説明

心血管状態の薬理ゲノミクス治療のための方法およびシステム

遺伝的変異の、個体中のロスタフロキシンに関連する生物活性への影響に基づく方法およびシステムが本明細書で提供される。特に、KCNS3、THSD7A、FAM46A、LOC389970、HLA−GおよびTTC29からなる群から選択される遺伝子ならびに/あるいはそれらとの連鎖不平衝における遺伝的変異の、遺伝子間または遺伝子内領域中の1つまたは複数の多型のロスタフロキシンに対する個体応答への同定された影響に基づく、組成物、方法およびシステムが本明細書に記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本開示は、その各開示全体が参照により本明細書に組み込まれている、2009年10月19日出願の「心血管状態の薬理ゲノミクス治療のための方法およびシステム」と題された米国仮特許出願S/N61/253020号および2009年11月25日出願の「心血管状態の薬理ゲノミクス治療のための方法およびシステム」と題された欧州特許出願S/N09177111.3号に関連し、その優先権を主張する。
【0002】
本開示は、本明細書でロスタフロキシンとして総括して示される、17β−(3−フリル)−5β−アンドロスタン−3β,14β,17α−トリオールおよびその誘導体により形成されるクラスの化合物に関する。
【背景技術】
【0003】
ロスタフロキシンは、個体中で生物活性を有することが知られている化合物である。特に、ロスタフロキシンは、個体の心血管系に対して活性であることが示されており、動脈性高血圧、ならびにそれだけに限定されないが、心不全、冠動脈心疾患(CHD)、脳卒中および腎不全を含む関連器官合併症などの心血管障害の治療のために開発中である。
【0004】
より具体的には、ロスタフロキシンは、血圧、ならびにそれだけではないが、ウアバインまたはADD1、ADD2、ADD3などの細胞骨格のアデュシンをコードする遺伝子の遺伝的変異により引き起こされるNa−KポンプおよびSrcにおける変化を正常化する化合物であることが示された。
【0005】
さらに、ロスタフロキシンは、過度のタンパク尿、糸球体硬化症および腎不全を引き起こす有足細胞タンパク質における変化を正常化し、動脈切開および血管形成後の動脈狭窄を引き起こす生物学的過程(新生内膜形成および陰性リモデリング)に拮抗することができることが示された。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書では、いくつかの実施形態において、遺伝的変異の、ロスタフロキシンに対する個体の応答への影響に基づくロスタフロキシンの治療および/または分析への使用を可能にする、方法およびシステムが提供される。
【0007】
特に、KCNS3、THSD7A、FAM46A、LOC389970、HLA−GおよびTTC29からなる群から選択される遺伝子ならびに/あるいはそれらとの連鎖不平衝における遺伝的変異の、遺伝子間または遺伝子内領域中の1つまたは複数の多型のロスタフロキシンに対する個体応答への同定された影響に基づく、組成物、方法およびシステムが本明細書に記載される。前記領域は、ヒトにおける心血管状態、遺伝的素因または薬物応答と多少なりとも相関することが以前は知られていなかった。
【0008】
より具体的には、本明細書に記載の組成物、方法およびシステムは、rs2345088、rs16877182、rs16893522、rs2461911、rs5013093およびrs12513375からなる群から選択される1つまたは複数の多型(本明細書ではコアSNPとも呼ばれる)、ならびに/あるいはそれらとの連鎖不平衝における遺伝的変異の、ロスタフロキシンに対する個体応答への同定された影響に基づく。
【0009】
第1の態様によると、rs2345088、rs16877182、rs16893522、rs2461911、rs5013093およびrs12513375からなる群から選択される少なくとも1つの多型、ならびに/あるいはそれらとの連鎖不平衝における遺伝的変異の保有者となるよう選択された個体の心血管状態の治療または予防に使用するためのロスタフロキシンが記載されている。一実施形態では、個体の心血管状態を治療または予防する方法が記載されている。本方法は、rs2345088、rs16877182、rs16893522、rs2461911、rs5013093およびrs12513375からなる群から選択される少なくとも1つの多型、ならびに/あるいはそれらとの連鎖不平衝における遺伝的変異の保有者であることが決定された前記個体にロスタフロキシンを投与または処方するステップを含む。
【0010】
第2の態様によると、0.005mg/日〜5mg/日の用量の医薬品として使用するためのロスタフロキシンが記載されている。特に、rs2345088、rs16877182、rs16893522、rs2461911、rs5013093およびrs12513375の少なくとも1つ、ならびに/あるいはそれらとの連鎖不平衝における遺伝的変異を含む遺伝子型を有するよう選択された個体を治療するための、0.005mg/日〜5mg/日の用量のロスタフロキシンの使用が記載される。特に、一実施形態では、ロスタフロキシンにより個体を治療する方法が記載される。本方法は、rs2345088、rs16877182、rs16893522、rs2461911、rs5013093およびrs12513375の少なくとも1つ、ならびに/あるいはそれらとの連鎖不平衝における遺伝的変異を含む遺伝子型を有することが決定された個体に、0.05mg/日〜5mg/日、特に0.05mg/日〜0.5mg/日の用量のロスタフロキシンを投与または処方するステップを含む。
【0011】
第3の態様によると、個体のためのロスタフロキシンによる治療を評価する方法およびシステムが開示される。本方法は、rs2345088、rs16877182、rs16893522、rs2461911、rs5013093およびrs12513375からなる群から選択される少なくとも1つの多型、ならびに/あるいはそれらとの連鎖不平衝における遺伝的変異についての情報を個体配列中で検出するステップと、検出された配列情報に基づいて個体におけるロスタフロキシンによる治療を決定するステップとを含む。特に、配列情報は、個体の単離DNAサンプルまたは配列情報を提供するのに適した個体の他の単離サンプル中から検出することができる。本システムは、rs2345088、rs16877182、rs16893522、rs2461911、rs5013093およびrs12513375からなる群から選択される少なくとも1つの多型、ならびに/あるいはそれらとの連鎖不平衝における遺伝的変異のためのプローブと;0.005mg〜5mg/kg、特に0.005mg/日〜0.5mg/日の用量のロスタフロキシンおよび薬学的に許容される媒体を含む医薬組成物とを含む。
【0012】
第4の態様によると、個体中のロスタフロキシンに対する応答を予測する方法およびシステムが開示される。本方法は、KCNS3、THSD7A、FAM46A、LOC389970、HLA−GおよびTTC29からなる群から選択される遺伝子の遺伝子間または遺伝子内領域についての個体の遺伝子型を検出するステップと、検出された遺伝子型を、rs2345088、rs16877182、rs16893522、rs2461911、rs5013093およびrs12513375からなる群から選択される少なくとも1つの多型を含む、ロスタフロキシンに対する既知の応答に関連する以前に同定された遺伝子型と比較するステップとを含む。本システムは、rs2345088、rs16877182、rs16893522、rs2461911、rs5013093およびrs12513375からなる群から選択される少なくとも1つの多型のためのプローブと、プローブハイブリダイゼーションの結果および以前に同定された遺伝子型を関連付けるルックアップテーブルとを含む。特に、遺伝子型の検出は、個体の単離DNAサンプルまたは遺伝子型に関する情報を提供するのに適した個体の他の単離サンプルから行うことができる。本方法およびシステムでは、個体中で同定された遺伝子型がロスタフロキシン応答と関連する同一の遺伝子型である場合、ロスタフロキシンに対する個体の応答は、既知の応答であると予測される。
【0013】
第5の態様によると、KCNS3、THSD7A、FAM46A、LOC389970、HLA−GおよびTTC29からなる群から選択される遺伝子の遺伝子間または遺伝子内領域中の一塩基多型(SNP)を検出する方法およびシステムが開示される。特に、遺伝子型の検出は、個体の単離DNAサンプルまたは遺伝子型に関する情報を提供するのに適した個体の他の単離サンプルから行うことができる。本システムは、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9および配列番号11のヌクレオチド配列のいずれか1つにおける一塩基多型(SNP)を含む核酸分子と特異的にハイブリダイズする単離ポリヌクレオチドと、緩衝液と、酵素とを含む。本方法は、KCNS3、THSD7A、FAM46A、LOC389970、HLA−GおよびTTC29からなる群から選択される遺伝子の遺伝子間または遺伝子内領域を含むゲノムフラグメントを、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9および配列番号11からのヌクレオチド配列の少なくとも1つまたはこれらの一部のための一塩基特異的プローブと接触させるステップを含む。特に、接触は、個体の単離ゲノムフラグメントまたはゲノムフラグメントに関する情報を提供するのに適した個体の他の単離サンプルに行うことができる。
【0014】
第6の態様によると、ヌクレオチドの1つが配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10および配列番号12中のヌクレオチド配列のいずれか1つ、またはそれらの相補配列から選択される一塩基多型(SNP)である、少なくとも約100個の隣接ヌクレオチドを含む単離核酸分子が開示される。
【0015】
第7の態様によると、心血管状態を治療的または予防的に処理するのに有用な薬剤を同定する方法およびシステムが開示される。
【0016】
本方法は、候補薬剤を用意するステップと、候補薬剤を、rs2345088、rs16877182、rs16893522、rs2461911、rs5013093およびrs12513375からなる群から選択される少なくとも1つの多型、ならびに/あるいはそれらとの連鎖不平衝における遺伝的変異を保有する個体に投与するステップと、前記候補薬剤に対する個体応答を検出するステップとを含む。
【0017】
本明細書に記載の方法およびシステムは、いくつかの実施形態において、心血管状態、特に、高血圧の治療の成功率を、現在の30〜40%から約80%まで増加させることを可能にする。
【0018】
本明細書に記載の方法およびシステムは、いくつかの実施形態において、未治療個体における、心血管状態、特に、高血圧の治療の成功率を増加させることを可能にする。
【0019】
本明細書に記載の方法およびシステムは、いくつかの実施形態において、レスポンダー個体を選択し、有効用量および結果として考えられる望ましくない副作用を減少させることにより、利用可能な治療と比較して有害事象および副作用の割合を減少させるために使用することができる。
【0020】
本明細書に記載の方法およびシステムは、個体中のロスタフロキシンの任意の活性に関連する医学的、診断的、化粧用および薬理学的適用などの任意の適用に関連して適用することができる。
【0021】
本開示の1つまたは複数の実施形態の詳細は、添付の図面および以下の説明で示される。他の特徴、目的および利点は、説明および図面から、ならびに特許請求の範囲から明らかとなろう。
【0022】
本明細書に組み込まれており、その一部を構成する添付の図面は、本開示の1つまたは複数の実施形態を説明し、詳細な説明および実施例と共に、本開示の原理および実施を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】ロスタフロキシンおよびプラセボで処理した個体に対して行った遺伝的記述分析に関連して検出されたガウス分布を示す図である。特に、パネルAは、ロスタフロキシンおよびプラセボ、すなわち両者(全患者)による処理の5週間後の個体における血圧変化(DSBP5_0)の分布を説明する図を示す。パネルBは、ロスタフロキシン(ロスタフロキシン)による処理の5週間後の個体における血圧変化(DSBP5_0)の分布を説明する図を示す。パネルCは、プラセボ(プラセボ)による処理の5週間後の個体における血圧変化(DSBP5_0)の分布を説明する図を示す。
【図2】ロスタフロキシンで処理した個体に対して行った遺伝的記述分析に関連して検出されたガウス分布を示す図である。特に、三分位値に細分した図1Bに示すロスタフロキシンによる処理の5週間後の血圧変化(DSBP5_0)の分布を説明する図である。
【図3】ロスタフロキシンで処理した個体に対して行った遺伝的記述分析に関連して行った統計解析の結果を示す図である。特に、個体間の遺伝的関連性を説明するために、193人の患者についてのEigensoftの主成分分析の変動の上位2軸(PCA1およびPCA2)を示す図である。各点は、個体を表す。プロットにおいて、ゼロ付近に分布する個体の軽い不均一なクラスター形成が検出可能である。
【図4】プラセボおよび本明細書に開示のいくつかの実施形態によるSNPの治療についてのGXE関連結果の結果を説明する図である。パネルAでは、プロットのY軸は、有意なP値(−logP値)を表し、X軸は、ゲノム中の位置を表す。各点は、SNPを表し、特に、赤い点は、有意なP値(P<10−4)を有するSNPを表す。パネルBは、実測P値対GXT関連検定によりもたらされた期待P値の分布の比較を示す(Q−Qプロット)。分布の尾部における膨張は、真陽性関連を表す。
【図5】本開示のいくつかの実施形態によるロスタフロキシンについてのSNPの相互作用の遺伝子型の選択のためのステップを説明する図である。特に、示されているように、ロスタフロキシンおよびプラセボで処理した個体における血圧変化(DSBP5_0)に関して、rs8899とrs4678の異なる遺伝子型間の相互作用をそれぞれ報告する図である。
【図6】本明細書に開示のいくつかの実施形態によるロスタフロキシンに対する応答に影響を及ぼす遺伝子型を選択するために行われる代表的な単変量解析を示す図である。
【図7】1つの仮定のSNPの異なる遺伝子型とロスタフロキシンおよびプラセボによる血圧変化(DSBP5_0)の間の代表的な相互作用を説明する図である。
【図8】本明細書に記載のいくつかの実施形態による遺伝子プロファイルに関する代表的なデータの概要を示す図である。
【図9】本明細書に記載のいくつかの実施形態による血管、腎臓および神経調節に関連する選択された遺伝子の概要を示す図である。
【図10】伝統的アプローチおよび薬理ゲノミクスアプローチの有効性ならびに安全性に関するデータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書では、遺伝的変異の、個体中のロスタフロキシンに関連する生物活性への影響に基づく方法およびシステムが提供される。
【0025】
特に、本明細書で提供される方法およびシステムは、KCNS3、THSD7A、FAM46A、LOC389970、HLA−GおよびTTC29からなる群から選択される遺伝子ならびに/あるいはそれらとの連鎖不平衝における遺伝的変異の、遺伝子間または遺伝子内領域中の多型に基づく。
【0026】
より具体的には、本明細書に記載の組成物、方法およびシステムは、rs2345088、rs16877182、rs16893522、rs2461911、rs5013093およびrs12513375からなる群から選択される1つまたは複数の多型、ならびに/あるいはそれらとの連鎖不平衝における遺伝的変異の、ロスタフロキシンに対する個体応答への同定された影響に基づく。
【0027】
本明細書で使用する「遺伝的変異」または「多型」という表現は、個体の集団における遺伝的多様性を示し、特に、DNAまたは染色体の領域の変化した状態である。代表的な多型は、VNTR(タンデム反復数、ミニサテライトおよびマイクロサテライトとしても知られている)、塩基対置換、塩基対挿入、塩基対欠失、核型における変化(異数性、倍数性)および染色体再配列(欠失、転座、逆位)を含む。
【0028】
本明細書で使用する「ロスタフロキシン」という用語は、17β−(3−フリル)−5β−アンドロスタン−3β,14β,17α−トリオールおよびその誘導体により形成されるクラスの化合物のいずれか1つを示す。より具体的には、ロスタフロキシン化合物は、式Iの化合物を含む。
【化1】

(I)
式中、記号
【化2】

は、17位の置換基がαまたはβ立体配置を有し得ることを意味し;記号
【化3】

は、一重結合または二重結合を表し;3位の
【化4】

が二重結合である場合、Yは酸素またはグアニジノイミノであり;3位の
【化5】

が一重結合であり、αまたはβ立体配置を有し得る場合、Yは水素、ORまたはSRであり;
Rは、未置換もしくは置換3−フリルまたは4−ピリダジニル基であり;
は、水素;メチル;エチルまたはOHもしくはNRにより置換されたn−プロピルであり;
は、水素である、またはRと共にオキシラン環の結合であり;
は、水素である、またはRと共にオキシラン環の結合であり;
は、水素;メチル;C2〜C6アルキルまたはC3〜C6アルケニルまたはC2〜C6アシルであり、これらのアルキル、アルケニルおよびアシル基は、未置換である、あるいは第四級アンモニウム基または1個もしくは複数のOR、NR、ホルミル、アミジノ、グアニジノイミノにより、またはNRおよびヒドロキシにより置換されており;
、Rは、独立に、水素;メチル;未置換または1個のNR1011もしくはNR1011およびヒドロキシにより置換されたC2〜C6アルキルである、またはRおよびRは、窒素原子と共に、任意選択により、酸素または硫黄または窒素から選択される別のヘテロ原子を含む、未置換もしくは置換の飽和または不飽和ペンタ−あるいはヘキサ−モノ複素環を形成し;
は、水素、メチルまたはC2〜C4アルキルであり、このアルキルは、未置換である、あるいは1個もしくは複数のNR1011により、またはNR1011およびヒドロキシにより置換されており;
、Rは、独立に、水素;メチル;C2〜C6アルキルまたはC3〜C6アルケニルであり、これらのアルキルおよびアルケニル基は、未置換である、または1個もしくは複数のNR1011またはNR1011およびヒドロキシにより置換されている、またはRおよびRは、窒素原子と共に、任意選択により、酸素または硫黄または窒素から選択される別のヘテロ原子を含む、未置換もしくは置換の飽和または不飽和ペンタ−あるいはヘキサ−モノ複素環を形成し、またはRは水素でありRはアミジノであり;
10、R11は、独立に、水素、C1〜C6アルキルであり、またはR10およびR11は、窒素原子と共に、飽和もしくは不飽和ペンタ−またはヘキサ−モノ複素環を形成する。
【0029】
特に、本明細書で使用するロスタフロキシンという用語は、式(I)の化合物の全ての可能な立体異性体、特にZおよびE異性体、光学異性体およびこれらの混合物、ならびに代謝産物および代謝前駆物質を含む。
【0030】
本明細書で使用する「誘導体」という用語は、式(I)の化合物に関連する生物活性の少なくとも1つを保持する、化学修飾された式(I)の化合物を示す。化学修飾には、例えば、アルキル、アシル、ヒドロキシまたはアミノ基による水素の置換、および当業者により同定可能な追加の修飾が含まれ得る。
【0031】
米国特許第5591734号、Bianchi等、2003およびQuadri等、1997[Ref.4、5]ならびにロスタフロキシン化合物の合成および生物活性について記載している関連補足情報(それぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれている)も参照される。
【0032】
ロスタフロキシンに関連する追加の生物活性は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、Ferrari P.等、1998[Ref.6]に記載されている。
【0033】
ロスタフロキシンに関連して本明細書で使用する「生物活性」という表現は、生体に対するロスタフロキシンのもしくはロスタフロキシンに関する任意の効果の質または状態を示す。ロスタフロキシンの生物活性には、それだけに限定されないが、ウアバイン高血圧効果の選択的阻害、ウアバインにより引き起こされるNa−KポンプおよびSrcにおける変化の正常化、ならびに内因性ウアバインレベルの付随する増加とNa−KポンプおよびSrcにおける変化により持続される高血圧の形態の正常化が含まれる。特に、ロスタフロキシンの生物活性には、アデュシンまたは内因性ウアバインの合成および輸送に関与する他の酵素をコードする遺伝子の遺伝的変異に関連する高血圧効果の選択的拮抗作用、アデュシン遺伝的変異により引き起こされるNa−KポンプおよびSrcにおける変化の正常化[Ref.1、2、3]、ならびにアデュシン遺伝的変異とNa−KポンプおよびSrcにおける変化の付随する効果により持続される高血圧の形態の正常化が含まれる。ロスタフロキシンの生物活性には、それだけに限定されないが、過度のタンパク尿、糸球体硬化症および腎不全を引き起こす有足細胞タンパク質の変化の正常化、ならびに動脈切開および血管形成後の動脈狭窄を引き起こす生物学的過程の拮抗作用、ならびに本開示を読めば当業者により同定可能な追加の活性が含まれる。
【0034】
本開示に記載されるように、ロスタフロキシンに関連する生物活性は、個体中の遺伝的変異により影響されるので、いくつかの実施形態では、ロスタフロキシンによる治療は、遺伝的変異を示していない個体で誘発される生物活性と比較して、増強した生物活性をもたらす。
【0035】
さらに、ロスタフロキシン活性は用量依存的であるので、本明細書に記載の方法およびシステムは、いくつかの実施形態で、考えられる副作用を対応して減少させながら遺伝的変異を保有する個体へのロスタフロキシンの有効な投与を可能にする。
【0036】
個体中のロスタフロキシンに関連する検出可能な生物活性は、ロスタフロキシンに対する個体の応答を定義する。生物活性は、当業者により同定可能な方法および技術により検出することができ、それには、それだけに限定されないが、生物活性に関連するバイオマーカーの検出、ならびにバイタルサインおよび特に個体の血圧に関連した個体中の生物活性に関連する他の臨床情報の検出が含まれる。
【0037】
本開示のいくつかの実施形態では、本開示による遺伝的変異を保有する個体へのロスタフロキシンの投与が、個体中のロスタフロキシンに対する改善された応答をもたらす。
【0038】
特に、本開示の意味における「改善された応答」は、個体中で検出されるロスタフロキシンの増強された活性を示し、それは、いくつかの実施形態で、高血圧の予防、血圧の低下、血圧の正常化、ならびに高血圧に関連する心血管、腎臓、血管、眼および神経の損傷または合併症の予防を含む。特に、改善された応答は、いくつかの実施形態で、治療開始前に個体で測定した血圧と比較して約23mmHg〜約12mmHgの平均オフィス収縮期血圧低下により定義することができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、改善された応答は、それぞれ治療開始前に個体で測定した血圧と比較して少なくとも約15mmHgおよび約9mmHgの個体のオフィス収縮期血圧および/または夜間血圧の平均的低下により定義することができる。また、いくつかの実施形態では、改善された応答は、ヒドロクロロチアジド(HCTZ)またはロサルタンなどの他の降圧薬の投与後に個体で検出される対応する平均的低下よりも有意に大きい(例えば、40%以上大きい)オフィス収縮期血圧および/または夜間血圧の平均的低下により定義することができる。
【0040】
血圧に関連して本明細書で使用する「平均的低下」または「平均的降下」という用語は、検出すべき血圧(例えば、夜間血圧またはオフィス血圧)を考慮して医学的ガイドラインにしたがって決定した所定量の時間で個体に行った血圧測定のセットの中央値または期待値の基準である低下を示す。平均的低下を計算するための血圧測定の中心傾向の測定として使用することができる測定の特定のタイミングおよび記述統計は、本開示を読めば当業者により同定可能である。
【0041】
本明細書で使用する「オフィス血圧」という用語は、血圧計、電子BPレコーダーまたは当業者により同定可能な追加の機器などの適当な機器により、外来で医師によって測定される血圧レベルを示す。
【0042】
本明細書で使用する「夜間血圧」という用語は、特にHolter法による電子血圧レコーダーまたは当業者により同定可能な追加の機器などの適当な機器により、夜間、典型的には午後12時〜午前6時に記録される血圧レベルを示す。
【0043】
本明細書で使用する「ヒドロクロロチアジド」という用語は、腎臓が水を保持する能力を阻害することにより作用し、式6−クロロ−1,1−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,2,4−ベンゾチアジアジン−7−スルホンアミドを有するチアジドクラスの第一選択利尿薬を示す。
【0044】
本明細書で使用する「ロサルタン」という用語は、式(2−ブチル−4−クロロ−1−{[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル}−1H−イミダゾール−5−イル)メタノールを有する、主として高血圧を治療するために使用されるアンジオテンシンII受容体拮抗薬を示す。
【0045】
本開示によると、ロスタフロキシンに対する個体の応答は、特定の遺伝的変異により、特に、個体の遺伝子型において検出可能な一塩基多型により影響される。本明細書で使用する「一塩基多型」または「SNP」という用語は、点突然変異とも呼ばれる単一の塩基対置換により形成される遺伝的変異を示す。本開示によると、SNPまたは点突然変異は、遺伝子の遺伝子内領域(例えば、遺伝子のイントロンまたはエキソン領域)、または遺伝子に隣接し、典型的には、調節機能を有するもしくは未知の機能を有するゲノム領域から構成されている遺伝子間領域に位置することができる。
【0046】
本明細書で使用する「個体」という用語は、高等動物、特に、哺乳動物などの脊椎動物、より具体的にはヒトなどの一個の生物学的生物体を示す。
【0047】
本明細書で使用する「遺伝子型」という用語は、考えられる遺伝的変異の各々についての相同染色体上に位置する対立遺伝子の組み合わせを示す。特に、本開示において、特定の遺伝子または位置についての遺伝子型1(g1)は、その特定の遺伝子または位置についてのホモ接合性のより低頻度の遺伝子型との関連を示し、特定の遺伝子または位置についての遺伝子型2(g2)は、その特定の遺伝子または位置についてのホモ接合性遺伝子型との関連を示し、特定の遺伝子または位置についての遺伝子型3(g3)は、その特定の遺伝子または位置についてのホモ接合性のより高頻度の遺伝子型との関連を示す。
【0048】
いくつかの実施形態では、個体中のロスタフロキシン活性に影響を及ぼす遺伝的変異は、rs2345088、rs16877182、rs16893522、rs2461911、rs5013093およびrs12513375からなる群から選択される少なくとも1つのSNP(本明細書では「コアSNP」とも示される)、ならびに/あるいはそれらとの連鎖不平衝における遺伝的変異を含む。コアSNPならびに他のSNPは、本明細書において、通常、国立生物工学情報センター(NCBI)により確立されたdbSNP rsID識別子を使用して示され、例えば、本出願の出願日におけるhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/で入手可能である。本明細書で使用する「連鎖不平衝」という表現は、必ずしも同一染色体上ではない、2つ以上の遺伝子座の対立遺伝子の非ランダムな関係を示し、対立遺伝子または遺伝子マーカーのいくつかの組み合わせが、頻度に基づいて対立遺伝子からのハプロタイプのランダム形成から期待されるよりも集団においてより高頻度またはより低頻度で起こる状態に関する。異なる遺伝子座の多型間の非ランダムな関係は、連鎖不平衝(LD)の程度により測定される。本開示中に示される連鎖不平衝における遺伝的変異は、0.9〜1に及ぶ連鎖不平衝の程度r2を有し、本開示を読めばGenBankソースを使用して当業者により同定可能であり得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、遺伝的変異の、ロスタフロキシンに対する個体の応答への影響が、本明細書に記載のロスタフロキシン治療を実施または評価するための方法において考慮される。本明細書で使用する「治療」、「治療上の」、「治療上」および関連する用語は、個体の状態の治療または予防のまたはそれに関連する項目を示し、特に、ロスタフロキシンに言及する場合には、個体中のロスタフロキシンに関連する任意の生物活性に関連する状態の治療もしくは予防のまたはそれに関連する項目を示す。
【0050】
本明細書で使用する「状態」という用語は、通常、完全な物理的、精神的およびおそらくは社会的幸福の状態と関連する個体の(全体としてまたはその部分の1つもしくは複数の)物理的状態に一致しない、個体の(全体としてまたはその部分の1つもしくは複数の)体の物理的状態を示す。本明細書に記載の状態は、それだけに限定されないが、障害および疾患を含み、ここでは「障害」という用語は、体またはその部分のいずれかの機能的異常に関連する、生きている個体の状態を示し、「疾患」という用語は、体またはその部分のいずれかの正常な機能を損ない、徴候および症状を識別することにより典型的に示される、生きている個体の状態を示す。代表的な状態には、それだけに限定されないが、傷害、能力障害、障害(精神的および物理的障害を含む)、症候群、感染症、個体の逸脱行動、ならびに個体の体またはその部分の構造および機能の非定型変異が含まれる。
【0051】
2つの項目に関連して本明細書で使用する「関連する」という表現は、第1項目の発生に第2項目の発生が伴うような2つの項目間の関係を示し、それだけに限定されないが、因果関係および徴候/症状−疾患関係を含む。
【0052】
個体中のロスタフロキシンに関連する生物活性に関連する状態には、それだけに限定されないが、心血管状態(例えば、原発性高血圧を含む高血圧、心肥大、血管抵抗増加および動脈再狭窄)、腎不全、糸球体硬化症、タンパク尿、多発性嚢胞腎、網膜障害、脳血管障害、メニエール症候群、認知障害、双極性障害、および心不全、脳卒中、虚血、網膜障害などの原発性高血圧に関連する心血管系合併症、および当業者により同定可能な追加の状態が含まれる。
【0053】
「原発性高血圧」という表現は、産業化社会の成人集団の25〜30%に影響を及ぼす臨床状態を示し、その心臓、脳および腎臓の合併症を通して、健康負担および医療費の大部分の原因であり、血圧のレベルおよび当業者により同定可能な関連する血管、網膜の合併症の存在に基づく高血圧のグレードI、II、III、IVを含む。
【0054】
本明細書で使用する「治療」という用語は、診療の一部としての、または医学的にもしくは外科的に状態を扱う任意の活動を示す。本明細書で使用する「予防」という用語は、個体の状態から死亡率または罹患率の負担を減少させる任意の活動を示す。これは、一次、二次および三次予防レベルで行われる。ここでは、a)一次予防は、疾患の進行を回避し;b)二次予防活動は、疾患の早期治療を目標とし、それによって疾患の進行および症状の出現を防止するための介入の機会を増加させ;そして、c)三次予防は、機能を回復させ、疾患に関連する合併症を減少させることにより、既に確定した疾患の負の影響を減少させる。
【0055】
特に、いくつかの実施形態では、個体の遺伝子型のSNPに関する情報が、個体の心血管状態を治療または予防する方法として使用される。これらの実施形態では、ロスタフロキシンが、コアSNP rs2345088、rs16877182、rs16893522、rs2461911、rs5013093およびrs12513375からなる群から選択される少なくとも1つの多型、またはそれらとの連鎖不平衝における遺伝的変異の保有者であることが決定された個体に投与または処方される。
【0056】
特に、いくつかの実施形態では、コアSNPの1つまたは複数を保有する個体は、個体中のロスタフロキシンに対する改善された応答を示し、これは、実施例の節で広く説明するように、少なくとも15mmHgのプラセボによる処理に関して治療後に測定される個体の血圧の平均的低下により形成される定量的表現型(DSBP5_0)に基づいて計算することができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、定量的表現型DSBP5_0に基づいて、コアSNPの1つまたは複数を保有する個体は、未治療患者において、HCTZまたはロサルタンなどの他の降圧薬により得られる平均的血圧降下よりも、約40%以上、特に約40%〜50%以上であるロスタフロキシンにより得られる平均的血圧降下(治療前の値と比較して有意な)の大きさにより定義される改善された応答を示す。
【0058】
いくつかの実施形態では、コアSNPの1つまたは複数を保有する個体は、個体中のロスタフロキシンに対する改善された応答性を示し、これは、実施例の節で広く説明するように、少なくとも9mmHgのプラセボによる処理に関して治療後に測定される個体の夜間血圧における平均的低下により形成される定量的表現型(DSBP5_0)に基づいて計算することができる。
【0059】
さらに、DSBP5_0は、実施例の節で報告される統計的および実験的解析の定量的表現型であるので、血圧の平均的降下により定義されるロスタフロキシンに対する改善された応答は、バイオマーカーまたは血圧測定以外の臨床情報を使用して検出可能なロスタフロキシンに関連する任意の生物活性により定義される任意の改善された応答を代表すると考えられる。そのため、バイオマーカーまたは血圧測定以外の臨床情報を使用して検出可能なロスタフロキシンの生物活性により定義される改善された応答は、本開示の範囲内に含まれ、当業者により同定可能である。
【0060】
本明細書に記載の方法およびシステムのいくつかの実施形態では、ロスタフロキシンに対する改善された応答は、以下のコアSNPの1つまたは複数を保有する個体にロスタフロキシンを投与または処方することにより達成される:6番染色体の位置18079898中のヌクレオチドCまたはT(rs2345088)、7番染色体の位置11753617中のヌクレオチドCまたはT(rs16877182)、6番染色体の位置82560511中のヌクレオチドGまたはA(rs16893522)、10番染色体の位置57078480中のヌクレオチドGまたはA(rs2461911)、6番染色体の位置29928565中のヌクレオチドCまたはT(rs5013093)、および4番染色体の位置148244380中のヌクレオチドTまたはG(rs12513375)。
【0061】
本明細書に記載の方法およびシステムのいくつかの実施形態では、ロスタフロキシンは、単独でまたは互いに組み合わせた、以下の遺伝子型の少なくとも1つの保有者である個体に投与または処方される:rs2345088については遺伝子型TTまたは遺伝子型1、rs16877182については遺伝子型C/Tまたは遺伝子型2、rs16893522については遺伝子型AAまたは遺伝子型1、rs2461911については遺伝子型AAまたは遺伝子型1、rs5013093については遺伝子型TTまたは遺伝子型1、およびrs12513375については遺伝子型TTまたは遺伝子型1。
【0062】
特に、単独でまたは互いに組み合わせた上記SNPのいずれかについての少なくとも1つの関連遺伝子型の存在は、用量または遺伝子型の組み合わせにしたがって、23〜12mmHgに及ぶ個体のDSBNP5_0平均的収縮期血圧低下に関連する(プロファイルは実施例の節を参照されたい)。
【0063】
いくつかの実施形態では、コアSNPの1つもしくは複数および/またはそれらとの連鎖不平衝における遺伝的変異は、個体中のロスタフロキシンに対する応答にも影響を及ぼし、実施例の節で詳細に記載するCAND1、CAND2およびGWSとして同定されるSNPにより例示される1つまたは複数の追加の遺伝的変異と関連し得る。特に、個体中のロスタフロキシンに対する応答に影響を及ぼす追加の遺伝的変異は、アデュシン発現ならびに内因性ウアバイン(EO)合成および輸送に直接的または間接的に関与する遺伝子の群を含む。これらの遺伝子には、それだけに限定されないが、ADD1、ADD2、ADD3、LSS、CYP11A1、HSD3B1−2、SLCO4C1、MDR1および関連する多型などのCAND1遺伝子が含まれる。
【0064】
本明細書に記載の方法およびシステムのいくつかの実施形態では、ロスタフロキシンに対する改善された応答は、単独のまたはコアSNP:rs4961、rs4984、rs3731566、rs914247およびrs1045642と組み合わせた以下の追加の関連CAND1 SNPの、ならびに/あるいはそれらとの連鎖不平衝における遺伝的変異の少なくとも1つを保有する個体への、ロスタフロキシンの投与または処方と関連して検出される。
【0065】
特に、本明細書に記載の方法およびシステムのいくつかの実施形態では、ロスタフロキシンに対する改善された応答は、単独のまたはコアSNPについての遺伝子型:rs4961についてはGT、rs4984についてはCT、rs3731566についてはAG、rs914247についてはGAおよびrs1045642についてはTCと組み合わせた以下のCAND1遺伝子型の少なくとも1つの保有者である個体へのロスタフロキシンの投与または処方と関連して検出される。特に、ロスタフロキシンに対する改善された応答は、rs914247についてのCAND1遺伝子型AAの保有者である個体へのロスタフロキシンの投与または処方と関連して検出される。
【0066】
本明細書に記載の方法およびシステムのいくつかの実施形態では、ロスタフロキシンに対する改善された応答は、単独のまたはコアSNP:rs242093、rs1996396、rs10503806、rs13251780、rs17430706、rs10102024、rs526302、rs544104、rs3102087、rs5183、rs3772627、rs2276736、rs2131127、rs3741559、rs2217342、rs10927888、rs6604909、rs945403、rs7117314、rs10790212、rs11216598、rs910682、rs13218316、rs4309483、rs13280307、rs4739037、rs17596774、rs2728108、rs17786456、rs7696304、rs2725222、rs17199565、rs2758152、rs1057293、rs16960712、rs759359、rs404214、rs1005213、rs17025453、rs2110923、rs1428571、rs435404、rs12908787、rs11647727、rs880054およびrs11064584と組み合わせた以下の追加の関連CAND2 SNPの、ならびに/あるいはそれらとの連鎖不平衝における遺伝的変異の少なくとも1つを保有する個体への、ロスタフロキシンの投与または処方と関連して検出される。
【0067】
本明細書に記載の方法およびシステムのいくつかの実施形態では、ロスタフロキシンに対する改善された応答は、単独のまたはコアSNP:rs12996186、rs9893372、rs7216331、rs7521668、rs188334、rs4998662、rs16893522、rs6457110、rs3893464、rs2517718、rs1362126、rs5013093、rs2345088、rs6718282、rs721207、rs2555500、rs2461911、rs8179654、rs1901139、rs2427832、rs9361863、rs1998394、ga001619、rs2275531、rs748140、rs4710592、rs2743951、rs10159569、rs3087816、rs10493940、rs16877182、rs2326912、rs1110446、rs12513375、rs17414954と組み合わせた以下の追加の関連GWS SNPの、あるいはそれらとの連鎖不平衝における遺伝的変異の少なくとも1つを保有する個体への、ロスタフロキシンの投与または処方と関連して検出される。
【0068】
本明細書に記載の方法およびシステムのいくつかの実施形態では、ロスタフロキシンに対する改善された応答は、単独のまたはコアSNP:Rs4961、Rs4984、Rs10923835、Rs947130、Rs914247、Rs1045642、Rs880054、Rs10502933、Rs2131127、Rs4309483およびRs4739037と組み合わせた以下の追加の関連SNPの、あるいはそれらとの連鎖不平衝における遺伝的変異少なくとも1つを保有する個体への、ロスタフロキシンの投与または処方と関連して検出される。
【0069】
より具体的には、本明細書に記載の方法およびシステムのいくつかの実施形態では、ロスタフロキシンに対する改善された応答は、単独でまたはコアSNP:Rs4961についてはヌクレオチドGもしくはT、Rs4984についてはヌクレオチドGもしくはA、Rs10923835についてはヌクレオチドAもしくはT、Rs947130についてはヌクレオチドCもしくはT、Rs914247についてはヌクレオチドAもしくはG、Rs1045642についてはヌクレオチドCもしくはT、Rs880054についてはヌクレオチドCもしくはT、Rs10502933についてはヌクレオチドCもしくはT、Rs2131127についてはヌクレオチドCもしくはT、Rs4309483についてはヌクレオチドCもしくはAおよびRs4739037についてはヌクレオチドGもしくはAと組み合わせて、以下の追加の関連SNPの少なくとも1つを保有する個体への、ロスタフロキシンの投与または処方により達成される。
【0070】
より具体的には、本明細書に記載の方法およびシステムのいくつかの実施形態では、ロスタフロキシンは、単独のまたはコアSNPについての遺伝子型:Rs4961については遺伝子型GTもしくは遺伝子型TT、Rs4984については遺伝子型CC、Rs10923835については遺伝子型ATもしくは遺伝子型TT、Rs947130については遺伝子型GG、Rs914247については遺伝子型AA、Rs1045642については遺伝子型TT、Rs880054については遺伝子型AGもしくは遺伝子型GG、Rs10502933については遺伝子型CT、Rs2131127については遺伝子型CC、Rs4309483については遺伝子型AAおよびRs4739037については遺伝子型GAと組み合わせた以下の遺伝子型の少なくとも1つの保有者である個体に、投与または処方される。
【0071】
特に、いくつかの実施形態では、ロスタフロキシンにより個体を治療する方法が記載されている。本方法は、個体に、0.005mg/日〜5mg/日、好ましくは0.01mg/日〜1.5mg/日、最も好ましくは0.05mg/日〜0.5mg/日の用量のロスタフロキシンを投与または処方するステップを含む。
【0072】
特に、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝的変異を保有する個体のサブセットにおいて、より低用量(0.05mg/日;0.15mg/日;0.5mg/日など)が、高用量(1.5mg/日;5.0mg/日)よりも収縮期血圧を低下させるのに効率的であり、高用量により誘導される−12mmHgと比較して、約18mmHgの収縮期血圧の平均的低下を有し得る。
【0073】
特に、いくつかの実施形態では、コアSNPから選択される少なくとも1つの多型を含む以前同定された遺伝子型を保有する高血圧個体で、0.05〜0.5mg/日を含むロスタフロキシンの用量は、−12〜−34mmHgに及ぶ血圧降下をもたらし、1.5mg/日〜5mg/日を含む用量は、−0.6〜−23mmHgに及ぶ血圧降下をもたらす。
【0074】
したがって、いくつかの実施形態では、全コアSNPを保有する個体で、低用量が、高用量(−15mmHg平均)に対してより大きい応答をもたらす(−23mmHg平均)。
【0075】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝的変異を保有する個体は、ロスタフロキシンによる治療後、ロスタフロキシン治療前に検出された血圧と比較して少なくとも10%の血圧の低下を示す。
【0076】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝的変異を保有する個体は、ロスタフロキシンによる治療後、それぞれ少なくとも約15mmHgおよび約9mmHgの個体のオフィス血圧および/または夜間血圧の平均的低下を示す。
【0077】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝的変異を保有する個体は、収縮期血圧については140mmHg未満および拡張期血圧については90mmHg未満の血圧の正常化を示す。
【0078】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝的変異を保有する個体は、ロスタフロキシンによる治療後、HCTZまたはロサルタンにより得られる平均的血圧低下よりも約40%高い平均的血圧低下を示す(実施例2参照)。
【0079】
本明細書に記載の方法およびシステムにおいて、ロスタフロキシンは、患者に個々に投与されるよう構成された組成物であってよく、および/またはそれは他の薬剤、薬物またはホルモンと組み合わせて投与されてもよい。特に、いくつかの実施形態では、医薬品は、治療用薬剤の投与に適した担体から選択される、薬学的に許容される担体も含むことができる。薬学的に許容される担体についての徹底的な議論は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Pub.Co.、N.J.1991)で入手可能である。
【0080】
治療用組成物中の薬学的に許容される担体は、水、食塩水、グリセロールおよびエタノールなどの液体をさらに含むことができる。さらに、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤などの補助剤がこのような組成物中に存在してもよい。このような担体は、個体による摂取のために、医薬組成物が、錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などとして製剤化されるのを可能にする。
【0081】
ロスタフロキシンを含む医薬品は、それだけに限定されないが、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、脊髄内、髄腔内、心室内、経皮内適用、皮下、腹腔内、鼻腔内、経腸、局所、舌下、直腸手段、または外科手術後の患部組織に局所的に、を含む任意の数の経路によって、本明細書に記載の方法で投与することができる。本発明の化合物はまた、徐放性マトリックス中に組み込まれている場合でさえ、ステントに適用(コーティング)することができる。
【0082】
いくつかの実施形態では、コアSNPの少なくとも1つおよび/またはそれらとの連鎖不平衝における遺伝的変異を保有する個体におけるロスタフロキシンの投与に伴う治療および予防の点から期待される治療効果には、それだけに限定されないが、心肥大および心不全、心虚血、血管反応性増加、血管硬化、血管厚さ増加、腎肥大、腎不全、糸球体硬化症、タンパク尿、脳血管損傷、脳卒中、認知障害、網膜障害の予防または減少が含まれ得る。上記障害の全ては、血圧の病的増加(高血圧のグレードIIIおよびIV)の直接的または間接的結果として生じるものであり、単独であるいは互いに組み合わせて、CAND1 SNP、CAND2 SNP、選択されたGWS SNPおよび/またはそれらとの連鎖不平衝における遺伝的変異と組み合わせてコアSNPを保有する個体において、ロスタフロキシンにより正常化されるので、このような効果が期待される。さらに、ロスタフロキシンが腎臓のナトリウム再吸収の増加およびSrcシグナル伝達経路の活性化などの高血圧のいくつかの機構に拮抗する能力のために、高血圧によって直接的に引き起こされるもの以外の器官損傷を本治療により予防することができる。例えば、ADD1 Trp460遺伝的変異体を保有する個体は、同じレベルの血圧で、Gly460 ADD1変異体の保有者よりも高い心血管系合併症の発生率を示す。また、高い血漿ウアバインレベルを有する高血圧個体は、同様の血圧レベルであるが低いウアバイン血漿レベルを有する個体よりも高い心血管系合併症率を示す。選択されたコアSNPの少なくとも1つを保有する個体におけるロスタフロキシン後の血圧降下の増加の正確な機構は知られていないが、これらの機構は、ロスタフロキシンによる分子標的の命中によって誘引される機構に関連するに違いない。結果として、コアSNP遺伝子型の少なくとも1つを保有する個体において、ロスタフロキシンにより誘導される血圧降下に関連する利点を超える利点が期待される。
【0083】
いくつかの実施形態では、コアSNPの少なくとも1つを保有する個体において、0.05〜0.15mg/日に及ぶロスタフロキシンの用量(低用量)が、1.5〜5mg/日に及ぶもの(高用量)などのより高用量よりも大きい血圧降下を誘導することが期待される。特に、低用量は、約23mmHgの平均的血圧降下をもたらすことが期待される一方で、高用量は、約15mmHgの平均的血圧降下をもたらすことが期待される。さらに、コアSNPの少なくとも1つを保有する個体において、これらの用量のロスタフロキシンは、それだけではないが、心肥大、心不全、血管抵抗増加、腎不全、糸球体硬化症、タンパク尿、多発性嚢胞腎、網膜障害、脳血管障害、メニエール症候群、認知障害、双極性障害などの高血圧に関連する心血管系合併症の進行を防止することが期待される。
【0084】
いくつかの実施形態では、コアSNPの少なくとも1つを保有する個体へのロスタフロキシン治療は、5μg〜50000μg、好ましくは10μg〜15000μg、最も好ましくは50μg〜500μgに及ぶ1日当たりのμgの用量で行うことができる。
【0085】
本用量によると、0.05〜0.50mg/日(低用量)に及ぶ低用量は、1.5〜5mg/日(高用量)に及ぶ高用量と比較して、血圧降下の点で、より高い(+50%)応答をもたらす。さらに、低用量は、高用量と比較して適切に高い夜間血圧の降下をもたらす。
【0086】
いくつかの実施形態では、互いに組み合わせておよび/またはCAND1、2およびGWSA SNPに含まれるものなどの他の関連SNPと組み合わせて、コアSNPの少なくとも1つを保有する個体へのロスタフロキシンの投与において(プロファイル8および9、実施例2参照)、ロスタフロキシンは、約8〜約22.5mmHgに及ぶ平均的血圧低下を誘導することが期待される。
【0087】
いくつかの実施形態では、互いに組み合わせて、ならびにCAND1、CAND2およびGWS SNPに含まれるものなどの他の関連SNPと関連して、コアSNPの少なくとも1つを保有する個体へのロスタフロキシンの投与において(プロファイル8および9、実施例2参照)、ロスタフロキシンは、23mmHgのオフィス(収縮期、日周性)血圧および約9mmHgの夜間血圧の平均的血圧降下を誘導することが期待される。
【0088】
いくつかの実施形態では、単独でまたは互いにもしくは追加の関連SNPと組み合わせてコアSNPの少なくとも1つを保有する個体へのロスタフロキシンの投与は、ロサルタンまたはヒドロクロロチアジドなどの他の降圧薬に対する個体の応答と比較すると、ロスタフロキシンに対する改善された応答をもたらす。特に、単独でまたは互いに(もしくは追加の関連SNPと)組み合わせてコアSNPの少なくとも1つを保有する個体へのロスタフロキシンの投与は、未治療患者において、ロサルタンまたはHCTZそれぞれによりもたらされるよりも少なくとも40%高い血圧降下をもたらすことが期待される(実施例2参照)。
【0089】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の治療を評価する方法は、コアSNP:rs16877182、rs5013093、rs2461911、rs12513375、rs16893522、rs2345088からなる群から選択される少なくとも1つの多型に関して配列情報を得るステップを含み、前記情報は、個体におけるロスタフロキシンの有効性を予測する。
【0090】
いくつかの実施形態では、それだけに限定されないが、rs4961(ADD1)、rs4984(ADD2)、rs3731566(ADD3)、rs914247(LSS2)、rs1045642(MDR2)、rs10502933、rs2131127、rs4309483、rs4739037および本開示を読めば当業者により同定可能な追加のSNP(プロファイル8〜9からの追加のSNP:rs10923835(HSD18)、rs947130(HSD19)、rs880054(WNK1))を含む、CAND1遺伝子、CAND2遺伝子および/またはGWS遺伝子のSNPなどのロスタフロキシンに対する応答に影響を及ぼす追加の関連遺伝的変異についての配列情報も得ることができる。
【0091】
いくつかの実施形態では、配列情報は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9および配列番号11の配列の少なくとも1つを含み、ロスタフロキシンに対する改善された応答は、それぞれ配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10および配列番号12などの対応する検出された配列情報により予測することができる。
【0092】
より具体的には、配列情報が、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9および配列番号11の配列の少なくとも1つを含む実施形態では、ロスタフロキシンに対する改善された応答は、配列番号1については配列番号13および14、配列番号3については配列番号15および16、配列番号5については配列番号17および18、配列番号7については配列番号19および20、配列番号9については配列番号21および22ならびに配列番号11については配列番号23および24を含む対応する検出された対立遺伝子配列情報により予測することができる。
【0093】
いくつかの実施形態では、本方法は、rs4961、rs4984、rs10923835、rs947130、rs914247、rs1045642、rs880054、rs10502933、rs2131127、rs4309483およびrs4739037からなる群から選択される少なくとも1つの多型についての配列情報を得るステップを含む。特に、いくつかの実施形態では、追加の関連配列情報は、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43および配列番号45をさらに含み、ロスタフロキシンに対する改善された応答は、それぞれ配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44および配列番号46などの対応する検出された配列情報により予測することができる。
【0094】
より具体的には、配列情報が、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43および配列番号45の配列の少なくとも1つを含む実施形態では、ロスタフロキシンに対する改善された応答は、配列番号25については配列番号47および48、配列番号27については配列番号49および50、配列番号29については配列番号51および52、配列番号31については配列番号53および54、配列番号33については配列番号55および56、配列番号35については配列番号57および58、配列番号37については配列番号59および60、配列番号39については配列番号61および62、配列番号41については配列番号63および64、配列番号43については配列番号65および66ならびに配列番号45については配列番号67および68を含む対応する検出された対立遺伝子配列情報により予測することができる。
【0095】
特に、配列情報は、遺伝子型解析:ILLUMINA製のGenChipまたは当業者により同定可能な追加の方法およびシステムを使用して得ることができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるロスタフロキシン治療を評価する方法は、以下の実施例8で列挙する配列番号35〜配列番号58のプライマーなどの、コアSNP配列情報またはその一部のためのプローブを含むシステムによって行うことができる。
【0096】
いくつかの実施形態では、ロスタフロキシンによる治療を評価するための方法は、コーカサス人だけでなくアフリカ人、アジア人またはアフリカ系アメリカ人も含む種々の民族性の、少なくとも18歳の、男性または女性であり、好ましくは、それだけに限定されないが、原発性高血圧のグレードIまたはIIであり、未治療または1種のみの薬物もしくはわずか2種の降圧薬しか含まない1配合錠による治療を受けており、重症もしくは悪性高血圧または二次性高血圧(腎動脈疾患の病歴を含む)でなく、関連状態およびわずか2種の追加の心血管危険因子もなく、ロスタフロキシンの吸収もしくは肝クリアランスに影響し得る胃腸系の手術または疾患がなく、ロスタフロキシン投与の少なくとも6ヶ月前からいかなる他の治験薬による治療も受けていない高血圧患者の選択を含む。患者は、欧州高血圧学会および欧州心臓病学会の2003年のガイドラインにしたがって治療することができる[Ref.7]。
【0097】
血圧は、従来の自由行動下血圧測定に関する欧州高血圧学会の勧告にしたがって、自由行動条件下で監視することができる[Ref.8]。血圧の測定は、オシロメトリックレコーダーまたは他の任意の有効な携帯型レコーダーもしくは血圧計を使用して行うことができる。血圧は、患者が座位で少なくとも5分間安静にした後で、腕で監視すべきである。患者の遺伝子型は、上腕静脈で採取した血液サンプルで測定することができる。DNAを、標準的手順[Ref.9]にしたがって、またはカスタムキットの使用により(例えば、PromegaゲノムDNA精製Cat A2360またはQiagen PAXgene Blood DNAキット)血液から抽出し、保管し、選択されたヌクレアーゼ検出アッセイ(例えば、対立遺伝子識別のためのオンデマンドABIアッセイ)を使用して目的のSNPの遺伝子型分類をする。いくつかの実施形態では、配列情報は、当業者に同定可能な方法を使用して得ることができる。
【0098】
コアSNPの少なくとも1つ、特に、本明細書に記載の選択された遺伝子型を、単独で、あるいは互いに関連して、ならびに/あるいはCAND1、CAND2およびGWS SNPに属する追加の関連SNP、特に本明細書に記載の選択された遺伝子型と関連して保有する、および/または関連する配列情報を有する個体を、1日1回、経口経路により、0.05〜5mg/日に及ぶ用量で、好ましくは午前7時と午前9時の間の午前中に、定義される医薬組成物で物質を投与することによって、ロスタフロキシンで治療する。治療は、少なくとも5週間から患者の一生涯まで続き得る。
【0099】
いくつかの実施形態では、遺伝的変異のロスタフロキシン活性への影響が、個体中のロスタフロキシンに対する応答を予測する方法の基礎を形成する。本方法は、KCNS3、THSD7A、FAM46A、LOC389970、HLA−GおよびTTC29からなる群から選択される遺伝子の遺伝子間または遺伝子内領域についての個体の遺伝子型を検出するステップと、検出された遺伝子型を、rs2345088、rs16877182、rs16893522、rs2461911、rs5013093およびrs12513375からなる群から選択される少なくとも1つの多型を含むロスタフロキシンに対する既知の応答に関連する以前に同定された遺伝子型と比較するステップとを含む。
【0100】
本明細書で使用する「検出する」または「検出」および「検出可能な」という用語は、それだけに限定されないが、組織サンプル、反応混合物、分子複合体および基質を含む限られた空間の一部における、化合物、配列もしくは遺伝子型の存在、現存または現状の決定を示す。検出は、化合物の数量の測定(定量化とも呼ばれる)に言及する、関連するまたはこれを含む場合には、「定量的」であり、それだけに限定されないが、化合物の量または割合を決定するよう設計された任意の分析を含む。検出は、定量化されていない別の標的またはシグナルに対する相対的存在量の点から、化合物の質または種類の同定に言及する、関連するまたはこれを含む場合には、「定性的」である。
【0101】
遺伝子型の検出は、当業者により同定可能ないくつかの技術にしたがって行うことができる。一般に、単一SNP解析の方法は、PCR−RFLP解析、DNAシークエンシング、Taqmanアッセイ、動的PCRである。CAND1 SNP(実施例3)およびADD1、ADD2、HSD18、HSD19、LSS2、MDR2、WNK遺伝子(実施例4)を遺伝子型分類するために、本報告では、この方法の1つであるTaqmanアッセイ(オンデマンド解析ならびにABI製のカスタムMGBプローブおよびプライマー設計)を使用した。
【0102】
複数SNP解析のアッセイは、いくつかの市販のプラットフォームおよび各チップについて可変数の遺伝子(何百〜何百万)を有する入手可能なまたはカスタムGene−Chipを利用する。本開示では、HumanHap 1M Duo chip genotyping Beads ChipおよびIllumina Infinium II Technologyを使用して、実施例4(rs10502933、rs2131127、rs4309483、rs4739037)ならびに実施例5および6において、SNPを遺伝子型分類した。
【0103】
本方法では、個体中で検出された遺伝子型がロスタフロキシン応答に関連する同一遺伝子型である場合、ロスタフロキシンに対する個体の応答は、既知の応答であると予測される。ロスタフロキシンに関連して本明細書で使用する「応答」という用語は、個体へのロスタフロキシンの投与に関連する個体の状態の任意の作用または変化の事実を示す。個体中のロスタフロキシンに対する代表的な応答は、臨床的に関連する血圧降下を含む。特に、プラセボにより引き起こされるよりも有意に高く、特に、少なくとも治療前の血圧値の10%と等しい血圧降下、または収縮期血圧については140mmHg以下もしくは拡張期血圧については90mmHg以下の血圧値をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、本方法は、例えば、個体の単離DNA中で、ADD1、ADD2、ADD3、CYP11A1、HSD3B1、LSS、ABCB1/MDR1、SLCO4Cからなる群から選択される遺伝子の遺伝子間または遺伝子内領域についての個体の遺伝子型を検出するステップと、検出された遺伝子型を、rs4961、rs4984、rs3731566、rs914247、rs1045642および/またはそれらとの連鎖不平衝における遺伝的変異からなる群から選択される少なくとも1つの多型を含む、既知のロスタフロキシン応答に関連する以前に同定された遺伝子型と比較するステップとをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、本方法は、ACTN1、ADRA1A、AGTR1、AQP2、ATP1A3、CLCNKA、CLCNKB、FXYD2、FXYD6、FYN、NEDD4L、NKAIN3、PKD1、PKD2、SCNN1B、SGK1、SLC12A1、SLC8A1、TJP1、UMODおよびWNK1からなる群から選択される遺伝子の遺伝子間または遺伝子内領域についての個体の遺伝子型を検出するステップと、検出された遺伝子型を、rs242093、rs1996396、rs10503806、rs13251780、rs17430706、rs10102024、rs526302、rs544104、rs3102087、rs5183、rs3772627、rs2276736、rs2131127、rs3741559、rs2217342、rs10927888、rs6604909、rs945403、rs7117314、rs10790212、rs11216598、rs910682、rs13218316、rs4309483、rs13280307、rs4739037、rs17596774、rs2728108、rs17786456、rs7696304、rs2725222、rs17199565、rs2758152、rs1057293、rs16960712、rs759359、rs404214、rs1005213、rs17025453、rs2110923、rs1428571、rs435404、rs12908787、rs11647727、rs880054およびrs11064584ならびに/あるいはそれらとの連鎖不平衝における遺伝的変異からなる群から選択される少なくとも1つの多型を含む、既知のロスタフロキシン応答に関連する以前に同定された遺伝子型と比較するステップとをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、本方法は、ARL5A、ATP2A3、COX10、DPH5、FAIM3、FAM46A、HCG9、HLA−A、HLA−F、HLA−G、KCNS3、LOC131691、LOC389174、LOC389970、LOC642727、LOC644192、LOC649458、LOC728360、LOC728316、PIGR、RCADH5、RP3−377H14.5、SH3PXD2A、SLC30A7、THSD7A、TMEM200A、TRIM31、TTC29およびVCAM1からなる群から選択される遺伝子の遺伝子間または遺伝子内領域についての個体の遺伝子型を検出するステップと、検出された遺伝子型を、rs12996186、rs9893372、rs7216331、rs7521668、rs188334、rs4998662、rs16893522、rs6457110、rs3893464、rs2517718、rs1362126、rs5013093、rs2345088、rs6718282、rs721207、rs2555500、rs2461911、rs8179654、rs1901139、rs2427832、rs9361863、rs1998394、ga001619、rs2275531、rs748140、rs4710592、rs2743951、rs10159569、rs3087816、rs10493940、rs16877182、rs2326912、rs1110446、rs12513375およびrs17414954ならびに/あるいはそれらとの連鎖不平衝における遺伝的変異からなる群から選択される少なくとも1つの多型を含む、既知のロスタフロキシン応答に関連する以前に同定された遺伝子型と比較するステップとをさらに含むことができる。
【0104】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるロスタフロキシンに対する応答を予測する方法は、患者をレスポンダーおよび非レスポンダーに分類するために1回だけ適用される、遺伝子型分類ための第1成分と、1日50〜500γに及ぶ用量でロスタフロキシンおよび薬学的に許容される担体を含む組成物とを含むシステムによって行うことができる。
【0105】
いくつかの実施形態では、ロスタフロキシンに対する個体の応答を予測するシステムは、rs2345088、rs16877182、rs16893522、rs2461911、rs5013093およびrs12513375からなる群から選択される少なくとも1つの多型のためのプローブと、プローブハイブリダイゼーションの結果および以前に同定された遺伝子型を関連付けるルックアップテーブルとを含むことができる。
【0106】
これらの実施形態のいくつかでは、プローブは、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10および配列番号12からなる群から選択される少なくとも1個の単離ポリヌクレオチド、または配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10もしくは配列番号12に相補的な配列と特異的にハイブリダイズすることができるそのフラグメントを含む。
【0107】
これらの実施形態のいくつかでは、本システムは、rs4961、rs4984、rsrs10923835、rs947130、rs914247、rs1045642、rs880054、rs10502933、rs2131127、rs4309483およびrs4739037からなる群から選択される少なくとも1つの多型のためのプローブをさらに含むことができる。
【0108】
特に、プローブは、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44および配列番号46からなる群から選択される少なくとも1個の単離ポリヌクレオチド、または配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44もしくは配列番号46に相補的な配列と特異的にハイブリダイズすることができるそのフレグメントを含むことができる。いくつかの実施形態では、プローブは、配列番号35〜配列番号58からなる群から選択される配列を有することができる。
【0109】
いくつかの実施形態では、本システムは、血液サンプル採取用のチューブ、ゲノムDNA抽出、DNA増幅用の緩衝液(例えば、プライマー、緩衝液および/またはdNTP酵素)、および当業者により同定可能な追加の成分を含むことができる。
【0110】
いくつかの実施形態では、単一SNP解析のために以下を含むいくつかの手順を使用することができる:a)ABI製のPre−Designed SNPアッセイまたはカスタムSNP Genotyping Assay、およびデータ解析のためのリアルタイムPCRシステムを使用した、対立遺伝子特異的MGBプローブによるリアルタイムPCR SNP遺伝子型分類;b)普遍的なエネルギー移動プライマー(Amplifluor technology)およびデータ解析のためのリアルタイムPCRシステムを使用した対立遺伝子特異的PCR SNP;c)PCR−RFLP解析およびアガロースゲル検出;d)動的PCR;ならびにe)ダイレクトシークエンシング。単一SNP解析を行うのに適した追加の手順は、当業者により同定可能であり、さらに詳細には論じない。
【0111】
いくつかの実施形態では、本システムは、ILLUMINA、AFFIMETRIXもしくはABIまたは他の専門会社製の遺伝子チップ(マイクロアレイ)のカスタムサービスを含むことができる。発明者等の目的のために単一遺伝子チップ中に含むべきSNPの数は比較的少ない(20〜30)だろう。特定の遺伝子チップを集めるための主成分は5つの主要なプロセスに基づく:DNA精製、特異的なプライマーミックスを使用した精製DNAのPCR増幅;増幅した産物のフラグメンテーションおよびラベリング;増幅した産物のマイクロアレイとのハイブリダイゼーションおよび結合した産物の染色、マイクロアレイのスキャニングおよび解析。
【0112】
いくつかの実施形態では、遺伝的変異のロスタフロキシン活性への影響は、ロスタフロキシンに対する改善された応答を有する個体を同定する方法の基礎を形成する。本方法は、個体の遺伝子間または遺伝子内領域中の配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9および配列番号11のヌクレオチド配列のいずれか1つにおける一塩基多型(SNP)を検出するステップを含み、ここでは、コアSNPの存在は、前記個体中のロスタフロキシンに対する改善された応答と相関する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の追加の関連SNPを、ロスタフロキシンに対する改善された応答を有する個体を同定する方法で検出することもできる。
【0113】
いくつかの実施形態では、遺伝的変異のロスタフロキシン活性への影響は、心血管状態を有する個体中のロスタフロキシンに対する治療応答を改善する方法の基礎を形成する。本方法は、コアSNPの少なくとも1つおよび/またはそれらとの連鎖不平衝における遺伝的変異の保有者であることが決定された前記個体にロスタフロキシンを投与するステップを含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、遺伝的変異のロスタフロキシン活性への影響は、ロスタフロキシンにより個体を治療する方法の基礎を形成する。本方法は、コアSNPの存在を示す情報、および場合により、個体中のロスタフロキシン応答に影響を及ぼす追加のSNPに関する情報を得るステップと、0.005mg〜50mg、好ましくは0.01mg〜15mg、最も好ましくは0.05mg〜5mgに及ぶ用量で、改善された応答に関連する遺伝子型を有する個体のためにロスタフロキシンを投与するステップとを含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、遺伝的変異のロスタフロキシン活性への影響は、心血管状態を有する個体を治療する方法の基礎を形成する。本方法は、少なくとも1つのコアSNPおよび/またはそれらとの連鎖不平衝における遺伝的変異の保有者である患者に有効量のロスタフロキシンを投与または処方するステップを含む。
【0116】
いくつかの実施形態では、心血管状態は高血圧であり、個体を治療する方法は、
a)高血圧を患う個体から核酸サンプルを得るステップと;
b)前記核酸サンプル中の、本明細書に記載のコアSNPからなる群から選択される多型の1つまたは複数の存在を決定するステップと;
c)薬学的活性量のロスタフロキシンを、本明細書に記載のコアSNPからなる群から選択される少なくとも1つの多型を有することが示された患者に投与するステップと
により行うことができる。
【0117】
本明細書に開示される個体を治療する方法において、ロスタフロキシンは、典型的には、医薬組成物の形態で投与される。このような組成物は、医薬分野で周知の方法で調製することができ、少なくとも1つの活性化合物および媒体を含む。本明細書で使用する「媒体」という用語は、通常、有効成分として組成物中に含まれるロスタフロキシン化合物のための溶媒、担体、結合剤、賦形剤または添加剤として作用する種々の媒体のいずれかを示す。当業者は、医薬組成物を製剤化するのに適した全種類のこのような溶媒、担体、賦形剤または添加剤化合物を知っている。
【0118】
ロスタフロキシンは、従来使用されている補助剤、担体、賦形剤または添加剤と共に、医薬組成物およびその単一用量の形態にすることができ、このような形態において、全て経口で使用するための錠剤もしくは充填カプセル剤などの固体、溶液、懸濁液、乳濁液、エリキシル剤などの液体、または同液体で満たされたカプセル剤として、あるいは非経口用(皮下使用を含む)の滅菌注射溶液の形態で使用することができる。このような医薬組成物およびその単一剤形は、追加の活性化合物もしくは有効成分を含むまたは含まないで、従来の割合で成分を含んでよく、このような単一剤形は、使用される所期の日用量範囲と釣り合った任意の適当な有効量の有効成分を含んでよい。
【0119】
いくつかの実施形態では、ロスタフロキシンは、「薬学的有効量」で投与される。実際に投与される化合物の量は、典型的には、治療する状態、選択される投与経路、薬物の組み合わせ、個々の患者の年齢、体重および応答、患者の症状の重症度などを含む関連する状況に照らして、医師によって決定される。一般的に、有効用量は、1日当たりの単回投与として0.005mg〜50mg、好ましくは0.01mg〜15mg、最も好ましくは0.05mg〜5mgである。
【0120】
組成物は、単独で患者に投与してもよいし、他の薬剤、薬物またはホルモンと組み合わせて投与してもよい。患者に投与される組成物の有効用量は、0.05mg〜5mg/日に及ぶ。
【0121】
所期の送達経路に応じて、ロスタフロキシンは、好ましくは非経口、局所用または経口組成物として、より好ましくは経口製剤として製剤化される。経口投与用組成物は、バルク溶液もしくは懸濁液、またはバルク粉末の形態をとり得る。しかしながら、より一般的には、正確な投薬を促進するために組成物は単位剤形で提供される。「単位剤形」という用語は、ヒト被験体および他の哺乳動物のための単一の用量として適当な物理的に分離した単位を指し、各単位は、適当な医薬添加剤と組み合わせて、所望の治療効果をもたらすよう計算された所定の量の活性物質を含む。典型的な単位剤形は、液体組成物の詰替用の予め計量されたアンプルもしくは注射器、または個体組成物の場合には丸剤、錠剤、カプセル剤などを含む。このような組成物中で、本発明の化合物は、通常、微量成分であり(約0.1〜約50重量%、好ましくは約1〜約40重量%)、残りは、所望の投与形態を形成するのに役立つ種々の媒体または担体および加工助剤である。
【0122】
投薬治療は、単回投与スケジュールであっても複数回投与スケジュールであってもよい。
【0123】
経口投与に適した液体形態は、緩衝液、懸濁化剤および分散化剤、着色剤、香味剤などを含む適当な水性または非水性媒体を含んでよい。
【0124】
固体形態は、例えば、以下の成分または同様の性質の化合物のいずれかを含んでよい:結晶セルロース、アカシア、トラガカントゴム、ゼラチンまたはポリビニルピロリドンなどの結合剤;デンプンまたは乳糖などの添加剤;アルギン酸、プリモゲル(Primogel)またはジャガイモデンプンもしくはコーンスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコールまたはシリカなどの潤滑剤;コロイド性二酸化ケイ素などの滑剤;ショ糖またはサッカリンなどの甘味剤;あるいはペパーミント、サリチル酸メチルまたはオレンジ香料などの香味剤。錠剤は、医薬実務の分野の当業者に周知の方法にしたがってコーティングしてよい。
【0125】
非経口組成物は、典型的には、注射用滅菌生理食塩水もしくはリン酸緩衝生理食塩水、または当技術分野で既知の他の注射用担体に基づく。上記のように、このような組成物中の式Iの化合物は、典型的には、微量成分であり、しばしば0.05〜10重量%に及び、残りは注射用担体などである。
【0126】
ロスタフロキシンはまた、徐放性形態でまたは徐放性薬物送達システムから投与することができる。代表的な徐放性物質の記載は、組み込まれたRemington’s Pharmaceutical Sciences中の物質中にも見出すことができる。
【0127】
経口投与組成物または非経口組成物のための上記成分は、代表的なものに過ぎない。さらなる物質ならびに加工技術などは、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第20版、2000、Marck Publishing Company、Easton、Pennsylvaniaの第5部に述べられている。
【0128】
いくつかの実施形態では、少なくとも100個の隣接ヌクレオチドを含む単離核酸分子が開示されており、ここでは、ヌクレオチドの1つは、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9および配列番号11の核酸配列、またはこれら相補配列のいずれか1つにおいて選択される一塩基多型(SNP)である。
【0129】
いくつかの実施形態では、遺伝的変異のロスタフロキシン活性への影響は、心血管状態を治療的にまたは予防的に処理するのに有用な薬剤を同定する方法の基礎を形成する。
【0130】
本方法は、候補薬剤を用意するステップと、候補薬剤を、rs2345088、rs16877182、rs16893522、rs2461911、rs5013093、rs12513375またはそれらとの連鎖不平衝における多型からなる群から選択される少なくとも1つの多型を保有する個体に投与するステップと、前記候補薬剤に対する個体応答を検出するステップとを含む。
【0131】
いくつかの実施形態では、候補薬剤は、本明細書に示されるCAND1、CAND2およびGWS SNPの1つまたは複数も保有する個体に投与される。
【0132】
いくつかの実施形態では、本方法は、高血圧患者を選択し、個体におけるロスタフロキシンによる治療を評価するために使用される手順にしたがって測定および検出を行うことによって行うことができる。これらの実施形態のいくつかでは、個体におけるロスタフロキシン治療の評価は、rs2345088、rs16877182、rs16893522、rs2461911、rs5013093およびrs12513375からなる群から選択される少なくとも1つの多型に関して配列情報を得ることによって行うことができ、ここでは、情報は個体中のロスタフロキシンの有効性を予測する。
【0133】
これらの実施形態のいくつかでは、配列情報は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9および配列番号11の配列の少なくとも1つを含み、ロスタフロキシンに対する改善された応答は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10および配列番号12からなる群から選択される少なくとも1つの対応する検出された配列情報により予測することができる。
【0134】
これらの実施形態のいくつかでは、ロスタフロキシンに対する改善された応答は、配列番号1については配列番号13および14、配列番号3については配列番号15および16、配列番号5については配列番号17および18、配列番号7については配列番号19および20、配列番号9については配列番号21および22ならびに配列番号11については配列番号23および24からなる群から選択される少なくとも1つの対応する検出された対立遺伝子配列情報により予測することができる。
【0135】
これらの実施形態のいくつかでは、評価方法は、rs4961、rs4984、rs10923835、rs947130、rs914247、rs1045642、rs880054、rs10502933、rs2131127、rs4309483およびrs4739037からなる群から選択される少なくとも1つの多型についての配列情報を得るステップをさらに含むことができる。特に、配列情報は、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43および配列番号45の配列の少なくとも1つを含むことができる。これらの配列情報について、ロスタフロキシンに対する改善された応答は、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44および配列番号46からなる群から選択される少なくとも1つの対応する検出された配列情報により予測することができる。
【0136】
これらの実施形態のいくつかでは、ロスタフロキシンに対する改善された応答は、配列番号25については配列番号47および48、配列番号27については配列番号49および50、配列番号29については配列番号51および52、配列番号31については配列番号53および54、配列番号33については配列番号55および56、配列番号35については配列番号57および58、配列番号37については配列番号59および60、配列番号39については配列番号61および62、配列番号41については配列番号63および64、配列番号43については配列番号65および66ならびに配列番号45については配列番号67および68からなる群から選択される少なくとも1つの対応する検出された対立遺伝子配列情報により予測することができる。
【0137】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される心血管状態を治療的または予防的に処理するのに有用な薬剤を同定する方法は、本明細書に記載の関連遺伝的変異を検出及び同定するのに適した成分を含むシステムによって行うことができる。
【0138】
いくつかの実施形態では、KCNS3、THSD7A、FAM46A、LOC389970、HLA−GおよびTTC29からなる群から選択される遺伝子の遺伝子間または遺伝子内領域中の一塩基多型(SNP)を検出するシステムが開示される。本システムは、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11のヌクレオチド配列のいずれか1つにおける一塩基多型(SNP)を含む核酸分子と特異的にハイブリダイズする単離ポリヌクレオチドと、核酸分子のための緩衝液(ハイブリダイゼーションおよび/またはポリメリゼーション緩衝液など)の少なくとも1つと、SNPの検出のために核酸配列と組み合わせて使用するための酵素とを含む。特に、酵素は、調査する遺伝子間および/または遺伝子内領域の1つまたは複数のためのポリメラーゼ連鎖反応を触媒することができるポリメラーゼであり得る。
【0139】
本明細書で使用するハイブリダイゼーションという用語は、核酸の2本以上の相補鎖間の非共有結合性、配列特異的相互作用を確立して、二本鎖の場合には二重鎖と呼ばれる単一ハイブリッドにするプロセスを示す。特異的ハイブリダイゼーションは、特異的な配列−配列相互作用をもたらすハイブリダーゼーションである。ある分子と別の分子との結合に関連して本明細書で使用する「特異的」、「特異的に」または「特異性」という表現は、その分子と別の分子間の認識、接触および安定な複合体の形成を指し、他の分子についてはその分子の各々と別の分子の間の認識、接触および安定な複合体の形成は実質的にほとんどないか全くない。ポリヌクレオチドの配列に関連して本明細書で使用する「特異的」という用語は、相補的な配列である単一ポリヌクレオチドとの配列の特有の会合を指す。
【0140】
本明細書で使用する「ポリメラーゼ連鎖反応」という用語は、単一または数コピーの核酸の一部を数桁に増幅させて、数千から数百万の特定のDNA配列のコピーを生み出す任意の適当な技術を示す。本方法は、核酸溶融のための反応の加熱および冷却ならびに核酸の酵素的複製の繰り返しのサイクルからなる熱サイクルによる。
【0141】
いくつかの実施形態では、本システムはまた、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43および配列番号45のヌクレオチド配列のいずれか1つにおける一塩基多型(SNP)を含む核酸分子と特異的にハイブリダイズする単離ポリヌクレオチドを含むことができる。本明細書に開示されるシステムは、部品のキットの形態で提供することができる。部品のキットにおいて、プローブ、医薬組成物、および他の成分、および基質は、独立してキットに含まれる。特に、プローブは、1つまたは複数の組成物中に含まれてよく、各プローブは、適当な媒体、担体または補助剤と共に組成物中に含まれてよい。
【0142】
いくつかの実施形態では、緩衝液、酵素および適当な容器をキットの追加の成分としてさらに提供することができる。追加の成分は、ラベル(放射性同位体、蛍光団、化学発光色素、発色団、酵素、酵素基質、酵素補因子、酵素阻害剤、色素、金属イオン、ナノ粒子、金属ゾル、リガンド(ビオチン、アビジン、ストレプトアビジンまたはハプテンなど)などの検出することができる分子)、マイクロ流体チップ、標準試料、および本開示を読めば当業者により同定可能な追加の成分を含むことができる。特に、キットの成分は、本明細書に開示される方法を行うために、適当な説明書および他の必要な試薬と共に提供することができる。キットは、通常は、別々の容器中に組成物を含む。アッセイを行うための、説明書、例えば、紙またはテープもしくはCD−ROMなどの電子サポート上の、書面説明書または音声説明書が、通常、キットに含まれる。キットはまた、使用する特定の方法に応じて、他の包装された試薬および物質(すなわち、洗浄緩衝液など)を含むことができる。
【0143】
組成物の適当な担体剤または補助剤の同定、ならびにキットの一般的製造および包装に関するさらなる詳細は、本開示を読めば当業者により同定可能である。
【0144】
以下の節では、本開示は、本開示の範囲を限定するとみなされると解釈されないいくつかの実施例によって説明される。
実施例
【0145】
遺伝的変異の、ロスタフロキシンに対する個体応答への影響を確認するために、薬理ゲノミクス研究を行った。薬理ゲノミクス研究のためのサンプルは、[Ref.10、11、12]に記載の手順にしたがって、Human1M Duo CHIP genotyping Bead Chipを使用して、Illumina製のHuman1Mアレイで遺伝子型分類した342人の個体からなった。[Ref13]中のような人口統計学を使用して、第1期間(5週間)に、個体中で、169人にプラセボ処理を投与し、173人に活性薬物(ロスタフロキシン)を投与した。特に、患者を、5週間、以下のロスタフロキシンの経口用量:0.05、0.15、0.5、1.5または5mg/日の1つにランダム化した。クロスオーバーデザインにおいて、各用量をプラセボと比較しなければならなかった。以前の研究は1ヶ月の洗い出しでは不十分であることを示したので[Ref.14〜30]、以前治療を受けなかった(NPT)193人の患者を、以前治療を受けた149人と別に分析した。
【0146】
個体の上記サンプルについて、遺伝的関連解析を行い、試験した個体の表現型を、個体中で検出されたSNPと関連づけた。選択した目的の表現型は血圧応答であった。検出のために選択したSNPは、個体の常染色体上の1111170個のSNPであった。
【0147】
目的の表現型が定量的変数(QT)であり、目的の表現型の分布に影響を及ぼす変数(因子)がSNP、治療(プラセボ、ロスタフロキシン)およびSNP治療相互作用である定量的遺伝子関連設計にしたがって、遺伝子解析を行った。
【0148】
特に、統計解析のために選択した定量的表現型は、第1治療期間の最後でのオフィス収縮期血圧(SBP)(SBP_5)と1ヶ月の導入期間(run−in)後のベースラインでのオフィス収縮期血圧(SBP_0)の間のmmHgの差とし、本明細書ではDSBP5_0とも称される。次いで、選択されたQT表現型および目的の表現型の分布に影響を及ぼす他の因子を、以下でさらに詳細に説明するように、以下の定量的形質相互作用検定
表現型=SNP+治療+SNP治療相互
にしたがって、解析した。
【0149】
遺伝的関連を行うため、記述統計分析および推測統計分析を行った。
【0150】
記述統計分析を行って、データの主要パラメータを最初に要約および記載し、質的管理を行った。
【0151】
表1は、分析を行う際に出願人等により選択された統計的処理、パラメータおよび閾値ならびにそこからの成果において得られた結果を要約している。
【表1】

【0152】
行った遺伝的記述分析の結果も、表2ならびに図1、2および3でさらに詳細に説明する。
【表2】

【0153】
特に、表2には、全サンプルならびにプラセボおよびロスタフロキシンで処理した患者についてのDSBP5_0の記述統計が列挙されている。かなり控えめなSBPの基礎レベルは、プラセボ群を含めるために要求される、「軽度の」高血圧(SBP範囲140〜179mmHg)の患者を採用した点から説明することができる。表2に要約される結果の図解は、合計、治療およびプラセボにおけるDSBP5_0分布を示す図1に示されている。
【0154】
NPT群については、残りの個体の合計遺伝子型分類率は99.67%であった;6071個のSNPは欠測率検定に失敗し(コールレート<90%)、258148個のSNPはMAF<0.05であった。頻度および遺伝子型分類の刈り込み後、848340個のSNPが、0.05のMAF閾値を使用した選別後に残った(データ不掲載)。
【0155】
上記を考慮して、出願人等は、二項表現型変数、ロスタフロキシンに対する応答−非応答を生み出すために、DSBP5_0の分布の最低三分位点に関連して(−11.7mmHg、すなわち、99人の患者の中の33人)、QT DSBP5_0≦11.7mmHgのカットオフ値を選択した。DSBP5_0閾値選択は、結果の統計的および臨床的関連性の両方を示すパラメータをもたらすよう行った。
【0156】
選択されたQT閾値を示す記述統計分析の結果の図表現を図2に示す。
【0157】
図3は、変動の上位軸を使用して検出される試験個体間の遺伝的関連性を説明しており、ゼロ付近に分布する個体の軽い不均一なクラスター形成を示している。集団層別化の評価(および補正)は、系統的な祖先の差異の存在による偽陽性および偽陰性の有意な関連を避けることに関連している。
【0158】
次いで、処理(プラセボまたは活性薬物)に対する異なる応答と有意に関連するSNPを検出するために計算されたQTを使用して、推測統計分析を行った。
【表3】

【0159】
表3は、記述統計的処理の結果を考慮して、出願人等により選択された統計的処理、閾値及び分析を要約している。
【0160】
特に、単変量解析に関して、SNPが一つずつ検討される単一点解析を行った。行われた定量的形質相互作用検定(GE、Gene Environment)は、
表現型=SNP+治療+SNP治療
として関連を評価し、ここでは、主作用「治療」は、遺伝成分を考慮することなく、臨床試験それ自体を検定することに相当するので、解析の重点はSNP治療成分に、すなわち、主作用よりもむしろ相互作用にあった。主作用「SNP」は、治療によって誘導される修正を考慮することなく、血圧の変動に影響を及ぼすSNPを探す。相互作用効果(GT)のみが、どのSNP(G=遺伝子)が、活性薬物またはプラセボのいずれかを投与された被験体におけるSBPに影響を及ぼすかを評価する(T=治療)。
【0161】
上位SNPのリストを形成することができる最も有意な関連を選別するために、p<10−4の閾値を選択した。特に、出願人等は、「保守的な」P値(偽陰性に対して)を意図的に選択して、あまり有意でない結果をふるい落とした[Ref.34、35]。さらに、少なくとも2つの統計プログラム(plinkおよびstata)を使用して、全ての潜在的に正の関連が意味のあることが確認された。上記アプローチにしたがって行われた単変量解析の結果を、図4に示す(以下の実施例6も参照)。
【0162】
推論相互作用分析に関して、観察されたQT表現型DSBP5_0の変動が、共に検討した複数のSNPの連合効果に依存するかどうかを確かめるために種々の遺伝子間の相互作用を試験した。
【0163】
特に、次いで、StataSE9.2で実施されたように、単一線形回帰モデルを使用して、ロスタフロキシン/プラセボ内の、SNPの第1セット(SNP1)およびSNPの第2セットの(SNP2)の限界効果に加えて、SNP1とSNP2の間の相互作用効果(SNP1SNP2ther)について試験した。
【0164】
SNPセットは、SNPが検出された遺伝子、および選択したものの表現型(血圧の変動)の原因として同定された機構への遺伝子の関与可能性を考慮して確立した。
【0165】
従属変数としてDSBP5_0および独立変数として有意な候補SNPを使用して、プラセボおよびロスタフロキシンにおいて、STATAソフトウェアを使用して、Statistical ANOVA解析を行うことによって、プラセボと比較してロスタフロキシンに対する最大応答を有する遺伝子型を同定するために、これらのSNPをさらに選択した。
【0166】
特に、プラセボと比較してロスタフロキシンに対する最大応答を有する2つのSNPの間の相互作用の遺伝子型を選択するために、出願人等は、従属変数としてDSBP5_0および独立変数としてSNP間の相互作用を使用して、プラセボおよびロスタフロキシンにおいて、ANOVA統計を行った。出願人等は、図5にこの処理の例を報告している:rs8899とrs4678の間の相互作用。治療群で最大の著しい減衰をもたらし、プラセボ群ではもたらさないので、出願人等は、rs8899の遺伝子型AAとrs4678の遺伝子型BBの間の相互作用を選択した。
【0167】
本調査の成果において、出願人等は、図5のrs8899およびrs4678の例などの、ロスタフロキシンでQT表現型DSBP5_0の著しい減衰を有し、プラセボ群では有さないSNPの相互作用の遺伝子型を選択した。
【0168】
全ての遺伝子解析は、プログラムパッケージgPLINK[Ref.33]を使用して行った。Eigensoftパッケージ(Linaxプラットフォームについてバージョン2.0、Department of Genetics、Harvard Medical School、Boston、USA)を使用した主成分分析。EigensoftパッケージのGenomic Control(GC)を使用して、ゲノム膨張因子λを計算した。統計的遺伝子解析を完成させるため、および純粋な統計的遺伝学アプローチを超えたこれら全ての解析のために、プログラムStataSE9.2を使用した。当業者は、本開示を読めば、統計解析の追加の詳細全てを同定することができるだろう。
【0169】
記述統計分析および推論統計分析後に、有意なSNPの可能な最小のセットを使用して、活性治療に対するレスポンダーと非レスポンダー(NR)とを識別するために、遺伝子型分類プロファイルも作成した。この場合、「遺伝子プロファイル」は、単一SNPまたはその相互作用における遺伝子型の線形結合である。
【0170】
プロファイルを作成するために、各SNPについての異なる遺伝子型を変数とみなし、特に、より低頻度のホモ接合体遺伝子型を遺伝子型1(g1)として同定し、ヘテロ接合体遺伝子型を遺伝子型2(g2)として同定し、より高頻度のホモ接合体遺伝子型を(g3)として同定した。
【0171】
したがって、例えば、因子としてSNP1のg1(成分1)、SNPのg2(成分2)およびSNP3のg1とSNP4のg2との相互作用(成分3)を有するような遺伝子プロファイルを構築した。プロファイルは、任意の数の成分を有することができる。
【0172】
少なくとも1つの成分が有意に関連する遺伝子型(例えば、前の例におけるSNP1のg1)を提供する場合には、任意の所与のプロファイルは1に等しいとコードされ、そうでなければプロファイルは0とコードされる。次いで、全被験体を、定義された患者のサブセットを特徴付けるのを可能にするプロファイルへの適合に応じて、0または1として分類する。
【0173】
次いで、[Ref.36、37]に記載されているものなどの手順に対して行われるロジスティック回帰を使用して、異なるプロファイルが被験体をRまたはNRに分類する予測能力、すなわちロスタフロキシンについてのRとNRとを識別する遺伝子型プロファイルを見出す能力を試験した。
【0174】
遺伝子プロファイルを評価するために出願人等によって選択されたパラメータは、オッズ比(OR)であり、これは、FDAガイドライン[Ref.38]によると、薬理ゲノミクス試験の成績の情報を与えると考えられるパラメータの1つである。特に、FDAガイドラインによると、ORは、プラセボではなく薬物に対するレスポンダー患者間の異なる遺伝子プロファイルによる識別の程度を評価するための臨床的に関連するパラメータである。
【0175】
OR値は、定義された遺伝子プロファイルにより、試験陽性患者(レスポンダー)のオッズと試験陰性患者(非レスポンダー)のオッズの比を示す。オッズ比は、以下のように陽性予測値(PPV)および陰性予測値(NPV)を組み合わせる:PPV×NPV/[(100−PNV)×(100−NPV)]。予測値(陽性または陰性のいずれか)は、目的の臨床状態(すなわち、定義された遺伝子プロファイルによる薬物に対する応答)を有する陽性または陰性の試験結果を有する患者の比率を表す。言い換えれば、ORは、試験に対してレスポンダーである(PPV)または非レスポンダーである(NPV)確率である。1のオッズ比は、試験が、情報価値がないことを示し、したがって、オッズ比が高いほど、試験の予測力は高い。
【0176】
上記研究の結果に基づき、出願人等は、ロスタフロキシンの効果を検出するために選択された定量的表現型に有意に影響を及ぼすいくつかのSNPおよび関連する遺伝子型プロファイルを同定した。
【0177】
特に、驚くべきことに、血圧に影響を及ぼす経路に以前は関連づけられていなかった遺伝子中に位置するいくつかのコアSNPが、以下の実施例に示すようにロスタフロキシンの効果を増強する著しい能力を示した。
実施例1:コアSNPは、ロスタフロキシンに対する個体の応答に影響を及ぼす
【0178】
上記研究の成果において、ある群のSNPが、ロスタフロキシンに対する個体の応答に有意に影響を及ぼすものとして同定され、本明細書ではコアSNPとも称される。本明細書に記載のコアSNPの主要な特徴を、表4に示す。
【表4】

【0179】
rs2345088、rs16877182、rs16893522、rs2461911、rs5013093およびrs12513375のコアSNPは、上記統計解析の成果で、ロスタフロキシンに対する血圧応答に関連する有意なSNPの最小のセットとしてゲノムワイド関連解析(GWAS)で同定された、ヒトゲノム中の染色体上の正確な位置は分かっているが、現時点では機能は未知である、新しく同定された一塩基多型である。
【0180】
特に、これらのSNPは、Sentrix BeadChipプラットフォームに基づく全ゲノム遺伝子型分類(WGG)[Ref.10]にしたがって行われた試験個体の全ゲノムの遺伝子型分類の後に同定された。より具体的には、WGGを、Human1M Duo CHIP−Infinium II Assayを使用して行い、当業者により同定可能な記載の手順、および例えば、[Ref.10、11、12]にさらに詳細に記載される手順にしたがって、非制限的遺伝子座選択を通して、患者の全ゲノムに沿って100万個のSNPにわたって調べた。
【0181】
遺伝子型分類の成果で検出されたSNPを、最初に単変量解析に供し、次いで、上で説明したようにロスタフロキシンに対する最大応答を有するSNP遺伝子型を選択するためのさらなる解析に供した。
【0182】
特に、プラセボと比較してロスタフロキシンに対する最大応答を有する遺伝子型を選択するために、出願人等は、従属変数としてDSBP5_0および独立変数として有意なSNPを使用してプラセボおよびロスタフロキシンにおいてANOVA統計解析(一元配置)を行った。
【0183】
行った解析を図6に例示するが、ここでは、プラセボ(p=0.045)よりも治療群(p=0.002)でより大きいSNP遺伝子型g1、g2およびg3における有意な表現型分散に関するSNP rs2461911についての解析が示されている。
【0184】
SNP rs2461911の3つの遺伝子型g1、g2およびg3についてのDSBP5_0値の変動は、ロスタフロキシンおよびプラセボ群を比較するSNP rs2461911の3つの遺伝子型についてのDSBP5_0値のプロットを示す図7にも示されている。図7の説明から、遺伝子型1では、ロスタフロキシンにより血圧が明確に低下している一方で、プラセボでは血圧が控えめに増加していることが明確である。逆に、遺伝子型3では、プラセボによる血圧降下はより大きいように見える。重要なことは、明らかに従うこれらの遺伝子型によるプラセボおよびロスタフロキシンによる血圧応答における変化の方向ならびに逆の傾向である。これは分析することが可能であり、発明者等は、その特定のSNPについて、モデルおよびロスタフロキシンとプラセボの間の相互作用の統計的有意性を確立することができる。適当な統計解析は、相互作用の有意性をもたらす(この有意性は、モデルの有意性が0.05未満の場合にのみ認められる)。相互作用についてのP値を、P−GXEとして表4に示す。
【0185】
同様のアプローチを適用して他のコアSNPを解析および選択した結果、本調査の成果で、出願人等は、図7の例rs2461911のような、ロスタフロキシンではQT表現型DSBP5_0の著しい減衰を有するが、プラセボ群では有さないSNPの遺伝子型を選択した。
【0186】
コアSNPを有し、ロスタフロキシンで処理した個体(治療)対コアSNPを有し、プラセボで処理した個体(プラセボ)におけるDSBP5_0に関するデータの概要を表5に示す。
【表5】

【0187】
特に、表5のデータは、QT表現型DSBP5_0に有意に関連するSNPを選択するために、従属変数としてDSBP5_0および独立変数としてSNPを使用して、段階的線形回帰を使用して得た。
実施例2:コアSNPを含む遺伝子プロファイルは、ロスタフロキシンに対する個体応答に影響を及ぼす。
【0188】
SNPの同定後、出願人等は、実施例1のコアSNPを含む遺伝子プロファイルの予測能力を調査した。遺伝子プロファイルの構築を支持する理論的根拠は、所与のSNPの表現型効果はまた、第1SNPに関連するタンパク質と相互作用するタンパク質をコードする遺伝子上に持つ他のSNPの面で評価されなければならないという確立した概念による(遺伝的ネットワーク)。この意味で、ネットワーク解析はまた、遺伝的エピスタシスの概念を意味する[Ref.39]。実際、2つの遺伝子座の対立遺伝子は、同一被験体中で同時に発生するので、これらの対立遺伝子を別々に解析すると検出可能な効果を有さないが、一緒に分析すると表現型的に関連し得る。
【0189】
出願人等は、予測モデルとして、従属変数が二面性表現型(RまたはNR)であり、独立変数が特定のプロファイルであるロジスティック回帰を使用して、治療群のみにおいてコアSNPを含む遺伝子プロファイルが、治療に対するレスポンダーと非レスポンダーとを識別することができるかどうかを評価した。次いで、出願人等は、予測パラメータ(オッズ比、PPV、NPV)を計算するモデルの長所を評価した。
【0190】
実施例1の全コアSNPを含む遺伝子プロファイルに関連する代表的データを図8に示す。特に、図8は、FDAガイドライン[Ref.38]によると、薬理ゲノミクス試験の成績の情報を与えると考えられるパラメータである、コアSNPを含むプロファイルについてのオッズ比(OR)および予測値(P値)に関するデータを示す。
【0191】
特に、OR値は、定義された遺伝子プロファイルにより、試験陽性患者(レスポンダー)のオッズと試験陰性患者(非レスポンダー)のオッズの比を示す。特に、オッズ比は、以下のように陽性予測値(PPV)および陰性予測値(NPV)を組み合わせる:PPV×NPV/[(100−PNV)×(100−NPV)]。言い換えれば、ORは、試験に対してレスポンダーである(PPV)または非レスポンダーである(NPV)確率である。1のオッズ比は、試験が、情報価値がないことを示し、したがって、オッズ比が高いほど、試験の予測力は高い。P値(陽性または陰性のいずれか)は、目的の臨床状態(すなわち、定義された遺伝子プロファイルによる薬物に対する応答)を有する陽性または陰性の試験結果を有する患者の比率を表す。
【0192】
P値パラメータはzスコアに基づいて計算され、これはORの有意性を示す。zスコアパラメータは、In(OR)/標準誤差(InOR)を示す。ORが微小から1であり、したがってプロファイルが薬物に対する応答を予測することができない場合には、zスコアは負の値を有する。これに対して、OR>1であり、したがってプロファイルが薬物に対する応答を予測することができる場合には、zスコアは正の値を有する。zスコアが高い場合には、分散がより小さいためにORはより有意である。
【0193】
上記パラメータ中で、オッズ比(OR)は、プラセボではなくロスタフロキシンに対するレスポンダー患者間の異なる遺伝子プロファイルによる識別の程度の評価に臨床的に関連すると考えられる[Ref.38]。
【0194】
プロファイルに列挙されたコアSNPの1つまたは複数のSNPを含む患者からのデータを検討して、図8に要約する全コアSNPを含むプロファイル(プロファイル4)に関連するデータを得た。判定基準は、単一の特有のプロファイル中の少なくとも1つのSNPを保有する患者の包含を通常支持する2つの因子の発生により正当化される:i)SNPの強力な予測力およびii)当のSNPに関連する一般的なもっともらしい生物学的機構。特に、SNPの予測力は、ORおよび当業者により同定可能な方法にしたがって正確に分類された患者から評価することができる。対応するパラメータは、プロファイル4を有する患者について79.8%である「正確な」値である(図8参照)。この値は、100人の患者の中の80人の患者において、プロファイルが、患者をレスポンダーおよび非レスポンダーへ正しく分類することを示している。
【0195】
上記結果を考慮して、コアSNPが臨床的関連によりロスタフロキシンの薬理活性に影響を及ぼすと結論づけることが可能である。特に、臨床的関連は、薬物(ロスタフロキシン)とプラセボの間の血圧降下の差異の大きさが原因であり、ロスタフロキシンでは23〜15mmHgに及ぶ一方で、文献によると、この差異はARBでは4〜6mmHgに及ぶ。
【0196】
2つの別々の研究で得られたプロファイル4を保有する患者の予備データは、ロスタフロキシンで得られる血圧降下が、入手可能な降圧薬中で検出される血圧降下よりも40%超大きいことを示している(図8、底部参照)。特に、プロファイル4を保有する個体は、HCTZで−12.3±1.5mmHg、ロサルタンで−11.3±1.7およびロスタフロキシンで−18.74±1.8mmHgの血圧変化を示しており;プロファイル8を保有する個体は、HCTZで−11.3±1.2mmHg、ロサルタンで−11.6±1.3mmHgおよびロスタフロキシンで−15.2±1.5mmHgの血圧低下を示しており;プロファイル9を保有する個体は、HCTZで−11.9±1.2mmHg、ロサルタンで−11.4±1.4mmHgおよびロスタフロキシンで−15.2±1.5mmHgの血圧低下を示している。
実施例3:関連SNPと共にコアSNPを含む遺伝子プロファイルはロスタフロキシンに対する応答に影響を及ぼす
【0197】
コアSNPと上記薬理ゲノミクス研究中で同定された追加のSNPの相互作用を分析し、予測モデルとしてロジスティック回帰を使用して治療に対するRとNRとを識別するのに適した追加の遺伝子プロファイルの可能な同定を検証した。
【0198】
特に、実施例2のコアSNPプロファイル(プロファイル4)を、研究中に同定された追加の関連SNPと組み合わせた。
【0199】
関連SNPは、本明細書の文脈において、ロスタフロキシンに対するレスポンダーと非レスポンダーとを識別するのに適したSNPを示す。
【0200】
特に、以下の3つのグループの遺伝子で、関連SNPを最初に調査した:a)本明細書でCAND1としても示される、ロスタフロキシンの作用機構に直接関与している遺伝子(アデュシンおよびEO遺伝子など−実施例4参照);b)本明細書でCAND2としても示される、高血圧の発達および/または高血圧に関連する器官損傷に関与し得る遺伝子(WNKなど−実施例5参照);ならびに本明細書でGWSとしても示される、全ゲノム解析を行うことにより同定された遺伝子(HLA−Aなど、実施例6参照)。
【0201】
特に、選択された遺伝子を遺伝子型分類することにより、これらの遺伝子中のSNPを最初に同定した。次いで、検出されたSNPを実施例4〜6でさらに示す記述分析および推測分析に供することにより、関連SNPを選択した。次いで、このように同定された関連SNPを実施例2のプロファイル4のコアSNPと共に遺伝子プロファイルにグループ化した。
【0202】
結果は、図8に示されるように、コアSNPおよび関連SNPを含む遺伝子プロファイルが、ロスタフロキシンレスポンダーと非レスポンダーとを識別するのになお一層有効であることを示している。
【0203】
特に、図8の要約で、コアSNP(プロファイル4)ならびに追加のCAND1、CAND2および/またはGWS SNPにより形成される追加のプロファイルについて検出されるORおよびP値およびDSBP5_0も示される(特に、図8のプロファイル8およびプロファイル9参照)。図8のデータの解析から、追加のSNPをプロファイルに含めることにより、OR値および「正確な」値は、プロファイル4の値に対して増加するように見える(図8のプロファイル8およびプロファイル9参照)。また、これらのSNPの包含は、プロファイル4の総母集団の26%からプロファイル9の総母集団の44%まで標的集団の大きさの増加を決定する。
【0204】
手引きの目的で本明細書において提供され、限定することを意図していない、コアSNPと図8に示される追加のSNPの間の相乗効果の可能な説明は、高血圧などの複合疾患の根底にある同一遺伝的ネットワーク中の当のSNPの包含である。出願人等によって得られた実験的証拠は、これらのSNPが、遺伝的ネットワーク中の他の遺伝子(血圧に影響を及ぼす経路に既に関連付けられているCAND1またはCAND2など−実施例4および5参照)を妨げるもしくは調節することができる、または先天的に選択された候補のリスト(プロファイル8および9と比較してプロファイル4を参照)とは無関係であり得る他の遺伝子に影響を及ぼすことができるという結論を支持する。
【0205】
したがって、本明細書で報告するデータの可能な説明は、コアSNP(プロファイル4)の識別能力は、GWS、コアSNP、CAND1、CAND2および遺伝的ネットワークに含まれる追加の未知のSNPの効果を組み合わせる/統合する同一遺伝的ネットワーク中の包含のために、CAND1およびCAND2により増加させられるということである。
【0206】
識別能力の増加、およびプロファイル4からプロファイル9へ移すことにより達成されたプロファイルに含まれる選択される患者の大きさの増加は、ネットワーク概念を支持する。
【0207】
図8のプロファイル8および9に含まれる追加の関連遺伝子についての特定の遺伝子型を、以下の表6および表7にさらに記載する。
【表6】

【表7】

【0208】
上記結果を考慮して、追加のSNPと共にプロファイルに含まれるコアSNPは、臨床的関連によりロスタフロキシンの薬理活性に影響を及ぼし、それはコアSNP単独の活性よりもはるかに高くなり得ると結論づけることが可能である。
実施例4:ロスタフロキシンに対する応答に影響を及ぼす関連SNP:CAND1遺伝子
【0209】
出願人等は、ロスタフロキシンに対するレスポンダーを同定する実施例1のコアSNPも含む遺伝子プロファイルへの追加の関連SNPの包含を調査した。
【0210】
第1の一連の実験において、ロスタフロキシンの作用の機構に直接関与する遺伝子(本明細書でCAND1遺伝子とも称される)のSNPを調査した。
【0211】
特に、調査したCAND1遺伝子は、アデュシンサブユニットをコードする遺伝子(ADD1、ADD2、ADD3)、ならびにEO合成および代謝に関与する遺伝子(CYP11A1、HSD3B1、LSS、ABCB1/MDR1およびSLCO4C1)を含んでいた。調査した遺伝子の特徴の概要を表8に報告する。
【表8】

【0212】
特に、表8は、選択されたCAND1遺伝子および関連する染色体の位置、遺伝子記号および遺伝子名を示す。
【0213】
表8の各CAND1遺伝子について、Taqmanアッセイ(オンデマンドアッセイまたはABI製のプローブおよびプライマー設計を使用したカスタムMGB)によるSNP:単一SNP解析を使用して、SNPを検出した。
【0214】
検出されたSNPを、単変量解析に供し、研究のために選択したQT表現型DSBP5_0の検出された変動に基づいて、関連CAND1 SNPを選択した。
【0215】
代表的な関連CAND1 SNPを、関連するGXT関連結果と共に表9および表10に報告する。有意なp_GXTは、処理(ロスタフロキシン/プラセボ)に対する有意なDSBP5_0の異なる応答を示している。
【表9】

【表10】

【0216】
特に、表9は、関連する遺伝子記号、染色体の位置、染色体上の位置、遺伝子上の位置およびP値と共に選択された代表的なCAND1 SNPの単変量解析の結果を示している。
【0217】
HSD3B1遺伝子についての2つの関連SNP(HSD18およびHSD19)を、表6に詳細に記載し、その関連を表7に記載する。
【0218】
表10では、関連SNP rs914247のデータを報告する。
【0219】
遺伝子およびアデュシンの詳細な説明中で説明するように、表9に含まれる遺伝子は、アデュシンならびにEO合成および輸送に関与する酵素をコードすることが示唆されているものである。「インビトロ」でピコモル濃度または動物中でナノモル用量のロスタフロキシンは、野生のアデュシンの効果を阻害することなく、変異型アデュシンまたはウアバインのNa−KポンプおよびcSrcへの影響を選択的に修正することができる。
実施例5:ロスタフロキシンに対する応答に影響を及ぼす関連SNP:CAND2遺伝子
【0220】
第2の一連の実験において、高血圧の発達および/または高血圧に関連する器官損傷に関与し得る遺伝子(本明細書でCAND2遺伝子とも称される)のSNPを調査した。
【0221】
特に、病態生理学的に関連する遺伝子のより大きいセットを、CAND2遺伝子として選択した。選択判定基準は、主として、RAA酵素および受容体をコードする遺伝子、腎臓のナトリウム再吸収を調節するイオンチャネルおよび輸送体の種々のファミリー、アドレナリン受容体、有足細胞タンパク質ならびに転写因子を含んでいた。得られた遺伝子のセットを図9の図解に要約する。
【0222】
特に、図9において、関連染色体の位置、遺伝子記号および遺伝子名と共に選択された候補遺伝子CAND2を示す。
【0223】
これらの遺伝子に関する追加の情報は、本開示を読めば当業者により同定可能である。
【0224】
図9の表の各CAND2遺伝子について、ロスタフロキシンに対する血圧応答へのこれらの遺伝子の影響を評価するための候補遺伝子内の変異の評価をもたらすことができるSNPをゲノム中およびIlluminaチップ中に存在するTag SNPを使用して検出した。
【0225】
検出されたSNPを、単変量解析に供し、コアSNPの選択に関して説明したのと同じ方法論により、1.7810E−4(rS7117314)から510E−2(rs945403)に及ぶP値GXTを有するSNPのみを選択した。候補遺伝子を扱う場合、発明者等は、候補遺伝子の選択を支持する以前のデータを考慮して、p<0.0001の代わりにp<0.05のみを閾値として使用した。
【0226】
特に、検出されたQT表現型DSBP5_0の変動に基づいて、関連CAND2 SNPを選択した。
【0227】
関連するGXT関連結果と共に、代表的なCAND2 SNPを表11に報告する。有意なp_GXEは、処理(ロスタフロキシン/プラセボ)に対する有意なDSBP5_0の異なる応答を示している。
【表11】



【0228】
特に、表11では、プラセボおよび治療についてのGXT関連結果が示されている。有意なp_GXTは、処理(ロスタフロキシン/プラセボ)に対する有意なDSBP5_0の異なる応答を示している。
実施例6:ロスタフロキシンに対する応答に影響を及ぼす関連SNP:GWS遺伝子
【0229】
第3の一連の実験において、全ゲノム解析で検出された遺伝子(本明細書でGWS遺伝子とも称される)のSNPも調査した。
【0230】
[Ref.10、11、12]に記載の手順にしたがって、Human1M Duo CHIP genotyping Bead Chipを使用して、Illumina製のHuman1MアレイでゲノムSNPを遺伝子型分類した。特に、染色体XおよびYのSNPならびにXの偽常染色体領域のSNP(XY)は考慮しなかったので、全体で、1111190個(合計の92.66%)のSNPを解析した。
【0231】
検出されたSNPを、実施例の節で記載した方法論にしたがって、関連SNPを同定するためのアプローチで単変量解析に供した。
【0232】
GWS遺伝子についての単変量解析(定量的形質相互作用−GxE)の結果を図4に示すが、これは、p<10−4の確立された閾値未満のP値を有する107個のSNPを有する193人のNPT患者からのサンプル中で遺伝子型分類された848340個のSNPについての結果を点として示している。
【0233】
次いで、関連に関与する特定のゲノム領域の役割を明確にすることを目的とした同定された107個のSNPの詳細なアノテーションを行った。このGWASから同定された107個の上位SNPを、これらのゲノム位置によって実際に示す:7個はコード領域、4個は3’UTR、30個はイントロンおよび66個は遺伝子間領域。最後に言及したグループ中で、いくつかのSNPは遺伝子領域と近位にあり、関連プロモーター中に局在化し得る一方で、他のいくつかは、砂漠領域中と考えられるほどアノテーション済み遺伝子から遠くにある。
【0234】
そのため、プロファイル4(単一上位SNP)に含まれる上位SNPおよびプロファイル5(上位SNPと相互作用)についてのみ、より詳細なアノテーションを行い、発明者等は、その大多数がイントロンSNPの最小のセットを有する遺伝子間変異体であることを認めた。これら変異体の全ては、導入部−1.3段落で既に言及されているように、いわゆる「ジャンクDNA」領域に属しており[Ref.40]、したがって、真核生物における配列の進化的革新のための豊富な基質を表している。
【0235】
徹底的なアノテーションのためにとる手順は、以下を考慮した:i.MAF>5%を示すSNP;ii.異なるデータベース(NCBI Entrez Gene、HapMap、Ensembl)の助けを借りたより最近のマッピング;iii.遺伝子領域または機能的領域中の考えられる位置による、その間の完全なまたは強力なLD中のSNPのグループからの選択;iv.PubMed解析;v.公開されているmiRNA配列および関連ゲノム標的のアノテーション。
【0236】
遺伝子内SNPについて、出願人等は、コード変異体またはスプライシング変異体を認めなかったが、発明者等は、その機能が多くの場合未知の遺伝子中に位置する一般的なイントロン多型を同定した。2つの上位SNP(rs3893464およびrs5013093)は、6番染色体上の主要組織適合性複合体クラスI領域、いくつかの遺伝子を含む広範囲で高LDの特有の領域中に位置していた。この場合、正確な遺伝子アノテーションはより複雑であり、含まれる遺伝子の発現および機能パターン調査が、正しい領域を規定するのに役立った。SNPは、特に3’UTRについてのmiRNA標的組成物にも異なる影響を及ぼすことができるので、全上位SNPを異なるデータベースで(www.patrocles.org、microrna.sanger.ac.uk、www.microrna.org)実質的に試験したが、いかなる興味深い結果も得られなかった。出願人等はまた、完全な前駆体配列またはまさに成熟miRNAに対する検索を検討した。しかしながら、シグナルのソースのさらなる遺伝的局在化なしでの、予測のための薬物応答のマーカー同定は、GWA研究のための十分なエンドポイントであろう。
【0237】
上記特徴付けの後、従属変数としてDSBP5_0および独立変数として107個の有意なSNPを使用して、プラセボおよびロスタフロキシンにおいて、STATAソフトウェアを使用して、統計的ANOVA解析を行うことにより、プラセボと比較したロスタフロキシンに対する最大応答を有する遺伝子型を同定するために、最初の107個のGWS SNPをさらに選択した。さらにこの解析と共に、上記SNPの遺伝子型の関連性も解析した。
【0238】
このアプローチにより、最終的に、治療でDSBP5_0が減衰するが、プラセボ群では減衰しない、わずか35個のSNP(およびその関連遺伝子型)を選択して、関連GWSとみなした。関連GWSのリストを表12に要約する。
【表12】





【0239】
実施例7:コアSNPとの連鎖不平衝における遺伝的変異
たとえプロファイル4、8および9に含まれるDNA変異がレスポンダー患者の予測に強力な遺伝的力を有するとしても、それらは、最良の識別能力を有する全ての遺伝的変異性を消耗しない。連鎖不平衝の概念によると、DNA変異(タグSNP)は、タグSNPに照らしてみて、同様にまたは類似して変異を分類することができる可変数のプロキシSNPにより一般的に表すことができる。そのため、いくつかの追加の遺伝的変異が、本明細書に記載の方法およびシステムの範囲に含まれる。ロスタフロキシンの生物活性に影響を及ぼすSNPとの連鎖不平衝における代表的な遺伝的変異を表13に列挙する。
【表13】





【0240】
表13に列挙する遺伝的変異は、ヨーロッパ人母集団の遺伝子データに関する代表的な遺伝子地図から得られる上記各コアSNPまたは候補SNPについての対応するプロキシSNPである。HapMap Projectにより得られる情報は、発明者等にヨーロッパ人母集団におけるプロキシSNPの最良の適用範囲をもたらす。ヨーロッパ人母集団および/または他の母集団についての連鎖不平衝における遺伝的変異に関する追加の情報源は、当業者により同定可能なソースを通して検索することができ、これには、例えば、発明者等の母集団のIllumina BeadChip 1Million遺伝子型データが含まれる。HapMapなどのソースを参照する場合、本開示の意味において、全ての関連遺伝的変異の完全なリストアップを確保するためにソースリリースに関して連続的な更新が必要とされる。
実施例8:コアSNPおよびロスタフロキシンに対する応答に影響を及ぼす追加のSNPに関する配列情報
【0241】
本開示のいくつかの実施形態では、ロスタフロキシンに対する個体応答に影響を及ぼすいくつかの遺伝的変異についての配列情報の検出に基づいて、治療を評価することができる。コアSNPおよび関連する選択された遺伝子型に関する配列情報を表14および15に報告する。
【表14】

【表15】

【0242】
ロスタフロキシンに対する応答に影響を及ぼす代表的な追加のSNPおよび関連する選択された遺伝子型についての配列情報を表16および17に報告する。
【表16】



【表17】



【0243】
本明細書に記載の方法およびシステムにおいて配列情報を検出するために使用するのに適した代表的なプローブを表18に列挙する。
【表18】

【0244】
本明細書で例示する方法およびシステムのいくつかは、その遺伝的特徴(SNP)による患者のサブセットの選択を提案することにより、ロスタフロキシンの非薬理ゲノミクス治療用途の特定の制限を克服することができる。特に、当のSNPは、単独で、または高血圧および器官合併症をもたらす機構に関与し、またロスタフロキシンが命中する他のSNP(CAND1、CAND2)と組み合わせて、ロスタフロキシンに対する血圧応答の基礎となる(コアSNP)ように見える。
【0245】
特に、コアSNP、およびCAND1またはCAND2 SNPの両者は、目的の2つの表現型:a)選択薬物に対する応答、b)高血圧およびその器官合併症の発達、に貢献する。さらに、実用的見地から、両グループのSNPは、レスポンダーと非レスポンダーの間の識別に貢献する。
【0246】
この知見は、正しい患者のための正しい薬物を発見するため、および(今まで動物モデルで研究された)疾患のネットワーク概念をヒト患者に適用することを目標とした新しいラインの研究を開くための探求における2つの重要な意味を有し得る。
【0247】
動物モデルにおける多遺伝子性多因子的疾患の研究の結果は、現在のパラダイム:「1つの遺伝子分子変化(または1つの遺伝子変異体またはSNP)」、「1つの病態生理学的機構」および「1つの臨床的症状または疾患」を機構の遺伝的環境ネットワークのより広い概念のために放棄すべきであるということを示唆している。疾患は、このネットワークの攪乱から生じ得る。次いで、この攪乱は新規な「原因」治療のための標的となり得る。動物モデルにおいて発展中のこの新しい概念は、その異常が目的の疾患を誘引し得る特定の組織または器官が入手不可能であるために、ヒトに容易に適用できない。
【0248】
本明細書に記載の方法を、初めて、ヒトに対するこの戦略に適用する。実際、遺伝的攪乱(2つのグループのSNPによって定義される)と機能的攪乱(非常に強力な選択的降圧薬、ロスタフロキシンに対する血圧応答として測定される)の組み合わせは、ヨーロッパ人のみの二千万人である臨床的に関連のある患者のサブセット(約25%)における高血圧とその器官合併症の基礎となる特有の遺伝的ネットワークの同定への新しいアプローチを現実化する。
【0249】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法およびシステムは、プロファイル中の個々の患者の遺伝的異質性、および目的の遺伝子のエピスタシスを扱う。遺伝的異質性およびエピスタシスは、多遺伝子性多因子的疾患における所与の遺伝的機構の因果関係を示すために克服すべき2つの主要な問題である。遺伝的異質性という用語は、同じ表現型(生化学的、生理学的または症状)は、異なる遺伝的機構によってもたらされ得ることを示している。エピスタシスという用語は、同じ遺伝子変異体の効果が、目的の遺伝子から遠く離れた遺伝子から生じる別の変異体によって調節され得る(鈍らせられるまたは拡大される)ことを示している。
【0250】
これら2つのよく受け入れられた遺伝的現象は、ヒト疾患または治療に対する応答の基礎となる機構を研究するために遺伝学を適用しようとする試み全てを妨げる。
【0251】
例えば、所与のホルモン(特定のウアバイン)またはタンパク質(特定のアデュシン)が疾患(特定の高血圧における)を引き起こすのに関与していると仮定するならば、そのホルモンの合成、輸送または排出に関与する遺伝的経路も、その決定組織レベルおよびその生物学的効果の決定に関与していることを認めなければならない。
【0252】
類似して、その特定のタンパク質の細胞機能の調節に関与するタンパク質をコードする全ての遺伝子を考察すべきである。当然、これらの生化学的経路の各々は、個々の患者の遺伝的背景によって異なって影響され得る。
【0253】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法およびシステムにおいて、プロファイルの種々のSNPを関連づける一般的な知見は、a)ロスタフロキシンに対する血圧応答に関連するSNPの能力(コアSNP);およびb)前臨床研究においてロスタフロキシンの活性に影響を及ぼし、高血圧およびその器官合併症の基礎となる生化学的経路に関連するSNPの能力(CAND1およびCAND2 SNP)である。現在の高血圧治療に対する本明細書に記載の方法およびシステムのいくつかの実施形態の実用的優位性は、患者の25%における(試行錯誤期間の減少による)より早い血圧調節の達成、現在の戦略の30〜40%に対して、レスポンダーおよび非レスポンダーを分類する85%の確率、ならびにロスタフロキシンについての試験結果によって、および最も重要なことには、動物における活性投薬とNOAEL(最大無毒性量)投薬の間のロスタフロキシン投薬のはるかに広い間隔(ロスタフロキシンでは少なくとも100.000時間であるが利用可能な薬物ではわずか20〜50時間である)によって示されるような、治療個体における良好な耐容性および生活の質を含む。さらに、本明細書に記載の方法およびシステムのいくつかの実施形態は、ロスタフロキシンによって影響される機構と本明細書に記載のいくつかの方法およびシステムにより選択される患者のサブセットにおける器官損傷の基礎となる機構の間の同一性から、器官合併症の予測可能な効率的予防に関連し得る。
【0254】
この予測可能な増加した効率は、現在の戦略に対して3つの明確な意味を有する:a)ただの危険因子であり、不安な臨床症状をもたらす疾患ではない高血圧の治療に従うよう患者を納得させるより強力な合理性(または論拠)をもたらす。b)反対に、高血圧それ自体が高程度の障害をもたらし得る心血管系合併症を経験している患者のために負担を減少する。c)高血圧治療が、医療費の最も重要な原因である心血管系合併症および腎合併症を発達させるより大きな危険性にさらされている患者のサブセットに集中されるので、医療費を減少させる。
【0255】
最終的に、プロファイル4を有する選択された患者のサブセットにおいて、ロスタフロキシンにより得られる血圧降下の大きさは、HCTZまたはロサルタンにより得られるものよりも約40%大きい。この差は、種々の降圧薬間で今まで検出されたものよりもはるかに大きい。
【0256】
一般に、本明細書に記載の方法およびシステムは、いくつかの実施形態において、高血圧などの心血管状態の治療における改善を可能にする。現時点では、未治療高血圧患者のわずか30〜40%が、臨床的に断固とした血圧降下による治療に応答する。これは、医師の欲求不満を生み出し、治療の複数の変更を必要とし、患者のコンプライアンスを低下させる。結果として、大半の患者は十分に治療されず、これが高血圧に関連する器官合併症の予防を制限する。本明細書に記載の方法およびシステムは、患者の85%までロスタフロキシン治療に対するレスポンダーとしての正確な分類を可能にし、したがって、動的治療を見出す負担を減少させる。いくつかの実施形態の第1の改善は、安全性に関する:選択された患者におけるロスタフロキシンの有効用量は、非常に低く、それは50〜500μg/日に及び得る。関連動物モデルにおける有効用量は、0.1〜100μg/kgである一方で、動物においていかなる効果ももたらさない最大耐量(NOAEL)は、100mg/kgである。これは、動物におけるロスタフロキシンの活性用量と最大耐量の間の間隔が、この間隔が20〜50時間に及ぶ利用可能な降圧薬治療と比較すると、100.000時間よりも長いことを意味する。新しい降圧薬治療の有効性および安全性に関する、特に伝統的な治療的アプローチと薬理ゲノミクスアプローチとを比較したいくつかのデータを図10に報告する。
【0257】
要するに、本明細書に記載の方法およびシステム(遺伝子型分類+ロスタフロキシン)は、高い安全性とより正確な抗高血圧活性の予測を組み合わせて、その機構がロスタフロキシンによって暗示される心血管系合併症の高程度の予防を予測する。
【0258】
選択されたコアSNPの少なくとも1つを保有する個体における、ロスタフロキシン後の血圧降下の増加の正確な機構は不明であるが、それらは、ロスタフロキシンによる分子標的命中によって誘引される機構と関連すると予想される。結果として、ロスタフロキシンによって誘導される血圧降下に関連する利点を超える利点が、本プロファイルに含まれるコアSNP遺伝子型を保有する個体で期待される。
【0259】
上記実施例は、当業者に、本開示の方法およびシステムの実施形態の作り方および使い方の完全な開示および説明を与えるために提供されるものであり、発明者等が開示とみなすものの範囲を限定することを意図していない。当業者に自明の、開示を実施するための上記様式の修正は、以下の特許請求の範囲の範囲内であることが意図されている。本明細書中で言及される全ての特許および刊行物は、本開示が属する技術分野の当業者の技術水準を示している。本開示中に引用される全ての参考文献は、あたかも各参考文献が個々にその全体が参照により本明細書に組み込まれたのと同程度に、参照により組み込まれる。
【0260】
この結果、背景技術、発明の概要、詳細な説明および実施例中に引用される各文書(特許、特許出願、雑誌掲載論文、要約、実験マニュアル、本または他の開示を含む)の全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0261】
本開示は、特定の組成物または生物学的システムに限定されず、それは当然変化することができることを理解すべきである。本明細書で使用する専門用語は、特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、限定を意図していないことも理解すべきである。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用するように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかにそうではないと指示しない限り、複数の指示対象を含む。「複数」という用語は、文脈が明らかにそうではないと指示しない限り、2つ以上の指示対象を含む。特に定義しない限り、本明細書で使用する技術用語および科学用語は全て、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。
【0262】
本明細書に記載の方法および材料と類似または同等の種々の方法および材料は、本明細書に記載の適当な材料および方法の特定の例を試験するために実際に使用することができ、当業者により同定可能である。
【0263】
本開示のいくつかの実施形態を記載してきた。それでも、本開示の精神および範囲を逸脱することなく、種々の修正を行うことができることが理解されよう。したがって、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲の範囲内である。
参考文献
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
rs2345088、rs16877182、rs16893522、rs2461911、rs5013093およびrs12513375からなる群から選択される少なくとも1つの多型、ならびに/あるいはそれらとの連鎖不平衝における遺伝的変異の保有者となるよう選択された個体の心血管状態の治療または予防に使用するためのロスタフロキシン。
【請求項2】
少なくとも1つの多型が、rs2345088についてはヌクレオチドCまたはT、rs16877182についてはヌクレオチドCまたはT、rs16893522についてはヌクレオチドGまたはA、rs2461911についてはヌクレオチドGまたはA、rs5013093についてはヌクレオチドCまたはT、およびrs12513375についてはヌクレオチドTまたはGからなる群から選択される、請求項1に記載のロスタフロキシン。
【請求項3】
前記個体が、rs2345088については遺伝子型TTまたは遺伝子型1、rs16877182については遺伝子型C/Tまたは遺伝子型2、rs16893522については遺伝子型AAまたは遺伝子型1、rs2461911については遺伝子型AAまたは遺伝子型1、rs5013093については遺伝子型TTまたは遺伝子型1、およびrs12513375については遺伝子型TTまたは遺伝子型1からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子型の保有者となるよう選択された、請求項1または2に記載のロスタフロキシン。
【請求項4】
前記個体が、少なくとも1つのCAND1遺伝子、CAND2遺伝子および/またはGWS遺伝子における多型の保有者となるよう選択された、請求項1から3のいずれか一項に記載のロスタフロキシン。
【請求項5】
前記個体が、ADD1、ADD2、ADD3、CYP11A1、HSD3B1、LSS、ABCB/MDR1およびSLCO4C1からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子における少なくとも1つの多型の保有者にもなるよう選択された、請求項4に記載のロスタフロキシン。
【請求項6】
前記個体が、rs4961、rs4984、rs3731566、rs914247およびrs1045642からなる群から選択される少なくとも1つの一塩基多型ならびに/あるいはそれらとの連鎖不平衝における遺伝的変異の保有者となるよう選択された、請求項1から5のいずれか一項に記載のロスタフロキシン。
【請求項7】
前記個体が、rs4961についてはGT、rs4984についてはCT、rs3731566についてはAG、rs914247についてはGAおよびrs1045642についてはTCからなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子型の保有者となるよう選択された、請求項1から6のいずれか一項に記載のロスタフロキシン。
【請求項8】
前記個体が、rs914247について遺伝子型AAの保有者となるよう選択された、請求項1から7のいずれか一項に記載のロスタフロキシン。
【請求項9】
前記個体が、rs242093、rs1996396、rs10503806、rs13251780、rs17430706、rs10102024、rs526302、rs544104、rs3102087、rs5183、rs3772627、rs2276736、rs2131127、rs3741559、rs2217342、rs10927888、rs6604909、rs945403、rs7117314、rs10790212、rs11216598、rs910682、rs13218316、rs4309483、rs13280307、rs4739037、rs17596774、rs2728108、rs17786456、rs7696304、rs2725222、rs17199565、rs2758152、rs1057293、rs16960712、rs759359、rs404214、rs1005213、rs17025453、rs2110923、rs1428571、rs435404、rs12908787、rs11647727、rs880054およびrs11064584からなる群から選択される少なくとも1つの一塩基多型、ならびに/あるいはそれらとの連鎖不平衝における遺伝的変異の保有者となるよう選択された、請求項1から8のいずれか一項に記載のロスタフロキシン。
【請求項10】
前記個体が、rs12996186、rs9893372、rs7216331、rs7521668、rs188334、rs4998662、rs16893522、rs6457110、rs3893464、rs2517718、rs1362126、rs5013093、rs2345088、rs6718282、rs721207、rs2555500、rs2461911、rs8179654、rs1901139、rs2427832、rs9361863、rs1998394、ga001619、rs2275531、rs748140、rs4710592、rs2743951、rs10159569、rs3087816、rs10493940、rs16877182、rs2326912、rs1110446、rs12513375およびrs17414954からなる群から選択される少なくとも1つの一塩基多型、ならびに/あるいはそれらとの連鎖不平衝における遺伝的変異の保有者となるよう選択された、請求項1から9のいずれか一項に記載のロスタフロキシン。
【請求項11】
前記個体が、rs4961、rs4984、rs10923835、rs947130、rs914247、rs1045642、rs880054、rs10502933、rs2131127、rs4309483およびrs4739037からなる群から選択される少なくとも1つの一塩基多型の保有者となるよう選択された、請求項1から10のいずれか一項に記載のロスタフロキシン。
【請求項12】
前記個体が、rs1045642、rs10923835、rs914247、rs4961、rs947130、rs4309483、rs2131127、rs10502933およびrs880054(プロファイル8)からなる群から選択される少なくとも1つの一塩基多型の保有者となるよう選択された、請求項1から10のいずれか一項に記載のロスタフロキシン。
【請求項13】
前記個体が、rs1045642、rs10923835、rs914247、rs947130、rs4739037、rs43909483、rs4984、rs10502933、rs880054(プロファイル9)からなる群から選択される少なくとも1つの一塩基多型の保有者となるよう選択された、請求項1から10のいずれか一項に記載のロスタフロキシン。
【請求項14】
前記心血管状態が、高血圧および/またはそれに関連する状態である、請求項1から13のいずれか一項に記載のロスタフロキシン。
【請求項15】
前記心血管状態が、心肥大、心不全、心不全、心虚血、血管抵抗増加、血管反応性増加、血管硬化、血管厚さ増加、腎肥大、腎不全、糸球体硬化症、タンパク尿、多発性嚢胞腎、網膜障害、脳血管障害、脳血管損傷、脳卒中、メニエール症候群、認知障害、双極性障害の少なくとも1つである、請求項14に記載のロスタフロキシン。
【請求項16】
rs2345088、rs16877182、rs16893522、rs2461911、rs5013093およびrs12513375の少なくとも1つ、ならびに/あるいはそれらとの連鎖不平衝における遺伝的変異を含む遺伝子型を有するよう選択された個体を治療するために投与される、0.005mg/日〜5mg/日の用量の医薬品として使用するためのロスタフロキシン。
【請求項17】
ロスタフロキシンによる治療が、ウアバイン高血圧効果の選択的阻害、ウアバインにより引き起こされるNa−KポンプおよびSrcにおける変化の正常化、内因性ウアバインレベルの付随する増加とNa−KポンプおよびSrcにおける変化により持続される高血圧の形態の正常化からなる群から選択される少なくとも1つの生物活性を誘発することを目指している、請求項16に記載のロスタフロキシン。
【請求項18】
ロスタフロキシンによる治療が、アデュシンまたは内因性ウアバインの合成および輸送に関与する他の酵素をコードする遺伝子の遺伝的変異に関連する高血圧効果の選択的拮抗作用、アデュシン遺伝的変異により引き起こされるNa−KポンプおよびSrcにおける変化の正常化、ならびにアデュシン遺伝的変異とNa−KポンプおよびSrcにおける変化の付随する効果により持続される高血圧の形態の正常化からなる群から選択される少なくとも1つの生物活性を誘発することを目指している、請求項16または17に記載のロスタフロキシン。
【請求項19】
前記用量が、0.05mg/日〜0.15mg/日であり、前記個体へのロスタフロキシンの投与または処方が、約23mmHgの平均的血圧低下をもたらす、請求項16から18のいずれか一項に記載のロスタフロキシン。
【請求項20】
前記用量が、1.5mg/日〜5.0mg/日であり、前記個体へのロスタフロキシンの投与または処方が、約15mmHgの平均的血圧低下をもたらす、請求項16から18のいずれか一項に記載のロスタフロキシン。
【請求項21】
前記用量が、0.05mg/日〜1.5mg/日であり、前記個体へのロスタフロキシンの投与または処方が、平均的夜間血圧低下をもたらす、請求項16から18のいずれか一項に記載のロスタフロキシン。
【請求項22】
前記個体が、少なくとも1つのCAND1遺伝子、CAND2遺伝子および/またはGWS遺伝子における多型の保有者にもなるよう選択され、前記個体へのロスタフロキシンの投与または処方が、約8〜約22.5mmHgに及ぶ平均的低下をもたらす、請求項16から18のいずれか一項に記載のロスタフロキシン。
【請求項23】
少なくとも1つのCAND1遺伝子が、ADD1、ADD2、ADD3、LSS、MDR1、HSD3B1、CYP11A1およびSLCO4C1からなる群から選択される、請求項22に記載のロスタフロキシン。
【請求項24】
少なくとも1つのCAND2遺伝子が、ACTN1、ADRA1A、AGTR1、AQP2、ATP1A3、CLCNKA、CLCNKB、FXYD2、FXYD6、FYN、NEDD4L、NKAIN3、PKD1、PKD2、SCNN1B、SGK1、SLC12A1、SLC8A1、TJP1、UMODおよびWNK1からなる群から選択される、請求項22または23に記載のロスタフロキシン。
【請求項25】
少なくとも1つのGWS遺伝子が、ARL5A、ATP2A3、COX10、DPH5、FAIM3、FAM46A、HCG9、HLA−A、HLA−F、HLA−G、KCNS3、LOC131691、LOC389174、LOC389970、LOC642727、LOC644192、LOC649458、LOC728360、LOC728316、PIGR、RCADH5、RP3−377H14.5、SH3PXD2A、SLC30A7、THSD7A、TMEM200A、TRIM31、TTC29およびVCAM1からなる群から選択される、請求項22から24のいずれか一項に記載のロスタフロキシン。
【請求項26】
少なくとも1つのCAND1遺伝子、CAND2遺伝子およびGWS遺伝子が、MDSR2、HSD18、LSS2、HSD19、ADD2、WNKからなる群から選択される、請求項23に記載のロスタフロキシン。
【請求項27】
少なくとも1つのCAND1遺伝子、CAND2遺伝子および/またはGWS遺伝子中の前記多型が、一塩基多型である、請求項22から26のいずれか一項に記載のロスタフロキシン。
【請求項28】
前記用量が、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、脊髄内、髄腔内、心室内、経皮内適用、皮下、腹腔内、鼻腔内、経腸、局所、舌下、直腸手段、または外科手術後の患部組織に局所的に投与される、請求項16から27のいずれか一項に記載のロスタフロキシン。
【請求項29】
個体の単離DNAサンプル中で、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9および配列番号11のヌクレオチド配列のいずれか1つにおける一塩基多型を検出するステップを含む、ロスタフロキシンに対する改善された応答を有する個体を同定する方法であって、前記SNPの存在は、前記個体中のロスタフロキシンに対する改善された応答と相関する方法。
【請求項30】
前記検出される一塩基多型が、rs2345088、rs16877182、rs16893522、rs2461911、rs5013093およびrs12513375からなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10および配列番号12からなる群から選択される少なくとも1つの配列、またはそれらの相補配列を含む、単離核酸分子。
【請求項32】
配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44および配列番号46からなる群から選択される少なくとも1つの配列、またはそれらの相補配列を含む、単離核酸分子。
【請求項33】
配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9および配列番号11のヌクレオチド配列のいずれか1つにおける一塩基多型を含む核酸分子と特異的にハイブリダイズする単離ポリヌクレオチドと;
緩衝液と;
前記核酸中の一塩基多型を検出するために前記単離ポリヌクレオチドと組み合わせて使用するのに適した酵素と
を含む、核酸中の一塩基多型を検出するシステム。
【請求項34】
前記単離ポリヌクレオチドが、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10および配列番号12からなる群から選択される少なくとも1つの配列、またはそれらのフラグメントを含む、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43および配列番号45のヌクレオチド配列のいずれか1つにおける一塩基多型を含む核酸分子と特異的にハイブリダイズする単離ポリヌクレオチドをさらに含む、請求項33または34に記載のシステム。
【請求項36】
前記単離ポリヌクレオチドが、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44および配列番号46からなる群から選択される少なくとも1つの配列、またはそれらのフラグメントを含む、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
rs2345088、rs16877182、rs16893522、rs2461911、rs5013093およびrs12513375からなる群から選択される少なくとも1つの多型、ならびに/あるいはそれらとの連鎖不平衝における遺伝的変異のためのプローブと;
0.005mg〜5mg/日、特に0.05〜0.5mg/日の用量のロスタフロキシンおよび薬学的に許容される媒体を含む医薬組成物と
を含む、個体のためのロスタフロキシン治療を評価するシステム。
【請求項38】
前記プローブが、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10および配列番号12からなる群から選択される少なくとも1つの単離ポリヌクレオチド、または配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10もしくは配列番号12と相補的な配列と特異的にハイブリダイズすることができるそれらのフラグメントを含む、請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
rs4961、rs4984、rs10923835、rs947130、rs914247、rs1045642、rs880054、rs10502933、rs2131127、rs4309483およびrs4739037からなる群から選択される少なくとも1つの多型のためのプローブをさらに含む、請求項37または38に記載のシステム。
【請求項40】
前記プローブが、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44および配列番号46からなる群から選択される少なくとも1つの単離ポリヌクレオチド、または配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44もしくは配列番号46と相補的な配列と特異的にハイブリダイズすることができるそれらのフラグメントを含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項41】
前記プローブが、配列番号35〜配列番号58からなる群から選択される配列を有する、請求項37から40のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項42】
配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9および配列番号11のヌクレオチド配列のいずれか1つにおける一塩基多型を含む核酸分子と特異的にハイブリダイズする単離ポリヌクレオチドと;
緩衝液と;
前記核酸中の一塩基多型を検出するために前記単離ポリヌクレオチドと組み合わせて使用するのに適した酵素と
を含む、KCNS3、THSD7A、FAM46A、LOC389970、HLA−GおよびTTC29からなる群から選択される遺伝子の遺伝子間または遺伝子内領域中の一塩基多型を検出するシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2013−508329(P2013−508329A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534642(P2012−534642)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【国際出願番号】PCT/EP2010/065589
【国際公開番号】WO2011/048033
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(512103332)ロスタクオ・ソシエタ・ペル・アチオニ (1)
【氏名又は名称原語表記】ROSTAQUO S.p.A.
【Fターム(参考)】