情報処理装置、その制御方法及びプログラム並びに記録媒体
【課題】
意図的ではない振動をタップ操作によるものと誤認識しないようにする。
【解決手段】
加速度センサ(128)は、カメラ(100)に加えられる振動による加速度を検出する。MPU(110)は、加速度センサで検出される加速度データの振幅が閾値以上か否かを判定し、閾値以上の場合に、加速度データの周波数を解析する。周波数解析結果がタップ操作を示す場合に、MPU(110)は、そのタップ操作に割り当てられた処理を実行する。
意図的ではない振動をタップ操作によるものと誤認識しないようにする。
【解決手段】
加速度センサ(128)は、カメラ(100)に加えられる振動による加速度を検出する。MPU(110)は、加速度センサで検出される加速度データの振幅が閾値以上か否かを判定し、閾値以上の場合に、加速度データの周波数を解析する。周波数解析結果がタップ操作を示す場合に、MPU(110)は、そのタップ操作に割り当てられた処理を実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加速度センサによる入力機能を備える情報処理装置、その制御方法及びプログラム並びに記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパネルや加速度センサを有する情報処理装置が商品化されている。タッチパネルは、目的に応じて変更可能な多様な操作を可能にする。また、加速度センサにより、携帯情報機器自体を動かす又は振動させる操作や、外装を軽くたたく操作(タップ操作)により、特定の指示を情報処理装置に入力することも可能である。
【0003】
特許文献1には、ユーザが、デジタルカメラの筐体表面を指先で叩くタップ操作により、物理スイッチの操作無しで所望の機能を設定できるデジタルカメラが記載されている。
【0004】
特許文献2には、携帯情報装置の本体に加える移動回転等を加速度センサで検出解析し、特定の指示と解釈する携帯情報装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−302808号公報
【特許文献2】特開平06−004208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
情報処理装置で万人がタップ操作を容易に利用できるようにするには、より小さい衝撃のタップ操作に応答するようにするのが好ましい。他方、小さい衝撃でタップ操作に反応すると、単に情報処理装置を机上に置く操作や、カバン内で他の収容物と接触する等の衝撃に反応し、いわゆる誤動作をしてしまうことがある。
【0007】
本発明は、振動を与えることによる操作が可能でありつつ、誤動作を低減又は解消した情報処理装置、その制御方法及びプログラム並びに記録媒体を提示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る情報処理装置は、筐体に加えられる特定の振動に特定の処理を対応させた情報処理装置であって、前記振動に基づく加速度を検出する加速度センサと、前記加速度センサで検出した加速度データが特定の条件を満たさない場合に前記加速度センサで前記特定の振動を示す加速度データを検出した場合に、該特定の振動に対応する前記特定の処理を行うように制御し、前記加速度センサで検出した加速度データが前記特定の条件を満たす場合に前記加速度センサで前記特定の振動を示す加速度データを検出した場合には、該特定の振動に対応する前記特定の処理を実行しないように制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、振動を与えることによる操作が可能でありつつ、誤動作を低減又は解消した情報処理装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施例の概略構成ブロック図である。
【図2】本実施例の配置例と加速度検出の座標軸を示す模式図である。
【図3】本実施例のメインタスクのフローチャートである。
【図4】本実施例の加速度センサデータ処理タスクのフローチャートである。
【図5】加速度データのメモリ上での配置を示す模式図である。
【図6】加速度センサの検出波形例である。
【図7】本実施例の加速度センサ解析処理のフローチャートである。
【図8】加速度センサ解析処理の別のフローチャートである。
【図9】加速度センサ解析処理のさらに別のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明に係る情報処理装置の一実施例であるデジタルカメラの概略構成ブロック図を示す。
【0013】
デジタルカメラ100の撮像光学系102は、被写体の光学像を撮像素子104に入射する。撮像素子104は、撮像面の光学像を電気画像信号に変換する。アナログフロントエンド(AFE)106は、撮像素子104から出力されるアナログ画像信号をレベル調整し、ディジタル化する。画像処理回路108は、AFE106から出力されるアナログ画像信号に周知のカメラ信号処理を施す。
【0014】
MPU(又はCPU)110は、ドライバIC112及びレンズアクチュエータ114により撮像光学系102のフォーカス、ズーム及び絞り等を制御する。MPU110は、画像処理回路108で処理された画像データをRAM116に一時格納し、記録に適した形態に変換又は圧縮して記憶装置118に格納する。記憶装置118は、ハードディスク装置又は半導体メモリ等からなり、一定数又は一定時間までの撮影画像データを記憶可能である。
【0015】
MPU110は、デジタルカメラ100の全体を制御する。MPU110は、時分割処理により、複数のタスクを同時に処理することが可能である。ROM120には、MPU110で動作する制御プログラムと固定値が格納されている。RAM116にはMPU110で実行される制御プログラムがロードされる。RAM116はまた、MPU110のワークエリアとして機能する。MPU110は、動作状態、タイマ装置122の出力、操作部材126の操作及び加速度センサ128の検出出力に従い、各部を制御する。タイマ装置122は経過時間を計測するカウンタであり、任意に設定した時間が経過すると、MPU110への割り込み(124)を発生する。
【0016】
操作部材126は、オペレータの操作による指示を電気信号に変換してMPU110に伝達する。MPU110は、操作部材126の出力によってユーザの指示を認識する。
【0017】
加速度センサ128は、カメラ100の筐体に加わる外力の加速度とその方向を(X,Y,Z)の3軸方向で検知し、それらの値を電気信号に変換して内部のレジスタに記憶する。MPU110は、加速度センサ128のレジスタに記憶された値を読み出すことによって、装置に加わった加速度の大きさと向きを認識する。
【0018】
表示装置130は、種々のメニューに加え、撮影対象の被写体画像を表示し、または、記憶装置118に記憶される画像を表示できる。
【0019】
MPU110は、バス132を介して画像処理回路108、RAM116、ROM120、記憶装置118、タイマ装置122及び表示装置130に接続する。
【0020】
図2は、図1に示すカメラ100を横置き(水平)状態100Aと、縦置き(垂直)状態100Bに置いたときの外観と加速度の方向を示す模式図である。カメラ100を横置きにしたときの水平横方向をX軸とし、上下方向をY軸とし、前後方向をZ軸としている。本実施例では、カメラ100の左右側面を叩くタップ操作で特定の指示をカメラ100(具体的には、MPU110)に入力する。202A,202Bは、カメラ100の右側面へのタップ操作又はそれによる加速度を模式的に示し、204A,204Bは、カメラ100の左側面へのタップ操作又はそれによる加速度を模式的に示す。
【0021】
常に一定の加速度がかかる重力方向206を検出することで、カメラ100の向きを検出できる。カメラ100は、重力方向206を検出する重力方向検出手段を具備してもよいし、加速度センサ128で検出される重力加速度(加速度センサ128で常に検出される一定の加速度)に基づいて重力方向を判別してもよい。
【0022】
横置き状態100Aでは、カメラ100の底面が設置面となり、縦置き状態100Bでは、左側面が設置面となる。
【0023】
図3は、MPU110で動作するメインタスクのフローチャートを示す。図4は、MPU110の、加速度センサ128の出力を処理するタスク(加速度センサデータ処理タスク)の詳細なフローチャートを示す。図3に示すメインタスクと、図3に示す加速度センサデータ処理タスクは、MPU110上で時分割により並行して実行される。
【0024】
メインタスクでは、MPU110は、入力があると、それが操作部材126の操作による操作部材入力か、タップ操作によるタッピング入力かを判定する(S301)。タッピング入力の場合(S301)、MPU110は、そのタップ操作に対して予め割り当てられている処理を実行する(S302)。他方、操作部材入力の場合(S301)、MPU110は、それが電源オフであれば(S303)、メインタスクを終了し、電源オフでなければ(S303)、操作されたボタン等に対応する処理を実行する(S304)。
【0025】
図5は、加速度センサデータ処理タスクによって収集された加速度センサ出力データの、RAM116に格納されるデータ構造を示す。1000個の加速度データを格納可能なデータ配列501と、データ配列501の次に格納すべきアドレスを示すインデックス502からなる。個々の加速度データは、検出時刻504、X方向加速度506、Y方向加速度508及びZ方向加速度510からなる。
【0026】
図6は、RAM116に格納した加速度データのうち、一方向だけを取り出して時間軸上に展開した波形図である。横軸は時間を示し、縦軸は加速度の大きさを示す。図6(a)は、一度だけのタップ入力に対する波形例を示す。定常状態波形611の後に、タップ操作202A,204A;202B,204Bによる波形612が発生する。図6(b)は、連続したタップ入力に対する波形例を示す。定常状態波形621の後に、連続する2回のタップ操作202A,204A;202B,204Bによる波形622,623が発生する。図6(c)は、タップ操作の直前に他の動作による波形変化が起こっている場合の波形例を示す。定常状態波形631の後に、タップ操作以外の要因による波形632が発生し、続けて、タップ操作による波形633が発生する。波形633の後、定常状態となる。タップ操作以外の要因は例えば、落下や、カバンの中で他の収容物と接触する等の衝撃などの、ユーザが意図した操作で無しにカメラ100に加わった振動である。
【0027】
図4及び図5を参照して、加速度センサデータ処理タスクの詳細を説明する。MPU110は、センサデータ処理タスクの起動時に、このタスクで利用する資源とメモリなどを初期化する(S401)。この初期化処理は、タイマ装置122の初期化、タイマ装置122による割り込み(124)の設定、RAM116上のインデックス502の初期化を含む。インデックス502はデータ配列501の最初のデータ格納アドレスを示す。
【0028】
MPU110は、タイマ装置122による割り込みを待機する(S402)。割り込みが発生すると(S402)、MPU110は、加速度センサ128の論理方向X、Y、Zの全加速度データを読み出す(S403)。すなわち、数msec〜数100msec程度の所定時間間隔で加速度センサ128から加速度データを取得する。MPU110は、読みだしたデータをインデックス502で示されるRAM116の記憶領域に書き込む(S404)。
【0029】
MPU110は、インデックス502が示すアドレス値が、予め加速度センサデータ収集用に確保されたデータ配列501の領域を超えていないかを判断する(S405)。MPU110は、データ配列501を超えない場合、インデックス502をインクリメントし(S406)、データ配列501を超える場合、インデックス502をデータ配列501の先頭を示すように初期化する(S407)。
【0030】
MPU110は、得られた加速度データがタップ操作に該当するか否かを判定する加速度データ解析処理を実行する(S408)。この加速度データ解析処理の詳細は図7を用いて後述する。MPU110は、タイマ装置122に次回の割り込みを設定し(S409)、S402に戻る。
【0031】
図7は、加速度データ解析処理(S408)の詳細なフローチャートを示す。MPU110は、インデックス502で示される記憶領域から過去に遡るt(−1)〜t(0)の一定時間T1の加速度データをRAM116から読み出し(S701)、その周波数を解析する(S702)。ここでRAM116から読み出される加速度データは、図6の波形612,623,633に相当する。
【0032】
MPU110は、その一定時間T1内の加速度データの振幅が閾値を超えているか否かを判定する(S703)。閾値を超えている場合、MPU110は、更に、周波数が所定範囲に収まっているか否かを判定する(S704)。振幅が閾値を超えていないか、又は、周波数がタップ操作に適合しない場合、MPU110は、本処理を終了する。
【0033】
タップ操作の振動を示す振幅の閾値と周波数の範囲は、予め実機でタップ操作を実施して測定した結果により決定され、ROM120に記憶されている。もちろん、ユーザに使用前にタップ操作を行わせ、その際の計測波形から振幅の閾値と周波数範囲を決定し、ROM120又は記憶装置118に記憶してもよい。
【0034】
MPU110は、S704で周波数が所定範囲に収まっていると判定した場合(即ち、タップ操作を示す振動が検出された場合)、更に過去に遡ってt(−2)〜t(−1)の一定時間T1の加速度データをRAM116から読み出す(S705)。そして、MPU110は、読み出した過去の加速度データを周波数解析する(S706)。ここでRAM116から読み出される加速度データは、図6の定常状態波形611の一部、波形622、及び波形632の一部に相当する。
【0035】
MPU110は、読み出した加速度データの振幅を判定する(S707)。一定以上の振幅がある場合、MPU110は、振幅と周波数がタップ操作に適合するか否かを判定する(S708)。振幅と周波数がタップ操作に適合しないと判定した場合(S708)、MPU110は、S704で判定された振動に割り当てられた処理を実行することなく本処理を終了する。すなわち、S704で判定された振動をもたらしたタップ操作は、メインタスクに通知されない。振幅判定の閾値と周波数範囲は、S703、S704におけるタップ操作判定のそれと同じで良い。これにより、連続したタップ操作(図6(b))と、それ以外(図6(c))とを識別できる。連続したタップ操作であれば連続したタップ操作に対応した処理を実行する。一方、図6(c)のように、意図しない振動が直前に起こっていたのであれば、現在においてタップ操作を示す振動であると判定された振動も、意図せずに起こったものであるとみなし、タップ操作に対応する処理を実行しない。これによって意図しない振動による誤動作を抑制あるいは防止することができる。
【0036】
MPU110は、S707で過去データに一定以上の振幅が無いと判定した場合、およびS708で振幅及び周波数がタップ操作に適合すると判定した場合、メインタスクにタップ操作による入力を通知する(S709)。メインタスクに通知する方法は、メッセージキュー、シェエアドメモリ又はソフトウェア割り込みなど様々な形態が考えられるが、何れでもよい。
【0037】
MPU110は、加速度センサ128で検出される加速度データの振幅が閾値以上であり、且つ、前記加速度データの周波数が特定の振動、すなわち、タップ操作を示す場合に、タップ操作に対して割り当てられている処理を始動する。処理は例えば、スリープの解除、再生画像のコマ送り、又はパラメータ値の変更である。
【0038】
このように、本実施例では、加速度データが特定の条件を満たさない状態で、特定の振動を示す加速度データを検出した場合に、この特定の振動に対応する特定の処理を行うように制御する。他方、加速度データが特定の条件を満たす状態で特定の振動を示す加速度データを検出した場合には、この特定の振動に対応する特定の処理を実行しないように制御する。
【0039】
本実施例では、タイマ割り込みにより、この割り込み以前に計測される加速度データが特定のタップ操作によるものか否かを判定したが、もちろん、加速度センサの計測と同時に特定のタップ操作か否かを判定してもよい。
【0040】
なお、複数の振動による操作にそれぞれ異なる処理(機能)を割り当て、加速度データを解析してどの振動による操作が行われたかを判別して複数の処理を使い分けることも可能である。その場合、上述のS708では、過去データでタップ操作に適合する振動があったか否かを判定するものとしたが、過去データで何れかの振動操作に適合する振動があったか否かを判定するものとしてもよい。何れかの振動操作に適合する振動があったと判定した場合は意図的な振動操作が継続して行われているとみなしてS709にすすむ。一方、何れの振動操作にも適合しない振動があった場合には、装置が意図せずに振動する状況にあるものとみなして振動操作に対応する処理は実行せずに処理を終了する。
【実施例2】
【0041】
図8は、加速度センサ解析処理(S408)の別のフローチャートを示す。S801〜S804の処理は、図7で前述したS701〜S704の処理と同様であるので説明を省略する。
【0042】
MPU110は、周波数が所定範囲に収まっていると判定した場合(S804)(すなわち、タップ操作を示す振動が検出された場合)、底面方向からの衝撃による加速度か否かを判定する(S805)。これは、S802で解析した振動による加速度の方向が,重力の方向と平行で逆向きであるかどうかで判定できる。つまり、水平置き100Aの場合、重力方向206がY軸の負方向と一致し、かつ加速度方向がY軸の正方向であるときに、底面からの入力と判定できる。他方、垂直置き100Bの場合、重力方向206がX軸の負方向と一致し、かつ加速度方向がX軸の正方向であるときに、底面からの入力と判定できる。
【0043】
MPU110は、底面方向からの入力があったと判定した場合(S805)、タップ入力の1周期程度の時間T2、待機する(S806)。この待機の後、MPU110は、再度、加速度データを読み出し(S807)、データ変化の有無を調べる(S808)。S802で解析してS805で底面からの振動であると判定された振動が机などの上に置かれた際の衝撃によるものであった場合は、その後机などの上に置かれた状態でしばらく静止すると考えられる。そのため、S808で加速度データに変化が無い(振動していない)と判定される場合は、S802で解析した振動はやはり机などの上に置かれた際の衝撃によるものであってユーザによる意図的なタップ操作ではなかったと考えられる。一方、S808で加速度データに変化がある(振動している)と判定される場合は、机の上などに置かれて静止した状態ではないと考えられる。したがってS802で解析した振動は底面方向からのものであったとはいえ、机の上などに置かれた際の振動によるものではなく、ユーザによる意図的なタップ操作であったものとみなせる。従って、S808でデータの変化がないと判定した場合(S808)、MPU110は、タップ操作に対応した処理を実行することなく(タップ操作があったと通知することなく)本処理を終了する。
【0044】
この処理により、机などの上に置かれた場合に、机などへの衝撃と、タップ操作とを区別して判定できる。
【0045】
底面方向からの入力の前後で加速度データに変化がある場合(S808)、MPU110は、タップ操作による入力をメインタスクに通知して(S809)、本処理を終了する。メインタスクに通知する方法は、メッセージキュー、シェエアドメモリ又はソフトウェア割り込みなど様々な形態が考えられるが、何れでもよい。
【0046】
図8に示すフローでは、重力方向と逆側からの衝撃による加速度を検出した場合に、その前後の加速度データで特定のタップ操作かどうかを判定しており、いわば、重力方向と逆側からの衝撃による加速度を含む一定時間の加速度データを無視又は破棄している。しかし、単に、重力方向に一致する加速度を無視するようにしてもよい。
【実施例3】
【0047】
図9は、加速度センサ解析処理(S408)の別のフローチャートを示す。これは、カメラ100の落下をタップ操作と誤認しないようにする処理である。
【0048】
MPU110は、落下に対してタイマ装置122に設定される落下タイマが規定時間を満了又は経過しているか否かを調べる(S901)。落下タイマが満了していない場合(S901)、MPU110は、本処理を終了する。すなわち、落下タイマの満了前に加速度センサ128で検出される加速度データは、無視又は破棄される。
【0049】
落下タイマが満了している場合(S901)、MPU110は、インデックス502で示される記憶領域から過去に遡る一定時間T1の加速度データをRAM116から読み出し(S902)、その周波数を解析する(S903)。ここでRAM116から読み出される加速度データは、図6の波形612,623,633に相当する。
【0050】
MPU110は、その一定時間T1内の加速度データの振幅が閾値を超えているか否かを判定する(S904)。閾値を超えている場合、MPU110は、更に、周波数が所定範囲に収まっているか否かを判定する(S905)。振幅が閾値を超えていない場合(S904)、MPU110は、本処理を終了する。振幅の閾値と周波数の範囲は、予め実機でタップ操作を実施して測定した結果により決定され、ROM120に記憶されている。もちろん、ユーザに使用前にタップ操作を行わせ、その際の計測波形から振幅の閾値と周波数範囲を決定し、ROM120又は記憶装置118に記憶してもよい。
【0051】
加速度データがタップ操作に適合する周波数を示す場合(S905)、MPU110は、タップ操作による入力をメインタスクに通知し(S906)、本処理を終了する。メインタスクに通知する方法は、メッセージキュー、シェエアドメモリ又はソフトウェア割り込みなど様々な形態が考えられるが、何れでもよい。
【0052】
加速度データがタップ操作に適合する周波数を示さない場合(S905)、MPU110は、周波数解析結果に従い、落下か否かを判定する(S907)。落下と判定した場合(S907)、MPU110は、落下タイマに所定値を設定し、始動して(S908)、本処理を終了する。落下で無い場合(S907)、MPU110は、本処理を終了する。
【0053】
本実施例によれば、落下中あるいは落下直後の一定時間(落下と判定されなくなってから落下タイマが満了するまでの期間)には加速度データを取得しないので、タップ操作に適合する振動があってもタップ操作に対応する処理は実行しない。これによって、落下による振動をタップ操作と誤検出することを抑制あるいは防止することができる。
【0054】
以上、説明した各実施例において、MPU110の制御は1つのハードウェアが行ってもよいし、複数のハードウェアが処理を分担することで、装置全体の制御を行ってもよい。
【0055】
本発明の好適な実施例を説明したが、本発明はこれら特定の実施例に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。さらに、上述した各実施例は説明用のものであって、各実施例を適宜組み合わせることも可能である。
【0056】
本発明を撮像装置に適用した実施例を説明したが、本発明は、撮像装置に限定されない。また、振動による操作としてタップ操作の例を説明したが、これに限定されない。装置本体を叩く、振る、傾けるなどして、装置本体に振動を与えることを操作入力として利用するものであれば適用可能である。すなわち、本発明はパーソナルコンピュータやPDA、携帯電話端末や携帯型の画像ビューワ、デジタルフォトフレーム、音楽プレーヤ、ゲーム機、電子ブックリーダなどに適用可能である。ゲーム機には、携帯ゲーム機や、据え置きゲーム機のリモコンなどが含まれる。据え置き型の装置であっても、その部品に対して叩く、振る、傾けるなどの動作を操作入力とするものに適用可能であるが、携帯機器には、装置本体を叩く、振る、傾けるなどの操作を適用しやすい。
【0057】
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施例の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のCPUやMPU等がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記録した記録媒体は本発明を構成することになる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、加速度センサによる入力機能を備える情報処理装置、その制御方法及びプログラム並びに記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパネルや加速度センサを有する情報処理装置が商品化されている。タッチパネルは、目的に応じて変更可能な多様な操作を可能にする。また、加速度センサにより、携帯情報機器自体を動かす又は振動させる操作や、外装を軽くたたく操作(タップ操作)により、特定の指示を情報処理装置に入力することも可能である。
【0003】
特許文献1には、ユーザが、デジタルカメラの筐体表面を指先で叩くタップ操作により、物理スイッチの操作無しで所望の機能を設定できるデジタルカメラが記載されている。
【0004】
特許文献2には、携帯情報装置の本体に加える移動回転等を加速度センサで検出解析し、特定の指示と解釈する携帯情報装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−302808号公報
【特許文献2】特開平06−004208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
情報処理装置で万人がタップ操作を容易に利用できるようにするには、より小さい衝撃のタップ操作に応答するようにするのが好ましい。他方、小さい衝撃でタップ操作に反応すると、単に情報処理装置を机上に置く操作や、カバン内で他の収容物と接触する等の衝撃に反応し、いわゆる誤動作をしてしまうことがある。
【0007】
本発明は、振動を与えることによる操作が可能でありつつ、誤動作を低減又は解消した情報処理装置、その制御方法及びプログラム並びに記録媒体を提示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る情報処理装置は、筐体に加えられる特定の振動に特定の処理を対応させた情報処理装置であって、前記振動に基づく加速度を検出する加速度センサと、前記加速度センサで検出した加速度データが特定の条件を満たさない場合に前記加速度センサで前記特定の振動を示す加速度データを検出した場合に、該特定の振動に対応する前記特定の処理を行うように制御し、前記加速度センサで検出した加速度データが前記特定の条件を満たす場合に前記加速度センサで前記特定の振動を示す加速度データを検出した場合には、該特定の振動に対応する前記特定の処理を実行しないように制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、振動を与えることによる操作が可能でありつつ、誤動作を低減又は解消した情報処理装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施例の概略構成ブロック図である。
【図2】本実施例の配置例と加速度検出の座標軸を示す模式図である。
【図3】本実施例のメインタスクのフローチャートである。
【図4】本実施例の加速度センサデータ処理タスクのフローチャートである。
【図5】加速度データのメモリ上での配置を示す模式図である。
【図6】加速度センサの検出波形例である。
【図7】本実施例の加速度センサ解析処理のフローチャートである。
【図8】加速度センサ解析処理の別のフローチャートである。
【図9】加速度センサ解析処理のさらに別のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明に係る情報処理装置の一実施例であるデジタルカメラの概略構成ブロック図を示す。
【0013】
デジタルカメラ100の撮像光学系102は、被写体の光学像を撮像素子104に入射する。撮像素子104は、撮像面の光学像を電気画像信号に変換する。アナログフロントエンド(AFE)106は、撮像素子104から出力されるアナログ画像信号をレベル調整し、ディジタル化する。画像処理回路108は、AFE106から出力されるアナログ画像信号に周知のカメラ信号処理を施す。
【0014】
MPU(又はCPU)110は、ドライバIC112及びレンズアクチュエータ114により撮像光学系102のフォーカス、ズーム及び絞り等を制御する。MPU110は、画像処理回路108で処理された画像データをRAM116に一時格納し、記録に適した形態に変換又は圧縮して記憶装置118に格納する。記憶装置118は、ハードディスク装置又は半導体メモリ等からなり、一定数又は一定時間までの撮影画像データを記憶可能である。
【0015】
MPU110は、デジタルカメラ100の全体を制御する。MPU110は、時分割処理により、複数のタスクを同時に処理することが可能である。ROM120には、MPU110で動作する制御プログラムと固定値が格納されている。RAM116にはMPU110で実行される制御プログラムがロードされる。RAM116はまた、MPU110のワークエリアとして機能する。MPU110は、動作状態、タイマ装置122の出力、操作部材126の操作及び加速度センサ128の検出出力に従い、各部を制御する。タイマ装置122は経過時間を計測するカウンタであり、任意に設定した時間が経過すると、MPU110への割り込み(124)を発生する。
【0016】
操作部材126は、オペレータの操作による指示を電気信号に変換してMPU110に伝達する。MPU110は、操作部材126の出力によってユーザの指示を認識する。
【0017】
加速度センサ128は、カメラ100の筐体に加わる外力の加速度とその方向を(X,Y,Z)の3軸方向で検知し、それらの値を電気信号に変換して内部のレジスタに記憶する。MPU110は、加速度センサ128のレジスタに記憶された値を読み出すことによって、装置に加わった加速度の大きさと向きを認識する。
【0018】
表示装置130は、種々のメニューに加え、撮影対象の被写体画像を表示し、または、記憶装置118に記憶される画像を表示できる。
【0019】
MPU110は、バス132を介して画像処理回路108、RAM116、ROM120、記憶装置118、タイマ装置122及び表示装置130に接続する。
【0020】
図2は、図1に示すカメラ100を横置き(水平)状態100Aと、縦置き(垂直)状態100Bに置いたときの外観と加速度の方向を示す模式図である。カメラ100を横置きにしたときの水平横方向をX軸とし、上下方向をY軸とし、前後方向をZ軸としている。本実施例では、カメラ100の左右側面を叩くタップ操作で特定の指示をカメラ100(具体的には、MPU110)に入力する。202A,202Bは、カメラ100の右側面へのタップ操作又はそれによる加速度を模式的に示し、204A,204Bは、カメラ100の左側面へのタップ操作又はそれによる加速度を模式的に示す。
【0021】
常に一定の加速度がかかる重力方向206を検出することで、カメラ100の向きを検出できる。カメラ100は、重力方向206を検出する重力方向検出手段を具備してもよいし、加速度センサ128で検出される重力加速度(加速度センサ128で常に検出される一定の加速度)に基づいて重力方向を判別してもよい。
【0022】
横置き状態100Aでは、カメラ100の底面が設置面となり、縦置き状態100Bでは、左側面が設置面となる。
【0023】
図3は、MPU110で動作するメインタスクのフローチャートを示す。図4は、MPU110の、加速度センサ128の出力を処理するタスク(加速度センサデータ処理タスク)の詳細なフローチャートを示す。図3に示すメインタスクと、図3に示す加速度センサデータ処理タスクは、MPU110上で時分割により並行して実行される。
【0024】
メインタスクでは、MPU110は、入力があると、それが操作部材126の操作による操作部材入力か、タップ操作によるタッピング入力かを判定する(S301)。タッピング入力の場合(S301)、MPU110は、そのタップ操作に対して予め割り当てられている処理を実行する(S302)。他方、操作部材入力の場合(S301)、MPU110は、それが電源オフであれば(S303)、メインタスクを終了し、電源オフでなければ(S303)、操作されたボタン等に対応する処理を実行する(S304)。
【0025】
図5は、加速度センサデータ処理タスクによって収集された加速度センサ出力データの、RAM116に格納されるデータ構造を示す。1000個の加速度データを格納可能なデータ配列501と、データ配列501の次に格納すべきアドレスを示すインデックス502からなる。個々の加速度データは、検出時刻504、X方向加速度506、Y方向加速度508及びZ方向加速度510からなる。
【0026】
図6は、RAM116に格納した加速度データのうち、一方向だけを取り出して時間軸上に展開した波形図である。横軸は時間を示し、縦軸は加速度の大きさを示す。図6(a)は、一度だけのタップ入力に対する波形例を示す。定常状態波形611の後に、タップ操作202A,204A;202B,204Bによる波形612が発生する。図6(b)は、連続したタップ入力に対する波形例を示す。定常状態波形621の後に、連続する2回のタップ操作202A,204A;202B,204Bによる波形622,623が発生する。図6(c)は、タップ操作の直前に他の動作による波形変化が起こっている場合の波形例を示す。定常状態波形631の後に、タップ操作以外の要因による波形632が発生し、続けて、タップ操作による波形633が発生する。波形633の後、定常状態となる。タップ操作以外の要因は例えば、落下や、カバンの中で他の収容物と接触する等の衝撃などの、ユーザが意図した操作で無しにカメラ100に加わった振動である。
【0027】
図4及び図5を参照して、加速度センサデータ処理タスクの詳細を説明する。MPU110は、センサデータ処理タスクの起動時に、このタスクで利用する資源とメモリなどを初期化する(S401)。この初期化処理は、タイマ装置122の初期化、タイマ装置122による割り込み(124)の設定、RAM116上のインデックス502の初期化を含む。インデックス502はデータ配列501の最初のデータ格納アドレスを示す。
【0028】
MPU110は、タイマ装置122による割り込みを待機する(S402)。割り込みが発生すると(S402)、MPU110は、加速度センサ128の論理方向X、Y、Zの全加速度データを読み出す(S403)。すなわち、数msec〜数100msec程度の所定時間間隔で加速度センサ128から加速度データを取得する。MPU110は、読みだしたデータをインデックス502で示されるRAM116の記憶領域に書き込む(S404)。
【0029】
MPU110は、インデックス502が示すアドレス値が、予め加速度センサデータ収集用に確保されたデータ配列501の領域を超えていないかを判断する(S405)。MPU110は、データ配列501を超えない場合、インデックス502をインクリメントし(S406)、データ配列501を超える場合、インデックス502をデータ配列501の先頭を示すように初期化する(S407)。
【0030】
MPU110は、得られた加速度データがタップ操作に該当するか否かを判定する加速度データ解析処理を実行する(S408)。この加速度データ解析処理の詳細は図7を用いて後述する。MPU110は、タイマ装置122に次回の割り込みを設定し(S409)、S402に戻る。
【0031】
図7は、加速度データ解析処理(S408)の詳細なフローチャートを示す。MPU110は、インデックス502で示される記憶領域から過去に遡るt(−1)〜t(0)の一定時間T1の加速度データをRAM116から読み出し(S701)、その周波数を解析する(S702)。ここでRAM116から読み出される加速度データは、図6の波形612,623,633に相当する。
【0032】
MPU110は、その一定時間T1内の加速度データの振幅が閾値を超えているか否かを判定する(S703)。閾値を超えている場合、MPU110は、更に、周波数が所定範囲に収まっているか否かを判定する(S704)。振幅が閾値を超えていないか、又は、周波数がタップ操作に適合しない場合、MPU110は、本処理を終了する。
【0033】
タップ操作の振動を示す振幅の閾値と周波数の範囲は、予め実機でタップ操作を実施して測定した結果により決定され、ROM120に記憶されている。もちろん、ユーザに使用前にタップ操作を行わせ、その際の計測波形から振幅の閾値と周波数範囲を決定し、ROM120又は記憶装置118に記憶してもよい。
【0034】
MPU110は、S704で周波数が所定範囲に収まっていると判定した場合(即ち、タップ操作を示す振動が検出された場合)、更に過去に遡ってt(−2)〜t(−1)の一定時間T1の加速度データをRAM116から読み出す(S705)。そして、MPU110は、読み出した過去の加速度データを周波数解析する(S706)。ここでRAM116から読み出される加速度データは、図6の定常状態波形611の一部、波形622、及び波形632の一部に相当する。
【0035】
MPU110は、読み出した加速度データの振幅を判定する(S707)。一定以上の振幅がある場合、MPU110は、振幅と周波数がタップ操作に適合するか否かを判定する(S708)。振幅と周波数がタップ操作に適合しないと判定した場合(S708)、MPU110は、S704で判定された振動に割り当てられた処理を実行することなく本処理を終了する。すなわち、S704で判定された振動をもたらしたタップ操作は、メインタスクに通知されない。振幅判定の閾値と周波数範囲は、S703、S704におけるタップ操作判定のそれと同じで良い。これにより、連続したタップ操作(図6(b))と、それ以外(図6(c))とを識別できる。連続したタップ操作であれば連続したタップ操作に対応した処理を実行する。一方、図6(c)のように、意図しない振動が直前に起こっていたのであれば、現在においてタップ操作を示す振動であると判定された振動も、意図せずに起こったものであるとみなし、タップ操作に対応する処理を実行しない。これによって意図しない振動による誤動作を抑制あるいは防止することができる。
【0036】
MPU110は、S707で過去データに一定以上の振幅が無いと判定した場合、およびS708で振幅及び周波数がタップ操作に適合すると判定した場合、メインタスクにタップ操作による入力を通知する(S709)。メインタスクに通知する方法は、メッセージキュー、シェエアドメモリ又はソフトウェア割り込みなど様々な形態が考えられるが、何れでもよい。
【0037】
MPU110は、加速度センサ128で検出される加速度データの振幅が閾値以上であり、且つ、前記加速度データの周波数が特定の振動、すなわち、タップ操作を示す場合に、タップ操作に対して割り当てられている処理を始動する。処理は例えば、スリープの解除、再生画像のコマ送り、又はパラメータ値の変更である。
【0038】
このように、本実施例では、加速度データが特定の条件を満たさない状態で、特定の振動を示す加速度データを検出した場合に、この特定の振動に対応する特定の処理を行うように制御する。他方、加速度データが特定の条件を満たす状態で特定の振動を示す加速度データを検出した場合には、この特定の振動に対応する特定の処理を実行しないように制御する。
【0039】
本実施例では、タイマ割り込みにより、この割り込み以前に計測される加速度データが特定のタップ操作によるものか否かを判定したが、もちろん、加速度センサの計測と同時に特定のタップ操作か否かを判定してもよい。
【0040】
なお、複数の振動による操作にそれぞれ異なる処理(機能)を割り当て、加速度データを解析してどの振動による操作が行われたかを判別して複数の処理を使い分けることも可能である。その場合、上述のS708では、過去データでタップ操作に適合する振動があったか否かを判定するものとしたが、過去データで何れかの振動操作に適合する振動があったか否かを判定するものとしてもよい。何れかの振動操作に適合する振動があったと判定した場合は意図的な振動操作が継続して行われているとみなしてS709にすすむ。一方、何れの振動操作にも適合しない振動があった場合には、装置が意図せずに振動する状況にあるものとみなして振動操作に対応する処理は実行せずに処理を終了する。
【実施例2】
【0041】
図8は、加速度センサ解析処理(S408)の別のフローチャートを示す。S801〜S804の処理は、図7で前述したS701〜S704の処理と同様であるので説明を省略する。
【0042】
MPU110は、周波数が所定範囲に収まっていると判定した場合(S804)(すなわち、タップ操作を示す振動が検出された場合)、底面方向からの衝撃による加速度か否かを判定する(S805)。これは、S802で解析した振動による加速度の方向が,重力の方向と平行で逆向きであるかどうかで判定できる。つまり、水平置き100Aの場合、重力方向206がY軸の負方向と一致し、かつ加速度方向がY軸の正方向であるときに、底面からの入力と判定できる。他方、垂直置き100Bの場合、重力方向206がX軸の負方向と一致し、かつ加速度方向がX軸の正方向であるときに、底面からの入力と判定できる。
【0043】
MPU110は、底面方向からの入力があったと判定した場合(S805)、タップ入力の1周期程度の時間T2、待機する(S806)。この待機の後、MPU110は、再度、加速度データを読み出し(S807)、データ変化の有無を調べる(S808)。S802で解析してS805で底面からの振動であると判定された振動が机などの上に置かれた際の衝撃によるものであった場合は、その後机などの上に置かれた状態でしばらく静止すると考えられる。そのため、S808で加速度データに変化が無い(振動していない)と判定される場合は、S802で解析した振動はやはり机などの上に置かれた際の衝撃によるものであってユーザによる意図的なタップ操作ではなかったと考えられる。一方、S808で加速度データに変化がある(振動している)と判定される場合は、机の上などに置かれて静止した状態ではないと考えられる。したがってS802で解析した振動は底面方向からのものであったとはいえ、机の上などに置かれた際の振動によるものではなく、ユーザによる意図的なタップ操作であったものとみなせる。従って、S808でデータの変化がないと判定した場合(S808)、MPU110は、タップ操作に対応した処理を実行することなく(タップ操作があったと通知することなく)本処理を終了する。
【0044】
この処理により、机などの上に置かれた場合に、机などへの衝撃と、タップ操作とを区別して判定できる。
【0045】
底面方向からの入力の前後で加速度データに変化がある場合(S808)、MPU110は、タップ操作による入力をメインタスクに通知して(S809)、本処理を終了する。メインタスクに通知する方法は、メッセージキュー、シェエアドメモリ又はソフトウェア割り込みなど様々な形態が考えられるが、何れでもよい。
【0046】
図8に示すフローでは、重力方向と逆側からの衝撃による加速度を検出した場合に、その前後の加速度データで特定のタップ操作かどうかを判定しており、いわば、重力方向と逆側からの衝撃による加速度を含む一定時間の加速度データを無視又は破棄している。しかし、単に、重力方向に一致する加速度を無視するようにしてもよい。
【実施例3】
【0047】
図9は、加速度センサ解析処理(S408)の別のフローチャートを示す。これは、カメラ100の落下をタップ操作と誤認しないようにする処理である。
【0048】
MPU110は、落下に対してタイマ装置122に設定される落下タイマが規定時間を満了又は経過しているか否かを調べる(S901)。落下タイマが満了していない場合(S901)、MPU110は、本処理を終了する。すなわち、落下タイマの満了前に加速度センサ128で検出される加速度データは、無視又は破棄される。
【0049】
落下タイマが満了している場合(S901)、MPU110は、インデックス502で示される記憶領域から過去に遡る一定時間T1の加速度データをRAM116から読み出し(S902)、その周波数を解析する(S903)。ここでRAM116から読み出される加速度データは、図6の波形612,623,633に相当する。
【0050】
MPU110は、その一定時間T1内の加速度データの振幅が閾値を超えているか否かを判定する(S904)。閾値を超えている場合、MPU110は、更に、周波数が所定範囲に収まっているか否かを判定する(S905)。振幅が閾値を超えていない場合(S904)、MPU110は、本処理を終了する。振幅の閾値と周波数の範囲は、予め実機でタップ操作を実施して測定した結果により決定され、ROM120に記憶されている。もちろん、ユーザに使用前にタップ操作を行わせ、その際の計測波形から振幅の閾値と周波数範囲を決定し、ROM120又は記憶装置118に記憶してもよい。
【0051】
加速度データがタップ操作に適合する周波数を示す場合(S905)、MPU110は、タップ操作による入力をメインタスクに通知し(S906)、本処理を終了する。メインタスクに通知する方法は、メッセージキュー、シェエアドメモリ又はソフトウェア割り込みなど様々な形態が考えられるが、何れでもよい。
【0052】
加速度データがタップ操作に適合する周波数を示さない場合(S905)、MPU110は、周波数解析結果に従い、落下か否かを判定する(S907)。落下と判定した場合(S907)、MPU110は、落下タイマに所定値を設定し、始動して(S908)、本処理を終了する。落下で無い場合(S907)、MPU110は、本処理を終了する。
【0053】
本実施例によれば、落下中あるいは落下直後の一定時間(落下と判定されなくなってから落下タイマが満了するまでの期間)には加速度データを取得しないので、タップ操作に適合する振動があってもタップ操作に対応する処理は実行しない。これによって、落下による振動をタップ操作と誤検出することを抑制あるいは防止することができる。
【0054】
以上、説明した各実施例において、MPU110の制御は1つのハードウェアが行ってもよいし、複数のハードウェアが処理を分担することで、装置全体の制御を行ってもよい。
【0055】
本発明の好適な実施例を説明したが、本発明はこれら特定の実施例に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。さらに、上述した各実施例は説明用のものであって、各実施例を適宜組み合わせることも可能である。
【0056】
本発明を撮像装置に適用した実施例を説明したが、本発明は、撮像装置に限定されない。また、振動による操作としてタップ操作の例を説明したが、これに限定されない。装置本体を叩く、振る、傾けるなどして、装置本体に振動を与えることを操作入力として利用するものであれば適用可能である。すなわち、本発明はパーソナルコンピュータやPDA、携帯電話端末や携帯型の画像ビューワ、デジタルフォトフレーム、音楽プレーヤ、ゲーム機、電子ブックリーダなどに適用可能である。ゲーム機には、携帯ゲーム機や、据え置きゲーム機のリモコンなどが含まれる。据え置き型の装置であっても、その部品に対して叩く、振る、傾けるなどの動作を操作入力とするものに適用可能であるが、携帯機器には、装置本体を叩く、振る、傾けるなどの操作を適用しやすい。
【0057】
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施例の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のCPUやMPU等がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記録した記録媒体は本発明を構成することになる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に加えられる特定の振動に特定の処理を対応させた情報処理装置であって、
前記振動に基づく加速度を検出する加速度センサと、
前記加速度センサで検出した加速度データが特定の条件を満たさない場合に前記加速度センサで前記特定の振動を示す加速度データを検出した場合に、該特定の振動に対応する前記特定の処理を行うように制御し、前記加速度センサで検出した加速度データが前記特定の条件を満たす場合に前記加速度センサで前記特定の振動を示す加速度データを検出した場合には、該特定の振動に対応する前記特定の処理を実行しないように制御する制御手段
とを備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記特定の条件は、前記加速度センサで前記特定の振動を示す加速度データを検出した直前に、前記特定の振動ではない他の振動を示す加速度データを検出していたことであることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記特定の条件は、前記加速度センサで前記特定の振動を示す加速度データを検出した直前に、いずれの処理も対応していない振動を示す加速度データを検出していたことであることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記特定の条件は、前記特定の振動を示す加速度データが、重力方向と逆側から与えられた衝撃による振動であると判定され、かつ、その後の所定時間、静止していると判定される加速度データが検出されることであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記特定の条件は、前記特定の振動を示す加速度データが、重力方向と逆側から与えられた衝撃による振動であると判定されることであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記特定の条件は、前記加速度センサで落下を示す加速度データが検出されることであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記情報処理装置は、携帯できる情報処理装置であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記情報処理装置は、撮像手段を有する撮像装置であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
筐体に加えられる振動を加速度センサで検出し、特定の振動に対して特定の処理を実行する情報処理装置の制御方法であって、
前記加速度センサで検出した加速度データが特定の条件を満たすかどうかを判定するステップと、
前記加速度センサで検出した加速度データが特定の条件を満たさない場合に、前記加速度センサで前記特定の振動を示す加速度データを検出した場合に、該特定の振動に対応する前記特定の処理を行うように制御し、前記加速度センサで検出した加速度データが前記特定の条件を満たす場合に前記加速度センサで前記特定の振動を示す加速度データを検出した場合には、該特定の振動に対応する前記特定の処理を実行しないように制御する制御ステップ
とを備えることを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項10】
筐体に加えられる振動を加速度センサで検出し、特定の振動に対して特定の処理を実行する情報処理装置の制御するプログラムであって、前記情報処理装置のMPUに、
前記加速度センサで検出した加速度データが特定の条件を満たすかどうかを判定させる機能と、
前記加速度センサで検出した加速度データが特定の条件を満たさない場合に、前記加速度センサで前記特定の振動を示す加速度データを検出した場合に、該特定の振動に対応する前記特定の処理を行うように制御させ、前記加速度センサで検出した加速度データが前記特定の条件を満たす場合に前記加速度センサで前記特定の振動を示す加速度データを検出した場合には、該特定の振動に対応する前記特定の処理を実行しないように制御させる機能
とを実現されることを特徴とする情報処理装置の制御プログラム。
【請求項11】
請求項10に記載の制御プログラムを格納した、前記情報処理装置が読み出し可能な記録媒体。
【請求項1】
筐体に加えられる特定の振動に特定の処理を対応させた情報処理装置であって、
前記振動に基づく加速度を検出する加速度センサと、
前記加速度センサで検出した加速度データが特定の条件を満たさない場合に前記加速度センサで前記特定の振動を示す加速度データを検出した場合に、該特定の振動に対応する前記特定の処理を行うように制御し、前記加速度センサで検出した加速度データが前記特定の条件を満たす場合に前記加速度センサで前記特定の振動を示す加速度データを検出した場合には、該特定の振動に対応する前記特定の処理を実行しないように制御する制御手段
とを備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記特定の条件は、前記加速度センサで前記特定の振動を示す加速度データを検出した直前に、前記特定の振動ではない他の振動を示す加速度データを検出していたことであることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記特定の条件は、前記加速度センサで前記特定の振動を示す加速度データを検出した直前に、いずれの処理も対応していない振動を示す加速度データを検出していたことであることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記特定の条件は、前記特定の振動を示す加速度データが、重力方向と逆側から与えられた衝撃による振動であると判定され、かつ、その後の所定時間、静止していると判定される加速度データが検出されることであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記特定の条件は、前記特定の振動を示す加速度データが、重力方向と逆側から与えられた衝撃による振動であると判定されることであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記特定の条件は、前記加速度センサで落下を示す加速度データが検出されることであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記情報処理装置は、携帯できる情報処理装置であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記情報処理装置は、撮像手段を有する撮像装置であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
筐体に加えられる振動を加速度センサで検出し、特定の振動に対して特定の処理を実行する情報処理装置の制御方法であって、
前記加速度センサで検出した加速度データが特定の条件を満たすかどうかを判定するステップと、
前記加速度センサで検出した加速度データが特定の条件を満たさない場合に、前記加速度センサで前記特定の振動を示す加速度データを検出した場合に、該特定の振動に対応する前記特定の処理を行うように制御し、前記加速度センサで検出した加速度データが前記特定の条件を満たす場合に前記加速度センサで前記特定の振動を示す加速度データを検出した場合には、該特定の振動に対応する前記特定の処理を実行しないように制御する制御ステップ
とを備えることを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項10】
筐体に加えられる振動を加速度センサで検出し、特定の振動に対して特定の処理を実行する情報処理装置の制御するプログラムであって、前記情報処理装置のMPUに、
前記加速度センサで検出した加速度データが特定の条件を満たすかどうかを判定させる機能と、
前記加速度センサで検出した加速度データが特定の条件を満たさない場合に、前記加速度センサで前記特定の振動を示す加速度データを検出した場合に、該特定の振動に対応する前記特定の処理を行うように制御させ、前記加速度センサで検出した加速度データが前記特定の条件を満たす場合に前記加速度センサで前記特定の振動を示す加速度データを検出した場合には、該特定の振動に対応する前記特定の処理を実行しないように制御させる機能
とを実現されることを特徴とする情報処理装置の制御プログラム。
【請求項11】
請求項10に記載の制御プログラムを格納した、前記情報処理装置が読み出し可能な記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2012−146156(P2012−146156A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4506(P2011−4506)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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