説明

情報処理装置、情報処理方法、及びコンピュータプログラム

【課題】 ある工程での作業の2工程以上後の作業が終了した後に、当該工程の作業の開始を行うことを可能にすること。
【解決手段】 工程での作業開始の管理を行うための副資源を設ける。そして、当該副資源を使用する工程と、当該副資源の利用が終了した場合に作業を開始する工程とを設定する。そして、複数の工程での副資源の利用が終了が完了した場合に、当該副資源の利用がしたと判断した場合に、当該副資源で開始を制御される工程の処理を開始するよう指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品を生産する製造工程の管理を行う技術に関する。
【0002】
近年、多数のオーダを処理するために、多数の設備を有する工程で発生する作業の効率的な割付配置を行い、生産効率の向上を行うことが求められている。これらは、作業を行う担当者等の経験や勘等に基づいて行われることも多いが、工程数や生産すべき製品の品目数や、当該製品の製造オーダ数が多くなってしまうと、人手による生産効率追求には限界がある。
【0003】
そこで、さらなる生産効率の向上を図るために、コンピュータシステムを用いた作業の割付配置等を行うことが行われている。例えば、特許文献1にはFCS(Finite Capacity Scheduling)を行う生産スケジューリングシステムが記載されている。特に、現実の工場での多くの種類の制約条件を取り込みなおかつそれらの条件をできるだけ同時に考えながらスケジュールすることで、実現可能な生産計画を作成するように動作するものである。
このシステムにおいては、段落番号0008等に記載されているように設備別の複数の制約条件の優先順位と重み付けの両方を考慮しながらスケジュールを行う機能を有する。また、同様に段落番号0009から0016にも、考慮可能な条件について詳細に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−373013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の生産スケジューリングシステムにおいては、1段階のバッチ処理およびその次工程ですべてのバッチ処理済みの中間製品の処理が終わるまでバッチ処理設備の使用をロックする事が可能である。すなわちタンク内にある液体を次工程がすべて処理するまでタンクに投入できないように制約する事は可能である。
【0006】
しかし、2段階のバッチ処理を行う場合、すべての2段階目のバッチ処理済みの中間製品の処理が終わるまで1段階目のバッチ処理設備から、2段階目のバッチ処理設備への処理対象の移動をロックする事すなわち複数のオーダ分の原料を攪拌する原料生成タンクおよびその後の貯蔵用タンクと塗装処理のつながる工程での塗装処理が終わり貯蔵タンク内のすべての液体を使い切るまで原料生成タンクからの移し変えを待たせるといった高度な要求まで対応ができなかった。特に、2段階のバッチ処理と次工程処理でのオーダとの紐付きでの処理を扱う機能に欠けている。
【0007】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、2段階目のバッチ処理およびその次工程でのすべてのバッチ処理済みの中間製品の処理が終わるまで1段階目のバッチ処理対象を2段階目のバッチ処理設備への移動をロックする事ができる生産スケジューリングシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、本発明の情報処理装置は、製品を製造するための製造工程での作業の管理を行う情報処理装置であって、前記製品を製造するための各製造工程で使用する設備、及び原料の入力情報を受け付け、前記入力情報に従って製造工程の工程情報を作成する作業工程作成手段と、前記製品の製造数を示すオーダ情報に従って、当該製品の製造スケジュールを作成するスケジュール作成手段と、前記作成されたスケジュールに従った製品の製造管理を行う管理手段を備え、前記作業工程作成手段では、副資源によって作業の開始を行う第1の作業工程及び、前記副資源を使用する第2の工程を前記製造工程の工程情報として作成し、前記管理手段は、前記第2の工程での副資源の使用が終了した後に、前記第1の作業工程を開始するよう前記製品の製造管理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、2段階目のバッチ処理およびその次工程でのすべてのバッチ処理済みの中間製品の処理が終わるまで、1段階目のバッチ処理対象の2段階目のバッチ処理設備への移動をロックする事ができる生産スケジューリングを実行することができる生産スケジュールシステムを提供できる。特に、2段階バッチ処理と次工程の紐付き処理を行い、原料の仕込み段階で塗装工程の納期を考慮した計画が可能になる等の処理ができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の情報処理システムのシステム構成の一例を示す図である。
【図2】スケジュールサーバ101に適用可能な情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3】スケジュールサーバ101の機能構成の一例を示す図である。
【図4】副資源による工程開始管理の対象とする設備群の一例について説明するための図である。
【図5】スケジュールサーバ101によって行われる製造工程作成処理の詳細を示すフローチャートである。
【図6】スケジュールサーバ101によって行われるオーダ割当処理の詳細を示すフローチャートである。
【図7】スケジュールサーバ101によって行われる作業管理処理の詳細を示すフローチャートである。
【図8】スケジュールサーバ101の外部メモリ211に記憶されている各種データのデータ構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明における情報処理システムの構成の一例を示す構成図である。図1に示すように、本発明の情報処理システムは、スケジュールサーバ101、クライアント装置102−1、102−2(以下まとめてクライアント装置102とする)、ネットワーク103等を備えて構成されている。
【0012】
スケジュールサーバ101は、クライアント装置102からの製品を生産する生産計画作成要求を受け付けると、図10に示す各種のデータを用いて製品の生産スケジュールを作成するサーバ装置である。
【0013】
クライアント装置102は、生産計画の作成担当者が使用するクライアント装置であって、スケジュールサーバ101に対して、注文を受け付けた製品の生産計画作成要求を行うために用いられる端末である。
【0014】
ネットワーク103は、スケジュールサーバ101及びクライアント装置102を相互に通信可能に接続するためのネットワークであり、その接続形態は有線/無線を問わない。
【0015】
次に図2を参照して、図1のスケジュールサーバ101に適用可能な情報処理装置のハードウェアの構成の一例を説明する。
【0016】
図中、CPU201は、システムバス204に接続される後述の各デバイスやコントローラを統括的に制御する。また、ROM203あるいは外部メモリ211には、CPU201の制御プログラムであるBIOS(Basic Input / Output System)やオペレーティングシステムプログラム(以下、OS)や、スケジュールサーバ101に後述する各種の処理を実行させるために必要な各種プログラムやデータ等が記憶されている。RAM202は、CPU201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。
【0017】
CPU201は、処理の実行に際して必要なプログラム等をRAM202にロードして、プログラムを実行することで後述する各種処理を実現するものである。また、入力コントローラ(入力C)205は、キーボードやポインティングデバイス等で構成される入力装置209からの入力を制御する。ビデオコントローラ(VC)206は、ディスプレイ装置210等の表示装置への表示を制御する。ディスプレイ装置210は、例えばCRTディスプレイや液晶ディスプレイ等で構成される。
【0018】
メモリコントローラ(MC)207は、ブートプログラム、ブラウザソフトウエア、各種のアプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル、各種データ等を記憶するハードディスク(HD)やフロッピーディスク(登録商標 FD)或いはPCMCIAカードスロットにアダプタを介して接続されるコンパクトフラッシュメモリ等の外部メモリ211へのアクセスを制御する。
【0019】
通信I/Fコントローラ(通信I/FC)208は、ネットワークを介して、外部機器と接続・通信するものであり、ネットワークでの通信制御処理を実行する。例えば、TCP/IPを用いたインターネット通信等が可能である。
【0020】
なお、CPU201は、例えばRAM202内の表示情報用領域へアウトラインフォントの展開(ラスタライズ)処理を実行することにより、ディスプレイ装置210上での表示を可能としている。また、CPU201は、ディスプレイ装置210上の不図示のマウスカーソル等でのユーザ指示を可能とする。以上が、スケジュールサーバ101に適用可能な情報処理装置のハードウェア構成の説明であるが、後述する各種の処理を実行可能であれば、必ずしも図2に記載のハードウェア構成を有していなくとも構わないことは言うまでもない。
【0021】
次に、図3を参照して、スケジュールサーバ101が備える機能の一例について説明する。図3に示すように、スケジュールサーバ101は、製造工程作成部301、オーダ割付部302、作業管理部303、及びデータ記憶部304を備えている。
【0022】
製造工程作成部301は、製品の製造を行うための製造工程を作成する機能部であって、使用設備設定部301−1、使用原料設定部301−2、使用副資源設定部301−3等を備えて構成される。
【0023】
使用設備設定部301−1は、製品を製造するために使用する設備を当該製品の製造工程に設定する機能部である。使用原料設定部301−2は、使用設備設定部301−1で製品を製造するための設備と設定された設備に置いて、製品を単位量製造するために必要となる原料の種類、その量を設定する設定部である。使用副資源設定部301−3は、設備で使用される原料の使用完了、即ち設備内在庫がないことを判定するために用いられる副資源の設定を行う設定部である。尚、副資源の詳細については後述することにする。
【0024】
オーダ割付部302は、顧客から注文があった製品等の製造を行うために、当該製品を製造するための生産計画を作成する機能部であり、未割当オーダ取得部302−1、条件取得部302−2、作業生成部302−3、作業割付部302−4を備えて構成される。
【0025】
未割当オーダ取得部302−1は、受付けたオーダのうち、当該オーダが示す製品を指定された数量製造するための生産計画がまだたてられていないオーダ(未割当オーダ)を取得する取得部である。条件取得部302−2は、設備への作業の割当状況や、製品を製造するために必要となる原料の在庫情報といった、製品の製造計画を作成するために必要となる条件データを取得する取得部である。
【0026】
作業生成部302−3は、未割当オーダ取得部302−1で取得した未割当オーダが示す製品を製造するために必要となる、それぞれの製造工程で行われる作業を生成する機能部である。作業割付部302−4は、作業生成部302−3で作成された各製造工程における作業を、当該製造工程で使用される設備に割付ける機能部である。
【0027】
作業管理部303は、オーダ割付部302により作成された生産計画に従った作業の進捗管理を行う機能部であって、作業開始・終了受付部303−1、在庫調整部303−2、副資源調整部303−3、副資源在庫判定部303−4、工程開始指示部303−5等を備えて構成されている。
【0028】
作業開始・終了受付部303−1は、製品の製造に用いられる各設備から、作業の開始、終了の通知を受け付ける受付部である。在庫調整部303−2は、設備から作業の開始指示を受け付けた場合に、当該設備で使用する原料の在庫を減少させる調整処理を行う機能部である。副資源調整部303−3は、設備から作業の開始通知を受け付けると、当該設備における副資源の在庫量を増加させ、終了通知を受け付けると、副資源の在庫量を減少させる調整処理を行う機能部である。副資源在庫判定部303−4は、ある設備から作業の終了通知を受け付けた場合に、当該設備で使用する副資源と同種の副資源を在庫している設備があるかを判定する判定部である。工程開始指示部303−5は、副資源在庫判定部303−4で同種の副資源を使用している設備がないと判定した場合、当該副資源での作業開始管理を行われている工程の作業の開始指示を行う機能部である。
【0029】
データ記憶部304は、製品の生産計画を作成するために必要となる各種のデータを記憶する記憶部であり、顧客情報304−1、工程情報304−2、製造工程情報304−3、オーダ情報304−4、原料情報304−5、在庫情報304−6、設備情報304−7、副資源情報304−8、作業情報304−9、製品情報304−10、副資源管理情報304−11等が記憶されている。これら各種データのデータ構成については、図8を参照して説明することにする。以上が、図1のスケジュール管理装置101の機能構成の説明である。
【0030】
図4は、本発明において、副資源による工程開始管理の対象とする設備群の一例について説明する。
【0031】
液体原料混合タンク401は、複数の原料(材料)を用いて、後続する工程で使用する液体原料(塗料など)を作成する製造設備である。液体貯蔵タンク402は、液体原料混合タンク401で作成された液体原料を貯蔵しておく設備である。そして液体使用機(403)は、液体貯蔵タンク402に貯蔵されている液体原料を使用する装置であり、例えば製品の塗装工程で用いられる塗装装置等があげられる。
【0032】
例えば、液体原料混合タンク401で複数の品種の液体原料を作成し、その作成した液体原料を液体使用機403で使用するとする。この時、液体原料混合タンク401において、液体貯蔵タンク402に貯蔵されている液体原料とは異なる液体原料を製造した場合、液体混合タンク402に貯蔵されている液体原料が液体使用機403−1〜5により全て使用された後に、液体原料混合タンク401から液体原料貯蔵タンク402に移す必要がある。
【0033】
また、液体原料貯蔵タンク402で貯蔵される液体原料は、液体使用機403を使用する工程で必要となる液体原料を確保する必要がある。このため、液体原料は管理上、液体使用機403での作業が開始された段階で、当該工程で使用する分だけ減算することになる。
【0034】
ここで、1つ問題が発生する。液体原料が液体使用機403での作業が開始された段階では、液体原料は実際全て使用されておらず、液体原料貯蔵タンク402に残ってしまっている。液体原料貯蔵タンク内の液体原料が空になった場合に、液体原料混合タンク401で製造されたから液体原料を液体原料貯蔵タンク402に移すことになるが、管理上、液体原料貯蔵タンクの液体原料が空になった時には、上記のように液体原料が残っている。よって、このタイミングで液体原料を液体原料混合タンク401から液体原料貯蔵タンク402に移すことはできない。そこで、本発明では、「副資源」と呼ぶ製造工程では使用しない仮想材料を用いることで、液体原料の移動タイミングを適切に管理する。
【0035】
これから、図5から図8を参照して、スケジュール管理サーバ101によって行われる各種の処理について説明することにする。まず、スケジュール管理サーバ101が後述する各種の処理を実行する際に用いられるデータのデータ構成を、図8を参照して説明する。
【0036】
図8は、図3のデータ記憶部304に記憶されている各種のデータのデータ構成を示す図である。顧客情報304−1は、顧客情報を管理するためのデータであり、顧客ID、顧客名、住所、電話番号、担当などのデータ項目を備えて構成されている。
【0037】
工程情報304−2は、製品を製造する各製造工程を管理するためのデータであり、工程ID、使用設備ID、使用原料、数量、管理副資源、使用副資源等のデータ項目を備えて構成されている。ここで、使用設備IDには、当該工程で使用される設備を示す設備IDが登録される。使用原料には当該工程で使用する設備で用いられる原料を示す原料IDが登録される。そして数量には製品を基準数製造するために必要となる原料の量が登録される。尚、当該設備で2以上の原料を使用する場合には、その数分、使用原料、数量のデータが設定されることになる。
【0038】
また、管理副資源には、当該工程の作業開始を他の工程での副資源の在庫状況により指示する場合に、作業開始管理に用いる副資源の副資源IDが登録される。使用副資源には、他の工程の作業開始管理に用いられる副資源の副資源IDが登録される。尚、当該製造工程で管理副資源、使用副資源で副資源を複数用いる場合には、複数の情報が登録されることになる。
【0039】
製造工程情報304−3は、ある製品を製造するための一連の製造工程を管理するためのデータであり、製造工程ID、製品ID、工程数、順序、工程ID等のデータ項目を備えて構成されている。製品IDには当該工程情報がどの製品を生産するための製造工程を示しているかを特定するために製品ID情報が登録される。また、工程数が複数である場合には、順序及び工程IDが複数登録されることになる。
【0040】
オーダ情報304−4は、顧客から受け付けた製品のオーダを管理するためのデータであり、顧客ID、製品ID、数量、納期等を備えて構成されている。顧客IDには、当該オーダが何れの顧客から受けたかを特定するために顧客IDが、製品IDには、何れの製品のオーダを受けたかを特定するために製品IDが登録される。また、数量、納期はそれぞれ製品の製造数及び納期を示すデータが登録される。
【0041】
原料情報304−5は、各製品を製造するのに用いられる原料(材料・部品)を管理するためのデータであり、原料ID、原料名、調達先等のデータを備えて構成されている。
【0042】
在庫情報304−6は、原料や製品の在庫量を管理するためのデータであり、原料ID/製品ID、在庫量、在庫場所等のデータ項目を備えて構成されている。
【0043】
設備情報304−7は、製品の製造工程で用いられる設備を管理するためのデータであり、設備ID、設備名、稼働時間等のデータ項目を備えて構成されている。尚、稼働時間には、当該設備が稼働している時間が登録される。図6を参照して後述するオーダ割当処理では、当該設備が稼働している時間帯にのみ、作業が割り当てられることになる。
【0044】
副資源情報304−8は、本発明で特定の工程の作業開始管理を行う副資源を管理するためのデータであり、副資源ID、副資源名等のデータ項目を備えて構成されている。
【0045】
作業情報304−9は、各オーダが示す製品を製造するために各製造工程で行われる作業を管理するためのデータであり、作業ID、工程ID、オーダ名、開始予定時刻、終了予定時刻等のデータ項目を備えて構成されている。
【0046】
製品情報304−10は、製品の情報を管理するためのデータであり、製品ID、製品名、製造基準数等のデータ項目を備えて構成されている。
【0047】
副資源管理情報304−11は、特定の工程の作業開始管理を行うことを目的に各設備に設定されている副資源の管理するための情報であり、副資源ID、設備ID、副資源量等のデータ項目を備えて構成されている。以上が、図3に示すデータ記憶部304に記憶されている各種のデータのデータ構成について説明である。
【0048】
次に、図5を参照して、スケジュールサーバ101によって行われる製造工程作成処理について説明する。この処理は、図3に示す製造工程作成部301の機能をCPU201に実行させるプログラムによる制御に従って行われることになる。
【0049】
まず、CPU201は、これから作成する製造工程において製造される製品の製品情報の入力を受け付ける(ステップS501)。既に製品情報が製品情報304−10に登録されている場合にはその製品IDの指定情報を受け付ける。登録されていない場合には、新たに製品情報を登録するために、製品名、基準製造数等の入力を受け付けることになる。その後、ステップS501で指定された製品を製造するための製造工程の作成処理に移ることになる。
【0050】
ステップS502では、ステップS501で指定された製品の一連の製造工程の特定の工程で使用する設備の入力を受け付ける(ステップS502)。そして、その後、当該工程で投入する原料の種類及びその数量の入力を受け付ける(ステップS503)。その後、当該工程において、副資源による作業の開始を管理するために副資源を用いるか、他の工程の開始管理を行うために当該工程で副資源を用いるかの判定を行う(ステップS504)。この判定処理は、ユーザからの操作指示に従って行われることになる。
【0051】
ステップS504において、当該工程で副資源を用いる(YES)と判定した場合には、処理をステップS505に進め、管理副資源、使用副資源の入力を受け付ける。尚、管理副資源で開始を管理する工程として設定された工程A以降の工程であり、工程Aの開始を判定するための工程である工程Bまでを、当該副資源を使用する工程として設定することになる。そして、副資源を使用する工程では副資源の使用数を設定する。この情報に従って、副資源管理情報304−11が作成される。以上のステップS502からS505を行うことにより、図8の工程情報304−2が作成される。
【0052】
その後、ステップS501で指定された製品を製造するための製造工程の他の工程の入力を受け付けるかをユーザの操作指示に従って判定し(ステップS506)、他の工程の入力を受け付けると判定した場合には(ステップS506でYES)、処理をステップS502に進め、他の工程についてステップS502からステップS505の処理を行う。
【0053】
そして、上記の処理をステップS506の判定処理でNOと判定するまで行うことになる。そして、この処理が行われることで、図8の製造工程情報304−3が作成されることになる。
【0054】
次に、図6を参照して、スケジュールサーバ101によって行われるオーダ割付処理について説明する。この処理は、図3に示すオーダ割付部302の機能をCPU201に実行させるプログラムによる制御に従って行われることになる。
【0055】
まず、スケジュールサーバ101のCPU201は、作業を設備に未割当のオーダの作業割付を行うかを判定する(ステップS601)。この判定ステップで作業割付を行う(YES)と判定した場合には、全ての未割当オーダに対して、ステップS602以降の処理を行うことになる。
【0056】
まず、ステップS602では、オーダ情報304−4から作業を設備に未だ割り当てていないオーダ情報(未割当オーダ)を取得する。
【0057】
その後、ステップS602で取得したオーダ情報により特定される製造すべき製品の製造工程情報304−3をデータ記憶部304から取得する(ステップS603)。このステップでは当該製造工程を構成する各工程情報も合わせて取得することになる。
【0058】
そして、ステップS603で取得した製造工程に含まれる各工程で使用される原料情報及び設備情報を取得する(ステップS604、S605)。ステップS604では、当該ステップで取得した原料の在庫情報も合わせて取得することになる。
【0059】
その後、未割当のオーダが示す製品を製造するための製造工程の各工程での作業を生成し(ステップS606)、生成した作業を設備の稼働時間情報や、原料の在庫情報等を条件として、当該条件を満たすよう設備に割付ける(ステップS607)。即ち、設備の稼働時間以外には、作業を割り当てることはないし、当該製品を製造するための原料が不足する場合にも、作業を設備に割り当てることはない。この処理を行うことにより、図8の作業情報304−9が作成されることになる。
【0060】
そして、上記の処理を全ての未割当オーダに対して行うことになる。尚、ある未割当オーダの製造数が、当該製品の基準製造数に満たない場合には、複数のオーダを組み合わせ、基準製造数になるような形で、オーダの割付処理を行うことになる。以上が、スケジュールサーバ101によって行われるオーダ割付処理の説明である。
【0061】
次に、図7を参照して、スケジュールサーバ101によって行われる作業管理処理について説明する。この処理は、図3に示す作業管理部303の機能をCPU201に実行させるプログラムによる制御に従って行われることになる。尚、この処理は、作業管理部303を構成する、作業開始・終了受付部303−1が、設備から作業開始または作業終了の通知を受け付けた際に行われる処理である。
【0062】
まず、CPU201は、設備から受付けた通知が工程開始通知であるかを判定する(ステップS701)。工程開始通知とは、ある工程での作業が開始されたことを示す通知である。受付けた通知が工程開始通知ではないと判定した場合には、処理をステップS706に進める。
【0063】
一方、工程開始通知を受け付けたと判定すると(ステップS701でYES)、処理をステップS702に進め、開始された作業情報を取得する。そして、開始された作業で使用される原料の在庫を減少させる(ステップS703)。そして、開始された作業に対応する工程に使用副資源が設定されているかを判定し(ステップS704)、設定されている(YES)と判定した場合には、処理をステップS705に進め、当該設備で使用する副資源を基準量分増加させる。
【0064】
CPU201は、設備から工程終了指示を受け付けたと判定すると(ステップS706でYES)、処理をステップS707に進め、当該工程で作成した原料若しくは製品の在庫量を製造した分だけ増加させる。その後、当該工程に使用副資源が設定されているかを判定する(ステップS708)。一方、ステップS706で工程終了指示を受け付けていないと判定した場合は(ステップS706でNO)、本図に示す処理を終了する。
【0065】
ステップS708の判定処理で、使用副資源が設定されていると判定した場合には、当該工程で使用する設備に設定されている副資源量を基準量分減少させる(ステップS709)。その後、副資源を減少させた結果、当該設備における副資源が0になったかを判定する(ステップS710)。
【0066】
ステップS710の判定処理で、当該設備の副資源が0になったと判定した場合には、処理をステップS711に進め、当該副資源を在庫している他の設備があるかを判定する。そしてこの判定処理でYESとCPU201が判定した場合には、処理をステップS712に進め、当該副資源を管理副資源に設定している工程を特定する。そして、ステップS712で特定された工程での作業のうち、開始が保留されている作業があるかを判定する(ステップS713)。保留されている作業がある(YES)と判定した場合には、設備に対して当該作業の開始指示を行う(ステップS714)。
【0067】
ステップS714の処理終了後、ステップS708、S710、S713の各判定処理でNOと判定した場合、ステップS711の判定処理でYESと判定した場合には、処理をステップS715に進め、終了指示を受け付けた工程に後続する工程があるかを判定する。本処理で後続する処理がないと判定した場合には、本図に示す処理を終了する。
【0068】
一方、ステップS715の判定処理で後続する工程があると判定した場合には、処理をステップS716に進め、当該後続工程に管理副資源設定がなされているかを判定する。この判定処理で管理副資源の設定がされていないと判定した場合には、処理をステップS719に進め、後続工程で用いられる設備に対して、作業の開始指示を行う。
【0069】
ステップS716の判定処理で管理副資源設定がされていると判定した場合には、処理をステップS717に進め、管理副資源に設定されている副資源を使用している設備があるかを判定する。この判定処理でYESとCPU201が判定すると、処理をステップS718に進め、後続工程の作業の開始を保留する設定を行う。一方、ステップS717でCPU201がYESと判定すると処理をステップS719に進め、後続工程で用いられる設備に対して、作業の開始指示を行う。
【0070】
以上が、スケジュールサーバ101によって行われる作業管理処理の詳細である。
【0071】
本発明では、複数の工程で使用する副資源を用意し、その副資源の複数の工程での使用が終了して初めて工程の開始処理を行うように設定しているため、2段階目のバッチ処理およびその次工程でのすべてのバッチ処理済みの中間製品の処理が終わるまで、1段階目のバッチ処理対象の2段階目のバッチ処理設備への移動をロックする事ができる生産スケジューリングを実行することができる。
【0072】
本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラム若しくは記憶媒体等としての実施形態も可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、また、1つの機器からなる装置に適用してもよい。
【0073】
なお、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラム(実施形態では図5から図7に示すフローチャートに対応したプログラム)を、システム或いは装置に直接、或いは遠隔から供給するものを含む。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータが前記供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合も本発明に含まれる。
【0074】
したがって、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、前記コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0075】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であってもよい。
【0076】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RWなどがある。また、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などもある。
【0077】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続する。そして、前記ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、若しくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。
【0078】
また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0079】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせる。そして、ダウンロードした鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0080】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される。その他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0081】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【0082】
なお、前述した実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0083】
101 スケジュールサーバ
102−1、102−2 クライアント装置
103 ネットワーク
201 CPU
202 RAM
203 ROM
204 システムバス
205 入力コントローラ
206 ビデオコントローラ
207 メモリコントローラ
208 通信I/F(インターフェース)コントローラ
209 キーボード
210 ディスプレイ装置
211 外部メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品を製造するための製造工程での作業の管理を行う情報処理装置であって、
前記製品を製造するための各製造工程で使用する設備、及び原料の入力情報を受け付け、前記入力情報に従って製造工程の工程情報を作成する作業工程作成手段と、
前記製品の製造数を示すオーダ情報に従って、当該製品の製造スケジュールを作成するスケジュール作成手段と、
前記作成されたスケジュールに従った製品の製造管理を行う管理手段を備え、
前記作業工程作成手段では、副資源によって作業の開始を行う第1の作業工程及び、前記副資源を使用する第2の工程を前記製造工程の工程情報として作成し、
前記管理手段は、前記第2の工程での副資源の使用が終了した後に、前記第1の作業工程を開始するよう前記製品の製造管理を行うこと
を特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記作業工程作成手段は、前記第1の工程に引き続く複数の製造工程を前記第2の作業工程として設定すること
を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記製品の製造に用いる設備の稼働時間情報を記憶する第1の記憶手段と、
前記製品の製造に用いる原料の在庫情報を記憶する第2の記憶手段と、
を更に備え、
前記スケジュール作成手段は、前記稼働時間情報及び前記在庫情報を用いて当該製品の製造スケジュールを作成すること
を特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
製品を製造するための製造工程での作業の管理を行う情報処理装置によって行われる情報処理方法であって、
前記製品を製造するための各製造工程で使用する設備、及び原料の入力情報を受け付け、前記入力情報に従って製造工程の工程情報を作成する作業工程作成ステップと、
前記製品の製造数を示すオーダ情報に従って、当該製品の製造スケジュールを作成するスケジュール作成ステップと、
前記作成されたスケジュールに従った製品の製造管理を行う管理ステップを備え、
前記作業工程作成ステップでは、副資源によって作業の開始を行う第1の作業工程及び、前記副資源を使用する第2の工程を前記製造工程の工程情報として作成し、
前記管理ステップは、前記第2の工程での副資源の使用が終了した後に、前記第1の作業工程を開始するよう前記製品の製造管理を行うこと
を特徴とする情報処理方法。
【請求項5】
製品を製造するための製造工程での作業の管理を行う情報処理装置を、
前記製品を製造するための各製造工程で使用する設備、及び原料の入力情報を受け付け、前記入力情報に従って製造工程の工程情報を作成する作業工程作成手段と、
前記製品の製造数を示すオーダ情報に従って、当該製品の製造スケジュールを作成するスケジュール作成手段と、
前記作成されたスケジュールに従った製品の製造管理を行う管理手段として機能させ、
前記作業工程作成手段は、副資源によって作業の開始を行う第1の作業工程及び、前記副資源を使用する第2の工程を前記製造工程の工程情報として作成し、
前記管理手段は、前記第2の工程での副資源の使用が終了した後に、前記第1の作業工程を開始するよう前記製品の製造管理を行うこと
を特徴とするコンピュータプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−118607(P2012−118607A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265418(P2010−265418)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.コンパクトフラッシュ
【出願人】(390002761)キヤノンマーケティングジャパン株式会社 (656)
【出願人】(312000206)キヤノンMJアイティグループホールディングス株式会社 (259)
【出願人】(592135203)キヤノンITソリューションズ株式会社 (528)
【Fターム(参考)】