説明

患者の腹膜腔から空気を除去するシステムおよび方法

本発明は腹膜透析接続装置を提供し得る。上記腹膜透析(「PD」)接続装置は、PD流体充填ラインに接続するための第1のコネクタと、第1のコネクタと流体連通する第2のコネクタであって、空気は通過させるが、流体は通過させないように構成される、フィルタを含む、第2のコネクタと、選択的にフィルタに曝露し、患者の腹膜内に捕捉された空気を大気中に放出させるように、手動で除去可能かつ第2のコネクタに再密閉可能な気密キャップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬剤治療に関し、特に、患者の腹膜腔からの空気の阻止および除去に関する。
【背景技術】
【0002】
腹膜透析(「PD」)治療または腹腔鏡下手技を受ける患者が被り得る問題の1つは、空気が患者の腹膜腔または気腹内に捕捉されることである。患者の腹膜腔内への空気の導入は、疼痛をもたらし得る。ガスは、患者の横隔膜に圧力を付与し、呼吸に影響を及ぼし得る。また、空気またはガス圧は、患者の横隔神経に圧力を付与し、痛感覚をもたし、患者の肩まで及び得る。
【0003】
患者に流入する空気源の1つは、溶液バッグラインからの空気である。空気は、例えば、治療のためのラインを接続する、出荷する、または接続する際、溶液バッグライン(ピグテールと呼ばれる場合もある)内に捕捉される。溶液バッグラインが、適切に空気抜きされない場合、捕捉された空気は、患者に流入し得る。これは、特に、より長いピグテールまたは溶液バッグラインの場合に当てはまる。故に、第1の必要性として、製造または療法上の設定の際、空気が患者ライン内に捕捉されるのを防止することが挙げられる。
【0004】
患者が、その腹膜腔内に捕捉された空気に曝される場合、患者の身体によってガスが吸収されるのを待機するというものである。そのような手技は、吸収される必要がある空気の量に応じて、数日かかり得る。したがって、別の必要性として、そのような状況が生じる場合、患者の身体によって、その空気容積を吸収されるのを待機する必要がないように、患者の腹膜腔から空気を迅速に除去することが挙げられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、空気が腹膜透析(「PD」)溶液バッグから延在するチューブまたはピグテールに流入するのを防止するために、複数の実施形態を提供する。また、療法上の結合に先立って、溶液バッグチューブから空気を除去するために、複数の実施形態が提供される。また、そのような捕捉が残念ながら生じる場合、患者の腹膜腔から空気を除去するための装置および方法も、本明細書に説明される。
【0006】
第1の実施形態では、U型または半円形短絡針を供給および排液バッグを同時に刺入または穿刺し、新しい溶液の一部を供給バッグから排液バッグに流動させ、供給および排液バッグラインの両方に呼び水を入れ、そこから空気を抜く、第1の位置を有する、自動接続デバイスが提供される。ラインはそれぞれ、電気機械的ピンチ弁等、閉塞弁を通して送り込まれる。ラインが穿刺されると、弁はそれぞれ、開放され、供給バッグおよびラインを排液バッグおよびラインと連通させ、供給ラインに呼び水を入れる。
【0007】
次に、閉塞弁が、閉鎖され、自動接続デバイスが、短絡針を閉鎖された供給および排液ラインから離れるように回転または別様に移動させる。次いで、自動接続デバイスは、患者の輸送セットを供給ラインに接続する。そのような切断および接続は、紫外線照射下で行われ、患者への最終供給接続の滅菌性を保証することが可能である。この時点で、療法を進めることが可能となる。
【0008】
第2の実施形態では、流体受容部またはリザーバが、供給ライン内にある流体と連通するように、供給ラインまたはピグテール上に留置される。受容部は、一実施形態では、供給ラインチューブ類と同一材料から成り、比較的に可撓性、強固、かつ弾性である。受容部は、コネクタまたはその近傍、あるいは供給ラインのバッグまたは容器端の反対側の供給ラインの遠位端に設置される。受容部またはリザーバは、一実施形態では、少なくとも略円形枕状である。
【0009】
リザーバは、患者がリザーバを押圧し、流体、したがって、流体内に捕捉された空気を供給バッグに向かって押出させることが可能であるように、流体によって充填される。患者がリザーバを解放すると、リザーバが再び押圧され、捕捉された空気を供給容器内へとさらに移動させることが可能なように、リザーバは、拡張し、新しい透析流体によって再び充填される。本手技は、患者が、空気がすべて、供給バッグに押動され、バッグの空気収集部分に収集されたと視覚的に判定するまで、繰り返される。供給ラインは、供給バッグおよび使い捨てポンプ式カセットのうちの少なくとも1つに事前に接続可能である。
【0010】
第3の実施形態では、自動接続デバイスは、供給ラインのコネクタ端および使い捨て空気トラップを保持する。自動接続デバイスは、(i)患者輸送セットを空気トラップの片側に、(ii)流体ラインを空気トラップの反対側に接続する。空気トラップは、一構成では、リザーバの底面近傍に設置される、流体入口を有する。供給流体が、リザーバに到達すると、流体内に混入する空気は、空気トラップ内に蓄積し、空気は、空気トラップ内において、垂直に上方に移動し、トラップまたはリザーバの垂直に隆起された空気収集領域内に排気される。
【0011】
一実施形態では、患者の輸送セットは、空気トラップに刺入される一方、空気トラップは、同時または事実上同時に、充填バッグラインに刺入される。ここでは、空気トラップは、自動接続デバイス内に挿入される、別個の使い捨て部品である。また、自動接続デバイスは、刺入のための消耗品を支持する役割を果たす。空気トラップを充填バッグと別個にすることによって、自動接続デバイスは、空気トラップを動作位置に保持し、充填バッグラインを自由に空気トラップへと移動させることが可能である。
【0012】
第4の実施形態では、供給バッグは、別個の充填チューブを含み、一方向弁が、供給バッグライン内に留置される。製造の際、充填バッグは、充填チューブから充填される。最終的に、供給流体は、供給バッグから、一方向弁を通して、供給バッグラインへと流動し、ラインに呼び水を入れ、そこから空気を抜く。一方向弁は、供給バッグラインが、空気抜きのために開放される間、非滅菌空気と接触するいかなる液体も、供給バッグ内に逆流するのを防止する。また、供給ラインからの流体は、バッグへと流動し、そのような空気を変位させることが不可能であるため、弁は、バッグ内の空気が供給ラインに流入するのを防止する。供給バッグラインに完全に呼び水が入れられ、空気が抜かれると、ラインにキャップが冠着され、供給バッグを使用可能状態にする。アセンブリ全体は、例えば、ガンマ照射または蒸気を使用して、滅菌可能である。
【0013】
第5の実施形態では、第4の実施形態と類似するが、供給チューブが、供給バッグに接続される前に、流体によって充填され、呼び水が入れられる。供給ラインは、その近位またはバッグ端に一方向弁を含む。ラインは、本端から充填される。一方向弁は、供給ラインがバッグに刺入される前に、流体が充填端から流出するのを防止するが、使用の際、新しい透析を供給チューブから供給ラインを通して流動させる。チューブは、流体によって充填されるため、空気がチューブに流入する余地はない。弁は、チューブ内に常駐する流体がバッグ内に逆移動し、チューブ内に空気が潜在的に流入する余地ができるのを防止する。供給ラインの遠位または患者端は、供給ラインに完全に呼び水が入れられると、キャップが冠着される。次いで、供給ラインの近位端は、バッグに刺入される。一実施形態では、バッグおよび充填ライン全体は、供給ラインがバッグに刺入された後に滅菌される。
【0014】
第6の実施形態では、供給ラインは、供給バッグへのその接続に先立って、二酸化炭素(「CO」)ガスによって充填され、供給バッグラインから空気が抜かれる。COは、空気より重く、したがって、供給チューブからの空気を不活性化する、または空気抜きするために好適である。また、COガスは、人体になじみのあるものである。患者は、容易にCOガスを吸収し、患者の肺を通して、それを排出する。供給チューブの遠位(患者)および近位(バッグ針)端の両方に、キャップが冠着される。針キャップが除去され、供給バッグに刺入される。供給バッグおよび供給ラインは、接続後に滅菌される。
【0015】
第7の実施形態では、Yコネクタが、供給ラインの遠位または患者端に提供される。Yコネクタの分岐の1つは、疎水性膜と嵌着される。一方向または逆止弁は、供給ラインの近位端に提供される。供給バッグを製造し、バッグを新しい透析液によって充填後、空気が、供給ライン内に捕捉される場合がある。Yコネクタ端に嵌着された疎水性膜は、供給ラインから空気を逃出させるが、流体は逃出させない。疎水性弁は、必要に応じて、キャップを冠着および脱冠可能である。
【0016】
供給バッグは、供給バッグから下方に延在する供給ラインによって、垂直に懸架される。供給バッグ内の新しい透析液は、供給ライン内の流体を下方に押圧し、Yコネクタのバッグ上の疎水性膜を介して、供給ラインを通して、かつそこから気孔を付勢する。一方向弁は、空気が供給ラインおよび供給バッグ内へと上方に移動するのを防止する。Yコネクタの疎水性嵌着は、空気抜きが完了すると、キャップが冠着される。
【0017】
第8の実施形態では、患者の輸送セットが、同様に、患者から空気は抜くが、流体は流出させない、疎水性フィルタを有するコネクタと嵌合される。キャップは、疎水性膜を被覆するように提供される。患者がその腹膜内に空気を感じると、患者は、仰向けになり、カテーテルの流出点に向かって、空気を蓄積させる。患者は、気密キャップを除去し、疎水性膜を介して、腹膜内の空気を逃出させる。次いで、患者は、不快感が治まった後、気密キャップを交換する。一実施形態では、患者のカテーテルは、カテーテルの流出点(患者内の胃壁近傍)近傍に穿孔または孔を含む。孔または穿孔によって、腹膜内に捕捉された空気は、孔を介して、カテーテル内に流動し、流体および疎水性膜を通して、大気中へと進行可能となる。
【0018】
故に、上述の実施形態に照らして、本開示の利点は、供給バッグおよび患者ラインの製造時、供給バッグから空気を除去する、または空気がラインに流入するのを防止するための種々の実施形態を提供することである。
【0019】
本開示の別の利点は、患者の輸送セットへの供給ラインの接続時、供給バッグラインから空気を除去する、または空気がラインに流入するのを防止するための種々の実施形態を提供することである。
【0020】
本開示のさらなる利点は、患者自動接続デバイス(「PAC」)と協働する、供給バッグラインから空気を除去するための種々の実施形態を提供することである。
【0021】
本開示のさらに別の利点は、患者の腹膜腔内に捕捉された空気を除去するための装置および方法を提供することである。
【0022】
追加的な特徴および利点を本明細書に記載するが、それらは以下の発明を実施するための形態および図面から明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1Aおよび1Bは、充填容器からの空気を排液管に送達させる短絡コネクタを有する、患者自動接続(「PAC」)システムであって、患者の輸送セットを供給ラインにも接続する、PACシステムの一実施形態を例証する概略立面図であって、図1Aおよび1Bは、2つの異なる状態におけるPACシステムを示す。
【図2】図2は、供給流体が患者に送達される前に、患者がリザーバを圧搾し、薬剤およびその中に含有されるいかなる空気も充填容器ラインおよび充填バッグ内に押上可能なように、流体を受容するように構成されるリザーバを有する、充填容器および充填容器ラインの一実施形態を示す、側面立面図である。
【図3】図3は、供給流体が患者に送達される前に、空気トラップが、貯留された供給流体から空気を収集可能なように、充填バッグラインと患者輸送セットとの間に位置付けられる空気トラップを有する、PACデバイスの一実施形態の側面立面図である。
【図4】図4は、一方向または逆止弁を介して、供給流体ラインに接続される、充填チューブ入口および供給流体出口を有する、充填バッグの一実施形態の側面立面図であって、本構成は、空気が供給ラインを介して患者に送達されるのを防止する空気トラップとして、充填容器を作用させる。
【図5】図5は、患者に空気を送達しないように、事前に呼び水が入れられ、キャップが冠着された供給チューブに接続される、溶液バッグの一実施形態の立面図である。
【図6】図6Aから6Dは、図5に例証される実施形態と併用される、患者の供給ラインに呼び水を入れる際の異なるステップを例証する。
【図7】図7は、空気より重く、したがって、供給ラインから空気を容易に抜く、二酸化炭素(「CO」)等の生理学的に安全なガスによって空気抜きされた患者供給ラインに接続される、供給バッグの一実施形態の側面立面図である。
【図8】図8は、患者の供給ラインから気泡を抜くために、疎水性弁に対してY接続を有する、患者の供給ラインに接続される、供給容器の一実施形態の側面立面図である。
【図9】図9は、腹膜透析治療の際、患者に患者の腹膜から空気を抜かせるための疎水性通気孔を有する、患者輸送セットの一実施形態の側面立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、図面、特に、図1Aおよび1Bを参照すると、患者自動接続(「PAC」)システム10は、患者のそのようなラインへの接続に先立って、患者の供給または充填ラインから空気を除去するための一実施形態を例証する。PACシステム10は、供給ラインが空気抜きおよび滅菌された後、患者の輸送セットが、充填または供給ラインに自動的に接続可能な位置に、構成要素を自動的に回転または反転させるように動力化される、筐体12を含む。代替として、筐体12は、供給ラインが空気抜きおよび滅菌された後、患者の輸送セットが、充填または供給ラインに自動的に接続可能な位置に、患者に構成要素を機械的に回転または反転させるように構成される。システム10と併用するために修正可能な自動かつ機械的に回転可能PACシステムのための種々の実施形態は、2007年7月5日出願の米国特許出願第11/773,750号(「第’750号出願」)「Dialysis System Having Supply Container Autoconnection」、特に、図12、13Aから13I、14、および関連文(自動)、ならびに2007年7月5日出願の米国特許出願第11/773,795号「Dialysis System Having Dual Patient Line Connection And Prime」、特に、図15Aから15E、および関連文(手動)に開示されている。参照される出願はそれぞれ、本開示の譲受人に譲渡されるものであって、参照することによって、明示的に本明細書に組み込まれる。
【0025】
システム10によって呼び水を入れるステップは、滅菌プロセスを受ける間に行うことが可能である。一実施形態では、滅菌は、紫外線(「UV」)照射を介して行われる。上述に組み込まれる第’750号出願は、UV照射器をPACデバイスと組み合わせるための一好適な実施形態について論じている。
【0026】
筐体12は、充填バッグ閉塞弁14aと、排液バッグ閉塞弁14bと、を含む。筐体12は、所望に応じて、金属またはプラスチックであり得る。弁14aおよび14bは、一実施形態では、通常、閉鎖され、例えば、バネ閉鎖され、励起開放され、かつ電気的に作動される。代替実施形態では、弁14aおよび14bは、空気圧によって操作される。弁14aは、充填容器18aに接続される、充填ライン16aを受容するように、筐体12内に位置付けおよび配列される。順に、閉塞弁14bは、排液バッグ18bに流動的に接続される、排液バッグライン16bを受容する。
【0027】
本明細書に説明される実施形態のいずれの場合も、充填バッグは、ポリ塩化ビニル(「PVC」)等の好適な医療級材料から成り得る。同様に、チューブ類16aおよび16bも、PVC等の同一または異なる医療級材料から成り得る。各チューブ16aおよび16bは、それぞれ、穿刺可能キャップ20aおよび20bで終端する。キャップ20aおよび20bはそれぞれ、刺入されるまで、チューブ類16aまたは16b内に流体を保持し、刺入に応じて、短絡針またはコネクタ22を介して、滅菌接続される、刺入可能または穿刺可能膜(図示せず)と嵌着される。
【0028】
筐体12は、短絡針22が、平行移動し、キャップ20aおよび20bの両方の穿刺可能膜を同時に穿通可能なように、キャップ20aおよび20bと相対的位置に短絡針22を保持する。ある実施形態における短絡針22は、アクリルまたはクロロトリフルオロエチレン(「CTFE」)等の好適な可撓性または剛性医療級プラスチックから成る。短絡針22は、図示されるように、略「U字型」を有する、または代替として、「V字型」を有し、別様に、所望に応じて、円唇状にされる、または直線部品を有し得る。
【0029】
また、筐体12は、最初は、キャップ26を介して冠着される、患者輸送セット24を保持する。順に、患者輸送セット24は、患者の腹膜腔内に挿入されるカテーテル(図示せず)へとつながる、患者ライン28に接続される。患者ライン28は、充填ライン16aおよび排液ライン16bの場合の上述の材料のうちの1つによって成り得る。
【0030】
動作時、それぞれ、非閉塞キャップ20aおよび20bを有するチューブ16aおよび16bは、筐体12内に位置付けられる。次いで、閉塞弁14aおよび14bは、閉鎖され(例えば、動力源を断つ)、それぞれ、ライン16aおよび16bを挟持する。次いで、短絡針22は、キャップ20aおよび20bを密閉する膜を穿通するように、機械的に、または手動で、平行移動される。キャップ20aおよび20bへの短絡針22の接続は、接続されると、チューブ類16aおよび16bのキャップまたは一部が、短絡針22端に密閉され、かつ液体が、充填ライン16aまたは排液ライン16bから、短絡針22の周囲および筐体10内に逃出不可能であるように行われる。密閉接続が行われ、閉塞弁14aおよび14bが開放されると、透析流体は、供給バッグ18aから、供給ライン16a、コネクタ20a、短絡針22、コネクタ20b、および排液ライン16bを通って、排液バッグ18bに流動可能となる。そのような作用は、供給ライン16a内のいかなる空気も排液バッグ18bへと押動させる。供給ライン16aが、十分に空気抜きされると、閉塞弁14aおよび14bは、閉鎖される。
【0031】
UV照射は、一実施形態では、コネクタ20aおよび20bへの短絡針22の刺入動作の直前かつその間に行われる。そのようなタイミングは、コネクタ20aおよび20bへの短絡針22の刺入が、無菌で行われることを保証する。また、コネクタ20aおよび20bへの短絡針22の刺入は、一実施形態では、電気モータによって転動される送りネジを含む、短絡コネクタアクチュエータ25を介して平行移動される、筐体12のブロック内に短絡針22をスナップ嵌合することによって、電気機械的に行われる。刺入方向に短絡針22を駆動させるために、モータのモータシャフトは、第1の方向に転動される。充填ライン16aの適切な噴流後、弁14aおよび14bが、閉鎖すると、モータは、モータシャフトを反対方向に駆動し、筐体12の送りネジが駆動されたブロックおよび短絡針22をコネクタ20aおよび20bから引き離させる。
【0032】
刺入および噴流操作の際のある時点において、キャップ26が、輸送セット24から除去される。キャップ26および短絡針22が、手動で移動される場合、そのような操作は、筐体12の蓋が開放した状態で行われる。次いで、筐体12の蓋は、閉鎖され、UV照射が、輸送セット24の曝露端ならびに充填チューブ16aおよび排液チューブ16bの刺入端の両方を照射するように印加される。別様に、キャップ26および短絡針22が除去され、電気機械的に移動される場合、電気機械的移動は、ここでは、筐体12の蓋が閉鎖した状態で、短絡針22またはキャップ26の移動直前に行われ得る。再び、キャップ26の自動除去は、キャップ26を捕捉するための小さい送りネジ上で移動される平行移動ブロックを介して行われ、次いで、反対方向に平行移動され、輸送セット24からキャップ26を外すことが可能である。キャップ26は、筐体12内に保持され、次いで、患者が、供給バッグ18aから新しい透析液によって自身で充填すると、輸送セット24上に再挿入可能である。
【0033】
図1Bは、キャップ26が除去されると、輸送セット24が、今度は、供給容器18aのコネクタ20aと整合されるように、短絡針22および輸送セット24が、切り替えられる状態を例証する。短絡針22をコネクタ20a内に駆動する同一平行移動機構25は、今度は、患者輸送セット24をそのコネクタ内に駆動する。また、短絡針22を中心として密閉するコネクタ20aの同一密閉機構も、輸送セット24の針端を中心として密閉する。輸送セット24と短絡針20aとの間の密閉接続が行われた後、閉塞弁14aが開放され、充填バッグ18aから、患者輸送セット24および患者ライン28を通して、患者の腹膜腔へと流体を流動させる。再び、供給ライン18aのコネクタ20aへの患者輸送セット24の接続は、コネクタ20a内への挿入に先立って、輸送セット24の針端上に存在し得るいかなる病原菌をも殺傷するように、UV照射下で行うことが可能である。
【0034】
患者への充填が完了すると、閉塞弁14aが閉鎖され、溶液が、十分な時間の間、患者内に滞留させられる。その後、短絡針22は、筐体12から除去され、患者輸送セット24は、排液バッグコネクタ20bと整合するように回転または平行移動される。次いで、輸送セット24は、そのコネクタ内に刺入され、排液弁14bが開放されると、使用済みまたは廃液流体を排液バッグ18b内へと流動させる。
【0035】
次に、図2を参照すると、充填装置40は、空気が患者に送達されないように、充填溶液から空気を除去するための別の実施形態を例証する。装置40は、図1Aおよび1Bに関連して上述のものと少なくとも実質的に同一である、供給ライン16aと、充填バッグ18aと、コネクタ20aと、を含む。これらの構造のための材料は、図1Aおよび1Bに対して上述のもののうちのいずれかであり得る。しかしながら、ここでは、供給ラインまたはピグテール16aは、供給流体によって充填される可撓性リザーバ42を含み、患者は、流体を圧搾し、供給ライン16a内に圧力を蓄積可能である。リザーバ42は、一実施形態では、充填ライン16aに直接取着される。例えば、リザーバ42は、充填ラインに直接溶接可能である。代替として、リザーバ42は、充填ライン16aとともに形成される。さらなる代替実施形態では、リザーバ42は、順に、充填ライン16aに継合される、または充填ラインの一端に接続される、コネクタとともに形成される。例えば、リザーバ42は、コネクタ20aとともに形成され得る。受容部またはリザーバ42は、一実施形態では、少なくとも略円形枕状である。
【0036】
リザーバ42は、比較的に小量の流体を収集する。例証されるように、リザーバ42は、充填ライン16aの遠位端にない場合、それに隣接して、またはその近傍に設置される。リザーバ42が、流体によって充填された後、患者は、コネクタ20aへの患者の輸送セットの接続に先立って、リザーバを圧搾する。したがって、リザーバ42を圧搾することによって、流体およびその中に捕捉されたいかなる空気も患者ライン16aおよび充填バッグ18a内へと付勢する。空気は、バッグの上部または空気リザーバ部分に向かって、充填バッグ18a内へと押上される。充填ライン16aに接続されると、供給流体のみ患者に送達されるように、充填ライン16aは、バッグ18aの底面に向かって接続され、充填ライン16aの接続から離れるように、空気を空気リザーバへと移動させる。装置40は、充填バッグ18aおよび使い捨てポンプ式および/または弁式カセット(図示せず)のうちの少なくとも1つに事前に接続可能である。
【0037】
次に、図3を参照すると、PACシステム50は、患者への新しい溶液の送達に先立って、供給ラインまたはピグテール16aから空気を除去するための別の実施形態を例証する。PACシステム50は、システム10の筐体12の場合と同様に、金属またはプラスチックであり得る、筐体52を含む。システム50は、システム10同様に、供給ラインまたは供給ピグテール16aに流動的に接続される、充填バッグ18aを含む。供給ライン16aは、密閉された穿刺可能コネクタ20aで終端する。また、システム50は、患者の腹膜腔へと延設する患者ラインまたはカテーテル28に接続される、患者輸送セット24を含む。患者輸送セット24は、最初は、図3の図の場合には除去されている、キャップ26を介して、キャップが冠着されている。
【0038】
システム50は、空気トラップ54のリザーバ部分56内に凝集するいかなる空気も、刺入される流体入口58aおよび穿刺可能コネクタ出口58bの上方に上向きに保持されるように、筐体内に保持される、空気トラップ54をさらに含む。穿刺可能コネクタ58bは、ある実施形態では、供給ラインコネクタ20aと実質的に同様に構成される。いずれの場合も、コネクタは、穿刺可能密閉膜と、また、患者輸送セット24の針端または空気トラップ54の針入口58aを中心として密閉するための装置と、を含む。図示されないが、空気トラップ54は、空気トラップ内に貯留される液体から空気を分離する支援となる、1つ以上の内部バッフルを有し得る。空気トラップ54のための好適な構成は、本開示の最終譲受人に譲渡される、それぞれ、2007年10月1日出願の同時係属中の特許出願第11/865,577号「Dialysis System Having Air Traps With Internal Structures To Enhance Air Removal」、第11/865,583号「Dialysis System Having Air Separation Chambers With Internal Structures To Enhance Air Removal」、第11/865,552号「Dialysis System Having Air Separation Chambers With Internal Structures To Enhance Air Removal」、および第60/976,731号「Fluid And Air Handling In Dialysis Circuit Air Removal System」に開示されており、その全体の内容はそれぞれ、参照することによって、本明細書に明示的に組み込まれる。空気トラップ54は、供給ライン16aおよび供給容器18aを伴う消耗品の一部であって、および/または使い捨てポンプ式/弁式カセット(図示せず)に接続可能である。供給ライン16aは、一実施形態では、空気トラップ54に事前に接続される。
【0039】
システム10に類似する、PACシステム50は、コネクタ58aおよび20aの刺入直前に、それぞれ、輸送セット24の針および空気トラップ54の針端58aならびに関連付けられたコネクタ58bおよび20aを照射する、UV照射源を有し得る。筐体52は、一実施形態では、患者輸送セット24の単一平行移動を提供し、コネクタ58bおよび20aの事実上同時刺入を生じさせる。そのような刺入が、代替として、手動で行われる場合、筐体52のカバーが、そのような刺入直後に、空気トラップ54および患者輸送セット24上に設置され得、その時点で、UV照射源が、コネクタ58aおよび58bの針接続部を照射する。刺入が、自動的または電気機械的に行われる場合、筐体52のカバーが、患者輸送セット24および空気トラップ54上に設置され、UV照射が、コネクタ58bおよび20aの自動刺入に先立って、かつその間に行われる。筐体52は、代替として、(i)患者輸送セットを空気トラップの患者輸送セットコネクタに移動可能に接続するシャトル、および(ii)供給ラインを空気トラップに移動可能に接続するシャトルであって、少なくとも1つは、(a)手動で作動され、(b)動力化される、シャトルのうちの少なくとも1つを担持するように構成される。
【0040】
コネクタの刺入が行われた後、新しい透析流体は、充填バッグ18aから、充填ライン16a、コネクタ20、および空気トラップ54内の貯留部を通って流動する。新しい溶液のみ、空気トラップ54から、患者輸送セット24および患者ラインまたはカテーテル28を通って、患者の腹膜内に進行するように、空気は、より濃度の高い溶液内を上方に移動し、上方リザーバ56内に凝集する。
【0041】
次に、図4を参照すると、装置60は、患者充填の際、空気が患者の腹膜に送達されるのを防止するための別の実施形態を例証する。装置60は、充填ポート64を有する、代替充填容器または充填バッグ62を含む。新しい透析流体のみ、充填バッグ62から充填ライン66の遠位端に位置する空気抜きコネクタ70に向かって流動させる、直列逆止弁または一方向弁68を含む、代替充填ライン66が提供される。充填バッグ62および充填ライン66は、バッグ18aおよび充填ライン16aに対して上述の材料のいずれかから成る。充填ポート64は、一実施形態では、充填バッグ62に溶接される、チューブ類の剛性部品である。逆止弁68は、充填バッグ62から延在する類似ポートに直接溶接可能である。代替として、逆止弁68は、充填ライン66に継合され、次いで、充填バッグ62に密閉される。空気抜きコネクタ70は、ある実施形態では、後述の製造シーケンス後、穿刺可能膜によってキャップが冠着され、コネクタ20aを形成する、コネクタ20aの一部である。
【0042】
製造の際、充填バッグ62は、充填ポート64を介して、新しい流体によって充填される。流体は、バッグ62を充填し、加圧された状態にし、一方向弁68を開放させ、充填ライン66を通して流体を流動させ、空気抜きコネクタ70を介して、充填ラインから空気を押動させる。ある実施形態では、製造プロセスは、充填チューブ64、逆止弁68、および供給ライン66が、充填バッグ62の上方に上向きに格納されている間に行われる。そのような配列は、充填バッグの下端72を最初に充填させ、充填バッグ62の上端74に向かって空気を押動させる。充填バッグ62および充填ライン66全体が、新しい透析流体によって完全に充填されると、充填ポート64は、キャップが冠着されるが、これは、滅菌または除菌環境下で行われ得る。
【0043】
呼び水を入れる際の一方向弁68は、空気が一方向弁68を越えて押動されると、ライン66内の流体が充填バッグ62に再流入するのを防止する。したがって、充填ライン66内に保持される流体内に捕捉されたいかなる空気も、バッグ62に再流入不可能である。また、流体は、ライン66からバッグ62へと流動し、潜在的に空気によって充填され得る空間を創出することも不可能である。患者充填の終了時、空気抜きコネクタ70も同様に、穿刺可能膜によってキャップが冠着され、コネクタ20aを形成する。また、そのような手技は、一実施形態では、滅菌環境下で行われる。次いで、アセンブリ全体が、製造施設において、ガンマ照射、エチレンオキシド、または蒸気等、好適なプロセスを介して滅菌可能となる。
【0044】
次に、図5を参照すると、装置80は、PD充填の際、空気が患者の腹膜に送達されるのを防止するためのさらに別の代替実施形態を例証する。装置80は、穿刺可能膜を介して密閉されるポート84を有する、供給バッグまたは容器82を含む。ポート84は、充填され、空気抜きされた充填ライン86の針88によって刺入される。充填ライン86が、溶液容器82に接続されると、溶液容器82は、穿刺可能ポート84が、溶液バッグ82の底面に上向きに設置され、空気ではなく、流体のみ、患者に送達されるように、吊設可能である。例証されるように、充填ライン86は、逆止または一方向弁68に接続され、順に、例えば、滅菌環境下、ポート84の膜シールを刺入する針88に接続される。供給ライン86の遠位端は、穿刺可能膜キャップ20aを介して、キャップが冠着される。
【0045】
図6Aから6Dは、供給ライン86の充填および噴流を示す。図6Aは、ピグテールチューブ類86の空の区画を例証する。図6Bは、チューブ類86への一方向弁68の密閉接続および一方向弁68への針88の付加的密閉接続を例証する。図6Cでは、流体は、針88内に注入され、供給ラインが完全に充填されるまで、逆止弁68および供給ラインチューブ類86を通して流動する。チューブ86は、図6Cに例証される実施形態では、底面から注入される流体が、チューブ類86の上部から空気を押動させるように、垂直に位置付けられる。次いで、逆止弁68は、充填される流体が、逆止弁を通って、充填ライン68から流出するのを防止する。図6Dは、溶液チューブ86が完全に充填された後、穿刺可能膜を有するキャップ20aが、例えば、滅菌環境下、供給チューブ86の遠位端に密閉される状態を例証する。次いで、装置80全体(接続または非接続状態)が、例えば、ガンマ照射または蒸気滅菌を介して滅菌可能となる。
【0046】
図5は、溶液が充填された供給チューブ86が、供給容器82の膜密閉されたポート84内に刺入される、最終ステップを例証する。ポート84は、針88を中心として密閉するように構成される。逆止弁68は、チューブからバッグへの流体の偶発的移動を防止し、バッグからチューブへの空気の流入を促進し得る。逆止弁は、例えば、出荷の際、空気がチューブ内に入り得る余地がないように保証する。容器82と別個に充填チューブ86とともに装置80を梱包および出荷する、または充填チューブ86が容器82に接続された状態で装置80を梱包および出荷することが想定される。
【0047】
次に、図7を参照すると、装置90は、PD充填の際、供給バッグまたは供給チューブからの空気が患者の腹膜腔に流入するのを防止するためのさらなる代替実施形態を例証する。装置90は、図5および6Aから6Dの装置80と関連して上述の膜密閉された送達ポート84を有する、溶液バッグ82を含む。送達ポート84は、膜穿刺可能キャップ20を介してキャップが冠着される、供給チューブ92に接続された針88を介して刺入される。供給ライン92は、いくつかの見地から好適なガスである、二酸化炭素(「CO」)によって充填される。第1の事例では、COは、空気よりも重く、供給チューブ92をCOによって充填することによって、COをチューブ内に「沈降」させ、チューブ92から空気を排気または不活性化させる。また、COは、人体になじみのあるガスである。患者は、患者の腹膜を介して、チューブ92からCOを吸収し、患者の肺を通して、COを吐き出す。COは、空気のように、数日間、患者の腹膜内に残留しない。
【0048】
COが、ライン92によって充填され、好適な滅菌環境下、キャップ20を介して、キャップが冠着されると、ポート84は、針88を介して刺入され、その針の周囲を密閉し、患者による使用のために装置90を発送可能となる。針端88は、膜ポート84に刺入される時まで、キャップが冠着され、これは、同様に、好適な除菌環境下で行われ得ることを理解されたい。次いで、装置90全体(接続または非接続状態)は、ガンマ照射、エチレンオキシド、または蒸気滅菌を介して、滅菌可能となる。図示されないが、針88は、代替として、逆止弁に連結され(または、逆止弁は、ライン92の近位端に設置され)、CO充填ライン92および供給バッグ82を別個に出荷可能である。
【0049】
次に、図8を参照すると、装置100は、PD充填の際、空気が患者の腹膜腔に送達されるのを防止するためのさらなる代替実施形態を例証する。装置100は、逆止または一方向弁68への密閉接続のためのポート104を含む、供給バッグまたは容器102を含む。また、供給容器102は、装置100の製造の際に行われる空気抜きプロセスの間、バッグ102および付随供給ライン110を配向するためのホルダ106を含む。
【0050】
供給ライン110は、逆止弁68の出口に密閉接続され、その遠位端にYコネクタ112を含む。Yコネクタ12の分岐の1つは、空気は通過させるが、透析溶液は通過させない、疎水性膜または弁114で終端する。好適な疎水性膜の1つは、Millipore Corp.(290 Concord Road, Billerica, MA 01821, USA)によって提供されている。Yコネクタ112の分岐の他端は、本明細書に説明されるように、穿刺可能膜キャップ20aを介して、キャップが冠着される。
【0051】
装置100の製造および充填後、気泡は、供給ライン100内の一方向弁68を介して捕捉されるであろう。装置100は、供給容器102内の供給流体の重量が、逆止弁68を通って流動し、疎水性弁114を介して、コネクタ112の底面から空気を付勢させるように、ホルダ106を介して、垂直に懸架される。また、一方向弁68は、供給容器102の上部に残留する空気が、容器内の溶液に浸透し、供給チューブ110内に流動するのを防止する。すなわち、一方向弁68は、チューブ110内の流体が、バッグに流入する、故に、バッグ内の空気がチューブ110に流入する余地が創出されるのを防止する。供給チューブ10の空気抜きが完了すると、疎水性弁は、例えば、好適な滅菌環境下、キャップが冠着される。また、キャップの冠着も、非滅菌条件下、例えば、疎水性フィルタ孔が病原菌をチューブ110に流入させないように十分に小さい状態で行われる。したがって、また、空気抜きプロセスも、患者によって、自宅で行うことが可能である。次いで、装置100全体が、例えば、ガンマ照射、エチレンオキシド、または蒸気を介して、滅菌可能となる。
【0052】
次に、図9を参照すると、装置110は、患者が不快感を感じると、患者によって、患者の腹膜腔から空気を除去可能にするための装置および方法の1つを例証する。装置110は、上述のような輸送セットと溶液バッグとの間の流体接続とは対照的に、患者の輸送セットと患者の間の流体接続を提供する。故に、装置110は、本明細書に説明される他のシステムおよび装置のいずれかと協働可能である。
【0053】
装置110は、例証される実施形態では、キャップ126を介して、キャップが冠着される、患者輸送セット124を含む。キャップ126は、本明細書に説明されるように、供給ラインの密閉された膜キャップ20aに刺入される針に曝露されるように除去可能である。また、患者輸送セット124は、患者が、患者の腹膜へまたはそこからの流体送達を開放あるいは閉鎖するように転動させる、ツイストクランプ130を含む。また、装置110は、患者輸送セット124から患者の腹膜腔に延在する、カテーテル128を例証する。
【0054】
装置110は、例証される実施形態では、患者チューブ128とツイストクランプ130との間に密閉継合される、T型コネクタ132をさらに含む。コネクタ132は、代替として、クランプ130の一部として形成され、患者チューブ128と密閉流体連通状態に設置され得る。コネクタ132は、図8のシステム100に対して上述の種類であり得る、疎水性フィルタ134を含む。疎水性フィルタ134は、ネジ式気密キャップ136を受容する、ネジ山接続部に嵌着される。キャップおよびフィルタ134は、例えば、キャップ136の内側に嵌着する、または疎水性フィルタ134の外側周辺に嵌着する、Oリングまたは他の好適なシール(図示せず)を介して、ともに密閉可能である。キャップ136は、疎水性フィルタの周囲に螺着し、Oリングをコネクタ132の本体に密閉する。代替として、キャップ136は、疎水性フィルタ134にスナップ嵌合し、それによって、シールを備えることが可能である。
【0055】
カテーテル128は、アクセス部位142において、患者140に固定され、カテーテルは、患者140内に埋入される。カテーテル128の埋入された部分144は、開口146が、直接隣接するアクセス部位142に直接隣接して、患者140内に位置するように、カテーテルに沿って設置される開口または穿孔146とともに形成される。開口146は、患者140内に捕捉された空気をカテーテル144に流入させ、患者チューブ128、コネクタ132を通して、フィルタまたは通気孔134外へと流動させる。
【0056】
患者が不快感を感じると、患者は、コネクタ132からキャップ136を除去し、疎水性フィルタ134を曝露する。次いで、患者の腹膜腔内に常駐する、空気を含む、ガスは、患者のPDカテーテル128および疎水性フィルタを通して、大気中に移動可能となる。このように、患者は、そのような空気を除去するために、苦痛なほど長時間に及ぶ現在の手技を受ける必要なく、患者の腹膜腔から空気を除去可能である。患者は、動き回ったり、横になったり、起き上がったり、またはある他の運動を行い、患者の腹膜腔内の空気をカテーテル、患者チューブ128を通して、フィルタ134外に押動させるのを支援することが可能である。図9に見られるように、穿孔または孔は、患者に固定されると、孔がアクセス部位近傍の患者内に位置するように、患者カテーテル内に形成される。穿孔は、患者の腹膜腔の一端(例えば、患者が横になっている場合、高位端)から、空気をカテーテルに流入させる。患者が不快感を感じなくなると、患者は、キャップ136によって、疎水性フィルタ134を密閉し、治療または他の所望の活動を再開する。
【0057】
当業者には、本明細書に記載した本発明の好ましい実施形態に対する種々の変更および修正が明白であることを理解されたい。そのような変更および修正は、本発明の対象の主旨および範囲から逸脱することなく、またその意図する利点を損なうことなく、行うことが可能である。したがって、そのような変更および修正は、添付する特許請求の範囲に包含されることを意図する。
(項目1)
腹膜透析(「PD」)接続装置であって、
PD流体充填ライン(16a)に接続するための第1のコネクタ(20a)と、
該第1のコネクタ(20a)と流体連通する第2のコネクタ(20b)であって、空気は通過させるが、流体は通過させないように構成されるフィルタを含む、第2のコネクタ(20b)と、
該フィルタを選択的に曝露し、患者の腹膜内に捕捉された空気を大気中に放出させるように、手動で除去可能かつ該第2のコネクタ(20b)に再密閉可能な気密キャップと
を備える、PD患者接続装置。
(項目2)
上記第1および第2のコネクタ(20a、20b)は、患者輸送セット(24)の一部を形成する、項目1に記載のPD患者接続装置。
(項目3)
上記患者輸送セット(24)は、上記患者の腹膜へまたはそこから流体を選択的に流動させるための弁(130)をさらに含む、項目1または2に記載のPD患者接続装置。
(項目4)
上記第1および第2のコネクタ(20a、20b)は、埋込式患者カテーテルと流体連通し、該カテーテルは、該カテーテルが埋め込まれると、患者アクセス部位のすぐ内側に来ることが予測される該カテーテルの位置に設置される、少なくとも1つの開口を含み、上記少なくとも1つの開口は、上記患者の腹膜内に捕捉された空気を該カテーテルに流入させ、上記フィルタを介して大気中に放出させる、項目1〜3のいずれかに記載のPD患者接続装置。
(項目5)
上記フィルタは、疎水性フィルタである、項目1〜4のいずれかに記載のPD患者接続装置。
(項目6)
上記気密キャップは、上記フィルタ全体にわたって、上記第2のコネクタ(20b)上に螺設される、および(ii)圧縮可能シールを介して、該第2のコネクタ(20b)に密閉される、のうちの少なくとも1つである、項目1〜5のいずれかに記載のPD患者接続装置。
(項目7)
上記圧縮可能シールは、上記キャップおよび上記第2のコネクタ(20b)のうちの1つによって担持されるOリングを含む、項目1〜6のいずれかに記載のPD患者接続装置。
(項目8)
上記第2のコネクタ(20b)は、上記コネクタの流体導管部分から延在する分岐を含み、上記分岐は、上記フィルタを格納する、項目1〜7のいずれかに記載のPD患者接続装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
腹膜透析(「PD」)接続装置であって、
PD流体充填ライン(16a)に接続するための第1のコネクタと、
該第1のコネクタと流体連通する第2のコネクタ(132)であって、該第2のコネクタは、空気は通過させるが、流体は通過させないように構成されるフィルタ(134)を含む、第2のコネクタ(132)であって、該第1のコネクタおよび第2のコネクタ(132)は、埋込式患者カテーテル(128)と流体連通し、該カテーテル(144)は、該カテーテル(128)が埋め込まれると、患者アクセス部位(142)のすぐ内側に来ることが予測される該カテーテル(128)の位置(144)に設置される少なくとも1つの開口(146)を含み、該少なくとも1つの開口(146)は、該患者の腹膜内に捕捉された空気を該カテーテル(128)に流入させ、該フィルタ(134)を介して大気中に放出させる、第2のコネクタと、
該フィルタ(134)を選択的に曝露し、患者の腹膜内に捕捉された空気を大気中に放出させるように、手動で除去可能かつ該第2のコネクタ(132)に再密閉可能な気密キャップ(136)と
を備える、PD接続装置。
【請求項2】
前記第1および第2のコネクタ(132)は、患者輸送セット(24)の一部を形成する、請求項1に記載のPD接続装置。
【請求項3】
前記患者輸送セット(24)は、前記患者の腹膜へまたはそこから流体を選択的に流動させるための弁(130)をさらに含む、請求項1または2に記載のPD接続装置。
【請求項4】
前記フィルタ(134)は、疎水性フィルタである、請求項1〜3のいずれかに記載のPD接続装置。
【請求項5】
前記気密キャップ(136)は、前記フィルタ(134)全体にわたって、(i)前記第2のコネクタ(132)上に螺設される、および(ii)圧縮可能シール(135)を介して、該第2のコネクタ(132)に密閉される、のうちの少なくとも1つである、請求項1〜4のいずれかに記載のPD接続装置。
【請求項6】
前記圧縮可能シールは、前記キャップ(136)および前記第2のコネクタ(132)のうちの1つによって担持されるOリングを含む、請求項5に記載のPD接続装置。
【請求項7】
前記第2のコネクタ(132)は、前記コネクタの流体導管部分から延在する分岐を含み、該分岐は、前記フィルタ(134)を格納する、請求項1〜6のいずれかに記載のPD接続装置。

【図5】
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【図7】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−509713(P2012−509713A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537662(P2011−537662)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/065375
【国際公開番号】WO2010/059964
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【出願人】(501453189)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (289)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
【Fターム(参考)】