説明

心血管性、代謝性および炎症性疾患領域に関する疾患の処置のための多価不飽和脂肪酸

本開示は、一般式(I):R1−O−C(R2)(R3)−X(I)(式中、RはC10〜C22アルキル基、1〜6個の二重結合を有するC10〜C22アルケニル基または1〜6個の三重結合を有するC10〜C22アルキニル基であり、RおよびRは同一または異なっており、異なる置換基から選択され得、Xはカルボン酸またはその誘導体(カルボン酸エステル、カルボン酸無水物、リン脂質、トリグリセリドもしくはカルボキサミドなど)である)の脂質化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、かかる塩の溶媒和物もしくはプロドラッグに関する。また、本開示は、少なくとも1種の本開示の化合物を含む医薬組成物および脂質組成物、ならびに薬物として使用するための、あるいは治療(特に心血管性、代謝性および炎症性疾患領域に関する疾患の処置のための治療)において使用するためのかかる化合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、2009年5月8日に出願された米国仮特許出願第61/176,503号(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)の優先権の利益を主張する。
【0002】
技術分野
本開示は、一般式(I):
【化1】

(式中、
・Rは、C10〜C22アルキル基、1〜6個の二重結合を有するC10〜C22アルケニル基または1〜6個の三重結合を有するC10〜C22アルキニル基であり、
・RおよびRは、同一または異なっており、水素原子、ヒドロキシ基、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アミノ基およびアルキルアミノ基から選択され得、但しRおよびRは両方が水素原子になり得ず、または、
・RおよびRは、一緒にシクロアルキル基(シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタンもしくはシクロヘキサンなど)を形成し、
・Xは、カルボン酸またはその誘導体(カルボン酸エステル、カルボン酸無水物、カルボキサミド、リン脂質、モノグリセリド、ジグリセリドもしくはトリグリセリドなど)である)
の脂質化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、かかる塩の溶媒和物またはプロドラッグに関する。
【0003】
およびRが異なる実施形態においては、式(I)の化合物は、立体異性形態で存在し得る。本発明が、式(I)の化合物の全ての光学異性体およびその混合物を包含することが理解される。
【0004】
また本開示は、少なくとも1種の式(I)の化合物を含む医薬組成物および脂質組成物に関する。さらに本開示は、薬物として使用するための、あるいは治療(心血管性、代謝性および炎症性疾患領域に関する疾患の処置のための治療など)において使用するための、式(I)の化合物を含む。
【背景技術】
【0005】
背景
食物性多価不飽和脂肪酸(PUFA)は、正常な健康および慢性疾患に影響を及ぼす様々な生理学的プロセス(血漿脂質レベルの制御、心血管機能および免疫機能、インスリン作用、神経発達ならびに視覚機能など)に対して効果を有する。
【0006】
in vivoでの安定性が限定されていることおよび生物学的特異性の欠如していることにより、PUFAは、治療剤として広く使用されるには至っていない。その効果を変化または増強させるために、幾つかの研究グループが、n−3多価不飽和脂肪酸の化学的修飾を行ってきた。
【0007】
例えば、(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサエン酸(DHA)の脂質低下作用は、(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−エチルドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサエノエート(DHA EE)のα位に置換基を導入することによって増強された(WO2006/117664)。肥満した高脂肪食給餌マウスをα−置換DHA誘導体で処置すると、肥満および耐糖能障害が防がれ、回復したことも報告されている(Rossmeisl,M.ら,Obesity(Silver Spring)2009 Jan 15)。
【0008】
幾つかの研究グループが、β位に酸素を組み込んだ不飽和脂肪酸を調製している(Flock,S.ら,Acta Chemica Scandinavica,(1999)53:436およびPitt,MJら,Synthesis,(1997)1240−42)。
【0009】
β位の酸素原子にα−置換基を組み合わせた、一般式(I)で表される脂肪酸誘導体の新たな一群も開発されている。これらの新規脂肪酸は、脂質異常症マウスモデルの脂質レベルを、天然に存在する多価不飽和脂肪酸よりも大幅に減少させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本開示の1つの目的は、天然に存在する多価不飽和脂肪酸と比較して改善された生物学的活性を有する脂質化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、式(I)
【化2】

の脂質化合物により達成し得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本開示の一実施形態およびOmacor(商標)の投与後のAPOE3Leidenマウスのコレステールおよびトリグリセリドレベルを示す図である。
【図2】本開示の一実施形態およびフェノフィブラートの投与後のAPOE3Leiden.CETPマウスのコレステールおよびトリグリセリドレベルを示す図である。
【図3】本開示の一実施形態およびフェノフィブラートの投与後のAPOE3Leiden.CETPマウスのHDLレベルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
例えば、本開示は、式(I)
(式中:
・Rは、C10〜C22アルキル基、1〜6個の二重結合を有するC10〜C22アルケニル基または1〜6個の三重結合を有するC10〜C22アルキニル基、
・RおよびRは、同一または異なっており、水素原子、ヒドロキシ基、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アミノ基およびアルキルアミノ基から選択され得、但しRおよびRは両方が水素原子にはなり得ず、または、
・RおよびRは、一緒にシクロアルキル基(シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタンもしくはシクロヘキサンなど)を形成することができ、
・Xは、カルボン酸またはその誘導体(カルボン酸エステル、カルボン酸無水物、カルボキサミド、リン脂質もしくはトリグリセリドなど)である)
の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、かかる塩の溶媒和物またはプロドラッグに関する。
【0014】
少なくとも1つの実施形態において、アルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチルおよびn−ヘキシルから選択され得る。アルケニル基は、アリル、2−ブテニルおよび3−ヘキセニルから選択され得る。アルキニル基は、プロパルギル、2−ブチニルおよび3−ヘキシニルから選択され得る。ハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選択され得る。アルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、sec−ブトキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、OCHCFおよびOCHCHOCHから選択され得る。アシルオキシ基は、アセトキシ、プロピオノキシおよびブチロキシから選択され得る。アリール基は、フェニル基である。アルキルチオ基は、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオおよびフェニルチオから選択され得る。アルコキシカルボニル基は、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニルおよびブトキシカルボニルから選択され得る。アルキルスルフィニル基は、メタンスルフィニル、エタンスルフィニルおよびイソプロパンスルフィニルから選択され得る。アルキルスルホニル基は、メタンスルホニル、エタンスルホニルおよびイソプロパンスルホニルから選択され得る。アルキルアミノ基は、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノおよびジエチルアミノから選択され得る。カルボキシレート基は、エチルカルボキシレート、メチルカルボキシレート、n−プロピルカルボキシレート、イソプロピルカルボキシレート、n−ブチルカルボキシレート、sec−ブチルカルボキシレートおよびn−ヘキシルカルボキシレートから選択され得る。カルボキサミド基は、カルボキサミド類(N−メチルカルボキサミド、N,N−ジメチルカルボキサミド、N−エチルカルボキサミドおよびN,N−ジエチルカルボキサミドなど)から選択され得る。
【0015】
本発明の少なくとも1つの実施形態において、式(I)の化合物の置換基RおよびRの一方は、水素であり、他方は、ヒドロキシ基、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アミノ基およびアルキルアミノ基から選択される。
【0016】
本発明の別の実施形態において、式(I)の化合物の置換基RおよびRは、同一または異なっており、ヒドロキシ基、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アミノ基から選択され得る。例えば、RおよびRは、メチル、エチル、n−プロピルまたはイソプロピルから選択され得る。
【0017】
多価不飽和脂肪酸から誘導または調製される場合、Rは、典型的には、3〜6個の二重結合を有するC10〜C22アルケニル基、例えば、3〜6個のメチレン中断型Z配置二重結合を有するC10〜C22アルケニル基である。例えば、Rは、
・4個のメチレン中断型Z配置二重結合を有するC15アルケニル、
・3〜5個の二重結合を有するC18アルケニル、例えば、5個のメチレン中断型Z配置二重結合を有するC18アルケニル、
・5個のメチレン中断型Z配置二重結合を有するC2Oアルケニル、または
・6個のメチレン中断型Z配置二重結合を有するC22アルケニル
から選択され得る。
【0018】
さらに、Rは、C10〜C22アルキニル基、例えば、1〜6個の三重結合を有するC16〜C22アルキニルであり得る。
【0019】
また本開示は、式(I)の化合物の塩に関する。かかる塩は、
【化3】

(式中、Xは、COOであり、Zは、NH、金属イオン(Li、NaまたはKなど)、プロトン化第1級アミン(tert−ブチルアンモニウム、(3s,5s,7s)−アダマンタン−1−アンモニウム、1,3−ジヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−2−アンモニウムなど)またはプロトン化アミノピリジン(例えば、ピリジン−2−アンモニウム)、プロトン化第2級アミン(ジエチルアンモニウム、2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシ−N−メチルヘキサン−1−アンモニウム、N−エチルナフタレン−1−アンモニウムなど)、プロトン化第3級アミン(4−メチルモルフォリン−4−イウムなど)、プロトン化グアニジン(アミノ((4−アミノ−4−カルボキシブチル)アミノ)メタンイミニウムなど)またはプロトン化ヘテロ環(1H−イミダゾール−3−イウムなど)であり得る)によって表され得るか、または、
【化4】

(式中、X=COO、およびZ2+は、Mg2+もしくはCa2+またはジプロトン化ジアミン(エタン−1,2−ジアンモニウムまたはピペラジン−1,4−ジイウムなどであり得る)で表され得る。
【0020】
別の代表的な塩は、
【化5】

(式中、Xは、COOであり、Zn+は、プロトン化キトサン
【化6】

である)
である。
【0021】
さらに、本開示は、式(I)の化合物であって、Xがリン脂質の形態のカルボン酸である化合物に関する。かかる化合物は、以下の式(II−IV)
【化7】

(式中、Wは、
【化8】

である)
および
【化9】

(式中、Wは、
【化10】

である)
および
【化11】

(式中、Wは、
【化12】

である)
によって表され得る。
【0022】
式(I)の化合物であって、Xがトリグリセリド、1,2−ジグリセリド、1,3ジグリセリド、1−モノグリセリドおよび2−モノグリセリドの形態のカルボン酸である化合物も、本開示に含まれる。これらは、以後、式(V)、(VI)、(VII)、(VIII)および(IX)によって、それぞれ表される。
【化13】

【0023】
式(I)の化合物は、立体異性形態で存在し得る。本発明が、式(I)の化合物の全ての光学異性体およびその混合物を包含することが理解される。したがって、ジアステレオマー、ラセミ体およびエナンチオマーとして存在する式(I)の化合物も、本開示の範囲内に含まれる。
【0024】
また本開示は、薬物として使用するための、少なくとも1種の式(I)の脂質化合物に関する。
【0025】
さらなる実施形態において、本開示は、式(I)の脂質化合物を含むサプリメント食品、食品添加物または栄養補給調製物を提供する。
【0026】
かかるサプリメント食品は、任意の投与経路を通じた投与のために製造し得る。例えば、サプリメント食品は、液体栄養物または飲料として投与され得る。
【0027】
サプリメント食品は、カプセル剤の形態、例えば、ゼラチンカプセル剤の形態であってもよく、カプセル剤は風味付けされてもよい。
【0028】
さらなる実施形態において、本開示は、少なくとも1種の式(I)の化合物を、1または複数の薬学的に許容される担体または賦形剤と共に含んでいてもよい医薬組成物を提供する。
【0029】
本開示の新規脂質化合物および組成物は、慣用の賦形剤(例えば、溶媒、希釈剤、結合剤、甘味料、芳香剤、pH調節剤、粘度調節剤、酸化防止剤、コーンスターチ、ラクトース、グルコース、微結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、クエン酸、酒石酸、水、エタノール、グリセロール、ソルビトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、セチルステアリルアルコール、カルボキシメチルセルロースまたは脂肪物質(硬質脂肪またはその適切な混合物など))を使用して、慣用の経口投与形態(例えば、錠剤、被覆錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、溶液、分散液、懸濁液、シロップ、エマルジョンおよびスプレーの形態)に製剤化することができる。当該分野で周知の慣用の製剤化技術を、本開示の脂質化合物の製剤化のために使用してよい。
【0030】
組成物は、慣用の投与経路、例えば、経口で投与され得る。経口投与可能な組成物、例えば、錠剤、被覆錠剤、カプセル剤またはシロップの使用は、本開示の範囲内に含まれる。例えば、幾つかの実施形態において、組成物は、ゼラチンカプセル剤、錠剤またはサシェ剤の形態であり得る。
【0031】
少なくとも1種の式(I)の化合物の適切な1日投与量は、約1mg〜約3gの範囲であり得る。例えば、幾つかの実施形態において、1日用量は、約1mg〜約10g、約50mg〜約1g、約10mg〜約2g、約50mg〜約500mg、約50mg〜約200mg、約100mg〜約1g、約100mg〜約500mgまたは約100mg〜約250mgの範囲である。
【0032】
本開示の医薬組成物は、薬物として使用することもできる。
【0033】
また本開示は、少なくとも1種の式(I)の脂質化合物を含む脂質組成物に関する。適切には、脂質組成物は、少なくとも60重量%、または少なくとも80重量%の、少なくとも1種の式(I)の化合物を含み得る。
【0034】
脂質組成物は、さらに、薬学的に許容される酸化防止剤、例えば、トコフェロールまたは3−BHAを含み得る。
【0035】
さらに本開示は、薬物として使用するための脂質組成物に関する。
【0036】
加えて、本開示は、以下で使用するための式(I)の脂質化合物の使用に関する:
・ヒトペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)アイソフォームα、γまたはδの少なくとも1種の活性化または調節、ここで、前記化合物は、例えば、パンアゴニストまたは調節剤となる
・炎症状態の予防または処置
・関節リウマチの予防または処置
・炎症性腸疾患の予防または処置
・メタボリック症候群の予防または処置
・脂質異常状態、例えば、高トリグリセリド血症(HTG)の予防および/または処置
・上昇したトリグリセリドレベル、LDLコレステロールレベルおよび/またはVLDLコレステロールレベルの予防および/または処置
・肥満または体重過多状態の処置および/または予防
・体重の減少および/または体重増加の予防
・脂肪肝疾患、例えば、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の処置および/または予防
・炎症疾患または状態の処置および/または予防
・アテローム性動脈硬化症の処置および/または予防
・末梢インスリン抵抗性および/または糖尿病状態の処置および/または予防
・2型糖尿病の処置および/または予防、または
・血漿インスリン、血中グルコースおよび/または血清トリグリセリドの減少。
【0037】
また、本開示は、上記状態の処置のための式(I)の脂質化合物、ならびに薬学的有効量の式(I)の化合物を、それを必要とする哺乳類に投与することを含む、上記に列挙した状態の処置および/または予防のための方法に関する。
【0038】
さらに、本開示は、式(I)の脂質化合物を製造するための方法を包含する。原材料は、例えば、植物、微生物および/または動物源(海洋魚油(marine fish oil)など)に由来し得る。少なくとも1つの実施形態においては、海洋油(marine oil)またはオキアミ油が使用される。
【0039】
詳細な説明
本発明者は、式(I)の化合物が、著しく良好な薬学的活性を有することを見出した。
【0040】
本明細書で使用する場合、用語「脂質化合物」は、例えば、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸および1〜6個の三重結合を含む脂質に由来する脂肪酸類似体に関する。由来するとは、脂肪酸(飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸および1〜6個の三重結合を含む脂質など)からの式(I)の化合物の調製を含む。かかる脂肪酸は天然に存在するものであってもよく、合成されたものでもよい。
【0041】
「薬学的有効量」は、所望の薬理学的効果および/または治療効果をもたらす量、即ち、開示された生成物(product)がその意図する目的を達成するために有効な量に関する。個々の患者の必要量は異なり得るが、開示された生成物の有効量について好適な範囲を決定することは、当分野の技術の範囲内である。一般に、本発明の開示された生成物を用いて状態を処置するための投薬レジメンは、患者の型、年齢、体重、性別、食事および医学的状態を含む種々の要因に応じて選択される。
【0042】
「医薬組成物」とは、本開示の脂質化合物が、医学目的で使用するために適した任意の形態にあることを意味する。
【0043】
「処置」には、ヒトまたは非ヒト哺乳類に有益となり得る、あらゆる治療適用が含まれる。ヒトおよび獣医学的処置の両方が本開示の範囲内である。処置は、現存する状態に関するものであってもよく、防御的、例えば、予防的なものであってもよい。
【0044】
脂肪酸は、一方の末端(α)にカルボキシル(COOH)基を有する直鎖の炭化水素であって、(通常は)他方(ω)末端にメチル基を有する。化学では、炭素原子のナンバリングは、α末端から開始する。
【化14】

【0045】
α炭素とは、官能基に付く炭素から第1番目の炭素を指し、第2番目の炭素がβ炭素である。
本明細書で使用する場合、表現「メチレン中断型二重結合」は、メチレン基(−CH−)が脂質化合物の炭素鎖における2つの二重結合の間に存在している場合に関する。
【0046】
より詳細には、本発明者は、驚くべきことに、以下の脂質化合物カテゴリーA〜Dが特に好ましいことを見出した。
【0047】
カテゴリーA
・飽和脂肪酸由来
・RはC10〜C22アルキル
例i:
=C14
【化15】

【0048】
カテゴリーB
・一価不飽和脂肪酸由来
・Rは1個の二重結合を有するC10〜C22アルケニル
例ii:
=C18
【化16】

例iii:
=C14
【化17】

【0049】
カテゴリーC:
・多価不飽和脂肪酸由来
・Rは5個の二重結合を有するC20アルケニル
例iv:
=5個のメチレン中断型Z配置二重結合を有するC20
【化18】

【0050】
カテゴリーD
・多価不飽和脂肪酸由来
・Rは6個の二重結合を有するC22アルケニル
例v:
=6個のメチレン中断型Z配置二重結合を有するC22
【化19】

【0051】
カテゴリーE:
・多価不飽和脂肪酸由来
・Rは3個の二重結合を有するC18アルケニル
例vi:
=3個のメチレン中断型Z配置二重結合を有するC18
【化20】

【0052】
カテゴリーF:
・多価不飽和脂肪酸由来
・Rは4個の二重結合を有するC15アルケニル
例vii:
=4個のメチレン中断型Z配置二重結合を有するC15
【化21】

【0053】
カテゴリーG:
・多価不飽和脂肪酸由来
・Rは5個の二重結合を有するC18アルケニル
例viii:
=5個のメチレン中断型Z配置二重結合を有するC18
【化22】

【0054】
カテゴリーH:
・Xはトリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリドまたはリン脂質の形態のカルボン酸
例ix:
X=トリグリセリドの形態のカルボン酸
【化23】

例x:
X=2−モノグリセリドの形態のカルボン酸
【化24】

【0055】
カテゴリーI
・Xはカルボン酸塩
例xi:
【化25】

・n=1または2
【0056】
カテゴリーJ
・1〜6個の三重結合を含む脂質由来
・RはC10〜C22アルキニル
例xii:
=1個の三重結合を有するC14
【化26】

【0057】
上記カテゴリーA〜Jの化合物は、RおよびRが異なる場合、立体異性形態で存在し得る、即ち、化合物の全ての光学異性体およびその混合物を包含する。したがって、前記化合物は、ジアステレオマー、ラセミ体、およびエナンチオマーとして存在し得る。
【0058】
本開示の好ましい脂質化合物の具体的な例には以下が含まれる:
カテゴリーA:
【化27】

2−(テトラデシルオキシ)ブタン酸(1)
=C1429、R=エチル、R=HおよびX=COOH
【化28】

2−エチル−2−(テトラデシルオキシ)ブタン酸(2)
=C1429、R=R=エチルおよびX=COOH
【化29】

2−(テトラデシルオキシ)プロパン酸(3)
=C1429、R=メチル、R=HおよびX=COOH
【化30】

2−メチル−2−(テトラデシルオキシ)プロパン酸(4)
=C1429、R=R=メチルおよびX=COOH
【化31】

2−メトキシ−2−(テトラデシルオキシ)酢酸(5)
=C1429、R=メトキシ、R=HおよびX=COOH
【化32】

2−エトキシ−2−(テトラデシルオキシ)酢酸(6)
=C1429、R=エトキシ、R=HおよびX=COOH
【0059】
カテゴリーB:
【化33】

(Z)−2−(テトラデカ−6−エン−1−イルオキシ)ブタン酸(7)
=C1427、R=エチル、R=HおよびX=COOH
【化34】

(Z)−2−エチル−2−(テトラデカ−6−エン−1−イルオキシ)ブタン酸(8)
=C1427、R=R=エチルおよびX=COOH
【化35】

(Z)−2−(テトラデカ−6−エン−1−イルオキシ)プロパン酸(9)
=C1427、R=メチル、R=HおよびX=COOH
【化36】

(Z)−2−メチル−2−(テトラデカ−6−エン−1−イルオキシ)プロパン酸(10)
=C1427、R=R=メチルおよびX=COOH
【化37】

(Z)−2−メトキシ−2−(テトラデカ−6−エン−1−イルオキシ)酢酸(11)
=C1427、R=メトキシ、R=HおよびX=COOH
【化38】

(Z)−2−エトキシ−2−(テトラデカ−6−エン−1−イルオキシ)酢酸(12)
=C1427、R=エトキシ、R=HおよびX=COOH
【0060】
カテゴリーC:
【化39】

2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエン−1−イルオキシ)ブタン酸(13)
=C2031、R=エチル、R=HおよびX=COOH
【化40】

2−エチル−2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエン−1−イルオキシ)ブタン酸(14)
=C2031、=R=エチルおよびX=COOH
【化41】

2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエン−1−イルオキシ)プロパン酸(15)
=C2031、R=メチル、R=HおよびX=COOH
【化42】

2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエン−1−イルオキシ)−2−メチルプロパン酸(16)
=C2031、R=R=メチルおよびX=COOH
【化43】

2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエン−1−イルオキシ)−2−メトキシ酢酸(17)
=C2031、R=メトキシ、R=HおよびX=COOH
【化44】

2−エトキシ−2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエン−1−イルオキシ)酢酸(18)
=C2031、R=エトキシ、R=HおよびX=COOH
【0061】
カテゴリーD:
【化45】

2−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサエン−1−イルオキシ)ブタン酸(19)
=C2233、R=エチル、R=HおよびX=COOH
【化46】

2−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサエン−1−イルオキシ)−2−エチルブタン酸(20)
=C2233、R=R=エチルおよびX=COOH
【化47】

2−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサエン−1−イルオキシ)プロパン酸(21)
=C2233、R=メチル、R=HおよびX=COOH
【化48】

2−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサエン−1−イルオキシ)−2−メチルプロパン酸(22)
=C2233、R=R=メチルおよびX=COOH
【化49】

2−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサエン−1−イルオキシ)−2−メトキシ酢酸(23)
=C2233、R=メトキシ、R=HおよびX=COOH
【化50】

2−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサエン−1−イルオキシ)−2−エトキシ酢酸(24)
=C2233、R=エトキシ、R=HおよびX=COOH
【0062】
カテゴリーE:
【化51】

2−((9Z,12Z,15Z)−オクタデカ−9,12,15−トリエン−1−イルオキシ)ブタン酸(25)
=C1831、R=エチル、R=HおよびX=COOH
【化52】

2−エチル−2−((9Z,12Z,15Z)−オクタデカ−9,12,15−トリエン−1−イルオキシ)ブタン酸(26)
=C1831、R=R=エチルおよびX=COOH
【化53】

2−((9Z,12Z,15Z)−オクタデカ−9,12,15−トリエン−1−イルオキシ)プロパン酸(27)
=C1831、R=メチル、R=HおよびX=COOH
【化54】

2−メチル−2−((9Z,12Z,15Z)−オクタデカ−9,12,15−トリエン−1−イルオキシ)プロパン酸(28)
=C1831、R=R=メチルおよびX=COOH
【化55】

2−メトキシ−2−((9Z,12Z,15Z)−オクタデカ−9,12,15−トリエン−1−イルオキシ)酢酸(29)
=C1831、R=メトキシ、R=HおよびX=COOH
【化56】

2−エトキシ−2−((9Z,12Z,15Z)−オクタデカ−9,12,15−トリエン−1−イルオキシ)酢酸(30)
=C1831、R=エトキシ、R=HおよびX=COOH
【0063】
カテゴリーF:
【化57】

2−((3Z,6Z,9Z,12Z)−ペンタデカ−3,6,9,12−テトラエン−1−イルオキシ)ブタン酸(31)
=C1523、R=エチル、R=HおよびX=COOH
【化58】

2−エチル−2−((3Z,6Z,9Z,12Z)−ペンタデカ−3,6,9,12−テトラエン−1−イルオキシ)ブタン酸(32)
=C1523、R=R=エチルおよびX=COOH
【化59】

2−((3Z,6Z,9Z,12Z)−ペンタデカ−3,6,9,12−テトラエン−1−イルオキシ)プロパン酸(33)
=C1523、R=メチル、R=HおよびX=COOH
【化60】

2−メチル−2−((3Z,6Z,9Z,12Z)−ペンタデカ−3,6,9,12−テトラエン−1−イルオキシ)プロパン酸(34)
=C1523、R=R=メチルおよびX=COOH
【化61】

2−メトキシ−2−((3Z,6Z,9Z,12Z)−ペンタデカ−3,6,9,12−テトラエン−1−イルオキシ)酢酸(35)
=C1523、R=メトキシ、R=HおよびX=COOH
【化62】

2−エトキシ−2−((3Z,6Z,9Z,12Z)−ペンタデカ−3,6,9,12−テトラエン−1−イルオキシ)酢酸(36)
=C1523、R=エトキシ、R=HおよびX=COOH
【0064】
カテゴリーG:
【化63】

2−((3Z,6Z,9Z,12Z,15Z)−オクタデカ−3,6,9,12,15−ペンタエン−1−イルオキシ)ブタン酸(37)
=C1827、R=エチル、R=HおよびX=COOH
【化64】

2−エチル−2−((3Z,6Z,9Z,12Z,15Z)−オクタデカ−3,6,9,12,15−ペンタエン−1−イルオキシ)ブタン酸(38)
=C1827、R=R=エチルおよびX=COOH
【化65】

2−((3Z,6Z,9Z,12Z,15Z)−オクタデカ−3,6,9,12,15−ペンタエン−1−イルオキシ)プロパン酸(39)
=C1827、R=メチル、R=HおよびX=COOH
【化66】

2−メチル−2−((3Z,6Z,9Z,12Z,15Z)−オクタデカ−3,6,9,12,15−ペンタエン−1−イルオキシ)プロパン酸(40)
=C1827、R=R=メチルおよびX=COOH
【化67】

2−メトキシ−2−((3Z,6Z,9Z,12Z,15Z)−オクタデカ−3,6,9,12,15−ペンタエン−1−イルオキシ)酢酸(41)
=C1827、R=メトキシ、R=HおよびX=COOH
【化68】

2−エトキシ−2−((3Z,6Z,9Z,12Z,15Z)−オクタデカ−3,6,9,12,15−ペンタエン−1−イルオキシ)酢酸(42)
=C1827、R=エトキシ、R=HおよびX=COOH
【0065】
カテゴリーH:
【化69】

プロパン−1,2,3−トリイルトリス(2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエン−1−イルオキシ)ブタノエート)(43)
=C2031、R=エチル、R=HおよびX=トリグリセリドの形態のカルボン酸
【化70】

1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエン−1−イルオキシ)ブタノエート(44)
=C2031、R=エチル,R=HおよびX=2−モノグリセリドの形態のカルボン酸
【0066】
カテゴリーI:
【化71】

2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエン−1−イルオキシ)ブタン酸ナトリウム(45)
=C1831、R=エチル、R=H、X=COOおよびZはNa
【化72】

2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエン−1−イルオキシ)ブタン酸カリウム(46)
=C1831、R=エチル、R=H、X=COOおよびZはK
【化73】

2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエン−1−イルオキシ)ブタン酸アンモニウム(47)
=C1831、R=エチル、R=H、X=COOおよびZはNH
【化74】

2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエン−1−イルオキシ)ブタン酸tert−ブチル−アンモニウム(48)
=C1831、R=エチル、R=H、X=COOおよびZはtert−ブチルアンモニウム
【化75】

2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエン−1−イルオキシ)ブタン酸1,3−ジヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−2−アミニウム(49)
=C1831、R=エチル、R=H、X=COOおよびZは1,3−ジヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−2−アンモニウム
【化76】

2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエン−1−イルオキシ)ブタン酸マグネシウム(50)
=C1831、R=エチル、R=H、X=COOおよびZ2+はMg2+
【化77】

2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエン−1−イルオキシ)ブタン酸カルシウム(51)
=C1831、R=エチル、R=H、X=COOおよびZ2+はCa2+
【0067】
カテゴリーJ:
【化78】

2−(テトラデカ−12−イニルオキシ)ブタン酸(52)
=C1425、R=エチル、R=HおよびX=COOH
【化79】

2−エチル−2−(テトラデカ−12−イン−1−イルオキシ)ブタン酸(53)
=C1425、R=R=エチルおよびX=COOH
【化80】

2−(テトラデカ−12−イン−1−イルオキシ)プロパン酸(54)
=C1425、R=メチル、R=HおよびX=COOH
【化81】

2−メチル−2−(テトラデカ−12−イン−1−イルオキシ)プロパン酸(55)
=C1425、R=R=メチルおよびX=COOH
【化82】

2−メトキシ−2−(テトラデカ−12−イニルオキシ)酢酸(56)
=C1425、R=メトキシ、R=HおよびX=COOH
【化83】

2−エトキシ−2−(テトラデカ−12−イン−1−イルオキシ)酢酸(57)
=C1425、R=エトキシ、R=HおよびX=COOH
【0068】
本開示の化合物の具体的な実施形態には、以下が含まれる。
【0069】
本明細書に記載される化合物の一般的な合成方法
一般式(I)の化合物は、以下の一般的な手順によって調製することができる:
【化84】

【化85】

【化86】

【0070】
方法I、IIおよびIIIで記載される式(X)のアルコールは、還元剤(水素化リチウムアルミニウム(LAH)または水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL−H)など)を用いて−10℃〜0℃で還元することによって、例えば、天然の脂肪酸(例えば、α−リノレン酸、共役リノール酸またはエイコサペンタエン酸(EPA))のカルボン酸エステルから直接調製し得る。当該アルコールは、Holmeideら(J.Chem.Soc,Perkin Trans.1(2000)2271)によって記載されるように、多価不飽和脂肪酸(EPAおよびDHAなど)を分解することによっても調製することができる。この場合、精製EPAまたはDHAから調製を開始することができるが、EPAおよびDHAを含む魚油から開始してもよい。
【0071】
式(XI)および(XII)の化合物は、市販されているか、文献で知られているか、または当該分野で公知の標準的なプロセスによって調製される。式(XI)の化合物に存在する脱離基(LG)は、例えば、メシレート、トシレート、または適切なハロゲン(臭素など)であり得る。他の脱離基は当業者には明らかである。
【0072】
方法Iを使用して、塩基(アルカリ金属水酸化物(例えばNaOH)など)の存在下、適切な溶媒系中で、置換反応において、式(X)のアルコールを式(XI)の化合物と反応させることができる。適切な溶媒系としては、トルエンと水との2相混合物が挙げられる。式(XI)の化合物に存在するR2および/またはR3が水素である場合には、これらの水素の一方または両方をアルキル基で置換するために、系列(ステップII)にアルキル化ステップを追加してもよい。かかるアルキル化は、ステップIの生成物を、適切な脱離基(例えば、ハロゲン(臭素もしくはヨウ素など)または当業者に明らかな他の脱離基)を有するアルキル基を用いて、塩基(LDAなど)の存在下、適当な溶媒系中で処理することによって行い得る。
【0073】
方法IIを使用して、官能基相互変換を利用して、当業者によく知られた方法により、式(X)のアルコールを末端ヒドロキシ基が適切な脱離基(LG)に転換されている化合物に変換することができる。適切な脱離基としては、臭素、メシレートおよびトシレート、または当業者に明らかな他の基が挙げられる。これらの化合物は、さらに(ステップIV)置換反応において、塩基の存在下、適切な溶媒系中で、適切に置換されたヒドロキシ酢酸誘導体(式XIIの化合物)と反応させることができる。
【0074】
方法IIIを使用して、古典的または非古典的な光延条件下で、当業者によく知られた方法を利用して、式(X)のアルコールを、適切に置換されたヒドロキシ酢酸誘導体(式XIIの化合物)と反応させることができる。
【0075】
使用する酸誘導体がカルボン酸エステルである場合、加水分解を行って、遊離の脂肪酸を得ることもできる。エステル化基(メチル基またはエチル基など)は、例えば、アルカリ加水分解によりアルカリ金属水酸化物(例えば、LiOH、NaOHもしくはKOH)などの塩基を使用して、または有機塩基(例えばEtN)を無機塩(例えばLiCl)と共に使用して、適当な溶媒系中で除去し得る。tert−ブチル基は、例えば、酸(例えば、有機酸(トリフルオロ酢酸またはギ酸など))を用いて適当な溶媒系中で処理することによって、除去し得る。好適な溶媒系としては、ジクロロメタンが挙げられる。アリールメチレン基(ベンジル基など)は、例えば、触媒(炭素担持パラジウムなど)上で適当な溶媒系中で水素化することによって、除去し得る。
【0076】
式(I)のカルボン酸の塩化は、適当な溶媒系中で適切な塩基で処理することによって行うことができる。溶媒の除去により、生成した塩が得られる。
【0077】
方法I、IIまたはIIIに従って式(I)の化合物を調製する場合、立体異性体の混合物が生じることがある。必要であれば、これらの異性体を、キラル分割剤および/またはキラルカラムクロマトグラフィーの手段により、当業者に公知の方法によって分離してもよい。
【0078】
方法IV
Xがリン脂質の形態のカルボン酸誘導体である式(I)の化合物は、以下のプロセスを通じて調製することができる。
【化87】

【0079】
活性化脂肪酸(脂肪酸イミダゾリドなど)を用いてsn−グリセロ−3−ホスホコリン(GPC)をアシル化することは、ホスファチジルコリン合成の標準的な手順である。当該合成は、通常、DMSOアニオンの存在下、DMSOを溶媒に用いて実施される(Hermetter;Chemistry and Physics of lipids,(1981)28,111)。DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン)の存在下で、Sn−グリセロ−3−ホスホコリンをカドミウム(II)付加物として、イミダゾリド活性化脂肪酸と反応させて、各脂肪酸のホスファチジルコリンを調製することもできる(国際特許出願番号PCT/GB2003/002582)。酵素的トランスホスファチジル化により、ホスファチジルコリンを、ホスファチジルエタノールアミンへと転換させることができる(Wangら,J.Am.Chem.Soc,(1993)115,10487)。
【0080】
リン脂質は、酵素的エステル化およびリン脂質のエステル交換またはリン脂質の酵素的トランスホスファチジル化により調製することもできる(Hosokawa,J.Am.Oil Chem.Soc.1995,1287,Lilja−Hallberg,Biocatalysis,(1994)195)。
【0081】
方法V
Xがトリグリセリドの形態のカルボン酸誘導体である式(I)の化合物は、以下のプロセスを通じて調製することができる。ジメチルアミノピリジン(DMAP)および2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロフォスフェート(HBTU)を使用して、過剰の脂肪酸をグリセロールに結合させることができる。
【0082】
方法VI
Xがジグリセリドの形態のカルボン酸誘導体である式(I)の化合物は、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)および4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)の存在下で、脂肪酸(2当量)をグリセロール(1当量)と反応させることによって調製することができる。
【0083】
方法VII
Xがモノグリセリドの形態のカルボン酸誘導体である式(I)の化合物は、以下のプロセスを通じて調製することができる。
【化88】

【0084】
クロロホルム中でDCCおよびDMAPを使用して、1,2−O−イソプロピリデン−sn−グリセロールを脂肪酸によりアシル化すると、モノジエノイルグリセロールが生じる。イソプロピリデン基の脱保護は、保護されたグリセロールを、酸(HCl、酢酸など)で処理することによって行うことができる(O’Brian,J.Org.Chem.,(1996)5914)。
【0085】
モノグリセリドを脂肪酸の2位で調製するための幾つかの合成方法がある。1つの方法は、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドヒドロクロリド(EDC)および4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)の存在下に、脂肪酸をグリシドールによりエステル化して、グリシジル誘導体を製造することである。グリシジル誘導体をトリフルオロ酢酸無水物(TFAA)で処理し、次いでエステル交換することにより、モノグリセリドが得られる(Parkkariら,Bioorg.Med.Chem.Lett.(2006)2437)。
【化89】

【0086】
脂肪酸のモノ−、ジ−およびトリ−グリセリド誘導体を調製するためのさらなる方法は、国際特許出願番号PCT/FR02/02831に記載されている。
【0087】
酵素的プロセス(リパーゼ反応)を使用して、脂肪酸をモノ−、ジ−、トリ−グリセリドに転換することも可能である。真菌Mucor miehei由来の1,3−位置特異的リパーゼを使用して、多価不飽和脂肪酸およびグリセロールから、トリグリセリドまたはジグリセリドを製造することができる。異なるリパーゼであるCandida antartica由来の非位置特異的酵母リパーゼは、高効率で多価不飽和脂肪酸からトリグリセリドを生成する(Haraldsson,Pharmazie,(2000)3)。
[実施例]
【0088】
式(I)の具体的な脂肪酸誘導体の調製、特徴付け、および生物学的試験
【0089】
本開示は、以下の非限定的実施例によりさらに詳述され、その中では、当業者に公知の標準技術およびこれらの実施例に記載のものと類似の技術を必要に応じて使用することができる。他に明記されない限り:
・蒸発は、ロータリーエバポレーションにより真空中で実施した、
・全ての反応は、室温で、典型的には18〜25℃の範囲で、HPLCグレードの溶媒を用いて、無水条件下で実施した、
・カラムクロマトグラフィーは、シリカゲル40〜63μm(Merck)上でのフラッシュ手順により、または予め充填されたシリカゲルカラム「MiniVarioFlash」、「SuperVarioFlash」、「SuperVarioPrep」または「EasyVarioPrep」(Merck)を用いたArmen Spotflashにより行った、
・収率は、例示目的でのみ示され、必ずしも達成可能な最大値ではない、
・核磁気共鳴(NMR)シフト値は、Bruker Avance DPX200または300機器で記録した。ピーク多重度は次のように示す:s、一重項;d、二重項;dd、二重項の二重項;t、三重項;q、四重項;p、五重項;m、多重項;br、広幅、
・質量スペクトルは、LC/MS分光計で測定した。分離は、Agilent 1100シリーズモジュールを使用して、Eclipse XDB−C18 2.1 x 150mmカラムで勾配溶離を用いて行った。溶離液としては、0.01%トリフルオロ酢酸または0.005%ギ酸ナトリウムを含む緩衝液中5〜95%アセトニトリルの勾配を使用した。質量スペクトルは、G1956A質量分光計(エレクトロスプレー、3000V)を用い、ポジティブイオン化モードおよびネガティブイオン化モードを切り替えながら記録した。
【実施例1】
【0090】
tert−ブチル2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエン−1−イルオキシ)ブタノエートの調製:
【化90】

【0091】
テトラブチルアンモニウムクロリド(0.55g、1.98mmol)を、(5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエン−1−オール(3.50g、12.1mmol)を含むトルエン(35mL)溶液に、周囲温度で、窒素下、添加した。水酸化ナトリウムの水溶液(50%(w/w)、11.7mL)を激しく撹拌しながら室温で添加し、次いでt−ブチル2−ブロモブチレート(5.41g、24.3mmol)を添加した。得られた混合物を50℃に加熱し、追加のt−ブチル2−ブロモブチレートを、1.5時間後(2.70g、12.1mmol)、3.5時間後(2.70g、12.1mmol)および4.5時間後(2.70g、12.1mmol)に添加して、全体で12時間撹拌した。室温に冷却した後、氷水(25mL)を添加し、生じた二相を分離した。有機相をNaOH(5%)とブラインとの混合物で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、濃縮した。残渣を、ヘプタンおよび酢酸エチルの増加極性混合物(100:0→95:5)を溶離液として用いるシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。適切な分画の濃縮により、1.87g(収率36%)の表題化合物を油状物として得た。H NMR(300 MHz,CDCl3):δ 0.85〜1.10(m,6H)、1.35〜1.54(m,11H)、1.53〜1.87(m,4H)、1.96〜2.26(m,4H)、2.70〜3.02(m,8H)、3.31(dt,1H)、3.51〜3.67(m,2H)、5.10〜5.58(m,10H)。
【実施例2】
【0092】
2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエニルオキシ)ブタン酸の調製:
【化91】

tert−ブチル2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエン−1−イルオキシ)ブタノエート(19.6g、45.5mmol)をジクロロメタン(200mL)に溶解し、窒素下に置いた。トリフルオロ酢酸(50mL)を添加し、反応混合物を、室温で1時間撹拌した。水を添加し、水性相をジクロロメタンで2回抽出した。合わせた有機抽出物を、ブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過し、濃縮した。残渣を、ヘプタン、酢酸エチルおよびギ酸の増加極性混合物(90:10:1→80:20:1)を溶離液として用いるシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーに供した。適切な分画の濃縮により、12.1g(収率71%)の表題化合物を油状物として得た。H−NMR(300 MHz,CDCl):δ 0.90〜1.00(m,6H)、1.50(m,2H)、1.70(m,2H)、1.80(m,2H)、2.10(m,4H)、2.80〜2.90(m,8H)、3.50(m,1H)、3.60(m,1H)、3.75(t,1H)、5.30〜5.50(m,10H);MS(エレクトロスプレー):373.2[M−H]
【実施例3】
【0093】
(4S,5R)−3−((S)−2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエニルオキシ)ブタノイル)−4−メチル5−フェニルオキサゾリジン−2−オンおよび(4S,5R)−3−((R)−2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエニルオキシ)ブタノイル)−4−メチル−5−フェニルオキサゾリジン−2−オンの調製:
【化92】

【0094】
DMAP(1.10g、8.90mmol)およびDCC(1.90g、9.30mmol)を、0℃で窒素下に保持された2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエニルオキシ)ブタン酸(3.20g、8.50mmol)を含む乾燥ジクロロメタン(100mL)の混合物に添加した。得られた混合物を、0℃で20分間撹拌した。(4S,5R)−4−メチル−5−フェニルオキサゾリジン−2−オン(1.50g、8.50mmol)を添加し、得られた不透明の混合物を、周囲温度で5日間撹拌した。混合物を濾過し、減圧下で濃縮し、所望の生成物を2つのジアステレオマーの混合物として含む粗生成物を得た。残渣を、15%酢酸エチルを含むヘプタンを溶離液として用いるシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。2つのジアステレオマーを分離し、適切な分画を濃縮した。(4S,5R)−3−((S)−2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエニルオキシ)ブタノイル)−4−メチル−5−フェニルオキサゾリジン−2−オンが最初に溶出し、1.1g(収率40%)の油状物として得た。(4S,5R)−3−((R)−2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエニルオキシ)ブタノイル)−4−メチル−5−フェニルオキサゾリジン−2−オンを、0.95g(収率34%)の油状物として得た。
(4S,5R)−3−((S)−2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエニルオキシ)ブタノイル)−4−メチル−5−フェニルオキサゾリジン−2−オン(E1):
H−NMR(300 MHz,CDCl):δ 0.90(d,3H)、1.00(t,3H)、1.07(t,3H)、1.45〜1.57(m,2H)、1.62〜1.76(m,3H)、1.85〜1.95(m,1H)、2.05〜2.15(m,4H)、2.87(m,8H)、3.39(m,1H)、3.57(m,1H)、4.85〜4.92(m,2H)、5.30〜5.45(m,10H)、5.75(d,1H)、7.32(m,2H)、7.43(m,3H)。
(4S,5R)−3−((R)−2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエニルオキシ)ブタノイル)−4−メチル−5−フェニルオキサゾリジン−2−オン(E2):
H−NMR(300 MHz,CDCl):δ 0.98(d,3H)、0.99(t,3H)、1.08(t,3H)、1.40〜1.52(m,2H)、1.55〜1.75(m,3H)、1.80〜1.90(m,1H)、2.05〜2.15(m,4H)、2.84(m,8H)、3.39(m,1H)、3.56(m,1H)、4.79(五重線,1H)、4.97(dd,1H)、5.30〜5.45(m,10H)、5.71(d,1H)、7.33(m,2H)、7.43(m,3H)。
【実施例4】
【0095】
(S)−2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエニルオキシ)ブタン酸の調製:
【化93】

【0096】
過酸化水素(水中35%、0.75mL、8.54mmol)および水酸化リチウム一水和物(0.18g、4.27mmol)を、0℃で窒素下に保持された(4S,5R)−3−((S)−2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエニルオキシ)ブタノイル)−4−メチル−5−フェニルオキサゾリジン−2−オン(1.10g、2.13mmol)を含むテトラヒドロフラン(12mL)および水(4mL)の溶液に添加した。反応混合物を、0℃で30分間撹拌した。10%NaSO水溶液(30mL)を添加し、2MのHClでpHを約2に調整し、混合物をヘプタン(30mL)で2回抽出した。合わせた有機抽出物を、乾燥し(NaSO)、濾過し、濃縮した。残渣を、ヘプタンおよび酢酸エチルの増加極性混合物(98:8→1:1)を溶離液として用いるシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーに供した。適切な分画の濃縮により0.48g(収率60%)の表題化合物を油状物として得た。H−NMR(300 MHz,CDCl):δ 0.90〜1.00(m,6H)、1.48(m,2H)、1.65(m,2H)、1.85(m,2H)、2.10(m,4H)、2.80〜2.90(m,8H)、3.55(m,1H)、3.60(m,1H)、3.88(t,1H)、5.35〜5.45(m,10H);MS(エレクトロスプレー):373.3[M−H];[α]+37(c=0.104,エタノール)。
【実施例5】
【0097】
(R)−2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエニルオキシ)ブタン酸の調製:
【化94】

【0098】
過酸化水素(水中35%、0.65mL、7.37mmol)および水酸化リチウム一水和物(0.15g、3.69mmol)を、0℃で窒素下に保持された(4S,5R)−3−((R)−2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエニルオキシ)ブタノイル)−4−メチル−5−フェニルオキサゾリジン−2−オン(0.95g、1.84mmol)を含むテトラヒドロフラン(12mL)および水(4mL)の溶液に添加した。反応混合物を、0℃で30分間撹拌した。10%NaSO水溶液30mL)を添加し、2MのHClでpHを約2に調整し、混合物をヘプタン(30mL)で2回抽出した。合わせた有機抽出物を、乾燥し(NaSO)、濾過し、濃縮した。残渣を、ヘプタンおよび酢酸エチルの増加極性混合物(98:8→50:50)を溶離液として用いるシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーに供した。適切な分画の濃縮により、0.19g(収率29%)の表題化合物を油状物として得た。H−NMR(300 MHz,CDCl):δ 0.90〜1.00(m,6H)、1.48(m,2H)、1.65(m,2H)、1.85(m,2H)、2.10(m,4H)、2.80〜2.90(m,8H)、3.55(m,1H)、3.60(m,1H)、3.88(t,1H)、5.35〜5.45(m,10H);MS(エレクトロスプレー):373.3[M−H];[α]−31(c=0.088,エタノール)。
【実施例6】
【0099】
tert−ブチル2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエニルオキシ)プロパノエートの調製:
【化95】

【0100】
(5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエン−1−オール(1.00g、3.47mmol)、テトラブチルアンモニウムクロリド(0.24g、0.87mmol)およびt−ブチルα−ブロモプロピオネート(3.62g、17.3mmol)の混合物を、トルエン(36mL)中に溶解し、窒素下に置いた。水酸化ナトリウムの水溶液(50%、8mL)を激しく撹拌しながらゆっくりと添加し、得られた混合物を、周囲温度で20時間撹拌した。水を添加し、混合物をエーテルで3回抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過し、濃縮した。残渣を、2%の酢酸エチルを含むヘプタンを溶離液として用いるシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。適切な分画の濃縮により1.40g(収率90%)の表題化合物を油状物として得た。H−NMR(300 MHz,CDCl):δ 0.95(t,3H)、1.41(d,3H)、1.48(s,9H)、1.48〜1.66(m,4H)、2.05(m,4H)、2.83(m,8H)、3.35(m,1H)、3.55(m,1H)、3.79(q,1H)、5.32〜5.44(m,10H)。
【実施例7】
【0101】
2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエニルオキシ)プロパン酸の調製:
【化96】

【0102】
トリフルオロ酢酸(2mL)を、窒素下に保持された2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエニルオキシ)プロパノエート(1.40g、3.36mmol)を含むジクロロメタン(10mL)の溶液に添加し、反応混合物を、室温で3時間撹拌した。ジエチルエーテル(50mL)を添加し、有機相を水(30mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濃縮した。残渣を、ヘプタン、酢酸エチルおよびギ酸の増加極性混合物(95:5:0.25→80:20:1)を溶離液として用いるシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーに供した。適切な分画の濃縮により、0.67gのわずかに純粋でない生成物を得た。この物質をヘプタン(15mL)に溶解し、水(5mL)で3回洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過し、濃縮して、0.50g(収率41%)の表題化合物を油状物として得た。H−NMR(300 MHz,CDCl):δ 0.99(t,3H)、1.40〜1.48(m,5H)、1.67(m,2H)、2.09(m,4H)、2.80〜2.60(m,8H)、3.53(m,2H)、4.01(q,1H)、5.31〜5.47(m,10H);MS(エレクトロスプレー):359.2[M−H]
【実施例8】
【0103】
tert−ブチル2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエニルオキシ)−2−メチルプロパノエートの調製
【化97】

【0104】
(5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエン−1−オール(0.83g、3.14mmol)、テトラブチルアンモニウムクロリド(0.24g、0.85mmol)およびt−ブチルα−ブロモイソブチレート(3.50g、15.7mmol)の混合物を、トルエン(15mL)に溶解し、窒素下に置いた。水酸化ナトリウムの水溶液(50%、5mL)を激しく撹拌しながら室温でゆっくりと添加した。得られた混合物を、60℃に加熱し、6時間撹拌した。混合物を冷却し、水を加え、エーテルで3回抽出した。合わせた有機抽出物を、ブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過し、濃縮した。残渣を、5〜10%酢酸エチルを含むヘプタンの勾配を溶離液として用いるシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。適切な分画の濃縮により0.60g(収率44%)の表題化合物を油状物として得た。MS(エレクトロスプレー):453.3[M+Na]
【実施例9】
【0105】
2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエニルオキシ)−2−メチルプロパン酸の調製:
【化98】

【0106】
トリフルオロ酢酸(5mL)を、窒素下のtert−ブチル2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエニルオキシ)−2−メチルプロパノエート(600mg、1.39mmol)を含むジクロロメタン(20mL)の溶液に添加し、反応混合物を室温で2時間撹拌した。水を添加し、水性相をジクロロメタンで2回抽出した。合わせた有機抽出物を、ブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過し、濃縮した。残渣を、ヘプタン、酢酸エチルおよびギ酸の混合物(80:20:1)を溶離液として用いるシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。適切な分画を濃縮し、残渣(135mg)を、酢酸エチルおよびギ酸(95:5)を含むヘプタンの混合物の5〜10%の勾配を溶離液として用いるシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。適切な分画の濃縮により、80mgのわずかに純粋でない生成物を得た。この物質をヘプタン(5mL)に溶解し、水(5mL)で2回洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過し、濃縮して、40mg(収率8%)の表題化合物を油状物として得た。H−NMR(300 MHz,CDCl):δ 0.99(t,3H)、1.47(s,6H)、1.64(m,2H)、2.07(m,4H)、2.81〜2.88(m,8H)、3.46(t,2H)、5.29〜5.44(m,10H);MS(エレクトロスプレー):373.3[M−H]
【実施例10】
【0107】
2−((3Z,6Z,9Z,12Z)−ペンタデカ−3,6,9,12−テトラエニルオキシ)ブタン酸の調製:
【化99】

【0108】
(3Z,6Z,9Z,12Z)−ペンタデカ−3,6,9,12−テトラエン−1−オール(S.Flock,Acta Chemica Scandinavica,(1999)53,436−445)(0.22g、1.00mmol)、テトラブチルアンモニウムクロリド(0.10g、0.33mmol)およびt−ブチル2−ブロモブチレート(1.11g、5.00mmol)の混合物をトルエン(10ml)に溶解し、窒素下に置いた。水酸化ナトリウムの水溶液(50%、4ml)を激しく撹拌しながら室温でゆっくりと添加した。得られた混合物を50℃に加熱し、2時間撹拌し、次いで、周囲温度で一晩撹拌した。室温に冷却後、水を添加し、水性相をエーテルで3回抽出した。合わせた有機抽出物を、水およびブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過し、濃縮した。残渣を、5%酢酸エチルを含むヘプタンを溶離液として用いるシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。適切な分画の濃縮により0.30gのt−ブチルエステルを油状物として得た。残渣を、ジクロロメタン(10mL)に溶解し、窒素下に置いた。トリフルオロ酢酸(2mL)を添加し、反応混合物を、室温で1時間撹拌した。水を加え、水性相をジクロロメタンで2回抽出した。合わせた有機抽出物を、ブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過し、濃縮した。残渣を、ヘプタン、酢酸エチルおよびギ酸の混合物(80:20:1)を溶離液として用いるシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。適切な分画の濃縮により0.18g(収率59%)の所望の生成物を油状物として得た。H−NMR(300 MHz,CDCl):δ 0.90〜1.05(m,6H)、1.75〜1.90(m,2H)、2.05〜2.15(m,2H)、2.30〜2.50(m,2H)、2.85(m,6H)、3.60(m,2H)、3.85(t,1H)、5.25〜5.60(m,8H)。
【実施例11】
【0109】
2−((9Z,12Z,15Z)−オクタデカ−9,12,15−トリエニルオキシ)ブタン酸の調製:
【化100】

【0110】
(9Z,12Z,15Z)−オクタデカ−9,12,15−トリエン−1−オール(1.26g、4.76mmol)、テトラブチルアンモニウムクロリド(0.36g、1.28mmol)およびt−ブチル2−ブロモブチレート(2.86g、12.82mol)の混合物をトルエン(15mL)に溶解し、窒素下に置いた。水酸化ナトリウムの水溶液(50%、6mL)を激しく撹拌しながら室温でゆっくりと添加した。得られた混合物を60℃に加熱し、5時間撹拌した。室温に冷却後、水を添加し、水性相をエーテルで3回抽出した。合わせた有機抽出物を、水およびブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過し、濃縮した。残渣を、2.5〜5%酢酸エチルを含むヘプタンの勾配を溶離液として用いるシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。適切な分画の濃縮により1.36gのt−ブチルエステルを油状物として得た。残渣をジクロロメタン(20mL)に溶解し、窒素下に置いた。トリフルオロ酢酸(5mL)を添加し、反応混合物を室温で1時間撹拌した。水を添加し、水性相をジクロロメタンで2回抽出した。合わせた有機抽出物を、ブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過し、濃縮した。残渣を、ヘプタン、酢酸エチルおよびギ酸の混合物(80:20:1)を溶離液として用いるシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。適切な分画の濃縮により0.38g(収率23%)の所望の生成物を油状物として得た。H−NMR(300 MHz,CDCl3):δ 0.95〜1.00(m,6H)、1.30〜1.45(m,10H)、1.65(m,2H)、1.80(m,2H)、2.10(m,4H)、2.80(m,4H)、3.50(m,1H)、3.60(m,1H)、3.85(t,1H)、5.30〜5.50(m,6H);MS(エレクトロスプレー):349.2[M−H]
【実施例12】
【0111】
tert−ブチル2−エチル−2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエン−1−イルオキシ)ブタノエートの調製:
【化101】

【0112】
tert−ブチル2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエン−1−イルオキシ)ブタノエート(480mg、1.11mmol)を、30分かけて、−70℃で窒素下に保持されたリチウムジイソプロピルアミン(LDA)(2.0M、750μL、1.50mmol)を含む乾燥テトラヒドロフラン(10mL)の溶液に滴下した。反応混合物を30分間撹拌した。ヨウ化エチル(312mg、2.00mmol)を一度で添加し、得られた混合物を周囲温度まで1時間温めた。反応混合物を周囲温度で17時間撹拌した。混合物を、飽和NHCl水溶液(50mL)に注ぎ、ヘプタン(2×50mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(50mL)、0.25M HCl(50mL)およびブライン(50mL)で連続して洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、濃縮した。残渣を、ヘプタンおよび酢酸エチルの増加極性混合物(100:0→95:5)を溶離液として用いるシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。適切な分画の濃縮により、343mg(収率67%)の表題化合物を油状物として得た。H NMR(300 MHz,CDCl3):δ 0.84(t,6H)、0.99(td,3H)、1.35〜1.55(m,11H)、1.54〜1.69(m,2H)、1.68〜1.87(m,4H)、1.99〜2.24(m,4H)、2.74〜2.99(m,8H)、3.31(t,2H)、5.23〜5.52(m,10H);MS(エレクトロスプレー):401.3[M−1]
【実施例13】
【0113】
2−エチル−2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエン−1−イルオキシ)ブタン酸の調製:
【化102】

【0114】
ギ酸(5ml)およびtert−ブチル2−エチル−2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエン−1−イルオキシ)ブタノエート(250mg、0.55mmol)の混合物を、窒素下、室温で、4.5時間激しく撹拌した。ギ酸を真空中で除去した。残渣を、ヘプタンおよび酢酸エチルの増加極性混合物(100:0→80:20)を溶離液として用いるシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。適切な分画の濃縮により、163mg(収率74%)の表題化合物を油状物として得た。H NMR(300 MHz,CDCl3):δ 0.86(t,6H)、0.99(t,3H)、1.36〜1.57(m,2H)、1.68(dd,2H)、1.73〜1.98(m,4H)、2.11(tt,4H)、2.70〜3.01(m,8H)、3.39(t,2H)、5.20〜5.56(m,10H)。MS(エレクトロスプレー):481.4[M+Na]
【実施例14】
【0115】
tert−ブチル2−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサエン−1−イルオキシ)プロパノエートの調製:
【化103】

【0116】
水酸化ナトリウムの水溶液(50%(w/w)、6ml)を、(5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエン−1−オール(2.01g、6.39mmol)、tert−ブチル−2−ブロモブチレート(2.85g、12.8mmol)およびテトラブチルアンモニウムビスルフェート(0.65g、1.91mmol)を含むトルエン(12ml)の混合物に少しずつ添加した。反応混合物を、N雰囲気下で激しく撹拌し、50℃に温めた。反応混合物を、50℃で合計22時間撹拌した。さらに、tert−ブチル−2−ブロモブチレート(1.43g、6.39mmol)および(1.44g、6.44mmol)を、それぞれ1.5時間後および3時間後に添加した。混合物を冷却し、氷水(約50ml)およびヘプタン(50ml)を添加し、相を分離し、有機相を減圧下で濃縮した。ヘプタン−ヘプタン/EtOAc(99:1)で溶離するシリカゲル(30g)でのフラッシュクロマトグラフィーにより、2.12gの表題化合物を液体として得た。H NMR(300 MHz,CDCl)δ 0.94〜1.04(m,6H)、1.47(s,9H)、1.68〜1.85(m,4H)、1.93〜2.20(m,4H)、2.80〜2.86(m,10H)、3.28〜3.36(m,1H)、3.55〜3.63(m,2H)、5.27〜5.43(m,12H)。
【実施例15】
【0117】
2−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサエン−1−イルオキシ)ブタン酸の調製:
【化104】

【0118】
tert−ブチル2−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサエン−1−イルオキシ)プロパノエート(2.09g、4.58mmol)を含むHCOOH(9ml)の混合物を、40℃で、N雰囲気下、6時間撹拌した。反応混合物を、ジエチルエーテル(100mL)で希釈し、水(30mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、減圧下で蒸発した。トルエン−トルエン(85:15)で溶離するシリカゲル(50g)での乾燥フラッシュにより、1.44gの粗表題化合物を得た。ヘプタン−ヘプタン/(EtOAc w/5%HCCOH)98:2−95:5−80:20で溶離するシリカゲル(30g)でのフラッシュクロマトグラフィーにより、1.07g(収率58%)の表題化合物を液体として得た。H NMR(200 MHz,CDCl)δ 0.97(t,3H)、0.99(t,3H)、1.64〜1.91(m,4H)、2.00〜2.23(m,4H)、2.78〜2.87(m,10H)、3.42〜3.66(m,2H)、3.85(dd,1H)、5.26〜5.46(m,12H)。MS(エレクトロスプレー)(不イオン):399(M−H)
【実施例16】
【0119】
tert−ブチル2−((3Z,6Z,9Z,12Z,15Z)−オクタデカ−3,6,9,12,15−ペンタエン−1−イルオキシ)ブタノエートの調製:
【化105】

【0120】
水酸化ナトリウムの水溶液(50%(w/w)、6mL)を、(3Z,6Z,9Z,12Z,15Z)−オクタデカ−3,6,9,12,15−ペンタエン−1−オール(1.66g、6.37mmol)、tert−ブチル−2−ブロモブチレート(2.86g、12.8mmol)およびテトラブチルアンモニウムビスルフェート(0.65g、1.91mmol)を含むトルエン(12ml)の混合物に少しずつ添加した。反応混合物を、N雰囲気下で激しく撹拌し、50℃に温めた。反応混合物を50℃で合計25時間撹拌した。さらに、tert−ブチル−2−ブロモブチラート(1.43g、6.41mmol)および(1.42g、6.38mmol)を、それぞれ1.5時間後および3時間後に添加した。混合物を室温に冷却し、水(30mL)およびヘプタン(50mL)を添加し、得られた2相を分離し、有機相を乾燥し(NaSO)、濾過し、減圧下で濃縮した。ヘプタン−ヘプタン/EtOAc(99:1)で溶離するシリカゲル(30g)でのフラッシュクロマトグラフィーにより、1.55gの表題化合物を液体として得た。H NMR(300 MHz,CDCl)δ 0.96(t,3H)、0.97(t,3H)、1.48(s,9H)、1.64〜1.86(m,2H)、2.03〜2.12(m,2H)、2.39(dd,J=12.1,6.7 Hz,2H)、2.79〜2.86(m,8H)、3.29〜3.37(m,1H)、3.57〜3.66(m,2H)、5.27〜5.49(m,10 H)。
【実施例17】
【0121】
2−((3Z,6Z,9Z,12Z,15Z)−オクタデカ−3,6,9,12,15−ペンタエン−1−イルオキシ)ブタン酸の調製:
【化106】

【0122】
tert−ブチル2−((3Z,6Z,9Z,12Z,15Z)−オクタデカ−3,6,9,12,15−ペンタエン−1−イルオキシ)ブタノエート(2.09g、4.58mmol)を含むHCOOH(9mL)の混合物を、40℃でN雰囲気下、6時間撹拌した。反応混合物を、ジエチルエーテル(100mL)で希釈し、水(30mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、減圧下で蒸発した。トルエン−トルエン/EtOAc(85:15)で溶離するシリカゲル(50g)での乾燥フラッシュにより、1.44gの粗表題化合物が得られた。ヘプタン−ヘプタン/(EtOAc w/5%HCCOH)98:2−95:5−80:20で溶離するシリカゲル(30g)でのフラッシュクロマトグラフィーにより、1.07g(収率58%)の表題化合物を液体として得た。H NMR(200 MHz,CDCl)δ 0.97(t,3H)、0.99(t,3H)、1.75〜1.91(m,2H)、2.00〜2.15(m,2H)、2.35〜2.48(m,2H)、2.78〜2.87(m,8H)、3.47〜3.62(m,2H)、3.86(dd,1H)、5.25〜5.55(m,10H)。MS(エレクトロスプレー)(不イオン):345(M−H)
【0123】
生物学的試験
【実施例18】
【0124】
インビトロでのPPAR活性化の評価
アッセイは、HEK293細胞中に一過性トランスフェクションしたGAL4−DNA結合ドメイン−PPAR−LBD融合構築体と5xGAL4部位駆動性Photinus pyralisルシフェラーゼリポーター構築体を含む哺乳類1ハイブリッドアッセイ(mammalian−one−hybrid assays(M1H))を使用してインビトロで行った。
【0125】
細胞を4〜6時間トランスフェクションし、1晩増殖させた後、化合物を添加した。化合物を、16〜20時間インキュベーションした。
【0126】
実験精度を高めるために、構成的プロモーターで駆動されたRenilla reniformisルシフェラーゼを、内部対照として含めた。
【0127】
化合物(A〜C)および陽性対照を、6つの異なる濃度で、2つ組で試験した。陽性対照は、GW7647(PPARα)、GW501516(PPARδ)およびロシグリタゾン(PPARγ)であった。対照の効力を100%と設定した。
【化107】

【0128】
結果を表1に示す
【表1】

【実施例19】
【0129】
脂質異常症マウスモデル(APOE3Leidenトランスジェニックマウス)におけるインビボでの脂質代謝に対する効果の評価
この動物モデルは、血漿リポタンパク質レベルならびに抗高脂血症薬(スタチンおよびフィブラ−トなど)および栄養療法に対する応答に関するヒトの状態を表すことが証明されている。さらに、血漿コレステロールレベルに応じて、APOE3Leidenマウスは、細胞構成ならびに形態学的および免疫組織化学的特徴に関して、ヒトに見られるものと類似するアテローム性動脈硬化型病変を大動脈で発症する。
【0130】
雌のAPOE3Leidenマウスに、半合成西洋型食餌(WTD、15%カカオ脂、40%ショ糖および0.25%コレステロール;全てw/w)を摂らせた。この食餌により、血漿コレステロールレベルは穏やかに上昇して、およそ12〜15mmol/lのレベルに達した。4週間の導入期間後、マウスを、血漿コレステロール、トリグリセリドおよび体重(t=0)を一致させた、各群10匹の群に分けた。
【0131】
試験物質は西洋型食餌に混ぜて経口で投与した。化合物の混合を容易にするために、ヒマワリ油を添加して、合計油量を10mL/kg食餌とした。
【0132】
t=0および4週目に、4時間の絶食後に血液サンプルを採取し、血漿コレステロールおよびトリグリセリドを測定した。
【0133】
試験物質(A)は、0.3mmol/kg体重/日で試験した。参照物質(オメガ−3酸エチルエステル、Omacor(商標)、Lovaza(商標))は3.3mmol/kg体重/日で試験した。
【0134】
結果を図1に示す。
【実施例20】
【0135】
脂質異常症マウスモデル(APOE3Leiden.CETPトランスジェニックマウス)におけるインビボでの脂質代謝に対する効果の評価
APOE3Leiden.CETPトランスジェニックマウスは、ヒトコレステロールエステル輸送タンパク質がAPOE3Leidenトランスジェニックマウスに導入されたモデルである。これにより、さらにヒトに類似したリポタンパク質プロフィールが生じる。このモデルは、血漿HDLおよびトリグリセリドレベルに対する薬物の効果の試験に非常に適している。
【0136】
雌のAPOE3Leiden.CETPマウスに、半合成改変西洋型食餌(0.15%コレステロールおよび15%飽和脂肪、全てw/w)を摂らせた。この食餌により、血漿コレステロールレベルが穏やかに上昇して約13〜15mmol/lのレベルに達し、トリグリセリドレベルはおよそ3mmol/lに達した。4週間の導入期間後、マウスを、主に血漿コレステロール、トリグリセリドおよび体重と副次的にHDL−コレステロール(t=0)を一致させた、各群6匹の群に分けた。
【0137】
試験物質を西洋型食餌に混ぜて経口で投与した。
【0138】
t=0および4週目に、4時間の絶食後に血液サンプルを、採取し、血漿コレステロール、HDL−コレステロールおよびトリグリセリドを測定した。
【0139】
試験物質(A)は0.18mmol/kg体重/日で試験した。参照物質(フェノフィブラート)は10mg/kg体重/日で試験した。
【0140】
結果を図2および3に示す。
【実施例21】
【0141】
マウスモデル(APOE3Leiden.CETPトランスジェニックマウス)におけるインビボでのアテローム性動脈硬化発生に対する効果の評価
この動物モデルは、血漿リポタンパク質レベルならびに抗高脂血症薬(スタチン、フィブラ−トなど)および栄養療法に対する応答に関するヒトの状態を表すことが証明されている。APOE3Leiden.CETPマウスは、細胞構成ならびに形態学的および免疫組織化学的特徴に関して、ヒトに見られるものと類似するアテローム性動脈硬化型病変を大動脈で発症する。
【0142】
雌のAPOE3Leiden.CETPマウスに、0.15%コレステロールおよび15%飽和脂肪を有する西洋型食餌(WTD)を摂らせた;その結果、血漿コレステロールレベルが約13〜15mMとなった。WTDでの3週間の導入期間後、マウスを、各群15匹の4群、即ち、対照(処置なし)、化合物A、フェノフィブラートおよび低コレステロール食餌の群に分けた。群は、4時間の絶食後(t=0)に、体重、血漿総コレステロール(TC)、HDLコレステロール(HDL−C)およびトリグリセリド(TG)を一致させた。
【0143】
試験物質を西洋型食餌に混ぜて経口で投与した。化合物の混合を容易にするために、ヒマワリ油を添加し、総油容積を10mL/kg食餌とした。試験化合物(A)は、最初に0.1mmol/kg体重/日で試験し、4週間で0.04mmol/kg体重/日まで減少させた。最初の用量は、VLDL/LDLコレステロールを25〜30%まで減少させる必要投与量を確立するための先行の用量設定試験に基づいた。
【0144】
フェノフィブラートの投与量は、最初に10mg/kg体重/日とし、4.2mg/kg体重/日まで減少させた(化合物Aにより誘導されるVLDL/LDLの減少と平行化させるため)。
【0145】
t=0、4、8、12および14週目に、4時間の絶食後に血液サンプルを採取し、食物摂取量、総血漿コレステロール、HDLコレステロールおよびトリグリセリドおよびリポタンパク質プロフィールを測定した。大動脈根におけるアテローム性動脈硬化型発症(病変数、総病変領域および病変重症度)を試験の終わりに評価した。
【0146】
本発明は、示されている実施形態および実施例に限定されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、
は、C10〜C22アルキル基、1〜6個の二重結合を有するC10〜C22アルケニル基または1〜6個の三重結合を有するC10〜C22アルキニル基であり、
およびRは、同一または異なっており、水素原子、ヒドロキシ基、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アミノ基およびアルキルアミノ基から選択され、但し、RおよびRは両方が水素原子ではなく、または
およびRは、一緒にシクロアルキル基を形成し、
Xは、カルボン酸またはその誘導体である)
の脂質化合物またはその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、かかる塩の溶媒和物またはプロドラッグ。
【請求項2】
が、C10〜C22アルキル基である、請求項1に記載の脂質化合物。
【請求項3】
が、1〜6個の二重結合を有するC10〜C22−アルケニル基である、請求項1に記載の脂質化合物。
【請求項4】
1個の二重結合を有する、請求項1に記載の脂質化合物。
【請求項5】
2、3、4、5または6個の二重結合を有する、請求項1に記載の脂質化合物。
【請求項6】
が、3、4、5または6個の二重結合を有するC10〜C22−アルケニル基である、請求項1に記載の脂質化合物。
【請求項7】
二重結合が、メチレン中断型Z配置二重結合である、請求項1または6に記載の脂質化合物。
【請求項8】
が、少なくとも1個のZ配置での二重結合を有するC14〜C22アルケニル基であって、第1番目の二重結合を、炭素鎖のオメガ(ω)末端から第3番目の炭素−炭素結合に有する、請求項1に記載の脂質化合物。
【請求項9】
が、3、4、5または6個の二重結合を有するC18、C20またはC22アルケニル基から選択される、請求項1または8に記載の脂質化合物。
【請求項10】
式:
【化2】

の請求項1または9に記載の脂質化合物。
【請求項11】
式:
【化3】

の請求項1または9に記載の脂質化合物。
【請求項12】
が水素であり、Rがアルキル基であり、Xがカルボン酸である、請求項1または9〜11のいずれか1項に記載の脂質化合物。
【請求項13】
アルキル基がエチル基である、請求項12に記載の脂質化合物。
【請求項14】
式:
【化4】

の請求項1または9〜13のいずれか1項に記載の脂質化合物。
【請求項15】
Rエナンチオマーの形態で存在している、請求項14に記載の脂質化合物。
【請求項16】
Sエナンチオマーの形態で存在している、請求項14に記載の脂質化合物。
【請求項17】
式:
【化5】

の請求項1または9〜13のいずれか1項に記載の脂質化合物。
【請求項18】
式:
【化6】

の請求項1または9〜13のいずれか1項に記載の脂質化合物。
【請求項19】
式:
【化7】

の請求項1または9〜13のいずれか1項に記載の脂質化合物。
【請求項20】
式:
【化8】

の請求項1または9〜13のいずれか1項に記載の脂質化合物。
【請求項21】
が、1〜6個の三重結合を有するC10〜C22アルキニル基である、請求項1に記載の脂質化合物。
【請求項22】
オメガ−3脂肪酸である、請求項21に記載の脂質化合物。
【請求項23】
式(I)の化合物の塩が、
【化9】

(式中、XはCOOであり、ZはLi、Na、K、NH、プロトン化第1級アミン、プロトン化アミノピリジン、プロトン化第2級アミン、プロトン化第3級アミン、プロトン化グアニジンまたはプロトン化複素環から選択される);
【化10】

(式中、XはCOOであり、Z2+はMg2+、Ca2+またはジプロトン化ジアミンから選択される);または
【化11】

(式中、XはCOOであり、Zn+はプロトン化キトサン:
【化12】


である)
から選択される、請求項1〜22のいずれか1項に記載の脂質化合物。
【請求項24】
およびRは、独立して、水素原子、アルキル基またはアルコキシ基から選択される、請求項1〜23のいずれか1項に記載の脂質化合物。
【請求項25】
アルキル基が、メチル、エチルまたはプロピルである、請求項24に記載の脂質化合物。
【請求項26】
アルコキシ基が、メトキシまたはエトキシである、請求項24に記載の脂質化合物。
【請求項27】
およびRの一方が水素原子であり、RおよびRの他方がヒドロキシ基、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アミノ基およびアルキルアミノ基から選択される、請求項1に記載の脂質化合物。
【請求項28】
およびRが、同一または異なっており、ヒドロキシ基、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アミノ基から選択される、請求項1に記載の脂質化合物。
【請求項29】
がメチルであり、Rがエチルである、請求項28に記載の脂質化合物。
【請求項30】
およびRが同一であり、メチルまたはエチルから選択される、請求項28に記載の脂質化合物。
【請求項31】
が、少なくとも1つのZ配置での二重結合を有するC14〜C22アルケニル基であって、第1番目の二重結合を、炭素鎖のオメガ(ω)末端から第3番目の炭素−炭素結合に有する、請求項27〜30のいずれか1項に記載の脂質化合物。
【請求項32】
Xが、カルボン酸であるか、またはエステル、モノ−グリセリド、2−モノ−グリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドもしくはリン脂質の形態のカルボン酸誘導体である、請求項1〜31のいずれか1項に記載の脂質化合物。
【請求項33】
Xが、エチルエステルの形態のカルボン酸誘導体である、請求項32に記載の脂質化合物。
【請求項34】
R2およびR3がエチル基および水素であり、Xが2−モノ−グリセリドの形態のカルボン酸誘導体である、請求項32に記載の脂質化合物。
【請求項35】
Xがカルボン酸である、請求項32に記載の脂質化合物。
【請求項36】
ジアステレオマー、エナンチオマー、またはラセミ形態の混合物である、請求項1〜35のいずれか1項に記載の脂質化合物。
【請求項37】
(A)RがC10〜C22アルキルである飽和脂肪酸由来の脂質化合物;
(B)Rが1個の二重結合を有するC10〜C22アルキルである一価不飽和脂肪酸由来の脂質化合物;
(C)Rが5個の二重結合を有するC20アルケニルである多価不飽和脂肪酸由来の脂質化合物;
(D)Rが6個の二重結合を有するC22アルケニルである多価不飽和脂肪酸由来の脂質化合物;
(E)Rが3個の二重結合を有するC18アルケニルである多価不飽和脂肪酸由来の脂質化合物;
(F)Rが4個の二重結合を有するC15アルケニルである多価不飽和脂肪酸由来の脂質化合物;
(G)Rが5個の二重結合を有するC18アルケニルである多価不飽和脂肪酸由来の脂質化合物;
(H)Xがトリグリセリドの形態のカルボン酸である脂質化合物;
(I)Xがカルボン酸塩である脂質化合物;または
(J)1〜6個の三重結合を含み、RがC10〜C22アルキニルである脂質由来の脂質化合物
から選択される、請求項1に記載の脂質化合物。
【請求項38】
−OR、R、RおよびXに結合している炭素におけるRエナンチオマーの形態で存在している、請求項32に記載の脂質化合物。
【請求項39】
−OR、R、RおよびXに結合している炭素におけるSエナンチオマーの形態で存在している、請求項32に記載の脂質化合物。
【請求項40】
【化13】

2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエニルオキシ)ブタン酸;
【化14】

(R)−2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエニルオキシ)ブタン酸;
【化15】

(S)−2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエニルオキシ)ブタン酸;
【化16】

2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエニルオキシ)−2−メチルプロパン酸;
【化17】

2−((3Z,6Z,9Z,12Z)−ペンタデカ−3,6,9,12−テトラエニルオキシ)ブタン酸;
【化18】

2−((9Z,12Z,15Z)−オクタデカ−9,12,15−トリエニルオキシ)ブタン酸;
【化19】

2−エチル−2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエニルオキシ)ブタン酸、または
【化20】

である、請求項1に記載の脂質化合物。
【請求項41】
請求項1〜40のいずれか1項に記載の少なくとも1種の脂質化合物を含む、医薬組成物。
【請求項42】
薬学的に許容される担体、賦形剤もしくは希釈剤、またはその任意の組合せをさらに含む、請求項41に記載の医薬組成物。
【請求項43】
薬学的に許容される酸化防止剤をさらに含む、請求項41または42に記載の医薬組成物。
【請求項44】
経口投与用に製剤化される、請求項41〜43のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項45】
少なくとも1種の脂質化合物が1mg〜3gの範囲の1日用量で投与される、請求項41〜44のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項46】
1日用量が50mg〜1gの範囲である、請求項45に記載の医薬組成物。
【請求項47】
1日用量が50mg〜500mgの範囲である、請求項45に記載の医薬組成物。
【請求項48】
1日用量が10mg〜2gの範囲である、請求項45に記載の医薬組成物。
【請求項49】
1日用量が100mg〜1gの範囲である、請求項45に記載の医薬組成物。
【請求項50】
1日用量が100mg〜500mgの範囲である、請求項45に記載の医薬組成物。
【請求項51】
1日用量が100mg〜250mgの範囲である、請求項45に記載の医薬組成物。
【請求項52】
ゼラチンカプセル剤、錠剤またはサシェ剤の形態である、請求項41〜51のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項53】
薬物として使用するための、請求項41〜52のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項54】
請求項1〜40のいずれか1項に記載の少なくとも1種の脂質化合物を含む、脂質組成物。
【請求項55】
薬物として使用するための、請求項54に記載の脂質組成物。
【請求項56】
薬物として使用するための、請求項1〜40のいずれか1項に記載の脂質化合物。
【請求項57】
請求項1〜40のいずれか1項に記載の少なくとも1種の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、炎症を予防または処置する方法。
【請求項58】
請求項1〜40のいずれか1項に記載の少なくとも1種の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、関節リウマチを予防または処置する方法。
【請求項59】
請求項1〜40のいずれか1項に記載の少なくとも1種の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、炎症性腸疾患(IBD)を予防または処置する方法。
【請求項60】
請求項1〜40のいずれか1項に記載の少なくとも1種の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、アテローム性動脈硬化症を予防または処置する方法。
【請求項61】
請求項1〜40のいずれか1項に記載の少なくとも1種の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、糖尿病を予防または処置する方法。
【請求項62】
糖尿病がII型糖尿病である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
請求項1〜40のいずれか1項に記載の少なくとも1種の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、末梢インスリン抵抗性を予防または処置する方法。
【請求項64】
請求項1〜40のいずれか1項に記載の少なくとも1種の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、脂質異常症または混合脂質異常症を予防または処置する方法。
【請求項65】
脂質異常症が高トリグリセリド血症である、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
請求項1〜40のいずれか1項に記載の少なくとも1種の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、メタボリック症候群を予防または処置する方法。
【請求項67】
請求項1〜40のいずれか1項に記載の少なくとも1種の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、コレステロールを低下させる方法。
【請求項68】
コレステロールが、非HDLコレステロールである、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
コレステロールが、LDLおよび/またはVLDLである、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
請求項1〜40のいずれか1項に記載の少なくとも1種の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、HDLコレステロールを上昇させる方法。
【請求項71】
炎症の予防または処置のための、請求項1〜40のいずれか1項に記載の少なくとも1種の化合物の使用。
【請求項72】
炎症性腸疾患(IBD)の予防または処置のための、請求項1〜40のいずれか1項に記載の少なくとも1種の化合物の使用。
【請求項73】
関節リウマチの予防または処置のための、請求項1〜40のいずれか1項に記載の少なくとも1種の化合物の使用。
【請求項74】
アテローム性動脈硬化症の予防または処置のための、請求項1〜40のいずれか1項に記載の少なくとも1種の化合物の使用。
【請求項75】
糖尿病の予防または処置のための、請求項1〜40のいずれか1項に記載の少なくとも1種の化合物の使用。
【請求項76】
糖尿病がII型糖尿病である、請求項75に記載の使用。
【請求項77】
末梢インスリンの予防または処置のための、請求項1〜40のいずれか1項に記載の少なくとも1種の化合物の使用。
【請求項78】
脂質異常症または混合脂質異常症の予防または処置のための、請求項1〜40のいずれか1項に記載の少なくとも1種の化合物の使用。
【請求項79】
脂質異常症が高トリグリセリド血症である、請求項78に記載の使用。
【請求項80】
メタボリック症候群の予防または処置のための、請求項1〜40のいずれか1項に記載の少なくとも1種の化合物の使用。
【請求項81】
コレステロールを低下させるための、請求項1〜40のいずれか1項に記載の少なくとも1種の化合物の使用。
【請求項82】
コレステロールが非HDLコレステロールである、請求項81に記載の使用。
【請求項83】
コレステロールがLDLおよび/またはVLDLである、請求項81に記載の使用。
【請求項84】
HDLコレステロールを上昇させるための、請求項1〜40のいずれか1項に記載の少なくとも1種の化合物の使用。
【請求項85】
体重減少のための、請求項1〜40のいずれか1項に記載の少なくとも1種の化合物の使用。
【請求項86】
a)R−OHを、
【化21】

(式中、LGは脱離基である)と反応させるステップ、および
b)脂質化合物を単離するステップ
を含む、請求項1に記載の脂質化合物の製造方法。
【請求項87】
脱離基が、メシレート基、トシレート基、ヒドロキシ基またはハロゲン原子から選択される、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
保護ステップおよび脱保護ステップをさらに含む、請求項86に記載の方法。
【請求項89】
ステップa)が塩基の存在下で行われる、請求項86に記載の方法。
【請求項90】
塩基が水酸化ナトリウムである、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
ステップa)が光延条件下で行われる、請求項86に記載の方法。
【請求項92】
−OHが、最初にR−LG(式中、LGは脱離基である)に変換される、請求項86に記載の方法。
【請求項93】
a)(5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエン−1−オールをt−ブチル2−ブロモブチレートと反応させるステップ;
b)ステップa)で生じたエステルをカルボン酸に変換するステップ;および
c)2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエニルオキシ)ブタン酸を単離するステップ
を含む、2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエニルオキシ)ブタン酸の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2012−526094(P2012−526094A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−509111(P2012−509111)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【国際出願番号】PCT/IB2010/001251
【国際公開番号】WO2010/128401
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(504453362)プロノヴァ・バイオファーマ・ノルゲ・アーエス (10)
【氏名又は名称原語表記】Pronova BioPharma Norge AS
【住所又は居所原語表記】P.O.Box 420, 1327 Lysaker, Norway
【Fターム(参考)】