説明

微量元素測定方法、微量元素測定装置及び毛髪試料作成治具

【課題】多数の試料の微量元素測定を可能にし、かつ時間短縮して精度よく測定できるようにしたPIXEによる微量元素測定方法及び微量元素測定装置を提供するものである。
【解決手段】ヘリウムガスが導入された気密容器32内に、被測定試料と標準試料を含む複数の試料を2次元に配列した試料群33を2次元面内で可動可能に配置し、試料を順次測定位置に移動させて荷電粒子照射部39から同一条件の荷電粒子34を照射し、試料から放射される特性X線を検出器35により検知し、標準試料の元素濃度と比較して被測定試料に含まれる微量元素の濃度を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪内に含まれる微量元素の測定、土壌、海底堆積物等の環境試料に含まれる微量元素の測定などに適用される微量元素濃度測定方法及び微量元素測定装置に関する。
また、本発明は、毛髪試料作成に適用される毛髪試料作成治具に関する。
【背景技術】
【0002】
試料に高エネルギーの荷電粒子を照射すると特性X線が発生する現象をPIXE(Particle Induced X-ray Emission)という。PIXEは、微量元素(主として重金属)含有量の測定に用いられる。多くの場合、荷電粒子としてプロトンビームが用いられ、真空中で行われることが多い。このPIXEによる微量元素測定方法の原理を説明する。原理は、図14に示すように、加速されたプロトンビーム1を試料2に照射させ、プロトンが試料中の原子に衝突して内殻電子を弾き飛ばし、それによって生じる空孔に外殻電子が遷移した際に放出される特性X線4を検出器3にて検出する。特性X線の検出信号から特性X線のエネルギースペクトルを得、スペクトルに表れる特性X線エネルギーのピーク値より元素を同定し、ピークカウント数から各元素の存在量、いわゆる濃度を同定する。
【0003】
従来、例えば毛髪に含まれる微量元素をPIXEを用いて測定することが知られている。毛髪中の重金属元素は、食生活や健康状態と密接な関係があることが期待される。毛髪の微量元素測定は、健康調査の項目に取り入れることにより、アトピーを含む、多くの健康上の問題を解明するための手段となり得る。
【0004】
図15に、従来のPIXEによる毛髪試料の微量元素測定装置の概略構成を示す。この微量元素測定装置11は、真空槽12内に測定すべき毛髪試料13を複数保持した試料ホルダー14と、加速されたプロトンビーム15を導いて照射するためのプロトンビーム照射部、すなわちプロトンビーム入射筒16と、プロトンビーム15が毛髪試料13に照射され、毛髪試料13より放射された特性X線17を検知する検出器18とを備える。さらに、試料ホルダー13と検出器18との間に例えばグラファイト製の筒状体からなる遮蔽物19が配置される。この遮蔽物19は、試料ホルダー14を取り囲むようにして配置される。遮蔽物19は、プロトンビーム15が試料13に当たって放出された電子が検出器18に当り制動放射線を放出するのを防止するために、電子が検出器18側へ放射されるのを阻止するためのものである。遮蔽物19である筒状体には、試料から放射された特性X線が透過する透孔19a及びプロトンビーム15が透過する透孔19b,19cが設けられている。制動放射線をも検知すると測定精度が低下する。26はコリメータであり、プロトンビーム15の試料13への照射位置の安定、及びビームスポット内での強度の均一化を行うものである。27はファラデーカップ、28は特性X線のうちエネルギーの低いX線を吸収するための吸収膜を有する保持板、29は検出器18の保護用キャップである。また、30はビデオカメラ(例えばCCDカメラ)であり、このビデオカメラ30で試料13の位置を確認している。
【0005】
試料ホルダー14は、プロトンビーム15が試料面に垂直に照射されるように配置され、検出器18は、試料面に対向するとともに、プロトンビーム15の照射方向に対して30°程度の方向に配置される。
【0006】
試料ホルダー14は、図16に示すように、毛髪試料13を中空保持するための透孔21が縦方向に複数、通常数個乃至10個設けた長尺のアクリル板から成り、各透孔21を跨いで複数本ずつの毛髪試料13が架張されて構成される。この試料ホルダー14は、真空槽12の下から挿入された操作棒22に取付けられる。操作棒22は真空槽12の外に配置された駆動モータ23に取付けられる。試料ホルダー14は、駆動モータ23を介して操作棒22を縦方向に駆動させることにより、測定すべき毛髪試料13をプロトンビーム15が当たる位置まで移動させられる。
【0007】
この微量元素測定装置11では、試料ホルダー14が駆動モータ23及び操作棒22を介して縦方向に移動して所要の毛髪試料13をプロトンビームの照射位置に移動させる。そして、プロトンビーム入射筒16から加速されたプロトンビーム15が出射され、所要の毛髪試料13に照射される。プロトンビーム15の照射により、毛髪試料13から放射された特性X線17が検出器18にて検知され、特性X線エネルギースペクトが得られる。この特性X線エネルギースペクトルから、毛髪に含まれる重金属元素の量、いわゆる濃度が測定される。
【0008】
非特許文献1には、原医研3MVイオンビーム加速器を用いたPIXE分析法の開発のため、当該装置に対して元素ごとの感度曲線を得、水試料の分析に適用した例が報告されている。
【非特許文献1】花房龍男 平成12年度広島大学大学院工学研究科修士論文「原医研3MVイオンビーム加速器によるPIXE分析法の開発」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
PIXEによる微量元素測定装置では、多くの場合、前述したように真空槽中に数個乃至10個の試料を配列した試料ホルダーを設置して、真空槽外から手動あるいは遠隔操作で試料の移動が行われている。数個乃至10個の試料の測定が終わると、真空を破り、試料交換が行われる。交換には時間を要する。その理由は以下の通りである。
(a)真空槽内の真空を破り、試料を交換した後に再び真空に引き直すのに時間がかかる。
(b)プロトンビームの照射室は、プロトンビームが出射している際には放射線量が高い。照射室から離れたところにある制御室でプロトンビームを止めてから安全確認の上、照射室に入室しなければならない。
【0010】
測定時間がかかると、多数の測定が困難であるだけでなく、照射ビーム強度や検出システムの増幅器の増幅度の変動などにより、測定精度が落ちる。特に、プロトンビームの条件が変動し易い。PIXEによる測定では、被測定試料から発生する特性X線に対応するすべての元素に関する標準試料を同じ条件で測定する必要があるため、被測定試料の多い少ないにかかわらず、多数の試料の測定が必要となる。
【0011】
試料ホルダーに対して遠隔操作を行う場合でも、操作自体は手動であるため、時間がかかり、位置決めに正確さが乏しい。すなわち、試料ホルダーの位置制御は制御室からモニタを見ながら目視で行い、駆動モータのスイッチを手動でオン、オフ制御している。
【0012】
真空中では、プロトンビームが試料に当たって発生する熱が逃げにくく、温度が上がることによって容易に試料、例えば毛髪が変質してしまう。
【0013】
真空中では、電子が放出されると止まらずに検出側に飛来し、検出器にぶつかって強烈に制動放射線を発生するため、試料と検出器との間に電子の飛来を阻止する遮蔽物を置いている。この遮蔽物により検出器を試料に近づける距離に限界があり、検出器に入射する特性X線量が1/(距離)に比例することから、検知に必要な特性X線量を受光するために時間がかかる。
【0014】
また、試料ホルダーは、試料を縦方向に1列に配列した構成であるので、試料数としては10個程度が限界で、それ以上の多数を配置すると真空槽を大きくしなければならず、装置が大がかりになり、実用的でなくなる。
【0015】
本発明は、上述の点に鑑み、多数の試料の微量元素測定を可能にし、かつ時間短縮して精度よく測定できるようにしたPIXEによる微量元素測定方法及び微量元素測定装置を提供するものである。
また、本発明は、毛髪の微量元素測定における毛髪試料作成を容易にする毛髪試料作成治具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る微量元素測定方法は、ヘリウムガスが導入された気密容器内に、被測定試料と標準試料を含む複数の試料を2次元状に配列した試料群を2次元面内で移動可能に配置し、試料を順次測定位置に移動させて同一条件の荷電粒子を照射し、試料から放射される特性X線を検知し、標準試料の元素濃度と比較して被測定試料に含まれる微量元素の濃度を測定することを特徴とする。
【0017】
本発明の微量元素測定方法では、気密容器内に被測定試料と標準試料を含む複数の試料を2次元状に配列した試料群を2次元面内で移動させて測定するので、試料の交換をせずに標準試料及び被測定試料を連続して測定することができる。これらの試料は同一条件の荷電粒子を用いて測定することができる。また、気密容器内にヘリウムガスが導入されているので、電子が放射されても、直ぐに止まる。このため、遮蔽物を省略し、検出器を試料により近接した状態で試料から放射された特性X線を検知することができる。
【0018】
本発明に係る微量元素測定装置は、ヘリウムガスが導入された気密容器と、気密容器内に配置された試料群、荷電粒子の照射部及び試料から放射される特性X線を検知する検出器とを備え、試料群は、被測定試料と標準試料を含む複数の試料が2次元状に配列され、2次元面内で移動可能に配置されていることを特徴とする。
【0019】
本発明の微量元素測定装置では、気密容器内に被測定試料と標準試料を含む複数の試料が2次元に配列された試料群を有し、この試料群を2次元面内で移動可能に配置されるので、試料の交換をせずに標準試料及び被測定試料の連続測定ができる。これら多数の試料は同一条件の荷電粒子を用いて測定することができる。また、気密容器内にヘリウムガスが導入されているので、遮蔽物を省略し、検出器を試料により近接した状態で配置することができる。
【0020】
本発明に係る毛髪試料作成治具は、試料ホルダーに毛髪試料を取り付ける毛髪試料作成治具であって、中央の一方向に延びる溝を挟んで両側に長尺の板状の試料ホルダーを載置する載置面を有した受け台と、受け台の両載置面の縁辺上に一体に形成され、試料ホルダーの載置位置を規制する突出部と、受け台の溝を挟む両外側面に設けられ、毛髪試料を引っかけるフック部とを備える。突出部には、試料ホルダーの毛髪試料を配置する各透孔に対応して、複数の毛髪が入り込む複数の細溝が設けられ、フックは複数の細溝に対応して複数設けられている。
【0021】
本発明の毛髪試料作成治具では、試料ホルダーを受け台の載置面に載置し、毛髪を突出部の溝を通して両側のフックに引っ掛けた後、試料ホルダーに接着させ、カッターナイフで試料ホルダーと突出部との隙間に沿って毛髪を切断して、毛髪試料を作成する。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る微量元素測定方法及び微量元素測定装置によれば、標準試料及び被測定試料を含む多数の試料を連続して同一条件の荷電粒子で測定できるので、測定時間の短縮が測れると共に、高精度の測定を行うことができる。また、気密容器内にヘリウムガスが導入され、検出器をより試料に近接して配置できるので、さらに短時間の測定が可能になる。
【0023】
本発明に係る毛髪試料作成治具によれば、比較的簡単に毛髪試料を作成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0025】
図1に、本発明に係る微量元素測定装置の一実施の形態を示す。図1は装置の気密容器を横断面にした状態の概略断面図である。本実施の形態に係る微量元素測定装置31は、荷電粒子、本例ではプロトンビームを加速するプロトン加速器(図示せず)と、ヘリウムガス(He)を導入した気密容器32と、この気密容器32内に配置した試料群33、加速器に連結したプロトンビームの照射部、いわゆるプロトンビーム入射筒34及び検出器35とを備えて成る。気密容器32は、例えば透明のアクリル製で構成される。試料群33は、被測定試料と標準試料を含む複数の試料を2次元に配列して構成される。プロトンビーム入射筒34は、試料群33の各試料にプロトンビームを照射する、プロトンビーム照射源に相当し、先端部分は試料群33に近接するように配置される。検出器35は、プロトンビームの照射により試料から放射される特性X線を検知するもので、試料群33に近接して配置される。
【0026】
気密容器32は、図2及び図3の斜視図で示すように、横断面形状が矩形41の一辺に頂角が90°の三角形部42が形成されるような輪郭形状を有し、上面に三角形状部42と矩形41の一部を包含するように円筒状の開口部43が形成されて成る。円筒状の開口部43には着脱自在の蓋体44(図3参照)が気密的に嵌着される。気密容器32の三角形部42の一側壁にプロトンビーム入射筒34が気密的に挿入される開口45が形成される。三角形部42の一側壁と90°をなす他側壁には、検出器35が気密的に挿入される開口46と、後述する複数のフィルタが配置された回転可能な円盤の回転軸が気密的に挿入される開口47が形成される(図2参照)。三角形部42とは反対側の壁面には、プロトンビーム入射筒34が挿入される開口45に対応してプロトンビームの延長線上に位置してファラデーカップが挿入される筒状開口48と、試料群33を2次元的に移動させるためのリニアスライダの駆動源、例えばパルス駆動するサーボモータの配線を導出するための開口49が形成される(図3参照)。蓋体44は円形外周が波形をなして、手動による蓋体44の着脱を容易にしている。また、蓋体44とこれに嵌合される円筒状の開口部43とは、Oリング50を介してして気密的に嵌合される。
【0027】
そして、図1に示すように、気密容器32内に開口45を通して加速器に連結されたプロトンビーム入射筒39が配置され、このプロトンビーム入射筒39の先端に対向して試料群33が配置される。この試料群33は、その試料面がプロトンビーム34の照射方向(すなわち、プロトンビーム34のビーム軸)に対して45°程度、好ましくは45°をなすように配置される。また、気密容器32内に開口46を通して検出器35が配置される。検出器35は、試料群33の試料面に対して45°程度、好ましくは45°をなすように、したがってプロトンビーム34の照射方向(すなわちプロトンビーム34のビーム軸)に対して90°程度、好ましくは90°をなすように配置される。さらに、気密容器32内に開口47を通して回転軸37が挿入されるように、後述する複数の吸収膜が円周上に配列された回転円盤36が配置される。
【0028】
試料群33は、図4に示すように、横一列に複数、例えば10個の透孔53を等間隔に形成した例えばアクリルからなる板状体54を設け、この各透孔53を差し渡るように試料52を配置した試料ホルダー55を形成し、この試料ホルダー55を図5に示すように、複数個、本例では10個、縦に平行配列して構成される。すなわち、試料群33は、図5に示すように、枠体57に対して各試料ホルダー55を、その長手方向を横にして、例えば10個縦に配列して構成される。
【0029】
試料52としては、本例では毛髪を用いている。図示の例では、試料52は10×10=100個が等間隔で配列される。そのうちの、例えば20の元素を必要とするならば、20個の試料52aが標準試料となり、残りの80個の試料52bが被測定試料となる。試料52を配置した試料ホルダー33は、枠体57に対して例えば取り付けビスにより取付けることができる。その他の手段で取り付けることも可能である。
【0030】
一方、この試料群33は、2次元面内、すなわちX軸方向とこれに直交するY軸方向に駆動手段を介して移動可能となるように構成される。すなわち、試料群33は、X軸方向に駆動するリニアスライダ(例えばサーボモータを駆動源とする)61と、Y軸方向に駆動するリニアスライダ(例えばサーボモータを駆動源とする)62に取付けられる。すなわち、試料群33の一側部がY軸方向に駆動するリニアスライダ62の可動体に固定され、このリニアスライダ62がX軸方向に駆動するリニアスライダ61の可動部に固定される。試料群33は、このリニアスライダ62によりY軸方向に1試料毎に移動され、リニアスライダ61によりX軸方向に1試料毎に移動される。
【0031】
プロトンビーム入射筒39の試料52に近接するビーム取出し口となる先端部は、試料面に対向するように45°の傾斜面を有して形成される。プロトンビーム入射筒39は、これと一体のフランジ部を介して気密容器32に気密的に取付けられる。図6の拡大図に示すように、プロトンビーム入射筒39の先端部分には例えばポリエステル膜などによる薄い膜68が設けられ、この膜68にてプロトンビーム入射筒39内の高真空が保たれる。すなわち、プロトンビーム34は、試料に当たる直前まで高真空で導入し、膜68を介して大気圧のヘリウムガス中に取り出される。プロトンビーム入射筒39は、加速器に対して着脱可能とされることが好ましい。
【0032】
検出器35は、pn接合を有するX線測定用半導体素子で形成され、必要に応じて液体窒素容器等の冷却装置を有して構成される。この検出器35は、これと一体のフランジ部を介して気密容器32に気密的に取付けられる。
【0033】
この検出器35と試料52との間に回転円盤36が配置される。回転円盤36は、図7A,Bに示すように、円周上に等角間隔を置いて複数の円形の開口64が設けられ、各開口64にX線エネルギーを吸収する吸収膜65が張られて構成される。この吸収膜65は、プロトンビームの照射で試料52から放射される特性X線および制動X線のうち、エネルギーの低いX線を吸収し、エネルギーの高いX線は透過する膜である。吸収膜65は例えばポリカーボネート膜で形成することができる。但し、エネルギー低いX線を所要量だけ検出器35で検知させる必要があるので、吸収膜65の中央に小さい透孔65aが設けられている。この回転円盤36は、手動で回転するように成されるが、自動的に回転するように構成することもできる。回転円盤36上に張られた複数の吸収膜65は、それぞれ膜厚又は/及び、中央の小さな透孔65aの径を異ならした膜で形成される。測定に先立ち、この複数の吸収膜65から最も精度よく測定できる吸収膜65が選択される。測定ではこの選択された吸収膜65を測定位置に固定して用いるようになされる。
【0034】
ここで、プロトンビーム入射筒39は、その先端が試料群33の測定しようとする試料52に対して近接して配置される。また、検出器35は、その検出素子である半導体素子の検出面が試料群33の測定しようとする試料52に対して近接して配置される。因みに、測定しようとする試料と検出器35の検出面との距離D(図1参照)は、30mm〜20mm程度とすることができる。因みに、真空中での測定で遮蔽物を設けた場合には、試料と検出器の検出面との距離は50mm〜80mm程度となる。
【0035】
また、気密容器32の筒状開口48内には、例えば銅などの金属製のファラデーカップ38が挿入配置される。このファラデーカップ38は、試料ホルダー55の透孔53を突き抜けてきたプロトンビームを止めるためのもので、例えば一方の口を開けた円筒形箱で構成される。気密容器32内にはヘリウムガスが導入されているので、試料ホルダー55の透孔53を突き抜けたプロトンビームはヘリウムガスで止まると考えられるが、より安全のためにファラデーカップ38が配置される。
【0036】
気密容器32内への電気配線は、ヘリウムガスの漏洩を防ぐために、気密容器32の側壁に設けた開口49を塞ぐようにアクリル板40が気密的に取り付けられる。このアクリル板40には所要の径の導体棒60、例えば直径4mmの銅棒が貫通封止される(図1参照)。この導体棒60である銅棒は気密容器32内の電気配線に接続される。一方、気密容器32外では、外部に臨む導体棒60である銅棒に対して4mmのギボシ端子(メス)を介して配線を接続するようになす。
【0037】
加速器を含めた微量元素測定装置31は測定室に設置される。微量元素測定装置31の駆動制御は、測定室と離れた別室の制御室において、例えばパーソナルコンピュータ(以下、パソコンという)を介して行われる。測定室に配置されている試料群駆動手段のコントローラ、すなわち試料群33の各試料を測定の順番に移動させるリニアスライダの駆動源である例えばサーボモータをコントロールするモータコントローラと、制御室のパソコンとの間はLANケーブルで接続される。また、微量元素測定装置31における検出器35は、増幅器を介して制御室の上記パソコンに同軸ケーブルで接続される。
【0038】
次に、本実施の形態に係る微量元素測定装置31を用いて被測定試料に含まれる微量元素を測定する方法を説明する。
【0039】
気密容器32内に標準試料及び被測定試料など複数の試料を配置した試料群33を上面の筒状開口より挿入配置する。このとき、試料群33は、その試料面がプロトンビーム34のビーム軸に対して45°程度、好ましくは45°となるように配置される。プロトンビーム入射筒39と検出器35とは、90°程度、好ましくは90°をなす関係で配置される。
【0040】
試料群33を配置した後、筒状開口43を蓋体44により気密的に蓋する。気密容器32内に試料群33、試料群33を2次元面内で移動させるリニアスライダ61、62、プロトンビーム入射筒39、検出器35、吸収膜65を配列した回転円盤36などが配置された状態で気密容器32内にヘリウム(He)ガスを導入する。
【0041】
ヘリウムガスの導入、あるいは交換は、気密容器32上部の筒状開口91からヘリウムガスを供給し、徐々に気密容器32下部の筒状開口92からオイルバブラーを介して外部に排気させながら行われる。これら筒状開口91,92は、例えばシリコーンゴムのパイプ93などに接続され、このパイプ93を通じてヘリウムガスの導入、排出がなされる。オイルバブラーを通すことにより、空気の逆流を防ぐとともに、甚だし漏れがないかを確認できる。測定中は、気密容器32の上部の筒状開口43が蓋体44で気密的に蓋され、導入されたヘリウムガスがオイルバブラーを介して少しずつ排出される。つまり、ヘリウムガスを流しながら測定することになる。
【0042】
制御室において、測定の開始、終了、データの保存などと合わせて試料群33の移動がパソコンにより全自動で制御される。試料群33における試料52に対して、測定の順番は制御プログラムで任意に設定することができる。例えば、図8に示すように、パソコン画面に表示された10×10=100個の試料配列表101(図8A参照)で、測定順番を「2E」「2F」「4G」・・と順次クリックすると、パソコン画面に表示されている順番表102(図8B参照)に1番目から順に「2E」「2F」「4G」・・と表示される。
【0043】
制御プログラムは、プロトンビームが照射される試料52の照射位置調整、測定中の照射位置の微調整も可能にしている。また制御プログラムは、X線スペクトル測定用のプログラムをコントロールして、決められたプロトンビーム量、決められたエネルギー領域のX線カウント値あるいは照射時間で、データを蓄積、保存して測定する試料を移動交代するようになされる。
【0044】
試料52の照射位置調整を行い、試料52の測定順番を設定した後、測定を開始する。加速器(図示せず)で加速されたプロトンビーム34が、プロトンビーム入射筒39から試料群33の最初の試料52に照射される。プロトンビーム34により試料52から放射された特性X線は回転円盤36の吸収膜65を通して検出器35で検知される。試料ホルダー55の透孔53及び試料52を突き抜けたプロトンビームは背後に配置されたファラデーカップ38により確実に止められ、外部に漏れない。一方、試料52にプロトンビームが当たり放出された電子は、気密容器32内に充満しているヘリウムガスにより阻止されて検出器35まで飛来されないので、検出器35において制動放射線の発生がなく、精度よく特性X線の検知ができる。
【0045】
初めに、試料群33に設けた各元素の標準試料52a(例えば20個分の標準試料)について、プロトンビームを照射して標準となる各元素データを得て置く。
【0046】
そして、1番目の被測定試料52bを上記のようにして測定する。この検出されたX線の信号は同軸ケーブルを通じてパソコンに送られ、波高分析されて特性X線スペクトルが得られる。このスペクトルを予め同一条件のプロトンビームで測定された各元素の標準試料52aのスペクトルと比較、さらに、標準試料52aの元素濃度を基準として被測定試料52bに含まれる微量元素の濃度が測定される。
【0047】
次に、1番目の被測定試料の測定が終了した後、制御プログラムに基づき、リニアスライダ61、62が駆動し、試料群33をX方向及びY方向に移動させて2番目の被測定試料52bがプロトンビーム照射位置に持ち来す。この2番目の被測定試料52bを同様に測定する。以後、同様にして順次全ての被測定試料52bを測定する。
【0048】
上述の本実施の形態によれば、気密容器32内に測定すべき試料52を多数、例えば100個まで設置することが可能になるため、標準試料52a及び被測定試料52bを同一条件下でプロトンビーム照射による測定ができ、精度よくPIXEによる微量元素測定を行うことができる。
【0049】
また、試料52を多数の例えば100個まで設置可能なため、1日の測定中、試料52の出し入れが不要になる。これにより試料交換時間が無い分、検出時間の短縮が図れる。一方、気密容器32内にはヘリウムガスが導入されているので、測定時に試料52から特性X線と共に電子が放射されても、電子はヘリウムガスで検出器35側への飛来が阻止される。このため、従来の遮蔽物の配置が不要になり、試料52に対して検出器35をより近接して配置することが可能になる。検出器35が試料52に近接して配置されることにより、検出器35で受ける特性X線の量が多くなり、その分、測定時間が短縮される。したがって、全体として測定の時間短縮が図れる。因みに、本実施の形態では、1つの試料の測定時間は5分程度である。従来の真空中で測定する場合は、1つの試料で15分程度かかり、かつ1回に10個しか測定できないので、多数の測定では試料の交換時間を入れると、1日の処理試料は大幅に減る。
【0050】
検出器35を試料52に近接して配置できるため、特性X線を多量に検知できる。その分プロトンビーム量を減らすことが可能になるので、プロトンビーム照射による熱の発生を抑制することができ、熱による試料52の変質、例えば試料52が毛髪の場合、毛髪の変質を回避することができる。
【0051】
気密容器32内にヘリウムガスを導入したことにより、試料52を2次元状に配列した試料群33をX方向及びY方向に移動させるリニアスライダ61、62(例えばサーボモータを駆動源とする)を気密容器32内に配置することが可能となる。つまり、真空中にモータを配置した場合には、温度上昇でモータが破損してしまう。これに対して、ヘリウムガス中にモータを配置した場合、モータが発熱してもヘリウムガスの対流で熱が逃げ、モータを破損することがない。
【0052】
パソコンで制御するため、測定の開始、終了、データの集積、保存などと併せて試料52の可動が全自動で行うことが可能になる。リニアスライダ61、62として、例えばパルス制御で駆動するサーボモータを用いるときは、試料52の位置決めが正確になる。制御プログラムは、測定中の試料位置の微調整も可能にしている。したがって、さらなる高精度の測定ができる。
【0053】
制御に用いるパソコンと試料群33の駆動手段、例えばリニアスライダ61、62のモータコントローラとの間は、LANケーブルで接続するので、わざわざ専用の制御ケーブルを敷設する必要がない。特に、測定室と制御室とは離れているので、専用のケーブルを敷設することが困難である。LANケーブルを用いることにより、設備の簡便化が図れる。
【0054】
制御プログラムにより、既存の特性X線スペクトル測定用のプログラムをコントロールして、決められたプロトンビーム量、決められたエネルギー領域のX線カウント値あるいは時間で、データを集積、保存して、次の試料52に移行させることができる。試料52の測定順序は任意に行え、試料位置の上下左右の微調整が予め行え、あるいは測定中でも行えるので、測定作業の高能率化を図ることができる。
【0055】
本発明の微量元素測定方法で測定される試料としては、毛髪以外に土壌、海底堆積物等の環境物質にも適用できる。土壌、海底堆積物に含まれる微量元素の測定には、例えば、薬品で溶解した試料をシートに含浸乾燥させたものや、微粉末に粉砕しプレスした板状試料を試料ホルダー55に取り付けて行うことが可能である。
【0056】
次に、被測定試料として毛髪を用いた場合の毛髪試料作成方法と共に、作成に用いる毛髪試料作成治具の実施の形態を説明する。
【0057】
図9〜図13に、本発明に係る毛髪試料作成治具の実施の形態を示す。本実施の形態に係る毛髪試料治具71は、図10及び図11に示すように、中央に設けた一方向に伸びる溝72を挟んで、両側の上面を長尺の板状体54からなる試料ホルダー55の載置面74〔74A,74B〕とした受け台73を有する。この受け台73の両載置面74A,74Bの縁辺上に試料ホルダー55の幅方向を規制する突出部75〔75A,75B〕が受け台73と一体に形成される。突出部75〔75A,75B〕には、上面から所定の深さを有する細溝76が形成される。すなわち、突出部75A,75Bにおいて、試料ホルダー55の毛髪(試料52)が配置される各透孔53に対応する位置に、各複数、本例では4つの平行する細溝76が形成される。この細溝76は試料ホルダー55に毛髪試料52を配置する際の毛髪試料52が入り込む溝である。
【0058】
また、図10及び図11に示すように、突出部75A,75Bの外側壁に、各複数の細溝76に対応して複数、本例では3本のフック部77が設けられる。さらに受け台73の載置面74A,74Bの一端側に試料ホルダー55の端部に設けられた取付け用のビス孔78(図9参照)が緩く挿入される位置決めピン79が植立されている。両突出部75A及び75B間の間隔d1は、試料ホルダー55の板状体54の幅d2より僅かに広く設定される。
【0059】
ここで、図11に示すように、受け台73の載置面74A,74B上に試料ホルダー55を載置した状態では、突出部75A,75Bに形成した細溝76の底面の高さh1は、試料ホルダー55の上面の高さh2より低く設定される。また、突出部75A,75Bと試料ホルダー55との間に少許の間隔、すなわち、カッターナイフ85が挿入され得る間隔t1の隙間84が形成される。この間隔t1は、試料ホルダー55を片側に寄せたときに形成され、また逆の片側に寄せたときに形成されるようにしてもよい。
【0060】
なお、必要に応じて受け台73の側面は、両面接着テープあるいは片面接着テープが貼着され易くかつ剥離され易い材料で形成することができる。扱い難い毛髪の取り回しには、両手が必要となる。上記構成とすることにより、毛髪の端を受け台73の側面に接着テープを介して仮止めしておくことにより、作業がしやすくなる。扱いにくさの程度の低いものについては、接着テープの代わりに磁石で固定することもできる。この場合は、受け台73の側面は磁石の付きやすい材料で形成する。
また、受け台73の載置面上に試料ホルダー55を配置した際、試料ホルダー55がぐらつき、作業に支障をきたすときには、載置面74A,74Bに対して、接着テープで試料ホルダー55を軽く固定するようにしても良い。この場合、載置面74A,74Bは、接着テープの貼着・剥離可能な材料で形成する。
【0061】
この毛髪試料作成治具71を用いて、毛髪試料、すなわち毛髪を架張した試料ホルダー55を作成する方法を説明する。まず、図12Aに示すように、例えばアクリル板からなる試料ホルダー55をその一端側のビス孔78を受け台73の位置決めピン79に挿入するように、両載置面74A,74Bに載置する。
【0062】
次に、図12Bに示すように、試料ホルダー55の透孔53を挟む両側に一列に両面接着テープ81を貼着する。そして、両面接着テープ81上を含んで試料ホルダー55上に透孔53を差し渡って試料52となる毛髪を架張する。このとき、試料52の毛髪は、受け台73の両突出部75A,75Bに設けた細溝76に沿わせ、且つフック部77に絡げるようにして往復して架張される。試料52の毛髪は、各透孔53上に4本平行に架張される。
【0063】
次いで、図12Cに示すように、架張後に、試料52の毛髪上に片面接着テープ82を貼着して、試料52の毛髪を両面接着テープ81及び片面接着テープ82で挟持的に固定する。
【0064】
次に、図13Dに示すように、試料ホルダー55と突出部75との間に形成される隙間84にカッターナイフ85を挿入して試料52の毛髪を切断する。毛髪切断後、受け台73から試料ホルダー55を取り外す。
【0065】
これによって、図13Eに示すように、各透孔53上を差し渡すように複数本の試料52となる毛髪が架張された毛髪試料、いわゆる目的の試料ホルダー55が作成される。
【0066】
通常、試料ホルダーにおいて、1つの試料として同じ毛髪を所要間隔を置いて複数本、架張して取り付けることは困難であった。
【0067】
本実施の形態に係る毛髪試料作成治具71を用いることにより、試料ホルダー55に対して試料52となる毛髪を簡単かつ精度よく取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係る微量元素測定装置の一実施の形態を示す要部の概略構成図である。
【図2】本実施の形態に係る微量元素測定装置の気密容器の概略を示す正面側から見た斜視図である。
【図3】本実施の形態に係る微量元素測定装置の気密容器の概略を示す背面側から見た斜視図である。
【図4】試料を配置した試料ホルダーの一例を示す斜視図である。
【図5】本実施の形態に係る試料群を示す斜視図である。
【図6】本実施の形態に係るプロトンビーム入射筒の先端部分の断面図である。
【図7】本実施の形態に係る吸収膜を有する回転円盤を示す斜視図である。
【図8】A,B 本実施の形態に係るパソコン画面に表示された試料配列表及び順番表である。
【図9】本発明に係る毛髪試料作成治具の実施の形態を示す斜視図である。
【図10】本実施の形態に係る毛髪試料作成治具の要部の拡大図である。
【図11】図9のA−A断面図である。
【図12】A〜C 本発明に係る毛髪試料作成方法の実施の形態を示す作成工程図(その1)である。
【図13】D〜E 本発明に係る毛髪試料作成方法の実施の形態を示す作成工程図(その2)である。
【図14】PIXEによる微量元素測定方法の原理を説明する説明図である。
【図15】従来の微量元素測装置の例を示す概略構成図である。
【図16】従来の試料を配置した試料ホルダーの例を示す構成図である。
【符号の説明】
【0069】
31・・微量元素測定装置、32・・気密容器、33・・試料群、34・・プロトンビーム、35・・検出器、36・・回転円盤、37・・回転軸、38・・ファラデーカップ、68・・膜、39・・プロトンビーム入射筒、52・・試料、52a・・標準試料、52b・・被測定試料、53・・透孔、54・・板状体、55・・試料ホルダー、57・枠体、61、62・・リニアスライダ、71・・毛髪試料作成治具、72・・溝、73・・受け台、74〔74A,74B〕・・載置面、75〔75A,75B〕・・突出部、76・・細溝、77・・フック部、84・・隙間、85・・カッターナイフ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘリウムガスが導入された気密容器内に、被測定試料と標準試料を含む複数の試料を2次元に配列した試料群を2次元面内で移動可能に配置し、
前記試料を順次測定位置に移動させて同一条件の荷電粒子を照射し、前記試料から放射される特性X線を検知し、
前記標準試料の元素濃度と比較して前記被測定試料に含まれる微量元素の濃度を測定する
ことを特徴とする微量元素測定方法。
【請求項2】
前記荷電粒子を前記試料に対して45°程度の角度で照射し、
前記荷電粒子の照射方向と90°程度の角度をなす方向に配置した検出器により、前記試料からの特性X線を検知する
ことを特徴とする請求項1記載の微量元素測定方法。
【請求項3】
前記試料群の各試料の測定順序の制御を、前記試料群を移動させる駆動手段のコントローラとLANケーブルを介して接続したパーソナルコンピュータで行う
ことを特徴とする請求項1記載の微量元素測定方法。
【請求項4】
ヘリウムガスが導入された気密容器と、
前記気密容器内に配置された試料群、荷電粒子の照射部及び試料から放射される特性X線を検知する検出器とを備え、
前記試料群は、被測定試料と標準試料を含む複数の試料が2次元に配列され、2次元面内で移動可能に配置されている
ことを特徴とする微量元素測定装置。
【請求項5】
前記試料群は前記試料の面が前記荷電粒子の照射方向に対して45°程度に傾斜するように配置され、
前記検出器は前記試料の面に対向し、かつ前記荷電粒子の照射方向に対して直角方向に配置されている
ことを特徴とする請求項4記載の微量元素測定装置。
【請求項6】
前記試料群を2次元面内で可動させる駆動手段が前記気密容器内に配置されている
ことを特徴とする請求項4記載の微量元素測定装置。
【請求項7】
前記駆動手段のコントローラと、前記試料群の各試料の測定順序を制御するパーソナルコンピュータとが備えられ、
前記コントローラと前記パーソナルコンピュータとの間がLANケーブルで接続されている
ことを特徴とする請求項6記載の微量元素測定装置。
【請求項8】
前記試料群は、一方向に複数の試料を配列した試料ホルダーを複数個前記一方向と直交する方向に配列して構成されている
ことを特徴とする請求項4記載の微量元素測定装置。
【請求項9】
試料ホルダーに毛髪試料を取り付ける毛髪試料作成治具であって、
中央の一方向に延びる溝を挟んで両側に長尺の板状の試料ホルダーを載置する載置面を有した受け台と、
前記受け台の前記両載置面の縁辺上に一体に形成され、前記試料ホルダーの載置位置を規制する突出部と、
前記受け台の溝を挟む両外側面に設けられ、毛髪試料を引っかけるフック部とを備え、
前記突出部には、前記試料ホルダーの毛髪試料を配置する各透孔に対応して、複数の毛髪が入り込む複数の細溝が設けられ、
前記フックは、前記複数の細溝に対応して複数設けられている
ことを特徴とする毛髪試料作成治具。
【請求項10】
前記突出部と載置された試料ホルダーとの間には、毛髪をカットするカッターナイフが挿入し得る隙間が形成され、
前記細溝の底面が前記試料ホルダーの毛髪試料が配置される表面より下方に位置している
ことを特徴とする請求項9記載の毛髪試料作成治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−249627(P2008−249627A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−93942(P2007−93942)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(504205521)国立大学法人 長崎大学 (226)
【出願人】(504136568)国立大学法人広島大学 (924)
【Fターム(参考)】