説明

情報処理装置、情報処理方法及びそのプログラム

【課題】描画処理能力の異なるグラフィックスチップを安全かつ容易に切り替えることが可能な情報処理装置、情報処理方法及びそのプログラムを提供すること。
【解決手段】情報処理装置は、第1及び第2のグラフィックスチップと、検知手段と、表示手段とを有する。第1のグラフィックスチップは第1の描画処理能力を有する。第2のグラフィックスチップは第2の描画処理能力を有する。検知手段は第1のグラフィックスチップの実行から第2のグラフィックスチップの実行に切り替えるための要求を検知する。表示手段は検知手段により第1のグラフィックスチップの実行から第2のグラフィックスチップの実行に切り替えるための要求が検知されたとき、アプリケーションの終了を誘導する第1の画面を表示する。第1の画面の表示により、グラフィックスチップの切り替えを安全かつ容易に行うようユーザを誘導することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、描画処理を行うためのグラフィックスチップを有する情報処理装置、情報処理方法及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、PC(Personal Computer)等の情報処理装置の高性能化に伴い、情報処理装置において描画処理を担うグラフィックスチップに対しても高い描画処理能力が求められている。その一方で、特にノート型PCにおいては、低消費電力化、ひいてはバッテリ持続時間の延長も求められている。
【0003】
一般的に、グラフィックスチップにおいては、高い描画処理能力を有するグラフィックスチップは消費電力が高く、消費電力の低いグラフィックスチップは消費電力の高いグラフィックスチップに比べて描画処理能力が劣る、という相反関係がある。このため従来は、ノート型PCにグラフィックスチップを搭載するにあたり、描画処理能力は高いが消費電力が高いものか、描画処理能力は低いが消費電力が低いもののいずれか一方を選択せざるを得なかった。
【0004】
そこで近年、2種類のグラフィックスチップを備え、これら2種類のグラフィックスチップを切り替えて使用することを可能とするノート型PCが提供されている。(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開2007−179225号公報(段落[0090]、図6)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された技術によれば、グラフィックスチップを切り替えるとき、ユーザがOS(Operating System)を再起動することが必要とされ、ユーザの利便性に欠ける。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、ユーザの利用目的に応じて描画処理能力の異なるグラフィックスチップを安全かつ容易に切り替えることが可能な情報処理装置、情報処理方法及びそのプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る情報処理装置は、第1のグラフィックスチップと、第2のグラフィックスチップと、検知手段と、表示手段とを具備する。第1のグラフィックスチップは、第1の描画処理能力を有する。第2のグラフィックスチップは、前記第1の描画処理能力と異なる第2の描画処理能力を有する。検知手段は、前記第1のグラフィックスチップの実行から、前記第2のグラフィックスチップの実行に切り替えるための要求を検知する。表示手段は、前記検知手段により前記第1のグラフィックスチップの実行から前記第2のグラフィックスチップの実行に切り替えるための要求が検知されたとき、アプリケーションの終了を誘導する第1の画面を表示する。
【0009】
本発明によれば、表示手段は、検知手段により第1のグラフィックスチップの実行から第2のグラフィックスチップの実行に切り替えるための要求が検知されたとき、アプリケーションの終了を誘導する第1の画面を表示する。第1の画面の表示により、グラフィックスチップの切り替えを安全かつ容易に行うようユーザを誘導することができる。
【0010】
本発明において、情報処理装置は、前記第1の画面の表示が終了したとき、前記実行中のアプリケーションが終了されたか確認する確認手段をさらに具備する。前記表示手段は、前記確認手段により前記アプリケーションが終了されていないと確認されたとき、前記実行中のアプリケーションの終了を再度誘導する第2の画面を表示する。
【0011】
本発明によれば、確認手段は、第1の画面の表示が終了したとき、アプリケーションが終了されたか確認する。これにより、グラフィックスチップの切り替えをさらに安全に行うことが可能となる。また、表示手段は、アプリケーションが終了されていないと確認されたとき、アプリケーションの終了を再度誘導する第2の画面を表示する。これにより、グラフィックスチップの切り替えを安全に行えないおそれがある場合であっても、第2の画面の表示により、グラフィックスチップの切り替えを安全かつ容易に行うようユーザを再度誘導することができる。
【0012】
本発明において、情報処理装置は、切替手段と、制御手段とをさらに具備する。切替手段は、前記第1のグラフィックスチップの実行から前記第2のグラフィックスチップの実行に切り替えるようユーザ操作を入力可能である。制御手段は、前記切替手段へのユーザ操作の入力に基き、前記第1のグラフィックスチップの実行から前記第2のグラフィックスチップの実行に切り替えるよう制御可能である。
【0013】
本発明によれば、切替手段はユーザ操作を入力可能であり、制御手段はこのユーザ操作の入力に基きグラフィックスチップの実行を切り替える。すなわち、ユーザ操作に基いてグラフィックスチップが切り替えられるため、ユーザの意図に反してグラフィックスチップが切り替えられることがない。これにより、グラフィックスチップの切り替えを安全に行うことができる。
【0014】
本発明において、前記検知手段は、前記切替手段へのユーザ操作の入力を検知する。
【0015】
本発明によれば、切替手段へのユーザ操作の入力によりグラフィックスチップの切り替えを要求される場合、アプリケーションの終了を誘導する第1の画面を表示する。第1の画面の表示により、グラフィックスチップの切り替えを安全かつ容易に行うようユーザを誘導することができる。
【0016】
本発明において、前記検知手段は、前記第2のグラフィックスチップの出力信号を生成するための要求を検知する。前記第1の画面は、前記切替手段へのユーザ操作の入力をさらに誘導する。
【0017】
本発明によれば、第2のグラフィックスチップの出力信号を生成するための要求がなされる場合、アプリケーションの終了を誘導する第1の画面を表示する。この第1の画面は、前記切替手段へのユーザ操作の入力をさらに誘導する。第1の画面の表示により、グラフィックスチップの切り替えを安全かつ容易に行うようユーザを誘導することができる。
【0018】
本発明において、前記検知手段は、省電力状態からの復帰を検知する。前記第1の画面は、前記切替手段へのユーザ操作の入力をさらに誘導する。
【0019】
本発明によれば、省電力状態からの復帰時に前記検知手段による切り替えの要求が検知された場合、アプリケーションの終了を誘導する第1の画面を表示する。この第1の画面は、前記切替手段へのユーザ操作の入力をさらに誘導する。第1の画面の表示により、グラフィックスチップの切り替えを安全かつ容易に行うようユーザを誘導することができる。
【0020】
本発明に係る情報処理装置方法は、第1の描画処理能力を有する第1のグラフィックスチップの実行から、前記第1の描画処理能力と異なる第2の描画処理能力を有する第2のグラフィックスチップの実行に切り替えるための要求を検知する。前記第1のグラフィックスチップの実行から前記第2のグラフィックスチップの実行に切り替えるための要求が検知されたとき、アプリケーションの終了を誘導する第1の画面を表示する。
【0021】
本発明によれば、検知手段により第1のグラフィックスチップの実行から第2のグラフィックスチップの実行に切り替えるための要求が検知されたとき、アプリケーションの終了を誘導する第1の画面を表示する。第1の画面の表示により、グラフィックスチップの切り替えを安全かつ容易に行うようユーザを誘導することができる。
【0022】
本発明において、前記第1の画面の表示が終了したとき、前記実行中のアプリケーションが終了されたか確認する。前記確認手段により前記実行中のアプリケーションが終了されていないと確認されたとき、前記アプリケーションの終了を再度誘導する第2の画面を表示する。
【0023】
本発明によれば、第1の画面の表示が終了したとき、アプリケーションが終了されたか確認する。これにより、グラフィックスチップの切り替えをさらに安全に行うことが可能となる。また、アプリケーションが終了されていないと確認されたとき、アプリケーションの終了を再度誘導する第2の画面を表示する。これにより、グラフィックスチップの切り替えを安全に行えないおそれがある場合であっても、第2の画面の表示により、グラフィックスチップの切り替えを安全かつ容易に行うようユーザに再度誘導することができる。
【0024】
本発明において、前記第1のグラフィックスチップの実行から前記第2のグラフィックスチップの実行に切り替えるようユーザ操作を入力する。前記切替手段へのユーザ操作の入力に基き、前記第1のグラフィックスチップの実行から前記第2のグラフィックスチップの実行に切り替えるよう制御する。
【0025】
本発明によれば、入力されたユーザ操作に基いてグラフィックスチップが切り替えられるため、ユーザの意図に反してグラフィックスチップが切り替えられることがない。これにより、グラフィックスチップの切り替えを安全に行うことができる。
【0026】
本発明に係るプログラムは、情報処理装置に、第1の描画処理能力を有する第1のグラフィックスチップの実行から、前記第1の描画処理能力と異なる第2の描画処理能力を有する第2のグラフィックスチップの実行に切り替えるための要求を検知するステップと、前記第1のグラフィックスチップの実行から前記第2のグラフィックスチップの実行に切り替えるための要求が検知されたとき、アプリケーションの終了を誘導する第1の画面を表示するステップとを実行させるためのプログラムである。
【0027】
本発明によれば、プログラムは、情報処理装置に、検知手段により第1のグラフィックスチップの実行から第2のグラフィックスチップの実行に切り替えるための要求が検知されたとき、アプリケーションの終了を誘導する第1の画面を表示させる。第1の画面の表示により、グラフィックスチップの切り替えを安全かつ容易に行うようユーザを誘導することができる。
【0028】
本発明において、前記プログラムは、前記情報処理装置に、前記第1の画面の表示が終了したとき、前記実行中のアプリケーションが終了されたか確認するステップと、前記確認手段により前記アプリケーションが終了されていないと確認されたとき、前記実行中のアプリケーションの終了を再度誘導する第2の画面を表示するステップとをさらに実行させるためのプログラムである。
【0029】
本発明によれば、プログラムは、情報処理装置に、第1の画面の表示が終了したとき、アプリケーションが終了されたか確認させる。これにより、グラフィックスチップの切り替えをさらに安全に行うことが可能となる。また、プログラムは、情報処理装置に、アプリケーションが終了されていないと確認されたとき、アプリケーションの終了を再度誘導する第2の画面を表示させる。これにより、グラフィックスチップの切り替えを安全に行えないおそれがある場合であっても、第2の画面の表示により、グラフィックスチップの切り替えを安全かつ容易に行うようユーザに再度誘導することができる。
【0030】
本発明において、前記プログラムは、前記情報処理装置に、前記第1のグラフィックスチップの実行から前記第2のグラフィックスチップの実行に切り替えるようユーザ操作を入力するステップと、前記切替手段へのユーザ操作の入力に基き、前記第1のグラフィックスチップの実行から前記第2のグラフィックスチップの実行に切り替えるよう制御するステップとをさらに実行させるためのプログラムである。
【0031】
本発明によれば、プログラムは、情報処理装置に、ユーザ操作を入力させ、このユーザ操作の入力に基きグラフィックスチップの実行を切り替えさせる。すなわち、ユーザ操作に基いてグラフィックスチップが切り替えられるため、ユーザの意図に反してグラフィックスチップが切り替えられることがない。これにより、グラフィックスチップの切り替えを安全に行うことができる。
【発明の効果】
【0032】
以上のように、本発明の情報処理装置によれば、ユーザの利用目的に応じて描画処理能力の異なるグラフィックスチップを安全かつ容易に切り替えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
(情報処理装置の構成)
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るノート型PCの構成を示したハードウェアブロック図である。図2は、図1に示すノート型PCの外観を示した斜視図である。
【0034】
図1に示すように、本実施形態に係るノート型PC50(情報処理装置)において、チップセット2は、ノート型PC50の内部において各デバイスとの間のデータの受け渡しを管理するチップであり、ノースブリッジ3とサウスブリッジ4とから構成される。
【0035】
ノースブリッジ3は、内蔵グラフィックスチップ5やメモリコントローラ(図示せず)等を内蔵し、またCPU(Central Processing Unit)1及び外部グラフィックスチップ10と接続される。サウスブリッジ4は、不揮発性メモリ15やEC(Embedded Controller)6等の各周辺デバイスとの接続インターフェースを有する。
【0036】
内蔵グラフィックスチップ5及び外部グラフィックスチップ10は、CPU1から受け取ったデータを基に描画処理を行い、生成した映像信号をLCD(Liquid Crystal Display)13へ表示させるためにスイッチIC12へ出力する。本実施形態においては、内蔵グラフィックスチップ5よりも外部グラフィックスチップ10の方が高い描画処理能力を有するものとする。
【0037】
内蔵グラフィックスチップ5は、外部グラフィックスチップ10に比べて描画処理能力に劣るが、消費電力は低い。一方、外部グラフィックスチップ10は3D処理や高解像度描画処理等において高い描画処理能力を有する反面、自身及び周辺デバイスを駆動するために消費電力は高くなり、ノート型PC50のシステム全体に対する電力負荷も高くなる。
【0038】
すなわち、外部グラフィックスチップ10は、例えばコネクタ17にHDMI端子やDVI端子を介して外部モニタ18が接続された場合に有用である。外部グラフィックスチップ10は、AC(Alternating Current)アダプタが接続された場合、ブルーレイディスクドライブを駆動する場合、3Dアプリケーションを実行する場合、高解像度画像を表示する場合等にも有用である。内蔵グラフィックスチップ5は、接続されているACアダプタが取り外された場合、バッテリ値が閾値まで低下した場合、バッテリ温度が閾値まで上昇した場合、ファンの回転数を低減させ静音化させたい場合等に有用である。
【0039】
本実施形態においては、内蔵グラフィックスチップ5の有する上記特性を「スタミナ(STAMINA)」と呼び、外部グラフィックスチップ10の有する上記特性を「スピード(SPEED)」と呼ぶことがある。同様に、内蔵グラフィックスチップ5が実行される状態を「スタミナ(STAMINA)モード」と呼び、外部グラフィックスチップ10が実行される状態を「スピード(SPEED)モード」と呼ぶことがある。
【0040】
なお、本実施形態においてグラフィックスチップを「実行」するとは、電源供給を制御して、何れかのグラフィックスチップに映像信号を出力させる状態をいう。
【0041】
本実施形態においては、このように描画処理能力の異なる内蔵グラフィックスチップ5と外部グラフィックスチップ10の何れかを選択して描画処理を行うことが可能となっている。
【0042】
不揮発性メモリ15は、例えばROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ等である。
【0043】
EC6は、キーボード、タッチパッド、マウス等の入力部9の制御を行うKBC(Keyboard Controller)、電力制御に関する規格であるACPI(Advanced Configuration and Power Interface)に対応した電源管理を行うACPI/EC機能を持つほか、BIOSとのデータの受け渡しを行う共有メモリ空間を有している。
【0044】
EC6は、上記KBCによりユーザの入力部9の押下操作を検出し、OS等の上位システムに対して、スキャンコードと呼ばれる情報を通知することができる。またEC6は、BIOSとの通信を行うためのインターフェースを有し、コマンドやデータの授受を行なうことができる。
【0045】
EC6には、グラフィックス切り替えスイッチ7(パフォーマンス切り替えスイッチ)と、グラフィックス選択表示LED(Light Emitting Diode)8(8a、8b)と、外部グラフィックスチップ用電源回路11と、ファン14と、接続検出部16が接続されている。
【0046】
グラフィックス切り替えスイッチ7は、上記内蔵グラフィックスチップ5と外部グラフィックスチップ10の何れかの使用をユーザが選択操作するためのスイッチである。図2に示すように、グラフィックス切り替えスイッチ7は、入力部9の上部に例えばスライドスイッチのようなメカニカルスイッチとして設けられている。
【0047】
なお、グラフィックスチップの選択にあたっては、例えばノート型PC50が有するアプリケーションソフト類やユーティリティソフト等を用いて、GUI(Graphical User Interface)によるスイッチとする実装形態も考えられる。しかし、この場合には、アプリケーションソフトを探し出し、それを起動し、グラフィックスチップを切り替えるための入力操作を行うなど、複数ステップの作業が必要であり、また高度な知識も必要となる。そこで、本実施形態においては、上述のようなメカニカルスイッチとすることによって、ユーザは複雑な操作をすることなくグラフィックスチップを選択することが可能となる。
【0048】
グラフィックス選択表示LED8(8a、8b)は、何れのグラフィックスチップが実行されているかをLEDの点灯によりユーザに報知するものであり、図2に示すように、例えばグラフィックス切り替えスイッチ7の両端近傍に設けられる。例えばLED表示部を2つ設けて、選択されているグラフィックスチップに対応したLED表示部を点灯させるようにする。2つのLED表示部には、選択しているグラフィックスチップが視覚的に容易に理解できるように、例えば、グラフィックス選択表示LED8aにSTAMINA、グラフィックス選択表示LED8bにSPEEDといった文字表示を設けてもよい。
【0049】
なお、実行されているグラフィックスチップが何れであるかを確認する従来の方法としては、例えば一般的なOSであるMicrosoft Windows(登録商標) Vistaにおいてデバイスマネージャ上から行う方法がある。しかし、デバイスマネージャを開くためには「コントロールパネル」を起動し、「システムとメンテナンス」を選択し、「システム」を選択し、「タスク」のリストから「デバイスマネージャ」を選択実行し、ツリー上の表示から「ディスプレイアダプタ」を選択するといった複数の複雑なステップが必要であり、一般ユーザには非常に分かりにくいものとなっている。そこで本実施形態においては、上記のLEDのような表示機能を有することによって、操作を必要とせず、視覚的に分かりやすくすることを可能としている。
【0050】
外部グラフィックスチップ用電源回路11は、EC6から出力される電源ON/OFF制御信号に基づいて、外部グラフィックスチップ10に対する電源の供給/非供給を切り替える回路である。すなわち、上記内蔵グラフィックスチップ5の使用時には、外部グラフィックスチップ10の機能を停止する。これとともに、当該外部グラフィックスチップ用電源回路11により、外部グラフィックスチップ10及び周辺回路への電力供給を停止することにより、ノート型PC50全体の消費電力を抑えることが可能となる。
【0051】
なお、外部グラフィックスチップ用電源回路11がONされ、外部グラフィックスチップ10に対して電源が供給される電源設定を「標準設定」と呼ぶことがある。また、外部グラフィックスチップ用電源回路11がOFFされ、外部グラフィックスチップ10に対して電源供給が停止される電源設定を「スタミナ設定」と呼ぶことがある。
【0052】
ファン14は、CPU1等から発生する熱を放熱するためのものである。EC6は、上記グラフィックスチップの選択状況に応じて、当該ファン14の駆動も制御してもよい。具体的には、内蔵グラフィックスチップ5が選択されている場合には外部グラフィックスチップ10が選択されている場合に比べてファン14の回転数を下げるようにすればよい。これにより、グラフィックスチップに応じたファン14の適切な制御が可能となる。
【0053】
接続検出部16は、EC6に接続されるとともに、ノート型PC50の筐体に設けられたコネクタ17に接続される。コネクタ17には、例えば外部モニタ18が接続可能である。接続検出部16は、コネクタ17に外部モニタ18が接続されたことを検出する。検出された外部モニタ18の接続は、EC6へ伝達される。
【0054】
スイッチIC12は、内蔵グラフィックスチップ5及び外部グラフィックスチップ10の何れかから出力される映像信号を切り替えてLCD13へ出力するICである。EC6は、グラフィックスチップの選択状況に応じて、当該スイッチIC12へ映像切替信号を出力し、各グラフィックスチップから出力される映像信号の切り替えを制御することが可能となっている。
【0055】
LCD13は、例えば図2に示すようなノート型PC50に内蔵の液晶ディスプレイパネルを指すが、これ以外にも、DVI端子(Digital Visual Interface)やHDMI端子(High-Definition Multimedia Interface)によりコネクタ17を介してノート型PC50の外部に接続するディスプレイを適用することができる。本実施形態では、内蔵グラフィックスチップ5と外部グラフィックスチップ10のそれぞれに別々の表示部を持たせるのでなく、表示部は共通化して、上記EC6が制御してスイッチIC12へ出力する上記映像切替信号に基づいて映像信号の切り替えを行っている。
【0056】
なお図示しないが、ノート型PC50は、上記各ブロック以外にも、HDD(Hard Disk Drive)、ブルーレイディスクドライブ等の外部記憶装置、各種バスや端子等のインターフェース等、コンピュータとして必要な機能及びデバイスを有している。
【0057】
このように本実施形態においては、グラフィックスチップの切り替え用のマイコンを新たに搭載することなく、従来から入力装置や電源の制御用にノート型PCに搭載されているEC6を用いることでグラフィックスチップの切り替えを実現している。これにより、追加コストの発生や基板面積の拡大、電力消費の発生を抑えることができる。
【0058】
(情報処理装置のレイヤー構成)
次に、ノート型PC50が有するソフトウェア及びハードウェアのレイヤー構成について説明する。図3は、ノート型PC50が有するソフトウェア及びハードウェアのレイヤー構成図である。
【0059】
図3に示すように、ノート型PC50においては、ハードウェア上に、BIOS23、OS上で働くユーティリティソフト21、FEP.sys22及びグラフィックスドライバソフト24といったソフトウェアが階層的に実装されている。ハードウェアとして、チップセット2(ノースブリッジ3)、チップセット2に接続された内蔵グラフィックスチップ5及び外部グラフィックスチップ10が挙げられる。さらに、ハードウェアとして、グラフィックス切り替えスイッチ7、グラフィックス選択表示LED8(8a、8b)、外部モニタ18に接続されたコネクタ17、コネクタ17に接続された接続検出部16が挙げられる。EC6は、これらハードウェアとソフトウェアとのインターフェースとしての役割を果たしている。
【0060】
ユーティリティソフト21は、OSや他のアプリケーションソフトの持つ機能を補い、機能や性能、操作性を向上させるソフトウェアである。本実施形態においては、ユーザへの注意事項の提示、ユーザの意思を反映するためのGUIとして機能する。
【0061】
FEP.sys22は、OS上で働く上記ユーティリティソフト21とBIOS23との橋渡しをするためのドライバソフトウェアである。すなわち、BIOS23とユーティリティソフト21との通信は、FEP.sys22を経由して行われる仕組みとなっている。またBIOS23とEC6との通信は、EC6上の共有メモリ空間を通して行われる。ユーティリティソフト21とEC6との通信を行う際は、これらの経路を通して行われる。
【0062】
BIOS23は、ノート型PC50の電源投入直後に各デバイスの初期化処理やテストを行うソフトウェアである。またBIOS23は、OSの起動前に各グラフィックスチップの初期化処理も行う。
【0063】
具体的には、BIOS23は、POST(Power On Self Test)と呼ばれる、システム起動開始からWindows(登録商標)等のOS側へ制御権を譲るまでの処理を行うためのプログラムを内蔵している。POSTの主な目的は、ノート型PC50の電源投入時に自動的に各機器のテストを実行し、グラフィックス、メモリ、ディスク等のハードウェアに異常がないかを調べることであるが、それと同時に、各グラフィックスチップの初期化も行っている。
【0064】
BIOS23はEC6との通信インターフェースを有している。そして、BIOS23はEC6に対して、グラフィックス選択表示LED8(8a、8b)の点灯ON/OFFの指示、外部グラフィックスチップ10と内蔵グラフィックスチップ5との表示切り替え及び外部グラフィックスチップ10用電源回路11のON/OFFの指示、グラフィックス切り替えスイッチ7の状態取得の指示、といった要求を行う。
グラフィックスドライバソフト24は、グラフィックスの描画を司るデバイスドライバであるが、本実施形態においては使用するグラフィックスチップの切り替え動作の制御も行っている。グラフィックスドライバソフト24は、OSの起動時においては、グラフィックス切り替えスイッチ7の状態取得を行い、BIOS23に対し、選択されたグラフィックスチップへの切り替え要求を行う。グラフィックスドライバソフト24は、FEP.sys22及びBIOS23を経由してユーティリティソフト21からのグラフィックチップ切り替え要求があった場合も、BIOS23に対し切り替え要求を行う。
【0065】
(情報処理装置の動作)
次に、以上のように構成されたノート型PC50におけるグラフィックスチップの切り替え動作について説明する。
【0066】
図4は、ノート型PC50におけるグラフィックスチップの切り替え手順の一例を示すフローチャートである。具体的には、外部グラフィックスチップ10が実行されているとき、ユーザがグラフィックス切り替えスイッチ7をSTAMINA側へと操作した場合の切り替え動作を示す。
【0067】
ユーザがグラフィックス切り替えスイッチ7を操作する前は、図6(a)に示すように、グラフィックス切り替えスイッチ7はSPEED側に位置し、グラフィックス選択表示LED8bが点灯している。また、外部グラフィックスチップ10が実行されている。なお、図6においては、白抜きのグラフィックス選択表示LED8(8a、8b)は滅灯状態を示し、ベタ塗りのグラフィックス選択表示LED8(8a、8b)は点灯状態を示す。
【0068】
図4に示すように、まず、EC6は、外部グラフィックスチップ10を実行中に、グラフィックス切り替えスイッチ7がSTAMINA側へと操作されたことを検出すると(ステップ101、図6(b))、この変化をBIOS23通してユーティリティソフト21へ通知する。
【0069】
通知を受けたユーティリティソフト21は、外部グラフィックスチップ10が、図5に示す第1の画面110をLCD13に表示するよう制御する(ステップ102)。
【0070】
具体的には、第1の画面110は以下のような内容を含む。すなわち、第1の画面110は、グラフィックスチップをSTAMINAモード(すなわち内蔵グラフィックスチップ5)に切り替え、電源設定をスタミナ設定に切り替えようとすることをユーザに通知する。また、第1の画面110は、実行中のアプリケーションを全て終了するようユーザを誘導する。アプリケーションを終了しないで切り替えると、アプリケーションが異常終了し、保存していないデータが失われるおそれがあるためである。また、第1の画面110は、切り替えを中止する場合には、グラフィックス切り替えスイッチ7をSPEED側へと戻すようユーザを誘導する。さらに、第1の画面は、切り替え処理を開始してから完了するまでしばらく画面が暗くなり、表示が一時的に乱れる可能性があることをユーザに伝える。
【0071】
このように、アプリケーションの終了をユーザに促すことで、グラフィックスチップを安全に切り替えることができるとともに、グラフィックスチップの変更によりユーザの許可なく保存していないデータが失われるのを防ぐことができる。
【0072】
ユーザが第1の画面110の表示に誘導されてモードの切り替えに同意した場合、ユーザは第1の画面110の「OK」111をクリックする。ユーティリティソフト21は、この「OK」111のクリックを検出する(ステップ103のYes)。
【0073】
この場合、ユーティリティソフト21は、外部グラフィックスチップ10が第1の画面110の表示を終了するよう制御する(ステップ104)。
【0074】
なお、ユーティリティソフト21が「OK」111のクリックを検出しなかった場合(ステップ103のNo)については後述する。
【0075】
外部グラフィックスチップ10が第1の画面110の表示を終了すると、ユーティリティソフト21は実行中のアプリケーションの有無を判断する(ステップ105)。
【0076】
このように、実行中のアプリケーションの有無を判断することは、以下のような場合に有用である。すなわち、ユーザがモードの切り替えに同意すなわち第1の画面110の「OK」111をクリックした場合であっても、アプリケーションが全て終了されているとは限らない。例えば、「OK」111をクリックし第1の画面110を閉じてからアプリケーションを終了しようとユーザが考えているような可能性もある。そのような場合に、実行中のアプリケーションを検出することで、ユーザの意に反してモードの切り替えが実行されることを防ぐことができる。
【0077】
ユーティリティソフト21が実行中のアプリケーションが無いと判断した場合(ステップ105のNo)、ユーティリティソフト21は、グラフィックスチップの切り替え要求ををFEP.sys22経由でグラフィックスチップの切り替え要求をBIOS23へ通知する。BIOS23は、グラフィックスドライバソフト24に切り替え要求があったことを通知し、グラフィックスドライバソフト24からBIOS23経由でEC6に対し切り替えに伴う処理を要求する。これを受けEC6は、電源ON/OFF制御信号を外部グラフィックスチップ用電源回路11に出力し、外部グラフィックスチップ10への電源の供給を停止させる。さらに、EC6は、映像切替信号をスイッチIC12に出力し、グラフィックスチップから出力される映像信号の切り替えを制御させる。切り替え処理が完了すると、グラフィックスドライバソフト24からBIOS23に対し再度通知が行われる。これによりEC6は、グラフィックス選択表示LED8bを滅灯し、グラフィックス選択表示LED8aを点灯する(ステップ109、図6(c))。
【0078】
ユーティリティソフト21が実行中のアプリケーションがあると判断した場合(ステップ105のYes)、ユーティリティソフト21は、外部グラフィックスチップ10が図7に示す第2の画面210をLCD13に表示するよう制御する(ステップ106)。具体的には、第2の画面210は以下のような内容を含む。すなわち、第2の画面210は、アプリケーションを終了しないで切り替えると、保存していないデータが失われるおそれがあることを忠告し、実行中のアプリケーションを全て終了するよう再度ユーザを誘導する。第2の画面210は、例えば第1の画面110よりもさらに強い語調で誘導するようなメッセージである。また、切り替えを中止する場合には、グラフィックス切り替えスイッチ7をSPEED側へと戻すようユーザを誘導する。
【0079】
このように、アプリケーションの終了を再度ユーザに強く促すことで、グラフィックスチップを安全に切り替えることができるとともに、グラフィックスチップの変更によりユーザの許可なく保存していないデータが失われるのを防ぐことができる。
【0080】
ユーザが第2の画面210の表示に誘導されてモードの切り替えに同意した場合、ユーザは第2の画面210の「OK」211をクリックする。ユーティリティソフト21は、この「OK」211のクリックを検出する(ステップ107のYes)。
【0081】
この場合、ユーティリティソフト21は、外部グラフィックスチップ10が第2の画面210の表示を終了するよう制御する(ステップ108)。
【0082】
なお、ユーティリティソフト21が「OK」211のクリックを検出しなかった場合(ステップ107のNo)については後述する。
【0083】
外部グラフィックスチップ10が第2の画面210の表示を終了すると、ユーティリティソフト21は、グラフィックスチップの切り替え要求をFEP.sys22経由でBIOS23へ通知する。BIOS23は、グラフィックスドライバソフト24に切り替え要求があったことを通知し、グラフィックスドライバソフト24からBIOS23経由でEC6に対し切り替えに伴う処理を要求する。これを受けEC6は、電源ON/OFF制御信号を外部グラフィックスチップ用電源回路11に出力し、外部グラフィックスチップ10への電源の供給を停止させる。さらに、EC6は、映像切替信号をスイッチIC12に出力し、グラフィックスチップから出力される映像信号の切り替えを制御させる。切り替え処理が完了すると、グラフィックスドライバソフト24からBIOS23に対し再度通知が行われる。これによりEC6は、グラフィックス選択表示LED8bを滅灯し、グラフィックス選択表示LED8aを点灯する(ステップ109、図6(c))。
【0084】
次に、ステップ103において、ユーティリティソフト21が「OK」111のクリックを検出しなかった場合(ステップ103のNo)について説明する。
【0085】
ユーザが、アプリケーションを終了したくない等の理由でSTAMINAモードへの切り替えを中止しようとする場合、ユーザは第1の画面110の「OK」111をクリックせずにグラフィックス切り替えスイッチ7をSPEED側へと戻す。EC6は、このグラフィックス切り替えスイッチ7の操作を検出する(ステップ110のYes)。なお、EC6がグラフィックス切り替えスイッチ7の操作を検出するまで、ステップ103とステップ111とが繰り返し実行される(ステップ110のNo)。
【0086】
EC6がグラフィックス切り替えスイッチ7の操作を検出すると、EC6は、BIOS23を通してユーティリティソフト21に操作の検出を通知する。ユーティリティソフト21は、外部グラフィックスチップ10が第1の画面110の表示を終了するよう制御する(ステップ111)。これにより、グラフィックスチップの切り替えを行わずにフローが終了する。
【0087】
ステップ107において、ユーティリティソフト21が「OK」211のクリックを検出しなかった場合(ステップ107のNo)も、上記と同様の処理が行われる。
【0088】
すなわち、ユーザが、アプリケーションを終了したくない等の理由でSTAMINAモードへの切り替えを中止しようとする場合、ユーザは第2の画面210の「OK」211をクリックせずにグラフィックス切り替えスイッチ7をSPEED側へと戻す。EC6は、このグラフィックス切り替えスイッチ7の操作を検出する(ステップ112のYes)。なお、EC6がグラフィックス切り替えスイッチ7の操作を検出するまで、ステップ107とステップ112とが繰り返し実行される(ステップ112のNo)。
【0089】
EC6がグラフィックス切り替えスイッチ7の操作を検出すると、EC6は、BIOS23を通してユーティリティソフト21に操作の検出を通知する。ユーティリティソフト21は、外部グラフィックスチップ10が第2の画面210の表示を終了するように制御する(ステップ113)。これにより、グラフィックスチップの切り替えを行わずにフローが終了する。
【0090】
上述した切り替え手順によれば、ノート型PC50を再起動することなく、実行中のアプリケーションを終了すれば、外部グラフィックスチップ10から内蔵グラフィックスチップ5への切り替えを安全に行うことができる。さらに、アプリケーションの終了を複数回ユーザに誘導することで、より切り替えを安全に行うことが可能となる。また、ユーザにとっては再起動が必要とされず、必要とされる動作が、実行中のアプリケーションの終了のほかには切り替えスイッチ7の操作に限定される。一方、再起動する場合ユーザには、実行中のアプリケーションの終了のほかに、再起動動作と、再起動完了までの待機等が要求され、ユーザにとっては煩わしいものになる。しかしながら、上述した切り替え手順によれば、実行中のアプリケーションの終了のほかには切り替えスイッチ7の操作をするだけでよいので、ユーザの利便性が向上される。
【0091】
次に、ノート型PC50におけるグラフィックスチップの切り替え手順の他の一例について説明する。
【0092】
図8は、ノート型PC50におけるグラフィックスチップの切り替え手順の他の一例を示すフローチャートである。具体的には、内蔵グラフィックスチップ5が実行されているとき、ユーザがグラフィックス切り替えスイッチ7をSPEED側へと操作した場合の切り替え動作を示す。
【0093】
ユーザがグラフィックス切り替えスイッチ7を操作する前は、図6(c)に示すように、グラフィックス切り替えスイッチ7はSTAMINA側に位置し、グラフィックス選択表示LED8aが点灯している。また、電源設定はスタミナ設定であり、外部グラフィックスチップ10が実行されている。
【0094】
図8に示すように、まず、EC6は、外部グラフィックスチップ10を実行中に、グラフィックス切り替えスイッチ7がSPEED側へと操作されたことを検出すると(ステップ201、図6(d))、BIOS23を通してこの変化をユーティリティソフト21へ通知する。
【0095】
通知を受けたユーティリティソフト21は、内蔵グラフィックスチップ5が、図9に示す第3の画面310をLCD13に表示するよう制御する(ステップ202)。
【0096】
具体的には、第3の画面310は以下のような内容を含む。すなわち、第3の画面310は、グラフィックスチップをSPEEDモード(すなわち外部グラフィックスチップ10)に切り替え、電源設定を標準設定に切り替えようとすることをユーザに通知する。また、第3の画面310は、実行中のアプリケーションを全て終了するようユーザを誘導する。アプリケーションを終了しないで切り替えると、アプリケーションが異常終了し、保存していないデータが失われるおそれがあるためである。また、第3の画面310は、切り替えを中止する場合には、グラフィックス切り替えスイッチ7をSTAMINA側へと戻すようユーザを誘導する。さらに、第3の画面は、切り替え処理を開始してから完了するまでしばらく画面が暗くなり、表示が一時的に乱れる可能性があることをユーザに伝える。
【0097】
このように、アプリケーションの終了をユーザに促すことで、グラフィックスチップを安全に切り替えることができるとともに、グラフィックスチップの変更によりユーザの許可なく保存していないデータが失われるのを防ぐことができる。
【0098】
ユーザが第3の画面310の表示に誘導されてモードの切り替えに同意した場合、ユーザは第3の画面310の「OK」311をクリックする。ユーティリティソフト21は、この「OK」311のクリックを検出する(ステップ203のYes)。
【0099】
この場合、ユーティリティソフト21は、内蔵グラフィックスチップ5が第3の画面310の表示を終了するよう制御する(ステップ204)。
【0100】
なお、ユーティリティソフト21が「OK」311のクリックを検出しなかった場合(ステップ203のNo)については後述する。
【0101】
外部グラフィックスチップ10が第3の画面310の表示を終了すると、ユーティリティソフト21は実行中のアプリケーションの有無を判断する(ステップ205)。
【0102】
このように、実行中のアプリケーションの有無を判断することは、以下のような場合に有用である。すなわち、ユーザがモードの切り替えに同意すなわち第3の画面310の「OK」311をクリックした場合であっても、アプリケーションが全て終了されているとは限らない。例えば、「OK」311をクリックし第3の画面310を閉じてからアプリケーションを終了しようとユーザが考えているような可能性もある。そのような場合に、実行中のアプリケーションを検出することで、ユーザの意に反してモードの切り替えが実行されることを防ぐことができる。
【0103】
ユーティリティソフト21が実行中のアプリケーションが無いと判断した場合(ステップ205のNo)、ユーティリティソフト21は、グラフィックスチップの切り替え要求をFEP.sys22経由でBIOS23へ通知する。BIOS23は、グラフィックスドライバソフト24に切り替え要求があったことを通知し、グラフィックスドライバソフト24からBIOS23経由でEC6に対し切り替えに伴う処理を要求する。これを受け、EC6は、電源ON/OFF制御信号を外部グラフィックスチップ用電源回路11に出力し、外部グラフィックスチップ10への電源の供給を開始させる。さらに、EC6は、映像切替信号をスイッチIC12に出力し、グラフィックスチップから出力される映像信号の切り替えを制御させる。切り替え処理が完了すると、グラフィックスドライバソフト24からBIOS23に対し通知が行われる。これによりEC6は、グラフィックス選択表示LED8aを滅灯し、グラフィックス選択表示LED8bを点灯する(ステップ209、図6(a))。
【0104】
ユーティリティソフト21が実行中のアプリケーションがあると判断した場合(ステップ205のYes)、ユーティリティソフト21は、内蔵グラフィックスチップ5が図7に示す第2の画面210をLCD13に表示するよう制御する(ステップ206)。具体的には、第2の画面210は以下のような内容を含む。すなわち、第2の画面210は、アプリケーションを終了しないで切り替えると、保存していないデータが失われるおそれがあることを忠告し、実行中のアプリケーションを全て終了するよう再度ユーザを誘導する。第2の画面210は、例えば第3の画面310よりもさらに強い語調で誘導するようなメッセージである。また、切り替えを中止する場合には、グラフィックス切り替えスイッチ7をSTAMINA側へと戻すようユーザを誘導する。
【0105】
このように、アプリケーションの終了を再度ユーザに強く促すことで、グラフィックスチップを安全に切り替えることができるとともに、グラフィックスチップの変更によりユーザの許可なく保存していないデータが失われるのを防ぐことができる。
【0106】
ユーザが第2の画面210の表示に誘導されてモードの切り替えに同意した場合、ユーザは第2の画面210の「OK」211をクリックする。ユーティリティソフト21は、この「OK」211のクリックを検出する(ステップ207のYes)。
【0107】
この場合、ユーティリティソフト21は、内蔵グラフィックスチップ5が第2の画面210の表示を終了するよう制御する(ステップ208)。
【0108】
なお、ユーティリティソフト21が「OK」211のクリックを検出しなかった場合(ステップ207のNo)については後述する。
【0109】
内蔵グラフィックスチップ5が第2の画面210の表示を終了すると、ユーティリティソフト21は、グラフィックスチップの切り替え要求をFEP.sys22経由でBIOS23へ通知する。BIOS23は、グラフィックスドライバソフト24に切り替え要求があったことを通知し、グラフィックスドライバソフト24からBIOS23経由でEC6に対し切り替えに伴う処理を要求する。これを受けEC6は、電源ON/OFF制御信号を外部グラフィックスチップ用電源回路11に出力し、外部グラフィックスチップ10への電源の供給を開始させる。さらに、EC6は、映像切替信号をスイッチIC12に出力し、グラフィックスチップから出力される映像信号の切り替えを制御させる。切り替え処理が完了すると、グラフィックスドライバソフト24からBIOS23に対し通知が行われる。これによりEC6は、グラフィックス選択表示LED8aを滅灯し、グラフィックス選択表示LED8bを点灯する(ステップ209、図6(a))。
【0110】
次に、ステップ203において、ユーティリティソフト21が「OK」311のクリックを検出しなかった場合(ステップ203のNo)について説明する。
【0111】
ユーザが、アプリケーションを終了したくない等の理由でSPEEDモードへの切り替えを中止しようとする場合、ユーザは第3の画面310の「OK」311をクリックせずにグラフィックス切り替えスイッチ7をSTAMINA側へと戻す。EC6は、このグラフィックス切り替えスイッチ7の操作を検出する(ステップ210のYes)。なお、EC6がグラフィックス切り替えスイッチ7の操作を検出するまで、ステップ203とステップ211とが繰り返し実行される(ステップ210のNo)。
【0112】
EC6がグラフィックス切り替えスイッチ7の操作を検出すると、EC6は、BIOS23を通してユーティリティソフト21に操作の検出を通知する。ユーティリティソフト21は、内蔵グラフィックスチップ5が第3の画面310の表示を終了するよう制御する(ステップ211)。これにより、グラフィックスチップの切り替えを行わずにフローが終了する。
【0113】
ステップ207において、ユーティリティソフト21が「OK」211のクリックを検出しなかった場合(ステップ207のNo)も、上記と同様の処理が行われる。
【0114】
すなわち、ユーザが、アプリケーションを終了したくない等の理由でSPEEDモードへの切り替えを中止しようとする場合、ユーザは第2の画面210の「OK」211をクリックせずにグラフィックス切り替えスイッチ7をSTAMINA側へと戻す。EC6は、このグラフィックス切り替えスイッチ7の操作を検出する(ステップ212のYes)。なお、EC6がグラフィックス切り替えスイッチ7の操作を検出するまで、ステップ207とステップ212とが繰り返し実行される(ステップ212のNo)。
【0115】
EC6がグラフィックス切り替えスイッチ7の操作を検出すると、EC6は、BIOS23を通してユーティリティソフト21に操作の検出を通知する。ユーティリティソフト21は、内蔵グラフィックスチップ5が第2の画面210の表示を終了するように制御する(ステップ213)。これにより、グラフィックスチップの切り替えを行わずにフローが終了する。
【0116】
次に、ノート型PC50におけるグラフィックスチップの切り替え手順の他の一例について説明する。
【0117】
図10は、ノート型PC50におけるグラフィックスチップの切り替え手順の他の一例を示すフローチャートである。具体的には、内蔵グラフィックスチップ5が起動しているとき、内蔵グラフィックスチップ5でサポートされていない外部モニタ18がコネクタ17を介してノート型PC50に接続された場合の切り替え手順である。ここでは、HDMI端子やDVI端子がコネクタ17に接続された場合を説明する。
【0118】
ユーザがグラフィックス切り替えスイッチ7を操作する前は、図6(c)に示すように、グラフィックス切り替えスイッチ7はSTAMINA側に位置し、グラフィックス選択表示LED8aが点灯している。また、電源設定はスタミナ設定であり、外部グラフィックスチップ10が実行されている。
【0119】
図10に示すように、接続検出部16は、外部グラフィックスチップ10を実行中に、コネクタ17に外部モニタ18が接続されたことを検出すると(ステップ301)、これをEC6に通知する。通知を受けたEC6は、これをBIOS23を通してユーティリティソフト21に通知する。
【0120】
通知を受けたユーティリティソフト21は、内蔵グラフィックスチップ5が、図11に示す第4の画面410をLCD13に表示するよう制御する(ステップ302)。
【0121】
具体的には、第4の画面410は以下のような内容を含む。すなわち、第4の画面410は、グラフィックス切り替えスイッチ7をSPEEDへと操作するようユーザを誘導する。HDMI端子やDVI端子は内蔵グラフィックスチップ5ではサポートされていないためである。また、第4の画面410は、実行中のアプリケーションを全て終了するようユーザを誘導する。アプリケーションを終了しないで切り替えると、アプリケーションが異常終了し保存していないデータが失われるおそれがあるためである。また、第4の画面410は、切り替え処理を開始してから完了するまでしばらく画面が暗くなり、表示が一時的に乱れる可能性があることをユーザに伝える。
【0122】
このように、ユーザにグラフィックスチップを切り替える意図がない場合であっても、内蔵グラフィックスチップ5でサポートされていない外部モニタ18が接続された場合に、グラフィックス切り替えスイッチ7を操作するようユーザを誘導する。これにより、外部モニタ18を使用可能とするために、ユーザの意図に反してグラフィックスチップが切り替えられることを防いでいる。あるいは、外部モニタ18が機械的に接続されたにもかかわらず、グラフィックスチップが切り替えられないために外部モニタ18が駆動しないという状況も防いでいる。また、アプリケーションの終了をユーザに促すことで、グラフィックスチップを安全に切り替えることができるとともに、グラフィックスチップの変更によりユーザの許可なく保存していないデータが失われるのを防ぐことができる。
【0123】
ユーザは、例えば、外部モニタ18が機械的に接続されたが、外部モニタ18を使用する意図がない場合、第4の画面410の「閉じる」411をクリックする。ユーティリティソフト21は、この「閉じる」411のクリックを検出する(ステップ303のYes)。クリックを検出すると、ユーティリティソフト21は、内蔵グラフィックスチップ5が、第4の画面410の表示を終了するよう制御する(ステップ311)。これにより、切り替え処理のフローが終了する。
【0124】
ユーティリティソフト21が、第4の画面410の「閉じる」411のクリックを検出しない場合(ステップ303のNo)について説明する。第4の画面410に誘導されたユーザが、SPEEDモードへの切り替えを行いたい場合、ユーザはグラフィックス切り替えスイッチ7をSPEED側へと操作する。すなわち、ユーティリティソフト21は、「閉じる」411のクリックを検出するより先に、グラフィックス切り替えスイッチ7のSPEED側への操作を検出する(ステップ304のYes、図6(d))。
【0125】
なお、EC6がグラフィックス切り替えスイッチ7の操作を検出するまで、ステップ303とステップ304とが繰り返し実行される(ステップ304のNo)。ユーティリティソフト21がグラフィックス切り替えスイッチ7の操作を検出すると、ユーティリティソフト21は、内蔵グラフィックスチップ5が第4の画面410の表示を終了するよう制御する(ステップ305)。
【0126】
内蔵グラフィックスチップ5が第4の画面410の表示を終了すると、ユーティリティソフト21は実行中のアプリケーションの有無を判断する(ステップ306)。
【0127】
このように、実行中のアプリケーションの有無を判断することは、以下のような場合に有用である。すなわち、ユーザがモードの切り替えに同意すなわちグラフィックス切り替えスイッチ7をSPEED側に移動し、ユーティリティソフト21がグラフィックス切り替えスイッチ7の操作を検出した場合であっても、アプリケーションが全て終了されているとは限らない。例えば、グラフィックス切り替えスイッチ7をSPEED側に移動してからアプリケーションを終了しようとユーザが考えているような可能性もある。そのような場合に、実行中のアプリケーションの有無を確認することで、ユーザの意に反してモードの切り替えが実行されることを防ぐことができる。
【0128】
ユーティリティソフト21が実行中のアプリケーションが無いと判断した場合(ステップ306のNo)、ユーティリティソフト21は、グラフィックスチップの切り替え要求をFEP.sys22経由でBIOS23へ通知する。BIOS23は、グラフィックスドライバソフト24に切り替え要求があったことを通知し、グラフィックスドライバソフト24からBIOS23経由でEC6に対し切り替えに伴う処理を要求する。これを受けEC6は、電源ON/OFF制御信号を外部グラフィックスチップ用電源回路11に出力し、外部グラフィックスチップ10への電源の供給を開始させる。さらに、EC6は、映像切替信号をスイッチIC12に出力し、グラフィックスチップから出力される映像信号の切り替えを制御させる。切り替え処理が完了すると、グラフィックスドライバソフト24からBIOS23に対し通知が行われる。これによりEC6は、グラフィックス選択表示LED8aを滅灯し、グラフィックス選択表示LED8bを点灯する(ステップ310、図6(a))。
【0129】
ユーティリティソフト21が、実行中のアプリケーションがあると判断した場合(ステップ306のYes)、ユーティリティソフト21は、内蔵グラフィックスチップ5が図7に示す第2の画面210をLCD13に表示するよう制御する(ステップ307)。
【0130】
ユーザが第2の画面210の表示に誘導されてモードの切り替えに同意した場合、ユーザは第2の画面210の「OK」211をクリックする。ユーティリティソフト21は、この「OK」211のクリックを検出する(ステップ308のYes)。
【0131】
この場合、ユーティリティソフト21は、内蔵グラフィックスチップ5が第2の画面210の表示を終了するよう制御する(ステップ309)。
【0132】
なお、ユーティリティソフト21が「OK」211のクリックを検出しなかった場合(ステップ308のNo)については後述する。
【0133】
内蔵グラフィックスチップ5が第2の画面210の表示を終了すると、ユーティリティソフト21は、グラフィックスチップの切り替え要求をFEP.sys22経由でBIOS23へ通知する。BIOS23は、グラフィックスドライバソフト24に切り替え要求があったことを通知し、グラフィックスドライバソフト24からBIOS23経由でEC6に対し切り替えに伴う処理を要求する。これを受けEC6は、電源ON/OFF制御信号を外部グラフィックスチップ用電源回路11に出力し、外部グラフィックスチップ10への電源の供給を開始させる。さらに、EC6は、映像切替信号をスイッチIC12に出力し、グラフィックスチップから出力される映像信号の切り替えを制御させる。切り替え処理が完了すると、グラフィックスドライバソフト24からBIOS23に対し通知が行われる。これによりEC6は、グラフィックス選択表示LED8aを滅灯し、グラフィックス選択表示LED8bを点灯する(ステップ310、図6(a))。
【0134】
次に、ステップ308において、ユーティリティソフト21が「OK」211のクリックを検出しなかった場合(ステップ312のNo)について説明する。
【0135】
ユーザが、アプリケーションを終了したくない等の理由でSPEEDモードへの切り替えを中止しようとする場合、ユーザは第2の画面210の「OK」211をクリックせずにグラフィックス切り替えスイッチ7をSTAMINA側へと戻す。EC6は、このグラフィックス切り替えスイッチ7の操作を検出する(ステップ312のYes)。
【0136】
なお、EC6がグラフィックス切り替えスイッチ7の操作を検出するまで、ステップ308とステップ312とが繰り返し実行される(ステップ312のNo)。
【0137】
EC6がグラフィックス切り替えスイッチ7の操作を検出すると、EC6は、BIOS23を通してユーティリティソフト21に操作の検出を通知する。ユーティリティソフト21は、内蔵グラフィックスチップ5が第2の画面210の表示を終了するよう制御する(ステップ313)。これにより、グラフィックスチップの切り替えを行わずにフローが終了する。
【0138】
なお、図10に示す切り替え手順は、内蔵グラフィックスチップ5にサポートされていない外部モニタが接続された場合に限定されない。例えば、ACアダプタが接続された場合、ブルーレイディスクドライブを駆動する場合、3Dアプリケーションを実行する場合、高解像度画像を表示する場合等に、図10に示す切り替え手順を行ってもよい。
【0139】
図10では内蔵グラフィックスチップ5の実行中に外部グラフィックスチップ10への変更を誘導する切り替え手順を図示したが、反対に、外部グラフィックスチップ10の実行中に内蔵グラフィックスチップ5への変更を誘導する切り替え手順を行うことも考えられる。これは、例えば、接続されているACアダプタが取り外された場合、バッテリ値が閾値まで低下した場合、バッテリ温度が閾値まで上昇した場合、ファン14の回転数を低減させ静音化させたい場合等に有用である。
【0140】
外部グラフィックスチップ10の実行中に内蔵グラフィックスチップ5への変更を誘導する切り替え手順を行う場合、ステップ301においては、例えばユーティリティソフト21がバッテリ値の閾値への低下を検出する。ステップ302においては、ユーティリティソフト21は、グラフィックス切り替えスイッチ7をSTAMINAへと操作するようユーザを誘導する画面を、外部グラフィックスチップ10が表示するよう制御する。ステップ304においては、EC6は、グラフィックス切り替えスイッチ7のSTAMINA側への操作を検出する。ステップ312においては、EC6は、グラフィックス切り替えスイッチ7のSPEED側への変更を検出する。ステップ310において、EC6は、グラフィックス選択表示LED8bを滅灯し、グラフィックス選択表示LED8aを点灯する(図6(c))。また、EC6は、電源ON/OFF制御信号を外部グラフィックスチップ用電源回路11に出力し、外部グラフィックスチップ10への電源の供給を停止させる。さらに、EC6は、映像切替信号をスイッチIC12に出力し、グラフィックスチップから出力される映像信号の切り替えを制御させる。
【0141】
外部グラフィックスチップ10の実行中に内蔵グラフィックスチップ5への変更を誘導する切り替え手順を行う場合、これらを除いて、図10に示す切り替え手順を行えばよい。
【0142】
次に、ノート型PC50におけるグラフィックスチップの切り替え手順の他の一例について説明する。
【0143】
図12は、ノート型PC50においてOSが省電力状態から復帰した場合の動作を示すフローチャートである。なお、ここで省電力状態とは、いわゆるスタンバイ(サスペンド)状態や休止状態(ハイバネーション)をいう。
【0144】
グラフィックスドライバソフト24は、省電力状態にあるOSが復帰したことを検出する(ステップ401)。省電力状態からの復帰時には、復帰時にグラフィックス切り替えスイッチ7がどちら側に位置しているかに限らず、常に省電力状態に入る前と同じグラフィックスチップが実行される。例えば、省電力状態に入る直前に内蔵グラフィックスチップ5が実行されていた場合、省電力状態からの復帰時には、仮にグラフィックス切り替えスイッチ7がSTAMINA側に位置しているとしても、内蔵グラフィックスチップ5が実行される。
【0145】
省電力状態からの復帰を検出すると、ユーティリティソフト21は、FEP.sys22を通じてBIOS23に対し、EC6からグラフィックス切り替えスイッチ7の状態を検出するよう要求する(ステップ402)。
【0146】
EC6は、この要求を受けて、グラフィックス切り替えスイッチ7の状態を取得する(ステップ403)。BIOS23は、グラフィックス切り替えスイッチ7の状態と、実行されているグラフィックチップの状態を合わせて、ユーティリティソフト21に情報を返す(ステップ407)。
【0147】
ユーティリティソフト21が、グラフィックス切り替えスイッチ7がSPEED側に位置すると判断したとき(ステップ404のYes)、現在実行されているグラフィックスチップが外部グラフィックスチップ10であれば(ステップ405でYes、図6(a))、フローを終了する。グラフィックス切り替えスイッチ7の位置と実行されているグラフィックスチップとに齟齬がなく、問題が生じないためである。
【0148】
一方、現在実行されているグラフィックスチップが内蔵グラフィックスチップ5である場合がある(ステップ405でNo、図6(d))。これは、省電力状態に入る前に内蔵グラフィックスチップ5が実行されており、省電力状態中にユーザがグラフィックス切り替えスイッチ7をSPEED側へと操作した場合である。この場合、図4に示すステップ102以降の切替処理が行われる。
【0149】
ユーティリティソフト21が、グラフィックス切り替えスイッチ7がSTAMINA側に位置すると判断したとき(ステップ404のNo)、現在実行されているグラフィックスチップが内蔵グラフィックスチップ5であれば(ステップ406でYes、図6(c))、フローを終了する。グラフィックス切り替えスイッチ7の位置と実行されているグラフィックスチップとに齟齬がなく、問題が生じないためである。
【0150】
一方、現在実行されているグラフィックスチップが外部グラフィックスチップ10である場合がある(ステップ406でNo、図6(b))。これは、省電力状態に入る前に外部グラフィックスチップ10が実行されており、省電力状態中にユーザがグラフィックス切り替えスイッチ7をSTAMINA側に切り替えた場合である。この場合、図8に示すステップ202以降の切替処理が行われる。
【0151】
本発明に係る実施形態によれば、グラフィックス切り替えスイッチ7がユーザにより操作された場合に、グラフィックスチップを安全かつ容易に切り替えることができるようユーザを誘導する画面が表示される。また、グラフィックスチップを切り替えたほうが望ましい場合に、グラフィックスチップを安全かつ容易に切り替えるようユーザを誘導する画面が表示される。これにより、ユーザの利便性と、情報処理装置の安全性とを同時に実現可能としている。
【0152】
本発明に係る実施形態は、以上説明した実施形態に限定されず、他の種々の実施形態が考えられる。
例えば、ステップ110、112、210、212、312において、EC6がグラフィックス切り替えスイッチ7の操作を検出するまでステップを実行した。しかし、これに限定されず、所定の時間が経った場合にユーティリティソフト21がグラフィックスチップに画面の表示を終了させてもよい。
【0153】
あるいは、ステップ102、202を行う際に、実行中のアプリケーションの有無を問わず必ずユーティリティソフト21は、グラフィックスチップに第1の画面110又は第2の画面210を表示させた。しかし、これに限定されず、ステップ102、202に先立って、ユーティリティソフト21は実行中のアプリケーションの有無を確認してもよい。ここで、実行中のアプリケーションが無い場合は、ユーティリティソフト21は、グラフィックスチップに第1の画面110又は第2の画面210を表示させずにグラフィックスチップの切り替え(ステップ109、209)を行えばよい。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】本発明の一実施形態に係るノート型PCの構成を示したハードウェアブロック図である。
【図2】図1に示すノート型PCの外観を示した斜視図である。
【図3】ノート型PCが有するソフトウェア及びハードウェアのレイヤー構成図である。
【図4】ノート型PCにおけるグラフィックスチップの切り替え手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】第1の画面を示す図である。
【図6】グラフィックス切り替えスイッチとグラフィックス選択表示LEDとを示す説明図である。
【図7】第2の画面を示す図である。
【図8】ノート型PCにおけるグラフィックスチップの切り替え手順の他の一例を示すフローチャートである。
【図9】第3の画面を示す図である。
【図10】ノート型PCにおけるグラフィックスチップの切り替え手順の他の一例を示すフローチャートである。
【図11】第4の画面を示す図である。
【図12】ノート型PCにおいてOSが省電力状態から復帰した場合の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0155】
1…CPU
2…チップセット
3…ノースブリッジ
4…サウスブリッジ
5…内蔵グラフィックスチップ
6…EC
7…スイッチ
8…グラフィックス選択表示LED
9…入力部
10…外部グラフィックスチップ
11…外部グラフィックスチップ用電源回路
12…スイッチIC
13…LCD
14…ファン
15…不揮発性メモリ
16…接続検出部
17…コネクタ
18…外部モニタ
21…ユーティリティソフト
22…FEP.sys
23…BIOS
24…グラフィックスドライバソフト
50…ノート型PC
110…第1の画面
210…第2の画面
310…第3の画面
410…第4の画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の描画処理能力を有する第1のグラフィックスチップと、
前記第1の描画処理能力と異なる第2の描画処理能力を有する第2のグラフィックスチップと、
前記第1のグラフィックスチップの実行から、前記第2のグラフィックスチップの実行に切り替えるための要求を検知する検知手段と、
前記検知手段により前記第1のグラフィックスチップの実行から前記第2のグラフィックスチップの実行に切り替えるための要求が検知されたとき、アプリケーションの終了を誘導する第1の画面を表示する表示手段と
を具備する情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記第1の画面の表示が終了したとき、前記実行中のアプリケーションが終了されたか確認する確認手段をさらに具備し、
前記表示手段は、前記確認手段により前記実行中のアプリケーションが終了されていないと確認されたとき、前記アプリケーションの終了を再度誘導する第2の画面を表示する
情報処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の情報処理装置であって、
前記第1のグラフィックスチップの実行から前記第2のグラフィックスチップの実行に切り替えるようユーザ操作を入力可能な切替手段と、
前記切替手段へのユーザ操作の入力に基き、前記第1のグラフィックスチップの実行から前記第2のグラフィックスチップの実行に切り替えるよう制御可能な制御手段と
をさらに具備する情報処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の情報処理装置であって、
前記検知手段は、前記切替手段へのユーザ操作の入力を検知する
情報処理装置。
【請求項5】
請求項3に記載の情報処理装置であって、
前記検知手段は、前記第2のグラフィックスチップの出力信号を生成するための要求を検知し、
前記第1の画面は、前記切替手段へのユーザ操作の入力をさらに誘導する
情報処理装置。
【請求項6】
請求項3に記載の情報処理装置であって、
前記検知手段は、省電力状態からの復帰を検知し、
前記第1の画面は、前記切替手段へのユーザ操作の入力をさらに誘導する
情報処理装置。
【請求項7】
第1の描画処理能力を有する第1のグラフィックスチップの実行から、前記第1の描画処理能力と異なる第2の描画処理能力を有する第2のグラフィックスチップの実行に切り替えるための要求を検知し、
前記第1のグラフィックスチップの実行から前記第2のグラフィックスチップの実行に切り替えるための要求が検知されたとき、アプリケーションの終了を誘導する第1の画面を表示する
情報処理方法。
【請求項8】
請求項7に記載の情報処理方法であって、さらに、
前記第1の画面の表示が終了したとき、前記実行中のアプリケーションが終了されたか確認し、
前記実行中のアプリケーションが終了されていないと確認されたとき、前記アプリケーションの終了を再度誘導する第2の画面を表示する
情報処理方法。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の情報処理方法であって、さらに、
前記第1のグラフィックスチップの実行から前記第2のグラフィックスチップの実行に切り替えるようユーザ操作を入力し、
前記ユーザ操作の入力に基き、前記第1のグラフィックスチップの実行から前記第2のグラフィックスチップの実行に切り替えるよう制御する
情報処理方法。
【請求項10】
情報処理装置に、
第1の描画処理能力を有する第1のグラフィックスチップの実行から、前記第1の描画処理能力と異なる第2の描画処理能力を有する第2のグラフィックスチップの実行に切り替えるための要求を検知するステップと、
前記第1のグラフィックスチップの実行から前記第2のグラフィックスチップの実行に切り替えるための要求が検知されたとき、アプリケーションの終了を誘導する第1の画面を表示するステップと
を実行させるためのプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のプログラムであって、
前記情報処理装置に、
前記第1の画面の表示が終了したとき、前記実行中のアプリケーションが終了されたか確認するステップと、
前記実行中のアプリケーションが終了されていないと確認されたとき、前記アプリケーションの終了を再度誘導する第2の画面を表示するステップと
をさらに実行させるためのプログラム。
【請求項12】
請求項10又は11に記載のプログラムであって、
前記情報処理装置に、
前記第1のグラフィックスチップの実行から前記第2のグラフィックスチップの実行に切り替えるようユーザ操作を入力するステップと、
前記ユーザ操作の入力に基き、前記第1のグラフィックスチップの実行から前記第2のグラフィックスチップの実行に切り替えるよう制御するステップと
をさらに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−20596(P2010−20596A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−181360(P2008−181360)
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】