情報入力装置
【課題】操作感度が良い情報入力装置を提供する。
【解決手段】隣り合うように扇状固定電極38a〜38dと環状固定電極39とを配置したプリント基板30に導電性センサーシート50を載置する。そして、前記導電性センサーシート50を操作ボタン70で押圧して弾性圧縮し、前記導電性センサーシート50と前記固定電極38a〜38dおよび環状固定電極39との間の静電容量の変化を電気信号に変換することにより、出力信号を出力する情報入力装置である。特に、前記導電性センサーシート50の上面に載置した操作メタルプレート60を、前記操作ボタン70で操作する構成としてある。
【解決手段】隣り合うように扇状固定電極38a〜38dと環状固定電極39とを配置したプリント基板30に導電性センサーシート50を載置する。そして、前記導電性センサーシート50を操作ボタン70で押圧して弾性圧縮し、前記導電性センサーシート50と前記固定電極38a〜38dおよび環状固定電極39との間の静電容量の変化を電気信号に変換することにより、出力信号を出力する情報入力装置である。特に、前記導電性センサーシート50の上面に載置した操作メタルプレート60を、前記操作ボタン70で操作する構成としてある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯電話、デジタルカメラ等の電子機器に組み込まれる情報入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器に組み込まれる情報入力装置としては、特許文献1で開示されているように、上面に90°間隔で配置された電極部(Cx+)(Cx−)(Cy+)(Cy−)を有した基板(2)と、この基板(2)の上方に、外側部を固定端とする金属製の起歪板(3)とを具備しており、前記起歪板(3)の中央部に×印形状のスリットを形成して各電極部(Cx+)(Cx−)(Cy+)(Cy−)と対向する部分に、起歪部(3a)(3b)(3c)(3d)を構成させ、前記起歪部(3a)(3b)(3c)(3d)が弾性力に抗してそれぞれ独立して押し込めるようにし、前記起歪部(3a)(3b)(3c)(3d)の押し込みにより、当該起歪部とこれと対向する電極部相互間距離が変化するようにしたことを特徴とする静電容量式センサーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3451362号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述の静電容量式センサーによれば、その図6に図示するように、弾性板4を押圧することにより、前記弾性板4自体が弾性変形するとともに、凹み部40の深さ寸法だけ沈下する。そして、前記弾性板4が起歪部3を押し下げ、前記起歪部3が電気部Cx+,Cy+に接近することにより、静電容量が増大して出力電圧が増大する。このため、使用者が弾性板4を押し下げてから所定の出力電圧を出力させるまでのタイムラグが大きいとともに、低荷重での感度が低く、操作性が悪いという問題点がある。
本発明は、前記問題点に鑑み、操作感度の良い情報入力装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る情報入力装置は、隣り合うように固定電極を配置したプリント基板に導電性センサーシートを載置するとともに、前記導電性センサーシートを操作ボタンで押圧して弾性圧縮することにより、前記導電性センサーシートと前記固定電極との間の静電容量の変化を電気信号に変換して出力信号を出力する情報入力装置であって、前記導電性センサーシートの上面に載置した操作メタルプレートを、前記操作ボタンで操作する構成としてある。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、センサーシートに操作メタルプレートを載置してあるので、操作ボタンを操作することにより、操作メタルプレートを介してセンサーシートが弾性変形する。このため、前記センサーシートが押圧されて弾性圧縮される領域において前記センサーシートの静電容量が変化し、電圧に変換されて出力信号として出力される。このため、使用者が押圧してから信号が出力されるまでのタイムラグが小さいとともに、低荷重で信号が出力され、操作感度の良い情報入力装置が得られる。
【0007】
本発明の実施形態としては、固定電極と導電性センサーシートとの間に、絶縁シートを積層した構成としてもよい。
本実施形態によれば、前記絶縁シートを介して所定の隙間を正確に形成でき、操作感度にバラツキのない情報入力装置が得られる。
【0008】
本発明の実施形態としては、操作メタルプレートが、板厚方向に弾性変位可能で、かつ、操作ボタンに操作される操作部を有していてもよい。なお、前記操作部としては、例えば、ドーナッツ状操作部であってもよく、また、円板状操作部であってもよい。
本実施形態によれば、操作メタルプレートが操作部を有しているので、操作位置を自由に選択でき、操作しやすいだけでなく、生産が容易な情報入力装置が得られる。
【0009】
本発明の他の実施形態としては、操作部を、枠体から内側に延在する弾性腕部を介して板厚方向に弾性変位可能に支持しておいてもよい。
本実施形態によれば、弾性腕部を介して操作部を支持してあるので、前記操作部が変位しやすくなり、より一層、操作感度の良い情報入力装置が得られる。
【0010】
本発明の別の実施形態としては、操作ボタンの下面に設けた環状突条で、操作メタルプレートの操作部を介してセンサーシートを押圧することにより、出力信号を出力する構成としてもよい。
本実施形態によれば、操作荷重が同じでも、前記環状突条によって応力が集中するので、操作感度がより一層向上する。
【0011】
本発明の異なる実施形態としては、操作ボタンの平坦な下面で、操作メタルプレートの操作部の上面に突設した環状突条を介してセンサーシートを押圧することにより、出力信号を出力する構成としてもよい。
本実施形態によれば、操作ボタンの位置決め精度にバラツキがあっても、操作感度にバラツキが生じにくい。また、操作ボタンの下面が平坦であれば、他の外形形状を有する操作ボタンに変更しやすくなるので、操作ボタンの設計の自由度が大きくなり、設計しやすくなる。
【0012】
本発明の新たな実施形態としては、ベースプレートの係止用受け部に、操作ボタンの枠体から側方に突設した一対の係止爪を係止する構造としてもよい。
本実施形態によれば、ベースプレートに操作ボタンをワンタッチで組み付けることができ、生産性の高い情報入力装置がえられる。
【0013】
本発明に係る電気機器は、前述の情報入力装置を、筐体に組み込んだ構成としてある。
【0014】
本発明によれば、低荷重で操作できるだけでなく、使用者が押圧してから信号が出力されるまでのタイムラグが小さく、操作感度の良い電気機器が得られる。
【0015】
本発明に係る実施形態としては、筐体のカバーに設けた開口部の縁部下面に、プリント基板を支持するベースプレートの係止用受け部を圧接させた構成としてもよい。
本実施形態によれば、筐体のカバーの内向面にベースプレートの係止用受け部が圧接し、ガタツキが生じない。また、例えば、前記筐体のカバーに外力が負荷された場合であっても、前記ベースプレートが沈下することにより、情報入力装置全体が沈下するので、誤動作を防止できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1Aおよび図1Bは本発明に係る情報入力装置の第1実施形態を示す斜視図および部分拡大断面斜視図である。
【図2】図2Aおよび図2Bは本発明に係る情報入力装置の第1実施形態を異なる角度から視た斜視図および部分拡大断面斜視図である。
【図3】図1で示した情報入力装置の分解斜視図である。
【図4】図1で示した情報入力装置の異なる角度から視た分解斜視図である。
【図5】図3で示した情報入力装置本体の分解斜視図である。
【図6】図4で示した情報入力装置本体の異なる角度から視た分解斜視図である。
【図7】図7Aは図3で示した操作メタルプレートの平面図、図7Bは図7AのB−B線断面図である。
【図8】図8A,8Dは図3で示した操作ボタンの平面図,底面図、図8B,8Cは図8AのB−B線,C−C線断面図である。
【図9】図9Aは本発明に係る情報入力装置の実施形態を示す平面図、図9B,9Cは図9AのB−B線,C−C線断面図である。
【図10】図10Aは本発明に係る情報入力装置の実施形態を示す平面図、図10Bは図10AのB−B線拡大断面図である。
【図11】図11Aは本発明に係る情報入力装置の使用形態を示す平面図、図11B,11Cは図11AのB−B線,C−C拡大断面図である。
【図12】図12Aおよび図12Bは本発明に係る情報入力装置の実施例を示すグラフ図である。
【図13】図13Aおよび図13Bは押圧位置を示す参考平面図および出力信号を出力するための回路図である。
【図14】図14Aおよび図14Bは本発明に係る情報入力装置の第2実施形態の平面図および図14AのB−B線部分拡大断面図である。
【図15】図15Aは第2実施形態に係る操作メタルプレートの平面図、図15Bは図15AのB−B線断面図,図15Cは図15Bの部分拡大断面図である。
【図16】図16A,16Dは第2実施形態に係る操作ボタンの平面図,底面図、図16B,16Cは図16AのB−B線,C−C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る情報入力装置の実施形態を、図1ないし図16の添付図面に従って説明する。
本実施形態に係る情報入力装置の第1実施形態は、図3および図4に示すように、大略、スペーサ10と、情報入力装置本体20と、センサーシート50と、操作メタルプレート60と、操作ボタン70と、中央押しボタン80と、から構成されている。
【0018】
前記スペーサ10は、平面略方形の板状体であり、その対向する隅部に位置決め突起10a,10bを有しているとともに、逃げ部11a,11b,11cを設けてある。
【0019】
前記情報入力装置本体20は、図5および図6に示すように、ベースプレート21と、略T字形状のフレキシブル基板(FPC)30と、ドームシート40とから構成されている。
前記ベースプレート21は、前記スペーサ10と略同一の平面略正方形の金属薄板からなり、その角部に略H字形状の係止用受け部22を曲げ起こしてあるとともに、前記係止用受け部22の基部に位置決め用係止孔23をそれぞれ設けてある。さらに、前記ベースプレート21は、対向する隅部に治具孔24a,24bを設けてある。
【0020】
前記フレキシブル基板30は、第1,第2,第3積層片31,32,33を一対の連結部34a,34bで同一直線上にそれぞれ連結するとともに、前記第2積層片32の片側から接続部30aを延在してある。
前記第1積層片31は、その上面中央部に第1固定接点35aを配置するとともに、その外周に同心円上の環状第2固定接点35bをプリント印刷してある。また、前記第2積層片32は、その上面にIC36aおよび電子部品36bを実装してある。さらに、前記第3積層33は、その中央に設けた貫通孔37の外周上面に4つの扇状固定電極38a,38b,38c,38dを均等のピッチで設けてあるとともに、前記扇状固定電極38a〜38dの外周に環状固定電極39をプリント印刷してある。そして、前記貫通孔37と扇状固定電極38a〜38dとの間には環状縁部37aが残されている。なお、前記第1,第2,第3積層片31,32,33の対向する隅部には治具孔31a,31b,32a,32b,33a,33bがそれぞれ設けられている。また、前記扇状固定電極38a〜38dと環状固定電極39とは絶縁シート33cで被覆され、後述するセンサーシート50と絶縁される。但し、説明の便宜上、図3および図5には前記絶縁シート33cは図示されていない。
【0021】
前記ドームシート40は、その中央部に設けた膨出部41の裏面にドーム状可動接点42を取り付けてあるとともに、対向する隅部に治具孔40a,40bを設けてある。
【0022】
従って、前記情報入力装置本体20を組み立てる場合には、治具である位置決めピン(図示せず)を前記金属ベースプレート21の治具孔24a,24bにそれぞれ挿通し、その上面に治具孔25a,25bを備えた両面テープ25を介してフレキシブル基板30の第1積層片31を貼着一体化する。そして、前記フレキシブル基板30の連結部34aを折り曲げ、前記金属ベースプレート21の下面に治具孔26a,26bを備えた両面テープ26を介して第2設置片32を貼着一体化する。さらに、前記第1積層片31の上面にドームシート40を貼着一体化した後、連結部34b折り曲げ、前記ドームシート40の上面に治具孔43a,43bを備えた両面テープ43を介して第3積層片33を貼着一体化することにより、情報入力装置本体20が完成する。
【0023】
本実施形態によれば、折り曲げた連結部34aの曲率よりも、折り曲げた連結部34bの曲率の方が大きいので、連結部34bが連結部34aよりも断線しにくくなるという利点がある。
【0024】
センサーシート50は、前記情報入力装置本体20の第3積層片33を被覆可能な平面形状を有する導電性ゴム材からなり、中央に貫通孔51を有するとともに、対向する隅部に治具孔50a,50bを設けてある。なお、前記第3積層片33と前記センサーシート50との間には、治具孔52a,52bを備えた方形枠形状の第1絶縁シート52と、円環状の第2絶縁シート53が配置される。特に、円環状の前記第2絶縁シート53は前記第3積層片33の環状縁部37aに配置可能な外周形状を有している。
【0025】
操作メタルプレート60は、図7に示すように、前記センサーシート50を被覆可能な平面形状を有し、その角部から弾性脚部61を下方側に曲げ下ろしてあるとともに、その対向する隅部に治具孔60a,60bを設けてある。また、前記操作メタルプレート60は、ドーナッツ状の操作部62を4本の湾曲する弾性腕部63で板厚方向に弾性変位可能に支持している。
【0026】
操作ボタン70は、図8に示すように、前記操作メタルプレート60を被覆可能な平面形状を有する方形枠体71からなる。そして、前記方形枠体71は、その内側から延在する弾性腕部72を介して操作部73を上下方向に操作可能に支持してある一方、その角部に一対の係止爪74を側方に突設してある。前記操作部73は、その上面に設けた嵌合用凹所75の底面中央に略十文字形状の取付孔76を設けてあるとともに、前記取付孔76の周囲には均等のピッチで不連続なスリット77を設けてある。また、前記操作部73は、その下面に操作用環状突条78を突設してある。前記環状突条78は、前記扇状固定電極38a〜38dと環状固定電極39との間に位置する直径を有している。
【0027】
中央押しボタン80は、図3および図4に示すように、前記操作ボタン70の嵌合用凹所75に嵌合可能な外周形状を有し、その底面中央に操作用突起81を突設するとともに、前記操作用突起81の周囲に前記取付孔76に弾性係合可能な弾性爪部82を突設してある。
【0028】
次に、前記構成部品からなる情報入力装置の組立方法について説明する。
まず、図3に示す前記情報入力装置本体20の治具孔33a,33bに図示しない位置決めピンを挿通し、第1絶縁シート52を位置決めするとともに、第2絶縁シート53を位置決めする。そして、前記位置決めピンを介して絶縁シート33cに覆われた固定電極38a〜38d,環状固定電極39を被覆するようにセンサーシート50を組み付ける。さらに、両面テープ64を操作部62の裏面に貼着した操作メタルプレート60の治具孔60a,60bを、前記位置決めピンに挿通して位置決めし、組み付ける。これにより、前記操作メタルプレート60の弾性脚部61が金属ベースプレート20の係止孔23に係合して位置決めできるとともに、環状操作部62の裏面に貼着した前記両面テープ64を介してセンサーシート50に貼着一体化できる。ついで、前記操作メタルプレート60に操作ボタン70を位置決めし、前記操作ボタン70の係止爪74を前記ベースプレート20の係止用受け部22に係合して組み付ける。この結果、操作ボタン70の操作用環状突条78が操作メタルプレート60に圧接する。さらに、前記操作ボタン70の嵌合用凹所75に中央押しボタン80を嵌合し、取付孔76に弾性爪部82を押し込み、弾性係合して抜け止めする。最後に、前記情報入力装置本体20の裏面、すなわち、第2積層片32に治具孔12a,12bを備えた両面テープ12を介してスペーサ10を貼り付けることにより、情報入力装置の組み立てが完了する。
【0029】
なお、前記情報入力装置を携帯電話機等の筐体内に組み付ける場合には、例えば、図11に示すように、筐体90のベース91の内向面に設けた凹所92に前記情報入力装置のスペーサ10を嵌合する一方、前記筐体90のカバー93の開口部94から操作ボタン70が操作可能に露出するように組み付ける。
本実施形態によれば、筐体90のカバー93の内向面にベースプレート20の係止用受け部22が圧接し、ガタツキが生じない。また、例えば、前記筐体90のカバー93に外力が負荷された場合であっても、前記ベースプレート20が沈下することにより、情報入力装置20全体が沈下するので、誤動作を防止できるという利点がある。
【0030】
ついで、本実施形態にかかる情報入力装置を携帯電話機(図示せず)に適用した場合の操作方法について説明する。
すなわち、操作ボタン70の操作部73を適宜押圧することにより、操作用環状突条78を介し、操作メタルプレート60の操作部62が弾性変形し、センサーシート50の特定の領域が弾性圧縮される。これによって生じた静電容量の変化が、例えば、図13Bに図示するIC内部の出力回路で電圧に変換され、出力信号として出力される。そして、前記出力信号に基づいて図示しないモニターのカーソルを所定の位置まで移動した後、押圧力を解除してカーソルの移動を停止する。ついで、中央押しボタン80を押し下げることにより、その操作用突起81が膨出部41のドーム状可動接点42を押し下げて反転させ、前記ドーム状可動接点42が固定接点35a,35bを短絡し、指示信号を出力する。以後、同様な操作を繰り返して操作できる。
【0031】
本実施形態によれば、IC36a,電子部品36bだけでなく、ドーム状可動接点42、センサーシート50等をも同一のFPCに実装してあるので、コネクタ等を使用して接続する場合よりも、静電容量のバラツキが小さい情報入力装置が得られる。
【0032】
なお、FPCは必ずしも同一直線上に延在したものに限らず、例えば、略L字形状に屈曲した平面形状を有していてもよい。
【0033】
本発明に係る第2実施形態は、図14ないし図16に図示するように、操作メタルプレート60のドーナッツ状操作部62の上面に操作用環状突条62aを突き出し加工で形成する一方、操作ボタン70の下面を平坦面に形成した場合である。他は前述の第1実施形態とほぼ同様であるので、同一部分には同一番号を附して説明を省略する。
【0034】
第2実施形態によれば、操作用環状突条62aの位置が一定であるので、操作ボタン70の位置決め精度にバラツキが生じても、操作感度にバラツキが生じにくい。また、操作ボタン70の下面が平坦であれば、他の外形形状を有する操作ボタンに変更しやすいので、操作ボタン70の設計の自由度が大きくなり、設計しやすくなるという利点がある。
【実施例】
【0035】
次に、第1実施形態にかかる情報入力装置の操作感度について測定した結果を図12A,12Bのグラフ図に示す。なお、図12A,図12Bのグラフ図で示す横軸は押圧荷重であり、縦軸は出力信号値である。そして、図13Aで示すX+,Y+はプラス側の押圧荷重を意味し、X−,Y−はマイナス側の押圧荷重を意味する。例えば、図13Aで示す位置のX+で3Nの圧力を印加した場合には、図12Aのグラフ図においてプラス側の荷重3Nとして表記する。X−,Y+,Y−も同様である。
また、出力信号は、図13Bに示す出力回路から出力されるが、CX+,CX−,CY+,CY−はそれぞれの電極間の静電容量値を示す。
【0036】
図12A,12Bから明らかなように、位置X+、X−または位置Y+、Y−を押し下げた場合には、グラフ図における曲線の勾配が大きく、小さな押圧力で大きな出力信号が得られることから、操作感度に優れていることが判る。
また、位置X+、X−(または位置Y+、Y−)を押圧した場合には、位置Y+、Y−(または位置X+、X−)における曲線が殆ど変化していないことから、誤動作しにくい情報入力装置であることを確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に係る情報入力装置は、携帯電話機に適用できるだけでなく、オーディオ機器などの他の電子機器に適用できることは勿論である。
【符号の説明】
【0038】
10:スペーサ
10a,10b:位置決め突起
20:情報入力装置本体
21:ベースプレート
22:係止用受け部
23:位置決め用係止孔
30:フレキシブル基板
31,32,33:第1,第2,第3積層片
33c:絶縁シート
35a,35b:第1,第2固定接点
38a,38b,38c,38d:扇状固定電極
39:環状固定電極
40:ドームシート
41:膨出部
42:ドーム状可動接点
50:センサーシート
60:操作メタルプレート
61:弾性脚部
62:操作部
62a:操作用環状突条
63:弾性腕部
70:操作ボタン
71:方形枠体
72:弾性腕部
73:操作部
76:取付孔
78:操作用環状突条
80:中央押しボタン
81:操作用突起
82:弾性爪部
90:筐体
91:ベース
92:凹所
93:カバー
94:開口部
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯電話、デジタルカメラ等の電子機器に組み込まれる情報入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器に組み込まれる情報入力装置としては、特許文献1で開示されているように、上面に90°間隔で配置された電極部(Cx+)(Cx−)(Cy+)(Cy−)を有した基板(2)と、この基板(2)の上方に、外側部を固定端とする金属製の起歪板(3)とを具備しており、前記起歪板(3)の中央部に×印形状のスリットを形成して各電極部(Cx+)(Cx−)(Cy+)(Cy−)と対向する部分に、起歪部(3a)(3b)(3c)(3d)を構成させ、前記起歪部(3a)(3b)(3c)(3d)が弾性力に抗してそれぞれ独立して押し込めるようにし、前記起歪部(3a)(3b)(3c)(3d)の押し込みにより、当該起歪部とこれと対向する電極部相互間距離が変化するようにしたことを特徴とする静電容量式センサーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3451362号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述の静電容量式センサーによれば、その図6に図示するように、弾性板4を押圧することにより、前記弾性板4自体が弾性変形するとともに、凹み部40の深さ寸法だけ沈下する。そして、前記弾性板4が起歪部3を押し下げ、前記起歪部3が電気部Cx+,Cy+に接近することにより、静電容量が増大して出力電圧が増大する。このため、使用者が弾性板4を押し下げてから所定の出力電圧を出力させるまでのタイムラグが大きいとともに、低荷重での感度が低く、操作性が悪いという問題点がある。
本発明は、前記問題点に鑑み、操作感度の良い情報入力装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る情報入力装置は、隣り合うように固定電極を配置したプリント基板に導電性センサーシートを載置するとともに、前記導電性センサーシートを操作ボタンで押圧して弾性圧縮することにより、前記導電性センサーシートと前記固定電極との間の静電容量の変化を電気信号に変換して出力信号を出力する情報入力装置であって、前記導電性センサーシートの上面に載置した操作メタルプレートを、前記操作ボタンで操作する構成としてある。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、センサーシートに操作メタルプレートを載置してあるので、操作ボタンを操作することにより、操作メタルプレートを介してセンサーシートが弾性変形する。このため、前記センサーシートが押圧されて弾性圧縮される領域において前記センサーシートの静電容量が変化し、電圧に変換されて出力信号として出力される。このため、使用者が押圧してから信号が出力されるまでのタイムラグが小さいとともに、低荷重で信号が出力され、操作感度の良い情報入力装置が得られる。
【0007】
本発明の実施形態としては、固定電極と導電性センサーシートとの間に、絶縁シートを積層した構成としてもよい。
本実施形態によれば、前記絶縁シートを介して所定の隙間を正確に形成でき、操作感度にバラツキのない情報入力装置が得られる。
【0008】
本発明の実施形態としては、操作メタルプレートが、板厚方向に弾性変位可能で、かつ、操作ボタンに操作される操作部を有していてもよい。なお、前記操作部としては、例えば、ドーナッツ状操作部であってもよく、また、円板状操作部であってもよい。
本実施形態によれば、操作メタルプレートが操作部を有しているので、操作位置を自由に選択でき、操作しやすいだけでなく、生産が容易な情報入力装置が得られる。
【0009】
本発明の他の実施形態としては、操作部を、枠体から内側に延在する弾性腕部を介して板厚方向に弾性変位可能に支持しておいてもよい。
本実施形態によれば、弾性腕部を介して操作部を支持してあるので、前記操作部が変位しやすくなり、より一層、操作感度の良い情報入力装置が得られる。
【0010】
本発明の別の実施形態としては、操作ボタンの下面に設けた環状突条で、操作メタルプレートの操作部を介してセンサーシートを押圧することにより、出力信号を出力する構成としてもよい。
本実施形態によれば、操作荷重が同じでも、前記環状突条によって応力が集中するので、操作感度がより一層向上する。
【0011】
本発明の異なる実施形態としては、操作ボタンの平坦な下面で、操作メタルプレートの操作部の上面に突設した環状突条を介してセンサーシートを押圧することにより、出力信号を出力する構成としてもよい。
本実施形態によれば、操作ボタンの位置決め精度にバラツキがあっても、操作感度にバラツキが生じにくい。また、操作ボタンの下面が平坦であれば、他の外形形状を有する操作ボタンに変更しやすくなるので、操作ボタンの設計の自由度が大きくなり、設計しやすくなる。
【0012】
本発明の新たな実施形態としては、ベースプレートの係止用受け部に、操作ボタンの枠体から側方に突設した一対の係止爪を係止する構造としてもよい。
本実施形態によれば、ベースプレートに操作ボタンをワンタッチで組み付けることができ、生産性の高い情報入力装置がえられる。
【0013】
本発明に係る電気機器は、前述の情報入力装置を、筐体に組み込んだ構成としてある。
【0014】
本発明によれば、低荷重で操作できるだけでなく、使用者が押圧してから信号が出力されるまでのタイムラグが小さく、操作感度の良い電気機器が得られる。
【0015】
本発明に係る実施形態としては、筐体のカバーに設けた開口部の縁部下面に、プリント基板を支持するベースプレートの係止用受け部を圧接させた構成としてもよい。
本実施形態によれば、筐体のカバーの内向面にベースプレートの係止用受け部が圧接し、ガタツキが生じない。また、例えば、前記筐体のカバーに外力が負荷された場合であっても、前記ベースプレートが沈下することにより、情報入力装置全体が沈下するので、誤動作を防止できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1Aおよび図1Bは本発明に係る情報入力装置の第1実施形態を示す斜視図および部分拡大断面斜視図である。
【図2】図2Aおよび図2Bは本発明に係る情報入力装置の第1実施形態を異なる角度から視た斜視図および部分拡大断面斜視図である。
【図3】図1で示した情報入力装置の分解斜視図である。
【図4】図1で示した情報入力装置の異なる角度から視た分解斜視図である。
【図5】図3で示した情報入力装置本体の分解斜視図である。
【図6】図4で示した情報入力装置本体の異なる角度から視た分解斜視図である。
【図7】図7Aは図3で示した操作メタルプレートの平面図、図7Bは図7AのB−B線断面図である。
【図8】図8A,8Dは図3で示した操作ボタンの平面図,底面図、図8B,8Cは図8AのB−B線,C−C線断面図である。
【図9】図9Aは本発明に係る情報入力装置の実施形態を示す平面図、図9B,9Cは図9AのB−B線,C−C線断面図である。
【図10】図10Aは本発明に係る情報入力装置の実施形態を示す平面図、図10Bは図10AのB−B線拡大断面図である。
【図11】図11Aは本発明に係る情報入力装置の使用形態を示す平面図、図11B,11Cは図11AのB−B線,C−C拡大断面図である。
【図12】図12Aおよび図12Bは本発明に係る情報入力装置の実施例を示すグラフ図である。
【図13】図13Aおよび図13Bは押圧位置を示す参考平面図および出力信号を出力するための回路図である。
【図14】図14Aおよび図14Bは本発明に係る情報入力装置の第2実施形態の平面図および図14AのB−B線部分拡大断面図である。
【図15】図15Aは第2実施形態に係る操作メタルプレートの平面図、図15Bは図15AのB−B線断面図,図15Cは図15Bの部分拡大断面図である。
【図16】図16A,16Dは第2実施形態に係る操作ボタンの平面図,底面図、図16B,16Cは図16AのB−B線,C−C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る情報入力装置の実施形態を、図1ないし図16の添付図面に従って説明する。
本実施形態に係る情報入力装置の第1実施形態は、図3および図4に示すように、大略、スペーサ10と、情報入力装置本体20と、センサーシート50と、操作メタルプレート60と、操作ボタン70と、中央押しボタン80と、から構成されている。
【0018】
前記スペーサ10は、平面略方形の板状体であり、その対向する隅部に位置決め突起10a,10bを有しているとともに、逃げ部11a,11b,11cを設けてある。
【0019】
前記情報入力装置本体20は、図5および図6に示すように、ベースプレート21と、略T字形状のフレキシブル基板(FPC)30と、ドームシート40とから構成されている。
前記ベースプレート21は、前記スペーサ10と略同一の平面略正方形の金属薄板からなり、その角部に略H字形状の係止用受け部22を曲げ起こしてあるとともに、前記係止用受け部22の基部に位置決め用係止孔23をそれぞれ設けてある。さらに、前記ベースプレート21は、対向する隅部に治具孔24a,24bを設けてある。
【0020】
前記フレキシブル基板30は、第1,第2,第3積層片31,32,33を一対の連結部34a,34bで同一直線上にそれぞれ連結するとともに、前記第2積層片32の片側から接続部30aを延在してある。
前記第1積層片31は、その上面中央部に第1固定接点35aを配置するとともに、その外周に同心円上の環状第2固定接点35bをプリント印刷してある。また、前記第2積層片32は、その上面にIC36aおよび電子部品36bを実装してある。さらに、前記第3積層33は、その中央に設けた貫通孔37の外周上面に4つの扇状固定電極38a,38b,38c,38dを均等のピッチで設けてあるとともに、前記扇状固定電極38a〜38dの外周に環状固定電極39をプリント印刷してある。そして、前記貫通孔37と扇状固定電極38a〜38dとの間には環状縁部37aが残されている。なお、前記第1,第2,第3積層片31,32,33の対向する隅部には治具孔31a,31b,32a,32b,33a,33bがそれぞれ設けられている。また、前記扇状固定電極38a〜38dと環状固定電極39とは絶縁シート33cで被覆され、後述するセンサーシート50と絶縁される。但し、説明の便宜上、図3および図5には前記絶縁シート33cは図示されていない。
【0021】
前記ドームシート40は、その中央部に設けた膨出部41の裏面にドーム状可動接点42を取り付けてあるとともに、対向する隅部に治具孔40a,40bを設けてある。
【0022】
従って、前記情報入力装置本体20を組み立てる場合には、治具である位置決めピン(図示せず)を前記金属ベースプレート21の治具孔24a,24bにそれぞれ挿通し、その上面に治具孔25a,25bを備えた両面テープ25を介してフレキシブル基板30の第1積層片31を貼着一体化する。そして、前記フレキシブル基板30の連結部34aを折り曲げ、前記金属ベースプレート21の下面に治具孔26a,26bを備えた両面テープ26を介して第2設置片32を貼着一体化する。さらに、前記第1積層片31の上面にドームシート40を貼着一体化した後、連結部34b折り曲げ、前記ドームシート40の上面に治具孔43a,43bを備えた両面テープ43を介して第3積層片33を貼着一体化することにより、情報入力装置本体20が完成する。
【0023】
本実施形態によれば、折り曲げた連結部34aの曲率よりも、折り曲げた連結部34bの曲率の方が大きいので、連結部34bが連結部34aよりも断線しにくくなるという利点がある。
【0024】
センサーシート50は、前記情報入力装置本体20の第3積層片33を被覆可能な平面形状を有する導電性ゴム材からなり、中央に貫通孔51を有するとともに、対向する隅部に治具孔50a,50bを設けてある。なお、前記第3積層片33と前記センサーシート50との間には、治具孔52a,52bを備えた方形枠形状の第1絶縁シート52と、円環状の第2絶縁シート53が配置される。特に、円環状の前記第2絶縁シート53は前記第3積層片33の環状縁部37aに配置可能な外周形状を有している。
【0025】
操作メタルプレート60は、図7に示すように、前記センサーシート50を被覆可能な平面形状を有し、その角部から弾性脚部61を下方側に曲げ下ろしてあるとともに、その対向する隅部に治具孔60a,60bを設けてある。また、前記操作メタルプレート60は、ドーナッツ状の操作部62を4本の湾曲する弾性腕部63で板厚方向に弾性変位可能に支持している。
【0026】
操作ボタン70は、図8に示すように、前記操作メタルプレート60を被覆可能な平面形状を有する方形枠体71からなる。そして、前記方形枠体71は、その内側から延在する弾性腕部72を介して操作部73を上下方向に操作可能に支持してある一方、その角部に一対の係止爪74を側方に突設してある。前記操作部73は、その上面に設けた嵌合用凹所75の底面中央に略十文字形状の取付孔76を設けてあるとともに、前記取付孔76の周囲には均等のピッチで不連続なスリット77を設けてある。また、前記操作部73は、その下面に操作用環状突条78を突設してある。前記環状突条78は、前記扇状固定電極38a〜38dと環状固定電極39との間に位置する直径を有している。
【0027】
中央押しボタン80は、図3および図4に示すように、前記操作ボタン70の嵌合用凹所75に嵌合可能な外周形状を有し、その底面中央に操作用突起81を突設するとともに、前記操作用突起81の周囲に前記取付孔76に弾性係合可能な弾性爪部82を突設してある。
【0028】
次に、前記構成部品からなる情報入力装置の組立方法について説明する。
まず、図3に示す前記情報入力装置本体20の治具孔33a,33bに図示しない位置決めピンを挿通し、第1絶縁シート52を位置決めするとともに、第2絶縁シート53を位置決めする。そして、前記位置決めピンを介して絶縁シート33cに覆われた固定電極38a〜38d,環状固定電極39を被覆するようにセンサーシート50を組み付ける。さらに、両面テープ64を操作部62の裏面に貼着した操作メタルプレート60の治具孔60a,60bを、前記位置決めピンに挿通して位置決めし、組み付ける。これにより、前記操作メタルプレート60の弾性脚部61が金属ベースプレート20の係止孔23に係合して位置決めできるとともに、環状操作部62の裏面に貼着した前記両面テープ64を介してセンサーシート50に貼着一体化できる。ついで、前記操作メタルプレート60に操作ボタン70を位置決めし、前記操作ボタン70の係止爪74を前記ベースプレート20の係止用受け部22に係合して組み付ける。この結果、操作ボタン70の操作用環状突条78が操作メタルプレート60に圧接する。さらに、前記操作ボタン70の嵌合用凹所75に中央押しボタン80を嵌合し、取付孔76に弾性爪部82を押し込み、弾性係合して抜け止めする。最後に、前記情報入力装置本体20の裏面、すなわち、第2積層片32に治具孔12a,12bを備えた両面テープ12を介してスペーサ10を貼り付けることにより、情報入力装置の組み立てが完了する。
【0029】
なお、前記情報入力装置を携帯電話機等の筐体内に組み付ける場合には、例えば、図11に示すように、筐体90のベース91の内向面に設けた凹所92に前記情報入力装置のスペーサ10を嵌合する一方、前記筐体90のカバー93の開口部94から操作ボタン70が操作可能に露出するように組み付ける。
本実施形態によれば、筐体90のカバー93の内向面にベースプレート20の係止用受け部22が圧接し、ガタツキが生じない。また、例えば、前記筐体90のカバー93に外力が負荷された場合であっても、前記ベースプレート20が沈下することにより、情報入力装置20全体が沈下するので、誤動作を防止できるという利点がある。
【0030】
ついで、本実施形態にかかる情報入力装置を携帯電話機(図示せず)に適用した場合の操作方法について説明する。
すなわち、操作ボタン70の操作部73を適宜押圧することにより、操作用環状突条78を介し、操作メタルプレート60の操作部62が弾性変形し、センサーシート50の特定の領域が弾性圧縮される。これによって生じた静電容量の変化が、例えば、図13Bに図示するIC内部の出力回路で電圧に変換され、出力信号として出力される。そして、前記出力信号に基づいて図示しないモニターのカーソルを所定の位置まで移動した後、押圧力を解除してカーソルの移動を停止する。ついで、中央押しボタン80を押し下げることにより、その操作用突起81が膨出部41のドーム状可動接点42を押し下げて反転させ、前記ドーム状可動接点42が固定接点35a,35bを短絡し、指示信号を出力する。以後、同様な操作を繰り返して操作できる。
【0031】
本実施形態によれば、IC36a,電子部品36bだけでなく、ドーム状可動接点42、センサーシート50等をも同一のFPCに実装してあるので、コネクタ等を使用して接続する場合よりも、静電容量のバラツキが小さい情報入力装置が得られる。
【0032】
なお、FPCは必ずしも同一直線上に延在したものに限らず、例えば、略L字形状に屈曲した平面形状を有していてもよい。
【0033】
本発明に係る第2実施形態は、図14ないし図16に図示するように、操作メタルプレート60のドーナッツ状操作部62の上面に操作用環状突条62aを突き出し加工で形成する一方、操作ボタン70の下面を平坦面に形成した場合である。他は前述の第1実施形態とほぼ同様であるので、同一部分には同一番号を附して説明を省略する。
【0034】
第2実施形態によれば、操作用環状突条62aの位置が一定であるので、操作ボタン70の位置決め精度にバラツキが生じても、操作感度にバラツキが生じにくい。また、操作ボタン70の下面が平坦であれば、他の外形形状を有する操作ボタンに変更しやすいので、操作ボタン70の設計の自由度が大きくなり、設計しやすくなるという利点がある。
【実施例】
【0035】
次に、第1実施形態にかかる情報入力装置の操作感度について測定した結果を図12A,12Bのグラフ図に示す。なお、図12A,図12Bのグラフ図で示す横軸は押圧荷重であり、縦軸は出力信号値である。そして、図13Aで示すX+,Y+はプラス側の押圧荷重を意味し、X−,Y−はマイナス側の押圧荷重を意味する。例えば、図13Aで示す位置のX+で3Nの圧力を印加した場合には、図12Aのグラフ図においてプラス側の荷重3Nとして表記する。X−,Y+,Y−も同様である。
また、出力信号は、図13Bに示す出力回路から出力されるが、CX+,CX−,CY+,CY−はそれぞれの電極間の静電容量値を示す。
【0036】
図12A,12Bから明らかなように、位置X+、X−または位置Y+、Y−を押し下げた場合には、グラフ図における曲線の勾配が大きく、小さな押圧力で大きな出力信号が得られることから、操作感度に優れていることが判る。
また、位置X+、X−(または位置Y+、Y−)を押圧した場合には、位置Y+、Y−(または位置X+、X−)における曲線が殆ど変化していないことから、誤動作しにくい情報入力装置であることを確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に係る情報入力装置は、携帯電話機に適用できるだけでなく、オーディオ機器などの他の電子機器に適用できることは勿論である。
【符号の説明】
【0038】
10:スペーサ
10a,10b:位置決め突起
20:情報入力装置本体
21:ベースプレート
22:係止用受け部
23:位置決め用係止孔
30:フレキシブル基板
31,32,33:第1,第2,第3積層片
33c:絶縁シート
35a,35b:第1,第2固定接点
38a,38b,38c,38d:扇状固定電極
39:環状固定電極
40:ドームシート
41:膨出部
42:ドーム状可動接点
50:センサーシート
60:操作メタルプレート
61:弾性脚部
62:操作部
62a:操作用環状突条
63:弾性腕部
70:操作ボタン
71:方形枠体
72:弾性腕部
73:操作部
76:取付孔
78:操作用環状突条
80:中央押しボタン
81:操作用突起
82:弾性爪部
90:筐体
91:ベース
92:凹所
93:カバー
94:開口部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣り合うように固定電極を配置したプリント基板に導電性センサーシートを載置するとともに、前記導電性センサーシートを操作ボタンで押圧して弾性圧縮することにより、前記導電性センサーシートと前記固定電極との間の静電容量の変化を電気信号に変換して出力信号を出力する情報入力装置であって、
前記導電性センサーシートの上面に載置した操作メタルプレートを、前記操作ボタンで操作することを特徴とする情報入力装置。
【請求項2】
固定電極と導電性センサーシートとの間に、絶縁シートを積層したことを特徴とする請求項1に記載の情報入力装置。
【請求項3】
操作メタルプレートが、板厚方向に弾性変位可能で、かつ、操作ボタンに操作される操作部を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の情報入力装置。
【請求項4】
操作部を、枠体から内側に延在する弾性腕部を介して板厚方向に弾性変位可能に支持していることを特徴とする請求項3に記載の情報入力装置。
【請求項5】
操作ボタンの下面に設けた環状突条で、操作メタルプレートの操作部を介してセンサーシートを押圧することにより、出力信号を出力することを特徴とする請求項3または4に記載の情報入力装置。
【請求項6】
操作ボタンの平坦な下面で、操作メタルプレートの操作部の上面に突設した環状突条を介してセンサーシートを押圧することにより、出力信号を出力することを特徴とする請求項3または4に記載の情報入力装置。
【請求項7】
プリント基板を積層したベースプレートの係止用受け部に、操作ボタンの枠体から側方に突設した一対の係止爪を係止したことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の情報入力装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の情報入力装置を、筐体に組み込んだことを特徴とする電気機器。
【請求項9】
筐体のカバーに設けた開口部の縁部下面に、プリント基板を支持するベースプレートの係止用受け部を圧接させたことを特徴とする請求項8に記載の電気機器。
【請求項1】
隣り合うように固定電極を配置したプリント基板に導電性センサーシートを載置するとともに、前記導電性センサーシートを操作ボタンで押圧して弾性圧縮することにより、前記導電性センサーシートと前記固定電極との間の静電容量の変化を電気信号に変換して出力信号を出力する情報入力装置であって、
前記導電性センサーシートの上面に載置した操作メタルプレートを、前記操作ボタンで操作することを特徴とする情報入力装置。
【請求項2】
固定電極と導電性センサーシートとの間に、絶縁シートを積層したことを特徴とする請求項1に記載の情報入力装置。
【請求項3】
操作メタルプレートが、板厚方向に弾性変位可能で、かつ、操作ボタンに操作される操作部を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の情報入力装置。
【請求項4】
操作部を、枠体から内側に延在する弾性腕部を介して板厚方向に弾性変位可能に支持していることを特徴とする請求項3に記載の情報入力装置。
【請求項5】
操作ボタンの下面に設けた環状突条で、操作メタルプレートの操作部を介してセンサーシートを押圧することにより、出力信号を出力することを特徴とする請求項3または4に記載の情報入力装置。
【請求項6】
操作ボタンの平坦な下面で、操作メタルプレートの操作部の上面に突設した環状突条を介してセンサーシートを押圧することにより、出力信号を出力することを特徴とする請求項3または4に記載の情報入力装置。
【請求項7】
プリント基板を積層したベースプレートの係止用受け部に、操作ボタンの枠体から側方に突設した一対の係止爪を係止したことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の情報入力装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の情報入力装置を、筐体に組み込んだことを特徴とする電気機器。
【請求項9】
筐体のカバーに設けた開口部の縁部下面に、プリント基板を支持するベースプレートの係止用受け部を圧接させたことを特徴とする請求項8に記載の電気機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−100212(P2011−100212A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253271(P2009−253271)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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