説明

情報処理装置、情報処理システム、情報処理プログラム

【課題】処理記録の自動収集の対象とされた画像形成装置に変化があった場合でも、手動による収集を回避する情報処理装置を提供する。
【解決手段】処理記録を収集する対象とされた画像形成装置23を認識する認識部11、認識された画像形成装置23から該画像形成装置23を識別する第1の識別情報を取得する取得部12、取得された第1の識別情報と、画像形成装置24を識別する識別情報であって、第1の識別情報が取得される前に取得部12によって取得された第2の識別情報と、に基づいて、第1の識別情報を有する画像形成装置23と第2の識別情報を有する画像形成装置24とが同一の画像形成装置であるか否か判断する判断部13、同一の画像形成装置であると判断された場合に、第1の識別情報を有する画像形成装置23の処理記録を第2の識別情報を有する画像形成装置24の処理記録に継続する処理記録として収集する収集部14を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1や特許文献2に示されるように、複数のコンピュータや通信機器が互いに接続されて構成された情報処理システムが知られている。このような情報処理システムにおいて、コンピュータが別のコンピュータのデータを収集し、収集したデータを分析する場合がある。例えば、特許文献3は、コンピュータがプローブからトラフィックデータを収集し、トラフィックデータをノード名ごとに分析し、その分析結果を算出する旨を開示する。
【0003】
また、コンピュータによっては、自己の処理記録(例えばログ)を出力し、記憶部に記憶しておく場合もある。このような処理記録は、例えばコンピュータを管理する管理者によって確認される。管理者は、処理記録により適正な処理がなされているかどうか判断する。コンピュータは、サーバ装置、PC(Personal Computer)や携帯電話などの端末装置のほか、例えば複写機能やスキャナ機能を有する画像形成装置にも搭載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−193910号公報
【特許文献2】特開2007−6456号公報
【特許文献3】特開2000−278315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、処理記録の自動収集の対象とされた装置に変化があった場合でも、手動による収集を回避する情報処理装置、情報処理システム及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、処理記録を収集する対象とされた装置を認識する認識手段と、前記認識手段によって認識された装置から、該装置を識別する第1の識別情報を取得する取得手段と、前記取得手段によって取得された第1の識別情報と、前記装置を識別する識別情報であって、前記第1の識別情報が取得される前に前記取得手段によって取得された第2の識別情報と、に基づいて、前記第1の識別情報を有する装置と前記第2の識別情報を有する装置とが同一の装置であるか否か判断する判断手段と、前記判断手段によって同一の装置であると判断された場合に、前記第1の識別情報を有する装置の処理記録を前記第2の識別情報を有する装置の処理記録に継続する処理記録として収集する収集手段と、を有する情報処理装置である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第1の識別情報及び第2の識別情報は、複数の構成要素を備え、前記判断手段は、前記第1及び第2の識別情報を構成する構成要素の少なくとも2つが一致した場合に、前記第1の識別情報を有する装置と前記第2の識別情報を有する装置とが同一であると判断することを特徴としている。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記判断手段は、前記第1及び第2の識別情報を構成する構成要素の1つのみが一致した場合に、新たな収集対象の装置であるか否かを選択させる選択画面を表示装置に表示させ、前記選択画面において、新たな収集対象の装置でない旨が選択された場合に、前記第1の識別情報を有する装置と前記第2の識別情報を有する装置とが同一の装置であると判断することを特徴としている。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記判断手段は、前記選択画面において、前記収集対象の装置である旨が選択された場合に、新たな収集対象の装置として追加することを特徴としている。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項2から4のいずれか1項に記載の発明において、前記判断手段は、前記第1及び第2の識別情報を構成する構成要素のすべてが不一致であった場合に、前記第1の識別情報を有する装置と前記第2の識別情報を有する装置との相違の内容を処理記録として出力することを特徴としている。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の発明において、前記取得手段は、装置の従前の処理記録を取得し、前記判断手段は、前記収集手段によって収集された処理記録と前記取得手段によって取得された従前の処理記録とが一致する場合、前記第1の識別情報を有する装置と前記第2の識別情報を有する装置とが同一の装置であると判断することを特徴としている。
【0012】
請求項7に記載の発明は、処理記録を収集する対象とされた装置と、前記装置を認識する認識手段、前記認識手段によって認識された装置から、該装置を識別する第1の識別情報を取得する取得手段、前記取得手段によって取得された第1の識別情報と、前記装置を識別する識別情報であって、前記第1の識別情報が取得される前に前記取得手段によって取得された第2の識別情報と、に基づいて、前記第1の識別情報を有する装置と前記第2の識別情報を有する装置とが同一の装置であるか否か判断する判断手段、及び、前記判断手段によって同一の装置であると判断された場合に、前記第1の識別情報を有する装置の処理記録を前記第2の識別情報を有する装置の処理記録に継続する処理記録として収集する収集手段を備える情報処理装置と、を有する情報処理システムである。
【0013】
請求項8に記載の発明は、コンピュータを、処理記録を収集する対象とされた装置を認識する認識手段、前記認識手段によって認識された装置から、該装置を識別する第1の識別情報を取得する取得手段、前記取得手段によって取得された第1の識別情報と、前記装置を識別する識別情報であって、前記第1の識別情報が取得される前に前記取得手段によって取得された第2の識別情報と、に基づいて、前記第1の識別情報を有する装置と前記第2の識別情報を有する装置とが同一の装置であるか否か判断する判断手段、前記判断手段によって同一の装置であると判断された場合に、前記第1の識別情報を有する装置の処理記録を前記第2の識別情報を有する装置の処理記録に継続する処理記録として収集する収集手段として機能させることを特徴とする情報処理プログラムである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、処理記録の自動収集の対象とされた装置に変化があった場合でも、手動による収集を回避することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、装置の識別情報を構成する構成要素の少なくとも2つが一致すれば、手動による収集を回避することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、装置の識別情報を構成する構成要素の1つのみが一致した場合には、選択結果に応じて、手動による収集を回避することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、装置の識別情報を構成する構成要素が全く一致しなかった場合には、処理記録の新たな収集対象となる装置を追加する手間を省くことができる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、装置の識別情報を構成する構成要素がまったく一致しなかった場合には、相違の内容を容易に把握できる。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、収集された処理記録が取得された従前の処理記録と一致すれば、手動による収集を回避することができる。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、処理記録の自動収集の対象とされた装置に変化があった場合でも、手動による収集を回避することができる。
【0021】
請求項8に記載の発明によれば、処理記録の自動収集の対象とされた装置に変化があった場合でも、手動による収集を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】情報処理システムの構成例を示す図である。
【図2】情報処理装置の機能構成を例示するブロック図である。
【図3】情報処理装置のハードウェア構成を例示するブロック図である。
【図4】第1実施形態に係る情報処理装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図5】第1の識別情報と第2の識別情報との比較を説明するための図である。
【図6】収集される処理記録の一例である。
【図7】第2実施形態に係る情報処理装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図8】第1の識別情報と第2の識別情報との比較を説明するための他の図である。
【図9】表示装置に表示される選択画面の一例である。
【図10】第3実施形態に係る情報処理装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図11】取得された処理記録と従前の処理記録との比較を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0024】
(第1実施形態)
図1は、情報処理システム100の構成例を示す図である。
情報処理システム100は、情報処理装置10と、複数の画像形成装置21,22,23とを含む。画像形成装置21,22,23の台数は、図1に示す台数に限定されるものでない。画像形成装置21,22,23は、本発明における、処理記録を収集する対象とされた装置の一例であり、例えば、画像形成装置21,22,23に代えて、サーバ装置のほか、PCや携帯電話などの端末装置を用いてもよい。尚、図1において、画像形成装置21,22,23のうち、画像形成装置23は、画像形成装置24の故障により新たに情報処理システム100の構成要素となった装置である。
【0025】
情報処理装置10と画像形成装置21,22,23とは互いにLAN(Local Area Network)30によって接続されている。LAN30は、情報処理装置10と画像形成装置21,22,23との通信や画像形成装置21,22,23同士の通信を制御する通信制御装置を含んでいる。
【0026】
情報処理装置10には、表示装置18と入力装置19とが接続されている。表示装置18としては、例えば液晶ディスプレイやCRTディスプレイがある。入力装置19としては、例えばキーボードやマウスがある。情報処理システム100を管理する管理者は、情報処理装置10を通じて表示装置18に表示された内容を確認したり、入力装置10を操作したりして、情報処理システム100を管理する。
【0027】
具体的には、管理者は、画像形成装置21,22,23の不具合や故障を確認したり、画像形成装置21,22,23の交換や交換に伴う設定変更を確認したりする。また、管理者は、画像形成装置21,22,23の名称を確認したり、画像形成装置21,22,23の処理結果や処理記録を確認したりする。処理結果としては例えば正常終了や異常終了がある。処理記録としては例えばログがある。
【0028】
画像形成装置21,22,23は、少なくともファクシミリ機能、スキャナ機能、複写機能、又は印刷機能のいずれかを有する装置である。画像形成装置21,22,23は、ファクシミリ処理、スキャナ処理、複写処理、印刷処理など各種処理を行うとその処理記録を出力する。画像形成装置21,22,23が行う処理としては、上述した処理以外にも、セキュリティの新規設定や設定変更に関する処理、画像形成装置21,22,23のハードウェアを初期化せずに再起動するウォームブート処理、画像形成装置21,22,23の監査に必要な処理記録をファイル化して出力するエクスポート処理などがある。出力された処理記録は、画像形成装置21,22,23に搭載された記憶装置に記憶される。記憶装置としては例えばハードディスクドライブやフラッシュメモリなどがある。
【0029】
図2は、情報処理装置10の機能構成を例示するブロック図である。
情報処理装置10は、認識部11、取得部12、判断部13、収集部14、記憶部15を含む。
【0030】
認識部11は、本発明の認識手段の一例であって、画像形成装置21,22,23の処理記録の収集時刻に、その処理記録を収集する対象とされた画像形成装置21,22,23を認識する。画像形成装置23に交換される前であれば、認識部11は、故障前の画像形成装置24を認識する。認識部11はタイマー機能を有し、管理者によって設定された処理記録の収集時刻になると、処理記録の収集対象とされている画像形成装置21,22,23を認識する。認識部11は認識が完了すると、その旨を取得部12に出力する。
【0031】
取得部12は、本発明の取得手段の一例であって、認識部11から認識が完了した旨を受け付ける。取得部12は、認識手段11によって認識された画像形成装置21,22,23から、その画像形成装置21,22,23を識別する第1の識別情報を取得する。第1の識別情報としては、例えば、画像形成装置21,22,23のそれぞれに付与されたIPアドレス(IP Address)、MACアドレス(Media Access Control Address)、名称(例えばホスト名)がある。IPアドレスは、IPv4(version 4)又はIPv6(version 6)のいずれでもよいし併用してもよい。後述する第2の識別情報も第1の識別情報と同様である。取得部12は、第1の識別情報や第2の識別情報を取得すると、記憶部15に保存する。
【0032】
判断部13は、本発明の判断手段の一例であって、取得部12によって取得された第1の識別情報と、画像形成装置21,22,24を識別する識別情報であって、第1の識別情報が取得される前に取得部12によって取得された第2の識別情報と、に基づいて、第1の識別情報を有する画像形成装置21,22,23と第2の識別情報を有する画像形成装置21,22,24とがそれぞれ同一の画像形成装置であるか否か判断する。判断部13は、第1の識別情報と第2の識別情報とを記憶部15から抽出して判断する。
【0033】
特に、判断部13は、第1の識別情報及び第2の識別情報を構成する構成要素の少なくとも2つがそれぞれ一致した場合に、第1の識別情報を有する画像形成装置21,22,23と第2の識別情報を有する画像形成装置21,22,24とがそれぞれ同一であると判断する。例えば、第1の識別情報及び第2の識別情報が、IPアドレス、MACアドレス、ホスト名でそれぞれ構成されている場合には、IPアドレスとMACアドレスとが互いに一致していれば、ホスト名が互いに不一致であっても、第1の識別情報を有する画像形成装置23と第2の識別情報を有する画像形成装置24とが同一であると判断する。
【0034】
また、判断部13は、第1の識別情報及び第2の識別情報を構成する構成要素の1つのみが一致した場合に、新たな収集対象の画像形成装置23であるか否かを選択させる選択画面を表示装置18に表示させ、選択画面において、新たな収集対象の画像形成装置23でない旨が選択された場合に、第1の識別情報を有する画像形成装置23と第2の識別情報を有する画像形成装置24とが同一の画像形成装置であると判断する。
【0035】
例えば、第1の識別情報及び第2の識別情報が、IPアドレス、MACアドレス、ホスト名でそれぞれ構成されている場合には、MACアドレスのみが互いに一致しており、IPアドレスとホスト名とが互いに不一致である場合には、表示装置18に選択画面が表示される。
尚、判断部13は、選択画面において、収集対象の画像形成装置23である旨が選択された場合には、新たな収集対象の画像形成装置として追加する。
【0036】
収集部14は、判断部13によって同一の画像形成装置であると判断された場合に、第1の識別情報を有する画像形成装置21,22,23の処理記録を第2の識別情報を有する画像形成装置21,22,24の処理記録に継続する処理記録として収集する。
【0037】
図3は、情報処理装置10のハードウェア構成を例示するブロック図である。
情報処理装置10は、図3に示すように、CPU10a、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic RAM)やSDRAM(Synchronous DRAM)、NVRAM(Non Volatile RAM)等のRAM10b、フラッシュメモリ等のROM(Read Only Memory)10c、入出力I/F(Interface)10d、LANI/F10e等がバス10fにより接続されたハードウェア構成のコンピュータにより実現される。
【0038】
情報処理装置10の認識部11を一例として説明すると、認識部11の機能は、CPU10aがROM10c等の記憶装置に格納された所要のプログラムを読み込み、当該プログラムに従った演算を行うことにより、実現される。当該プログラムとしては、後述するフローチャートに応じたプログラムとすればよい。また、このプログラムをCD−ROMなどの搬送可能な記憶媒体に格納してCPU10aに提供してもよい。取得部12、判断部13、収集部14についても認識部11と同様である。
【0039】
続いて、情報処理装置10の動作について図4から図6を参照して説明する。
【0040】
図4は、第1実施形態に係る情報処理装置10の動作の一例を示すフローチャート、図5は、第1の識別情報と第2の識別情報との比較を説明するための図、図6は、収集される処理記録の一例である。
【0041】
情報処理装置10は、管理者によって設定された、処理記録の開始時刻になると、動作を開始する。
まず、認識部11は、画像形成装置21,22,23の処理記録の収集時刻に、LAN30に接続されている画像形成装置21,22,23を認識する(ステップS101)。
次いで、取得部12は、認識部11によって認識された画像形成装置21,22,23から第1の識別情報をそれぞれ取得する(ステップS102)。例えば、取得部12は、図5に示すように、画像形成装置23のIPアドレス、MACアドレス、ホスト名を取得する。
【0042】
次いで、判断部13は、取得部12によって取得された第1の識別情報が、従前の第2の識別情報に近似するか否かを判断する(ステップS103)。具体的には、判断部13は、識別情報の構成要素の少なくとも2つが互いに一致しているか否かを判断する。
【0043】
図5を参照して説明すると、記憶部15には、第2の識別情報として、従前の識別情報が記憶されている。従前の識別情報は、故障した画像形成装置24に付与されていた識別情報である。従前の識別情報は、画像形成装置24が故障して画像形成装置23に交換される前に取得部12によって取得され、記憶部15に記憶された識別情報である。
【0044】
図5に示すように、第1の識別情報と第2の識別情報のIPアドレス及びMACアドレスは、一致する。一方、第1の識別情報と第2の識別情報のホスト名は、不一致である。このように画像形成装置24が画像形成装置23に交換されることで、画像形成装置23のホスト名と画像形成装置24のホスト名との間に変化が生じている。
【0045】
ここで、判断部13は、本実施形態において、識別情報の構成要素であるIPアドレスとMACアドレスが互いに一致しているため、取得部12によって取得された第1の識別情報が、従前の第2の識別情報に近似すると判断する(ステップS103:YES)。したがって、判断部13は、取得された識別情報を有するが画像形成装置23と、従前の識別情報を有する画像形成装置24とが同一の画像形成装置であると判断する(ステップS104)。
【0046】
収集部14は、判断部13によって画像形成装置23と画像形成装置24とが同一の画像形成装置であると判断されると、取得部12によって取得された第1の識別情報を有する画像形成装置23の処理記録を、従前の識別情報である第2の識別情報を有する画像形成装置24の処理記録に継続する処理記録として収集する(ステップS105)。
【0047】
処理記録は、図6に示すように、例えば、ログID、処理が行われた日付と時刻、処理の内容、画像形成装置23の処理を行った利用者名、処理の内容の詳細、処理結果によって構成される。この処理記録によれば、2008年7月8日18時23分26秒に利用者名「fx0001」がファイル名「test.txt」を印刷処理し処理が成功したことが分かる。
【0048】
このように、画像形成装置24が故障して画像形成装置23に交換され、画像形成装置23のホスト名が画像形成装置24のホスト名から変わっても、画像形成装置23と画像形成装置24のIPアドレス及びMACアドレスに変化がなければ、画像形成装置23と画像形成装置24とは、同一の画像形成装置であると判断される。本実施形態では、ホスト名の変化を説明したが、IPアドレスやMACアドレスの変化についても同様である。例えば、IPアドレスとホスト名が互いに一致し、MACアドレスが互いに不一致である場合には、同一の画像形成装置であると判断される。
【0049】
そして、情報処理装置10は、画像形成装置23の処理記録を画像形成装置24の処理記録に継続する処理記録として自動的に収集する。したがって、画像形成装置24が画像形成装置23に交換され、画像形成装置の間で変化があっても、管理者は、入力装置19を操作し交換された画像形成装置23を探索したり追跡したりして処理記録を収集するといった必要がなくなる。
【0050】
尚、判断部13は、ステップS103の処理において、取得された識別情報が従前の識別情報に近似しないと判断した場合(ステップS103:NO)、ステップS104及びS105の処理を行わない。この場合、画像形成装置24との交換により情報処理システム100の構成要素とされた画像形成装置23の処理記録は、画像形成装置24の処理記録に継続する処理記録として収集されなくなる。また、画像形成装置21,22には変化が生じていないため、説明を省略している。
【0051】
(第2実施形態)
続いて、本発明の第2実施形態について図7から図9を参照して説明する。
【0052】
図7は、第2実施形態に係る情報処理装置10の動作の一例を示すフローチャート、図8は、第1の識別情報と第2の識別情報との比較を説明するための他の図、図9は、表示装置18に表示される選択画面の一例である。
【0053】
図7に示すフローチャートは、図4に示すフローチャートにおけるステップS103の処理において、判断部13が、取得された第1の識別情報が従前の第2の識別情報に近似しないと判断した場合に(ステップS103:NO)、行われるフローチャートである。図7に示すフローチャートを図4に示すフローチャートに構成すれば、第2実施形態が実現する。
【0054】
すなわち、図4において、判断部13は、取得された識別情報が従前の識別情報に近似しないと判断した場合に(ステップS103:NO)、図7に示すように、第1の識別情報及び第2の識別情報の構成要素の1つのみが一致するか否かを判断する(ステップS201)。
【0055】
具体的には、図8に示すように、第1の識別情報と第2の識別情報のMACアドレスは、互いに一致する。一方、第1の識別情報と第2の識別情報のIPアドレス及びホスト名は、互いに不一致である。このように画像形成装置24が画像形成装置23に交換されることで、画像形成装置23のIPアドレス及びホスト名と画像形成装置24のIPアドレス及びホスト名との間に変化が生じている。
【0056】
判断部13は、第1の識別情報及び第2の識別情報の構成要素の1つのみが一致すると判断した場合(ステップS201:YES)、判断部13は、選択画面を表示装置18に表示させる(ステップS202)。選択画面は、図9に示すように、取得された識別情報を有する画像形成装置23の処理記録を、新たな収集対象として情報処理装置10に追加するか否かを管理者に問う内容の画面である。管理者は、入力装置19を操作して、選択画面で示された「はい」・「いいえ」を選択する。判断部13は、選択された内容に応じて、後続の処理を切り替える。
【0057】
判断部13は、図9に示す選択画面において、「いいえ」が選択された場合には(ステップS203:NO)、収集部14は、取得部12によって取得された第1の識別情報を有する画像形成装置23の処理記録を、従前の識別情報である第2の識別情報を有する画像形成装置24の処理記録に継続する処理記録として収集する(ステップS204)。
【0058】
すなわち、判断部13は、識別情報のMACアドレスが互いに一致することのみをもって、取得された識別情報を有するが画像形成装置23と、従前の識別情報を有する画像形成装置24とが同一の画像形成装置であると判断する。収集部14は、選択画面で「いいえ」が管理者によって選択されるだけで、画像形成装置24の処理記録に継続する処理記録として、画像形成装置23の処理記録を収集する。管理者は、入力装置19を操作して処理記録を収集する必要はない。
【0059】
一方、判断部13は、図9に示す選択画面において、「はい」が選択された場合には(ステップS203:YES)、新たな収集対象の画像形成装置23として情報処理装置10に追加する(ステップS205)。
収集部14は、新たな収集対象の画像形成装置23の処理記録も含めて、画像形成装置21,22の処理記録を収集する(ステップS206)。
このように、管理者によって処理記録の新たな収集対象とされた画像形成装置23であっても、画像形成装置24とは異なる画像形成装置23の処理記録として情報処理装置10に処理記録が収集されていく。
【0060】
尚、判断部13は、ステップS201の処理において、第1の識別情報及び第2の識別情報の構成要素の1つも一致しないと判断した場合(ステップS201:NO)、画像形成装置23,24の相違の内容を処理記録として出力する(ステップS207)。相違の内容には、IPアドレス、MACアドレス、ホスト名の他、変化のあった時刻などを含めてもよい。この処理記録は、記憶部15に記憶される。したがって、入力装置19が管理者によって操作され、情報処理装置10の記憶部15の内容が確認されれば、画像形成装置23,24の相違が容易に把握される。
【0061】
(第3実施形態)
続いて、本発明の第3実施形態について図10及び図11を参照して説明する。
【0062】
図10は、第3実施形態に係る情報処理装置10の動作の一例を示すフローチャート、図11は、取得された処理記録と従前の処理記録との比較を説明するための図である。
【0063】
上述した第1実施形態及び第2実施形態では、第1の識別情報と第2の識別情報との一致・不一致を判断することによって、画像形成装置23と画像形成装置24との同一性を判断した。本実施形態では、取得された処理記録と従前の処理記録との一致・不一致を判断することによって、画像形成装置23と画像形成装置24との同一性を判断する点で、上述した第1実施形態及び第2実施形態と相違する。
【0064】
図10において、情報処理装置10は、管理者によって設定された、処理記録の開始時刻になると、動作を開始する。
まず、認識部11は、画像形成装置21,22,23の処理記録の収集時刻に、LAN30に接続されている画像形成装置21,22,23を認識する(ステップS301)。
【0065】
次いで、収集部14は、認識された画像形成装置21,22,23から処理記録を収集する(ステップS302)。
次いで、取得部12は、画像形成装置24の従前の処理記録を記憶部15から取得する(ステップS303)。上述した第1実施形態及び第2実施形態では、記憶部15に第1の識別情報及び第2の識別情報を記憶させていた。本実施形態では、収集部14が画像形成装置24の処理記録を収集し終えると、その処理記録を記憶部15に保存する。このため、記憶部15には故障前の画像形成装置24の過去の処理記録が蓄積されていく。したがって、取得部12は、記憶部15を確認して従前の処理記録を取得する。
【0066】
次いで、判断部13は、取得部12によって取得された従前の処理記録と収集された処理記録とが一致するか否かを判断する(ステップS304)。例えば、
図11に示すように、従前の処理記録における日付と取得された処理記録の日付は相違するものの、それぞれの時刻及び事象名はログIDごとに一致する。
【0067】
一例を挙げれば、従前の処理記録のログID「2」では、「2008年7月10日」、「18時22分26秒」に「デバイス設定変更」が行われている。また、取得された処理記録のログID「2」でも、「2008年7月11日」、「18時22分26秒」に「デバイス設定変更」が行われている。すなわち、画像形成装置24の故障により画像形成装置23に交換されたものの、画像形成装置24でも画像形成装置23でも、その時間帯で行われていた処理は同じである。このように判断部13は、取得された処理記録と従前の処理記録との一致・不一致を判断することにより、画像形成装置24と画像形成装置23との同一性を判断する。本実施形態では、処理記録のログID、時刻、及び、事象名によって一致・不一致を判断している。
【0068】
判断部13は、取得された処理記録と従前の処理記録とが一致すると判断した場合に、画像形成装置24と画像形成装置23とが同一であると判断する(ステップS305)。
【0069】
尚、取得された処理記録と従前の処理記録との一致・不一致の判断に際し、どの項目を判断の対象とするかやどの時間帯について判断の対象とするかについては任意である。例えば、「事象名」の項目に代えて、「詳細」や「利用者名」の項目を利用してもよい。また、ログIDにUUID(Universally Unique Identifier:汎用一意識別子)が利用されている場合には、ログIDが一致する可能性が低いため、「時刻」の項目と「事象名」の項目といった処理記録の一部だけで処理記録の一致・不一致を判断してもよい。
【0070】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明に係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0071】
例えば、上述した第1実施形態から第3実施形態では、故障による画像形成装置の交換を説明したが、情報処理システム100の機能性向上や運用費抑制など、故障を伴わない交換であってもよい。
【0072】
また、何らかの原因により、IPアドレスの設定が変更されたり、ホスト名が重複する画像形成装置が情報処理システム上に存在したりした場合でも、上述した第1実施形態から第3実施形態により、手動による処理記録の収集が回避される。
【符号の説明】
【0073】
10 情報処理装置
11 認識部
12 取得部
13 判断部
14 収集部
15 記憶部
18 表示装置
19 入力装置
21,22,23,24 画像形成装置
100 情報処理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理記録を収集する対象とされた装置を認識する認識手段と、
前記認識手段によって認識された装置から、該装置を識別する第1の識別情報を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された第1の識別情報と、前記装置を識別する識別情報であって、前記第1の識別情報が取得される前に前記取得手段によって取得された第2の識別情報と、に基づいて、前記第1の識別情報を有する装置と前記第2の識別情報を有する装置とが同一の装置であるか否か判断する判断手段と、
前記判断手段によって同一の装置であると判断された場合に、前記第1の識別情報を有する装置の処理記録を前記第2の識別情報を有する装置の処理記録に継続する処理記録として収集する収集手段と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記第1の識別情報及び第2の識別情報は、複数の構成要素を備え、
前記判断手段は、前記第1及び第2の識別情報を構成する構成要素の少なくとも2つが一致した場合に、前記第1の識別情報を有する装置と前記第2の識別情報を有する装置とが同一であると判断することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記判断手段は、前記第1及び第2の識別情報を構成する構成要素の1つのみが一致した場合に、新たな収集対象の装置であるか否かを選択させる選択画面を表示装置に表示させ、前記選択画面において、新たな収集対象の装置でない旨が選択された場合に、前記第1の識別情報を有する装置と前記第2の識別情報を有する装置とが同一の装置であると判断することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記判断手段は、前記選択画面において、前記収集対象の装置である旨が選択された場合に、新たな収集対象の装置として追加することを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記判断手段は、前記第1及び第2の識別情報を構成する構成要素のすべてが不一致であった場合に、前記第1の識別情報を有する装置と前記第2の識別情報を有する装置との相違の内容を処理記録として出力することを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記取得手段は、装置の従前の処理記録を取得し、
前記判断手段は、前記収集手段によって収集された処理記録と前記取得手段によって取得された従前の処理記録とが一致する場合、前記第1の識別情報を有する装置と前記第2の識別情報を有する装置とが同一の装置であると判断することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
処理記録を収集する対象とされた装置と、
前記装置を認識する認識手段、前記認識手段によって認識された装置から、該装置を識別する第1の識別情報を取得する取得手段、前記取得手段によって取得された第1の識別情報と、前記装置を識別する識別情報であって、前記第1の識別情報が取得される前に前記取得手段によって取得された第2の識別情報と、に基づいて、前記第1の識別情報を有する装置と前記第2の識別情報を有する装置とが同一の装置であるか否か判断する判断手段、及び、前記判断手段によって同一の装置であると判断された場合に、前記第1の識別情報を有する装置の処理記録を前記第2の識別情報を有する装置の処理記録に継続する処理記録として収集する収集手段を備える情報処理装置と、
を有する情報処理システム。
【請求項8】
コンピュータを、
処理記録を収集する対象とされた装置を認識する認識手段、
前記認識手段によって認識された装置から、該装置を識別する第1の識別情報を取得する取得手段、
前記取得手段によって取得された第1の識別情報と、前記装置を識別する識別情報であって、前記第1の識別情報が取得される前に前記取得手段によって取得された第2の識別情報と、に基づいて、前記第1の識別情報を有する装置と前記第2の識別情報を有する装置とが同一の装置であるか否か判断する判断手段、
前記判断手段によって同一の装置であると判断された場合に、前記第1の識別情報を有する装置の処理記録を前記第2の識別情報を有する装置の処理記録に継続する処理記録として収集する収集手段
として機能させることを特徴とする情報処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−64145(P2012−64145A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−209812(P2010−209812)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】