説明

情報処理装置、情報処理方法およびプログラム

【課題】操作入力に対する抑制制御をしつつ、抑制制御についての情報をユーザに提供する。
【解決手段】情報処理装置100は、画像が表示される表示部120が設けられた筐体110の傾きを取得する傾き取得部151と、表示される画像に、取得された筐体110の傾きに応じた第1の表示変化、および第2の表示変化を与える表示制御部154と、第1の表示変化を抑制する抑制制御部155とを備える。表示制御部154は、第1の表示変化が抑制されている間に、表示される画像に第2の表示変化を与えてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法およびプログラムに関し、特に、表示される画像に表示変化を与える情報処理装置、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報処理装置の演算能力および通信速度は飛躍的に向上している。しかし、例えば携帯端末のような比較的小型の情報処理装置では、処理結果を表示する表示部のサイズが限られているために、表示できる情報量にも制約があり、上記のような高い性能が十分に利用されない場合があった。
【0003】
そこで、情報処理装置の表示部を有効に活用するための技術が開発されている。例えば、表示部にタッチパネルを設け、操作性を確保しつつ表示部を拡大することが知られている。特許文献1,2には、タッチパネルの押し込み具合を操作入力として利用する技術が記載されている。
【0004】
また、情報処理装置の筐体の状態変化を操作入力として利用し、表示部を縮小することなく多様な操作入力を実現することも知られている。特許文献3には、筐体に振動を加えることを操作入力として利用する技術が記載されている。特許文献4には、筐体を傾けることを操作入力として利用する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−109552号公報
【特許文献2】特開2009−009252号公報
【特許文献3】特開2004−334642号公報
【特許文献4】特開2005−245619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記の特許文献1〜4に記載されているような多様な操作入力方法がある場合、ユーザの意図しない操作入力が発生してしまうという問題があった。例えば、傾けることによって何らかの操作をする情報処理装置において、ユーザが意図せず筐体をわずかに傾けただけでも、その傾きが操作入力として取得されてしまう場合があった。このような問題に対して、筐体のわずかな傾きは操作入力として取得されないようにすることが考えられるが、その場合、例えば、情報処理装置の筐体を傾けて何も起きなかった場合に、筐体の傾きを操作入力とするような設定がされていないのか、傾きを検出するセンサの反応が悪いだけなのかがユーザに伝わらないというような問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、操作入力に対する抑制制御をしつつ、抑制制御についての情報をユーザに提供することが可能な、新規かつ改良された情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、画像が表示される表示部が設けられた筐体の傾きを取得する傾き取得部と、上記表示される画像に、上記取得された筐体の傾きに応じた第1の表示変化、および第2の表示変化を与える表示制御部と、上記第1の表示変化を抑制する抑制制御部とを備える情報処理装置が提供される。
【0009】
上記表示制御部は、上記第1の表示変化が抑制されている間に、上記表示される画像に上記第2の表示変化を与えてもよい。
【0010】
上記抑制制御部は、上記取得された筐体の傾きの角度が第1の閾値以下である場合に上記第1の表示変化を抑制してもよい。
【0011】
上記情報処理装置は、上記表示部へのユーザの接触の継続時間が第2の閾値以上である場合に上記接触を長押し操作として取得する接触取得部をさらに備え、上記抑制制御部は、上記取得された接触の継続時間が上記第2の閾値以上になる前に、上記取得された筐体の傾きの角度が上記第1の閾値を超えた場合に、上記長押し操作の取得を抑制してもよい。
【0012】
上記第2の表示変化は、上記取得された筐体の傾きに応じた表示変化であってもよい。
【0013】
上記情報処理装置は、上記表示部へのユーザの接触を取得する接触取得部をさらに備え、上記抑制制御部は、上記接触が取得された場合に上記第1の表示変化を抑制してもよい。
【0014】
上記第1の表示変化は、上記表示される画像に含まれるオブジェクトの表示位置の移動であってもよい。
【0015】
上記情報処理装置は、上記表示部へのユーザの接触を操作指示として取得する接触取得部をさらに備え、上記抑制制御部は、上記取得された接触が上記オブジェクトの移動の操作である場合以外は、上記第1の表示変化を抑制してもよい。
【0016】
上記第2の表示変化は、上記オブジェクトの影の表示位置の移動であってもよい。
【0017】
上記第2の表示変化は、上記オブジェクトの光沢部分の表示位置の移動であってもよい。
【0018】
上記第2の表示変化は、上記表示される画像の背景の変化であってもよい。
【0019】
上記情報処理装置は、上記筐体の振動を取得する振動取得部をさらに備え、上記表示制御部は、上記振動が検出されたときの上記取得された筐体の傾きの角度を、基準の角度に設定してもよい。
【0020】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、画像が表示される表示部が設けられた筐体の傾きを取得するステップと、上記表示される画像に、上記取得された筐体の傾きに応じた第1の表示変化、および第2の表示変化を与えるステップと、上記第1の表示変化を抑制するステップとを含む情報処理方法が提供される。
【0021】
また、上記課題を解決するために、本発明のさらに別の観点によれば、画像が表示される表示部が設けられた筐体の傾きを取得する処理と、上記表示される画像に、上記取得された筐体の傾きに応じた第1の表示変化、および第2の表示変化を与える処理と、上記第1の表示変化を抑制する処理とをコンピュータに実行させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように本発明によれば、操作入力に対する抑制制御をしつつ、抑制制御についての情報をユーザに提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る携帯端末の外観を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る携帯端末の機能構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る携帯端末における表示変化の例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る携帯端末において実行される処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る携帯端末における表示変化の別の例を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る携帯端末における表示変化のさらに別の例を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る携帯端末における表示変化の例を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る携帯端末において実行される処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る携帯端末において実行される処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第4の実施形態に係る携帯端末における表示変化の例を示す図である。
【図11】本発明の各実施形態における表示変化の抑制の一例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0025】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.第1の実施形態
2.第2の実施形態
3.第3の実施形態
4.第4の実施形態
5.第5の実施形態
6.補足
【0026】
<1.第1の実施形態>
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0027】
(携帯端末の構成)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る携帯端末100の外観を示す図である。携帯端末100は、情報処理装置の一例である。図1を参照すると、携帯端末100は、筐体110を有し、筐体110には、LCD(Liquid Crystal Display)120が設けられる。LCD120は、表示部の一例であり、携帯端末100の出力として画像を表示する。なお、表示部は、LCD120に限定されるものではなく、有機EL(Electro-Luminescence)パネルなど任意の表示装置が用いられてもよい。LCD120には、タッチパネル130が設けられてもよい。タッチパネル130は、LCD120へのユーザの接触を検知する。ボタンなどの操作部が他に設けられる場合、タッチパネル130は必ずしも設けられなくてもよい。携帯端末100は、例えば音声通話、ネットワーク通信、音楽や映像の視聴、または動画や静止画の撮像など、様々な機能を有するものでありうる。筐体110には、LCD120およびタッチパネル130に加えて、これらの機能を実現するための他の装置、例えばスピーカ、マイク、カメラ、入出力端子、またはアンテナなどが設けられていてもよい。
【0028】
引き続き図1を参照して、LCD120に表示される画像の例について説明する。LCD120には、アイコン121が、アイコンの影122を伴って表示される。アイコン121およびアイコンの影122の背面には、背景123が表示される。アイコン121は、表示される画像に含まれるオブジェクトの一例である。アイコン121は、例えばタッチパネル130を介してユーザによって操作される操作部品でありうる。この場合、ユーザは、タッチパネル130を介してLCD120のアイコン121が表示されている領域に接触することによって、携帯端末100に所望の機能を実現させるための操作指示を与えることが可能である。また、アイコン121は、携帯端末100によって利用可能なコンテンツを表す画像であってもよい。なお、オブジェクトは、アイコン121に限定されるものではなく、例えば映像コンテンツの画像そのものであってもよい。アイコンの影122は、例えばアイコン121が立体的に表示される場合に、立体感を際立たせるための視覚効果として表示される。背景123は、アイコン121およびアイコンの影122の背景として表示される。例えば、アイコン121がタッチパネル130を介してユーザによって操作される操作部品である場合、ユーザがタッチパネル130を介してLCD120の背景123が表示されている領域に接触しても、携帯端末100への操作指示は与えられない。
【0029】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る携帯端末100の機能構成を示すブロック図である。図2を参照すると、携帯端末100は、LCD120、タッチパネル130、加速度センサ140、CPU(Central Processing Unit)150、記憶部160、および通信部170を含む。また、CPU150によって、傾き取得部151、接触取得部152、振動取得部153、表示制御部154、抑制制御部155の機能が実現される。
【0030】
LCD120およびタッチパネル130について、個々の機能については、図1を参照して既に説明したため詳細説明を省略し、ここでは他の機能構成との関連について説明する。LCD120は、CPU150から表示画像を提供される。タッチパネル130は、LCD120へのユーザの接触の有無、およびユーザが接触しているLCD120上の位置の情報を、CPU150に提供する。
【0031】
加速度センサ140は、携帯端末100の筐体110に与えられる加速度を検知するセンサである。加速度センサ140が検知した加速度の情報は、CPU150に提供される。加速度の変化によって、例えば、筐体110の傾き、および筐体110の振動など、筐体110の状態変化を検出することが可能である。なお、加速度センサ140は、CPU150における処理で必要とされる筐体110の状態変化の種類に応じて、例えば2軸加速度センサ、または3軸加速度センサなど、任意の種類の加速度センサでありうる。また、上記のような筐体110の状態変化を検出できる他のセンサが、加速度センサ140に代えて用いられてもよい。
【0032】
CPU150は、携帯端末100の各部の動作を制御する。CPU150は、記憶部160に格納されたプログラムを実行するプロセッサであって、プログラムの実行によって、傾き取得部151、接触取得部152、振動取得部153、表示制御部154、および抑制制御部155の機能を実現する。CPU150は、これらの機能に加えて、例えば音声通話、ネットワーク通信、音楽や映像の視聴、または動画や静止画の撮像など、携帯端末100が有しうる様々な機能を実現する。これらの機能を実現するために、CPU150は、タッチパネル130および加速度センサ140から情報を取得し、LCD120に画像を提供し、また記憶部160および通信部170とデータをやりとりする。また、CPU150は、上記の機能を実現するために、携帯端末100が有する他の装置との間で、情報を取得または提供してもよい。
【0033】
以下、CPU150によって実現される、傾き取得部151、接触取得部152、振動取得部153、表示制御部154、および抑制制御部155の各機能について説明する。これらの機能は、上述のようにCPU150が記憶部160に格納されたプログラムを実行することによって実現されうるが、これには限られず、例えばCPU150とは別途に設けられた専用の回路構成によってその一部または全部が実現されてもよい。
【0034】
傾き取得部151は、加速度センサ140から提供された携帯端末100の筐体110の加速度の情報に基づいて、筐体110の傾きを取得する。具体的には、傾き取得部151は、筐体110の加速度の向きおよび大きさに基づいて、筐体110の傾きの向きおよび角度を算出してもよい。傾き取得部151は、算出した筐体110の傾きの向きおよび角度を、表示制御部154および抑制制御部155に提供してもよい。
【0035】
接触取得部152は、タッチパネル130から提供された、LCD120へのユーザの接触の有無、およびユーザが接触しているLCD120上の位置の情報を取得する。例えば、接触取得部152は、LCD120上のアイコン121が表示されている領域への接触を、アイコン121への押下操作として取得してもよい。また、接触取得部152は、LCD120上のアイコン121が表示されている領域への接触が所定の時間以上継続した場合に、この接触をアイコン121への長押し操作として取得してもよい。さらに、接触取得部152は、LCD121上で接触が継続した状態で接触位置が移動した場合に、この接触を移動の操作(フリック操作とも呼ばれる)として取得してもよい。接触取得部は、アイコン121への押下操作、長押し操作、または移動の操作を取得し、これを表示制御部154および抑制制御部155に提供してもよい。
【0036】
振動取得部153は、加速度センサ140から提供された携帯端末100の筐体110の加速度の情報に基づいて、筐体110の振動を取得する。具体的には振動取得部153は、筐体110の加速度の所定時間内における変化に基づいて、筐体110の振動があったことを取得してもよい。振動取得部153は、筐体110の振動があったことを取得し、これを表示制御部154および抑制制御部155に提供してもよい。
【0037】
表示制御部154は、表示画像をLCD120に提供する。また、表示制御部154は、表示画像に含まれるアイコン121、アイコンの影122、または背景123に表示変化を与える。ここで、表示制御部154は、傾き取得部151によって取得された筐体110の傾き、接触取得部152によって取得された各種の接触操作、および振動取得部153によって取得された筐体110の振動の、一部または全部に基づいて上記の表示変化を与えてもよい。この表示変化は、少なくとも、傾き取得部151によって取得された筐体110の傾きに応じた第1の表示変化と第2の表示変化とを含む。さらに、表示制御部154は、抑制制御部155の働きによって、第1の表示変化を抑制する場合がある。第1の表示変化および第2の表示変化が具体的にどのような表示変化でありうるか、および、第1の表示変化および第2の表示変化がどのような場合に与えられるかについては後述する。
【0038】
抑制制御部155は、表示制御部154がLCD120に表示されるアイコン121、アイコンの影122、または背景123に与える第1の表示変化を抑制する。抑制制御部155は、傾き取得部151によって取得された筐体110の傾き、接触取得部152によって取得された各種の接触操作、および振動取得部153によって取得された筐体110の振動の、一部または全部に基づいて、上記の第1の表示変化を抑制してもよい。抑制制御部155がどのような場合に第1の表示変化を抑制するかについては後述する。
【0039】
記憶部160には、携帯端末100の処理に関する各種のデータが、一時的または永続的に格納される。記憶部160は、例えば、フラッシュROM(Read Only Memory)、もしくはDRAMなどの半導体メモリ、BD(Blu-ray Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、もしくはCD(Compact Disc)などの光ディスク、またはハードディスクなどでありうる。記憶部160は、携帯端末100に内蔵される記憶装置であってもよく、携帯端末100に着脱可能なメモリカードなどのリムーバブルメディアであってもよい。また、記憶部160は、複数の種類の記憶装置またはリムーバブルメディアを含んでもよい。記憶部160には、CPU150が傾き取得部151、接触取得部152、振動取得部153、表示制御部154、および抑制制御部155の機能、およびその他の様々な機能を実現するために実行するプログラムが格納されうる。このプログラムは、記憶部160に予め格納されたものであってもよく、上記のリムーバブルメディアに格納して提供されたプログラム、または通信部170を介してネットワークからダウンロードされたプログラムが、記憶部160に一時的に格納されたものであってもよい。さらに、記憶部160には、CPU150がLCD120、タッチパネル130、加速度センサ140、および通信部170との間でやり取りする情報、およびCPU150が処理の過程で生成した情報が一時的に格納されうる。
【0040】
通信部170は、ネットワークに接続するための通信デバイスを含む通信インターフェースである。通信部170は、例えば、USB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、SCSI(Small Computer System Interface)、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)、LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、またはWUSB(Wireless USB)などのためのポートや通信カードでありうる。通信部170は、インターネット、家庭内LAN、赤外線通信、ラジオ波通信または衛星通信などのネットワークに接続し、携帯端末100の処理に関する各種のデータをやり取りする。通信部170は、CPU150が傾き取得部151、接触取得部152、振動取得部153、表示制御部154、および抑制制御部155の機能、およびその他の様々な機能を実現するために実行するプログラムをネットワークからダウンロードして記憶部160に格納してもよい。
【0041】
(携帯端末の動作)
図3は、本発明の第1の実施形態に係る携帯端末100の動作例を示す図である。図3には、携帯端末100の筐体110が傾けられていない場合、傾けられて傾きの角度が角度a1になった場合、および、さらに傾けられて傾きの角度が角度a2になった場合の、アイコン121およびアイコンの影122の表示位置の変化が図示されている。なお、角度a2は、角度a1よりも大きい角度である。
【0042】
筐体110が傾けられていない場合、各アイコン121は、図示されているように、上下左右に略等間隔の位置に配列されている。アイコンの影122の表示位置は、各アイコン121に対して、表示部120の中心から周辺に向かう向きにずれた位置である。
【0043】
筐体110が傾けられ、傾きの角度が角度a1になった場合、アイコン121の表示位置は、筐体110が傾けられていない状態における表示位置のまま移動しない。一方、アイコンの影122の表示位置は、表示部120に対して右側へと移動し、各アイコン121に対して右側にずれた位置になっている。このアイコンの影122の表示位置の移動は、筐体110の傾きに応じた動きであってもよい。なお、後述するように、アイコン121の表示位置は、静止しているのではなく、表示部120に対してわずかに右側へと移動していてもよい。
【0044】
筐体110がさらに傾けられ、傾きの角度が角度a2になった場合、アイコン121の表示位置は、表示部120に対して右側へと移動する。一方、アイコンの影122の表示位置は、筐体110が角度a1だけ傾けられた状態から、さらに表示部120に対して右側へと移動する。このようなアイコン121およびアイコンの影122の表示位置の移動は、いずれも、筐体110の動きに対応した動きでありうる。
【0045】
このとき、さらに、筐体110の傾きに対応する処理が実行されてもよい。この処理は、例えば、新たなアイコン121が表示部120に現れたり、既に表示されていたアイコン121が表示部120から消えたりすることであってもよく、また、表示されているアイコン121のサイズが変化することであってもよい。また、この処理は、必ずしも表示変化に関係するものでなくてもよく、携帯端末100が実行しうるあらゆる種類の処理でありうる。
【0046】
以上のような携帯端末100の動作によって、筐体110が徐々に傾いていく場合に表示部120に表示されるアイコン121およびアイコンの影122の動きは、例えば、まずアイコンの影122が表示部120に対して右側へ移動を開始し、遅れてアイコン121が右側に移動を開始するような動きとしてユーザに観察されるものでありうる。
【0047】
なお、図示された例におけるアイコン121およびアイコンの影122の配置は例示に過ぎない。例えば、筐体110が傾けられていない場合のアイコンの影122の表示位置は、上記の例には限られず、各アイコン121に対して別の向きにずれた位置であってもよい。また、筐体110が傾けられていない場合のアイコンの影122の表示位置は、アイコン121と重複していて、筐体110が傾けられ始めてからアイコンの影122がユーザに観察可能に表示されてもよい。
【0048】
また、上記の例において、アイコン121およびアイコンの影122の表示位置は、いずれも筐体110の傾きに反発するように表示部120に対して右側に移動しているが、アイコン121およびアイコンの影122の表示位置が移動する向きはこの例には限られない。例えば、アイコン121およびアイコンの影122の表示位置は、筐体110の傾きによって滑り落ちるように表示部120に対して左側に移動してもよい。なお、アイコン121およびアイコンの影122の表示位置が移動する向きが、筐体110が傾けられる向きに応じて決定されることはいうまでもない。
【0049】
以上のような動作をする携帯端末100においては、筐体110の傾き角度が角度a1を含む範囲である場合、本実施形態において表示制御部154が表示画像に与える第1の表示変化である「アイコン121の表示位置の移動」が、抑制制御部155によって抑制されている。また、このようにアイコン121の表示位置の移動が抑制されている間に、本実施形態における第2の表示変化である「アイコンの影122の表示位置の移動」が、表示制御部154によって実行される。
【0050】
(携帯端末における処理)
図4は、本発明の第1の実施形態に係る携帯端末100における処理を示すフローチャートである。図4には、本実施形態に係る携帯端末100が、傾き取得部151によって取得された筐体110の傾きに応じた表示変化および処理を実行するための処理が示されている。
【0051】
まず、ステップS101において、表示制御部154は、傾き取得部151によって筐体110の傾きが取得されているか否かを判定する。ここで、筐体110の傾きが取得された場合、処理はステップS103に進む。一方、筐体110の傾きが取得されていない場合、処理は最初に戻る。
【0052】
ステップS103において、表示制御部154は、傾き取得部151によって取得された筐体110の傾きに応じて、表示部120に表示されるオブジェクトの影122の表示位置を移動させる。なお、上述のように、オブジェクトの影122の表示位置の移動は、表示制御部154によって表示画像に与えられる第2の表示変化である。
【0053】
続くステップS105において、抑制制御部155は、傾き取得部151によって取得された筐体110の傾きの角度が、第1の閾値以下であるか否かを判定する。ここで、筐体110の傾きの角度が第1の閾値以下である場合、抑制制御部155は、一連の処理を終了する。一方、筐体110の傾きの角度が第1の閾値を超えている場合、処理はステップS107に進む。なお、第1の閾値は、筐体110の傾きに対して設定される所定の閾値である。例えば図3において示される例では、第1の閾値は角度a1よりも大きく、角度a2以下の値である。
【0054】
ステップS107において、表示制御部154は、傾き取得部151によって取得された筐体110の傾きに応じて、表示部120に表示されるアイコン121の表示位置を移動させる。なお、上述のように、アイコン121の表示位置の移動は、表示制御部154によって表示画像に与えられる第1の表示変化である。
【0055】
続くステップS109において、CPU150は、傾き取得部151によって取得された筐体110の傾きに対応する処理が設定されているか否かを判定する。ここで、傾きに対応する処理が設定されている場合、処理はステップS111に進む。一方、傾きに対応する処理が設定されていない場合、処理は最初に戻る。
【0056】
ステップS111において、CPU150は、傾き取得部151によって取得された筐体110の傾きに対応する処理を実行する。この処理は、必ずしも表示制御部154による表示変化の処理には限られず、携帯端末100が実行しうるその他の種類の処理であってもよい。ここで実行されうる表示制御部154による処理としては、例えば、新たなアイコン121が表示部120に現れる、既に表示されていたアイコン121が表示部120から消える、または表示されているアイコン121のサイズが変化するなどの処理がありうる。また、携帯端末100が実行しうるその他の処理としては、例えば、音声通話、ネットワーク通信、音楽や映像の視聴、または動画や静止画の撮像などに関する処理がありうる。
【0057】
上記の携帯端末100の処理では、傾き取得部151によって取得された筐体110の傾きの角度が第1の閾値以下である場合に、抑制制御部155によって処理が終了される。従って、この場合、表示制御部154によって表示画面に与えられる第1の表示変化である「アイコン121の表示位置の移動」は実行されない。つまり、筐体110の傾きの角度が第1の閾値以下である場合に、第1の表示変化である「アイコン121の表示位置の移動」は抑制される。
【0058】
一方、上記の携帯端末100の処理では、傾き取得部151によって取得された筐体110の傾きの角度が第1の閾値以下である場合でも、表示制御部154によって表示画面に与えられる第2の表示変化である「アイコンの影122の表示位置の移動」が実行される。つまり、第1の表示変化である「アイコン121の表示位置の移動」が抑制されている間に、第2の表示変化である「アイコンの影122の表示位置の移動」が実行される。
【0059】
(表示変化の抑制について)
図5は、本発明の実施形態における「第1の表示変化の抑制」の定義について説明するための図である。図5を参照すると、横軸に筐体110の傾き角度a、縦軸に表示変化量bが示され、さらに、第1の表示変化における傾き角度aと表示変化量bの関係を示す関数f1、および第2の表示変化における傾き角度aと表示変化量bの関係を示す関数f2の例が示されている。筐体の傾き角度aには、「第1の表示変化の抑制」の2つの定義にそれぞれ対応するath1およびath2の2つの閾値が示されている。
【0060】
図示された例において、傾き角度aが閾値ath1以下である場合に、関数f1の表示変化量bの値は略0である。第1の定義では、このように、関数f1の表示変化量bの値が略0である状態を、「第1の表示変化が抑制されている状態」と定義する。この場合、上記の「閾値」は、閾値ath1である。この第1の定義における表示制御の第1の例として、携帯端末100の抑制制御部155は、傾き角度aが閾値ath1以下である場合に、傾き取得部151によって取得された筐体110の傾きを無効化することによって、第1の表示変化を抑制してもよい。また、第2の例として、表示制御部154が、傾き取得部151によって取得された筐体110の傾き角度aから、第1の表示変化についてb=ctanaのような演算によって表示変化量bを算出し、抑制制御部155が、傾き角度aが閾値ath1以下である場合には表示変化量bが略0になるように係数cの値を設定することによって、第1の表示変化を抑制してもよい。
【0061】
一方、図示された例において、傾き角度aがath2以下である場合に、関数f1の表示変化量bの値は、関数f2の表示変化量bの値を下回る。第2の定義では、このように、関数f1の表示変化量bの値が関数f2の表示変化量bの値を下回る状態を、「第1の表示変化が抑制されている状態」と定義する。この場合、上記の「閾値」は、閾値ath2である。この第2の定義における表示制御の例として、表示制御部154が、傾き取得部151によって取得された筐体110の傾き角度aから、第1の表示変化についてはb=ctana、第2の表示変化についてはb=daのような演算によって表示変化量bを算出し、抑制制御部155が、傾き角度aがath2以下である場合には、関数f1の表示変化量bの値が関数f2の表示変化量bの値を下回るように係数c,dの値を設定することによって、第1の表示変化を抑制してもよい。
【0062】
ここで、先に図3および図4を参照して説明された携帯端末100の動作は、上記の第1の定義に基づくものである。しかし、上述のように、本願の「第1の表示変化の抑制」は、少なくとも上記の第1および第2の2つの定義を含む。それゆえ、上記の第2の定義に基づいて、図3において示されたような携帯端末100の動作が実現されてもよい。この場合、携帯端末100の状態が、筐体110が角度a1だけ傾けられた状態で、アイコン121の表示位置は、筐体110が傾けられていない状態における表示位置のまま移動する代わりに、表示部120に対してわずかに右側へと移動してもよい。
【0063】
なお、図示されているように、表示制御部154は、傾き角度aが所定の値を超えた場合には表示変化量bを一定の値にするなど、その他の制御を第1の表示変化の表示変化量bについて加えてもよい。このような表示制御部154の制御によって、傾き角度aが閾値ath1、または閾値ath2を超えて増加し続ける場合、図示されているように一旦関数f1の表示変化量bの値が関数f2の表示変化量bの値を上回り、その後再び関数f2の表示変化量bの値が関数f1の表示変化量bの値を上回るように制御されてもよい。また、同じ場合に、関数f1の表示変化量bの値と関数f2の表示変化量bの値とは同程度の値になるように制御されてもよい。
【0064】
(変形例1)
図6は、本発明の第1の実施形態の変形例に係る携帯端末100の変形例について説明するための図である。図6には、携帯端末100の状態は、筐体110が傾けられていない状態から、筐体110が角度a1だけ傾けられた状態に変化した場合の、アイコンの光沢部分124の表示位置の変化が図示されている。なお、上述のように、角度a1は、筐体110の傾きに対してアイコン121の表示位置の移動が抑制される第1の閾値よりも小さい角度である。
【0065】
本変形例において、アイコン121は、例えば表面が膨らみを帯びた扁平球状のオブジェクトとして表示される。アイコンの光沢部分124は、例えばアイコン121の立体感を表現するために、アイコン121の表面の、光が反射して色彩が変化した領域として表示される。
【0066】
筐体110が傾けられ、傾きの角度が角度a1である場合、アイコン121の表示位置は、筐体110が傾けられていない状態における表示位置のまま移動しない。一方、アイコンの光沢部分124の表示位置は、筐体110が傾けられていない状態における表示位置から、アイコン121の表面上を時計回りに移動し、表示部120対してやや右側に移動した位置になっている。本変形例において、表示制御部154による第2の表示変化は、アイコンの光沢部分124の表示位置の移動である。このアイコンの光沢部分124の移動は、筐体110の傾きに応じた動きであってもよい。なお、上述したように、アイコン121の表示位置は、静止しているのではなく、表示部120に対してわずかに右側へと移動していてもよい。
【0067】
図示されていないが、筐体110がさらに傾けられ、傾きの角度が角度a2である場合に、アイコン121の表示位置が移動し、またアイコンの光沢部分124もさらに移動することは、図3を参照して説明した本実施形態の動作例と同様である。
【0068】
(変形例2)
図7は、本発明の第1の実施形態の変形例に係る携帯端末100の別の変形例について説明するための図である。図7には、携帯端末100の状態が、筐体110が傾けられていない状態から、筐体110が角度a1だけ傾けられた状態に変化した場合の、背景123の表示の変化が図示されている。なお、上述のように、角度a1は、筐体110の傾きに対してアイコン121の表示位置の移動が抑制される第1の閾値よりも小さい角度である。
【0069】
本変形例において、背景123は、図示されるような放射状および同心円状の模様を有している。この模様は、仮想的な半球面の内面として立体的に描かれるものでありうる。なお、かかる模様は、本変形例における背景123の表示の変化の理解を容易にするための例である。背景123の模様は、本変形例のような表示の変化が認識されるものであればどのようなものでもよい。
【0070】
筐体110が傾けられ、傾きの角度が角度a1である場合、アイコン121の表示位置は、筐体110が傾けられていない状態における表示位置のまま移動しない。一方、背景123は、筐体110が傾けられていない状態における表示から、上記の仮想的な半球面が回転するように変化し、表示される模様が異なる模様になっている。本変形例において、表示制御部154による第2の表示変化は、背景123の表示の変化である。この背景123の表示の変化は、筐体110の傾きに応じた動きであってもよい。なお、上述したように、アイコン121の表示位置は、静止しているのではなく、表示部120に対してわずかに右側へと移動していてもよい。
【0071】
図示されていないが、筐体110がさらに傾けられ、傾きの角度が角度a2である場合に、アイコン121の表示位置が移動し、また背景123の表示もさらに変化することは、図3を参照して説明した本実施形態の動作例と同様である。
【0072】
(第1の実施形態のまとめ)
以上で説明した本発明の第1の実施形態では、画像が表示されるLCD120が設けられた筐体110の傾きを取得する傾き取得部151と、表示される画像に、取得された筐体110の傾きに応じた第1の表示変化、および第2の表示変化を与える表示制御部154と、第1の表示変化を抑制する抑制制御部155とを備える携帯端末100が提供される。
【0073】
上述のように、本実施形態において、第1の表示変化は、LCD120に表示される画像に含まれるオブジェクトであるアイコン121の表示位置の移動である。第2の表示変化は、アイコンの影122の表示位置の移動である。変形例として説明したように、第2の表示変化は、アイコンの光沢部分124の表示位置の移動であってもよく、LCD120に表示される画像の背景123の変化であってもよい。さらに、第2の表示の変化は、これらを組み合わせた表示の変化であってもよい。
【0074】
かかる構成によれば、携帯端末100の筐体110を傾けても、アイコン121の表示位置が移動しないことが望ましい場合、例えば筐体110の傾き角度が所定の閾値以下であるような場合に、筐体110の傾きによるアイコン121の表示位置の移動が抑制される。それゆえ、ユーザが望まないアイコン121の表示位置の変化を防ぐことができる。その一方で、アイコン121の表示位置の移動が抑制されている間にも、アイコンの影122の表示位置は移動する。この第2の表示変化であるアイコンの影122の表示位置の移動によって、ユーザは、筐体110を傾けることによってアイコン121の表示位置の移動が可能であることを知ることができる。つまり、ユーザは、筐体110を傾けてもアイコン121が移動しない場合に、携帯端末100が筐体110の傾きに反応していないのではなく、例えば筐体110の傾き角度が所定の閾値以下であるなどの所定の条件によってアイコン121の移動が抑制されていることを知ることができる。
【0075】
本実施形態において、傾き取得部151によって取得された筐体110の傾きが第1の閾値以下である場合にアイコン121の表示位置の移動が抑制されてもよい。かかる構成によって、ユーザが携帯端末100を保持している場合の軽微な姿勢の変化によって、ユーザの意図に反してアイコン121が移動してしまうことを防ぐことができる。
【0076】
また、本実施形態において、第2の表示変化であるアイコンの影122の表示位置の移動は、傾き取得部151によって取得された筐体110の傾きに応じた表示変化であってもよい。かかる構成によって、筐体110の傾きによるアイコン121の表示位置の移動が可能であることをより直感的にユーザに示すことができる。
【0077】
<2.第2の実施形態>
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、携帯端末100の構成については、この第2の実施形態と上述の第1の実施形態とは略同一であるため、詳細説明を省略する。
【0078】
(携帯端末の動作)
図8は、本発明の第2の実施形態に係る携帯端末100の動作例を示す図である。図8には、携帯端末100の筐体110が傾けられていない場合、傾けられて傾きの角度が角度aになった場合、および、傾きの角度が角度aになった後に所定の時間が経過した場合の、アイコン121の表示位置の変化が図示されている。
【0079】
筐体110が傾けられていない場合、各アイコン121は、図示されているように、上下左右に略等間隔の位置に配列されている。なお、この場合、アイコンの影122が、各アイコン121に対して、表示部120の中心から周辺に向かう向きにずれた位置に表示されてもよい。
【0080】
筐体110が傾けられ、傾きの角度が角度aになった場合、アイコン121の表示位置は、筐体110が傾けられていない状態における表示位置から、一旦、表示部120に対して右側へと移動する。なお、この場合、アイコンの影122が、表示部120に対して右側へと移動し、各アイコン121に対して右側にずれた位置に表示されてもよい。
【0081】
筐体110の傾きの角度が角度aになった後に所定の時間が経過した場合、アイコン121の表示位置は、一旦移動していた位置から、再び、筐体110が傾けられていない状態における表示位置に戻る。なお、この場合、アイコンの影122が、各アイコン121に対して右側にずれた位置に引き続き表示されてもよい。
【0082】
以上のような携帯端末100の動作によって、筐体110が傾けられ、その状態で所定の時間が経過した場合に表示部120に表示されるアイコン121の動きは、例えば、筐体110が傾けられた場合にアイコン121が移動すると想定される向きにアイコン121が一旦移動した後に、元の場所に戻るような動きとしてユーザに観察されるものでありうる。
【0083】
なお、図示された例におけるアイコン121の配置は例示に過ぎない。また、上記の例において、アイコン121の表示位置は、いずれも筐体110の傾きに反発するように表示部120に対して右側に移動しているが、アイコン121の表示位置が移動する向きはこの例には限られない。例えば、アイコン121の表示位置は、図示された例と同様の筐体110の傾きがあった場合に、表示部120に対して左側に移動してもよい。なお、アイコン121の表示位置が移動する向きが、筐体110が傾けられる向きに応じて決定されることはいうまでもない。
【0084】
以上のような動作をする携帯端末100においては、本実施形態において表示制御部154が表示画像に与える第1の表示変化である「アイコン121の表示位置の移動」が、所定の条件のために、抑制制御部155によって抑制されている。また、このようにアイコン121の表示位置の移動が抑制されている間に、本実施形態における第2の表示変化である「アイコン121の表示位置を一旦移動させて戻す」が、表示制御部154によって実行される。
【0085】
ここで、抑制制御部155が第1の表示変化である「アイコン121の表示位置の移動」を抑制する所定の条件は、例えば、接触取得部152によって表示部120へのユーザの接触が取得されていることであってもよい。また、上記所定の条件は、筐体110の傾きの角度aが所定の閾値以下であることであってもよい。また、上記所定の条件は、傾きによる表示変化を無効化するように携帯端末100が設定されていることであってもよい。
【0086】
(携帯端末における処理)
図9は、本発明の第2の実施形態に係る携帯端末100における処理を示すフローチャートである。図9には、本実施形態に係る携帯端末100が、傾き取得部151によって取得された筐体110の傾きに応じた表示変化および処理を実行するための処理が示されている。図示された例において、抑制制御部155がアイコン121の表示位置の移動を抑制する所定の条件は、接触取得部152によって表示部120へのユーザの接触が取得されていることである。
【0087】
まず、ステップS201において、表示制御部154は、傾き取得部151によって筐体110の傾きが取得されているか否かを判定する。ここで、筐体110の傾きが取得された場合、処理はステップS203に進む。一方、筐体110の傾きが取得されていない場合、処理は最初に戻る。
【0088】
ステップS203において、抑制制御部155は、接触取得部152によって表示部120へのユーザの接触が取得されているか否かを判定する。ここで表示部120へのユーザの接触が取得されている場合、処理はステップS205に進む。一方、表示部120へのユーザの接触が取得されていない場合、処理はステップS107に進む。
【0089】
ステップS205において、表示制御部154は、アイコン121の表示位置を一旦移動させて戻す。なお、上述のように、アイコン121の表示位置を一旦移動させて戻すことは、表示制御部154によって表示画像に与えられる第2の表示変化である。
【0090】
なお、ステップS107〜S111の処理は、図4において同一の符号を参照して説明した上述の第1の実施形態の処理と略同一であるため、詳細説明を省略する。
【0091】
上記の携帯端末100の処理では、接触取得部152によって表示部120へのユーザの接触が取得されている場合は、表示制御部154によって表示画面に与えられる第1の表示変化である「アイコン121の表示位置の移動」に代えて、同じく第2の表示変化である「アイコン121の表示位置を一旦移動させて戻す」が実行される。つまり、接触取得部152によって表示部120へのユーザの接触が取得されている場合に、第1の表示変化である「アイコン121の表示位置の移動」は抑制され、その間に、第2の表示変化である「アイコン121の表示位置を一旦移動させて戻す」が実行される。
【0092】
(第2の実施形態のまとめ)
以上で説明した本発明の第2の実施形態では、携帯端末100がLCD120へのユーザの接触を取得する接触取得部152をさらに備え、抑制制御部155は、接触が取得された場合に前記第1の表示変化を抑制する。
【0093】
上述のように、本実施形態において、第1の表示変化は、LCD120に表示される画像に含まれるオブジェクトであるアイコン121の表示位置の移動である。第2の表示変化は、アイコン121の表示位置を一旦移動させて戻すことである。
【0094】
かかる構成によれば、例えば、携帯端末100のLCD120に表示されたアイコン121に対してユーザが接触操作をしている場合には、筐体110の傾きによるアイコン121の表示位置の移動が抑制される。それゆえ、接触操作中のユーザが意図せず筐体110を傾けてしまった場合でも、アイコン121の表示位置が移動してしまうことによる誤操作を防ぐことができる。また、ユーザは、接触しても携帯端末100への操作指示が与えられない背景123が表示されている領域に接触することによって、意図的に、筐体110の傾きによるアイコン121の表示位置の移動を抑制することができる。例えば、ユーザが携帯端末100の持ち方を変えたい場合、背景123が表示されている領域に接触しながら持ち方を変えることによって、持ち方を変えるときに筐体110が傾いたことによる、意図しないアイコン121の表示位置の移動を防ぐことができる。
【0095】
<3.第3の実施形態>
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。なお、携帯端末100の構成、および表示制御部154によって表示画面に与えられる表示変化については、この第3の実施形態と上述の第1の実施形態とは略同一であるため、詳細説明を省略する。
【0096】
(携帯端末における処理)
図10は、本発明の第3の実施形態に係る携帯端末100における処理を示すフローチャートである。図10には、本実施形態に係る携帯端末100が、傾き取得部151によって取得された筐体110の傾きに応じた表示変化および処理を実行するための処理が示されている。図示された例において、接触取得部152は、表示部120へのユーザの接触の継続時間が第2の閾値以上である場合に、この接触を長押し操作として取得する。
【0097】
まず、ステップS301において、接触取得部152は、タッチパネル130によって、表示部120へのユーザの持続した接触が検出されているか否かを判定する。ここで、表示部120へのユーザの持続した接触が検出されている場合、処理はステップS303に進む。一方、表示部120へのユーザの持続した接触が検出されていない場合、処理はステップS105に進む。
【0098】
ステップS303において、傾き取得部151は、このときの筐体110の傾きの角度を、基準の角度として記録する。
【0099】
続くステップS305において、接触取得部152は、タッチパネル130によって検出されている、表示部120へのユーザの接触の持続時間が、第2の閾値以上になっているか否かを判定する。ここで、表示部120へのユーザの接触の持続時間が第2の閾値以上である場合、処理はステップS307に進む。一方、表示部120へのユーザの接触の持続時間が第2の閾値に満たない場合、処理はステップS309に進む。
【0100】
ステップS307において、CPU150は、接触取得部152によって取得された表示部120の長押し操作に対応する処理を実行する。この処理は、表示制御部154による表示変化の処理の他、携帯端末100が実行しうるその他の種類の処理、例えば、音声通話、ネットワーク通信、音楽や映像の視聴、または動画や静止画の撮像などに関する処理でありうる。
【0101】
ステップS309において、抑制制御部155は、傾き取得部151によって取得された筐体110の傾きの角度が、第1の閾値以下であるか否かを判定する。ここで、筐体110の傾きの角度が第1の閾値以下である場合、処理はステップS305に進み、再び、表示部120へのユーザの接触の持続時間が、第2の閾値以上になっているか否かが判定される。一方、筐体110の傾きの角度が第1の閾値を超えている場合、処理はステップS107に進む。
【0102】
なお、ステップS107〜S111の処理は、図4において同一の符号を参照して説明した上述の第1の実施形態の処理と略同一であるため、詳細説明を省略する。
【0103】
上記の携帯端末100の処理では、傾き取得部151によって取得された筐体110の傾きの角度が第1の閾値以下である場合に、接触取得部152によって表示部120へのユーザの持続した接触の取得が継続され、接触の持続時間が第2の閾値以上になった場合に、接触取得部152がこの接触を長押し指示として取得する。一方、接触の持続時間が第2の閾値以上になる前に、傾き取得部151によって取得された筐体110の傾きの角度が第1の閾値を超えた場合、筐体110の傾きに対応した処理が実行される。この場合、接触取得部152が取得している接触は、長押し操作として取得されない。つまり、筐体110の傾きの角度が第1の閾値を超えた場合に、第1の表示変化である「アイコン121の表示位置の移動」の抑制が解除される代わりに、接触取得部152による長押し操作の取得が抑制される。
【0104】
(第3の実施形態のまとめ)
以上で説明した本発明の第3の実施形態では、携帯端末100が、LCD120へのユーザの接触の継続時間が第2の閾値以上である場合に接触を長押し操作として取得する接触取得部152をさらに備え、抑制制御部155は、取得された接触の継続時間が第2の閾値以上になる前に、取得された筐体110の傾きの角度が第1の閾値を超えた場合に、長押し操作の取得を抑制する。
【0105】
上述のように、本実施形態において、第1の表示の変化は、LCD120に表示される画像に含まれるオブジェクトであるアイコン121の表示位置の移動である。
【0106】
かかる構成によれば、例えば、携帯端末100のLCD120に表示されたアイコン121に対するユーザの接触操作の持続時間が、長押し操作であると判定される所定の閾値を超える前に、筐体110の傾きの角度が、アイコン121の表示位置の移動を開始する所定の閾値を超えた場合、ユーザの接触操作の取得がキャンセルされる。それゆえ、アイコン121に対する長押し操作中のユーザが、意図せず筐体110を傾けてしまった場合でも、アイコン121の表示位置が移動してしまうことによる誤操作を防ぐことができる。
【0107】
<4.第4の実施形態>
続いて、本発明の第4の実施形態について説明する。なお、携帯端末100の構成については、この第4の実施形態と上述の第1の実施形態とは略同一であるため、詳細説明を省略する。
【0108】
(携帯端末の動作)
図11は、本発明の第4の実施形態に係る携帯端末100の動作例を示す図である。図11には、携帯端末100の筐体110が傾けられていない状態、傾けられて傾きの角度が角度aになり、さらにタッチパネル130に対して移動の操作(フリック操作)がされた状態、および、傾けおよび移動の操作が終了した状態の、アイコン121の表示位置の変化が図示されている。
【0109】
LCD120には、受信メールの一覧画面が表示されている。受信メールの一覧画面には、削除するメールを選択するための削除マーク121a、および削除ボタン121bが含まれる。しかし、筐体110が傾けられていない状態では、削除マーク121a、および削除ボタン121bは、LCD120には表示されていない。なお、削除マーク121a、および削除ボタン121bは、本実施形態においてLCD120に表示されうるオブジェクトである。
【0110】
ここで、ユーザが筐体110を角度aだけ傾け、さらに、タッチパネル130に対してLCD120の右方向への移動の操作(フリック操作)をした場合、LCD120に表示されている受信メールの一覧画面がLCD120に対して右側に移動し、LCD120の左端から削除マーク121aが現れる。
【0111】
上記の操作が終了した状態では、LCD120の左端に削除マーク121aが表示されている。ユーザは、タッチパネル130の削除マーク121aの部分に接触することによって、例えば削除マーク121aの選択状態および非選択状態を切り替えることが可能である。
【0112】
なお、本実施形態において、抑制制御部155は、傾き取得部151によって筐体110の傾きが取得された場合であっても、接触取得部152によってタッチパネル130へのユーザの移動の操作が取得されていない場合は、表示制御部154による削除マーク121aの表示位置の移動を抑制する。
【0113】
以上のような動作をする携帯端末100においては、接触取得部152が、タッチパネル130を通じた削除マーク121a本実施形態において表示制御部154が表示画像に与える第1の表示変化である「削除マーク121aの表示位置の移動」が、接触取得部152によって取得された接触が削除マーク121aの移動の操作(フリック操作)である場合以外は抑制されている。なお、削除ボタン121bについても、例えば図示された例と逆の方向に筐体110を傾け、タッチパネル130を介して移動の操作をすることによって、削除マーク121aと同様にLCD120に表示させることが可能である。
【0114】
(第4の実施形態のまとめ)
以上で説明した本発明の第4の実施形態では、携帯端末100が、LCD120へのユーザの接触を操作指示として取得する接触取得部をさらに備え、抑制制御部155は、取得された接触がオブジェクトの移動の操作である場合以外は、第1の表示変化を抑制する。
【0115】
上述のように、本実施形態において、第1の表示の変化は、LCD120に表示される画像に含まれるオブジェクトであるアイコン121の表示位置の移動である。
【0116】
かかる構成は、例えば、LCD120に表示される画面に、コンテンツの削除マーク121a、および削除ボタン121bなど、誤操作された場合の影響が大きいオブジェクトが含まれる場合に適用されうる。この場合、削除マーク121aなどのオブジェクトは、最初はLCD120に表示される領域の外に配置される。ここで、ユーザが筐体110を傾け、さらに、タッチパネル130を介して移動の操作(フリック操作)をした場合に、削除マーク121aの表示位置が移動してLCD120に現れる。つまり、筐体110を傾けただけでは、削除マーク121aの表示位置は移動せず、ユーザが操作しうるLCD120の表示領域に現れない。従って、誤操作された場合の影響が大きい削除マーク121aなどのオブジェクトについて、ユーザが意図しない筐体110の傾けによる誤操作を防止することができる。
【0117】
<5.第5の実施形態>
続いて、本発明の第5の実施形態について説明する。なお、携帯端末100の構成、表示に関する動作および処理については、この第5の実施形態と上述の第1の実施形態とは略同一であるため、詳細説明を省略する。
【0118】
以上で説明した本発明の第5の実施形態では、図1において示される携帯端末100の振動取得部153によって筐体110の振動が取得された場合に、表示制御部154が、このときに傾き取得部151によって取得されている筐体110の傾きの角度を、筐体110の傾きの角度の基準として取得する。
【0119】
かかる構成によって、ユーザの操作姿勢が変化した場合でも、例えば携帯端末100を振るなどの動作によって、ユーザは、携帯端末100がユーザにとっての正面にある状態を基準にして、携帯端末100の傾け操作を行うことができる。
<6.補足>
【0120】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0121】
例えば、上記各実施形態では、情報処理装置の例として携帯端末について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。情報処理装置は、例えばタブレット型のPC(Personal Computer)、携帯用ゲーム機など、表示部を有し、ユーザが傾けることが可能なあらゆる装置でありうる。
【0122】
また、例えば、上記各実施形態では、表示部に表示される画像に対する表示変化として、画像に含まれるオブジェクトの表示位置の移動を例として説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、オブジェクトは、表示位置が移動せずに回転してもよく、また表示位置が移動せずに出現または消失してもよい。
【符号の説明】
【0123】
100 携帯端末(情報処理装置)
110 筐体
120 LCD(表示部)
121 アイコン
121a 削除マーク
121b 削除ボタン
122 アイコンの影
123 背景
124 アイコンの光沢部分
130 タッチパネル
140 加速度センサ
150 CPU
151 傾き取得部
152 接触取得部
153 振動取得部
154 表示制御部
155 抑制制御部
160 記憶部
170 通信部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が表示される表示部が設けられた筐体の傾きを取得する傾き取得部と、
前記表示される画像に、前記取得された筐体の傾きに応じた第1の表示変化、および第2の表示変化を与える表示制御部と、
前記第1の表示変化を抑制する抑制制御部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記第1の表示変化が抑制されている間に、前記表示される画像に前記第2の表示変化を与える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記抑制制御部は、前記取得された筐体の傾きの角度が第1の閾値以下である場合に前記第1の表示変化を抑制する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記表示部へのユーザの接触の継続時間が第2の閾値以上である場合に前記接触を長押し操作として取得する接触取得部をさらに備え、
前記抑制制御部は、前記取得された接触の継続時間が前記第2の閾値以上になる前に、前記取得された筐体の傾きの角度が前記第1の閾値を超えた場合に、前記長押し操作の取得を抑制する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第2の表示変化は、前記取得された筐体の傾きに応じた表示変化である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記表示部へのユーザの接触を取得する接触取得部をさらに備え、
前記抑制制御部は、前記接触が取得された場合に前記第1の表示変化を抑制する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第1の表示変化は、前記表示される画像に含まれるオブジェクトの表示位置の移動である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記表示部へのユーザの接触を操作指示として取得する接触取得部をさらに備え、
前記抑制制御部は、前記取得された接触が前記オブジェクトの移動の操作である場合以外は、前記第1の表示変化を抑制する、
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記第2の表示変化は、前記オブジェクトの影の表示位置の移動である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記第2の表示変化は、前記オブジェクトの光沢部分の表示位置の移動である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記第2の表示変化は、前記表示される画像の背景の変化である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記筐体の振動を取得する振動取得部をさらに備え、
前記表示制御部は、前記振動が検出されたときの前記取得された筐体の傾きの角度を、基準の角度に設定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項13】
画像が表示される表示部が設けられた筐体の傾きを取得するステップと、
前記表示される画像に、前記取得された筐体の傾きに応じた第1の表示変化、および第2の表示変化を与えるステップと、
前記第1の表示変化を抑制するステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項14】
画像が表示される表示部が設けられた筐体の傾きを取得する処理と、
前記表示される画像に、前記取得された筐体の傾きに応じた第1の表示変化、および第2の表示変化を与える処理と、
前記第1の表示変化を抑制する処理と、
をコンピュータに実行させるプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−113600(P2012−113600A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−263408(P2010−263408)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】