説明

情報処理プログラム、情報処理システム、情報処理装置および情報処理方法

【課題】本発明は、検出した特定対象を利用してユーザに拡張現実を実感する視覚効果を十分に与えることができる情報処理プログラム、情報処理システム、情報処理装置および情報処理方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る情報処理プログラムは、撮像装置および表示装置に接続された情報処理装置のコンピュータを、画像取得手段、特定対象検出手段、イベント発生手段、仮想画像生成手段、表示制御手段として機能させる。画像取得手段は、被写体の画像を取得する。特定対象検出手段は、被写体の画像から特定対象を検出する。形状認識手段は、特定対象の形状を認識する。イベント発生手段は、特定対象の形状に応じて仮想空間内にイベントを発生する。仮想画像生成手段は、発生するイベントを前記仮想空間内に配置された仮想カメラで撮影することにより仮想画像を生成する。表示制御手段は、仮想画像を表示装置に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理プログラム、情報処理システム、情報処理装置および情報処理方法に関し、特に、拡張現実(Augmented Reality)技術を利用した情報処理プログラム、情報処理システム、情報処理装置および情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラ等の撮像装置では、撮像した被写体の画像(撮像画像)から所定の撮像対象を検出する技術を有している。たとえば、非特許文献1には、拡張現実技術において、カメラで撮像した撮像画像に含まれるマーカ(特定対象)に対して画像認識処理を行うことでマーカを検出する技術(マーカ検出技術)が開示されている。具体的に、非特許文献1に開示してあるマーカ検出技術は、撮像画像に対して固定の閾値を用いて2値化を行うことで連結領域を抽出し、抽出した連結領域から大きさおよび形状が適切なものを選出してマーカ候補とする。さらに、非特許文献1に開示してあるマーカ検出技術は、選出したマーカ候補に対してパターンマッチングを行うことでマーカを検出する。また、非特許文献1には、検出したマーカに対応する位置に仮想オブジェクトを表示する技術が開示してある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】加藤博一,Mark Billinghurst,浅野浩一,橘啓八郎、「マーカー追跡に基づく拡張現実感システムとそのキャリブレーション」、日本バーチャルリアリティ学会論文誌 Vol.4 No.4、1999年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1に開示してある技術は、被写体に含まれるマーカを検出し、検出したマーカに対応する位置に仮想オブジェクトを単に表示しているだけに過ぎないので、検出したマーカを利用してユーザに拡張現実を実感する視覚効果を十分に与えることができなかった。
【0005】
それゆえに、本発明は、検出したマーカ(特定対象)を利用してユーザに拡張現実を実感する視覚効果を十分に与えることができる情報処理プログラム、情報処理システム、情報処理装置および情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、以下のような構成を採用し得る。
本発明の一構成例に係る情報処理プログラムは、撮像装置および表示装置に接続された情報処理装置のコンピュータを、画像取得手段、特定対象検出手段、形状認識手段、イベント発生手段、仮想画像生成手段、表示制御手段として機能させる。画像取得手段は、撮像装置により撮像した被写体の画像を取得する。特定対象検出手段は、画像取得手段で取得した被写体の画像から特定対象を検出する。形状認識手段は、特定対象検出手段で検出した特定対象の形状を認識する。イベント発生手段は、形状認識手段で認識した特定対象の形状に応じて仮想空間内にイベントを発生する。仮想画像生成手段は、イベント発生手段で発生するイベントを仮想空間内に配置された仮想カメラで撮影することにより仮想画像を生成する。表示制御手段は、被写体の画像もしくは、表示装置の画面を透過して見える被写体に重ね合わせてユーザに視認されるように、仮想画像を表示装置に表示させる。
【0007】
上記構成例によれば、認識した特定対象の形状に応じて仮想空間内にイベントを発生させるので、特定対象を利用してユーザに拡張現実を実感する視覚効果を十分に与えることができる。
【0008】
上記情報処理プログラムのさらに他の構成例として、イベント発生手段は、情報処理装置の姿勢を検出するセンサからの検出結果が当該情報処理装置の所定の姿勢を示している場合に、特定対象の形状に応じてイベントを発生する。
【0009】
上記構成例によれば、情報処理装置の姿勢や動きを検出するセンサからの検出結果により、イベントを発生させないようにすることができるので、ユーザが情報処理装置を動かして認識した特定対象の形状を変化させることによりイベントが発生してしまうことを防止することができる。すなわち、特定対象を動かすることにより変化した特定対象の形状に応じてイベントを発生させたいという開発者の意図の通りの操作をユーザに行わせることができる。
【0010】
上記情報処理プログラムのさらに他の構成例として、形状認識手段は、被写体の画像において特定対象の中心から特定対象の一辺へ伸びるベクトルの向きにより、特定対象の形状を認識する。
【0011】
上記構成例によれば、被写体の画像において特定対象の中心から特定対象の一辺へ伸びるベクトルの向きを算出するだけで、特定対象の形状の変形を簡単に認識することができる。
【0012】
上記情報処理プログラムのさらに他の構成例として、イベント発生手段は、特定対象検出手段で特定対象を検出することができたとき、第1イベントを発生し、第1イベントを発生した後、形状認識手段で認識した特定対象の形状が所定形状に変形したとき、第2イベントを発生する。
【0013】
上記構成例によれば、特定対象を検出することができたとき、第1イベントを発生し、特定対象の形状が所定形状に変形したとき、第2イベントを発生するので、さらに特定対象を利用してユーザに拡張現実を実感する視覚効果を十分に与えることができる。
【0014】
上記情報処理プログラムのさらに他の構成例として、仮想画像生成手段は、イベント発生手段で発生したイベントとして仮想空間内に配置した所定形状のオブジェクトを仮想カメラで撮影することにより仮想画像を生成する。
【0015】
上記構成例によれば、イベントに応じて所定形状のオブジェクトを表示するので、特定対象に対応する位置にオブジェクトを単に表示するだけの場合に比べて、ユーザに拡張現実を実感する視覚効果を十分に与えることができる。
【0016】
上記情報処理プログラムのさらに他の構成例として、仮想画像生成手段は、イベント発生手段で発生したイベントとして仮想空間内に配置した板状のポリゴンにテクスチャをマッピングして、仮想カメラで撮影することにより仮想画像を生成する。
【0017】
上記構成例によれば、仮想空間内に配置した板状のポリゴンにテクスチャとしてマッピングする仮想画像を生成するので、ユーザに拡張現実を実感する視覚効果を十分に与えることができる。
【0018】
上記情報処理プログラムのさらに他の構成例として、情報処理装置は、コンピュータを、被写体の画像から撮像装置と特定対象との位置関係を算出する位置算出手段、および位置算出手段で算出した位置関係に応じて仮想カメラを配置する仮想カメラ配置手段としてさらに機能させる。
【0019】
上記構成例によれば、撮像装置と特定対象との位置関係に応じて配置された仮想カメラで撮像した画像を仮想画像として生成するので、あたかもイベントが実世界で発生しているような表示ができるため、ユーザに拡張現実を実感する視覚効果を十分に与えることができる。
【0020】
本発明の一構成例に係る情報処理装置は、撮像装置および表示装置に接続された情報処理装置であって、画像取得手段と、特定対象検出手段と、形状認識手段と、イベント発生手段と、仮想画像生成手段と、表示制御手段とを備える。画像取得手段は、撮像装置により撮像した被写体の画像を取得する。特定対象検出手段は、画像取得手段で取得した被写体の画像から特定対象を検出する。形状認識手段は、特定対象検出手段で検出した特定対象の形状を認識する。イベント発生手段は、形状認識手段で認識した特定対象の形状に応じて仮想空間内にイベントを発生する。仮想画像生成手段は、イベント発生手段で発生するイベントを仮想空間内に配置された仮想カメラで撮影することにより仮想画像を生成する。表示制御手段は、被写体の画像もしくは、表示装置の画面を透過して見える被写体に重ね合わせてユーザに視認されるように、仮想画像を表示装置に表示させる。
【0021】
上記構成例によれば、認識した特定対象の形状に応じて仮想空間内にイベントを発生させるので、特定対象を利用してユーザに拡張現実を実感する視覚効果を十分に与えることができる。
【0022】
本発明の一構成例に係る情報処理方法は、撮像装置および表示装置に接続された情報処理装置の制御部によって処理される情報処理方法である。制御部が、撮像装置により撮像した被写体の画像を取得するステップと、取得した被写体の画像から特定対象を検出するステップと、検出した特定対象の形状を認識するためのステップと、認識した特定対象の形状に応じて仮想空間内にイベントを発生するためのステップと、発生するイベントを仮想空間内に配置された仮想カメラで撮影することにより仮想画像を生成するステップと、被写体の画像もしくは、表示装置の画面を透過して見える被写体に重ね合わせてユーザに視認されるように、仮想画像を表示装置に表示させるステップとを含む。
【0023】
上記構成例によれば、認識した特定対象の形状に応じて仮想空間内にイベントを発生させるので、特定対象を利用してユーザに拡張現実を実感する視覚効果を十分に与えることができる。
【0024】
本発明の一構成例に係る情報処理システムは、被写体に配置してある特定対象と、被写体を撮像する撮像装置と、撮像装置に接続された情報処理装置と、情報処理装置に接続した表示装置とを備える情報処理システムである。情報処理装置は、撮像装置により撮像した被写体の画像を取得するための画像取得手段と、画像取得手段で取得した被写体の画像から特定対象を検出する特定対象検出手段と、特定対象検出手段で検出した特定対象の形状を認識するための形状認識手段と、形状認識手段で認識した特定対象の形状に応じて仮想空間内にイベントを発生するためのイベント発生手段と、イベント発生手段で発生するイベントを仮想空間内に配置された仮想カメラで撮影することにより仮想画像を生成する仮想画像生成手段と、被写体の画像もしくは、表示装置の画面を透過して見える被写体に重ね合わせてユーザに視認されるように、仮想画像を表示装置に表示させる表示制御手段とを備える。
【0025】
上記構成例によれば、認識した特定対象の形状に応じて仮想空間内にイベントを発生させるので、特定対象を利用してユーザに拡張現実を実感する視覚効果を十分に与えることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、認識した特定対象の形状に応じて仮想空間内にイベントを発生させるので、特定対象を利用してユーザに拡張現実を実感する視覚効果を十分に与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態に係るゲーム装置の開状態における正面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るゲーム装置の閉状態における左側面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るゲーム装置の閉状態における正面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るゲーム装置の閉状態における右側面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るゲーム装置の閉状態における背面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るゲーム装置の内部構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るゲーム装置のゲームプレイ中におけるゲーム画像例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係るゲーム装置のゲームプレイ中におけるゲーム画像例を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係るゲーム装置のゲームプレイ中におけるゲーム画像例を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係るゲーム装置のゲームプレイ中におけるゲーム画像例を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態に係るゲーム装置のメインメモリのメモリマップを示す概略図である。
【図12】本発明の実施の形態に係るゲーム装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図13】本発明の実施の形態に係るゲーム装置の第1イベントの処理を説明するためのフローチャートである。
【図14】本発明の実施の形態に係るゲーム装置のマーカの形状の認識方法を説明するための図である。
【図15】本発明の実施の形態に係るゲーム装置の第2イベントの処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(ゲーム装置の構成)
以下、本発明の一実施形態に係るゲーム装置について説明する。ゲーム装置10は携帯型のゲーム装置である。図1は、本発明の実施の形態に係るゲーム装置10の開状態における正面図である。図2は、本発明の実施の形態に係るゲーム装置10の閉状態における左側面図である。図3は、本発明の実施の形態に係るゲーム装置10の閉状態における正面図である。図4は、本発明の実施の形態に係るゲーム装置10の閉状態における右側面図である。図5は、本発明の実施の形態に係るゲーム装置10の閉状態における背面図である。
【0029】
図1および図2〜図5に示されるように、ゲーム装置10は、下側ハウジング11および上側ハウジング21を有する。下側ハウジング11と上側ハウジング21とは、開閉可能(折り畳み可能)に接続されている。
【0030】
(下側ハウジングの説明)
図1および図2〜図5に示すように、下側ハウジング11には、下側LCD(Liquid Crystal Display:液晶表示装置)12、タッチパネル13、各操作ボタン14A〜14L、アナログスティック15、LED16A〜16B、挿入口17、および、マイクロフォン用孔18が設けられている。
【0031】
タッチパネル13は、下側LCD12の画面上に装着されている。下側ハウジング11の上側面には、タッチペン28を収納するための挿入口17(図1および図5に示す点線)が設けられている。
【0032】
下側ハウジング11の内側面(主面)には、十字ボタン(方向入力ボタン)14A、ボタン14B、ボタン14C、ボタン14D、ボタン14E、電源ボタン14F、セレクトボタン14J、HOMEボタン14K、およびスタートボタン14Lが、設けられている。
【0033】
アナログスティック15は、方向を指示するデバイスである。
下側ハウジング11の内側面には、マイクロフォン用孔18が設けられている。マイクロフォン用孔18の下部には後述する音声入力装置としてのマイク42(図6参照)が設けられている。
【0034】
図3および図5に示されるように、下側ハウジング11の上側面には、Lボタン14GおよびRボタン14Hが設けられている。また、図2に示されるように、下側ハウジング11の左側面には、ゲーム装置10が備えるスピーカ43(図6参照)の音量を調整するための音量ボタン14Iが設けられている。
【0035】
図2に示されるように、下側ハウジング11の左側面には開閉可能なカバー部11Cが設けられている。このカバー部11Cの内側には、ゲーム装置10とデータ保存用外部メモリ45とを電気的に接続するためのコネクタが設けられている。
【0036】
図5に示されるように、下側ハウジング11の上側面には、外部メモリ44を挿入するための挿入口11Dが設けられている。
【0037】
図1および図4に示されるように、下側ハウジング11の下側面にはゲーム装置10の電源のON/OFF状況をユーザに通知する第1LED16A、下側ハウジング11の右側面にはゲーム装置10の無線通信の確立状況をユーザに通知する第2LED16Bが設けられている。ゲーム装置10は他の機器との間で無線通信を行うことが可能であり、下側ハウジング11の右側面には、この無線通信の機能を有効/無効にする無線スイッチ19が設けられている(図4参照)。
【0038】
(上側ハウジングの説明)
図1および図2に示すように、上側ハウジング21には、上側LCD(Liquid Crystal Display:液晶表示装置)22、外側撮像部23(外側撮像部(左)23aおよび外側撮像部(右)23b)、内側撮像部24、3D調整スイッチ25、および、3Dインジケータ26が設けられている。
【0039】
上側LCD22は、立体視可能な画像を表示することが可能な表示装置である。具体的に、上側LCD22は、パララックスバリア方式の裸眼立体視可能な表示装置である。上側LCD22は、視差バリアを用いてユーザの左目に左目用画像をユーザの右目に右目用画像を視認させることにより、ユーザにとって立体感のある画像(立体視画像(3D画像))を表示することができる。また、上側LCD22は、上記視差バリアを無効にすることが可能であり、視差バリアを無効にした場合は、画像を平面的に表示することができる。このように、上側LCD22は、立体視画像を表示する立体表示モードと、画像を平面的に表示する(平面視画像を表示する)平面表示モードとを切り替えることが可能な表示装置である。この表示モードの切り替えは、たとえば、後述する3D調整スイッチ25によって行われる。
【0040】
外側撮像部23は、上側ハウジング21の外側面21Dに設けられた2つの撮像部(23aおよび23b)の総称である。外側撮像部(左)23aと外側撮像部(右)23bとは、ゲーム装置10が実行するプログラムによって、ステレオカメラとして使用することが可能である。
【0041】
内側撮像部24は、上側ハウジング21の内側面21Bに設けられ、当該内側面の内向きの法線方向を撮像方向とする撮像部である。
【0042】
3D調整スイッチ25は、スライドスイッチであり、上述のように上側LCD22の表示モードを切り替えるために用いられるスイッチである。また、3D調整スイッチ25は、上側LCD22に表示された立体視可能な画像(立体画像)の立体感を調整するために用いられる。3D調整スイッチ25のスライダ25aは、所定方向(上下方向)の任意の位置にスライド可能であり、当該スライダ25aの位置に応じて上側LCD22の表示モードが設定される。また、スライダ25aの位置に応じて、立体画像の見え方が調整される。
【0043】
3Dインジケータ26は、上側LCD22が立体表示モードか否かを示すLEDである。
【0044】
また、上側ハウジング21の内側面には、スピーカ孔21Eが設けられている。後述するスピーカ43からの音声がこのスピーカ孔21Eから出力される。
【0045】
(ゲーム装置10の内部構成)
次に、図6は、本発明の実施の形態に係るゲーム装置10の内部構成を示すブロック図である。図6を参照して、ゲーム装置10の内部の電気的構成について説明する。図6に示すように、ゲーム装置10は、上述した各部に加えて、情報処理部31、メインメモリ32、外部メモリインターフェイス(外部メモリI/F)33、データ保存用外部メモリI/F34、データ保存用内部メモリ35、無線通信モジュール36、ローカル通信モジュール37、リアルタイムクロック(RTC)38、加速度センサ39、電源回路40、およびインターフェイス回路(I/F回路)41等の電子部品を備えている。
【0046】
情報処理部31は、所定のプログラムを実行するためのCPU(Central Processing Unit)311、画像処理を行うGPU(Graphics Processing Unit)312、VRAM(Video RAM)313を含む。CPU311は、ゲーム装置10内のメモリ(たとえば、外部メモリI/F33に接続された外部メモリ44やデータ保存用内部メモリ35)に記憶されているプログラムを実行することによって、当該プログラムに応じた処理を実行する。なお、CPU311によって実行されるプログラムは、他の機器との通信によって他の機器から取得されてもよい。GPU312は、CPU311からの命令に応じて画像を生成し、VRAM313に描画する。VRAM313に描画された画像は、上側LCD22及び/又は下側LCD12に出力され、上側LCD22及び/又は下側LCD12に当該画像が表示される。
【0047】
外部メモリI/F33は、外部メモリ44を着脱自在に接続するためのインターフェイスである。また、データ保存用外部メモリI/F34は、データ保存用外部メモリ45を着脱自在に接続するためのインターフェイスである。
【0048】
メインメモリ32は、情報処理部31(のCPU311)のワーク領域やバッファ領域として用いられる揮発性の記憶装置である。
【0049】
外部メモリ44は、情報処理部31によって実行されるプログラム等を記憶するための不揮発性の記憶装置である。外部メモリ44は、たとえば読み取り専用の半導体メモリで構成される。
【0050】
データ保存用外部メモリ45は、不揮発性の読み書き可能なメモリ(たとえば、NAND型フラッシュメモリ)で構成され、任意のデータを保存するために用いられる。
【0051】
データ保存用内部メモリ35は、読み書き可能な不揮発性メモリ(たとえば、NAND型フラッシュメモリ)で構成され、所定のデータを格納するために用いられる。たとえば、データ保存用内部メモリ35には、無線通信モジュール36を介した無線通信によってダウンロードされたデータやプログラムが格納される。
【0052】
無線通信モジュール36は、たとえばIEEE802.11b/gの規格に準拠した方式により、無線LANに接続する機能を有する。また、ローカル通信モジュール37は、所定の通信方式(たとえば、独自プロトコルによる通信や、赤外線通信)により同種のゲーム装置との間で無線通信を行う機能を有する。
【0053】
加速度センサ39は、3軸(xyz軸)方向に沿った直線方向の加速度(直線加速度)の大きさを検出する。情報処理部31は、加速度センサ39が検出した加速度を示すデータ(加速度データ)を受信して、ゲーム装置10の姿勢や動きを検出することができる。
【0054】
RTC38は、時間をカウントして情報処理部31に出力する。情報処理部31は、RTC38によって計時された時間に基づき現在時刻(日付)を計算する。電源回路40は、ゲーム装置10が有する電源(充電式電池)からの電力を制御し、ゲーム装置10の各部品に電力を供給する。
【0055】
I/F回路41には、タッチパネル13、マイク42およびスピーカ43が接続される。I/F回路41は、マイク42およびスピーカ43(アンプ)の制御を行う音声制御回路と、タッチパネルの制御を行うタッチパネル制御回路とを含む。音声制御回路は、音声信号に対するA/D変換およびD/A変換を行ったり、音声信号を所定の形式の音声データに変換したりする。タッチパネル制御回路は、タッチパネル13からの信号に基づいて所定の形式のタッチ位置データを生成して情報処理部31に出力する。情報処理部31は、タッチ位置データを取得することにより、タッチパネル13に対して入力が行われた位置を知ることができる。
【0056】
操作ボタン14は、上記各操作ボタン14A〜14Lからなり、操作ボタン14から情報処理部31へは、各操作ボタン14A〜14Iに対する入力状況(押下されたか否か)を示す操作データが出力される。
【0057】
下側LCD12および上側LCD22は情報処理部31に接続される。具体的に、情報処理部31は、上側LCD22のLCDコントローラ(図示せず)と接続され、当該LCDコントローラに対して視差バリアのON/OFFを制御する。上側LCD22の視差バリアがONになっている場合、情報処理部31のVRAM313に格納された右目用画像と左目用画像とが、上側LCD22に出力される。より具体的に、LCDコントローラは、右目用画像について縦方向に1ライン分の画素データを読み出す処理と、左目用画像について縦方向に1ライン分の画素データを読み出す処理とを交互に繰り返すことによって、VRAM313から右目用画像と左目用画像とを読み出す。これにより、右目用画像および左目用画像が、画素を縦に1ライン毎に並んだ短冊状画像に分割され、分割された右目用画像の短冊状画像と左目用画像の短冊状画像とが交互に配置された画像が、上側LCD22の画面に表示される。そして、上側LCD22の視差バリアを介して当該画像がユーザに視認されることによって、ユーザの右目に右目用画像が、ユーザの左目に左目用画像が視認される。以上により、上側LCD22の画面には立体視可能な画像が表示される。
【0058】
外側撮像部23および内側撮像部24は、情報処理部31の指示に従って画像を撮像し、撮像した画像データを情報処理部31に出力する。
【0059】
3D調整スイッチ25は、スライダ25aの位置に応じた電気信号を情報処理部31に送信する。
【0060】
情報処理部31は、3Dインジケータ26の点灯を制御する。たとえば、情報処理部31は、上側LCD22が立体表示モードである場合、3Dインジケータ26を点灯させる。
【0061】
(ゲームの概要)
次に、図7〜図10は、本発明の実施の形態に係るゲーム装置10のゲームプレイ中におけるゲーム画像例を示す図である。図7〜図10を参照して、ゲーム装置10において実行されるゲームの概要を説明する。このゲームは、ゲームソフトに同梱されているノートに描かれている所定の模様(文字、数字、記号、その他の図柄)のマーカ50を、ゲーム装置10の外側撮像部23で撮像しながらプレイする、拡張現実技術を利用したゲームである。
【0062】
図7に示すゲーム画像例は、ゲームの開始直後、マーカ50を検出するときに上側LCD22および下側LCD12に表示されるゲーム画像を示している。
【0063】
上側LCD22には、外側撮像部23によって現在撮像されているノート(被写体)の画像と、ノートに描かれているマーカ50の画像が表示されている。この例では、マーカ50は、ノートの略中央部に配置してある正方形のマーカである。
【0064】
下側LCD12には、マーカ50を検出中であることを示す情報(たとえば、「マーカ検出中」)が表示される。ゲーム装置10がマーカ50を検出することができなかった場合、ゲーム装置10は、下側LCD12に、「マーカを検出することができませんでした。再度マーカを検出する処理を行なってください。」などの情報を表示してもよい。ゲーム装置10がマーカ50を検出することができた場合、ゲーム装置10は、下側LCD12に、「マーカを検出することができました。」などの情報を表示してもよい。
【0065】
ゲーム装置10は、マーカ50を検出することができた場合、第1イベントを発生する。発生した第1イベントにより、上側LCD22には、図8に示すようにマーカ50の近傍に配置されたボールオブジェクト60が表示される。なお、ゲーム装置10は、ゲームを演出するために、上側LCD22のマーカ50a内の領域において動画を再生してもよい。
【0066】
ゲーム装置10は、下側LCD12に、ゲームの説明を表示してもよい。たとえば、ゲーム装置10は、下側LCD12に、「ノートを傾けてボールを動かしてください。」などの情報を表示する。当該表示は、ユーザを第2イベントに移行させるためのガイドである。
【0067】
次に、ユーザは、図9に示すように、ノートの右端を持上げてノートを傾ける。ゲーム装置10は、ノートを傾けることで、ノートを傾ける前のマーカ50の形状に比べて変形した形状のマーカ50を外側撮像部23によって撮像する。なお、ゲーム装置10は、ノートを傾ける前の姿勢を維持したままとする。
【0068】
ゲーム装置10は、撮像したマーカ50の形状が所定形状に変形した場合、第2イベントを発生する。つまり、ゲーム装置10は、ボールが移動する程度ノートが傾いたことを、マーカ50の変形から認識して、ボールオブジェクト60が移動する第2イベントを発生する。図10に示すように、ゲーム装置10は、第2イベントを発生により、傾いたノート上をボールオブジェクト60が移動する様子を上側LCD22に表示する。
【0069】
(ゲーム装置10の動作)
次に、ゲーム装置10の動作についてより詳細に説明する。
【0070】
図11は、本発明の実施の形態に係るゲーム装置10のメインメモリ32のメモリマップを示す概略図である。
【0071】
図11に示すメインメモリ32は、ゲームプログラムD11、動画情報D12、仮想オブジェクト情報D13、左被写体画像D14、右被写体画像D15、仮想カメラ情報D16、左仮想空間画像D17、右仮想空間画像D18などを含む。
【0072】
ゲームプログラムD11は、ゲームの実行に先立って外部メモリ44またはデータ保存用内部メモリ35等から読み出されて、メインメモリ32に格納される。なお、無線通信機能を使ってサーバ装置または他のゲーム装置からゲームプログラムD11を受信して、メインメモリ32に格納してもよい。
【0073】
動画情報D12は、第1イベントなどで表示する動画情報であり、H.264、MPEG−4 AVCなどの動画圧縮規格に基づいて圧縮した動画情報である。
【0074】
仮想オブジェクト情報D13は、仮想空間に配置される各種仮想オブジェクト(ボールオブジェクト60)に関連する情報であって、仮想オブジェクトの形状、色、模様、位置、姿勢などの情報を含んでいる。また、ボールオブジェクト60については、移動方向および移動速度の情報も含まれている。
【0075】
左被写体画像D14は、外側撮像部(左)23aによって撮像された被写体の画像であり、右被写体画像D15は、外側撮像部(右)23bによって撮像された被写体の画像である。
【0076】
仮想カメラ情報D16は、立体視画像を生成する際に用いられる一対の仮想カメラ(後述する左仮想カメラおよび右仮想カメラ)に関する情報であって、仮想空間における各仮想カメラの位置や姿勢などの情報を含んでいる。
【0077】
左仮想空間画像D17は、左仮想カメラに基づいて描画された仮想画像であり、右仮想空間画像D18は、右仮想カメラに基づいて描画された仮想画像である。
【0078】
次に、図12は、本発明の実施の形態に係るゲーム装置10の動作を説明するためのフローチャートである。図12を参照して、ゲームプログラムD11に基づいてCPU311によって実行されるゲーム処理の流れについて説明する。当該ゲーム処理は、たとえば、外側撮像部23によって被写体を撮像している状態で、操作ボタン14のボタン14Bが押下されたときに開始される。
【0079】
まず、CPU311は、外側撮像部(左)23aおよび外側撮像部(右)23bから、最新の左被写体画像D14および右被写体画像D15を取得して、メインメモリ32に格納する(ステップS11)。
【0080】
次に、CPU311は、取得した被写体の画像からマーカ50を検出する(ステップS12)。当該マーカ検出処理では、左被写体画像D14および右被写体画像D15のそれぞれにおけるマーカ50を検出する。たとえば、左被写体画像D14および右被写体画像D15に対して、それぞれエッジ検出処理とパターンマッチング処理を行うことによって、左被写体画像D14および右被写体画像D15のそれぞれにおけるマーカ50を検出する。ここで、エッジ検出処理は、左被写体画像D14および右被写体画像D15から、マーカ50の輪郭を表す一連のエッジ画素を検出し、一連のエッジ画素に基づいて複数の直線を生成して輪郭の頂点を検出する。
【0081】
マーカ50は、図7に示したように、ノートの略中央部に配置してある正方形のマーカに限定されるものではなく、取得した被写体の画像から検出することができる形状であればいずれの形状であってもよい。また、マーカ50は、1つに限定されるものではなく、複数のマーカをノートに配置してあってもよい。
【0082】
次に、CPU311は、マーカ50の4頂点から現実空間における外側撮像部23とマーカ50との位置関係が算出され、この算出結果に基づいて、仮想空間における仮想カメラの位置および姿勢が算出して、現実空間における外側撮像部23と外マーカ50aとの位置関係と仮想カメラと仮想空間内のマーカとの位置関係が対応するように、仮想カメラが設置される(ステップS13)。上記位置関係から仮想カメラの位置を算出する処理は、従来の拡張現実感技術における処理と同様であってもよい。なお、仮想空間における仮想カメラの位置および姿勢が算出、および仮想カメラを設置する処理は、一定間隔で行われており、後述する各イベントの処理中でも行われている。しかし、以降のフローチャートでは、省略して記載していない場合もあるが、当該処理は、後述する各イベントの処理中を含む一定間隔で行われているものとする。また、このとき、マーカ50bについても同様の処理を行い、現実空間における外側撮像部23と内マーカ50bとの位置関係と仮想カメラと仮想空間内のマーカ50bとの位置関係が対応するように、上記仮想カメラとは別の仮想カメラを仮想空間内の配置されるようにして、後述のステップS174において、その仮想カメラが用いられてもよい。
【0083】
次に、CPU311は、マーカ50を検出することができたか否かを判断する(ステップS14)。CPU311は、マーカ50を検出することができなかったと判断した場合(ステップS14:NO)、処理をステップS12に戻して、取得した被写体の画像からマーカ50を検出する処理を継続する。CPU311は、マーカ50を検出することができたと判断した場合(ステップS14:YES)、第1イベントを発生する(ステップS14)。
【0084】
次に、発生した第1イベントの処理について説明する。図13は、本発明の実施の形態に係るゲーム装置10の第1イベントの処理を説明するためのフローチャートである。
【0085】
CPU311は、外マーカ50aの中心を原点とした仮想空間内の当該原点を基準とした所定の位置に、ボールオブジェクト60を配置する(ステップS141)。
【0086】
CPU311は、ボールオブジェクト60を配置した後、仮想カメラでボールオブジェクト60を含む仮想空間を撮像して仮想空間内の仮想画像を生成する(ステップS142)。具体的に、CPU311は、左仮想カメラに基づいて仮想オブジェクト(ボールオブジェクト60など)を描画することによって左仮想空間画像D17を生成し、右仮想カメラに基づいて仮想オブジェクトを描画することによって右仮想空間画像D18を生成する。なお、仮想空間の描画処理は、典型的には、CPU311の指示に従ってGPU312が行う。
【0087】
CPU311は、仮想画像を生成した後、被写体の画像と仮想画像とを合成し、上側LCD22に表示する(ステップS143)。具体的に、CPU311は、左被写体画像D14に左仮想空間画像D17(すなわち、左仮想カメラに基づいて描画されたボールオブジェクト60)を上書きし、右被写体画像D15に右仮想空間画像D18(すなわち、右仮想カメラに基づいて描画されたボールオブジェクト60)を上書きする。そして、合成された画像は、上側LCD22に表示される。つまり、CPU311は、左被写体画像D14と左仮想空間画像D17とを合成した画像を左目用画像とし、右被写体画像D15と右仮想空間画像D18とを合成した画像を右目用画像として、上側LCD22に3D画像を表示する。第1イベントの処理は、上側LCD22にボールオブジェクト60を表示することで終了する。
【0088】
なお、CPU311は、メインメモリ32から動画情報D12を読出し、マーカ50内の領域で動画を再生してもよい。具体的に、マーカ50内の領域で動画を再生する方法について説明する。CPU311は、発生した第1イベントに応じて仮想空間内に板状のポリゴンを配置する。CPU311は、配置した板状のポリゴンにテクスチャとして動画情報D12の画像をマッピングすることで仮想画像を生成する。CPU311は、生成した仮想画像を、被写体の画像に重ね合わせてユーザに視認されるように、仮想画像を上側LCD22に順次表示させることで、動画を再生する。
【0089】
図12に戻って、CPU311は、ゲーム装置10の姿勢や動きを検出するために、加速度センサ39で検出した加速度を示すデータ(加速度センサ39の値)を受信する。CPU311は、受信した加速度センサ39の値が、ゲーム装置10が水平となっていることを示しているか否かを判断する(ステップS16)。つまり、CPU311は、ゲーム装置10が水平となっているか否かを、加速度センサ39の値により判断している。具体的に、CPU311は、加速度センサ39の値が所定値にない場合、ゲーム装置10がが水平にないと判断し、加速度センサ39の値が所定値にある場合、ゲーム装置10が水平にあると判断することができる。
【0090】
CPU311は、受信した加速度センサ39の値が一定でないと判断した場合(ステップS16:NO)、加速度センサ39の値を受信する処理を継続する。CPU311は、受信した加速度センサ39の値が一定であると判断した場合(ステップS16:YES)、マーカ50の形状を認識する。
【0091】
CPU311は、マーカ50の形状を認識することで、ユーザがノートを傾けたか否かを検出することができる。図14は、本発明の実施の形態に係るゲーム装置10のマーカ50の形状の認識方法を説明するための図である。図14(a)に示すマーカ50は、ノートを机に置いた状態で、マーカ50の正面に対してやや斜め下側から外側撮像部23によって撮像した図である。そのため、図14(a)に示すマーカ50の形状は、底辺側が長い台形となっている。
【0092】
図14(b)に示すマーカ50は、図9に示したようにノートの右端を持上げノートを傾けた状態で、図14(b)と同じ位置から外側撮像部23によって撮像した図である。そのため、図14(b)に示すマーカ50の形状は、図14(a)に示すマーカ50の形状と異なり、変形した台形となる。
【0093】
CPU311は、マーカ50の形状を認識するために、マーカ50の中心Oからマーカ50の一辺の中点へ伸びるベクトルaの向きの情報を利用する。つまり、CPU311は、マーカ50の形状の変形を、ベクトルaの向きの変化として認識している。具体的に、図14(a)に示すベクトルaは、水平方向に沿って左を向いているが、図14(b)に示すベクトルaは、水平方向に対して角度θ分だけ左下を向いている。そのため、CPU311は、ベクトルaの向きでマーカ50の形状を認識することで処理する情報量を減らして、マーカ50の形状の変形を簡単に認識することができる。
【0094】
なお、マーカ50の形状の認識方法は、ベクトルaの向きを用いる方法に限定されるものではなく、外側撮像部23によって撮像した画像を用いてパターンマッチング処理でマーカ50の形状を認識してもよい。(※、特に、打ち合わせではありませんでいたが、あらかじめ変形した画像を認識させておけば可能かと思い記載いたしました。不要であれば削除しますのでご指示いただきますようお願いいたします。)
図12に戻って、CPU311は、認識したマーカ50の形状が所定形状に変形したか否かを判断する(ステップS17)。つまり、CPU311は、図14(a)に示すベクトルaの向きに対して、図14(b)に示すベクトルaの向きの角度θが所定の角度になると、認識したマーカ50の形状が所定形状に変形したと判断する。
【0095】
CPU311は、認識したマーカ50の形状が所定形状まで変形していないと判断した場合(ステップS17:NO)、処理をステップS16に戻して、加速度センサ39の値を受信する処理を継続する。CPU311は、認識したマーカ50の形状が所定形状に変形したと判断した場合(ステップS17:YES)、第2イベントを発生する(ステップS18)。
【0096】
ここで、CPU311が、マーカ50の形状を認識する前に、加速度センサ39の値を受信するのは、マーカ50の形状が変形する原因が、ノートを傾けたことによるものなのか、ゲーム装置10本体を傾けたものなのかを区別するためである。つまり、本実施の形態に係るゲーム装置10では、ノートを傾けたことで第2イベントを発生する仕様になっているため、ゲーム装置10の姿勢や動きを検出する加速度センサ39からの値(検出結果)からゲーム装置10本体を傾けたと判断した場合、第2イベントを発生しない。しかし、本発明に係るゲーム装置10は、上記仕様に限定されるものではなく、ゲーム装置10の姿勢や動きを検出する加速度センサ39からの値を考慮することなく、マーカ50の形状を認識してもよい。つまり、ゲーム装置10は、ノートを傾けたこと、ゲーム装置10本体を傾けたことを区別することなく、第2イベントを発生する仕様でもよい。
【0097】
次に、発生した第2イベントの処理について説明する。図15は、本発明の実施の形態に係るゲーム装置10の第2イベントの処理を説明するためのフローチャートである。まず、CPU311は、配置したボールオブジェクト60を移動する(ステップS161)。具体的に、CPU311は、メインメモリ32から読出した仮想オブジェクト情報D13や、ノートの傾き程度(マーカ50の形状の変形程度)などを考慮して、ボールオブジェクト60の移動方向および移動速度を決定する。たとえば、CPU311は、ボールオブジェクト60を、左方向に、速い速度で移動させると決定する。そして、CPU311は、決定に基づいてボールオブジェクト60を移動させた場合、移動させたボールオブジェクト60の位置を更新する。
【0098】
CPU311は、仮想カメラで移動するボールオブジェクト60を含む仮想空間を撮像して仮想空間内の仮想画像を生成する(ステップS162)。具体的に、CPU311は、左仮想カメラに基づいて移動するボールオブジェクト60を描画することによって左仮想空間画像D17を生成し、右仮想カメラに基づいて移動するボールオブジェクト60を描画することによって右仮想空間画像D18を生成する。
【0099】
なお、仮想カメラは、第1イベントの処理で配置した仮想カメラを用いることで、再度配置する必要はない。再度仮想カメラを配置する場合、CPU311は、外側撮像部23a,23bとマーカ50との位置関係を再度算出し、再度算出した位置関係に基づいて仮想空間に一対の仮想カメラ(左仮想カメラおよび右仮想カメラ)を再度配置する。
【0100】
CPU311は、仮想画像を生成した後、被写体の画像と仮想画像とを合成し、上側LCD22に表示する(ステップS163)。具体的に、CPU311は、左被写体画像D14に、左仮想カメラに基づいて描画された移動するボールオブジェクト60を順次上書し、右被写体画像D15に、右仮想カメラに基づいて描画された移動するボールオブジェクト60を順次上書きすることで、ユーザに、仮想空間内をキャラクタオブジェクト61が移動していると認識させることができる。なお、同様に、合成された画像は、上側LCD22に表示される。つまり、CPU311は、左被写体画像D14と左仮想空間画像D17とを合成した画像を左目用画像とし、右被写体画像D15と右仮想空間画像D18とを合成した画像を右目用画像として、上側LCD22に3D画像を表示する。
【0101】
図12に戻って、CPU311は、第2イベントの処理を終了した後、ゲームを終了する。なお、CPU311は、ゲームを終了せずに、処理をステップS12に戻して、取得した被写体の画像からマーカ50を検出する処理を継続してもよい。
【0102】
以上のように、本発明の実施の形態に係るゲーム装置10は、外側撮像部23により撮像した被写体の画像を取得し、取得した被写体の画像からマーカ50を検出し、検出したマーカ50の形状を認識し、認識したマーカ50の形状に応じて仮想空間内にイベントを発生し、発生するイベントに応じて仮想空間内の仮想画像を生成し、被写体の画像に重ね合わせてユーザに視認されるように、仮想画像を上側LCD22に表示させるので、マーカ50を利用してユーザに拡張現実を実感する視覚効果を十分に与えることができる。
【0103】
(変形例)
また、上記実施形態では、外側撮像部23によって撮像された被写体画像に仮想画像を合成して上側LCD22に表示している(ビデオシースルー方式)が、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、透過型の表示画面に仮想オブジェクトを表示し、当該透過型の表示画面を通じて見える被写体にあたかも仮想オブジェクトが実在するかのようにユーザに視認されるような光学シースルー方式のゲーム装置(たとえば、ヘッドマウントディスプレイを備えるゲーム装置)やゲームシステムにも適用できる。
【0104】
また、上記実施形態では、マーカ検出処理の結果に応じて、左仮想カメラの位置および姿勢と、右仮想カメラの位置および姿勢とを個別に決定しているが、他の実施形態では、マーカ検出処理の結果に応じていずれか一方の仮想カメラの位置および姿勢を決定した後、当該一方の仮想カメラの位置および姿勢から他方の仮想カメラの位置および姿勢を決定するようにしてもよい。
【0105】
また、上記実施形態では、被写体画像に含まれるマーカ50の位置および姿勢に基づいて仮想カメラの位置および姿勢を決定しているが、他の実施形態では、被写体画像に含まれるマーカ50以外の認識対象物(たとえば、顔や、手など)の位置等に応じて仮想カメラの位置等を決定してもよい。
【0106】
また、上記実施形態では、上側LCD22に立体視画像を表示する例を説明したが、本発明はこれに限らず、平面視画像を表示する場合にも本発明は適用できる。たとえば、外側撮像部(左)23aまたは外側撮像部(右)23bのいずれか一方から取得した被写体画像に基づいて仮想空間に1つの仮想カメラを配置して、上記実施形態と同様の処理を行えばよい。
【0107】
また、上記実施形態では、マーカ50が描かれているノートを用いる例を説明したが、本発明はこれに限らず、一般的なクレジットカードや名刺等のサイズのカードにマーカ50が描かれているものを用いる場合にも本発明は適用できる。このとき、マーカ50が描かれているカードを単にマーカと呼ぶようにしてもよい。
【0108】
また、上記実施形態では、ゲームプログラムD11の処理がCPU(CPU311)によって実行される例を説明したが、他の実施形態では、ゲームプログラムD11の少なくとも一部の処理がハードウェアのみによって実現されてもよい。
【0109】
また、上記実施形態では、上記ゲーム例で説明したが、本発明はこれに限らず、マーカ50の形状が変形することでイベントを発生するような任意のゲームに適用可能である。また、本発明はゲームソフトウェアに限らず、任意のアプリケーションソフトウェアにも適用可能である。
【0110】
また、上記実施形態では、携帯型のゲーム装置10について説明したが、他の実施形態では、任意の情報処理装置(据え置き型ゲーム装置、デスクトップパソコン、ノートパソコン、携帯電話など)をゲーム装置またはゲームシステムとして利用してもよい。
【0111】
また、上記実施形態では、ゲームプログラムD11の処理が1つのCPU(CPU311)によって実行される例を説明したが、他の実施形態では、ゲームプログラムD11の処理が複数のプロセッサによって分担して実行されてもよい。また、これらの複数のプロセッサは、同一の情報処理装置に内蔵されていてもよいし、サーバ装置とクライアント装置のように互いに通信可能な複数の情報処理装置に分散して設けられていてもよい。
【0112】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0113】
10 ゲーム装置、11 下側ハウジング、11C カバー部、11D,17 挿入口、12 下側LCD、13 タッチパネル、14A〜14L 操作ボタン、15 アナログスティック、16A〜16B LED、18 マイクロフォン用孔、19 無線スイッチ、21 上側ハウジング、21B 上側ハウジングの内側面、21D 上側ハウジングの外側面、21E スピーカ孔、22 上側LCD、23 外側撮像部、23a 外側撮像部(左)、23b 外側撮像部(右)、24 内側撮像部、25 3D調整スイッチ、25a スライダ、26 3Dインジケータ、28 タッチペン、31 情報処理部、32 メインメモリ、33 外部メモリインターフェイス、34 、データ保存用外部メモリI/F、35 データ保存用内部メモリ、36 無線通信モジュール、37 ローカル通信モジュール、38 リアルタイムクロック、39 加速度センサ、40 電源回路、41 インターフェイス回路、42 マイク、43 スピーカ、44 外部メモリ、45 データ保存用外部メモリ、50 マーカ、60 ボールオブジェクト、311 CPU、312 GPU、313 VRAM、D11 ゲームプログラム、D12 動画情報、D13 仮想オブジェクト情報、D14 左被写体画像、D15 右被写体画像、D16 仮想カメラ情報、D17 左仮想画像、D18 右仮想画像。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置23および表示装置22に接続された情報処理装置のコンピュータを、
前記撮像装置23により撮像した被写体の画像を取得するための画像取得手段、
前記画像取得手段で取得した前記被写体の画像から特定対象50を検出するための特定対象検出手段、
前記特定対象検出手段で検出する前記特定対象50の形状を認識するための形状認識手段、
前記形状認識手段で認識した前記特定対象50の形状に応じて仮想空間内にイベントを発生するためのイベント発生手段、
前記イベント発生手段で発生する前記イベントを前記仮想空間内に配置された仮想カメラで撮影することにより仮想画像を生成するための仮想画像生成手段312、および
前記被写体の画像もしくは、前記表示装置22の画面を透過して見える前記被写体に重ね合わせてユーザに視認されるように、前記仮想画像を前記表示装置22に表示させるための表示制御手段として機能させるための情報処理プログラム。
【請求項2】
前記イベント発生手段は、前記情報処理装置の姿勢を検出するセンサからの検出結果が当該情報処理装置の所定の姿勢を示している場合に、前記特定対象50の形状に応じて前記イベントを発生する、請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項3】
前記形状認識手段は、前記被写体の画像において前記特定対象50の中心から前記特定対象50の一辺へ伸びるベクトルの向きにより、前記特定対象50の形状を認識する、請求項1または2に記載の情報処理プログラム。
【請求項4】
前記イベント発生手段は、前記特定対象検出手段で前記特定対象50を検出することができたとき、第1イベントを発生し、前記第1イベントを発生した後、前記形状認識手段で認識した前記特定対象50の形状が所定形状に変形したとき、第2イベントを発生する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報処理プログラム。
【請求項5】
前記仮想画像生成手段312は、前記イベント発生手段で発生した前記イベントとして前記仮想空間内に配置した所定形状のオブジェクトを前記仮想カメラで撮影することにより前記仮想画像を生成する、請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項6】
前記仮想画像生成手段312は、前記イベント発生手段で発生した前記イベントとして前記仮想空間内に配置した板状のポリゴンにテクスチャをマッピングして、前記仮想カメラで撮影することにより前記仮想画像を生成する、請求項5に記載の情報処理プログラム。
【請求項7】
前記情報処理装置は、前記コンピュータを、
前記被写体の画像から前記撮像装置23と前記特定対象50との位置関係を算出するための位置算出手段、および
前記位置算出手段で算出した前記位置関係に応じて前記仮想カメラを配置するための仮想カメラ配置手段としてさらに機能させる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の情報処理プログラム。
【請求項8】
撮像装置23および表示装置22に接続された情報処理装置であって、
前記撮像装置23により撮像した被写体の画像を取得するための画像取得手段と、
前記画像取得手段で取得した前記被写体の画像から特定対象50を検出するための特定対象検出手段と、
前記特定対象検出手段で検出した前記特定対象50の形状を認識するための形状認識手段と、
前記形状認識手段で認識した前記特定対象50の形状に応じて仮想空間内にイベントを発生するためのイベント発生手段と、
前記イベント発生手段で発生する前記イベントを前記仮想空間内に配置された仮想カメラで撮影することにより仮想画像を生成するための仮想画像生成手段312と、
前記被写体の画像もしくは、前記表示装置22の画面を透過して見える前記被写体に重ね合わせてユーザに視認されるように、前記仮想画像を前記表示装置22に表示させるための表示制御手段と
を備える情報処理装置。
【請求項9】
撮像装置23および表示装置22に接続された情報処理装置の制御部によって処理される情報処理方法であって、
前記制御部が、前記撮像装置23により撮像した被写体の画像を取得するためのステップと、
取得した前記被写体の画像から特定対象50を検出するためのステップと、
検出した前記特定対象50の形状を認識するためのステップと、
認識した前記特定対象50の形状に応じて仮想空間内にイベントを発生するためのステップと、
発生する前記イベントを前記仮想空間内に配置された仮想カメラで撮影することにより仮想画像を生成するためのステップと、
前記被写体の画像もしくは、前記表示装置22の画面を透過して見える前記被写体に重ね合わせてユーザに視認されるように、前記仮想画像を前記表示装置22に表示させるためのステップと
を含む情報処理方法。
【請求項10】
被写体に配置してある特定対象50と、
前記被写体を撮像する撮像装置23と、
前記撮像装置23に接続された情報処理装置と、
前記情報処理装置に接続した表示装置22と
を備える情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
前記撮像装置23により撮像した被写体の画像を取得するための画像取得手段と、
前記画像取得手段で取得した前記被写体の画像から前記特定対象50を検出するための特定対象検出手段と、
前記特定対象検出手段で検出した前記特定対象50の形状を認識するための形状認識手段と、
前記形状認識手段で認識した前記特定対象50の形状に応じて仮想空間内にイベントを発生するためのイベント発生手段と、
前記イベント発生手段で発生する前記イベントを前記仮想空間内に配置された仮想カメラで撮影することにより仮想画像を生成するための仮想画像生成手段312と、
前記被写体の画像もしくは、前記表示装置22の画面を透過して見える前記被写体に重ね合わせてユーザに視認されるように、前記仮想画像を前記表示装置22に表示させるための表示制御手段と
を備える情報処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−50883(P2013−50883A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189099(P2011−189099)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000233778)任天堂株式会社 (1,115)
【Fターム(参考)】