説明

情報コード読取装置

【課題】照明光源からの照明光をレンズ手段によって上下方向に集光しつつ幅方向に拡散させ得る情報コード読取装置において、上下方向の複数の領域で照明光の拡散パターンを異ならせることが可能な構成を提供する。
【解決手段】情報コード読取装置には、照明光源からの照明光を上下方向に集光又はコリメートしつつ幅方向に拡散させるレンズ23が設けられている。このレンズ23では、上下2つの領域に区分けされており、下方側の第1領域には第1レンズ部60が構成されており、上方側の第2領域には、第2レンズ部70が構成されている。そして、第1レンズ部60における第1凸レンズ61の配列と、第2レンズ部70における第2凸レンズ72の配列とが異なるように構成されており、第1レンズ部60と第2レンズ部70とでは、互いに異なる拡散態様で照明光が照射されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報コード読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バーコードリーダなどの情報コード読取装置は、例えばLEDなどの照明光源を備えており、この照明光源から照射される照明光を光学レンズによって集光、或いは拡散させて情報コードに照射するといった構成が一般的である。この種の情報コード読取装置では、情報コードを精度良く読み取るために、情報コードに対して十分な照度で照明光が照射されることが求められており、また、情報コードの読み取りに適した所望の照度分布で照明光が照射されることが望ましいとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−266621公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような要求に応えようとする技術としては、例えば特許文献1のようなものが提供されている。この技術では、照明用のLEDの前方に蒲鉾状の集光レンズが設けられており、当該集光レンズにより、照明光源からの照明光を上下方向に集光すると共に当該上下方向と直交する幅方向に拡散させ、できるだけ均一な照度分布となるように横長の光を出射している。
【0005】
しかしながら、特許文献1の読取装置では、幅方向の照度分布を改善するという効果は得られるが、上下方向の照度分布を改善できないという問題がある。例えば照明光源から集光レンズ(レンズ手段)に入射する照明光において、レンズ下方側に入射する照明光の光量が相対的に大きく、レンズ上方側に入射する照明光の光量が相対的に小さくなるような場合、レンズ手段を透過して出射される照明光の光量は上下で大きくばらついてしまい、情報コードの上下で照度のムラが生じてしまうことになる。このような問題を解消するためには、照明光の拡散パターンをレンズ手段の上下で異ならせ、上下の照明光を調整して照度ムラを抑えることが望ましいといえる。
【0006】
また、レンズ手段の上下方向の複数領域で照明光の拡散パターンを異ならせるべき場合は上記のような照度ムラの改善に限られるものではなく、例えば上下方向の所定領域については集光性を強化し、他の領域で拡散性を重視するといった場合なども想定されうる。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、照明光源からの照明光をレンズ手段によって上下方向に集光しつつ幅方向に拡散させ得る情報コード読取装置において、上下方向の複数の領域で照明光の拡散パターンを異ならせることが可能な構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、
情報コードに向けて照明光を照射する照明手段と、
前記照明手段からの前記照明光を、所定の幅方向に拡散させ且つ前記幅方向と直交する上下方向に集光又はコリメートするレンズ手段と、
前記レンズ手段を介して照射される前記照明光が前記情報コードで反射したときに、前記情報コードからの反射光を受光する受光手段と、
前記受光手段による受光結果に基づいて、前記情報コードを読み取る読取手段と、
を備え、
前記レンズ手段は、当該レンズ手段の所定の上下方向において前記照明光の照射態様の異なる複数の領域に分けられており、
前記複数の領域のいずれか第1領域において、照明光透過方向における照明手段側には、前記上下方向に長手状に延び且つその長手方向全体で前記照明手段側に凸となる第1凸レンズが幅方向に複数並んで配置された第1レンズ部が設けられ、
前記複数の領域の内の前記第1領域とは異なる第2領域において、照明光透過方向における前記照明手段側には、前記上下方向に長手状に延び且つその長手方向全体で前記照明手段側に凸となる第2凸レンズが幅方向に複数並んで配置された第2レンズ部が設けられており、
前記第1レンズ部における前記第1凸レンズの配列と、前記第2レンズ部における前記第2凸レンズの配列とが異なるように構成されていることを特徴とする。
なお、「幅方向と直交する上下方向に集光する構成」とは、「透過する照明光の上下方向の拡散度合いを抑える」ことを意味し、透過する照明光を所定の焦点に向けて収束させる構成だけでなく、透過する照明光を平行光に変換する構成や、透過前の上下方向の拡散度合いよりも透過後の拡散度合いの方が小さくなるように(透過前よりも上下方向に狭く拡散するように)変換する構成をも含む概念である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば少ない光源数で幅の広い照明光を照射することができるようになる。また、上下方向に存在する複数の領域の内、第1領域に設けられた第1レンズ部は長手方向(上下方向)全体で照明手段側に凸となる第1凸レンズが幅方向に複数並んで配置されているため、第1レンズ部を透過する照明光により、第1凸レンズの配列に対応した照度分布を構成することができる。一方、上下方向に存在する複数の領域の内、第1領域とは異なる第2領域に設けられた第2レンズ部は、長手方向(上下方向)全体で照明手段側に凸となる第2凸レンズが幅方向に複数並んで配置されているため、第1レンズ部を透過する照明光により、第2凸レンズの配列に対応した照度分布を構成することができる。そして、第1レンズ部における第1凸レンズの配列と、第2レンズ部における第2凸レンズの配列とが異なるように構成されているため、上下方向の少なくとも2領域で照明光の拡散パターンを異ならせることができ、それぞれの領域での照射の向きに適した照度分布を別々に構成しやすくなる。
【0010】
請求項2の発明では、第1レンズ部には、第2レンズ部で配列される複数の第2凸レンズの最大幅以上で構成された大幅凸レンズが複数並んで設けられている。そして、第2レンズ部において最大幅の第2凸レンズが並ぶ領域幅の総和よりも、第1レンズ部において大幅凸レンズが並ぶ領域幅の総和のほうが大きくなっている。
この構成では、第2レンズ部の最大幅の第2凸レンズが並ぶ領域幅の総和よりも第1レンズ部において大幅凸レンズが並ぶ領域幅の総和のほうが大きく構成されるため、第1レンズ部側では照明光を幅方向に拡がらせて周辺光量を稼ぐことができるようになり、第2レンズ部側では照明光の拡散を抑え、幅方向の集光性を高めることができる。このような構成は、例えば照明光源からの第1レンズ部に入射する照明光の光量が相対的に大きく、第2レンズ部に入射する照明光の光量が相対的に小さい構成において照明光の均一化を図ろうとする場合、或いは、第1レンズ部よりも第2レンズ部の集光性を高めるべき場合などにおいてより有利となる。
【0011】
請求項3の発明では、第1レンズ部の幅方向両端部には、大幅凸レンズよりも幅の小さい凸レンズが並ぶ集光領域が設けられている。
このようにすると、例えば第1レンズ部の幅方向中央側が光軸に近く、幅方向両側の光量が相対的に小さくなる構成において幅方向両側の照度を高める場合や、或いは、幅方向両側の照度をより強化すべき場合などにおいて有利となる。
【0012】
請求項4の発明では、第1レンズ部の幅方向両端部には、大幅凸レンズよりも幅の小さい第1凸レンズが並ぶ第1レンズ部側集光領域が設けられており、第2レンズ部の幅方向両端部には、複数の第2凸レンズの最大幅よりも幅の小さい第2凸レンズが並ぶ第2レンズ部側集光領域が設けられている。そして、第1レンズ部側集光領域の領域幅の総和よりも第2レンズ部側集光領域の領域幅の総和のほうが大きくなるように構成されている。
このようにすると、例えば第1レンズ部及び第2レンズ部の幅方向中央側が光軸に近く、幅方向両側の光量が相対的に小さくなる場合などにおいて、それぞれの集光領域により幅方向両側の照度を高めることができる。そして、このような効果を得つつ、第2レンズ部側の集光性を相対的に高めるという効果を得ることもできる。
【0013】
請求項5の発明では、第1レンズ部における複数の第1凸レンズの一部が、第2レンズ部で配列される複数の第2凸レンズの最大幅よりも大きい幅で構成されている。
この構成によれば、第1レンズ部よりも第2レンズ部の集光性を高めるべき場合、或いは、第2レンズ部よりも第1レンズ部の拡散性を高めるべき場合に一層有利となる。
【0014】
請求項6の発明では、第2レンズ部には、第1レンズ部で配列される複数の第1凸レンズの最小幅以下で構成された小幅凸レンズが少なくとも当該第2レンズ部の幅方向両側部に複数並んで設けられている。そして、第1レンズ部において最小幅の第1凸レンズが並ぶ領域幅の総和よりも、第2レンズ部において小幅凸レンズが並ぶ領域幅の総和のほうが大きくなっている。
この構成では、第1レンズ部において最小幅の第1凸レンズが並ぶ領域幅の総和よりも、第2レンズ部において小幅凸レンズが並ぶ領域幅の総和のほうが大きくなっている、第1レンズ部側では照明光を幅方向に拡がらせて周辺光量を稼ぐことができるようになり、第2レンズ部側では照明光の拡散を抑え、幅方向の集光性を高めることができる。このような構成は、例えば照明光源からの第1レンズ部に入射する照明光の光量が相対的に大きく、第2レンズ部に入射する照明光の光量が相対的に小さい構成において照明光の均一化を図ろうとする場合、或いは、第1レンズ部よりも第2レンズ部の集光性を高めるべき場合などにおいてより有利となる。
【0015】
請求項7の発明では、照明手段が、少なくとも1つの照明光源を有しており、照明光源は、基板においてレンズ手段側の基板面に実装されると共に基板面と直交する所定方向に照明光を照射する構成をなし、照明光源から照射される照明光が、第1レンズ部及び第2レンズ部をいずれも透過するように構成されている。そして、レンズ手段は、上下方向が基板面の面方向に対して傾斜した方向となるように基板に対して傾斜して配置されており、照明光源の位置を通って所定方向に延びる仮想軸を光軸としたとき、第1レンズ部が第2レンズ部よりも光軸に近い位置に配置されている。
この構成では、基板に実装される照明光源からの照射方向に対して傾斜してレンズ手段を配置すべき場合において、照明光源の光軸に近く照明光源から第1レンズ部に入射する照明光の光量が相対的に大きい第1レンズ部では、照明光を幅方向に拡がらせて周辺光量を稼ぐことができるようになる。また、照明光源の光軸から遠く第2レンズ部に入射する照明光の光量が相対的に小さい第2レンズ部では、照明光の拡散を抑え、幅方向の集光性を高めることができ、照明光の均一化を図りやすくなる。
【0016】
請求項8の発明では、第2領域は、レンズ手段の上下方向の上端側に設けられ、第1領域は、第2領域の下方側に設けられている。更に、レンズ手段の複数の領域の内、第1領域よりも下方側の第3領域において、上下方向に長手状に延び且つその長手方向全体で前方に凸となる第3凸レンズが幅方向に複数並んで配置された第3レンズ部が設けられ、第1レンズ部における第1凸レンズの配列と、第3レンズ部における第3凸レンズの配列とが異なるように構成されている。
そして、第2レンズ部の幅方向両端部には、複数の第2凸レンズの最大幅よりも小さい第2凸レンズが並ぶ集光領域が設けられており、第3レンズ部の幅方向両端部には、複数の第3凸レンズの最大幅よりも小さい第3凸レンズが並ぶ集光領域が設けられている。
この構成では、レンズ手段の上端側に設けられる第2領域と下方側に設けられる第3領域のいずれにおいても、幅方向両端部に集光領域が設けられているため、前方側に照射される照明光の内の四隅側(上方両端及び下方両端)の照度を高めやすくなる。従って、例えば、四隅のうちの3つの部分に位置検出パターンが配置されるQRコード(登録商標)を読み取る場合に位置検出パターンの照度を相対的に高めて位置検出パターンの明瞭化を図りやすくなり、QRコードの読み取りを迅速かつ良好に行いやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る情報コード読取装置の電気的構成を例示するブロック図である。
【図2】図2は、図1の情報コード読取装置の内部構成を部分的に示す概略図である。
【図3】図3は、図2の内部構成の一部を拡大して示す拡大図であり、照明光源とレンズとの位置関係を示すものである。
【図4】図4(A)は、図1の情報コード読取装置の照明光学系に用いるレンズの斜視図であり、図4(B)は、そのレンズを図4(A)とは異なる方向から見た斜視図である。
【図5】図5は、図4のレンズを照明光源側から見た図である。
【図6】図6(A)は、図5のレンズを、図5のB−B位置で切断した断面概略図であり、図6(B)は、図5のA−A位置で切断した断面概略図である。
【図7】図7(A)は、図1、図2に示す情報コード読取装置での読取対象となる情報コードを説明する説明図であり、図7(B)は、照度分布と受光センサの感度との関係を説明する説明図である。
【図8】図8(A)は、第2実施形態に係る情報コード読取装置の照明光学系に用いるレンズの斜視図であり、図8(B)は、そのレンズを図8(A)とは異なる方向から見た斜視図である。
【図9】図9は、図8のレンズを照明光源側から見た図である。
【図10】図10(A)は、図9のレンズを図9のA−A位置で切断した断面概略図であり、図10(B)は、図9のB−B位置で切断した断面概略図であり、図10(C)は、図9のC−C位置で切断した断面概略図である。
【図11】図11は、第2実施形態に係る情報コード読取装置での読取対象となる情報コードを説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
以下、第1実施形態に係る情報コード読取装置について図面を参照しつつ説明する。
(全体構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係る情報コード読取装置の電気的構成を例示するブロック図であり、図2は、図1の情報コード読取装置の内部構成を部分的に示す概略図である。まず、図1、図2等を参照して本実施形態に係る情報コード読取装置1の全体構成について説明する。図1に示すように、本実施形態に係る情報コード読取装置1は、バーコード等の情報コードBを読み取るコードリーダとして構成されるものであり、ケース2によって外郭が構成され、このケース内に各種電子部品が収容された構成をなしている。
【0019】
この情報コード読取装置1は、図2に示す照明光源21、レンズ23などからなる照明光学系20と、図1に示す受光センサ26、フィルタ28、結像レンズ27等からなる受光光学系25と、メモリ35、制御回路40、操作スイッチ42、液晶表示装置46等のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系と、電源スイッチ41、電池49等の電源系等によって構成されている。なお、これらは、図2に示す基板10に実装あるいはケース2内に内装されている。
【0020】
照明光学系20は、ケース2に形成された読取口3(図2)を介して読取対象Rに向けて照明光Lfを照射するように構成されている。なお、読取対象Rとしては、例えば、樹脂材料、金属材料等の様々な対象が考えられ、本実施形態に係る情報コード読取装置1では、このような読取対象Rに形成された情報コードB(光学的情報)に対して照明光Lfを照射し、受光光学系25によって撮像する構成をなしている。なお、照明光学系20については後に詳述する。
【0021】
受光光学系25は、読取対象Rからの反射光Lrを受光センサ26の受光面26aに結像させ、情報コードBの像に応じた電気信号を生成するように機能している。
【0022】
受光センサ26は、読取対象Rや情報コードBに照射されて反射した反射光Lrを受光可能に構成されるもので、例えば、C−MOSやCCD等の固体撮像素子である受光素子を一次元に配列したラインセンサ、或いは2次元に配列したエリアセンサが、これに相当する。この受光センサ26は、結像レンズ27を介して入射する入射光を受光面26aで受光し得るように基板10(図2)に実装されている。なお、受光センサ26は、「受光手段」の一例に相当し、レンズ23(レンズ手段)を介して照射される照明光Lfが情報コードBで反射したときに、情報コードBからの反射光Lrを受光するように機能する。
【0023】
フィルタ28は、反射光Lrの波長相当以下の光の通過を許容し、当該波長相当を超える光の通過を遮断し得る光学的なローパスフィルタで、ケースに形成された読取口3(図2)と結像レンズ27との間に設けられている。これにより、反射光Lrの波長相当を超える不要な光が受光センサ26に入射することを抑制している。
【0024】
また、結像レンズ27は、例えば、鏡筒とこの鏡筒内に収容される複数の集光レンズとによって構成されており、本実施形態では、ケースに形成された読取口3(図2)に入射する反射光Lrを集光し、受光センサ26の受光面26aに情報コードBのコード画像を結像するように構成されている。
【0025】
マイコン系は、増幅回路31、A/D変換回路33、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御回路40、操作スイッチ42、LED43、ブザー44、液晶表示装置46、通信インタフェース48等から構成されている。このマイコン系は、マイコン(情報処理装置)として機能し得る制御回路40及びメモリ35を中心として構成され、前述した光学系によって撮像された情報コードBの画像信号をハードウェア的およびソフトウェア的に信号処理し得るものである。
【0026】
光学系の受光センサ26から出力される画像信号(アナログ信号)は、増幅回路31に入力されることで所定ゲインで増幅された後、A/D変換回路33に入力され、アナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号、つまり画像データ(画像情報)は、メモリ35に入力され、当該メモリ35の画像データ蓄積領域に蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、受光センサ26およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいて、メモリ35に格納される画像データの格納アドレスを発生可能に構成されている。
【0027】
メモリ35は、半導体メモリ装置であり、例えばRAM(DRAM、SRAM等)やROM、不揮発性メモリ等がこれに相当する。このメモリ35のうちのRAMには、前述した画像データ蓄積領域のほかに、制御回路40が算術演算や論理演算等の各処理時に利用する作業領域や読取条件テーブルも確保可能に構成されている。またROMには、読取処理等を実行可能な所定プログラムやその他、照明光源21、受光センサ26等の各ハードウェアを制御可能なシステムプログラム等が予め格納されている。
【0028】
制御回路40は、情報コード読取装置1全体を制御可能なマイコンで、CPU、システムバス、入出力インタフェース等からなるものであり、情報処理機能を有している。この制御回路40には、内蔵された入出力インタフェースを介して種々の入出力装置(周辺装置)が接続されており、本実施形態の場合、電源スイッチ41、操作スイッチ42、LED43、ブザー44、液晶表示装置46、通信インタフェース48等が接続されている。また、通信インタフェース48には、情報コード読取装置1の上位システムに相当するホストコンピュータHSTなどを接続できるようになっている。
本実施形態では、制御回路40が「読取手段」の一例に相当し、受光センサ26による受光結果に基づいて、情報コードBを読み取るように機能する。なお、制御回路40による情報コードBの読み取りは、受光センサ26によって得られるコード画像に基づいて公知のデコード方法によって行われる。
【0029】
電源系は、電源スイッチ41、電池49等により構成されており、制御回路40により管理される電源スイッチ41のオンオフによって、上述した各装置や各回路に、電池49から供給される駆動電圧の導通や遮断が制御されている。なお、電池49は、所定の直流電圧を発生可能な2次電池で、例えば、リチウムイオン電池等がこれに相当する。
【0030】
(照明光学系の具体的構成)
次に、照明光学系20の具体的構成について詳述する。
照明光学系20において、照明光源21は、「照明手段」の一例に相当するものであり、例えばLEDなどの公知の光源によって構成され、情報コードBに向けて照明光を照射するように機能している。また、レンズ23は、「レンズ手段」の一例に相当するものであり、照明光源21からの照明光を、所定の幅方向に拡散させ且つ幅方向と直交する上下方向に集光又はコリメートするように機能する。具体的には、レンズ23の厚さ方向一方側(照明光源21側)の部分がレンチキュラーレンズ部として構成されており、主として、照明光源21からの照明光Lf’を幅方向に拡散させるように機能している。また、レンズ23の厚さ方向他方側(照明光源21とは反対側)の部分がシリンドリカルレンズ部として構成されており、照明光源21からの照明光Lf’を上下方向に集光又はコリメートするように機能している。なお、図3では、照明光源21から出射された照明光を符号Lf’で示しており、レンズ23を透過した後の照明光を符号Lfで示している。
【0031】
図4〜図6に示すように、レンズ23は、当該レンズ23の所定の上下方向において前記照明光の照射態様の異なる複数の領域に分けられている。このレンズ23では、各第1凸レンズ61が並ぶ方向及び各第2凸レンズ72が並ぶ方向を幅方向としており、図5等では、幅方向をX軸方向で示している。また、長手状に構成される各第1凸レンズ61及び各第2凸レンズ72の長手方向を上下方向としており、上下方向についてはY軸方向として示している。更に、これら幅方向及び上下方向と直交する方向を厚さ方向としており、厚さ方向についてはZ軸方向として示している。
【0032】
図4〜図6に示すレンズ23では、図5のように上下に2つの領域に区分けされており、下方側(具体的には下半分)の領域を第1領域AR1とし、上方側(具体的には上半分)の領域を第2領域AR2としている。下方側の第1領域AR1には第1レンズ部60が構成されており、この第1レンズ部60は、照明光透過方向(図3に示す矢印Fの方向)の照明光源21側において、上下方向に長手状に延び且つその長手方向全体で照明光源21側に凸となる第1凸レンズ61が幅方向に複数並んで配置されている。また、上方側の第2領域AR2には、第2レンズ部70が構成されており、この第2レンズ部70は、照明光透過方向(図3の矢印F3の方向)の照明光源21側において、上下方向に長手状に延び且つその長手方向全体で照明光源21側に凸となる第2凸レンズ72が幅方向に複数並んで配置されている。そして、第1レンズ部60における第1凸レンズ61の配列と、第2レンズ部70における第2凸レンズ72の配列とが異なるように構成されており、第1レンズ部60と第2レンズ部70とでは、互いに異なる拡散態様で照明光が照射されるようになっている。
【0033】
第1レンズ部60に設けられた各第1凸レンズ61は、いずれも蒲鉾状に構成されており、いずれの第1凸レンズ61も上下方向(Y軸方向)と直交する切断面での曲率が、上下全体で一定となっている。つまり、第1レンズ部60を上下方向のどの位置で切断しても、上下方向(Y軸方向)と直交する切断面における照明光源21側の外面形状が図6(A)のような形状となっている。また第1レンズ部60の複数の第1凸レンズ61はいずれも、上下方向(Y軸方向)と直交する切断面における照明光源21側の外面の曲率が他の第1凸レンズ61と同一となっている。このような構成となっているため、図6(A)のように、相対的に幅の広い大幅凸レンズ61aを透過する照明光は、幅方向に広く拡散することとなり、大幅凸レンズ61aよりも幅の狭い小幅凸レンズ61b,62cを透過する照明光については、大幅凸レンズ61aを透過する照明光と比較して幅方向の拡散が抑えられることになる。
【0034】
第2レンズ部70に設けられた各第2凸レンズ72は、いずれも蒲鉾状に構成されており、いずれの第2凸レンズ72も上下方向(Y軸方向)と直交する切断面での曲率が、上下全体で一定となっている。つまり、第2レンズ部70を上下方向のどの位置で切断しても、上下方向(Y軸方向)と直交する切断面における照明光源21側の外面形状が図6(B)のような形状となっている。また第2レンズ部70の複数の第2凸レンズ72はいずれも、上下方向(Y軸方向)と直交する切断面における照明光源21側の外面の曲率が他の第2凸レンズと同一となっている。このような構成となっているため、図6(B)のように、相対的に幅の広い中央部の第2凸レンズ72bを透過する照明光は、幅方向に広く拡散することとなり、これよりも幅の狭い中間位置の第2凸レンズ72iを透過する照明光については、第2凸レンズ72aを透過する照明光と比較して幅方向の拡散が抑えられることになる。また、第2凸レンズ72iよりも幅の狭い端部側の第2凸レンズ72bを透過する照明光については、第2凸レンズ72iを透過する照明光よりも更にて幅方向の拡散が抑えられることになる。また、図4〜図6の構成では、上下方向(Y軸方向)と直交する切断面における第2凸レンズ72の照明光源側の外面の曲率と、当該切断面における第1凸レンズ71の照明光源側の外面の曲率とが同じとなっている。
【0035】
また、第1レンズ部60は、幅方向中央部の所定領域に亘り、幅の広い大幅凸レンズ61aが複数配列されている。この大幅凸レンズ61aは、第2レンズ部70の最大幅の第2凸レンズ(第2凸レンズ72a)よりも幅が広く構成されている。一方、第2レンズ部70で最大幅となる第2凸レンズ72aは、当該第2レンズ部70の幅方向中央部付近に2つ設けられており、図5の構成では、第2レンズ部70において最大幅の第2凸レンズ72aが並ぶ領域幅の総和よりも、第1レンズ部60において大幅凸レンズ61aが並ぶ領域幅の総和のほうが大きくなっている。また第1レンズ部60に配列される複数の大幅凸レンズ71aは、第2レンズ部70で配列される複数の第2凸レンズ72の最大幅(幅方向中央部の2つの第2凸レンズ72aの幅)よりも大きい幅で構成されている。
【0036】
第1レンズ部60の幅方向両端部には、大幅凸レンズ61aよりも幅の小さい第1凸レンズ61が並ぶ集光領域(第1レンズ部側集光領域)が設けられている。図5(A)の例では、第1レンズ部60の幅方向中央部から両側部近くに至るまで10本の大幅第1凸レンズ61aが並んでおり、幅方向一端部には、この大幅第1凸レンズ61aよりも幅が狭く、第2レンズ部70での最大幅の第2凸レンズ72aよりも幅の狭い4本の小幅第1凸レンズ61bが並んでいる。また、幅方向他端部には、大幅第1凸レンズ61aよりも幅が狭く、第2レンズ部70での最大幅の第2凸レンズ72aよりも幅の狭い4本の小幅第1凸レンズ61cが並んでいる。小幅第1凸レンズ61bと小幅第1凸レンズ61cの幅は同程度とされており、これら小幅第1凸レンズ61b,61cは配置された領域が集光領域(第1レンズ部側集光領域)に相当している。この構成では、大幅第1凸レンズ61aが配置される幅方向中央付近の広い領域に亘って、幅方向に広く拡散された光が照射されることになり、小幅第1凸レンズ61b,61cが配置された集光領域では、大幅第1凸レンズ61aの領域よりも幅方向の拡散度合いが狭く抑えられた照明光(即ち、大幅第1凸レンズ61aの領域よりも集光性が高められた照明光)が照射されることになる。
【0037】
図5に示すように、第2レンズ部70は、幅方向中央部の所定領域において、当該第2レンズ部で最大幅となる第2凸レンズ72aが2つ配列されている。そして、この最大幅の第2凸レンズ72aの幅方向両側には、最大幅の第2凸レンズ72aよりも幅の狭い第2凸レンズが複数配列されている。2つの第2凸レンズ72aの幅方向一方側に配列される第2凸レンズ72(最大幅の第2凸レンズ72aよりも幅の狭い第2凸レンズ)は、幅方向中央部に近づくにつれて幅が広くなるように構成されており、幅方向一端部に近づくにつれて幅が狭くなるように構成されている。また、2つの第2凸レンズ72aの幅方向他方側に配列される第2凸レンズ72(最大幅の第2凸レンズ72aよりも幅の狭い第2凸レンズ)も、幅方向中央部に近づくにつれて幅が広くなるように構成されており、幅方向他端部に近づくにつれて幅が狭くなるように構成されている。なお、最大幅の第2凸レンズ72aよりも幅の狭い第2凸レンズが並ぶ領域(即ち、2つの第2凸レンズ72aの両側方の領域)が第2レンズ部側集光領域に相当しており、上述の第1レンズ部側集光領域の領域幅の総和よりも第2レンズ部70側集光領域の領域幅の総和のほうが大きくなるように構成されている。なお、第2レンズ部70の幅方向両端部に配置される第2凸レンズ72b、72cの幅は、第1レンズ部60の小幅第1凸レンズ61b,61cと同程度の幅とされている。
【0038】
また、本構成では、図2、図3のように、例えば1つの照明光源21が設けられており、この照明光源21は、基板10においてレンズ23側の基板面10aに実装されると共に基板面10aと直交する所定方向に照明光Lf’を照射する構成をなしている。そして、照明光源21から照射される照明光Lf’が、第1レンズ部60及び第2レンズ部70をいずれも透過するように構成されている。そして、レンズ23は、上下方向(Y軸方向)が基板面10aの面方向に対して傾斜した方向となるように基板10に対して傾斜して配置されており、照明光源21の位置を通って所定方向(基板面10aと直交する方向)に延びる仮想軸を光軸X1としたとき、第1レンズ部60が第2レンズ部70よりも光軸X1に近い位置に配置されている。
【0039】
この構成では、第2レンズ部70よりも第1レンズ部60のほうが照明光源21の光軸X1に近いため、照明光源21から第1レンズ部60に入射する照明光Lf’の光量が第2レンズ部70に入射する照明光Lf’の光量と比べて相対的に大きくなるが、第1レンズ部60では、広い領域で照明光の幅方向の広がりを大きくしているため、第1レンズ部60から出射される光と第2レンズ部70から出射される光の光量差を抑え、第1レンズ部60から出射される光によって周辺光量を底上げすることができる。また、照明光源21の光軸X1から遠く照明光源21から入射する照明光Lf’の光量が相対的に小さい第2レンズ部70では、広い領域で照明光の幅方向の拡散を抑えており、幅方向の集光性を高めることができるため、この点によっても、第1レンズ部60から出射される光と第2レンズ部70から出射される光の光量差を抑えることができ、全体として照明光の均一化を図りやすくなる。
【0040】
(第1実施形態の主な効果)
上記構成によれば少ない光源数で幅の広い照明光を照射することができるようになる。また、上下方向に存在する複数の領域の内、第1領域AR1に設けられた第1レンズ部60では長手方向(上下方向)全体で照明光源側に凸となる第1凸レンズ61が幅方向に複数並んで配置されているため、第1レンズ部60を透過する照明光により、第1凸レンズ61の配列に対応した照度分布を構成することができる。一方、上下方向に存在する複数の領域の内、第1領域AR1とは異なる第2領域AR2に設けられた第2レンズ部70では、長手方向(上下方向)全体で照明光源側に凸となる第2凸レンズ72が幅方向に複数並んで配置されているため、第1レンズ部60を透過する照明光により、第2凸レンズ72の配列に対応した照度分布を構成することができる。そして、第1レンズ部60における第1凸レンズ61の配列と、第2レンズ部70における第2凸レンズ72の配列とが異なるように構成されているため(具体的には、各第1凸レンズ61と各第2凸レンズ72の曲率を同じとしつつ、複数の第1凸レンズ61の幅のパターンと、複数の第2凸レンズ72の幅のパターンを異ならせているため)、上下方向の少なくとも2領域で照明光の拡散パターンを異ならせることができ、それぞれの領域での照射の向きに適した照度分布を別々に構成しやすくなる。
【0041】
また、第1レンズ部60には、第2レンズ部70で配列される複数の第2凸レンズ72の最大幅以上で構成された大幅凸レンズ61aが複数並んで設けられている。そして、第2レンズ部70において最大幅の第2凸レンズ72が並ぶ領域幅の総和よりも、第1レンズ部60において大幅凸レンズ61aが並ぶ領域幅の総和のほうが大きくなっている。
この構成では、第2レンズ部70の最大幅の第2凸レンズ72が並ぶ領域幅の総和よりも第1レンズ部60において大幅凸レンズ61aが並ぶ領域幅の総和のほうが大きく構成されるため、第1レンズ部60側では照明光を幅方向に拡がらせて周辺光量を稼ぐことができるようになり、第2レンズ部70側では照明光の拡散を抑え、幅方向の集光性を高めることができる。このような構成は、例えば照明光源21から第1レンズ部60に入射する照明光の光量が相対的に大きく、第2レンズ部70に入射する照明光の光量が相対的に小さい構成において照明光の均一化を図ろうとする場合、或いは、第1レンズ部60よりも第2レンズ部70の集光性を高めるべき場合などにおいてより有利となる。
【0042】
また、上記構成では、第1レンズ部60における複数の第1凸レンズ61の一部が、第2レンズ部70で配列される複数の第2凸レンズ72の最大幅よりも大きい幅で構成されている。この構成によれば、第1レンズ部60よりも第2レンズ部70の集光性を高めるべき場合、或いは、第2レンズ部70よりも第1レンズ部60の拡散性を高めるべき場合に一層有利となる。
【0043】
また、上記構成では、例えば1つの照明光源21を有しており、照明光源21は、基板10においてレンズ23側の基板面10aに実装されると共に基板面10aと直交する所定方向に照明光を照射する構成をなし、照明光源から照射される照明光が、第1レンズ部60及び第2レンズ部70をいずれも透過するように構成されている。そして、レンズ23は、上下方向が基板面10aの面方向に対して傾斜した方向となるように基板10に対して傾斜して配置されており、照明光源の位置を通って所定方向に延びる仮想軸を光軸X1としたとき、第1レンズ部60が第2レンズ部70よりも光軸X1に近い位置に配置されている。
この構成では、基板10に実装される照明光源からの照射方向に対して傾斜してレンズ23を配置すべき場合において、照明光源の光軸X1に近く照明光源から第1レンズ部60に入射する照明光の光量が相対的に大きい第1レンズ部60では、照明光を幅方向に拡がらせて周辺光量を稼ぐことができるようになる。また、照明光源の光軸X1から遠く第2レンズ部70に入射する照明光の光量が相対的に小さい第2レンズ部70では、照明光の拡散を抑え、幅方向の集光性を高めることができ、照明光の均一化を図りやすくなる。
【0044】
例えば、図2、図3のような構成において、レンズ23の形状が図4〜図6のようなものではなく、第1領域AR1と第2領域AR2とが同一の形状のものである場合、レンズから出射される横長の照明光を図7のようなバーコードに当てたときに、照明光源21の光軸X1に近いレンズ下方側からの照明光が当る領域C1の照度分布(相対的に高い照度となる照度分布)と、照明光源21の光軸X1に近いレンズ上方側からの照明光が当る領域C2の照度分布(相対的に低い照度となる照度分布)が大きく異なってしまう。そして、このような照度ムラが生じるとバーコードBの読み取りに悪影響を及ぼす虞がある。しかしながら、上記構成では、レンズ下方側からの照明光については幅方向に拡散させて各位置での照度を相対的に抑えており、レンズ上方側からの照明光については幅方向の拡散を抑えて各位置での照度を相対的に高めているため、図7のようなバーコードに当てたときにレンズ下方側からの照明光が当る領域C1とレンズ上方側からの照明光が当る領域C2とで照度の差が小さくなり、照度ムラを抑えて均一化を図ることができる。
【0045】
また、上記構成では、第1レンズ部60の幅方向両端部には、大幅凸レンズ61aよりも幅の小さい凸レンズが並ぶ集光領域(第1レンズ部側集光領域)が設けられている。このようにすると、例えば第1レンズ部60の幅方向中央側が光軸X1に近く、幅方向両側の光量が相対的に小さくなる構成において幅方向両側の照度を高める場合や、或いは、幅方向両側の照度をより強化すべき場合などにおいて有利となる。例えば、図3のような構成において、第1レンズ部60の幅方向中央部が光軸X1に近く、幅方向両端部が中央部よりも光軸X1から遠い場合、幅方向両端部の照明光の光量が小さくなり、例えば図7(A)のようなバーコードBを照らしたときに、下側照射領域C1においてバーコードBの両側の領域D1,D2の照度が落ちることが懸念されるが、上記構成によれば、下側照射領域において図7(B)のような照度分布を得ることができ、幅方向両端部の照度低下を抑えることができる。また、図7(A)のようなバーコードBを長手状の受光センサ26で撮像する場合、一般的に受光センサ26の幅方向両端部付近の感度が低下することが懸念され、図7(B)のようにバーコードBの像が受光センサ26の幅方向両端部付近にまで至る場合には、バーコードBの幅方向両端部付近が明瞭に撮像されなくなる虞がある。しかしながら、上記構成では、バーコードBを照射したときに幅方向両側の照度を積極的に高めることができるため、上述の感度低下を補うことができ、より明瞭な撮像及び良好な解読が可能となる。
【0046】
第2レンズ部70の幅方向両端部から幅方向中央部付近に至るまで、複数の第2凸レンズ72の最大幅よりも幅の小さい第2凸レンズ72が並ぶ集光領域(第2レンズ部側集光領域)が設けられている。そして、第1レンズ部60側集光領域の領域幅の総和よりも第2レンズ部側集光領域の領域幅の総和のほうが大きくなるように構成されている。
このようにすると、例えば第1レンズ部60及び第2レンズ部70の幅方向中央側が光軸X1に近く、幅方向両側の光量が相対的に小さくなる場合などにおいて、それぞれの集光領域により幅方向両側の照度を高めることができる。そして、このような効果を得つつ、第2レンズ部70側の集光性を相対的に高めるという効果を得ることもできる。
特に、第2レンズ部70の幅方向両端部付近も、第1レンズ部側集光領域の幅に近い小幅の第2凸レンズ72b,72cで構成されているため、バーコードBを照らしたときの上側領域C2を撮像する場合ににおいても、下側領域C1を撮像する場合と同様の効果を得ることができる。
【0047】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図8(A)は、第2実施形態に係る情報コード読取装置の照明光学系に用いるレンズの斜視図であり、図8(B)は、そのレンズを図8(A)とは異なる方向から見た斜視図である。図9は、図8のレンズを照明光源側から見た図である。図10(A)は、図9のレンズを図9のA−A位置で切断した断面概略図であり、図10(B)は、図9のB−B位置で切断した断面概略図であり、図10(C)は、図9のC−C位置で切断した断面概略図である。図11は、第2実施形態に係る情報コード読取装置での読取対象となる情報コードを説明する説明図である。
【0048】
本実施形態では、レンズ23の構成、配置のみが第1実施形態と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。よって第1実施形態と同様の点については、第1実施形態と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。例えば図1〜図3については、第1実施形態と同様であるため、適宜これらの図を参照することとする。
【0049】
なお、本実施形態でも、照明光源21が「照明手段」の一例に相当し、例えばLEDなどの公知の光源によって構成され、情報コードBに向けて照明光Lfを照射するように機能している。また、本実施形態でも、レンズ23は、「レンズ手段」の一例に相当するものであり、照明光源21からの照明光を、所定の幅方向に拡散させ且つ幅方向と直交する上下方向に集光又はコリメートするように機能する。
【0050】
本実施形態でも、レンズ23は、当該レンズ23の所定の上下方向において照明光の照射態様の異なる複数の領域(3つの領域)に分けられており、その3つの領域の内の中央の第1領域AR1において、照明光透過方向における照明光源21側には、上下方向に長手状に延び且つその長手方向全体で外方に凸となる第1凸レンズ61が幅方向に複数並んで配置された第1レンズ部60が設けられている。また、第1領域AR1の上方の第2領域AR2において、照明光透過方向における照明光源21側には、上下方向に長手状に延び且つその長手方向全体で外方に凸となる第2凸レンズ72が幅方向に複数並んで配置された第2レンズ部70が設けられている。そして、第1レンズ部60における第1凸レンズ61の配列と、第2レンズ部70における第2凸レンズ72の配列とが異なるように構成されている(図9、図10(A)、図10(B)参照)。
【0051】
更に、第1領域AR1よりも下方側の第3領域AR3において、照明光透過方向における照明光源21側には、上下方向に長手状に延び且つその長手方向全体で前方に凸となる第3凸レンズ83が幅方向に複数並んで配置された第3レンズ部80が設けられている。そして、第1レンズ部60における第1凸レンズの配列と、第3レンズ部80における第3凸レンズ83の配列とが異なるように構成されている(図9、図10(B)、図10(C)参照)。
【0052】
この構成でも、第1レンズ部60に設けられた各第1凸レンズ61は、いずれも蒲鉾状に構成されており、いずれの第1凸レンズ61も上下方向(Y軸方向)と直交する切断面での曲率が、上下全体で一定となっている。つまり、第1レンズ部60を上下方向のどの位置で切断しても、上下方向(Y軸方向)と直交する切断面における照明光源21側の外面形状が図10(B)のような形状となっている。また第1レンズ部60の複数の第1凸レンズ61はいずれも、上下方向(Y軸方向)と直交する切断面における照明光源21側の外面の曲率が他の第1凸レンズ61と同一となっている。このような構成となっているため、相対的に幅の広い大幅凸レンズ61aを透過する照明光は、幅方向に広く拡散することとなり、大幅凸レンズ61aよりも幅の狭い小幅凸レンズ61b,62cを透過する照明光については、大幅凸レンズ61aを透過する照明光と比較して幅方向の拡散が抑えられることになる。
【0053】
第2レンズ部70に設けられた各第2凸レンズ72は、いずれも蒲鉾状に構成されており、いずれの第2凸レンズ72も上下方向(Y軸方向)と直交する切断面での曲率が、上下全体で一定となっている。つまり、第2レンズ部70を上下方向のどの位置で切断しても、上下方向(Y軸方向)と直交する切断面における照明光源21側の外面形状が図10(A)のような形状となっている。また第2レンズ部70の複数の第1凸レンズ61はいずれも、上下方向(Y軸方向)と直交する切断面における照明光源21側の外面の曲率が他の第2凸レンズと同一となっている。このような構成となっているため、相対的に幅の広い中央部の第2凸レンズ72aを透過する照明光は、幅方向に広く拡散することとなり、これよりも幅の狭い幅方向両側の第2凸レンズ72b、72cを透過する照明光については、第2凸レンズ72aを透過する照明光と比較して幅方向の拡散が抑えられることになる。このように、第2レンズ部70の幅方向両端部には、複数の第2凸レンズ72の最大幅(中央部付近の第2凸レンズ72aの幅)よりも幅の小さい小幅の第2凸レンズ72が並ぶ集光領域が設けられているため、レンズ23から照射される照射光が照らされる領域の上側且つ幅方向両側では、相対的に照度が高められることになる。
【0054】
第3レンズ部80に設けられた各第3凸レンズ83は、いずれも蒲鉾状に構成されており、いずれの第3凸レンズ73も上下方向(Y軸方向)と直交する切断面での曲率が、上下全体で一定となっている。つまり、第3レンズ部80を上下方向のどの位置で切断しても、上下方向(Y軸方向)と直交する切断面における照明光源21側の外面形状が図10(C)のような形状となっている。また第3レンズ部80の複数の第3凸レンズ83はいずれも、上下方向(Y軸方向)と直交する切断面における照明光源21側の外面の曲率が他の第3凸レンズと同一となっている。このような構成となっているため、相対的に幅の広い中央部の第3凸レンズ83aを透過する照明光は、幅方向に広く拡散することとなり、これよりも幅の狭い幅方向両側の第3凸レンズ83b、83cを透過する照明光については、第3凸レンズ83aを透過する照明光と比較して幅方向の拡散が抑えられることになる。このように、第3レンズ部80の幅方向両端部には、複数の第3凸レンズ83の最大幅(中央部付近の第3凸レンズ83aの幅)よりも幅の小さい小幅の第3凸レンズ83が並ぶ集光領域が設けられているため、レンズ23から照射される照射光が照らされる領域の下側且つ幅方向両側では、相対的に照度が高められることになる。
【0055】
この構成では、レンズ23の上端側に設けられる第2領域AR2と下方側に設けられる第3領域AR3のいずれにおいても、幅方向両端部に集光領域が設けられているため、前方側に照射される照明光の内の四隅側(上方両端及び下方両端)の照度を高めやすくなる。従って、例えば、図11のように、四隅のうちの3つの部分に位置検出パターンが配置されるQRコード(登録商標)を読み取る場合に、4隅の各凸レンズ領域(第2凸レンズ72bの領域、第2凸レンズ72cの領域、第3凸レンズ82bの領域、第3凸レンズ83cの領域)からの照度の高い照明光が各領域E1、E2、E3、E4にそれぞれ当るように照射すれば、位置検出パターンの照度を相対的に高めて位置検出パターンの明瞭化を図りやすくなり、QRコードの読み取りを迅速かつ良好に行いやすくなる。
【0056】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0057】
上記構成では、1つの照明光源21が設けられた例を示したが、複数の照明光源21が設けられていてもよい。この場合、各照明光源21からの光が第1領域AR1、第2領域AR2のいずれにも入り込むように構成すればよい。
【0058】
第1実施形態では、第2レンズ部70の幅方向両端部において、第1レンズ部60で配列される複数の第1凸レンズ61の最小幅以下(図5等の構成では、第1凸レンズ61の最小幅と同一)で構成された小幅凸レンズ(第2凸レンズ72b、72c)が複数並んで設けられていたが、第1レンズ部60において最小幅の第1凸レンズ61が並ぶ領域幅の総和よりも、第2レンズ部70において小幅凸レンズ(第2凸レンズ72b、72c)が並ぶ領域幅の総和のほうが大きくなるように構成してもよい。例えば、図5、図6の構成を変形し、第2レンズ部70の幅方向一方側において第2凸レンズ72bを5つ以上配列し、第2レンズ部70の幅方向他方側において第2凸レンズ72cを5つ以上配列するようにしてもよい。この構成によっても、第1レンズ部60側では照明光を幅方向に拡がらせて周辺光量を稼ぐことができるようになり、第2レンズ部70側では照明光の拡散を抑え、幅方向の集光性を高めることができる。また、この場合、第2凸レンズ72b、72cの幅を第1凸レンズ61の最小幅よりも小さくしてもよい。
【0059】
第1、第2実施形態では、第1レンズ部60においていずれの第1凸レンズ61の曲率も同じとしたが、曲率を異ならせるようにしてもよい。また、第2レンズ部70においていずれの第2凸レンズ72の曲率も同じとしたが、曲率を異ならせるようにしてもよい。また、第2実施形態では、いずれの第3凸レンズ83の曲率も同じとしたが、曲率を異ならせるようにしてもよい。
【0060】
上記実施形態では、レンズの上下方向において第1領域と第2領域とが段階的に変化していたが、第1領域の第1凸レンズと第2領域の第2凸レンズとの間が連続的に変化するように構成してもよい。例えば、上下に配置される一部又は全部の第1凸レンズ及び第2凸レンズのペアにおいて第1凸レンズ側から第2凸レンズ側となるにつれて次第に幅が大きくなるように構成したり、次第に幅が小さくなるように構成してもよい。或いは、上下に配置される一部の第1凸レンズ及び第2凸レンズのペアにおいて両凸レンズの幅が同一とされていてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1…情報コード読取装置
10…基板
10a…基板面
21…照明光源(照明手段)
23…レンズ(レンズ手段)
26…受光センサ(受光手段)
40…制御回路(読取手段)
60…第1レンズ部
61…第1凸レンズ
61a…大幅凸レンズ
61b,61c…大幅凸レンズより幅の小さい凸レンズ
70…第2レンズ部
71a…第2レンズ部の最大幅の第2凸レンズ
72…第2凸レンズ
80…第3レンズ部
83…第3凸レンズ
AR1…第1領域
AR2…第2領域
AR3…第3領域
X1…光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報コードに向けて照明光を照射する照明手段と、
前記照明手段からの前記照明光を、所定の幅方向に拡散させ且つ前記幅方向と直交する上下方向に集光又はコリメートするレンズ手段と、
前記レンズ手段を介して照射される前記照明光が前記情報コードで反射したときに、前記情報コードからの反射光を受光する受光手段と、
前記受光手段による受光結果に基づいて、前記情報コードを読み取る読取手段と、
を備え、
前記レンズ手段は、当該レンズ手段の所定の上下方向において前記照明光の照射態様の異なる複数の領域に分けられており、
前記複数の領域のいずれか第1領域において、照明光透過方向における前記照明手段側には、前記上下方向に長手状に延び且つその長手方向全体で前記照明手段側に凸となる第1凸レンズが幅方向に複数並んで配置された第1レンズ部が設けられ、
前記複数の領域の内の前記第1領域とは異なる第2領域において、照明光透過方向における前記照明手段側には、前記上下方向に長手状に延び且つその長手方向全体で前記照明手段側に凸となる第2凸レンズが幅方向に複数並んで配置された第2レンズ部が設けられており、
前記第1レンズ部における前記第1凸レンズの配列と、前記第2レンズ部における前記第2凸レンズの配列とが異なるように構成されていることを特徴とする情報コード読取装置。
【請求項2】
前記第1レンズ部には、前記第2レンズ部で配列される複数の前記第2凸レンズの最大幅以上で構成された大幅凸レンズが複数並んで設けられており、
前記第2レンズ部において前記最大幅の前記第2凸レンズが並ぶ領域幅の総和よりも、前記第1レンズ部において前記大幅凸レンズが並ぶ領域幅の総和のほうが大きくなっていることを特徴とする請求項1に記載の情報コード読取装置。
【請求項3】
前記第1レンズ部の幅方向両端部には、前記大幅凸レンズよりも幅の小さい凸レンズが並ぶ集光領域が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の情報コード読取装置。
【請求項4】
前記第1レンズ部の幅方向両端部には、前記大幅凸レンズよりも幅の小さい前記第1凸レンズが並ぶ第1レンズ部側集光領域が設けられており、
前記第2レンズ部の幅方向両端部には、複数の前記第2凸レンズの前記最大幅よりも幅の小さい前記第2凸レンズが並ぶ第2レンズ部側集光領域が設けられており、
前記第1レンズ部側集光領域の領域幅の総和よりも前記第2レンズ部側集光領域の領域幅の総和のほうが大きくなるように構成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3のいずれか一項に記載の情報コード読取装置。
【請求項5】
前記第1レンズ部における複数の前記第1凸レンズの一部が、前記第2レンズ部で配列される複数の前記第2凸レンズの最大幅よりも大きい幅で構成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の情報コード読取装置。
【請求項6】
前記第2レンズ部には、前記第1レンズ部で配列される複数の前記第1凸レンズの最小幅以下で構成された小幅凸レンズが少なくとも当該第2レンズ部の幅方向両側部に複数並んで設けられており、
前記第1レンズ部において前記最小幅の前記第1凸レンズが並ぶ領域幅の総和よりも、前記第2レンズ部において前記小幅凸レンズが並ぶ領域幅の総和のほうが大きくなっていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の情報コード読取装置。
【請求項7】
前記照明手段は、少なくとも1つの照明光源を有し、
前記照明光源は、基板において前記レンズ手段側の基板面に実装されると共に前記基板面と直交する所定方向に前記照明光を照射する構成をなし、前記照明光源から照射される照明光が、前記第1レンズ部及び前記第2レンズ部をいずれも透過するように構成されており、
前記レンズ手段は、前記上下方向が前記基板面の面方向に対して傾斜した方向となるように前記基板に対して傾斜して配置されており、
前記照明光源の位置を通って前記所定方向に延びる仮想軸を光軸としたとき、前記第1レンズ部が前記第2レンズ部よりも前記光軸に近い位置に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の情報コード読取装置。
【請求項8】
前記第2領域は、前記レンズ手段の上下方向の上端側に設けられ、前記第1領域は、前記第2領域の下方側に設けられており、
更に、前記レンズ手段の前記複数の領域の内、前記第1領域よりも下方側の第3領域において、前記上下方向に長手状に延び且つその長手方向全体で前方に凸となる第3凸レンズが幅方向に複数並んで配置された第3レンズ部が設けられ、
前記第1レンズ部における前記第1凸レンズの配列と、前記第3レンズ部における前記第3凸レンズの配列とが異なるように構成されており、
前記第2レンズ部の幅方向両端部には、複数の前記第2凸レンズの最大幅よりも小さい第2凸レンズが並ぶ集光領域が設けられており、
前記第3レンズ部の幅方向両端部には、複数の前記第3凸レンズの最大幅よりも小さい第3凸レンズが並ぶ集光領域が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の情報コード読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−69249(P2013−69249A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209265(P2011−209265)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】