説明

情報処理装置、情報処理方法及びプログラム

【課題】動画コンテンツの再生状態に応じて、表示される画面の画質を自動で切り換えることが可能な情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】動画コンテンツを再生する動画再生手段と、前記動画再生手段が再生した動画コンテンツの画面を表示する表示手段と、前記動画再生手段が前記動画コンテンツを再生中か否かに応じて、前記表示手段が表示する画面の画質を変更する画質調整手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ガンマ補正用のルックアップテーブル(ガンマテーブル)を用いて表示信号にガンマ変換を施すことで、表示画面の画質を調整することが行われている。また、従来、入力される表示信号の内容や表示装置の置かれている環境に応じて、ガンマ変換特性を可変とする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−249655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、PC(Personal Computer)等で動画コンテンツを再生する際には、デスクトップ画面等の基本操作画面の表示時と比較し、画面の明度を上げる等設定することで、動画コンテンツの再生用に画質を調整する場合がある。この場合、動画再生用のガンマテーブルを用いて基本操作画面を表示すると、近い色で構成されたGUIでは色差が低下するため、画面が見え辛くなる可能性がある。そのため、動画コンテンツの再生状態に応じて、表示される画面の画質を自動で切り換えることが可能な技術が望まれている。なお、従来の技術では、動画コンテンツの再生状態については何ら考慮されていないため、動画コンテンツを再生中か否かに応じて画質を切り替えることは困難であった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、動画コンテンツの再生状態に応じて、表示される画面の画質を自動で切り換えることが可能な情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施の形態の情報処理装置は、動画再生手段と、表示手段と、画質調整手段とを備える。動画再生手段は、動画コンテンツを再生する。表示手段は、前記動画再生手段が再生した動画コンテンツの画面を表示する。画質調整手段は、動画再生手段が動画コンテンツを再生中か否かに応じて、表示手段が表示する画面の画質を変更する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本実施形態に係るノートPCを示す外観斜視図。
【図2】図2は、本実施形態に係るノートPCのハードウェア構成を示す図。
【図3】図3は、図2に示した輝度変換テーブルの一例を示す図。
【図4】図4は、図2に示した動画再生用ガンマテーブル及び通常用ガンマテーブルの一例を示す図。
【図5】図5は、本実施形態に係るノートPCの機能構成の一例を示す図。
【図6】図6は、動画プレーヤの一例を示す図である。
【図7】図7は、図5に示した画質調整モジュールの機能を説明するための図。
【図8】図8は、輝度変更処理の手順を示すフローチャート。
【図9】図9は、状態管理処理の手順を示すフローチャート。
【図10】図10は、ガンマ変更処理の手順を示すフローチャート。
【図11】図11は、表示出力処理の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る情報処理装置、及び表示制御方法の実施形態を説明する。後述する実施形態では、情報処理装置の一形態としてノートPCに適用した例について説明するが、これに限らず、据え置き型のPCや、スマートフォン、タブレット端末等、他の情報処理装置に適用してもよい。
【0009】
図1は、本実施形態に係るノートPC100を示す外観斜視図である。同図に示すように、ノートPC100は、筐体101と、この筐体101上に設けられたキーボード102と、筐体101にヒンジ部103を介して回動可能に接続されるパネル側筐体104と、を有している。
【0010】
筐体101は、下ケース101aと上ケース101bとを有している。上ケース101bの上面前端部はパームレスト部105を構成し、このパームレスト部105のほぼ中央にはタッチパッド106が設けられている。また、パネル側筐体104の中央領域には、LCD(Liquid Crystal Display)等のフラットパネルディスプレイである表示部107が設けられている。また、パネル側筐体104の四辺の各中心位置には、照度センサ108が設けられている。なお、照度センサ108が設けられる位置や個数は、図1の構成に限定されないものとする。
【0011】
図2は、ノートPC100のハードウェア構成を示す図である。同図に示すように、ノートPC100は、CPU(Central Processing Unit)11、MCH(メモリコントローラハブ)12、メモリ13、ICH(I/Oコントローラハブ)14、GPU(Graphics Processing Unit)15、BIOS−ROM16、記憶部17、表示部107、操作部18及び照度センサ108を有している。
【0012】
CPU11は、プロセッサであり、BIOS−ROM16や記憶部17に記憶された各種プログラムを実行することで、各種の機能を実現し、当該機能によりノートPC100の動作を統括的に制御する。
【0013】
具体的に、CPU11は、BIOS−ROM16に格納されたBIOS(Basic Input Output System)21を実行することで、各種ハードウェアを制御する機能を実現する。また、CPU11は、記憶部17からメモリ13にロードされるOS(Operating System)31を実行し、オペレーティングシステムとしての機能を実現する。また、CPU11は、記憶部17からメモリ13にロードされる動画再生アプリケーション32を実行することで、動画コンテンツの再生機能を備えた後述する動画プレーヤ(図6参照)を実現(起動)する。また、CPU11は、記憶部17からメモリ13にロードされる画質調整モジュール33を実行することで、表示信号の画質調整を行う機能を実現する。また、CPU11は、記憶部17からメモリ13にロードされるディスプレイドライバ34を実行することで、GPU15の動作を制御する機能を実現する。
【0014】
MCH12は、CPU11のローカルバスとICH14との間を接続するブリッジデバイスである。MCH12には、メモリ13をアクセス制御するメモリコントローラも内蔵されている。また、MCH12は、AGP(Accelerated Graphics Port)バス、PCI express規格のシリアルバスなどを介してGPU15との通信を実行する機能も有している。
【0015】
メモリ13は、ノートPC100の主記憶装置であって、CPU11やGPU15のワークエリアとして機能する。ICH14は、LPC(Low Pin Count)バスや、PCI(Peripheral Component Interconnect)バス等に接続されている各デバイスを制御する。また、ICH14は、記憶部17を制御するためのコントローラを内蔵している。
【0016】
GPU15は、CPU11の指示に従い表示信号に所定の画像処理を施し、この画像処理後の表示信号を表示部107に送出する。ここで、GPU15は、OS31の機能により提供される、ノートPC100の操作に係るGUIとしての基本操作画面、後述する動画プレーヤ321が再生した動画コンテンツの画面等を、表示信号として表示部107に送出する。これにより、表示部107に、基本操作画面や動画コンテンツの再生画面等が表示されることになる。
【0017】
BIOS−ROM16は、不揮発性の記憶媒体であって、ハードウェア制御のためのプログラムであるBIOS21を格納している。
【0018】
記憶部17は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の不揮発性の記憶媒体であって、CPU11により実行されるOS31や、動画再生アプリケーション32、画質調整モジュール33、ディスプレイドライバ34等の各種プログラムを格納している。各プログラムが有する機能については後述する。
【0019】
また、記憶部17は、各種プログラムの動作に係る設定情報として、各照度値に対応する輝度値を定めた輝度変換テーブル41と、動画再生用ガンマテーブル42と、通常用ガンマテーブル43とを格納している。
【0020】
ここで、図3は、輝度変換テーブル41の一例を模式的に示す図である。同図において、横軸は照度値を示しており、縦軸は輝度値を示している。輝度変換テーブル41には、各照度値に対応する輝度値が定められており、照度値から対応する輝度値を一意に特定することが可能となっている。なお、輝度変換テーブル41には、図3に示すように、照度値が高くなるほどより高い輝度値が設定されるよう定められているものとする。
【0021】
また、図4は、動画再生用ガンマテーブル42及び通常用ガンマテーブル43の一例を模式的に示す図である。同図において、横軸は変換前の画素値(入力画素値)を示しており、縦軸は変換後の画素値(出力画素値)を示している。ラインL1は、動画再生用ガンマテーブル42を、ラインL2は、通常用ガンマテーブル43を示している。また、ラインL3は、ガンマ補正を行わない場合(γ=1)のガンマテーブルを示している。なお、図4では、画素値の範囲を0〜255としている。
【0022】
動画再生用ガンマテーブル42は、動画コンテンツの再生(視聴)用に設定されたガンマテーブルであって、変換前の画素値と比較して変換後の画素値が上昇されている。この動画再生用ガンマテーブル42では、特に表示信号(画像)内における暗部領域の明度を上げるため、低画素値の上昇率が高く設定されている。また、通常用ガンマテーブル43は、基本操作画面の表示時等、動画コンテンツの再生時以外の通常時用に設定されたガンマテーブルであって、動画再生用ガンマテーブル42と比較し、変換前/後の画素値の上昇率が抑えられている。
【0023】
なお、記憶部17に記憶する動画再生用ガンマテーブル42及び通常用ガンマテーブル43の種類は一種類に限らず、輝度変換テーブル41の輝度値毎に、当該輝度値に応じた動画再生用ガンマテーブル42及び通常用ガンマテーブル43を、対応付けて記憶する形態としてもよい。また、本実施形態では、動画再生用ガンマテーブル42と通常用ガンマテーブル43とを個別に設ける形態としたが、これに限らず、通常用ガンマテーブル43を動画再生用ガンマテーブル42に補正するための補正情報を、動画再生用ガンマテーブル42の代わりに用いる形態としてもよい。
【0024】
ところで、動画再生用ガンマテーブル42は、動画コンテンツの視聴用にカスタマイズされたガンマテーブルであるため、動画コンテンツの視聴時以外の通常使用時において、動画再生用ガンマテーブル42を用いて表示信号にガンマ変換を施すと、通常用ガンマテーブル43を用いた場合と比較し明度が上昇した表示信号が表示部107に表示されるため、近い色で構成されたGUIでは色差が低下する等、見え辛くなる可能性がある。また逆に、動画コンテンツの視聴時において、通常用ガンマテーブル43を用いて表示信号にガンマ変換を施すと、動画再生用ガンマテーブル42を用いた場合と比較し明度が低下した表示信号が表示部107に表示されるため、暗部領域の画像が識別し辛い等、見え辛くなる可能性がある。
【0025】
そのため、本実施形態のノートPC100では、CPU11と画質調整モジュール33との協働により実現される後述する状態管理部332及びガンマ変更部333(図5参照)の機能により、動画コンテンツの再生時(視聴時)に動画再生用ガンマテーブル42を用い、当該再生時以外の通常時には通常用ガンマテーブル43を用いるよう、ガンマテーブルの切り換え制御を行う。
【0026】
図2に戻り、表示部107は、GPU15の制御の下、当該GPU15から送出される表示信号を表示する。これにより、表示部107の表示領域内に、デスクトップ画面や動画コンテンツの再生画面等が表示される。
【0027】
操作部18は、キーボード102やタッチパッド106等を有し、ノートPC100の操作者(ユーザ)からの操作を受け付け、その操作内容を示す操作信号をCPU11に出力する。
【0028】
照度センサ108は、フォトトランジスタやフォトダイオード等を有して構成され、ノートPC100周辺の環境光の照度値を検出し、当該照度値をCPU11に出力する。
【0029】
次に、図5を参照し、ノートPC100の機能構成について説明する。図5は、ノートPC100の機能構成の一例を示す図である。同図に示すように、ノートPC100の機能構成は、BIOS21、OS31、動画再生アプリケーション32、画質調整モジュール33及びディスプレイドライバ34の各プログラムを、CPU11が実行することで実現される。
【0030】
BIOS21は、CPU11と協働することで、OS31等のソフトウェアの指示に従いハードウェアを制御する。また、BIOS21は、CPU11と協働することで、平均化処理部211を機能部として実現する。平均化処理部211は、照度センサ108の各々で検出された照度値を平均化し、その値をOS31に出力する。なお、照度センサ108を一つしか具備しない構成とした場合には、平均化処理部211を省略する形態としてもよい。
【0031】
OS31は、CPU11と協働することで、ソフトウェア(例えば、ディスプレイドライバ34、動画再生アプリケーション32及び画質調整モジュール33)の実行と、実行されたソフトウェアにハードウェア資源の提供とを行う。
【0032】
具体的に、OS31は、BIOS21から入力される照度値を監視し、当該照度値が所定の閾値以上変化したことを検知すると、その照度値を照度値変更イベントとして画質調整モジュール33に通知する。また、OS31は、画質調整モジュール33の輝度変更部331から輝度値が通知されると、この輝度値をディスプレイドライバ34(輝度設定部341)に通知する。なお、照度値変化を検知する際の閾値は、特に問わず、任意の値を設定することが可能である。
【0033】
動画再生アプリケーション32は、動画コンテンツの再生機能を有した動画プレーヤ321を提供するプログラムである。CPU11は、操作部18からの操作信号に応じて、動画再生アプリケーション32を実行することで、一又は複数の動画プレーヤ321をプロセス単位で起動する。起動された動画プレーヤ321各々のプロセスはOS31により管理され、そのUI(ユーザインタフェース)がGPU15により表示部107に表示される。
【0034】
動画プレーヤ321は、再生開始や再生停止を指示するためのUIを備え、操作部18を介して入力された操作内容に応じて、再生の対象となった動画コンテンツを読み込み再生する。なお、動画コンテンツの読み込み先は、記憶部17や、図示しないネットワークを介して接続される外部装置であってもよい。また、動画再生アプリケーション32は、単一のアプリケーションでもよいし、互いに異なる複数のアプリケーション群であってもよい。
【0035】
ここで、図6は、動画プレーヤ321の一例を示す図である。同図に示すように、動画プレーヤ321は、動画コンテンツの再生開始を指示する再生ボタンB1と、再生停止を指示する停止ボタンB2とを有している。動画プレーヤ321は、再生ボタンB1の押下等により動画コンテンツの再生を開始すると、動画再生開始イベントを画質調整モジュール33に通知するとともに、再生の対象となった動画コンテンツを領域A1に再生表示する。また、動画プレーヤ321は、停止ボタンB2の押下等により動画コンテンツの再生を停止すると、動画再生停止イベントを画質調整モジュール33に通知する。
【0036】
なお、動画プレーヤ321の表示形態は特に問わず、表示部107に表示された基本操作画面内にウィンドウとして表示する形態としてもよいし、領域A1の内容を基本操作画面全体に表示させるフルスクリーン表示としてもよい。
【0037】
図5に戻り、画質調整モジュール33は、CPU11と協働することで、輝度変更部331と、状態管理部332と、ガンマ変更部333とを機能部として実現する。
【0038】
ここで、輝度変更部331は、ノートPC100周辺の環境光の明るさに応じて、表示画像の輝度値を変更する。具体的に、輝度変更部331は、OS31から照度値変更イベントの通知を受け付けると、この照度値変更イベントで通知された照度値に対応する輝度値を輝度変換テーブル41から特定し、OS31を介してディスプレイドライバ34(後述する輝度設定部341)に通知する。なお、本実施形態では、輝度変更部331で特定された輝度値を、OS31を介して輝度設定部341に通知する形態としたが、これに限らず、輝度変更部331から直接、輝度設定部341に通知する形態としてもよい。
【0039】
状態管理部332は、起動した動画プレーヤ321毎に、当該動画プレーヤ321の動作状態を管理する。具体的に、状態管理部332は、起動した動画プレーヤ321の各々から通知されるイベント(再生開始イベント/再生停止イベント)に基づき、各動画プレーヤ321の動作状態を動画プレーヤ321毎に用意したフラグ情報を用いて管理する。なお、フラグ情報は、起動された動画プレーヤ321毎に生成されるものとし、動画コンテンツの再生中を“1”、再生停止中を“0”で表すものとする。
【0040】
ガンマ変更部333は、状態管理部332が管理するフラグ情報の状態、つまり各動画プレーヤ321の動作状態に基づいて、ガンマ変換に用いるガンマテーブルの切り替え制御を行う。具体的に、ガンマ変更部333は、状態管理部332が管理するフラグ情報のうち、少なくとも一のフラグ情報に再生中を表す“1”が設定されている間、動画再生用ガンマテーブル42の使用をディスプレイドライバ34に通知する。また、ガンマ変更部333は、状態管理部332が管理する全てのフラグ情報に再生停止中を表す“0”が設定されている間、通常用ガンマテーブル43の使用をディスプレイドライバ34に通知する。
【0041】
ここで、図7を参照して、状態管理部332及びガンマ変更部333の動作について説明する。図7は、状態管理部332及びガンマ変更部333の機能を説明するための図である。同図では、三つの動画プレーヤ321(動画プレーヤP1〜P3)が起動した例を示しており、動画プレーヤP1〜P3の各々に対応するフラグ情報F1〜F3を状態管理部332が管理している。なお、動画プレーヤP1〜P3の初期状態において、動画コンテンツの再生は行われておらず、フラグ情報に“0”が設定されているものとする。
【0042】
図7において、動画プレーヤP1〜P3の各々は、動画コンテンツの再生を開始すると、画質調整モジュール33(状態管理部332)に動画再生開始イベントを個別に通知する。状態管理部332では、動画プレーヤP1〜P3の各々から動画再生開始イベントの通知を受け付けると、この通知を行った動画プレーヤ用のフラグ情報に“1”を設定する。ガンマ変更部333は、フラグ情報F1〜F3が更新されると、これらフラグ情報の各々に設定された値の論理和(OR)を算出する。そして、ガンマ変更部333は、この算出結果が“1”、つまり動画プレーヤP1〜P3の何れか又は全てが再生中である場合に、ディスプレイドライバ34に対し、動画再生用ガンマテーブル42の使用を通知する。
【0043】
また、動画プレーヤP1〜P3の各々は、動画コンテンツの再生を停止すると、画質調整モジュール33に動画再生停止イベントを個別に通知する。状態管理部332では、動画プレーヤP1〜P3の各々から動画再生停止イベントの通知を受け付けると、この通知を行った動画プレーヤ用のフラグ情報に“0”を設定する。ガンマ変更部333は、フラグ情報F1〜F3が更新されると、これらフラグ情報の各々に設定された値の論理和(OR)を算出し、算出結果が“0”、つまり動画プレーヤP1〜P3の全てが再生停止中にある場合に、ディスプレイドライバ34に対し、通常用ガンマテーブル43の使用を通知する。
【0044】
なお、状態管理部332は、ノートPC100(OS31)で実行中のプロセスの状態(生存状態)を監視するプロセス監視機能を有し、新たな動画プレーヤ321の起動を、その動画プレーヤ321のプロセスに基づいて検出する。また、状態管理部332は、各フラグ情報に対応する動画プレーヤ321の各々について、当該動画プレーヤ321に対応するプロセスが存在しない又は応答不能状態にあることを検出すると、該当する動画プレーヤ321用のフラグ情報を削除する。これにより、所定の手続きで終了された動画プレーヤ321や、再生動作中に強制終了した動画プレーヤ321のフラグ情報を管理対象から除外、つまりガンマ変更部333での論理和の算出対象から除外することができる。
【0045】
図5に戻り、ディスプレイドライバ34は、CPU11と協働することで、輝度設定部341と、ガンマ設定部342とを機能部として実現する。
【0046】
輝度設定部341は、OS31から輝度値の通知を受け付けると、この通知された輝度値への変更をGPU15に指示する。また、ガンマ設定部342は、ガンマ変換の際に用いるガンマテーブルを、ガンマ変更部333から通知されたガンマテーブル(動画再生用ガンマテーブル42又は通常用ガンマテーブル43)に切り替えることをGPU15に指示する。
【0047】
GPU15では、輝度設定部341から輝度値変更の指示を受け付けると、この指示された輝度値で表示信号を生成する。また、GPU15は、ガンマ設定部342からガンマテーブルの切り替え指示を受け付けると、指示されたガンマテーブルを用いて、生成した表示画像にガンマ変換を施し、このガンマ変換後の表示信号を表示部107に送出する。
【0048】
以下、図8〜図11を用いて、本実施形態のノートPC100の動作について説明する。まず、図8を参照し、画質調整モジュール33の輝度変更部331が実行する輝度変更処理について説明する。
【0049】
図8は、輝度変更部331が実行する輝度変更処理の手順を示すフローチャートである。まず、輝度変更部331は、OS31から照度値変更イベントが通知されるまで待機する(ステップS11;No)。このとき、OS31では、BIOS21を通じて入力される照度値を監視しており、所定の閾値以上変化したことを検知すると、その照度値を照度値変更イベントとして画質調整モジュール33に通知する。
【0050】
輝度変更部331は、OS31から照度値変更イベントの通知を受け付けると(ステップS11;Yes)、輝度変換テーブル41を参照し、照度値変更イベントで通知された照度値に対応する輝度値を特定する(ステップS12)。
【0051】
そして、輝度変更部331は、ステップS12で特定した輝度値を、OS31を介してディスプレイドライバ34の輝度設定部341に通知し(ステップS13)、ステップS11に再び戻る。
【0052】
このように、輝度変更部331は、輝度変更処理を実行することで、ノートPC100周辺の環境光の照度値が所定の閾値以上変化する毎に、当該照度値に応じた輝度値への切り替えを、OS31を介してディスプレイドライバ34の輝度設定部341に通知する。これにより、環境光に適した明るさの表示信号がGPU15で生成されることになる。
【0053】
次に、図9を参照し、画質調整モジュール33の状態管理部332が実行する状態管理処理について説明する。ここで、図9は、状態管理部332が実行する状態管理処理の手順を示すフローチャートである。
【0054】
まず、状態管理部332は、OS31が管理するプロセスの状態に基づいて、新たな動画プレーヤ321が起動したか否かを判定する(ステップS21)。ここで、新たな動画プレーヤ321の起動が確認できない場合(ステップS21;No)、状態管理部332は、ステップS23に移行する。
【0055】
また、ステップS21において、新たな動画プレーヤ321の起動を確認すると(ステップS21;Yes)、状態管理部332は、この動画プレーヤ321用のフラグ情報をメモリ13等に生成し(ステップS22)、ステップS23に移行する。なお、生成直後のフラグ情報の値は“0”とする。
【0056】
続いて、状態管理部332は、各フラグ情報に対応する動画プレーヤ321各々のプロセスの生存確認を行い(ステップS23)、当該プロセスが正常に動作しているか否かを判定する(ステップS24)。ここで、状態管理部332は、プロセスが存在しない又は応答不能状態にあると判定した動画プレーヤ321については(ステップS24;No)、この動画プレーヤ321用に生成したフラグ情報を削除し(ステップS25)、ステップS26に移行する。また、ステップS24において、プロセスの正常動作を確認した動画プレーヤ321については(ステップS24;Yes)、フラグ情報の値を保持したまま、ステップS26に移行する。
【0057】
次いで、状態管理部332は、何れかの動画プレーヤ321からイベントが通知されたか否かを判定する(ステップS26)。ここで、イベントの通知が確認できない場合には(ステップS26;No)、ステップS21に再び戻る。また、ステップS26において、何れかの動画プレーヤ321からイベントの通知を受け付け(ステップS26;Yes)、その内容が動画再生開始イベントであった場合(ステップS27;Yes)、状態管理部332は、このイベントを通知した動画プレーヤ321のフラグ情報に“1”を設定した後(ステップS28)、ステップS21に再び戻る。
【0058】
また、ステップS26において、何れかの動画プレーヤ321からイベントの通知を受け付け(ステップS26;Yes)、その内容が動画再生停止イベントであった場合(ステップS27;No)、状態管理部332は、このイベントを通知した動画プレーヤ321のフラグ情報に“0”を設定した後(ステップS29)、ステップS21に再び戻る。
【0059】
このように、状態管理部332は、状態管理処理を実行することで、起動された各動画プレーヤ321の動作状態を、フラグ情報を用いて個別に管理する。なお、本実施形態では、動画プレーヤ321の起動/終了(正常終了又は強制終了)に伴い、フラグ情報を生成/削除する形態としたが、これに限らず、起動可能な動画プレーヤ321の個数が定められている場合には、この個数分のフラグ情報を予め保持しておく形態としてもよく、この形態の場合には、動画プレーヤ321の終了に伴い、フラグ情報の値を“0”に設定するものとする。
【0060】
次に、図10を参照して、画質調整モジュール33のガンマ変更部333が実行するガンマ変更処理について説明する。ここで、図10は、ガンマ変更部333が実行するガンマ変更処理の手順を示すフローチャートである。
【0061】
まず、ガンマ変更部333は、状態管理部332が管理するフラグ情報を参照し、当該フラグ情報が更新されるまで待機する(ステップS31;No)。このとき、状態管理部332では、上述した状態管理処理を実行しており、動画プレーヤ321の起動/終了や再生開始/再生停止に応じて、フラグ情報を更新する。
【0062】
ステップS31において、状態管理部332によるフラグ情報の生成/削除又は設定値の更新により、フラグ情報が更新されたと判定すると(ステップS31;Yes)、ガンマ変更部333は、各フラグ情報に設定された値の論理和を算出する(ステップS32)。続いて、ガンマ変更部333は、ステップS32の算出結果が“1”か否かを判定する(ステップS33)。
【0063】
ステップS33において、算出結果が“1”と判定した場合(ステップS33;Yes)、ガンマ変更部333は、ディスプレイドライバ34に対し、動画再生用ガンマテーブル42への切り替えを通知し(ステップS34)、ステップS31に再び戻る。また、ステップS33において、算出結果が“0”と判定した場合(ステップS33;No)、ガンマ変更部333は、ディスプレイドライバ34に対し、通常用ガンマテーブル43への切り替えを通知し(ステップS35)、ステップS31に再び戻る。
【0064】
このように、ガンマ変更部333は、ガンマ変更処理を実行することで、状態管理部332が管理するフラグ情報が更新する毎に、当該フラグ情報の論理和から導出される動画プレーヤの動作状態に基づいて、ガンマ変換に使用するガンマテーブルを切り替える。
【0065】
次に、図11を参照して、GPU15が行う表示出力処理について説明する。図11は、GPU15が実行する表示出力処理の手順を示すフローチャートである。
【0066】
まず、GPU15は、ディスプレイドライバ34の輝度設定部341から指示された輝度値に基づき表示画像を生成する(ステップS41)。次いで、GPU15は、ディスプレイドライバ34のガンマ設定部342から指示されたガンマテーブル(動画再生用ガンマテーブル42又は通常用ガンマテーブル43)を用いて、ステップS41で生成した表示画像にガンマ変換を施す(ステップS42)。そして、GPU15は、ガンマ変換後の表示信号を表示部107に送出することで、表示部107に表示信号を表示させる(ステップS43)。
【0067】
このように、GPU15は、表示出力処理を実行することで、ディスプレイドライバ34から指示された輝度値及びガンマテーブルを用いて表示信号を生成し、この生成した表示信号を表示部107に送出する。これにより、動画コンテンツの再生が行われている間は、動画再生用ガンマテーブル42でガンマ変換された画面が表示部107に表示され、動画コンテンツの再生時以外の通常使用時には、通常用ガンマテーブル43でガンマ変換された画面が表示部107に表示されることになる。
【0068】
以上のように、本実施形態によれば、動画プレーヤ321が動画コンテンツを再生しているか否かに応じて、ガンマ変換に使用するガンマテーブルを、動画再生用ガンマテーブル42又は通常用ガンマテーブル43に切り替える。これにより、動画コンテンツの再生状態に応じて、表示部107に表示される画面の画質を自動で切り換えることができるため、ノートPC100を使用するユーザの利便性を向上させることができる。
【0069】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、追加等を行うことができる。また、上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0070】
例えば、上記実施形態では、CPU11と、GPU15とを個別に設けた構成としたが、この構成に限らず、GPU15の機能をCPU11が有する構成としてもよい。なお、この構成の場合、CPU11は、MCH12の機能を更に有してもよい。また、ノートPC100の構成に応じて、ICH14を、PCH(Platform Controller Hub)等に、置き換えてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、OS31、画質調整モジュール33及びディスプレイドライバ34の各々を、個別のプログラムとしたが、これに限らず、OS31が画質調整モジュール33及びディスプレイドライバ34の機能を有する形態としてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、ノートPC100周辺の環境光の照度値に応じて、表示信号を生成する際の輝度値を調整する形態としたが、これに限らず、表示信号を生成する際の輝度値を定数とする形態としてもよい。なお、この形態を採用する場合には、図2の構成から照度センサ108及び輝度変換テーブル41を除外するとともに、図5の構成から平均化処理部211、輝度変更部331及び輝度設定部341を除外してもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、画質調整のための画像処理として、表示信号に施すガンマ変換の条件を動画コンテンツの再生状態に応じて切り替える形態としたが、これに限らず、シャープネスや平滑化、解像度等の変更に係る他の画像処理の条件を、動画コンテンツの再生状態に応じて切り替える形態としてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、動画プレーヤ321の処理単位をプロセスとしたが、これに限らず、スレッドとしてもよい。
【0075】
また、上記実施形態のノートPC100で実行されるプログラムは、ノートPC100が備える記憶媒体(BIOS−ROM16又は記憶部17)に予め組み込んで提供するものとするが、これに限らず、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。さらに、記憶媒体は、コンピュータ或いは組み込みシステムと独立した媒体に限らず、LANやインターネット等により伝達されたプログラムをダウンロードして記憶又は一時記憶した記憶媒体も含まれる。
【0076】
また、上記実施形態のノートPC100で実行されるプログラムをインターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよく、インターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0077】
100 ノートPC
11 CPU
12 MCH
13 メモリ
14 ICH
15 GPU
16 BIOS−ROM
17 記憶部
18 操作部
21 BIOS
31 OS
32 動画再生アプリケーション
33 画質調整モジュール
34 ディスプレイドライバ
41 輝度変換テーブル
42 動画再生用ガンマテーブル
43 通常用ガンマテーブル
101 筐体
101a 下ケース
101b 上ケース
102 キーボード
103 ヒンジ部
104 パネル側筐体
105 パームレスト部
106 タッチパッド
107 表示部
108 照度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画コンテンツを再生する動画再生手段と、
前記動画再生手段が再生した動画コンテンツの画面を表示する表示手段と、
前記動画再生手段が前記動画コンテンツを再生中か否かに応じて、前記表示手段が表示する画面の画質を変更する画質調整手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
一又は複数の前記動画再生手段各々について、当該動画再生手段が前記動画コンテンツの再生中か否かを示した動作状態を個別に管理する状態管理手段を更に備え、
前記画質調整手段は、前記状態管理手段が管理する前記動画再生手段毎の動作状態に基づいて、前記動画再生手段が前記動画コンテンツを再生中か否かを判定する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記画質調整手段は、前記状態管理手段が管理する動作状態のうち、少なくとも一の動作状態が前記動画コンテンツの再生中を示す場合に、前記表示手段が表示する画像の画質を、前記動画コンテンツの再生用に予め設定された画質に切り換える請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記表示手段は、自己の装置の操作に係る基本操作画面を表示し、
前記画質調整手段は、前記状態管理手段が管理する動作状態の全てが前記動画コンテンツの非再生状態を示す場合に、前記表示手段が表示する画像の画質を、前記基本操作画面の表示用に予め設定された画質に切り換える請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記動画再生手段は、所定のプログラムの実行により起動される処理単位であって、
前記状態管理手段は、前記動作状態の管理対象となった前記動画再生手段各々の処理単位を確認し、当該処理単位が存在しない又は応答不能状態にある動画再生手段の動作状態を管理対象から除外する請求項2〜4の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記状態管理手段は、前記動画再生手段各々の動作状態を二値のフラグ情報を用いて管理し、
前記画質調整手段は、前記フラグ情報の論理和の算出結果に基づいて、前記動画再生手段が前記動画コンテンツを再生中か否かを判定する請求項2〜5の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
自己の装置周辺の環境光の照度値を検出する照度値検出手段を更に備え、
前記画質調整手段は、前記照度値検出手段が検出した照度値に応じた輝度値を用いて、前記画質の調整対象となる画像を生成する請求項1〜6の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
動画再生手段が、動画コンテンツを再生する動画再生工程と、
表示手段が、当該基本操作画面内に前記動画再生手段が再生した動画コンテンツの画面を表示する表示工程と、
画質調整手段が、前記動画再生工程で前記動画コンテンツを再生中か否かに応じて、前記表示工程で表示される画面の画質を変更する画質調整工程と、
を含む情報処理方法。
【請求項9】
コンピュータを、
動画コンテンツを再生する動画再生手段と、
当該基本操作画面内に前記動画再生手段が再生した動画コンテンツの画面を表示する表示手段と、
前記動画再生手段が前記動画コンテンツを再生中か否かに応じて、前記表示手段が表示する画面の画質を変更する画質調整手段と、
して機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−226107(P2012−226107A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93442(P2011−93442)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【特許番号】特許第5017477号(P5017477)
【特許公報発行日】平成24年9月5日(2012.9.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】