説明

情報の発見および視覚化のための自動生成3次元グラフィック環境

3次元グラフィック環境内に表示された、画像によって表現された複数のデータオブジェクトを閲覧する装置および方法を説明する。複数のデータオブジェクト配置方式を提供し(30)、それらの方式のうちの選択されたものに応じて、データオブジェクトを表現する対応画像を3次元グラフィック環境内に配置する(31)。次に、その選択された方式に従って、データオブジェクトが3次元グラフィック環境内に自動的に配置される。方式はユーザが選択でき、新たな方式を選択することにより、その新たに選択された方式に従ってオブジェクトが再配置される。環境は3次元領域に区分され、選択された方式に関するデータオブジェクトの関連グループの表現画像が同じ領域に表示されるように、データオブジェクトの表現画像が区分された環境内に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は3次元グラフィック環境を生成する方法に関し、特に本開示は、選択されたビュー方式に応じた情報の発見および視覚化のための3次元グラフィック環境を自動生成する装置および方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
データベースは多くの場合、製品、美術品、遺物、書籍などのような、多数の物品に関する情報を記憶するのに使用される。データベースは、その大きさが原因でデータベースに記憶された情報の検索や閲覧が困難になる場合がある。通常、用途に応じて情報を視覚化する専用のインターフェースが存在する。しかしながら、インタフェースの機能の中には、用途とは無関係に常に必要とされるものもある。インターフェースは、ユーザがデータベースの中を素早く移動し閲覧できるものでなければならない。インターフェースは、ユーザが視覚表示を容易に操作できるようにするため、視覚的に説得力があり、かつ、対話型のものでなければならない。最後に、インターフェースは直観的なものでなければならない。
【0003】
情報の視覚化の特に重要な用途はショッピングの分野である。ショッピングに興味のある人々は従来、地元のオフラインストアに行ってショッピングをするという選択肢しかなかった。インターネット革命が起こったとき、オンラインショッピングは、買い物客に対し、店の在庫品を視覚化して閲覧するためのもっと優れた手段を提供するであろうと考えられていた。オンラインショッピングは、通常のショッピングに固有の利点の多くに取って代わることができなかったため、結局、従来のオフラインストアを上回ることはなかった。従来のストアは凝った設計であり、非常に快適なレイアウトを有する。視覚的に魅せられる体験や理にかなった案内方法は、そういった店におけるショッピングを非常に魅力的なものにしている。多くの場合、買い物客は具体的な物品が頭になく、製品を次から次へと単に「ウィンドウショッピング」したいだけである。実際、買い物客が購入したい物品を全く偶然に発見することは、非常によくあることである。そしてオフラインストアは、ぶらぶらと商品を閲覧させ、この種の「偶然の発見」を生じさせる効果が非常に大きい。
【0004】
もちろん、現在のオンラインショッピングにそれなりの利点がないわけではなく、多くの小売店はオンラインストアも作成している。オンラインショッピングは、昼夜問わず何時でも自宅や職場で行うことができる。オンラインストアは、必要とされる物理的な貯蔵空間がゼロであるため、はるかに広い選択項目およびはるかに多くの在庫品を提供することができる。そのため一般に価格が低くなる。現在のオンラインストアは、ユーザが製品リストや製品画像をカテゴリーごとに「閲覧」できるようにするためのウェブベースのユーザインターフェースを備えることが多い。具体的には、ユーザがこのインターフェースを使用してカテゴリーを選択すると、選択したカテゴリーに属する製品に関する文書のリスト、または該製品を表す画像のリストが表示される。あるいは、ユーザインターフェースは、ユーザが単語検索または語句検索を実行してデータベース内の特定製品または特定カテゴリーを探せるようにするための、検索エンジンを有する場合もある。買い物客が購入したい物品の形態を正確に知っている場合、そのような検索エンジンは非常に有効である。
【0005】
上記の閲覧・検索方法に関しては多数の問題がある。例えばユーザが自分の捜している製品が属するカテゴリーを知らない場合、ユーザはどのカテゴリーを調べるべきか推測しなければならなかったり、各カテゴリーの製品リストを端から端まで所望の製品が見つかるまで調べなければならない場合がある。さらに、ユーザは所望の製品がウェブサイト上に掲載されるのに使用されている正確な専門用語を知らない場合もあり、その結果、語句/単語検索エンジンは役に立たなくなる場合がある。その結果、閲覧・検索は、製品データベースの大きさとユーザインターフェースの設計態様が原因で、ユーザが製品情報に関するウェブページのウィンドウを次々と移動しなければならないという、厄介な作業になる。偶然に発見したい場合、上述した検索ツールはなおさら使用することができず、現在の閲覧方法は不十分または扱いにくいものとなる。
【0006】
ユーザは芸術品などの画像をウェブサイトで閲覧する時、様々な閲覧体験に遭遇する。その場合、ユーザは通常、特定の物品を探しているのではなく、データベースの物品(すなわち芸術品)を単にランダムに閲覧しているのにすぎない。その結果、ユーザが何か特定の物品を探しているのではないので、上記閲覧方法および検索方法は、特にこの種の閲覧体験にも特に適さない。
【0007】
さらにもっと説得力のあるインターフェースは、対話型の3次元グラフィック環境を使用したものである。この対話型の3次元グラフィック環境は、オンラインショッピングの利点の多くを、オフラインストアの利点と共に有する。3次元グラフィック(または仮想)環境は、過去にも使用されていて、情報を直観的な方法で閲覧し次々と移動することが可能である。具体的には、3次元グラフィック環境により、ユーザは、仮想空間内を直観的に移動することができ、その空間内で物品を容易に探し出して閲覧することができる。従って、カテゴリーや検索エンジンによる閲覧および検索の不利な点が克服される。極めて初心者のコンピュータユーザであっても、その夢中になるような理にかなったインターフェースは理解することができる。
【0008】
多くの3次元グラフィック環境、特に、ゲーム業界およびエンターテイメント業界で見られる3次元グラフィック環境は、現実世界環境の「ルックアンドフィール」を有し、実際、視覚的に驚くほどすばらしいものがある。しかしながら、それらの環境は、特定用途向けに予め指定され、決められている。そのため、移動、検索、閲覧、および偶然の発見を最適にするために3次元グラフィック環境を最良に構成する方法に関し、ユーザの体験は設計者が事前に考えた発想に制約される。ユーザの考えと設計者の考えが異なる場合、3次元グラフィックス環境内でのユーザの体験は損なわれる場合がある。さらに、そのような静的環境は、データオブジェクトの動的な変更やユーザカスタマイズに容易に適応することができない。したがって、ユーザの好みに基づいてカスタマイズが可能で、かつ、自動的に設計される3次元グラフィック環境が必要とされている。
【0009】
本発明は、データベース内の複数のオブジェクトを閲覧するための、閲覧能力を向上させた3次元グラフィック環境を自動的に生成する装置および方法である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
3次元グラフィック環境内に表示された、画像で表現された複数のデータオブジェクトを閲覧する装置および方法を説明する。複数のデータオブジェクト配置方式のうちの選択されたものに応じてデータオブジェクトの表現画像を3次元グラフィック環境内に配置するため、複数のデータオブジェクト配置方式を提供する。次いで、選択された方式に従ってデータオブジェクトを3次元グラフィック環境内に配置する。方式はユーザが選択でき、新たな方式を選択することによって、新たに選択された方式に従ってオブジェクトが再配置される。一実施形態において、環境は3次元領域に区分され、データオブジェクトの表現画像が区分された環境内に配置され、選択された方式に関するデータオブジェクトに関連する表現画像のグループが同じ領域に表示される。
【0011】
一実施形態において、表示された3次元グラフィック環境内で複数の記憶されたデータオブジェクトを閲覧するための装置は、複数の選択可能なデータオブジェクト配置方式と、3次元グラフィックス処理ユニットとを有する。前記グラフィックス処理ユニットは、前記環境に対応する3次元画像データと、データオブジェクトを表す画像とを生成し、該データオブジェクトを表す画像を、前記方式のうちの選択されたものに従って、表示される環境の中に配置する。
【0012】
他の実施形態において、グラフィックス処理ユニットは2つの処理ユニットを含む。1つは、環境のレイアウトと、環境内におけるオブジェクトを表す画像の配置とを決定するレイアウトプロセッサである。もう1つは、環境の外観と、環境内における表現画像とを決定する環境作成プロセッサである。レイアウトプロセッサは、環境内における区分された3次元領域に対応する環境区分情報を生成する環境区分装置と、区分された各領域内における関連するオブジェクトの位置に対応する情報を生成するオブジェクト配置装置とを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
表示された3次元グラフィック環境内においてデータオブジェクトを表す画像を閲覧する装置および方法について説明する。この装置および方法において、画像は、複数のデータオブジェクト配置方式のうちの選択されたものに従って環境内に配置される。この説明によると、データオブジェクトは、有形もしくは無形のオブジェクトまたは有形もしくは無形の要素に対応してデータベース内に記憶されたデータとして広く定義される。データオブジェクトの種類の例としては、画像データ、音声データ、ワープロデータ、ビデオデータ、および3Dモデルなどがあるが、それらに限定はしない。オブジェクトまたは要素の種類の例としては、映画ビデオ、CD、美術品、電子ワープロ文書、個人的な電子記録、およびコマーシャル製品カタログなどがあるが、それらに限定はしない。例えば、オブジェクトの種類が映画ビデオである場合、その種類の特定のオブジェクトは特定の映画である。
【0014】
各データオブジェクトは、メタデータと呼ばれる関連データを有する。このメタデータは、データオブジェクトそれ自体とは異なる他の任意のデータに対応し、そのデータオブジェクトを説明するか、または、データオブジェクトに関係する。各データオブジェクトは、異なる種類のメタデータを有する場合がある。例えば、オブジェクトの種類が映画ビデオである場合、メタデータの種類には、映画のタイトル、映画監督、映画の公開日、映画俳優、および映画のジャンル(例えば、コメディ、ドラマ)などに対応するデータが含まれる。一方、オブジェクトの種類が美術品である場合、メタデータの種類には、その美術品のタイトルおよび美術品の流派(例えば、モダン派、印象派)などが含まれる。メタデータは、データオブジェクトと共に記憶することもできるし、データオブジェクトと関連メタデータとの間にリンクを作るようにして個別に記憶してもよい。
【0015】
一般に、データベース内に記憶される複数のデータオブジェクトは、それらに関連付けられたデータオブジェクトまたはメタデータに関して、何らかの方法で論理的に表示、分類、グループ分け、及び/又は配置できるように、関連付けられている。例えば、データベース内に記憶された映画は、閲覧者がそのデータを特定の映画監督で検索できるように、映画監督でグループ分けされる場合がある。
【0016】
本発明によると、データベース内に記憶されたデータオブジェクトの表現画像が3次元グラフィック環境内に表示され、そのデータベースを閲覧したいユーザに対し、データオブジェクトを直観的に閲覧する機能が提供される。本発明によると、表現画像は、テキストラベル、自然画像、グラフィック画像、文書およびファイルフォルダの画像、ビデオ画像、3次元モデル、または任意の種類の視覚データとして具体化することができる。さらに、表現画像は、ユーザによって選択されたときに対話的なものにすることができる。例えば、ユーザは3次元モデルとして具体化された表現画像を回転させることができ、それによってユーザは、そのモデルの他の眺めを更に得ることができる。さらに、表現画像を選択し、関連マルチメディアデータに更にアクセスすることもできる。例えば2次元表現画像を選択することで、そのデータオブジェクトに関連付けられたオーディオクリップにアクセスしたり、その2次元画像に対応する3次元モデルにアクセスしたり、ビデオシーケンスにアクセスしたりすることなどができる。
【0017】
3次元画像をレンダリングして表示するシステムの一例を図1に示す。このシステムは、グラフィックス処理ユニット10、レンダリングエンジン11、ユーザ出力12、ユーザ入力13、およびメモリ14を含む。グラフィックス処理ユニット10は、グラフィックスの画像処理の分野で既知のように、データオブジェクトデータ10Aを受け取り、それらのデータオブジェクトの表現画像を含む3次元グラフィック環境に対応する3次元画像データ10Bを生成する働きをする。レンダリングエンジン11は、画像データ10Bを受け取ってレンダリングデータ11Aを生成し、ユーザ出力12を作動させる。例えば、レンダリングデータ11Aは、モニタ(図示せず)を作動させ、表現画像を含む3次元グラフィック環境を表示する。ユーザ入力13は、ユーザが3次元環境と対話できるようにするための、ユーザと3次元環境との間のインターフェースを提供する。例えば、ユーザ入力13により、ユーザは、表示されたカーソルをキーボードまたはマウスを用いて移動させることによる3次元環境内での視点の変更が可能になる。他の種類のユーザ入力13としては、ジョイスティックや感圧スクリーンなどが含まれるが、それらに限定はしない。グラフィックス処理ユニット10がデータオブジェクトの表現画像を生成してもよいし、表現画像データはメモリ14内に記憶され、データオブジェクトデータベースにリンクされてもよい。
【0018】
本発明の一実施形態によると、グラフィックス処理ユニット10は、図2に示す装置20に従って実施される。この装置20は、レイアウトプロセッサ21および環境作成プロセッサ22を含む。レイアウトプロセッサ21は3次元画像情報21Cを生成する働きをもつ。3次元画像情報21Cは、3次元グラフィック環境の区分情報と、その区分された3次元環境内における複数のデータオブジェクトに対応する表現画像の配置を定義する配置情報とを少なくとも定義する。区分情報および配置情報はいずれも、複数のデータオブジェクト配置方式のうちの選択されたものに少なくとも依存する。データオブジェクトの選択は、レイアウトプロセッサ21に接続されたデータオブジェクト方式選択制御信号によって決まる。配置方式の種類を選択することにより、レイアウトプロセッサ21が環境を区分する方法が決定され、区分されたた領域内における表現データオブジェクトの配置が決定される。本発明によると、様々な配置方式は、データオブジェクト間をデータベース内で相互に関連付けてその相互関係に基づいてグループ化する方法に対応する。一実施形態では、データオブジェクトをグループ化するために、メタデータを用いてオブジェクト間を関連付ける。
【0019】
一実施形態において、レイアウト内の区分および配置は、環境内の全てのオブジェクトの配置を定義する一組の環境設計ルール(図2)にも依存する。例えば、3次元グラフィック環境内に区分された領域を作成するために、オブジェクト(壁など)が使用される。その場合、環境設計ルールは例えば、壁とオブジェクトが接近しすぎることも重なり合うこともないことを保証するものであったり、ある区分された領域から別の区分された領域への通行を可能にするための通路を環境に挿入する方法や、該通路を挿入するか否かを判定するものであったり、データオブジェクトの表現画像同士が接近しすぎたり重なり合ったりしないことを保証するものであったり、矩形の部屋に優先して細長い部屋が生成されるのを低減するものなどとなる。他の例において、環境設計ルールは、ストアの特定の売り場の位置を指定する場合がある(例えば、男性用売り場は常に北西の隅にあるとか、仮想食料品ストアの農産物部門は常に西側にある、など)。同様に、環境設計ルールは、仮想ストアが、ユーザが選択した特定の地区のオフラインストアと同様の形式で配置されることを保証するものにすることもできる。
【0020】
他の実施形態において、選択されたデータオブジェクト配置方式は、データオブジェクトがグループ化されて表示される際に従う少なくとも1つのメタデータの種類に基づく。環境区分装置21Aは、メタデータの種類を特定した後、すべてのデータオブジェクトについてメタデータを分析し、その特定されたメタデータの種類と同じメタデータを有するデータオブジェクトを特定する。同じメタデータを有するものとして特定されたデータオブジェクトは、同じグループにグループ化される。各グループにおけるデータオブジェクトの数を判定し、各グループのオブジェクトを収容するのに必要な各区分領域のサイズを判定する。環境区分装置21Aは、各区分領域に関するサイズ情報から、3次元グラフィック環境内における座標情報を生成する。この座標情報は、オブジェクト配置装置21Bに供給される。次いでオブジェクト配置装置21Bは、各領域内におけるグループ化されたデータオブジェクトの配置を環境設計ルールに従って決定する。
【0021】
レイアウト情報21Cは、環境作成プロセッサ22に接続される。環境作成プロセッサ22は、座標情報および配置情報を含む区分情報を用いて、環境区分装置21Aが提供した座標情報に従って配置される区分を表す3次元画像データを生成する。3次元グラフィック環境の外観は、外観設計ルール(図2)によって決定される。この外観設計ルールは、3次元環境の外観を決定するとともに、その環境内でオブジェクトやテキストが選択されたモチーフまたはテーマに応じてどのように見えるかを決定する。例えば、3次元環境内に映画ビデオのデータベースが表示されていて、その外観ルールが、ビデオストアのモチーフが選択されたものとして設定されている場合、環境作成プロセッサは、多数の部屋を有するビデオストアに対応する3次元画像データであって、そのビデオストアとして扱われるその環境内の他のオブジェクトを含む、3次元画像データを生成することができる。例えば、3次元ビデオストア環境はチェックアウトデスクを含む場合がある。さらに、環境作成プロセッサは、壁に対応する画像データをビデオストア内に生成してビデオストアを3次元の領域に区分けし、データオブジェクトをビデオストアに一般に関連付けられたある種類のビデオボックスにで表現することができる。あるいは、環境モチーフは、古いマンションや美術館にしてもよく、屋内でも屋外でもよい。さらに、外観設計ルールは、表示される建築様式(例えば、ゴシック様式、ローマ様式、モダン様式など)、配色、および付加的な設備(例えば、支柱、ガーゴイル、縁飾りなど)のスタイルも決定する。
【0022】
図2に示す装置は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアのいずれの組み合わせによっても実施できるものと解釈してほしい。
【0023】
図3は、3次元グラフィック環境内に表示された複数のデータオブジェクトを閲覧する方法の第1の実施形態を示している。この実施形態によると、複数の選択可能なデータオブジェクト配置方式が提供される(ブロック30)。この実施の形態によると、様々な配置方式は、データオブジェクト間を相互に関連付けてそれらを相互関係に基づいてグループ化するための方法に対応する。一実施形態では、メタデータの種類に従ってデータオブジェクトをグループ化する場合がある。様々な配置方式を提供することで、複数のデータオブジェクトを表現する画像が、それらの配置方式のうちの選択されたものに従って、表示された3次元環境内に配置される(ブロック31)。
【0024】
図3に示す方法の例は、ユーザが複数の配置方式のうちの1つを選択する選択肢をユーザに提供するインターフェースを用いてデータベースを閲覧する場合に見られる。例えば、データベースが遺物に対応するデータオブジェクトを含む場合、このインターフェースは、それらのデータオブジェクトを遺品の名称によりアルファベット順に並べるか、それらの遺物が発見された日付に従って年代順に並べるか、発見された国によって地理的に並べるか、といった選択肢をユーザに与えることができる。次いで、データオブジェクトの表現画像が、それらの方式のうちの選択されたものに従って表示される。方式は図3に示す方法に従って選択することができるので、この方法により、ユーザは、複数の方式のうちのいずれかに従ってデータオブジェクトを閲覧することができる。例えばユーザは、新たな方式を選択し、その新たに選択した方式に従ってデータオブジェクトを3次元グラフィック環境内に再配置させることにより、他の方式に従ってオブジェクトを閲覧することができる。
【0025】
図4は、3次元グラフィック環境内に表示された複数のオブジェクトを閲覧する方法の第2の実施形態を示す。この実施形態では、データオブジェクト配置方式を選択する(ブロック40)。例えば、ユーザインターフェースは、ユーザがデータオブジェクト配置方式を選択できるようにするための配置方式のリストをユーザに表示する、ドロップダウンメニューを含む場合がある。次に、選択された方式に従ってデータオブジェクトをグループ化する(ブロック41)。つまり、方式を選択した後、その選択された方式に従ってデータオブジェクトをグループ化するため、データオブジェクトを分析する。次に、1グループあたりのオブジェクト数に応じて環境を区分する(ブロック42)。従って、各区分領域のサイズおよび形状は、1グループあたりのオブジェクト数に依存する。次に、選択された方式に従って、グループ化されたデータオブジェクトの表現画像を各領域内に有する3次元グラフィック環境をレンダリングする(ブロック43)。つまり、グループ化されたデータオブジェクトの表現画像が選択された方式に従って各領域内にグループ化されるように区分された環境をモニタに表示し、データベース内のデータオブジェクトの直観的な閲覧を可能にする。
【0026】
図5A、図5B、図5C、および図5Dは、選択された様々な方式に従って3次元グラフィック環境内に配置された表現画像の例を示す。図示のように、映画ビデオに対応する複数のデータオブジェクトは、各映画の映画広告写真50(図5A〜図5D)に対応する画像で3次元グラフィック環境内に表現される。図5Aおよび図5Bにおいて、3次元環境モチーフは、ストアの壁52によって3次元領域(例えば51)に分割されたビデオストアである。この3次元領域において、各領域は、異なる監督に対応する。したがって、この場合、データオブジェクトは監督別の配置方式に従ってグループ化される。図5Aと図5Bは、同じ3次元グラフィック環境の異なるビューであることに注意して欲しい。この方式を選択することにより、ユーザは、各部屋内において同じ監督によって作成されたすべてのビデオを閲覧することができる。図5Cおよび図5Dは、環境内の表現画像が映画のジャンルに従って自動的に配置された同じデータベースを示す。例えば、ドラマ同士は同じ領域にグループ化され、コメディは別の領域にグループ化され、ロマンスはさらに別の領域にグループ化されている。したがって、この方式を選択することにより、ユーザは、特定種類の映画だけを閲覧することができる。
【0027】
さらに、補助的な方式に従って各領域内にデータオブジェクトを配置することもできる。例えば、図5Aおよび図5Bに示す例の場合、区分された所与の3次元領域にある同じ監督による映画を、公開日、映画のタイトル、または他の何らかの方式に従ってさらに配置することができる。
【0028】
方式は、閲覧するデータベースに応じて、ユーザが選択する場合もあれば、自動的に選択される場合もあるという点に注意して欲しい。
【0029】
本発明の方法の一実施の形態では、新しい方式が選択されると、3次元環境が自動的に再区分され、データオブジェクトの表現画像が新しく選択された方式に応じて3次元領域内の3次元グラフィック環境内に再配置される。
【0030】
上記の説明では、本発明を完全に理解してもらうため、多数の具体的な詳細について説明を行なった。しかしながら、当業者であれば、それらの特定の詳細が本発明を実施する上で必ずしも必要でないことは明らかであろう。他の例では、本発明を不必要に分かりにくくすることを避けるため、既知の技術については、詳細に説明していない。
【0031】
また、本発明の要素を一定の実施の形態と共に説明してきたが、本発明は、他にもさまざまな方法で実施できるものと考えられる。したがって、図示・説明した特定の実施形態に、限定の意図はないものと考えて欲しい。それらの実施形態の詳細を参照することに、本発明の本質とみなされる特徴のみを列挙した特許請求の範囲を限定する意図はない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】3次元グラフィック環境をレンダリングして表示する従来技術のシステムを示す図である。
【図2】本発明による、3次元グラフィック環境を生成する装置の第1の実施形態を示す図である。
【図3】3次元グラフィック環境を生成する方法の第1の実施形態を示す図である。
【図4】3次元グラフィック環境を生成する方法の第2の実施形態を示す図である。
【図5A】本発明の装置および方法に従って具体化された3次元グラフィック環境の例を示す図である。
【図5B】本発明の装置および方法に従って具体化された3次元グラフィック環境の例を示す図である。
【図5C】本発明の装置および方法に従って具体化された3次元グラフィック環境の例を示す図である。
【図5D】本発明の装置および方法に従って具体化された3次元グラフィック環境の例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元グラフィック環境内に表示された複数のデータオブジェクトを閲覧する方法であって、
複数の選択可能なデータオブジェクト配置方式を提供することと(30)、
前記方式のうちの選択されたものに応じて、前記データオブジェクトを表現する対応する画像を前記環境内に配置することと(31)
からなる方法。
【請求項2】
前記配置方式を提供することは、データオブジェクトメタデータに関連付けられた配置方式を提供することを更に含む、請求項1の方法。
【請求項3】
前記表現画像を配置することは、前記3次元グラフィック環境を3次元領域に区分し、該領域内に、表現画像の関連付けられたグループを表示することを更に含み、表現画像は前記選択された方式に応じて関連付けられる、請求項1の方法。
【請求項4】
前記方式のうちの新しく選択されたものに応じて前記環境内に表現画像を再配置すること(40)、を更に含む請求項1の方法。
【請求項5】
前記方式のうちの新しく選択されたものに応じて、前記3次元グラフィック環境を3次元領域に再区分し、表現画像の関連付けられたグループを該領域に再表示することによって、前記環境内に表現画像を再配置することを更に含み、前記新しく選択された方式に応じてオブジェクトが関連付けられる、請求項4の方法。
【請求項6】
各グループ内の表現画像の数に応じて領域のサイズを決定すること(42)、を更に含む請求項6の方法。
【請求項7】
3次元グラフィック環境内に表示された複数のデータオブジェクトを閲覧する装置であって、
複数の選択可能なデータオブジェクト配置方式と、
前記データオブジェクトを表現する画像が前記方式のうちの選択されたものに応じて前記表示される環境内に配置されるように、前記環境に対応する3次元画像データおよび前記データオブジェクトを表現する画像を生成する、3次元グラフィックス処理ユニット(20)と
からなる装置。
【請求項8】
前記グラフィックス処理ユニットは、
前記表示された環境を表現画像の関連グループおよび一組の環境設計ルールに応じて3次元領域に区分するのに使用される区分情報を生成する環境区分装置(21A)と、
前記選択された方式に応じて関連する表現画像を各領域内に表示するための配置情報を生成するオブジェクト配置装置(21B)と
を含むレイアウトプロセッサ(21)を備える、請求項7の装置。
【請求項9】
前記レイアウトプロセッサは各グループ内のデータオブジェクトの数に応じて前記領域のサイズを決定する、請求項8の装置。
【請求項10】
前記グラフィックス処理ユニットは、レイアウト情報および一組の外観設計ルールに応じて前記表示された環境に対応する3次元画像データ生成し、前記配置情報に応じて前記3次元画像データ内に配置される前記表現画像に対応する3次元画像データを生成するための、環境作成プロセッサ(22)を更に含む、請求項7の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【公表番号】特表2006−504149(P2006−504149A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−540870(P2003−540870)
【出願日】平成14年10月29日(2002.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2002/034513
【国際公開番号】WO2003/038679
【国際公開日】平成15年5月8日(2003.5.8)
【出願人】(398038580)ヒューレット・パッカード・カンパニー (91)
【氏名又は名称原語表記】HEWLETT−PACKARD COMPANY
【Fターム(参考)】