急速作用性の組織密閉材およびその使用および製造方法
密閉用途のための組成物、方法、およびキットを提供する。組成物は第1の交差結合可能な成分を第2の交差結合可能な成分と組み合わせて間隙を有する多孔性のマトリックスを形成すること、および、多孔性のマトリックスをヒドロゲル形成成分と組み合わせて間隙の少なくとも一部を充填することにより生成される。組成物は最小限の膨潤特性を示す。第1の特徴において、本発明は第1の交差結合可能な成分、反応を可能とする条件下で第1の交差結合可能な成分と交差結合する第2の交差結合可能な成分、およびヒドロゲル形成成分を含む組成物を提供する。第1および第2の交差結合可能な成分は交差結合して間隙を有する多孔性マトリックスを形成し、そしてここでヒドロゲル形成成分は水和されて間隙の少なくとも一部を充填するヒドロゲルを形成することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
[0001] 本願は、2006年8月2日に出願された米国特許出願第60/821,190号からの優先権の権利を主張する。本願はまた、米国特許第5,874,500号、同第6,063,061号、同第6,066,325号、同第6,166,130号および同第6,458,889号に関する。これら各出願の内容は、本明細書により参考として援用される。
【0002】
(連邦支援研究開発の下に行われた発明の権利に関する陳述書)
[0002] 適用せず。
【0003】
(コンパクトディスク上で提出された「配列表」、表、またはコンピュータープログラムを列挙する附録の参照)
[0003] 適用せず。
【背景技術】
【0004】
(発明の背景)
[0004] Rhee等に1992年11月10日に発行された特許文献1はポリエチレングリコールの種々の誘導体のような合成親水性重合体にコラーゲンを共有結合させることにより生成したコラーゲン−合成重合体コンジュゲートを考察している。Rhee等に1994年6月28日に発行された特許文献2は合成非免疫原性親水性ポリエチレングリコール重合体に共有結合させた種々のインサートの天然に存在する生物学的化合物の重合体(例えば多糖類)を考察している。Rhee等に1994年7月12日に発行された特許文献3はある範囲の物理的および化学的特性を有するコラーゲン−合成重合体コンジュゲートを生成するために使用できるポリエチレングリコールの種々の活性化型および種々の連結部を考察している。
【0005】
[0005] 1995年3月14日に出願された08/403,358は疎水性交差結合剤または親水性および疎水性の交差結合剤の混合物を用いて生成される交差結合生物材料組成物を考察している。疎水性交差結合剤はスクシンイミジル基2つ以上を含有するか、または含有するように化学的に誘導体化することができるいずれかの疎水性の重合体を包含できる。
【0006】
[0006] Yeung等に1996年12月3日に発行された特許文献4は基質物質および抗接着結合剤を含む外科的接着の防止において有用な組成物を考察しており、この場合、基質物質は好ましくはコラーゲンを含み、そして結合剤は好ましくは組織反応性官能基少なくとも1つおよび基質反応性官能基少なくとも1つを含む。
【0007】
[0007] Rhee等に1997年3月25日に発行された特許文献5は多官能性的に活性化された合成の親水性重合体を用いて交差結合されたコラーゲンを含む生物接着組成物、並びに第1の表面と第2の表面の間に接着をもたらすためのそのような組成物の使用方法を考察しており、ここでは第1および第2の表面の少なくとも1つが天然の組織表面であることができる。
【0008】
[0008] 特許文献6は1000〜5000の範囲の平均分子量を有するポリエチレングリコールと30,000〜200,000の範囲の平均分子量を有するポリ−N−ビニルピロリドンの混合物を含む、機械工作装置上に材料を搭載するための支持体上へのレンズ材料の一時的接着のために使用される組成物を考察している。
【0009】
[0009] West and Hubbell,Biomaterials(1995)16:1153−1156は光重合されたポリエチレングリコール−コ乳酸ジアクリレートヒドロゲルおよび物理的に交差結合されたポリエチレングリコール−コプロピレングリコールヒドロゲル、Poloxamer407(登録商標)を用いた術後接着の防止を考察している。
【0010】
[0010] 特許文献7および特許文献8は0.5〜2.0μmの粒径を有する微粒子微小繊維状コラーゲンを含む創傷包帯を記載している。この組成物は一般的に水相を含み、そして本明細書に記載しているようにヒドロゲルを形成しなくてもよい。米国特許第5,698,213は吸収性外科用装置および薬物送達ビヒクルとして有用な交差結合脂肪族ポリエステルヒドロゲルを記載している。特許文献9はアクリレートまたはメタクリレート系のヒドロゲル接着剤を記載している。特許文献10は薬物送達ビヒクルとして有用なポリオキシアルキレン系の熱可逆性ヒドロゲルを記載している。
【0011】
[0011] 特許文献11および特許文献12は多糖類またはムコ多糖類と交差結合された、そして薬物送達ビヒクルとして有用なタンパク質成分を含むヒドロゲルを記載している。
【0012】
[0012] 生体分解性の注射可能な薬物送達重合体は特許文献13において、そしてJeong等(1997)“Nature,”388:860−862により記載されている。制御放出薬物送達のための生体分解性ヒドロゲルは特許文献11に記載されている。再吸収可能なコラーゲン系薬物送達系は特許文献14および特許文献15に記載されている。薬物送達のためのアミノ多糖類系の生体適合性フィルムは特許文献16および特許文献17に記載されている。タキソールの送達のための水溶性担体は特許文献18に記載されている。
【0013】
[0013] 限局性および除放性の放出を行うための治療薬の担体として重合体が使用されている(Langer等、Rev.Macro.Chem.Phys.,C23(1),61,1983;Controlled Drug Delivery,Vol.IおよびII、Bruck、S.D.,(編)CRC Press,Boca Raton,Fla,1983;Leong等、Adv.Drug Delivery Review,1:199,1987)。これらの治療薬送達系は注入を模倣しており、増強された治療効果および低減された全身毒性の潜在性を与える。
【0014】
[0014] 制御放出薬物送達のために提案されている合成重合体の他のクラスはポリエステル(Pitt等、Controlled Release of Bioactive Materials,R.Baker編、Academic Press,New York,1980);ポリアミド(Sidman等、Journal of Membrane Science,7:227,1979);ポリウレタン(Maser等、Journal of Polymer Science,Polymer Symposium,66:259,1979);ポリオルトエステル(Heller等、Polymer Engineering Science,21:727,1981);およびポリ無水物(Leong等、Biomaterials,7:364,1986)を包含する。
【0015】
[0015] 自身の物理的特性を改変するために機械的に崩壊されているコラーゲン含有組成物が米国特許第5,428,024;5,352,715;および5,204,382に記載されている。これらの特許は一般的に微小繊維性で不溶性のコラーゲンに関する。注射可能なコラーゲン組成物は米国特許第4,803,075に記載されている。注射可能な骨/軟骨組成物は米国特許第5,516,532に記載されている。水に懸濁してよく、そして特定の表面電荷密度を有する5μm〜850μmの粒径範囲の乾燥粒子を含むコラーゲン系送達マトリックスがWO96/39159に記載されている。創傷包帯を形成するためのエアロゾルスプレーとして有用な1μm〜50μmの粒径を有するコラーゲン調製品が米国特許第5,196,185に記載されている。コラーゲン組成物を記載している他の特許は米国特許第5,672,236および5,356,614を包含する。交差結合してシリンジを介して注射してよい重合体非腐食性ヒドロゲルはWO96/0688に記載されている。
【0016】
[0016] 本出願の被譲渡者に譲渡された以下の係争中の出願、即ち1997年7月31日に出願された米国特許出願08/903,674;1997年6月18日に出願された米国特許出願60/050,437;1996年8月27日に出願された米国特許出願08/704,852;1996年6月19日に出願された米国特許出願08/673,710;1996年2月20日に出願された米国特許出願60/011,898;1996年11月7日に出願された米国特許出願60/006,321;1996年11月7日に出願された米国特許出願60/006,322;1996年11月7日に出願された米国特許出願60/006,324;および1995年6月7日に出願された米国特許出願08/481,712は関連の要件を含んでいる。これらの出願の各々の完全な開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。上記引用した各公開物は参照により全体が本明細書に組み込まれる。生物接着材としての使用のため、組織強化のため、外科的接着の防止のため、合成インプラントの表面をコーティングするため、薬物送達マトリックスとして、眼科用途のため等に適している種々の材料が存在する。なお多くの場合においてこれらの材料に関わる硬化時間は最適とは言えず、外科的および他の医療用途のためには急速作用性材料が望ましい場合が多い。他の場合においては現在使用可能な材料は特定の外科的用途のためには望ましくない膨潤特性を示す場合がある。即ち必要とされているものは例えば止血および/または創傷密閉用途のための組織密閉材としての使用のための急速作用性材料である。さらにまた、最小限の膨潤特性を示す材料を提供することも望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許第5,162,430号明細書
【特許文献2】米国特許第5,324,775号明細書
【特許文献3】米国特許第5,328,955号明細書
【特許文献4】米国特許第5,580,923号明細書
【特許文献5】米国特許第5,614,587号明細書
【特許文献6】特開2007−090241号明細書
【特許文献7】米国特許第5,672,336号明細書
【特許文献8】米国特許第5,196,185号明細書
【特許文献9】米国特許第5,674,275号明細書
【特許文献10】米国特許第5,306,501号明細書
【特許文献11】米国特許第4,925,677号明細書
【特許文献12】米国特許第5,041,292号明細書
【特許文献13】米国特許第5,384,333号明細書
【特許文献14】米国特許第4,347,234号明細書
【特許文献15】米国特許第4,291,013号明細書
【特許文献16】米国特許第5,300,494号明細書
【特許文献17】米国特許第4,946,870号明細書
【特許文献18】米国特許第5,648,506号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
発明の簡単な要旨
[0017] 本発明はインビボの関連において止血または他の体液の封じ込めを達成するための組成物を提供する。本発明の組成物は体液を封じ込めるための脊椎動物への適用に適する組成物中に第1および第2の交差結合可能な成分および少なくとも1つのヒドロゲル形成成分を含む。組成物は例えば止血および/または創傷密閉用途のための組織密閉材としての使用のための急速作用性の材料を包含する。組成物は最小限の膨潤特性を示す。
【0019】
[0018] 第1の特徴において、本発明は第1の交差結合可能な成分、反応を可能とする条件下で第1の交差結合可能な成分と交差結合する第2の交差結合可能な成分、およびヒドロゲル形成成分を含む組成物を提供する。第1および第2の交差結合可能な成分は交差結合して間隙を有する多孔性マトリックスを形成し、そしてここでヒドロゲル形成成分は水和されて間隙の少なくとも一部を充填するヒドロゲルを形成することができる。一部の特徴においては、ヒドロゲル形成成分は密閉材マトリックスバリアを形成するための反応時間に影響する場合がある。例えば一部の実施形態においてはpH6.75を有するヒドロゲル形成成分を含む組成物はpH9.5を有するヒドロゲル形成成分を包含する組成物よりも緩徐な反応時間を与える。
【0020】
[0019] 第1の交差結合可能な成分が多数の求核性基を包含でき、そして第2の交差結合可能な成分が多数の求電子性基を包含できる。一部の特徴においては、第1の交差結合可能な成分は求核性基m個を有する多求核性(multi−nucleophilic)ポリアルキレンオキシドを包含し、そして第2の交差結合可能な成分は求電子性基n個を有する多求電子性(multi−electrophilic)ポリアルキレンオキシドを包含し、ここでmおよびnは各々2以上であり、そしてm+nは5以上である。一部の特徴においては、nが2であり、そしてmが3以上である。多求核性ポリアルキレンオキシドは4官能性的に活性化される。一部の特徴においては、mが2であり、そしてnは3以上である。多求電子性ポリアルキレンオキシドは4官能性的に活性化される。一部の場合においては、多求核性ポリアルキレンオキシドおよび多求電子性ポリアルキレンオキシドは4官能性的に活性化される。多求核性ポリアルキレンオキシドはさらに−NH2、−SH、−H、−PH2、および−CO−NH−NH2よりなる群から選択される求核性基2つ以上を包含する。一部の場合においては、多求核性ポリアルキレンオキシドはさらに第1級アミノ基2つ以上を包含する。一部の場合においては、多求核性ポリアルキレンオキシドはさらにチオール基2つ以上を包含する。多求核性ポリアルキレンオキシドはポリエチレングリコールまたはその誘導体である。一部の場合においては、ポリエチレングリコールは求核性基2つ以上を包含し、これは第1級アミノ基および/またはチオール基を包含してよい。多求電子性ポリアルキレンオキシドは2つ以上の求電子性基、例えば−CO2N(COCH2)2、−CO2H、−CHO、−CHOCH2、−N=C=O、−SO2CH=CH2、−N(COCH)2および−S−S−(C5H4N)を包含できる。多求電子性ポリアルキレンオキシドはさらにスクシンイミジル基2つ以上を包含する物。多求電子性ポリアルキレンオキシドはさらにマレイミジル基2つ以上を包含する。一部の場合においては、多求電子性ポリアルキレンオキシドはポリエチレングリコールまたはその誘導体であることができる。
【0021】
[0020] 一部の特徴においては、多糖類またはタンパク質をさらに包含する。多糖類はグルコサミノグリカン、例えばヒアルロン酸、キチン、硫酸コンドロイチンA、硫酸コンドロイチンB、硫酸コンドロイチンC、硫酸ケラチン、ケラトスルフェート、ヘパリンまたはこれらの誘導体であることができる。タンパク質はコラーゲンまたはその誘導体であることができる。多求核性ポリアルキレンオキシドまたは多求電子性ポリアルキレンオキシド、または多求核性ポリアルキレンオキシドおよび多求電子性ポリアルキレンオキシドの両方は連結基を包含するしてよい。一部の場合においては、求核性ポリアルキレンオキシドは式:重合体−Q1−Xmにより与えられる。多求電子性ポリアルキレンオキシドは式:重合体−Q2−Ynにより与えられる。Xは求電子性基であることができ、そしてYは求核性基であることができ、mおよびnは各々2〜4であり、m+n≦5であり、Q1およびQ2の各々は−O−(CH2)n’−、−S−、−(CH2)n’−、−NH−(CH2)n’−、−O2C−NH−(CH2)n’−、−O2C−(CH2)n’−、−O2C−CR1H、および−O−R2−CO−NHのような連結基であることができる。一部の場合においては、n’は1〜10であることができ、R1は−H、−CH3、または−C2H5であることができ、R2は−CH2−または−CO−NH−CH2CH2−であることができ、そしてQ1およびQ2は同じかまたは異なっていることができ、あるいは非存在であることができる。一部の特徴においては、Yは式:−CO2N(COCH2)2または−CO2N(COCH)2であることができる。一部の場合においては、多求核性ポリアルキレンオキシドまたは多求電子性ポリアルキレンオキシド、または多求核性ポリアルキレンオキシドおよび多求電子性ポリアルキレンオキシドの両方はさらに生体分解性基を包含する。生体分解性基はラクチド、グリコリド、ε−カプロラクトン、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリ(アミノ酸)、およびポリ(無水物)であることができる。一部の特徴においては、ヒドロゲル形成成分は、水和されればゼラチンを包含するフラグメント化生体分解性ヒドロゲルを形成することができ、そして湿潤した組織標的に送達されれば水を吸収するようになることができる。ヒドロゲルは完全に水和されると約0.01mm〜約5mmの範囲の大きさおよび約400%〜約5000%の範囲の平衡膨潤性を有するサブユニットを包含できる。ヒドロゲルは1年未満のインビボの分解時間を有する。ヒドロゲルは水性媒質により少なくとも部分的に水和され、そして活性剤を包含し、これは凝固剤、例えばがトロンビンを包含してよい。
【0022】
[0021] 別の特徴において、本発明の実施形態は患者に活性剤を送達するための方法を提供する。方法は本明細書に記載した組成物のある量を患者における標的部位に投与することを包含することができる。一部の特徴においては、実施形態は患者に密封剤を送達するための方法を包含する。方法は、出血を抑制するために十分な量において本明細書に記載した組成物乗ある量を出血標的部位に投与することを包含することができる。一部の特徴においては、実施形態は患者にトロンビンを送達するための方法を包含する。方法は出血を抑制するために十分な量において本明細書に記載した組成物のある量を出血標的部位に投与することを包含することができる。
【0023】
[0022] さらに別の特徴において、本発明の実施形態は多求核性ポリアルキレンオキシド、多求電子性ポリアルキレンオキシド、およびヒドロゲル形成成分を包含する組成物を包含する。多求核性ポリアルキレンオキシドはさらに第1級アミノ基少なくとも1つおよびチオール基少なくとも1つを包含できる。反応を可能とする条件下において、多求核性ポリアルキレンオキシドおよび多求電子性ポリアルキレンオキシドは実質的に即時に交差結合できる。実施形態は多求核性ポリアルキレンオキシドがチオール基2つ以上を包含し、そして多求電子性ポリアルキレンオキシドがスクシンイミジル基および/またはマレイミジル基のような求電子性基2つ以上を含む組成物を包含する。実施形態はまた多求核性ポリアルキレンオキシドが第1級アミノ基および/またはチオール基のような求電子性基2つ以上を包含する蘇生物を包含する。多求核性ポリアルキレンオキシドはスクシンイミジル基2つ以上を包含できる。一部の場合においては、実施形態はチオール基2つ以上を包含する第1のポリエチレングリコール、スクシンイミジル基またはマレイミジル基2つ以上を包含する第2のポリエチレングリコール、およびヒドロゲル形成成分を包含する組成物を包含する。チオール基およびスクシンイミジル基またはマレイミジル基の合計は少なくとも5つであり、そして反応を可能とする条件下で第1のポリエチレングリコールおよび第2のポリエチレングリコールが実質的に即時に交差結合することができてよい。一部の場合においては、第1のポリエチレングリコールはチオール基4つを包含し、そして第2のポリエチレングリコールはスクシンイミジル基4つを包含する。一部の場合においては、組成物はタンパク質または多糖類を包含する。多糖類はグリコサミノグリカン、例えばヒアルロン酸、キチン、硫酸コンドロイチンA、硫酸コンドロイチンB、硫酸コンドロイチンC、硫酸ケラチン、ケラトスルフェート、ヘパリンまたはこれらの誘導体であることができる。タンパク質はコラーゲンまたはその誘導体であることができる。
【0024】
[0023] 別の特徴において、本発明の実施形態は組織管を密閉するための方法を包含する。方法は、第1の交差結合可能な成分、反応を可能とする条件下で第1の交差結合可能な成分と交差結合する第2の交差結合可能な成分、およびヒドロゲル形成成分を包含する組成物で組織管を少なくとも部分的に充填することを包含できる。第1および第2の交差結合可能な成分は交差結合して間隙を有する多孔性マトリックスを形成することができ、そしてヒドロゲル形成成分は水和されて間隙の少なくとも一部を充填するヒドロゲルを形成することができる。一部の場合においては、ヒドロゲルは完全に水和されると約0.05mm〜約5mmの範囲の大きさを有し、約400%〜約1300%の範囲の平衡膨潤性を有し、そして約1〜約120日後に組織管内で分解するサブユニットを包含する。一部の場合においては、第1の交差結合可能な成分は多数の求核性基を包含し、そして第2の重合体は多数の求電子性基を包含する。
【0025】
[0024] さらに別の特徴において、本発明の実施形態は患者身体における標的部位における出欠を抑制するための方法を包含する。方法は出血を抑制するために十分な量において標的部位に組成物を送達することを包含することができ、この場合、組成物は第1の交差結合可能な成分、反応を可能とする条件下で第1の交差結合可能な成分と交差結合する第2の交差結合可能な成分、およびヒドロゲル形成成分を包含する。第1および第2の交差結合可能な成分は交差結合して間隙を有する多孔性マトリックスを形成することができ、そしてヒドロゲル形成成分は水和されて間隙の少なくとも一部を充填するヒドロゲルを形成することができてよい。ヒドロゲルは完全に水和されると約0.05mm〜約5mmの範囲の大きさを有し、約400%〜約1300%の範囲の平衡膨潤性を有し、そして約1〜約120日後に組織管内で分解するサブユニットを包含することができる。第1の交差結合可能な成分は多数の求核性基を包含でき、そして第2の交差結合可能な成分は多数の求電子性基を包含できる。別の特徴において、本発明の実施形態は患者の身体内の標的部位に生物活性物質を送達するための方法を包含する。方法は標的部位に生物活性物質と組み合わせて組成物を送達することを包含でき、ここで組成物は第1の交差結合可能な成分、反応を可能とする条件下で第1の交差結合可能な成分と交差結合する第2の交差結合可能な成分、およびヒドロゲル形成成分を包含する。第1および第2の交差結合可能な成分は交差結合して間隙を有する多孔性マトリックスを形成することができ、そしてヒドロゲル形成成分は水和されて間隙の少なくとも一部を充填するヒドロゲルを形成することができてよい。ヒドロゲルは完全に水和されると約0.05mm〜約5mmの範囲の大きさを有するサブユニットを包含することができ、約400%〜約1300%の範囲の平衡膨潤性を有することができ、そして約1〜約120日後に組織管内で分解することができる。一部の場合においては、第1の交差結合可能な成分は多数の求核性基を包含し、そして第2の交差結合可能な成分は多数の求電子性基を包含する。生物活性物質は止血剤、例えばトロンビンであることができる。
【0026】
[0025] 別の特徴において、本発明の実施形態は組織における標的部位に膨潤可能な組成物を送達するための方法を包含する。方法は標的部位に組成物を適用することを包含し、ここで組成物は第1の交差結合可能な成分、反応を可能とする条件下で第1の交差結合可能な成分と交差結合する第2の交差結合可能な成分、およびヒドロゲル形成成分を包含する。第1および第2の交差結合可能な成分は交差結合して間隙を有する多孔性マトリックスを形成し、そしてヒドロゲル形成成分は水和されて間隙の少なくとも一部を充填するヒドロゲルを形成することができる。ヒドロゲルは完全に水和されると約0.05mm〜約5mmの範囲の大きさを有し、約400%〜約1300%の範囲の平衡膨潤性を有し、そして約1〜約120日後に組織管内で分解するサブユニットを包含することができる。組成物は標的部位への適用時にはその平衡膨潤性よりも低値において水和しており、その部位において平衡膨潤値まで膨潤してよい。一部の特徴においては、第1の交差結合可能な成分は多数の求核性基を包含し、そして第2の交差結合可能な成分は多数の求電子性基を包含する。一部の特徴においては、標的部位は筋肉、皮膚、上皮組織、平滑筋、骨格筋または心筋、結合または支持組織、神経組織、眼および他の感覚器官の組織、血管および心臓の組織、胃腸の臓器および組織、胸膜および他の肺の組織、腎臓、内分泌腺、雄性および雌性の生殖器官、脂肪組織、肝臓、膵臓、リンパ、軟骨、骨、口腔組織、および粘膜組織、および脾臓および他の腹部の臓器であることができる組織中にある。一部の特徴においては、標的部位は選択された組織内部の空隙領域、例えば組織のくぼみ(tissue divot)、組織管、椎骨間空間、および体腔を包含する。一部の場合においては、ヒドロゲルは平衡膨潤時の水和の50%〜95%の範囲の水和度を有する。一部の場合においては、ヒドロゲルは可塑剤、例えばポリエチレングリコール、ソルビトールおよびグリセロールを包含する。可塑剤はヒドロゲル成分の組成物の0.1重量%〜30重量%において存在してよい。一部の場合においては、ヒドロゲルは交差結合タンパク質ヒドロゲルを包含する。タンパク質はゼラチン、可溶性コラーゲン、アルブミン、ヘモグロビン、フィブロジェン、フィブリン、カゼイン、フィブロネクチン、エラスチン、ケラチン、ラミニン、およびこれらの誘導体および組み合わせを包含できる。一部の場合においては、ヒドロゲルは交差結合多糖類を包含する。多糖類はグリコサミノグリカン、澱粉誘導体、セルロース誘導体、ヘミセルロース誘導体、キシラン、アガロース、アルギネート、およびキトサンおよびこれらの組み合わせを包含できる。一部の場合においては、ヒドロゲルは交差結合非生物重合体である。交差結合非生物重合体はポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニル樹脂、ポリアクチド−グリコリド、ポリカプロラクトン、ポリオキシエチレン、およびこれらの組み合わせを包含できる。一部の場合においては、ヒドロゲルは交差結合タンパク質、交差結合多糖類、および交差結合非生物重合体よりなる群から選択される成分少なくとも2つを包含する。ヒドロゲルはヒドロゲル重合体およびヒドロゲル交差結合剤を包含できる。ヒドロゲル重合体およびヒドロゲル交差結合剤はヒドロゲル重合体分子の交差結合をもたらす条件下に反応されていてよい。一部の場合においては、ヒドロゲルがヒドロゲル重合体分子の交差結合をもたらす条件下の照射により生成されているヒドロゲルの分子交差結合ヒドロゲル重合体を包含する。一部の場合においては、ヒドロゲルはヒドロゲル重合体分子の交差結合をもたらす条件下のモノ不飽和(monounsaturated)および多不飽和(polyunsaturated)のヒドロゲル単量体の反応により生成されている分子交差結合ヒドロゲル重合体を包含する。
【0027】
[0026] さらに別の特徴において、本発明の実施形態は3次元合成重合体マトリックスを形成する方法を包含する。方法は、求核性基m個を含有する第1の交差結合可能な成分および求電子性基n個を含有する第2の交差結合可能な成分を提供することを包含する。求電子性基は求核性基と反応してそれとの共有結合を形成し、ここでmおよびnは各々2以上であり、そしてここでm+nは5以上である。方法はさらに、第1の交差結合可能な成分および第2の交差結合可能な成分を組み合わせること、第1の交差結合可能な成分および第2の交差結合可能な成分にヒドロゲル形成成分を添加すること、そして第1の交差結合可能な成分および第2の交差結合可能な成分を相互に交差結合させて3次元マトリックスを形成することを包含する。方法はさらに、第1の組織表面および第2の組織表面を第1の交差結合可能な成分、第2の交差結合可能な成分、およびヒドロゲル形成成分に接触させることを包含することができる。一部の場合においては、第2の表面は天然の組織表面である。一部の場合においては、第2の表面は非天然の組織表面、例えば合成インプラントである。合成インプラントはドナー角膜、人工血管、心臓弁、人工臓器、結合補綴物、インプラント可能なレンズ核、血管移植片、ステント、およびステント/移植片の組み合わせであることができる。一部の場合においては、第1の交差結合可能な成分、第2の交差結合可能な成分、およびヒドロゲル形成成分は第1の組織表面において粉末形態において各々適用される。一部の場合においては、第1の交差結合可能な成分、第2の交差結合可能な成分、およびヒドロゲル形成成分は第1の組織表面において単一の複合化(combined)混合粉末製剤における粉末として各々適用される。混合粉末製剤はタンパク質および/または多糖類を包含できる。第1の組織表面は硬組織または軟組織の上または中にあってよい。第1の組織表面は外科的部位を包含するか、包囲するか、またはそれに隣接することができる。方法はさらに外科的部位を閉鎖することを包含できる。一部の特徴においては、混合粉末製剤はコラーゲンを包含する。一部の場合においては、混合粉末製剤は生物活性剤を包含する。一部の特徴においては、本発明の実施形態は多数の求核性基を有する粉末形態の第1の交差結合可能な成分、多数の求電子性基を有する粉末形態の第2の交差結合可能な成分、および粉末形態のヒドロゲル形成成分を包含する混合粉末組成物を包含する。反応を可能にする条件下において第1および第2の交差結合可能な成分は実質的に即時に交差結合することができる。
【0028】
[0027] 関連する特徴において、第2の交差結合可能な成分に添加された第1の交差結合可能な成分は複合化された(combined)交差結合可能な成分の組成物を与える。第1の交差結合可能な成分は複合化された交差結合可能な成分の組成物の約0.5〜約20重量%の範囲の濃度において存在することができる。一部の場合においては、第2の交差結合可能な成分は複合化された交差結合可能な成分の組成物の約0.5〜約20重量%の範囲の濃度において存在することができる。第1の交差結合可能な成分の第2の交差結合可能な成分に対する重量比は約45%〜約55%の範囲にあることができる。関連して、第1の交差結合可能な成分の第2の交差結合可能な成分に対する重量比は約50%であることができる。一部の場合においては、第1およびの第2の交差結合可能な成分とヒドロゲル形成成分との間の重量比は約28%〜約42%の範囲内にあることができる。関連して、第1およびの第2の交差結合可能な成分とヒドロゲル形成成分との間の重量比は約20%〜約30%の範囲内にあることができる。一部の特徴においては、第1の交差結合可能な成分は複合化された交差結合可能な成分の組成物の約0.5〜約20重量%の範囲の濃度において存在することができる。関連して、第2の交差結合可能な成分は複合化された交差結合可能な成分の組成物の約0.5〜約20重量%の範囲の濃度において存在することができる。第1の交差結合可能な成分の第2の交差結合可能な成分に対する重量比は約45%〜約55%の範囲にあることができる。同様に、第1の交差結合可能な成分の第2の交差結合可能な成分に対する重量比は約50%であることができる。
【0029】
[0028] 別の特徴において、本発明の実施形態は密閉材マトリックス組成物キットを提供する。キットは例えば、容器、および容器内に配置された混合粉末組成物を包含できる。組成物は多数の求核性基を有する第1の交差結合可能な成分および多数の求電子性基を有する第2の交差結合可能な成分を包含できる。第1の交差結合可能な成分、第2の交差結合可能な成分、または両方は粉末形態であってよい。キットはまた粉末形態のヒドロゲル形成成分を包含することができる。反応を可能にする条件下において第1および第2の交差結合可能な成分が実質的に即時に交差結合できてよい。一部の場合においては、容器はシリンジ胴部およびシリンジプランジャー部を包含する。キットはまた患者の出血標的部位に混合粉末組成物を適用するための書面による説明書を包含することができる。一部の場合においては、混合粉末は活性剤を包含する。活性剤はトロンビンを包含してよい。
【0030】
[0029] 別の特徴において、キットはコラーゲンスポンジまたは他の適当な支持体、およびスポンジまたは支持体の表面に固定化された混合粉末組成物を包含してよい。組成物は、多数の求核性基を有する第1の交差結合可能な成分、および多数の求電子性基を有する第2の交差結合可能な成分を包含できる。第1の交差結合可能な成分、第2の交差結合可能な成分、または両方は粉末形態であってよい。キットはまた粉末形態のヒドロゲル形成成分を包含することができる。反応を可能にする条件下において第1および第2の交差結合可能な成分は実質的に即時に交差結合できるものであってよい。
【0031】
[0030] 本発明の性質および利点をより十分理解するために、添付図面と関連して捉えられる以下の詳細な説明を参照しなければならない。
【0032】
[0031] 本発明は以下を包含するがこれらに限定されない。
【0033】
下記成分:
第1の交差結合可能な成分;
反応を可能とする条件下で第1の交差結合可能な成分と交差結合する第2の交差結合可能な成分;および、
ヒドロゲル形成成分;
を含む組成物であって、ここで第1および第2の交差結合可能な成分は交差結合して間隙を有する多孔性マトリックスを形成し、そしてここでヒドロゲル形成成分は水和されて間隙の少なくとも一部を充填するヒドロゲルを形成することができる上記組成物。
【0034】
[0032] 第1の交差結合可能な成分が多数の求核性基を含み、そして第2の交差結合可能な成分が多数の求電子性基を含む段落[0031]記載の組成物。
【0035】
[0033] 第1の交差結合可能な成分が求核性基m個を有する多求核性ポリアルキレンオキシドを含み、そして第2の交差結合可能な成分が求電子性基n個を有する多求電子性ポリアルキレンオキシドを含み、ここでmおよびnは各々2以上であり、そしてm+nは5以上である段落[0031]記載の組成物。
【0036】
[0034] nが2であり、そしてmが3以上である段落[0033]記載の組成物。
【0037】
[0035] 多求核性ポリアルキレンオキシドが4官能性的に活性化される段落[0034]記載の組成物。
【0038】
[0036] mが2であり、そしてnが3以上である段落[0033]記載の組成物。
【0039】
[0037] 多求電子性ポリアルキレンオキシドが4官能性的に活性化される段落[0036]記載の組成物。
【0040】
[0038] 多求核性ポリアルキレンオキシドおよび多求電子性ポリアルキレンオキシドが4官能性的に活性化される段落[0033]記載の組成物。
【0041】
[0039] 多求核性ポリアルキレンオキシドがさらに−NH2、−SH、−H、−PH2、および−CO−NH−NH2よりなる群から選択される求核性基2つ以上を含む段落[0033]記載の組成物。
【0042】
[0040] 多求核性ポリアルキレンオキシドがさらに第1級アミノ基2つ以上を含む段落[0033]記載の組成物。
【0043】
[0041] 多求核性ポリアルキレンオキシドがさらにチオール基2つ以上を含む段落[0033]記載の組成物。
【0044】
[0042] 多求核性ポリアルキレンオキシドがポリエチレングリコールまたはその誘導体である段落[0033]記載の組成物。
【0045】
[0043] ポリエチレングリコールがさらに第1級アミノ基およびチオール基よりなる群から選択される求核性基2つ以上を含む段落[0042]記載の組成物。
【0046】
[0044] ポリエチレングリコールがさらに−CO2N(COCH2)2、−CO2H、−CHO、−CHOCH2、−N=C=O、−SO2CH=CH2、−N(COCH)2および−S−S−(C5H4N)よりなる群から選択される求電子性基2つ以上を含む段落[0033]記載の組成物。
【0047】
[0045] 多求電子性ポリアルキレンオキシドがさらにスクシンイミジル基2つ以上を含む段落[0033]記載の組成物。
【0048】
[0046] 多求電子性ポリアルキレンオキシドがさらにマレイミジル基2つ以上を含む段落[0033]記載の組成物。
【0049】
[0047] 多求電子性ポリアルキレンオキシドがポリエチレングリコールまたはその誘導体である段落[0033]記載の組成物。
【0050】
[0048] 多糖類またはタンパク質をさらに含む段落[0033]記載の組成物。
【0051】
[0049] 多糖類がグルコサミノグリカンである多糖類をさらに含む段落[0033]記載の組成物。
【0052】
[0050] グルコサミノグリカンがヒアルロン酸、キチン、硫酸コンドロイチンA、硫酸コンドロイチンB、硫酸コンドロイチンC、硫酸ケラチン、ケラトスルフェート、ヘパリンおよびこれらの誘導体よりなる群から選択される段落[0049]記載の組成物。
【0053】
[0051] タンパク質がコラーゲンまたはその誘導体であるタンパク質をさらに含む段落[0033]記載の組成物。
【0054】
[0052] 多求核性ポリアルキレンオキシドまたは多求電子性ポリアルキレンオキシド、または多求核性ポリアルキレンオキシドおよび多求電子性ポリアルキレンオキシドの両方がさらに連結基を含む段落[0033]記載の組成物。
【0055】
[0053] 多求核性ポリアルキレンオキシドが下記式:
重合体−Q1−Xm
により与えられ、そして多求電子性ポリアルキレンオキシドが下記式:
重合体−Q2−Yn
により与えられ、
ここでXは求電子性基であり、そしてYは求核性基であり;
ここでmおよびnは各々2〜4であり;
ここでm+n≦5であり;
ここでQ1およびQ2の各々は−O−(CH2)n’−、−S−、−(CH2)n’−、−NH−(CH2)n’−、−O2C−NH−(CH2)n’−、−O2C−(CH2)n’−、−O2C−CR1H、および−O−R2−CO−NH、よりなる群から選択される連結基である;
ここでn’=1〜10であり;
ここでR1=−H、−CH3、または−C2H5であり;
ここでR2=−CH2−または−CO−NH−CH2CH2−であり;そして、
ここでQ1およびQ2は同じかまたは異なっていてよく、あるいは非存在であってよい、段落[0033]記載の組成物。
【0056】
[0054] Yが下記式:
−CO2N(COCH2)2
により与えられる段落[0053]記載の組成物。
【0057】
[0055] Yが下記式:
−N(COCH)2
により与えられる段落[0053]記載の組成物。
【0058】
[0056] 多求核性ポリアルキレンオキシドまたは多求電子性ポリアルキレンオキシド、または多求核性ポリアルキレンオキシドおよび多求電子性ポリアルキレンオキシドの両方がさらに生体分解性基を含む段落[0033]記載の組成物。
【0059】
[0057] 生体分解性基がラクチド、グリコリド、ε−カプロラクトン、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリ(アミノ酸)、およびポリ(無水物)よりなる群から選択される段落[0056]記載の組成物。
【0060】
[0058] ヒドロゲル形成成分が、水和されればゼラチンを含むフラグメント化生体分解性ヒドロゲルを形成することができ、そして湿潤した組織標的に送達されれば水を吸収するようになり、そして、ヒドロゲルが完全に水和されると約0.01mm〜約5mmの範囲の大きさを有し、を含み、そして約400%〜約5000%の範囲の平衡膨潤性を有するサブユニットを含む段落[0031]記載の組成物。
【0061】
[0059] ヒドロゲルが1年未満のインビボの分解時間を有する段落[0058]記載の組成物。
【0062】
[0060] ヒドロゲルが活性剤を含む水性媒質により少なくとも部分的に水和される段落[0058]および[0059]記載の組成物。
【0063】
[0061] 活性剤が凝固剤である段落[0060]記載の組成物。
【0064】
[0062] 凝固剤がトロンビンである段落[0061]記載の組成物。
【0065】
[0063] 患者に活性剤を送達するための方法であって、方法が段落[0060]記載の組成物のある量を患者における標的部位に投与することを含む上記方法。
【0066】
[0064] 患者に活性剤を送達するための方法であって、方法が出血を抑制するために十分な段落[0031]記載の組成物のある量を出血標的部位に投与することを含む上記方法。
【0067】
[0065] 患者に活性剤を送達するための方法であって、方法が出血を抑制するために十分な段落[0062]記載の組成物のある量を出血標的部位に投与することを含む上記方法。
【0068】
[0066] 多求核性ポリアルキレンオキシド、多求電子性ポリアルキレンオキシド、およびヒドロゲル形成成分を含む組成物であって、多求核性ポリアルキレンオキシドがさらに第1級アミノ基少なくとも1つおよびチオール基少なくとも1つを含み、そして反応を可能とする条件下で多求核性ポリアルキレンオキシドおよび多求電子性ポリアルキレンオキシドが実質的に即時に交差結合できる上記組成物。
【0069】
[0067] 多求核性ポリアルキレンオキシド、多求電子性ポリアルキレンオキシド、およびヒドロゲル形成成分を含む組成物であって、多求核性ポリアルキレンオキシドがさらにチオール基2つ以上を含み、そして多求電子性ポリアルキレンオキシドがさらにスクシンイミジル基およびマレイミジル基よりなる群から選択される求電子性基2つ以上を含み、そして反応を可能とする条件下で多求核性ポリアルキレンオキシドおよび多求電子性ポリアルキレンオキシドが実質的に即時に交差結合できる上記組成物。
【0070】
[0068] 多求核性ポリアルキレンオキシド、多求電子性ポリアルキレンオキシド、およびヒドロゲル形成成分を含む組成物であって、多求核性ポリアルキレンオキシドがさらに第1級アミノ基およびチオール基よりなる群から選択される求核性基2つ以上を含み、そして多求電子性ポリアルキレンオキシドがさらにスクシンイミジル基及2つ以上を含み、そして反応を可能とする条件下で多求核性ポリアルキレンオキシドおよび多求電子性ポリアルキレンオキシドが実質的に即時に交差結合できる上記組成物。
【0071】
[0069] チオール基2つ以上を含む第1のポリエチレングリコール、スクシンイミジル基またはマレイミジル基2つ以上を含む第2のポリエチレングリコール、およびヒドロゲル形成成分を含む組成物であって、チオール基およびスクシンイミジル基またはマレイミジル基の合計が少なくとも5つであり、そして反応を可能とする条件下で第1のポリエチレングリコールおよび第2のポリエチレングリコールが実質的に即時に交差結合できる上記組成物。
【0072】
[0070] 第1のポリエチレングリコールがさらにチオール基4つを含み、そして第2のポリエチレングリコールがさらにスクシンイミジル基4つを含む段落[0069]記載の組成物。
【0073】
[0071] タンパク質または多糖類をさらに含む段落[0069]記載の組成物。
【0074】
[0072] 多糖類がグリコサミノグリカンである、多糖類をさらに含む段落[0069]記載の組成物。
【0075】
[0073] グリコサミノグリカンがヒアルロン酸、キチン、硫酸コンドロイチンA、硫酸コンドロイチンB、硫酸コンドロイチンC、硫酸ケラチン、ケラトスルフェート、ヘパリンおよびこれらの誘導体よりなる群から選択される段落[0072]記載の組成物。
【0076】
[0074] タンパク質がコラーゲンまたはその誘導体であるタンパク質をさらに含む段落[0069]記載の組成物。
【0077】
[0075] 組織管を密閉するための方法であって、方法が下記成分:
第1の交差結合可能な成分;
反応を可能とする条件下で第1の交差結合可能な成分と交差結合する第2の交差結合可能な成分;および、
ヒドロゲル形成成分;
を含む組成物で組織管を少なくとも部分的に充填することを含み、
ここで第1および第2の交差結合可能な成分は交差結合して間隙を有する多孔性マトリックスを形成し、そしてヒドロゲル形成成分は水和されて間隙の少なくとも一部を充填するヒドロゲルを形成することができ、ヒドロゲルは完全に水和されると約0.05mm〜約5mmの範囲の大きさを有し、約400%〜約1300%の範囲の平衡膨潤性を有し、そして約1〜約120日後に組織管内で分解するサブユニットを含む上記方法。
【0078】
[0076] 第1の交差結合可能な成分が多数の求核性基を含み、そして第2の重合体が多数の求電子性基を含む段落[0075]記載の方法。
【0079】
[0077] 患者の身体内の標的部位における出血を抑制するための方法であって、方法が出血を抑制するために十分な量において標的部位に組成物を送達することを含み、組成物が下記成分:
第1の交差結合可能な成分;
反応を可能とする条件下で第1の交差結合可能な成分と交差結合する第2の交差結合可能な成分;および、
ヒドロゲル形成成分;
を含む組成物で組織管を少なくとも部分的に充填することを含み、
ここで第1および第2の交差結合可能な成分は交差結合して間隙を有する多孔性マトリックスを形成し、そしてヒドロゲル形成成分は水和されて間隙の少なくとも一部を充填するヒドロゲルを形成することができ、ヒドロゲルは完全に水和されると約0.05mm〜約5mmの範囲の大きさを有し、約400%〜約1300%の範囲の平衡膨潤性を有し、そして約1〜約120日後に組織管内で分解するサブユニットを含む上記方法。
【0080】
[0078] 第1の交差結合可能な成分が多数の求核性基を含み、そして第2の交差結合可能な成分が多数の求電子性基を含む段落[0077]記載の方法。
【0081】
[0079] 患者の身体内の標的部位に生物活性物質を送達するための方法であって、方法が標的部位に生物活性物質と組み合わせて組成物を送達することを含み、組成物が下記成分:
第1の交差結合可能な成分;
反応を可能とする条件下で第1の交差結合可能な成分と交差結合する第2の交差結合可能な成分;および、
ヒドロゲル形成成分;
を含む組成物で組織管を少なくとも部分的に充填することを含み、
ここで第1および第2の交差結合可能な成分は交差結合して間隙を有する多孔性マトリックスを形成し、そしてヒドロゲル形成成分は水和されて間隙の少なくとも一部を充填するヒドロゲルを形成することができ、ヒドロゲルは完全に水和されると約0.05mm〜約5mmの範囲の大きさを有し、約400%〜約1300%の範囲の平衡膨潤性を有し、そして約1〜約120日後に組織管内で分解するサブユニットを含む上記方法。
【0082】
[0080] 第1の交差結合可能な成分が多数の求核性基を含み、そして第2の交差結合可能な成分が多数の求電子性基を含む段落[0079]記載の方法。
【0083】
[0081] 生物活性物質が止血剤である段落[0079]記載の方法。
【0084】
[0082] 生物活性物質がトロンビンである段落[0079]記載の方法。
【0085】
[0083] 組織における標的部位に膨潤可能な組成物を送達するための方法であって、該方法は標的部位に組成物を適用することを含み、組成物は下記成分:
第1の交差結合可能な成分;
反応を可能とする条件下で第1の交差結合可能な成分と交差結合する第2の交差結合可能な成分;および、
ヒドロゲル形成成分;
を含み、
ここで第1および第2の交差結合可能な成分は交差結合して間隙を有する多孔性マトリックスを形成し、そしてヒドロゲル形成成分は水和されて間隙の少なくとも一部を充填するヒドロゲルを形成することができ、ヒドロゲルは完全に水和されると約0.05mm〜約5mmの範囲の大きさを有し、約400%〜約1300%の範囲の平衡膨潤性を有し、そして約1〜約120日後に組織管内で分解するサブユニットを含み、組成物は標的部位への適用時にはその平衡膨潤性よりも低値において水和しており、その部位において平衡膨潤値まで膨潤する上記方法。
【0086】
[0084] 第1の交差結合可能な成分が多数の求核性基を含み、そして第2の交差結合可能な成分が多数の求電子性基を含む段落[0083]記載の方法。
【0087】
[0085] 標的部位が筋肉、皮膚、上皮組織、結合または支持組織、神経組織、眼および他の感覚器官の組織、血管および心臓の組織、胃腸の臓器および組織、胸膜および他の肺の組織、腎臓、内分泌腺、雄性および雌性の生殖器官、脂肪組織、肝臓、膵臓、リンパ、軟骨、骨、口腔組織、および粘膜組織、および脾臓および他の腹部の臓器よりなる群から選択される組織中にある段落[0083]記載の方法。
【0088】
[0086] 標的部位が選択された組織内部の空隙領域である段落[0085]記載の方法。
【0089】
[0087] 空隙領域が組織のくぼみ、組織管、椎骨間空間、および体腔よりなる群から選択される段落[0086]記載の方法。
【0090】
[0088] ヒドロゲルが平衡膨潤時の水和の50%〜95%の範囲の水和度を有する段落[0083]記載の方法。
【0091】
[0089] ヒドロゲルが可塑剤を含む段落[0083]記載の方法。
【0092】
[0090] 可塑剤がポリエチレングリコール、ソルビトールおよびグリセロールよりなる群から選択される段落[0089]記載の方法。
【0093】
[0091] 可塑剤がヒドロゲル成分の組成物の0.1重量%〜30重量%において存在する段落[0089]記載の方法。
【0094】
[0092] ヒドロゲルが交差結合タンパク質ヒドロゲルを含む段落[0075]〜[0091]のいずれか1項に記載の方法。
【0095】
[0093] タンパク質がゼラチン、可溶性コラーゲン、アルブミン、ヘモグロビン、フィブロジェン、フィブリン、カゼイン、フィブロネクチン、エラスチン、ケラチン、ラミニン、およびこれらの誘導体および組み合わせよりなる群から選択される段落[0092]記載の方法。
【0096】
[0094] ヒドロゲルが交差結合多糖類を含む段落[0075]〜[0091]のいずれか1項に記載の方法。
【0097】
[0095] 多糖類がグリコサミノグリカン、澱粉誘導体、セルロース誘導体、ヘミセルロース誘導体、キシラン、アガロース、アルギネート、およびキトサンおよびこれらの組み合わせよりなる群から選択される段落[0094]記載の方法。
【0098】
[0096] ヒドロゲルが交差結合非生物重合体である段落[0075]〜[0091]のいずれか1項に記載の方法。
【0099】
[0097] 交差結合非生物重合体がポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニル樹脂、ポリアクチド−グリコリド、ポリカプロラクトン、ポリオキシエチレン、およびこれらの組み合わせよりなる群から選択される段落[0096]記載の方法。
【0100】
[0098] ヒドロゲルが交差結合タンパク質、交差結合多糖類、および交差結合非生物重合体よりなる群から選択される少なくとも2つを含む段落[0075]〜[0091]のいずれか1項に記載の方法。
【0101】
[0099] ヒドロゲルがヒドロゲル重合体およびヒドロゲル交差結合剤を含み、ここでヒドロゲル重合体およびヒドロゲル交差結合剤はヒドロゲル重合体分子の交差結合をもたらす条件下に反応されているである段落[0075]〜[0091]のいずれか1項に記載の方法。
【0102】
[0100] ヒドロゲルがヒドロゲル重合体分子の交差結合をもたらす条件下の照射により生成されているヒドロゲルの分子交差結合ヒドロゲル重合体を含む段落[0075]〜[0091]のいずれか1項に記載の方法。
【0103】
[0101] ヒドロゲルがヒドロゲル重合体分子の交差結合をもたらす条件下のモノ不飽和および多不飽和のヒドロゲル単量体の反応により生成されている分子交差結合ヒドロゲル重合体を含む段落[0075]〜[0091]のいずれか1項に記載の方法。
【0104】
[0102] 下記工程:
求核性基m個を含有する第1の交差結合可能な成分および求電子性基n個を含有する第2の交差結合可能な成分を提供すること、ここで求電子性基は求核性基と反応してそれとの共有結合を形成し、ここでmおよびnは各々2以上であり、そしてここでm+nは5以上であること;
第1の交差結合可能な成分および第2の交差結合可能な成分を組み合わせること;
第1の交差結合可能な成分および第2の交差結合可能な成分にヒドロゲル形成成分を添加すること;
第1の交差結合可能な成分および第2の交差結合可能な成分を相互に交差結合させて3次元マトリックスを形成すること;
を含む3次元合成重合体マトリックスを形成する方法。
【0105】
[0103] 第1の組織表面および第2の組織表面を第1の交差結合可能な成分、第2の交差結合可能な成分、およびヒドロゲル形成成分に接触させることをさらに含む段落[0102]記載の方法。
【0106】
[0104] 第2の表面が天然の組織表面である段落[0103]記載の方法。
【0107】
[0105] 第2の表面が非天然の組織表面である段落[0103]記載の方法。
【0108】
[0106] 非天然の組織表面が合成インプラントである段落[0105]記載の方法。
【0109】
[0107] 合成インプラントがドナー角膜、人工血管、心臓弁、人工臓器、結合補綴物、インプラント可能なレンズ核、血管移植片、ステント、およびステント/移植片の組み合わせよりなる群から選択される段落[0106]記載の方法。
【0110】
[0108] 第1の交差結合可能な成分、第2の交差結合可能な成分、およびヒドロゲル形成成分が第1の組織表面において粉末形態において各々適用される段落[0102]記載の方法。
【0111】
[0109] 第1の交差結合可能な成分、第2の交差結合可能な成分、およびヒドロゲル形成成分が第1の組織表面において単一の複合化混合粉末製剤における粉末として各々適用される段落[0102]記載の方法。
【0112】
[0110] 混合粉末製剤がさらにタンパク質または多糖類を含む段落[0109]記載の方法。
【0113】
[0111] 第1の組織表面が硬組織または軟組織の上または中にある段落[0102]記載の方法。
【0114】
[0112] 第1の組織表面が外科的部位を含むか、包囲するか、またはそれに隣接しており、そして方法がさらに外科的部位を閉鎖する工程を含む段落[0102]記載の方法。
【0115】
[0113] 混合粉末製剤がさらにコラーゲンを含む段落[0102]記載の方法。
【0116】
[0114] 混合粉末製剤がさらに生物活性剤を含む段落[0102]記載の方法。
【0117】
[0115] 下記成分:
多数の求核性基を含む第1の交差結合可能な成分であって、粉末形態の第1の交差結合可能な成分;
多数の求電子性基を含む第2の交差結合可能な成分であって、粉末形態の第2の交差結合可能な成分;および、
粉末形態のヒドロゲル形成成分;
を含む混合粉末組成物であって、ここで反応を可能にする条件下において第1および第2の交差結合可能な成分が実質的に即時に交差結合できる上記組成物。
【0118】
[0116] 第2の交差結合可能な成分に添加された第1の交差結合可能な成分が複合化された交差結合可能な成分の組成物を与え、そして第1の交差結合可能な成分が複合化された交差結合可能な成分の組成物の約0.5〜約20重量%の範囲の濃度において存在する段落[0115]記載の混合粉末組成物。
【0119】
[0117] 第2の交差結合可能な成分に添加された第1の交差結合可能な成分が複合化された交差結合可能な成分の組成物を与え、そして第2の交差結合可能な成分が複合化された交差結合可能な成分の組成物の約0.5〜約20重量%の範囲の濃度において存在する段落[0115]記載の混合粉末組成物。
【0120】
[0118] 第1の交差結合可能な成分の第2の交差結合可能な成分に対する重量比が約45%〜約55%の範囲にある段落[0115]記載の混合粉末組成物。
【0121】
[0119] 第1の交差結合可能な成分の第2の交差結合可能な成分に対する重量比が約50%である段落[0115]記載の混合粉末組成物。
【0122】
[0120] 第1およびの第2の交差結合可能な成分とヒドロゲル形成成分との間の重量比が約28%〜約42%の範囲内にある段落[0115]記載の混合粉末組成物。
【0123】
[0121] 第1およびの第2の交差結合可能な成分とヒドロゲル形成成分との間の重量比が約20%〜約30%の範囲内にある段落[0115]記載の混合粉末組成物。
【0124】
[0122] 第2の交差結合可能な成分に添加された第1の交差結合可能な成分が複合化された交差結合可能な成分の組成物を与え、そして第1の交差結合可能な成分が複合化された交差結合可能な成分の組成物の約0.5〜約20重量%の範囲の濃度において存在する段落[0121]記載の混合粉末組成物。
【0125】
[0123] 第2の交差結合可能な成分に添加された第1の交差結合可能な成分が複合化された交差結合可能な成分の組成物を与え、そして第2の交差結合可能な成分が複合化された交差結合可能な成分の組成物の約0.5〜約20重量%の範囲の濃度において存在する段落[0121]記載の混合粉末組成物。
【0126】
[0124] 第1の交差結合可能な成分の第2の交差結合可能な成分に対する重量比が約45%〜約55%の範囲にある段落[0121]記載の混合粉末組成物。
【0127】
[0125] 第1の交差結合可能な成分の第2の交差結合可能な成分に対する重量比が約50%である段落[0121]記載の混合粉末組成物。
【0128】
[0126] 下記要素:
容器;および、
容器内に配置された混合粉末組成物であって、組成物が下記成分:
多数の求核性基を含む第1の交差結合可能な成分であって、粉末形態の第1の交差結合可能な成分;
多数の求電子性基を含む第2の交差結合可能な成分であって、粉末形態の第2の交差結合可能な成分;および、
粉末形態のヒドロゲル形成成分;
を含み、ここで反応を可能にする条件下において第1および第2の交差結合可能な成分が実質的に即時に交差結合できる上記組成物;
を含むキット。
【0129】
[0127] 容器がシリンジ胴部およびシリンジプランジャー部を含む段落[0126]記載のキット。
【0130】
[0128] 患者の出血標的部位に混合粉末組成物を適用するための書面による説明書をさらに含む段落[0126]のキット。
【0131】
[0129] 混合粉末がさらに活性剤を含む段落[0126]のキット。
【0132】
[0130] 活性剤がトロンビンを含む段落[0129]記載のキット。
【0133】
[0131] 下記要素:
コラーゲンスポンジ;および、
スポンジ表面に固定化された混合粉末組成物であって、混合粉末組成物が下記成分:
多数の求核性基を含む第1の交差結合可能な成分であって、粉末形態の第1の交差結合可能な成分;
多数の求電子性基を含む第2の交差結合可能な成分であって、粉末形態の第2の交差結合可能な成分;および、
粉末形態のヒドロゲル形成成分;
を含み、ここで反応を可能にする条件下において第1および第2の交差結合可能な成分が実質的に即時に交差結合できる上記組成物;
を含むキット。
【0134】
[0132] 下記成分:
第1の交差結合可能な成分;
反応を可能とする条件下で第1の交差結合可能な成分と交差結合する第2の交差結合可能な成分;および、
ヒドロゲル形成成分;
を含む医薬の生成のための組成物であって、ここで第1および第2の交差結合可能な成分は交差結合して間隙を有する多孔性マトリックスを形成し、そしてここでヒドロゲル形成成分は水和されて間隙の少なくとも一部を充填するヒドロゲルを形成することができる上記組成物。
【0135】
[0133] 第1の交差結合可能な成分が多数の求核性基を含み、そして第2の交差結合可能な成分が多数の求電子性基を含む段落[0132]記載の組成物。
【0136】
[0134] 第1の交差結合可能な成分が求核性基m個を有する多求核性ポリアルキレンオキシドを含み、そして第2の交差結合可能な成分が求電子性基n個を有する多求電子性ポリアルキレンオキシドを含み、ここでmおよびnは各々2以上であり、そしてm+nは5以上である段落[0133]記載の組成物。
【0137】
[0135] nが2であり、そしてmが3以上である段落[0134]記載の組成物。
【0138】
[0136] 多求核性ポリアルキレンオキシドが4官能性的に活性化される段落[0135]記載の組成物。
【0139】
[0137] mが2であり、そしてnが3以上である段落[0134]記載の組成物。
【0140】
[0138] 多求電子性ポリアルキレンオキシドが4官能性的に活性化される段落[0137]記載の組成物。
【0141】
[0139] 多求核性ポリアルキレンオキシドおよび多求電子性ポリアルキレンオキシドが4官能性的に活性化される段落[0134]記載の組成物。
【0142】
[0140] 多求核性ポリアルキレンオキシドがさらに−NH2、−SH、−H、−PH2、および−CO−NH−NH2よりなる群から選択される求核性基2つ以上を含む段落[0134]記載の組成物。
【0143】
[0141] 多求核性ポリアルキレンオキシドがさらに第1級アミノ基2つ以上を含む段落[0134]記載の組成物。
【0144】
[0142] 下記成分:
天然のコラーゲン線維を含むコラーゲンスポンジ;および、
スポンジ表面に固定化された混合粉末組成物であって、混合粉末組成物が下記成分:
多数の求核性基を含む第1の交差結合可能な成分であって、粉末形態であり混合粉末の約10%を含む第1の交差結合可能な成分;
多数の求電子性基を含む第2の交差結合可能な成分であって、粉末形態であり混合粉末の約10%を含む第2の交差結合可能な成分;および、
粉末形態であり混合粉末の約80%を含むヒドロゲル形成成分;
を含み、ここで反応を可能にする条件下において第1および第2の交差結合可能な成分は実質的に即時に交差結合することにより間隙を有する多孔性マトリックスを形成することができ、そしてここでヒドロゲル形成成分は水和されて間隙の少なくとも一部を充填するヒドロゲルを形成することができる上記組成物;
を含む組成物。
【図面の簡単な説明】
【0145】
図面の簡単な説明
【図1】[0143] 図1は本発明の一部の実施形態による第1の交差結合可能な成分を示す。
【図2】[0144] 図2は本発明の一部の実施形態による第2の交差結合可能な成分を示す。
【図3】[0145] 図3は本発明の一部の実施形態による親水性重合体からの交差結合可能なマトリックス組成物の形成を示す。
【図4】[0146] 図4は本発明の一部の実施形態による疎水性重合体からの交差結合可能なマトリックス組成物の形成を示す。
【図5】[0147] 図5は本発明の一部の実施形態によるヒドロゲル形成成分サブユニットを示す。
【図6】[0148] 図6は本発明の一部の実施形態による密閉材組成物中のヒドロゲル形成成分として有用なフラグメント化交差結合重合体ゲルのパーセント膨潤性とパーセント固体の間の相関を示す。
【図7A】[0149] 図7A〜Eは本発明の実施形態による脾動脈穿刺を治療するための密閉材マトリックス組成物の適用を示す。
【図7B】[0149] 図7A〜Eは本発明の実施形態による脾動脈穿刺を治療するための密閉材マトリックス組成物の適用を示す。
【図7C】[0149] 図7A〜Eは本発明の実施形態による脾動脈穿刺を治療するための密閉材マトリックス組成物の適用を示す。
【図7D】[0149] 図7A〜Eは本発明の実施形態による脾動脈穿刺を治療するための密閉材マトリックス組成物の適用を示す。
【図7E】[0149] 図7A〜Eは本発明の実施形態による脾動脈穿刺を治療するための密閉材マトリックス組成物の適用を示す。
【図8A】[0150] 図8A〜Eは本発明の実施形態による肝切除を治療するための密閉材マトリックス組成物の適用を示す。
【図8B】[0150] 図8A〜Eは本発明の実施形態による肝切除を治療するための密閉材マトリックス組成物の適用を示す。
【図8C】[0150] 図8A〜Eは本発明の実施形態による肝切除を治療するための密閉材マトリックス組成物の適用を示す。
【図8D】[0150] 図8A〜Eは本発明の実施形態による肝切除を治療するための密閉材マトリックス組成物の適用を示す。
【図8E】[0150] 図8A〜Eは本発明の実施形態による肝切除を治療するための密閉材マトリックス組成物の適用を示す。
【図9】[0151] 図9は本発明の実施形態による密閉材マトリックス組成物のプロセシングおよびパッケージングを示す。
【図10】[0152] 図10は本発明の実施形態による密閉材マトリックス組成物のプロセシングおよびパッケージングを示す。
【図11】[0153] 図11は本発明の実施形態によるゲル強度に対するPEG濃度の作用を示す。
【図12】[0154] 図12は本発明の実施形態による膨潤比に対するPEG濃度の作用を示す。
【図13】[0155] 図13は本発明の実施形態による膨潤比に対するPEG濃度の作用を示す。
【図14】[0156] 図14は本発明の実施形態による膨潤比に対するPEG濃度の作用を示す。
【発明を実施するための形態】
【0146】
発明の詳細な説明
[0157] 一部の実施形態によれば、本発明は組織の裂溝または欠陥を密閉することによりインビボの関連において止血または他の体液封じ込めを達成するための乾燥した密閉材マトリックス組成物を提供する。本発明の一部の実施形態の組成物は体液の封じ込めを促進するために脊椎動物の組織に適用する場合に適している乾燥組成物中に第1および第2の交差結合可能な成分および少なくとも1つのヒドロゲル形成成分を含む。本発明の組成物中の第1および第2の成分はインビボの条件下で反応することにより交差結合したマトリックスを形成するが、組織裂溝を通過して侵入してくる、並びに生じた物理的密閉材マトリックスバリアを第1および第2の成分が交差結合するに従って強化する生物学的流体をヒドロゲル形成成分が急速に吸収する。本出願において記載する場合、「密閉材マトリックス組成物」とは、インビボの組織部位への適用の前の本発明の組成物を指す場合があり、そして「密閉材マトリックスバリア」とは本発明の組成物が生物学的流体に接触して第1および第2の成分が交差結合し、ヒドロゲルを含有する多孔性の交差結合したマトリックスを形成した後に結果として生じているマトリックスバリアを指す場合がある。密閉材マトリックス組成物は粉末、ケーキ状物、パッド状物等を包含する種々のフォーマットにおいて生成してよい。ケーキ状物の実施形態は凝集塊を形成するように加熱または焼成されている密閉材マトリックス組成物の粉末試料を包含する。パッド状物はコラーゲンスポンジのようなスポンジ状物または他の支持体の上に配置された密閉材マトリックス組成物の粉末試料を包含し、これは次に焼成されてスポンジまたは支持体に融着する固化された粉末を形成する。
【0147】
[0158] 本発明は非血液生物学的流体(例えばリンパまたは髄液)を封じ込めるために使用してよいが、本発明の一部の実施形態の組成物により形成される密閉材マトリックスはまた、本明細書に記載した主要な用途であることから「止血マトリックス」とも称される。
【0148】
[0159] 急速な止血および包囲する組織への高度な接着による障壁を与えること以外に、本発明の一部の実施形態の密閉材マトリックスは止血を達成するために使用されている以前より開示されている材料を超えた幾つかの利点を有している。第1に、本発明の一部の実施形態の密閉材マトリックスは組織裂溝が極めて湿潤している場合の条件下において使用してよい(例えば急速に滲出または噴出している動脈血、例えば内臓に至る剥離性または鋭利な外傷)。比較すれば、止血用に現在販売されている多くの組成物は組成物の適切な接着および止血の維持のためには比較的乾燥した部位を要している。例えば一部の場合においては、特定のPEG混合物を急速出血部位に設置する場合があるが、しかしながらそれらは洗い出されてしまう可能性が高い。同様に、一部の場合においてはゼラチン組成物を急速出血部位において水和させるがそれらはその部位に残存することが困難である可能性が高い。好都合なことに、第1の交差結合可能な成分、第2の交差結合可能な成分、およびヒドロゲル形成成分を包含する調製品は、かなりの出血を伴う場合であっても、反応可能条件においては固定化された状態で残存することにより出血を遮蔽する機械的に安定な血塊様の物質を形成する材料を与えることができることを発見した。第2に本発明の一部の実施形態の密閉材マトリックスは脊椎動物の如何なる内因性の凝固能力にも依存することなく、組織裂溝を物理的に密閉することにより機能する。即ち、密閉材マトリックスは脊椎動物に対し、その血液中で低フィブリノーゲン濃度において、あるいはフィブリノーゲンを含有しない血液代替物と共に、使用することができる。例えば、第1および第2の交差結合可能な成分をヒドロゲル形成成分と組み合わせて出血面に適用する場合、交差結合可能な成分とヒドロゲル形成成分との間の相乗作用的な相互作用が起こる場合がある。一部の実施形態によれば、第1および第2の交差結合可能な成分は、ヒドロゲル形成成分の存在下において、出血標的部位で反応して交差結合することにより、比較的剛性のフレームワークを形成することができる。これに関連して、ヒドロゲル形成成分は比較的剛性のフレームワーク内を充填して物理的な密閉部の形成を媒介することができる。
【0149】
[0160] 本発明の一部の実施形態によれば、密閉材マトリックス組成物は第1および第2の交差結合可能な成分が交差結合しない条件下(即ち水分、適切なpH、温度等の不在下)において第1の交差結合可能な成分を第2の交差結合可能な成分およびヒドロゲル形成成分と混合しながら生成することができる。生物学的流体との接触時において、または他の反応を可能にする条件において、交差結合可能な第1および第2の成分は交差結合して間隙を有する多孔性のマトリックスを形成し、そしてヒドロゲル形成成分は水和して間隙の少なくとも一部を充填するヒドロゲルを形成する。場合により、交差結合可能な成分はまた、ヒドロゲル形成成分および/または包囲する組織と交差結合してもよい。
【0150】
1.密閉材マトリックスの交差結合可能な成分
[0161] 頻繁には第1の交差結合可能な成分は求核性基2つ以上を含有し、そして第2の交差結合可能な成分は第1の交差結合可能な成分上の求核性基と共有結合できる求電子性基2つ以上を含有する。第1および第2の成分は交差結合して多孔性のマトリックスを形成することができる。例示される第1および第2の成分および多孔性のマトリックスは米国特許5,874,500;6,166,130;6,312,725;6,328,229;および6,458,889に記載されており;これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0151】
[0162] 第1および第2の成分は典型的には非免疫原性となるように選択され、従って、治療開始前に「皮膚試験」を必要としない。さらにまた、これらの成分およびヒドロゲル形成成分はマトリックスメタロプロテイナーゼ(例えばコラゲナーゼ)による酵素的分解に抵抗するように選択してよく、これにより現在使用可能なコラーゲン組成物よりもインビボにおいてより長期間の存続が可能となる。あるいは、第1および第2の成分およびヒドロゲル形成成分は
創傷治癒の間に排除または再吸収されるように選択してよく、これによりインビボの密閉材マトリックスの周囲の繊維状組織の形成を回避することができる。
【0152】
[0163] 1つの実施形態において、第1の成分は、以下に示すような共有結合重合体ネットワークをもたらす多数の求電子性基(「Y」として下記に示す)を含有する第2の成分である合成重合体と反応することができる多数の求核性基(「X」として下記に示す)を含有する合成重合体であってよい。
重合体−Xm+重合体−Yn→重合体−Z−重合体
(式中、m≧2、n≧2、およびm+n≧5であり;
X=−NH2、−SH、−OH、−PH2、および−CO−NH−NH2等であり、そして同じかまたは異なっていてよく;
Y=−CO2N(COCH2)2、−CO2H、−CHO、−CHOCH2、−N=C=O、SO2CH=CH2、−N(COCH)2および−S−S−(C5H4N)等であり、そして同じかまたは異なっていてよく;
Z=求核性基(X)および求電子性基(Y)の統合から形成される官能基である)。
【0153】
[0164] 上記した通り、XおよびYは同じかまたは異なっていてよく、即ち、第1の成分は2つの異なる求核性基を有してよく、および/または、第2の成分は2つの異なる求電子性基を有してよい。例示される第1成分重合体または第2の交差結合可能な成分を図1に示す。例示される第2成分重合体または第2の交差結合可能な成分を図2に示す。
【0154】
[0165] 第1および第2成分重合体の骨格はアルキレンオキシド、特にエチレンオキシド、プロピレンオキシド、およびこれらの混合物であることができる。2官能性アルキレンオキシドの例は下記:
X−重合体−X Y−重合体−Y
[式中、XおよびYは上記の通り定義され、そして「重合体」という用語は−(CH2CH2O)n−または−(CH(CH3)CH2O)n−または−(CH2CH2O)n−(CH(CH3)CH2O)n−を示す]により表すことができる。
【0155】
[0166] 官能基XまたはYは連結基(下記において「Q」として示す)により重合体骨格に共通してカップリングされ、その大部分は既知または可能である。本発明の組成物は2つ以上の官能基を有するが、以下に示す例は簡便のため、1つの官能基のみ、および結果として生じる交差結合を示している。種々の官能性付与された重合体を生成する多くの方法が存在し、その一部を以下に記載する。
重合体−Q1−X+重合体−Q2−Y→重合体−Q1−Z−Q2−重合体
【0156】
【化1】
式中、
n=各々の場合1〜10;
R1=H、CH3、C2H5、・・・CpH2p+1;
R2=CH2、CO−NH−CH2CH2である。
Q1とQ2は同じかまたは異なっていてよい。
【0157】
[0167] 例えばQ2が−OCH2CH2であり(この場合はQ1は非存在);Y=−CO2N(COCH2)2であり;そしてX=−NH2、−SH、または−OHである場合、結果として生じる反応およびZ基は以下の通りとなる。
重合体−NH2+重合体−OCH2CH2CO2−N(COCH2)2→−NH−OCH2CH2CO−重合体(アミド)
重合体−SH+重合体−OCH2CH2CO2−N(COCH2)2→−S−OCH2CH2CO−重合体(チオエステル)
重合体−OH+重合体−OCH2CH2CO2−N(COCH2)2→−O−OCH2CH2CO−重合体(エステル)
。
【0158】
[0168] 下記において「D」として示す別の基は、例えば薬物送達用途における使用を目的として、インビボの交差結合重合体組成物の分解を増大させるために重合体と連結基の間に挿入することができる。
重合体−D−Q−X+重合体−D−Q−Y→重合体−D−Q−Z−Q−D−重合体−
。
【0159】
[0169] 一部の有用な生体分解性の基「D」はラクチド、グリコリド、ε−カプロラクトン、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(無水物)、および種々のジ−またはトリペプチドを包含する。
【0160】
A.重合体骨格を有する第1および第2の組成物
[0170] 上記した通り、本発明の組成物を生成するためには、第1級アミノ基またはチオール基のよう求核性基2つ以上を含有する第1成分重合体、および、第1成分重合体上の求核性基と共有結合できる求電子性基2つ以上を含有する第2成分重合体を与えることが有用である。第1および第2成分重合体は合成のものであることができる。
【0161】
[0171] 第1および第2成分重合体に関して使用する場合、「重合体」という用語は特にポリアルキル類;ジ−、トリ−、オリゴ−、およびポリアミノ酸;およびトリ−、オリゴ−、または多糖類を指す。
【0162】
[0172] 第1および第2成分重合体に関して使用する場合、「合成の重合体」という用語は天然には存在せず、そして化学合成を介して生成される重合体を包含する。即ち天然に存在するタンパク質、例えばコラーゲンおよび天然に存在する多糖類、例えばヒアルロン酸は除外される。合成のコラーゲン、および合成のヒアルロン酸およびその誘導体は包含される。求核性または求電子性の基のいずれかを含有する合成重合体は「多官能性的に活性化された合成重合体」を包含する。「多官能性的に活性化された」(または単純に「活性化された」)という用語は、求核性または求電子性の基2つ以上を有するか、有するように化学修飾されており、それらが相互に反応(即ち求核性基が求電子性基と反応)して共有結合を形成することができるようにされている合成重合体を指すことができる。多官能性的に活性化されている合成重合体の型は2官能性的に活性化されている、4官能性的に活性化されている、および星状分枝鎖型の重合体を包含する。
【0163】
[0173] 本発明における使用のための多官能性的に活性化されている合成重合体は頻繁には、多数の求核性基を含有する合成重合体(即ち「多求核性重合体」)と3次元の交差結合ネットワークを形成するためには少なくとも2つ、または少なくとも3つの官能基を含有する。換言すれば、それらは典型的には少なくとも2官能性的に活性化、または3官能性的に、または4官能性的に活性化されている。第1の合成重合体が2官能性的に活性化された合成重合体である場合、第2の合成重合体は典型的には、3次元交差結合ネットワークを得るためには3つ以上の官能基を含有する。第1および第2成分重合体の両方が少なくとも3つの官能基を含有してよい。
【0164】
B.第1成分重合体
[0174] 多数の求核性基を含有する第1成分重合体はまた一般的に本明細書においては「多求核性重合体」と称する。本発明において使用するためには、多求核性重合体は頻繁には少なくとも2つ、または少なくとも3つの求核性基を含有する。2つのみの求核性基を含有する合成重合体を使用する場合は、3次元交差結合ネットワークを得るためには3つ以上の親電子基を含有する合成重合体が頻繁には使用されることになる。
【0165】
[0175] 本発明の組成物および方法における使用のための多求核性重合体は第1級アミノ基およびチオール基のような多求核性基を含有するか、含有するように修飾されている合成重合体を包含する。そのような多求核性重合体は(i)第1級アミノ基またはチオール基2つ以上を含有するように合成されている合成ポリペプチド;および(ii)第1級アミノ基またはチオール基2つ以上を含有するように修飾されているポリエチレングリコールを包含できる。一般的に求電子性基とのチオール基の反応は求電子性基との第1級アミノ基の反応よりも緩徐に進行する傾向がある。
【0166】
[0176] 多求核性ポリペプチドは第1級アミノ基を含有するアミノ酸(例えばリジン)および/またはチオール基を含有するアミノ酸(例えばシステイン)を取り込むように合成されている合成ポリペプチドであることができる。例えば第1成分重合体はジリジン、トリリジン、クワトラリジン、またはジシステイン、トリシステイン、クワトラシステイン、ペンタシステイン、またはリジンまたはシステイン2つ以上および他のアミノ酸(例えばグリシン、アラニン)、好ましくは非疎水性アミノ酸を含むオリゴペプチドまたはポリペプチドであることができる。ポリ(リジン)、即ちアミノ酸リジンの合成的に生成された重合体(145MW)が頻繁には使用される。ポリ(リジン)は、約870〜約580,000の分子量に相当する6〜約4,000第1級アミノ基のいずれかを有する者として生成されている。種々の分子量のポリ(リジン)がPeninsula Laboratories,Inc.(Belmont,Calif.)より販売されている。
【0167】
[0177] ポリエチレングリコールは例えばPoly(ethyleneGlycol)Chemistry:Biotechnical and Biomedical Applications,J.Milton Harris,ed.,Plenum Press,N.Y.(1992)の第22章に記載されている方法に従って多数の第1級アミノまたはチオール基を含有するように化学的に修飾できる。第1級アミノ基2つ以上を含有するように修飾されているポリエチレングリコールは本明細書においては、「多アミノPEG」と称する。チオール基2つ以上を含有するように修飾されているポリエチレングリコールは本明細書においては、「多チオールPEG」と称する。本明細書においては、「ポリエチレングリコール」という用語は修飾された、または誘導体化されたポリエチレングリコールを包含する。
【0168】
[0178] 多アミノPEGの種々の型がShearwater Polymers(Huntsville,Ala.)より、そしてTexaco Chemical Company(Houston,Tex.)より、「Jeffamine」の名称で販売されている。本発明において有用な多アミノPEGはTexacoのJeffamineジアミン(「D」シリーズ)およびトリアミン(「T」シリーズ)を包含し、これらは分子当たりそれぞれ2つおよび3つの第1級アミノ基を含有している。
【0169】
[0179] ポリアミン類、例えばエチレンジアミン(H2N−CH2CH2−NH2)、テトラメチレンジアミン(H2N−(CH2)4−NH2)、ペンタメチレンジアミン(カダベリン)(H2N−(CH2)5−NH2)、ヘキサメチレンジアミン(H2N−(CH2)6−NH2)、ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン(HN−(CH2CH2OH)2)、ビス(2)アミノエチル)アミン(HN−(CH2CH2NH2)2)、およびトリス(2−アミノエチル)アミン(N−(CH2CH2NH2)3)もまた、多数の求核性基を含有する第1成分合成重合体として使用してよい。
【0170】
C.第2成分重合体
[0180] 多数の求電子性基を含有する第2成分重合体はまた本明細書においては、「多求電子性重合体」と称する。本発明において使用するためには、多求電子性重合体は頻繁には、多求核性重合体と3次元交差結合ネットワークを形成するためには少なくとも2つ、または少なくとも3つの求電子性基を含有する。
【0171】
[0181] 本発明の組成物および方法における使用のための多求電子性重合体は他の分子の上の求核性基と共有結合を形成することができるスクシンイミジル基2つ以上を含有する重合体であることができる。スクシンイミジル基は多アミノPEG、ポリ(リジン)、またはコラーゲンのような第1級アミノ(−NH2)基を含有する物質に対して高度に反応性である。スクシンイミジル基はチオール(−SH)基を含有する物質、例えば多チオールPEGまたは多数のシステイン残基を含有する合成のポリペプチドとは僅かに低反応性である。
【0172】
[0182] 本明細書においては、「2つ以上のスクシンイミジル基を含有する」という用語は、2つ以上のスクシンイミジル基を含有する市販の重合体、並びに、2つ以上のスクシンイミジル基を含有するように化学的に誘導体化されているものを包含する意味を有する。本明細書においては、「スクシンイミジル基」という用語はスルホスクシンイミジル基および「包括的な」スクシンイミジル基の他のこのような変異例を包含することを意図している。スルホスクシンイミジル基上の亜硫酸ナトリウム部分の存在は重合体の溶解性を上昇させる作用を有する。
【0173】
D.第1および第2成分骨格として使用するための親水性重合体
[0183] 親水性重合体、および特に種々のポリエチレングリコールは本発明の一部の実施形態による第1および第2成分重合体の骨格において使用できる。本明細書においては、「PEG」という用語は反復構造(OCH2CH2)nを有する重合体を包含する。
【0174】
[0184] PEGの4官能性的に活性化された構造は、多アミノPEGに4官能性的に活性化されたPEGを反応させることにより得られる一般化された反応産物の場合と同様、図3に示す。図に示す通り、スクシンイミジル基は−N(COCH2)2として示される5員環構造である。図3においては、符号^^^は開放された連結を示す。
【0175】
[0185] 実施形態は本明細書においてはSG−PEGと表記する4官能性的に活性化されたPEGスクシンイミジルグルタレートの多アミノPEGとの反応およびそれにより得られる反応生成物を包含する。PEGの別の活性化された形態はPEGスクシンイミジルプロピオネート(SE−PEG)と称する。実施形態は4官能性的に活性化されたSE−PEGおよびそれを多アミノPEGと反応させることにより得られる反応生成物を包含する。一部の実施形態においては、PEGのいずれかの側鎖の上に3つの反復CH2基が存在する。別の実施形態は加水分解に付されにくい「エーテル」連結部を包含するコンジュゲートを包含する。これはエステル連結部が与えられている図3に示すコンジュゲートとは異なる。エステル連結部は生理学的条件下において加水分解に付される。ポリエチレングリコールの他の官能性的に活性化された形態は、多アミノPEGに4官能性的に活性化されたPEGを反応させることにより形成されるコンジュゲートの場合と同様、本発明の実施形態により意図される。一部の実施形態においては、コンジュゲートはエーテルおよびアミド連結部の両方を包含する。これらの連結部は生理学的条件下において安定である。
【0176】
[0186] PEGの別の官能性的に活性化された形態はPEGスクシンイミジルスクシンアミド(SSA−PEG)と称される。実施形態はこの化合物の4官能性的に活性化された形態およびこれを多アミノPEGと反応させることにより得られる反応生成物を包含する。これらおよび関連の化合物は本発明の実施形態による組成物中において使用してよい。実施形態はまた、前述のエーテル連結部と同様、加水分解に付されにくく、そのためエステル連結部よりも安定である「アミド」連結部を包含するコンジュゲートも包含する。PEGのさらに別の活性化された形態は、PEGスクシンイミジルカーボネート(SC−PEG)と称される化合物実施形態において与えられる。実施形態は4官能性的に活性化されたSC−PEGおよびそれを多アミノPEGと反応させることにより形成されるコンジュゲートを包含する。
【0177】
[0187] 上記において考察した通り、本発明の実施形態における使用のための活性化されたポリエチレングリコールは反応基としてスクシンイミジル基を含有できる。しかしながら、異なる活性化基をPEG分子の長さに沿った部位において結合することができる。例えばPEGは官能性的に活性化されたPEGプロピオンアルデヒド(A−PEG)を形成するように誘導体化できる。実施形態は4官能性的に活性化された形態並びにA−PEGの多アミノPEGとの反応により形成されるコンジュゲートを包含する。連結部は−(CH2)m−NH−連結部と表記してよく、ここでm=1〜10である。
【0178】
[0188] 活性化ポリエチレングリコールのさらに別の形態は官能性的に活性化されたPEGグリシジルエーテル(E−PEG)である。実施形態は4官能性的に活性化された化合物、並びにそれを多アミノPEGと反応させることにより形成されるコンジュゲートを包含する。ポリエチレングリコールの別の活性化誘導体は官能性的に活性化されたPEG−イソシアネート(I−PEG)である。実施形態はこれを多アミノPEGと反応させることにより形成されるコンジュゲートを包含する。ポリエチレングリコールの別の活性化誘導体は官能性的に活性化されたPEG−ビニルスルホン(V−PEG)である。実施形態はこれを多アミノPEGと反応させることにより形成されるコンジュゲートを包含する。
【0179】
[0189] 本発明の組成物および他の実施形態における使用のための多官能性的に活性化されたポリエチレングリコールは3官能性的に、または4官能性的に活性化された形態であることができるSG−PEGおよびSE−PEGのようなスクシンイミジル基を含有するポリエチレングリコールを包含することができる。上記したポリエチレングリコールの活性化型の多くは現在Shearwater Polymers,Huntsville,Ala.およびUnion Carbode,South Charleston,W.Vaから販売されている。
【0180】
E.官能基を含有するように第1および第2の成分重合体を誘導体化すること
[0190] 特定の重合体、例えばポリ酸はスクシンイミジル基のような官能基2つ以上を含有するように誘導体化することができる。本発明における使用のためのポリ酸は限定しないがトリメチロールプロパン系のトリカルボン酸、ジ(トリメチロールプロパン)系のテトラカルボン酸、ヘプタンジ酸、オクタンジ酸(ズベリン酸)、およびヘキサデカンジ酸(タプシン酸)を包含する。これらのポリ酸の多くがDuPont Chemical Companyより販売されている。
【0181】
[0191] 一般的な方法によれば、ポリ酸はN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)の存在下のN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)の適切なモル量との反応によりスクシンイミジル基2つ以上を含有するように化学的に誘導体化することができる。
【0182】
[0192] ポリアルコール、例えばトリメチロールプロパンおよびジ(トリメチロールプロパン)は種々の方法を用いながらカルボン酸形態に変換することができ、そして次に、米国特許出願08/403,358に記載されている通り、DCC存在下のNHSとの反応によりさらに誘導体化することにより、それぞれ3官能性的に、または4官能性的に活性化された重合体を生成することができる。ヘプタンジ酸(HOOC−(CH2)2−COOH)、オクタンジ酸(HOOC−(CH2)2−COOH)、およびヘキサデカンジ酸(HOOC−(CH2)14−COOH)のようなポリ酸はスクシンイミジル基の付加により誘導体化することにより2官能性的に活性化された重合体を生成する。
【0183】
[0193] ポリアミン類、例えばエチレンジアミン(H2N−CH2CH2−NH2)、テトラメチレンジアミン(H2N−(CH2)4−NH2)、ペンタメチレンジアミン(カダベリン)(H2N−(CH2)5−NH2)、ヘキサメチレンジアミン(H2N−(CH2)6−NH2)、ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン(HN−(CH2CH2OH)2)、ビス(2)アミノエチル)アミン(HN−(CH2CH2NH2)2)、およびトリス(2−アミノエチル)アミン(N−(CH2CH2NH2)3)を化学的に誘導体化することによりポリ酸とすることができ、次にこれを、米国特許出願08/403,358に記載されている通り、DCC存在下のN−ヒドロキシスクシンイミドの適切なモル量との反応によりスクシンイミジル基2つ以上を含有するように誘導体化することができる。これらのポリアミンの多くはDuPont Chemical Companyから販売されている。
【0184】
[0194] 一部の実施形態においては、第1の交差結合可能な成分(例えば多アミノPEG)は交差結合可能な成分の組成物全体の約0.5〜約20重量%の範囲の濃度において存在し、そして第2の交差結合可能な成分は交差結合可能な成分の組成物全体の約0.5〜約20重量%の範囲の濃度において存在する。例えば、総重量1グラム(1000ミリグラム)を有する最終的な交差結合可能な成分の組成物は、第1の交差結合可能な成分(例えば多アミノPEG)約5〜約200ミリグラム、および第2の交差結合可能な成分約5〜約200ミリグラムを含有することができる。
【0185】
[0195] 一部の実施形態においては、第1の交差結合可能な成分の第2の交差結合可能な成分に対する重量比は約20%〜約80%の範囲にある。関連する実施形態において、この比は約45%〜約55%の範囲にある。一部の場合においては、比は約50%である。重量比はゲル強度試験に基づいて測定する。第1の交差結合可能な成分および第2の交差結合可能な成分は同じ分子量を有してよい。
【0186】
II.密閉材マトリックス組成物における使用のためのヒドロゲル形成成分
[0196] 本発明による使用のためのヒドロゲル形成成分は参照により本明細書に組み込まれる米国特許4,640,834;5,209,776;5,292,362;5,714,370;6,063,061;および6,066,325において考察されている通り、再吸収可能な生体適合性の分子状の交差結合ゲルおよびヒドロゲルを包含できる。これらの特許に記載されている手法により生成される材料は、止血剤としての使用のためのトロンビン溶液との混合物に関わるキットとしてBaxter Healthcare CorporationよりFLOSEAL商標の下に販売されている。あるいは、いずれかの水和可能な交差結合重合体を本発明におけるヒドロゲル形成成分として使用してよい。例えばアルギネート、アガロース、ゼラチン(例えばSURGIFOAMTM粉末)または他の合成の炭水化物またはタンパク質系の水和可能な交差結合重合体を使用してよい。有用なヒドロゲル形成成分の主要な特性は生体適合性、迅速な吸収、および流体貯留である。即ち、ポリアクリルアミドを本発明のヒドロゲル形成成分として使用してよいが、多くの体内適用におけるその不良な生体適合性に起因して好適度は低い。頻繁には、ヒドロゲル形成成分としての使用のための水和可能な交差結合重合体は約70〜約300ミクロンの粒径、および、約6.8〜約9.5のpHを有する。ヒドロゲル形成成分は、特に密閉材マトリックスが力、圧力、または希釈に付された場合に、第1および第2の交差結合可能な成分に機械的安定性を付与することができる。
【0187】
[0197] 一部の実施形態においては、第1および第2の交差結合可能な成分とヒドロゲル形成成分との間の重量比は約28%w/w〜約42%w/wの範囲にある。一部の場合においては、組成物は、組成物の総質量の約5%〜約75%である組み合わせとしての第1および第2の交差結合可能な成分の濃度、および、組成物の総質量の約95%〜約25%であるヒドロゲル形成成分の濃度を有してよい。関連して、組成物は、組成物の総質量の約5%〜約40%である組み合わせとしての第1および第2の交差結合可能な成分の濃度、および、組成物の総質量の約95%〜約60%であるヒドロゲル形成成分の濃度を有してよい。同様に、組成物は、組成物の総質量の約10%〜約30%である組み合わせとしての第1および第2の交差結合可能な成分の濃度、および、組成物の総質量の約90%〜約70%であるヒドロゲル形成成分の濃度を有してよい。例えば、組成物は約20%の組み合わせとしての第1および第2の交差結合可能な成分、および、約80%のヒドロゲル形成成分を含有してよい。一部の実施形態においては、組み合わせとしての第1および第2の交差結合可能な成分の組成物は50:50%の固定された重量比を有することができ、そして組み合わせとしての第1および第2の交差結合可能な成分の組成物のヒドロゲル形成成分に対するw/w比は約20%〜約30%の範囲であることができる。組み合わせとしての第1および第2の交差結合可能な成分の組成物のヒドロゲル形成成分に対するw/w比はゲル強度/接着試験に基づいて選択できる。ヒドロゲル形成成分は吸収材として作用することにより第1および第2の交差結合可能な成分が重合するための半乾燥状態の表面を与えることができる。本発明の実施形態はこのような比に従った量において交差結合可能な成分およびヒドロゲル形成成分を包含する乾燥密閉材マトリックス組成物キットを包含する。
【0188】
[0198] 一部の実施形態によれば、「生体適合性の」という用語は国際標準化機構(NAMSA、Northwood,Ohio)により発布されている標準#ISO10993−1における基準を満足する材料を指す。一部の実施形態によれば、「再吸収可能な」という用語は1年未満の期間、通常は1〜120日間に渡って、患者身体の標的部位ないに直接置かれた場合(そして乳房インプラントのようなインプラント装置内で保護されない場合)に分解または可溶化する組成物を指す。再吸収および分解を計測するためのプロトコルは知られている。一部の実施形態によれば、「分子状交差結合」という用語は、元素、基または化合物のいずれかよりなる架橋部位により結合した重合体分子(即ち個々の鎖)を含む材料を指し、その場合、重合体分子の骨格原子は第1化学結合により連結される。交差結合は後に詳述する通り種々の状態において行ってよい。
【0189】
[0199] 一部の実施形態によれば、「ヒドロゲル」という用語は後に詳述する通り生物学的、または非生物学的な重合体が水または水性緩衝液を吸収する単相の水性コロイドを包含する組成物を包含する。ヒドロゲルは多数のサブネットワークを含むことができ、その場合、各サブネットワークは、水和の程度に応じて決まり、そして上記した範囲内にある寸法を有する分子状交差結合ヒドロゲルである。頻繁にはヒドロゲルは水を殆どまたは全く有さないものとなり、即ち、単純な濾過によりヒドロゲルから水を除去することはできない。
【0190】
[0200] 「パーセント膨潤」とは乾燥重量を湿潤重量から差し引き、乾燥重量で割り、そして100を掛けたものとして定義することができ、ここで湿潤重量は例えば濾過により材料の外部から可能な限り完全に湿潤剤を除去し終えた後に計測されるものであり、そして、乾燥重量は湿潤剤を蒸発させるために十分な時間上昇温度、例えば2時間120℃に曝露した後に計測される。
【0191】
[0201] 「平衡膨潤性」とは水和可能な交差結合重合体材料を含水量が一定になるために十分な時間、典型的には18〜24時間、湿潤剤中に浸積させておいた後の平衡時におけるパーセント膨潤として定義できる。
【0192】
[0202] 「標的部位」とは、典型的には、密閉材マトリックス組成物を送達すべき位置、通常は組織裂溝または欠陥部である。頻繁には、標的部位は目的の組織位置となるが、一部の場合においては、例えば材料をインサイチュで膨潤させることにより目的位置を被覆する場合には、密閉材マトリックスを目的の位置の近傍の位置に投与または施工してよい。
【0193】
[0203] 本発明の少なくとも一部の実施形態におけるヒドロゲル形成成分としての使用のための水和可能な交差結合重合体は生物学的および非生物学的な重合体から形成してよい。適当な生物学的重合体は、タンパク質、例えばゼラチン、可溶性コラーゲン、アルブミン、ヘモグロビン、カゼイン、フィブリノーゲン、フィブリン、フィブロネクチン、エラスチン、ケラチン、ラミニン、およびこれらの誘導体および組み合わせを包含する。可溶性の非微小繊維状コラーゲンも同様に適している。例示されるゼラチン製剤は後に記載する通りである。他の適当な生物学的重合体は多糖類、例えばグリコサミノグリカン(例えばヒアルロン酸および硫酸コンドロイチン)、澱粉誘導体、キシラン、セルロース誘導体、ヘミセルロース誘導体、アガロース、アルギネート、キトサン、およびこれらの誘導体および組み合わせを包含する。適当な非生物学的重合体は2つの機序、即ち(1)重合体骨格の分解、または(2)水溶性をもたらす側鎖の分解のいずれかにより分解可能となるように選択できる。例示される非生物学的重合体は合成物質、例えばポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニル樹脂、ポリアクチド−グリコリド、ポリカプロラクトン、ポリオキシエチレン、およびこれらの誘導体および組み合わせを包含する。
【0194】
[0204] ヒドロゲル形成成分としての使用のための水和可能な交差結合重合体分子は水性のヒドロゲルを形成するために適するいずれかの態様において交差結合してよい。例えばこれらの重合体分子は重合体分子鎖2つ以上に共有結合する2官能性または多官能性の交差結合剤を用いて交差結合してよい。例示される2官能性の交差結合剤はアルデヒド、エポキシド、スクシンイミド、カルボジイミド、マレイミド、アジド、カーボネート、イソシアネート、ジビニルスルホン、アルコール、アミン、イミデート、無水物、ハライド、シラン、ジアゾアセテート、アジリジン等を包含する。あるいは、交差結合は、重合体上の側鎖または部分を活性化する酸化剤および過ヨウ素酸塩のような別の試薬を用いながら他の側鎖または部分にそれらを反応させて交差結合部を形成させることにより、達成してよい。交差結合の別の方法は重合体を放射線照射、例えばガンマ線照射に曝露することにより側鎖重合体を活性化して交差結合反応を起こさせることを含む。ジヒドロサーマル交差結合法もまた適している。ゼラチンのジヒドロサーマル交差結合はそれを上昇した温度、典型的には120℃に少なくとも8時間の期間保持することにより達成できる。平衡時のパーセント膨潤の低下として顕在化する交差結合の範囲の増大は、保持温度を上昇させること、保持時間の持続を延長すること、または両方の組み合わせにより達成できる。減圧下の作業は交差結合反応を加速することができる。ゼラチン分子を交差結合させるための好ましい方法は後述する通りである。
【0195】
[0205] ヒドロゲルはヒドロゲルの展性、可撓性および分解速度を増大させるために可塑剤を包含してよい。可塑剤はアルコール、例えばポリエチレングリコール、ソルビトール、またはグリセロールであってよい。頻繁には可塑剤は約200〜1000Dの範囲の分子量を有するか、または約400Dの分子量を有するポリエチレングリコールとなる。可塑剤は重合体組成物の約0.1重量%〜約30重量%、好ましくは1重量%〜5重量%においてヒドロゲル中に存在できる。可塑剤は高い固形物含有量、典型的には組成物(可塑剤を除く)の10重量%超を有するヒドロゲルとともに使用する場合に特に有利となる。
【0196】
[0206] 分子状交差結合ゼラチンを生成するための例示される方法は以下の通りである。ゼラチンを入手し、水性緩衝液中に入れ、典型的には約1〜約70重量%、または約3〜約10重量%の固形物含有量を有する非交差結合ゲルを形成させる。ゼラチンは典型的にはグルタルアルデヒド(例えば0.01〜0.05%w/w、一夜0〜15℃、水性緩衝液中)、過ヨウ素酸ナトリウム(例えば0.05M、0℃〜8℃に48時間保持)、または1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)(例えば0.5〜1.5%w/w、一夜室温)のいずれかに曝露することにより、あるいは、約0.3〜3メガラッドのガンマ線または電子線の照射に曝露することにより、交差結合させる。あるいは、ゼラチン粒子を約1〜約70重量%、または約3〜約10重量%の固形物含有量でメチルアルコールまたはエチルアルコールのようなアルコール中に懸濁し、そして交差結合剤、典型的にはグルタルアルデヒドに曝露(例えば0.01〜0.1%w/w、一夜室温)することにより交差結合させることができる。アルデヒドの場合はpHは典型的には約6〜約11、または約7〜約10に保持する。グルタルアルデヒドと交差結合する場合は、交差結合はシッフ塩基を介して形成され、これは後の還元により、例えばナトリウムボロハイドライドで処理することにより、安定化させてよい。交差結合の後、生じた顆粒を水中で洗浄し、場合によりアルコールですすぎ、乾燥し、そして所望の緩衝性およびpHを有する水性媒質中に所望の水和度となるように再懸濁してよい。生じたヒドロゲルは次に、後に詳述する本発明のアプリケーターにロードしてよい。あるいは、やはり後に詳述する通り交差結合の前、または後にヒドロゲルを機械的に崩壊させてよい。
【0197】
[0207] 約400%〜約1300%、または約600%〜約950%の範囲の平衡時パーセント膨潤性を有する分子状交差結合ゼラチン組成物を生成するための例示される方法は以下の通りである。ゼラチンを入手し、溶液中に交差結合剤(頻繁にはグルタルアルデヒド、典型的には0.01〜0.1%w/wの濃度)を含有する水性緩衝液(典型的には約6〜約17のpH、または約7〜約10のpH)中に入れることにより、典型的には1〜70重量%、通常は3〜10重量%の固形分含有量を有するゲルを形成する。ゲルを十分混合し、交差結合を進行させながら0℃〜15℃において一夜保持する。次にこれを脱イオン水で3回、アルコール(好ましくはメチルアルコール、エチルアルコールまたはイソプロピルアルコール)で2回洗浄し、そして室温で乾燥させる。場合によりゲルをナトリウムボロハイドライドで処理することにより交差結合をさらに安定化させてよい。一部の場合においては、ヒドロゲル形成成分は例えば多数のグリシン残基(例えば整列した3残基毎に1つ)、プロリン残基、および4−ヒドロキシプロリン残基を有するゼラチンを包含できる。例示されるゼラチンサブユニットを図5に示す。ゼラチン実施形態はアミノ酸組成:グリシン21%、プロチン12%、ヒドロキシプロリン12%、グルタミン酸10%、アラニン9%、アルギニン8%、アスパラギン酸6%、リジン4%、セリン4%、ロイシン3%、バリン2%、フェニルアラニン2%、スレオニン2%、イソロイシン1%、ヒドロキシリジン1%、メチオニンおよびヒスチジン<1%、およびチロシン<0.5%を有する分子を包含する。図6は密閉材組成物中のヒドロゲル形成成分として有用であるフラグメント化交差結合重合体ゲル実施形態のパーセント膨潤とパーセント固体の間の相関を示す。
【0198】
[0208] 分子状交差結合ヒドロゲルは好ましくはヒドロゲル形成成分として使用する前にバッチプロセスにおいて機械的に崩壊させる。この機械的な崩壊の工程の主要な目的は自身が送達される空間を充填充満させる能力を増強する大きさを有するヒドロゲルの多数のサブユニットを生じさせることである。機械的崩壊を行わない場合、分子状交差結合ヒドロゲルは治療すべき不規則な形状の標的空間に合致して充填する際に困難を伴うことになる。ヒドロゲルをより小型のサブユニットにまで分解することにより、交差結合したヒドロゲルの機械的一体性および存続性を保持しつつそのような空間を遙かに効率的に充填できるようになるのである。
【0199】
[0209] ヒドロゲルの重合体鎖の分子状交差結合はその機械的崩壊の前または後に実施できる。ヒドロゲルは、ヒドロゲル組成物が上記した0.01mm〜5.0mmの範囲の大きさを有するサブユニットにまで分解される限り、バッチ作業中、例えば混合中に機械的に崩壊してよい。他のバッチ式の機械的崩壊のプロセスはホモゲナイザーまたはミキサーを通して、またはヒドロゲルの破壊降伏応力を超過するレベルにまでヒドロゲルを圧縮、伸展または剪断するポンプを通して送液することを包含する。一部の場合においては、重合体組成物の押し出しにより、ヒドロゲルは実質的に連続したネットワーク、即ち元のヒドロゲル塊の寸法に渡るネットワークから、サブネットワークまたは上記した範囲の寸法を有するサブユニットの集合物に変換される。
【0200】
[0210] 現時点で好ましい実施形態においては、水和可能な交差結合重合体をまず生成(例えば噴霧乾燥による)および/または機械的に崩壊し、その後交差結合、通常頻繁にはその後水和させることによりヒドロゲルを形成する。水和可能な交差結合重合体は微細分割または粉末化された乾燥固体として提供してよく、これはさらに細分化することにより崩壊してよく、これにより、通常は狭い範囲内に制約された所望の大きさを有する粒子を得る。その他の大きさの選択および修飾の工程、例えば分篩、サイクロン分類等もまた実施してよい。後に記載する例示されるゼラチン材料に関しては、乾燥粒径は好ましくは、約0.01mm〜約1.5mm、より好ましくは約0.05mm〜約1.0mmの範囲にある。例示される粒径分布は粒子の約95重量%超が約0.05mm〜約0.7mmの範囲内となるようなものとなる。重合体出発物質を細分化するための方法はホモゲナイズ、粉砕、コアセルベーション、ミリング、ジェットミリング等を包含する。粉末化された重合体出発物質はまた噴霧乾燥により形成してもよい。粒径分布は従来の手法、例えば分篩、凝集、別の粉砕等によりさらに制御および上質化してよい。
【0201】
[0211] 次に乾燥粉末化固体を本明細書に別途記載する通り水性緩衝液中に懸濁し、そして交差結合する。他の場合においては水和可能な交差結合重合体を水性緩衝液に懸濁し、交差結合し、次に乾燥してよい。交差結合した乾燥重合体を次に崩壊させ、そして崩壊した材料をその後水性緩衝液に再懸濁してよい。全ての場合において、得られた材料は上記した寸法を有する個別のサブネットワークを有する交差結合したヒドロゲルを含む。
【0202】
[0212] 機械的崩壊ののちのヒドロゲル形成成分として有用な水和可能な交差結合した重合体は典型的には再吸収可能であり、即ち、それらはそれらの初回適用ののち1年未満の期間内、通常は1〜120日、好ましくは1〜90日、より好ましくは2〜30日間内に、患者身体内で生体分解されることになる。再吸収のために必要な時間の長さを計測するための手法は知られている。
【0203】
III.密閉材マトリックス組成物の実施形態の1つのグループの生成および使用:多孔性マトリックスと水和可能な交差結合した重合体の組み合わせ
[0213] 本発明による組成物は、水和することにより間隙の少なくとも一部を充填するヒドロゲルを形成できる水和可能な交差結合した重合体と組み合わせられた、交差結合して間隙を有する多孔性のマトリックスを形成できる第2の交差結合可能な成分と組み合わせて、第1の交差結合可能な成分を含む。当然ながら、本発明の組成物は(1)第1および第2の成分(即ち多孔性マトリックス);および(2)水和可能な交差結合した重合体を改変することを検討しながら、上記考察した用途の各々を含む種々の生物医薬用途のために使用することができる。例えばそのような組成物は血液に対する急速な物理的バリアを形成することにより出血を停止または抑制するための機械的密閉材として機能できる。従って、本発明の一部の実施形態は直接の「止血」作用(例えば凝固カスケードに対する生化学的作用;例えば凝固開始剤)を伴うことなく結果をもたらすことができる。
【0204】
[0214] ヒドロゲル形成成分は吸収材として作用できる(例えば血液および他の体液および組織に対して)。血液を吸収することにより、ヒドロゲル形成成分は、第1および第2の交差結合可能な成分のより高濃度を治療部位において維持することを確保することができ、そして、半乾燥状態の表面を第1および第2の交差結合可能な成分に対して与えることにより相互および包囲組織に対する交差結合が行われることを確保することができる。一部の実施形態においては、第1および第1の成分はヒドロゲル形成成分が血液を吸収している時と同時に交差結合できる。この吸収および交差結合は数秒間以内に起こることができ、そして結果として生じる密閉材マトリックスバリアは30分〜1時間で最高強度に達することができる。
【0205】
[0215] 一般的に、密閉材マトリックス組成物は「乾燥」しているが、一部最小限の水分含有量は例えばヒドロゲル形成成分中に存在してもよい。一部の場合においては、適用前に水和可能な交差結合重合体を部分的に予備水和することは、生理学的pHより高値のpHにおいて、あるいは標的部位における適用の前に第1および第2の成分が交差結合することを防止する条件下においてはそれを行うことが必要となる場合があるが、可能なことである。頻繁には密閉材マトリックス組成物は粉末化された、または溶融ケーキ状の形態となる。
【0206】
[0216] 密閉材マトリックス組成物を生成するために使用される第1の成分および第2の成分の濃度は多くの要因、例えば使用する特定の交差結合可能な成分の型および分子量および所望の最終用途に応じて変動してよい。一部の実施形態においては、第1および第2の成分のヒドロゲル形成成分に対する重量比は10〜50%w/w、15〜45%w/w、20〜42%w/w、30〜40%w/w、および28〜約42%w/wの範囲となる。一部の実施形態においては、第1および第2の歩の粒径は約50〜約90ミクロンの範囲となることができる。一部の実施形態においては、水和可能な交差結合重合体の粒径は約250〜約400ミクロンの範囲となることができる。
【0207】
[0217] 一部の実施形態においては、第1および第2の成分は乾燥粒子または粉末の形態として提供してよい。この形態においては、第1および第2の成分を共に混合し、そしてやはり乾燥粒子または粉末の形態のヒドロゲル形成成分と混合してよい。成分の混合はミリングブレード混合のようないずれかの機械的天下混合手段により達成してよい。得られた乾燥粉末密閉材マトリックス組成物を次に種々の容器、例えばカートン、エンベロープ、ジャー等に封入しておい。添加混合および充填は無菌条件下に行ってよく、あるいは、密閉材マトリックス組成物は例えばガンマ線照射により封入後に滅菌してよい。この時点で本発明の乾燥粉末の実施形態は使用可能状態となる。第1および第2の交差結合可能な重合体は生理学的条件下(例えば血液pH)でリアすることにより交差結合し、そしてこれにより本発明の3成分密閉材マトリックス組成物は、十分な水和用の体液が存在すれば、乾燥形態で所望の部位に直接適用して組織欠陥を密閉してよい。即ち、粉末密閉材マトリックス組成物を組織欠陥標的部位の上部および内部に向けて単に注ぎ込み、そして密閉材マトリックスバリアが形成するまでその位置に保持すればよい(例えばガーゼパッドまたは外科処置用手袋を使用する)。これは、種々の組織欠陥の大きさに対して使用することができる即時使用可の製品が望まれる外傷の状況において(例えば救命救急室または戦地において)特に有用かつ好都合なものとなる。
【0208】
[0218] 他の実施形態においては、第1および第2の成分およびヒドロゲル形成成分を支持体、または裏装上に固定化し、「密閉材マトリックスパッド」を形成してよい。これらの実施形態においては、支持体、例えばコラーゲンスポンジを提供し、そして次に密閉材マトリックス組成物を支持体上に固定化して使用に付す。密閉材マトリックス組成物は組織、有機材料、および合成材料に容易に結着するため、これらの実施形態は、より容易に取り扱いできる支持体を密閉材マトリックス組成物の適用のために使用してよいという点において、好都合である。効果的な密閉材マトリックスバリアを生じさせるために比較的少量の密閉材マトリックス組成物を必要とするという事実のために、比較的薄い層の密閉材マトリックス組成物を支持体に固定化すればよい。例えば、後述する実施例においては、表面上に固定化された密閉材マトリックス組成物僅か約0.5〜1.0gで極めて良好な止血特性を有する3cmx3cmのパッドが形成された。外科分野の当業者の知る通り、これらの実施形態は、組織血管の大きさが予測される状況において、そして粉末と比較して向上した取り扱い特性が望まれる場合に、望ましいものとなる。乾燥粉末の実施形態と同様、密閉材マトリックス組成物の密閉材マトリックスパッドの実施形態は、さらに提供を施すことなく、交差結合可能な組成物が交差結合してしまうまで組織欠陥に対してパッドの密閉材マトリックス組成物の側を押し付けることにより組織欠陥に直接適用してよい。
【0209】
[0219] 本発明の密閉材マトリックスパッドの実施形態のための支持体はいずれかの生体適合性の材料であってよい。コラーゲン支持体を本明細書においては詳述するが、他の支持体材料も使用してよい。例えば、生体適合性である他のタンパク質または多糖類の支持体材料も使用してよい。これらの支持体材料は密閉材マトリックスバリアとほぼ同じ速度でインビボで分解してよく、あるいは、密閉材マトリックスバリアとは異なる速度で分解してもよい。コラーゲンスポンジおよびその生成は外科の当該分野で良く知られており、そしてコラーゲンの生成および取り扱いは後に詳述する通りである。同様に、フィブリンから生成したスポンジも使用してよい。外科分野の当業者の知る通りスポンジ以外の形態も本発明の密閉材マトリックスパッド実施形態における支持体のために使用してよい。例えば、コラーゲンまたは他の材料のシートまたはフィルムを使用してよい。さらにまた、支持体は組織欠陥の形状により緊密に近似するパッドとするために、いずれかの有用な形状、例えば円錐、半球、棒状、楔形等を取ってよい。例えば支持体としての円錐の形状を有するコラーゲンスポンジを利用した密閉材マトリックスパッドは銃創を治療する場合に有用である場合がある。
【0210】
[0220] 典型的には、そのような支持体は構造的または機械的な成分として機能することになる。支持体は血液または他の液体が支持体内に浸透し、そして組成物との高度な接触が得られるようにある程度の多孔性を有してよい。そのような構造は約1.3X〜約1.5Xの膨潤ファクターを有する場合があり、従って外科用途に理想的である。例えば、スポンジ支持の組成物は、過剰な膨潤が脳に対して望ましくない圧力を与える可能性がある場合に、硬膜を密閉するために神経外科的処置において使用できる。一般的に市自体は典型的な組織欠陥に合致するために十分可撓性でなければならず、そして外科的な状況において良好な取り扱い特性を有さなければならない。
【0211】
[0221] 密閉材マトリックス組成物は種々の手段により支持体上に固定化してよい。後述する一部の実施形態においては、4アームのPEGである第1および第2の成分、および交差結合したゼラチンのヒドロゲル形成成分を含有する粉末化された密閉材マトリックス組成物を固定化するためには穏やかな加熱で十分である。これらの実施形態においては、粉末化された密閉材マトリックス組成物をコラーゲンスポンジ上に添加し、そして約1〜2分間60〜70℃に加熱した。この熱において乾燥粉末マトリックスは僅かに溶融し、コラーゲンスポンジの表面に融着した。あるいは、密閉材マトリックス組成物は医薬品分野で知られている結合剤または他の賦形剤を用いて支持体に固定してよい。一般的に支持体に密閉材マトリックス組成物を固定するために使用される手法は密閉材マトリックスの第1および第2の成分およびヒドロゲル形成成分に応じたものとなる。支持体に密閉材マトリックスを固定化するために使用される方法は生理学的状態に曝露された場合に交差結合する第1および第2の成分の能力、または、生物学的流体を吸収するヒドロゲル形成成分の能力を無視できない程度に低下させてはならない。
【0212】
[0222] 他の実施形態において、密閉材マトリックス組成物は支持体を伴っていないシートまたはフィルムに形成してもよい。密閉材マトリックス組成物のそのような形成は密閉材マトリックスパッドの実施形態のための支持体に密閉材マトリックス組成物を固定化するための上記方法を用いて達成してよい。
【0213】
IV.密閉材マトリックス組成物中の追加的成分の付加
[0223] 本発明の追加的実施形態において、第1および第2の交差結合可能な成分およびヒドロゲル形成成分以外の成分を本発明の密閉材マトリックス組成物に添加してよい。一般的にこれらの追加的成分は第2および第2およびヒドロゲル形成成分と乾燥形態において添加混合してよい。追加的成分は追加的な機械的強度を付与するか、あるいは、特定の用途のための本発明の密閉材マトリックス組成物の性能を別様に向上させてよい。例えば、不透明であり、そして非微小繊維コラーゲンよりも粘着性が低いため、微小繊維コラーゲンは場合により生物接着剤尿組成物における使用のためには好適度が低い場合がある。しかしながら米国特許5,614,587に開示されている通り、微小繊維コラーゲンまたは非微小繊維および微小繊維コラーゲンの混合物は、インビボの長期の持続性を意図した接着剤組成物における使用のためには好適である場合がある。種々の脱アセチル化および/または脱スルフェート化されたグリコサミノグリカン誘導体をコラーゲンに関して上記下物と同様の態様において組成物に配合することができる。
【0214】
[0224] コラーゲンのような天然に存在するタンパク質、およびグリコサミノグリカンのような種々の天然に存在する多糖類の誘導体を、本発明の第1および第2の成分が生理学的条件下で反応して交差結合する場合に、密閉材マトリックスバリア内に配合できる。これらの他の成分もまた合成重合体上の官能基と反応することになる官能基を含有している場合には、標的部位における第1および第2の成分の交差結合の間のその存在は交差結合した合成重合体−天然に存在する重合体のマトリックスの形成をもたらすことになる、特に天然に存在する重合体(タンパク質または多糖類)が第1級アミノ基のような求核性基を同様に含有する場合、第2の交差結合可能な成分上の求電子性基はこれらの成分上の第1級アミノ基、並びに、第1の交差結合可能な成分上の求核性基と反応することになり、これにより、これらの他の成分が密閉材マトリックスバリアの部分となる。
【0215】
[0225] 一般的に、グリコサミノグリカンは典型的には、第2の交差結合可能な成分上の求電子性基との反応のために使用できる第1級アミノ基を含有するために、脱アセチル化、脱スルフェート化または両方により化学的に誘導体化される。上記した方法のいずれかまたは両方により誘導体化することができるグリコサミノグリカンは以下のもの、即ち:ヒアルロン酸、硫酸コンドロイチンA、硫酸コンドロイチンB(デルマタンスルフェート)、硫酸コンドロイチンC、キチン(キトサンに誘導体化できる)、硫酸ケラチン、ケラトスルフェートおよびヘパリンを包含する。脱アセチル化および/または脱スルフェート化によるグリコサミノグリカンの誘導体化、および、結果として生じたグリコサミノグリカン誘導体の合成親水性重合体との共有結合は共通譲渡され許可されている米国特許5,510,418にさらに詳細に説明されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0216】
[0226] 同様に、第2の交差結合可能な成分上の求電子性基は特定の天然に存在するタンパク質のリジン残基上の第1級アミノ基またはシステイン残基上のチオール基とリアしてよい。リジンリッチのタンパク質、例えばコラーゲンおよびその誘導体は合成重合体上の求電子性基に対して特に反応性である。本明細書においては、「コラーゲン」という用語は、いずれかの原料に由来するいずれかの型のコラーゲン、例えば限定しないが、組織から抽出された、または組み換え生成されたコラーゲン、コラーゲン類縁体、コラーゲン誘導体、修飾されたコラーゲン、および変成されたコラーゲン、例えばゼラチンを包含することを意図している。合成親水性重合体へのコラーゲンの共有結合は同時譲渡されたRhee等への1992年11月10日発行の米国特許5,162,430に詳述されている。
【0217】
[0227] 一般的に、いずれかの原料に由来するコラーゲンを本発明の組成物中に使用してよく;例えばコラーゲンはヒトまたは他の哺乳類の材料、例えばウシまたはブタの真皮およびヒトの胎盤から抽出または精製してよく、あるいは組み換えにより、または別様に生成してよい。ウシ皮膚からの溶液としての精製された、実質的に非抗原性のコラーゲンの生成は当該分野で良く知られている。Palefsky等への1995年6月27日発行の米国特許5,428,022はヒト胎盤由来のコラーゲンを抽出および精製する方法を開示している。米国特許5,667,839はトランスジェニックの乳牛を包含するトランスジェニックの動物の乳汁中で組み換えヒトコラーゲンを生成する方法を開示している。「コラーゲン」または「コラーゲン材料」という用語は本明細書においては、プロセシングされている、または別様に修飾されているものを包含するコラーゲンのすべての形態を指す。
【0218】
[0228] 何れの型のコラーゲン、例えば限定しないがI、II、III、IV型またはこれらの何れの組み合わせも本発明の組成物中に使用してよいが、I型が好ましい場合が多い。アテロペプチドまたはテロペプチドを含有するコラーゲンの何れも使用してよいが;外因性の原料由来のコラーゲン、例えばウシコラーゲンを使用する場合は、アテロペプチドが好ましい場合が多く、その理由はそれがテロペプチド含有コラーゲンと比較して低減された免疫原性を有するためである。
【0219】
[0229] 熱、放射線照射、または化学交差結合剤のような方法により予め交差結合されていないコラーゲンを本発明の組成物中で使用することができ、そして予め交差結合されているコラーゲンも同様に使用してよい。非交差結合アテロペプチド微小繊維コラーゲンはそれぞれZyderm(登録商標)IコラーゲンおよびZydermIIコラーゲンの商標の下に35mg/mlおよび65mg/mlのコラーゲン濃度のものがCollagen Corporation(Palo Alto,Calif.)から販売されている。グルタルアルデヒド交差結合アテロペプチド微小繊維コラーゲンはZyplast(登録商標)コラーゲンの商標の下に35mg/mlのコラーゲン濃度のものがCollagen Corporationから販売されている。本発明における使用のためのコラーゲンは一般的に乾燥した凍結乾燥粉末形態である。
【0220】
[0230] 自身の粘着性のコンシステンシーのために、非微小繊維コラーゲンは典型的には生物接着剤としての使用を意図している本発明の組成物中で使用される。「非微小繊維コラーゲン」という用語はコラーゲンの水性懸濁液の光学的清澄度により示した場合に、pH7において実質的に非微小繊維形態にあるいずれかの修飾されたまたは非修飾のコラーゲン材料を包含する。
【0221】
[0231] 既に非微小繊維形態にあるコラーゲンは本発明の組成物中で使用してよい。本明細書においては、「非微小繊維コラーゲン」という用語は天然の形態において非微小繊維であるコラーゲンの型、並びに、中性またはその近傍のpHにおいて非微小繊維形態にあるように化学的に修飾されているコラーゲンを包含することを意図している。天然の形態において非微小繊維(またはマイクロ微小繊維)であるコラーゲンの型はIV、VIおよびVII型を包含する。
【0222】
[0232] 中性pHにおいて非微小繊維形態である化学修飾されたコラーゲンは、スクシニル化焦げおよびメチル化コラーゲンを包含し、これらの両方とも参照により全体が本明細書に組み込まれるMiyata等への1979年8月14日発行の米国特許4,164,559に記載された方法により生成できる。自身の固有の粘着性のため、メチル化コラーゲンは典型的には米国特許5,614,587に開示されている通り生物接着剤組成物中で使用される。
【0223】
[0233] 本発明の密閉材マトリックス組成物中の使用のためのコラーゲンは微小繊維形態で発生し、次に繊維分解剤1つ以上を添加することにより非微小繊維とされてよい。繊維分解剤は典型的には上記した通りpH7においてコラーゲンを実質的に非微小繊維とするために十分な量で存在する。本発明における使用のための繊維分解剤は、例えば限定しないが種々の生体適合性のアルコール、アミノ酸、無機の塩、および炭水化物を包含し、生体適合性のアルコールが特に好ましい。好ましい生体適合性アルコールはグリセロールおよびポリエチレングリコールを包含する。一部の場合においては、非生体適合性のアルコール、例えばエタノール、メタノールおよびイソプロパノールは、それらを投与される患者の身体に対しするそれらの潜在的な有害作用のために、本発明の第1および第2の重合体における使用のためには望ましくない場合がある。アミノ酸の例はアルギニンを包含する。無機の塩の例は塩化ナトリウムおよび塩化カリウムを包含する。スクロースを包含する種々の糖類のような炭水化物を本発明の実施において使用してよいが、それらはインビボで細胞毒性作用を示す場合があるため、繊維分解剤の他の型ほどは好適ではない。
【0224】
[0234] 密閉に加えて組織接着における使用のためには、細胞接着を促進するために密閉材マトリックス組成物中にアルブミン、フィブリンまたはフィブリノーゲンのようなタンパク質を配合することが望ましい場合がある。さらにまた、カルボキシメチルセルロースのようなヒドロコロイドの導入が組織接着および/または膨潤可能性を促進する場合がある。
【0225】
[0235] 本発明の密閉材マトリックス組成物はまた追加的な生物活性剤または化合物1つ以上を含んでよい。1つの実施形態において、タキソール誘導体のような生物活性剤を密閉材マトリックス組成物に添加することにより組織欠陥部位における接着を防止してよい。他の実施形態においては、生物活性剤、例えば抗生物質または抗微生物剤を、例えば病原性生物が組織欠陥部位または創傷に侵入する可能性がある外傷誘導創傷状況(例えばナイフまたは銃弾による創傷)における使用のための密閉材マトリックスに添加してよい。他の実施形態においては成長因子のような生物活性剤組成物から局所組織部位に送達することにより組織の治癒および再生を促進してよい。別の実施形態においては、トロンビンのような血液凝固剤を添加して凝固カスケードを活性化することにより、密閉および組織の再生をさらに向上させてよい。例示される生物活性成分は限定しないがタンパク質、炭水化物、核酸、および無機および有機の生物活性分子、例えば酵素、抗生物質、抗新生物剤、細菌増殖抑制剤、抗接着形成剤(例えばタキソール誘導体)、殺菌剤、抗ウィルス剤、止血剤、局所麻酔剤、抗炎症剤、ホルモン、抗血管形成剤、抗体、神経伝達物質、精神活性剤、生殖器に影響する薬剤およびオリゴヌクレオチド、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドを包含する。「生物活性剤」または「活性剤」とは本明細書においてはインビボで生物学的作用を呈する有機または無機の分子を包含する。活性剤の例は限定しないが、酵素、受容体拮抗剤またはアゴニスト、ホルモン、成長因子、自己由来骨髄、抗生物質、抗接着形成剤、抗微生物剤、他の薬剤、および抗体を包含する。「活性剤」という用語はまた、上記において定義した活性剤2つ以上の組み合わせまたは混合物を包含することも意図している。
【0226】
[0236] そのような生物活性成分は典型的には比較的低い濃度において、典型的には組成物の10重量%未満において、通常は5重量%未満、頻繁には1重量%未満において存在することになる。そのような活性剤2つ以上は単一の組成物中において組み合わせてよく、および/または、異なる活性成分が送達部位において相互作用する場合にはそのような成分を送達するために組成物2つ以上を使用してよい。例示される止血剤はトロンビン、フィブリノーゲンおよび凝固因子を包含する。トロンビンのような止血剤は例えばヒドロゲルml当たり約50〜約10,000単位のトロンビン、またはヒドロゲルml当たり約100〜約1000単位のトロンビンの範囲の濃度において添加してよい。
【0227】
[0237] 交差結合した第1および第2の重合体の組成物はまた、X線または19F−MRIによる投与後の組成物の可視化を支援するためにそれぞれヨウ素またはバリウム、またはフッ素のような種々の画像化剤を含有するように生成できる。
【0228】
[0238] 本発明の組成物における使用のための好ましい活性剤は、成長因子、例えば形質転換成長因子(TGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、血小板誘導成長因子(PDGF)、表皮成長因子(EGF)、結合組織活性化ペプチド(CTAP)、骨形成因子、およびこれらの成長因子の生物学的に活性な類縁体、フラグメント、および誘導体を包含する。多機能性調節タンパク質である形質転換成長因子(TGF)スーパー遺伝子ファミリーのメンバーが特に好ましい。TGFスーパー遺伝子ファミリーのメンバーはベータ形質転換成長因子(例えばTGF−β1、TGF−β2、TGF−β3);骨形態形成タンパク質(例えばBMP−1、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−7、BMP−8、BMP−9);ヘパリン結合成長因子(例えば線維芽細胞成長因子(FGF)、表皮成長因子(EGF)、血小板誘導成長因子(PDGF)、インスリン様成長因子(IGF);インヒビン(例えばインヒビンA、インヒビンB);生育分化因子(例えばGDF−1);およびアクチビン(例えばアクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB)を包含する。
【0229】
[0239] 成長因子は哺乳類細胞由来のような天然または自然の原料から単離することができ、あるいは、組み換えDNA手法によるか、または種々の化学的プロセスにより合成的に生成できる。さらにまた、これらの因子の類縁体、フラグメント、または誘導体も、それらが天然分子の生物活性の少なくとも一部分を呈する限り、使用できる。例えば類縁体は部位特異的突然変異誘発または他の遺伝子操作手法により改変された遺伝子の発現により生成できる。
【0230】
[0240] 生物活性剤は密閉材マトリックス組成物に添加混合することにより配合してよい。1つの実施形態において、活性剤は乾燥または凍結乾燥形態において粉末化密閉材マトリックス組成物に混合してよい。別の実施形態においては、この添加混合は密閉材マトリックス組成物に関して上記した通りコラーゲンのような固体支持体上に固定化してよい。他の実施形態においては、薬剤は第1および第2成分の合成重合体上の官能基とこれらの薬剤を結合させることにより、上記した通り密閉材マトリックス組成物内に配合してよい。官能性的に活性化されたポリエチレングリコールを用いた成長因子のような生物学的に活性な薬剤を共有結合するためのプロセスは共通譲渡されているRhee等に1992年11月10日に発行された米国特許5,162,430に記載されている。そのような組成物は好ましくは、例えば酵素的分解の結果として容易に生体分解されることができ、これにより活性剤を標的組織に放出させ、そこにおいてその所望の治療効果を発揮させることになる連結部を包含する。
【0231】
[0241] 交差結合した重合体組成物内への求核性基含有生物活性剤の配合のための簡単な方法では、活性剤を第1成分、第2成分、およびヒドロゲル形成成分と混合した後に、乾燥状態において投与する。組織結果への密閉材マトリックス組成物の適用および生物学的流体との接触により、生物活性剤は第2の成分と反応して交差結合することになり、これにより、ヒドロゲル形成成分が生物学的流体を吸収するに従って、第1および第2の成分の多孔性の交差結合マトリックスとなる。この操作法は形成された密閉材マトリックスバリアの交差結合した成分の重合体マトリックスの部分への活性剤の共有結合をもたらし、これにより、高度に効果的な除放性組成物が生成することになる。
【0232】
[0242] 使用される活性剤の型および量は、他の要因の中でも、治療すべき特定の部位および状態、および、選択された活性剤の生物活性および薬物動態に依存することになる。
【0233】
V.生物接着剤としての密閉材マトリックス組成物の使用
[0243] 本発明の密閉材マトリックス組成物は一般的に接着性であり、そして、標的部位の組織内のコラーゲンの求核性基に第2の交差結合可能な成分の求電子性基が反応すると、協力に組織に結合する。本発明の一部の多孔性マトリックス組成物は非常に高値の粘着性を有することができる。即ち、止血のためのバリアマトリックスとしての使用に加えて、本発明の密閉材マトリックス組成物は生理学的条件下に含水または湿潤した組織に結合する生物接着剤として有用である。本明細書においては、「生物接着剤」、「生物学的接着材」および「外科用接着剤」という用語は互換的に使用してよく、2つの天然組織の表面の間、または、天然組織表面と非天然組織表面または合成インプラント表面との間に一時的または永久的な結合をもたらすことができる生体適合性組成物を包含する。
【0234】
[0244] 第1の表面の第2の表面への結合を起こすための一般的な方法においては、密閉材マトリックス組成物(例えば乾燥粉末またはシート形態における)を第1の表面に適用する。次に第1の表面を第2の表面に好ましくは即座に接触させることにより、2つの面の間の接着を起こさせる。第1および第2の表面の少なくとも1つは好ましくは天然組織表面である。実施例において使用した交差結合ゼラチンのような機械的に安定なヒドロゲル形成成分を組成物中に使用する場合、結果として生じる多孔性マトリックスは第1および第2の交差結合可能な成分のみを含有する組成物とは反対に、増大した機械的強度を呈する。即ち2つの組織の表面の間の接着の強度は、組織間の多孔性マトリックスの層が生理学的な機械的応力下に内部で分離する可能性が低下するため、増大することになる。
【0235】
[0245] 2つの表面は、交差結合反応が終了まで進行する間、手動により、あるいは他の適切な手段を用いながら共に保持してよい。交差結合は典型的には密閉材マトリックス組成物適用後5〜60分以内に終了する。しかしながら完全な交差結合が起こるために必要な時間は多くの要因、例えば第1および第2の交差結合可能な成分の型および分子量、そして最も特定すれば、標的部位における2成分の有効濃度に依存している(即ちより高い濃度はより速い交差結合時間をもたらす)。
【0236】
[0246] 第1および第2の表面の少なくとも1つは好ましくは天然の組織表面である。本明細書においては、「天然の組織」という用語は治療すべき特定の患者の身体にとって天然である生物学的組織を包含する。本明細書においては、「天然の組織」という用語はある患者の身体の別の部分への移植のために同患者の身体の一部分から隆起または取り出されている生物学的組織を包含する(例えば骨の自家移植片、皮膚弁の自家移植片等)。例えば、本発明の一部の実施形態の組成物は熱傷負傷者の場合のように、患者の身体のある部分に由来する皮膚片を身体の別の部分に接着するために使用できる。
【0237】
[0247] 他の表面は天然の組織表面、非天然の組織表面、または合成インプラントの表面であってよい。本明細書においては、「非天然の組織」という用語はレシピエント患者の身体内への移植のためにドナー患者(レシピエント患者と同じ種または異なる種のものであってよい)の身体から取り出されている生物学的組織を包含する(例えば組織および臓器の移植物)。例えば本発明の交差結合した重合体組成物は患者の心臓内部に異種移植片の心臓弁を固定し、そして心臓弁の周囲を密閉して漏出を防止するために為に使用できる。
【0238】
[0248] 本明細書においては、「合成インプラント」という用語は天然の組織および非天然の組織に関わる上記定義により包含されない患者の身体内への移植を意図しているいずれかの生体適合性の材料を包含する。合成のインプラントは、例えば人工血管、心臓弁、人工臓器、骨補綴物、インプラント可能なレンズ核、血管移植片、ステント、およびステント/移植片の組み合わせ等を包含する。
【0239】
VI.接着防止のための密閉材マトリックス組成物の使用
[0249] 本発明の密閉材組成物の別の用途は内部の組織または臓器に至る外科処置または傷害の後の接着部の形成を防止するために組織を被覆することである。外科処置後の接着部の形成を防止するために組織をコーティングするための一般的な方法においては、第1および第2の合成重合体を水和可能な交差結合重合体と混合するか予備混合し、次に反応混合物の薄層を外科処置部位を含む、包囲する、および/またはこれに隣接する組織に適用し、その後、実質的な交差結合を第1の合成重合体上の求核性基と第2の合成重合体上の求電子性基との間で生じさせる。反応混合物の組織部位への適用は粉末組成物に関しては押し出し、散布、ブラシング、噴霧(上記)により、組織への密閉材マトリックス組成物の薄層またはフィルムの設置により、または、いずれかの他の好都合な手段により行ってよい。
【0240】
[0250] 外科処置部位への反応混合物の適用の後、交差結合をインサイチュで継続した後に、外科処置切開部を閉鎖する。交差結合が平衡に達すれば、コーティングされた組織と接触させられる組織はコーティングされた組織には粘着しないことになる。この時点において、外科処置部位を従来の手段(縫合等)により閉鎖することができる。
【0241】
[0251] 一般的に比較的短時間(即ち第1の合成重合体と第2の合成重合体の混合後5〜15分)以内に完全な交差結合を達成する組成物は、外科的捜査の終了後比較的早期に外科処置部位を閉鎖してよいように、外科処置部接着の防止における使用に適している場合がある。さらにまた、実施例において使用される交差結合ゼラチンのような比較的高い機械的強度を有する水和可能な交差結合重合体を組成物中で使用することによりコーティングの機械的安定性を上昇させることが好ましい。
【0242】
[0252] 以下の実施例は密閉材マトリックス組成物を形成するために第2の交差結合可能な成分およびヒドロゲル形成成分と組わせた第1の交差結合可能な成分の生成および特性化を説明しており、そしてコンジュゲート、組成物および装置の好ましい実施形態をどのようにして製作するかに関する完全な開示および説明を当業者に提示するために示したものであり、そして本発明がその発明とみなすものの範囲を限定する意図はない。使用した数(例えば量、温度、分子量等)に関しては正確さが確保されるように努力したが、一部の実験誤差や偏差は考慮されなければならない。特段の記載が無い限り、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏であり、そして圧力は大気圧近傍である。
【実施例】
【0243】
VII.実施例
実施例1:密閉材マトリックスにおける使用のための第1および第2の成分の組成物:交差結合した多アミノPEG組成物の生成
[0253] 種々のジアミノPEGの以下の保存溶液を生成した:Jeffamine ED−2001(Texaco Chemical Company,Houston,Tex.より入手)10グラムを水9mlに溶解した。Jeffamine ED−4000(やはりTexaco Chemical Companyより入手)10グラムを水9mlに溶解した。ジアミノPEG(3400MW、Shearwater Polymers,Huntsville,Ala.から入手)0.1グラムを水300μlに溶解した。上記生成した3種のジアミノPEG溶液の各々を以下の表1に示す通り、3官能性的に活性化されたSC−PEG(TSC−PEG、5000MW、やはりShearwater Polymersより入手)の水溶液と混合した。
【0244】
【表1】
[0254] ジアミノPEGおよびTSC−PEGの溶液をシリンジトゥーシリンジの混合を用いて混合した。材料の各々をシリンジから押し出し、そして37℃で1時間硬化させた。材料の一部はゲルを形成した。一般的にゲルは含水量の増大に従って軟化し;彗星溶媒(水またはPBS)の最少量を含有するゲルが最も堅固であった。
【0245】
実施例2:密閉材マトリックスにおける使用のための第1および第2の成分の組成物:交差結合したポリ(リジン)組成物の生成
[0255] リン酸塩緩衝液(0.2M、pH=6.6)0.1ml中の臭化水素酸ポリ−L−リジン(8,000MW、Peninsula Laboratories,Belmont,Calif.より入手)10ミリグラムを0.1mlPBS中の4官能性的に活性化されたSE−PEG(10,000MW、Shearwater Polymers,Huntsville,Ala.より入手)10gと混合した。組成物はほぼ即座に軟質のゲルを形成した。
【0246】
実施例3:密閉材マトリックスにおける使用のための第1および第2の成分の組成物:テトラアミノPEG/テトラSE−PEG製剤のゲル形成に対するpHの影響
[0256] pH6、7および8において種々の濃度のテトラアミノPEGおよびテトラSE−PEGを含むゲルをペトリ皿中に生成した。テトラアミノPEGおよびテトラSE−PEGの混合ののち、ディッシュを繰り返し傾け;製剤が流動を停止した時点をゲル化時間とみなした。室温における種々のテトラアミノPEG/テトラSE−PEGを製剤のゲル化時間に対するpHの影響を以下の表2に示す。
【0247】
【表2】
[0257] ゲル形成に必要な時間は、pHの上昇およびテトラアミノPEGおよびテトラSE−PEG濃度の上昇とともに低下した。
【0248】
実施例4:ヒドロゲル形成成分材料の評価および交差結合およびパーセント膨潤測定の方法
[0258] ゼラチン粒子を交差結合剤(例えばグルタルアルデヒド0.005〜0.5重量%)を含有する水性緩衝液(例えば0.2Mリン酸ナトリウム、pH9.2)中で膨潤させた。反応混合物を一夜冷蔵庫に保持し、次に脱イオン水で3回、エチルアルコールで2回洗浄し、周囲温度で乾燥させた。乾燥した交差結合ゼラチンを固定された時間、周囲温度で低固形分濃度(2〜3%)において水性緩衝液中に再懸濁した。緩衝液は平衡膨潤のために必要な濃度を実質的に超過するものとし;そして2相(ヒドロゲル相および緩衝液)が生じた。次に湿潤したヒドロゲルを含有する懸濁液を、0.8μmの名目カットオフのフィルターメンブレン(Millipore,Bedford,Mass.)上で真空を適用することにより濾過した。過剰な緩衝液を除去した後、保持されている湿潤したヒドロゲルおよび湿潤したフィルターメンブレンの合わせた重量を記録した。次にヒドロゲルおよびメンブレンを少なくとも2時間約120℃で乾燥し、そして乾燥したヒドロゲル残渣および乾燥したフィルターメンブレンの合わせた重量を記録した。ヒドロゲル残渣を伴わない湿潤したフィルターメンブレンおよびヒドロゲルを伴わない乾燥したフィルターメンブレンの試料の計測を数回行い、そして湿潤ヒドロゲルおよび乾燥ヒドロゲルの実質重量を推定するために使用した。次に「パーセント膨潤」を以下の通り計算した。
パーセント膨潤=100x [(ヒドロゲル湿潤重量−ヒドロゲル乾燥重量)/ヒドロゲル乾燥重量]。
【0249】
[0259] 膨潤性の計測は少なくとも3連で実施し、そしてゼラチンの所定試料に関して平均した。湿潤重量の計測前18〜24時間緩衝液中に再懸濁した試料に関するパーセント膨潤の値は「平衡膨潤性」として定義した。
【0250】
[0260] 得られた交差結合ゼラチン材料は400%〜1300%の範囲の平衡膨潤性の値を示した。平衡膨潤性の程度は交差結合の方法および進行度に依存していた。
【0251】
実施例5:密閉材マトリックスにおける使用のためのヒドロゲル形成成分:EDCを用いて交差結合したゼラチンよりなるフラグメント化した水和可能な交差結合重合体生成物
[0261] ゼラチン(Atlantic Gelatin,General Foods Corp.,Woburn,Mass.)を70℃で1〜10%固形分(w/w)(より好ましくは8%)となるように蒸留水中希釈した。次に0.2%〜3.5%(または0.2%〜0.3%)において1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)(Sigma,St.Louis,Mo.)を添加した。攪拌することにより形成したヒドロゲルを1時間室温で放置した。ヒドロゲルはFreezone12凍結乾燥システム(Labconco,Mo.)を用いて乾燥し、そしてWaring Blenderの31BC91型(VWR,Willard,Ohio)を用いて微細に粉砕した。次に乾燥した重合体組成物をシリンジ内に投入し、緩衝液で平衡化した。平衡膨潤性は少なくとも1000%であることがわかった。結果を表3に示す。
【0252】
【表3】
実施例6:密閉材マトリックスにおける使用のためのヒドロゲル形成成分:EDCを用いて交差結合したゼラチンおよびポリ(L)グルタミン酸よりなるフラグメント化した水和可能な交差結合重合体生成物
[0262] ゼラチン(Atlantic Gelatin,General Foods Corp.,Woburn,Mass.)を70℃で1〜10%固形分(w/w)(より好ましくは8%)となるように蒸留水中希釈した。次にポリ(L)グルタミン酸(PLGA)(Sigma,St.Louis,Mo.)10%(w/w)(より好ましくは2〜5%)および0.2%〜3.5%(または0.2%〜0.4%)で1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)(Sigma,St.Louis,Mo.)を添加した。攪拌することにより形成したヒドロゲルを1時間室温で放置した。ヒドロゲルは固定された時間(例えば20時間)過剰な食塩水中で膨潤させた。次にヒドロゲルをフィルターメンブレン(Millipore,Bedford,Mass.)上で真空を適用することにより濾過した。平衡膨潤性は少なくとも1500%であることがわかった。結果を表4に示す。
【0253】
【表4】
実施例7:密閉材マトリックスにおける使用のためのヒドロゲル形成成分:フラグメント化した水和可能な交差結合重合体ヒドロゲルの生成
[0263] ウシ真皮(Spears Co.,PA)を2℃〜30℃(好ましくは22℃〜30℃)の温度で1〜18時間(または1〜4時間)に渡り、水酸化ナトリウム(Spectrum Chemical Co.,CA)の水溶液(0.1M〜1.5M、または0.4M〜1.2M)中で振とうした。次に真皮のスラリーを無機酸、例えば塩酸、リン酸または硫酸(Spectrum Chemical Co.,CA)を用いて中和し、そして、中和された液体を次に分篩濾過により不溶性真皮から分離した。次に真皮を発熱物質非含有水およびアルコール、例えばイソプロピルアルコール(Spectrum Chemical Co.,CA)を用いて洗浄した。3〜12回洗浄後、真皮を発熱物質非含有水に懸濁し、そして真皮の水スラリーを次に50℃〜90℃、好ましくは60℃〜80℃にまで加熱することにより真皮を熱的にゼラチン化した。ゼラチン化サイクルの間、真皮水スラリーのpHはpH3〜pH11、またはpH7〜pH9に調節制御した。さらにまた、スラリー中の不溶性真皮は振とうおよび/またはホモゲナイズにより崩壊してもよい。崩壊は熱ゼラチン化サイクルの前または後に行うことができる。熱ゼラチン化は1〜6時間行った。ゼラチン化ののち、スラリーを濾過により清澄化した。ゼラチンスラリーは15℃〜40℃、好ましくは20℃〜35℃で風乾することにより脱水した。水分含有量が20重量%未満であることを乾燥しているとみなした場合の乾燥ゼラチンを、次に粉砕により崩壊させた。
【0254】
[0264] 乾燥ゼラチンを0.0025〜0.075重量%でグルタルアルデヒド(Amresco Inc.,OH.)を含有し、そしてpHが7〜10である冷却(5℃〜15℃)の水溶液に添加した。この溶液のゼラチン濃度は1〜10重量%であった。グルタルアルデヒドを1〜18時間の期間に渡りゼラチン顆粒を交差結合させた後、ゼラチンを濾過または沈降により水相から分離させた。次にゼラチン粒子をナトリウムボロハイドライド(Spectrum Chemical Co.,CA.)0.00833〜0.0667重量%を含有する水溶液に添加し、その際ゼラチン濃度は再度1〜10重量%とし、そしてpHは7〜12、または7〜9とした。1〜6時間の後、交差結合ゼラチンを濾過または沈降により水相から分離させた。次にゼラチンをゼラチン濃度1〜10重量%としながら発熱物質非含有水に再懸濁することにより残存した交差結合剤および還元剤を除去した後、濾過または沈降により水相から分離した。交差結合したゼラチンの最終的な収集はフィルターメッシュまたは分篩材の上で行い、そして発熱物質非含有の水で最終的にゼラチンを洗浄した。次に湿潤した交差結合ゼラチンを15℃〜40℃の乾燥チャンバーないに入れた。乾燥した交差結合ゼラチン(即ち水分含有量20重量%未満の交差結合ゼラチン)を乾燥チャンバーから取り出し、次に機械的な粉砕ミルを用いて粉砕することにより0.020mm〜2.000mmの典型的な粒径分布を有する粉末を得た。
【0255】
実施例8:急速作用性の乾燥止血密閉材粉末
[0265] 急速作用性の乾燥止血密閉材粉末を、第1の交差結合可能な成分、第2の交差結合可能な成分、およびヒドロゲル形成成分を組み合わせることにより生成した。第1の交差結合可能な重合体(PEG−A)はPEG−スクシンイミジル粉末であり、第2の交差結合可能な重合体(PEG−B)はPEG−チオール粉末であり、そしてヒドロゲル形成成分は交差結合したゼラチン粉末とした。
【0256】
実施例9:急速作用性の乾燥密閉材パッド
[0266] 急速作用性の乾燥密閉材パッドを、第1の交差結合可能な成分、第2の交差結合可能な成分、およびヒドロゲル形成成分を組み合わせることにより生成した。得られた組成物、粉末密閉材マトリックス組成物を凍結乾燥したコラーゲンスポンジ上に搭載し、そして1〜2分間60〜70℃に加熱した。乾燥粉末マトリックスはこの熱で僅かに溶融し、自身をコラーゲンスポンジの表面に固定させ、これにより密閉材マトリックスパッドを形成した。あるいは密閉材マトリックス組成物を結合剤または医薬品分野で知られた他の賦形剤を用いて支持体上に固定化してもよい。一般的に支持体に密閉材マトリックス組成物を固定化するために使用される手法は密閉材マトリックス組成物の第1および第2の成分およびヒドロゲル形成成分により変動してよい。本発明の密閉材マトリックスパッド実施形態は、密閉材マトリックス組成物をスポンジまたは他の適当な支持体手段を介して取り扱いながら外科処置部位に送達することができる好都合なフォーマットを提供する。
【0257】
実施例10:脾動脈穿刺を治療するための密閉材粉末
[0267] 図7A〜Eは本発明の実施形態による脾動脈穿刺を治療するための密閉材マトリックス組成物の適用を説明している。ブタを約3Xベースラインまでヘパリン処理した。図7Aに示す通り、樋動脈穿刺は18G針700を用いてブタにおいて外科的に誘導した。穿刺の後、過剰な出血705が動脈710から観察された。図7Bおよび7Cに示す通り、密閉材粉末マトリックス組成物720約700mgをシリンジ730を介して穿刺部位に適用し、そして手袋を装着した指740を用いて2分間その部位に穏やかに圧着または定置させた。密閉材粉末は凝集体750を形成し、これは出血を十分停止させているように観察された。部位を図7Dに示す通り灌流装置760を用いて適用後5分に灌流し、過剰な粉末組成物を洗浄除去した。凝集体をピンセットで掴んだところ、それは組織に対して極めて良好に接着しており、そして優良な一体性を示していた。図7Eに示す通り、凝集体750はピンセット770で剥離することにより適用後44分に除去し、そして再開出血715が観察された。
【0258】
実施例11:肝切開を治療するための密閉材粉末
[0268] 図8A〜Eは本発明の実施形態による肝切開を治療するための密閉材マトリックス組成物の適用を説明している。ブタを約3Xベースラインまでヘパリン処理した。図8Aに示す通り、ブタの肝臓805の中葉の先端800即ち端部を、鋏810を用いて切開した。切開の後、過剰な出血815が部位から観察された。図8Bに示す通り、密閉材マトリックス組成物820約6ml(2g)を部位に適用し、そして2分間シリンジ825の先端で定置に保持した。図8Cに示す通り、手袋を装着した指を用いて患部に対し粉末を圧着または保持した。密閉材粉末は凝集体835を形成し、これは出血を十分停止させているように観察された。部位を図8Dに示す通り灌流装置840を用いて適用後8分に灌流した。凝集体をピンセットで掴んだところ、それは組織に対して極めて良好に接着しており、そして優良な一体性を示していた。凝集体835はピンセット845で剥離することにより適用後28分に除去し、そして再開出血850が観察された。
【0259】
実施例12:脾臓患部を治療するための密閉材粉末
[0269] 脾臓の患部は6mmの生検組織パンチを用いて外科的にブタにおいて誘導した。ブタは約2.5Xベースラインとなるまでヘパリン処理した。組織パンチの後、過剰な出血が脾臓から観察された。密閉材マトリックス組成物粉末約700mg(2ml)を12mlシリンジの端部を用いて穿刺部に適用した。材料を定置に保持するために圧力はかけなかった。密閉材粉末は凝集体を形成し、それは十分出血を停止しているように観察された。部位を適用後4分に灌流した。凝集体をピンセットで掴んだところ、それは組織に対して極めて良好に接着しており、そして優良な一体性を示していた。凝集体は剥離することにより適用後25分に除去し、そして再開出血が観察された。
【0260】
実施例13:機械的応力試験
[0270] プラスチック鋳型中においてブタ血漿1mlを密閉材マトリックス組成物粉末0.60〜0.65gを反応させることにより密閉材マトリックスバリアを生成した。混合物を約30分間室温で硬化させた。3x1x0.3cmのゲルブロックの両端をシアノアクリレート糊剤でテーピングすることにより引き離し作業のためのグリッピング空間を形成した(1x1cm)。テープの端部を予め搭載されたグリップを用いてグリッピングした。Chatillon TCD2000テスターを用いて長方形のゲル形状が壊れるまで通常の応力試験を行うことにより、引っ張り強度を求めた。ピーク力(N)および最大負荷時の歪み(mm)を計測することによりゲルを破断するまで伸展させた。ゲルの有効表面積は1x0.3cmであり、元の有効ゲル長は1cmであった。密閉材ゲルの引っ張り強度は約15.3N/cm2であった。ヒドロゲル形成成分非存在下で第1の交差結合可能な成分および第2の交差結合可能な成分を包含するゲル組成物に対して同様の試験を実施したところ、観察された引っ張り強度は約5.1N/cm2であった。
【0261】
実施例14:剥離強度試験
[0271] 一部の実施形態においては、混合粉末は第1および第2の交差結合可能な成分およびヒドロゲル形成成分を包含し、そして自身が血液または他の体液のような生理学的液体中で溶解する際に自己重合する。材料は共有結合により堅固に組織または他の適用部位に接着することができる。組織接着の機械的強度は皮膚のような組織から密閉材マトリックスを引っ張るための機械的工作品器具を用いることにより調べることができる。本実施例においては、多数の引っ張り試験を以下の通り、密閉材マトリックスバリアの形成後に実施した。第1の交差結合可能な成分(ペンタエリスリトールポリ(エチレングリコール)エーテルテトラ−スクシンイミジルグルタレート)および第2の交差結合可能な成分(ペンタエリスリトールポリ(エチレングリコール)エーテルテトラ−チオール)および交差結合したゼラチン(FloSealTM)を含有する3成分粉末のシリーズは、交差結合可能な成分を交差結合ゼラチンと3種の異なる濃度(交差結合可能な成分の10%、20%および30%)で混合することにより生成した。3成分粉末約0.40g〜約0.45gをニワトリ皮膚試料の上部に配置した3x1x0.3cmのプラスチック鋳型内のブタ血漿約0.6mlに添加し、約60分間室温で硬化させた。密閉材マトリックスバリアが形成し、皮膚に堅固に接着していた。形成した密閉材マトリックスバリアをChatillon TCD2000テスターにクランプしたプレートに糊付けした。皮膚を密閉材マトリックスバリアから引っ張りながら最大ピーク力(N)を計測した。接着強度の増大はPEG混合物(第1および第2の交差結合可能な成分)の濃度の上昇とほぼ直線的に相関しているように観察された。結果を表4Aに示す。
【0262】
【表4A】
実施例15:溶融パッドのスポンジ裏装のための微小繊維コラーゲンの生成
[0272] 第1の微小繊維コラーゲン試料を以下の通り生成した。NaOH40gを25℃の温度で水450ccに溶解した。スライスしたウシ真皮約50gをNaOH溶液に添加した。真皮を80分間攪拌した。NaOH溶液を傾瀉し、真皮を水で洗浄した。真皮を2MHClに溶解し、pHを2.3〜2.4の範囲とした。攪拌を18時間継続した。濃厚なコラーゲン溶液(CIS)1250mlを18℃において1MNaOHでpH7.25となるまで滴定した。コラーゲン繊維を10時間かけて形成させ、濾過した。240mlをpH7.4で沈殿させ、23時間8℃において25%グルタルアルデヒド(GA)溶液33μlで交差結合させた。微小繊維コラーゲンはVirtis凍結乾燥器を用いながら所定のサイクルにより凍結乾燥させた。
【0263】
[0273] 第2の微小繊維コラーゲン試料を以下の通り生成した。微小繊維コラーゲンは粘稠な溶液(例えばCIS)240gを用いながら交差結合した。水60ccを添加することにより溶液を希釈した。pHは2MのNaOH約1.8ccを添加することにより9.2に上昇させた。溶液の温度を8℃に調節し、25%GA33μlを添加した。23時間溶液を攪拌し、沈殿した線維約54gを得た。微小繊維コラーゲンはVirtis凍結乾燥器を用いながら所定のサイクルにより凍結乾燥させた。
【0264】
実施例16:ヒドロゲル形成成分の脱緩衝
[0274] 一部の実施形態においては、FloSealTMのようなヒドロゲル形成成分からホスフェート塩を除去することによりヒドロゲル形成成分のpHが周囲の液体による影響を容易に受けることができるようすることが望ましい場合がある。ヒドロゲル形成成分のインサイチュの交差結合は密閉材マトリックス組成物が適用後に組織に接着することを支援することができる。一部の場合においては、接着は特定のpH値においてより効果的となる場合がある。例えば一部のゼラチン系材料は6または7未満のpH値においてより容易に接着を起こす場合がある。FloSealTMを1:50の比において水で洗浄し、スラリーを0.01MHClまたは0.01MNaOHを用いてpH2〜7にpH調節または酸性化した。湿潤したゼラチンケーキを濾過し、12〜20時間32℃で強制空気オーブン中で乾燥させ、そして乳鉢で穏やかに粉砕した。乾燥したゼラチン粉末を混合PEG溶液に添加し、インサイチュの交差結合に付した。スラリーを30秒間混合し、その直後にpH7.4のリン酸塩緩衝液25mMで完全に飽和させた計量紙の表面に適用した。重合時間を記録し、結果を表5に示した。
【0265】
【表5】
実施例17:PEGケーキの生成
[0275] 1つの実施形態において、PEG−スクシンイミド粉末0.8gおよびPEG−チオール粉末0.8gを振とうにより十分混合し、N2を完全に充填した100ml容の丸底フラスコに入れた。混合した粉末を30分間穏やかに手動で攪拌しながら40℃〜50℃のオイルバス中で溶融させ、そして冷却させた。固体フィルムはスパーテルを用いてフラスコから取り出した。別の実施形態においては、PEG−スクシンイミドおよびPEG−チオールの混合粉末をコラーゲン(例えば0.3%)およびゼラチン(例えば0.2%)の酸性溶液中に溶解し、そして凍結乾燥した。微小繊維コラーゲンまたはゼラチンはマトリックスの弛緩に寄与し、そしてPEGケーキの取り扱い性を向上させると考えられる。
【0266】
[0276] 比較組成物において、コラーゲン繊維1.2gを100ccのpH2のHClに溶解し、1〜2時間35℃のウォーターバス中で加温し、そしてpH2のHClで希釈することにより0.3%CISを生成した。0.2gのPEG−スクシンイミドおよび0.2gのPEG−チオールを0.3%CIS2ccに溶解した。得られた混合物をトレーに注ぎ込み、22時間のサイクルを経て凍結乾燥し、PEGケーキを生成した。さらに別の実施形態においては、ゼラチン2gを35℃のウォーターバス中100ccのpH2のHClに溶解した。2成分PEG粉末混合物4gをゼラチン溶液2ccに溶解し、凍結乾燥してPEGケーキとした。
【0267】
[0277] 関連する実施形態において、PEGケーキはpH2.0において、PEG−SG、PEG−SHおよびコラーゲンの混合溶液を凍結乾燥することにより生成した。動物実験はヘパリン処理したブタモデルにおいて、擦過した肝被膜に対して実施した。0.2Mリン酸潮緩衝液(pH9.0)2滴を緩徐に出血している肝臓表面に添加した。ケーキ1片を圧力を加えることなく部位上に静置した。5分および10分において、部位へのPEGケーキの各々の接着を試験した。PEG−SGの活性は生成過程において低減されていないこと、および、PEGケーキは共有結合により擦過肝臓組織に接着していることが観察された。組成物および試験した試料のインビボの性能を表6に総括した。
【0268】
【表6】
実施例18:粉体化PEGケーキの生成
[0278] 400mgの予備混合したCoSealTM、1gのFloSealTM、(例えばpH7.1〜9.5;粒子の直径70〜400μm)、および2〜3ccの水を合わせて混合ペーストとし、22時間サイクル下に凍結乾燥し、ケーキ状物を形成した。図9に示す通り、次にケーキ状物900に亀裂910を生じさせて粉砕し、そして破壊された粉末携帯920とし、そしてシリンジ930に入れた(例えば5cc〜10ccのシリンジ)。シリンジの胴部の先端940をブレードで除去し、粉末化された混合物920を傷害部位950に適用し、そして密閉材活性をインサイチュで観察した。例示される結果は実施例10〜12において考察している。別の実施形態においては、ケーキ状物を表7に示す3成分スラリーから生成した。
【0269】
【表7】
[0279] 一部の実施形態による例示される製剤に関する試験結果は表8に示す以下の特性を明らかにした。
【0270】
【表8】
実施例19:密閉材マトリックス組成物融着パッドの生成
[0280] PEGパッドを溶融CoSealTM予備混合物を用いて生成した。3成分粉末は種々の重量比により、異なるpH値のFloSealTM粉末および予備混合したCoSealTM(例えば両方のPEG成分が粉末形態)を混合することにより生成した。凍結乾燥したコラーゲンスポンジをバックアップ支持体として使用することにより溶融した3成分混合物を搭載した。1つの実施形態において、図10に示す通り、0.5〜1gの密閉材マトリックス組成物1000をスポンジ1010の3X3cm2切片の上面に静置した。スポンジおよび密閉材マトリックスを1〜2分間60〜70℃でオーブン中で焼成し、そしてデシケーター中で冷却することにより空気との接触を最小限とするかまたは防止した。密閉材マトリックス粉末は粗放なフィルムを形成し、そしてスポンジに結合して溶融パッド1020を形成したように観察された。関連の実施形態においては、各々が3X3X0.3cm3の寸法を有する数種のスポンジを生成した。一部のスポンジは第1および第2の交差結合可能な成分およびヒドロゲル形成成分の3成分混合物でコーティングした。一部のスポンジは第1および第2の交差結合可能な成分の2成分混合物のみでコーティングした。全溶融パッドを肝臓患部においてインサイチュで試験した。結果を表9に示す。
【0271】
【表9】
[0281] 関連する実施形態において、数種の粉末化組成物を生成した。一部の組成物は第1および第2の交差結合可能な成分およびヒドロゲル形成成分の3成分混合物を包含した。一部の組成物は第1および第2の交差結合可能な成分の2成分混合物のみを包含した。全ての組成物を肝臓患部においてインサイチュで試験した。結果を表10に示す。
【0272】
【表10】
実施例20:インビボの性能に対するガンマ線照射の作用
[0282] 粉末化密閉材マトリックス組成物およびスポンジ搭載密閉材マトリックス組成物を生成し、そして一部をガンマ線照射に付すことによりインビボの性能に対するガンマ線の作用を調べた。表11に示す通り作用は観察されなかった。
【0273】
【表11】
実施例21:インビボの性能に対するpHの作用
[0283] インサイチュの交差結合に対するヒドロゲル形成成分のpH値の作用および手動による適用方法の作用を評価するためにインビボの試験を実施した。第1の密閉材組成物中のpH6.75のFloSealTMおよび第2の密閉材組成物中のpH9.5のFloSealTMを比較した。一部の場合においては、密閉材マトリックス組成物を手動により患部に押し当てて保持し、そして別の場合においては密閉材マトリックス組成物は保持することなく患部上に適用または静置した。pH6.75のFloSealTMを有する組成物はpH9.5のFloSealTMを有する組成物よりも約10〜30秒より緩徐な反応時間をもたらしたように観察された。例示される試験結果は表12に示す通りである。ヒドロゲル形成成分のpHが交差結合反応の早期の段階において役割を果たしていると考えられる。ヒドロゲル形成成分のpHは湿潤環境(例えば出血が既に起こっている場合)におけるゲル形成の速度に影響する場合がある。一部の場合においては、交差結合が十分迅速に起こらない場合は、密閉材組成物は患部から押し出される場合がある。
【0274】
【表12】
実施例22:ヒドロゲル形成成分としてのSURGIFOAMTMの使用
[0284] 粉末化COH102(ペンタエリスリトールテトラキス− [1−(1’−オキソ−5’−スクシニルペンテート)−2−ポリ(オキシエチレン)グリコール]エーテル)、粉末化COH206(ペンタエリスリトールテトラキス−[メルカプトエチル−ポリ(オキシエチレン)グリコール]エーテル)、およびSURGIFOAMTM吸収性ゼラチン粉末(Ethicon,Somerville,NJ)の混合物を重量で1:1:2、1:1:4および1:1:8の比でブレンドし、そして改良型の5mL容のシリンジに充填した。得られた混合物は実質的に乾燥した自由流動性の粉末であった。各組成物につき、ブタ肝臓上の外科処置で形成した患部(約1cmx1cmx0.3cm深度)に対して穏やかな圧力により2gを適用した。組成物の各々につき、圧力は1分後に解放した。各組成物中のCOH102およびCOH206は患部の湿潤した環境において相互に反応し、SURGIFOAMTM粉末を配合した交差結合ヒドロゲルを生じ、そして患部を物理的に密閉した。組成物で治療した部位のいずれからも出血は観察されなかった。適用後5分間食塩水で治療患部を灌流した後には出血は観察されなかった。2時間後に治療部位を検査した際にも出血は観察されなかった。
【0275】
実施例23:凝固剤を伴った密閉材マトリックス組成物のインビボの性能
[0285] 4:1の重量比でFloSealTMおよびCoSealTM(予備混合)を含有する密閉材マトリックス組成物粉末を生成した。一部の実施形態においては、この比は化学重合および組織への組成物の接着の所望のレベルを達成するために有効な交差結合の程度を与える。トロンビン粉末を種々の濃度において密閉材マトリックス組成物粉末に添加した。得られた混合物は、肝臓正方部における出血評点を計測し、そして得られた混合物の止血効率をトロンビンを含有しない密閉材マトリックス組成物と比較する動物試験において検討した。
【0276】
[0286] 被験材料にはペンタエリスリトールテトラキス[メルカプトエチルポリ(オキシエチレン)グリコール]エーテル0.1g、ペンタエリスリトールテトラキス−[1−(1’−オキソ−5’−スクシンイミジルペンタノエート)−2−ポリ(オキシエチレン)グリコール]エーテル0.1g、交差結合ゼラチン粒子(FloSealTM)0.8gおよび種々の濃度(5k、2.5k、1.25k、および0.625ku/l)のトロンビンを含有させた。混合実験において、得られた混合物の4成分を回転混合器を用いて混合した。再建実験においては、トロンビン溶液(1250u/ml)4mlをFloSeal0.8gと混合し、次に22時間凍結乾燥した。次に乾燥混合物を回転混合器を用いてCoSealTM粉末と混合した。如何なる特定の理論にも制約されないが、再建されたトロンビン製剤は、止血薬効を増強するために密閉材マトリックスバリア内にトロンビンが残存するようにFloSealTMのマトリックス内に浸透しているトロンビン分子を含有していると考えられる。パッド実験においては、得られた4成分混合物(密閉材マトリックス組成物+トロンビン)をGelfoamスポンジの情面に搭載し、混合物を溶融させ、そしてそれを冷却固化させることによりパッドを作成した。オーブン温度は約1分間約60℃〜約65℃に設定した。
【0277】
[0287] インビボ試験においては、動物をヘパリン処理することにより凝固時間を活性化してベースラインより3〜5倍高値とした。製剤はブタ肝臓に対して外科処置により作成した肝臓正方部(1cmx1cmx0.2cm)の出血空間に対して検査した。患部は5分間の読み取り時間の後、即座に灌流することにより過剰な粉末を除去した。治療患部は1、5、10および30分に採点した。材料は血液との接触により重合し、次に堅固に患部に接着した。密閉材マトリックスバリアは出血区域を機械的に密閉し、組織に決着することにより機械的密閉材として機能した。インビトロの試験においては、トロンビンは5分間約60℃で加熱したところ、完全に活性であることがわかった。作成したGelfoamパッドにおいて、トロンビンの活性は消失していることがわかった。
【0278】
[0288] 急性期のインビボの評価の結果を表13に示す。患部からの出血は無出血の「0」から重度出血の「4」まで採点した。ここで観察された出血評点に基づけば、試験した全ての試料は出血を呈さなかった。密閉材マトリックス組成物へのトロンビンの添加に由来する有意な利点は観察されなかった。トロンビンの使用は、二次的な止血/血塊形成および創傷治癒を増強したものの、一次的な止血においては如何なる利益も示さなかった。
【0279】
【表13】
実施例24:ゲル強度に対するPEG濃度の作用
[0289] ゲル強度に対するPEG濃度の作用を本発明の1つの実施形態に従って表14および図11に示す。引っ張り試験をゲル形成後に実施した。ゲルはプラスチック鋳型(3x1x0.3cm)において3成分粉末(例えば第1および第2の交差結合可能な成分およびヒドロゲル形成成分を包含する密閉材マトリックス組成物)の反応を行うことにより生成した。ブタ血漿(1ml、Baxter動物番号S−264)を密閉材マトリックス組成物粉末(0.60〜0.65g)に添加することによりゲル形成を開始し、次に約30分間室温で硬化させた。ゲルの両端をシアノアクリレート糊剤を用いながらスコッチテープでテーピングすることにより引き離し作業のためのグリッピング空間を形成した(1x1cm)。引っ張り試験によればピーク力(N)および最大負荷時の歪み(mm)を計測することによりゲルを破断するまで伸展させた。有効表面積は1x0.3cmであった。元の有効ゲル長は1.0cmであった。ChatillonTCD2000テスターを用いて長方形のゲル形状が壊れるまで通常の応力を適用することを引っ張り強度の決定因子とした。試験の結果は、より高値の重合体の濃度が密閉材マトリックス組成物ゲルの強度を増大できることを示していた。
【0280】
【表14】
実施例25:膨潤率に対するPEG濃度の作用
[0290] 膨潤率に対するPEG濃度の作用を本発明の1つの実施形態に従って図12、13および14に示す。膨潤試験は密閉材マトリックス組成物ゲルの特性化に関して実施した。水性環境に接触した場合に、親水性重合体は膨潤してヒドロゲルを形成する。一旦ゲルが形成されれば、水分子は膨潤FloSealTM粒子により形成されるむしろ弛緩したネットワークを通過して自由に拡散する。水をさらに添加すれば、COH102−COH206の接触が破壊され、個々の重合体分子は水に溶解する。密閉材マトリックス組成物ゲルは、重合体の4段階の異なる濃度(5%、10%、20%および30%w/w)においてCoSealTMおよびFloSealTMを混合することにより、そして同じ量のブタ血漿(1.7ml/g粉末)と反応させることにより生成した。ゲルを30分間硬化させ、次に室温で食塩水中膨潤させた。周期的に緩衝液を排出し、残存ゲルの重量を測定した。ゲル重量の変化をモニタリングした。膨潤率Qは以下の式から計算した。
【0281】
Q=W*/W
式中、W*は湿潤重量であり、そしてWは元の重量である。膨潤率は重合体濃度の上昇に従って上昇した。如何なる特定の理論にも制約されないが膨潤率の見かけの低下は、ゲルが緩徐に侵食されるに従ってゲル材料が損失することと解釈できると考えられる。実験の終点はゲルが崩壊して数個の小片になるか、または弛緩して脆弱となりすぎたためにゲルから遊離の緩衝液を傾瀉できなくなった時点として採点した。水はコア部に向けて継続的に浸透し、そして最終的にはゲルはPEGとゼラチン粒子の粘稠な溶液に変換される。前材料が分断されるまで約2〜3週間を要した(図14)。密閉材マトリックス組成物粉末中のパーセントCoSealTMは密閉材マトリックス組成物ゲルの安定性に大きく影響する場合があると考えられる。密閉材マトリックス組成物ゲルの溶解速度は重合体の交差結合度に応じて変動する。結果によれば、より高濃度のCoSealTMはより強力なゲル安定性をもたらすことができ、そして、より高度な膨潤ももたらすことができる。そのようなゲルのインビトロにおける相対的持続性はインビボにおけるものと同様であると期待してよい。
【0282】
[0291] 上記した実施例は本発明による組成物が有効な密閉材であり得ることを十分説明している。組成物は生理学的な液体または血液によりインサイチュで重合することができ、極めて堅固に組織を密閉またはそれに接着することができる。
【0283】
[0292] 上記した本発明は説明および例示により理解の明確化を目的として一部詳細に説明してきたが、当然ながら特定の変化および変更を添付請求項の範囲内で実施してよい。本明細書において考察したすべての特許、公開物、文献、書籍および他の参考資料は全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0284】
[0293] 実施例26:特定の製剤の動物モデルにおける止血特性の評価
[0294] 製剤#334−77
[0295] PEG−A粉末(ペンタエリスリトールテトラキス[メルカプトエチルポリオキシエチレン]エーテル、MW10,000)1g、PEG−B粉末(ペンタエリスリトールテトラキス−[1−1’−オキソ−5’−スクシンイミジルペンタノエート−2−ポリ−オキシエチレングリコール]エーテル、MW10,000)1g、およびFloSealTM8gを混合ビン(50ml容)に入れ、Inversinaタンブラーミキサー内に投入して混合した。3成分混合物を完全に混合されるまで10分間ブレンドした。6シリンジ(5ml容)に混合物約1.5gを充填した。
【0285】
[0296] 製剤#334−77−1
[0297] 製剤#334−77の1.5g試料をGelfoam(3x4cm2、圧縮Gelfoam、Upjohn製、NDC0009−0353−01)の一片上に搭載した。上面に試料を搭載したGelfoamを試料が溶融し始めるまで1分間60〜65℃の真空オーブン中で焼成した。次に材料を冷却固化させた。Gelform上に生じたケーキ状物2片を乾燥剤の入ったパウチに入れ、密閉した。
【0286】
[0298] 製剤#334−77−4
[0299] 製剤#334−77の試料をコラーゲンスポンジ1片上に置き、焼成した。スポンジはグルタルアルデヒド溶液(5kppm)でコラーゲン繊維を軽度に交差結合することにより、そして、VirTis Genesisフリーズドライヤーを用いてコラーゲン溶液(1.0%)を凍結乾燥することにより生成した。コラーゲンパッド(3x4cm2)を製剤#334−77の1.5g試料と慎重に積層し、次に試料が溶融し始めるまで1分間60〜65℃の真空オーブン中で加熱した。次に材料を冷却固化させた。得られたコラーゲンパッド各々を乾燥剤の入ったパウチに入れ、密閉した。
【0287】
[0300] 方法
[0301] 外科処置操作
[0302] 動物(NZWウサギ、雌性、体重約3kg)を麻酔し、部分的肝切除の30分前に4,000IU/kgの用量において静脈内ヘパリン処置した。
【0288】
[0303] 肝切除モデル
[0304] 正中開腹術を行い、肝臓の左葉を露出させ、クランプした。左側方肝葉の部分を切開した。滲出は被験品の適用により制御した。適用および硬化の時間は300秒を超過しないように標準化した。止血クランプは一次止血が達成されたと予測された5分後に除去した。
【0289】
[0305] 肝臓擦過モデル
[0306] 正中開腹術を行い、肝臓の左葉を露出させた。直径2cmおよび深度2mmの表面環状患部を表面に擦過形成した。これは研磨ディスク装着部を有する切削機(穿孔研磨機PROXXONFBS230/E;グリッドサイズP40、回転速度5000/分)を用いて達成した。このようにして起こした得られた小血管または毛細血管の出血または滲出を製剤の1つを用いて治療した。
【0290】
[0307] 15分間の観察時間を設けた後、左肝葉を腹腔におけるその元の位置に戻した。止血が達成されれば、腹部を閉鎖し、そして腹膜網を切開した(Synthofil(登録商標)2/0)。筋肉および皮膚の切開部は2段階方式の断続縫合としてSynthofil(登録商標)2/0をもちいて別個に縫合することになる。
【0291】
[0308] 24時間後、ペントバルビタールナトリウム(約320mgiv/匹)の過剰用量により麻酔中に屠殺した。安楽死の後、剖検を実施した。腹部は再出血に起因する血液および/または血塊の存在に関して目視により検査した。存在する場合は、血液および/または血塊を予備計量した外科用スワブで拭き取り、重量を測定した。止血が達成されていなければ動物をペントバルビタールナトリウム(約320mgiv/匹)の過剰用量により屠殺し、一次終点のみを評価した。
【0292】
[0309] 結果
[0310] 本試験は製剤#334−77、334−77−1および334−77−4の止血特性を評価することを目的とした。2種の極めて過酷な止血モデル、即ち高度にヘパリン処理したウサギにおける(1)肝臓切除、および(2)肝臓表面モデルを使用した。
【0293】
[0311] 製剤#334−77粉末を出血創傷上に適用した後、止血を達成するためには創傷表面に対して製剤を圧着することが有益であることがわかった。この圧力を乾燥した外科用ラテックスの手袋を用いて達成することは、粉末が創傷よりも手袋に対してより接着性であったため、困難であった。しかしながら、湿潤した手袋を用いた圧力の適用はより容易であった。製剤はそれが血液の水分と接触した後は堅固な膜を形成した。適用後、それは本実施例において使用した過酷なモデルにおいてさえも、多くの場合において、止血をもたらしている。初回適用後に止血が完全に達成されず、そして形成された層の下部で滲出出血があった場合は、さらに製剤#334−77を単に適用するだけでは出血を十分停止することは困難であった。十分注意しなければ粉末化された製剤が腹腔内に落下して腹腔に接着するため、出血を停止する必要がある場所のみに製剤の適用を限定することは困難であると考えられる。従って製剤#344−77の適切な適用が有用である。
【0294】
[0312] これとは対照的に、製剤#344−77は組織の広い面積に渡って一定の厚みの層として、そして、止血を得るために十分な圧力において、容易に適用することができた。天然のコラーゲンパッドの裏装を有する製剤#344−77は適用後肝葉に接着して残存し、そして止血剤およびパッドを創傷および肝被膜上に糊付けする糊剤として機能していた。そのような生体分解性の裏装は止血を達成する場合に粉末成分に対してさらに薬効を付加することができる。生体分解性裏装はまた製剤に可撓性を与えることができ、これにより適用中に切開端部に渡って製剤を屈曲させることができる。この製剤で2匹を治療し、1匹は表面モデル、1は切開モデルとした。両方の動物において急性期の止血が達成された。表面モデルにおいて治療した動物のみが24時間術後出血を呈することなく生存した。コラーゲンの毛羽は24時間後もなお適用部位にあった。切開モデルにおいて治療した動物は一夜出血して死亡し、毛羽は脱落した。2つの実験の間の相違は、1つ目では毛羽が乾燥状態で創傷上に圧着されていたのに対し、2つ目では湿潤ガーゼスワブによる圧力を使用した点である。観察結果を表15に示す。
【0295】
【表15−1】
【0296】
【表15−2】
【0297】
【表15−3】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
[0001] 本願は、2006年8月2日に出願された米国特許出願第60/821,190号からの優先権の権利を主張する。本願はまた、米国特許第5,874,500号、同第6,063,061号、同第6,066,325号、同第6,166,130号および同第6,458,889号に関する。これら各出願の内容は、本明細書により参考として援用される。
【0002】
(連邦支援研究開発の下に行われた発明の権利に関する陳述書)
[0002] 適用せず。
【0003】
(コンパクトディスク上で提出された「配列表」、表、またはコンピュータープログラムを列挙する附録の参照)
[0003] 適用せず。
【背景技術】
【0004】
(発明の背景)
[0004] Rhee等に1992年11月10日に発行された特許文献1はポリエチレングリコールの種々の誘導体のような合成親水性重合体にコラーゲンを共有結合させることにより生成したコラーゲン−合成重合体コンジュゲートを考察している。Rhee等に1994年6月28日に発行された特許文献2は合成非免疫原性親水性ポリエチレングリコール重合体に共有結合させた種々のインサートの天然に存在する生物学的化合物の重合体(例えば多糖類)を考察している。Rhee等に1994年7月12日に発行された特許文献3はある範囲の物理的および化学的特性を有するコラーゲン−合成重合体コンジュゲートを生成するために使用できるポリエチレングリコールの種々の活性化型および種々の連結部を考察している。
【0005】
[0005] 1995年3月14日に出願された08/403,358は疎水性交差結合剤または親水性および疎水性の交差結合剤の混合物を用いて生成される交差結合生物材料組成物を考察している。疎水性交差結合剤はスクシンイミジル基2つ以上を含有するか、または含有するように化学的に誘導体化することができるいずれかの疎水性の重合体を包含できる。
【0006】
[0006] Yeung等に1996年12月3日に発行された特許文献4は基質物質および抗接着結合剤を含む外科的接着の防止において有用な組成物を考察しており、この場合、基質物質は好ましくはコラーゲンを含み、そして結合剤は好ましくは組織反応性官能基少なくとも1つおよび基質反応性官能基少なくとも1つを含む。
【0007】
[0007] Rhee等に1997年3月25日に発行された特許文献5は多官能性的に活性化された合成の親水性重合体を用いて交差結合されたコラーゲンを含む生物接着組成物、並びに第1の表面と第2の表面の間に接着をもたらすためのそのような組成物の使用方法を考察しており、ここでは第1および第2の表面の少なくとも1つが天然の組織表面であることができる。
【0008】
[0008] 特許文献6は1000〜5000の範囲の平均分子量を有するポリエチレングリコールと30,000〜200,000の範囲の平均分子量を有するポリ−N−ビニルピロリドンの混合物を含む、機械工作装置上に材料を搭載するための支持体上へのレンズ材料の一時的接着のために使用される組成物を考察している。
【0009】
[0009] West and Hubbell,Biomaterials(1995)16:1153−1156は光重合されたポリエチレングリコール−コ乳酸ジアクリレートヒドロゲルおよび物理的に交差結合されたポリエチレングリコール−コプロピレングリコールヒドロゲル、Poloxamer407(登録商標)を用いた術後接着の防止を考察している。
【0010】
[0010] 特許文献7および特許文献8は0.5〜2.0μmの粒径を有する微粒子微小繊維状コラーゲンを含む創傷包帯を記載している。この組成物は一般的に水相を含み、そして本明細書に記載しているようにヒドロゲルを形成しなくてもよい。米国特許第5,698,213は吸収性外科用装置および薬物送達ビヒクルとして有用な交差結合脂肪族ポリエステルヒドロゲルを記載している。特許文献9はアクリレートまたはメタクリレート系のヒドロゲル接着剤を記載している。特許文献10は薬物送達ビヒクルとして有用なポリオキシアルキレン系の熱可逆性ヒドロゲルを記載している。
【0011】
[0011] 特許文献11および特許文献12は多糖類またはムコ多糖類と交差結合された、そして薬物送達ビヒクルとして有用なタンパク質成分を含むヒドロゲルを記載している。
【0012】
[0012] 生体分解性の注射可能な薬物送達重合体は特許文献13において、そしてJeong等(1997)“Nature,”388:860−862により記載されている。制御放出薬物送達のための生体分解性ヒドロゲルは特許文献11に記載されている。再吸収可能なコラーゲン系薬物送達系は特許文献14および特許文献15に記載されている。薬物送達のためのアミノ多糖類系の生体適合性フィルムは特許文献16および特許文献17に記載されている。タキソールの送達のための水溶性担体は特許文献18に記載されている。
【0013】
[0013] 限局性および除放性の放出を行うための治療薬の担体として重合体が使用されている(Langer等、Rev.Macro.Chem.Phys.,C23(1),61,1983;Controlled Drug Delivery,Vol.IおよびII、Bruck、S.D.,(編)CRC Press,Boca Raton,Fla,1983;Leong等、Adv.Drug Delivery Review,1:199,1987)。これらの治療薬送達系は注入を模倣しており、増強された治療効果および低減された全身毒性の潜在性を与える。
【0014】
[0014] 制御放出薬物送達のために提案されている合成重合体の他のクラスはポリエステル(Pitt等、Controlled Release of Bioactive Materials,R.Baker編、Academic Press,New York,1980);ポリアミド(Sidman等、Journal of Membrane Science,7:227,1979);ポリウレタン(Maser等、Journal of Polymer Science,Polymer Symposium,66:259,1979);ポリオルトエステル(Heller等、Polymer Engineering Science,21:727,1981);およびポリ無水物(Leong等、Biomaterials,7:364,1986)を包含する。
【0015】
[0015] 自身の物理的特性を改変するために機械的に崩壊されているコラーゲン含有組成物が米国特許第5,428,024;5,352,715;および5,204,382に記載されている。これらの特許は一般的に微小繊維性で不溶性のコラーゲンに関する。注射可能なコラーゲン組成物は米国特許第4,803,075に記載されている。注射可能な骨/軟骨組成物は米国特許第5,516,532に記載されている。水に懸濁してよく、そして特定の表面電荷密度を有する5μm〜850μmの粒径範囲の乾燥粒子を含むコラーゲン系送達マトリックスがWO96/39159に記載されている。創傷包帯を形成するためのエアロゾルスプレーとして有用な1μm〜50μmの粒径を有するコラーゲン調製品が米国特許第5,196,185に記載されている。コラーゲン組成物を記載している他の特許は米国特許第5,672,236および5,356,614を包含する。交差結合してシリンジを介して注射してよい重合体非腐食性ヒドロゲルはWO96/0688に記載されている。
【0016】
[0016] 本出願の被譲渡者に譲渡された以下の係争中の出願、即ち1997年7月31日に出願された米国特許出願08/903,674;1997年6月18日に出願された米国特許出願60/050,437;1996年8月27日に出願された米国特許出願08/704,852;1996年6月19日に出願された米国特許出願08/673,710;1996年2月20日に出願された米国特許出願60/011,898;1996年11月7日に出願された米国特許出願60/006,321;1996年11月7日に出願された米国特許出願60/006,322;1996年11月7日に出願された米国特許出願60/006,324;および1995年6月7日に出願された米国特許出願08/481,712は関連の要件を含んでいる。これらの出願の各々の完全な開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。上記引用した各公開物は参照により全体が本明細書に組み込まれる。生物接着材としての使用のため、組織強化のため、外科的接着の防止のため、合成インプラントの表面をコーティングするため、薬物送達マトリックスとして、眼科用途のため等に適している種々の材料が存在する。なお多くの場合においてこれらの材料に関わる硬化時間は最適とは言えず、外科的および他の医療用途のためには急速作用性材料が望ましい場合が多い。他の場合においては現在使用可能な材料は特定の外科的用途のためには望ましくない膨潤特性を示す場合がある。即ち必要とされているものは例えば止血および/または創傷密閉用途のための組織密閉材としての使用のための急速作用性材料である。さらにまた、最小限の膨潤特性を示す材料を提供することも望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許第5,162,430号明細書
【特許文献2】米国特許第5,324,775号明細書
【特許文献3】米国特許第5,328,955号明細書
【特許文献4】米国特許第5,580,923号明細書
【特許文献5】米国特許第5,614,587号明細書
【特許文献6】特開2007−090241号明細書
【特許文献7】米国特許第5,672,336号明細書
【特許文献8】米国特許第5,196,185号明細書
【特許文献9】米国特許第5,674,275号明細書
【特許文献10】米国特許第5,306,501号明細書
【特許文献11】米国特許第4,925,677号明細書
【特許文献12】米国特許第5,041,292号明細書
【特許文献13】米国特許第5,384,333号明細書
【特許文献14】米国特許第4,347,234号明細書
【特許文献15】米国特許第4,291,013号明細書
【特許文献16】米国特許第5,300,494号明細書
【特許文献17】米国特許第4,946,870号明細書
【特許文献18】米国特許第5,648,506号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
発明の簡単な要旨
[0017] 本発明はインビボの関連において止血または他の体液の封じ込めを達成するための組成物を提供する。本発明の組成物は体液を封じ込めるための脊椎動物への適用に適する組成物中に第1および第2の交差結合可能な成分および少なくとも1つのヒドロゲル形成成分を含む。組成物は例えば止血および/または創傷密閉用途のための組織密閉材としての使用のための急速作用性の材料を包含する。組成物は最小限の膨潤特性を示す。
【0019】
[0018] 第1の特徴において、本発明は第1の交差結合可能な成分、反応を可能とする条件下で第1の交差結合可能な成分と交差結合する第2の交差結合可能な成分、およびヒドロゲル形成成分を含む組成物を提供する。第1および第2の交差結合可能な成分は交差結合して間隙を有する多孔性マトリックスを形成し、そしてここでヒドロゲル形成成分は水和されて間隙の少なくとも一部を充填するヒドロゲルを形成することができる。一部の特徴においては、ヒドロゲル形成成分は密閉材マトリックスバリアを形成するための反応時間に影響する場合がある。例えば一部の実施形態においてはpH6.75を有するヒドロゲル形成成分を含む組成物はpH9.5を有するヒドロゲル形成成分を包含する組成物よりも緩徐な反応時間を与える。
【0020】
[0019] 第1の交差結合可能な成分が多数の求核性基を包含でき、そして第2の交差結合可能な成分が多数の求電子性基を包含できる。一部の特徴においては、第1の交差結合可能な成分は求核性基m個を有する多求核性(multi−nucleophilic)ポリアルキレンオキシドを包含し、そして第2の交差結合可能な成分は求電子性基n個を有する多求電子性(multi−electrophilic)ポリアルキレンオキシドを包含し、ここでmおよびnは各々2以上であり、そしてm+nは5以上である。一部の特徴においては、nが2であり、そしてmが3以上である。多求核性ポリアルキレンオキシドは4官能性的に活性化される。一部の特徴においては、mが2であり、そしてnは3以上である。多求電子性ポリアルキレンオキシドは4官能性的に活性化される。一部の場合においては、多求核性ポリアルキレンオキシドおよび多求電子性ポリアルキレンオキシドは4官能性的に活性化される。多求核性ポリアルキレンオキシドはさらに−NH2、−SH、−H、−PH2、および−CO−NH−NH2よりなる群から選択される求核性基2つ以上を包含する。一部の場合においては、多求核性ポリアルキレンオキシドはさらに第1級アミノ基2つ以上を包含する。一部の場合においては、多求核性ポリアルキレンオキシドはさらにチオール基2つ以上を包含する。多求核性ポリアルキレンオキシドはポリエチレングリコールまたはその誘導体である。一部の場合においては、ポリエチレングリコールは求核性基2つ以上を包含し、これは第1級アミノ基および/またはチオール基を包含してよい。多求電子性ポリアルキレンオキシドは2つ以上の求電子性基、例えば−CO2N(COCH2)2、−CO2H、−CHO、−CHOCH2、−N=C=O、−SO2CH=CH2、−N(COCH)2および−S−S−(C5H4N)を包含できる。多求電子性ポリアルキレンオキシドはさらにスクシンイミジル基2つ以上を包含する物。多求電子性ポリアルキレンオキシドはさらにマレイミジル基2つ以上を包含する。一部の場合においては、多求電子性ポリアルキレンオキシドはポリエチレングリコールまたはその誘導体であることができる。
【0021】
[0020] 一部の特徴においては、多糖類またはタンパク質をさらに包含する。多糖類はグルコサミノグリカン、例えばヒアルロン酸、キチン、硫酸コンドロイチンA、硫酸コンドロイチンB、硫酸コンドロイチンC、硫酸ケラチン、ケラトスルフェート、ヘパリンまたはこれらの誘導体であることができる。タンパク質はコラーゲンまたはその誘導体であることができる。多求核性ポリアルキレンオキシドまたは多求電子性ポリアルキレンオキシド、または多求核性ポリアルキレンオキシドおよび多求電子性ポリアルキレンオキシドの両方は連結基を包含するしてよい。一部の場合においては、求核性ポリアルキレンオキシドは式:重合体−Q1−Xmにより与えられる。多求電子性ポリアルキレンオキシドは式:重合体−Q2−Ynにより与えられる。Xは求電子性基であることができ、そしてYは求核性基であることができ、mおよびnは各々2〜4であり、m+n≦5であり、Q1およびQ2の各々は−O−(CH2)n’−、−S−、−(CH2)n’−、−NH−(CH2)n’−、−O2C−NH−(CH2)n’−、−O2C−(CH2)n’−、−O2C−CR1H、および−O−R2−CO−NHのような連結基であることができる。一部の場合においては、n’は1〜10であることができ、R1は−H、−CH3、または−C2H5であることができ、R2は−CH2−または−CO−NH−CH2CH2−であることができ、そしてQ1およびQ2は同じかまたは異なっていることができ、あるいは非存在であることができる。一部の特徴においては、Yは式:−CO2N(COCH2)2または−CO2N(COCH)2であることができる。一部の場合においては、多求核性ポリアルキレンオキシドまたは多求電子性ポリアルキレンオキシド、または多求核性ポリアルキレンオキシドおよび多求電子性ポリアルキレンオキシドの両方はさらに生体分解性基を包含する。生体分解性基はラクチド、グリコリド、ε−カプロラクトン、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリ(アミノ酸)、およびポリ(無水物)であることができる。一部の特徴においては、ヒドロゲル形成成分は、水和されればゼラチンを包含するフラグメント化生体分解性ヒドロゲルを形成することができ、そして湿潤した組織標的に送達されれば水を吸収するようになることができる。ヒドロゲルは完全に水和されると約0.01mm〜約5mmの範囲の大きさおよび約400%〜約5000%の範囲の平衡膨潤性を有するサブユニットを包含できる。ヒドロゲルは1年未満のインビボの分解時間を有する。ヒドロゲルは水性媒質により少なくとも部分的に水和され、そして活性剤を包含し、これは凝固剤、例えばがトロンビンを包含してよい。
【0022】
[0021] 別の特徴において、本発明の実施形態は患者に活性剤を送達するための方法を提供する。方法は本明細書に記載した組成物のある量を患者における標的部位に投与することを包含することができる。一部の特徴においては、実施形態は患者に密封剤を送達するための方法を包含する。方法は、出血を抑制するために十分な量において本明細書に記載した組成物乗ある量を出血標的部位に投与することを包含することができる。一部の特徴においては、実施形態は患者にトロンビンを送達するための方法を包含する。方法は出血を抑制するために十分な量において本明細書に記載した組成物のある量を出血標的部位に投与することを包含することができる。
【0023】
[0022] さらに別の特徴において、本発明の実施形態は多求核性ポリアルキレンオキシド、多求電子性ポリアルキレンオキシド、およびヒドロゲル形成成分を包含する組成物を包含する。多求核性ポリアルキレンオキシドはさらに第1級アミノ基少なくとも1つおよびチオール基少なくとも1つを包含できる。反応を可能とする条件下において、多求核性ポリアルキレンオキシドおよび多求電子性ポリアルキレンオキシドは実質的に即時に交差結合できる。実施形態は多求核性ポリアルキレンオキシドがチオール基2つ以上を包含し、そして多求電子性ポリアルキレンオキシドがスクシンイミジル基および/またはマレイミジル基のような求電子性基2つ以上を含む組成物を包含する。実施形態はまた多求核性ポリアルキレンオキシドが第1級アミノ基および/またはチオール基のような求電子性基2つ以上を包含する蘇生物を包含する。多求核性ポリアルキレンオキシドはスクシンイミジル基2つ以上を包含できる。一部の場合においては、実施形態はチオール基2つ以上を包含する第1のポリエチレングリコール、スクシンイミジル基またはマレイミジル基2つ以上を包含する第2のポリエチレングリコール、およびヒドロゲル形成成分を包含する組成物を包含する。チオール基およびスクシンイミジル基またはマレイミジル基の合計は少なくとも5つであり、そして反応を可能とする条件下で第1のポリエチレングリコールおよび第2のポリエチレングリコールが実質的に即時に交差結合することができてよい。一部の場合においては、第1のポリエチレングリコールはチオール基4つを包含し、そして第2のポリエチレングリコールはスクシンイミジル基4つを包含する。一部の場合においては、組成物はタンパク質または多糖類を包含する。多糖類はグリコサミノグリカン、例えばヒアルロン酸、キチン、硫酸コンドロイチンA、硫酸コンドロイチンB、硫酸コンドロイチンC、硫酸ケラチン、ケラトスルフェート、ヘパリンまたはこれらの誘導体であることができる。タンパク質はコラーゲンまたはその誘導体であることができる。
【0024】
[0023] 別の特徴において、本発明の実施形態は組織管を密閉するための方法を包含する。方法は、第1の交差結合可能な成分、反応を可能とする条件下で第1の交差結合可能な成分と交差結合する第2の交差結合可能な成分、およびヒドロゲル形成成分を包含する組成物で組織管を少なくとも部分的に充填することを包含できる。第1および第2の交差結合可能な成分は交差結合して間隙を有する多孔性マトリックスを形成することができ、そしてヒドロゲル形成成分は水和されて間隙の少なくとも一部を充填するヒドロゲルを形成することができる。一部の場合においては、ヒドロゲルは完全に水和されると約0.05mm〜約5mmの範囲の大きさを有し、約400%〜約1300%の範囲の平衡膨潤性を有し、そして約1〜約120日後に組織管内で分解するサブユニットを包含する。一部の場合においては、第1の交差結合可能な成分は多数の求核性基を包含し、そして第2の重合体は多数の求電子性基を包含する。
【0025】
[0024] さらに別の特徴において、本発明の実施形態は患者身体における標的部位における出欠を抑制するための方法を包含する。方法は出血を抑制するために十分な量において標的部位に組成物を送達することを包含することができ、この場合、組成物は第1の交差結合可能な成分、反応を可能とする条件下で第1の交差結合可能な成分と交差結合する第2の交差結合可能な成分、およびヒドロゲル形成成分を包含する。第1および第2の交差結合可能な成分は交差結合して間隙を有する多孔性マトリックスを形成することができ、そしてヒドロゲル形成成分は水和されて間隙の少なくとも一部を充填するヒドロゲルを形成することができてよい。ヒドロゲルは完全に水和されると約0.05mm〜約5mmの範囲の大きさを有し、約400%〜約1300%の範囲の平衡膨潤性を有し、そして約1〜約120日後に組織管内で分解するサブユニットを包含することができる。第1の交差結合可能な成分は多数の求核性基を包含でき、そして第2の交差結合可能な成分は多数の求電子性基を包含できる。別の特徴において、本発明の実施形態は患者の身体内の標的部位に生物活性物質を送達するための方法を包含する。方法は標的部位に生物活性物質と組み合わせて組成物を送達することを包含でき、ここで組成物は第1の交差結合可能な成分、反応を可能とする条件下で第1の交差結合可能な成分と交差結合する第2の交差結合可能な成分、およびヒドロゲル形成成分を包含する。第1および第2の交差結合可能な成分は交差結合して間隙を有する多孔性マトリックスを形成することができ、そしてヒドロゲル形成成分は水和されて間隙の少なくとも一部を充填するヒドロゲルを形成することができてよい。ヒドロゲルは完全に水和されると約0.05mm〜約5mmの範囲の大きさを有するサブユニットを包含することができ、約400%〜約1300%の範囲の平衡膨潤性を有することができ、そして約1〜約120日後に組織管内で分解することができる。一部の場合においては、第1の交差結合可能な成分は多数の求核性基を包含し、そして第2の交差結合可能な成分は多数の求電子性基を包含する。生物活性物質は止血剤、例えばトロンビンであることができる。
【0026】
[0025] 別の特徴において、本発明の実施形態は組織における標的部位に膨潤可能な組成物を送達するための方法を包含する。方法は標的部位に組成物を適用することを包含し、ここで組成物は第1の交差結合可能な成分、反応を可能とする条件下で第1の交差結合可能な成分と交差結合する第2の交差結合可能な成分、およびヒドロゲル形成成分を包含する。第1および第2の交差結合可能な成分は交差結合して間隙を有する多孔性マトリックスを形成し、そしてヒドロゲル形成成分は水和されて間隙の少なくとも一部を充填するヒドロゲルを形成することができる。ヒドロゲルは完全に水和されると約0.05mm〜約5mmの範囲の大きさを有し、約400%〜約1300%の範囲の平衡膨潤性を有し、そして約1〜約120日後に組織管内で分解するサブユニットを包含することができる。組成物は標的部位への適用時にはその平衡膨潤性よりも低値において水和しており、その部位において平衡膨潤値まで膨潤してよい。一部の特徴においては、第1の交差結合可能な成分は多数の求核性基を包含し、そして第2の交差結合可能な成分は多数の求電子性基を包含する。一部の特徴においては、標的部位は筋肉、皮膚、上皮組織、平滑筋、骨格筋または心筋、結合または支持組織、神経組織、眼および他の感覚器官の組織、血管および心臓の組織、胃腸の臓器および組織、胸膜および他の肺の組織、腎臓、内分泌腺、雄性および雌性の生殖器官、脂肪組織、肝臓、膵臓、リンパ、軟骨、骨、口腔組織、および粘膜組織、および脾臓および他の腹部の臓器であることができる組織中にある。一部の特徴においては、標的部位は選択された組織内部の空隙領域、例えば組織のくぼみ(tissue divot)、組織管、椎骨間空間、および体腔を包含する。一部の場合においては、ヒドロゲルは平衡膨潤時の水和の50%〜95%の範囲の水和度を有する。一部の場合においては、ヒドロゲルは可塑剤、例えばポリエチレングリコール、ソルビトールおよびグリセロールを包含する。可塑剤はヒドロゲル成分の組成物の0.1重量%〜30重量%において存在してよい。一部の場合においては、ヒドロゲルは交差結合タンパク質ヒドロゲルを包含する。タンパク質はゼラチン、可溶性コラーゲン、アルブミン、ヘモグロビン、フィブロジェン、フィブリン、カゼイン、フィブロネクチン、エラスチン、ケラチン、ラミニン、およびこれらの誘導体および組み合わせを包含できる。一部の場合においては、ヒドロゲルは交差結合多糖類を包含する。多糖類はグリコサミノグリカン、澱粉誘導体、セルロース誘導体、ヘミセルロース誘導体、キシラン、アガロース、アルギネート、およびキトサンおよびこれらの組み合わせを包含できる。一部の場合においては、ヒドロゲルは交差結合非生物重合体である。交差結合非生物重合体はポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニル樹脂、ポリアクチド−グリコリド、ポリカプロラクトン、ポリオキシエチレン、およびこれらの組み合わせを包含できる。一部の場合においては、ヒドロゲルは交差結合タンパク質、交差結合多糖類、および交差結合非生物重合体よりなる群から選択される成分少なくとも2つを包含する。ヒドロゲルはヒドロゲル重合体およびヒドロゲル交差結合剤を包含できる。ヒドロゲル重合体およびヒドロゲル交差結合剤はヒドロゲル重合体分子の交差結合をもたらす条件下に反応されていてよい。一部の場合においては、ヒドロゲルがヒドロゲル重合体分子の交差結合をもたらす条件下の照射により生成されているヒドロゲルの分子交差結合ヒドロゲル重合体を包含する。一部の場合においては、ヒドロゲルはヒドロゲル重合体分子の交差結合をもたらす条件下のモノ不飽和(monounsaturated)および多不飽和(polyunsaturated)のヒドロゲル単量体の反応により生成されている分子交差結合ヒドロゲル重合体を包含する。
【0027】
[0026] さらに別の特徴において、本発明の実施形態は3次元合成重合体マトリックスを形成する方法を包含する。方法は、求核性基m個を含有する第1の交差結合可能な成分および求電子性基n個を含有する第2の交差結合可能な成分を提供することを包含する。求電子性基は求核性基と反応してそれとの共有結合を形成し、ここでmおよびnは各々2以上であり、そしてここでm+nは5以上である。方法はさらに、第1の交差結合可能な成分および第2の交差結合可能な成分を組み合わせること、第1の交差結合可能な成分および第2の交差結合可能な成分にヒドロゲル形成成分を添加すること、そして第1の交差結合可能な成分および第2の交差結合可能な成分を相互に交差結合させて3次元マトリックスを形成することを包含する。方法はさらに、第1の組織表面および第2の組織表面を第1の交差結合可能な成分、第2の交差結合可能な成分、およびヒドロゲル形成成分に接触させることを包含することができる。一部の場合においては、第2の表面は天然の組織表面である。一部の場合においては、第2の表面は非天然の組織表面、例えば合成インプラントである。合成インプラントはドナー角膜、人工血管、心臓弁、人工臓器、結合補綴物、インプラント可能なレンズ核、血管移植片、ステント、およびステント/移植片の組み合わせであることができる。一部の場合においては、第1の交差結合可能な成分、第2の交差結合可能な成分、およびヒドロゲル形成成分は第1の組織表面において粉末形態において各々適用される。一部の場合においては、第1の交差結合可能な成分、第2の交差結合可能な成分、およびヒドロゲル形成成分は第1の組織表面において単一の複合化(combined)混合粉末製剤における粉末として各々適用される。混合粉末製剤はタンパク質および/または多糖類を包含できる。第1の組織表面は硬組織または軟組織の上または中にあってよい。第1の組織表面は外科的部位を包含するか、包囲するか、またはそれに隣接することができる。方法はさらに外科的部位を閉鎖することを包含できる。一部の特徴においては、混合粉末製剤はコラーゲンを包含する。一部の場合においては、混合粉末製剤は生物活性剤を包含する。一部の特徴においては、本発明の実施形態は多数の求核性基を有する粉末形態の第1の交差結合可能な成分、多数の求電子性基を有する粉末形態の第2の交差結合可能な成分、および粉末形態のヒドロゲル形成成分を包含する混合粉末組成物を包含する。反応を可能にする条件下において第1および第2の交差結合可能な成分は実質的に即時に交差結合することができる。
【0028】
[0027] 関連する特徴において、第2の交差結合可能な成分に添加された第1の交差結合可能な成分は複合化された(combined)交差結合可能な成分の組成物を与える。第1の交差結合可能な成分は複合化された交差結合可能な成分の組成物の約0.5〜約20重量%の範囲の濃度において存在することができる。一部の場合においては、第2の交差結合可能な成分は複合化された交差結合可能な成分の組成物の約0.5〜約20重量%の範囲の濃度において存在することができる。第1の交差結合可能な成分の第2の交差結合可能な成分に対する重量比は約45%〜約55%の範囲にあることができる。関連して、第1の交差結合可能な成分の第2の交差結合可能な成分に対する重量比は約50%であることができる。一部の場合においては、第1およびの第2の交差結合可能な成分とヒドロゲル形成成分との間の重量比は約28%〜約42%の範囲内にあることができる。関連して、第1およびの第2の交差結合可能な成分とヒドロゲル形成成分との間の重量比は約20%〜約30%の範囲内にあることができる。一部の特徴においては、第1の交差結合可能な成分は複合化された交差結合可能な成分の組成物の約0.5〜約20重量%の範囲の濃度において存在することができる。関連して、第2の交差結合可能な成分は複合化された交差結合可能な成分の組成物の約0.5〜約20重量%の範囲の濃度において存在することができる。第1の交差結合可能な成分の第2の交差結合可能な成分に対する重量比は約45%〜約55%の範囲にあることができる。同様に、第1の交差結合可能な成分の第2の交差結合可能な成分に対する重量比は約50%であることができる。
【0029】
[0028] 別の特徴において、本発明の実施形態は密閉材マトリックス組成物キットを提供する。キットは例えば、容器、および容器内に配置された混合粉末組成物を包含できる。組成物は多数の求核性基を有する第1の交差結合可能な成分および多数の求電子性基を有する第2の交差結合可能な成分を包含できる。第1の交差結合可能な成分、第2の交差結合可能な成分、または両方は粉末形態であってよい。キットはまた粉末形態のヒドロゲル形成成分を包含することができる。反応を可能にする条件下において第1および第2の交差結合可能な成分が実質的に即時に交差結合できてよい。一部の場合においては、容器はシリンジ胴部およびシリンジプランジャー部を包含する。キットはまた患者の出血標的部位に混合粉末組成物を適用するための書面による説明書を包含することができる。一部の場合においては、混合粉末は活性剤を包含する。活性剤はトロンビンを包含してよい。
【0030】
[0029] 別の特徴において、キットはコラーゲンスポンジまたは他の適当な支持体、およびスポンジまたは支持体の表面に固定化された混合粉末組成物を包含してよい。組成物は、多数の求核性基を有する第1の交差結合可能な成分、および多数の求電子性基を有する第2の交差結合可能な成分を包含できる。第1の交差結合可能な成分、第2の交差結合可能な成分、または両方は粉末形態であってよい。キットはまた粉末形態のヒドロゲル形成成分を包含することができる。反応を可能にする条件下において第1および第2の交差結合可能な成分は実質的に即時に交差結合できるものであってよい。
【0031】
[0030] 本発明の性質および利点をより十分理解するために、添付図面と関連して捉えられる以下の詳細な説明を参照しなければならない。
【0032】
[0031] 本発明は以下を包含するがこれらに限定されない。
【0033】
下記成分:
第1の交差結合可能な成分;
反応を可能とする条件下で第1の交差結合可能な成分と交差結合する第2の交差結合可能な成分;および、
ヒドロゲル形成成分;
を含む組成物であって、ここで第1および第2の交差結合可能な成分は交差結合して間隙を有する多孔性マトリックスを形成し、そしてここでヒドロゲル形成成分は水和されて間隙の少なくとも一部を充填するヒドロゲルを形成することができる上記組成物。
【0034】
[0032] 第1の交差結合可能な成分が多数の求核性基を含み、そして第2の交差結合可能な成分が多数の求電子性基を含む段落[0031]記載の組成物。
【0035】
[0033] 第1の交差結合可能な成分が求核性基m個を有する多求核性ポリアルキレンオキシドを含み、そして第2の交差結合可能な成分が求電子性基n個を有する多求電子性ポリアルキレンオキシドを含み、ここでmおよびnは各々2以上であり、そしてm+nは5以上である段落[0031]記載の組成物。
【0036】
[0034] nが2であり、そしてmが3以上である段落[0033]記載の組成物。
【0037】
[0035] 多求核性ポリアルキレンオキシドが4官能性的に活性化される段落[0034]記載の組成物。
【0038】
[0036] mが2であり、そしてnが3以上である段落[0033]記載の組成物。
【0039】
[0037] 多求電子性ポリアルキレンオキシドが4官能性的に活性化される段落[0036]記載の組成物。
【0040】
[0038] 多求核性ポリアルキレンオキシドおよび多求電子性ポリアルキレンオキシドが4官能性的に活性化される段落[0033]記載の組成物。
【0041】
[0039] 多求核性ポリアルキレンオキシドがさらに−NH2、−SH、−H、−PH2、および−CO−NH−NH2よりなる群から選択される求核性基2つ以上を含む段落[0033]記載の組成物。
【0042】
[0040] 多求核性ポリアルキレンオキシドがさらに第1級アミノ基2つ以上を含む段落[0033]記載の組成物。
【0043】
[0041] 多求核性ポリアルキレンオキシドがさらにチオール基2つ以上を含む段落[0033]記載の組成物。
【0044】
[0042] 多求核性ポリアルキレンオキシドがポリエチレングリコールまたはその誘導体である段落[0033]記載の組成物。
【0045】
[0043] ポリエチレングリコールがさらに第1級アミノ基およびチオール基よりなる群から選択される求核性基2つ以上を含む段落[0042]記載の組成物。
【0046】
[0044] ポリエチレングリコールがさらに−CO2N(COCH2)2、−CO2H、−CHO、−CHOCH2、−N=C=O、−SO2CH=CH2、−N(COCH)2および−S−S−(C5H4N)よりなる群から選択される求電子性基2つ以上を含む段落[0033]記載の組成物。
【0047】
[0045] 多求電子性ポリアルキレンオキシドがさらにスクシンイミジル基2つ以上を含む段落[0033]記載の組成物。
【0048】
[0046] 多求電子性ポリアルキレンオキシドがさらにマレイミジル基2つ以上を含む段落[0033]記載の組成物。
【0049】
[0047] 多求電子性ポリアルキレンオキシドがポリエチレングリコールまたはその誘導体である段落[0033]記載の組成物。
【0050】
[0048] 多糖類またはタンパク質をさらに含む段落[0033]記載の組成物。
【0051】
[0049] 多糖類がグルコサミノグリカンである多糖類をさらに含む段落[0033]記載の組成物。
【0052】
[0050] グルコサミノグリカンがヒアルロン酸、キチン、硫酸コンドロイチンA、硫酸コンドロイチンB、硫酸コンドロイチンC、硫酸ケラチン、ケラトスルフェート、ヘパリンおよびこれらの誘導体よりなる群から選択される段落[0049]記載の組成物。
【0053】
[0051] タンパク質がコラーゲンまたはその誘導体であるタンパク質をさらに含む段落[0033]記載の組成物。
【0054】
[0052] 多求核性ポリアルキレンオキシドまたは多求電子性ポリアルキレンオキシド、または多求核性ポリアルキレンオキシドおよび多求電子性ポリアルキレンオキシドの両方がさらに連結基を含む段落[0033]記載の組成物。
【0055】
[0053] 多求核性ポリアルキレンオキシドが下記式:
重合体−Q1−Xm
により与えられ、そして多求電子性ポリアルキレンオキシドが下記式:
重合体−Q2−Yn
により与えられ、
ここでXは求電子性基であり、そしてYは求核性基であり;
ここでmおよびnは各々2〜4であり;
ここでm+n≦5であり;
ここでQ1およびQ2の各々は−O−(CH2)n’−、−S−、−(CH2)n’−、−NH−(CH2)n’−、−O2C−NH−(CH2)n’−、−O2C−(CH2)n’−、−O2C−CR1H、および−O−R2−CO−NH、よりなる群から選択される連結基である;
ここでn’=1〜10であり;
ここでR1=−H、−CH3、または−C2H5であり;
ここでR2=−CH2−または−CO−NH−CH2CH2−であり;そして、
ここでQ1およびQ2は同じかまたは異なっていてよく、あるいは非存在であってよい、段落[0033]記載の組成物。
【0056】
[0054] Yが下記式:
−CO2N(COCH2)2
により与えられる段落[0053]記載の組成物。
【0057】
[0055] Yが下記式:
−N(COCH)2
により与えられる段落[0053]記載の組成物。
【0058】
[0056] 多求核性ポリアルキレンオキシドまたは多求電子性ポリアルキレンオキシド、または多求核性ポリアルキレンオキシドおよび多求電子性ポリアルキレンオキシドの両方がさらに生体分解性基を含む段落[0033]記載の組成物。
【0059】
[0057] 生体分解性基がラクチド、グリコリド、ε−カプロラクトン、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリ(アミノ酸)、およびポリ(無水物)よりなる群から選択される段落[0056]記載の組成物。
【0060】
[0058] ヒドロゲル形成成分が、水和されればゼラチンを含むフラグメント化生体分解性ヒドロゲルを形成することができ、そして湿潤した組織標的に送達されれば水を吸収するようになり、そして、ヒドロゲルが完全に水和されると約0.01mm〜約5mmの範囲の大きさを有し、を含み、そして約400%〜約5000%の範囲の平衡膨潤性を有するサブユニットを含む段落[0031]記載の組成物。
【0061】
[0059] ヒドロゲルが1年未満のインビボの分解時間を有する段落[0058]記載の組成物。
【0062】
[0060] ヒドロゲルが活性剤を含む水性媒質により少なくとも部分的に水和される段落[0058]および[0059]記載の組成物。
【0063】
[0061] 活性剤が凝固剤である段落[0060]記載の組成物。
【0064】
[0062] 凝固剤がトロンビンである段落[0061]記載の組成物。
【0065】
[0063] 患者に活性剤を送達するための方法であって、方法が段落[0060]記載の組成物のある量を患者における標的部位に投与することを含む上記方法。
【0066】
[0064] 患者に活性剤を送達するための方法であって、方法が出血を抑制するために十分な段落[0031]記載の組成物のある量を出血標的部位に投与することを含む上記方法。
【0067】
[0065] 患者に活性剤を送達するための方法であって、方法が出血を抑制するために十分な段落[0062]記載の組成物のある量を出血標的部位に投与することを含む上記方法。
【0068】
[0066] 多求核性ポリアルキレンオキシド、多求電子性ポリアルキレンオキシド、およびヒドロゲル形成成分を含む組成物であって、多求核性ポリアルキレンオキシドがさらに第1級アミノ基少なくとも1つおよびチオール基少なくとも1つを含み、そして反応を可能とする条件下で多求核性ポリアルキレンオキシドおよび多求電子性ポリアルキレンオキシドが実質的に即時に交差結合できる上記組成物。
【0069】
[0067] 多求核性ポリアルキレンオキシド、多求電子性ポリアルキレンオキシド、およびヒドロゲル形成成分を含む組成物であって、多求核性ポリアルキレンオキシドがさらにチオール基2つ以上を含み、そして多求電子性ポリアルキレンオキシドがさらにスクシンイミジル基およびマレイミジル基よりなる群から選択される求電子性基2つ以上を含み、そして反応を可能とする条件下で多求核性ポリアルキレンオキシドおよび多求電子性ポリアルキレンオキシドが実質的に即時に交差結合できる上記組成物。
【0070】
[0068] 多求核性ポリアルキレンオキシド、多求電子性ポリアルキレンオキシド、およびヒドロゲル形成成分を含む組成物であって、多求核性ポリアルキレンオキシドがさらに第1級アミノ基およびチオール基よりなる群から選択される求核性基2つ以上を含み、そして多求電子性ポリアルキレンオキシドがさらにスクシンイミジル基及2つ以上を含み、そして反応を可能とする条件下で多求核性ポリアルキレンオキシドおよび多求電子性ポリアルキレンオキシドが実質的に即時に交差結合できる上記組成物。
【0071】
[0069] チオール基2つ以上を含む第1のポリエチレングリコール、スクシンイミジル基またはマレイミジル基2つ以上を含む第2のポリエチレングリコール、およびヒドロゲル形成成分を含む組成物であって、チオール基およびスクシンイミジル基またはマレイミジル基の合計が少なくとも5つであり、そして反応を可能とする条件下で第1のポリエチレングリコールおよび第2のポリエチレングリコールが実質的に即時に交差結合できる上記組成物。
【0072】
[0070] 第1のポリエチレングリコールがさらにチオール基4つを含み、そして第2のポリエチレングリコールがさらにスクシンイミジル基4つを含む段落[0069]記載の組成物。
【0073】
[0071] タンパク質または多糖類をさらに含む段落[0069]記載の組成物。
【0074】
[0072] 多糖類がグリコサミノグリカンである、多糖類をさらに含む段落[0069]記載の組成物。
【0075】
[0073] グリコサミノグリカンがヒアルロン酸、キチン、硫酸コンドロイチンA、硫酸コンドロイチンB、硫酸コンドロイチンC、硫酸ケラチン、ケラトスルフェート、ヘパリンおよびこれらの誘導体よりなる群から選択される段落[0072]記載の組成物。
【0076】
[0074] タンパク質がコラーゲンまたはその誘導体であるタンパク質をさらに含む段落[0069]記載の組成物。
【0077】
[0075] 組織管を密閉するための方法であって、方法が下記成分:
第1の交差結合可能な成分;
反応を可能とする条件下で第1の交差結合可能な成分と交差結合する第2の交差結合可能な成分;および、
ヒドロゲル形成成分;
を含む組成物で組織管を少なくとも部分的に充填することを含み、
ここで第1および第2の交差結合可能な成分は交差結合して間隙を有する多孔性マトリックスを形成し、そしてヒドロゲル形成成分は水和されて間隙の少なくとも一部を充填するヒドロゲルを形成することができ、ヒドロゲルは完全に水和されると約0.05mm〜約5mmの範囲の大きさを有し、約400%〜約1300%の範囲の平衡膨潤性を有し、そして約1〜約120日後に組織管内で分解するサブユニットを含む上記方法。
【0078】
[0076] 第1の交差結合可能な成分が多数の求核性基を含み、そして第2の重合体が多数の求電子性基を含む段落[0075]記載の方法。
【0079】
[0077] 患者の身体内の標的部位における出血を抑制するための方法であって、方法が出血を抑制するために十分な量において標的部位に組成物を送達することを含み、組成物が下記成分:
第1の交差結合可能な成分;
反応を可能とする条件下で第1の交差結合可能な成分と交差結合する第2の交差結合可能な成分;および、
ヒドロゲル形成成分;
を含む組成物で組織管を少なくとも部分的に充填することを含み、
ここで第1および第2の交差結合可能な成分は交差結合して間隙を有する多孔性マトリックスを形成し、そしてヒドロゲル形成成分は水和されて間隙の少なくとも一部を充填するヒドロゲルを形成することができ、ヒドロゲルは完全に水和されると約0.05mm〜約5mmの範囲の大きさを有し、約400%〜約1300%の範囲の平衡膨潤性を有し、そして約1〜約120日後に組織管内で分解するサブユニットを含む上記方法。
【0080】
[0078] 第1の交差結合可能な成分が多数の求核性基を含み、そして第2の交差結合可能な成分が多数の求電子性基を含む段落[0077]記載の方法。
【0081】
[0079] 患者の身体内の標的部位に生物活性物質を送達するための方法であって、方法が標的部位に生物活性物質と組み合わせて組成物を送達することを含み、組成物が下記成分:
第1の交差結合可能な成分;
反応を可能とする条件下で第1の交差結合可能な成分と交差結合する第2の交差結合可能な成分;および、
ヒドロゲル形成成分;
を含む組成物で組織管を少なくとも部分的に充填することを含み、
ここで第1および第2の交差結合可能な成分は交差結合して間隙を有する多孔性マトリックスを形成し、そしてヒドロゲル形成成分は水和されて間隙の少なくとも一部を充填するヒドロゲルを形成することができ、ヒドロゲルは完全に水和されると約0.05mm〜約5mmの範囲の大きさを有し、約400%〜約1300%の範囲の平衡膨潤性を有し、そして約1〜約120日後に組織管内で分解するサブユニットを含む上記方法。
【0082】
[0080] 第1の交差結合可能な成分が多数の求核性基を含み、そして第2の交差結合可能な成分が多数の求電子性基を含む段落[0079]記載の方法。
【0083】
[0081] 生物活性物質が止血剤である段落[0079]記載の方法。
【0084】
[0082] 生物活性物質がトロンビンである段落[0079]記載の方法。
【0085】
[0083] 組織における標的部位に膨潤可能な組成物を送達するための方法であって、該方法は標的部位に組成物を適用することを含み、組成物は下記成分:
第1の交差結合可能な成分;
反応を可能とする条件下で第1の交差結合可能な成分と交差結合する第2の交差結合可能な成分;および、
ヒドロゲル形成成分;
を含み、
ここで第1および第2の交差結合可能な成分は交差結合して間隙を有する多孔性マトリックスを形成し、そしてヒドロゲル形成成分は水和されて間隙の少なくとも一部を充填するヒドロゲルを形成することができ、ヒドロゲルは完全に水和されると約0.05mm〜約5mmの範囲の大きさを有し、約400%〜約1300%の範囲の平衡膨潤性を有し、そして約1〜約120日後に組織管内で分解するサブユニットを含み、組成物は標的部位への適用時にはその平衡膨潤性よりも低値において水和しており、その部位において平衡膨潤値まで膨潤する上記方法。
【0086】
[0084] 第1の交差結合可能な成分が多数の求核性基を含み、そして第2の交差結合可能な成分が多数の求電子性基を含む段落[0083]記載の方法。
【0087】
[0085] 標的部位が筋肉、皮膚、上皮組織、結合または支持組織、神経組織、眼および他の感覚器官の組織、血管および心臓の組織、胃腸の臓器および組織、胸膜および他の肺の組織、腎臓、内分泌腺、雄性および雌性の生殖器官、脂肪組織、肝臓、膵臓、リンパ、軟骨、骨、口腔組織、および粘膜組織、および脾臓および他の腹部の臓器よりなる群から選択される組織中にある段落[0083]記載の方法。
【0088】
[0086] 標的部位が選択された組織内部の空隙領域である段落[0085]記載の方法。
【0089】
[0087] 空隙領域が組織のくぼみ、組織管、椎骨間空間、および体腔よりなる群から選択される段落[0086]記載の方法。
【0090】
[0088] ヒドロゲルが平衡膨潤時の水和の50%〜95%の範囲の水和度を有する段落[0083]記載の方法。
【0091】
[0089] ヒドロゲルが可塑剤を含む段落[0083]記載の方法。
【0092】
[0090] 可塑剤がポリエチレングリコール、ソルビトールおよびグリセロールよりなる群から選択される段落[0089]記載の方法。
【0093】
[0091] 可塑剤がヒドロゲル成分の組成物の0.1重量%〜30重量%において存在する段落[0089]記載の方法。
【0094】
[0092] ヒドロゲルが交差結合タンパク質ヒドロゲルを含む段落[0075]〜[0091]のいずれか1項に記載の方法。
【0095】
[0093] タンパク質がゼラチン、可溶性コラーゲン、アルブミン、ヘモグロビン、フィブロジェン、フィブリン、カゼイン、フィブロネクチン、エラスチン、ケラチン、ラミニン、およびこれらの誘導体および組み合わせよりなる群から選択される段落[0092]記載の方法。
【0096】
[0094] ヒドロゲルが交差結合多糖類を含む段落[0075]〜[0091]のいずれか1項に記載の方法。
【0097】
[0095] 多糖類がグリコサミノグリカン、澱粉誘導体、セルロース誘導体、ヘミセルロース誘導体、キシラン、アガロース、アルギネート、およびキトサンおよびこれらの組み合わせよりなる群から選択される段落[0094]記載の方法。
【0098】
[0096] ヒドロゲルが交差結合非生物重合体である段落[0075]〜[0091]のいずれか1項に記載の方法。
【0099】
[0097] 交差結合非生物重合体がポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニル樹脂、ポリアクチド−グリコリド、ポリカプロラクトン、ポリオキシエチレン、およびこれらの組み合わせよりなる群から選択される段落[0096]記載の方法。
【0100】
[0098] ヒドロゲルが交差結合タンパク質、交差結合多糖類、および交差結合非生物重合体よりなる群から選択される少なくとも2つを含む段落[0075]〜[0091]のいずれか1項に記載の方法。
【0101】
[0099] ヒドロゲルがヒドロゲル重合体およびヒドロゲル交差結合剤を含み、ここでヒドロゲル重合体およびヒドロゲル交差結合剤はヒドロゲル重合体分子の交差結合をもたらす条件下に反応されているである段落[0075]〜[0091]のいずれか1項に記載の方法。
【0102】
[0100] ヒドロゲルがヒドロゲル重合体分子の交差結合をもたらす条件下の照射により生成されているヒドロゲルの分子交差結合ヒドロゲル重合体を含む段落[0075]〜[0091]のいずれか1項に記載の方法。
【0103】
[0101] ヒドロゲルがヒドロゲル重合体分子の交差結合をもたらす条件下のモノ不飽和および多不飽和のヒドロゲル単量体の反応により生成されている分子交差結合ヒドロゲル重合体を含む段落[0075]〜[0091]のいずれか1項に記載の方法。
【0104】
[0102] 下記工程:
求核性基m個を含有する第1の交差結合可能な成分および求電子性基n個を含有する第2の交差結合可能な成分を提供すること、ここで求電子性基は求核性基と反応してそれとの共有結合を形成し、ここでmおよびnは各々2以上であり、そしてここでm+nは5以上であること;
第1の交差結合可能な成分および第2の交差結合可能な成分を組み合わせること;
第1の交差結合可能な成分および第2の交差結合可能な成分にヒドロゲル形成成分を添加すること;
第1の交差結合可能な成分および第2の交差結合可能な成分を相互に交差結合させて3次元マトリックスを形成すること;
を含む3次元合成重合体マトリックスを形成する方法。
【0105】
[0103] 第1の組織表面および第2の組織表面を第1の交差結合可能な成分、第2の交差結合可能な成分、およびヒドロゲル形成成分に接触させることをさらに含む段落[0102]記載の方法。
【0106】
[0104] 第2の表面が天然の組織表面である段落[0103]記載の方法。
【0107】
[0105] 第2の表面が非天然の組織表面である段落[0103]記載の方法。
【0108】
[0106] 非天然の組織表面が合成インプラントである段落[0105]記載の方法。
【0109】
[0107] 合成インプラントがドナー角膜、人工血管、心臓弁、人工臓器、結合補綴物、インプラント可能なレンズ核、血管移植片、ステント、およびステント/移植片の組み合わせよりなる群から選択される段落[0106]記載の方法。
【0110】
[0108] 第1の交差結合可能な成分、第2の交差結合可能な成分、およびヒドロゲル形成成分が第1の組織表面において粉末形態において各々適用される段落[0102]記載の方法。
【0111】
[0109] 第1の交差結合可能な成分、第2の交差結合可能な成分、およびヒドロゲル形成成分が第1の組織表面において単一の複合化混合粉末製剤における粉末として各々適用される段落[0102]記載の方法。
【0112】
[0110] 混合粉末製剤がさらにタンパク質または多糖類を含む段落[0109]記載の方法。
【0113】
[0111] 第1の組織表面が硬組織または軟組織の上または中にある段落[0102]記載の方法。
【0114】
[0112] 第1の組織表面が外科的部位を含むか、包囲するか、またはそれに隣接しており、そして方法がさらに外科的部位を閉鎖する工程を含む段落[0102]記載の方法。
【0115】
[0113] 混合粉末製剤がさらにコラーゲンを含む段落[0102]記載の方法。
【0116】
[0114] 混合粉末製剤がさらに生物活性剤を含む段落[0102]記載の方法。
【0117】
[0115] 下記成分:
多数の求核性基を含む第1の交差結合可能な成分であって、粉末形態の第1の交差結合可能な成分;
多数の求電子性基を含む第2の交差結合可能な成分であって、粉末形態の第2の交差結合可能な成分;および、
粉末形態のヒドロゲル形成成分;
を含む混合粉末組成物であって、ここで反応を可能にする条件下において第1および第2の交差結合可能な成分が実質的に即時に交差結合できる上記組成物。
【0118】
[0116] 第2の交差結合可能な成分に添加された第1の交差結合可能な成分が複合化された交差結合可能な成分の組成物を与え、そして第1の交差結合可能な成分が複合化された交差結合可能な成分の組成物の約0.5〜約20重量%の範囲の濃度において存在する段落[0115]記載の混合粉末組成物。
【0119】
[0117] 第2の交差結合可能な成分に添加された第1の交差結合可能な成分が複合化された交差結合可能な成分の組成物を与え、そして第2の交差結合可能な成分が複合化された交差結合可能な成分の組成物の約0.5〜約20重量%の範囲の濃度において存在する段落[0115]記載の混合粉末組成物。
【0120】
[0118] 第1の交差結合可能な成分の第2の交差結合可能な成分に対する重量比が約45%〜約55%の範囲にある段落[0115]記載の混合粉末組成物。
【0121】
[0119] 第1の交差結合可能な成分の第2の交差結合可能な成分に対する重量比が約50%である段落[0115]記載の混合粉末組成物。
【0122】
[0120] 第1およびの第2の交差結合可能な成分とヒドロゲル形成成分との間の重量比が約28%〜約42%の範囲内にある段落[0115]記載の混合粉末組成物。
【0123】
[0121] 第1およびの第2の交差結合可能な成分とヒドロゲル形成成分との間の重量比が約20%〜約30%の範囲内にある段落[0115]記載の混合粉末組成物。
【0124】
[0122] 第2の交差結合可能な成分に添加された第1の交差結合可能な成分が複合化された交差結合可能な成分の組成物を与え、そして第1の交差結合可能な成分が複合化された交差結合可能な成分の組成物の約0.5〜約20重量%の範囲の濃度において存在する段落[0121]記載の混合粉末組成物。
【0125】
[0123] 第2の交差結合可能な成分に添加された第1の交差結合可能な成分が複合化された交差結合可能な成分の組成物を与え、そして第2の交差結合可能な成分が複合化された交差結合可能な成分の組成物の約0.5〜約20重量%の範囲の濃度において存在する段落[0121]記載の混合粉末組成物。
【0126】
[0124] 第1の交差結合可能な成分の第2の交差結合可能な成分に対する重量比が約45%〜約55%の範囲にある段落[0121]記載の混合粉末組成物。
【0127】
[0125] 第1の交差結合可能な成分の第2の交差結合可能な成分に対する重量比が約50%である段落[0121]記載の混合粉末組成物。
【0128】
[0126] 下記要素:
容器;および、
容器内に配置された混合粉末組成物であって、組成物が下記成分:
多数の求核性基を含む第1の交差結合可能な成分であって、粉末形態の第1の交差結合可能な成分;
多数の求電子性基を含む第2の交差結合可能な成分であって、粉末形態の第2の交差結合可能な成分;および、
粉末形態のヒドロゲル形成成分;
を含み、ここで反応を可能にする条件下において第1および第2の交差結合可能な成分が実質的に即時に交差結合できる上記組成物;
を含むキット。
【0129】
[0127] 容器がシリンジ胴部およびシリンジプランジャー部を含む段落[0126]記載のキット。
【0130】
[0128] 患者の出血標的部位に混合粉末組成物を適用するための書面による説明書をさらに含む段落[0126]のキット。
【0131】
[0129] 混合粉末がさらに活性剤を含む段落[0126]のキット。
【0132】
[0130] 活性剤がトロンビンを含む段落[0129]記載のキット。
【0133】
[0131] 下記要素:
コラーゲンスポンジ;および、
スポンジ表面に固定化された混合粉末組成物であって、混合粉末組成物が下記成分:
多数の求核性基を含む第1の交差結合可能な成分であって、粉末形態の第1の交差結合可能な成分;
多数の求電子性基を含む第2の交差結合可能な成分であって、粉末形態の第2の交差結合可能な成分;および、
粉末形態のヒドロゲル形成成分;
を含み、ここで反応を可能にする条件下において第1および第2の交差結合可能な成分が実質的に即時に交差結合できる上記組成物;
を含むキット。
【0134】
[0132] 下記成分:
第1の交差結合可能な成分;
反応を可能とする条件下で第1の交差結合可能な成分と交差結合する第2の交差結合可能な成分;および、
ヒドロゲル形成成分;
を含む医薬の生成のための組成物であって、ここで第1および第2の交差結合可能な成分は交差結合して間隙を有する多孔性マトリックスを形成し、そしてここでヒドロゲル形成成分は水和されて間隙の少なくとも一部を充填するヒドロゲルを形成することができる上記組成物。
【0135】
[0133] 第1の交差結合可能な成分が多数の求核性基を含み、そして第2の交差結合可能な成分が多数の求電子性基を含む段落[0132]記載の組成物。
【0136】
[0134] 第1の交差結合可能な成分が求核性基m個を有する多求核性ポリアルキレンオキシドを含み、そして第2の交差結合可能な成分が求電子性基n個を有する多求電子性ポリアルキレンオキシドを含み、ここでmおよびnは各々2以上であり、そしてm+nは5以上である段落[0133]記載の組成物。
【0137】
[0135] nが2であり、そしてmが3以上である段落[0134]記載の組成物。
【0138】
[0136] 多求核性ポリアルキレンオキシドが4官能性的に活性化される段落[0135]記載の組成物。
【0139】
[0137] mが2であり、そしてnが3以上である段落[0134]記載の組成物。
【0140】
[0138] 多求電子性ポリアルキレンオキシドが4官能性的に活性化される段落[0137]記載の組成物。
【0141】
[0139] 多求核性ポリアルキレンオキシドおよび多求電子性ポリアルキレンオキシドが4官能性的に活性化される段落[0134]記載の組成物。
【0142】
[0140] 多求核性ポリアルキレンオキシドがさらに−NH2、−SH、−H、−PH2、および−CO−NH−NH2よりなる群から選択される求核性基2つ以上を含む段落[0134]記載の組成物。
【0143】
[0141] 多求核性ポリアルキレンオキシドがさらに第1級アミノ基2つ以上を含む段落[0134]記載の組成物。
【0144】
[0142] 下記成分:
天然のコラーゲン線維を含むコラーゲンスポンジ;および、
スポンジ表面に固定化された混合粉末組成物であって、混合粉末組成物が下記成分:
多数の求核性基を含む第1の交差結合可能な成分であって、粉末形態であり混合粉末の約10%を含む第1の交差結合可能な成分;
多数の求電子性基を含む第2の交差結合可能な成分であって、粉末形態であり混合粉末の約10%を含む第2の交差結合可能な成分;および、
粉末形態であり混合粉末の約80%を含むヒドロゲル形成成分;
を含み、ここで反応を可能にする条件下において第1および第2の交差結合可能な成分は実質的に即時に交差結合することにより間隙を有する多孔性マトリックスを形成することができ、そしてここでヒドロゲル形成成分は水和されて間隙の少なくとも一部を充填するヒドロゲルを形成することができる上記組成物;
を含む組成物。
【図面の簡単な説明】
【0145】
図面の簡単な説明
【図1】[0143] 図1は本発明の一部の実施形態による第1の交差結合可能な成分を示す。
【図2】[0144] 図2は本発明の一部の実施形態による第2の交差結合可能な成分を示す。
【図3】[0145] 図3は本発明の一部の実施形態による親水性重合体からの交差結合可能なマトリックス組成物の形成を示す。
【図4】[0146] 図4は本発明の一部の実施形態による疎水性重合体からの交差結合可能なマトリックス組成物の形成を示す。
【図5】[0147] 図5は本発明の一部の実施形態によるヒドロゲル形成成分サブユニットを示す。
【図6】[0148] 図6は本発明の一部の実施形態による密閉材組成物中のヒドロゲル形成成分として有用なフラグメント化交差結合重合体ゲルのパーセント膨潤性とパーセント固体の間の相関を示す。
【図7A】[0149] 図7A〜Eは本発明の実施形態による脾動脈穿刺を治療するための密閉材マトリックス組成物の適用を示す。
【図7B】[0149] 図7A〜Eは本発明の実施形態による脾動脈穿刺を治療するための密閉材マトリックス組成物の適用を示す。
【図7C】[0149] 図7A〜Eは本発明の実施形態による脾動脈穿刺を治療するための密閉材マトリックス組成物の適用を示す。
【図7D】[0149] 図7A〜Eは本発明の実施形態による脾動脈穿刺を治療するための密閉材マトリックス組成物の適用を示す。
【図7E】[0149] 図7A〜Eは本発明の実施形態による脾動脈穿刺を治療するための密閉材マトリックス組成物の適用を示す。
【図8A】[0150] 図8A〜Eは本発明の実施形態による肝切除を治療するための密閉材マトリックス組成物の適用を示す。
【図8B】[0150] 図8A〜Eは本発明の実施形態による肝切除を治療するための密閉材マトリックス組成物の適用を示す。
【図8C】[0150] 図8A〜Eは本発明の実施形態による肝切除を治療するための密閉材マトリックス組成物の適用を示す。
【図8D】[0150] 図8A〜Eは本発明の実施形態による肝切除を治療するための密閉材マトリックス組成物の適用を示す。
【図8E】[0150] 図8A〜Eは本発明の実施形態による肝切除を治療するための密閉材マトリックス組成物の適用を示す。
【図9】[0151] 図9は本発明の実施形態による密閉材マトリックス組成物のプロセシングおよびパッケージングを示す。
【図10】[0152] 図10は本発明の実施形態による密閉材マトリックス組成物のプロセシングおよびパッケージングを示す。
【図11】[0153] 図11は本発明の実施形態によるゲル強度に対するPEG濃度の作用を示す。
【図12】[0154] 図12は本発明の実施形態による膨潤比に対するPEG濃度の作用を示す。
【図13】[0155] 図13は本発明の実施形態による膨潤比に対するPEG濃度の作用を示す。
【図14】[0156] 図14は本発明の実施形態による膨潤比に対するPEG濃度の作用を示す。
【発明を実施するための形態】
【0146】
発明の詳細な説明
[0157] 一部の実施形態によれば、本発明は組織の裂溝または欠陥を密閉することによりインビボの関連において止血または他の体液封じ込めを達成するための乾燥した密閉材マトリックス組成物を提供する。本発明の一部の実施形態の組成物は体液の封じ込めを促進するために脊椎動物の組織に適用する場合に適している乾燥組成物中に第1および第2の交差結合可能な成分および少なくとも1つのヒドロゲル形成成分を含む。本発明の組成物中の第1および第2の成分はインビボの条件下で反応することにより交差結合したマトリックスを形成するが、組織裂溝を通過して侵入してくる、並びに生じた物理的密閉材マトリックスバリアを第1および第2の成分が交差結合するに従って強化する生物学的流体をヒドロゲル形成成分が急速に吸収する。本出願において記載する場合、「密閉材マトリックス組成物」とは、インビボの組織部位への適用の前の本発明の組成物を指す場合があり、そして「密閉材マトリックスバリア」とは本発明の組成物が生物学的流体に接触して第1および第2の成分が交差結合し、ヒドロゲルを含有する多孔性の交差結合したマトリックスを形成した後に結果として生じているマトリックスバリアを指す場合がある。密閉材マトリックス組成物は粉末、ケーキ状物、パッド状物等を包含する種々のフォーマットにおいて生成してよい。ケーキ状物の実施形態は凝集塊を形成するように加熱または焼成されている密閉材マトリックス組成物の粉末試料を包含する。パッド状物はコラーゲンスポンジのようなスポンジ状物または他の支持体の上に配置された密閉材マトリックス組成物の粉末試料を包含し、これは次に焼成されてスポンジまたは支持体に融着する固化された粉末を形成する。
【0147】
[0158] 本発明は非血液生物学的流体(例えばリンパまたは髄液)を封じ込めるために使用してよいが、本発明の一部の実施形態の組成物により形成される密閉材マトリックスはまた、本明細書に記載した主要な用途であることから「止血マトリックス」とも称される。
【0148】
[0159] 急速な止血および包囲する組織への高度な接着による障壁を与えること以外に、本発明の一部の実施形態の密閉材マトリックスは止血を達成するために使用されている以前より開示されている材料を超えた幾つかの利点を有している。第1に、本発明の一部の実施形態の密閉材マトリックスは組織裂溝が極めて湿潤している場合の条件下において使用してよい(例えば急速に滲出または噴出している動脈血、例えば内臓に至る剥離性または鋭利な外傷)。比較すれば、止血用に現在販売されている多くの組成物は組成物の適切な接着および止血の維持のためには比較的乾燥した部位を要している。例えば一部の場合においては、特定のPEG混合物を急速出血部位に設置する場合があるが、しかしながらそれらは洗い出されてしまう可能性が高い。同様に、一部の場合においてはゼラチン組成物を急速出血部位において水和させるがそれらはその部位に残存することが困難である可能性が高い。好都合なことに、第1の交差結合可能な成分、第2の交差結合可能な成分、およびヒドロゲル形成成分を包含する調製品は、かなりの出血を伴う場合であっても、反応可能条件においては固定化された状態で残存することにより出血を遮蔽する機械的に安定な血塊様の物質を形成する材料を与えることができることを発見した。第2に本発明の一部の実施形態の密閉材マトリックスは脊椎動物の如何なる内因性の凝固能力にも依存することなく、組織裂溝を物理的に密閉することにより機能する。即ち、密閉材マトリックスは脊椎動物に対し、その血液中で低フィブリノーゲン濃度において、あるいはフィブリノーゲンを含有しない血液代替物と共に、使用することができる。例えば、第1および第2の交差結合可能な成分をヒドロゲル形成成分と組み合わせて出血面に適用する場合、交差結合可能な成分とヒドロゲル形成成分との間の相乗作用的な相互作用が起こる場合がある。一部の実施形態によれば、第1および第2の交差結合可能な成分は、ヒドロゲル形成成分の存在下において、出血標的部位で反応して交差結合することにより、比較的剛性のフレームワークを形成することができる。これに関連して、ヒドロゲル形成成分は比較的剛性のフレームワーク内を充填して物理的な密閉部の形成を媒介することができる。
【0149】
[0160] 本発明の一部の実施形態によれば、密閉材マトリックス組成物は第1および第2の交差結合可能な成分が交差結合しない条件下(即ち水分、適切なpH、温度等の不在下)において第1の交差結合可能な成分を第2の交差結合可能な成分およびヒドロゲル形成成分と混合しながら生成することができる。生物学的流体との接触時において、または他の反応を可能にする条件において、交差結合可能な第1および第2の成分は交差結合して間隙を有する多孔性のマトリックスを形成し、そしてヒドロゲル形成成分は水和して間隙の少なくとも一部を充填するヒドロゲルを形成する。場合により、交差結合可能な成分はまた、ヒドロゲル形成成分および/または包囲する組織と交差結合してもよい。
【0150】
1.密閉材マトリックスの交差結合可能な成分
[0161] 頻繁には第1の交差結合可能な成分は求核性基2つ以上を含有し、そして第2の交差結合可能な成分は第1の交差結合可能な成分上の求核性基と共有結合できる求電子性基2つ以上を含有する。第1および第2の成分は交差結合して多孔性のマトリックスを形成することができる。例示される第1および第2の成分および多孔性のマトリックスは米国特許5,874,500;6,166,130;6,312,725;6,328,229;および6,458,889に記載されており;これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0151】
[0162] 第1および第2の成分は典型的には非免疫原性となるように選択され、従って、治療開始前に「皮膚試験」を必要としない。さらにまた、これらの成分およびヒドロゲル形成成分はマトリックスメタロプロテイナーゼ(例えばコラゲナーゼ)による酵素的分解に抵抗するように選択してよく、これにより現在使用可能なコラーゲン組成物よりもインビボにおいてより長期間の存続が可能となる。あるいは、第1および第2の成分およびヒドロゲル形成成分は
創傷治癒の間に排除または再吸収されるように選択してよく、これによりインビボの密閉材マトリックスの周囲の繊維状組織の形成を回避することができる。
【0152】
[0163] 1つの実施形態において、第1の成分は、以下に示すような共有結合重合体ネットワークをもたらす多数の求電子性基(「Y」として下記に示す)を含有する第2の成分である合成重合体と反応することができる多数の求核性基(「X」として下記に示す)を含有する合成重合体であってよい。
重合体−Xm+重合体−Yn→重合体−Z−重合体
(式中、m≧2、n≧2、およびm+n≧5であり;
X=−NH2、−SH、−OH、−PH2、および−CO−NH−NH2等であり、そして同じかまたは異なっていてよく;
Y=−CO2N(COCH2)2、−CO2H、−CHO、−CHOCH2、−N=C=O、SO2CH=CH2、−N(COCH)2および−S−S−(C5H4N)等であり、そして同じかまたは異なっていてよく;
Z=求核性基(X)および求電子性基(Y)の統合から形成される官能基である)。
【0153】
[0164] 上記した通り、XおよびYは同じかまたは異なっていてよく、即ち、第1の成分は2つの異なる求核性基を有してよく、および/または、第2の成分は2つの異なる求電子性基を有してよい。例示される第1成分重合体または第2の交差結合可能な成分を図1に示す。例示される第2成分重合体または第2の交差結合可能な成分を図2に示す。
【0154】
[0165] 第1および第2成分重合体の骨格はアルキレンオキシド、特にエチレンオキシド、プロピレンオキシド、およびこれらの混合物であることができる。2官能性アルキレンオキシドの例は下記:
X−重合体−X Y−重合体−Y
[式中、XおよびYは上記の通り定義され、そして「重合体」という用語は−(CH2CH2O)n−または−(CH(CH3)CH2O)n−または−(CH2CH2O)n−(CH(CH3)CH2O)n−を示す]により表すことができる。
【0155】
[0166] 官能基XまたはYは連結基(下記において「Q」として示す)により重合体骨格に共通してカップリングされ、その大部分は既知または可能である。本発明の組成物は2つ以上の官能基を有するが、以下に示す例は簡便のため、1つの官能基のみ、および結果として生じる交差結合を示している。種々の官能性付与された重合体を生成する多くの方法が存在し、その一部を以下に記載する。
重合体−Q1−X+重合体−Q2−Y→重合体−Q1−Z−Q2−重合体
【0156】
【化1】
式中、
n=各々の場合1〜10;
R1=H、CH3、C2H5、・・・CpH2p+1;
R2=CH2、CO−NH−CH2CH2である。
Q1とQ2は同じかまたは異なっていてよい。
【0157】
[0167] 例えばQ2が−OCH2CH2であり(この場合はQ1は非存在);Y=−CO2N(COCH2)2であり;そしてX=−NH2、−SH、または−OHである場合、結果として生じる反応およびZ基は以下の通りとなる。
重合体−NH2+重合体−OCH2CH2CO2−N(COCH2)2→−NH−OCH2CH2CO−重合体(アミド)
重合体−SH+重合体−OCH2CH2CO2−N(COCH2)2→−S−OCH2CH2CO−重合体(チオエステル)
重合体−OH+重合体−OCH2CH2CO2−N(COCH2)2→−O−OCH2CH2CO−重合体(エステル)
。
【0158】
[0168] 下記において「D」として示す別の基は、例えば薬物送達用途における使用を目的として、インビボの交差結合重合体組成物の分解を増大させるために重合体と連結基の間に挿入することができる。
重合体−D−Q−X+重合体−D−Q−Y→重合体−D−Q−Z−Q−D−重合体−
。
【0159】
[0169] 一部の有用な生体分解性の基「D」はラクチド、グリコリド、ε−カプロラクトン、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(無水物)、および種々のジ−またはトリペプチドを包含する。
【0160】
A.重合体骨格を有する第1および第2の組成物
[0170] 上記した通り、本発明の組成物を生成するためには、第1級アミノ基またはチオール基のよう求核性基2つ以上を含有する第1成分重合体、および、第1成分重合体上の求核性基と共有結合できる求電子性基2つ以上を含有する第2成分重合体を与えることが有用である。第1および第2成分重合体は合成のものであることができる。
【0161】
[0171] 第1および第2成分重合体に関して使用する場合、「重合体」という用語は特にポリアルキル類;ジ−、トリ−、オリゴ−、およびポリアミノ酸;およびトリ−、オリゴ−、または多糖類を指す。
【0162】
[0172] 第1および第2成分重合体に関して使用する場合、「合成の重合体」という用語は天然には存在せず、そして化学合成を介して生成される重合体を包含する。即ち天然に存在するタンパク質、例えばコラーゲンおよび天然に存在する多糖類、例えばヒアルロン酸は除外される。合成のコラーゲン、および合成のヒアルロン酸およびその誘導体は包含される。求核性または求電子性の基のいずれかを含有する合成重合体は「多官能性的に活性化された合成重合体」を包含する。「多官能性的に活性化された」(または単純に「活性化された」)という用語は、求核性または求電子性の基2つ以上を有するか、有するように化学修飾されており、それらが相互に反応(即ち求核性基が求電子性基と反応)して共有結合を形成することができるようにされている合成重合体を指すことができる。多官能性的に活性化されている合成重合体の型は2官能性的に活性化されている、4官能性的に活性化されている、および星状分枝鎖型の重合体を包含する。
【0163】
[0173] 本発明における使用のための多官能性的に活性化されている合成重合体は頻繁には、多数の求核性基を含有する合成重合体(即ち「多求核性重合体」)と3次元の交差結合ネットワークを形成するためには少なくとも2つ、または少なくとも3つの官能基を含有する。換言すれば、それらは典型的には少なくとも2官能性的に活性化、または3官能性的に、または4官能性的に活性化されている。第1の合成重合体が2官能性的に活性化された合成重合体である場合、第2の合成重合体は典型的には、3次元交差結合ネットワークを得るためには3つ以上の官能基を含有する。第1および第2成分重合体の両方が少なくとも3つの官能基を含有してよい。
【0164】
B.第1成分重合体
[0174] 多数の求核性基を含有する第1成分重合体はまた一般的に本明細書においては「多求核性重合体」と称する。本発明において使用するためには、多求核性重合体は頻繁には少なくとも2つ、または少なくとも3つの求核性基を含有する。2つのみの求核性基を含有する合成重合体を使用する場合は、3次元交差結合ネットワークを得るためには3つ以上の親電子基を含有する合成重合体が頻繁には使用されることになる。
【0165】
[0175] 本発明の組成物および方法における使用のための多求核性重合体は第1級アミノ基およびチオール基のような多求核性基を含有するか、含有するように修飾されている合成重合体を包含する。そのような多求核性重合体は(i)第1級アミノ基またはチオール基2つ以上を含有するように合成されている合成ポリペプチド;および(ii)第1級アミノ基またはチオール基2つ以上を含有するように修飾されているポリエチレングリコールを包含できる。一般的に求電子性基とのチオール基の反応は求電子性基との第1級アミノ基の反応よりも緩徐に進行する傾向がある。
【0166】
[0176] 多求核性ポリペプチドは第1級アミノ基を含有するアミノ酸(例えばリジン)および/またはチオール基を含有するアミノ酸(例えばシステイン)を取り込むように合成されている合成ポリペプチドであることができる。例えば第1成分重合体はジリジン、トリリジン、クワトラリジン、またはジシステイン、トリシステイン、クワトラシステイン、ペンタシステイン、またはリジンまたはシステイン2つ以上および他のアミノ酸(例えばグリシン、アラニン)、好ましくは非疎水性アミノ酸を含むオリゴペプチドまたはポリペプチドであることができる。ポリ(リジン)、即ちアミノ酸リジンの合成的に生成された重合体(145MW)が頻繁には使用される。ポリ(リジン)は、約870〜約580,000の分子量に相当する6〜約4,000第1級アミノ基のいずれかを有する者として生成されている。種々の分子量のポリ(リジン)がPeninsula Laboratories,Inc.(Belmont,Calif.)より販売されている。
【0167】
[0177] ポリエチレングリコールは例えばPoly(ethyleneGlycol)Chemistry:Biotechnical and Biomedical Applications,J.Milton Harris,ed.,Plenum Press,N.Y.(1992)の第22章に記載されている方法に従って多数の第1級アミノまたはチオール基を含有するように化学的に修飾できる。第1級アミノ基2つ以上を含有するように修飾されているポリエチレングリコールは本明細書においては、「多アミノPEG」と称する。チオール基2つ以上を含有するように修飾されているポリエチレングリコールは本明細書においては、「多チオールPEG」と称する。本明細書においては、「ポリエチレングリコール」という用語は修飾された、または誘導体化されたポリエチレングリコールを包含する。
【0168】
[0178] 多アミノPEGの種々の型がShearwater Polymers(Huntsville,Ala.)より、そしてTexaco Chemical Company(Houston,Tex.)より、「Jeffamine」の名称で販売されている。本発明において有用な多アミノPEGはTexacoのJeffamineジアミン(「D」シリーズ)およびトリアミン(「T」シリーズ)を包含し、これらは分子当たりそれぞれ2つおよび3つの第1級アミノ基を含有している。
【0169】
[0179] ポリアミン類、例えばエチレンジアミン(H2N−CH2CH2−NH2)、テトラメチレンジアミン(H2N−(CH2)4−NH2)、ペンタメチレンジアミン(カダベリン)(H2N−(CH2)5−NH2)、ヘキサメチレンジアミン(H2N−(CH2)6−NH2)、ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン(HN−(CH2CH2OH)2)、ビス(2)アミノエチル)アミン(HN−(CH2CH2NH2)2)、およびトリス(2−アミノエチル)アミン(N−(CH2CH2NH2)3)もまた、多数の求核性基を含有する第1成分合成重合体として使用してよい。
【0170】
C.第2成分重合体
[0180] 多数の求電子性基を含有する第2成分重合体はまた本明細書においては、「多求電子性重合体」と称する。本発明において使用するためには、多求電子性重合体は頻繁には、多求核性重合体と3次元交差結合ネットワークを形成するためには少なくとも2つ、または少なくとも3つの求電子性基を含有する。
【0171】
[0181] 本発明の組成物および方法における使用のための多求電子性重合体は他の分子の上の求核性基と共有結合を形成することができるスクシンイミジル基2つ以上を含有する重合体であることができる。スクシンイミジル基は多アミノPEG、ポリ(リジン)、またはコラーゲンのような第1級アミノ(−NH2)基を含有する物質に対して高度に反応性である。スクシンイミジル基はチオール(−SH)基を含有する物質、例えば多チオールPEGまたは多数のシステイン残基を含有する合成のポリペプチドとは僅かに低反応性である。
【0172】
[0182] 本明細書においては、「2つ以上のスクシンイミジル基を含有する」という用語は、2つ以上のスクシンイミジル基を含有する市販の重合体、並びに、2つ以上のスクシンイミジル基を含有するように化学的に誘導体化されているものを包含する意味を有する。本明細書においては、「スクシンイミジル基」という用語はスルホスクシンイミジル基および「包括的な」スクシンイミジル基の他のこのような変異例を包含することを意図している。スルホスクシンイミジル基上の亜硫酸ナトリウム部分の存在は重合体の溶解性を上昇させる作用を有する。
【0173】
D.第1および第2成分骨格として使用するための親水性重合体
[0183] 親水性重合体、および特に種々のポリエチレングリコールは本発明の一部の実施形態による第1および第2成分重合体の骨格において使用できる。本明細書においては、「PEG」という用語は反復構造(OCH2CH2)nを有する重合体を包含する。
【0174】
[0184] PEGの4官能性的に活性化された構造は、多アミノPEGに4官能性的に活性化されたPEGを反応させることにより得られる一般化された反応産物の場合と同様、図3に示す。図に示す通り、スクシンイミジル基は−N(COCH2)2として示される5員環構造である。図3においては、符号^^^は開放された連結を示す。
【0175】
[0185] 実施形態は本明細書においてはSG−PEGと表記する4官能性的に活性化されたPEGスクシンイミジルグルタレートの多アミノPEGとの反応およびそれにより得られる反応生成物を包含する。PEGの別の活性化された形態はPEGスクシンイミジルプロピオネート(SE−PEG)と称する。実施形態は4官能性的に活性化されたSE−PEGおよびそれを多アミノPEGと反応させることにより得られる反応生成物を包含する。一部の実施形態においては、PEGのいずれかの側鎖の上に3つの反復CH2基が存在する。別の実施形態は加水分解に付されにくい「エーテル」連結部を包含するコンジュゲートを包含する。これはエステル連結部が与えられている図3に示すコンジュゲートとは異なる。エステル連結部は生理学的条件下において加水分解に付される。ポリエチレングリコールの他の官能性的に活性化された形態は、多アミノPEGに4官能性的に活性化されたPEGを反応させることにより形成されるコンジュゲートの場合と同様、本発明の実施形態により意図される。一部の実施形態においては、コンジュゲートはエーテルおよびアミド連結部の両方を包含する。これらの連結部は生理学的条件下において安定である。
【0176】
[0186] PEGの別の官能性的に活性化された形態はPEGスクシンイミジルスクシンアミド(SSA−PEG)と称される。実施形態はこの化合物の4官能性的に活性化された形態およびこれを多アミノPEGと反応させることにより得られる反応生成物を包含する。これらおよび関連の化合物は本発明の実施形態による組成物中において使用してよい。実施形態はまた、前述のエーテル連結部と同様、加水分解に付されにくく、そのためエステル連結部よりも安定である「アミド」連結部を包含するコンジュゲートも包含する。PEGのさらに別の活性化された形態は、PEGスクシンイミジルカーボネート(SC−PEG)と称される化合物実施形態において与えられる。実施形態は4官能性的に活性化されたSC−PEGおよびそれを多アミノPEGと反応させることにより形成されるコンジュゲートを包含する。
【0177】
[0187] 上記において考察した通り、本発明の実施形態における使用のための活性化されたポリエチレングリコールは反応基としてスクシンイミジル基を含有できる。しかしながら、異なる活性化基をPEG分子の長さに沿った部位において結合することができる。例えばPEGは官能性的に活性化されたPEGプロピオンアルデヒド(A−PEG)を形成するように誘導体化できる。実施形態は4官能性的に活性化された形態並びにA−PEGの多アミノPEGとの反応により形成されるコンジュゲートを包含する。連結部は−(CH2)m−NH−連結部と表記してよく、ここでm=1〜10である。
【0178】
[0188] 活性化ポリエチレングリコールのさらに別の形態は官能性的に活性化されたPEGグリシジルエーテル(E−PEG)である。実施形態は4官能性的に活性化された化合物、並びにそれを多アミノPEGと反応させることにより形成されるコンジュゲートを包含する。ポリエチレングリコールの別の活性化誘導体は官能性的に活性化されたPEG−イソシアネート(I−PEG)である。実施形態はこれを多アミノPEGと反応させることにより形成されるコンジュゲートを包含する。ポリエチレングリコールの別の活性化誘導体は官能性的に活性化されたPEG−ビニルスルホン(V−PEG)である。実施形態はこれを多アミノPEGと反応させることにより形成されるコンジュゲートを包含する。
【0179】
[0189] 本発明の組成物および他の実施形態における使用のための多官能性的に活性化されたポリエチレングリコールは3官能性的に、または4官能性的に活性化された形態であることができるSG−PEGおよびSE−PEGのようなスクシンイミジル基を含有するポリエチレングリコールを包含することができる。上記したポリエチレングリコールの活性化型の多くは現在Shearwater Polymers,Huntsville,Ala.およびUnion Carbode,South Charleston,W.Vaから販売されている。
【0180】
E.官能基を含有するように第1および第2の成分重合体を誘導体化すること
[0190] 特定の重合体、例えばポリ酸はスクシンイミジル基のような官能基2つ以上を含有するように誘導体化することができる。本発明における使用のためのポリ酸は限定しないがトリメチロールプロパン系のトリカルボン酸、ジ(トリメチロールプロパン)系のテトラカルボン酸、ヘプタンジ酸、オクタンジ酸(ズベリン酸)、およびヘキサデカンジ酸(タプシン酸)を包含する。これらのポリ酸の多くがDuPont Chemical Companyより販売されている。
【0181】
[0191] 一般的な方法によれば、ポリ酸はN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)の存在下のN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)の適切なモル量との反応によりスクシンイミジル基2つ以上を含有するように化学的に誘導体化することができる。
【0182】
[0192] ポリアルコール、例えばトリメチロールプロパンおよびジ(トリメチロールプロパン)は種々の方法を用いながらカルボン酸形態に変換することができ、そして次に、米国特許出願08/403,358に記載されている通り、DCC存在下のNHSとの反応によりさらに誘導体化することにより、それぞれ3官能性的に、または4官能性的に活性化された重合体を生成することができる。ヘプタンジ酸(HOOC−(CH2)2−COOH)、オクタンジ酸(HOOC−(CH2)2−COOH)、およびヘキサデカンジ酸(HOOC−(CH2)14−COOH)のようなポリ酸はスクシンイミジル基の付加により誘導体化することにより2官能性的に活性化された重合体を生成する。
【0183】
[0193] ポリアミン類、例えばエチレンジアミン(H2N−CH2CH2−NH2)、テトラメチレンジアミン(H2N−(CH2)4−NH2)、ペンタメチレンジアミン(カダベリン)(H2N−(CH2)5−NH2)、ヘキサメチレンジアミン(H2N−(CH2)6−NH2)、ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン(HN−(CH2CH2OH)2)、ビス(2)アミノエチル)アミン(HN−(CH2CH2NH2)2)、およびトリス(2−アミノエチル)アミン(N−(CH2CH2NH2)3)を化学的に誘導体化することによりポリ酸とすることができ、次にこれを、米国特許出願08/403,358に記載されている通り、DCC存在下のN−ヒドロキシスクシンイミドの適切なモル量との反応によりスクシンイミジル基2つ以上を含有するように誘導体化することができる。これらのポリアミンの多くはDuPont Chemical Companyから販売されている。
【0184】
[0194] 一部の実施形態においては、第1の交差結合可能な成分(例えば多アミノPEG)は交差結合可能な成分の組成物全体の約0.5〜約20重量%の範囲の濃度において存在し、そして第2の交差結合可能な成分は交差結合可能な成分の組成物全体の約0.5〜約20重量%の範囲の濃度において存在する。例えば、総重量1グラム(1000ミリグラム)を有する最終的な交差結合可能な成分の組成物は、第1の交差結合可能な成分(例えば多アミノPEG)約5〜約200ミリグラム、および第2の交差結合可能な成分約5〜約200ミリグラムを含有することができる。
【0185】
[0195] 一部の実施形態においては、第1の交差結合可能な成分の第2の交差結合可能な成分に対する重量比は約20%〜約80%の範囲にある。関連する実施形態において、この比は約45%〜約55%の範囲にある。一部の場合においては、比は約50%である。重量比はゲル強度試験に基づいて測定する。第1の交差結合可能な成分および第2の交差結合可能な成分は同じ分子量を有してよい。
【0186】
II.密閉材マトリックス組成物における使用のためのヒドロゲル形成成分
[0196] 本発明による使用のためのヒドロゲル形成成分は参照により本明細書に組み込まれる米国特許4,640,834;5,209,776;5,292,362;5,714,370;6,063,061;および6,066,325において考察されている通り、再吸収可能な生体適合性の分子状の交差結合ゲルおよびヒドロゲルを包含できる。これらの特許に記載されている手法により生成される材料は、止血剤としての使用のためのトロンビン溶液との混合物に関わるキットとしてBaxter Healthcare CorporationよりFLOSEAL商標の下に販売されている。あるいは、いずれかの水和可能な交差結合重合体を本発明におけるヒドロゲル形成成分として使用してよい。例えばアルギネート、アガロース、ゼラチン(例えばSURGIFOAMTM粉末)または他の合成の炭水化物またはタンパク質系の水和可能な交差結合重合体を使用してよい。有用なヒドロゲル形成成分の主要な特性は生体適合性、迅速な吸収、および流体貯留である。即ち、ポリアクリルアミドを本発明のヒドロゲル形成成分として使用してよいが、多くの体内適用におけるその不良な生体適合性に起因して好適度は低い。頻繁には、ヒドロゲル形成成分としての使用のための水和可能な交差結合重合体は約70〜約300ミクロンの粒径、および、約6.8〜約9.5のpHを有する。ヒドロゲル形成成分は、特に密閉材マトリックスが力、圧力、または希釈に付された場合に、第1および第2の交差結合可能な成分に機械的安定性を付与することができる。
【0187】
[0197] 一部の実施形態においては、第1および第2の交差結合可能な成分とヒドロゲル形成成分との間の重量比は約28%w/w〜約42%w/wの範囲にある。一部の場合においては、組成物は、組成物の総質量の約5%〜約75%である組み合わせとしての第1および第2の交差結合可能な成分の濃度、および、組成物の総質量の約95%〜約25%であるヒドロゲル形成成分の濃度を有してよい。関連して、組成物は、組成物の総質量の約5%〜約40%である組み合わせとしての第1および第2の交差結合可能な成分の濃度、および、組成物の総質量の約95%〜約60%であるヒドロゲル形成成分の濃度を有してよい。同様に、組成物は、組成物の総質量の約10%〜約30%である組み合わせとしての第1および第2の交差結合可能な成分の濃度、および、組成物の総質量の約90%〜約70%であるヒドロゲル形成成分の濃度を有してよい。例えば、組成物は約20%の組み合わせとしての第1および第2の交差結合可能な成分、および、約80%のヒドロゲル形成成分を含有してよい。一部の実施形態においては、組み合わせとしての第1および第2の交差結合可能な成分の組成物は50:50%の固定された重量比を有することができ、そして組み合わせとしての第1および第2の交差結合可能な成分の組成物のヒドロゲル形成成分に対するw/w比は約20%〜約30%の範囲であることができる。組み合わせとしての第1および第2の交差結合可能な成分の組成物のヒドロゲル形成成分に対するw/w比はゲル強度/接着試験に基づいて選択できる。ヒドロゲル形成成分は吸収材として作用することにより第1および第2の交差結合可能な成分が重合するための半乾燥状態の表面を与えることができる。本発明の実施形態はこのような比に従った量において交差結合可能な成分およびヒドロゲル形成成分を包含する乾燥密閉材マトリックス組成物キットを包含する。
【0188】
[0198] 一部の実施形態によれば、「生体適合性の」という用語は国際標準化機構(NAMSA、Northwood,Ohio)により発布されている標準#ISO10993−1における基準を満足する材料を指す。一部の実施形態によれば、「再吸収可能な」という用語は1年未満の期間、通常は1〜120日間に渡って、患者身体の標的部位ないに直接置かれた場合(そして乳房インプラントのようなインプラント装置内で保護されない場合)に分解または可溶化する組成物を指す。再吸収および分解を計測するためのプロトコルは知られている。一部の実施形態によれば、「分子状交差結合」という用語は、元素、基または化合物のいずれかよりなる架橋部位により結合した重合体分子(即ち個々の鎖)を含む材料を指し、その場合、重合体分子の骨格原子は第1化学結合により連結される。交差結合は後に詳述する通り種々の状態において行ってよい。
【0189】
[0199] 一部の実施形態によれば、「ヒドロゲル」という用語は後に詳述する通り生物学的、または非生物学的な重合体が水または水性緩衝液を吸収する単相の水性コロイドを包含する組成物を包含する。ヒドロゲルは多数のサブネットワークを含むことができ、その場合、各サブネットワークは、水和の程度に応じて決まり、そして上記した範囲内にある寸法を有する分子状交差結合ヒドロゲルである。頻繁にはヒドロゲルは水を殆どまたは全く有さないものとなり、即ち、単純な濾過によりヒドロゲルから水を除去することはできない。
【0190】
[0200] 「パーセント膨潤」とは乾燥重量を湿潤重量から差し引き、乾燥重量で割り、そして100を掛けたものとして定義することができ、ここで湿潤重量は例えば濾過により材料の外部から可能な限り完全に湿潤剤を除去し終えた後に計測されるものであり、そして、乾燥重量は湿潤剤を蒸発させるために十分な時間上昇温度、例えば2時間120℃に曝露した後に計測される。
【0191】
[0201] 「平衡膨潤性」とは水和可能な交差結合重合体材料を含水量が一定になるために十分な時間、典型的には18〜24時間、湿潤剤中に浸積させておいた後の平衡時におけるパーセント膨潤として定義できる。
【0192】
[0202] 「標的部位」とは、典型的には、密閉材マトリックス組成物を送達すべき位置、通常は組織裂溝または欠陥部である。頻繁には、標的部位は目的の組織位置となるが、一部の場合においては、例えば材料をインサイチュで膨潤させることにより目的位置を被覆する場合には、密閉材マトリックスを目的の位置の近傍の位置に投与または施工してよい。
【0193】
[0203] 本発明の少なくとも一部の実施形態におけるヒドロゲル形成成分としての使用のための水和可能な交差結合重合体は生物学的および非生物学的な重合体から形成してよい。適当な生物学的重合体は、タンパク質、例えばゼラチン、可溶性コラーゲン、アルブミン、ヘモグロビン、カゼイン、フィブリノーゲン、フィブリン、フィブロネクチン、エラスチン、ケラチン、ラミニン、およびこれらの誘導体および組み合わせを包含する。可溶性の非微小繊維状コラーゲンも同様に適している。例示されるゼラチン製剤は後に記載する通りである。他の適当な生物学的重合体は多糖類、例えばグリコサミノグリカン(例えばヒアルロン酸および硫酸コンドロイチン)、澱粉誘導体、キシラン、セルロース誘導体、ヘミセルロース誘導体、アガロース、アルギネート、キトサン、およびこれらの誘導体および組み合わせを包含する。適当な非生物学的重合体は2つの機序、即ち(1)重合体骨格の分解、または(2)水溶性をもたらす側鎖の分解のいずれかにより分解可能となるように選択できる。例示される非生物学的重合体は合成物質、例えばポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニル樹脂、ポリアクチド−グリコリド、ポリカプロラクトン、ポリオキシエチレン、およびこれらの誘導体および組み合わせを包含する。
【0194】
[0204] ヒドロゲル形成成分としての使用のための水和可能な交差結合重合体分子は水性のヒドロゲルを形成するために適するいずれかの態様において交差結合してよい。例えばこれらの重合体分子は重合体分子鎖2つ以上に共有結合する2官能性または多官能性の交差結合剤を用いて交差結合してよい。例示される2官能性の交差結合剤はアルデヒド、エポキシド、スクシンイミド、カルボジイミド、マレイミド、アジド、カーボネート、イソシアネート、ジビニルスルホン、アルコール、アミン、イミデート、無水物、ハライド、シラン、ジアゾアセテート、アジリジン等を包含する。あるいは、交差結合は、重合体上の側鎖または部分を活性化する酸化剤および過ヨウ素酸塩のような別の試薬を用いながら他の側鎖または部分にそれらを反応させて交差結合部を形成させることにより、達成してよい。交差結合の別の方法は重合体を放射線照射、例えばガンマ線照射に曝露することにより側鎖重合体を活性化して交差結合反応を起こさせることを含む。ジヒドロサーマル交差結合法もまた適している。ゼラチンのジヒドロサーマル交差結合はそれを上昇した温度、典型的には120℃に少なくとも8時間の期間保持することにより達成できる。平衡時のパーセント膨潤の低下として顕在化する交差結合の範囲の増大は、保持温度を上昇させること、保持時間の持続を延長すること、または両方の組み合わせにより達成できる。減圧下の作業は交差結合反応を加速することができる。ゼラチン分子を交差結合させるための好ましい方法は後述する通りである。
【0195】
[0205] ヒドロゲルはヒドロゲルの展性、可撓性および分解速度を増大させるために可塑剤を包含してよい。可塑剤はアルコール、例えばポリエチレングリコール、ソルビトール、またはグリセロールであってよい。頻繁には可塑剤は約200〜1000Dの範囲の分子量を有するか、または約400Dの分子量を有するポリエチレングリコールとなる。可塑剤は重合体組成物の約0.1重量%〜約30重量%、好ましくは1重量%〜5重量%においてヒドロゲル中に存在できる。可塑剤は高い固形物含有量、典型的には組成物(可塑剤を除く)の10重量%超を有するヒドロゲルとともに使用する場合に特に有利となる。
【0196】
[0206] 分子状交差結合ゼラチンを生成するための例示される方法は以下の通りである。ゼラチンを入手し、水性緩衝液中に入れ、典型的には約1〜約70重量%、または約3〜約10重量%の固形物含有量を有する非交差結合ゲルを形成させる。ゼラチンは典型的にはグルタルアルデヒド(例えば0.01〜0.05%w/w、一夜0〜15℃、水性緩衝液中)、過ヨウ素酸ナトリウム(例えば0.05M、0℃〜8℃に48時間保持)、または1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)(例えば0.5〜1.5%w/w、一夜室温)のいずれかに曝露することにより、あるいは、約0.3〜3メガラッドのガンマ線または電子線の照射に曝露することにより、交差結合させる。あるいは、ゼラチン粒子を約1〜約70重量%、または約3〜約10重量%の固形物含有量でメチルアルコールまたはエチルアルコールのようなアルコール中に懸濁し、そして交差結合剤、典型的にはグルタルアルデヒドに曝露(例えば0.01〜0.1%w/w、一夜室温)することにより交差結合させることができる。アルデヒドの場合はpHは典型的には約6〜約11、または約7〜約10に保持する。グルタルアルデヒドと交差結合する場合は、交差結合はシッフ塩基を介して形成され、これは後の還元により、例えばナトリウムボロハイドライドで処理することにより、安定化させてよい。交差結合の後、生じた顆粒を水中で洗浄し、場合によりアルコールですすぎ、乾燥し、そして所望の緩衝性およびpHを有する水性媒質中に所望の水和度となるように再懸濁してよい。生じたヒドロゲルは次に、後に詳述する本発明のアプリケーターにロードしてよい。あるいは、やはり後に詳述する通り交差結合の前、または後にヒドロゲルを機械的に崩壊させてよい。
【0197】
[0207] 約400%〜約1300%、または約600%〜約950%の範囲の平衡時パーセント膨潤性を有する分子状交差結合ゼラチン組成物を生成するための例示される方法は以下の通りである。ゼラチンを入手し、溶液中に交差結合剤(頻繁にはグルタルアルデヒド、典型的には0.01〜0.1%w/wの濃度)を含有する水性緩衝液(典型的には約6〜約17のpH、または約7〜約10のpH)中に入れることにより、典型的には1〜70重量%、通常は3〜10重量%の固形分含有量を有するゲルを形成する。ゲルを十分混合し、交差結合を進行させながら0℃〜15℃において一夜保持する。次にこれを脱イオン水で3回、アルコール(好ましくはメチルアルコール、エチルアルコールまたはイソプロピルアルコール)で2回洗浄し、そして室温で乾燥させる。場合によりゲルをナトリウムボロハイドライドで処理することにより交差結合をさらに安定化させてよい。一部の場合においては、ヒドロゲル形成成分は例えば多数のグリシン残基(例えば整列した3残基毎に1つ)、プロリン残基、および4−ヒドロキシプロリン残基を有するゼラチンを包含できる。例示されるゼラチンサブユニットを図5に示す。ゼラチン実施形態はアミノ酸組成:グリシン21%、プロチン12%、ヒドロキシプロリン12%、グルタミン酸10%、アラニン9%、アルギニン8%、アスパラギン酸6%、リジン4%、セリン4%、ロイシン3%、バリン2%、フェニルアラニン2%、スレオニン2%、イソロイシン1%、ヒドロキシリジン1%、メチオニンおよびヒスチジン<1%、およびチロシン<0.5%を有する分子を包含する。図6は密閉材組成物中のヒドロゲル形成成分として有用であるフラグメント化交差結合重合体ゲル実施形態のパーセント膨潤とパーセント固体の間の相関を示す。
【0198】
[0208] 分子状交差結合ヒドロゲルは好ましくはヒドロゲル形成成分として使用する前にバッチプロセスにおいて機械的に崩壊させる。この機械的な崩壊の工程の主要な目的は自身が送達される空間を充填充満させる能力を増強する大きさを有するヒドロゲルの多数のサブユニットを生じさせることである。機械的崩壊を行わない場合、分子状交差結合ヒドロゲルは治療すべき不規則な形状の標的空間に合致して充填する際に困難を伴うことになる。ヒドロゲルをより小型のサブユニットにまで分解することにより、交差結合したヒドロゲルの機械的一体性および存続性を保持しつつそのような空間を遙かに効率的に充填できるようになるのである。
【0199】
[0209] ヒドロゲルの重合体鎖の分子状交差結合はその機械的崩壊の前または後に実施できる。ヒドロゲルは、ヒドロゲル組成物が上記した0.01mm〜5.0mmの範囲の大きさを有するサブユニットにまで分解される限り、バッチ作業中、例えば混合中に機械的に崩壊してよい。他のバッチ式の機械的崩壊のプロセスはホモゲナイザーまたはミキサーを通して、またはヒドロゲルの破壊降伏応力を超過するレベルにまでヒドロゲルを圧縮、伸展または剪断するポンプを通して送液することを包含する。一部の場合においては、重合体組成物の押し出しにより、ヒドロゲルは実質的に連続したネットワーク、即ち元のヒドロゲル塊の寸法に渡るネットワークから、サブネットワークまたは上記した範囲の寸法を有するサブユニットの集合物に変換される。
【0200】
[0210] 現時点で好ましい実施形態においては、水和可能な交差結合重合体をまず生成(例えば噴霧乾燥による)および/または機械的に崩壊し、その後交差結合、通常頻繁にはその後水和させることによりヒドロゲルを形成する。水和可能な交差結合重合体は微細分割または粉末化された乾燥固体として提供してよく、これはさらに細分化することにより崩壊してよく、これにより、通常は狭い範囲内に制約された所望の大きさを有する粒子を得る。その他の大きさの選択および修飾の工程、例えば分篩、サイクロン分類等もまた実施してよい。後に記載する例示されるゼラチン材料に関しては、乾燥粒径は好ましくは、約0.01mm〜約1.5mm、より好ましくは約0.05mm〜約1.0mmの範囲にある。例示される粒径分布は粒子の約95重量%超が約0.05mm〜約0.7mmの範囲内となるようなものとなる。重合体出発物質を細分化するための方法はホモゲナイズ、粉砕、コアセルベーション、ミリング、ジェットミリング等を包含する。粉末化された重合体出発物質はまた噴霧乾燥により形成してもよい。粒径分布は従来の手法、例えば分篩、凝集、別の粉砕等によりさらに制御および上質化してよい。
【0201】
[0211] 次に乾燥粉末化固体を本明細書に別途記載する通り水性緩衝液中に懸濁し、そして交差結合する。他の場合においては水和可能な交差結合重合体を水性緩衝液に懸濁し、交差結合し、次に乾燥してよい。交差結合した乾燥重合体を次に崩壊させ、そして崩壊した材料をその後水性緩衝液に再懸濁してよい。全ての場合において、得られた材料は上記した寸法を有する個別のサブネットワークを有する交差結合したヒドロゲルを含む。
【0202】
[0212] 機械的崩壊ののちのヒドロゲル形成成分として有用な水和可能な交差結合した重合体は典型的には再吸収可能であり、即ち、それらはそれらの初回適用ののち1年未満の期間内、通常は1〜120日、好ましくは1〜90日、より好ましくは2〜30日間内に、患者身体内で生体分解されることになる。再吸収のために必要な時間の長さを計測するための手法は知られている。
【0203】
III.密閉材マトリックス組成物の実施形態の1つのグループの生成および使用:多孔性マトリックスと水和可能な交差結合した重合体の組み合わせ
[0213] 本発明による組成物は、水和することにより間隙の少なくとも一部を充填するヒドロゲルを形成できる水和可能な交差結合した重合体と組み合わせられた、交差結合して間隙を有する多孔性のマトリックスを形成できる第2の交差結合可能な成分と組み合わせて、第1の交差結合可能な成分を含む。当然ながら、本発明の組成物は(1)第1および第2の成分(即ち多孔性マトリックス);および(2)水和可能な交差結合した重合体を改変することを検討しながら、上記考察した用途の各々を含む種々の生物医薬用途のために使用することができる。例えばそのような組成物は血液に対する急速な物理的バリアを形成することにより出血を停止または抑制するための機械的密閉材として機能できる。従って、本発明の一部の実施形態は直接の「止血」作用(例えば凝固カスケードに対する生化学的作用;例えば凝固開始剤)を伴うことなく結果をもたらすことができる。
【0204】
[0214] ヒドロゲル形成成分は吸収材として作用できる(例えば血液および他の体液および組織に対して)。血液を吸収することにより、ヒドロゲル形成成分は、第1および第2の交差結合可能な成分のより高濃度を治療部位において維持することを確保することができ、そして、半乾燥状態の表面を第1および第2の交差結合可能な成分に対して与えることにより相互および包囲組織に対する交差結合が行われることを確保することができる。一部の実施形態においては、第1および第1の成分はヒドロゲル形成成分が血液を吸収している時と同時に交差結合できる。この吸収および交差結合は数秒間以内に起こることができ、そして結果として生じる密閉材マトリックスバリアは30分〜1時間で最高強度に達することができる。
【0205】
[0215] 一般的に、密閉材マトリックス組成物は「乾燥」しているが、一部最小限の水分含有量は例えばヒドロゲル形成成分中に存在してもよい。一部の場合においては、適用前に水和可能な交差結合重合体を部分的に予備水和することは、生理学的pHより高値のpHにおいて、あるいは標的部位における適用の前に第1および第2の成分が交差結合することを防止する条件下においてはそれを行うことが必要となる場合があるが、可能なことである。頻繁には密閉材マトリックス組成物は粉末化された、または溶融ケーキ状の形態となる。
【0206】
[0216] 密閉材マトリックス組成物を生成するために使用される第1の成分および第2の成分の濃度は多くの要因、例えば使用する特定の交差結合可能な成分の型および分子量および所望の最終用途に応じて変動してよい。一部の実施形態においては、第1および第2の成分のヒドロゲル形成成分に対する重量比は10〜50%w/w、15〜45%w/w、20〜42%w/w、30〜40%w/w、および28〜約42%w/wの範囲となる。一部の実施形態においては、第1および第2の歩の粒径は約50〜約90ミクロンの範囲となることができる。一部の実施形態においては、水和可能な交差結合重合体の粒径は約250〜約400ミクロンの範囲となることができる。
【0207】
[0217] 一部の実施形態においては、第1および第2の成分は乾燥粒子または粉末の形態として提供してよい。この形態においては、第1および第2の成分を共に混合し、そしてやはり乾燥粒子または粉末の形態のヒドロゲル形成成分と混合してよい。成分の混合はミリングブレード混合のようないずれかの機械的天下混合手段により達成してよい。得られた乾燥粉末密閉材マトリックス組成物を次に種々の容器、例えばカートン、エンベロープ、ジャー等に封入しておい。添加混合および充填は無菌条件下に行ってよく、あるいは、密閉材マトリックス組成物は例えばガンマ線照射により封入後に滅菌してよい。この時点で本発明の乾燥粉末の実施形態は使用可能状態となる。第1および第2の交差結合可能な重合体は生理学的条件下(例えば血液pH)でリアすることにより交差結合し、そしてこれにより本発明の3成分密閉材マトリックス組成物は、十分な水和用の体液が存在すれば、乾燥形態で所望の部位に直接適用して組織欠陥を密閉してよい。即ち、粉末密閉材マトリックス組成物を組織欠陥標的部位の上部および内部に向けて単に注ぎ込み、そして密閉材マトリックスバリアが形成するまでその位置に保持すればよい(例えばガーゼパッドまたは外科処置用手袋を使用する)。これは、種々の組織欠陥の大きさに対して使用することができる即時使用可の製品が望まれる外傷の状況において(例えば救命救急室または戦地において)特に有用かつ好都合なものとなる。
【0208】
[0218] 他の実施形態においては、第1および第2の成分およびヒドロゲル形成成分を支持体、または裏装上に固定化し、「密閉材マトリックスパッド」を形成してよい。これらの実施形態においては、支持体、例えばコラーゲンスポンジを提供し、そして次に密閉材マトリックス組成物を支持体上に固定化して使用に付す。密閉材マトリックス組成物は組織、有機材料、および合成材料に容易に結着するため、これらの実施形態は、より容易に取り扱いできる支持体を密閉材マトリックス組成物の適用のために使用してよいという点において、好都合である。効果的な密閉材マトリックスバリアを生じさせるために比較的少量の密閉材マトリックス組成物を必要とするという事実のために、比較的薄い層の密閉材マトリックス組成物を支持体に固定化すればよい。例えば、後述する実施例においては、表面上に固定化された密閉材マトリックス組成物僅か約0.5〜1.0gで極めて良好な止血特性を有する3cmx3cmのパッドが形成された。外科分野の当業者の知る通り、これらの実施形態は、組織血管の大きさが予測される状況において、そして粉末と比較して向上した取り扱い特性が望まれる場合に、望ましいものとなる。乾燥粉末の実施形態と同様、密閉材マトリックス組成物の密閉材マトリックスパッドの実施形態は、さらに提供を施すことなく、交差結合可能な組成物が交差結合してしまうまで組織欠陥に対してパッドの密閉材マトリックス組成物の側を押し付けることにより組織欠陥に直接適用してよい。
【0209】
[0219] 本発明の密閉材マトリックスパッドの実施形態のための支持体はいずれかの生体適合性の材料であってよい。コラーゲン支持体を本明細書においては詳述するが、他の支持体材料も使用してよい。例えば、生体適合性である他のタンパク質または多糖類の支持体材料も使用してよい。これらの支持体材料は密閉材マトリックスバリアとほぼ同じ速度でインビボで分解してよく、あるいは、密閉材マトリックスバリアとは異なる速度で分解してもよい。コラーゲンスポンジおよびその生成は外科の当該分野で良く知られており、そしてコラーゲンの生成および取り扱いは後に詳述する通りである。同様に、フィブリンから生成したスポンジも使用してよい。外科分野の当業者の知る通りスポンジ以外の形態も本発明の密閉材マトリックスパッド実施形態における支持体のために使用してよい。例えば、コラーゲンまたは他の材料のシートまたはフィルムを使用してよい。さらにまた、支持体は組織欠陥の形状により緊密に近似するパッドとするために、いずれかの有用な形状、例えば円錐、半球、棒状、楔形等を取ってよい。例えば支持体としての円錐の形状を有するコラーゲンスポンジを利用した密閉材マトリックスパッドは銃創を治療する場合に有用である場合がある。
【0210】
[0220] 典型的には、そのような支持体は構造的または機械的な成分として機能することになる。支持体は血液または他の液体が支持体内に浸透し、そして組成物との高度な接触が得られるようにある程度の多孔性を有してよい。そのような構造は約1.3X〜約1.5Xの膨潤ファクターを有する場合があり、従って外科用途に理想的である。例えば、スポンジ支持の組成物は、過剰な膨潤が脳に対して望ましくない圧力を与える可能性がある場合に、硬膜を密閉するために神経外科的処置において使用できる。一般的に市自体は典型的な組織欠陥に合致するために十分可撓性でなければならず、そして外科的な状況において良好な取り扱い特性を有さなければならない。
【0211】
[0221] 密閉材マトリックス組成物は種々の手段により支持体上に固定化してよい。後述する一部の実施形態においては、4アームのPEGである第1および第2の成分、および交差結合したゼラチンのヒドロゲル形成成分を含有する粉末化された密閉材マトリックス組成物を固定化するためには穏やかな加熱で十分である。これらの実施形態においては、粉末化された密閉材マトリックス組成物をコラーゲンスポンジ上に添加し、そして約1〜2分間60〜70℃に加熱した。この熱において乾燥粉末マトリックスは僅かに溶融し、コラーゲンスポンジの表面に融着した。あるいは、密閉材マトリックス組成物は医薬品分野で知られている結合剤または他の賦形剤を用いて支持体に固定してよい。一般的に支持体に密閉材マトリックス組成物を固定するために使用される手法は密閉材マトリックスの第1および第2の成分およびヒドロゲル形成成分に応じたものとなる。支持体に密閉材マトリックスを固定化するために使用される方法は生理学的状態に曝露された場合に交差結合する第1および第2の成分の能力、または、生物学的流体を吸収するヒドロゲル形成成分の能力を無視できない程度に低下させてはならない。
【0212】
[0222] 他の実施形態において、密閉材マトリックス組成物は支持体を伴っていないシートまたはフィルムに形成してもよい。密閉材マトリックス組成物のそのような形成は密閉材マトリックスパッドの実施形態のための支持体に密閉材マトリックス組成物を固定化するための上記方法を用いて達成してよい。
【0213】
IV.密閉材マトリックス組成物中の追加的成分の付加
[0223] 本発明の追加的実施形態において、第1および第2の交差結合可能な成分およびヒドロゲル形成成分以外の成分を本発明の密閉材マトリックス組成物に添加してよい。一般的にこれらの追加的成分は第2および第2およびヒドロゲル形成成分と乾燥形態において添加混合してよい。追加的成分は追加的な機械的強度を付与するか、あるいは、特定の用途のための本発明の密閉材マトリックス組成物の性能を別様に向上させてよい。例えば、不透明であり、そして非微小繊維コラーゲンよりも粘着性が低いため、微小繊維コラーゲンは場合により生物接着剤尿組成物における使用のためには好適度が低い場合がある。しかしながら米国特許5,614,587に開示されている通り、微小繊維コラーゲンまたは非微小繊維および微小繊維コラーゲンの混合物は、インビボの長期の持続性を意図した接着剤組成物における使用のためには好適である場合がある。種々の脱アセチル化および/または脱スルフェート化されたグリコサミノグリカン誘導体をコラーゲンに関して上記下物と同様の態様において組成物に配合することができる。
【0214】
[0224] コラーゲンのような天然に存在するタンパク質、およびグリコサミノグリカンのような種々の天然に存在する多糖類の誘導体を、本発明の第1および第2の成分が生理学的条件下で反応して交差結合する場合に、密閉材マトリックスバリア内に配合できる。これらの他の成分もまた合成重合体上の官能基と反応することになる官能基を含有している場合には、標的部位における第1および第2の成分の交差結合の間のその存在は交差結合した合成重合体−天然に存在する重合体のマトリックスの形成をもたらすことになる、特に天然に存在する重合体(タンパク質または多糖類)が第1級アミノ基のような求核性基を同様に含有する場合、第2の交差結合可能な成分上の求電子性基はこれらの成分上の第1級アミノ基、並びに、第1の交差結合可能な成分上の求核性基と反応することになり、これにより、これらの他の成分が密閉材マトリックスバリアの部分となる。
【0215】
[0225] 一般的に、グリコサミノグリカンは典型的には、第2の交差結合可能な成分上の求電子性基との反応のために使用できる第1級アミノ基を含有するために、脱アセチル化、脱スルフェート化または両方により化学的に誘導体化される。上記した方法のいずれかまたは両方により誘導体化することができるグリコサミノグリカンは以下のもの、即ち:ヒアルロン酸、硫酸コンドロイチンA、硫酸コンドロイチンB(デルマタンスルフェート)、硫酸コンドロイチンC、キチン(キトサンに誘導体化できる)、硫酸ケラチン、ケラトスルフェートおよびヘパリンを包含する。脱アセチル化および/または脱スルフェート化によるグリコサミノグリカンの誘導体化、および、結果として生じたグリコサミノグリカン誘導体の合成親水性重合体との共有結合は共通譲渡され許可されている米国特許5,510,418にさらに詳細に説明されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0216】
[0226] 同様に、第2の交差結合可能な成分上の求電子性基は特定の天然に存在するタンパク質のリジン残基上の第1級アミノ基またはシステイン残基上のチオール基とリアしてよい。リジンリッチのタンパク質、例えばコラーゲンおよびその誘導体は合成重合体上の求電子性基に対して特に反応性である。本明細書においては、「コラーゲン」という用語は、いずれかの原料に由来するいずれかの型のコラーゲン、例えば限定しないが、組織から抽出された、または組み換え生成されたコラーゲン、コラーゲン類縁体、コラーゲン誘導体、修飾されたコラーゲン、および変成されたコラーゲン、例えばゼラチンを包含することを意図している。合成親水性重合体へのコラーゲンの共有結合は同時譲渡されたRhee等への1992年11月10日発行の米国特許5,162,430に詳述されている。
【0217】
[0227] 一般的に、いずれかの原料に由来するコラーゲンを本発明の組成物中に使用してよく;例えばコラーゲンはヒトまたは他の哺乳類の材料、例えばウシまたはブタの真皮およびヒトの胎盤から抽出または精製してよく、あるいは組み換えにより、または別様に生成してよい。ウシ皮膚からの溶液としての精製された、実質的に非抗原性のコラーゲンの生成は当該分野で良く知られている。Palefsky等への1995年6月27日発行の米国特許5,428,022はヒト胎盤由来のコラーゲンを抽出および精製する方法を開示している。米国特許5,667,839はトランスジェニックの乳牛を包含するトランスジェニックの動物の乳汁中で組み換えヒトコラーゲンを生成する方法を開示している。「コラーゲン」または「コラーゲン材料」という用語は本明細書においては、プロセシングされている、または別様に修飾されているものを包含するコラーゲンのすべての形態を指す。
【0218】
[0228] 何れの型のコラーゲン、例えば限定しないがI、II、III、IV型またはこれらの何れの組み合わせも本発明の組成物中に使用してよいが、I型が好ましい場合が多い。アテロペプチドまたはテロペプチドを含有するコラーゲンの何れも使用してよいが;外因性の原料由来のコラーゲン、例えばウシコラーゲンを使用する場合は、アテロペプチドが好ましい場合が多く、その理由はそれがテロペプチド含有コラーゲンと比較して低減された免疫原性を有するためである。
【0219】
[0229] 熱、放射線照射、または化学交差結合剤のような方法により予め交差結合されていないコラーゲンを本発明の組成物中で使用することができ、そして予め交差結合されているコラーゲンも同様に使用してよい。非交差結合アテロペプチド微小繊維コラーゲンはそれぞれZyderm(登録商標)IコラーゲンおよびZydermIIコラーゲンの商標の下に35mg/mlおよび65mg/mlのコラーゲン濃度のものがCollagen Corporation(Palo Alto,Calif.)から販売されている。グルタルアルデヒド交差結合アテロペプチド微小繊維コラーゲンはZyplast(登録商標)コラーゲンの商標の下に35mg/mlのコラーゲン濃度のものがCollagen Corporationから販売されている。本発明における使用のためのコラーゲンは一般的に乾燥した凍結乾燥粉末形態である。
【0220】
[0230] 自身の粘着性のコンシステンシーのために、非微小繊維コラーゲンは典型的には生物接着剤としての使用を意図している本発明の組成物中で使用される。「非微小繊維コラーゲン」という用語はコラーゲンの水性懸濁液の光学的清澄度により示した場合に、pH7において実質的に非微小繊維形態にあるいずれかの修飾されたまたは非修飾のコラーゲン材料を包含する。
【0221】
[0231] 既に非微小繊維形態にあるコラーゲンは本発明の組成物中で使用してよい。本明細書においては、「非微小繊維コラーゲン」という用語は天然の形態において非微小繊維であるコラーゲンの型、並びに、中性またはその近傍のpHにおいて非微小繊維形態にあるように化学的に修飾されているコラーゲンを包含することを意図している。天然の形態において非微小繊維(またはマイクロ微小繊維)であるコラーゲンの型はIV、VIおよびVII型を包含する。
【0222】
[0232] 中性pHにおいて非微小繊維形態である化学修飾されたコラーゲンは、スクシニル化焦げおよびメチル化コラーゲンを包含し、これらの両方とも参照により全体が本明細書に組み込まれるMiyata等への1979年8月14日発行の米国特許4,164,559に記載された方法により生成できる。自身の固有の粘着性のため、メチル化コラーゲンは典型的には米国特許5,614,587に開示されている通り生物接着剤組成物中で使用される。
【0223】
[0233] 本発明の密閉材マトリックス組成物中の使用のためのコラーゲンは微小繊維形態で発生し、次に繊維分解剤1つ以上を添加することにより非微小繊維とされてよい。繊維分解剤は典型的には上記した通りpH7においてコラーゲンを実質的に非微小繊維とするために十分な量で存在する。本発明における使用のための繊維分解剤は、例えば限定しないが種々の生体適合性のアルコール、アミノ酸、無機の塩、および炭水化物を包含し、生体適合性のアルコールが特に好ましい。好ましい生体適合性アルコールはグリセロールおよびポリエチレングリコールを包含する。一部の場合においては、非生体適合性のアルコール、例えばエタノール、メタノールおよびイソプロパノールは、それらを投与される患者の身体に対しするそれらの潜在的な有害作用のために、本発明の第1および第2の重合体における使用のためには望ましくない場合がある。アミノ酸の例はアルギニンを包含する。無機の塩の例は塩化ナトリウムおよび塩化カリウムを包含する。スクロースを包含する種々の糖類のような炭水化物を本発明の実施において使用してよいが、それらはインビボで細胞毒性作用を示す場合があるため、繊維分解剤の他の型ほどは好適ではない。
【0224】
[0234] 密閉に加えて組織接着における使用のためには、細胞接着を促進するために密閉材マトリックス組成物中にアルブミン、フィブリンまたはフィブリノーゲンのようなタンパク質を配合することが望ましい場合がある。さらにまた、カルボキシメチルセルロースのようなヒドロコロイドの導入が組織接着および/または膨潤可能性を促進する場合がある。
【0225】
[0235] 本発明の密閉材マトリックス組成物はまた追加的な生物活性剤または化合物1つ以上を含んでよい。1つの実施形態において、タキソール誘導体のような生物活性剤を密閉材マトリックス組成物に添加することにより組織欠陥部位における接着を防止してよい。他の実施形態においては、生物活性剤、例えば抗生物質または抗微生物剤を、例えば病原性生物が組織欠陥部位または創傷に侵入する可能性がある外傷誘導創傷状況(例えばナイフまたは銃弾による創傷)における使用のための密閉材マトリックスに添加してよい。他の実施形態においては成長因子のような生物活性剤組成物から局所組織部位に送達することにより組織の治癒および再生を促進してよい。別の実施形態においては、トロンビンのような血液凝固剤を添加して凝固カスケードを活性化することにより、密閉および組織の再生をさらに向上させてよい。例示される生物活性成分は限定しないがタンパク質、炭水化物、核酸、および無機および有機の生物活性分子、例えば酵素、抗生物質、抗新生物剤、細菌増殖抑制剤、抗接着形成剤(例えばタキソール誘導体)、殺菌剤、抗ウィルス剤、止血剤、局所麻酔剤、抗炎症剤、ホルモン、抗血管形成剤、抗体、神経伝達物質、精神活性剤、生殖器に影響する薬剤およびオリゴヌクレオチド、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドを包含する。「生物活性剤」または「活性剤」とは本明細書においてはインビボで生物学的作用を呈する有機または無機の分子を包含する。活性剤の例は限定しないが、酵素、受容体拮抗剤またはアゴニスト、ホルモン、成長因子、自己由来骨髄、抗生物質、抗接着形成剤、抗微生物剤、他の薬剤、および抗体を包含する。「活性剤」という用語はまた、上記において定義した活性剤2つ以上の組み合わせまたは混合物を包含することも意図している。
【0226】
[0236] そのような生物活性成分は典型的には比較的低い濃度において、典型的には組成物の10重量%未満において、通常は5重量%未満、頻繁には1重量%未満において存在することになる。そのような活性剤2つ以上は単一の組成物中において組み合わせてよく、および/または、異なる活性成分が送達部位において相互作用する場合にはそのような成分を送達するために組成物2つ以上を使用してよい。例示される止血剤はトロンビン、フィブリノーゲンおよび凝固因子を包含する。トロンビンのような止血剤は例えばヒドロゲルml当たり約50〜約10,000単位のトロンビン、またはヒドロゲルml当たり約100〜約1000単位のトロンビンの範囲の濃度において添加してよい。
【0227】
[0237] 交差結合した第1および第2の重合体の組成物はまた、X線または19F−MRIによる投与後の組成物の可視化を支援するためにそれぞれヨウ素またはバリウム、またはフッ素のような種々の画像化剤を含有するように生成できる。
【0228】
[0238] 本発明の組成物における使用のための好ましい活性剤は、成長因子、例えば形質転換成長因子(TGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、血小板誘導成長因子(PDGF)、表皮成長因子(EGF)、結合組織活性化ペプチド(CTAP)、骨形成因子、およびこれらの成長因子の生物学的に活性な類縁体、フラグメント、および誘導体を包含する。多機能性調節タンパク質である形質転換成長因子(TGF)スーパー遺伝子ファミリーのメンバーが特に好ましい。TGFスーパー遺伝子ファミリーのメンバーはベータ形質転換成長因子(例えばTGF−β1、TGF−β2、TGF−β3);骨形態形成タンパク質(例えばBMP−1、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−7、BMP−8、BMP−9);ヘパリン結合成長因子(例えば線維芽細胞成長因子(FGF)、表皮成長因子(EGF)、血小板誘導成長因子(PDGF)、インスリン様成長因子(IGF);インヒビン(例えばインヒビンA、インヒビンB);生育分化因子(例えばGDF−1);およびアクチビン(例えばアクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB)を包含する。
【0229】
[0239] 成長因子は哺乳類細胞由来のような天然または自然の原料から単離することができ、あるいは、組み換えDNA手法によるか、または種々の化学的プロセスにより合成的に生成できる。さらにまた、これらの因子の類縁体、フラグメント、または誘導体も、それらが天然分子の生物活性の少なくとも一部分を呈する限り、使用できる。例えば類縁体は部位特異的突然変異誘発または他の遺伝子操作手法により改変された遺伝子の発現により生成できる。
【0230】
[0240] 生物活性剤は密閉材マトリックス組成物に添加混合することにより配合してよい。1つの実施形態において、活性剤は乾燥または凍結乾燥形態において粉末化密閉材マトリックス組成物に混合してよい。別の実施形態においては、この添加混合は密閉材マトリックス組成物に関して上記した通りコラーゲンのような固体支持体上に固定化してよい。他の実施形態においては、薬剤は第1および第2成分の合成重合体上の官能基とこれらの薬剤を結合させることにより、上記した通り密閉材マトリックス組成物内に配合してよい。官能性的に活性化されたポリエチレングリコールを用いた成長因子のような生物学的に活性な薬剤を共有結合するためのプロセスは共通譲渡されているRhee等に1992年11月10日に発行された米国特許5,162,430に記載されている。そのような組成物は好ましくは、例えば酵素的分解の結果として容易に生体分解されることができ、これにより活性剤を標的組織に放出させ、そこにおいてその所望の治療効果を発揮させることになる連結部を包含する。
【0231】
[0241] 交差結合した重合体組成物内への求核性基含有生物活性剤の配合のための簡単な方法では、活性剤を第1成分、第2成分、およびヒドロゲル形成成分と混合した後に、乾燥状態において投与する。組織結果への密閉材マトリックス組成物の適用および生物学的流体との接触により、生物活性剤は第2の成分と反応して交差結合することになり、これにより、ヒドロゲル形成成分が生物学的流体を吸収するに従って、第1および第2の成分の多孔性の交差結合マトリックスとなる。この操作法は形成された密閉材マトリックスバリアの交差結合した成分の重合体マトリックスの部分への活性剤の共有結合をもたらし、これにより、高度に効果的な除放性組成物が生成することになる。
【0232】
[0242] 使用される活性剤の型および量は、他の要因の中でも、治療すべき特定の部位および状態、および、選択された活性剤の生物活性および薬物動態に依存することになる。
【0233】
V.生物接着剤としての密閉材マトリックス組成物の使用
[0243] 本発明の密閉材マトリックス組成物は一般的に接着性であり、そして、標的部位の組織内のコラーゲンの求核性基に第2の交差結合可能な成分の求電子性基が反応すると、協力に組織に結合する。本発明の一部の多孔性マトリックス組成物は非常に高値の粘着性を有することができる。即ち、止血のためのバリアマトリックスとしての使用に加えて、本発明の密閉材マトリックス組成物は生理学的条件下に含水または湿潤した組織に結合する生物接着剤として有用である。本明細書においては、「生物接着剤」、「生物学的接着材」および「外科用接着剤」という用語は互換的に使用してよく、2つの天然組織の表面の間、または、天然組織表面と非天然組織表面または合成インプラント表面との間に一時的または永久的な結合をもたらすことができる生体適合性組成物を包含する。
【0234】
[0244] 第1の表面の第2の表面への結合を起こすための一般的な方法においては、密閉材マトリックス組成物(例えば乾燥粉末またはシート形態における)を第1の表面に適用する。次に第1の表面を第2の表面に好ましくは即座に接触させることにより、2つの面の間の接着を起こさせる。第1および第2の表面の少なくとも1つは好ましくは天然組織表面である。実施例において使用した交差結合ゼラチンのような機械的に安定なヒドロゲル形成成分を組成物中に使用する場合、結果として生じる多孔性マトリックスは第1および第2の交差結合可能な成分のみを含有する組成物とは反対に、増大した機械的強度を呈する。即ち2つの組織の表面の間の接着の強度は、組織間の多孔性マトリックスの層が生理学的な機械的応力下に内部で分離する可能性が低下するため、増大することになる。
【0235】
[0245] 2つの表面は、交差結合反応が終了まで進行する間、手動により、あるいは他の適切な手段を用いながら共に保持してよい。交差結合は典型的には密閉材マトリックス組成物適用後5〜60分以内に終了する。しかしながら完全な交差結合が起こるために必要な時間は多くの要因、例えば第1および第2の交差結合可能な成分の型および分子量、そして最も特定すれば、標的部位における2成分の有効濃度に依存している(即ちより高い濃度はより速い交差結合時間をもたらす)。
【0236】
[0246] 第1および第2の表面の少なくとも1つは好ましくは天然の組織表面である。本明細書においては、「天然の組織」という用語は治療すべき特定の患者の身体にとって天然である生物学的組織を包含する。本明細書においては、「天然の組織」という用語はある患者の身体の別の部分への移植のために同患者の身体の一部分から隆起または取り出されている生物学的組織を包含する(例えば骨の自家移植片、皮膚弁の自家移植片等)。例えば、本発明の一部の実施形態の組成物は熱傷負傷者の場合のように、患者の身体のある部分に由来する皮膚片を身体の別の部分に接着するために使用できる。
【0237】
[0247] 他の表面は天然の組織表面、非天然の組織表面、または合成インプラントの表面であってよい。本明細書においては、「非天然の組織」という用語はレシピエント患者の身体内への移植のためにドナー患者(レシピエント患者と同じ種または異なる種のものであってよい)の身体から取り出されている生物学的組織を包含する(例えば組織および臓器の移植物)。例えば本発明の交差結合した重合体組成物は患者の心臓内部に異種移植片の心臓弁を固定し、そして心臓弁の周囲を密閉して漏出を防止するために為に使用できる。
【0238】
[0248] 本明細書においては、「合成インプラント」という用語は天然の組織および非天然の組織に関わる上記定義により包含されない患者の身体内への移植を意図しているいずれかの生体適合性の材料を包含する。合成のインプラントは、例えば人工血管、心臓弁、人工臓器、骨補綴物、インプラント可能なレンズ核、血管移植片、ステント、およびステント/移植片の組み合わせ等を包含する。
【0239】
VI.接着防止のための密閉材マトリックス組成物の使用
[0249] 本発明の密閉材組成物の別の用途は内部の組織または臓器に至る外科処置または傷害の後の接着部の形成を防止するために組織を被覆することである。外科処置後の接着部の形成を防止するために組織をコーティングするための一般的な方法においては、第1および第2の合成重合体を水和可能な交差結合重合体と混合するか予備混合し、次に反応混合物の薄層を外科処置部位を含む、包囲する、および/またはこれに隣接する組織に適用し、その後、実質的な交差結合を第1の合成重合体上の求核性基と第2の合成重合体上の求電子性基との間で生じさせる。反応混合物の組織部位への適用は粉末組成物に関しては押し出し、散布、ブラシング、噴霧(上記)により、組織への密閉材マトリックス組成物の薄層またはフィルムの設置により、または、いずれかの他の好都合な手段により行ってよい。
【0240】
[0250] 外科処置部位への反応混合物の適用の後、交差結合をインサイチュで継続した後に、外科処置切開部を閉鎖する。交差結合が平衡に達すれば、コーティングされた組織と接触させられる組織はコーティングされた組織には粘着しないことになる。この時点において、外科処置部位を従来の手段(縫合等)により閉鎖することができる。
【0241】
[0251] 一般的に比較的短時間(即ち第1の合成重合体と第2の合成重合体の混合後5〜15分)以内に完全な交差結合を達成する組成物は、外科的捜査の終了後比較的早期に外科処置部位を閉鎖してよいように、外科処置部接着の防止における使用に適している場合がある。さらにまた、実施例において使用される交差結合ゼラチンのような比較的高い機械的強度を有する水和可能な交差結合重合体を組成物中で使用することによりコーティングの機械的安定性を上昇させることが好ましい。
【0242】
[0252] 以下の実施例は密閉材マトリックス組成物を形成するために第2の交差結合可能な成分およびヒドロゲル形成成分と組わせた第1の交差結合可能な成分の生成および特性化を説明しており、そしてコンジュゲート、組成物および装置の好ましい実施形態をどのようにして製作するかに関する完全な開示および説明を当業者に提示するために示したものであり、そして本発明がその発明とみなすものの範囲を限定する意図はない。使用した数(例えば量、温度、分子量等)に関しては正確さが確保されるように努力したが、一部の実験誤差や偏差は考慮されなければならない。特段の記載が無い限り、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏であり、そして圧力は大気圧近傍である。
【実施例】
【0243】
VII.実施例
実施例1:密閉材マトリックスにおける使用のための第1および第2の成分の組成物:交差結合した多アミノPEG組成物の生成
[0253] 種々のジアミノPEGの以下の保存溶液を生成した:Jeffamine ED−2001(Texaco Chemical Company,Houston,Tex.より入手)10グラムを水9mlに溶解した。Jeffamine ED−4000(やはりTexaco Chemical Companyより入手)10グラムを水9mlに溶解した。ジアミノPEG(3400MW、Shearwater Polymers,Huntsville,Ala.から入手)0.1グラムを水300μlに溶解した。上記生成した3種のジアミノPEG溶液の各々を以下の表1に示す通り、3官能性的に活性化されたSC−PEG(TSC−PEG、5000MW、やはりShearwater Polymersより入手)の水溶液と混合した。
【0244】
【表1】
[0254] ジアミノPEGおよびTSC−PEGの溶液をシリンジトゥーシリンジの混合を用いて混合した。材料の各々をシリンジから押し出し、そして37℃で1時間硬化させた。材料の一部はゲルを形成した。一般的にゲルは含水量の増大に従って軟化し;彗星溶媒(水またはPBS)の最少量を含有するゲルが最も堅固であった。
【0245】
実施例2:密閉材マトリックスにおける使用のための第1および第2の成分の組成物:交差結合したポリ(リジン)組成物の生成
[0255] リン酸塩緩衝液(0.2M、pH=6.6)0.1ml中の臭化水素酸ポリ−L−リジン(8,000MW、Peninsula Laboratories,Belmont,Calif.より入手)10ミリグラムを0.1mlPBS中の4官能性的に活性化されたSE−PEG(10,000MW、Shearwater Polymers,Huntsville,Ala.より入手)10gと混合した。組成物はほぼ即座に軟質のゲルを形成した。
【0246】
実施例3:密閉材マトリックスにおける使用のための第1および第2の成分の組成物:テトラアミノPEG/テトラSE−PEG製剤のゲル形成に対するpHの影響
[0256] pH6、7および8において種々の濃度のテトラアミノPEGおよびテトラSE−PEGを含むゲルをペトリ皿中に生成した。テトラアミノPEGおよびテトラSE−PEGの混合ののち、ディッシュを繰り返し傾け;製剤が流動を停止した時点をゲル化時間とみなした。室温における種々のテトラアミノPEG/テトラSE−PEGを製剤のゲル化時間に対するpHの影響を以下の表2に示す。
【0247】
【表2】
[0257] ゲル形成に必要な時間は、pHの上昇およびテトラアミノPEGおよびテトラSE−PEG濃度の上昇とともに低下した。
【0248】
実施例4:ヒドロゲル形成成分材料の評価および交差結合およびパーセント膨潤測定の方法
[0258] ゼラチン粒子を交差結合剤(例えばグルタルアルデヒド0.005〜0.5重量%)を含有する水性緩衝液(例えば0.2Mリン酸ナトリウム、pH9.2)中で膨潤させた。反応混合物を一夜冷蔵庫に保持し、次に脱イオン水で3回、エチルアルコールで2回洗浄し、周囲温度で乾燥させた。乾燥した交差結合ゼラチンを固定された時間、周囲温度で低固形分濃度(2〜3%)において水性緩衝液中に再懸濁した。緩衝液は平衡膨潤のために必要な濃度を実質的に超過するものとし;そして2相(ヒドロゲル相および緩衝液)が生じた。次に湿潤したヒドロゲルを含有する懸濁液を、0.8μmの名目カットオフのフィルターメンブレン(Millipore,Bedford,Mass.)上で真空を適用することにより濾過した。過剰な緩衝液を除去した後、保持されている湿潤したヒドロゲルおよび湿潤したフィルターメンブレンの合わせた重量を記録した。次にヒドロゲルおよびメンブレンを少なくとも2時間約120℃で乾燥し、そして乾燥したヒドロゲル残渣および乾燥したフィルターメンブレンの合わせた重量を記録した。ヒドロゲル残渣を伴わない湿潤したフィルターメンブレンおよびヒドロゲルを伴わない乾燥したフィルターメンブレンの試料の計測を数回行い、そして湿潤ヒドロゲルおよび乾燥ヒドロゲルの実質重量を推定するために使用した。次に「パーセント膨潤」を以下の通り計算した。
パーセント膨潤=100x [(ヒドロゲル湿潤重量−ヒドロゲル乾燥重量)/ヒドロゲル乾燥重量]。
【0249】
[0259] 膨潤性の計測は少なくとも3連で実施し、そしてゼラチンの所定試料に関して平均した。湿潤重量の計測前18〜24時間緩衝液中に再懸濁した試料に関するパーセント膨潤の値は「平衡膨潤性」として定義した。
【0250】
[0260] 得られた交差結合ゼラチン材料は400%〜1300%の範囲の平衡膨潤性の値を示した。平衡膨潤性の程度は交差結合の方法および進行度に依存していた。
【0251】
実施例5:密閉材マトリックスにおける使用のためのヒドロゲル形成成分:EDCを用いて交差結合したゼラチンよりなるフラグメント化した水和可能な交差結合重合体生成物
[0261] ゼラチン(Atlantic Gelatin,General Foods Corp.,Woburn,Mass.)を70℃で1〜10%固形分(w/w)(より好ましくは8%)となるように蒸留水中希釈した。次に0.2%〜3.5%(または0.2%〜0.3%)において1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)(Sigma,St.Louis,Mo.)を添加した。攪拌することにより形成したヒドロゲルを1時間室温で放置した。ヒドロゲルはFreezone12凍結乾燥システム(Labconco,Mo.)を用いて乾燥し、そしてWaring Blenderの31BC91型(VWR,Willard,Ohio)を用いて微細に粉砕した。次に乾燥した重合体組成物をシリンジ内に投入し、緩衝液で平衡化した。平衡膨潤性は少なくとも1000%であることがわかった。結果を表3に示す。
【0252】
【表3】
実施例6:密閉材マトリックスにおける使用のためのヒドロゲル形成成分:EDCを用いて交差結合したゼラチンおよびポリ(L)グルタミン酸よりなるフラグメント化した水和可能な交差結合重合体生成物
[0262] ゼラチン(Atlantic Gelatin,General Foods Corp.,Woburn,Mass.)を70℃で1〜10%固形分(w/w)(より好ましくは8%)となるように蒸留水中希釈した。次にポリ(L)グルタミン酸(PLGA)(Sigma,St.Louis,Mo.)10%(w/w)(より好ましくは2〜5%)および0.2%〜3.5%(または0.2%〜0.4%)で1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)(Sigma,St.Louis,Mo.)を添加した。攪拌することにより形成したヒドロゲルを1時間室温で放置した。ヒドロゲルは固定された時間(例えば20時間)過剰な食塩水中で膨潤させた。次にヒドロゲルをフィルターメンブレン(Millipore,Bedford,Mass.)上で真空を適用することにより濾過した。平衡膨潤性は少なくとも1500%であることがわかった。結果を表4に示す。
【0253】
【表4】
実施例7:密閉材マトリックスにおける使用のためのヒドロゲル形成成分:フラグメント化した水和可能な交差結合重合体ヒドロゲルの生成
[0263] ウシ真皮(Spears Co.,PA)を2℃〜30℃(好ましくは22℃〜30℃)の温度で1〜18時間(または1〜4時間)に渡り、水酸化ナトリウム(Spectrum Chemical Co.,CA)の水溶液(0.1M〜1.5M、または0.4M〜1.2M)中で振とうした。次に真皮のスラリーを無機酸、例えば塩酸、リン酸または硫酸(Spectrum Chemical Co.,CA)を用いて中和し、そして、中和された液体を次に分篩濾過により不溶性真皮から分離した。次に真皮を発熱物質非含有水およびアルコール、例えばイソプロピルアルコール(Spectrum Chemical Co.,CA)を用いて洗浄した。3〜12回洗浄後、真皮を発熱物質非含有水に懸濁し、そして真皮の水スラリーを次に50℃〜90℃、好ましくは60℃〜80℃にまで加熱することにより真皮を熱的にゼラチン化した。ゼラチン化サイクルの間、真皮水スラリーのpHはpH3〜pH11、またはpH7〜pH9に調節制御した。さらにまた、スラリー中の不溶性真皮は振とうおよび/またはホモゲナイズにより崩壊してもよい。崩壊は熱ゼラチン化サイクルの前または後に行うことができる。熱ゼラチン化は1〜6時間行った。ゼラチン化ののち、スラリーを濾過により清澄化した。ゼラチンスラリーは15℃〜40℃、好ましくは20℃〜35℃で風乾することにより脱水した。水分含有量が20重量%未満であることを乾燥しているとみなした場合の乾燥ゼラチンを、次に粉砕により崩壊させた。
【0254】
[0264] 乾燥ゼラチンを0.0025〜0.075重量%でグルタルアルデヒド(Amresco Inc.,OH.)を含有し、そしてpHが7〜10である冷却(5℃〜15℃)の水溶液に添加した。この溶液のゼラチン濃度は1〜10重量%であった。グルタルアルデヒドを1〜18時間の期間に渡りゼラチン顆粒を交差結合させた後、ゼラチンを濾過または沈降により水相から分離させた。次にゼラチン粒子をナトリウムボロハイドライド(Spectrum Chemical Co.,CA.)0.00833〜0.0667重量%を含有する水溶液に添加し、その際ゼラチン濃度は再度1〜10重量%とし、そしてpHは7〜12、または7〜9とした。1〜6時間の後、交差結合ゼラチンを濾過または沈降により水相から分離させた。次にゼラチンをゼラチン濃度1〜10重量%としながら発熱物質非含有水に再懸濁することにより残存した交差結合剤および還元剤を除去した後、濾過または沈降により水相から分離した。交差結合したゼラチンの最終的な収集はフィルターメッシュまたは分篩材の上で行い、そして発熱物質非含有の水で最終的にゼラチンを洗浄した。次に湿潤した交差結合ゼラチンを15℃〜40℃の乾燥チャンバーないに入れた。乾燥した交差結合ゼラチン(即ち水分含有量20重量%未満の交差結合ゼラチン)を乾燥チャンバーから取り出し、次に機械的な粉砕ミルを用いて粉砕することにより0.020mm〜2.000mmの典型的な粒径分布を有する粉末を得た。
【0255】
実施例8:急速作用性の乾燥止血密閉材粉末
[0265] 急速作用性の乾燥止血密閉材粉末を、第1の交差結合可能な成分、第2の交差結合可能な成分、およびヒドロゲル形成成分を組み合わせることにより生成した。第1の交差結合可能な重合体(PEG−A)はPEG−スクシンイミジル粉末であり、第2の交差結合可能な重合体(PEG−B)はPEG−チオール粉末であり、そしてヒドロゲル形成成分は交差結合したゼラチン粉末とした。
【0256】
実施例9:急速作用性の乾燥密閉材パッド
[0266] 急速作用性の乾燥密閉材パッドを、第1の交差結合可能な成分、第2の交差結合可能な成分、およびヒドロゲル形成成分を組み合わせることにより生成した。得られた組成物、粉末密閉材マトリックス組成物を凍結乾燥したコラーゲンスポンジ上に搭載し、そして1〜2分間60〜70℃に加熱した。乾燥粉末マトリックスはこの熱で僅かに溶融し、自身をコラーゲンスポンジの表面に固定させ、これにより密閉材マトリックスパッドを形成した。あるいは密閉材マトリックス組成物を結合剤または医薬品分野で知られた他の賦形剤を用いて支持体上に固定化してもよい。一般的に支持体に密閉材マトリックス組成物を固定化するために使用される手法は密閉材マトリックス組成物の第1および第2の成分およびヒドロゲル形成成分により変動してよい。本発明の密閉材マトリックスパッド実施形態は、密閉材マトリックス組成物をスポンジまたは他の適当な支持体手段を介して取り扱いながら外科処置部位に送達することができる好都合なフォーマットを提供する。
【0257】
実施例10:脾動脈穿刺を治療するための密閉材粉末
[0267] 図7A〜Eは本発明の実施形態による脾動脈穿刺を治療するための密閉材マトリックス組成物の適用を説明している。ブタを約3Xベースラインまでヘパリン処理した。図7Aに示す通り、樋動脈穿刺は18G針700を用いてブタにおいて外科的に誘導した。穿刺の後、過剰な出血705が動脈710から観察された。図7Bおよび7Cに示す通り、密閉材粉末マトリックス組成物720約700mgをシリンジ730を介して穿刺部位に適用し、そして手袋を装着した指740を用いて2分間その部位に穏やかに圧着または定置させた。密閉材粉末は凝集体750を形成し、これは出血を十分停止させているように観察された。部位を図7Dに示す通り灌流装置760を用いて適用後5分に灌流し、過剰な粉末組成物を洗浄除去した。凝集体をピンセットで掴んだところ、それは組織に対して極めて良好に接着しており、そして優良な一体性を示していた。図7Eに示す通り、凝集体750はピンセット770で剥離することにより適用後44分に除去し、そして再開出血715が観察された。
【0258】
実施例11:肝切開を治療するための密閉材粉末
[0268] 図8A〜Eは本発明の実施形態による肝切開を治療するための密閉材マトリックス組成物の適用を説明している。ブタを約3Xベースラインまでヘパリン処理した。図8Aに示す通り、ブタの肝臓805の中葉の先端800即ち端部を、鋏810を用いて切開した。切開の後、過剰な出血815が部位から観察された。図8Bに示す通り、密閉材マトリックス組成物820約6ml(2g)を部位に適用し、そして2分間シリンジ825の先端で定置に保持した。図8Cに示す通り、手袋を装着した指を用いて患部に対し粉末を圧着または保持した。密閉材粉末は凝集体835を形成し、これは出血を十分停止させているように観察された。部位を図8Dに示す通り灌流装置840を用いて適用後8分に灌流した。凝集体をピンセットで掴んだところ、それは組織に対して極めて良好に接着しており、そして優良な一体性を示していた。凝集体835はピンセット845で剥離することにより適用後28分に除去し、そして再開出血850が観察された。
【0259】
実施例12:脾臓患部を治療するための密閉材粉末
[0269] 脾臓の患部は6mmの生検組織パンチを用いて外科的にブタにおいて誘導した。ブタは約2.5Xベースラインとなるまでヘパリン処理した。組織パンチの後、過剰な出血が脾臓から観察された。密閉材マトリックス組成物粉末約700mg(2ml)を12mlシリンジの端部を用いて穿刺部に適用した。材料を定置に保持するために圧力はかけなかった。密閉材粉末は凝集体を形成し、それは十分出血を停止しているように観察された。部位を適用後4分に灌流した。凝集体をピンセットで掴んだところ、それは組織に対して極めて良好に接着しており、そして優良な一体性を示していた。凝集体は剥離することにより適用後25分に除去し、そして再開出血が観察された。
【0260】
実施例13:機械的応力試験
[0270] プラスチック鋳型中においてブタ血漿1mlを密閉材マトリックス組成物粉末0.60〜0.65gを反応させることにより密閉材マトリックスバリアを生成した。混合物を約30分間室温で硬化させた。3x1x0.3cmのゲルブロックの両端をシアノアクリレート糊剤でテーピングすることにより引き離し作業のためのグリッピング空間を形成した(1x1cm)。テープの端部を予め搭載されたグリップを用いてグリッピングした。Chatillon TCD2000テスターを用いて長方形のゲル形状が壊れるまで通常の応力試験を行うことにより、引っ張り強度を求めた。ピーク力(N)および最大負荷時の歪み(mm)を計測することによりゲルを破断するまで伸展させた。ゲルの有効表面積は1x0.3cmであり、元の有効ゲル長は1cmであった。密閉材ゲルの引っ張り強度は約15.3N/cm2であった。ヒドロゲル形成成分非存在下で第1の交差結合可能な成分および第2の交差結合可能な成分を包含するゲル組成物に対して同様の試験を実施したところ、観察された引っ張り強度は約5.1N/cm2であった。
【0261】
実施例14:剥離強度試験
[0271] 一部の実施形態においては、混合粉末は第1および第2の交差結合可能な成分およびヒドロゲル形成成分を包含し、そして自身が血液または他の体液のような生理学的液体中で溶解する際に自己重合する。材料は共有結合により堅固に組織または他の適用部位に接着することができる。組織接着の機械的強度は皮膚のような組織から密閉材マトリックスを引っ張るための機械的工作品器具を用いることにより調べることができる。本実施例においては、多数の引っ張り試験を以下の通り、密閉材マトリックスバリアの形成後に実施した。第1の交差結合可能な成分(ペンタエリスリトールポリ(エチレングリコール)エーテルテトラ−スクシンイミジルグルタレート)および第2の交差結合可能な成分(ペンタエリスリトールポリ(エチレングリコール)エーテルテトラ−チオール)および交差結合したゼラチン(FloSealTM)を含有する3成分粉末のシリーズは、交差結合可能な成分を交差結合ゼラチンと3種の異なる濃度(交差結合可能な成分の10%、20%および30%)で混合することにより生成した。3成分粉末約0.40g〜約0.45gをニワトリ皮膚試料の上部に配置した3x1x0.3cmのプラスチック鋳型内のブタ血漿約0.6mlに添加し、約60分間室温で硬化させた。密閉材マトリックスバリアが形成し、皮膚に堅固に接着していた。形成した密閉材マトリックスバリアをChatillon TCD2000テスターにクランプしたプレートに糊付けした。皮膚を密閉材マトリックスバリアから引っ張りながら最大ピーク力(N)を計測した。接着強度の増大はPEG混合物(第1および第2の交差結合可能な成分)の濃度の上昇とほぼ直線的に相関しているように観察された。結果を表4Aに示す。
【0262】
【表4A】
実施例15:溶融パッドのスポンジ裏装のための微小繊維コラーゲンの生成
[0272] 第1の微小繊維コラーゲン試料を以下の通り生成した。NaOH40gを25℃の温度で水450ccに溶解した。スライスしたウシ真皮約50gをNaOH溶液に添加した。真皮を80分間攪拌した。NaOH溶液を傾瀉し、真皮を水で洗浄した。真皮を2MHClに溶解し、pHを2.3〜2.4の範囲とした。攪拌を18時間継続した。濃厚なコラーゲン溶液(CIS)1250mlを18℃において1MNaOHでpH7.25となるまで滴定した。コラーゲン繊維を10時間かけて形成させ、濾過した。240mlをpH7.4で沈殿させ、23時間8℃において25%グルタルアルデヒド(GA)溶液33μlで交差結合させた。微小繊維コラーゲンはVirtis凍結乾燥器を用いながら所定のサイクルにより凍結乾燥させた。
【0263】
[0273] 第2の微小繊維コラーゲン試料を以下の通り生成した。微小繊維コラーゲンは粘稠な溶液(例えばCIS)240gを用いながら交差結合した。水60ccを添加することにより溶液を希釈した。pHは2MのNaOH約1.8ccを添加することにより9.2に上昇させた。溶液の温度を8℃に調節し、25%GA33μlを添加した。23時間溶液を攪拌し、沈殿した線維約54gを得た。微小繊維コラーゲンはVirtis凍結乾燥器を用いながら所定のサイクルにより凍結乾燥させた。
【0264】
実施例16:ヒドロゲル形成成分の脱緩衝
[0274] 一部の実施形態においては、FloSealTMのようなヒドロゲル形成成分からホスフェート塩を除去することによりヒドロゲル形成成分のpHが周囲の液体による影響を容易に受けることができるようすることが望ましい場合がある。ヒドロゲル形成成分のインサイチュの交差結合は密閉材マトリックス組成物が適用後に組織に接着することを支援することができる。一部の場合においては、接着は特定のpH値においてより効果的となる場合がある。例えば一部のゼラチン系材料は6または7未満のpH値においてより容易に接着を起こす場合がある。FloSealTMを1:50の比において水で洗浄し、スラリーを0.01MHClまたは0.01MNaOHを用いてpH2〜7にpH調節または酸性化した。湿潤したゼラチンケーキを濾過し、12〜20時間32℃で強制空気オーブン中で乾燥させ、そして乳鉢で穏やかに粉砕した。乾燥したゼラチン粉末を混合PEG溶液に添加し、インサイチュの交差結合に付した。スラリーを30秒間混合し、その直後にpH7.4のリン酸塩緩衝液25mMで完全に飽和させた計量紙の表面に適用した。重合時間を記録し、結果を表5に示した。
【0265】
【表5】
実施例17:PEGケーキの生成
[0275] 1つの実施形態において、PEG−スクシンイミド粉末0.8gおよびPEG−チオール粉末0.8gを振とうにより十分混合し、N2を完全に充填した100ml容の丸底フラスコに入れた。混合した粉末を30分間穏やかに手動で攪拌しながら40℃〜50℃のオイルバス中で溶融させ、そして冷却させた。固体フィルムはスパーテルを用いてフラスコから取り出した。別の実施形態においては、PEG−スクシンイミドおよびPEG−チオールの混合粉末をコラーゲン(例えば0.3%)およびゼラチン(例えば0.2%)の酸性溶液中に溶解し、そして凍結乾燥した。微小繊維コラーゲンまたはゼラチンはマトリックスの弛緩に寄与し、そしてPEGケーキの取り扱い性を向上させると考えられる。
【0266】
[0276] 比較組成物において、コラーゲン繊維1.2gを100ccのpH2のHClに溶解し、1〜2時間35℃のウォーターバス中で加温し、そしてpH2のHClで希釈することにより0.3%CISを生成した。0.2gのPEG−スクシンイミドおよび0.2gのPEG−チオールを0.3%CIS2ccに溶解した。得られた混合物をトレーに注ぎ込み、22時間のサイクルを経て凍結乾燥し、PEGケーキを生成した。さらに別の実施形態においては、ゼラチン2gを35℃のウォーターバス中100ccのpH2のHClに溶解した。2成分PEG粉末混合物4gをゼラチン溶液2ccに溶解し、凍結乾燥してPEGケーキとした。
【0267】
[0277] 関連する実施形態において、PEGケーキはpH2.0において、PEG−SG、PEG−SHおよびコラーゲンの混合溶液を凍結乾燥することにより生成した。動物実験はヘパリン処理したブタモデルにおいて、擦過した肝被膜に対して実施した。0.2Mリン酸潮緩衝液(pH9.0)2滴を緩徐に出血している肝臓表面に添加した。ケーキ1片を圧力を加えることなく部位上に静置した。5分および10分において、部位へのPEGケーキの各々の接着を試験した。PEG−SGの活性は生成過程において低減されていないこと、および、PEGケーキは共有結合により擦過肝臓組織に接着していることが観察された。組成物および試験した試料のインビボの性能を表6に総括した。
【0268】
【表6】
実施例18:粉体化PEGケーキの生成
[0278] 400mgの予備混合したCoSealTM、1gのFloSealTM、(例えばpH7.1〜9.5;粒子の直径70〜400μm)、および2〜3ccの水を合わせて混合ペーストとし、22時間サイクル下に凍結乾燥し、ケーキ状物を形成した。図9に示す通り、次にケーキ状物900に亀裂910を生じさせて粉砕し、そして破壊された粉末携帯920とし、そしてシリンジ930に入れた(例えば5cc〜10ccのシリンジ)。シリンジの胴部の先端940をブレードで除去し、粉末化された混合物920を傷害部位950に適用し、そして密閉材活性をインサイチュで観察した。例示される結果は実施例10〜12において考察している。別の実施形態においては、ケーキ状物を表7に示す3成分スラリーから生成した。
【0269】
【表7】
[0279] 一部の実施形態による例示される製剤に関する試験結果は表8に示す以下の特性を明らかにした。
【0270】
【表8】
実施例19:密閉材マトリックス組成物融着パッドの生成
[0280] PEGパッドを溶融CoSealTM予備混合物を用いて生成した。3成分粉末は種々の重量比により、異なるpH値のFloSealTM粉末および予備混合したCoSealTM(例えば両方のPEG成分が粉末形態)を混合することにより生成した。凍結乾燥したコラーゲンスポンジをバックアップ支持体として使用することにより溶融した3成分混合物を搭載した。1つの実施形態において、図10に示す通り、0.5〜1gの密閉材マトリックス組成物1000をスポンジ1010の3X3cm2切片の上面に静置した。スポンジおよび密閉材マトリックスを1〜2分間60〜70℃でオーブン中で焼成し、そしてデシケーター中で冷却することにより空気との接触を最小限とするかまたは防止した。密閉材マトリックス粉末は粗放なフィルムを形成し、そしてスポンジに結合して溶融パッド1020を形成したように観察された。関連の実施形態においては、各々が3X3X0.3cm3の寸法を有する数種のスポンジを生成した。一部のスポンジは第1および第2の交差結合可能な成分およびヒドロゲル形成成分の3成分混合物でコーティングした。一部のスポンジは第1および第2の交差結合可能な成分の2成分混合物のみでコーティングした。全溶融パッドを肝臓患部においてインサイチュで試験した。結果を表9に示す。
【0271】
【表9】
[0281] 関連する実施形態において、数種の粉末化組成物を生成した。一部の組成物は第1および第2の交差結合可能な成分およびヒドロゲル形成成分の3成分混合物を包含した。一部の組成物は第1および第2の交差結合可能な成分の2成分混合物のみを包含した。全ての組成物を肝臓患部においてインサイチュで試験した。結果を表10に示す。
【0272】
【表10】
実施例20:インビボの性能に対するガンマ線照射の作用
[0282] 粉末化密閉材マトリックス組成物およびスポンジ搭載密閉材マトリックス組成物を生成し、そして一部をガンマ線照射に付すことによりインビボの性能に対するガンマ線の作用を調べた。表11に示す通り作用は観察されなかった。
【0273】
【表11】
実施例21:インビボの性能に対するpHの作用
[0283] インサイチュの交差結合に対するヒドロゲル形成成分のpH値の作用および手動による適用方法の作用を評価するためにインビボの試験を実施した。第1の密閉材組成物中のpH6.75のFloSealTMおよび第2の密閉材組成物中のpH9.5のFloSealTMを比較した。一部の場合においては、密閉材マトリックス組成物を手動により患部に押し当てて保持し、そして別の場合においては密閉材マトリックス組成物は保持することなく患部上に適用または静置した。pH6.75のFloSealTMを有する組成物はpH9.5のFloSealTMを有する組成物よりも約10〜30秒より緩徐な反応時間をもたらしたように観察された。例示される試験結果は表12に示す通りである。ヒドロゲル形成成分のpHが交差結合反応の早期の段階において役割を果たしていると考えられる。ヒドロゲル形成成分のpHは湿潤環境(例えば出血が既に起こっている場合)におけるゲル形成の速度に影響する場合がある。一部の場合においては、交差結合が十分迅速に起こらない場合は、密閉材組成物は患部から押し出される場合がある。
【0274】
【表12】
実施例22:ヒドロゲル形成成分としてのSURGIFOAMTMの使用
[0284] 粉末化COH102(ペンタエリスリトールテトラキス− [1−(1’−オキソ−5’−スクシニルペンテート)−2−ポリ(オキシエチレン)グリコール]エーテル)、粉末化COH206(ペンタエリスリトールテトラキス−[メルカプトエチル−ポリ(オキシエチレン)グリコール]エーテル)、およびSURGIFOAMTM吸収性ゼラチン粉末(Ethicon,Somerville,NJ)の混合物を重量で1:1:2、1:1:4および1:1:8の比でブレンドし、そして改良型の5mL容のシリンジに充填した。得られた混合物は実質的に乾燥した自由流動性の粉末であった。各組成物につき、ブタ肝臓上の外科処置で形成した患部(約1cmx1cmx0.3cm深度)に対して穏やかな圧力により2gを適用した。組成物の各々につき、圧力は1分後に解放した。各組成物中のCOH102およびCOH206は患部の湿潤した環境において相互に反応し、SURGIFOAMTM粉末を配合した交差結合ヒドロゲルを生じ、そして患部を物理的に密閉した。組成物で治療した部位のいずれからも出血は観察されなかった。適用後5分間食塩水で治療患部を灌流した後には出血は観察されなかった。2時間後に治療部位を検査した際にも出血は観察されなかった。
【0275】
実施例23:凝固剤を伴った密閉材マトリックス組成物のインビボの性能
[0285] 4:1の重量比でFloSealTMおよびCoSealTM(予備混合)を含有する密閉材マトリックス組成物粉末を生成した。一部の実施形態においては、この比は化学重合および組織への組成物の接着の所望のレベルを達成するために有効な交差結合の程度を与える。トロンビン粉末を種々の濃度において密閉材マトリックス組成物粉末に添加した。得られた混合物は、肝臓正方部における出血評点を計測し、そして得られた混合物の止血効率をトロンビンを含有しない密閉材マトリックス組成物と比較する動物試験において検討した。
【0276】
[0286] 被験材料にはペンタエリスリトールテトラキス[メルカプトエチルポリ(オキシエチレン)グリコール]エーテル0.1g、ペンタエリスリトールテトラキス−[1−(1’−オキソ−5’−スクシンイミジルペンタノエート)−2−ポリ(オキシエチレン)グリコール]エーテル0.1g、交差結合ゼラチン粒子(FloSealTM)0.8gおよび種々の濃度(5k、2.5k、1.25k、および0.625ku/l)のトロンビンを含有させた。混合実験において、得られた混合物の4成分を回転混合器を用いて混合した。再建実験においては、トロンビン溶液(1250u/ml)4mlをFloSeal0.8gと混合し、次に22時間凍結乾燥した。次に乾燥混合物を回転混合器を用いてCoSealTM粉末と混合した。如何なる特定の理論にも制約されないが、再建されたトロンビン製剤は、止血薬効を増強するために密閉材マトリックスバリア内にトロンビンが残存するようにFloSealTMのマトリックス内に浸透しているトロンビン分子を含有していると考えられる。パッド実験においては、得られた4成分混合物(密閉材マトリックス組成物+トロンビン)をGelfoamスポンジの情面に搭載し、混合物を溶融させ、そしてそれを冷却固化させることによりパッドを作成した。オーブン温度は約1分間約60℃〜約65℃に設定した。
【0277】
[0287] インビボ試験においては、動物をヘパリン処理することにより凝固時間を活性化してベースラインより3〜5倍高値とした。製剤はブタ肝臓に対して外科処置により作成した肝臓正方部(1cmx1cmx0.2cm)の出血空間に対して検査した。患部は5分間の読み取り時間の後、即座に灌流することにより過剰な粉末を除去した。治療患部は1、5、10および30分に採点した。材料は血液との接触により重合し、次に堅固に患部に接着した。密閉材マトリックスバリアは出血区域を機械的に密閉し、組織に決着することにより機械的密閉材として機能した。インビトロの試験においては、トロンビンは5分間約60℃で加熱したところ、完全に活性であることがわかった。作成したGelfoamパッドにおいて、トロンビンの活性は消失していることがわかった。
【0278】
[0288] 急性期のインビボの評価の結果を表13に示す。患部からの出血は無出血の「0」から重度出血の「4」まで採点した。ここで観察された出血評点に基づけば、試験した全ての試料は出血を呈さなかった。密閉材マトリックス組成物へのトロンビンの添加に由来する有意な利点は観察されなかった。トロンビンの使用は、二次的な止血/血塊形成および創傷治癒を増強したものの、一次的な止血においては如何なる利益も示さなかった。
【0279】
【表13】
実施例24:ゲル強度に対するPEG濃度の作用
[0289] ゲル強度に対するPEG濃度の作用を本発明の1つの実施形態に従って表14および図11に示す。引っ張り試験をゲル形成後に実施した。ゲルはプラスチック鋳型(3x1x0.3cm)において3成分粉末(例えば第1および第2の交差結合可能な成分およびヒドロゲル形成成分を包含する密閉材マトリックス組成物)の反応を行うことにより生成した。ブタ血漿(1ml、Baxter動物番号S−264)を密閉材マトリックス組成物粉末(0.60〜0.65g)に添加することによりゲル形成を開始し、次に約30分間室温で硬化させた。ゲルの両端をシアノアクリレート糊剤を用いながらスコッチテープでテーピングすることにより引き離し作業のためのグリッピング空間を形成した(1x1cm)。引っ張り試験によればピーク力(N)および最大負荷時の歪み(mm)を計測することによりゲルを破断するまで伸展させた。有効表面積は1x0.3cmであった。元の有効ゲル長は1.0cmであった。ChatillonTCD2000テスターを用いて長方形のゲル形状が壊れるまで通常の応力を適用することを引っ張り強度の決定因子とした。試験の結果は、より高値の重合体の濃度が密閉材マトリックス組成物ゲルの強度を増大できることを示していた。
【0280】
【表14】
実施例25:膨潤率に対するPEG濃度の作用
[0290] 膨潤率に対するPEG濃度の作用を本発明の1つの実施形態に従って図12、13および14に示す。膨潤試験は密閉材マトリックス組成物ゲルの特性化に関して実施した。水性環境に接触した場合に、親水性重合体は膨潤してヒドロゲルを形成する。一旦ゲルが形成されれば、水分子は膨潤FloSealTM粒子により形成されるむしろ弛緩したネットワークを通過して自由に拡散する。水をさらに添加すれば、COH102−COH206の接触が破壊され、個々の重合体分子は水に溶解する。密閉材マトリックス組成物ゲルは、重合体の4段階の異なる濃度(5%、10%、20%および30%w/w)においてCoSealTMおよびFloSealTMを混合することにより、そして同じ量のブタ血漿(1.7ml/g粉末)と反応させることにより生成した。ゲルを30分間硬化させ、次に室温で食塩水中膨潤させた。周期的に緩衝液を排出し、残存ゲルの重量を測定した。ゲル重量の変化をモニタリングした。膨潤率Qは以下の式から計算した。
【0281】
Q=W*/W
式中、W*は湿潤重量であり、そしてWは元の重量である。膨潤率は重合体濃度の上昇に従って上昇した。如何なる特定の理論にも制約されないが膨潤率の見かけの低下は、ゲルが緩徐に侵食されるに従ってゲル材料が損失することと解釈できると考えられる。実験の終点はゲルが崩壊して数個の小片になるか、または弛緩して脆弱となりすぎたためにゲルから遊離の緩衝液を傾瀉できなくなった時点として採点した。水はコア部に向けて継続的に浸透し、そして最終的にはゲルはPEGとゼラチン粒子の粘稠な溶液に変換される。前材料が分断されるまで約2〜3週間を要した(図14)。密閉材マトリックス組成物粉末中のパーセントCoSealTMは密閉材マトリックス組成物ゲルの安定性に大きく影響する場合があると考えられる。密閉材マトリックス組成物ゲルの溶解速度は重合体の交差結合度に応じて変動する。結果によれば、より高濃度のCoSealTMはより強力なゲル安定性をもたらすことができ、そして、より高度な膨潤ももたらすことができる。そのようなゲルのインビトロにおける相対的持続性はインビボにおけるものと同様であると期待してよい。
【0282】
[0291] 上記した実施例は本発明による組成物が有効な密閉材であり得ることを十分説明している。組成物は生理学的な液体または血液によりインサイチュで重合することができ、極めて堅固に組織を密閉またはそれに接着することができる。
【0283】
[0292] 上記した本発明は説明および例示により理解の明確化を目的として一部詳細に説明してきたが、当然ながら特定の変化および変更を添付請求項の範囲内で実施してよい。本明細書において考察したすべての特許、公開物、文献、書籍および他の参考資料は全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0284】
[0293] 実施例26:特定の製剤の動物モデルにおける止血特性の評価
[0294] 製剤#334−77
[0295] PEG−A粉末(ペンタエリスリトールテトラキス[メルカプトエチルポリオキシエチレン]エーテル、MW10,000)1g、PEG−B粉末(ペンタエリスリトールテトラキス−[1−1’−オキソ−5’−スクシンイミジルペンタノエート−2−ポリ−オキシエチレングリコール]エーテル、MW10,000)1g、およびFloSealTM8gを混合ビン(50ml容)に入れ、Inversinaタンブラーミキサー内に投入して混合した。3成分混合物を完全に混合されるまで10分間ブレンドした。6シリンジ(5ml容)に混合物約1.5gを充填した。
【0285】
[0296] 製剤#334−77−1
[0297] 製剤#334−77の1.5g試料をGelfoam(3x4cm2、圧縮Gelfoam、Upjohn製、NDC0009−0353−01)の一片上に搭載した。上面に試料を搭載したGelfoamを試料が溶融し始めるまで1分間60〜65℃の真空オーブン中で焼成した。次に材料を冷却固化させた。Gelform上に生じたケーキ状物2片を乾燥剤の入ったパウチに入れ、密閉した。
【0286】
[0298] 製剤#334−77−4
[0299] 製剤#334−77の試料をコラーゲンスポンジ1片上に置き、焼成した。スポンジはグルタルアルデヒド溶液(5kppm)でコラーゲン繊維を軽度に交差結合することにより、そして、VirTis Genesisフリーズドライヤーを用いてコラーゲン溶液(1.0%)を凍結乾燥することにより生成した。コラーゲンパッド(3x4cm2)を製剤#334−77の1.5g試料と慎重に積層し、次に試料が溶融し始めるまで1分間60〜65℃の真空オーブン中で加熱した。次に材料を冷却固化させた。得られたコラーゲンパッド各々を乾燥剤の入ったパウチに入れ、密閉した。
【0287】
[0300] 方法
[0301] 外科処置操作
[0302] 動物(NZWウサギ、雌性、体重約3kg)を麻酔し、部分的肝切除の30分前に4,000IU/kgの用量において静脈内ヘパリン処置した。
【0288】
[0303] 肝切除モデル
[0304] 正中開腹術を行い、肝臓の左葉を露出させ、クランプした。左側方肝葉の部分を切開した。滲出は被験品の適用により制御した。適用および硬化の時間は300秒を超過しないように標準化した。止血クランプは一次止血が達成されたと予測された5分後に除去した。
【0289】
[0305] 肝臓擦過モデル
[0306] 正中開腹術を行い、肝臓の左葉を露出させた。直径2cmおよび深度2mmの表面環状患部を表面に擦過形成した。これは研磨ディスク装着部を有する切削機(穿孔研磨機PROXXONFBS230/E;グリッドサイズP40、回転速度5000/分)を用いて達成した。このようにして起こした得られた小血管または毛細血管の出血または滲出を製剤の1つを用いて治療した。
【0290】
[0307] 15分間の観察時間を設けた後、左肝葉を腹腔におけるその元の位置に戻した。止血が達成されれば、腹部を閉鎖し、そして腹膜網を切開した(Synthofil(登録商標)2/0)。筋肉および皮膚の切開部は2段階方式の断続縫合としてSynthofil(登録商標)2/0をもちいて別個に縫合することになる。
【0291】
[0308] 24時間後、ペントバルビタールナトリウム(約320mgiv/匹)の過剰用量により麻酔中に屠殺した。安楽死の後、剖検を実施した。腹部は再出血に起因する血液および/または血塊の存在に関して目視により検査した。存在する場合は、血液および/または血塊を予備計量した外科用スワブで拭き取り、重量を測定した。止血が達成されていなければ動物をペントバルビタールナトリウム(約320mgiv/匹)の過剰用量により屠殺し、一次終点のみを評価した。
【0292】
[0309] 結果
[0310] 本試験は製剤#334−77、334−77−1および334−77−4の止血特性を評価することを目的とした。2種の極めて過酷な止血モデル、即ち高度にヘパリン処理したウサギにおける(1)肝臓切除、および(2)肝臓表面モデルを使用した。
【0293】
[0311] 製剤#334−77粉末を出血創傷上に適用した後、止血を達成するためには創傷表面に対して製剤を圧着することが有益であることがわかった。この圧力を乾燥した外科用ラテックスの手袋を用いて達成することは、粉末が創傷よりも手袋に対してより接着性であったため、困難であった。しかしながら、湿潤した手袋を用いた圧力の適用はより容易であった。製剤はそれが血液の水分と接触した後は堅固な膜を形成した。適用後、それは本実施例において使用した過酷なモデルにおいてさえも、多くの場合において、止血をもたらしている。初回適用後に止血が完全に達成されず、そして形成された層の下部で滲出出血があった場合は、さらに製剤#334−77を単に適用するだけでは出血を十分停止することは困難であった。十分注意しなければ粉末化された製剤が腹腔内に落下して腹腔に接着するため、出血を停止する必要がある場所のみに製剤の適用を限定することは困難であると考えられる。従って製剤#344−77の適切な適用が有用である。
【0294】
[0312] これとは対照的に、製剤#344−77は組織の広い面積に渡って一定の厚みの層として、そして、止血を得るために十分な圧力において、容易に適用することができた。天然のコラーゲンパッドの裏装を有する製剤#344−77は適用後肝葉に接着して残存し、そして止血剤およびパッドを創傷および肝被膜上に糊付けする糊剤として機能していた。そのような生体分解性の裏装は止血を達成する場合に粉末成分に対してさらに薬効を付加することができる。生体分解性裏装はまた製剤に可撓性を与えることができ、これにより適用中に切開端部に渡って製剤を屈曲させることができる。この製剤で2匹を治療し、1匹は表面モデル、1は切開モデルとした。両方の動物において急性期の止血が達成された。表面モデルにおいて治療した動物のみが24時間術後出血を呈することなく生存した。コラーゲンの毛羽は24時間後もなお適用部位にあった。切開モデルにおいて治療した動物は一夜出血して死亡し、毛羽は脱落した。2つの実験の間の相違は、1つ目では毛羽が乾燥状態で創傷上に圧着されていたのに対し、2つ目では湿潤ガーゼスワブによる圧力を使用した点である。観察結果を表15に示す。
【0295】
【表15−1】
【0296】
【表15−2】
【0297】
【表15−3】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分:
第1の交差結合可能な成分;
反応を可能とする条件下で第1の交差結合可能な成分と交差結合する第2の交差結合可能な成分;および、
ヒドロゲル形成成分;
を含む組成物であって、ここで第1および第2の交差結合可能な成分は交差結合して間隙を有する多孔性マトリックスを形成し、そしてここでヒドロゲル形成成分は水和されて間隙の少なくとも一部を充填するヒドロゲルを形成することができる上記組成物。
【請求項2】
第1の交差結合可能な成分が多数の求核性基を含み、そして第2の交差結合可能な成分が多数の求電子性基を含む請求項1記載の組成物。
【請求項3】
第1の交差結合可能な成分が求核性基m個を有する多求核性ポリアルキレンオキシドを含み、そして第2の交差結合可能な成分が求電子性基n個を有する多求電子性ポリアルキレンオキシドを含み、ここでmおよびnは各々2以上であり、そしてm+nは5以上である請求項1記載の組成物。
【請求項4】
nが2であり、そしてmが3以上である請求項3記載の組成物。
【請求項5】
多求核性ポリアルキレンオキシドが4官能性的に活性化される請求項4記載の組成物。
【請求項6】
mが2であり、そしてnが3以上である請求項3記載の組成物。
【請求項7】
多求電子性ポリアルキレンオキシドが4官能性的に活性化される請求項6記載の組成物。
【請求項8】
多求核性ポリアルキレンオキシドおよび多求電子性ポリアルキレンオキシドの両方が4官能性的に活性化される請求項3記載の組成物。
【請求項9】
多求核性ポリアルキレンオキシドがさらに−NH2、−SH、−H、−PH2、および−CO−NH−NH2よりなる群から選択される求核性基2つ以上を含む請求項3記載の組成物。
【請求項10】
多求核性ポリアルキレンオキシドがさらに第1級アミノ基2つ以上を含む請求項3記載の組成物。
【請求項11】
多求核性ポリアルキレンオキシドがさらにチオール基2つ以上を含む請求項3記載の組成物。
【請求項12】
多求核性ポリアルキレンオキシドがポリエチレングリコールまたはその誘導体である請求項3記載の組成物。
【請求項13】
ポリエチレングリコールがさらに第1級アミノ基およびチオール基よりなる群から選択される求核性基2つ以上を含む請求項12記載の組成物。
【請求項14】
多求電子性ポリアルキレンオキシドがさらに−CO2N(COCH2)2、−CO2H、−CHO、−CHOCH2、−N=C=O、−SO2CH=CH2、−N(COCH)2および−S−S−(C5H4N)よりなる群から選択される求電子性基2つ以上を含む請求項3記載の組成物。
【請求項15】
多求電子性ポリアルキレンオキシドがさらにスクシンイミジル基2つ以上を含む請求項3記載の組成物。
【請求項16】
多求電子性ポリアルキレンオキシドがさらにマレイミジル基2つ以上を含む請求項3記載の組成物。
【請求項17】
多求電子性ポリアルキレンオキシドがポリエチレングリコールまたはその誘導体である請求項3記載の組成物。
【請求項18】
多糖類またはタンパク質をさらに含む請求項3記載の組成物。
【請求項19】
グルコサミノグリカンである多糖類をさらに含む請求項3記載の組成物。
【請求項20】
グルコサミノグリカンがヒアルロン酸、キチン、硫酸コンドロイチンA、硫酸コンドロイチンB、硫酸コンドロイチンC、硫酸ケラチン、ケラトスルフェート、ヘパリンおよびこれらの誘導体よりなる群から選択される請求項19記載の組成物。
【請求項21】
コラーゲンまたはその誘導体であるタンパク質をさらに含む請求項3記載の組成物。
【請求項22】
多求核性ポリアルキレンオキシドまたは多求電子性ポリアルキレンオキシド、または多求核性ポリアルキレンオキシドおよび多求電子性ポリアルキレンオキシドの両方がさらに連結基を含む請求項3記載の組成物。
【請求項23】
多求核性ポリアルキレンオキシドが下記式:
重合体−Q1−Xm
により与えられ、そして多求電子性ポリアルキレンオキシドが下記式:
重合体−Q2−Yn
により与えられ、
ここでXは求電子性基であり、そしてYは求核性基であり;
ここでmおよびnは各々2〜4であり;
ここでm+n≦5であり;
ここでQ1およびQ2の各々は−O−(CH2)n’−、−S−、−(CH2)n’−、−NH−(CH2)n’−、−O2C−NH−(CH2)n’−、−O2C−(CH2)n’−、−O2C−CR1H、および−O−R2−CO−NH、よりなる群から選択される連結基である;
ここでn’=1〜10であり;
ここでR1=−H、−CH3、または−C2H5であり;
ここでR2=−CH2−または−CO−NH−CH2CH2−であり;そして、
ここでQ1およびQ2は同じかまたは異なっていてよく、あるいは非存在であってよい、請求項3記載の組成物。
【請求項24】
Yが下記式:
−CO2N(COCH2)2
により与えられる請求項23記載の組成物。
【請求項25】
Yが下記式:
−N(COCH)2
により与えられる請求項23記載の組成物。
【請求項26】
多求核性ポリアルキレンオキシドまたは多求電子性ポリアルキレンオキシド、または多求核性ポリアルキレンオキシドおよび多求電子性ポリアルキレンオキシドの両方がさらに生体分解性基を含む請求項3記載の組成物。
【請求項27】
生体分解性基がラクチド、グリコリド、ε−カプロラクトン、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリ(アミノ酸)、およびポリ(無水物)よりなる群から選択される請求項26記載の組成物。
【請求項28】
ヒドロゲル形成成分が、水和されてゼラチンを含むフラグメント化生体分解性ヒドロゲルを形成することができ、そして湿潤した組織標的部位に送達されると水を吸収し、そして、ヒドロゲルが完全に水和されると約0.01mm〜約5mmの範囲の大きさを有するサブユニットを含み、そして約400%〜約5000%の範囲の平衡膨潤性を有する請求項1記載の組成物。
【請求項29】
ヒドロゲルが1年未満のインビボの分解時間を有する請求項28記載の組成物。
【請求項30】
ヒドロゲルが活性剤を含む水性媒質により少なくとも部分的に水和される請求項28および29記載の組成物。
【請求項31】
活性剤が凝固剤である請求項30記載の組成物。
【請求項32】
凝固剤がトロンビンである請求項31記載の組成物。
【請求項33】
患者に活性剤を送達するための方法であって、方法が請求項30記載の組成物のある量を患者における標的部位に投与することを含む上記方法。
【請求項34】
患者に密封剤を送達するための方法であって、方法が出血を抑制するために十分な請求項1記載の組成物のある量を出血標的部位に投与することを含む上記方法。
【請求項35】
患者に活性剤を送達するための方法であって、方法が出血を抑制するために十分な請求項32記載の組成物のある量を出血標的部位に投与することを含む上記方法。
【請求項36】
多求核性ポリアルキレンオキシド、多求電子性ポリアルキレンオキシド、およびヒドロゲル形成成分を含む組成物であって、多求核性ポリアルキレンオキシドがさらに第1級アミノ基少なくとも1つおよびチオール基少なくとも1つを含み、そして反応を可能とする条件下で多求核性ポリアルキレンオキシドおよび多求電子性ポリアルキレンオキシドが実質的に即時に交差結合できる上記組成物。
【請求項37】
多求核性ポリアルキレンオキシド、多求電子性ポリアルキレンオキシド、およびヒドロゲル形成成分を含む組成物であって、多求核性ポリアルキレンオキシドがさらにチオール基2つ以上を含み、そして多求電子性ポリアルキレンオキシドがさらにスクシンイミジル基およびマレイミジル基よりなる群から選択される求電子性基2つ以上を含み、そして反応を可能とする条件下で多求核性ポリアルキレンオキシドおよび多求電子性ポリアルキレンオキシドが実質的に即時に交差結合できる上記組成物。
【請求項38】
多求核性ポリアルキレンオキシド、多求電子性ポリアルキレンオキシド、およびヒドロゲル形成成分を含む組成物であって、多求核性ポリアルキレンオキシドがさらに第1級アミノ基およびチオール基よりなる群から選択される求核性基2つ以上を含み、そして多求電子性ポリアルキレンオキシドがさらにスクシンイミジル基及2つ以上を含み、そして反応を可能とする条件下で多求核性ポリアルキレンオキシドおよび多求電子性ポリアルキレンオキシドが実質的に即時に交差結合できる上記組成物。
【請求項39】
チオール基2つ以上を含む第1のポリエチレングリコール、スクシンイミジル基またはマレイミジル基2つ以上を含む第2のポリエチレングリコール、およびヒドロゲル形成成分を含む組成物であって、チオール基およびスクシンイミジル基またはマレイミジル基の合計が少なくとも5つであり、そして反応を可能とする条件下で第1のポリエチレングリコールおよび第2のポリエチレングリコールが実質的に即時に交差結合できる上記組成物。
【請求項40】
第1のポリエチレングリコールがさらにチオール基4つを含み、そして第2のポリエチレングリコールがさらにスクシンイミジル基4つを含む請求項39記載の組成物。
【請求項41】
タンパク質または多糖類をさらに含む請求項39記載の組成物。
【請求項42】
グリコサミノグリカンである、多糖類をさらに含む請求項39記載の組成物。
【請求項43】
グリコサミノグリカンがヒアルロン酸、キチン、硫酸コンドロイチンA、硫酸コンドロイチンB、硫酸コンドロイチンC、硫酸ケラチン、ケラトスルフェート、ヘパリンおよびこれらの誘導体よりなる群から選択される請求項42記載の組成物。
【請求項44】
コラーゲンまたはその誘導体であるタンパク質をさらに含む請求項39記載の組成物。
【請求項45】
組織管を密閉するための方法であって、方法が下記成分:
第1の交差結合可能な成分;
反応を可能とする条件下で第1の交差結合可能な成分と交差結合する第2の交差結合可能な成分;および、
ヒドロゲル形成成分;
を含む組成物で組織管を少なくとも部分的に充填することを含み、
ここで第1および第2の交差結合可能な成分は交差結合して間隙を有する多孔性マトリックスを形成し、そしてヒドロゲル形成成分は水和されて間隙の少なくとも一部を充填するヒドロゲルを形成することができ、ヒドロゲルは完全に水和されると約0.05mm〜約5mmの範囲の大きさを有し、約400%〜約1300%の範囲の平衡膨潤性を有し、そして約1〜約120日後に組織管内で分解するサブユニットを含む上記方法。
【請求項46】
第1の交差結合可能な成分が多数の求核性基を含み、そして第2の重合体が多数の求電子性基を含む請求項45記載の方法。
【請求項47】
患者の身体内の標的部位における出血を抑制するための方法であって、方法が出血を抑制するために十分な量において標的部位に組成物を送達することを含み、組成物が下記成分:
第1の交差結合可能な成分;
反応を可能とする条件下で第1の交差結合可能な成分と交差結合する第2の交差結合可能な成分;および、
ヒドロゲル形成成分;
を含み、
ここで第1および第2の交差結合可能な成分は交差結合して間隙を有する多孔性マトリックスを形成し、そしてヒドロゲル形成成分は水和されて間隙の少なくとも一部を充填するヒドロゲルを形成することができ、ヒドロゲルは完全に水和されると約0.05mm〜約5mmの範囲の大きさを有し、約400%〜約1300%の範囲の平衡膨潤性を有し、そして約1〜約120日後に組織管内で分解するサブユニットを含む上記方法。
【請求項48】
第1の交差結合可能な成分が多数の求核性基を含み、そして第2の交差結合可能な成分が多数の求電子性基を含む請求項47記載の方法。
【請求項49】
患者の身体内の標的部位に生物活性物質を送達するための方法であって、方法が標的部位に生物活性物質と組み合わせて組成物を送達することを含み、組成物が下記成分:
第1の交差結合可能な成分;
反応を可能とする条件下で第1の交差結合可能な成分と交差結合する第2の交差結合可能な成分;および、
ヒドロゲル形成成分;
を含む組成物を含み、
ここで第1および第2の交差結合可能な成分は交差結合して間隙を有する多孔性マトリックスを形成し、そしてヒドロゲル形成成分は水和されて間隙の少なくとも一部を充填するヒドロゲルを形成することができ、ヒドロゲルは完全に水和されると約0.05mm〜約5mmの範囲の大きさを有し、約400%〜約1300%の範囲の平衡膨潤性を有し、そして約1〜約120日後に組織管内で分解するサブユニットを含む上記方法。
【請求項50】
第1の交差結合可能な成分が多数の求核性基を含み、そして第2の交差結合可能な成分が多数の求電子性基を含む請求項49記載の方法。
【請求項51】
生物活性物質が止血剤である請求項49記載の方法。
【請求項52】
生物活性物質がトロンビンである請求項49記載の方法。
【請求項53】
組織における標的部位に膨潤可能な組成物を送達するための方法であって、方法は標的部位に組成物を適用することを含み、組成物は下記成分:
第1の交差結合可能な成分;
反応を可能とする条件下で第1の交差結合可能な成分と交差結合する第2の交差結合可能な成分;および、
ヒドロゲル形成成分;
を含み、
ここで第1および第2の交差結合可能な成分は交差結合して間隙を有する多孔性マトリックスを形成し、そしてヒドロゲル形成成分は水和されて間隙の少なくとも一部を充填するヒドロゲルを形成することができ、ヒドロゲルは完全に水和されると約0.05mm〜約5mmの範囲の大きさを有し、約400%〜約1300%の範囲の平衡膨潤性を有し、そして約1〜約120日後に組織管内で分解するサブユニットを含み、組成物は標的部位への適用時にはその平衡膨潤性よりも低値において水和しており、その部位において平衡膨潤値まで膨潤する上記方法。
【請求項54】
第1の交差結合可能な成分が多数の求核性基を含み、そして第2の交差結合可能な成分が多数の求電子性基を含む請求項53記載の方法。
【請求項55】
標的部位が筋肉、皮膚、上皮組織、結合または支持組織、神経組織、眼および他の感覚器官の組織、血管および心臓の組織、胃腸の臓器および組織、胸膜および他の肺の組織、腎臓、内分泌腺、雄性および雌性の生殖器官、脂肪組織、肝臓、膵臓、リンパ、軟骨、骨、口腔組織、および粘膜組織、および脾臓および他の腹部の臓器よりなる群から選択される組織中にある請求項53記載の方法。
【請求項56】
標的部位が選択された組織内部の空隙領域である請求項55記載の方法。
【請求項57】
空隙領域が組織のくぼみ、組織管、椎骨間空間、および体腔よりなる群から選択される請求項56記載の方法。
【請求項58】
ヒドロゲルが平衡膨潤時の水和の50%〜95%の範囲の水和度を有する請求項53記載の方法。
【請求項59】
ヒドロゲルが可塑剤を含む請求項53記載の方法。
【請求項60】
可塑剤がポリエチレングリコール、ソルビトールおよびグリセロールよりなる群から選択される請求項59記載の方法。
【請求項61】
可塑剤がヒドロゲル成分の組成物の0.1重量%〜30重量%において存在する請求項59記載の方法。
【請求項62】
ヒドロゲルが交差結合タンパク質ヒドロゲルを含む請求項45〜61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
タンパク質がゼラチン、可溶性コラーゲン、アルブミン、ヘモグロビン、フィブロジェン、フィブリン、カゼイン、フィブロネクチン、エラスチン、ケラチン、ラミニン、およびこれらの誘導体および組み合わせよりなる群から選択される請求項62記載の方法。
【請求項64】
ヒドロゲルが交差結合多糖類を含む請求項45〜61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
多糖類がグリコサミノグリカン、澱粉誘導体、セルロース誘導体、ヘミセルロース誘導体、キシラン、アガロース、アルギネート、およびキトサンおよびこれらの組み合わせよりなる群から選択される請求項64記載の方法。
【請求項66】
ヒドロゲルが交差結合非生物重合体である請求項45〜61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
交差結合非生物重合体がポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニル樹脂、ポリアクチド−グリコリド、ポリカプロラクトン、ポリオキシエチレン、およびこれらの組み合わせよりなる群から選択される請求項66記載の方法。
【請求項68】
ヒドロゲルが交差結合タンパク質、交差結合多糖類、および交差結合非生物重合体よりなる群から選択される少なくとも2つの成分を含む請求項45〜61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
ヒドロゲルがヒドロゲル重合体およびヒドロゲル交差結合剤を含み、ここでヒドロゲル重合体およびヒドロゲル交差結合剤はヒドロゲル重合体分子の交差結合をもたらす条件下で反応されている請求項45〜61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
ヒドロゲルがヒドロゲル重合体分子の交差結合をもたらす条件下の照射により生成されているヒドロゲルの分子交差結合ヒドロゲル重合体を含む請求項45〜61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
ヒドロゲルがヒドロゲル重合体分子の交差結合をもたらす条件下のモノ不飽和および多不飽和のヒドロゲル単量体の反応により生成されている分子交差結合ヒドロゲルを含む請求項45〜61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
下記工程:
求核性基m個を含有する第1の交差結合可能な成分および求電子性基n個を含有する第2の交差結合可能な成分を提供すること、ここで求電子性基は求核性基と反応してそれとの共有結合を形成し、ここでmおよびnは各々2以上であり、そしてここでm+nは5以上であること;
第1の交差結合可能な成分および第2の交差結合可能な成分を組み合わせること;
第1の交差結合可能な成分および第2の交差結合可能な成分にヒドロゲル形成成分を添加すること;
第1の交差結合可能な成分および第2の交差結合可能な成分を相互に交差結合させて3次元マトリックスを形成すること;
を含む3次元合成重合体マトリックスを形成する方法。
【請求項73】
第1の組織表面および第2の組織表面を第1の交差結合可能な成分、第2の交差結合可能な成分、およびヒドロゲル形成成分に接触させることをさらに含む請求項72記載の方法。
【請求項74】
第2の表面が天然の組織表面である請求項73記載の方法。
【請求項75】
第2の表面が非天然の組織表面である請求項73記載の方法。
【請求項76】
非天然の組織表面が合成インプラントである請求項75記載の方法。
【請求項77】
合成インプラントがドナー角膜、人工血管、心臓弁、人工臓器、結合補綴物、インプラント可能なレンズ核、血管移植片、ステント、およびステント/移植片の組み合わせよりなる群から選択される請求項76記載の方法。
【請求項78】
第1の交差結合可能な成分、第2の交差結合可能な成分、およびヒドロゲル形成成分が第1の組織表面において粉末形態において各々適用される請求項72記載の方法。
【請求項79】
第1の交差結合可能な成分、第2の交差結合可能な成分、およびヒドロゲル形成成分が第1の組織表面において単一の複合化混合粉末製剤における粉末として各々適用される請求項72記載の方法。
【請求項80】
混合粉末製剤がさらにタンパク質または多糖類を含む請求項79記載の方法。
【請求項81】
第1の組織表面が硬組織または軟組織の上または中にある請求項72記載の方法。
【請求項82】
第1の組織表面が外科的部位を含むか、包囲するか、またはそれに隣接しており、そしてさらに外科的部位を閉鎖する工程を含む請求項72記載の方法。
【請求項83】
混合粉末製剤がさらにコラーゲンを含む請求項72記載の方法。
【請求項84】
混合粉末製剤がさらに生物活性剤を含む請求項72記載の方法。
【請求項85】
下記成分:
多数の求核性基を含む第1の交差結合可能な成分であって、粉末形態の第1の交差結合可能な成分;
多数の求電子性基を含む第2の交差結合可能な成分であって、粉末形態の第2の交差結合可能な成分;および、
粉末形態のヒドロゲル形成成分;
を含む混合粉末組成物であって、ここで反応を可能にする条件下において第1および第2の交差結合可能な成分が実質的に即時に交差結合できる上記組成物。
【請求項86】
第2の交差結合可能な成分に添加された第1の交差結合可能な成分が複合化された交差結合可能な成分の組成物を与え、そして第1の交差結合可能な成分が複合化された交差結合可能な成分の組成物の約0.5〜約20重量%の範囲の濃度において存在する請求項85記載の混合粉末組成物。
【請求項87】
第2の交差結合可能な成分に添加された第1の交差結合可能な成分が複合化された交差結合可能な成分の組成物を与え、そして第2の交差結合可能な成分が複合化された交差結合可能な成分の組成物の約0.5〜約20重量%の範囲の濃度において存在する請求項85記載の混合粉末組成物。
【請求項88】
第1の交差結合可能な成分の第2の交差結合可能な成分に対する重量比が約45%〜約55%の範囲にある請求項85記載の混合粉末組成物。
【請求項89】
第1の交差結合可能な成分の第2の交差結合可能な成分に対する重量比が約50%である請求項85記載の混合粉末組成物。
【請求項90】
第1およびの第2の交差結合可能な成分とヒドロゲル形成成分との間の重量比が約28%w/w〜約42%w/wの範囲内にある請求項85記載の混合粉末組成物。
【請求項91】
第1およびの第2の交差結合可能な成分とヒドロゲル形成成分との間の重量比が約20%w/w〜約30%w/wの範囲内にある請求項85記載の混合粉末組成物。
【請求項92】
第2の交差結合可能な成分に添加された第1の交差結合可能な成分が複合化された交差結合可能な成分の組成物を与え、そして第1の交差結合可能な成分が複合化された交差結合可能な成分の組成物の約0.5〜約20重量%の範囲の濃度において存在する請求項91記載の混合粉末組成物。
【請求項93】
第2の交差結合可能な成分に添加された第1の交差結合可能な成分が複合化された交差結合可能な成分の組成物を与え、そして第2の交差結合可能な成分が複合化された交差結合可能な成分の組成物の約0.5〜約20重量%の範囲の濃度において存在する請求項91記載の混合粉末組成物。
【請求項94】
第1の交差結合可能な成分の第2の交差結合可能な成分に対する重量比が約45%〜約55%の範囲にある請求項91記載の混合粉末組成物。
【請求項95】
第1の交差結合可能な成分の第2の交差結合可能な成分に対する重量比が約50%である請求項91記載の混合粉末組成物。
【請求項96】
下記要素:
容器;および、
容器内に配置された混合粉末組成物であって、組成物が下記成分:
多数の求核性基を含む第1の交差結合可能な成分であって、粉末形態の第1の交差結合可能な成分;
多数の求電子性基を含む第2の交差結合可能な成分であって、粉末形態の第2の交差結合可能な成分;および、
粉末形態のヒドロゲル形成成分;
を含み、ここで反応を可能にする条件下において第1および第2の交差結合可能な成分が実質的に即時に交差結合できる上記組成物;
を含むキット。
【請求項97】
容器がシリンジ胴部およびシリンジプランジャー部を含む請求項96記載のキット。
【請求項98】
患者の出血標的部位に混合粉末組成物を適用するための書面による説明書をさらに含む請求項96のキット。
【請求項99】
混合粉末がさらに活性剤を含む請求項96のキット。
【請求項100】
活性剤がトロンビンを含む請求項99記載のキット。
【請求項101】
下記要素:
コラーゲンスポンジ;および、
スポンジ表面に固定化された混合粉末組成物を含むキットであって、混合粉末組成物が下記成分:
多数の求核性基を含む第1の交差結合可能な成分であって、粉末形態の第1の交差結合可能な成分;
多数の求電子性基を含む第2の交差結合可能な成分であって、粉末形態の第2の交差結合可能な成分;および、
粉末形態のヒドロゲル形成成分;
を含み、ここで反応を可能にする条件下において第1および第2の交差結合可能な成分が実質的に即時に交差結合できる、キット。
【請求項102】
下記成分:
天然のコラーゲン線維を含むコラーゲンスポンジ;および、
スポンジ表面に固定化された混合粉末組成物を含む組成物であって、混合粉末組成物が下記成分:
多数の求核性基を含む第1の交差結合可能な成分であって、粉末形態であり混合粉末の約10%を含む第1の交差結合可能な成分;
多数の求電子性基を含む第2の交差結合可能な成分であって、粉末形態であり混合粉末の約10%を含む第2の交差結合可能な成分;および、
粉末形態であり混合粉末の約80%を含むヒドロゲル形成成分;
を含み、ここで反応を可能にする条件下において第1および第2の交差結合可能な成分は実質的に即時に交差結合することにより間隙を有する多孔性マトリックスを形成することができ、そしてここでヒドロゲル形成成分は水和されて間隙の少なくとも一部を充填するヒドロゲルを形成することができる、組成物。
【請求項1】
下記成分:
第1の交差結合可能な成分;
反応を可能とする条件下で第1の交差結合可能な成分と交差結合する第2の交差結合可能な成分;および、
ヒドロゲル形成成分;
を含む組成物であって、ここで第1および第2の交差結合可能な成分は交差結合して間隙を有する多孔性マトリックスを形成し、そしてここでヒドロゲル形成成分は水和されて間隙の少なくとも一部を充填するヒドロゲルを形成することができる上記組成物。
【請求項2】
第1の交差結合可能な成分が多数の求核性基を含み、そして第2の交差結合可能な成分が多数の求電子性基を含む請求項1記載の組成物。
【請求項3】
第1の交差結合可能な成分が求核性基m個を有する多求核性ポリアルキレンオキシドを含み、そして第2の交差結合可能な成分が求電子性基n個を有する多求電子性ポリアルキレンオキシドを含み、ここでmおよびnは各々2以上であり、そしてm+nは5以上である請求項1記載の組成物。
【請求項4】
nが2であり、そしてmが3以上である請求項3記載の組成物。
【請求項5】
多求核性ポリアルキレンオキシドが4官能性的に活性化される請求項4記載の組成物。
【請求項6】
mが2であり、そしてnが3以上である請求項3記載の組成物。
【請求項7】
多求電子性ポリアルキレンオキシドが4官能性的に活性化される請求項6記載の組成物。
【請求項8】
多求核性ポリアルキレンオキシドおよび多求電子性ポリアルキレンオキシドの両方が4官能性的に活性化される請求項3記載の組成物。
【請求項9】
多求核性ポリアルキレンオキシドがさらに−NH2、−SH、−H、−PH2、および−CO−NH−NH2よりなる群から選択される求核性基2つ以上を含む請求項3記載の組成物。
【請求項10】
多求核性ポリアルキレンオキシドがさらに第1級アミノ基2つ以上を含む請求項3記載の組成物。
【請求項11】
多求核性ポリアルキレンオキシドがさらにチオール基2つ以上を含む請求項3記載の組成物。
【請求項12】
多求核性ポリアルキレンオキシドがポリエチレングリコールまたはその誘導体である請求項3記載の組成物。
【請求項13】
ポリエチレングリコールがさらに第1級アミノ基およびチオール基よりなる群から選択される求核性基2つ以上を含む請求項12記載の組成物。
【請求項14】
多求電子性ポリアルキレンオキシドがさらに−CO2N(COCH2)2、−CO2H、−CHO、−CHOCH2、−N=C=O、−SO2CH=CH2、−N(COCH)2および−S−S−(C5H4N)よりなる群から選択される求電子性基2つ以上を含む請求項3記載の組成物。
【請求項15】
多求電子性ポリアルキレンオキシドがさらにスクシンイミジル基2つ以上を含む請求項3記載の組成物。
【請求項16】
多求電子性ポリアルキレンオキシドがさらにマレイミジル基2つ以上を含む請求項3記載の組成物。
【請求項17】
多求電子性ポリアルキレンオキシドがポリエチレングリコールまたはその誘導体である請求項3記載の組成物。
【請求項18】
多糖類またはタンパク質をさらに含む請求項3記載の組成物。
【請求項19】
グルコサミノグリカンである多糖類をさらに含む請求項3記載の組成物。
【請求項20】
グルコサミノグリカンがヒアルロン酸、キチン、硫酸コンドロイチンA、硫酸コンドロイチンB、硫酸コンドロイチンC、硫酸ケラチン、ケラトスルフェート、ヘパリンおよびこれらの誘導体よりなる群から選択される請求項19記載の組成物。
【請求項21】
コラーゲンまたはその誘導体であるタンパク質をさらに含む請求項3記載の組成物。
【請求項22】
多求核性ポリアルキレンオキシドまたは多求電子性ポリアルキレンオキシド、または多求核性ポリアルキレンオキシドおよび多求電子性ポリアルキレンオキシドの両方がさらに連結基を含む請求項3記載の組成物。
【請求項23】
多求核性ポリアルキレンオキシドが下記式:
重合体−Q1−Xm
により与えられ、そして多求電子性ポリアルキレンオキシドが下記式:
重合体−Q2−Yn
により与えられ、
ここでXは求電子性基であり、そしてYは求核性基であり;
ここでmおよびnは各々2〜4であり;
ここでm+n≦5であり;
ここでQ1およびQ2の各々は−O−(CH2)n’−、−S−、−(CH2)n’−、−NH−(CH2)n’−、−O2C−NH−(CH2)n’−、−O2C−(CH2)n’−、−O2C−CR1H、および−O−R2−CO−NH、よりなる群から選択される連結基である;
ここでn’=1〜10であり;
ここでR1=−H、−CH3、または−C2H5であり;
ここでR2=−CH2−または−CO−NH−CH2CH2−であり;そして、
ここでQ1およびQ2は同じかまたは異なっていてよく、あるいは非存在であってよい、請求項3記載の組成物。
【請求項24】
Yが下記式:
−CO2N(COCH2)2
により与えられる請求項23記載の組成物。
【請求項25】
Yが下記式:
−N(COCH)2
により与えられる請求項23記載の組成物。
【請求項26】
多求核性ポリアルキレンオキシドまたは多求電子性ポリアルキレンオキシド、または多求核性ポリアルキレンオキシドおよび多求電子性ポリアルキレンオキシドの両方がさらに生体分解性基を含む請求項3記載の組成物。
【請求項27】
生体分解性基がラクチド、グリコリド、ε−カプロラクトン、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリ(アミノ酸)、およびポリ(無水物)よりなる群から選択される請求項26記載の組成物。
【請求項28】
ヒドロゲル形成成分が、水和されてゼラチンを含むフラグメント化生体分解性ヒドロゲルを形成することができ、そして湿潤した組織標的部位に送達されると水を吸収し、そして、ヒドロゲルが完全に水和されると約0.01mm〜約5mmの範囲の大きさを有するサブユニットを含み、そして約400%〜約5000%の範囲の平衡膨潤性を有する請求項1記載の組成物。
【請求項29】
ヒドロゲルが1年未満のインビボの分解時間を有する請求項28記載の組成物。
【請求項30】
ヒドロゲルが活性剤を含む水性媒質により少なくとも部分的に水和される請求項28および29記載の組成物。
【請求項31】
活性剤が凝固剤である請求項30記載の組成物。
【請求項32】
凝固剤がトロンビンである請求項31記載の組成物。
【請求項33】
患者に活性剤を送達するための方法であって、方法が請求項30記載の組成物のある量を患者における標的部位に投与することを含む上記方法。
【請求項34】
患者に密封剤を送達するための方法であって、方法が出血を抑制するために十分な請求項1記載の組成物のある量を出血標的部位に投与することを含む上記方法。
【請求項35】
患者に活性剤を送達するための方法であって、方法が出血を抑制するために十分な請求項32記載の組成物のある量を出血標的部位に投与することを含む上記方法。
【請求項36】
多求核性ポリアルキレンオキシド、多求電子性ポリアルキレンオキシド、およびヒドロゲル形成成分を含む組成物であって、多求核性ポリアルキレンオキシドがさらに第1級アミノ基少なくとも1つおよびチオール基少なくとも1つを含み、そして反応を可能とする条件下で多求核性ポリアルキレンオキシドおよび多求電子性ポリアルキレンオキシドが実質的に即時に交差結合できる上記組成物。
【請求項37】
多求核性ポリアルキレンオキシド、多求電子性ポリアルキレンオキシド、およびヒドロゲル形成成分を含む組成物であって、多求核性ポリアルキレンオキシドがさらにチオール基2つ以上を含み、そして多求電子性ポリアルキレンオキシドがさらにスクシンイミジル基およびマレイミジル基よりなる群から選択される求電子性基2つ以上を含み、そして反応を可能とする条件下で多求核性ポリアルキレンオキシドおよび多求電子性ポリアルキレンオキシドが実質的に即時に交差結合できる上記組成物。
【請求項38】
多求核性ポリアルキレンオキシド、多求電子性ポリアルキレンオキシド、およびヒドロゲル形成成分を含む組成物であって、多求核性ポリアルキレンオキシドがさらに第1級アミノ基およびチオール基よりなる群から選択される求核性基2つ以上を含み、そして多求電子性ポリアルキレンオキシドがさらにスクシンイミジル基及2つ以上を含み、そして反応を可能とする条件下で多求核性ポリアルキレンオキシドおよび多求電子性ポリアルキレンオキシドが実質的に即時に交差結合できる上記組成物。
【請求項39】
チオール基2つ以上を含む第1のポリエチレングリコール、スクシンイミジル基またはマレイミジル基2つ以上を含む第2のポリエチレングリコール、およびヒドロゲル形成成分を含む組成物であって、チオール基およびスクシンイミジル基またはマレイミジル基の合計が少なくとも5つであり、そして反応を可能とする条件下で第1のポリエチレングリコールおよび第2のポリエチレングリコールが実質的に即時に交差結合できる上記組成物。
【請求項40】
第1のポリエチレングリコールがさらにチオール基4つを含み、そして第2のポリエチレングリコールがさらにスクシンイミジル基4つを含む請求項39記載の組成物。
【請求項41】
タンパク質または多糖類をさらに含む請求項39記載の組成物。
【請求項42】
グリコサミノグリカンである、多糖類をさらに含む請求項39記載の組成物。
【請求項43】
グリコサミノグリカンがヒアルロン酸、キチン、硫酸コンドロイチンA、硫酸コンドロイチンB、硫酸コンドロイチンC、硫酸ケラチン、ケラトスルフェート、ヘパリンおよびこれらの誘導体よりなる群から選択される請求項42記載の組成物。
【請求項44】
コラーゲンまたはその誘導体であるタンパク質をさらに含む請求項39記載の組成物。
【請求項45】
組織管を密閉するための方法であって、方法が下記成分:
第1の交差結合可能な成分;
反応を可能とする条件下で第1の交差結合可能な成分と交差結合する第2の交差結合可能な成分;および、
ヒドロゲル形成成分;
を含む組成物で組織管を少なくとも部分的に充填することを含み、
ここで第1および第2の交差結合可能な成分は交差結合して間隙を有する多孔性マトリックスを形成し、そしてヒドロゲル形成成分は水和されて間隙の少なくとも一部を充填するヒドロゲルを形成することができ、ヒドロゲルは完全に水和されると約0.05mm〜約5mmの範囲の大きさを有し、約400%〜約1300%の範囲の平衡膨潤性を有し、そして約1〜約120日後に組織管内で分解するサブユニットを含む上記方法。
【請求項46】
第1の交差結合可能な成分が多数の求核性基を含み、そして第2の重合体が多数の求電子性基を含む請求項45記載の方法。
【請求項47】
患者の身体内の標的部位における出血を抑制するための方法であって、方法が出血を抑制するために十分な量において標的部位に組成物を送達することを含み、組成物が下記成分:
第1の交差結合可能な成分;
反応を可能とする条件下で第1の交差結合可能な成分と交差結合する第2の交差結合可能な成分;および、
ヒドロゲル形成成分;
を含み、
ここで第1および第2の交差結合可能な成分は交差結合して間隙を有する多孔性マトリックスを形成し、そしてヒドロゲル形成成分は水和されて間隙の少なくとも一部を充填するヒドロゲルを形成することができ、ヒドロゲルは完全に水和されると約0.05mm〜約5mmの範囲の大きさを有し、約400%〜約1300%の範囲の平衡膨潤性を有し、そして約1〜約120日後に組織管内で分解するサブユニットを含む上記方法。
【請求項48】
第1の交差結合可能な成分が多数の求核性基を含み、そして第2の交差結合可能な成分が多数の求電子性基を含む請求項47記載の方法。
【請求項49】
患者の身体内の標的部位に生物活性物質を送達するための方法であって、方法が標的部位に生物活性物質と組み合わせて組成物を送達することを含み、組成物が下記成分:
第1の交差結合可能な成分;
反応を可能とする条件下で第1の交差結合可能な成分と交差結合する第2の交差結合可能な成分;および、
ヒドロゲル形成成分;
を含む組成物を含み、
ここで第1および第2の交差結合可能な成分は交差結合して間隙を有する多孔性マトリックスを形成し、そしてヒドロゲル形成成分は水和されて間隙の少なくとも一部を充填するヒドロゲルを形成することができ、ヒドロゲルは完全に水和されると約0.05mm〜約5mmの範囲の大きさを有し、約400%〜約1300%の範囲の平衡膨潤性を有し、そして約1〜約120日後に組織管内で分解するサブユニットを含む上記方法。
【請求項50】
第1の交差結合可能な成分が多数の求核性基を含み、そして第2の交差結合可能な成分が多数の求電子性基を含む請求項49記載の方法。
【請求項51】
生物活性物質が止血剤である請求項49記載の方法。
【請求項52】
生物活性物質がトロンビンである請求項49記載の方法。
【請求項53】
組織における標的部位に膨潤可能な組成物を送達するための方法であって、方法は標的部位に組成物を適用することを含み、組成物は下記成分:
第1の交差結合可能な成分;
反応を可能とする条件下で第1の交差結合可能な成分と交差結合する第2の交差結合可能な成分;および、
ヒドロゲル形成成分;
を含み、
ここで第1および第2の交差結合可能な成分は交差結合して間隙を有する多孔性マトリックスを形成し、そしてヒドロゲル形成成分は水和されて間隙の少なくとも一部を充填するヒドロゲルを形成することができ、ヒドロゲルは完全に水和されると約0.05mm〜約5mmの範囲の大きさを有し、約400%〜約1300%の範囲の平衡膨潤性を有し、そして約1〜約120日後に組織管内で分解するサブユニットを含み、組成物は標的部位への適用時にはその平衡膨潤性よりも低値において水和しており、その部位において平衡膨潤値まで膨潤する上記方法。
【請求項54】
第1の交差結合可能な成分が多数の求核性基を含み、そして第2の交差結合可能な成分が多数の求電子性基を含む請求項53記載の方法。
【請求項55】
標的部位が筋肉、皮膚、上皮組織、結合または支持組織、神経組織、眼および他の感覚器官の組織、血管および心臓の組織、胃腸の臓器および組織、胸膜および他の肺の組織、腎臓、内分泌腺、雄性および雌性の生殖器官、脂肪組織、肝臓、膵臓、リンパ、軟骨、骨、口腔組織、および粘膜組織、および脾臓および他の腹部の臓器よりなる群から選択される組織中にある請求項53記載の方法。
【請求項56】
標的部位が選択された組織内部の空隙領域である請求項55記載の方法。
【請求項57】
空隙領域が組織のくぼみ、組織管、椎骨間空間、および体腔よりなる群から選択される請求項56記載の方法。
【請求項58】
ヒドロゲルが平衡膨潤時の水和の50%〜95%の範囲の水和度を有する請求項53記載の方法。
【請求項59】
ヒドロゲルが可塑剤を含む請求項53記載の方法。
【請求項60】
可塑剤がポリエチレングリコール、ソルビトールおよびグリセロールよりなる群から選択される請求項59記載の方法。
【請求項61】
可塑剤がヒドロゲル成分の組成物の0.1重量%〜30重量%において存在する請求項59記載の方法。
【請求項62】
ヒドロゲルが交差結合タンパク質ヒドロゲルを含む請求項45〜61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
タンパク質がゼラチン、可溶性コラーゲン、アルブミン、ヘモグロビン、フィブロジェン、フィブリン、カゼイン、フィブロネクチン、エラスチン、ケラチン、ラミニン、およびこれらの誘導体および組み合わせよりなる群から選択される請求項62記載の方法。
【請求項64】
ヒドロゲルが交差結合多糖類を含む請求項45〜61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
多糖類がグリコサミノグリカン、澱粉誘導体、セルロース誘導体、ヘミセルロース誘導体、キシラン、アガロース、アルギネート、およびキトサンおよびこれらの組み合わせよりなる群から選択される請求項64記載の方法。
【請求項66】
ヒドロゲルが交差結合非生物重合体である請求項45〜61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
交差結合非生物重合体がポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニル樹脂、ポリアクチド−グリコリド、ポリカプロラクトン、ポリオキシエチレン、およびこれらの組み合わせよりなる群から選択される請求項66記載の方法。
【請求項68】
ヒドロゲルが交差結合タンパク質、交差結合多糖類、および交差結合非生物重合体よりなる群から選択される少なくとも2つの成分を含む請求項45〜61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
ヒドロゲルがヒドロゲル重合体およびヒドロゲル交差結合剤を含み、ここでヒドロゲル重合体およびヒドロゲル交差結合剤はヒドロゲル重合体分子の交差結合をもたらす条件下で反応されている請求項45〜61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
ヒドロゲルがヒドロゲル重合体分子の交差結合をもたらす条件下の照射により生成されているヒドロゲルの分子交差結合ヒドロゲル重合体を含む請求項45〜61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
ヒドロゲルがヒドロゲル重合体分子の交差結合をもたらす条件下のモノ不飽和および多不飽和のヒドロゲル単量体の反応により生成されている分子交差結合ヒドロゲルを含む請求項45〜61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
下記工程:
求核性基m個を含有する第1の交差結合可能な成分および求電子性基n個を含有する第2の交差結合可能な成分を提供すること、ここで求電子性基は求核性基と反応してそれとの共有結合を形成し、ここでmおよびnは各々2以上であり、そしてここでm+nは5以上であること;
第1の交差結合可能な成分および第2の交差結合可能な成分を組み合わせること;
第1の交差結合可能な成分および第2の交差結合可能な成分にヒドロゲル形成成分を添加すること;
第1の交差結合可能な成分および第2の交差結合可能な成分を相互に交差結合させて3次元マトリックスを形成すること;
を含む3次元合成重合体マトリックスを形成する方法。
【請求項73】
第1の組織表面および第2の組織表面を第1の交差結合可能な成分、第2の交差結合可能な成分、およびヒドロゲル形成成分に接触させることをさらに含む請求項72記載の方法。
【請求項74】
第2の表面が天然の組織表面である請求項73記載の方法。
【請求項75】
第2の表面が非天然の組織表面である請求項73記載の方法。
【請求項76】
非天然の組織表面が合成インプラントである請求項75記載の方法。
【請求項77】
合成インプラントがドナー角膜、人工血管、心臓弁、人工臓器、結合補綴物、インプラント可能なレンズ核、血管移植片、ステント、およびステント/移植片の組み合わせよりなる群から選択される請求項76記載の方法。
【請求項78】
第1の交差結合可能な成分、第2の交差結合可能な成分、およびヒドロゲル形成成分が第1の組織表面において粉末形態において各々適用される請求項72記載の方法。
【請求項79】
第1の交差結合可能な成分、第2の交差結合可能な成分、およびヒドロゲル形成成分が第1の組織表面において単一の複合化混合粉末製剤における粉末として各々適用される請求項72記載の方法。
【請求項80】
混合粉末製剤がさらにタンパク質または多糖類を含む請求項79記載の方法。
【請求項81】
第1の組織表面が硬組織または軟組織の上または中にある請求項72記載の方法。
【請求項82】
第1の組織表面が外科的部位を含むか、包囲するか、またはそれに隣接しており、そしてさらに外科的部位を閉鎖する工程を含む請求項72記載の方法。
【請求項83】
混合粉末製剤がさらにコラーゲンを含む請求項72記載の方法。
【請求項84】
混合粉末製剤がさらに生物活性剤を含む請求項72記載の方法。
【請求項85】
下記成分:
多数の求核性基を含む第1の交差結合可能な成分であって、粉末形態の第1の交差結合可能な成分;
多数の求電子性基を含む第2の交差結合可能な成分であって、粉末形態の第2の交差結合可能な成分;および、
粉末形態のヒドロゲル形成成分;
を含む混合粉末組成物であって、ここで反応を可能にする条件下において第1および第2の交差結合可能な成分が実質的に即時に交差結合できる上記組成物。
【請求項86】
第2の交差結合可能な成分に添加された第1の交差結合可能な成分が複合化された交差結合可能な成分の組成物を与え、そして第1の交差結合可能な成分が複合化された交差結合可能な成分の組成物の約0.5〜約20重量%の範囲の濃度において存在する請求項85記載の混合粉末組成物。
【請求項87】
第2の交差結合可能な成分に添加された第1の交差結合可能な成分が複合化された交差結合可能な成分の組成物を与え、そして第2の交差結合可能な成分が複合化された交差結合可能な成分の組成物の約0.5〜約20重量%の範囲の濃度において存在する請求項85記載の混合粉末組成物。
【請求項88】
第1の交差結合可能な成分の第2の交差結合可能な成分に対する重量比が約45%〜約55%の範囲にある請求項85記載の混合粉末組成物。
【請求項89】
第1の交差結合可能な成分の第2の交差結合可能な成分に対する重量比が約50%である請求項85記載の混合粉末組成物。
【請求項90】
第1およびの第2の交差結合可能な成分とヒドロゲル形成成分との間の重量比が約28%w/w〜約42%w/wの範囲内にある請求項85記載の混合粉末組成物。
【請求項91】
第1およびの第2の交差結合可能な成分とヒドロゲル形成成分との間の重量比が約20%w/w〜約30%w/wの範囲内にある請求項85記載の混合粉末組成物。
【請求項92】
第2の交差結合可能な成分に添加された第1の交差結合可能な成分が複合化された交差結合可能な成分の組成物を与え、そして第1の交差結合可能な成分が複合化された交差結合可能な成分の組成物の約0.5〜約20重量%の範囲の濃度において存在する請求項91記載の混合粉末組成物。
【請求項93】
第2の交差結合可能な成分に添加された第1の交差結合可能な成分が複合化された交差結合可能な成分の組成物を与え、そして第2の交差結合可能な成分が複合化された交差結合可能な成分の組成物の約0.5〜約20重量%の範囲の濃度において存在する請求項91記載の混合粉末組成物。
【請求項94】
第1の交差結合可能な成分の第2の交差結合可能な成分に対する重量比が約45%〜約55%の範囲にある請求項91記載の混合粉末組成物。
【請求項95】
第1の交差結合可能な成分の第2の交差結合可能な成分に対する重量比が約50%である請求項91記載の混合粉末組成物。
【請求項96】
下記要素:
容器;および、
容器内に配置された混合粉末組成物であって、組成物が下記成分:
多数の求核性基を含む第1の交差結合可能な成分であって、粉末形態の第1の交差結合可能な成分;
多数の求電子性基を含む第2の交差結合可能な成分であって、粉末形態の第2の交差結合可能な成分;および、
粉末形態のヒドロゲル形成成分;
を含み、ここで反応を可能にする条件下において第1および第2の交差結合可能な成分が実質的に即時に交差結合できる上記組成物;
を含むキット。
【請求項97】
容器がシリンジ胴部およびシリンジプランジャー部を含む請求項96記載のキット。
【請求項98】
患者の出血標的部位に混合粉末組成物を適用するための書面による説明書をさらに含む請求項96のキット。
【請求項99】
混合粉末がさらに活性剤を含む請求項96のキット。
【請求項100】
活性剤がトロンビンを含む請求項99記載のキット。
【請求項101】
下記要素:
コラーゲンスポンジ;および、
スポンジ表面に固定化された混合粉末組成物を含むキットであって、混合粉末組成物が下記成分:
多数の求核性基を含む第1の交差結合可能な成分であって、粉末形態の第1の交差結合可能な成分;
多数の求電子性基を含む第2の交差結合可能な成分であって、粉末形態の第2の交差結合可能な成分;および、
粉末形態のヒドロゲル形成成分;
を含み、ここで反応を可能にする条件下において第1および第2の交差結合可能な成分が実質的に即時に交差結合できる、キット。
【請求項102】
下記成分:
天然のコラーゲン線維を含むコラーゲンスポンジ;および、
スポンジ表面に固定化された混合粉末組成物を含む組成物であって、混合粉末組成物が下記成分:
多数の求核性基を含む第1の交差結合可能な成分であって、粉末形態であり混合粉末の約10%を含む第1の交差結合可能な成分;
多数の求電子性基を含む第2の交差結合可能な成分であって、粉末形態であり混合粉末の約10%を含む第2の交差結合可能な成分;および、
粉末形態であり混合粉末の約80%を含むヒドロゲル形成成分;
を含み、ここで反応を可能にする条件下において第1および第2の交差結合可能な成分は実質的に即時に交差結合することにより間隙を有する多孔性マトリックスを形成することができ、そしてここでヒドロゲル形成成分は水和されて間隙の少なくとも一部を充填するヒドロゲルを形成することができる、組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2009−545405(P2009−545405A)
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523045(P2009−523045)
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【国際出願番号】PCT/US2007/074984
【国際公開番号】WO2008/016983
【国際公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【出願人】(501453189)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (289)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【国際出願番号】PCT/US2007/074984
【国際公開番号】WO2008/016983
【国際公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【出願人】(501453189)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (289)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
【Fターム(参考)】
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