説明

情報処理方法および可搬メモリ媒体

【課題】情報処理装置が替わっても、常に同じ利用環境でその情報処理装置を利用することができ、しかもそのために特段の操作等を要することなく容易に同じ利用環境を構築できるようにする。
【解決手段】情報処理装置1,2の操作者個人が利用する情報を可搬メモリ媒体10に記憶させておき、動作させようとする情報処理装置2が有する接続手段に前記可搬メモリ媒体10を接続して、その可搬メモリ媒体10における情報処理機能を駆動ソフトウエアにより駆動させる。そして、前記情報処理機能が駆動されると、その可搬メモリ媒体10の情報記憶機能内の設定情報を基に前記情報処理装置2を動作させる際の利用環境を構築して、その利用環境により情報処理装置2を動作させて情報処理を行い、情報処理の実行で新たな履歴情報が生じると、その履歴情報によって前記情報記憶機能が既に記憶している履歴情報を更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置を動作させて情報処理を行うための情報処理方法、およびその情報処理を行う際に用いられる可搬メモリ媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータ技術の進展に伴い、ドキュメント作成や画像処理等といった様々な情報処理が、パーソナルコンピュータ(Personal Computer;PC)に代表される情報処理装置を動作させて行われている。このような状況下において、情報処理装置の操作者は、その操作者個人が好むように、その情報処理装置の利用環境を構築することが一般的である。例えば、いわゆるデスクトップの状態、Webブラウザのブックマーク、ドキュメント作成を行う際の変換形態や辞書等は、操作者によってその設定が異なることが多い。
【0003】
ところが、情報処理装置の利用環境に関する情報は、通常、その情報処理装置の操作者個人が利用する情報として、その情報処理装置内に格納されるようになっている。したがって、PCを買い替えた場合や移動先の共有PCを利用する場合等には、異なる利用環境で情報処理装置を利用するか、あるいは情報処理装置を操作して利用環境の再設定を行う必要があり、操作者が煩わしさを感じてしまう可能性がある。
【0004】
このことから、従来、個人が利用する情報(各種データや設定情報等)については、情報処理装置とオンライン接続するサーバ装置に保管しておき、随時情報処理装置にダウンロードして利用可能にすること(例えば、特許文献1参照)や、個人化したマンマシーンインタフェースをリムーバブルメディアに保存しておき、そのリムーバブルメディアから読み出したコンポーネント定義に基づいてマンマシーンインタフェースにコンポーネントを展開すること(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開平11−122262号公報
【特許文献2】特開2003−58265号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、例えば特許文献1に開示されたように、個人が利用する情報をサーバ装置に保管した場合には、情報処理装置がそのサーバ装置にアクセスできる環境になければ、その情報を利用することができない。つまり、常に同じ利用環境を構築し得るとは限らない。
また、例えば特許文献2に開示されたように、リムーバブルメディアに個人化したマンマシーンインタフェースを保存した場合には、ユーザからみた表面的なインターフェイスは再構築できるが、編集途中のファイルなどはコンポーネントとして展開されないので、常に同じ利用環境を構築し得ない。
【0007】
そこで、本発明は、情報処理装置が替わっても、常に同じ利用環境でその情報処理装置を利用することができ、しかもそのために特段の操作等を要することなく容易に同じ利用環境を構築することのできる情報処理方法および可搬メモリ媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために案出された情報処理方法である。すなわち、情報処理装置を動作させて情報処理を行うための情報処理方法であって、前記情報処理装置を動作させる上で当該情報処理装置の操作者個人が利用する設定情報および履歴情報を、情報記憶機能および情報処理機能を有した可搬メモリ媒体に記憶させておき、動作させようとする情報処理装置が有する接続手段に前記可搬メモリ媒体を接続して当該可搬メモリ媒体における情報処理機能を駆動ソフトウエアにより駆動し、前記情報処理機能が駆動されると、前記情報記憶機能に記憶されている設定情報を基に前記情報処理装置を動作させる際の利用環境を構築して、当該利用環境により情報処理装置を動作させて情報処理を行い、情報処理の実行で新たな履歴情報が生じると、当該履歴情報によって前記情報記憶機能が既に記憶している履歴情報を更新することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記目的を達成するために案出された可搬メモリ媒体である。すなわち、情報処理装置が有する接続手段に接続されて用いられ、前記接続手段からの離脱および離脱後の可搬が行えるとともに、情報記憶機能および情報処理機能を有した可搬メモリ媒体であって、前記情報処理装置を動作させる上で当該情報処理装置の操作者個人が利用する設定情報および履歴情報を前記情報記憶機能により記憶しており、前記接続手段に接続された状態で前記情報処理機能が駆動ソフトウエアによって駆動されると、前記情報記憶機能が記憶している設定情報を基に前記情報処理装置を動作させる際の利用環境を構築して、当該利用環境により前記情報処理装置を動作させて情報処理を行わせ、前記情報処理装置での情報処理の実行で新たな履歴情報が生じると、当該履歴情報によって前記情報記憶機能が既に記憶している履歴情報を更新するように構成されたことを特徴とする。
【0010】
上記手順の情報処理方法および上記構成の可搬メモリ媒体によれば、動作させようとする情報処理装置の接続手段に可搬メモリ媒体を接続し、その可搬メモリ媒体における情報処理機能を駆動ソフトウエアにより駆動する。駆動ソフトウエアは、予め情報処理装置が有していても、可搬メモリ媒体における情報記憶機能によってその可搬メモリ媒体内に記憶されていてもよい。この駆動によって、接続手段に接続されている状態の可搬メモリ媒体は、情報処理装置における情報処理機能の一部として機能することになる。したがって、可搬メモリ媒体内の記憶情報を情報処理装置内へ移し替える必要なく、その記憶情報を利用すること、すなわちその記憶情報(設定情報)を基に情報処理装置における利用環境の構築を行うことが可能となる。つまり、可搬メモリ媒体を接続手段に接続するだけで、情報処理装置の接続環境に依存せず、また特段の操作を要することもなく、操作者個人が所望する情報処理装置の利用環境を構築し得るようになる。その上、情報処理の実行で新たな履歴情報が生じても、その履歴情報によって可搬メモリ媒体内の履歴情報が更新されるので、以後の利用環境の構築にその履歴情報を反映させることが可能となり、また情報処理装置内に履歴情報が残ってしまうのも回避し得るようになる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明の情報処理方法および可搬メモリ媒体によれば、可搬メモリ媒体を接続手段に接続するだけで、操作者個人が所望する情報処理装置の利用環境を構築し得るようになる。したがって、PCを買い替えた場合や移動先の共有PCを利用する場合等のように、動作させようとする情報処理装置が替わっても、常に同じ利用環境でその情報処理装置を利用することができ、しかもそのために特段の操作等を要することなく容易に同じ利用環境を構築することのできるので、操作者(利用者)にとっては非常に利便性の高いものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に基づき本発明に係る情報処理方法および可搬メモリ媒体について説明する。
【0013】
図1は、本発明が適用されるシステムの一具体例を示す説明図である。図例は、ユーザ(操作者)のオフィスにあるPC1と、そのユーザの出張先にあるPC2とを示している。これらのPC1,2は、いずれも、所定ソフトウエアを実行することで情報処理を行う情報処理装置として機能するものである。ただし、各PC1,2が実行するソフトウエアは、必ずしも完全に一致してなくともよい。例えば、PC1はOSとオフィスソフトAに対応しているが、PC2はこれらに加えてオフィスソフトBにも対応している、といった具合である。
【0014】
また、各PC1,2は、そのいずれもが、カードスロットを有しており、そのカードスロットにカード状の可搬メモリ媒体10が挿入されるようになっている。可搬メモリ媒体10としては、メモリカードとしての情報記憶機能およびICカードとしての情報処理機能を有したSD(Secure Digital)カードが挙げられる。ただし、これに準ずるもの、すなわち各PC1,2のカードスロットに挿入されて用いられるとともに、カードスロットからの離脱および離脱後の可搬が行えるように構成されたものであれば、他の可搬メモリ媒体であっても構わない。このようなカード状の可搬メモリ媒体(以下、単に「カード」と称す)10が挿入されるカードスロットは、そのカード10と接続するための接続手段として機能することになる。
【0015】
ここで、可搬メモリ媒体として機能するカード10について、さらに詳しく説明する。図2は、本発明に係る可搬メモリ媒体の概要を示す説明図である。
図例のように、ここで説明するカード10は、メモリカードとしての情報記憶機能11と、ICカードとしての情報処理機能12とを有している。なお、これらの機能11,12自体については公知であるため、ここではその説明を省略する。
【0016】
そして、カード10では、このうちの情報記憶機能11によって、PC1,2を動作させる上でそのPC1,2のユーザ個人が利用する情報が記憶されるようになっている。「個人が利用する情報」としては、そのユーザ個人が利用する設定情報および履歴情報が挙げられる。例えば、作成中のドキュメント情報、作成ツールの設定情報、利用履歴情報、個人の認証情報、アドレス帳に関する情報、メールフォルダの内容、ブラウザのブックマーク、Webアクセス履歴、クッキー(Cookies)情報、キャッシュメモリの内容、デスクトップに関する情報、個人フォルダの内容、ソフトウエアライセンスに関する情報、ソフトウエア利用履歴、かな漢字変換辞書、個人ID、個人証明書、ルート証明書、アプリケーションソフト、リソースへのリンク情報、決済情報等がこれに相当する。
【0017】
これらの設定情報および履歴情報は、操作者によるPC1,2の利用を通じて生成されるものである。すなわち、例えばPC1,2におけるOS(オペレーティングシステム)がウインドウズ(登録商標)であれば、PC1,2の利用を通じて、「C:¥Documents and Settings」内のフォルダに格納される情報である。このような情報をカード10における情報記憶機能11が記憶することで、その情報記憶機能11は、カード10がPC1,2のカードスロットに挿入された状態で、「C:¥Documents and Settings」内のユーザフォルダ(所謂デスクトップ)として機能することになる。
【0018】
また、カード10では、情報処理機能12が、例えばカードホルダ認証、機器認証機能、個人認証、暗号/復号機能、PKI(Public Key Infrastructure)機能、ライセンス機能、課金/決済機能といった各種機能を実現し得るようになっている。これらの機能は、情報処理機能12が駆動ソフトウエアによって駆動されることで実現されるものとする。なお、これらの各実現機能および駆動ソフトウエアによる駆動については公知であるため、ここではその説明を省略する。
【0019】
次に、以上のようなシステムにおいて、PC1,2を動作させて情報処理を行うための手順、すなわち本発明に係る情報処理方法について説明する。ここでは、ユーザが出張先にあるPC2を利用する場合の手順を例に挙げて説明する。図3は、本発明に係る情報処理方法の手順の一例を示す流れ図である。
【0020】
PC2の利用に際しては、これに先立ち、ユーザのオフィスにあるPC1にて、そのPC1のカードスロットにカード10が挿入された状態で、そのユーザ個人が利用する情報が設定されて、そのカード10内に記憶されているものとする。そして、そのPC1のカードスロットから抜去したカード10をユーザが持って出張先のPC2まで移動した後、そのPC2のカードスロットにカード10を挿入する(ステップ101、以下ステップを「S」と略す)。
【0021】
カード10を挿入すると、PC2では、プラグ&プレイ機能によってそのカード10を認識する。そして、カード10の駆動ソフトウエアがそのカード10の情報処理機能12を駆動することによって、そのカード10を利用可能な状態にする。カード10の駆動ソフトウエアは、予めPC2が有していても、カード10における情報処理機能12によってそのカード10内に記憶されていてもよい。この駆動によって、カードスロットに挿入されている状態のカード10は、PC2における情報処理機能の一部として機能することになる。
【0022】
そして、カード10が利用可能な状態になると、そのカード10とPC2との間では、情報処理機能12による機器認証処理が行われる。その結果、機器認証が成功しない場合には、それ以降のステップへ進むことができない。つまり、機器認証が成功した場合にのみ、可搬メモリ媒体における情報記憶機能11へのアクセスを可能にするのである。具体的には、情報記憶機能11は、PC2から記憶デバイスもしくは記憶デバイス内のフォルダとして認識される。
【0023】
機器認証処理は、例えば、PC2内に予め登録されたマシンID(機器情報)と、カード10内に予め登録されている利用可能マシンID(機器認証情報)とを比較し、その比較結果からPC2またはカード10の利用権限を判定することで行うことが考えられる。
【0024】
また、その他にも、機器認証処理としては、以下のようなものも考えられる。図4は、機器認証処理の一具体例を示す説明図である。例えば、カード10がPC2を認証する場合であれば、図4(a)に示すように、カード10側で生成した乱数aをPC2へ送り、PC2側にてその乱数aを秘密鍵で暗号化する。そして、その暗号化で得られた暗号文cをカード10へ送り、カード10側にてその暗号文cを検証鍵で復号して、生成した乱数aと一致するか否かを判断する。その結果、一致した場合には認証成功と判定する。このような機器認証処理によって、どのPCでも利用してよいのではなく、特定のPCでのみカード10の利用を許可し得るようになる。一方、これと逆に、PC2がカード10を認証する場合であれば、図4(b)に示すように、PC2側で生成した乱数aをカード10へ送り、カード10側にてその乱数aを秘密鍵で暗号化する。そして、その暗号化で得られた暗号文cをPC2へ送り、PC2側にてその暗号文cを検証鍵で復号して、生成した乱数aと一致するか否かを判断する。その結果、一致した場合には認証成功と判定する。このような機器認証処理によって、どのカードでも利用してよいのではなく、特定のカードのみPCでの利用を許可し得るようになる。
【0025】
機器認証が成功した場合には、続いて、図3のS102に示すように、PC2のディスプレイに表示されるログイン画面上で、ユーザにカード10を選択させるとともにパスワードを入力させる。すなわち、ログイン画面の表示、カード選択およびパスワード入力の案内を経た後に、カード10の情報処理機能12により個人認証処理が行われる。
【0026】
個人認証処理は、例えば、PC2のログイン画面上で入力されたユーザID(ユーザ情報)と、カード10内に予め登録されている利用可能ユーザID(ユーザ認証情報)とを比較し、その比較結果からそのユーザによるPC2またはカード10の利用権限を判定することが考えられる。つまり、ユーザ情報とユーザ認証情報とが一致すれば、そのユーザによる利用を許可する。
【0027】
ただし、カード10における情報処理機能12では、PKI機能等も実現し得ることから、より一層セキュリティの度合が高い個人認証処理を行うようにしてもよい。具体的には、ネットワークログイン等でPKIによる個人認証を行う場合は、さらにカード10に保存された個人証明書と個人鍵とを利用することが考えられる。
【0028】
図5は、個人証明書と個人鍵とを利用した場合の個人認証処理の一具体例を示す説明図である。図例の個人認証処理では、先ず、認証機器(サーバ)側で乱数生成し、その生成された乱数aをカード10へ送る。これに対して、カード10側では、パスワード認証により個人鍵の利用や個人証明書の取り出しが可能となるので、乱数aを個人鍵で暗号化して得られる暗号文cをサーバ側へ送るとともに、カード10の情報記憶機能11から個人証明書を取り出して暗号文cと共にサーバ側へ送る。そして、サーバ側では、個人証明書の有効性を確認する。すなわち、暗号文cを個人証明書の公開鍵(検証鍵)で復号して生成した乱数aと一致するか否かを調べる。その結果、一致した場合には、認証が成功したものとし、カード10を挿入したPC2からのネットワーク接続等を許可する。
【0029】
このような個人認証処理によって、PC2にカード10を挿入したユーザなら誰でも利用してよいのではなく、特定のユーザのみそのPC2(情報記憶機能11に格納された情報を含む)の利用を許可し得るようになる。特に、PKI機能と暗号復号機能によれば、企業等のプライベートネットワーク内のリソースであっても、アクセスの安全を確保することができる。
【0030】
個人認証が成功した場合には、そのユーザによるPC2の利用が可能となる(S103)。すなわち、PC2を動作させて情報処理を行うこと、具体的にはPC2での各種アプリケーションソフトウエア(例えば文書作成ソフトや画像処理ソフト)の実行が可能となるのである。
【0031】
このとき、PC2では、カードスロットにカード10が挿入されて、そのカード10の情報処理機能12が駆動ソフトウエアによって駆動されており、その駆動によってカード10がPC2における情報処理機能の一部として機能するようになっている。したがって、PC2では、そのカード10内の記憶情報をPC2側へ移し替える必要なく、その記憶情報を利用すること、すなわちその記憶情報(設定情報)を基にPC2における利用環境の構築を行うことが可能となる。つまり、カード10をカードスロットに挿入するだけで、PC2の接続環境に依存せず、また特段の操作を要することもなく、ユーザ個人が所望するPC2の利用環境、具体的にはPC1で設定したものと全く同一の利用環境を構築し得るようになる。したがって、動作させようとするPCが、オフィスにあるPC1から出張先にあるPC2へ替わっても、常にPC1と同じ利用環境でPC2を利用することができ、しかもそのために特段の操作等を要することなく容易に同じ利用環境を構築することのできるので、ユーザにとっては非常に利便性の高いものとなる。これは、上述したように移動先の共有PCを利用する場合のみならず、PCを買い替えた場合等についても全く同様である。
【0032】
その上、カード10の情報記憶機能11には、同一利用環境を構築するための設定情報に加えて、履歴情報も記憶されるようになっている。つまり、PC2を動作させて情報処理を行った場合に、その情報処理の実行で新たな履歴情報が生じても、その履歴情報によってカード10の情報記憶機能11内の履歴情報が更新されるので、以後の利用環境の構築にその履歴情報を反映させることが可能となり、またPC2内に履歴情報が残ってしまうのも回避し得るようになる。なお、履歴情報は、常にカード10の情報記憶機能11内に残すようにしてもよいが、PC2に一時的に保管しておき随時カード10側へ移すようにしても構わない。
【0033】
さらに、上述したような機器認証または個人認証を行う場合であれば、常に同じ利用環境の構築を実現可能にしつつ、高いセキュリティを維持し得るようにもなる。
【0034】
ところで、利用環境の構築後、PC2を動作させて情報処理を行う段階においては、カード10における情報記憶機能11および情報処理機能12を利用して、以下に述べるような処理を実現することも考えられる。
【0035】
例えば、カード10における情報記憶機能11内に記憶されているソフトウエアライセンスに関する情報(以下、単に「ライセンス情報」という)に基づいて、PC2での実行が可能なソフトウエアの種類が制限されるようにすることが考えられる。具体的には、ユーザの操作により、あるアプリケーションソフトウエアの起動指示があると、そのことをPC2側から通知されたカード10の情報処理機能12は、そのユーザが入力したパスワードと情報記憶機能11内のライセンス情報とを比較して、そのユーザが当該アプリケーションソフトウエアの利用を許可された者であるか否かを判定し、許可された者である場合にのみ、当該アプリケーションソフトウエアの起動が可能となるようにする。一方、許可された者でない場合には、情報処理機能12は、PC2に代替ソフトウエア(フリーのリーダー等)がインストールされていれば、その代替ソフトウエアを起動させ、また代替ソフトウエアがなければ利用不可である旨のメッセージをPC2に表示させる。
【0036】
このようなライセンス情報に基づく制限を行えば、異なるPC1,2間で同一利用環境を構築する場合であっても、各PC1,2において実行可能なソフトウエアの種類を制限し得るようになる。したがって、例えば各PC1,2で異なるソフトウエアがインストールされている場合等であっても、適切かつ柔軟な利用制限を実現することが可能である。
【0037】
また、例えば、ユーザが起動指示したアプリケーションソフトウエアの利用権がない場合、そのアプリケーションソフトウエアを認めるとともに、そのアプリケーションソフトウエアをユーザにレンタルまたは購入させ、その代金をカード10の情報処理機能12による課金/決済機能を利用して課金することも考えられる。すなわち、PC2を動作させて行う情報処理についての課金を、カード10が有する決済機能を利用して行うのである。具体的には、個人認証処理を経ているので、その処理の結果から、ユーザについて予め登録された決済手段、例えばクレジットカードの番号を認識し、その番号から特定される口座から代金を引き落とすことで決済を行えばよい。また、その他にも、プリペイドカードによる前払い方式の代金決済を行うといったように、公知の課金/決済処理を利用することが考えられる。
【0038】
このような課金/決済処理は、PC2を動作させて行う情報処理についての課金の全般に対して適用することが可能である。例えば、上述したライセンスに関する課金(代金決済)の他にも、ユーザがPC2に接続するプリンタ装置によるプリントサービスを利用する場合に、そのプリントサービスについての課金を、カード10の情報処理機能12による課金/決済機能を利用して行うことが考えられる。
【0039】
以上のような一連の処理は、カード10の情報処理機能12がその駆動ソフトウエア(すなわち、所定の動作プログラム)を実行することによって実現されるものである。
【0040】
なお、本実施形態では、本発明の好適な実施具体例を説明したが、本発明はその内容に限定されることはない。特に、カード10の情報記憶機能11による記憶情報は、各PC1,2において同一利用環境を構築するための個人が利用する情報であれば、本実施形態で挙げたものに限定されることはない。また、カード10の情報処理機能12が実現する認証機能や決済機能等についても、本実施形態で説明した例に限定されることはなく、他の公知技術を利用して実現したものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明が適用されるシステムの一具体例を示す説明図である。
【図2】本発明に係る可搬メモリ媒体の概要を示す説明図である。
【図3】本発明に係る情報処理方法の手順の一例を示す流れ図である。
【図4】機器認証処理の一具体例を示す説明図である。
【図5】個人証明書と個人鍵とを利用した場合の個人認証処理の一具体例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0042】
1,2…PC(情報処理装置)、10…カード(可搬メモリ媒体)、11…情報記憶機能、12…情報処理機能

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置を動作させて情報処理を行うための情報処理方法であって、
前記情報処理装置を動作させる上で当該情報処理装置の操作者個人が利用する設定情報および履歴情報を、情報記憶機能および情報処理機能を有した可搬メモリ媒体に記憶させておき、
動作させようとする情報処理装置が有する接続手段に前記可搬メモリ媒体を接続して当該可搬メモリ媒体における情報処理機能を駆動ソフトウエアにより駆動し、
前記情報処理機能が駆動されると、前記情報記憶機能に記憶されている設定情報を基に前記情報処理装置を動作させる際の利用環境を構築して、当該利用環境により情報処理装置を動作させて情報処理を行い、
情報処理の実行で新たな履歴情報が生じると、当該履歴情報によって前記情報記憶機能が既に記憶している履歴情報を更新する
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項2】
前記接続手段に前記可搬メモリ媒体が接続されると、当該接続手段を有する情報処理装置と前記可搬メモリ媒体とで機器認証を行い、当該機器認証が成功した場合にのみ当該可搬メモリ媒体における記憶情報の利用を可能にする
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記接続手段に前記可搬メモリ媒体が接続されると、当該接続手段を有する情報処理装置で入力されるユーザ情報と前記可搬メモリ媒体内に記憶されているユーザ認証情報に基づいてユーザ認証を行い、当該ユーザ認証が成功した場合にのみ当該可搬メモリ媒体における記憶情報の利用を可能にする
ことを特徴とする請求項1または2記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記情報処理装置を動作させて情報処理を行うのにあたり、前記可搬メモリ媒体内に記憶されているライセンス情報に基づいて、当該情報処理装置での実行が可能なソフトウエアの種類が制限される
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記情報処理装置を動作させて行う情報処理についての課金を、前記可搬メモリ媒体が有する決済機能を利用して行う
ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の情報処理方法。
【請求項6】
情報処理装置が有する接続手段に接続されて用いられ、前記接続手段からの離脱および離脱後の可搬が行えるとともに、情報記憶機能および情報処理機能を有した可搬メモリ媒体であって、
前記情報処理装置を動作させる上で当該情報処理装置の操作者個人が利用する設定情報および履歴情報を前記情報記憶機能により記憶しており、
前記接続手段に接続された状態で前記情報処理機能が駆動ソフトウエアによって駆動されると、前記情報記憶機能が記憶している設定情報を基に前記情報処理装置を動作させる際の利用環境を構築して、当該利用環境により前記情報処理装置を動作させて情報処理を行わせ、
前記情報処理装置での情報処理の実行で新たな履歴情報が生じると、当該履歴情報によって前記情報記憶機能が既に記憶している履歴情報を更新するように構成された
ことを特徴とする可搬メモリ媒体。
【請求項7】
前記接続手段を有する情報処理装置との間で機器認証を行う機能を有し、当該機能による機器認証が成功した場合にのみ前記情報記憶機能による記憶情報の利用が可能となるように構成された
ことを特徴とする請求項6記載の可搬メモリ媒体。
【請求項8】
前記接続手段を有する情報処理装置で入力されるユーザ情報と予め記憶しているユーザ認証情報に基づいてユーザ認証を行う機能を有し、当該機能によるユーザ認証が成功した場合にのみ前記情報記憶機能による記憶情報の利用が可能となるように構成された
ことを特徴とする請求項6または7記載の可搬メモリ媒体。
【請求項9】
前記情報処理装置を動作させて情報処理を行うのにあたり、予め記憶しているライセンス情報に基づいて、当該情報処理装置での実行が可能なソフトウエアの種類を制限するように構成された
ことを特徴とする請求項6、7または8記載の可搬メモリ媒体。
【請求項10】
前記情報処理装置を動作させて行う情報処理についての課金を行うための決済機能を有している
ことを特徴とする請求項6、7、8または9記載の可搬メモリ媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−58990(P2006−58990A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−237997(P2004−237997)
【出願日】平成16年8月18日(2004.8.18)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】