説明

情報処理装置、情報出力装置、情報処理プログラム

【課題】複数の画像出力装置における描画処理と出力特性のそれぞれに起因する出力結果の違いが生じないようにした画像処理装置を提供する。
【解決手段】与えられた出力指示データに基づいて、第1の試験情報と、第1の試験情報を実画像出力装置3で描画展開した場合の第2の試験情報を試験情報生成部11で生成して目標画像出力装置2に出力させる。得られた第1の出力結果と第2の出力結果とを出力結果比較部12で比較し、その比較結果から、実画像出力装置3での描画結果が目標画像出力装置2における描画結果となるように描画処理に対する指示を変更するための描画変更情報を変更情報生成部13で生成する。それとともに、実画像出力装置3での出力特性が目標画像出力装置における出力特性となるように出力特性を変更するための特性変更情報を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報出力装置、情報処理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ある目標とする画像出力装置(目標画像出力装置)での出力を、他の画像出力装置(実画像出力装置)でも出力させる場合がある。画像出力装置では与えられた出力指示データに従って画像を描画処理し、各種の処理を施した後、それぞれの出力方式に従って出力されることになる。これらの過程で行われる処理は、それぞれの画像出力装置で異なる場合があり、また、画像出力装置としての出力特性も異なる場合がある。従って、複数の画像出力装置で出力した結果に違いが見られる場合がある。
【0003】
目標画像出力装置を使用した場合と実画像出力装置を使用した場合とで出力結果に違いが生じないようにする技術として、例えば特許文献1に記載されている技術では、予め描画処理してイメージ展開された画像を画像出力装置で出力するように構成している。この特許文献1に記載されている技術により、描画処理などに起因する各画像出力装置における相違は解消される。
【0004】
また、例えば特許文献2に記載されている技術では、それぞれの画像出力装置で出力される色と基準となる画像出力装置において出力される色との違いを相対色差として算出してそれぞれの画像出力装置へ送り、画像出力装置では相対色差に基づいて色を補正する。これにより、複数の画像出力装置で出力される色の違いが生じないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−91104号公報
【特許文献2】特開2006−19911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、複数の画像出力装置における描画処理に起因する出力結果の違いと出力特性に起因する出力結果の違いの両方について、それぞれの画像出力装置からの出力結果に違いが生じないようにした画像処理装置及び画像処理プログラムと、画像出力装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願請求項1に記載の発明は、与えられた出力指示データに基づいて第1の試験情報を生成するとともに前記第1の試験情報を実画像出力装置で描画展開した場合の第2の試験情報を生成する試験情報生成手段と、前記第1の試験情報を目標画像出力装置に与えて得られた第1の出力結果と前記第2の試験情報を目標画像出力装置に与えて得られた第2の出力結果とを比較する比較手段と、前記比較手段による比較結果から前記実画像出力装置での描画結果が前記目標画像出力装置における描画結果となるように描画処理に対する指示を変更するための描画変更情報を生成するとともに前記実画像出力装置での出力特性が前記目標画像出力装置における出力特性となるように出力特性を変更するための特性変更情報を生成する生成手段を有することを特徴とする情報処理装置である。
【0008】
本願請求項2に記載の発明は、本願請求項1に記載の発明における前記試験情報生成手段が、さらに、出力特性により出力が異なるパラメータについて複数に変更して描画した第3の試験情報を生成し、前記比較手段は、前記第3の試験情報を前記実画像出力装置に与えて得られた第3の出力結果と前記第2の出力結果とを比較し、生成手段は、前記第3の出力結果と前記第2の出力結果との比較結果も用いて前記特性変更情報を生成することを特徴とする情報処理装置である。
【0009】
本願請求項3に記載の発明は、本願請求項1または請求項2に記載の情報処理装置により生成された描画変更情報及び特性変更情報を記憶する変更情報記憶手段と、与えられた出力指示データを前記描画変更情報に従って変更するとともに前記特性変更情報に従って出力特性を設定する変更設定手段と、前記変更設定手段で変更された出力指示データに従って描画処理を行う描画手段と、前記変更設定手段で設定された出力特性に従って描画された画像に対する処理を行う処理手段と、処理手段で処理された画像を出力する出力手段を有することを特徴とする情報出力装置である。
【0010】
本願請求項4に記載の発明は、コンピュータに、本願請求項1または請求項2に記載の情報処理装置の機能を実行させるものであることを特徴とする情報処理プログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本願請求項1に記載の発明によれば、目標画像出力装置と実画像出力装置との描画処理に起因する出力結果の違いと出力特性に起因する出力結果の違いの両方について、目標画像出力装置と実画像出力装置による出力結果に違いが生じないようにするための変更情報を得ることができる。
【0012】
本願請求項2に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、出力特性に起因する出力結果の違いを少なくすることができる。
【0013】
本願請求項3に記載の発明によれば、目標画像出力装置と実画像出力装置との描画処理に起因する出力結果の違いと出力特性に起因する出力結果の違いの両方について、目標画像出力装置の出力結果と違いが生じない出力結果を実画像出力装置から得ることができる。
【0014】
本願請求項4に記載の発明によれば、本願請求項1または請求項2に記載の発明の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の一形態を示す構成図である。
【図2】本発明の実施の一形態における動作の一例を示す流れ図である。
【図3】本発明の実施の一形態を含むシステムの一具体例を示す構成図である。
【図4】出力指示データに含まれる画質指示の一例の説明図である。
【図5】与えられた出力指示データ、第1,第2の試験情報、第1,第2の出力結果の具体例の説明図である。
【図6】描画処理における描画内容の一例の説明図である。
【図7】第3の試験情報及び第3の出力結果の一具体例の説明図である。
【図8】描画変更情報及び特性変更情報の一例の説明図である。
【図9】実画像出力装置3における出力動作の一例を示す流れ図である。
【図10】本発明の実施の一形態で説明した機能をコンピュータプログラムで実現した場合におけるコンピュータプログラム及びそのコンピュータプログラムを格納した記憶媒体とコンピュータの一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の実施の一形態を示す構成図である。図中、1は情報処理装置、2は目標画像出力装置、3は実画像出力装置、11は試験情報生成部、12は出力結果比較部、13は変更情報生成部である。情報処理装置1と、複数の画像出力装置である目標画像出力装置2及び実画像出力装置3とは、例えば通信路を通じて各種のデータのやり取りを行う。なお、例えば情報処理装置1と実画像出力装置3とが一体となった構成であってもよい。実画像出力装置3は、実際に出力指示データを与えて画像を出力させる装置であり、その出力結果の目標とする装置が目標画像出力装置2である。すなわち、実画像出力装置3の出力結果が目標画像出力装置2の出力結果と異ならないように、実画像出力装置3から画像を出力させるものとする。
【0017】
情報処理装置1は、少なくとも、目標画像出力装置の出力結果と違いが生じない出力結果を実画像出力装置3で得るための描画変更情報及び特性変更情報を生成する機能を有している。そのための構成として、試験情報生成部11、出力結果比較部12、変更情報生成部13を有している。
【0018】
試験情報生成部11は、与えられた出力指示データに基づいて第1の試験情報を生成するとともに、第1の試験情報を実画像出力装置3で描画展開した場合の第2の試験情報を生成する。さらに、出力特性により出力が異なるパラメータについて、複数に変更して描画した第3の試験情報を生成してもよい。第1の試験情報及び第2の試験情報は目標画像出力装置2に渡す。また第3の試験情報については実画像出力装置3に渡す。
【0019】
出力結果比較部12は、第1の試験情報を目標画像出力装置2に与えて得られた第1の出力結果と、第2の試験情報を目標画像出力装置2に与えて得られた第2の出力結果とを比較する。さらに、第3の試験情報を実画像出力装置3に与えて得られた第3の出力結果と前記第2の出力結果とを比較する。そして、それぞれの比較結果を変更情報生成部13に渡す。
【0020】
変更情報生成部13は、出力結果比較部12による第1の出力結果と第2の出力結果との比較結果から、実画像出力装置3での描画結果が目標画像出力装置2における描画結果となるように描画処理に対する指示を変更するための描画変更情報を生成する。それとともに、実画像出力装置3での出力特性が目標画像出力装置における出力特性となるように出力特性を変更するための特性変更情報を生成する。特性変更情報の生成の際には、第3の出力結果と前記第2の出力結果との比較結果も用いるとよい。
【0021】
このようにして生成された描画変更情報及び特性変更情報は、実画像出力装置3における出力結果を目標画像出力装置2の出力結果に合わせる際に、実画像出力装置3に与える出力指示データの変更及び実画像出力装置3の各部の設定の変更に用いられる。
【0022】
図2は、本発明の実施の一形態における動作の一例を示す流れ図である。ここでは、予め出力指示データが与えられているものとする。この出力指示データは実画像出力装置3に与えて出力させるものであるが、その実画像出力装置3における出力結果を目標画像出力装置2の出力結果に合わせることが要求されているものである。
【0023】
まずS101において、試験情報生成部11は、与えられた出力指示データを受け取る。そして、その出力指示データによる描画内容に関する情報を抽出し、その描画内容に関する情報に応じた第1の試験情報をS102で生成する。描画内容に関する情報としては、文字(フォント)や図形の線などの情報、あるいはさらに色の情報などを含む種々の描画オブジェクトに関する情報である。出力指示データにおける描画オブジェクトが目標画像出力装置2においてどのように出力されるかを試験するため、描画対象となる描画オブジェクトを抽象化して配置した第1の試験情報を生成する。この第1の試験情報は、描画コマンドや各種の指示情報などを含む出力指示データの形式の情報である。具体例については後述する。
【0024】
さらにS103において、試験情報生成部11は第1の試験情報を描画処理し、第2の試験情報を生成する。描画処理によって、第2の試験情報はイメージとなる。描画処理は、第1の試験情報に記述されている通りの描画を行えばよいが、実画像出力装置3における描画処理を擬似的に行ってもよい。
【0025】
さらにまたS104において、試験情報生成部11は第3の試験情報を生成してもよい。この第3の試験情報は、出力特性により出力が異なるパラメータについて、複数に変更して描画した画像である。例えば、画像出力装置によって線幅が異なる場合や、再現される色が異なる場合があるが、これらの線幅や色などが出力特性により出力が異なるパラメータの一つである。線幅であれば、線幅を変更していくつかのパターンを描画した画像を第3の試験情報とすればよい。
【0026】
S105では、S102で生成した第1の試験情報及びS103で生成した第2の試験情報を目標画像出力装置2に渡して出力させ、その出力結果を出力結果比較部12が第1の出力結果及び第2の出力結果として受け取る。出力結果は、例えば画像読取装置等で読み取らせればよい。また、S104で第3の試験情報を生成した場合には、その第3の試験情報を実画像出力装置3に渡して出力させ、その出力結果を出力結果比較部12が第3の出力結果として受け取る。この場合も、出力結果は例えば画像読取装置等で読み取らせればよい。
【0027】
S106において、出力結果比較部12は第1の出力結果と第2の出力結果とを比較し、それぞれの出力結果内の描画オブジェクトを対応付ける。この対応付けにより、目標画像出力装置2に対して第1の試験情報を与えた場合にはどのような出力結果になり、第1の試験情報を予め描画したイメージを目標画像出力装置2に与えた場合にはどのような出力結果となるのかが対応付けられることになる。
【0028】
また、第3の出力結果を得ている場合には、出力結果比較部12は第2の出力結果と第3の出力結果を比較し、第3の試験情報において複数に変更した描画オブジェクトのうち第2の出力結果と最も近いものを対応付ける。
【0029】
S107において、対応付けが終了したか否かを判定し、対応付けが終了していなければS106へ戻って対応付けを繰り返す。
【0030】
対応付けが終了したら、S108において、変更情報生成部13は、出力結果比較部12における第1の出力結果と第2の出力結果との比較結果から、実画像出力装置3での描画結果が目標画像出力装置2における描画結果となるように描画処理に対する指示を変更するための描画変更情報を生成する。出力結果比較部12で第1の出力結果と第2の出力結果とを比較して、例えば線幅や色などを含む出力特性以外の違いが存在する場合、第1の試験情報を目標画像出力装置2で描画した際の処理内容に違いがあると考えられる。そのため、実画像出力装置3における描画処理でも、目標画像出力装置2における描画処理の結果が得られるようにするため、出力指示データに対して変更を加えるための描画変更情報を生成する。
【0031】
また、出力結果比較部12で第1の出力結果と第2の出力結果とを比較して、例えば線幅や色などを含む出力特性の違いが存在する場合には、描画処理に起因する相違ではないと判断し、この場合には実画像出力装置3での出力特性が目標画像出力装置2における出力特性となるように出力特性を変更するための特性変更情報を生成する。出力特性の変更は、出力指示データに対して変更を加える場合もあるし、他の処理部あるいは装置に設定する各種の値を変更する場合もある。この特性変更情報を生成する際には、出力結果比較部12からの第3の出力結果と前記第2の出力結果との比較結果も用いるとよい。第3の試験情報は、出力特性により出力が異なるパラメータを変更して生成していることから、第3の試験情報を実画像出力装置3で出力させて得た第3の出力結果にも実画像出力装置3の出力特性が反映されているので、この第3の出力結果を用いた比較結果を特性変更情報に反映させればよい。
【0032】
そしてS109において、描画変更情報及び特性変更情報を出力する。例えば、描画変更情報及び特性変更情報を記憶し、これらを用いて、与えられている出力指示データに対する加工を行い、実画像出力装置3へ渡して出力させればよい。あるいは、描画変更情報及び特性変更情報を実画像出力装置3へ渡し、また出力指示データも実画像出力装置3へ渡して、実画像出力装置3において描画変更情報及び特性変更情報に従った出力指示データに対する変更と各部の設定を行い、出力を行ってもよい。
【0033】
なお、S104で生成した第3の試験情報は、例えばS105で目標画像出力装置2から受け取った第1の出力結果または第2の出力結果をもとにして生成してもよい。例えば第1の出力結果と第2の出力結果が異ならない描画オブジェクトを用いて出力特性が異なるように複数の描画処理を行い、第3の試験情報を生成すればよい。
【0034】
図3は、本発明の実施の一形態を含むシステムの一具体例を示す構成図である。図中、4は通信路、14はアプリケーション、15はデバイスドライバ、16は情報操作部、17は描画オブジェクト記憶部、18は出力指示部、19は出力結果受付部、21,31は画像処理部、22,32は出力指示データ受付部、23,33は描画処理部、24,34は色再現処理部、25,35は中間調処理部、26,36は出力部、27,37は画像読取部、41は指示変更設定部、42は指示判定部、43は描画判定部、44は目標装置決定部、45は変更情報記憶部、46はパラメータ記憶部である。
【0035】
図3に示した具体例では、情報処理装置1を目標画像出力装置2及び実画像出力装置3に対して出力指示データを送信するコンピュータ装置として構成し、通信路4を通じて目標画像出力装置2及び実画像出力装置3と通信を行うように構成した場合の一例を示している。もちろん、情報処理装置1を実画像出力装置3と一体に構成するなど、他の形態で実現してもよいことは言うまでもない。
【0036】
通信路4は、情報処理装置1と目標画像出力装置2及び実画像出力装置3とで情報通信を行うために用いられる。通信路4としては、LAN(Local Area Network)やインターネット、そのほかUSBやSCSIなどの種々のインタフェースを用いてもよい。
【0037】
まず、情報処理装置1の構成の具体例について説明する。この具体例では、情報処理装置1はアプリケーション14、デバイスドライバ15、情報操作部16を含み、情報操作部16は図1に示した試験情報生成部11、出力結果比較部12、変更情報生成部13とともに、描画オブジェクト記憶部17、出力指示部18、出力結果受付部19を含んで構成されている。アプリケーション14は、操作者の操作に応じて、少なくとも実画像出力装置3に出力させる原稿データ等を作成する機能を有している。
【0038】
デバイスドライバ15は、アプリケーション14から原稿データ等を出力する要求があると、目標画像出力装置2又は実画像出力装置3に出力指示データを送信することにより、これらの装置における出力を制御する。出力指示データの具体例としては、PDL(Page Description Language)で記述されたPDLデータ等であってよい。また、出力指示データには、解像度、階調情報、スクリーン等の画質に関する指示である画質指示と、文字、図形、イメージ等の描画命令である描画コマンドとが含まれる。
【0039】
図4は、出力指示データに含まれる画質指示の一例の説明図である。この例では、具体例として出力指示、解像度、階調情報、スクリーン、色味、特殊処理1、特殊処理2の項目を有する例を示している。もちろん、画質指示として設定される項目はこれらに限らず、色値(例えば、CMYK、RGBなど)に対する色再現、線幅指定(例えば、mm、pixel)に対する細線再現、オブジェクトごとの画像処理ポリシー(OOR/OOH)、スクリーン角度、オブジェクトの描画方法(ラスタかベクタか)等が考えられる。
【0040】
例えば図4に示す5つの画質指示の例が登録されている場合、これらのうち、いずれかを例えば項番あるいは出力指示の名称を指示して選択すればよい。あるいは、これらの項目について出力指示データ中で指示を行えばよい。図示した画質指示の一例では、項番4に示した例において出力指示の名称として「高画質」が設定され、また、項番5に示した例においては出力指示の名称として「カスタム1」が設定されており、これらを選択する指示を行えば、対応する画質指示が行われたものとして処理を行う。例えば実画像出力装置3で目標画像出力装置2の出力結果に合わせた出力結果を得る場合にも、描画変更情報及び特性変更情報が生成された後であれば、画質指示としてその旨を指定すればよく、例えば「カスタム1」などがその1つである。もちろん、描画変更情報及び特性変更情報を保存したファイル名を指定するなど、画質指示の指定は他の方法で行ってもよいことは言うまでもない。
【0041】
図3に戻り、情報操作部16は、実画像出力装置3で出力される画像の画質特性を目標画像出力装置2で出力される画像の画質特性と相違しないようにするための描画変更情報及び特性変更情報を生成する。なお、この例では情報操作部16を情報処理装置1に含めて示しているが、例えば、実画像出力装置3に含めてもよいし、独立した構成として実現してもよい。なお、情報操作部16に含まれる試験情報生成部11、出力結果比較部12、変更情報生成部13については、重複する説明を省略する。
【0042】
描画オブジェクト記憶部17は、与えられた出力指示データから試験情報生成部11が第1の試験情報を生成する際に、出力指示データから抽出する描画オブジェクト及び当該描画オブジェクトについてどのような試験情報を生成するのか、などを記憶している。
【0043】
出力指示部18は、試験情報生成部11で生成した各試験情報をデバイスドライバ15に受け渡し、デバイスドライバ15に対して各試験情報の出力指示を行う。
【0044】
出力結果受付部19は、各試験情報について目標画像出力装置2及び実画像出力装置3で出力した結果を、通信路4を通じて受け付ける。出力結果は、例えば目標画像出力装置2及び実画像出力装置3で画像形成出力した結果を画像読取部27,37で読み取った画像として受け取ればよい。受け付けた出力結果を出力結果比較部12に渡す。
【0045】
目標画像出力装置2は、少なくとも画像を出力する機能を有し、この例では紙等の媒体に画像を形成する画像形成機能を有している。この例ではさらに、紙等の媒体に描かれている画像を読み取る画像読取機能も有している。この目標画像出力装置2は、ここでは画像処理部21と、出力部26と、画像読取部27を含んでいる。
【0046】
出力部26は、画像処理部21で処理を行った画像データに基づいて、例えば紙等の媒体に画像を形成して出力する。もちろん、表示出力など、画像の出力方法はこれに限られるものではない。また画像読取部27は、原稿に描かれている画像を読み取り、読み取った画像を通信路4を通じて送信する。例えば、出力部26で出力した各試験情報に基づく画像を画像読取部27で読み取って、情報操作部16の出力結果受付部19に送る。なお、この画像読取部27は、出力部26が出力した画像を、人手を介することなく読み取る内蔵型の読取装置であってもよい。
【0047】
画像処理部21は、情報処理装置1のデバイスドライバ15から通信路4を通じて送信された出力指示データに基づいて、画像処理を行い、画像データを出力部26に渡す。この例では、画像処理装置21は、出力指示データ受付部22、描画処理部23、色再現処理部24、中間調処理部25を含んで構成されている。出力指示データ受付部22は、デバイスドライバ15から通信路4を通じて渡された出力指示データを受け付けて、描画処理部23に渡す。描画処理部23は、出力指示データ受付部22から渡された出力指示データに従って描画処理を行い、画像データを生成する。色再現処理部24は、描画処理部23により描画された画像データに対して各種の色再現処理を施す。ここで、色再現処理としては、描画コマンドにおける特定の色空間の色信号を、出力部26が出力のために使用する色成分を要素とする別の色空間の色信号に変換する処理、色信号を色再現範囲内の別の色信号へ変換する処理、色信号の階調を補正する処理等がある。中間調処理部25は、スクリーン処理等により擬似中間調の画像を生成する。
【0048】
実画像出力装置3は、少なくとも画像を出力する機能を有し、この例では紙等の媒体に画像を形成する画像形成機能、及び、出力される画像を他の出力装置、ここでは目標画像出力装置2の出力に合わせる機能を有している。この例ではさらに、紙等の媒体に描かれている画像を読み取る画像読取機能も有している。この実画像出力装置3は、ここでは画像処理部31と、出力部36と、画像読取部37と、指示変更設定部41を含んでいる。
【0049】
出力部36は、画像処理部31で処理を行った画像データに基づいて、例えば紙等の媒体に画像を形成して出力する。もちろん、表示出力など、画像の出力方法はこれに限られるものではない。また画像読取部37は、原稿に描かれている画像を読み取り、読み取った画像を通信路4を通じて送信する。例えば、出力部36で出力した第3の試験情報に基づく画像を画像読取部37で読み取って、情報操作部16の出力結果受付部19に送る。なお、この画像読取部37は、出力部36が出力した画像を、人手を介することなく読み取る内蔵型のスキャナであってもよい。
【0050】
画像処理部31は、情報処理装置1のデバイスドライバ15から通信路4を通じて送信された出力指示データに基づいて、画像処理を行い、画像データを出力部36に渡す。この例では、画像処理装置31は、出力指示データ受付部32、描画処理部33、色再現処理部34、中間調処理部35を含んで構成されている。出力指示データ受付部32は、デバイスドライバ15から通信路4を通じて渡された出力指示データを受け付けて、描画処理部33及び指示変更設定部41に渡す。描画処理部33は、出力指示データ受付部32から渡された出力指示データに従って描画処理を行い、画像データを生成する。その際に、指示変更設定部41による指示及び変更された画像データに基づいて描画処理を行う。
【0051】
色再現処理部34は、描画処理部33により描画された画像データに対して各種の色再現処理を施す。ここで、色再現処理としては、描画コマンドにおける特定の色空間の色信号を、出力部36が出力のために使用する色成分を要素とする別の色空間の色信号に変換する処理、色信号を色再現範囲内の別の色信号へ変換する処理、色信号の階調を補正する処理等がある。その際に、指示変更設定部41による指示に従って色再現処理を行う。中間調処理部35は、スクリーン処理等により擬似中間調の画像を生成する。その際に、指示変更設定部41による指示に従って中間調処理を行う。
【0052】
指示変更設定部41は、目標画像出力装置2で画像を出力した場合と異ならない画質の画像を実画像出力装置3で出力するための処理を行う。この例では、指示変更設定部41は、指示判定部42、描画判定部43、目標装置決定部44、変更情報記憶部45、パラメータ記憶部46等を含んで構成されている。
【0053】
指示判定部42は、出力指示データ受付部32で受け付けた出力指示データに含まれる画質指示の内容を判定する。また描画判定部43は、出力指示データ受付部32で受け付けた出力指示データに含まれる描画コマンドの内容を判定する。
【0054】
目標装置決定部44は、指示判定部42が内容を判定した画質指示の内容と、変更情報記憶部45に記憶されている描画変更情報及び特性変更情報に従って、目標画像出力装置の出力結果と異ならない出力を得るための各部の特性及び描画コマンドに対する変更を決定し、各部に通知及び設定する。
【0055】
変更情報記憶部45は、情報操作部16の変更情報生成部13により生成された描画変更情報及び特性変更情報を記憶する。またパラメータ記憶部46は、目標装置決定部44により決定された各部に設定するパラメータを記憶する。
【0056】
なお、目標画像出力装置2と実画像出力装置3とは、この例では画像を出力するための構成が共通しているが、もちろん、それぞれの出力装置で異なる構成を有していてもよい。
【0057】
図3に示した構成を用い、本発明の実施の一形態における動作の一具体例について説明する。図5は、与えられた出力指示データ、第1,第2の試験情報、第1,第2の出力結果の具体例の説明図である。ここでは、図5(A)に示す画像がアプリケーション14で作成され、その画像を出力するための出力指示データがデバイスドライバ15に渡され、その指示内容として、目標画像出力装置2における出力と相違しない出力を実画像出力装置3で行う旨が指示されたものとする。図5(A)に示す画像では、フォントaによる文字列「XXXXX」と、フォントbによる文字列「特許太郎」と、フォントcによる文字列「YYY株式会社」などが描かれている。この例では説明を簡単化するため、オブジェクトを文字とし、文字に対する描画処理の違いと、文字の線幅などの装置特性について、目標画像出力装置2における出力と実画像出力装置3の出力が相違しないように、描画変更情報及び特性変更情報を生成する場合について、以下、説明する。
【0058】
デバイスドライバ15では、まず、目標画像出力装置2における出力と相違しない出力を実画像出力装置3で行うための描画変更情報及び特性変更情報の生成を情報操作部16に指示する。
【0059】
情報操作部16では、図2に示した処理によって描画変更情報及び特性変更情報を生成する。まず、試験情報生成部11は、図5(A)に示す画像の出力指示データから、画像中で使用されているオブジェクト、この例では3種類のフォントで描かれた文字オブジェクトであることを抽出し、これらに対応する第1の試験情報を生成する。その際に、描画オブジェクト記憶部17を参照し、使用されているオブジェクトに対応する第1の試験情報を生成するとよい。
【0060】
この具体例では、図5(B)に示す第1の試験情報を生成する。すなわち、フォントa、フォントb、フォントcのそれぞれの文字オブジェクトに対応して、それぞれのフォントを使用した「あいうえおABCDE」を描画する出力指示データを第1の試験情報として生成する。図5(B)では図示の都合上、描画した後の画像として示しているが、第1の試験情報は描画する前の出力指示データである。
【0061】
続いて試験情報生成部11は、第1の試験情報をもとに、実画像出力装置3で描画した場合の画像を第2の試験情報として生成する。図5(B)に示した第1の試験情報から生成した第2の試験情報を図5(C)に示している。なお、実画像出力装置3が出力指示データの通りに描画処理を行っている場合には、図5(B)と図5(C)は相違しないはずであるが、実画像出力装置3の描画処理によっては異なる場合もある。
【0062】
このようにして試験情報生成部11で生成された第1の試験情報及び第2の試験情報は、デバイスドライバ15に渡される。デバイスドライバ15は、目標画像出力装置2に対して第1の試験情報及び第2の試験情報の出力を指示する。あるいはさらに、出力結果の返送についても指示してもよい。
【0063】
目標画像出力装置2では、通信路4を通じて第1の試験情報及び第2の試験情報の出力指示データを画像処理部21の出力指示データ受付部22が受け付ける。そして、第1の試験情報及び第2の試験情報の出力指示データに従って描画処理部23が描画処理し、色再現処理部24による色処理、中間調処理部25によるスクリーン処理等が施された後、出力部26から出力する。出力された第1の試験情報の画像及び第2の試験情報の画像は、画像読取部27により読み取って第1の試験情報に対応する出力結果、第2の試験情報に対応する出力結果となる。第1の試験情報に対応する出力結果(第1の出力結果)を図5(D)に、また第2の試験情報に対応する出力結果(第2の出力結果)を図5(E)に、それぞれ示している。これらの出力結果は、通信路4を通じて情報操作部16に返送される。
【0064】
なお、画像読取部27による読取は、自動で行ってもよいし、操作者が手動で行ってもよい。また、出力結果から取得する装置特性に応じた読取条件を設定し、画像読取部27で出力結果を読み取るように構成するとよい。
【0065】
第1の出力結果及び第2の出力結果は出力結果受付部19により受け付けて、出力結果比較部12に渡される。出力結果比較部12では、第1の出力結果と第2の出力結果とを比較する。すると、a1’として示した文字列とa2’として示した文字列に違いはなく、フォントaについては実画像出力装置3で出力しても目標画像出力装置2で出力しても違いはないと考えられる。b1’として示した文字列とb2’として示した文字列、及び、c1’として示した文字列とc2’として示した文字列については、実画像出力装置3による出力結果と目標画像出力装置2による出力結果が異なっていることが分かる。これらの違いは描画の際に異なるフォントに置き換えられて描画される等によって生じるものであり、目標画像出力装置2と実画像出力装置3との描画処理の違いが抽出される。さらに、第2の試験情報である図5(C)に示す画像と、その出力結果である図5(E)に示す第2の出力結果とを比較することによって、出力特性に起因する相違が得られる。図5では違いが生じていないものとして図示している。
【0066】
変更情報生成部13は、このような出力結果比較部12による出力結果の比較結果を受け、例えばフォントbを使用した文字オブジェクトに対しては、図5(D)にb1’として示した文字列のフォントとなるように変更する描画変更情報を生成する。また、フォントcについても図5(D)にc1’として示した文字列のフォントとなるように変更する描画変更情報を生成する。さらに、この例では違いが生じていないが、出力特性に起因する相違が存在する場合には、図5(E)に示す出力結果が得られるように変更する特性変更情報を生成する。生成した描画変更情報及び特性変更情報は、通信路4を通じて実画像出力装置3に送られ、目標画像出力装置2の出力結果に合わせる場合の変更情報として実画像出力装置3の変更情報記憶部45に記憶される。
【0067】
図6は、描画処理における描画内容の一例の説明図である。上述の具体例では文字オブジェクトを描画する際に、フォントの相違が存在する場合について示した。このほかにも、それぞれの画像出力装置画行う描画処理の違いの一例として、図6に示したものが挙げられる。例えば文字オブジェクトの描画については、フォントの相違の他にも、アウトラインデータ(文字の輪郭データ)として処理する場合と、ビットマップデータとして処理する場合がある。また、図形を描画する際にも、矩形領域を塗りつぶして図形を描画する場合と、線として描画する場合と、グラデーション処理を行う場合などにおいて相違が生じる。さらに、イメージを描画する際においても、画像データを貼り付ける場合と、イメージの矩形領域を塗りつぶしてしまう場合などで相違する。
【0068】
このほかにも、例えば線を描画する場合に点線や破線などの線種に応じた処理や接続処理、透過部分の重ね合わせ処理、それぞれのオブジェクト属性に対する処理、色に関する処理など、各画像出力装置における様々な描画処理において出力に違いが生じる場合がある。このような各描画オブジェクトにおいて生じるであろう違いについて描画オブジェクト記憶部17に蓄積している。試験情報生成部11が第1の試験情報を生成する際には、出力指示データ中で使用されている描画オブジェクトについて、描画の違いが存在していればそれが出力に現れるように、描画オブジェクト記憶部17の情報を用いて第1の試験情報を生成するとよい。もし、描画処理に相違があれば、第1の出力結果と第2の出力結果を比較することにより、それぞれの描画オブジェクトに相違が現れ、その相違を抽出して描画変更情報を作成すればよい。
【0069】
図7は、第3の試験情報及び第3の出力結果の一具体例の説明図である。図5(C)に示した第2の試験情報の画像と図5(E)に示した第2の出力結果の画像とを比較しても出力特性の違いが得られるが、その場合よりも詳細に出力特性の違いを取得する場合には、さらに第3の試験情報を生成して実画像出力装置で出力し、第3の出力結果を得て第2の出力結果と比較するとよい。
【0070】
図7(A)には図5(A)に示した出力指示データにより出力する画像を示している。このうち、第1の試験情報及び第2の試験情報を使用した結果から、フォントaの場合に目標画像出力装置2と実画像出力装置3の出力の明確な違いが現れていなかったことから、このフォントaを用いて第3の試験情報を生成する。この例においては、線の太さに着目し、線幅が異なる3種類の文字列を配して図7(B)に示す第3の試験情報を生成した例を示している。
【0071】
このようにして試験情報生成部11で生成された第3の試験情報は、デバイスドライバ15に渡される。デバイスドライバ15は、実画像出力装置3に対して第3の試験情報の出力を指示する。あるいはさらに、出力結果の返送についても指示してもよい。
【0072】
実画像出力装置3では、通信路4を通じて第3の試験情報の出力指示データを画像処理部31の出力指示データ受付部32が受け付ける。そして、第3の試験情報の出力指示データに従って描画処理部33が描画処理し、色再現処理部34による色処理、中間調処理部35によるスクリーン処理等が施された後、出力部36から出力する。出力された第3の試験情報の画像は、画像読取部37により読み取って第3の試験情報に対応する出力結果(第3の出力結果)となる。第3の出力結果を図7(C)に示している。第3の出力結果は、通信路4を通じて情報操作部16に返送される。
【0073】
なお、画像読取部37による読取は、自動で行ってもよいし、操作者が手動で行ってもよい。また、出力結果から取得する装置特性に応じた読取条件を設定し、画像読取部37で出力結果を読み取るように構成するとよい。
【0074】
第3の出力結果は出力結果受付部19により受け付けて、出力結果比較部12に渡される。出力結果比較部12では、第2の出力結果と第3の出力結果を比較する。そして、それぞれの比較結果を変更情報生成部13に渡す。
【0075】
図7(C)に示した第3の出力結果の例では、例えばa1−1’と示した太さの文字が、図5(E)に示した第2の出力結果のうちのa2’として示した文字の太さであったとする。この情報が出力結果比較部12から変更情報生成部13に渡され、変更情報生成部13では線の太さを第3の試験情報でa1−1の文字列を生成した場合の太さに設定する特性変更情報を生成する。生成した特性変更情報は通信路4を通じて実画像出力装置3の変更情報記憶部45に記憶される。
【0076】
装置特性として、この具体例では線の太さを例にして説明したが、このほかにも、色再現性などの各画像出力装置における様々な装置特性に起因する違いが生じる場合がある。試験情報生成部11が第3の試験情報を生成する際には、与えられた出力指示データ中で使用されている描画オブジェクトについて、装置特性に応じてパラメータを変更したいくつかの情報を含めて第3の試験情報を生成するとよい。装置特性に応じて変更したいくつかのうちから、比較結果に従って選択したパラメータを用いて特性変更情報を生成すればよい。
【0077】
図8は、描画変更情報及び特性変更情報の一例の説明図である。図8に示す例では描画変更情報と特性変更情報をまとめて示している。上述の具体例では、目標画像出力装置2と実画像出力装置3の描画処理の違いとして、文字オブジェクトのフォントが相違していた。このフォントの描画変更情報として、「フォントb→フォントd」、「フォントc→フォントe」を設定している。また、装置特性として、線幅の情報が得られた。この線幅についての特性変更情報として、「W4」を設定している。これらの描画変更情報及び特性変更情報が変更情報生成部13で生成され、実画像出力装置3に送られて変更情報記憶部45に記憶される。
【0078】
その他の描画変更情報及び特性変更情報についても、変更を要する場合に設定される。図8に示す例では描画変更情報と特性変更情報をまとめているが、もちろん、それぞれ別個の情報であってよいことは言うまでもない。また、描画変更情報と特性変更情報は複数の画像出力装置で共有してもよい。
【0079】
このようにして実画像出力装置3に描画変更情報及び特性変更情報が変更情報記憶部45に記憶させた後、目標画像出力装置2の出力と相違しないように実画像出力装置3から出力させる。情報処理装置1のデバイスドライバ15は、アプリケーション14から渡された出力指示データを、通信路4を通じて実画像出力装置3へ送り、出力を指示する。その際に、変更情報記憶部45に記憶されている描画変更情報及び特性変更情報を使用する旨を通知する。例えば図4に示した画質指示で「カスタム1」などと指定すればよい。
【0080】
出力指示データを受け取った実画像出力装置3の動作について説明する。なお、画像の出力の前に、必要な事前作業の指示を利用者に対して提示し、事前作業を終了させておくとよい。例えば、階調補正、レジ補正、複数枚ランニング等の装置側のメンテナンスが考えられる。
【0081】
図9は、実画像出力装置3における出力動作の一例を示す流れ図である。S111において、画像処理部31の出力指示データ受付部32は、送られてくる出力指示データを受け付ける。
【0082】
S112において、指示判定部42は、出力指示データ受付部32で受け付けた出力指示データに含まれる画質指示の内容を判定する。また描画判定部43は、出力指示データ受付部32で受け付けた出力指示データに含まれる描画コマンドの内容を判定する。これらの判定結果は目標装置決定部44に伝えられる。ここで、画質指示は、描画変更情報及び特性変更情報を指定する情報を含む。
【0083】
S113において、目標装置決定部44は、指示判定部42から伝えられた画質指示の判定結果によって、画質指示が描画変更情報及び特性変更情報を指定する情報を含んでいるか否かを判定する。画質指示として描画変更情報及び特性変更情報を指定する情報が含まれている場合には、S114において、既に変更情報記憶部45に記憶されている描画変更情報及び特性変更情報の中から指定された描画変更情報及び特性変更情報を選択する。そして、S117において、目標装置決定部44は選択した描画変更情報及び特性変更情報と、パラメータ記憶部46に記憶されている出力パラメータとに基づいて、目標画像出力装置2の出力と相違しない出力を得るための各部の特性及び描画コマンドに対する変更を決定する。決定された各部の特性及び描画コマンドに対する変更は、S119において各部に供給される。
【0084】
また、S113で画質指示に描画変更情報及び特性変更情報を指定する情報が含まれていないと判定された場合には、S115において、この例では描画変更情報及び特性変更情報が出力指示データに添付されている場合についても対応するものとし、描画変更情報及び特性変更情報が添付されているか否かを判定する。描画変更情報及び特性変更情報が添付されている場合には、S116において、添付されている描画変更情報及び特性変更情報を一時的にその出力指示データに対して適用する描画変更情報及び特性変更情報として取得する。そして、S117において、目標装置決定部44は取得した描画変更情報及び特性変更情報と、パラメータ記憶部46に記憶されている出力パラメータとに基づいて、目標画像出力装置2の出力と相違しない出力を得るための各部の特性及び描画コマンドに対する変更を決定する。決定された各部の特性及び描画コマンドに対する変更は、S119において各部に供給される。
【0085】
さらに、S115で画質指示に描画変更情報及び特性変更情報が添付されていないと判定された場合には、S118において、目標装置決定部44はパラメータ記憶部46に記憶されている出力パラメータを用いるものと決定し、S119において出力パラメータを各部に供給する。
【0086】
そしてS120において、送られてきた出力指示データに従って画像を出力する。より詳細には、出力指示データ受付部32で受け付けた出力指示データは描画処理部33に渡され、出力指示データ中の描画コマンドに従って描画処理が行われる。この際に、目標装置決定部44から描画コマンドの変更の指示を受けている場合には、その指示に従って描画コマンドを変更した描画処理を行う。例えば上述の具体例では、フォントbやフォントcが指示された文字を描画する描画コマンドについては、図8に示した描画変更情報及び特性変更情報に従って、フォントdやフォントeに変更され、また線幅についても設定されている線幅で描画されることになる。
【0087】
描画された画像は色再現処理部34において色処理が施される。この場合にも、目標装置決定部44から描画変更情報及び特性変更情報に基づいて指示された設定に従い、色処理を行うことになる。さらに色処理が施された画像は、中間調処理部35においてスクリーン処理が施される。この場合についても、目標装置決定部44からの指示に従って行うことになる。
【0088】
そして、画像処理部31でこれらの処理が施された画像が出力部36に渡され、画像が出力されることになる。出力部36についても、目標装置決定部44からの設定に従って画像を出力する。出力指示データで描画変更情報及び特性変更情報が指定され、あるいは 描画変更情報及び特性変更情報が添付されていた場合には、それらの描画変更情報及び特性変更情報に従って画像処理が行われることから、出力部36からは、目標画像出力装置2の出力結果と相違しない出力結果が得られることになる。
【0089】
図10は、本発明の実施の一形態で説明した機能をコンピュータプログラムで実現した場合におけるコンピュータプログラム及びそのコンピュータプログラムを格納した記憶媒体とコンピュータの一例の説明図である。図中、51はプログラム、52はコンピュータ、61は光磁気ディスク、62は光ディスク、63は磁気ディスク、64はメモリ、71はCPU、72は内部メモリ、73は読取部、74はハードディスク、75はインタフェース、76は通信部である。
【0090】
上述の本発明の実施の一形態で説明した各部の機能を全部あるいは部分的に、コンピュータにより実行可能なプログラム51によって実現してもよい。例えば図3に示した情報処理装置1における機能、実画像出力装置3の支持変更設定部41の機能などの全部または部分的に、コンピュータにより実行可能なプログラム51によって実現してもよい。その場合、そのプログラム51およびそのプログラムが用いるデータなどは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記憶させておけばよい。記憶媒体とは、コンピュータのハードウェア資源に備えられている読取部73に対して、プログラムの記述内容に応じて、磁気、光、電気等のエネルギーの変化状態を引き起こして、それに対応する信号の形式で、読取部73にプログラムの記述内容を伝達するものである。例えば、光磁気ディスク61,光ディスク62(CDやDVDなどを含む)、磁気ディスク63,メモリ64(ICカード、メモリカード、フラッシュメモリなどを含む)等である。もちろんこれらの記憶媒体は、可搬型に限られるものではない。
【0091】
これらの記憶媒体にプログラム51を格納しておき、例えばコンピュータ52の読取部73あるいはインタフェース75にこれらの記憶媒体を装着することによって、コンピュータからプログラム51を読み出し、内部メモリ72またはハードディスク74(磁気ディスクやシリコンディスクなどを含む)に記憶し、CPU71によってプログラム51を実行することによって、上述の本発明の実施の一形態で説明した機能が全部あるいは部分的に実現される。あるいは、通信路を介してプログラム51をコンピュータ52に転送し、コンピュータ52では通信部76でプログラム51を受信して内部メモリ72またはハードディスク74に記憶し、CPU71によってプログラム51を実行することによって実現してもよい。
【0092】
コンピュータ52には、このほかインタフェース75を介して様々な装置と接続してもよい。例えば情報処理装置1をコンピュータ52により実現する場合、実画像出力装置3がインタフェース75を介して接続されていてもよい。また、情報を表示する表示手段や利用者からの情報を受け付ける受付手段等も接続されていてもよい。
【0093】
もちろん、部分的にハードウェアによって構成することもできるし、全部をハードウェアで構成してもよい。あるいは、他の構成とともに本発明の実施の一形態で説明した機能の全部あるいは部分的に含めたプログラムとして構成してもよい。もちろん、他の用途に適用する場合には、その用途におけるプログラムと一体化してもよい。
【符号の説明】
【0094】
1…情報処理装置、2…目標画像出力装置、3…実画像出力装置、4…通信路、11…試験情報生成部、12…出力結果比較部、13…変更情報生成部、14…アプリケーション、15…デバイスドライバ、16…情報操作部、17…描画オブジェクト記憶部、18…出力指示部、19…出力結果受付部、21,31…画像処理部、22,32…出力指示データ受付部、23,33…描画処理部、24,34…色再現処理部、25,35…中間調処理部、26,36…出力部、27,37…画像読取部、41…指示変更設定部、42…指示判定部、43…描画判定部、44…目標装置決定部、45…変更情報記憶部、46…パラメータ記憶部、51…プログラム、52…コンピュータ、61…光磁気ディスク、62…光ディスク、63…磁気ディスク、64…メモリ、71…CPU、72…内部メモリ、73…読取部、74…ハードディスク、75…インタフェース、76…通信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
与えられた出力指示データに基づいて第1の試験情報を生成するとともに前記第1の試験情報を実画像出力装置で描画展開した場合の第2の試験情報を生成する試験情報生成手段と、前記第1の試験情報を目標画像出力装置に与えて得られた第1の出力結果と前記第2の試験情報を目標画像出力装置に与えて得られた第2の出力結果とを比較する比較手段と、前記比較手段による比較結果から前記実画像出力装置での描画結果が前記目標画像出力装置における描画結果となるように描画処理に対する指示を変更するための描画変更情報を生成するとともに前記実画像出力装置での出力特性が前記目標画像出力装置における出力特性となるように出力特性を変更するための特性変更情報を生成する生成手段を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記試験情報生成手段は、さらに、出力特性により出力が異なるパラメータについて複数に変更して描画した第3の試験情報を生成し、前記比較手段は、前記第3の試験情報を前記実画像出力装置に与えて得られた第3の出力結果と前記第2の出力結果とを比較し、生成手段は、前記第3の出力結果と前記第2の出力結果との比較結果も用いて前記特性変更情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の情報処理装置により生成された描画変更情報及び特性変更情報を記憶する変更情報記憶手段と、与えられた出力指示データを前記描画変更情報に従って変更するとともに前記特性変更情報に従って出力特性を設定する変更設定手段と、前記変更設定手段で変更された出力指示データに従って描画処理を行う描画手段と、前記変更設定手段で設定された出力特性に従って描画された画像に対する処理を行う処理手段と、処理手段で処理された画像を出力する出力手段を有することを特徴とする情報出力装置。
【請求項4】
コンピュータに、請求項1または請求項2に記載の情報処理装置の機能を実行させるものであることを特徴とする情報処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−64020(P2012−64020A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208204(P2010−208204)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】