説明

情報処理装置、およびプログラム

【課題】仮想ドライブのデータをバックアップする場合において、起動時間を短縮することができる情報処理装置、およびプログラムを提供する。
【解決手段】CPUが仮想ドライブ作成プログラム22を起動すると、仮想ドライブ作成プログラムは、RAM16上の所定領域に仮想ドライブ161を設定し、OS21側に内蔵物理ドライブとしてマウントさせる処理を行う。ここで、仮想ドライブ作成プログラムは、仮想ドライブ161をマウントしてもバックアップイメージ151を読み出さずに、実際にOSからアクセス要求がなされた一部の領域のみRAM16に展開する処理を行うことで、起動時間を短縮しながらも適切なアクセスを実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報処理装置およびプログラムに関し、特に起動時の処理に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、情報処理装置の起動時間を短縮する手法が提案されている。例えば、特許文献1には、デジタルカメラにおいて、起動のために必要な最低限のプログラムを読み出し、起動後に、所定の撮影モードを実現するために必要なプログラムを判断し、必要と判断したプログラムを読み出すことで、起動時に全てのプログラムを読み出すよりも起動時間を短縮する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−65357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の様な技術では、以下の様な情報処理装置の起動時間を短縮することはできない。
【0005】
すなわち、近年、高速な揮発性メモリ(RAM)上の一部領域に仮想ドライブを設定して、OS側に仮想的にHDDとしてマウントさせることで、高速なHDDとして利用するものが普及している。仮想ドライブ内のデータは、RAM上に記憶されているため、終了時に仮想ドライブのイメージをHDDにバックアップしておき、次回起動時に、HDDにバックアップした仮想ドライブのイメージをRAMに展開し、仮想ドライブの内容を復元する処理が行われている。ここで、復元にはHDDからデータを読み出す必要があるため、仮想ドライブの容量が大きくなると、この復元の時間が長くなり、OSの起動完了前(ユーザに操作を解放する前)に仮想ドライブのマウントを行うと、起動時間が長くなるという課題がある。
【0006】
そこで、この発明は、仮想ドライブを不揮発性の記憶部にバックアップする場合において、起動時間を短縮することができる情報処理装置、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の情報処理装置は、制御部と、揮発性記憶部と、不揮発性記憶部と、を備えている。制御部は、起動時に仮想ドライブを設定する仮想ドライブ設定処理と、終了時に前記仮想ドライブのデータを前記不揮発性記憶部にバックアップするバックアップ処理と、を実行する。そして、制御部は、仮想ドライブに対するリード要求時に、当該要求がなされたデータが揮発性記憶部に保持されているか否かを判断し、要求がなされたデータが揮発性記憶部に記憶されていないと判断した場合に、不揮発性記憶部におけるバックアップから該当するデータを読み出し、揮発性記憶部に展開することを特徴とする。
【0008】
つまり、本発明の情報処理装置は、起動時に、まず揮発性記憶部(RAM)上の一部領域に仮想ドライブを設定してOS側にマウントさせる処理を行うが、従来の様にバックアップからデータを読み出さずにOSからのアクセス(リード要求)を待つ状態とする。これにより、起動時に復元処理を行うことがなく、不揮発性記憶部(HDD等)へアクセスすることがなくなるため、速やかな起動を実現することができる。ただし、このままでは実際にリード要求がなされたとしても、仮想ドライブとして確保したRAM上の領域には何もデータがない(未フォーマットと同じ)状態であるため、リード要求に対応するデータを読み出すことができない。そこで、制御部は、リード要求がなされたデータについて、RAM上に保持されていないと判断した場合に、バックアップからデータを読み出し、RAMに展開する。このように、実際に要求がなされた一部の領域のみHDD等の不揮発性記憶部から読み出す処理を行うことで、起動時間を短縮しながらも適切なアクセスを実現することができる。
【0009】
なお、RAM上にデータが保持されているか否かの判断は、対応リストに基づいて行う。対応リストには、仮想ドライブとして確保したRAM上の全領域について、データが保持されているか否かを記載しておく。起動した直後は全てのデータがRAM上に保持されていないとされる。一度バックアップからデータを読み出し、RAMに展開した場合は、以後、不揮発性記憶部からデータを読み出す必要がないため、RAM上にデータが保持されている旨に更新する。また、ライト要求がなされ、RAM上にデータが書き込まれた場合にも、RAM上にデータが保持されている旨に更新する。
【0010】
なお、バックアップ処理は、RAM上に記憶されている各種データのうち、仮想ドライブとして割り当てた領域内の全てのデータをセクタ単位で不揮発性記憶部にコピーして記憶する処理であり、対応リストもセクタ単位で記載することで、RAMと不揮発性記憶部を1対1に対応させることが望ましい。
【0011】
また、上述のように、実際にリード要求がなされた一部の領域のみ不揮発性記憶部から読み出す処理を行う場合、起動後の最初のリード要求時にはRAMよりも低速の不揮発性記憶部にアクセスする必要が生じる。そこで、制御部は、起動後に所定時間が経過すると、不揮発性記憶部におけるバックアップから所定のデータを(例えば先頭のセクタから順に)読み出し、揮発性記憶部に展開する処理を実行することが望ましい。
【0012】
また、待機状態(CPUがアイドル状態である)時に不揮発性記憶部におけるバックアップから所定のデータを読み出し、揮発性記憶部に展開する態様であってもよい。
【0013】
さらに、制御部は、読み出した前記所定のデータから前記仮想ドライブの論理フォーマットを示す管理情報を解析し、前記仮想ドライブが前記揮発性記憶部上で使用している記憶領域に対応するデータのみを、前記揮発性記憶部に展開する処理を実行することが望ましい。この場合、仮想ドライブとして確保していた全領域(全セクタ)ではなく、実際にRAM上に書き込んで使用していた領域だけがバックアップイメージから展開されるため、RAMに展開する時間を短縮することができ、RAMの容量を無駄に消費することもない。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、仮想ドライブのデータをバックアップする場合において、起動時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】情報処理装置の主要構成を示すブロック図である。
【図2】情報処理装置の機能ブロック図である。
【図3】セクタ対応リストの例を示す図である。
【図4】仮想ドライブ有効時の動作を示すフローチャートである。
【図5】リード要求時の動作を示すフローチャートである。
【図6】ライト要求時の動作を示すフローチャートである。
【図7】アイドル時に展開する場合の動作を示すフローチャートである。
【図8】所定時間経過後に展開する場合の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の情報処理装置(PC1)の主要構成を示すブロック図である。PC1は、USBやVGA端子等の各種入出力インタフェース(I/F)12、バス14、CPU13、内蔵物理ドライブ15、およびRAM16を備えており、一般的なPCの構成となっている。I/F12、CPU13、内蔵物理ドライブ15、およびRAM16は、それぞれバス14を介して接続されている。
【0017】
I/F12には、マウスやキーボード等のユーザが操作入力を行う操作部11や表示器(LCD)2が接続されている。I/F12は、操作部11から入力される操作信号をCPU13に出力したり、CPU13から入力される画面表示用の映像信号を表示器2に出力したりする。
【0018】
内蔵物理ドライブ15は、HDDやSSD(Solid State Drive)等からなる不揮発性の記憶部であり、OSやアプリケーション等のプログラムを記憶している。
【0019】
CPU13は、内蔵物理ドライブ15に記憶されているOSやアプリケーション等のプログラムを揮発性の記憶部(ワークメモリ)であるRAM16に展開し、種々の動作を行う。これにより、本発明における制御部(プログラム)の動作を実現する。本実施形態においては、OSの例としてWindows(登録商標)を用いる。
【0020】
Windows(登録商標)では、PC1を起動したとき、CPU13は、まず操作部11等の各種周辺機器のドライバを読み込み、各種周辺機器をマウントする。操作部11等の基本的な周辺機器のマウントが完了すると、起動を完了したとして、ユーザの操作を受け付ける状態となる。
【0021】
また、本実施形態のPC1において、CPU13は、RAM16に割り当てた一部領域をOSに仮想ドライブ161としてマウントさせる。この動作は、PC1の起動(OSの起動)に伴って起動するプログラム(仮想ドライブ作成プログラム)によって実現される。
【0022】
仮想ドライブ161は、OS側からは物理ドライブ(HDD)と同様に扱われる。仮想ドライブ161は、OSの起動が完了してユーザの操作を受け付ける状態となった後にマウントさせる態様も可能であるが、仮に、仮想ドライブ161をマウントする前にOS側から仮想ドライブ161へのアクセス要求を行おうとしても、対応するドライブが存在しないことになるため、データが読み出せない状態となる。そのため、CPU13は、マウスやキーボード等の基本的な周辺機器と同様に、起動完了前に先に仮想ドライブ161をマウントさせる。
【0023】
仮想ドライブ161は、OS側からはHDDと同様に扱われるものであるが、本来は揮発性の記憶部であるRAM16上に展開されたものである。したがって、PC1の電源がオフされると仮想ドライブ161内のデータは全て失われる。そこで、本実施形態のPC1では、終了動作時に仮想ドライブ161をバックアップイメージ151として内蔵物理ドライブ15にバックアップする処理を行う。このバックアップ処理は、RAM16上に記憶されている各種データのうち、仮想ドライブ161に割り当てた領域内の全てのデータをセクタ単位で内蔵物理ドライブ15にコピーして記憶する処理である。
【0024】
CPU13は、次回起動時に仮想ドライブ161をOSにマウントさせた後、バックアップイメージ151を再びRAM16上の同じ領域にコピーすることで仮想ドライブ161の内容を終了時の状態に復元することができる。
【0025】
ここで、バックアップイメージ151は、内蔵物理ドライブ15に記憶されているため、RAM16への復元時間は内蔵物理ドライブ15の転送速度に依存する。そのため、仮想ドライブ161に割り当てた容量が大きくなると、復元時間が長くなる。したがって、起動完了前に先に仮想ドライブ161をマウントしてバックアップイメージ151の内容を復元する場合、OSの起動時間が長くなってしまう。
【0026】
そこで、本実施形態のPC1では、仮想ドライブ161をマウントしてもバックアップイメージ151を読み出さずに、実際にOSからアクセス要求がなされた一部の領域のみRAM16に展開する処理を行うことで、起動時間を短縮しながらも適切なアクセスを実現する。
【0027】
以下、図2〜図8を参照してPC1の詳細な動作について説明する。
【0028】
まず、PC1が起動すると、図2の機能ブロック図に示す様に、OS21および仮想ドライブ作成プログラム22がCPU13により起動される。仮想ドライブ作成プログラム22は、OS21の起動に伴って起動される。
【0029】
CPU13が仮想ドライブ作成プログラム22を起動すると、仮想ドライブ作成プログラム22は、RAM16上の所定領域に仮想ドライブ161を設定し、OS21側に内蔵物理ドライブとしてマウントさせる処理を行う。これにより、OS21の起動が完了する。
【0030】
また、仮想ドライブ作成プログラム22は、セクタ判定部221およびセクタ対応リスト222を実現する。セクタ判定部221は、OS21から仮想ドライブ161にアクセス要求がなされた場合に動作する機能部である。セクタ判定部221は、OS21から仮想ドライブ161にアクセス要求がなされた場合、セクタ対応リスト222を参照し、アクセス要求がなされたセクタについて、RAM16上に対応するデータが保持されているか否かを判断する。
【0031】
図3は、セクタ対応リスト222の例を示す図である。セクタ対応リスト222は、RAM16に確保した仮想ドライブ161の先頭セクタから順に全てのセクタについて、RAM16上にデータが保持されているか否か(「データなし」または「データあり」)を記載している。セクタ対応リスト222は、仮想ドライブ作成プログラム22が起動して仮想ドライブ161がマウントされるタイミングで作成される。すなわち、図4のフローチャートに示すように、CPU13は、仮想ドライブ作成プログラム22の設定が「リード要求時にセクタ単位で読み込み」に設定されていると(s11)、仮想ドライブ161をマウントさせるだけで、バックアップイメージ151を読み出さないため、全てのセクタについて「データなし」とする(s12)。
【0032】
なお、s11の判断は、ユーザが設定ユーティリティ等を起動し、このユーティリティ上で指定する。仮にユーティリティ上で「有効時に全て読み込み」に設定した場合、CPU13は、仮想ドライブ161をマウントさせた後、バックアップイメージ151の全セクタをRAM16上に展開する(s13)。この場合、セクタ対応リスト222には、全てのセクタについて「データあり」とする(s14)。
【0033】
なお、セクタ対応リスト222は、RAM16上の一部領域に作成してもよいし、内蔵物理ドライブ15等の他の記憶部に作成してもよい。
【0034】
そして、セクタ判定部221は、OS21から仮想ドライブ161にリード要求がなされた場合、図5のフローチャートに示す動作を行う。
【0035】
まず、セクタ判定部221は、上述のように、「リード要求時にセクタ単位で読み込み」に設定されているか、「有効時に全て読み込み」に設定されているかを判断する(s31)。「有効時に全て読み込み」に設定されている場合、バックアップイメージ151のデータは全てRAM上に展開済みであるため、OS21には、リード要求に対応するデータをRAM16から読み出させる(s31)。
【0036】
「リード要求時にセクタ単位で読み込み」に設定されている場合、セクタ判定部221は、OS21からリード要求がなされたセクタについてセクタ対応リスト222を参照する(s33)。該当セクタのデータがRAM16上に保持されていない(データなしと記載されている)場合、バックアップイメージ151から対応するデータを読み出し、RAM16に展開する処理を行う(s34)。
【0037】
バックアップイメージ151は、上述の様にRAM16上に記憶されている各種データのうち、仮想ドライブ161に割り当てた領域内の全てのデータをセクタ単位で内蔵物理ドライブ15にコピーしたものであるため、セクタ対応リスト222に記載されているRAM16の各セクタと、バックアップイメージ151における各セクタとは、1対1に対応する。したがって、セクタ判定部221は、バックアップイメージ151のうち、OS21からリード要求がなされたセクタのデータを読み出し、RAM16に展開する処理を行う。これにより、OS21は、RAM16上の各セクタからデータを読み出すことになる(s32)。
【0038】
セクタ判定部221は、バックアップイメージ151からデータを読み出し、RAM16に展開する処理を行った場合、セクタ対応リスト222のうち、該当セクタの記載を「データあり」に変更する(s35)。その後、OS21から同じセクタのリード要求がなされた場合、セクタ対応リスト222にはRAM16上に保持されている(「データあり」と記載されている)ため、バックアップイメージ151からデータを読み出すことはなく、OS21はRAM16上の各セクタからデータを読み出す(s33→s32)。よって、一度リード要求がなされたセクタについては、以後、同じデータのリード要求がなされたとしても、RAM16から該当データを読み出すことになるため、データ転送速度は、RAM16の転送速度に依存することになり、内蔵物理ドライブ15の転送速度よりも高速にデータ転送を行うことができる。
【0039】
次に、図6は、ライト要求時の動作を示すフローチャートである。セクタ判定部221は、OS21から仮想ドライブ161にライト要求がなされた場合、対応データをRAM16上に書き込み(s51)、書き込んだセクタについて「データあり」に変更する処理を行う(s52)。仮想ドライブ161(RAM16上)にデータが書き込まれた場合、以後はRAM16からデータを読み出すことが可能であるため、その後、OS21から同じセクタのリード要求がなされた場合にRAM16上の各セクタからデータを読み出すように設定する(図5のs33→s32の動作となる)。
【0040】
以上のようにして、本実施形態のPC1では、仮想ドライブ161をマウントしても即座にバックアップイメージ151を読み出さずに、実際にOSからアクセス要求がなされた一部の領域のみRAM16に展開する処理を行うことで、起動時間を短縮しながらも適切なアクセスを実現することができる。
【0041】
ただし、上述の動作では、最初のリード要求時に内蔵物理ドライブ15からデータを読み出すことになるため、最初のリード要求に対しては内蔵物理ドライブ15の転送速度に依存し、RAM転送速度よりも遅くなってしまう。
【0042】
そこで、以下のようにして実際のリード要求がなされる前に予めバックアップイメージ151からデータを読み出す動作を行う態様とすることが考えられる。
【0043】
図7は、CPUアイドル時にバックアップイメージ151からデータを読み出す場合の動作を示すフローチャートである。
【0044】
まず、仮想ドライブ作成プログラム22は、CPUの状態を判断する(s71)。すなわち、CPUの負荷(使用率)が所定の閾値未満である等、アイドル状態になっているか否かを確認する。ビジー状態である場合、アイドル状態になるまで待機する。
【0045】
アイドル状態であると判断した場合、先頭セクタから順にバックアップイメージ151のデータをRAM16に展開する(s72)。すなわち、セクタ対応リスト222を参照し、各セクタの状態が「データあり」であるか、「データなし」であるかを確認し(s73)、「データなし」と記載されていた場合にバックアップイメージ151から対応セクタのデータを読み出す(s74)。そして、仮想ドライブ作成プログラム22は、読み出したセクタについて、セクタ対応リスト222を「データあり」に変更する(s75)。
【0046】
この様な処理をセクタアドレスが終了するまで繰り返す(s76)。セクタアドレスが終了していない場合は、もう一度CPUの状態を判断し(s77)、アイドル状態であると判断した場合に、次セクタからセクタ対応リスト222の参照から処理を繰り返す。
【0047】
一方、図8は、所定時間経過後にバックアップイメージ151からデータを読み出す場合の動作を示すフローチャートである。
【0048】
まず、仮想ドライブ作成プログラム22は、起動してから予め設定された時間が経過したか否かを判断する(s91)。この所定時間は、上述のユーティリティ上でユーザにより指定される。ユーザが何も設定していない場合は、例えば30秒程度の所定時間が設定されている。
【0049】
所定時間が経過したと判断した場合、先頭セクタから順にバックアップイメージ151のデータをRAM16に展開する(s92)。図7と同様に、セクタ対応リスト222を参照し、各セクタの状態が「データあり」であるか、「データなし」であるかを確認し(s93)、「データなし」と記載されていた場合にバックアップイメージ151から対応セクタのデータを読み出す(s94)。また、仮想ドライブ作成プログラム22は、読み出したセクタについて、セクタ対応リスト222を「データあり」に変更する(s95)。
【0050】
この様な処理をセクタアドレスが終了するまで繰り返す(s96)。セクタアドレスが終了していない場合は、次セクタからセクタ対応リスト222の参照から処理を繰り返す。
【0051】
このように、CPUがアイドル状態であるとき、あるいは起動後に所定時間が経過した後に予めバックアップイメージ151からデータを読み出しておくことで、最初のリード要求に対しても内蔵物理ドライブ15アクセスせずにRAM16上からデータを読み出すようにすることも可能である。
【0052】
なお、図7に示した動作と、図8に示した動作とを組み合わせてもよい。すなわち、起動後に所定時間が経過し、かつCPU13がアイドル状態である場合に限り、バックアップイメージ151から読み出す動作とする態様も可能である。
【0053】
なお、上述の例では、全てのセクタについてバックアップイメージ151からRAM16に展開する例を示したが、実際にRAM16上に書き込みがなされたセクタだけをバックアップイメージ151から展開する態様も可能である。
【0054】
すなわち、仮想ドライブ作成プログラム22は、バックアップイメージ151から読み出し済のデータのうち、仮想ドライブ161の論理フォーマットを示す管理情報を解析する。管理情報を解析することで、仮想ドライブ161のうち、実際にどの領域が書き込み使用されているのかを判断することができる。したがって、仮想ドライブ作成プログラム22は、管理情報を解析し、仮想ドライブ161として確保されている領域のうち、実際にRAM16上で使用されている領域に対応するデータのみをバックアップイメージ151から読み出し、RAM16上に展開する。これにより、仮想ドライブ161として確保していた全領域(全セクタ)ではなく、実際にRAM16上に書き込んで使用していた領域だけがバックアップイメージ151から展開されるため、RAM16に展開する時間を短縮することができる。
【0055】
また、上記管理情報を読み出すことで、仮想ドライブ161の容量を動的に変化させることも可能である。例えば、仮想ドライブ作成プログラム22は、管理情報を読み出し、仮想ドライブ161で使用している領域(書き込み済の領域)を少し超える程度の領域を仮想ドライブ161として割り当て、所定の空き領域を確保する。例えば、実際に使用している領域が500MB程度とすると、空き領域を50MB程度として仮想ドライブ11に割り当てる領域を550MBとする。この空き容量は、ユーザが設定ユーティリティ等を起動し、このユーティリティ上で指定する。
【0056】
その後、仮想ドライブ161に新たなデータの書き込みがなされ、使用している領域が大きくなると、仮想ドライブ161に割り当てる領域を増やし、仮想ドライブ161の容量を大きくする。例えば、新たに10MBのデータの書き込みがなされ、使用されている領域が510MBとなると、仮想ドライブ11に割り当てる領域を560MBに変更する。また、データの消去がなされ、使用している領域が小さくなった場合には、即座に割り当てる領域を減らし、仮想ドライブ161の容量を小さくする。例えば、20MBのデータが消去され、使用されている領域が490MBとなると、仮想ドライブ11に割り当てる領域を540MBに変更する。これにより、仮想ドライブ161の空き領域を一定に保ち、リアルタイムに仮想ドライブ161の容量を変化させることができる。ただし、仮想ドライブ161の容量を大きくする場合、OSが使用するRAMの容量分を考慮して、ある程度の限界を設定しておくことが望ましい。例えば、仮想ドライブ161の容量の上限値を設定しておき、上限値に達した時点で仮想ドライブ161の容量増大を中止する、あるいは、RAM16の空き容量に下限値を設定しておき、RAM16の空き容量が下限値に達した時点で仮想ドライブ161の容量増大を中止する、等である。
【0057】
なお、仮想ドライブ161に割り当てる領域は、リアルタイムに変更する必要はない。例えば、仮想ドライブ作成プログラム22は、終了動作時に仮想ドライブ161の空き容量を確認し、設定された所定の空き容量となるように、次回起動時に仮想ドライブ161をマウントさせる。
【0058】
以上より、ユーザの使用状況に応じて仮想ドライブ作成プログラム22が自動的に仮想ドライブ161の容量を調整することになり、割り当てされただけで使用されずに無駄になるRAM領域を低減し、かつOS側の動作を阻害することもない動作を実現することができる。
【0059】
なお、終了時のバックアップは、仮想ドライブ161の内容を全てコピーし、新たにバックアップイメージ151を作成する態様に限らず、仮想ドライブ161のうち、新たに書き込みされたデータだけを部分的にコピーし、バックアップイメージ151を更新することにより、終了時間を短縮することも可能である。
【0060】
なお、本実施形態においては、OSとしてWindows(登録商標)を示したが、他のOS(例えばLinux等)においても同様である。
【符号の説明】
【0061】
1…PC
2…表示器
11…操作部
12…各種入出力インタフェース
13…CPU
14…バス
15…内蔵物理ドライブ
151…バックアップイメージ
16…RAM
161…仮想ドライブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部と、揮発性記憶部と、不揮発性記憶部と、を備えた情報処理装置であって、
前記制御部は、
起動時に仮想ドライブを設定する仮想ドライブ設定処理と、
終了時に前記仮想ドライブのデータを前記不揮発性記憶部にバックアップするバックアップ処理と、を実行し、
前記仮想ドライブに対するリード要求時に、当該要求がなされたデータが前記揮発性記憶部に保持されているか否かを判断し、要求がなされたデータが前記揮発性記憶部に記憶されていないと判断した場合に、前記不揮発性記憶部におけるバックアップから該当するデータを読み出し、前記揮発性記憶部に展開することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記仮想ドライブのデータが前記揮発性記憶部に保持されているか否かを示す対応リストに基づいて前記判断を行い、
前記対応リストのうち、前記揮発性記憶部に展開したデータについて、前記揮発性記憶部に保持されている旨に更新することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記仮想ドライブに対するライト要求時に、前記対応リストのうち、前記ライト要求に対応するデータが前記揮発性記憶部に保持されている旨に更新することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記バックアップは、前記仮想ドライブのデータをセクタ単位でコピーしたものであることを特徴とする請求項1、請求項2、または請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、起動後に所定時間が経過すると、前記不揮発性記憶部におけるバックアップから所定のデータを読み出し、前記揮発性記憶部に展開する処理を実行することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、待機状態時に前記不揮発性記憶部におけるバックアップから所定のデータを読み出し、前記揮発性記憶部に展開する処理を実行することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、読み出した前記所定のデータから前記仮想ドライブの論理フォーマットを示す管理情報を解析し、前記仮想ドライブが前記揮発性記憶部上で使用している記憶領域に対応するデータのみを、前記揮発性記憶部に展開する処理を実行することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
揮発性記憶部と、不揮発性記憶部と、を備えた情報処理装置が実行するプログラムであって、
起動時に仮想ドライブを設定する仮想ドライブ設定処理と、
終了時に前記仮想ドライブのデータを前記不揮発性記憶部にバックアップするバックアップ処理と、を実行し、
前記仮想ドライブに対するリード要求時に、当該要求がなされたデータが前記揮発性記憶部に保持されているか否かを判断し、要求がなされたデータが前記揮発性記憶部に記憶されていないと判断した場合に、前記不揮発性記憶部におけるバックアップから該当するデータを読み出し、前記揮発性記憶部に展開することを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−128568(P2012−128568A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278159(P2010−278159)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
【出願人】(591275481)株式会社アイ・オー・データ機器 (98)
【Fターム(参考)】