止血剤、抗結核剤、またはホルモン剤である上記(4)に記載の親水性物質付着微細炭素繊維の製造方法。
【0009】
(6) 前記微細炭素繊維が、炭素6員環を主構造とする黒鉛層を有する上記(1)〜(5)のいずれかに記載の親水性物質付着微細炭素繊維の製造方法。
(7) 前記微細炭素繊維が、炭素6員環を主構造とする黒鉛シートよりなるらせん円筒構造を有する上記(6)に記載の親水性物質付着微細炭素繊維の製造方法。
(8) 前記微細炭素繊維の外径が、0.1nm〜300nmである上記(1)〜(7)のいずれかに記載の親水性物質付着微細炭素繊維の製造方法。
(9) 前記微細炭素繊維の長さが0.1μm〜1.0mmである上記(1)〜(8)のいずれかに記載の親水性物質付着微細炭素繊維の製造方法。
(10) 微細炭素繊維に親水性物質が付着したことを特徴とする親水性物質付着微細炭素繊維。
【発明の効果】
【0010】
以上述べたごとく、本発明の微細炭素繊維への親水性物質付着方法によれば、微細炭素繊維の外表面および中空部分に親水性物質が付着した微細炭素繊維を製造することができる。前記付着方法によって得られた付着体は、ドラッグデリバリーシステムの薬物キャリアとして利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の微細炭素繊維への親水性物質付着方法とその付着体について詳細に説明する。
本発明の親水性物質付着方法は、親水性物質の親水基を置換基によって保護して疎水性物質とする第1工程、前記疎水性物質を超臨界流体に溶解または相溶させ微細炭素繊維に付着させる第2工程、前記第2工程により製造した微細炭素繊維に付着した疎水性物質の保護基を脱保護反応によって脱離し、再度親水性物質とする第3工程からなる。
【0012】
本発明における親水性物質としては、その親水基を置換基により保護することで疎水性となり超臨界流体に溶解可能で、かつ加水分解等の化学反応により保護基を脱離することで親水性物質とすることができる物質であれば、どのようなものでも使用できる。特に、気相による付着が不可能である熱的に不安定な物質や、毒性の高い有機溶媒にしか溶解することができない物質に対しては、本発明に開示する付着方法が有用である。そのような物質の例としては、親水性の低分子化合物およびそれらの塩または錯体、生理活性有機化合物、薬物、造影剤等が挙げられる。親水性物質として目的病変部位の治療に応じた生理活性物質や薬物などを付着させた場合には、製造した付着体をDDSの薬物キャリアとして使用することができる。
【0013】
親水性を有する生理活性物質および薬物の具体的な例としては、抗癌剤、抗生物質、生理活性を有するポリペプチド、下熱剤、鎮静剤、免疫賦活剤、抗炎症剤、鎮咳剤、抗てんかん剤、抗ヒスタミン剤、降圧利尿剤、糖尿病治療剤、筋弛緩剤、抗腫瘍剤、抗うつ剤、抗アレルギー剤、強心剤、不整脈治療剤、血管拡張剤、抗凝血剤、麻薬拮抗剤、止血剤、抗結核剤、ホルモン剤などが挙げられる。
【0014】
抗癌剤としては、特に限定されないが塩酸ゲムシタビン、シクロホスファミド、イホスファミド、塩酸ナイトロジェンマスタード−N−オキシド、塩酸ニムスチン、ラニムスチン、メルファラン、ダカルバジン、塩酸プロカルバジン、シタラビン、フルオロウラシル、ドキシフルリジン、テガフール、ヒドロキシカルバミド、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンブラスチン、エトポシド、塩酸ダウノルビシン、塩酸ドキソルビシン、塩酸エピルビシン、塩酸ミトキサントロン、マイトマイシンC、デキストラン硫酸ナトリウム、酢酸オクトレオチド、シスプラチン、カルボプラチン、酢酸ゴセレリン、酢酸リュープロレリン、塩酸イリノテカンなどが挙げられる。
抗生物質の例としては、ベンジルペニシリンカリウム、塩酸バカンピシリン、シクラシリン、アモキシシリン、アスポキシシリン、スルベニシリンナトリウム、チカルシリンナトリウム、ピペラシリンナトリウム、セファロチンナトリウム、セファゾリンナトリウム、セファレキシン、セフロキサジン、セファクロル、塩酸セフォチアム、セフメタゾールナトリウム、セフミノクスナトリウム、セフスロジンナトリウム、セフォタキシムナトリウム、セフォペラゾンナトリウム、セフチゾキシムナトリウム、セフタジジム、硫酸セフピロム、ラタモキセフナトリウム、フロモキセフナトリウム、アズトレオナム、カルモナムナトリウム、硫酸カナマイシン、硫酸アミカシン、硫酸ゲンタマイシン、硫酸ジベカシン、トブラマイシン、硫酸シソマイシン、硫酸イセパマイシン、硫酸アルベカシン、塩酸テトラサイクリン、塩酸オキシテトラサイクリン、塩酸ドキシサイクリン、塩酸ミノサイクリン、クロラムフェニコール、チアンフェニコール、塩酸バンコマイシン、塩酸リンコマイシン、クリンダマイシンなどが挙げられる。
抗炎症剤の例としては、サリチル酸ナトリウム、ジクロフェナクナトリム、トルメチンナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム、塩酸チアラミドなどが挙げられる。
血管拡張剤の例としては、塩酸ジフェニドール、ニコチン酸、塩酸イソクスプリン、硫酸バメタン、カプトプリル、マレイン酸エナラプリル、アラセプリル、塩酸デラプリル、リシノプリル、塩酸ベナゼプリル、塩酸ヒドララジンなどが挙げられる。
【0015】
上述の親水性付着物質の親水基を保護する方法としては、親水基がアミノ基、水酸基、メルカプト基、アミジノ基、グアニジノ基である場合には、公知のアシル化方法が利用可能である。例えば、塩基存在下で酸ハロゲン化物、酸無水物または酸等を反応させることで親水基のアシル化、アルコキシカルボニル化、アシルオキシアルコキシカルボニル化を行うことができる。親水基がアミノ基である化合物としては、塩酸プロカルバジン、シタラビン、塩酸ダウノルビシン、塩酸ドキソルビシン、塩酸エピルビシン、セフチゾキシムナトリウム、硫酸アミカシン、硫酸ジベカシン、硫酸イセパマイシン、リシノプリル、塩酸ヒドララジンなどがある。親水基が水酸基である化合物としては、ラニムスチン、酢酸オクトレオチド、ラタモキセフナトリウム、塩酸リンコマイシン、サリチル酸ナトリウム、塩酸チアラミド、塩酸ジフェニドールなどがある。親水基がメルカプト基である化合物としては、カプトプリルなどがある。
【0016】
親水基がカルボキシル基である場合には、公知のアシル化方法が利用可能である。例えば、直接、酸または塩基存在下でアルコール、アルキルアミン、アルケン等を反応させることでエステル化、アミド化を行うことができる。また、カルボキシル基を反応性の高い酸ハロゲン化物、酸無水物、活性エステル等に変換した後、酸または塩基存在下でアルコール、アルキルアミン、アルケン等を反応させることでエステル化、アミド化を行うことができる。親水基がカルボキシル基である化合物としては、酢酸ゴセレリン、酢酸リュープロレリン、スルベニシリンナトリウム、チカルシリンナトリウム、サリチル酸ナトリウム、ジクロフェナクナトリム、トルメチンナトリウム、ニコチン酸、カプトプリル、マレイン酸エナラプリル、アラセプリル、塩酸デラプリルなどがある。
分子内に二つ以上の親水基を持つ物質の場合には、同一または異なる種類の複数の保護基で置換しても良い。
【0017】
本発明で用いる微細炭素繊維は、炭素6員環を主構造とする黒鉛層を有するものが使用できる。このような構造を有する微細炭素繊維は、一般的にカーボンナノファイバーやカーボンナノチューブ等と呼ばれており、針状、らせん状、円筒状などの任意の形態をとることができる。また、上記微細炭素繊維は単独で分散しているものだけでなく、数本で集合体を形成しているものでもよい。
上記炭素6員環を主構造とする黒鉛層を有する微細炭素繊維として、具体的には、炭素6員環を主構造とする黒鉛シートよりなるらせん円筒構造を有する微細炭素繊維(一般的に「カーボンナノチューブ」とも言う。)と、炭素6員環を主構造とする黒鉛よりなるらせん構造で形成された多重構造を有する黒鉛繊維であって、その繊維の先端が円錐形状で終わる角状の円筒構造を有する黒鉛繊維(一般的に「カーボンナノホーン」とも言う。)が例示される。上記カーボンナノチューブは、単層の円筒構造を有するもの(例えば、特許第2526782号公報等に記載の炭素繊維)でもよく、らせん構造で形成された円筒形状が同心円状に配置された多重構造のもの(例えば、Nature,354,56(1991)、特許第2687794号公報等に記載の炭素繊維)でもよい。
上記カーボンナノホーンは、1層または2層以上の層を重ね合わせた多重構造のもの(例えば、特許第2705447号公報等に記載の炭素繊維)であってもよい。また、角状の円筒構造が角の先端を外側に向けた集合体のもの(例えば、特開2002−159851号公報等に記載の炭素繊維)でもよい。上述の微細炭素繊維は、多くの場合中空構造を有し広い表面積と内腔を持つため、単位重量あたりにより多くの親水性物質を付着することができる。
【0018】
上記微細炭素繊維は、公知の微細炭素繊維製造法により製造することができる。一般には、アーク放電法(特開平6−157016号公報、特開2000−95509号公報など)、レーザー蒸発法(特開平10−273308号公報など)、触媒気相成長法(特開2000−86217号公報など)等がよく用いられる。これらの方法以外の方法を用いて製造してもよい。
【0019】
上記微細炭素繊維の外径は、0.1nm〜300nmであることが好ましい。この範囲の外径を有する微細炭素繊維は、ナノサイズであり、DDSの薬物キャリアとして利用するのに好適である。微細炭素繊維の外径が、0.8nm〜200nmであると、公知の製造方法において高い収率で得ることができるので商業的にも入手しやすく、本発明の微細炭素繊維として好ましい。
上記微細炭素繊維は、長さが0.1μm〜1.0mmであればよく、好ましくは0.1μm〜100μmである。このような長さの範囲であると、微細炭素繊維同士の絡まりによる二次凝集が起こりにくく、また親水性付着物質を適量付着できるので好ましい。より好ましい微細炭素繊維の長さは、1.0μm〜50μmである。
【0020】
上記微細炭素繊維は必ずしも製造時のままである必要はなく、熱処理、分断処理、酸化処理、化学修飾処理等の処理を施したものでもよい。これらの処理を施すことにより、微細炭素繊維を構成する炭素6員環構造に欠陥が生じるため、後述する親水性物質が微細炭素繊維の外表面および中空部分により付着しやすくなる。これらの処理方法には公知の方法を用いることができる。本発明に用いる微細炭素繊維の処理として好ましいもののひとつは酸化処理であり、その処理の一例としては、微細炭素繊維を適当な濃度の塩酸や硝酸、硫酸中で一定時間攪拌または還流をすることによって行う。さらに好ましくは、濃硝酸中にて24時間以上還流を行う。
【0021】
本発明では、微細炭素繊維への親水性物質付着方法として、親水性を有する付着物質の親水基を保護して疎水性とした付着物質を超臨界流体に溶解させることで、微細炭素繊維の外表面および中空部分に付着させることを特徴とする。前記超臨界流体は疎水性とした付着物質を溶解させ得るものであればどのようなものでもよい。一般的には二酸化炭素、亜酸化窒素、フレオン13、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ブタン、ヘキサン、メタノール、エタノール、ベンゼン、トルエン、アンモニア、水のいずれか、またはこれらの2種以上の混合物等がよく用いられる。これらのうち、超臨界条件において疎水性とした付着物質と反応せず、疎水性とした付着物質の熱分解および微細炭素繊維の酸化を最小限に抑制する必要性から、できるだけ臨界温度が低く酸化力の小さい超臨界流体を用いるのが好ましい。特に、二酸化炭素は臨界温度31.0℃、臨界圧力7.38MPaと比較的容易に超臨界状態を達成できることに加えて、多くの疎水性とした付着物質が熱分解する温度よりも低温の条件であるため、気相を通しての付着が不可能である熱的に不安定な物質の付着を行うことが可能となる。また、不燃性、安価等の理由により工業的に利用しやすく常温で気体であることより、超臨界処理後の微細炭素繊維を溶媒から分離、洗浄する必要がなく工程を簡略化できる。さらに二酸化炭素は低毒性であることから、たとえ微細炭素繊維に付着していたとしても、毒性の高い溶媒物質が放出されることはなく、DDSの薬物キャリアを製造した場合にも生体に対する安全性が高く、本発明の超臨界流体として好適である。疎水性とした付着物質の溶解性により酸化力の強い超臨界流体を用いる必要性がある場合には、酸化力の弱い他の超臨界流体と適当な割合で混合することにより、疎水性とした付着物質の熱分解および微細炭素繊維の酸化を最小限に抑えることができる。
【0022】
疎水性付着物質の保護基を脱離する方法としては、公知の方法が使用できる。例えば、酸分解、酸加水分解、アルカリ加水分解、熱分解、接触水素反応等、保護基にあわせて任意の方法で行うことが出来る。例えば、保護基がアシル基の場合には、酸またはアルカリ加水分解によって脱離できる。アシル基のなかでも、tert−ブトキシカルボニル基の場合には、塩酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等の酸との反応によって脱離できる。また、保護基がエステル基、アミド基の場合には、酸またはアルカリ加水分解によって脱離できる。エステル基のなかでも、tert−ブチルエステルの場合には、塩酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等の酸との反応によって脱離できる。
反応試薬は、反応後に容易に分離できるように、減圧下で留去可能なもの、または洗浄によって除去可能なものが選ばれる。また、脱保護反応後、保護基由来の副生物が生じるが、必要に応じて減圧下で留去または洗浄によって除去する。副生物は、主に二酸化炭素、イソブテンなどであり、通常これらは除去しなくとも良い。
【0023】
以下に本発明における微細炭素繊維への親水性物質付着方法の一例を説明する。
金属製密閉耐圧容器に微細炭素繊維と親水性を有する付着物質の親水性基を保護した疎水性付着物質とを入れ、超臨界流体とする物質を導入する。このとき、超臨界処理後の付着体の回収を容易にするために、微細炭素繊維を超臨界処理によって影響を受けないセラミック等の素材からなる多孔性の容器等にあらかじめ入れておいてもよい。前記超臨界流体物質は前述した超臨界状態において疎水性付着物質を溶解し得るものを用いる。続いて金属製密閉耐圧容器内の反応系に前記超臨界流体物質の臨界点以上の温度と圧力を加えることで超臨界状態を形成すると、疎水性付着物質が超臨界流体の高い溶解性により溶解し、その高い拡散性により微細炭素繊維の外表面および中空部に効果的に拡散し、微細炭素繊維との相互作用によって微細炭素繊維外表面および中空部に付着する。超臨界処理温度は疎水性付着物質が熱分解しない温度以下とする。超臨界状態にて一定時間保持した後、一定時間をかけて減圧、降温し、微細炭素繊維を取り出すことで、疎水性付着物質が微細炭素繊維外表面と中空部に付着した付着体を得ることができる。前記微細炭素繊維に付着した疎水性付着物質の保護基を、脱保護基以外の反応が起きない条件で処理し、親水性物質に変換する。脱保護反応後、保護基由来の副生物は、必要に応じて減圧濃縮または洗浄によって除去することで、本発明の付着体を得ることができる。
以上、本発明における微細炭素繊維への親水性物質付着方法とその付着体について詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例】
【0024】
(実施例1−1) 塩酸ドキソルビシン580mgをジオキサン−水(2:1)(500mL)に溶かし、氷冷下攪拌しながら、1規定水酸化ナトリウム(1mL)とジ−tert−ブチル ジカーボネート(0.24g)とを加えた。室温で30分攪拌した後減圧下で濃縮し、5%硫酸水素カリウム水溶液でpHを酸性にして、クロロホルムで抽出した。クロロホルム層を水で洗った後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮しN−Bocドキソルビシン((2S,4S)−4−(3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2,3,6−トリデオキシ−α−L−lyxo−ヘキサピラノシロキシル)−2−ヒドロキシアセチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−2,5,12−トリヒドロキシ−7−メトキシナフタセン−6,11−ジオン)を得た。
【0025】
(実施例1−2) 360mLの耐圧容器に、セラミック容器に入れた市販の多層炭素繊維50mg、N−Boc−ドキソルビシン100mgを入れて密閉した。この耐圧容器を80℃まで加熱した後、80℃の二酸化炭素を耐圧容器に導入し、30MPaまで昇圧して超臨界状態を形成した。この超臨界状態を1時間保持した。次いで、約10分間で圧力を解放して、多層炭素繊維の試料を取り出した。
取り出した多層炭素繊維をクロロホルム中で撹拌し、ついで多層炭素繊維をフィルターでろ別して得た抽出液を液体クロマトグラム法で分析した結果、抽出液にN−Boc−ドキソルビシンの存在が確認され、多層炭素繊維にN−Boc−ドキソルビシンが付着していることが確認された。
【0026】
(実施例1−3) N−Boc−ドキソルビシンが付着した多層炭素繊維に1規定塩酸/酢酸溶液を加え24時間攪拌した後、減圧濃縮し、さらに減圧下で乾燥させ、塩酸ドキソルビシンの付着した多層炭素繊維を得た。
取り出した多層炭素繊維を水中で撹拌し、ついで多層炭素繊維をフィルターでろ別して得た抽出液を液体クロマトグラム法で分析した結果、抽出液に塩酸ドキソルビシンの存在が確認され、多層炭素繊維に塩酸ドキソルビシンが付着していることが確認された。
【0027】
(比較例1) 塩酸ドキソルビシン100mgを水100mLに溶解し、市販の多層炭素繊維50mgを入れて、室温で24時間撹拌した。多層炭素繊維をフィルターでろ取し、室温で風乾した。次に、この多層炭素繊維を水中で撹拌し、ついで多層炭素繊維をフィルターでろ別して得た抽出液を液体クロマトグラム法で分析した結果、抽出液には塩酸ドキソルビシンが検出されず、多層炭素繊維への塩酸ドキソルビシンの付着を確認できなかった。
【0028】
(実施例2−1) プラバスタチンナトリウム447mgをジオキサン(5mL)に懸濁し、濃硫酸を加えた。−78℃で約1gのイソブチレンを加え、耐圧容器中に室温で12時間放置した。冷却し2規定水酸化ナトリウム溶液中に注ぎ、エーテルで抽出した。エーテル層を乾燥、減圧濃縮し、プラバスタチンtert−ブチルエステル(tert−ブチル(+)−(3R,5R)−3,5−ジヒドロキシ−7−[(1S,2S,6S,8S,8aR)−6−ヒドロキシ−2−メチル−8−[(S)−2−メチルブチリルオキシ]−1,2,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−1−ナフチル]ヘプタノエート)を得た。
【0029】
(実施例2−2) 360mLの耐圧容器に、セラミック容器に入れた市販の多層炭素繊維50mg、プラバスタチンtert−ブチルエステル100mgを入れて密閉した。この耐圧容器を80℃まで加熱した後、80℃の二酸化炭素を耐圧容器に導入し、30MPaまで昇圧して超臨界状態を形成した。この超臨界状態を1時間保持した。次いで、約10分間で圧力を解放して、多層炭素繊維の試料を取り出した。
取り出した多層炭素繊維をクロロホルム中で撹拌し、ついで多層炭素繊維をフィルターでろ別して得た抽出液を液体クロマトグラム法で分析した結果、抽出液にプラバスタチンtert−ブチルエステルの存在が確認され、多層炭素繊維にプラバスタチンtert−ブチルエステルが付着していることが確認された。
【0030】
(実施例2−3) プラバスタチンtert−ブチルエステルが付着した多層炭素繊維に1規定塩酸/酢酸溶液を加え24時間攪拌した。減圧濃縮し、さらに減圧下で乾燥させ、プラバスタチンの付着した多層炭素繊維を得た。
取り出した多層炭素繊維を水中で撹拌し、ついで多層炭素繊維をフィルターでろ別して得た抽出液を液体クロマトグラム法で分析した結果、抽出液にプラバスタチンの存在が確認され、多層炭素繊維にプラバスタチンが付着していることが確認された。
【0031】
(比較例2) プラバスタチンナトリウム100mgを水100mLに溶解し、市販の多層炭素繊維50mgを入れて、室温で24時間撹拌した。多層炭素繊維をフィルターでろ取し、室温で風乾した。次に、この多層炭素繊維を水中で撹拌し、ついで多層炭素繊維をフィルターでろ別して得た抽出液を液体クロマトグラム法で分析した結果、抽出液にはプラバスタチンナトリウムが検出されず、多層炭素繊維へのプラバスタチンナトリウムの付着を確認できなかった。
【0032】
(実施例3−1) フルバスタチンナトリウム433mgをジオキサン(5mL)に懸濁し、濃硫酸を加えた。−78℃で約1gのイソブチレンを加え、耐圧容器中に室温で12時間放置した。冷却し2規定水酸化ナトリウム溶液中に注ぎ、エーテルで抽出した。エーテル層を乾燥、減圧濃縮し、フルバスタチンtert−ブチルエステル(tert−ブチル(±)−(3RS,5SR,6E)−7−[3−(4−フルオロフェニル)−1−(1−メチルエチル)−1H−インドール−2−イル]−3,5−ジヒドロキシ−6−ヘプタノエート)を得た。
【0033】
(実施例3−2) 360mLの耐圧容器に、セラミック容器に入れた市販の多層炭素繊維50mg、フルバスタチンtert−ブチルエステル100mgを入れて密閉した。この耐圧容器を80℃まで加熱した後、80℃の二酸化炭素を耐圧容器に導入し、30MPaまで昇圧して超臨界状態を形成した。この超臨界状態を1時間保持した。次いで、約10分間で圧力を解放して、多層炭素繊維の試料を取り出した。
取り出した多層炭素繊維をクロロホルム中で撹拌し、ついで多層炭素繊維をフィルターでろ別して得た抽出液を液体クロマトグラム法で分析した結果、抽出液にフルバスタチンtert−ブチルエステルの存在が確認され、多層炭素繊維にフルバスタチンtert−ブチルエステルが付着していることが確認された。
【0034】
(実施例3−3) フルバスタチンtert−ブチルエステルが付着した多層炭素繊維に1規定塩酸/酢酸溶液を加え24時間攪拌した。減圧濃縮し、さらに減圧下で乾燥させ、フルバスタチンの付着した多層炭素繊維を得た。
取り出した多層炭素繊維を水中で撹拌し、ついで多層炭素繊維をフィルターでろ別して得た抽出液を液体クロマトグラム法で分析した結果、抽出液にフルバスタチンの存在が確認され、多層炭素繊維にフルバスタチンが付着していることが確認された。
【0035】
(比較例3) フルバスタチンナトリウム100mgを水100mLに溶解し、市販の多層炭素繊維50mgを入れて、室温で24時間撹拌した。多層炭素繊維をフィルターでろ取し、室温で風乾した。次に、この多層炭素繊維を水中で撹拌し、ついで多層炭素繊維をフィルターでろ別して得た抽出液を液体クロマトグラム法で分析した結果、抽出液にはフルバスタチンナトリウムが検出されず、多層炭素繊維へのフルバスタチンナトリウムの付着を確認できなかった。
【0036】
(実施例4−1)セリバスタチンナトリウム482mgをジオキサン(5mL)に懸濁し、濃硫酸を加えた。−78℃で約1gのイソブチレンを加え、耐圧容器中に室温で12時間放置した。冷却し2規定水酸化ナトリウム溶液中に注ぎ、エーテルで抽出した。エーテル層を乾燥、減圧濃縮し、セリバスタチンtert−ブチルエステル(tert−ブチル [S−[R*,S’−(E)]−7−[4−(4−bフルオロフェニル)−5−メトキシメチル)−2,6ビス(l−メチルエチル)3−ピリジニル]−3,5−ジヒドロキシ−6−ヘプテノエート)を得た。
【0037】
(実施例4−2) 360mLの耐圧容器に、セラミック容器に入れた市販の多層炭素繊維50mg、セリバスタチンtert−ブチルエステル100mgを入れて密閉した。この耐圧容器を80℃まで加熱した後、80℃の二酸化炭素を耐圧容器に導入し、30MPaまで昇圧して超臨界状態を形成した。この超臨界状態を1時間保持した。次いで、約10分間で圧力を解放して、多層炭素繊維の試料を取り出した。
取り出した多層炭素繊維をクロロホルム中で撹拌し、ついで多層炭素繊維をフィルターでろ別して得た抽出液を液体クロマトグラム法で分析した結果、抽出液にセリバスタチンtert−ブチルエステルの存在が確認され、多層炭素繊維にセリバスタチンtert−ブチルエステルが付着していることが確認された。
【0038】
(実施例4−3) セリバスタチンtert−ブチルエステルが付着した多層炭素繊維に1規定塩酸/酢酸溶液を加え24時間攪拌した。減圧濃縮し、さらに減圧下で乾燥させ、セリバスタチンの付着した多層炭素繊維を得た。
取り出した多層炭素繊維を水中で撹拌し、ついで多層炭素繊維をフィルターでろ別して得た抽出液を液体クロマトグラム法で分析した結果、抽出液にセリバスタチンの存在が確認され、多層炭素繊維にセリバスタチンが付着していることが確認された。
【0039】
(比較例4) セリバスタチンナトリウム100mgを水100mLに溶解し、市販の多層炭素繊維50mgを入れて、室温で24時間撹拌した。多層炭素繊維をフィルターでろ取し、室温で風乾した。次に、この多層炭素繊維を水中で撹拌し、ついで多層炭素繊維をフィルターでろ別して得た抽出液を液体クロマトグラム法で分析した結果、抽出液にはセリバスタチンナトリウムが検出されず、多層炭素繊維へのセリバスタチンナトリウムの付着を確認できなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細炭素繊維に親水性物質を付着させる方法であって、親水性物質の親水基を置換基によって保護して疎水性物質とする第1工程、前記疎水性物質を亜臨界または超臨界流体に溶解させて炭素繊維に付着させる第2工程、前記第2工程により製造した炭素繊維に付着した疎水性物質の保護基を脱保護反応によって脱離し、再度親水性物質とする第3工程からなることを特徴とする親水性物質付着微細炭素繊維の製造方法。
【請求項2】
前記亜臨界または超臨界流体が、二酸化炭素、亜酸化窒素、フレオン13、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ブタン、ヘキサン、メタノール、エタノール、ベンゼン、トルエン、アンモニア、水のいずれか、またはこれらの2種以上の混合物である請求項1に記載の親水性物質付着微細炭素繊維の製造方法。
【請求項3】
前記亜臨界または超臨界流体が、二酸化炭素である請求項2に記載の親水性物質付着微細炭素繊維の製造方法。
【請求項4】
前記親水性物質が、低分子化合物およびそれらの塩または錯体、生理活性有機化合物、薬物、または造影剤である請求項1〜3のいずれかに記載の親水性物質付着微細炭素繊維の製造方法。
【請求項5】
前記薬物が、抗癌剤、抗生物質、生理活性を有するポリペプチド、下熱剤、鎮静剤、免疫賦活剤、抗炎症剤、鎮咳剤、抗てんかん剤、抗ヒスタミン剤、降圧利尿剤、糖尿病治療剤、筋弛緩剤、抗腫瘍剤、抗うつ剤、抗アレルギー剤、強心剤、不整脈治療剤、血管拡張剤、抗凝血剤、麻薬拮抗剤、止血剤、抗結核剤、またはホルモン剤である請求項4に記載の親水性物質付着微細炭素繊維の製造方法。
【請求項6】
前記微細炭素繊維が、炭素6員環を主構造とする黒鉛層を有する請求項1〜5のいずれかに記載の親水性物質付着微細炭素繊維の製造方法。
【請求項7】
前記微細炭素繊維が、炭素6員環を主構造とする黒鉛シートよりなるらせん円筒構造を有する請求項6に記載の親水性物質付着微細炭素繊維の製造方法。
【請求項8】
前記微細炭素繊維の外径が、0.1nm〜300nmである請求項1〜7のいずれかに記載の親水性物質付着微細炭素繊維の製造方法。
【請求項9】
前記微細炭素繊維の長さが0.1μm〜1.0mmである請求項1〜8のいずれかに記載の親水性物質付着微細炭素繊維の製造方法。
【請求項10】
微細炭素繊維に親水性物質が付着したことを特徴とする親水性物質付着微細炭素繊維。


【公開番号】特開2006−36638(P2006−36638A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−213842(P2004−213842)
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】