説明

情報処理装置、画像出力方法及びプログラム

【課題】ユーザが運動をしながら比較対象とすべき運動を簡易に認識することを可能とすること。
【解決手段】運動する人物について時系列で計測した1種類以上の計測値と当該計測値に基づいて認識される人物の運動を特定する運動記述データとを保持する運動モデルを複数記憶する記憶部と、指定された条件に従って、前記記憶部により記憶されている複数の運動モデルから1つ以上の運動モデルを選択する選択部と、前記選択部により選択された運動モデルについて、前記計測値と前記運動記述データにより特定される運動とを時系列で表現する一連の出力画像を出力する出力部と、を備える情報処理装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、画像出力方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、健康の維持若しくは増進、又は競技能力の向上などを目的とする運動が日常的に行われている。ジョギング、ウォーキング、サイクリング又は水泳などは、そのような運動の一例である。ユーザによる運動を支援するための技術としては、運動をするユーザの生体情報を計測するための技術、計測された情報を管理するための技術、あるいはユーザに何らかの運動を推奨するための技術などが挙げられる。例えば、下記特許文献1は、ユーザの身体データに基づいて推奨される運動の内容を表す運動プログラムデータをサーバからユーザの腕時計へ配信することにより、運動に関する専門知識を有しない者でも適切な運動を行えるようにする技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−291952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された技術では、運動プログラムデータにおいて規定されている運動の内容及び運動の時間又は回数を腕時計の画面上でユーザに呈示できるに過ぎないため、ユーザ自身の現在と過去の運動の比較、あるいはユーザ自身の運動と他のユーザの運動との比較をすることができなかった。また、ユーザが運動をしながら、上述したような運動の比較を簡易に行うことのできる技術は、これまで提供されていなかった。
【0005】
そこで、本発明は、ユーザが運動をしながら比較対象とすべき運動を簡易に認識することのできる、新規かつ改良された情報処理装置、画像出力方法及びプログラムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある実施形態によれば、運動する人物について時系列で計測した1種類以上の計測値と当該計測値に基づいて認識される人物の運動を特定する運動記述データとを保持する運動モデルを複数記憶する記憶部と、指定された条件に従って、上記記憶部により記憶されている複数の運動モデルから1つ以上の運動モデルを選択する選択部と、上記選択部により選択された運動モデルについて、上記計測値と上記運動記述データにより特定される運動とを時系列で表現する一連の出力画像を出力する出力部と、を備える情報処理装置が提供される。
【0007】
また、上記出力画像は、上記運動記述データにより特定される運動をする人物を模したキャラクターを表示する画像であってもよい。
【0008】
また、上記出力部は、上記選択された運動モデルにおける上記計測値に応じて、上記キャラクターの状態を時系列で変化させてもよい。
【0009】
また、上記運動モデルは、運動する人物の位置を表す位置データを含み、上記情報処理装置は、ユーザの現在位置を取得する位置取得部、をさらに備え、上記出力部は、上記選択された運動モデルの上記位置データにより表される人物の位置と、上記位置取得部により取得されるユーザの現在位置とに応じて、上記キャラクターの表示位置又は大きさを時系列で変化させてもよい。
【0010】
また、上記出力画像は、少なくとも1種類の上記計測値をさらに表示する画像であってもよい。
【0011】
また、指定可能な上記条件の選択肢として、運動をするユーザと同一の人物についての運動モデルを選択するための条件が含まれてもよい。
【0012】
また、指定可能な上記条件の選択肢として、著名な人物についての運動モデルを選択するための条件が含まれてもよい。
【0013】
また、指定可能な上記条件の選択肢として、運動をするユーザとの間で年齢、性別、身長及び体重のうち少なくとも1つの属性が共通し又は類似する人物についての運動モデルを選択するための条件が含まれてもよい。
【0014】
また、上記情報処理装置は、運動するユーザについて上記1種類以上の計測値を出力する計測部と、上記計測部により出力された計測値に基づいてユーザの運動を認識する運動認識部と、をさらに備え、上記選択部は、上記運動認識部により認識されたユーザの現在の運動が上記出力部により処理されている運動モデルの上記運動記述データにより特定される運動と異なる場合には、上記出力部により処理されるべき他の運動モデルをあらためて選択してもよい。
【0015】
また、上記情報処理装置は、運動するユーザについて上記1種類以上の計測値を出力する計測部と、上記計測部により出力された計測値に基づいてユーザの運動を認識する運動認識部と、上記運動認識部による認識結果を用いて、上記ユーザについての上記運動モデルを生成する運動モデル生成部と、をさらに備えてもよい。
【0016】
また、本発明の別の実施形態によれば、運動する人物について時系列で計測した1種類以上の計測値と当該計測値に基づいて認識される人物の運動を特定する運動記述データとを保持する運動モデルを複数記憶する記憶部、を備える情報処理装置を用いた画像出力方法であって、指定された条件に従って、上記記憶部により記憶されている複数の運動モデルから1つ以上の運動モデルを選択するステップと、選択された運動モデルについて、上記計測値と上記運動記述データにより特定される運動とを時系列で表現する一連の出力画像を出力するステップと、を含む画像出力方法が提供される。
【0017】
また、本発明の別の実施形態によれば、運動する人物について時系列で計測した1種類以上の計測値と当該計測値に基づいて認識される人物の運動を特定する運動記述データとを保持する運動モデルを複数記憶する記憶部、を備える情報処理装置を制御するコンピュータを、指定された条件に従って、上記記憶部により記憶されている複数の運動モデルから1つ以上の運動モデルを選択する選択部と、上記選択部により選択された運動モデルについて、上記計測値と上記運動記述データにより特定される運動とを時系列で表現する一連の出力画像を出力する出力部と、として機能させるための、プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明に係る情報処理装置、画像出力方法及びプログラムによれば、ユーザが運動をしながら比較対象とすべき運動を簡易に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】一実施形態に係る情報処理システムの概要を示す第1の模式図である。
【図2】一実施形態に係る情報処理システムの概要を示す第2の模式図である。
【図3】一実施形態に係る情報処理システムの概要を示す第3の模式図である。
【図4】一実施形態に係る情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図5】一実施形態に係るユーザデータの登録について説明するための説明図である。
【図6】一実施形態に係る運動認識処理について説明するための説明図である。
【図7】一実施形態に係る運動モデルの生成について説明するための説明図である。
【図8】一実施形態に係る運動モデルについての人物のタイプについて説明するための説明図である。
【図9】一実施形態に係る選択条件指定画面について説明するための説明図である。
【図10】一実施形態に係るキャラクター画像の生成について説明するための第1の説明図である。
【図11】一実施形態に係るキャラクター画像の生成について説明するための第2の説明図である。
【図12】一実施形態に係るキャラクター画像の生成について説明するための第3の説明図である。
【図13】一実施形態に係る出力画像の一例を示す説明図である。
【図14】一実施形態に係る出力画像の他の例を示す説明図である。
【図15】一実施形態に係る情報処理の全体的な流れの一例を示すフローチャートである。
【図16】一実施形態に係るモデル生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図17】一実施形態に係るモデル表示処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付すことにより重複説明を省略する。
【0021】
また、以下の順序にしたがって当該「発明を実施するための形態」を説明する。
1.システムの概要
2.一実施形態に係る情報処理装置の構成
2−1.ユーザデータの登録
2−2.運動の計測及び認識
2−3.運動モデルの生成
2−4.運動モデルの表示
3.一実施形態に係る処理の流れ
3−1.全体的な流れ
3−2.モデル生成処理
3−3.モデル表示処理
4.まとめ
【0022】
<1.システムの概要>
まず、図1〜図3を用いて、本発明の一実施形態に係る情報処理システムの概要を説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理システム1aの概要を示す模式図である。図1を参照すると、情報処理システム1aを利用するユーザUaが、ランニングをしている。情報処理システム1aは、情報処理装置100a、センサ群102a及び表示装置104aを含む。
【0024】
センサ群102aは、ユーザUaにより装着されている。センサ群102aは、ユーザUaが運動している間、ユーザUaについての1種類以上の計測値を周期的に取得し、取得した計測値を情報処理装置100aへ送信する。図1では、図面の簡明さの観点から、ユーザの腕のみに装着されているセンサ群102aのみを示している。しかしながら、センサ群102aに含まれる各センサは、それぞれユーザの体の他の部位に装着されてもよく、ユーザにより携帯されてもよい。センサ群102aは、例えば、ユーザUaの体の各部位の加速度を取得する加速度センサ、各部位の姿勢を取得するジャイロセンサ、各部位の筋電位を取得する筋電位センサ、ユーザUaの心拍数を取得する心拍計、呼吸数を取得する呼吸計、体温を取得する体温計、発汗量を取得する発汗量計などを含み得る。
【0025】
表示装置104aは、ユーザUaにより装着されている。表示装置104aは、情報処理装置100aにより生成される出力画像を受信し、受信した出力画像をユーザUaに向けて表示する。図1の例では、表示装置104aは、ヘッドマウントディスプレイである。
【0026】
情報処理装置100aは、センサ群102aから受信される計測値を処理すると共に、ユーザUaに向けて表示すべき出力画像を生成する装置である。情報処理装置100aは、例えば、センサ群102a及び表示装置104aと接続するための接続インタフェース(例えば無線又は有線通信インタフェース)を有する汎用的なコンピュータであってよい。また、図1の例に限定されず、情報処理装置100aは、センサ群102a及び表示装置104aのいずれか一方又は双方と物理的に一体の装置であってもよい。
【0027】
図2は、本発明の他の実施形態に係る情報処理システム1bの概要を示す模式図である。図2を参照すると、情報処理システム1bを利用するユーザUbが、ランニングマシーン上でランニングをしている。情報処理システム1bは、情報処理装置100b、センサ群102b及び表示装置104bを含む。
【0028】
センサ群102bの一部のセンサ102b−1は、ユーザUbにより装着されている。一方、センサ群102bの一部のセンサ102b−2は、ユーザUbにより装着されていない。センサ群102bは、図1のセンサ群102aと同様、ユーザUbが運動している間、ユーザUbについての1種類以上の計測値を周期的に取得し、取得した計測値を情報処理装置100bへ送信する。例えば、ユーザにより装着されるセンサ102b−1は、ユーザUbの体の各部位の加速度を取得する加速度センサなど、図1のセンサ群102aと同様のセンサを含み得る。また、センサ102b−2は、ユーザUbの体から放射される赤外線を検出することによりユーザUbの体温を取得する体温計、又はユーザUbの呼気の二酸化炭素濃度を取得する濃度計などを含み得る。
【0029】
表示装置104bは、ユーザUbが利用しているランニングマシーンに付設されている。表示装置104bは、情報処理装置100bにより生成される出力画像を受信し、受信した出力画像をユーザUbに向けて表示する。
【0030】
情報処理装置100bは、図1の情報処理装置100aと同様、センサ群102bから受信される計測値を処理すると共に、ユーザUbに向けて表示すべき出力画像を生成する装置である。情報処理装置100bは、例えば、センサ群102b及び表示装置104bと接続するための接続インタフェースを有する汎用的なコンピュータであってよい。また、図2の例に限定されず、情報処理装置100bは、センサ群102b及び表示装置104bのいずれか一方又は双方と物理的に一体の装置であってもよい。
【0031】
図3は、本発明のさらに別の実施形態に係る情報処理システム1cの概要を示す模式図である。図3を参照すると、情報処理システム1cを利用するユーザUcが、プールで水泳をしている。情報処理システム1cは、情報処理装置100c、センサ群102a及び表示装置104cを含む。このうち、センサ群102aは、図1を用いて説明したセンサ群である。
【0032】
表示装置104cは、ユーザUcが水泳をしているプールの底面に画像を映写することのできるプロジェクタである。表示装置104cは、情報処理装置100cにより生成される出力画像を受信し、受信した出力画像をプールの底面に映写する。なお、情報処理システム1cにおいて、プロジェクタを用いてプールの底面に画像を映写する代わりに、プールの底面に表示装置の画面が配設されてもよい。
【0033】
情報処理装置100cは、図1の情報処理装置100aと同様、センサ群102aから受信される計測値を処理すると共に、表示装置104cにより映写されるべき出力画像を生成する装置である。情報処理装置100cは、例えば、センサ群102a及び表示装置104cと接続するための接続インタフェースを有する汎用的なコンピュータであってよい。
【0034】
即ち、図1〜図3を用いて説明した情報処理装置100a〜100cは、いずれも、運動するユーザについての1種類以上の計測値をセンサ群を用いて計測すると共に、当該ユーザに向けて表示すべき出力画像を生成する装置である。本明細書のこれ以降の説明において、情報処理装置100a、100b及び100cを互いに区別する必要が無い場合には、符号の末尾のアルファベットを省略することにより、これらを情報処理装置100と総称する。また、情報処理システム1(1a、1b及び1c)、センサ群102(102a及び102b)並びに表示装置104(104a、104b及び104c)についても同様とする。
【0035】
<2.一実施形態に係る情報処理装置の構成>
次に、図4〜図14を用いて、本発明の一実施形態に係る情報処理装置100の具体的な構成を説明する。まず、図4は、一実施形態に係る情報処理装置100の構成の一例を示すブロック図である。図4を参照すると、情報処理装置100は、ユーザインタフェース110、ユーザデータ管理部120、計測部130、運動認識部140、位置取得部150、記憶部160、モデル生成部170、選択部180及び出力部190を備える。
【0036】
[2−1.ユーザデータの登録]
ユーザインタフェース110は、情報処理装置100がユーザからの指示又は情報入力を受け付けるためのインタフェースを提供する。ユーザインタフェース110は、例えば、表示装置104により表示される画面を用いたGUI(グラフィカルユーザインタフェース)であってもよく、又は音声入力インタフェースなどであってもよい。ユーザインタフェース110は、本項で説明するユーザデータの登録のみならず、後に説明する運動モデルの表示の際の条件の入力のためにも用いられる。
【0037】
ユーザデータ管理部120は、情報処理装置100を利用するユーザについてのユーザデータを管理する。ユーザデータは、例えば、図5に示すようなユーザデータ登録画面W1を介してユーザにより入力される。
【0038】
図5を参照すると、図中左にユーザデータ登録画面W1が示されている。ユーザデータ登録画面W1は、例えば、1人のユーザについてのニックネーム、身長、体重、性別及び年齢を入力するための属性入力欄と、顔写真を指定するための指定欄とを含む。ユーザデータ管理部120は、このようなユーザデータ登録画面W1を介して個々のユーザの属性値を取得し、取得した属性値を含むユーザデータを記憶部160に記憶させる。
【0039】
図5の右には、記憶部160により記憶される一例としてのユーザデータ122が示されている。ユーザデータ122は、個々のユーザを識別するためのユーザID(UserID)の他に、ニックネーム(name)、身長(height)、体重(weight)、性別(sex)、年齢(age)、及び顔写真の画像ファイルのファイルパス(facePic)という6つの属性項目を含む。これら属性項目についての属性値は、例えば、ユーザデータ管理部120が提供するユーザデータ更新画面(図示せず)を用いて、ユーザにより更新可能であってもよい。
【0040】
[2−2.運動の計測及び認識]
ユーザデータが登録された後の情報処理装置100による処理は、概して、運動の計測及び認識、運動モデルの生成、並びに運動モデルの表示の3つに分けられる。本項では、このうち運動の計測及び認識について説明する。運動の計測及び認識には、主に計測部130、運動認識部140、位置取得部150及び記憶部160が関与する。
【0041】
計測部130は、運動するユーザについての1種類以上のパラメータをセンサ群102を用いて計測し、その計測結果である計測値を運動認識部140及び記憶部160へ出力する。計測部130により出力される計測値は、上述したように、ユーザの体の各部位(例えば、両手、両足、及び腰など)の加速度及び姿勢、並びにユーザの心拍数及び呼吸数などの様々なパラメータについての計測値であってよい。計測部130による計測値の出力は、典型的には、ユーザが運動している間に周期的に行われる。その結果、ユーザの一連の運動について、時系列の一連の計測値が出力される。
【0042】
運動認識部140は、計測部130から出力される計測値に基づいてユーザの運動を認識する。運動認識部140による運動認識処理は、例えば、特開2006−340903号公報及び特開2009−118513号公報に記載されているような、HMM(Hidden Markov Model)に基づく処理であってもよい。この場合、加速度センサ及び姿勢センサ(ジャイロセンサ)の出力値を用いて、ユーザによる運動の種類を「歩いている」、「走っている」及び「静止している」などの候補の中から特定することができる。また、運動認識部140による運動認識処理は、公知の教師あり学習(例えば、SVM(Support Vector Machine)又はニューラルネットワークに基づく学習など)により事前に獲得された識別関数を用いた処理であってもよい。この場合、運動の種類が既知である運動について計測部130から出力される計測値を用いて、当該計測値から運動の種類を識別するための識別関数が、事前の学習処理により獲得される。そして、未知の運動について計測部130から新たな計測値が出力されると、運動認識部140は、事前に獲得された識別関数を、当該新たな計測値に適用する。
【0043】
図6は、運動認識部140による運動認識処理の一例について説明するための説明図である。図6の左には、計測部130から周期的に出力される1組の計測値を含む計測データ132が示されている。計測データ132は、計測の時刻を示すタイムスタンプ、及び1種類以上のパラメータ(例えば、心拍数、呼吸数、及び3軸加速度など)についての計測値を含む。運動認識部140は、かかる計測データ132に事前に獲得された識別関数を適用することにより、運動の種類ごとのスコアを算出する。識別関数に適用されるデータは、1つのタイムスタンプと関連付けられた1組の計測データ132であってもよく、その代わりに過去一定の期間(数秒など)にわたっての複数組の計測データ132であってもよい。ここで算出されるスコアは、認識の対象とした運動が各コンテキストID(Context ID:運動ID)により識別される種類の運動である確率を表す。例えば、図6の右において、コンテキストID=E1(“Walking”)についてのスコアは0.20、コンテキストID=E2(“Running”)についてのスコアは0.65、コンテキストID=En(“Swimming”)についてのスコアは0.02である。この場合、認識の対象とした運動について、ユーザがランニングをしている(“Running”)可能性が最も高いことが認識される。運動認識部140は、このようなスコア、又は最も可能性が高いと認識された運動の種類を特定するコンテキストIDを、運動記述データ142として記憶部160へ出力する。
【0044】
位置取得部150は、ユーザが運動している間、ユーザの現在位置を周期的に取得する。そして、位置取得部150は、取得した位置を表す位置データを記憶部160へ出力する。位置取得部150は、例えば、GPS(Global Positioning System)機能によりユーザの現在位置を取得してもよい。その代わりに、位置取得部150は、例えば、計測部130により計測されるユーザの加速度を積分することにより得られる速度ベクトルを積算することにより、ユーザの現在位置を取得してもよい。
【0045】
なお、図2を用いて説明した情報処理システム1bにおいては、ユーザはランニングマシーン上から移動しない。この場合には、ランニングマシーンに設けられる速度センサから出力されるランニング速度を積算することにより、運動開始時点からのユーザの仮想的な移動量が算出される。そして、位置取得部150は、算出した仮想的な移動量に応じて、仮想空間内におけるユーザの位置(例えばスタート地点からの変位)を取得する。
【0046】
記憶部160は、ハードディスク又は半導体メモリを用いて、計測部130から入力される計測データ132、運動認識部140から入力される運動記述データ142、及び位置取得部150から入力される位置データを時系列で記憶する。そして、記憶部160により記憶されたこれらデータを用いて、ユーザの一連の運動をモデル化する運動モデルが生成される。
【0047】
[2−3.運動モデルの生成]
本明細書において、運動モデルとは、運動する人物(情報システム1のユーザである人物及び他の人物を含む)について時系列で計測した1種類以上の計測値と当該計測値に基づいて認識される人物の運動を特定する運動記述データとを保持するモデルデータである。運動モデルの生成には、主に記憶部160及びモデル生成部170が関与する。
【0048】
モデル生成部170は、上述した運動認識部140による認識結果を用いて運動モデルを生成する。運動モデルの生成は、例えば、ユーザの一連の運動について前項で説明した運動の計測及び認識が終了した時点で行われてもよい。その代わりに、運動モデルの生成は、例えば、一定の期間にわたって記憶部160に蓄積されたデータに対して、当該一定の期間ごとに行われてもよい。
【0049】
図7は、本実施形態に係る運動モデルの生成について説明するための説明図である。図7の上部には、記憶部160により時系列で記憶されている計測データ132、運動記述データ142、及び位置データ152が示されている。図7の例では、位置データ152は、GPS機能により取得されるユーザの現在位置を表す緯度、経度及び高度を含む。モデル生成部170は、例えば、これらデータのうち、ユーザの1回の(1まとまりの)運動に対応する一連のデータを特定し、運動モデルを識別するための1つのモデルID(Model ID)を付与する。また、モデル生成部170は、特定した一連のデータについて、タイムスタンプごとにシーケンス番号(Seq. Num.)を付与する。そして、モデル生成部170は、出力画像の生成のために使用されるデータを、各タイムスタンプに関連付ける。図7の例では、各シーケンス番号に、タイムスタンプ(Time)、位置(Position)、速度ベクトル(Speed Vector)、心拍数(Heart Beat)及び呼吸数(Breathing Rate)の値が関連付けられている。また、モデル生成部170は、これらデータを運動記述データ(図7の例ではコンテキストID)と関連付ける。図7の例では、1つのモデルID(“M1”)に1つの代表的なコンテキストID(“E2”)が関連付けられているが、コンテキストIDは、シーケンス番号ごとに1つずつ関連付けられてもよい。モデル生成部170は、このように生成される運動モデル172を、記憶部160へ出力する。
【0050】
記憶部160は、モデル生成部170により生成される1つ以上の運動モデルを記憶媒体を用いて蓄積する。そして、記憶部160により蓄積されている運動モデルは、次項で説明する運動モデルの表示に際して、記憶部160から選択的に出力される。
【0051】
[2−4.運動モデルの表示]
(2−4−1.表示すべきモデルの選択)
本実施形態において、情報処理システム1を利用するユーザは、運動に際して、モデル生成モードとモデル表示モードのいずれかを選択することができる。ユーザがモデル生成モードを選択した場合には、情報処理装置100は、ここまでに説明した運動の計測及び認識、並びに運動モデルの生成を行う。一方、ユーザがモデル表示モードを選択した場合には、情報処理装置100は、本項で説明する運動モデルの表示を行う。運動モデルの表示には、主に記憶部160、選択部180及び出力部190が関与する。なお、運動モデルの表示の際にも、上述した運動の計測及び認識は並列的に行われ得る。
【0052】
選択部180は、ユーザ又はシステムにより指定された条件に従って、記憶部160により記憶されている複数の運動モデルから、運動するユーザに向けて表示すべき1つ以上の運動モデルを選択する。運動モデルの選択のための条件は、運動の開始前に指定される初期条件と、運動の開始後に特定される事後条件とに分類される。例えば、初期条件として、人物のタイプ、人物の属性、運動の種類、計測値の範囲、及び運動モデルの生成時期などが指定可能であってよい。
【0053】
図8は、本実施形態に係る運動モデルについての人物のタイプについて説明するための説明図である。図8を参照すると。記憶部160により蓄積されている3つの運動モデルが示されている。このうち、モデルIDが“M1”である運動モデルを運動モデルM1、モデルIDが“M2”である運動モデルを運動モデルM2、モデルIDが“M3”である運動モデルを運動モデルM3とする。また、運動モデルの選択に際して、ユーザU01が情報処理システム1を利用しようとしているものとする。
【0054】
図8の例において、運動モデルM1は、ユーザU01による運動をモデル化した運動モデルである。即ち、情報処理システム1を利用しようとしているユーザU01にとって、運動モデルM1は、自分の過去の運動についての運動モデルである。一方、運動モデルM2は、ユーザU02による運動をモデル化した運動モデルである。ユーザU01にとって、運動モデルM2は、他ユーザの運動についての運動モデルである。また、運動モデルM3のユーザIDは“X11”である。当該ユーザIDは、例えば、マラソンランナーなどの著名なスポーツ選手を指す。このような著名なスポーツ選手についての運動モデルM3は、例えば、多くのユーザが目標とする運動のモデルを提供する。このように、情報処理システム1を利用しようとするユーザの観点に基づいて、個々の運動モデルは、自分の運動モデル、他ユーザの運動モデル及び著名人の運動モデルという3種類のタイプに分類され得る。本実施形態では、選択部180は、例えば、このような複数のタイプのうちユーザにより指定される特定のタイプの運動モデルを、表示すべき運動モデルとして選択する。
【0055】
図9は、本実施形態において選択部180がユーザに提供する選択条件指定画面について説明するための説明図である。図9を参照すると、一例としての選択条件指定画面W2が示されている。選択条件指定画面W2は、モデル数指定欄F21、対象期間指定欄F22、タイプ指定欄F23及び付加条件指定欄F24を有する。モデル数指定欄F21は、同時に表示される運動モデル数の最大値を指定するための欄である。対象期間指定欄F22は、選択される運動モデルの生成時期を指定するための欄である。
【0056】
タイプ指定欄F23は、選択される運動モデルの人物のタイプを指定するための欄である。例えば、人物のタイプとして「自分」が指定された場合には、選択部180は、運動をするユーザと同一の人物について過去に生成された運動モデルを選択する。
【0057】
また、人物のタイプとして「他ユーザ」が指定された場合には、選択部180は、運動をするユーザとは異なるユーザについて過去に生成された運動モデルを選択する。このとき、選択部180は、例えば、運動をするユーザとの間で付加条件指定欄F24において指定される属性が共通し又は類似する他のユーザについての運動モデルを優先的に選択するのが好適である。例えば、付加条件指定欄F24において「年齢」が指定された場合には、年齢の近いユーザについての運動モデルが優先的に選択され得る。また、付加条件指定欄F24において指定可能な属性には、例えば、年齢、性別、身長及び体重のうちの少なくとも1つが含まれ得る。
【0058】
また、人物のタイプとして「著名人」が指定された場合には、選択部180は、「著名人」についての運動モデルを選択する。さらに、図9に示したように、人物のタイプとして、「著名人」ではなく特定の著名人の名前(例えば「人物A」)が指定可能であってもよい。
【0059】
さらに、図9には示していないが、運動モデルの運動記述データにより特定される運動の種類(例えば、ウォーキング、ランニング又は水泳のいずれか)及び計測値の範囲(例えば、ランニングに関する総走行距離が3〜5[km])などが初期条件として指定されてもよい。
【0060】
事後条件としては、運動モデルの表示と並行して計測される計測値、ユーザの現在位置、及び運動モデルの表示と並行して認識される運動の種類などに応じた条件が用いられ得る。例えば、選択部180は、ユーザが運動を開始した後、運動認識部140により認識される運動の種類と同じ種類の運動についての運動モデルを選択してもよい。また、例えば、選択部180は、選択すべき運動モデルの複数の候補が存在する場合に、心拍数や呼吸数などの計測値がユーザの現在の計測値により近い運動モデルを選択してもよい。また、例えば、選択部180は、ユーザの現在位置に近い位置においてなされた運動についての運動モデルを選択してもよい。
【0061】
また、選択部180は、運動認識部140により認識されたユーザの現在の運動が出力部190により処理されている運動モデルの運動記述データにより特定される運動と異なる場合には、出力部190により処理されるべき他の運動モデルをあらためて選択する。例えば、人物のタイプのみについての初期条件に従って選択された運動モデルが「歩いている」モデルであった場合において、運動認識部140により認識されるユーザの現在の運動が「走っている」に変化したときには、選択部180は、「走っている」モデルをあらためて選択する。それにより、ユーザの運動に対する適切な比較対象となるモデルを動的に表示することができる。
【0062】
(2−4−2.選択されたモデルの表示)
出力部190は、選択部180により選択された運動モデルについて、当該運動モデルに含まれる計測値と運動記述データにより特定される運動とを時系列で表現する一連の出力画像を生成する。そして、出力部190は、生成した出力画像を表示装置104へ出力する。
【0063】
本実施形態において、出力部190により生成される出力画像は、運動記述データにより特定される運動をする人物を模したキャラクターを表示する画像である。即ち、例えば図7に示した運動モデルM1のように、運動記述データにより特定される運動がランニングであれば(コンテキストID=E2(“Running”))、出力部190は、ランニングをしているキャラクターを表示する出力画像を生成する。
【0064】
図10は、本実施形態に係る出力部190によるキャラクター画像の生成について説明するための第1の説明図である。
【0065】
図10を参照すると、図中左の運動モデルM2のシーケンス番号#1に対応するタイムスタンプT1と位置P1とに応じて、時刻tにおけるキャラクター画像C01が生成されている。また、運動モデルM2のシーケンス番号#2に対応するタイムスタンプT2と位置P2とに応じて、時刻t+(T2−T1)におけるキャラクター画像C04が生成されている。さらに、時刻tと時刻t+(T2−T1)との間の時点におけるキャラクター画像として、2つのキャラクター画像C02及びC03が生成されている。このように、出力部190は、運動モデルに含まれる時系列のデータに対応するキャラクター画像だけでなく、連続する2つのデータの間の時点におけるキャラクター画像を補間することにより、時間軸に沿って移動していく人物を模した一連のキャラクター画像(即ち、映像)を生成することができる。
【0066】
なお、出力部190は、例えば、これらキャラクター画像の体型及び服装などを、対応する人物の年齢、性別、身長及び体重などの属性、又は対応する人物のタイプに応じて変化させてもよい。また、キャラクター画像の頭部に、ユーザデータとして登録されたユーザの顔写真が表示されてもよい。それにより、キャラクターがどの人物を表しているのかをユーザが直感的に認識することがより容易となる。
【0067】
また、本実施形態において、出力部190は、選択された運動モデルの位置データにより表される人物の位置とユーザの現在位置とに応じて、キャラクターの表示位置又は大きさを時系列で変化させる。
【0068】
図11は、本実施形態に係る出力部190によるキャラクター画像の生成について説明するための第2の説明図である。
【0069】
図11の左には、時刻t1において生成されるキャラクター画像C11が示されている(11a参照)。キャラクター画像C11の表示位置は、例えば、図1に例示した情報システム1aにおいては、選択された運動モデルの時刻t1における人物の位置、ユーザの現在位置、及び表示装置104aに設けられる方位センサにより検出されるユーザの視線の向き(方位)に基づいて決定され得る。この場合、ユーザが前方を向いている場合には、ユーザは、ユーザよりも先行している人物を見ることができる。また、ユーザが後方を振り返った場合には、ユーザは、ユーザよりも遅れている人物を見ることができる。また、図2に例示した情報システム1bにおいては、キャラクター画像C11の表示位置は、例えば、仮想空間内での時刻t1における人物の位置及びユーザの現在位置に基づいて決定され得る。また、図3に例示した情報システム1cにおいては、キャラクター画像C11の表示位置は、例えば、選択された運動モデルの時刻t1における人物の位置のみに基づいて決定され得る(この場合、走っているキャラクターの代わりに泳いでいるキャラクターが表示される)。
【0070】
さらに、キャラクター画像C11の大きさは、選択された運動モデルの位置データにより表される人物の位置とユーザの現在位置との間の距離に応じて決定される。例えば、時刻t1において表示されている人物とユーザとの間の距離はD1、時刻t2において表示されている人物とユーザとの間の距離はD2であったものとする。ここで、D2>D1であることから、時刻t1において表示されるキャラクター画像C11(11a参照)は、時刻t2において表示されるキャラクター画像C12(11b参照)よりも大きい。
【0071】
このような画像を見ることにより、ユーザは、運動をしながらであっても、比較対象とすべき過去の自分、他ユーザ又は著名人の運動の状況を直感的に認識することができる。例えば、上述した出力画像から感知される距離感は、ユーザの現在の運動とモデルとの間の運動量又は運動のレベルの違いを表している。
【0072】
また、出力部190は、選択された運動モデルに含まれる計測値に応じて、キャラクター画像の状態を時系列で変化させてもよい。例えば、運動モデルに心拍数及び呼吸数についての計測値が含まれるものとする。この場合、心拍数及び呼吸数の値が大きいほど、運動モデルと関連付けられている人物はその時点においてより疲労していたと考えることができる。そこで、出力部190は、例えば、キャラクター画像の状態を、心拍数及び呼吸数の値から推定される疲労度に応じて、時系列で変化させることができる。また、出力部190は、例えば、運動モデルに含まれる速度、体温、又はその他の種類の計測値に応じて、キャラクター画像の状態を変化させてもよい。
【0073】
図12は、本実施形態に係る出力部190によるキャラクター画像の生成について説明するための第3の説明図である。
【0074】
図12を参照すると、運動モデルM2のシーケンス番号#1の時点において、ユーザU02の心拍数は110、呼吸数は20である。一方、運動モデルM2のシーケンス番号#kの時点において、ユーザU02の心拍数は150、呼吸数は50である。従って、シーケンス番号#1の時点のユーザU02の疲労度と比較して、シーケンス番号#kの時点におけるユーザU02の疲労度は相対的に高かったものと推定される。そこで、出力部190は、例えば、シーケンス番号#kの時点におけるキャラクター画像C22に、疲労を表す汗のアニメーションを付加する。なお、このようなアニメーションの代わりに、キャラクター画像の色、又はキャラクター画像と関連付けられるテキスト若しくはインジケータなどを用いて、キャラクターの状態(運動モデルの人物の状態)が表現されてもよい。
【0075】
本実施形態において、出力部190は、上述したようなキャラクター画像に加えて、運動モデルにおける少なくとも1種類の計測値を表示するための情報と、ユーザについての現在の計測値を表示するための情報とを、出力画像内で表示する。
【0076】
(2−4−3.出力画像の例)
図13及び図14は、本実施形態に係る出力画像の一例をそれぞれ示す説明図である。
【0077】
図13を参照すると、一例としての出力画像192aが示されている。出力画像192aには、キャラクター画像C3、ユーザ情報194及びモデル情報196が含まれる。キャラクター画像C3は、選択部180により選択された運動モデルに対応する人物を模したキャラクターの画像である。ユーザ情報194は、日付、現在時刻及び運動開始からの経過時間などの一般的な情報に加えて、運動開始からのユーザの走行距離、並びにユーザの現在の速度、心拍数及び体温などの計測値を示している。一方、モデル情報196は、モデルとなる人物の運動開始からの走行距離、並びに当該人物の現在の速度、心拍数及び体温などの計測値を示している。
【0078】
図14を参照すると、他の一例としての出力画像192bが示されている。出力画像192bには、キャラクター画像C3、ユーザ情報194、補足情報197、地図情報198及び方角情報199が含まれる。補足情報197は、モデルとなる人物とユーザとの間の現在の距離など、補足的な情報を示す。地図情報198は、モデルとなる人物の位置とユーザの現在位置とを地図上に示す。方角情報199は、例えば、速度ベクトルから認識されるユーザの進行方向と、表示装置104aに設けられる方位センサにより取得されるユーザの視線方向とを示す。これら補足情報197、地図情報198及び方角情報199を確認することにより、ユーザは、運動をしながら、自分の現在の状況とモデルとなる人物の状況との差をより容易に把握することができる。
【0079】
<3.一実施形態に係る処理の流れ>
[3−1.全体的な流れ]
図15は、本実施形態に係る情報処理の全体的な流れの一例を示すフローチャートである。図15のフローチャートは、ユーザが(例えばシステムへのログインなどにより)情報処理システム1の利用を開始した後、利用を終了するまでの処理の全体的な流れを示している。
【0080】
まず、ユーザデータ管理部120は、ユーザデータが登録済みであるか否かを判定する(ステップS102)。ここで、ユーザデータが登録済みでなければ、ユーザデータ管理部120は、図5に例示したようなユーザデータ登録画面W1をユーザに呈示し、ユーザデータの登録を受け付ける(ステップS104)。その後、処理はステップS106へ進む。
【0081】
次に、ユーザにより、モデル生成モードとモデル表示モードのいずれかが選択される(ステップS106)。ここで、モデル生成モードが選択された場合には、処理はステップS108へ進み、モデル生成処理が行われる。一方、モデル表示モードが選択された場合には、処理はステップS110へ進み、モデル表示処理が行われる。
【0082】
[3−2.モデル生成処理]
図16は、本実施形態に係るモデル生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、ここでは、モデル生成処理がユーザの一連の運動が終了した時点で行われる例について説明する。
【0083】
図16を参照すると、まず、ユーザによる運動が開始される(ステップS202)。その後、ステップS204からステップS212までの処理は、ユーザによる運動の間、例えば1秒に数回又は数秒に1回などの所定の周期で繰返し行われる。
【0084】
まず、計測部130は、運動するユーザについての1種類以上のパラメータをセンサ群102を用いて計測し、その計測結果である計測値を出力する(ステップS204)。次に、運動認識部140は、計測部130から出力される計測値に基づいてユーザの運動を認識する(ステップS206)。次に、位置取得部150は、ユーザの現在位置を取得する(ステップS208)。次に、記憶部160は、計測データ、運動記述データ及び位置データを含む1フレーム分のデータを記憶する(ステップS210)。
【0085】
その後、ユーザによる運動が継続している場合には、処理はステップS204へ戻る。一方、ユーザによる運動が終了した場合には、処理はステップS214へ進む(ステップS212)。
【0086】
ステップS214において、モデル生成部170は、計測データに含まれる1種類以上の計測値と上述した運動認識部140による認識結果である運動記述データとを含む運動モデルを生成する(ステップS214)。
【0087】
[3−3.モデル表示処理]
図17は、本実施形態に係るモデル表示処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0088】
図17を参照すると、まず、選択部180は、例えば図9に例示した選択条件指定画面W2に対するユーザ入力に応じて、初期条件を決定する(ステップS302)。そして、ユーザによる運動が開始される(ステップS304)。その後、ステップS306からステップS322までの処理は、ユーザによる運動の間、例えば1秒に数回又は数十回などの所定の周期で繰返し行われる。
【0089】
まず、選択部180は、記憶部160により記憶されている複数の運動モデルから、運動するユーザに向けて表示すべき1つ以上の運動モデルを選択する(ステップS306)。次に、計測部130は、運動するユーザについての1種類以上のパラメータをセンサ群102を用いて計測し、その計測結果である計測値を出力する(ステップS308)。次に、運動認識部140は、計測部130から出力される計測値に基づいてユーザの運動を認識する(ステップS310)。また、位置取得部150は、ユーザの現在位置を取得する(ステップS312)。そして、出力部190は、ユーザの現在位置と運動モデルに含まれる計測値、運動記述データ及び位置データとを用いて、キャラクター画像を生成する(ステップS314)。
【0090】
次に、選択部180は、例えば、ステップS306で選択した運動モデルの運動の種類とステップS310で認識されたユーザの運動の種類と比較することにより、運動モデルの再選択が必要か否かを判定する(ステップS316)。ここで、運動モデルの再選択が必要である場合には、処理はステップS306へ戻り、事後条件を用いた運動モデルの再選択が行われる。一方、運動モデルの再選択が必要でない場合には、処理はステップS318へ進む。
【0091】
ステップS318において、出力部190は、キャラクター画像と表示情報(例えば図13に例示したユーザ情報194及びモデル情報196)とを含む出力画像を生成する(ステップS318)。次に、出力部190は、生成した出力画像を表示装置104を用いて表示する(ステップS320)。
【0092】
その後、ユーザによる運動が継続している場合には、処理はステップS308及びステップS312へ戻る。一方、ユーザによる運動が終了した場合には、モデル表示処理は終了する。なお、図17に示したモデル表示処理と並行して、図16に示したステップS210のデータの記憶が行われてもよく、さらにユーザによる運動の終了後にステップS214の運動モデルの生成が行われてもよい。
【0093】
<4.まとめ>
ここまで、図1〜図17を用いて、本発明の一実施形態について説明した。本実施形態によれば、情報処理装置100により、運動する人物について時系列で計測した1種類以上の計測値と当該計測値に基づいて認識される人物の運動を特定する運動記述データとを保持する運動モデルが、予め複数記憶される。そして、指定された条件に従って選択される運動モデルについての上記計測値と運動記述データにより特定される運動とを時系列で表現する一連の出力画像が、運動するユーザにより視認し得るように出力される。それにより、ユーザは、運動をしながら、比較対象とすべき運動モデルについての運動の種類及び時系列での運動の状況を簡易に認識することができる。
【0094】
また、本実施形態によれば、ユーザに向けて表示される出力画像は、運動記述データにより特定される運動をする人物を模したキャラクターを表示する画像である。かかるキャラクターを出力画像において表示することにより、ユーザの競争意欲を引き出し、運動に対するモチベーションの維持又は向上を図ることができる。特に、本実施形態において、キャラクターの表示位置又は大きさは、運動モデルに含まれる人物の位置とユーザの現在位置とに応じて変化する。それにより、ユーザがモデルとなる人物よりも先行しているか遅れているか、及びどの程度先行しているか又は遅れているかを、容易に把握することができる。従って、ユーザの運動とモデルとなる人物の運動との間の直感的な比較が可能となると共に、ユーザのモチベーションがより一層向上することが期待される。
【0095】
また、本実施形態によれば、ユーザは、複数の運動モデルのうち、自分の過去の運動についての運動モデルを選択することができる。また、ユーザは、複数の運動モデルのうち、例えば自分が目標とする著名人についての運動モデルを選択することもできる。また、ユーザは、複数の運動モデルのうち、年齢、性別等の属性が近い他ユーザについての運動モデルを選択することもできる。このような様々な選択肢が提供されることにより、ユーザは、目的に応じて柔軟に運動の比較をすることができる。
【0096】
また、本実施形態によれば、モデルとなる人物との競争といった運動に際してのゲーム性がユーザに提供される。また、例えば、理想的な過去の自分、他人又は著名人についての運動モデルとの比較により、運動のペース配分などの効率的な学習が可能となり、ユーザの運動能力の向上をも期待することができる。
【0097】
なお、本明細書において説明した情報処理装置100による一連の処理は、典型的には、ソフトウェアを用いて実現される。一連の処理を実現するソフトウェアを構成するプログラムは、例えば、情報処理装置100の内部又は外部に設けられる記憶媒体に予め格納される。そして、各プログラムは、例えば、実行時に情報処理装置100のRAM(Random Access Memory)に読み込まれ、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサにより実行される。
【0098】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0099】
1 情報処理システム
100 情報処理装置
102 センサ群
104 表示装置
130 計測部
140 運動認識部
142 運動記述データ
150 位置取得部
152 位置データ
160 記憶部
170 モデル生成部
172 運動モデル
180 選択部
190 出力部
192a,192b 出力画像


【特許請求の範囲】
【請求項1】
運動する人物について時系列で計測した1種類以上の計測値と当該計測値に基づいて認識される人物の運動を特定する運動記述データとを保持する運動モデルを複数記憶する記憶部と;
指定された条件に従って、前記記憶部により記憶されている複数の運動モデルから1つ以上の運動モデルを選択する選択部と;
前記選択部により選択された運動モデルについて、前記計測値と前記運動記述データにより特定される運動とを時系列で表現する一連の出力画像を出力する出力部と;
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記出力画像は、前記運動記述データにより特定される運動をする人物を模したキャラクターを表示する画像である、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記出力部は、前記選択された運動モデルにおける前記計測値に応じて、前記キャラクターの状態を時系列で変化させる、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記運動モデルは、運動する人物の位置を表す位置データを含み、
前記情報処理装置は、ユーザの現在位置を取得する位置取得部、をさらに備え、
前記出力部は、前記選択された運動モデルの前記位置データにより表される人物の位置と、前記位置取得部により取得されるユーザの現在位置とに応じて、前記キャラクターの表示位置又は大きさを時系列で変化させる、
請求項2又は請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記出力画像は、少なくとも1種類の前記計測値をさらに表示する画像である、請求項2〜4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
指定可能な前記条件の選択肢として、運動をするユーザと同一の人物についての運動モデルを選択するための条件が含まれる、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
指定可能な前記条件の選択肢として、著名な人物についての運動モデルを選択するための条件が含まれる、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
指定可能な前記条件の選択肢として、運動をするユーザとの間で年齢、性別、身長及び体重のうち少なくとも1つの属性が共通し又は類似する人物についての運動モデルを選択するための条件が含まれる、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記情報処理装置は、
運動するユーザについて前記1種類以上の計測値を出力する計測部と、
前記計測部により出力された計測値に基づいてユーザの運動を認識する運動認識部と、
をさらに備え、
前記選択部は、前記運動認識部により認識されたユーザの現在の運動が前記出力部により処理されている運動モデルの前記運動記述データにより特定される運動と異なる場合には、前記出力部により処理されるべき他の運動モデルをあらためて選択する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記情報処理装置は、
運動するユーザについて前記1種類以上の計測値を出力する計測部と、
前記計測部により出力された計測値に基づいてユーザの運動を認識する運動認識部と、
前記運動認識部による認識結果を用いて、前記ユーザについての前記運動モデルを生成する運動モデル生成部と、
をさらに備える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
運動する人物について時系列で計測した1種類以上の計測値と当該計測値に基づいて認識される人物の運動を特定する運動記述データとを保持する運動モデルを複数記憶する記憶部、を備える情報処理装置を用いた画像出力方法であって:
指定された条件に従って、前記記憶部により記憶されている複数の運動モデルから1つ以上の運動モデルを選択するステップと;
選択された運動モデルについて、前記計測値と前記運動記述データにより特定される運動とを時系列で表現する一連の出力画像を出力するステップと;
を含む画像出力方法。
【請求項12】
運動する人物について時系列で計測した1種類以上の計測値と当該計測値に基づいて認識される人物の運動を特定する運動記述データとを保持する運動モデルを複数記憶する記憶部、を備える情報処理装置を制御するコンピュータを:
指定された条件に従って、前記記憶部により記憶されている複数の運動モデルから1つ以上の運動モデルを選択する選択部と;
前記選択部により選択された運動モデルについて、前記計測値と前記運動記述データにより特定される運動とを時系列で表現する一連の出力画像を出力する出力部と;
として機能させるための、プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−210119(P2011−210119A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78892(P2010−78892)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】