説明

心血管障害を処置するためのトロンビンレセプターアンタゴニストを含む併用調製物

少なくとも1つのトロンビンレセプターアンタゴニストと少なくとも1つの心血管薬剤とを含む薬学的組み合わせが本明細書中で開示される。トロンビンレセプターアンタゴニストとの同時処方または同時投与に適する心血管薬剤の例としては、テゾセンタン、ボセンタン、およびシタックスセンタンから成る群から選ばれるエンドセリンアンタゴニストが含まれる。一つの実施形態において、本発明は、心血管状態の処置を必要としている哺乳動物における心血管状態を処置または防止する方法を含み、この方法は、トロンビンレセプターアンタゴニストを含む第1の薬学的組成物および心血管薬剤を含む第2の薬学的組成物を上記哺乳動物に投与するステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
トロンビンは、異なる細胞型において種々の活性を有することが公知であり、そしてトロンビンレセプターは、ヒトの血小板、血管平滑筋細胞、内皮細胞および線維芽細胞のような細胞型中に存在することが公知である。トロンビンレセプターアンタゴニスト(TRA)は、トロンビンレセプター上のアミノ酸の置換を含む構造活性研究に基づいて同定されてきた。非特許文献1において、テトラペプチドおよびペンタペプチド、例えば、N−トランス−シンナモイル−p−フルオロPhe−p−グアニジノPhe−Leu−Arg−NHおよびN−トランス−シンナモイル−p−フルオロPhe−p−グアニジノPhe−Leu−Arg−Arg−NH2が、強力なトロンビンレセプターアンタゴニストであるとして開示されている。ペプチドトロンビンレセプターアンタゴニストは、1994年2月17日公開の特許文献1にも開示されている。
【0002】
トロンビンレセプターアンタゴニストは、種々の心血管疾患または状態の処置に潜在的に有用であると文献中で示唆されており、これらの疾患または状態としては、例えば、血栓症、血管再狭窄、深部静脈血栓症、肺塞栓症、脳梗塞、心臓病、播種性血管内凝固症候群、高血圧(Suzuki,Shuichi,特許文献2(2002)、特許文献3(2002)および特許文献4(2002))、不整脈、炎症、狭心症、脳卒中、アテローマ性動脈硬化症、虚血状態(Zhang,Han−cheng,特許文献5(2001)、特許文献6(2001)および特許文献7(2001))が含まれる。
【0003】
置換トロンビンレセプターアンタゴニストが、特許文献8、特許文献9、および特許文献10、ならびに特許文献11、特許文献12、特許文献13、および特許文献14に開示されている。各種の条件および疾患を処置するためのトロンビンレセプターアンタゴニストの小さいサブセットの使用が、特許文献15に開示されている。トロンビンレセプターアンタゴニストの投与による心肺バイパス手術に関連する合併症の防止が、米国特許出願第11/613、450号において教示されている。特定のトロンビンレセプターアンタゴニストの硫酸水素塩(以下「化合物A」として識別される)の結晶形が、特許文献16に開示されている。
【0004】
強化された効力および安全性の探索において、研究者らは、2つ以上の別個の有効な薬剤の様々な治療的組み合わせを探った。そのような薬剤は、特に有用な治療的結果をもたらすために、非常に異なる生化学的経路により作用し得る。2つ以上の有効な薬剤は、同時投与される個別の処方物として、または単一の同時処方物として提供され得る。同時処方物は、個別の用量を低減し、投与される2つの薬剤の比率を固定するという患者−コンプライアンス(patient−compliance)の利点を有する。そのような組み合わせの例はVytorin(登録商標)であり、これはシンバスタチン(Zocor(登録商標)として単剤療法として米国内で販売)およびエゼチミブ(Zetia(登録商標)として単剤療法として米国内で販売)を含む単一剤形である。
【特許文献1】国際公開第94/03479号パンフレット
【特許文献2】国際公開第02/88092号パンフレット
【特許文献3】国際公開第02/85850号パンフレット
【特許文献4】国際公開第02/85855号パンフレット
【特許文献5】国際公開第01/00659号パンフレット
【特許文献6】国際公開第01/00657号パンフレット
【特許文献7】国際公開第01/00656号パンフレット
【特許文献8】米国特許第6,063,847号明細書
【特許文献9】米国特許第6,326,380号明細書
【特許文献10】米国特許第6,645,987号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第03/0203927号明細書
【特許文献12】米国特許出願公開第04/0216437A1号明細書
【特許文献13】米国特許出願公開第04/0152736号明細書
【特許文献14】米国特許出願公開第03/0216437号明細書
【特許文献15】米国特許出願公開第04/0192753号明細書
【特許文献16】米国特許出願公開第04/0176418A1号明細書
【非特許文献1】Bernatowiczら,J.Med.Chem.,39,pp4879−4887(1996)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
本発明は、有効量の少なくとも1つのトロンビンレセプターアンタゴニストと、カルシウムチャンネルブロッカー、スタチン、コレステロール吸収インヒビター、低分子量ヘパリン、抗不整脈薬、α−アドレナリン作動性アゴニスト、β−アドレナリン作動性遮断薬、アルドステロンアンタゴニスト、アンギオテンシン転換酵素(「ACE」)インヒビター、ACE/NEPインヒビター、アンギオテンシンIIレセプターブロッカー(「ARB」)、エンドセリンアンタゴニスト、中性エンドペプチダーゼインヒビター、ホスホジエステラーゼインヒビター、繊維素溶解薬、GP IIb/IIIaアンタゴニスト、直接トロンビンインヒビター、間接トロンビンインヒビター、リポ蛋白関連ホスホリパーゼA2(「LpPLA」)モジュレーター、直接ファクターXインヒビター、間接ファクターXインヒビター、間接ファクターX/IIインヒビター、利尿薬、硝酸塩、トロンボキサンアンタゴニスト、血小板凝集インヒビター、シクロオキシゲナーゼインヒビター、B型ナトリウム利尿ペプチド、NV1FGFモジュレーター、HT1B/5−HT2Aアンタゴニスト、グアニル酸シクラーゼアクチベーター、e−NOS転写エンハンサー、抗アテローム硬化薬、CPUインヒビター、レニンインヒビター、血小板凝集誘発性アデノシンジホスフェート(「ADP」)のインヒビター、およびNHE−1インヒビターから成る群から選ばれる有効量の少なくとも1つの心血管薬剤と、哺乳動物における状態を処置するための薬学的に許容されるキャリア、とを含む薬学的組成物に関する。
【0006】
いくつかの実施形態において、トロンビンレセプターアンタゴニストは、
【0007】
【化5】

およびE−5555、
またはその薬学的に許容される異性体、塩、溶媒和物もしくは共結晶から成る群から選ばれる。
【0008】
いくつかの実施形態において、トロンビンレセプターアンタゴニストは、
【0009】
【化6】

またはその薬学的に許容される異性体、塩、溶媒和物もしくは共結晶である。いくつかの実施形態において、塩は、硫酸水素塩である。
【0010】
いくつかの実施形態において、トロンビンレセプターアンタゴニストは、
【0011】
【化7】

またはその薬学的に許容される異性体、塩、溶媒和物もしくは共結晶である。
【0012】
いくつかの実施形態において、トロンビンレセプターアンタゴニストは、
【0013】
【化8】

またはその薬学的に許容される異性体、塩、溶媒和物もしくは共結晶である。
【0014】
いくつかの実施形態において、トロンビンレセプターアンタゴニストは、E−5555である。
【0015】
いくつかの実施形態において、心血管薬剤は、アムロジピン、フェロジピン、ジルチアゼム、ベラパミル、ニフェジピン、ニカルジピン、ニソルジピン、ベプリジル、およびベラパミルから成る群から選ばれるカルシウムチャンネルブロッカーである。
【0016】
いくつかの実施形態において、心血管薬剤は、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、およびシンバスタチンから成る群から選ばれるスタチンである。
【0017】
いくつかの実施形態において、心血管薬剤は、エゼチミブおよびAZD4121から成る群から選ばれるコレステロール吸収インヒビターである。
【0018】
いくつかの実施形態において、心血管薬剤は、ダルテパリン、アルデパリン(ardeparin)、セルトパリン(certoparin)、エノキサパリン、パルナパリン、チンザパリン、レビパリン、ナドロパリン、ワルファリン、キシメラガトラン、フォンダパリン(fondaparin)、およびエノキサパリンから成る群から選ばれる低分子量ヘパリンである。
【0019】
いくつかの実施形態において、心血管薬剤は、ドフェチリド、イブチリド、メトプロロール、プロプラノロール、アテノロール、アジマリン、ジソピラミド、プラジマリン(prajmaline)、プロカインアミド、キニジン、スパルテイン、アプリンジン、リドカイン、メキシレチン、トカイニド、エンカイニド、フレカイニド、ロルカイニド、モリシジン(moricizine)、プロパフェノン、アセブトロール、ピンドロール、アミオダロン、ブレチリウム、ブナフチン(bunaftine)、ドフェチリド、ソタロール、アデノシン、アトロピンおよびジゴキシンから成る群から選ばれる抗不整脈薬である。
【0020】
いくつかの実施形態において、心血管薬剤は、ドキサゾシン、テラゾソン(terazoson)およびプラゾシンから成る群から選ばれるα−アドレナリン作動性アゴニストである。
【0021】
いくつかの実施形態において、心血管薬剤は、カルベジロール、プロプラノロール、チモロール、ナドロール、アテノロール、メトプロロール、ビソプロロール、ネビボロール、ベタキソロール、アセブトロール、およびビソプロロールから成る群から選ばれるβ−アドレナリン作動性遮断薬である。
【0022】
いくつかの実施形態において、心血管薬剤は、モエキシプリル、キナプリル、ラミプリル、リシノプリル、ベナザプリル(benazapril)、エナラプリル、カプトプリル、スピラプリル、ペリンドプリル、フォシノプリル(fosinopril)およびトランドラプリルから成る群から選ばれるACEインヒビターである。
【0023】
いくつかの実施形態において、心血管薬剤は、オルメサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン、ロサルタンおよびエプロサルタンから成る群から選ばれるARBである。
【0024】
いくつかの実施形態において、心血管薬剤は、テゾセンタン(tezosentan)、ボセンタン、およびシタックスセンタン(sitaxsentan)から成る群から選ばれるエンドセリンアンタゴニストである。
【0025】
いくつかの実施形態において、心血管薬剤は、キシメラガトランおよびAZD0837から成る群から選ばれる直接トロンビンインヒビターである。
【0026】
いくつかの実施形態において、心血管薬剤は、フォンダパリヌクス、アピキサバン(apixaban)、ラザキサバン(razaxaban)、リバロキサバン、KFA−1982、DX−9065a、AVE3247、オタミキサバン、AVE6324およびSAR377142から成る群から選ばれる直接ファクターXインヒビターである。
【0027】
いくつかの実施形態において、心血管薬剤は、クロピドグレル、チクロピジン、プラスグレル、およびAZD6140から成る群から選ばれる血小板凝集誘発性アデノシンジホスフェート(「ADP」)のインヒビターである。
【0028】
他の実施形態において、本発明は、心血管状態の処置または予防を必要としている哺乳動物における心血管状態を処置または防止する方法であって、上記の薬学的組成物のいずれかを上記哺乳動物に投与するステップを含み、上記心血管状態が、急性冠動脈症候群、二次予防、末梢動脈疾患、血栓症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、高血圧症、狭心症、不整脈、心不全、心筋硬塞、糸球体腎炎、血栓性卒中、血栓塞栓性卒中、深部静脈血栓症、静脈血栓塞栓症、ホルモン補充療法に関連した心臓血管疾患、播種性血管内凝固症候群、腎虚血、脳卒中、脳虚血、脳梗塞、片頭痛、腎血管恒常性または勃起不全である、方法を含む。
【0029】
他の実施形態において、本発明は、心血管状態の処置を必要としている哺乳動物における心血管状態を処置または防止する方法を含み、この方法は、トロンビンレセプターアンタゴニストを含む第1の薬学的組成物および心血管薬剤を含む第2の薬学的組成物を上記哺乳動物に投与するステップを含む。
【0030】
これらの実施形態のいくつかにおいて、上記トロンビンレセプターアンタゴニストは、
【0031】
【化9】

またはその薬学的に許容される異性体、塩、溶媒和物もしくは共結晶である。
【0032】
これらの実施形態のいくつかにおいて、心血管薬剤は、カルシウムチャンネルブロッカー、スタチン、コレステロール吸収インヒビター、低分子量ヘパリン、抗不整脈薬、α−アドレナリン作動性アゴニスト、β−アドレナリン作動性遮断薬、アルドステロンアンタゴニスト、アンギオテンシン転換酵素(「ACE」)インヒビター、ACE/NEPインヒビター、アンギオテンシンIIレセプターブロッカー(「ARB」)、エンドセリンアンタゴニスト、中性エンドペプチダーゼインヒビター、ホスホジエステラーゼインヒビター、繊維素溶解薬、GP IIb/IIIaアンタゴニスト、直接トロンビンインヒビター、間接トロンビンインヒビター、リポ蛋白関連ホスホリパーゼA2(「LpPLA」)モジュレーター、直接ファクターXインヒビター、間接ファクターXインヒビター、間接ファクターX/IIインヒビター、利尿薬、硝酸塩、トロンボキサンアンタゴニスト、血小板凝集インヒビター、シクロオキシゲナーゼインヒビター、B型ナトリウム利尿ペプチド、NV1FGFモジュレーター、HT1B/5−HT2Aアンタゴニスト、グアニル酸シクラーゼアクチベーター、e−NOS転写エンハンサー、抗アテローム硬化薬、CPUインヒビター、レニンインヒビター、血小板凝集誘発性アデノシンジホスフェート(「ADP」)のインヒビター、およびNHE−1インヒビターから成る群から選ばれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
(詳細な説明)
本明細書全体を通して用いられるように、以下の用語は、他に示されない限り、以下の意味を有すると解釈されるものとする:
「被験体」は、哺乳動物および非哺乳動物双方を含む。
【0034】
「哺乳動物」は、ヒトおよび他の哺乳動物を含む。
【0035】
「有効量」または「治療有効量」は、所望の治療効果、改善効果、抑制効果または予防効果を生じる際に有効な本発明の化合物または組成物の量を述べることを意図している。例えば、有効量のトロンビンレセプターアンタゴニストとは、PAR−1拮抗作用の所望の閾値を達成するのに十分な量である。
【0036】
「急性冠動脈症候群」は、急性心筋梗塞と共存し得る臨床症状の任意の群を含む。急性心筋梗塞は、冠動脈疾患(冠動脈心疾患とも呼ばれる)に起因する心筋への不十分な血液供給による胸痛である。従って、急性冠動脈症候群は、不安定な狭心症から非Q波心筋硬塞およびQ波心筋硬塞に及ぶ臨床状態のスペクトルをカバーする。症状としては、胸痛、息切れ、悪心、嘔吐、発汗(汗かき)、動悸、心配または切迫した破滅の感覚および急性の病気になっている感触が含まれ得る。
【0037】
「二次防止」は、別の将来のともすればより深刻なおそらく致命的な心血管性事象を防止するために、心臓発作または卒中のような重大な心血管性事象を既にわずらったことがある患者を処置することを意味する。
【0038】
「MI」は、心筋硬塞を意味する。
【0039】
「CABG」は、冠動脈バイパス移植手術を意味する。
【0040】
「PCI」は、冠動脈撮影法として一般に知られている経皮的な冠動脈の介入を意味し、心臓の狭窄した(狭くなった)冠動脈を処置するための侵襲的な心臓治療処置である。これらの狭窄部分は、冠動脈性心臓疾患により生じるコレステロール含有プラークの蓄積に起因する。本明細書中で用いられるように、PCIは、バルーン血管形成術、ステントの埋め込み、回転式またはレーザーアテレクトミー、および近接照射療法を含むと解釈される。
【0041】
各種の化合物がトロンビンレセプターアンタゴニストとしての活性を示すことが証明されており、多くはヒンバシン類似体である。米国特許出願公開第04/0152736号において開示されているように、特に好ましい式Iの化合物のサブセットは以下の通りである:
【0042】
【化10】

【0043】
【化11】

ならびにその薬学的に許容される異性体、塩、溶媒和物および多形体。米国特許出願公開第03/0216437号は、式IIのトロンビンレセプターアンタゴニストのサブセットを開示し、これらは両方とも特に活性があり、そして選択性である。これらの化合物は以下の通りである:
【0044】
【化12】

ならびにその薬学的に許容される異性体、塩、溶媒和物および多形体。
【0045】
以下の化合物は、それらの薬物動態特性および薬力学特性に基づいて特に好ましい:
【0046】
【化13】

ならびにその薬学的に許容される異性体、塩、溶媒和物および多形体。化合物Aの硫酸水素塩は、トロンビンレセプターアンタゴニストとしてSchering Corp.によって現在開発中である。その合成は、2003年11月20日発行の米国特許出願公開第03/0216437号において開示されており、この米国特許出願公開は、化合物Cも開示している。化合物Bは、米国特許第6,645,987号において開示されている。
【0047】
本発明の組み合わせにおいて使用するための他の化合物は、米国特許第6,063,847号および同6,326,380号、米国特許出願公開第03/0203927号、同03/0216437号、同04/0192753号および同04/0176418号のいずれかにおいて開示されており、これらはすべて、参考としてその全体が組み込まれる。トロンビンレセプターアンタゴニストとしての活性を示す1つ以上の他の薬剤を含む組み合わせはまた、本発明の範囲内にあり、現在Eisaiによって開発中のE5555を含む:
【0048】
【化14】

本発明の組み合わせにおいて使用するための化合物は塩を形成できることができ、その薬学的に許容される塩も、本発明の範囲内にある。
【0049】
治療用組み合わせ
本発明の治療用組み合わせは、少なくとも1つのトロンビンレセプターアンタゴニストを、少なくとも1つのさらなる治療上有効な薬剤と共に含む。トロンビンレセプターアンタゴニストは、本明細書中で開示されたもののいずれかから、またはトロンビンレセプターアンタゴニストとしての活性を示す他の化合物から選ばれ得る。
【0050】
治療上有効な薬剤は心血管薬剤であり得る。特に、トロンビンレセプターアンタゴニストと組み合わせて用いられ得る心血管薬剤としては、抗血栓活性、抗血小板凝集活性、抗アテローム硬化活性、抗再狭窄活性および/または抗凝血活性を有する薬物が含まれる。そのような薬物は、血栓症、アテローマ性動脈硬化症、再狭窄、高血圧、狭心症、不整脈、心不全、心筋梗塞、糸球体腎炎、血栓性脳卒中および血栓塞栓性脳卒中、末梢血管疾患、他の心血管疾患、脳虚血、炎症性障害および癌、ならびに、トロンビンおよびそのレセプターが病理学的役割を果たす他の障害を含む、血栓症関連疾患の処置において有用である。
【0051】
適切な心血管薬剤は、以下のものから成る群のうちの1つ以上から選択される:
NORVASC(登録商標)およびLOTREL(登録商標)として販売されているアムロジピン、PLENDIL(登録商標)として販売されているフェロジピン、CARDIZEM(登録商標)として販売されているジルチアゼム、CALAN(登録商標)として販売されているベラパミル、ADALAT(登録商標)として販売されているニフェジピン、CARDENE(登録商標)として販売されているニカルジピン、SULAR(登録商標)として販売されているニソルジピン、VASCOR(登録商標)として販売されているベプリジル、およびCALAN(登録商標)として販売されているベラパミルのようなカルシウムチャンネルブロッカー;
抗高血圧症薬としておよび狭心症の処置において用いられるロメリジン;
高コレステロール(LDL)を処置するために用いられる、LIPITOR(登録商標)として販売されているアトルバスタチン、LESCOL(登録商標)として販売されているフルバスタチン、MEVACOR(登録商標)として販売されているロバスタチン、LIVALO(登録商標)として販売されているピタバスタチン、PRAVACHOL(登録商標)として販売されているプラバスタチン、CRESTOR(登録商標)として販売されているロスバスタチン、およびZOCOR(登録商標)として販売されているシンバスタチンのようなスタチン;
脂質異常症用に開発中の、ZETIA(登録商標)およびAZD4121として販売されているエゼチミブのようなコレステロール吸収インヒビター;
トルセトラピブのようなコレステロールエステル転送蛋白(「CETP」)インヒビター;
深部静脈血栓症および肺塞栓症の予防または処置のために用いられる、FRAGMIN(登録商標)として販売されているダルテパリンナトリウム、NORMIFLO(登録商標)として販売されているアルデパリン、SANDOPARIN(登録商標)として販売されているセルトパリン、LOVENOX(登録商標)およびCLEXANE(登録商標)として販売されているエノキサパリン、FLUXUM(登録商標)として販売されているパルナパリン、INNOHEP(登録商標)およびLOGIPARIN(登録商標)として販売されているチンザパリン、CLIVARIN(登録商標)として販売されているレビパリン、FRAXIPARIN(登録商標)として販売されているナドロパリン、ワルファリン、キシメラガトラン、フォンダパリン、およびエノキサパリンのような低分子量ヘパリン;
心房性細動および粗動を生じやすい個体における洞調律の維持のため、ならびに心房性細動および粗動からの洞調律への化学的除細動のために用いられる、TIKOSYN(登録商標)として販売されているドフェチリドおよびフマル酸イブチリド、TOPROL−XL(登録商標)として販売されているメトプロロール、LOPRESSOR(登録商標)として販売されている酒石酸メトプロロール、INDERAL(登録商標)として販売されているプロプラノロール、TENORMIN(登録商標)として販売されているアテノロール、アジマリン、ジソピラミド、プラジマリン、プロカインアミド、キニジン、スパルテイン、アプリンジン、リドカイン、メキシレチン、トカイニド、エンカイニド、フレカイニド、ロルカイニド、モリシジン、プロパフェノン、アセブトロール、ピンドロール、アミオダロン、トシル酸ブレチリウム、ブナフチン、ドフェチリド、ソタロール、アデノシン、アトロピンおよびジゴキシンのような抗不整脈薬;
高血圧症を処置するために用いられる、CARDURA(登録商標)として販売されているメシル酸ドキサゾシン、HYTRIN(登録商標)として販売されているテラゾソン、およびMINIPRESS(登録商標)として販売されているプラゾシンのようなα−アドレナリン作動性アゴニスト;
COREG(登録商標)として販売されているカルベジロール、BETACHRON E−R(登録商標)として販売されているプロプラノロール、BLOCADREN(登録商標)として販売されているチモロール、CORGARD(登録商標)として販売されているナドロール、TENORMIN(登録商標)として販売されているアテノロール、TOPROL XL(登録商標)として販売されているメトプロロール、ZEBETA(登録商標)として販売されているビソプロロール、ネビボロール、KERLONE(登録商標)として販売されているベタキソロール;SECTRALとして販売されているアセブトロール、およびZEBETAとして販売されているビソプロロールのようなβ−アドレナリン作動性遮断薬;
心筋硬塞後の患者における心血管リスクを低減するために用いられる、INSPRA(登録商標)として販売されているエプレレノン、およびAldactone(登録商標)として販売されているスピロノラクトンのようなアルドステロンアンタゴニスト;
高血圧症を処置するために用いられる、UNIVASC(登録商標)として販売されているモエキシプリル、ACCUPRIL(登録商標)として販売されている塩酸キナプリル、RAMACE(登録商標)およびALTACE(登録商標)として販売されているラミプリル、ZESTRIL(登録商標)として販売されているリシノプリル、LOTENSIN(登録商標)として販売されている塩酸ベナザプリル、VASOTEC(登録商標)として販売されているエナラプリル、CAPOTEN(登録商標)として販売されているカプトプリル、スピラプリル、ACEON(登録商標)として販売されているペリンドプリル、MONOPRIL(登録商標)として販売されているフォシノプリル、およびMAVIK(登録商標)として販売されているトランドラプリルのようなアンギオテンシン転換酵素(「ACE」)インヒビター;
DELIX(登録商標)/TRITACE(登録商標)として販売されているラミプリルのようなACE/NEPインヒビター;
高血圧症の処置のために用いられる、BENICAR(登録商標)として販売されているオルメサルタンメドキソミル、ATACAND(登録商標)として販売されているカンデサルタン、DIOVAN(登録商標)として販売されているバルサルタン、MICARDIS(登録商標)として販売されているテルミサルタン、AVAPRO(登録商標)として販売されているイルベサルタン、COZAAR(登録商標)として販売されているロサルタン、およびTEVETEN(登録商標)として販売されているエプロサルタンのようなアンギオテンシンIIレセプターブロッカー(「ARB」);
テゾセンタン、TRACLEER(登録商標)として販売されているボセンタン、THELIN(登録商標)として販売される予定のシタックスセンタンナトリウムのようなエンドセリンアンタゴニスト;
カンドキサトリルおよびエカドトリルのような中性エンドペプチダーゼインヒビター;
ミルリノン(milrinoone)、テオフィリン、ビンポセチン、EHNA(エリトロ−9−(2−ヒドロキシ−3−ノニル)アデニン)、VIAGRA(登録商標)として販売されているクエン酸シルデナフィル、およびCIALIS(登録商標)として販売されているタダラフィルのようなホスホジエステラーゼインヒビター;
レテプラーゼ、アルテプラーゼ、およびテネクテプラーゼのような繊維素溶解薬;
インテグリリン、アブシキシマブ、およびチロフィバンのようなGP IIb/IIIaアンタゴニスト;
EXANTA(登録商標)として販売されてきたキシメラガトラン、および血栓症用に開発中のAZD0837:
【0052】
【化15】

のような直接トロンビンインヒビター;
心血管疾患の血栓性合併症の防止のためにGlaxoSmithKlineによって現在開発中のオジパルシルのような間接トロンビンインヒビター;
リポ蛋白関連ホスホリパーゼA2(「LpPLA」)モジュレーター;
ARIXTRA(登録商標)として販売されているフォンダパリヌクスナトリウム、アピキサバン、ラザキサバン、INDUPRUX(登録商標)、リバロキサバン(BAY59−7939)、KFA−1982、DX−9065a、AVE3247、オタミキサバン(XRP0673)、AVE6324およびSAR377142のような直接ファクターXインヒビター;
イドラパリヌクスナトリウム(長時間作用性ペンタサッカリド)、フォンダパリヌクスナトリウム(ペンタサッカリド)およびSSR126517のような間接ファクターXインヒビター;
SR123781(短時間作用性ヘキサデカサッカリド)として販売されているエノキサパリンナトリウム、AVE5026、SSR128428(長時間作用ヘキサデカサッカリド)、およびSSR128429のような間接ファクターX/IIインヒビター;
TENORETIC(登録商標)として販売されている組み合わせ中の1成分であるクロルタリドン、エタクリン酸、フロセミド、アミロライド、DIURIL(登録商標)として販売されているクロロチアジド、ESIDRIX(登録商標)として販売されているヒドロクロロチアジド、ENDURON(登録商標)として販売されているメチルクロロチアジド、およびEXNA(登録商標)として販売されているベンズチアジドのような利尿薬:
IMDUR(登録商標)として販売されているイソソルビド−5−モノニトレートのような硝酸塩;
セラトロダスト、ピコタミドおよびラマトロバンのようなトロンボキサンアンタゴニスト;
シロスタゾール、アブシキシマブ、リマプロスト、エプチフィバチド、およびCT−50547のような血小板凝集インヒビター;
メロキシカム、ロフェコキシブおよびセレコキシブのようなシクロオキシゲナーゼインヒビター;
ネシリチドおよびウラリチドのようなB型ナトリウム利尿ペプチド;
XRP0038のようなNV1FGFモジュレーター;
SL65.0472のようなHT1B/5−HT2Aアンタゴニスト;
アタシグアト(HMR1766)およびHMR1069のようなグアニル酸シクラーゼアクチベーター;
AVE9488およびAVE3085のようなe−NOS転写エンハンサー;
アテローム硬化症用に開発中のAGI−1067:
【0053】
【化16】

のような抗アテローム硬化薬;
血栓症用に開発中のAZD9684のようなCPUインヒビター;
RASILEZとして販売されているアリスキリン、およびVNP489のようなレニンインヒビター;
PLAVIX(登録商標)として販売されているクロピドグレル、TICLID(登録商標)として販売されているチクロピジン、プラスグレル、および動脈血栓症用に開発されているAZD6140:
【0054】
【化17】

のような血小板凝集誘発性アデノシンジホスフェート(「ADP」)のインヒビター;
AVE4454およびAVE4890のようなNHE−1インヒビター。
【0055】
上記の心血管薬剤の薬学的に許容される遊離塩基形態および塩形態のすべては、本発明の範囲内にある。
【0056】
少なくとも1つのトロンビンレセプターアンタゴニストと1つ以上の他の治療上有効な薬剤との本発明の組み合わせにおいて、2つ以上の有効成分は、各々個別に処方され得、そして同時または逐次的に同時投与され得る。この組み合わせの成分は、カプセル剤、錠剤、散剤、カシェ剤、懸濁剤、液剤、坐剤、鼻内スプレー等の任意の従来の投薬形態において個々に、または一緒に投与され得る。
【0057】
あるいは、有効な薬剤は、トロンビンレセプターアンタゴニストおよび他の治療上有効な薬剤を、薬学的に許容されるキャリアと共に含む単一固定用量の薬学的組成物に処方され得る。
【0058】
本明細書において、用語「少なくとも1つのトロンビンレセプターアンタゴニスト」は、トロンビンレセプターアンタゴニストとして有効なもう1つの別の化合物が薬学的組み合わせまたは処置方法において用いられ得ることを意味する。好ましくは、1つないし3つのトロンビンレセプターアンタゴニストが用いられる。同様に、用語「1つ以上のさらなる心血管薬剤」は、1つないし3つのさらなる薬剤が、トロンビンレセプターアンタゴニストと共に投与され得ることを意味し、好ましくは、1つの心血管薬剤が、1つのトロンビンレセプターアンタゴニストと共に投与される。
【0059】
処方物および投薬
本発明により記載された化合物から薬学的組成物を調製するため、不活性な、薬学的に許容されるキャリアは、固体または液体であり得る。固体形態の調製物としては、散剤、錠剤、分散性顆粒、カプセル、カシェ剤、および坐剤が含まれる。散剤および錠剤は、約5%〜約95%の活性成分で構成され得る。適切な固体キャリア、例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖またはラクトースが当該分野で公知である。錠剤、散剤、カシェ剤およびカプセル剤は、経口投与に適した固体投薬形態として使用され得る。薬学的に受容可能なキャリアの例および種々の組成物についての製造方法は、A.Gennaro(ed.),The Science and Practice of Pharmacy,第20版,Lippincott Williams & Wilkins,Baltimore,MD,(2000)に見出され得る。
【0060】
液体形態の調製物としては、溶液、懸濁液、エマルションが挙げられる。例として、非経口注射のために、または経口での液剤、分散剤およびエマルジョンのための甘味剤および不透明化剤(opacifier)の添加のために、水もしくは水−プロピレングリコール溶液が意図され得る。液体形態の調製物はまた、鼻腔内投与のための溶液を含み得る。
【0061】
吸入に適したエアロゾル調製物としては、溶液および粉末形態の固体が含まれ、この調製物は、不活性な圧縮ガス、例えば窒素のような薬学的に受容可能なキャリアと組み合わされ得る。
【0062】
経口投与または非経口投与のいずれかのために、使用直前に液体形態の調製物に変換されることが意図される、固体形態の調製物も含まれる。そのような液体形態としては、液剤、懸濁液、およびエマルションが含まれる。
【0063】
本発明の組み合わせはまた、経皮的に送達可能であり得る。経皮性組成物は、クリーム、ローション、エアロゾルおよび/またはエマルションの形態をとることができ、そしてこの組成物は、この目的のために当該分野で慣用的であるように、マトリックス型またはレザーバ型の経皮パッチに含まれ得る。
【0064】
上記の組み合わせの投与は、処方物、ならびに投与モードおよび投薬計画を指定することによって実行される。
【0065】
好ましくは、処方物は固形であり、経口投与用に設計される。トロンビンレセプターアンタゴニストの経口溶解処方物は、米国仮特許出願第60/689,207号に開示されており、この米国仮特許出願は、参考としてその全体が本明細書に組み込まれる。
【0066】
好ましくは、薬学的調製物は、単位投薬形態にある。そのような形態において、調製物は、適切な量の活性成分、例えば所望の目的を達成するための有効量を含有する適切なサイズにされた単位投与量に細分化される。
【0067】
上記のトロンビンレセプターアンタゴニストについての投薬計画は、初期投与量、続く一連の維持投与量を含み得る。単剤療法として、化合物Aの20mgおよび40mgの初期投与量ならびに1mgおよび2.5mgの維持投与量が好ましい。より好ましくは、単剤療法は、初期投与量および維持投与量として、40mgおよび2.5mgの投与量をそれぞれ含む。組み合わせ療法において、より低い投与量が有利であり得る。
【0068】
従って、組み合わせ療法において、トロンビンレセプターアンタゴニストの初期投与量は、約5mg〜約50mg、好ましくは約10mg〜約40mgである。トロンビンレセプターアンタゴニストの1日維持投与量は、約0.5〜約10mg、好ましくは約1mg〜約5mgである。他の治療上有効な薬剤の投与量は、1投与あたり1mg〜1000mgの範囲をとり得る。
【0069】
本発明の化合物および/または薬学的に許容されるその塩の投与の量および頻度は、患者の年齢、状態および大きさならびに処置されている症状の重篤度のような因子を考慮する担当の臨床医の判断に従って調節される。
【0070】
処置されるべき状態
本発明はまた、上記の組み合わせの投与によって状態を処置する方法も含む。これらの組み合わせによって処理され(または防止され)得る状態の中には、急性冠動脈症候群、二次予防、末梢動脈疾患、血栓症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、高血圧症、狭心症、不整脈、心不全、心筋硬塞、糸球体腎炎、血栓性卒中、血栓塞栓性卒中、深部静脈血栓症、静脈血栓塞栓症、ホルモン補充療法に関連した心臓血管疾患、播種性血管内凝固症候群、腎虚血、脳卒中、脳虚血、脳梗塞、片頭痛、腎血管恒常性または勃起不全のような心血管または循環器の疾患または状態がある。
【0071】
この文脈で、急性冠動脈症候群の処置は、不安定狭心症/非STセグメント上昇心筋硬塞(MI)を含む急性冠動脈症候群により識別される危険にさらされている患者における血栓性血管事象の低減である。これは、急性保護、これに続く維持を含む。
【0072】
二次防止は、急性冠動脈症候群(不安定狭心症/非STセグメント上昇および/またはMIを含む)、冠動脈疾患(初期MI、CABG、PCI)、脳卒中歴、および確認された末梢動脈疾患のような、1つ以上の要因により識別される危険にさらされている患者における血栓性血管事象の低減である。
【0073】
末梢動脈疾患(「PAD」)は、酸素を豊富に含む血液を、脚部、腹部、骨盤、腕部、または頸部に供給する血管の狭窄に起因する慢性症状である。末梢動脈疾患は、末梢血管疾患とも呼ばれる。
【0074】
本発明は、上記の特定の実施形態と共に説明されてきたが、それらの実施形態の多くの代替、修正および変更は、当業者に明らかである。従って、例えば、上記で列挙されなかった公知の心血管薬剤のクラスは、列挙された心血管薬剤のクラスの列挙されなかった種類がそうであるように、本発明の範囲内にある。同様に、公知であるが列挙されなかった心血管状態の処置は、本発明の範囲内にある。すべてのそのような代替、修正および変更は、本発明の趣旨および範囲に含まれることがを意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬学的組成物であって、
有効量の少なくとも1つのトロンビンレセプターアンタゴニストと、
カルシウムチャンネルブロッカー、スタチン、コレステロール吸収インヒビター、低分子量ヘパリン、抗不整脈薬、α−アドレナリン作動性アゴニスト、β−アドレナリン作動性遮断薬、アルドステロンアンタゴニスト、アンギオテンシン転換酵素(「ACE」)インヒビター、ACE/NEPインヒビター、アンギオテンシンIIレセプターブロッカー(「ARB」)、エンドセリンアンタゴニスト、中性エンドペプチダーゼインヒビター、ホスホジエステラーゼインヒビター、繊維素溶解薬、GP IIb/IIIaアンタゴニスト、直接トロンビンインヒビター、間接トロンビンインヒビター、リポ蛋白関連ホスホリパーゼA2(「LpPLA」)モジュレーター、直接ファクターXインヒビター、間接ファクターXインヒビター、間接ファクターX/IIインヒビター、利尿薬、硝酸塩、トロンボキサンアンタゴニスト、血小板凝集インヒビター、シクロオキシゲナーゼインヒビター、B型ナトリウム利尿ペプチド、NV1FGFモジュレーター、HT1B/5−HT2Aアンタゴニスト、グアニル酸シクラーゼアクチベーター、e−NOS転写エンハンサー、抗アテローム硬化薬、CPUインヒビター、レニンインヒビター、血小板凝集誘発性アデノシンジホスフェート(「ADP」)のインヒビター、およびNHE−1インヒビターから成る群から選ばれる有効量の少なくとも1つの心血管薬剤と、
哺乳動物における状態を処置するための薬学的に許容されるキャリアと、
を含む薬学的組成物。
【請求項2】
前記トロンビンレセプターアンタゴニストが、
【化1】

およびE−5555、
またはその薬学的に許容される異性体、塩、溶媒和物もしくは共結晶から成る群から選ばれる、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
前記トロンビンレセプターアンタゴニストが、
【化2】

またはその薬学的に許容される異性体、塩、溶媒和物もしくは共結晶である、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記トロンビンレセプターアンタゴニストが、
【化3】

の硫酸水素塩である、請求項3に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
前記心血管薬剤が、アムロジピン、フェロジピン、ジルチアゼム、ベラパミル、ニフェジピン、ニカルジピン、ニソルジピン、ベプリジル、およびベラパミルから成る群から選ばれるカルシウムチャンネルブロッカーである、請求項3に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前記心血管薬剤が、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、およびシンバスタチンから成る群から選ばれるスタチンである、請求項3に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
前記心血管薬剤が、ダルテパリン、アルデパリン、セルトパリン、エノキサパリン、パルナパリン、チンザパリン、レビパリン、ナドロパリン、ワルファリン、キシメラガトラン、フォンダパリン、およびエノキサパリンから成る群から選ばれる低分子量ヘパリンである、請求項3に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
前記心血管薬剤が、ドフェチリド、イブチリド、メトプロロール、プロプラノロール、アテノロール、アジマリン、ジソピラミド、プラジマリン、プロカインアミド、キニジン、スパルテイン、アプリンジン、リドカイン、メキシレチン、トカイニド、エンカイニド、フレカイニド、ロルカイニド、モリシジン、プロパフェノン、アセブトロール、ピンドロール、アミオダロン、ブレチリウム、ブナフチン、ドフェチリド、ソタロール、アデノシン、アトロピンおよびジゴキシンから成る群から選ばれる抗不整脈薬である、請求項3に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
前記心血管薬剤が、ドキサゾシン、テラゾソンおよびプラゾシンから成る群から選ばれるα−アドレナリン作動性アゴニストである、請求項3に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
前記心血管薬剤が、カルベジロール、プロプラノロール、チモロール、ナドロール、アテノロール、メトプロロール、ビソプロロール、ネビボロール、ベタキソロール、アセブトロール、およびビソプロロールから成る群から選ばれるβ−アドレナリン作動性遮断薬である、請求項3に記載の薬学的組成物。
【請求項11】
前記心血管薬剤が、モエキシプリル、キナプリル、ラミプリル、リシノプリル、ベナザプリル、エナラプリル、カプトプリル、スピラプリル、ペリンドプリル、フォシノプリルおよびトランドラプリルから成る群から選ばれるACEインヒビターである、請求項3に記載の薬学的組成物。
【請求項12】
前記心血管薬剤が、オルメサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン、ロサルタンおよびエプロサルタンから成る群から選ばれるARBである、請求項3に記載の薬学的組成物。
【請求項13】
前記心血管薬剤が、テゾセンタン、ボセンタン、およびシタックスセンタンから成る群から選ばれるエンドセリンアンタゴニストである、請求項3に記載の薬学的組成物。
【請求項14】
前記心血管薬剤が、キシメラガトランおよびAZD0837から成る群から選ばれる直接トロンビンインヒビターである、請求項3に記載の薬学的組成物。
【請求項15】
前記心血管薬剤が、フォンダパリヌクス、アピキサバン、ラザキサバン、リバロキサバン、KFA−1982、DX−9065a、AVE3247、オタミキサバン、AVE6324およびSAR377142から成る群から選ばれる直接ファクターXインヒビターである、請求項3に記載の薬学的組成物。
【請求項16】
前記心血管薬剤が、クロピドグレル、チクロピジン、プラスグレル、およびAZD6140から成る群から選ばれる血小板凝集誘発性アデノシンジホスフェート(「ADP」)のインヒビターである、請求項3に記載の薬学的組成物。
【請求項17】
前記心血管薬剤が、エゼチミブおよびAZD4121から成る群から選ばれるコレステロール吸収インヒビターである、請求項3に記載の薬学的組成物。
【請求項18】
心血管状態の処置を必要としている哺乳動物における心血管状態を処置または防止する方法であって、請求項1〜17のいずれかに記載の薬学的組成物を該哺乳動物に投与するステップを含み、該心血管状態が、急性冠動脈症候群、二次予防、末梢動脈疾患、血栓症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、高血圧症、狭心症、不整脈、心不全、心筋硬塞、糸球体腎炎、血栓性卒中、血栓塞栓性卒中、深部静脈血栓症、静脈血栓塞栓症、ホルモン補充療法に関連した心臓血管疾患、播種性血管内凝固症候群、腎虚血、脳卒中、脳虚血、脳梗塞、片頭痛、腎血管恒常性または勃起不全である、方法。
【請求項19】
心血管状態の処置を必要としている哺乳動物における心血管状態を処置または防止する方法であって、トロンビンレセプターアンタゴニストを含む第1の薬学的組成物および心血管薬剤を含む第2の薬学的組成物を該哺乳動物に投与するステップを含む、方法。
【請求項20】
前記トロンビンレセプターアンタゴニストが、
【化4】

またはその薬学的に許容される異性体、塩、溶媒和物もしくは共結晶である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記心血管薬剤が、カルシウムチャンネルブロッカー、スタチン、コレステロール吸収インヒビター、低分子量ヘパリン、抗不整脈薬、α−アドレナリン作動性アゴニスト、β−アドレナリン作動性遮断薬、アルドステロンアンタゴニスト、アンギオテンシン転換酵素(「ACE」)インヒビター、ACE/NEPインヒビター、アンギオテンシンIIレセプターブロッカー(「ARB」)、エンドセリンアンタゴニスト、中性エンドペプチダーゼインヒビター、ホスホジエステラーゼインヒビター、繊維素溶解薬、GP IIb/IIIaアンタゴニスト、直接トロンビンインヒビター、間接トロンビンインヒビター、リポ蛋白関連ホスホリパーゼA2(「LpPLA」)モジュレーター、直接ファクターXインヒビター、間接ファクターXインヒビター、間接ファクターX/IIインヒビター、利尿薬、硝酸塩、トロンボキサンアンタゴニスト、血小板凝集インヒビター、シクロオキシゲナーゼインヒビター、B型ナトリウム利尿ペプチド、NV1FGFモジュレーター、HT1B/5−HT2Aアンタゴニスト、グアニル酸シクラーゼアクチベーター、e−NOS転写エンハンサー、抗アテローム硬化薬、CPUインヒビター、レニンインヒビター、血小板凝集誘発性アデノシンジホスフェート(「ADP」)のインヒビター、およびNHE−1インヒビターから成る群から選ばれる、請求項20に記載の方法。

【公表番号】特表2009−532487(P2009−532487A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504321(P2009−504321)
【出願日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際出願番号】PCT/US2007/008612
【国際公開番号】WO2007/117621
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】