説明

応力割れ耐性および低ひずみの等方性充填剤含有2成分成形部品

本発明は、化学物質の影響下で応力割れおよびひずみ耐性がある、延性2成分成形部品、すなわち寸法安定性のある2成分成形部品に関し、これは、(i)第1成分として、a)(成分aおよびbの合計に関して)90〜100重量%のアモルファス熱可塑性材料と、b)(成分aおよびbの合計に関して)0〜10重量%の少なくとも1つの市販のポリマー添加剤とを含有するアモルファス熱可塑性成形材料であって、結晶または半結晶ポリマー構成要素を含まない第1成分(i)の成形マス、および(ii)第2成分として、A)(成分AおよびBの合計に関して)10〜100重量%の、芳香族ポリカーボネート、芳香族ポリエステルカーボネート、ポリメチルメタクリレート−(コ)ポリマーおよびポリスチロール−(コ)ポリマーから成る群から選択される少なくとも1つの成分と、B)(成分AおよびBの合計に関して)0〜90重量%の、エマルジョン重合法によって製造されるグラフトポリマー、塊状重合法によって製造されるグラフトポリマー、ゴム非含有ビニルホモポリマーおよびゴム非含有ビニルコポリマーから成る群から選択される少なくとも1つの成分と、C)(全組成物に関して)3〜30重量%の等方性有機充填剤と、D)(全組成物に関して)0〜20重量%の少なくとも1つの市販のポリマー添加剤とを含有するアモルファス熱可塑性成形材料であって、結晶または半結晶ポリマー構成要素を含まず、成分Dとしてタルクを(全組成物に関して)3重量%未満の量で含有する第2成分(ii)の組成物を含有し、ここで、第2成分の全組成物中の成分AおよびBの重量パーセンテージの合計は、100重量%と成分CおよびDの重量パーセンテージの合計間の差から計算され、第1成分としてのアモルファス熱可塑性成形材料は、第2成分としての第2のアモルファス成形材料で完全にまたは部分的にバックモールドされ、その結果、第2成分が第1成分に対して安定的に材料付着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学物質の影響に関して応力割れ耐性がある、延性、低ひずみの、すなわち寸法安定性のある2成分成形部品に関し、ここでは、第1成分としてのアモルファス熱可塑性成形組成物を、第2成分としての第2の同様のアモルファス成形組成物で完全にまたは部分的にバックモールドし、第2成分が第1成分に対して安定的に材料付着した状態を達成する。
【0002】
本発明はさらに、2成分の射出成形による2成分成形部品の製造方法、およびたとえば、建物および自動車、船または飛行機では、窓または窓ガラスモジュールとして、照明用途では、射出成形周辺部を備える光学レンズとして、自動車ヘッドライトまたはテールライト用途では、奥行き効果を得るために、高光沢層として透明成形組成物を用いて2次元的にバックモールドした不透明装飾部品として、自動車における(逆光照明可能な)スクリーンとして、および対照的に(たとえば、不透明または半透明で、したがって逆光照明可能な)周辺部を備える透明モニター/ディスプレイカバーとして、2成分成形部品を使用することに関する。
【背景技術】
【0003】
透明または半透明アモルファス材料が第2のアモルファス材料に対して安定した材料付着性を有する2成分成形部品は、原理的には各種用途領域からすでに公知である。たとえば、ポリカーボネートを、第1成分の透明または半透明アモルファス材料として使用する。ポリカーボネート、またはポリカーボネート含有ガラスファイバ充填組成物とスチレン樹脂をアモルファス第2成分の材料として使用する。多くの用途領域では、先行技術から公知のこのような2成分成形部品は、不適当な延性および/または化学物質の影響に関して不適当な応力割れ耐性および/または激しいひずみを有し、すなわち、満足のゆく寸法安定性を有さない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、化学物質の影響に関して応力割れ耐性がある、延性、低ひずみの、すなわち寸法安定性のある2成分成形部品であって、第1成分としてのアモルファス材料と、第2成分としての第2のアモルファス材料から成る2成分成形部品を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
驚くべきことに、本発明の目的は、
(i)第1成分として、
a)90〜100重量%、好ましくは95〜100重量%、特に好ましくは98〜100重量%、特に99〜99.99重量%の、好ましくは芳香族ポリカーボネート、芳香族ポリエステルカーボネート、ポリスチレン(コ)ポリマーおよびポリメチルメタクリレート(コ)ポリマーから成る少なくとも1つの群から選択されるアモルファス熱可塑性材料と、
b)0〜10重量%、好ましくは0〜5重量%、特に好ましくは0〜2重量%、特に0.01〜1重量%の少なくとも1つの市販のポリマー添加剤とを
含有するアモルファス熱可塑性成形組成物であって、
結晶または部分的結晶のポリマー状構成要素を含まない第1成分の成形組成物、
および
(ii)第2成分として、
A)(成分AおよびBの合計に関して)10〜100重量部、好ましくは60〜100重量部、特に好ましくは75〜100重量部、特にまた85〜95重量部の、芳香族ポリカーボネート、芳香族ポリエステルカーボネート、ポリメチルメタクリレート(コ)ポリマーおよびポリスチレン(コ)ポリマーから成る群から選択される少なくとも1つの成分と、
B)(成分AおよびBの合計に関して)0〜90重量部、好ましくは0〜40重量部、特に好ましくは0〜25重量部、特にまた5〜15重量部の、エマルジョン重合法によって製造されるグラフトポリマー、バルク重合法によって製造されるグラフトポリマー、ゴム非含有ビニルホモポリマーおよびゴム非含有ビニルコポリマーから成る群から選択される少なくとも1つの成分と、
C)(全組成物に関して)3〜30重量%、好ましくは5〜25重量%、特に好ましくは6〜20重量%、特に7〜15重量%の等方性無機充填剤と、
D)(全組成物に関して)0〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%、特に0.2〜4重量%の少なくとも1つの市販のポリマー添加剤とを
含有するアモルファス熱可塑性成形組成物であって、
結晶または部分的結晶のポリマー状構成要素を含まず、
成分Dとしてタルクを(全組成物に関して)3重量%未満、好ましくは0〜2.5重量%の量で含有する第2成分(ii)の組成物、
を含有する2成分成形部品であって、
ここで、第1成分(i)は第2成分(ii)で完全にまたは部分的にバックモールドされ、
第2成分の全組成物中の成分AおよびBの重量パーセンテージの合計は、100重量%と成分CおよびDの重量部の合計間の差から計算され、かつ
第2成分の全組成物は、全ての成分の重量パーセンテージの合計A+B+C+D=100重量%であると理解される
2成分成形部品によって達成されることを見出した。
【0006】
第1成分(i)を第2成分(ii)で完全にまたは部分的にバックモールドすることによって、第2成分(ii)の第1成分(i)への付着が達成される。
【0007】
本発明はまた、2成分射出成形による2成分成形部品の製造方法を提供し、ここで第1成分(i)は第2成分(ii)で完全にまたは部分的にバックモールドされる。
【0008】
好ましい実施の形態では、
第2成分(ii)は第1成分(i)と比べて、等方的に平均化した成形物収縮量(溶融物流動方向に対して水平および垂直方向で測定した成形物の収縮量値の相加平均)が、10〜40%、好ましくは12〜35%、特に好ましくは13〜30%、特に13〜25%少なく、かつ
溶融物流動方向に対して水平および垂直方向で測定した第2成分(ii)についての成形物収縮量値間の差が、溶融物流動方向に対して水平および垂直方向で測定した第2成分(ii)の成形物収縮量値の相加平均の、30%以下、好ましくは20%以下、特に好ましくは15%以下、特に10%以下である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1成分(i))
好ましくは、透明または半透明アモルファス成形組成物を第1成分(i)として使用する。
【0010】
第1成分(i)の好ましい構成要素aおよびbを以下に記載する。
【0011】
(成分a)
本発明に従って好適な成分aによる芳香族ポリカーボネートは文献から公知であり、または文献から公知の方法によって製造されてもよい(芳香族ポリカーボネートの製造に関しては、たとえば、シュネル(Schnell),「ポリカーボネートの化学と物理(Chemistry and Physics of Polycarbonates)」,インターサイエンス・パブリッシャーズ(Interscience Publishers),1964、およびドイツ特許公開第DE−AS 1 495 626、DE−A 2 232 877、DE−A 2 703 376、DE−A 2 714 544、DE−A 3 000 610、DE−A 3 832 396号公報参照;芳香族ポリエステルカーボネートの製造に関しては、たとえば、ドイツ特許公開第DE−A 3 077 934号公報参照)。
【0012】
芳香族ポリカーボネートはたとえば、ジフェノールと、炭酸ハライド、好ましくはホスゲンとを、および/または芳香族ジカルボン酸ジハライド、好ましくは、ベンゼンジカルボン酸ジハライドとを、界面重縮合法によって、任意に鎖重合停止剤、たとえば、モノフェノールを用い、かつ任意に3官能性またはより高い官能性分岐剤、たとえば、トリフェノールまたはテトラフェノールを用いて反応させることによって、製造される。溶融重合法を介してたとえば、ジフェノールとジフェニルカーボネートとを反応させることによって製造することも、可能である。
【0013】
芳香族ポリカーボネートおよび/または芳香族ポリエステルカーボネート製造用のジフェノールは好ましくは、式(I)のものであり、
【化1】

ここで、Aは、単結合、C〜Cアルキレン、C〜Cアルキリデン、C〜Cシクロアルキリデン、−O−、−SO−、−CO−、−S−、−SO−、C〜C12アリーレンであり、C〜C12アリーレンには任意にヘテロ原子を含有するさらなる芳香族環が縮合されてもよく、
または式(II)または(III)の基であり、
【化2】

Bは各場合、C〜C12アルキル、好ましくはメチル、ハロゲン、好ましくは塩素および/または臭素であり、
xは各場合独立して0、1または2であり、
pは1または0であり、かつ
およびRはX毎に独立して選択可能であり、互いに独立して水素またはC〜Cアルキル、好ましくは水素、メチルまたはエチルを表し、
は炭素を表し、かつ
mは4〜7の整数、好ましくは4または5を表し、但し少なくとも1つのX原子上では、RおよびRは共にアルキルである。
【0014】
好ましいジフェノールは、ヒドロキノン、レゾルシノール、ジヒドロキシジフェノール、ビス(ヒドロキシフェニル)C〜Cアルカン、ビス(ヒドロキシフェニル)C〜Cシクロアルカン、ビス(ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホンおよびα,α−ビス(ヒドロキシフェニル)ジイソプロピルベンゼンおよびその環−臭素化および/または環−塩素化誘導体である。
【0015】
特に好ましいジフェノールは、4,4’−ジヒドロキシジフェニール、ビスフェノールA、2,4−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3.3.5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンおよびそのジ−およびテトラ臭素化または塩素化誘導体、たとえば、2,2−ビス−(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパンまたは2,2−ビス−(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパンである。2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)が特に好ましい。
【0016】
ジフェノールはそれ自身使用されても、または何らかの組み合わせで使用されてもよい。ジフェノールは文献から公知であり、または文献から公知の方法によって得ることができる。
【0017】
熱可塑性芳香族ポリカーボネートの製造に好適な鎖重合停止剤は、たとえば、フェノール、p−クロロフェノール、p−tert−ブチルフェノールまたは2,4,6−トリブロモフェノールだけでなく、長鎖アルキルフェノール、たとえば、4−[2−(2,4,4−トリメチルペンチル)]フェノール、4−(1,3−テトラメチルブチル)フェノール(ドイツ特許公開第DE−A 2 842 005号公報による)またはアルキル置換基中に全部で8〜20個の炭素原子を有するモノアルキルフェノールまたはジアルキルフェノール、たとえば、3、5−ジ−tert−ブチルフェノール、p−イソオクチルフェノール、p−tert−オクチルフェノール、p−ドデシルフェノールおよび2−(3,5−ジメチルヘプチル)フェノールおよび4−(3,5−ジメチルヘプチル)フェノールである。使用される鎖重合停止剤の量は一般的に、使用される個々のジフェノールのモル合計に関して、0.5mol%〜10mol%である。
【0018】
熱可塑性芳香族ポリカーボネートは、10,000〜200,000g/mol、好ましくは15,000〜80,000g/mol、特に好ましくは24,000〜32,000g/molの中程度の重量平均分子量(たとえば、GPC、超遠心分離または散乱光測定によって測定されるMw)を有する。
【0019】
熱可塑性芳香族ポリカーボネートを公知の方法で、好ましくは使用されるジフェノールの合計に関して、3官能性またはより高い官能性化合物、たとえば、3以上のフェノール性基を有するものを、0.05〜2.0mol%導入することによって、分岐してもよい。
【0020】
ホモポリカーボネートおよびコポリカーボネートは共に好適である。また、本発明の成分Aによるコポリカーボネートの製造では、使用されるジフェノールの全量に関して、1〜25重量%、好ましくは2.5〜25重量%のヒドロキシアリールオキシ末端基を有するポリジオルガノシロキサンを用いてもよい。これらは公知であり(米国特許第US 3 419 634号公報)文献から公知の方法によって製造されてもよい。ポリジオルガノシロキサンを含有するコポリカーボネートの製造はドイツ特許公開第DE−A 3 334 782号公報に記載される。
【0021】
ビスフェノールAホモポリカーボネート以外で好ましいポリカーボネートは、好ましいまたは特に好ましいとして引用した他のジフェノール、特に2,2−ビス−(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパンを、ジフェノールのモル合計に関して、15mol%までで有するビスフェノールAのコポリカーボネートである。
【0022】
芳香族ポリエステルカーボネートの製造用の芳香族ジカルボン酸ジハライドは好ましくは、イソフタル酸、テレフタル酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸およびナフタレン−2,6−ジカルボン酸の二酸二塩化物である。イソフタル酸およびテレフタル酸の二酸二塩化物の1:20〜20:1の比の混合物が特に好ましい。
【0023】
ポリエステルカーボネートの製造では、炭酸ハライド、好ましくはホスゲンをさらに、2官能性酸誘導体として導入する。
【0024】
既に述べたモノフェノールに加えて、そのクロロ蟻酸エステルおよび芳香族モノカルボン酸の酸塩化物(C〜C22アルキル基によってまたはハロゲン原子によって任意に置換されてもよい)および脂肪族C〜C22モノカルボン酸塩化物も、芳香族ポリエステルカーボネートの製造用鎖重合停止剤として好適である。
【0025】
鎖重合停止剤の量は、フェノール性鎖重合停止剤の場合にはジフェノールのモルに関して、モノカルボン酸塩化物鎖重合停止剤の場合にはジカルボン酸ジクロライドのモルに関して、各場合0.1〜10mol%である。
【0026】
芳香族ポリエステルカーボネートはまた、芳香族ヒドロキシカルボン酸が導入されてなるものでもよい。
【0027】
芳香族ポリエステルカーボネートは線形でも公知の方法で分岐されても共によい(この関係で、ドイツ特許公開第DE−A 2 940 024およびDE−A 3 007 934号公報参照)。
【0028】
3官能性またはより高い官能性のカルボン酸塩化物、たとえば、トリメシン酸トリクロライド、シアヌル酸トリクロライド、3,3’−,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸テトラクロライド、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸テトラクロライドまたはピロメリト酸テトラクロライドを(使用されるジカルボン酸ジクロライドに関して)0.01〜1.0mol%の量で、または3官能性またはより高い官能性のフェノール、たとえば、フロログルシノール、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)ヘプト−2−エン、4,6−ジメチル−2,4−6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、トリ−(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス[4,4−ビス−(4−ヒドロキシ−フェニル)シクロヘキシル]プロパン、2,4−ビス−(4−ヒドロキシフェニルイソプロピル)フェノール、テトラ−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,6−ビス−(2−ヒドロキシ−5−メチル−ベンジル)−4−メチルフェノール、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)プロパン、テトラ−(4−[4−ヒドロキシフェニル−イソプロピル]フェノキシ)メタン、1,4−ビス−[4,4’−ジヒドロキシトリフェニル]メチル]ベンゼンを、使用されるジフェノールに関して、0.01〜1.0mol%の量で、たとえば分岐剤として使用してもよい。フェノール性分岐剤をジフェノールと共に添加してもよく、酸塩化物分岐剤を酸二塩化物と共に導入してもよい。
【0029】
熱可塑性芳香族ポリエステルカーボネート内のカーボネート構造ユニットの割合は、必要に応じて変更してもよい。好ましくは、カーボネート基の割合は、エステル基とカーボネート基の合計に関して、100mol%まで、特に80mol%まで、特に好ましくは50mol%までである。芳香族ポリエステルカーボネートのエステルおよびカーボネート成分は共に、ブロックの形態で存在しても、または重縮合物中にランダムに分布してもよい。
【0030】
芳香族ポリカーボネートとポリエステルカーボネートの相対溶液粘度(ηrel)は、(0.5gのポリカーボネートまたはポリエステルカーボネートの100mlの塩化メチレン溶液において25℃で測定されて、)1.18〜1.4、好ましくは1.20〜1.32の範囲である。
【0031】
熱可塑性芳香族ポリカーボネートおよびポリエステルカーボネートはそれ自身使用されても、何らかの組み合わせで使用されてもよい。
【0032】
本発明に従って成分aとして好適なポリメチルメタクリレート(コ)ポリマーは、好ましい実施の形態では、
a.1)成分aに関して、50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%、特に好ましくは85〜100重量%、特に95〜100重量%のメチルメタクリレートと、
a.2)成分aに関して、0〜50重量%、好ましくは0〜30重量%、特に好ましくは0〜15重量%、特に0〜5重量%の、メチルメタクリレート以外のアルキルまたはアリールメタクリレートおよび/またはC〜C10アルキル、C〜C10シクロアルキルまたはアリールエステル基を有するアルキルまたはアリールアクリレート、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸エステル、マレイン酸無水物、マレイン酸イミドおよび任意にアルキルおよび/またはハロゲンで置換されたビニル芳香族、たとえば、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレンの群から選択される少なくとも1つの成分と
の(コ)ポリマーである。
【0033】
これらのポリメチルメタクリレート(コ)ポリマーは樹脂状、熱可塑性でゴム非含有である。
【0034】
純粋なポリメチルメタクリレートは特に好ましい。
【0035】
本発明に従って成分aとして好適なポリメチルメタクリレート(コ)ポリマーの製造は公知の手段で、1または複数のモノマーのバルク、溶液または分散体での重合によって行われる(クンストストッフ−ハンドブッフ(Kunststoff-Handbuch),Vol.IX,ポリメチルメタクリレート(Polymethacrylate),カール・ハンサー・ベラグ・ムニッヒ(Carl Hanser Verlag Munich)1975,ページ22−37)。
【0036】
本発明に従って成分aとして好適なポリスチレン(コ)ポリマーは、好ましい実施の形態では、
a.1)好ましい実施の形態のスチレンでは、成分aに関して、50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%、特に好ましくは85〜100重量%、特に95〜100重量%の、ビニル芳香族(たとえば、スチレン、α−メチルスチレン)および環−置換ビニル芳香族(たとえば、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン)の群から選択される少なくとも1つのモノマーと、
a.2)成分aに関して、0〜50重量%、好ましくは0〜30重量%、特に好ましくは0〜15重量%、特に0〜5重量%の、ビニルシアニド(たとえば、不飽和ニトリル、たとえば、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリル)、(メタ)アクリル酸(C〜C)アルキルエステル(たとえば、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート)、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸誘導体(たとえば、マレイン酸無水物およびN−フェニルマレインイミド)の群から選択される少なくとも1つのモノマーと
の(コ)ポリマーである。
【0037】
これらのスチレン(コ)ポリマーは樹脂状、熱可塑性でゴム非含有である。
【0038】
純粋なポリスチレンは特に好ましい。
【0039】
このようなスチレン(コ)ポリマーは公知であり、ラジカル重合によって、特にエマルジョン、懸濁液、溶液またはバルク重合によって製造されてもよい。好ましくは、スチレン(コ)ポリマーは15,000〜250,000の平均分子量Mw(GPC、光散乱または沈殿によって決定される重量平均)を有する。
【0040】
成分aとして、芳香族ポリカーボネート、特にビスフェノールAに基づくものが好ましく使用される。
【0041】
(成分b)
アモルファス第1成分は、成分bとしてさらなる添加剤を含有してもよい。成分bに従って好適なさらなる添加剤は、特に常套のポリマー添加剤たとえば、防炎剤(たとえば、有機リンまたはハロゲン化合物、特にビスフェノールA−ベースのオリゴホスフェート、過フッ化スルホン酸のアルカリ/アルカリ土またはアンモニウム/ホスホニウム塩)、防炎協力剤およびドリップ抑制剤(たとえば、フッ素化ポリオレフィン、シリコンの物質群の化合物およびアラミドファイバ)、発煙抑制添加剤(たとえば、ホウ酸またはホウ酸塩)、内部および外部潤滑剤および剥離剤、たとえば、ペンタエリスリトールテトラステアレートまたはグリシジルモノステアレート、流動性補助剤、帯電防止剤、導電性添加剤、安定剤、たとえば、酸化防止剤、UV安定剤、エステル交換抑制剤、加水分解安定剤、処理安定剤、IR吸収剤、光沢剤、蛍光添加剤、抗菌性添加剤、耐ひっかき性を改良する添加剤、衝撃改良剤、たとえば、好ましくはエマルジョン重合によって製造されるグラフトポリマーであって、好ましい実施の形態では、コア−シェル構造を有するもの、好ましくは非常に微細な粒子、特にナノスケールの形態の充填剤および補強材料、さらには染料および顔料である。
【0042】
(第2成分(ii))
アモルファス成形組成物を第2成分(ii)として使用する。好ましくはこれらは不透明、すなわち透明でない材料である。
【0043】
第2成分(ii)の好ましい構成要素A、B、CおよびDを以下に記載する。
【0044】
(成分A)
第2成分(ii)の成分Aは、その実施の形態では第1成分(i)の成分aに対応する。
【0045】
(成分B)
成分Bは、グラフトポリマーB.1またはゴム非含有(コ)ポリマーB.2の群から代表される少なくとも1つから選択される。
【0046】
成分B.1は、
B.1.1 5〜95、好ましくは30〜90重量%の少なくとも1つのビニルモノマーの、
B.1.2 95〜5、好ましくは70〜10重量%の、<10℃、好ましくは<0℃、特に好ましくは<−20℃のガラス転移温度を有する1以上のグラフトベースにおける
1以上のグラフトポリマーを含有する。
【0047】
グラフトベースB.1.2は一般的に、0.05〜10μm、好ましくは0.1〜5μm、特に好ましくは0.15〜2.0μmの平均粒子サイズ(d50値)を有する。
【0048】
モノマーB.1.1は好ましくは、
B.1.1.1 50〜99重量部のビニル芳香族および/または環−置換ビニル芳香族(たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン)および/またはメタクリル酸(C〜C)−アルキルエステル、たとえば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレートと、
B.1.1.2 1〜50重量部のビニルシアニド(不飽和ニトリルたとえば、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリル)および/または(メタ)アクリル酸(C〜C)−アルキルエステルたとえば、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレートおよび/または不飽和カルボン酸の誘導体(たとえば、無水物およびイミド)たとえば、マレイン酸無水物およびN−フェニルマレインイミド
の混合物である。
【0049】
好ましいモノマーB.1.1.1は、スチレン、α−メチルスチレンおよびメチルメタクリレートの少なくとも1つのモノマーから選択され、好ましいモノマーB.1.1.2は、アクリロニトリル、マレイン酸無水物およびメチルメタクリレートの少なくとも1つのモノマーから選択される。特に好ましいモノマーはB.1.1.1がスチレンでB.1.1.2がアクリロニトリルである。
【0050】
グラフトポリマーB.1に好適なグラフトベースB.1.2はたとえば、ジエンゴム、EP(D)Mゴム、言い換えればエチレン/プロピレンおよび任意のジエンに基づくもの、アクリレート、ポリウレタン、シリコン、クロロプレンおよびエチレン/ビニルアセテートゴムさらにはシリコン/アクリレートコンポジットゴムである。
【0051】
好ましいグラフトベースB.1.2はたとえば、ブタジエンおよびイソプレンに基づくジエンゴム、またはジエンゴムの混合物、またはジエンゴムのコポリマー、またはこれらとさらなる共重合可能な(たとえば、B.1.1.1およびB.1.1.2による)モノマーとの混合物であって、但し、成分B.1.2のガラス転移温度は<10℃、好ましくは<0℃、特に好ましくは<−20℃である。純粋なポリブタジエンゴムが特に好ましい。
【0052】
特に好ましいポリマーB.1は、たとえば、ドイツ特許第DE−OS 2 035 390号公報(=米国特許第US−PS 3 644 574号公報)またはドイツ特許第DE−OS 2 248 242号公報(=英国特許第GB−PS 1 409 275号公報)またはウルマンズ・エンサイクロペディア・デア・テクニッシェン・ヘミー(Ullmanns Enzyklopadie der Technischen Chemie),Vol.19 (1980),p.280ffに記載されるような、たとえば、ABSポリマー(エマルジョン、バルクおよび懸濁液ABS)である。
【0053】
グラフトコポリマーB.1はラジカル重合によって、たとえば、エマルジョン、懸濁液、溶液またはバルク重合によって、好ましくはエマルジョンまたはバルク重合によって、特に好ましくはエマルジョン重合によって製造される。
【0054】
グラフトポリマーがエマルジョン重合によって製造される場合には、グラフトベースB.1.2のゲル含有量は(トルエン中で測定して)少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも40重量%である。
【0055】
バルク重合によって製造されるグラフトポリマーB.1のゲル含有量は(アセトン中で測定して)好ましくは10〜50重量%、特に15〜40重量%である。
【0056】
また、特に好適なグラフトゴムは、米国特許第US−P 4 937 285号公報に記載されるような、有機ヒドロ過酸化物とアスコルビン酸から成る開始システムを用いた酸化還元開始によって製造されるABSポリマーである。
【0057】
グラフト反応時に、グラフトモノマーはグラフトベース上に必ずしも完全にグラフトしないことは公知であるので、本発明によれば、グラフトポリマーB.1とは、グラフトベースの存在中でグラフトモノマーの(共)重合によって得られる生成物であり、調製時に共に収集されるこのような生成物を含むものと理解される。したがって、これらの生成物は、グラフトモノマーのフリーの、すなわち化学的にゴムに結合していない(コ)ポリマーを含有することもあり得る。
【0058】
グラフトポリマーB.1がバルク重合法によって製造される場合には、フリーの、すなわちゴムに結合していない(コ)ポリマーの重量平均分子量Mwは、好ましくは50,000〜250,000g/mol、特に60,000〜180,000g/mol、特に好ましくは70,000〜130,000g/molである。
【0059】
B.1.2に従って好適なアクリレートゴムは好ましくは、アクリル酸アルキルエステルと、任意にB.1.2に関して、40重量%までの他の重合可能なエチレン性不飽和モノマーとのポリマーである。好ましい重合可能なアクリル酸エステルには、C〜Cアルキルエステル、たとえば、メチル、エチル、ブチル、n−オクチルおよび2−エチルヘキシルエステル;ハロアルキルエステル、好ましくはハロC〜Cアルキルエステル、たとえば、クロロエチルアクリレートおよびこれらのモノマーの混合物がある。
【0060】
架橋のために、1以上の重合可能な二重結合を有するモノマーを共重合させてもよい。架橋モノマーの好ましい例は、3〜8個のC原子を有する不飽和モノカルボン酸と、3〜12個のC原子を有する不飽和一価アルコール、または2〜4個のOH基と2〜20個のC原子を有する飽和ポリオールとのエステル、たとえば、エチレングリコールジメタクリレート、アリルメタクリレート;ポリ不飽和複素環状化合物、たとえば、トリビニルおよびトリアリルシアヌレート;多官能ビニル化合物、たとえば、ジビニルおよびトリビニルベンゼンだけでなく;トリアリルホスフェートおよびジアリルフタレートである。好ましい架橋モノマーは、アリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジアリルフタレートおよび少なくとも3個のエチレン性不飽和基を有する複素環状化合物である。特に好ましい架橋モノマーは、環状モノマーのトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアクリロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、トリアリルベンゼンである。架橋されるモノマーの量は、好ましくはグラフトベースB.1.2に関して、0.02〜5、特に0.05〜2重量%である。環状架橋モノマーが少なくとも3個のエチレン性不飽和基を有する場合には、その量をグラフトベースB.1.2の1重量%未満に制限するのが有益である。
【0061】
アクリル酸エステルに加えて、グラフトベースB.1.2を製造するのに任意に寄与し得る好ましい「他の」重合可能なエチレン性不飽和モノマーはたとえば、アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、アクリルアミド、ビニルC〜C−アルキルエーテル、メチルメタクリレート、ブタジエンである。グラフトベースB.2として好ましいアクリレートゴムは少なくとも60重量%のゲル含有量を有するエマルジョンポリマーである。
【0062】
B.1.2に従って好適な他のグラフトベースは、ドイツ特許第DE−OS 3 704 657、DE−OS 3 704 655、DE−OS 3 631 540およびDE−OS 3 631 539号公報に記載されるような、グラフト活性部位を有するシリコンゴムである。
【0063】
グラフトベースB.1.2またはグラフトポリマーB.1のゲル含有量は、25℃で好適な溶媒中で、これらの溶媒に不溶性な成分として決定される(M.ホフマン(Hoffmann),H.クロマー(Kromer),R.クン(Kuhn),ポリメラナリチックIアンドII(Polymeranalytik I and II),ゲオルグ・タイム−ベラグ(Georg Thieme-Verlag),シュツットガルト(Stuttgart)1977)。
【0064】
平均粒子サイズd50は粒子の50重量%がそれぞれ存在する前後の直径である。超遠心分離測定によって決定され得る(W.ショルタン(Scholtan),H.ラング(Lange),コロイド(Kolloid),Z.およびZ.ポリマー(Polymere)250(1972),782−1796)。
【0065】
ゴム非含有ビニル(コ)ポリマーB.2は、ビニル芳香族、ビニルシアニド(不飽和ニトリル)、(メタ)アクリル酸(C〜C)アルキルエステル、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸の誘導体(たとえば、無水物およびイミド)の群からの少なくとも1つのモノマーのゴム非含有ホモ−および/またはコポリマーである。
【0066】
B.2.1 (コ)ポリマーB.2に関して、50〜99重量%の、ビニル芳香族(たとえば、スチレン、α−メチルスチレン)、環−置換ビニル芳香族(たとえば、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン)および(メタ)アクリル酸(C〜C)アルキルエステル(たとえば、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート)の群から選択される少なくとも1つのモノマーと、
B.2.2 (コ)ポリマーB.2に関して、1〜50重量%の、ビニルシアニド(たとえば、不飽和ニトリル、たとえば、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリル)、(メタ)アクリル酸(C〜C)アルキルエステル(たとえば、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート)、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸の誘導体(たとえば、マレイン酸無水物およびN−フェニルマレインイミド)の群から選択される少なくとも1つのモノマー
から成る(コ)ポリマーB.2が特に好適である。
【0067】
これらの(コ)ポリマーB.2は樹脂状、熱可塑性でゴム非含有である。スチレンおよびアクリロニトリルのコポリマーが特に好ましい。
【0068】
このような(コ)ポリマーB.2は公知であり、ラジカル重合によって、特にエマルジョン、懸濁液、溶液またはバルク重合によって製造されてもよい。好ましくは、(コ)ポリマーは15,000〜250,000の平均分子量Mw(GPC、光散乱または沈殿によって決定される重量平均)を有する。
【0069】
成分Bとして、純粋なグラフトポリマーB.1またはB.1によるいくつかのグラフトポリマーの混合物、純粋な(コ)ポリマーB.2またはB.2によるいくつかの(コ)ポリマーの混合物、または少なくとも1つのグラフトポリマーB.1と少なくとも1つの(コ)ポリマーB.2の混合物を使用してもよい。いくつかのグラフトポリマーの混合物、いくつかの(コ)ポリマーの混合物または少なくとも1つのグラフトポリマーと少なくとも1つの(コ)ポリマーの混合物を用いる場合には、これらを本発明による組成物の製造の際に別々に用いても、または前段階化合物の形態で用いてもよい。
【0070】
好ましい実施の形態では、純粋なグラフトポリマーB.1またはB.1によるいくつかのグラフトポリマーの混合物または少なくとも1つのグラフトポリマーB.1と少なくとも1つの(コ)ポリマーB.2の混合物を、成分Bとして使用する。
【0071】
特に好ましい実施の形態では、エマルジョン重合によって製造されるABSグラフトポリマーまたはバルク重合によって製造されるABSグラフトポリマーまたはエマルジョン重合によって製造されるグラフトポリマーとSANコポリマーの混合物を、成分Bとして使用する。
【0072】
(成分C)
自然に発生するまたは合成で製造される無機等方性充填剤を成分Cとして使用する。
【0073】
本発明の意味の範囲内で等方性充填剤とは、大部分が等方性の(たとえば、球または立方体、すなわちサイコロ状の)粒子幾何学形状を有する充填剤であると理解される。このような粒子が全く等方性ならば、このような粒子の各種次元での大きさは互いに僅かしか異ならない。このような「等方性充填剤」の場合、最大粒子の大きさと最小粒子の大きさの商は5以下、好ましくは3以下、特に好ましくは2以下、特に1.5以下である。
【0074】
本発明に従って成分Cとして好適なものはたとえば、(中空)ガラスビーズ、(中空)セラミックビーズ、艶消し(ground)ガラスファイバ、カオリン、カーボンブラック、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、ベーマイト、ヒドロタルサイト、アモルファスグラファイト、石英、エーロシル、他の金属または遷移金属酸化物(たとえば、二酸化チタンまたは酸化鉄)、硫酸塩(たとえば、硫酸バリウムまたはカルシウム)、ホウ酸塩(たとえば、ホウ酸亜鉛)、炭酸塩(たとえば、チョークまたは炭酸カルシウムの他の形態または炭酸マグネシウム)、ケイ酸塩またはアルモケイ酸塩(たとえば、艶消しウォラストナイト)および窒化物(たとえば、窒化ホウ素)である。
【0075】
<10μm、好ましくは<5μm、特に好ましくは<2μm、最も特に好ましくは≦1.5μmの平均粒子直径d50を有する微細な艶消し(ground)タイプの形態で充填剤を使用することが、特に有益である。
【0076】
好ましい実施の形態では、充填剤を、<500nm、好ましくは<200nm、特に好ましくは<100nm、最も特に好ましくは5nm〜80nmの平均粒子直径d50を有するナノスケール形態で使用する。
【0077】
充填剤は、ポリマーとのより良好な適合性を確保するために、表面処理、たとえば、シラン化されてもよい。
【0078】
成形組成物の処理および製造に関して、より高いバルク密度を有する緻密質充填剤を使用することが有効である。
【0079】
(成分D)
組成物はさらなる添加剤を成分Dとして含有してもよい。成分Dに従って好適なさらなる添加剤には、防炎剤(たとえば、リンまたはハロゲン化合物)、防炎協力剤(たとえば、ナノスケール金属酸化物)、発煙抑制添加剤(たとえば、ホウ酸)、ドリップ抑制剤(たとえば、フッ素化ポリオレフィン、シリコンの物質群の化合物およびアラミドファイバ)、内部および外部潤滑剤および剥離剤(たとえば、ペンタエリスリトールテトラステアレート、モンタンワックスまたはポリエチレンワックス)、流動性補助剤(たとえば、低分子量ビニル(コ)ポリマー)、帯電防止剤(たとえば、酸化エチレンと酸化プロピレンのブロックコポリマー、他のポリエーテルまたはポリヒドロキシエーテル、ポリエーテルアミド、ポリエステルアミドまたはスルホン酸塩)、導電性添加剤(たとえば、導電性カーボンブラックまたはカーボンナノチューブ)、安定剤(たとえば、UV/光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、エステル交換抑制剤、加水分解安定剤)、抗菌性添加剤(たとえば、銀または銀塩)、耐ひっかき性を改良する添加剤(たとえば、シリコンオイル)、IR吸収剤、光沢剤、蛍光添加剤、衝撃改良剤(たとえば、好ましくはエマルジョン重合によって製造され、ゴムのコアを有するグラフトポリマーであって、特に好ましい実施の形態では、コア/シェル構造を有するもの)、ブレンステッド酸、小板状、うろこ状または繊維状充填剤および補強材料(たとえば、繊維状ウォラストナイト、ガラスまたはカーボンファイバ、マイカ、モンモリロナイト、層状粘土鉱物、フィロシリケート、小板状カオリン、タルクおよびガラスフレーク)さらには成分Cとは異なる染料および顔料から成る群から選択される市販のポリマー添加剤がある。
【0080】
タルクを成分Dとして使用する場合には、全組成物に関して、3重量%未満、好ましくは0〜2.5重量%の濃度で使用する。
【0081】
好ましい実施の形態では、第2成分(ii)の組成物はタルクを含まない。特に好ましい実施の形態では、第2成分(ii)は小板状、うろこ状または繊維状充填剤および補強材料を含まない。
【0082】
リン含有化合物は、成分Dに従う防炎剤として、好ましく使用される。好ましくは、これらはモノマー状およびオリゴマー状リン酸およびホスホン酸エステル、ホスホネートアミンおよびホスファゼンの群から選択され、これらの群の1以上から選択されるいくつかの成分の混合物も防炎剤として使用されてもよい。また、特にここでは述べない他のハロゲン非含有リン化合物を単独で使用しても、または他のハロゲン非含有リン化合物との何らかの組み合わせで使用してもよい。
【0083】
好ましいモノマー状およびオリゴマー状リン酸またはホスホン酸エステルは一般式(IV)のリン化合物であり、
【化3】

ここで、R、R、RおよびRは互いに独立して、任意にハロゲン化されたC〜Cアルキル、またはそれぞれ任意にアルキル、好ましくはC〜Cアルキルで、および/またはハロゲン、好ましくは塩素または臭素で置換されたC〜Cシクロアルキル、C〜C20アリールまたはC〜C12アラルキルを表し、
nは独立して0または1を表し、
qは0〜30を表し、かつ
Xは6〜30個のC原子を有する単核または多核芳香族基、または2〜30個のC原子を有し、OH置換されてもよく、かつ8個までエーテル結合を含有してもよい線形または分岐脂肪族基を表す。
【0084】
好ましくは、R、R、RおよびRは互いに独立して、C〜Cアルキル、フェニル、ナフチルまたはフェニルC〜Cアルキルを表す。芳香族基のR、R、RおよびRはしたがって、ハロゲンおよび/またはアルキル基、好ましくは塩素、臭素および/またはC〜Cアルキルで置換されてもよい。特に好ましいアリール基はクレジル、フェニル、キシレニル、プロピルフェニルまたはブチルフェニルおよび対応するその臭素化および塩素化誘導体である。
式(IV)でXは好ましくは、6〜30個のC原子を有する単核または多核芳香族基を表す。好ましくはこれは式(I)のジフェノールから誘導される。
式(IV)でnは独立して0または1であり;好ましくはnは1である。
qは0〜30、好ましくは0.3〜20、特に好ましくは0.5〜10、特に0.5〜6、最も特に好ましくは1.1〜1.6の値を表す。
Xは特に好ましくは
【化4】

またはその塩素化または臭素化誘導体を表し、特にXはレゾルシノール、ヒドロキノン、ビスフェノールAまたはジフェニルフェノールから誘導される。特に好ましくは、XはビスフェノールAから誘導される。
【0085】
各種リン酸塩の混合物を、本発明による成分Dとして使用してもよい。
【0086】
式(IV)のリン化合物は特に、トリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルオクチルホスフェート、ジフェニル−2−エチルクレジルホスフェート、トリ(イソプロピルフェニル)ホスフェート、レゾルシノール−架橋オリゴホスフェートおよびビスフェノールA−架橋オリゴホスフェートである。ビスフェノールAから誘導される式(IV)のオリゴマー状リン酸エステルを使用するのが特に好ましい。
【0087】
成分Dとして、式(IVa)によるビスフェノールA−ベースのオリゴホスフェートが最も好ましい。
【化5】

【0088】
成分Dによるリン化合物は公知であり(たとえば、欧州特許出願第EP−A 0 363 608、EP−A 0 640 655号公報参照)または類似の手法で公知の方法によって製造されてもよい(たとえば、ウルマンズ・エンサイクロペディア・デア・テクニッシェン・ヘミー(Ullmanns Enzyklopadie der technischen Chemie),Vol.18,p.301ff 1979;ホウベン−ウェイル(Houben-Weyl),メソーデン・デア・オリガニッシェン・ヘミー(Methoden der organischen Chemie),Vol.12/1,p.43;バイルスタイン(Beil-stein)Vol.6,p.177)。
【0089】
各種リン化合物の混合物を使用するなら、オリゴマー状リン化合物の場合の特定のq値は平均のq値である。平均q値は、好適な方法(ガスクロマトグラフィー(GC)、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC))を用いてリン化合物の組成(分子量分布)を決定し、これを用いてqについての平均値を計算することによって、決定されてもよい。
【0090】
また、国際特許出願第WO 00/00541およびWO 01/18105号公報に記載されるように、ホスホネートアミンおよびホスファゼンを防炎剤として使用してもよい。
【0091】
防炎剤を単独で使用しても、互いに何らかの組み合わせで使用しても、または他の防炎剤と混合してもよい。
【0092】
好ましい実施の形態では、防炎剤を、ドリップ抑制剤としてのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)と組み合わせて使用する。
【0093】
第1成分(i)の組成物および第2成分(ii)の組成物は各場合、結晶または部分的結晶のポリマー状構成要素を含まず;本発明による成分(i)および(ii)の組成物は、国際特許出願第WO−A 99/28386号公報に開示されるように、特に芳香族または部分的芳香族ポリエステルを含まない。本発明の意味する範囲内では、芳香族または部分的芳香族ポリエステルは、成分aとしてまたは成分Aとして使用されてもよいアモルファスポリカーボネートではないものと理解される。芳香族ポリエステルは、芳香族ジヒドロキシ化合物と芳香族ジカルボン酸または芳香族ヒドロキシカルボン酸から誘導される。部分的芳香族ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸と1以上の異なる脂肪族ジヒドロキシ化合物に基づくものである。
【0094】
成分Dとして好適なブレンステッド酸は原理的には、全てのタイプのブレンステッド酸有機または無機化合物またはその混合物である。
【0095】
成分Dに従って好ましい有機酸は、脂肪族または芳香族の、任意に多官能性のカルボン酸、スルホン酸およびホスホン酸の群の少なくとも1つから選択される。脂肪族または芳香族ジカルボン酸およびヒドロキシ官能化ジカルボン酸は特に好ましい。
【0096】
好ましい実施の形態では、安息香酸、クエン酸、シュウ酸、フマル酸、マンデル酸、酒石酸、テレフタル酸、イソフタル酸およびp−トルエンスルホン酸から成る群から選択される少なくとも1つの化合物を成分Dとして使用する。
【0097】
好ましい無機酸は、オルト−およびメタ−リン酸およびこれらの酸の酸性塩、さらにはホウ酸である。
【0098】
(第1および第2成分の成形組成物の製造)
第1および第2成分として使用される熱可塑性成形組成物は、たとえば、公知の方法で個々の構成要素を混合し、溶融化合させ、これを次に200℃〜360℃、好ましくは240〜340℃、特に好ましくは240〜320℃の温度で、常套のユニット、たとえば、内部混練機、押出し成形機および二軸性押出し成形機において溶融押出しすることによって、製造されてもよい。
【0099】
個々の構成要素の混合は、公知の方法で連続的でも同時でも、20℃付近(室温)でもより高温で行われてもいずれでもよい。
【0100】
(本発明による2成分成形部品)
化学物質の影響に関して応力割れ耐性がある、低ひずみの、すなわち寸法安定性のある延性2成分部品の製造は、2成分射出成形によって行われる。この方法では、所定の冷却時間後に、透明または半透明の第1成分を、第2成分で完全にまたは部分的にバックモールドし、第2成分が第1成分に対して安定的に材料付着した状態にする。
【0101】
これらの2成分部品はたとえば、透明または半透明層と不透明衝撃改良層とから成る2次元コンポジット、または透明または半透明領域が不透明周辺部によって縁取られてなるコンポジットであってもよい。このようなコンポジットをたとえば、窓または窓ガラス分野に、照明用途に、不透明射出成形周辺部を備える光学レンズに、不透明周辺部を備えるヘッドライトカバーディスクに、奥行き効果を得るために、高光沢層として透明熱可塑性プラスチックを用いて2次元にバックモールドした不透明装飾カバーに、自動車における(逆光照明)スクリーンに、および不透明周辺部を備えるモニター/ディスプレイカバーに、使用してもよい。
【0102】
上記2成分部品は好ましくは、第1成分を、射出成形または射出圧縮成形(2成分射出成形または2成分射出圧縮成形)によって、第2成分でバックモールドする方法で製造される。
【0103】
したがって、本発明は本発明による2成分部品の製造方法をも提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)第1成分として、
a)(成分aおよびbの合計に関して)90〜100重量%のアモルファス熱可塑性材料と、
b)(成分aおよびbの合計に関して)0〜10重量%の少なくとも1つの市販のポリマー添加剤とを
含有するアモルファス熱可塑性成形組成物であって、
結晶または部分的結晶のポリマー状構成要素を含まない第1成分の成形組成物、
および
(ii)第2成分として、
A)(成分AおよびBの合計に関して)10〜100重量部の、芳香族ポリカーボネート、芳香族ポリエステルカーボネート、ポリメチルメタクリレート(コ)ポリマーおよびポリスチレン(コ)ポリマーから成る群から選択される少なくとも1つの成分と、
B)(成分AおよびBの合計に関して)0〜90重量部の、エマルジョン重合法によって製造されるグラフトポリマー、バルク重合法によって製造されるグラフトポリマー、ゴム非含有ビニルホモポリマーおよびゴム非含有ビニルコポリマーから成る群から選択される少なくとも1つの成分と、
C)(全組成物に関して)3〜30重量%の等方性無機充填剤と、
D)(全組成物に関して)0〜20重量%の少なくとも1つの市販のポリマー添加剤と
を含有するアモルファス熱可塑性成形組成物であって、
結晶または部分的結晶のポリマー状構成要素を含まず、
成分Dとしてタルクを(全組成物に関して)3重量%未満の量で含有する第2成分(ii)の組成物、
を含有する2成分成形部品であって、
ここで、第2成分の全組成物中の成分AおよびBの重量パーセンテージの合計は、100重量%と成分CおよびDの重量部の合計間の差から計算され、かつ
第1成分(i)は第2成分(ii)で完全にまたは部分的にバックモールドされる
2成分成形部品。
【請求項2】
第1成分(i)の成分a)は、芳香族ポリカーボネート、芳香族ポリエステルカーボネート、ポリスチレン(コ)ポリマーおよびポリメチルメタクリレート(コ)ポリマーから成る群の少なくとも1つから選択されることを特徴とする請求項1による2成分成形部品。
【請求項3】
第1成分(i)の成分b)は、防炎剤、防炎協力剤およびドリップ抑制剤、発煙抑制添加剤、内部および外部潤滑剤および剥離剤、流動性補助剤、帯電防止剤、導電性添加剤、安定剤、IR吸収剤、光沢剤、蛍光添加剤、抗菌性添加剤、耐ひっかき性を改良する添加剤、衝撃改良剤、染料および顔料から成る群の少なくとも1つから選択されることを特徴とする請求項2による2成分成形部品。
【請求項4】
99〜99.99重量%の成分a)と0.01〜1重量%の成分b)を含有する請求項2による2成分成形部品。
【請求項5】
A)(成分AおよびBの合計に関して)60〜100重量部の成分A)、
B)(成分AおよびBの合計に関して)0〜40重量部の成分B)、
C)(全組成物に関して)5〜22重量%の成分C)、
D)(全組成物に関して)0.1〜15重量%の成分D)
を含有する請求項2による2成分成形部品。
【請求項6】
成分Dは、防炎剤、防炎協力剤、発煙抑制添加剤、ドリップ抑制剤、内部および外部潤滑剤および剥離剤、流動性補助剤、帯電防止剤、導電性添加剤、UV/光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、エステル交換抑制剤、加水分解安定剤、抗菌性添加剤、耐ひっかき性を改良する添加剤、IR吸収剤、光沢剤、蛍光添加剤、衝撃改良剤、ブレンステッド酸、小板状、うろこ状または繊維状充填剤および補強材料、さらには染料および顔料から成る群の少なくとも1つから選択されることを特徴とする請求項5による2成分成形部品。
【請求項7】
成分Dは、防炎剤、防炎協力剤、発煙抑制添加剤、ドリップ抑制剤、内部および外部潤滑剤および剥離剤、流動性補助剤、帯電防止剤、導電性添加剤、UV/光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、エステル交換抑制剤、加水分解安定剤、抗菌性添加剤、耐ひっかき性を改良する添加剤、IR吸収剤、光沢剤、蛍光添加剤、衝撃改良剤、ブレンステッド酸、さらには染料および顔料から成る群の少なくとも1つから選択されることを特徴とする請求項5による2成分成形部品。
【請求項8】
成分D)として、一般式(IV)のリン化合物、
【化1】

(ここで、R、R、RおよびRは互いに独立して、任意にハロゲン化されたC〜Cアルキル、置換されたC〜Cシクロアルキル、C〜C20アリールまたはC〜C12アラルキルを表し、
nは独立して0または1を表し、
qは0〜30を表し、かつ
Xは6〜30個のC原子を有する単核または多核芳香族基、または2〜30個のC原子を有し、OH置換されてもよく、かつ8個までエーテル結合を含有してもよい線形または分岐脂肪族基を表す)
を含有する請求項5による2成分成形部品。
【請求項9】
透明または半透明のアモルファス成形組成物を第1成分(i)として使用することを特徴とする請求項1による2成分成形部品。
【請求項10】
不透明成形組成物を第2成分(ii)として使用することを特徴とする請求項9による2成分成形部品。
【請求項11】
第2成分(ii)は、第1成分(i)と比べて、等方的に平均化した成形物収縮量(溶融物流動方向に対して水平および垂直方向で測定した成形物の収縮量値の相加平均)が、10〜40%少なく、かつ
溶融物流動方向に対して水平および垂直方向で測定した第2成分(ii)の成形物の収縮量値の差が、溶融物流動方向に対して水平および垂直方向で測定した第2成分(ii)の成形物の収縮量値の相加平均の30%以下であることを特徴とする請求項1による2成分成形部品。
【請求項12】
第1成分(i)は第2成分(ii)で完全にまたは部分的にバックモールドされる、2成分射出成形によって請求項1による2成分成形部品を製造する方法。
【請求項13】
建物および自動車、船または飛行機では、窓または窓ガラスモジュールとして、照明用途では、射出成形周辺部を備える光学レンズとして、自動車ヘッドライトまたはテールライト用途では、奥行き効果を得るために、高光沢層として透明成形組成物を用いて2次元的にバックモールドした不透明装飾部品として、自動車におけるスクリーンとして、および不透明周辺部を備える透明モニター/ディスプレイカバーとしての、請求項1による2成分成形部品の使用。

【公表番号】特表2012−503047(P2012−503047A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527244(P2011−527244)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際出願番号】PCT/EP2009/006723
【国際公開番号】WO2010/031556
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】