説明

情報処理装置、起動制御方法、及びプログラム

【課題】ネットワーク機器における起動を適切に判断することを目的とする。
【解決手段】ネットワーク機器のハードウェア、及びソフトウェアの少なくとも一方の起動が入力部より指示された場合、ネットワーク機器に起動を要求し、起動の予定の時間を示す予定時間を有する、ネットワーク機器、又は情報処理装置が有する若しくはネットワークに接続された記憶装置から、予定時間を取得して記憶部に格納し、要求に応答してネットワーク機器から送信された起動に要する時間を示す起動時間を受信して記憶部に格納し、予定時間が経過するまでに起動時間が受信されなかった場合、起動が行われなかったと判断することによって課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、起動制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、家庭内のネットワークを介して複数の機器や情報家電を接続し、画像、動画、音声などのコンテンツデータを共有して利用するUPnP(Universal Plug And Play)などの標準的な通信規格が注目されている。また、これらの機器や情報家電は、省エネルギーの観点から一定期間において使用されていないときは、自動的に電源オフの状態やSleepモードの状態になる機能を有している。このような機器や情報家電は、Wakeup On Lan機能など、電源オフの状態やSleepモードの状態のときに、ネットワークを介して起動要求を受け付ける機能も有している。
故に、ユーザは、家庭内のネットワークに接続する電源オフの状態やSleepモードの状態の機器や情報家電などのネットワーク機器を遠隔から起動させ、ネットワーク機器が連携して提供するサービスの利用を望んでいる。
【0003】
ここで、ユーザが操作する起動要求端末がネットワーク機器から取得したMACアドレスを保持しておき、ユーザがサービスを利用する際には、その中から起動するネットワーク機器のMACアドレスを選択する技術が公開されている(特許文献1参照)。
また、起動要求端末が、電源投入後のネットワーク機器のアプリケーションが安定状態になるまでの時間を予め取得し、予約していた制御開始時間の前に電源投入の指示を行う技術も公開されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−175625号公報
【特許文献2】特開2009−205267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、起動要求端末は、ネットワーク機器に向けて起動要求を送信するが、ネットワーク機器が起動するまでの時間がわからない。このため、特許文献1に記載の技術では、ネットワーク機器が起動し、制御可能になるまでの間、ネットワーク機器からの起動完了メッセージを監視する必要がある。若しくは、ネットワーク機器を発見できるまで、ネットワーク上の検索を繰り返す必要がある。
故に、ネットワーク機器が起動に失敗したときには、監視若しくは検索を行い続けてしまう問題がある。
【0006】
また、特許文献2に記載の技術では、ネットワーク機器の起動時間を予め取得することによって、起動要求後に制御可能となる時間を把握することが可能である。
しかしながら、ネットワーク機器がネットワークに接続されていない等の理由により起動要求のパケットがネットワーク機器で受信されなかった場合が想定される。更には、ネットワーク機器が起動要求のパケットを受信しても何らかの原因によりアプリケーションの起動に失敗することも想定される。
この場合、特許文献2に記載の技術では、ネットワーク機器における起動が失敗したか否かを起動要求端末が判断することができないという問題がある。
【0007】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたもので、ネットワーク機器における起動を適切に判断することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明に係る情報処理装置は、情報を記憶する記憶部と情報を入力する入力部とを有し、ネットワーク機器とネットワークを介して通信可能な情報処理装置であって、前記ネットワーク機器のハードウェア、及びソフトウェアの少なくとも一方の起動が前記入力部より指示された場合、前記ネットワーク機器に前記起動を要求する要求手段と、前記起動の予定の時間を示す予定時間を有する、前記ネットワーク機器、又は当該情報処理装置が有する若しくは前記ネットワークに接続された記憶装置から、前記予定時間を取得して前記記憶部に格納し、前記要求に応答して前記ネットワーク機器から送信された前記起動に要する時間を示す起動時間を受信して前記記憶部に格納する格納手段と、前記予定時間が経過するまでに前記起動時間が受信されなかった場合、前記起動が行われなかったと判断する判断手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ネットワーク機器における起動を適切に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】通信システムの構成の一例を示す図である。
【図2】SSDPメッセージの一例を示す図である。
【図3】通信システムにおけるシーケンスの一例を示す図である。
【図4】確認処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
【図5】起動実行処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
【図6】送信処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
【図7】起動要求端末の機能構成、及びハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。なお、実施形態は、本発明を限定するものではなく、また、実施形態で説明されている全ての構成が本発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。
【0012】
図1は、本実施形態に係る通信システムの構成の一例を示す図である。通信システムは、起動要求端末20、起動対象機器30、及び監視端末40を有する。起動要求端末20、起動対象機器30、及び監視端末40は、ネットワーク10を介して相互に通信可能に接続されている。ネットワーク10は、有線LAN、Bluetooth等を用いた無線LAN、又はこれらの組み合わせである。
起動対象機器30は、ネットワーク機器(コンピュータ)の一例であり、UPnP DA(Device Architecture)及びLP(UPnP Low Power Service)に準拠した機器である。また、起動対象機器30は、電源オフの状態、又はSleepモードの状態のときに、外部からの起動要求を受け取ることによって起動状態に遷移可能な機能を有する。
ここで、起動状態とは、電源オフの状態、及びSleepモードの状態以外の状態であり、より広義には、起動対象機器30が提供するサービスの用に供するハードウェアが前記サービスを提供可能に動作していることをいう。
なお、本実施形態では、起動対象機器30を起動状態にする手段としてWOL(Wakeup On LAN)を用いるが、WOL以外の手段を採用してもよい。
【0013】
監視端末40は、情報処理装置(コンピュータ)の一例であり、LPのProxy機能に準拠し、起動対象機器30の状態を監視する。また、監視端末40は、ネットワーク10上にマルチキャスト送信されるSSDP(simple service discovery protocol)メッセージを監視する。この監視により、監視端末40は、電源オフ、Sleepモードなどの起動対象機器30の状態を把握して管理を行う。
また、監視端末40は、起動要求端末20からの要求に応じて、ネットワーク10に接続される起動対象機器30の情報を提供する機能を有する。また、監視端末40は、電源オフの状態、又はSleepモードの状態の起動対象機器30を起動状態にさせる機能を有し、起動要求端末20からの起動指示に応答して起動要求を起動対象機器30に送信することで起動対象機器30を起動状態にさせる。
【0014】
起動要求端末20は、電源オフの状態、又はSleepモードの状態の起動対象機器30を起動状態にさせ、起動対象機器30を制御可能であるかを確認する。
ここで、起動要求端末20が、電源オフの状態、又はSleepモードの状態において起動対象機器30に対して起動要求を行う構成を採用してもよい。また、起動要求端末20が監視端末40に起動を指示(起動指示)することで監視端末40により起動対象機器30に起動要求が行われる構成を採用してもよい。また、これらの組み合わせの構成を採用してもよい。
また、起動要求端末20は、起動対象機器30への起動要求を行った後、或いは監視端末40に起動指示を行った後に、起動対象機器30が起動状態にあるか否かを監視する機能を有している。また、起動要求端末20は、ネットワーク10に接続される起動対象機器30の情報を監視端末40から取得する。
【0015】
本実施形態では、起動要求端末20と監視端末40とを物理的に異なる端末として説明するが、1つの装置に存在してもよい。また、上述のように、起動対象物は、物理的な装置(ハードウェア)であってもよいし、装置内のアプリケーション(ソフトウェア)であってもよいし、これらの組み合わせであってもよい。即ち、ハードウェア、及びソフトウェアの少なくとも一方を起動対象物とすることができる。
例えば、起動対象物がアプリケーション(ソフトウェア)のみである場合の起動状態とは、当該アプリケーションが終了している状態、及び当該アプリケーションが停止している状態以外の状態である。
【0016】
次に、図2(A)、(B)を用いて起動対象機器30がネットワーク10にマルチキャスト送信するSSDPメッセージについて説明する。図2は、SSDPメッセージの一例を示す図である。
SSDPメッセージの一例であるAliveメッセージ100は、基本的には、起動対象機器30がネットワーク10に接続されたときと、起動以降は周期的に送信されるメッセージである。「ssdp:alive」101は、起動対象機器30が起動状態であることを意味する。
SSDPメッセージの一例であるByebyeメッセージ200は、基本的には、起動状態から、起動対象機器30が電源オフの状態、又はSleepモードの状態に状態が遷移するときに送信されるメッセージである。「ssdp:byebye」201は、起動対象機器30が起動状態ではないことを意味する。
「Powerstate:2」202は、起動対象機器30の状態が電源オフの状態であるかSleepモードの状態であるかを数値にて示す情報であり、この数値はLPにて規定されている。「SleepPeriod:120」203は、起動対象物の起動の予定の時間を示す予定時間の一例であり、起動対象物が次回に起動するまでの時間(秒)である。換言するならば、この時間が経過する前に、再度、SSDPメッセージが送信されることを意味する。よって、電源オフの状態やSleepモードの状態が継続される場合、再度このByebyeメッセージ200が送信される。
【0017】
次に、図3を用いて起動要求端末20が起動対象機器30の状態の確認を行う一連の処理を説明する。図3は、起動対象機器30に関する起動制御方法、換言するならば通信システムにおけるシーケンスの一例を示す図である。
起動対象機器30は、ネットワーク10に接続されたこと(S301)を契機として、Aliveメッセージをネットワーク10にマルチキャスト送信する(S302)。ここで、監視端末40は、ネットワーク10上にマルチキャスト送信されるSSDPメッセージの監視を行っており、Aliveメッセージを受信する。
なお、監視端末40は、Aliveメッセージの受信に基づいて、起動対象機器30の機器情報を含むDevice/Service Descriptionの取得を行ってもよい。
ここで、機器情報には、直近にSSDPメッセージを受信した時間、起動方式の情報等が含まれる。機器情報は、UPnPの規格で規定されている情報であってもよいし、ベンダにより拡張された情報であってもよい。また、監視端末40は、起動対象機器30を電源オフの状態、又はSleepモードの状態から起動状態にさせる機器情報などを起動対象機器30等から適宜のタイミングで取得することも可能であり、起動対象機器30に関する機器情報を保存して管理を行う。
【0018】
起動対象機器30は、ユーザからの操作が一定期間なかった等のトリガー(S303)により、Byebyeメッセージをネットワーク10の上にマルチキャスト送信する(S304)。監視端末40は、Byebyeメッセージを受信することにより、例えば起動対象機器30がSleepモードの状態に遷移したと判断し、管理している起動対象機器30の機器情報に含まれる起動対象機器30の状態を更新する。
また、起動対象機器30は、ByebyeメッセージのsleepPeriodで指定した時間(例:a秒、a=120)が経過するα秒前に、再度Byebyeメッセージをマルチキャスト送信する(S305)。再度のByebyeメッセージを受信した監視端末40は、S304のときと同様に起動対象機器30の状態を更新する。なお、監視端末40は、Byebyeメッセージを受信すると、sleepPeriodで指定された時間を保持し、Byebyeメッセージを受信するごとに、sleepPeriodで指定された時間を上書きして保持する。
ここで、監視端末40は、S304の処理の後にa秒が経過しても、Byebyeメッセージを受信しなかった場合、起動対象機器30がネットワーク10と未接続であると判断する。なお、監視端末40は、未接続であると判断した場合、起動対象機器30の機器情報を更新してもよいし削除してもよい。
なお、S306は、S305と同様である。また、起動対象機器30の状態に変化がない場合、Byebyeメッセージが繰り返しマルチキャスト送信される。
【0019】
他方、起動要求端末20は、ネットワーク10に接続されたこと(S307)を契機として、監視端末40から、ネットワーク10に接続されている起動対象機器30の機器情報を含むデバイスリストを取得する(S308)。なお、起動対象機器30が起動状態である場合、起動要求端末20は、SSDP M−Searchによる検索を行うことによって起動対象機器30を発見することができる。他方、起動対象機器30が起動状態でない場合、起動要求端末20は、SSDP M−Searchによる検索を行っても起動対象機器30を発見することができない。
起動要求端末20は、取得した機器情報をもとに起動対象機器30を起動状態にさせる。詳細については図4において説明するが、例えば、起動要求端末20は、監視端末40に対して起動対象機器30の起動指示を行う(S309)。また、起動要求端末20は、監視端末40が起動指示を受け付けた返信を受信する。
【0020】
そして、起動要求端末20は、起動対象機器30の状態を確認するための監視を行う。このとき、起動要求端末20は、監視を終了するための監視タイマを設定する。監視時間は、監視端末40から取得した機器情報に含まれる、予定時間の一例であるsleepPeriodで指定された時間(a秒)と、最後にByebyeメッセージを受信した時間と、から算出した時間(a−n秒)である。nは、最後にByebyeメッセージが受信された時間からの経過時間(n秒:n<a)である。
付言するならば、起動要求端末20は、起動対象機器30から予定時間を取得する構成に限られるものではない。例えば、起動要求端末20は、予定時間が予め格納された、起動要求端末20の記憶装置、ネットワーク10に接続された記憶装置から、予定時間を取得する構成としてもよい。
起動要求端末20は、a−n秒が経過した後も暫く起動対象機器30からのAliveメッセージや、Byebyeメッセージを受信しなかった場合、起動対象機器30の監視を終了する。即ち、起動要求端末20は、監視の終了によって起動対象機器30を起動状態にさせることができなかった(失敗した)と判断する。
【0021】
また、起動指示を受け付けた監視端末40は、起動要求端末20に応答を返すとともに、起動対象機器30に起動要求を送信する(S310)。例えば、監視端末40は、起動対象機器30がマルチキャスト送信したSSDPメッセージから取得可能なMACアドレスを利用してWOLにて起動対象機器30を起動状態にする。
他方、起動要求を受信した起動対象機器30は、起動状態にする処理を行うと共に、この処理が完了するまでの時間(b秒)をsleepPeriodに指定したByebyeメッセージをマルチキャスト送信する(S311)。監視端末40を介してByebyeメッセージを受信した起動要求端末20は、監視タイマをb秒に更新して監視を継続する。
【0022】
起動対象機器30は、起動状態にする処理が完了すると、Aliveメッセージをマルチキャスト送信する(S312)。
起動要求端末20は、監視端末40を介してAliveメッセージを受信すると、監視タイマを停止すると共に、起動対象機器30の監視を終了する(S313)。b秒を経過して暫くしてもAliveメッセージを受信しなかった場合、起動要求端末20は、起動対象機器30の監視を終了する。即ち、起動要求端末20は、監視の終了によって起動対象機器30が起動状態にする処理に失敗したと判断する。
なお、上述の例では、起動要求端末20は、監視端末40を介して起動要求を行っているが、監視端末40から取得した機器情報に含まれる起動方式の情報に基づき起動対象機器30に起動要求を行うこともある。
【0023】
次に、図4を用いて起動要求端末20がネットワーク10に接続されてから起動対象機器30の状態の確認(監視)を行う一連の処理(確認処理)を説明する。図4は、確認処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
起動要求端末20は、ネットワーク10に接続された監視端末40から起動状態でない起動対象機器30の機器情報を含むデバイスリスト(機器一覧)を取得し、取得した起動対象機器30を表示画面などに表示する(S401)。起動状態でない起動対象機器30が複数存在する場合、それぞれの機器情報をもとに一覧表示する。
続いて、起動要求端末20は、一覧表示した起動対象機器30の中から、例えばユーザが後述の入力装置713を操作して指定した起動対象機器30を特定する(S402)。
続いて、起動要求端末20は、特定した起動対象機器30の機器情報から起動方式の情報を取得する(S403)。
【0024】
続いて、起動要求端末20は、取得した起動方式の情報により起動対象機器30を起動可能であるか否か判断する(S404)。このとき、起動要求端末20は、起動可能であると判断した場合、特定した起動対象機器30に対して起動要求を送信(起動処理を実行)する(S405)。他方、起動要求端末20は、起動不可能であると判断した場合、監視端末40に対して起動対象機器30の起動処理を依頼(起動指示を送信)する(S406)。
続いて、起動要求端末20は、起動処理を実行、又は起動指示を送信した後に、監視タイマをセットし(S407)、続いて、S408の処理を行う。監視タイマに指定される時間は、例えば、起動対象機器30が最後に送信したByebyeメッセージのsleepPeriodで指定された時間(a秒)と、起動要求、又は起動指示を行った時間とから算出される。
【0025】
S408では、起動要求端末20は、S407の処理でセットした時間が経過したか否か(設定した監視タイマが満了したか否か)を判断する。このとき、起動要求端末20は、監視タイマが満了したと判断した場合、監視を終了すると共に起動状態への遷移に失敗したと判断し、例えば失敗した旨の結果を画面に表示する(S413)。なお、起動要求端末20は、何も処理を行わずに(例えばS413の処理をすることなく)、確認処理を終了してもよい。他方、監視タイマが満了していないと判断した場合、起動要求端末20は、SSDPメッセージの受信待ちを継続する。換言するならば、起動要求端末20は、起動対象機器30の状態を確認するためにマルチキャスト送信されるSSDPメッセージの受信待ちを開始し、監視端末40を介してSSDPメッセージを受信したか否かを判断する(S409)。このとき、起動要求端末20は、SSDPメッセージを受信したと判断した場合、S410の処理を行い、他方、受信していないと判断した場合、S408の処理を行う。
【0026】
S410では、SSDPメッセージの種別がAliveメッセージであるかByebyeメッセージであるかを判断する。
このとき、起動要求端末20は、受信したSSDPメッセージがAliveメッセージであると判断した場合、起動対象機器30が起動状態に遷移したと判断し、例えば成功した旨の結果を画面に表示する(S413)。なお、起動要求端末20は、何も処理を行わずに(例えばS413の処理をすることなく)、確認処理を終了してもよい。
他方、起動要求端末20は、受信したSSDPメッセージがByebyeメッセージであると判断した場合、ByebyeメッセージからsleepPeriodの値を取得する処理を行う(S411)。続いて、起動要求端末20は、値を取得できたか否か(取得の有無)を判断する(S412)。このとき、起動要求端末20は、取得できたと判断した場合、監視タイマの再セットを行い(S407)、以降の処理を継続する。他方、起動要求端末20は、取得できなかったと判断した場合は、SSDPメッセージの受信待ちを継続する(S408)。
【0027】
次に、図5を用いて起動対象機器30が起動状態でないときに起動要求を受け付けたときの起動実行処理について説明する。図5は、起動実行処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
起動対象機器30は、起動要求の待ち状態であるとき(S501)、起動要求を受信したか否かを判断する(S502)。このとき、起動対象機器30は、起動要求を受信したと判断した場合、S503の処理を行い、他方、起動要求を受信していないと判断した場合、起動要求の待ち状態となる。
S503では、起動対象機器30は、設置環境や設定内容を考慮して規定された起動状態への遷移に要する時間(起動時間)を後述の記憶装置715等から取得する処理を行う。起動対象機器30は、設置環境や設定内容を考慮して起動時間を算出する処理を行ってもよい。
【0028】
起動対象機器30は、起動時間を取得できたか否かを判断する(S504)。このとき、起動対象機器30は、起動時間を取得できたと判断した場合、S505の処理を行い、他方、起動時間を取得できなかったと判断した場合、S506の処理を行う。S505では、起動対象機器30は、取得した時間をsleepPeriodに設定したByebyeメッセージをマルチキャスト送信し、続いて、S506の処理を行う。なお、この送信処理の詳細については図6を参照して説明する。
S506では、起動対象機器30は、起動対象機器30が提供するサービスの用に供するハードウェア、ソフトウェア、又は双方(起動対象サービス)を起動する。例えば、起動対象機器30は、給電を制限していたデバイスに給電を再開したり、停止していたアプリケーションを再開したりする。続いて、起動対象機器30は、全ての起動対象サービスの起動が完了すると、Aliveメッセージをマルチキャスト送信する(S507)。
なお、起動対象機器30は、起動時間を取得するソフトウェアや、Byebyeメッセージを送信する後述のソフトウェアなどが起動していない場合、それらのソフトウェアなどを起動してから夫々の処理を行う。
【0029】
次に、図6を用いて図5のS505の送信処理について説明する。
ここで、起動対象機器30の設置環境や、アプリケーションの設定内容などにより起動時間が異なる場合がある。例えば、IPアドレスの設定に関して、固定モードであるか自動取得モードであるかにより、IPアドレスを設定する時間が異なる。また、自動取得モードであっても、設置環境におけるDHCPサーバの有無により、取得方法がDHCPであるかAutoIPであるかで異なることになりIPアドレスの取得に要する時間が異なる。
以下では、IPアドレスの設定が自動設定である場合を例に挙げて説明する。図6は、送信処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
【0030】
まず、起動対象機器30は、Byebyeメッセージを送信するソフトウェアを起動し、送信可能な状態にする(S601)。続いて、起動対象機器30は、AutoIPを利用してIPアドレスを取得する(S602)。
続いて、起動対象機器30は、S602で取得したIPアドレスを使用して、Byebyeメッセージをマルチキャスト送信する(S603)。このとき、sleepPeriodには、図5のS506〜S507の処理に必要な時間(A秒)に、DHCPサーバへのIPアドレス取得タイムアウト値(α秒)を加えた値(起動時間)が設定されている。このα秒は、ネットワーク10にDHCPサーバの機能を有する機器が存在していないときに、起動対象機器30がDHCPを利用してIPアドレスの取得処理を行った際に、IPアドレスの取得の失敗を検出(判断)するまでの時間である。
【0031】
起動対象機器30は、DHCPサーバからIPアドレスを取得する処理を行い(S604)、IPアドレスを取得できたか否かを判断する(S605)。このとき、起動対象機器30は、IPアドレスを取得できたと判断した場合、S606の処理を行い、他方、IPアドレスを取得できなかったと判断した場合、S506の処理を行う。
S606では、起動対象機器30は、IPアドレスを更新する。続いて、起動対象機器30は、S506〜S507の処理に必要な起動時間(A秒)をsleepPeriodに設定したByebyeメッセージをマルチキャスト送信する(S607)。
上述の処理により、起動対象機器30の設置環境による起動時間の差を、起動要求端末20に通知することができる。即ち、その他にも起動時間に影響する要因は多数想定されるが、規定の段階までの起動が行われたとき、残りの段階の起動に要する時間を起動時間として起動要求端末20に更に送信する構成とすることで、起動時間が不確実である問題を解決できる。
【0032】
次に、図7を用いて起動要求端末20の機能構成、及びハードウェア構成を説明する。図7は、起動要求端末20の機能構成の一例、及びハードウェア構成の一例を示す図である。
表示制御部701は、起動要求端末20が内蔵するLCD又は外部接続するディスプレイ等の出力装置714に起動対象機器30や監視端末40の一覧、機器情報などの表示を行う。
入力制御部702は、表示された複数の起動対象機器30の中から起動状態にさせたい特定の起動対象機器30の選択の受け付け等を行う。入力の受け付けは、起動要求端末20が内蔵する選択ボタン、キーボードなどの入力装置713(外部接続機器)、I/F装置716を介してネットワーク10に接続された装置の外部接続機器などの入力部を介して行われる。
【0033】
タイマ制御部703は、ネットワーク監視部705からのセット(登録、更新等)の要求により、監視タイマをセットし、タイマ満了によりネットワーク監視部705にタイマ満了の通知を行う。
起動時間保存部704は、起動対象機器30のByebyeメッセージに含まれるsleepPeriodの値、又は監視端末40から受け取った機器情報から、起動対象物が次回に起動するまでの時間を機器ごとに記憶装置715等の記憶部に保存する。
ネットワーク監視部705は、起動時間保存部704から取得した起動対象物が次回に起動するまでの時間に基づきタイマ制御部703に監視タイマの登録を行う。また、ネットワーク監視部705は、監視端末40から送信されるSSDPメッセージの受信をI/F装置716を介して行い、起動対象機器30のAliveメッセージ及びByebyeメッセージを受信する。なお、ネットワーク監視部705は、I/F装置716を介してマルチキャスト送信されるSSDPメッセージの受信を行い、起動対象機器30のAliveメッセージ及びByebyeメッセージを受信してもよい。
【0034】
また、ネットワーク監視部705は、起動対象機器30からのAliveメッセージを受信した場合、又はタイマ制御部703からタイマ満了を受け取った場合、ネットワークの監視を停止する。ネットワーク監視部705は、起動対象機器30からのByebyeメッセージを受信し、受信したByebyeメッセージにsleepPeriodの値が含まれている場合、タイマ制御部703に監視タイマの更新を指示する。
機器起動部706は、起動対象機器30に起動要求、又は監視端末40に起動対象機器30の起動指示を行う。
【0035】
本実施形態では、CPU710が、ROM712等に格納されたプログラムの手順に従って処理を行うことによって、起動要求端末20における機能及びフローチャートに係る処理が実現される。なお、起動要求端末20の各ユニット(710〜716)は、バス717を介して通信可能に接続されている。
付言するならば、起動対象機器30は、CPU、ROM等のハードウェアを有し、CPUが、ROM等に格納されたプログラムの手順に従って処理を行うことによって、起動対象機器30における機能及びフローチャートに係る処理が実現される。また、監視端末40は、起動要求端末20と同様のハードウェアを有し、CPUが、ROM等に格納されたプログラムの手順に従って処理を行うことによって、監視端末40における機能及びフローチャートに係る処理が実現される。
本実施形態によれば、ネットワークに未接続であることや、アプリケーション等を起動できなかったことによる起動対象機器への起動要求の失敗を、起動要求端末が負荷なく検出でき、起動対象機器の起動の監視、検索などを確実に終了することができる。
【0036】
<その他の実施形態>
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【0037】
上述した実施形態の構成によれば、ネットワーク機器における起動を適切に判断することができる。
【0038】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0039】
10 ネットワーク、20 起動要求端末、30 起動対象機器、40 監視端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を記憶する記憶部と情報を入力する入力部とを有し、ネットワーク機器とネットワークを介して通信可能な情報処理装置であって、
前記ネットワーク機器のハードウェア、及びソフトウェアの少なくとも一方の起動が前記入力部より指示された場合、前記ネットワーク機器に前記起動を要求する要求手段と、
前記起動の予定の時間を示す予定時間を有する、前記ネットワーク機器、又は当該情報処理装置が有する若しくは前記ネットワークに接続された記憶装置から、前記予定時間を取得して前記記憶部に格納し、前記要求に応答して前記ネットワーク機器から送信された前記起動に要する時間を示す起動時間を受信して前記記憶部に格納する格納手段と、
前記予定時間が経過するまでに前記起動時間が受信されなかった場合、前記起動が行われなかったと判断する判断手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記判断手段は、前記起動時間が経過するまでに前記ネットワーク機器から送信された前記起動が完了した旨の通知を受信したときは前記起動が行われたと判断し、前記通知を受信しなかったときは前記起動が行われなかったと判断することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
ハードウェア、及びソフトウェアを有し、情報処理装置とネットワークを介して通信可能なネットワーク機器であって、
前記情報処理装置からの前記ハードウェア、及び前記ソフトウェアの少なくとも一方の起動の要求に応答して、前記起動に要する時間を示す起動時間を前記情報処理装置に送信する送信手段と、
前記起動が要求されたハードウェア、ソフトウェア、又は双方の前記起動を行う起動手段と、
前記起動手段により前記起動が完了されると、前記起動が完了した旨を前記情報処理装置に通知する通知手段と、
を有することを特徴とするネットワーク機器。
【請求項4】
前記送信手段は、前記起動手段により規定の段階までの起動が行われたとき、残りの段階の起動に要する時間を起動時間として前記情報処理装置に更に送信することを特徴とする請求項3に記載のネットワーク機器。
【請求項5】
ネットワーク機器、及び前記ネットワーク機器のハードウェア、及びソフトウェアの少なくとも一方の起動の指示を受け付ける起動要求端末とネットワークを介して通信可能な情報処理装置であって、
前記起動要求端末から送信された前記起動の指示を受信すると、前記ネットワーク機器に前記起動を要求する要求手段と、
前記要求に応答して前記ネットワーク機器から送信された前記起動に要する時間を示す起動時間を受信したとき、前記起動時間を前記起動要求端末に送信し、前記ネットワーク機器から前記起動が完了した旨の通知を受信しとき、前記通知を前記起動要求端末に送信する送信手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
情報を記憶する記憶部と、
前記ネットワーク機器から前記起動の予定の時間を示す予定時間が受信されるごとに前記予定時間を前記記憶部に上書きして格納する格納手段と、
前記起動要求端末からの前記記憶部の予定時間を取得する旨の要求に応答して前記予定時間を前記起動要求端末に提供する提供手段と、
前記予定時間が経過すると、前記予定時間を前記記憶部から削除する削除手段と、を更に有することを特徴とする請求項5に情報処理装置。
【請求項7】
情報を記憶する記憶部と情報を入力する入力部とを有し、ネットワーク機器とネットワークを介して通信可能な情報処理装置における起動制御方法であって、
前記ネットワーク機器のハードウェア、及びソフトウェアの少なくとも一方の起動が前記入力部より指示された場合、前記ネットワーク機器に前記起動を要求する要求工程と、
前記起動の予定の時間を示す予定時間を有する、前記ネットワーク機器、又は当該情報処理装置が有する若しくは前記ネットワークに接続された記憶装置から、前記予定時間を取得して前記記憶部に格納し、前記要求に応答して前記ネットワーク機器から送信された前記起動に要する時間を示す起動時間を受信して前記記憶部に格納する格納工程と、
前記予定時間が経過するまでに前記起動時間が受信されなかった場合、前記起動が行われなかったと判断する判断工程と、
を有することを特徴とする起動制御方法。
【請求項8】
ハードウェア、及びソフトウェアを有し、情報処理装置とネットワークを介して通信可能なネットワーク機器における起動制御方法であって、
前記情報処理装置からの前記ハードウェア、及び前記ソフトウェアの少なくとも一方の起動の要求に応答して、前記起動に要する時間を示す起動時間を前記情報処理装置に送信する送信工程と、
前記起動が要求されたハードウェア、ソフトウェア、又は双方の前記起動を行う起動工程と、
前記起動工程により前記起動が完了されると、前記起動が完了した旨を前記情報処理装置に通知する通知工程と、
を有することを特徴とする起動制御方法。
【請求項9】
ネットワーク機器、及び前記ネットワーク機器のハードウェア、及びソフトウェアの少なくとも一方の起動の指示を受け付ける起動要求端末とネットワークを介して通信可能な情報処理装置における起動制御方法であって、
前記起動要求端末から送信された前記起動の指示を受信すると、前記ネットワーク機器に前記起動を要求する要求工程と、
前記要求に応答して前記ネットワーク機器から送信された前記起動に要する時間を示す起動時間を受信したとき、前記起動時間を前記起動要求端末に送信し、前記ネットワーク機器から前記起動が完了した旨の通知を受信しとき、前記通知を前記起動要求端末に送信する送信工程と、
を有することを特徴とする起動制御方法。
【請求項10】
情報を記憶する記憶部と情報を入力する入力部とを有し、ネットワーク機器とネットワークを介して通信可能なコンピュータを、
前記ネットワーク機器のハードウェア、及びソフトウェアの少なくとも一方の起動が前記入力部より指示された場合、前記ネットワーク機器に前記起動を要求する要求手段と、
前記起動の予定の時間を示す予定時間を有する、前記ネットワーク機器、又は当該コンピュータが有する若しくは前記ネットワークに接続された記憶装置から、前記予定時間を取得して前記記憶部に格納し、前記要求に応答して前記ネットワーク機器から送信された前記起動に要する時間を示す起動時間を受信して前記記憶部に格納する格納手段と、
前記予定時間が経過するまでに前記起動時間が受信されなかった場合、前記起動が行われなかったと判断する判断手段と、
して機能させるプログラム。
【請求項11】
ハードウェア、及びソフトウェアを有し、情報処理装置とネットワークを介して通信可能なコンピュータを、
前記情報処理装置からの前記ハードウェア、及び前記ソフトウェアの少なくとも一方の起動の要求に応答して、前記起動に要する時間を示す起動時間を前記情報処理装置に送信する送信手段と、
前記起動が要求されたハードウェア、ソフトウェア、又は双方の前記起動を行う起動手段と、
前記起動手段により前記起動が完了されると、前記起動が完了した旨を前記情報処理装置に通知する通知手段と、
して機能させるプログラム。
【請求項12】
ネットワーク機器、及び前記ネットワーク機器のハードウェア、及びソフトウェアの少なくとも一方の起動の指示を受け付ける起動要求端末とネットワークを介して通信可能なコンピュータを、
前記起動要求端末から送信された前記起動の指示を受信すると、前記ネットワーク機器に前記起動を要求する要求手段と、
前記要求に応答して前記ネットワーク機器から送信された前記起動に要する時間を示す起動時間を受信したとき、前記起動時間を前記起動要求端末に送信し、前記ネットワーク機器から前記起動が完了した旨の通知を受信しとき、前記通知を前記起動要求端末に送信する送信手段と、
して機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−170005(P2012−170005A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31095(P2011−31095)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】