説明

情報処理装置、エフェクトプログラムおよびコンテンツ補正処理方法

【課題】ダウンロードしたAVコンテンツの画質補正や音質補正を既存のモジュールをそのまま活用しつつ適切に行うことを実現した情報処理装置を提供する。
【解決手段】エフェクトエンジン230は、キャプチャ設定部231が、動画受信再生プログラム220からOS100のDLL部102に出力されるビデオデータa1およびオーディオデータb1を取得するための書き換えをDLL部102に対して行う。タイムスタンプ部232は、受け取ったデータa2,b2に対して時間情報を付与し、エフェクト部233は、これらの少なくとも一方に対して(高画質化・高音質化のための)補正を実行する。AV同期部234は、補正後のデータa2,b2を、タイムスタンプ部232によって付与された時間情報に基づき、時間的に一致させてOS100のDLL部102に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばインターネットを介して動画配信サイトから動画コンテンツをダウンロードして再生するブラウザ機能を有するパーソナルコンピュータに適用して好適な動画コンテンツの補正技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット上の動画配信サイトで公開される動画コンテンツ(AVコンテンツ)をブラウザを用いて閲覧することが広く行われている。
【0003】
ブラウザで動画配信サイトのWebページを閲覧すると、ブラウザは、プラグインソフトウェアとして組み込まれている動画受信再生プログラムを起動する。AVコンテンツの再生開始を指示する操作がユーザによって行われると、動画受信再生プログラムは、そのAVコンテンツをインターネットを介して動画配信サイトからダウンロードし、デコードしてビデオデータとオーディオデータとに分離する。動画受信再生プログラムは、この分離したビデオデータとオーディオデータとを、オペレーティングシステムに属するDLL(Dynamic Link Library)に出力する。このDLLを仲介して、ビデオデータとオーディオデータとは、オペレーティングシステムのカーネル部に引き渡され、ディスプレイ出力やスピーカ出力等が行われることになる。
【0004】
また、最近では、以上のような手順を経て再生されるAVコンテンツを、より高画質な画像として鑑賞したいという要望が高まっている。かつ、既存のモジュールをそのまま活用しつつ実現させて欲しいという要望も強い。
【0005】
このような場合の対処法の1つとして、2つのモジュール間で授受されるデータをその他のモジュールに取得させ、当該その他のモジュールに、取得させたデータに対して目的の処理(ここでは、画像の高画質化補正)を実行させるといった方法が存在する(例えば特許文献1等参照)。
【特許文献1】特開2006−40021号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、動画配信サイトからダウンロードしたAVコンテンツの再生は、そのAVコンテンツに含まれるビデオデータとオーディオデータとを、同期を取ってディスプレイやスピーカに出力しなければならない。よって、例えば、AVコンテンツに含まれるビデオデータのみを取得して、高画質化のための補正を施すといった安易な方法を採用することはできない。
【0007】
また、ビデオデータおよびオーディオデータの両方を取得し、それぞれに対して高画質化や高音質化のための補正を施すとした場合においても、ビデオデータとオーディオデータとでは補正に伴う遅延時間に差が生じるために、ユーザを満足させるAVコンテンツ再生を実現することは難しい。
【0008】
この発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、例えばインターネットを介して動画配信サイトからダウンロードしたAVコンテンツに含まれるビデオデータおよびオーディオデータの少なくとも一方に対する補正を、既存のモジュールをそのまま活用しつつ適切に行うことを実現した情報処理装置、エフェクトプログラムおよびコンテンツ補正処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の目的を達成するために、この発明の情報処理装置は、第1のモジュールから第2のモジュールに対して出力されるビデオデータおよびオーディオデータを取得するキャプチャ手段と、前記キャプチャ手段によって取得されたビデオデータおよびオーディオデータそれぞれに時間情報を付与するタイムスタンプ手段と、前記キャプチャ手段によって取得されたビデオデータおよびオーディオデータの少なくとも一方に対して補正処理を施すエフェクト手段と、前記タイムスタンプ手段によって付与された時間情報に基づき、前記エフェクト手段によって少なくとも一方に対して補正処理が施されたビデオデータおよびオーディオデータを前記第2のモジュールに対して時間的に一致させて出力する同期出力手段と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、例えばインターネットを介して動画配信サイトからダウンロードしたAVコンテンツに含まれるビデオデータおよびオーディオデータの少なくとも一方に対する補正を、既存のモジュールをそのまま活用しつつ適切に行うことが実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態を説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置1の一利用形態を示す図である。本情報処理装置1は、例えばノートブックタイプのパーソナルコンピュータ(PC)として実現される。ここでは、ユーザが、動画配信サイト2が提供するAVコンテンツをインターネット3経由でダウンロードして鑑賞するために、このコンピュータ1を利用する場合を想定する。
【0013】
図2は、本コンピュータ1のシステム構成を示す図である。
【0014】
本コンピュータ1は、図2に示すように、CPU11、ノースブリッジ12、主メモリ13、表示コントローラ14、ビデオメモリ(VRAM)14A、LCD(Liquid Crystal Display)15、サウスブリッジ16、サウンドコントローラ17、スピーカ18、BIOS−ROM19、LANコントローラ20、HDD(hard disk drive)21、ODD(optical disc drive)22、無線LANコントローラ23、USBコントローラ24、エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラ(EC/KBC)25、キーボード(KB)26、ポインティングデバイス27等を備えている。
【0015】
CPU11は、本コンピュータ1の動作を制御するプロセッサであり、HDD21やODD22から主メモリ13にロードされる、オペレーティングシステム(OS)や、このOS配下で動作する各種アプリケーションプログラムを実行する。また、CPU11は、BIOS−ROM19に格納されたBIOS(Basic Input/Output System)も実行する。BIOSは、ハードウェア制御のためのプログラムである。
【0016】
ノースブリッジ12は、CPU11のローカルバスとサウスブリッジ16との間を接続するブリッジデバイスである。ノースブリッジ12には、主メモリ13をアクセス制御するメモリコントローラも内蔵されている。また、ノースブリッジ12は、表示コントローラ14との通信を実行する機能も有している。
【0017】
表示コントローラ14は、本コンピュータ1のディスプレイモニタとして使用されるLCD15を制御するデバイスである。この表示コントローラ14によって表示信号が生成されてLCD15に送られる。
【0018】
サウスブリッジ16は、PCI(Peripheral Component Interconnect)バス上およびLPC(Low Pin Count)バス上の各デバイスを制御する。また、サウスブリッジ16は、HDD21およびODD22を制御するためのIDE(Integrated Drive Electronics)コントローラおよびBIOS−ROM19をアクセス制御するメモリコントローラが内蔵されている。さらに、サウスブリッジ16は、サウンドコントローラ17およびLANコントローラ20との通信を実行する機能も有している。
【0019】
サウンドコントローラ17は音源デバイスであり、再生対象のオーディオデータをスピーカ18に出力する。
【0020】
LANコントローラ20は、例えばEthernet(登録商標)規格の有線通信を実行する有線通信デバイスであり、無線LANコントローラ23は、例えばIEEE 802.11規格の無線通信を実行する無線通信デバイスである。また、USBコントローラ24は、例えばUSB2.0規格のケーブルを介して外部機器との通信を実行する。
【0021】
EC/KBC25は、電力管理を行うためのエンベデッドコントローラと、キーボード(KB)26およびポインティングデバイス27を制御するためのキーボードコントローラとが集積された1チップマイクロコンピュータである。このEC/KBC25は、ユーザの操作に応じて本コンピュータ1をパワーオン/パワーオフする機能を有している。
【0022】
以上のような構成をもつ本コンピュータ1は、HDD21から主メモリ13にロードされてCPU11によって実行されるプログラム群(OSおよび各種アプリケーション)によって、図1に示した動画配信サイト2が提供するAVコンテンツをインターネット3経由でダウンロードして再生するように動作する。
【0023】
より具体的には、LANコントローラ20、無線LANコントローラ23またはUSBコントローラ24による通信処理によってAVコンテンツを入力し、このAVコンテンツをCPU11がデコードしてビデオデータとオーディオデータとに分離し、ビデオデータは表示コントローラ14に供給してLCD15から画像として出力し、オーディオデータはサウンドコントローラ17に供給してスピーカ18から音声として出力する。
【0024】
次に、図3を参照して、前述した、図1に示した動画配信サイト2が提供するAVコンテンツをインターネット3経由でダウンロードして再生するように本コンピュータ1を動作させるためのプログラム群の概略構成を説明する。
【0025】
図3に示すように、本コンピュータ1には、OS100、ブラウザ210、動画受信再生プログラム220、エフェクトエンジン230がインストールされている。また、動画受信再生プログラム220およびエフェクトエンジン230は、ブラウザ210にプラグインソフトウェアとして組み込まれている。
【0026】
本コンピュータ1のリソース管理を一元的に司るOS100は、カーネル部101とDLL部102とを備えている。カーネル部101は、図2に示した本コンピュータ1の各部(ハードウェア)を駆動制御するモジュールであり、DLL部102は、このカーネル部101との間のインタフェースを提供するモジュールである。このDLL部102に対して各種アプリケーションプログラムがカーネル部101への各種要求を発行する段階までの階層をユーザモード、それ以降、即ち、これらの要求をDLL部102がカーネル部101に伝達する段階からの階層をカーネルモードなどと称する。
【0027】
ブラウザ210で動画配信サイト2のWebページを閲覧すると、このWebページ中のタグ情報によって、ブラウザ210は、同サイトが配信可能なAVコンテンツを有することを検知し、プラグインソフトウェアとして組み込まれている動画受信再生プログラム220を起動する。そして、Webページの閲覧中にAVコンテンツの再生開始を指示する操作がユーザによって行われると、動画受信再生プログラム220が、そのAVコンテンツのインターネット3を介した動画配信サイト2からのダウンロードを開始する。
【0028】
動画受信再生プログラム220は、AVコンテンツのダウンロードを行いながら、当該AVコンテンツのデコードも並行して実行する。このデコードによって、動画受信再生プログラム220は、AVコンテンツに含まれるビデオデータとオーディオデータとを分離して取り出す。動画受信再生プログラム220は、この取り出したビデオデータおよびオーディオデータを(LCD15による)画像出力および(スピーカ18による)音声出力させるべくOS100のDLL部102に引き渡す(a1,b1)。
【0029】
通常、DLL部102に渡されたビデオデータa1およびオーディオデータb1は、このDLL部102内において、例えば形式チェック等の処理が施されてカーネル部101に供給され、カーネル部101によって、LCD15からの画像出力やスピーカ18からの音声出力が行われることになる。
【0030】
これに対して、本コンピュータ1では、動画配信サイト2からダウンロードしたAVコンテンツを高画質で鑑賞したいというユーザの要望に応えるために、エフェクトエンジン230を搭載し、このエフェクトエンジン230に、高画質化のための補正をビデオデータa1に対して実行させるようにした。以下、この点について詳述する。
【0031】
エフェクトエンジン230は、ブラウザ210の起動に伴って起動される常駐型のプラグインソフトウェアとして組み込まれるプログラムであり、図3に示すように、キャプチャ設定部231、タイムスタンプ部232、エフェクト部233およびAV同期部234を有している。
【0032】
キャプチャ設定部231は、動画受信再生プログラム220がDLL部102に対して出力したビデオデータa1およびオーディオデータb1を取得するために、DLL部102内のルーチンの書き換えを行うモジュールである。このDLL部102内のルーチンの書き換え処理の一例については後述するが、簡単にいえば、動画受信再生プログラム220から受け取ったビデオデータa1およびオーディオデータb1をエフェクトエンジン230のタイムスタンプ部232に引き渡すように書き換える(a2,b2)。キャプチャ設定部231は、エフェクトエンジン230の起動時、ブラウザ210に対して、動画受信再生プログラム220を起動した際にその旨を通知するように依頼する。そして、この通知を受けた時に、キャプチャ設定部231は、このDLL部102内のルーチンの書き換えを実行する。
【0033】
このキャプチャ設定部231の働きによって、ビデオデータa2およびオーディオデータb2をDLL部102から受け取るタイムスタンプ部232は、その受け取ったタイミングを示す時間情報を各々に付与するモジュールである。時間情報は、時間的な判別が可能な値であれば、例えば、本コンピュータ1のシステム時刻であっても良いし、エフェクトエンジン230の起動後にカウントアップが開始される計時データであっても良い。
【0034】
タイムスタンプ部232によって時間情報が付与されたビデオデータa2およびオーディオデータb2は、エフェクト部233に導かれる。エフェクト部233は、ビデオデータa2に対して高画質化のための補正を施すモジュールである。なお、ここでは、エフェクト部233が、ビデオデータa2に対してのみ補正を施す例を挙げるが、オーディオデータb2に対して高音質化のための補正を施すことは何ら制限されるものではなく、ビデオデータa2およびオーディオデータb2のそれぞれに対して高画質化および高音質化のための補正を施すことは当然に可能であり、また、逆に、オーディオデータb2に対してのみ(高音質化のための)補正を施すようにすることも可能である。
【0035】
エフェクト部233によって、少なくとも一方に対して補正が施されたビデオデータa2およびオーディオデータb2(ここでは、ビデオデータa2のみ)は、続いて、AV同期部234に導かれる。AV同期部234は、エフェクト部233から受け取ったビデオデータa2およびオーディオデータb2を、タイムスタンプ部232によって付与された時間情報に基づき、補正に伴う遅延時間の差を吸収すべく、時間的に一致させてDLL部102に出力するモジュールである(a3,b3)。この時間情報に基づくビデオデータa2およびオーディオデータb2の出力についても後述する。
【0036】
AV同期部234からDLL部102に出力されたビデオデータa3およびオーディオデータb3は、DLL部102を仲介してカーネル部101に渡され(a4,b4)、高画質化や高音質化が図られた画像出力および音声出力が行われることになる。
【0037】
よって、既存の動画受信再生プログラム220をそのまま活用しつつ、ユーザは、動画配信サイト2からダウンロードしたAVコンテンツを高画質や高音質で鑑賞することが可能となる。
【0038】
図4は、キャプチャ設定部231による、DLL部102内のルーチンの書き換え処理の一例を説明するための概念図である。
【0039】
前述したように、動画受信再生プログラム220は、AVコンテンツから分離して取り出したビデオデータおよびオーディオデータ(AVデータ)を、OS100のDLL部102に引き渡す。そこで、この動画受信再生プログラム220が起動した旨をブラウザ210から通知されたエフェクトエンジン230のキャプチャ設定部231は、入力したAVデータに対して例えば形式チェックなどの処理を施すDLL部102内のルーチン(図示の「本来の処理」部分)を、例えばエフェクトエンジン230に制御権を移すと共にAVデータを引き渡すための呼び出し手続き(図示の「コール」)がその先頭部に配置されたルーチンに書き換える。AVデータの引き渡しは、補正対象のAVデータが格納されている主メモリ13上のアドレス情報を伝達することによって行う。この書き換えを、キャプチャ設定部231が実行する。
【0040】
エフェクトエンジン230には、このAVデータに対してDLL部102内のルーチンで施されるはずであった本来の処理に、高画像化や高音質化のための補正処理を加えた代替処理を実行する手続きに続いて、上記DLL部102内のルーチン直後に制御権を強制的に戻す手続き(図示の「ジャンプ」)が配置される。これによって、代替処理後のAVデータをDLL部102に返却する。補正後のAVデータの出力は、補正前のAVデータが格納されていた主メモリ13上に上書きするように(少なくとも先頭部分の格納位置を一致させるように)実施される。
【0041】
図5は、AV同期部234による、タイムスタンプ部232によって付与された時間情報に基づいた、エフェクト部233によって補正されたビデオデータおよびオーディオデータの出力原理を説明するための概念図である。
【0042】
図5中、(A)は、動画受信再生プログラム220がAVコンテンツをダウンロードする様子を示すタイミングチャート、(B)は、動画受信再生プログラム220がダウンロードしたAVコンテンツをデコードして分離・取得したビデオデータおよびオーディオデータを出力する様子を示すタイミングチャート、(C)は、エフェクトエンジン230のエフェクト部233が補正後のビデオデータおよびオーディオデータを出力する様子を示すタイミングチャート、(D)は、エフェクトエンジン230のAV同期部234がエフェクト部233から受け取ったビデオデータおよびオーディオデータをDLL部102に出力する様子を示すタイミングチャートである。
【0043】
本コンピュータ1と動画配信サイト2との間でインターネット3を介して実行されるデータ通信は、通信環境の変化の影響を受け得るので、動画受信再生プログラム220によるAVコンテンツ(D1,D2,…)のダウンロードは、図5(A)に示すように、時間的に不規則となる可能性がある。これに対して、AVコンテンツをデコードする動画受信再生プログラム220は、分離して取り出したビデオデータ(V1,V2,…)およびオーディオデータ(A1,A2,…)を、図5(B)に示すように、時間的な同期を取ってOS100のDLL部102に出力する機能を有している。よって、エフェクトエンジン230のタイムスタンプ部232は、ほぼ、この図5(B)に示すタイミングで、時間的な同期の取られたビデオデータおよびオーディオデータに同一の時間情報を付与することになる。
【0044】
しかしながら、エフェクトエンジン230のエフェクト部233によって、ビデオデータに対する高画質化のための補正やオーディオデータに対する高音質化のための補正が実行されると、(補正の有無や内容の違いによって、)図5(C)に示すように、ビデオデータとオーディオデータとの間で時差が生じてしまう。そこで、エフェクトエンジン230のAV同期部234は、タイムスタンプ部232によって付与された時間情報で特定される時点から例えばパラメータ入力される期間(x)が経過したときに、ビデオデータおよびオーディオデータを出力することによって、図5(D)に示すように、当該ビデオデータおよびオーディオデータを再度時間的に一致させる。
【0045】
この期間(x)は、ユーザがAVコンテンツの再生開始を指示する操作を行った後、動画配信サイト2から動画受信再生プログラム220にAVコンテンツが転送され始めるまでの所要期間と比較して十分小さいので、ユーザに違和感を与えることはない。
【0046】
このAV同期部234が、補正に伴う遅延時間差の吸収機構を備えることで、エフェクト部233に、様々な補正手法を適用することが可能となる。例えば、高度な補正手法を適用する場合には、時間(x)を大きい値とすれば良く、また、ビデオデータとオーディオデータとの関係を考慮することなく、補正の有無や補正手法を個別に決定することが可能となる。
【0047】
図6は、本コンピュータ1による、動画配信サイト2からインターネット3を介してAVコンテンツをダウンロードして再生する動作手順を示すフローチャートである。
【0048】
ユーザがブラウザ210を起動すると(ステップA1)、ブラウザ210は、プラグインソフトウェアとして組み込まれているエフェクトエンジン230を起動する(ステップA2)。エフェクトエンジン230のキャプチャ設定部231は、ビデオデータおよびオーディオデータの取得のために、OS100のDLL部102の書き換えを実行する(ステップA3)。
【0049】
ユーザがブラウザ210によって動画配信サイト2のWebページを閲覧すると(ステップA4)、ブラウザ210は、プラグインソフトウェアとして組み込まれている動画受信再生プログラム220を起動する(ステップA5)。そして、ユーザがAVコンテンツの再生開始を指示する操作を行うと、動画受信再生プログラム220は、目的のAVコンテンツのダウンロードを開始する(ステップA6)。
【0050】
動画受信再生プログラム220は、ダウンロードしたAVコンテンツをデコードしてビデオデータとオーディオデータとに分離して取り出し、これらをOS100のDLL部102に出力する(ステップA7)。ステップA3において、このDLL部102の書き換えが行われているので、ビデオデータおよびオーディオデータは、エフェクトエンジン230に渡されることになる。
【0051】
エフェクトエンジン230に渡されたビデオデータおよびオーディオデータは、タイムスタンプ部232によって時間情報が付与され(ステップA8)、エフェクト部233によって少なくとも一方に対して補正処理が実行される(ステップA9)。そして、AV同期部234は、このエフェクト部233を経由した後のビデオデータおよびオーディオデータを、タイムスタンプ部232によって付与された時間情報に基づき、時間的に一致させてOS100のDLL部102に出力する(ステップA10)。
【0052】
DLL部102は、このビデオデータおよびオーディオデータをカーネル部101に供給する(ステップA11)。これにより、高画質化や高音質化のための補正が施された状態でAVコンテンツが画像出力および音声出力されることになる。
【0053】
以上のように、本コンピュータ1によれば、インターネット3を介して動画配信サイト2からダウンロードしたAVコンテンツに含まれるビデオデータおよびオーディオデータの少なくとも一方に対する補正を、既存の動画受信再生プログラム220をそのまま活用しつつ適切に行うことが実現される。
【0054】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施形態に係る情報処理装置(パーソナルコンピュータ)の一利用形態を示す図
【図2】同実施形態のコンピュータのシステム構成を示す図
【図3】同実施形態のコンピュータを、動画配信サイトが提供するAVコンテンツをインターネット経由でダウンロードして再生するように動作させるためのプログラム群の概略構成を示す図
【図4】同実施形態のコンピュータ上で動作する、ブラウザにプラグインソフトウェアとして組み込まれるエフェクトエンジンのキャプチャ設定部による、OSのDLL部内のルーチンの書き換え処理の一例を説明するための概念図
【図5】同実施形態のコンピュータ上で動作するエフェクトエンジンのAV同期部による補正後のAVデータの出力原理を説明するための概念図
【図6】同実施形態のコンピュータによる、動画配信サイトからインターネットを介してAVコンテンツをダウンロードして再生する動作手順を示すフローチャート
【符号の説明】
【0056】
1…情報処理装置(パーソナルコンピュータ)、2…動画配信サイト、3…インターネット、11…CPU、12…ノースブリッジ、13…主メモリ、14…表示コントローラ、14A…ビデオメモリ、15…LCD、16…サウスブリッジ、17…サウンドコントローラ、18…スピーカ、19…BIOS−ROM、20…LANコントローラ、21…HDD、22…ODD、23…LANコントローラ、24…USBコントローラ、25…エンベデッド/キーボードコントローラ(EC/KBC)、26…キーボード(KB)、27…ポインティングデバイス、100…オペレーティングシステム(OS)、101…カーネル部、102…DLL部、210…ブラウザ、220…動画受信再生プログラム、230…エフェクトエンジン、231…キャプチャ設定部、232…タイムスタンプ部、233…エフェクト部、234…AV同期部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のモジュールから第2のモジュールに対して出力されるビデオデータおよびオーディオデータを取得するキャプチャ手段と、
前記キャプチャ手段によって取得されたビデオデータおよびオーディオデータそれぞれに時間情報を付与するタイムスタンプ手段と、
前記キャプチャ手段によって取得されたビデオデータおよびオーディオデータの少なくとも一方に対して補正処理を施すエフェクト手段と、
前記タイムスタンプ手段によって付与された時間情報に基づき、前記エフェクト手段によって少なくとも一方に対して補正処理が施されたビデオデータおよびオーディオデータを前記第2のモジュールに対して時間的に一致させて出力する同期出力手段と、
を具備することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記第1のモジュールは、ブラウザにプラグインソフトウェアとして組み込まれる、ビデオデータおよびオーディオデータを含んでなるコンテンツをネットワークを介してダウンロードする機能を有する動画受信再生プログラムであり、前記第2のモジュールは、オペレーティングシステムとの間でビデオデータおよびオーディオデータを授受するためのインタフェースを提供するDLL(Dynamic Link Library)であることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記同期出力手段は、前記タイムスタンプ手段によって付与された時間情報で特定される時点から予め定められた期間が経過したときに、前記ビデオデータおよびオーディオデータを前記DLLに対して出力することを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記キャプチャ手段は、前記動画受信再生プログラムから受け取ったビデオデータおよびオーディオデータをその処理前に出力する手続きを挿入するための前記DLL内の書き換えを行うことによって、前記動画受信再生プログラムから出力されたビデオデータおよびオーディオデータを取得することを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記キャプチャ手段は、前記動画受信再生プログラムの起動が前記ブラウザから通知された場合に、前記DLL内のルーチンの書き換えを実行することを特徴とする請求項4記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記キャプチャ手段、前記タイムスタンプ手段、前記エフェクト手段および前記同期出力手段は、それぞれ第3のモジュールの1ルーチンとして構成され、前記第3のモジュールは、プラグインソフトウェアとして前記ブラウザに組み込まれることを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記エフェクト手段は、ビデオデータに対して画質補正を行うことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項8】
ブラウザと、前記ブラウザにプラグインソフトウェアとして組み込まれる、ビデオデータおよびオーディオデータを含んでなるコンテンツをネットワークを介してダウンロードする機能を有する動画受信再生プログラムと、オペレーティングシステムとの間でビデオデータおよびオーディオデータを授受するためのインタフェースを提供するDLLとがインストールされたコンピュータを、
前記動画受信再生プログラムから前記DLLに対して出力されるビデオデータおよびオーディオデータを取得するキャプチャ手段、
前記キャプチャ手段によって取得されたビデオデータおよびオーディオデータそれぞれに時間情報を付与するタイムスタンプ手段、
前記キャプチャ手段によって取得されたビデオデータおよびオーディオデータの少なくとも一方に対して補正処理を施すエフェクト手段、
前記タイムスタンプ手段によって付与された時間情報に基づき、前記エフェクト手段によって少なくとも一方に対して補正処理が施されたビデオデータおよびオーディオデータを前記DLLに対して時間的に一致させて出力する同期出力手段、
として機能させるためのエフェクトプログラム。
【請求項9】
前記同期出力手段は、前記タイムスタンプ手段によって付与された時間情報で特定される時点から予め定められた期間が経過したときに、前記ビデオデータおよびオーディオデータを前記DLLに対して出力することを特徴とする請求項8記載のエフェクトプログラム。
【請求項10】
ブラウザと、前記ブラウザにプラグインソフトウェアとして組み込まれる、ビデオデータおよびオーディオデータを含んでなるコンテンツをネットワークを介してダウンロードする機能を有する動画受信再生プログラムと、オペレーティングシステムとの間でビデオデータおよびオーディオデータを授受するためのインタフェースを提供するDLLとがインストールされたコンピュータのコンテンツ補正処理方法であって、
前記動画受信再生プログラムから前記DLLに対して出力されるビデオデータおよびオーディオデータを取得し、
前記取得したビデオデータおよびオーディオデータそれぞれに時間情報を付与し、
前記取得したビデオデータおよびオーディオデータの少なくとも一方に対して補正処理を施し、
前記付与した時間情報に基づき、前記少なくとも一方に対して補正処理を施したビデオデータおよびオーディオデータを前記DLLに対して時間的に一致させて出力する、
ことを特徴とするコンテンツ補正処理方法。
【請求項11】
前記付与した時間情報で特定される時点から予め定められた期間が経過したときに、前記ビデオデータおよびオーディオデータを前記DLLに対して出力することを特徴とする請求項10記載のコンテンツ補正処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−109755(P2010−109755A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−280285(P2008−280285)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】