説明

性能統計情報出力システム、性能統計情報出力方法およびプログラム

【課題】 対象装置の性能統計情報をリアルタイム画面出力およびファイル出力を行う場合に、対象装置に対するI/O負荷増大防止とファイル出力量増大防止とを実現し、画面出力周期が非常に短い場合にも、画面出力およびファイル出力の処理を可能とする。
【解決手段】 情報取得手段21は周辺装置10から性能情報を取得し第1の性能情報記憶部22に格納する。第2の性能情報記憶部23aには画面出力周期で第1の性能情報取得時の前回に取得した第2の性能情報を、第3の性能情報記憶部23bにはファイル出力周期で第1の性能情報取得時の前回に取得した第3の性能情報を、それぞれ格納しておく。第1の性能統計情報算出手段25aは第1および第2の性能情報から性能統計情報を算出して出力装置30に画面出力する。第2の性能統計情報算出手段25bは第1および第3の性能情報から性能統計情報を算出して記録装置40にファイル出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は性能統計情報出力システム、性能統計情報出力方法およびプログラムに関し、特に、対象装置から性能情報を収集し、この性能情報から算出した性能統計情報を出力する性能統計情報出力システム、性能統計情報出力方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
周辺装置の性能をあらかじめ定められた周期で測定し統計処理した後に統計情報貯蔵部に保存することが、たとえば特許文献1に記載されている。性能統計情報を画面出力することも従来から行われている。
【0003】
周辺装置からの性能情報収集周期はごく短い周期、たとえば、数秒〜1分の周期で行われる。リアルタイムで性能情報を監視するために画面上に出力する性能統計情報は周辺装置からの性能情報収集周期と同じ周期で算出される。
【0004】
リアルタイム画面表示とファイル出力とを一つのプログラムとして実現することも可能であったが、リアルタイム監視周期が非常に短い場合、1周期で全てを処理しきれないという問題があった。このため、リアルタイム表示とファイル出力とは一つのプログラムではなく、非同期に動作するプログラムとして実現することが望ましい。
【0005】
また、ファイルへの性能統計情報出力を周辺装置からの性能情報収集周期と同じ周期で行うと、蓄積される性能統計情報が膨大な量となってしまう。これを防止するためには、ファイル出力周期は性能情報取得周期よりも十分大きくする必要があった。
【0006】
画面上に出力するための性能統計情報算出とファイルへ出力するための性能統計情報算出とをそれぞれ別のプログラムから非同期に実行する場合、性能情報をそれぞれのプログラムで非同期に取得すると、周辺装置に対するI/O負荷が増大する。従って、性能情報取得はどちらか一方のプログラム上から行えることが望ましい。
【0007】
【特許文献1】特開平6−131219号公報(第2−3頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、対象装置の性能統計情報を画面出力およびファイル出力する場合に、画面出力用の性能情報とファイル出力用の性能情報とを対象装置から同期させて取得し、ファイルへの性能統計情報出力と画面への性能統計情報出力とを同期させて行うと、画像出力とファイル出力とで情報取得のタイミングが重複するときには1回のアクセスで双方の情報取得が可能となるのでI/O負荷が低減できるという利点がある反面、ファイルに蓄積される性能統計情報が膨大な量となるという問題点があった。また、リアルタイム監視周期が非常に短い場合、1周期で全てを処理しきれないという問題点もあった。
【0009】
一方、ファイルへの性能統計情報出力と画面への性能統計情報出力とを別のプログラムから非同期で実行する場合、性能情報をそれぞれのプログラムで非同期に対象装置から取得すると、双方が独立に情報を取得するため、対象装置に対するI/O負荷を低減することができないという問題点があった。
【0010】
本発明の目的は、対象装置の性能統計情報をリアルタイム画面出力およびファイル出力を行う場合に、対象装置に対するI/O負荷増大防止とファイル出力量増大防止とを実現し、また、リアルタイム監視周期が非常に短い場合であっても、画面出力およびファイル出力の処理を可能とする性能統計情報出力システム、性能統計情報出力方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の性能統計情報出力システムは、対象装置から性能情報を取得する情報取得手段と、取得した性能情報に基づいて性能統計情報を算出する複数の算出手段とを備え、
前記情報取得手段は前記複数の算出手段に供給するための性能情報を同期させて取得し、
前記複数の算出手段は性能統計情報を非同期で算出することを特徴とする。
【0012】
本発明の性能統計情報出力システムは、対象装置から性能情報を取得する情報取得手段と、
取得した第1の性能情報を格納する第1の記憶部と、
第1の周期で前記第1の性能情報取得時の前回に取得した第2の性能情報を格納する第2の記憶部と、
第2の周期で前記第1の性能情報取得時の前回に取得した第3の性能情報を格納する第3の記憶部と、
前記第1の性能情報と前記第2の性能情報とに基づいて第1の性能統計情報を算出する第1の算出手段と、
前記第1の性能情報と前記第3の性能情報とに基づいて第2の性能統計情報を算出する第2の算出手段とを備えたことを特徴としてもよい。
【0013】
本発明の性能統計情報出力システムは、前記情報取得手段は、前記第1の周期と前記第2の周期のうち短い方の周期と同一の周期で前記対象装置から性能情報を取得することを特徴としてもよい。
【0014】
本発明の性能統計情報出力システムは、前記情報取得手段は、前記第1の周期と前記第2の周期との公約数となる周期で前記対象装置から性能情報を取得することを特徴としてもよい。
【0015】
本発明の性能統計情報出力システムは、前記情報取得手段は、前記第1の周期と前記第2の周期との最大公約数となる周期で前記対象装置から性能情報を取得することを特徴としてもよい。
【0016】
本発明の性能統計情報出力システムは、前記第1の性能統計情報を出力する出力装置と、前記第2の性能統計情報を記録する記録装置とを備えたことを特徴としてもよい。
【0017】
本発明の性能統計情報出力システムは、前記第1の性能統計情報を画面出力する出力装置と、前記第2の性能統計情報をファイル蓄積する記録装置とを備えたことを特徴としてもよい。
【0018】
本発明の性能統計情報出力システムは、対象装置から性能情報を取得する情報取得手段と、第1〜第N+1(Nは整数)の記憶部と、第1〜第Nの算出手段と、出力装置と、第1〜第M(M=N−1)の記録装置とを備え、
第1の記憶部は取得した第1の性能情報を格納し、
第N(N≧2)の記憶部は第N−1の周期で前記第1の性能情報取得時の前回に取得した第Nの性能情報を格納し、
前記第Nの算出手段は第1の性能情報と第N+1の性能情報とに基づいて第Nの性能統計情報を算出し、
前記出力装置は第1の性能統計情報を出力し、
前記第Mの記録装置は第Nの性能統計情報を記録することを特徴としてもよい。
【0019】
本発明の性能統計情報出力システムは、前記情報取得手段は、第1〜第N−1の周期のうち最も短い周期と同一の周期で前記対象装置から性能情報を取得することを特徴としてもよい。
【0020】
本発明の性能統計情報出力システムは、前記情報取得手段は、第1〜第N−1の周期の公約数となる周期で前記対象装置から性能情報を取得することを特徴としてもよい。
【0021】
本発明の性能統計情報出力システムは、前記情報取得手段は、第1〜第N−1の周期の最大公約数となる周期で前記対象装置から性能情報を取得することを特徴としてもよい。
【0022】
本発明の性能統計情報出力方法は、対象装置から性能情報を取得し、取得した性能情報に基づいて複数の算出手段で性能統計情報を算出する性能統計情報出力方法であって、
前記複数の算出手段に供給するための性能統計情報を同期させて取得するステップと、
前記複数の算出手段が性能統計情報を非同期で算出するステップとを含むことを特徴とする。
【0023】
本発明の性能統計情報出力方法は、対象装置から性能情報を取得するステップと、
取得した第1の性能情報を第1の記憶部に格納するステップと、
第1の周期で前記第1の性能情報取得時の前回に取得した第2の性能情報を第2の記憶部に格納するステップと、
第2の周期で前記第1の性能情報取得時の前回に取得した第3の性能情報を第3の記憶部に格納するステップと、
前記第1の性能情報と前記第2の性能情報とに基づいて第1の性能統計情報を算出するステップと、
前記第1の性能情報と前記第3の性能情報とに基づいて第2の性能統計情報を算出するステップと、
前記第1の性能統計情報を出力装置に出力するステップと、
前記第2の性能統計情報を記録装置に記録するステップとを備えたことを特徴としてもよい。
【0024】
本発明の性能統計情報出力方法は、対象装置から性能情報を取得するステップと、
取得した第1の性能情報を第1の記憶部に格納するステップと、
第N(Nは整数)の周期で前記第1の性能情報取得時の前回に取得した第N+1の性能情報を第N+1の記憶部に格納するステップと、
第1の性能情報と第N+1の性能情報とに基づいて第Nの性能統計情報を算出するステップと、
第1の性能統計情報を出力装置に出力するステップと、
第N(N≧2)の性能統計情報を第M(M=N−1)の記録装置に記録するステップとを備えたことを特徴としてもよい。
【0025】
本発明のプログラムは、性能統計情報を算出する複数の算出手段に供給するための性能情報を対象装置から同期させて取得する処理と、
前記複数の算出手段によって複数の性能統計情報を非同期で算出する処理とをコンピュータに実行させる。
【0026】
本発明のプログラムは、対象装置から性能情報を取得する処理と、
取得した第1の性能情報を第1の記憶部に格納する処理と、
第1の周期で前記第1の性能情報取得時の前回に取得した第2の性能情報を第2の記憶部に格納する処理と、
第2の周期で前記第1の性能情報取得時の前回に取得した第3の性能情報を第3の記憶部に格納する処理と、
前記第1の性能情報と前記第2の性能情報とに基づいて第1の性能統計情報を算出する処理と、
前記第1の性能情報と前記第3の性能情報とに基づいて第2の性能統計情報を算出する処理と、
前記第1の性能統計情報を出力装置に出力する処理と、
前記第2の性能統計情報を記録装置に記録する処理とをコンピュータに実行させるようにしてもよい。
【0027】
本発明のプログラムは、対象装置から性能情報を取得する処理と、
取得した第1の性能情報を第1の記憶部に格納する処理と、
第N(Nは整数)の周期で前記第1の性能情報取得時の前回に取得した第N+1の性能情報を第N+1の記憶部に格納する処理と、
第1の性能情報と第N+1の性能情報とに基づいて第Nの性能統計情報を算出する処理と、
第1の性能統計情報を出力装置に出力する処理と、
第N(N≧2)の性能統計情報を第M(M=N−1)の記録装置に記録する処理とをコンピュータに実行させるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、複数の性能統計情報を算出するための性能情報を同期させて対象装置から取得し、複数の性能統計情報を非同期で算出するため、対象装置の性能統計情報をリアルタイム画面出力およびファイル出力を行う場合に、対象装置に対するI/O負荷増大防止とファイル出力量増大防止とを実現し、また、リアルタイム監視周期が非常に短い場合であっても、画面出力およびファイル出力の処理を可能とするという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の第1の実施の形態のシステム構成図である。第1の実施の形態は周辺装置10、データ処理装置20、出力装置30、記録装置40を含む。
【0030】
周辺装置10は、性能情報収集対象となる装置である。周辺装置10の一例としてはディスクアレイがある。収集する性能情報としては、たとえば、秒あたりのI/O数、転送データ量、応答時間などである。
【0031】
データ処理装置20は、情報取得手段21、第1の性能情報記憶部22、第2の性能情報記憶部23a、第3の性能情報記憶部23b、第1の性能統計情報算出手段25a、第2の性能統計情報算出手段25bを含む。情報取得手段21は周辺装置10から一定の周期(時間間隔)で性能情報を取得する。第1の性能情報記憶部22は情報取得手段21により収集された周辺装置10の最新の性能情報が格納される。第2の性能情報記憶部23aには、画面出力用の性能統計情報集計周期で前回収集された性能情報が格納され、第1の性能情報記憶部22とともに、第1の性能統計情報算出手段25aにて性能統計情報を算出するために使用される。
【0032】
第3の性能情報記憶部23bには、ファイル出力用の性能統計情報集計周期で前回収集された性能情報が格納され、第1の性能情報記憶部22とともに、第2の性能統計情報算出手段25bにて性能情報を算出するために使用される。
【0033】
第1の性能統計情報算出手段25aは、最新の情報が格納されている第1の性能情報記憶部22と第2の性能情報記憶部23aに格納された性能情報の差分を計算することにより、第2の性能情報記憶部23aの性能情報が取得された時間から、第1の性能情報記憶部22の性能情報が取得された時間までの性能統計情報を算出する。
【0034】
第2の性能統計情報算出手段25bは第1の性能情報記憶部22と第3の性能情報記憶部23bに格納された性能情報の差分を計算することにより、第3の性能情報記憶部23bの性能情報が取得された時間から、第1の性能情報記憶部22の性能情報が取得された時間までの性能統計情報を算出する。
【0035】
出力装置30は、第1の性能統計情報算出手段25aで算出された性能統計情報を画面に表示するための装置である。
【0036】
記録装置40は、第2の性能統計情報算出手段25bで算出された性能統計情報をファイルに蓄積記録するための装置である。
【0037】
次に、第1の実施の形態の動作について説明する。図2は第1の実施の形態の動作を示すフローチャートである。リアルタイム画面出力処理とファイル出力処理は、非同期に、周辺装置10からの性能情報収集周期ごとに一連の動作ステップを実行する。
【0038】
まず、情報取得手段21は、周辺装置10より性能情報の取得を行う(ステップA1)。
【0039】
情報取得手段21は、取得した性能情報を第1の性能情報記憶部22へ格納する(ステップA2)。
【0040】
第1の性能統計情報算出手段25aは、第2の性能情報記憶部23aに性能情報が存在するか否かの判定を行う(ステップA3)。
【0041】
ステップA3で性能情報が存在する場合は、第1の性能統計情報算出手段25aは、第1の性能情報記憶部22と第2の性能情報記憶部23aの性能情報の差分から性能統計情報を算出し(ステップA4)、出力装置30への性能統計情報の出力を行う(ステップA5)。
【0042】
ステップA3で性能情報が存在しない場合は、第1の性能統計情報算出手段25aは、何も処理を行わず、ステップA6に処理を移す。
【0043】
第1の性能統計情報算出手段25aは、第1の性能情報記憶部22に格納されている性能情報を第2の性能情報記憶部23aに複写する処理を行い(ステップA6)、ステップA1に戻り、周辺装置10からの情報取得時間を待つ。
【0044】
第2の性能統計情報算出手段25bは、記録装置40への性能統計情報出力を行う時刻か否かを判定する(ステップA7)。出力を行う場合はステップA8の処理を実行し、出力を行わない場合は、ステップA7に戻り、周辺装置10からの情報取得時間を待つ。
【0045】
ステップA8で、第2の性能統計情報算出手段25bは、第3の性能情報記憶部23bに性能情報が存在するか否かを判定する。性能情報が存在する場合は第1の性能情報記憶部22と第3の性能情報記憶部23bとに格納されている性能情報より性能統計情報の算出を行い(ステップA9)、算出した性能統計情報を記録装置40に出力する(ステップA10)。ステップA8で、第3の性能情報記憶部23bに性能情報が存在しない場合は第2の性能統計情報算出手段25bは何も処理を行わず、ステップA11に処理を移す。
【0046】
第2の性能統計情報算出手段25bは、第1の性能情報記憶部22の情報を第3の性能情報記憶部23bに複写し(ステップA11)、その後、ステップA7にもどり、周辺装置10からの情報取得時間を待つ。
【0047】
次に、具体例を用いて第1の実施の形態の動作を説明する。図3および図4は第1の実施の形態の具体例を説明するための動作説明図である。
【0048】
本具体例では周辺装置10からの性能情報収集周期が30秒である。出力装置30に出力する性能統計情報の算出に使用する性能情報の収集周期は、周辺装置10の性能情報収集周期と等しいため30秒である。記憶装置40に出力する性能統計情報の算出に使用する性能情報の収集周期は1分としている。
【0049】
0時0分30秒時点での状態を図3に示す。0時0分30秒に情報取得手段21が周辺装置10から性能情報を収集する。第1の性能情報記憶部22には新しく周辺装置10から取得した性能情報D2が情報取得手段21によって格納される。
【0050】
第2の性能情報記憶部23aおよび第3の性能情報記憶部23bには0時0分0秒に周辺装置10から収集された性能情報が格納されている。
【0051】
第1の性能統計情報算出手段25aは、第1の性能情報記憶部22に格納された性能情報D2と、前回の周辺装置10から収集された性能情報が格納されている第2の性能情報記憶部23aに格納されている情報D1との差分より性能統計情報D12を算出し、出力装置30に算出した情報を出力する。その後、第1の性能統計情報算出手段25aは、第1の性能情報記憶部22に格納されている性能情報D2を第2の性能情報記憶部23aに複写する。次回周辺装置10からの性能情報取得が発生した際は、第1の性能統計情報算出手段25aは、第2の性能情報記憶部23aの情報D2と、新たに周辺装置10から取得され、第1の性能情報記憶部22に格納される性能情報との間で性能統計情報の計算を行う。図3の場合、第3の性能情報記憶部23bに性能情報が格納された時間から記憶装置40に性能統計情報を出力する周期である1分にまだ満たないため、記憶装置40への性能統計情報出力は行われない。
【0052】
次に0時1分0秒時点での状態を図4に示す。第1の性能情報記憶部22には新しく周辺装置10から取得した性能情報D3が情報取得手段21によって格納される。第2の性能情報記憶部23aには前回周辺装置10から取得した性能情報D2が格納されている。第3の情報記憶部には、前回、記録装置40への出力周期で周辺装置10から取得した性能情報D1が格納されている。
【0053】
第1の性能統計情報算出手段25aは、第1の性能情報記憶部22に格納された性能情報D3と、前回の周辺装置10から収集された性能情報が格納されている第2の性能情報記憶部23aに格納されている性能情報D2との差分より性能統計情報D23を算出し、算出した性能統計情報D23を出力装置30に出力する。第2の性能統計情報算出手段25bは、第3の性能情報記憶部23bに性能情報が格納された時間から記憶装置40に性能統計情報を出力する周期である1分が経過したため、第1の性能情報記憶部22に格納されている性能情報D3と、第3の性能情報記憶部23bに格納されている性能情報D1との差分より性能統計情報D13を算出し、算出した性能統計情報D13を記録装置40に出力する。
【0054】
よって、出力装置30には30秒の間隔で取得した性能情報より算出された性能統計情報D23が、記録装置40には1分の間隔で取得した性能情報より算出された性能統計情報D13が出力される。
【0055】
本具体例において取得された性能情報として、累積I/O回数がD1:50回、D2:100回、D3:130回であったとする。出力装置30への出力周期が30秒、記録装置40への出力周期が60秒であるから、性能統計情報、すなわち秒あたりのI/O数は次のように算出される。
D13:(130−50)/60≒1.33[IOPS]
D23:(130−100)/30≒1.00[IOPS]
図5はこの場合に出力装置30に表示される画面例を示す図である。
【0056】
上述したように、本実施の形態では、性能情報取得周期は画面出力用性能情報取得周期とファイル出力用性能情報取得周期とのうち短い方と同一にするのが効率的である。ファイル出力用性能情報取得周期より画面出力用性能情報取得周期が短いので、性能情報取得周期は画面出力用性能情報取得周期に合わせることになる。
【0057】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図6は第2の実施の形態のシステム構成図である。第2の実施の形態は、図1に示す第1の実施の形態の構成に加えて、データ処理装置20が、第4の性能情報記憶部23c〜第N+1の性能情報記憶部23nおよび第3の性能統計情報算出手段25c〜第Nの性能統計情報算出手段25nを有する。つまり、性能情報記憶部をN+1(Nは整数)個、性能情報算出手段をN個、それぞれ有する。さらに記録装置40a〜記録装置40mと、記録装置をM(M=N−1)台有する。
【0058】
第4の性能情報記憶部23cには第3の性能統計情報算出手段25cが使用する性能情報が格納される。格納される性能情報は、記録装置40bへの出力用の性能統計情報集計周期で前回収集された性能情報である。
【0059】
第N+1の性能情報記憶部23nには、第Nの性能統計情報算出手段25nが使用する性能情報が格納される。格納される性能情報は、記録装置40mへの出力用の性能統計情報集計周期で前回収集された性能情報である。
【0060】
第3の性能統計情報算出手段25cは、第1の性能情報記憶部22と第4の性能情報記憶部23cに格納された性能情報の差分を計算することにより、第4の性能情報記憶部23cの性能情報が取得された時間から現在までの期間内の性能統計情報を算出する。
【0061】
第Nの性能統計情報算出手段25nは第1の性能情報記憶部22と第N+1の性能情報記憶部23nに格納された性能情報の差分を計算することにより、第N+1の性能情報記憶部23nの性能情報が取得された時間から現在までの期間内の性能統計情報を算出する。
【0062】
記録装置40bは第3の性能統計情報算出手段25cで算出された性能統計情報をファイルに蓄積記録するための装置である。
【0063】
記録装置40mは第Nの性能統計情報算出手段25nで算出された性能統計情報をファイルに蓄積記録するための装置である。
【0064】
次に、第2の実施の形態の動作について説明する。図7は第2の実施の形態の動作を示すフローチャートである。ステップB7からステップB11までを記録装置の個数分繰り返す点が図2に示す第1の実施の形態と異なる。図6のように性能統計情報をN箇所に出力する場合、性能情報記憶部をN+1個用意することにより、それぞれ異なる収集期間により収集された性能統計情報を算出することができる。
【0065】
本実施の形態では、性能情報取得周期は画面出力用性能情報取得周期と複数の記録装置への性能情報取得周期のうち最も短い周期と同一にするのが効率的である。一般には画面出力用性能情報取得周期が最も短いので、性能情報取得周期は画面出力用性能情報取得周期に合わせることになる。
【0066】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態の構成は図1に示す第1の実施の形態と同じである。図8は第3の実施の形態の動作を示すフローチャートである。図8を参照して第3の実施の形態の動作について説明する。
【0067】
図8のリアルタイム処理と、ファイル処理は非同期に周辺装置10からの性能情報収集周期ごとに一連の動作ステップを実行する。
【0068】
ステップA1〜A2、ステップA3〜A11は図2に示す第1の実施の形態のフローチャートと動作が同一のため、説明は省略する。ステップA2とステップA3の間にステップC1の処理を行う。
【0069】
ステップC1で、第1の性能統計情報算出手段25aは出力装置30への出力実行を行うか否かの判定を行う。出力装置30への出力実行を行う場合はステップA3の処理に進む。ステップC1で出力装置30への出力を行わない場合、ステップA1に戻り、周辺装置10からの情報取得時間を待つ。
【0070】
第3の実施の形態の具体例を説明する。60秒毎に性能統計情報を出力装置30の画面に表示し、90秒毎に記録装置40のファイルに性能統計情報を出力するシステムを想定する。この場合、2つの周期の最大公約数である30秒毎に周辺装置10からの性能情報取得を実施すれば2つの性能統計情報を得ることができる。
【0071】
第2の性能情報記憶部23a、第3の性能情報記憶部23bには0時0分0秒に収集した周辺装置10の性能情報が格納されているものとする。0時0分30秒時点で、情報取得手段21は周辺装置10から性能情報を取得し、第1の性能情報記憶部22へ性能情報を格納する。
この時点では出力装置30への出力実行のタイミングではないため、第1の性能統計情報算出手段25aはそのまま次の周辺装置10からの情報収集を待つ。また、記録装置40への出力実行のタイミングでもないため、第2の性能統計情報算出手段25bはそのまま次の周辺装置10からの情報収集を待つ。
【0072】
30秒後の0時1分0秒に情報取得手段21は周辺装置10から性能情報を取得し、第1の性能情報記憶部22へ性能情報を格納する。出力装置30への出力実行のタイミングであるため、第1の性能統計情報算出手段25aは第1の性能情報記憶部22と第2の性能情報記憶部23aより性能統計情報を算出し、出力装置30へ性能統計情報を出力する。出力後、第1の性能情報記憶部22の情報を第2の性能情報記憶部23aにコピーする。0時1分0秒時点では、記録装置40への出力実行のタイミングではないため、図8のステップA8からステップA11の処理は実行されない。
【0073】
さらに30秒後の0時1分30秒時点で情報取得手段21は周辺装置10から性能情報取得を行い、第1の性能情報記憶部22へ性能情報を格納する。出力装置30への出力タイミングではないため、図8のステップA3からステップA6の処理は実行されない。記録装置40への出力実行のタイミングであるので第2の性能統計情報算出手段25bは第1の性能情報記憶部22と第3の性能情報記憶部23bに格納されている性能情報から性能統計情報を算出し、記録装置40へ出力を行う。
【0074】
第3の実施の形態では、出力装置30への性能統計情報算出処理が周辺装置10からの性能情報収集周期とは異なる周期で実行される。第1の実施の形態では出力装置30への性能統計情報収集周期は周辺装置10から性能情報を収集する周期と同一のものであった。この場合、記録装置40の性能統計情報収集周期が出力装置30の性能統計情報収集周期の倍数ではない場合、周辺装置10からの性能情報取得のタイミングがずれてしまい、記録装置40へ出力する性能統計情報の算出をする時間に最新の周辺装置10の性能情報が取得されず、性能統計情報算出が不可能となる現象が発生する。第3の実施の形態の場合、周辺装置10からの性能収集周期を出力装置30および記録装置40の性能統計情報収集周期の最大公約数とすることにより、出力装置30および記録装置40への性能統計情報収集期間に制約は発生しない。周辺装置10からの性能収集周期は出力装置30および記録装置40の性能統計情報収集周期の公約数であればよいが、最大公約数とするのが効率的である。
【0075】
なお、第2の実施の形態に第3の実施の形態を組み合わせることも可能である。この場合、周辺装置10からの性能収集周期は出力装置30および複数の記録装置40〜40mの性能統計情報収集周期の公約数とする。最大公約数とするのが最も効率的である。
【0076】
本発明の第1〜第3の実施の形態の情報取得手段21、および各性能統計情報算出手段25a〜25nの動作はコンピュータ・プログラム処理により行わせることが可能である。すなわち、記録媒体に記録したプログラムをデータ処理装置20に読み込ませるか、あるいは、ネットワークからプログラムをデータ処理装置20に読み込ませて、第1〜第3の実施の形態で説明した動作を実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】第1の実施の形態のシステム構成図である。
【図2】第1の実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【図3】第1の実施の形態の具体例を説明するための動作説明図である。
【図4】第1の実施の形態の具体例を説明するための動作説明図である。
【図5】性能統計情報出力画面例を示す図である。
【図6】第2の実施の形態のシステム構成図である。
【図7】第2の実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【図8】第3の実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0078】
10 周辺装置
20 データ処理装置
21 情報取得手段
22 第1の性能情報記憶部
23a 第2の性能情報記憶部
23b 第3の性能情報記憶部
23c 第4の性能情報記憶部
23n 第N+1の性能情報記憶部
25a 第1の性能統計情報算出手段
25b 第2の性能統計情報算出手段
25c 第3の性能統計情報算出手段
25n 第Nの性能統計情報算出手段
30 出力装置
40 記録装置
40a 記録装置
40b 記録装置
40m 記録装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象装置から性能情報を取得する情報取得手段と、取得した性能情報に基づいて性能統計情報を算出する複数の算出手段とを備え、
前記情報取得手段は前記複数の算出手段に供給するための性能情報を同期させて取得し、
前記複数の算出手段は性能統計情報を非同期で算出することを特徴とする性能統計情報出力システム。
【請求項2】
対象装置から性能情報を取得する情報取得手段と、
取得した第1の性能情報を格納する第1の記憶部と、
第1の周期で前記第1の性能情報取得時の前回に取得した第2の性能情報を格納する第2の記憶部と、
第2の周期で前記第1の性能情報取得時の前回に取得した第3の性能情報を格納する第3の記憶部と、
前記第1の性能情報と前記第2の性能情報とに基づいて第1の性能統計情報を算出する第1の算出手段と、
前記第1の性能情報と前記第3の性能情報とに基づいて第2の性能統計情報を算出する第2の算出手段とを備えたことを特徴とする性能統計情報出力システム。
【請求項3】
前記情報取得手段は、前記第1の周期と前記第2の周期のうち短い方の周期と同一の周期で前記対象装置から性能情報を取得することを特徴とする請求項2記載の性能統計情報出力システム。
【請求項4】
前記情報取得手段は、前記第1の周期と前記第2の周期との公約数となる周期で前記対象装置から性能情報を取得することを特徴とする請求項2記載の性能統計情報出力システム。
【請求項5】
前記情報取得手段は、前記第1の周期と前記第2の周期との最大公約数となる周期で前記対象装置から性能情報を取得することを特徴とする請求項2記載の性能統計情報出力システム。
【請求項6】
前記第1の性能統計情報を出力する出力装置と、前記第2の性能統計情報を記録する記録装置とを備えたことを特徴とする請求項2、3、4または5記載の性能統計情報出力システム。
【請求項7】
前記第1の性能統計情報を画面出力する出力装置と、前記第2の性能統計情報をファイル蓄積する記録装置とを備えたことを特徴とする請求項2、3、4または5記載の性能統計情報出力システム。
【請求項8】
対象装置から性能情報を取得する情報取得手段と、第1〜第N+1(Nは整数)の記憶部と、第1〜第Nの算出手段と、出力装置と、第1〜第M(M=N−1)の記録装置とを備え、
第1の記憶部は取得した第1の性能情報を格納し、
第N(N≧2)の記憶部は第N−1の周期で前記第1の性能情報取得時の前回に取得した第Nの性能情報を格納し、
前記第Nの算出手段は第1の性能情報と第N+1の性能情報とに基づいて第Nの性能統計情報を算出し、
前記出力装置は第1の性能統計情報を出力し、
前記第Mの記録装置は第Nの性能統計情報を記録することを特徴とする性能統計情報出力システム。
【請求項9】
前記情報取得手段は、第1〜第N−1の周期のうち最も短い周期と同一の周期で前記対象装置から性能情報を取得することを特徴とする請求項8記載の性能統計情報出力システム。
【請求項10】
前記情報取得手段は、第1〜第N−1の周期の公約数となる周期で前記対象装置から性能情報を取得することを特徴とする請求項8記載の性能統計情報出力システム。
【請求項11】
前記情報取得手段は、第1〜第N−1の周期の最大公約数となる周期で前記対象装置から性能情報を取得することを特徴とする請求項8記載の性能統計情報出力システム。
【請求項12】
対象装置から性能情報を取得し、取得した性能情報に基づいて複数の算出手段で性能統計情報を算出する性能統計情報出力方法であって、
前記複数の算出手段に供給するための性能統計情報を同期させて取得するステップと、
前記複数の算出手段が性能統計情報を非同期で算出するステップとを含むことを特徴とする性能統計情報出力方法。
【請求項13】
対象装置から性能情報を取得するステップと、
取得した第1の性能情報を第1の記憶部に格納するステップと、
第1の周期で前記第1の性能情報取得時の前回に取得した第2の性能情報を第2の記憶部に格納するステップと、
第2の周期で前記第1の性能情報取得時の前回に取得した第3の性能情報を第3の記憶部に格納するステップと、
前記第1の性能情報と前記第2の性能情報とに基づいて第1の性能統計情報を算出するステップと、
前記第1の性能情報と前記第3の性能情報とに基づいて第2の性能統計情報を算出するステップと、
前記第1の性能統計情報を出力装置に出力するステップと、
前記第2の性能統計情報を記録装置に記録するステップとを備えたことを特徴とする性能統計情報出力方法。
【請求項14】
対象装置から性能情報を取得するステップと、
取得した第1の性能情報を第1の記憶部に格納するステップと、
第N(Nは整数)の周期で前記第1の性能情報取得時の前回に取得した第N+1の性能情報を第N+1の記憶部に格納するステップと、
第1の性能情報と第N+1の性能情報とに基づいて第Nの性能統計情報を算出するステップと、
第1の性能統計情報を出力装置に出力するステップと、
第N(N≧2)の性能統計情報を第M(M=N−1)の記録装置に記録するステップとを備えたことを特徴とする性能統計情報出力方法。
【請求項15】
性能統計情報を算出する複数の算出手段に供給するための性能情報を対象装置から同期させて取得する処理と、
前記複数の算出手段によって複数の性能統計情報を非同期で算出する処理とをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項16】
対象装置から性能情報を取得する処理と、
取得した第1の性能情報を第1の記憶部に格納する処理と、
第1の周期で前記第1の性能情報取得時の前回に取得した第2の性能情報を第2の記憶部に格納する処理と、
第2の周期で前記第1の性能情報取得時の前回に取得した第3の性能情報を第3の記憶部に格納する処理と、
前記第1の性能情報と前記第2の性能情報とに基づいて第1の性能統計情報を算出する処理と、
前記第1の性能情報と前記第3の性能情報とに基づいて第2の性能統計情報を算出する処理と、
前記第1の性能統計情報を出力装置に出力する処理と、
前記第2の性能統計情報を記録装置に記録する処理とをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項17】
対象装置から性能情報を取得する処理と、
取得した第1の性能情報を第1の記憶部に格納する処理と、
第N(Nは整数)の周期で前記第1の性能情報取得時の前回に取得した第N+1の性能情報を第N+1の記憶部に格納する処理と、
第1の性能情報と第N+1の性能情報とに基づいて第Nの性能統計情報を算出する処理と、
第1の性能統計情報を出力装置に出力する処理と、
第N(N≧2)の性能統計情報を第M(M=N−1)の記録装置に記録する処理とをコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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