説明

情報処理装置、停止方法、及びプログラム

【課題】通信手段の停止に要する時間をより短縮し、通信手段の停止における処理効率の低下を抑制することを目的とする。
【解決手段】ポートを介して互いに通信する複数の通信手段を有する情報処理装置が、複数の通信手段のうち停止対象の通信手段のポートを示す情報を、停止対象の通信手段を代替する通信手段のポートを示す情報に変更し、停止対象の通信手段に対応して設けられる記憶領域に記憶されている情報のうち、停止対象の通信手段とは異なる他の通信手段からの返信を要する情報を、代替する通信手段に対応して設けられる記憶領域に格納し、停止対象の通信手段を停止することによって課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、停止方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、第1のソフトウェアコンポーネントが受信したメッセージを第2のソフトウェアコンポーネントに転送し、第1のソフトウェアコンポーネントを停止することで、一部のソフトウェアコンポーネントを動作させる処理(縮退処理)を実行する方法があった。
また、第1のソフトウェアコンポーネントが受信したメッセージを処理せずに破棄し、第1のソフトウェアコンポーネントを停止することで、縮退処理を実行する方法が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3633321号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の方法では、第1のソフトウェアコンポーネントが受信したメッセージを第2のソフトウェアコンポーネントへ転送し、第1のソフトウェアコンポーネントを停止するので、以下のような問題がある。
例えば、第1のソフトウェアコンポーネントが受信した全てのメッセージを第2のソフトウェアコンポーネントに転送するので、縮退が完了するまでに時間がかかる。また、例えば、第1のソフトウェアコンポーネントから第2のソフトウェアコンポーネントへのメッセージの転送中に、第1のソフトウェアコンポーネントが新たなメッセージを受信した場合、新たなメッセージの転送に時間を更に要するので、縮退に時間がかかる。
【0005】
また、特許文献1に記載の方法では、第1のソフトウェアコンポーネントが受信したメッセージを破棄し、第1のソフトウェアコンポーネントを停止するので、以下のような問題がある。
例えば、メッセージの中に返信が必要なメッセージが含まれている場合、第1のソフトウェアコンポーネントからの返信を待つ第2のソフトウェアコンポーネントの処理が滞り、処理効率が低下する。
【0006】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたもので、通信手段(通信をするソフトウェアコンポーネント)の停止に要する時間をより短縮し、通信手段の停止における処理効率の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明に係る情報処理装置は、ポートを介して互いに通信する複数の通信手段を有する情報処理装置であって、前記複数の通信手段のうち停止対象の通信手段のポートを示す情報を、前記停止対象の通信手段を代替する通信手段のポートを示す情報に変更する変更手段と、前記停止対象の通信手段に対応して設けられる記憶領域に記憶されている情報のうち、前記停止対象の通信手段とは異なる他の通信手段からの返信を要する情報を、前記代替する通信手段に対応して設けられる記憶領域に格納する格納手段と、前記停止対象の通信手段を停止する停止手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、通信手段の停止に要する時間をより短縮し、通信手段の停止における処理効率の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】複写機装置のハードウェア構成、及び機能構成の一例を示す図である。
【図2】複写機装置のソフトウェア構成の一例を示す図である。
【図3】縮退処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
【図4】返信処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。なお、実施形態は、本発明を限定するものではなく、また、実施形態で説明されている全ての構成が本発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。
【0011】
本実施形態では、複数のソフトウェアコンポーネントを含んで構成される情報処理装置において、一部のソフトウェアコンポーネントを動作させるようにする際に、ソフトウェアコンポーネント間の処理を委譲する方法について説明する。より具体的には、複数のノード上にソフトウェアコンポーネントを含んで構成される複写機装置において、一のノードを停止する際に、一のノード上のソフトウェアコンポーネントの処理を他のノード上のソフトウェアコンポーネントに代替させる方法を説明する。
【0012】
本実施形態に係る複写機装置(複写機装置100)について、図1を参照して説明する。複写機装置100は、画像形成装置(より広義には情報処理装置、コンピュータなどである。)の一例であり、プリント機能、コピー機能、スキャン機能、ファクシミリ(FAX)機能などの複数種類の機能を有するものとする。
図1(A)は、複写機装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。複写機装置100は、複写機装置100の電源を制御する主電源部101、操作表示部102、原稿読取部103、印刷機構部104、印刷制御部105、原稿読取部103及び印刷機構部104を制御するデバイス制御部106を有する。なお、印刷制御部105は、各種のユニット(108〜113)を含むノードの一例であり、デバイス制御部106は、各種のユニット(114〜117)を含むノードの一例である。
【0013】
システムバス107は、印刷制御部105及びデバイス制御部106を構成する各ユニットを通信可能に接続する。CPU(Central Processing Unit)108は、印刷制御部105(より広義には、複写機装置100)全体を制御する。ROM(Read Only Memory)109は、変更を必要としないプログラムやパラメータなどを記憶するメモリである。RAM(Random Access Memory)110は、外部装置などから供給されるプログラムやデータなどを一次記憶するメモリである。
入力I/F111は、データを入力するポインティングデバイスやキーボードなどの入力デバイスとのインターフェースである。入力I/F111は、ユーザによる入力デバイスの操作(ユーザ操作)を受け付ける。表示I/F112は、複写機装置100が保持するデータや供給されたデータを表示するための操作表示部102(ディスプレイなどの表示デバイス)とのインターフェースである。通信I/F113は、インターネットなどのネットワークに接続したり、ファクシミリ機能などによって外部装置とデータを送受信したりするためのインターフェースである。
このように、印刷制御部105は、CPU108、ROM109、RAM110、入力I/F111、表示I/F112、及び通信I/F113を含んで構成される。
【0014】
CPU114は、デバイス制御部106全体を制御する。ROM115は、変更を必要としないプログラムやパラメータなどを記憶するメモリである。RAM116は、外部装置などから供給されるプログラムやデータなどを一次記憶するメモリである。通信I/F117は、インターネットなどのネットワークに接続するためのインターフェースである。
このように、デバイス制御部106は、CPU114、ROM115、RAM116、及び通信I/F117を含んで構成される。
なお、複写機装置100は、上述した構成に限られるものではない。例えば、印刷制御部105及びデバイス制御部106の双方或いは一方が、各種の情報を記憶する外部記憶装置の一例であるHD(ハードディスク)を有していてもよい。
【0015】
図1(B)は、複写機装置100の機能構成の一例を示す図である。複写機装置100は、各種のモジュール(118〜125)を有する。
通信端点置換部118は、第1のソフトウェアコンポーネントの通信端点を、第1のソフトウェアコンポーネントを代替する第2のソフトウェアコンポーネントの通信端点で置換する。返信要否判断部119は、所定のメッセージ(モジュール間での連携動作に用いられる各種の情報など)が返信を要するメッセージであるか否かを判断する。メッセージ移動部120は、返信要否判断部119によって返信が必要であると判断されたメッセージを第2のコンポーネントの受信バッファに格納(移動、コピーなど)する。
【0016】
状態管理部121は、ソフトウェアコンポーネントの起動状態、停止状態など、ソフトウェアコンポーネントの状態を管理し、ソフトウェアコンポーネントの状態の変更通知や状態変更の購読などを行う。通信部122は、システムバス107や通信I/F113を介してソフトウェアコンポーネント同士が行う通信を制御する。通信端点管理部123は、ソフトウェアコンポーネントの通信端点を管理する。例えば、通信端点管理部123は、状態管理部121からの変更通知に応答して、ROM109に記憶されている第2のソフトウェアコンポーネントの通信端点の情報を読み出して、通信端点置換部118に通知する。
ここで、ROM109には、モジュール(118〜123)に係るプログラムが格納されている。例えば、CPU108が、ROM109に格納されたプログラムの手順に従って処理を行うことによって、モジュール(118〜123)、及び後述するフローチャートに係る処理が実現される。なお、本実施形態では、複写機装置100が、OS(Operating System)、モジュール(118〜123)を実現するミドルウェアを有する構成を例に挙げて説明する。ただし、本実施形態は、この構成に限られるものではなく、OS、ミドルウェア等を介して制御されるアプリケーションソフトウェアによりモジュール(118〜123)が実現される構成を採用してもよい。
【0017】
原稿読取制御部124は、原稿読取部103を制御する。印刷機構制御部125は、印刷機構部104を制御する。
ここで、ROM115には、モジュール(124、125)に係るプログラムが格納されている。なお、モジュール(118〜125)に係るプログラムが格納される構成は、上述した構成に限られるものではなく、適宜の構成を採用することができる。例えば、ROM109には、モジュール(124、125)に係るプログラムが更に格納されていてもよい。また、例えば、ROM115には、モジュール(118〜123)に係るプログラムが更に格納されていてもよい。
【0018】
次に、複写機装置100が、省電力モードに移行するために、デバイス制御部106を停止し、印刷制御部105のみが動作するようにする(以下、縮退と称する。)の方法について、図2を参照して説明する。なお、縮退後は、デバイス制御部106が停止しているので、プリント機能、コピー機能、スキャン機能、ファクシミリ機能のうち、ファクシミリ機能の受信機能のみ有効であるものとする。
図2は、複写機装置100のソフトウェア構成の一例を示す図である。ソフトウェアコンポーネント群201は、印刷制御部105において動作するアプリケーションソフトウェアであり、第1のノード上の通信手段の一例であるソフトウェアコンポーネント(206〜209)を含んで構成される。ソフトウェアコンポーネント群202は、デバイス制御部106において動作するアプリケーションソフトウェアであり、第2のノード上の通信手段の一例であるソフトウェアコンポーネント(204、205)を含んで構成される。
【0019】
ミドルウェア203は、モジュール(118〜123)を実現する通信ミドルウェアなどであり、アプリケーションソフトウェアに対してOSよりも高度な機能を提供する。原稿読取ソフトウェアコンポーネント204は、デバイス制御部106において動作する原稿読取機能を実現する。印刷機構ソフトウェアコンポーネント205は、デバイス制御部106において動作する印刷機構の制御機能を実現する。
代替ソフトウェアコンポーネント206は、複写機装置100が省電力モードへ移行するためにデバイス制御部106が停止される場合、デバイス制御部106において動作するソフトウェアコンポーネントの代替動作を行う。
【0020】
プリントソフトウェアコンポーネント207は、印刷制御部105において動作するプリント機能を実現する。なお、プリントソフトウェアコンポーネント207は、プリントアプリケーションソフトウェア等であってもよい。スキャンソフトウェアコンポーネント208は、印刷制御部105において動作するスキャン機能を実現する。なお、スキャンソフトウェアコンポーネント208は、スキャンアプリケーションソフトウェア等であってもよい。ファクシミリソフトウェアコンポーネント209は、印刷制御部105において動作するファクシミリ機能を実現する。なお、ファクシミリソフトウェアコンポーネント209は、ファクシミリアプリケーションソフトウェア等であってもよい。
なお、コピー機能は、プリントソフトウェアコンポーネント207とスキャンソフトウェアコンポーネント208とが提供する機能によって実現される。
【0021】
通信端点(210〜215)の各々は、各ソフトウェアコンポーネント(204〜209)のポートを示す情報(ポート情報)の一例である。ポート情報は、ROM109等に記憶されている。
受信バッファ216は、デバイス制御部106において動作する原稿読取ソフトウェアコンポーネント204が受信したメッセージを記憶する。なお、受信バッファ216は、原稿読取ソフトウェアコンポーネント204に対応して設けられるRAM116の記憶領域である。受信バッファ217は、デバイス制御部106において動作する印刷機構ソフトウェアコンポーネント205が受信したメッセージを記憶する。なお、受信バッファ217は、印刷機構ソフトウェアコンポーネント205に対応して設けられるRAM116の記憶領域である。
【0022】
受信バッファ218は、印刷制御部105において動作する代替ソフトウェアコンポーネント206が受信したメッセージを記憶する。なお、受信バッファ218は、代替ソフトウェアコンポーネント206に対応して設けられるRAM110の記憶領域である。
メッセージ(219〜223)は、印刷制御部105で動作するソフトウェアコンポーネント(207〜209)から、原稿読取ソフトウェアコンポーネント204に送信されたメッセージであり、受信バッファ216に格納されている。メッセージ(224〜227)は、印刷制御部105で動作するソフトウェアコンポーネント(207〜209)から、印刷機構ソフトウェアコンポーネント205に送信されたメッセージであり、受信バッファ217に格納されている。
【0023】
メッセージ(221a、225b、227c)は、受信バッファ216及び受信バッファ217の中で、返信が必要なメッセージ(221、225、227)であり、受信バッファ218に格納されている。本実施形態では、メッセージ(221、225、227)が移動されるものとして説明しているが、説明の便宜上、図2では、メッセージ(221、225、227)及びメッセージ(221a、225b、227c)を示している。
なお、本実施形態では、ROM109に、ソフトウェアコンポーネント群201(ソフトウェアコンポーネント(206〜209))に係るプログラムが格納されているものとする。また、ROM115に、ソフトウェアコンポーネント群202(ソフトウェアコンポーネント(204、205))に係るプログラムが格納されているものとする。
【0024】
次に、複写機装置100が、省電力モードに移行するために、デバイス制御部106を停止して印刷制御部105のみを動作させる処理(縮退処理)について、図3を参照して説明する。図3は、縮退処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
S301は、縮退処理の開始を示す。S302では、複写機装置100は、入力I/F111を介して、省電力ボタンの押下など、省電力モードへの移行を促す入力を検知したか否かを判断する。このとき、省電力モードへの移行を促す入力を検知したと判断された場合、S303の処理が行われ、他方、省電力モードへの移行を促す入力を検知していないと判断された場合、S302の処理が行われる。
【0025】
S303では、複写機装置100は、省電力モードへ移行するために停止すべきソフトウェアコンポーネント(状態管理部121で停止が指示されたソフトウェアコンポーネント)があるか否かを判断する。より具体的には、複写機装置100は、デバイス制御部106上のソフトウェアコンポーネントのうち停止されていないソフトウェアコンポーネントの有無(停止対象のソフトウェアコンポーネントの有無)を判断する。停止対象のソフトウェアコンポーネントがあると判断された場合、S304の処理が行われ、他方、停止対象のソフトウェアコンポーネントがないと判断された場合、縮退処理は終了する(S309)。
【0026】
ここで、状態管理部121は、省電力モードなどの各種のモードにおけるソフトウェアコンポーネントの状態の情報(状態情報)を管理(RAM110等に保持)している。状態管理部121がモードの移行を検知した場合、状態情報に基づき、ミドルウェア203に状態遷移を促すと共に、各ソフトウェアコンポーネント(204〜209)の状態情報を変更する。
より詳細に説明すると、状態管理部121は、省電力モードへの移行の入力が検知された場合、停止されるノード上の全てのソフトウェアコンポーネントを停止対象のソフトウェアコンポーネントに指定する。本実施形態では、停止対象のソフトウェアコンポーネントは、原稿読取ソフトウェアコンポーネント204及び印刷機構ソフトウェアコンポーネント205となる。また、状態管理部121は、他のモジュール(118〜120、122、123)に、ソフトウェアコンポーネント(204、205)を停止状態にすることを促す旨を通知する。
【0027】
S304では、複写機装置100は、停止対象のソフトウェアコンポーネントの受信バッファに、メッセージが存在するか否かを判断する。このとき、メッセージが存在すると判断された場合、S305の処理が行われ、他方、メッセージが存在しないと判断された場合、S307の処理が行われる。
ここで、停止対象のソフトウェアコンポーネントの受信バッファの中に存在するメッセージは、未処理のメッセージである。なお、本実施形態では、複写機装置100は、停止対象の原稿読取ソフトウェアコンポーネント204の受信バッファ216及び印刷機構ソフトウェアコンポーネント205の受信バッファ217の中にメッセージが存在するか否かを判断することになる。
【0028】
S305では、返信要否判断部119は、受信バッファの中のメッセージが、返信を要するメッセージであるか否かを判断する。このとき、返信を要するメッセージであると判断された場合、S306の処理が行われ、他方、返信を要するメッセージでないと判断された場合、S304の処理が行われる。
ここで、返信要否判断部119は、返信を要するメッセージであるか否かを、メッセージに返信先を示す通信端点が設定してあるか否かを以って判断してもよいし、返信が必要であるか否かを示すフラグを以って判断してもよい。例えば、返信要否判断部119は、メッセージに返信先を示す通信端点が設定されていると判断した場合、或いは、メッセージに返信が必要であることを示すフラグが設定されていると判断した場合、返信を要するメッセージであると判断する。
なお、本実施形態では、原稿読取ソフトウェアコンポーネント204の受信バッファ216に存在するメッセージ(219〜223)のうち、返信が必要なメッセージは、メッセージ221であるものとする。また、印刷機構ソフトウェアコンポーネント205の受信バッファ217に存在するメッセージ(224〜227)のうち、返信が必要なメッセージは、メッセージ225及びメッセージ227であるものとする。
【0029】
S306では、メッセージ移動部120は、返信要否判断部119で返信が必要であると判断されたメッセージを、代替ソフトウェアコンポーネント206の受信バッファ218に移動し、続いてS304の処理が行われる。なお、返信要否判断部119で返信が不要であると判断されたメッセージについては、返信要否判断部119が、受信バッファから消去する構成、処理の対象から外すことを示すフラグを追記する構成など、適宜の構成を採用することができる。
本実施形態では、メッセージ移動部120は、印刷制御部105において動作する代替ソフトウェアコンポーネント206の受信バッファ218に、返信が必要なメッセージ(221、225、227)を移動することになる。
なお、S305及びS306の処理は、未処理のメッセージが存在する限り繰り返えされる。
【0030】
S307では、通信端点置換部118は、停止対象のソフトウェアコンポーネントの通信端点を、代替ソフトウェアコンポーネント206の通信端点212で置換する。
本実施形態では、原稿読取ソフトウェアコンポーネント204の通信端点210及び印刷機構ソフトウェアコンポーネント205の通信端点211が代替ソフトウェアコンポーネント206の通信端点212で置換されることになる。このように通信端点を置換することにより、代替ソフトウェアコンポーネント206が原稿読取ソフトウェアコンポーネント204及び印刷機構ソフトウェアコンポーネント205の代りにメッセージを受信することが可能になる。
なお、S307の処理は、上述したタイミングで行われるものに限られるものではなく、適宜のタイミングを採用することができる。例えば、S307の処理は、メッセージの移動が行われる前に(例えば、S304の処理が行われる前に)行われてもよい。
【0031】
S308では、状態管理部121は、停止対象のソフトウェアコンポーネントを停止し、続いてS303の処理が行われる。本実施形態では、状態管理部121は、原稿読取ソフトウェアコンポーネント204及び印刷機構ソフトウェアコンポーネント205の状態を停止状態に変更する。なお、S304からS308までの処理は、停止対象のソフトウェアコンポーネントが存在する限り繰り返えされる。S309は、縮退処理の終了を示す。
【0032】
次に、代替ソフトウェアコンポーネント206が、印刷制御部105において動作するソフトウェアコンポーネント(207〜209)にメッセージを返信する処理(返信処理)について、図4を参照して説明する。図4は、返信処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
S401は、返信処理の開始を示す。S402では、代替ソフトウェアコンポーネント206は、受信バッファ218にメッセージが存在するか否かを判断する。このとき、受信バッファ218にメッセージが存在すると判断した場合、S403の処理を行い、他方、受信バッファ218にメッセージが存在しないと判断した場合、送信処理は終了する(S406)。
【0033】
S403では、代替ソフトウェアコンポーネント206は、受信バッファ218に存在するメッセージの内容を解釈し、S404の処理を行う。S404では、代替ソフトウェアコンポーネント206は、前記メッセージを処理し、S405の処理を行う。S405では、代替ソフトウェアコンポーネント206は、前記メッセージに対する返信メッセージを印刷制御部105において動作するソフトウェアコンポーネント(207〜209)に送信し、S402の処理を行う。
S403からS405までの処理は、代替ソフトウェアコンポーネントの受信バッファ218にメッセージが存在する限り繰り返えされる。S406は、返信処理の終了を示す。
【0034】
送信処理では、代替ソフトウェアコンポーネント206が、受信バッファ218のメッセージの内容を解析し、ソフトウェアコンポーネント(207〜209)にメッセージを返信する構成を示した。
しかしながら、本実施形態は、上述の構成に限られるものではない。例えば、代替ソフトウェアコンポーネント206は、受信バッファ218に存在するメッセージの内容を解析することなく、エラーメッセージなどの所定のメッセージを返信するように構成してもよい。
上述した構成によれば、第1のソフトウェアコンポーネントが受信したメッセージのうち、返信が必要なメッセージのみ第2のソフトウェアコンポーネントに転送することにより、縮退時間を短縮すると共に、システムの処理効率の低下を抑制することが可能となる。
【0035】
<その他の実施形態>
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【0036】
上述した実施形態の構成によれば、通信手段の停止に要する時間をより短縮し、通信手段の停止における処理効率の低下を抑制することができる。
【0037】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0038】
206 代替ソフトウェアコンポーネント、212 通信端点、218 受信バッファ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポートを介して互いに通信する複数の通信手段を有する情報処理装置であって、
前記複数の通信手段のうち停止対象の通信手段のポートを示す情報を、前記停止対象の通信手段を代替する通信手段のポートを示す情報に変更する変更手段と、
前記停止対象の通信手段に対応して設けられる記憶領域に記憶されている情報のうち、前記停止対象の通信手段とは異なる他の通信手段からの返信を要する情報を、前記代替する通信手段に対応して設けられる記憶領域に格納する格納手段と、
前記停止対象の通信手段を停止する停止手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記格納手段は、前記停止対象の通信手段に対応して設けられる前記記憶領域に記憶されている情報のうち、前記他の通信手段のポートを示す情報が含まれる情報を、返信を要する情報であると判断することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記格納手段は、前記停止対象の通信手段に対応して設けられる前記記憶領域に記憶されている情報のうち、前記他の通信手段への返信を要することを示す情報が含まれる情報を、返信を要する情報であると判断することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
ポートを介して互いに通信する複数の通信手段を有する情報処理装置における停止方法であって、
前記複数の通信手段のうち停止対象の通信手段のポートを示す情報を、前記停止対象の通信手段を代替する通信手段のポートを示す情報に変更する変更工程と、
前記停止対象の通信手段に対応して設けられる記憶領域に記憶されている情報のうち、前記停止対象の通信手段とは異なる他の通信手段からの返信を要する情報を、前記代替する通信手段に対応して設けられる記憶領域に格納する格納工程と、
前記停止対象の通信手段を停止する停止工程と、
を有することを特徴とする停止方法。
【請求項5】
ポートを介して互いに通信する複数の通信手段を有するコンピュータを、
前記複数の通信手段のうち停止対象の通信手段のポートを示す情報を、前記停止対象の通信手段を代替する通信手段のポートを示す情報に変更する変更手段と、
前記停止対象の通信手段に対応して設けられる記憶領域に記憶されている情報のうち、前記停止対象の通信手段とは異なる他の通信手段からの返信を要する情報を、前記代替する通信手段に対応して設けられる記憶領域に格納する格納手段と、
前記停止対象の通信手段を停止する停止手段と、
して機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−123757(P2012−123757A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276307(P2010−276307)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】