説明

情報処理装置および同装置における映像信号の出力制御方法

【課題】異なるインタフェース規格に準拠した映像信号出力用のポートを備える拡張ユニット間での付け替え時における再起動を不要とする情報処理装置を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、情報処理装置は、コネクタと、グラフィックスコントローラと、セレクタと、セレクタ制御手段とを具備する。ポート設定手段は、グラフィックスコントローラが生成した映像信号を出力するための第1のポートを第1のインタフェース規格に準拠したデータ転送用のポートとして設定し、第2のポートを第2のインタフェース規格に準拠したデータ転送用のポートとして設定する。セレクタ制御手段は、第1の外部ユニットが接続された場合、第1のポートをコネクタと接続させるための信号をセレクタに供給し、第2の外部ユニットが接続された場合、第2のポートをコネクタと接続させるための信号をセレクタに供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ドッカーなどと称される機能拡張用の外部ユニットを着脱自在な情報処理装置および同装置における映像信号の出力制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノートブックタイプやデスクトップタイプなど、様々なタイプのパーソナルコンピュータが広く普及している。また、バッテリ駆動可能なノートブックタイプのパーソナルコンピュータの中には、ドッカーなどと称される機能拡張用の外部ユニット(以下、拡張ユニットと称する)が用意されているものも多い。この種の拡張ユニットを用意することにより、ノートブックタイプのパーソナルコンピュータは、トレードオフの関係にあるとも言える、持ち運び易さ(小型軽量化)と高機能化とを両立させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−39983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
拡張ユニットが用意されているパーソナルコンピュータでは、外部ディスプレイに映像信号を出力するための端子を持たないことも多い。つまり、拡張ユニット側に映像信号出力用の端子が設けられることも多い。このようなパーソナルコンピュータで外部ディスプレイを利用する場合には、拡張ユニットとの接続用に設けられたコネクタを介して映像信号を拡張ユニットに出力し、拡張ユニットの映像信号出力用端子から外部ディスプレイに映像信号を出力することになる。
【0005】
ここで、例えば、オフィスと自宅とに拡張ユニットがそれぞれ設置されている場合を想定する。また、例えば、オフィスに設置された拡張ユニットが新型で、自宅に設置された拡張ユニットが旧型であり、かつ、新型の拡張ユニットには映像信号出力用としてDisplayPortに準拠した端子が設けられており、旧型の拡張ユニットには映像信号出力用としてHDMI(High-definition multimedia interface)に準拠した端子が設けられているものと想定する。そして、パーソナルコンピュータは、旧型の拡張ユニットと新型の拡張ユニットとの両方をサポートするものと想定する。
【0006】
このような場合、パーソナルコンピュータは、オフィスに設置された拡張ユニットと接続された際には、GPU(Graphics processing unit)によって生成された映像信号を出力するためのポートを、DisplayPortに準拠した映像信号出力用のポートとして設定する必要がある。一方、自宅に設定された拡張ユニットと接続された際には、GPUによって生成された映像信号を出力するためのポートを、HDMIに準拠した映像信号出力用のポートとして設定する必要がある。このポートの設定は、当該ポートをHDMIに準拠した映像信号出力用のポートとして設定するビデオBIOSまたは当該ポートをDisplayPortに準拠した映像信号出力用のポートとして設定するビデオBIOSのいずれかをロードすることによって実行される。ビデオBIOSは、ハードウェアの初期処理等を実行するシステムBIOS(Basic input/output system)内の1モジュールである。
【0007】
また、最近のパーソナルコンピュータは、サスペンドやハイバネーションなどと称される、ユーザの作業効率を損なうことなく省電力化を実現する省電力機能を備えることが一般的である。この省電力機能を用いれば、作業を中断した時の状態を復元して、その作業を継続的に再開することができる。サスペンド時やハイバネーション時直前の状態を復元する機能は、レジュームなどと称されている。
【0008】
さらに、最近のパーソナルコンピュータは、プラグアンドプレイなどと称される、電源オン状態のまま、外部デバイスを着脱することのできる機能を備えている。
【0009】
つまり、拡張ユニットの着脱は、必ずしもパーソナルコンピュータが電源オフ状態(サスペンドやハイバネーションによる電源オフ状態を除く)に行われるとは限らず、例えば電源オン状態のままでも行われ得る。電源オン状態での外部デバイスの装着は、ホットドックなどと称され、電源オン状態での外部デバイスの抜脱は、ホットアンドックなどと称されている。
【0010】
しかしながら、オフィスに設置された拡張ユニットから切り離したパーソナルコンピュータを自宅に設定された拡張ユニットと接続する場合や、逆に、自宅に設定された拡張ユニットから切り離したパーソナルコンピュータをオフィスに設置された拡張ユニットと接続する場合、GPUによって生成された映像信号を出力するためのポートの設定を変更しなければならないので、電源オン状態にあったとしても、ビデオBIOSをロードし直すためにパーソナルコンピュータの再起動が必要となる。
【0011】
オフィスに設置された拡張ユニットのみを対象としてパーソナルコンピュータを着脱する場合や、自宅に設定された拡張ユニットのみを対象としてパーソナルコンピュータを着脱する場合には、パーソナルコンピュータの再起動は発生しない一方で、オフィスに設置された拡張ユニットと自宅に設定された拡張ユニットとの間でパーソナルコンピュータの付け替えを行う場合には、パーソナルコンピュータの再起動が発生することは、使い勝手の悪さをユーザに感じさせることになってしまう。
【0012】
本発明は、異なるインタフェース規格に準拠した映像信号出力用のポートを備える拡張ユニット間での付け替え時における再起動を不要とする情報処理装置および同装置における映像信号の出力制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
実施形態によれば、情報処理装置は、コネクタと、グラフィックスコントローラと、セレクタと、セレクタ制御手段とを具備する。グラフィックスコントローラは、表示画面の映像信号を生成する。ポート設定手段は、前記映像信号を出力するための第1のポートを第1のインタフェース規格に準拠したデータ転送用のポートとして設定し、前記映像信号を出力するための第2のポートを第2のインタフェース規格に準拠したデータ転送用のポートとして設定する。セレクタは、前記第1および第2のポートと前記コネクタとの間に介在させて設けられ、前記第1および第2のポートのうちの1つを前記コネクタと接続する。セレクタ制御手段は、第1の外部ユニットが前記コネクタに接続された場合、前記第1のポートを前記コネクタと接続させるための信号を前記セレクタに供給し、第2の外部ユニットが前記コネクタに接続された場合、前記第2のポートを前記コネクタと接続させるための信号を前記セレクタに供給する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態の情報処理装置の外部ユニットに対する映像信号出力に関わる構成を示す図。
【図2】実施形態の情報処理装置に接続可能な旧型の外部ディスプレイに対する映像信号出力に関わる構成を示す図。
【図3】実施形態の情報処理装置に接続可能な新型の外部ディスプレイに対する映像信号出力に関わる構成を示す図。
【図4】一般的な映像信号の出力制御方法を採用した情報処理装置の外部ユニットに対する映像信号出力に関わる構成を示す図。
【図5】図4に示した情報処理装置に旧型の拡張ユニットまたは新型の拡張ユニットが接続された状態を示す図。
【図6】図4に示した情報処理装置が旧型の拡張ユニットまたは新型の拡張ユニットのいずれかが接続された状態で起動した場合における映像信号出力に関わる動作手順を示すフローチャート。
【図7】図4に示した情報処理装置が動作中に旧型の拡張ユニットまたは新型の拡張ユニットのいずれかが接続された場合における映像信号出力に関わる動作手順を示すフローチャート。
【図8】実施形態の情報処理装置に旧型の拡張ユニットまたは新型の拡張ユニットが接続された状態を示す図。
【図9】実施形態の情報処理装置の起動時における映像信号出力に関わる動作手順を示すフローチャート。
【図10】実施形態の情報処理装置のGPUが生成した表示画面の映像信号を出力するための入出力ピンの設置例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、実施形態の情報処理装置1の外部ユニットに対する映像信号出力に関わる構成を示す図である。本情報処理装置1は、バッテリ駆動可能で携行容易な例えばノートブックタイプのパーソナルコンピュータ(PC)などとして実現されている。
【0017】
図1に示すように、本情報処理装置1は、GPU(Graphics processing unit)11、PCH(Peripheral control hub)12、セレクタ(2to1 MUX)13、セレクタ制御回路14およびコネクタ15を有している。
【0018】
本情報処理装置1は、拡張ユニットを必要に応じて接続することができる。コネクタ15は、この拡張ユニットとの接続用に設けられたコネクタである。
【0019】
GPU11は、表示画面を描画するモジュールである。GPU11によって生成された表示画面の映像信号は、本情報処理装置1に内蔵される例えばLCD(Liquid crystal display)に供給されて表示され、または、コネクタ15を介して拡張ユニットに出力される。拡張ユニットには、外部ディスプレイに映像信号を出力するための端子が設けられており、この端子を介して映像信号が外部ディスプレイに供給され、当該外部ディスプレイに表示画面が表示される。
【0020】
図2および図3は、本情報処理装置1と接続可能な拡張ユニットを示す図である。図2は、旧型の拡張ユニット(旧Docker)2の外部ディスプレイに対する映像信号出力に関わる構成を示す図であり、図3は、新型の拡張ユニット(新Docker)3の外部ディスプレイに対する映像信号出力に関わる構成を示す図である。
【0021】
図2に示すように、旧型の拡張ユニット2は、本情報処理装置1との接続用のコネクタ21と、HDMIに準拠した映像信号出力用の端子(HDMI端子)22とを備えている。一方、図3に示すように、新型の拡張ユニット3は、本情報処理装置1との接続用のコネクタ31と、DisplayPortに準拠した映像信号出力用の端子(DP端子)32とを備えている。つまり、本情報処理装置1は、GPU11によって生成された表示画面の映像信号を、旧型の拡張ユニット2が接続された場合にはHDMIに準じて出力しなければならず、新型の拡張ユニット3が接続された場合にはDisplayPortに準じて出力しなければならない。
【0022】
例えばGPU11に設けられる、当該GPU11によって生成された表示画面の映像信号を出力するためのポートの設定は、通常、システムBIOS内の1モジュールであるビデオBIOSを選択的にロードすることによって実行される。より具体的には、当該ポートをHDMIに準拠した映像信号出力用のポートとして設定するビデオBIOSまたは当該ポートをDisplayPortに準拠した映像信号出力用のポートとして設定するビデオBIOSのいずれかをロードすることによって実行される。従って、(表示画面の映像信号を出力するための)ポートを設定する機会は情報処理装置の起動時に限定される。ここで、本情報処理装置1における映像信号の出力制御方法に関する理解を助けるために、前述の図2および図3に加えて、図4乃至図7を参照して、一般的に採用される映像信号の出力制御方法について説明する。
【0023】
旧型の拡張ユニット2は、図2に示すように、映像信号を入力するための入出力ピン21aをコネクタ21内に設けている。一方、新型の拡張ユニット3も、図3に示すように、映像信号を入力するための入出力ピン31aをコネクタ31内に設けている。この旧型の拡張ユニット2の入出力ピン21aと、新型の拡張ユニット3の入出力ピン31bとは、互いに対応する位置に設けられている。
【0024】
また、旧型の拡張ユニット2の入出力ピン21bと、新型の拡張ユニット3の入出力ピン31bとは、互いに対応する位置に設けられるものであって、新型の拡張ユニット3のみが、入出力ピン31bをプルアップしている。
【0025】
図4は、一般的な映像信号の出力制御方法を採用した情報処理装置9の外部ユニットに対する映像信号出力に関わる構成を示す図である。
【0026】
図4に示すように、情報処理装置9は、GPU91、PCH92、判別信号生成回路93およびコネクタ94を有している。
【0027】
情報処理装置9は、映像信号を出力するための入出力ピン94aと、拡張ユニット判別用の入出力ピン94bとをコネクタ94内に設けている。コネクタ94内の入出力ピン94aは、GPU91のポート(Port-A)91aと接続されており、コネクタ94内の入出力ピン94bは、PCH92のポート(GPIO:General purpose input/output)92aと接続されている。
【0028】
旧型の拡張ユニット2の入出力ピン21a,21bおよび新型の拡張ユニット3の入出力ピン31a,31bは、この情報処理装置9の入出力ピン94a,94bと対向する位置に設けられている。そして、前述したように、新型の拡張ユニット3のみが、入出力ピン31bをプルアップしている。判別信号生成回路93は、入出力ピン94b経由で接続先との間で導通される信号ラインがプルアップされていなければ、Lowレベル(0)の判別信号を生成し、プルアップされていれば、Highレベル(1)の判別信号を生成するための回路である。
【0029】
即ち、この判別信号生成回路93が生成する判別信号によって、コネクタ94に接続された拡張ユニットが、旧型の拡張ユニット2であるのか、新型の拡張ユニット3であるのかを判定することができる。より具体的には、判別信号が”0”であれば、旧型の拡張ユニット2が接続されたことが判り、判別信号が”1”であれば、新型の拡張ユニット2が接続されたことが判る。そして、一般的には、図4に示すように、この判別信号の入力先をPCH92のポート92aに割り当て、当該PCH92のポート92aの入力値を読み出して、GPU91のポート91aを、HDMIに準拠した映像信号出力用のポートまたはDisplayPortに準拠した映像信号出力用のポートとして設定する。また、PCH92に内蔵される例えばCMOSメモリ921には、それまでいずれの拡張ユニットが接続されていたかをその後に判断できるように、前記読み出した判別信号が記録される。
【0030】
図5は、情報処理装置9に旧型の拡張ユニット2または新型の拡張ユニット3が接続された状態を示す図である。(A)は、情報処理装置9に旧型の拡張ユニット2が接続された状態、(B)は、情報処理装置9に新型の拡張ユニット3が接続された状態をそれぞれ示している。
【0031】
旧型の拡張ユニット2が接続された場合、図5(A)に示すように、PCH92のポート92aには”0”が入力されることになるので、GPU91のポート91aは、HDMIに準拠した映像信号出力用のポートとして設定される。また、新型の拡張ユニット3が接続された場合には、図5(B)に示すように、PCH92のポート92aには”1”が入力されることになるので、GPU91のポート91aは、DisplayPortに準拠した映像信号出力用のポートとして設定される。
【0032】
以上を踏まえて、図6および図7を参照して、情報処理装置9が実行する映像信号の出力制御の手順について説明する。
【0033】
図6は、旧型の拡張ユニット2または新型の拡張ユニット3のいずれかが接続された状態で起動した場合における情報処理装置9の映像信号出力に関わる動作手順を示すフローチャートである。
【0034】
情報処理装置9の起動時、例えばシステムBIOSが、PCH92のポート92aの入力値を読み出す(ステップA1)。続いて、システムBIOSは、PCH92のポート92aの入力値が新型の拡張ユニット3を示しているか否かを調べる(ステップA2)。新型の拡張ユニット3を示していれば(ステップA2のYES)、システムBIOSは、GPU91のポート91aをDisplayPortに準拠した映像信号出力用のポートとして設定するためのビデオBIOSをロードし(ステップA3)、新型の拡張ユニット3を示す値をPCH92のCMOSメモリ921に記録する(ステップA4)。
【0035】
一方、旧型の拡張ユニット2を示していれば(ステップA2のNO)、システムBIOSは、GPU91のポート91aをHDMIに準拠した映像信号出力用のポートとして設定するためのビデオBIOSをロードし(ステップA5)、旧型の拡張ユニット2を示す値をPCH92のCMOSメモリ921に記録する(ステップA6)。
【0036】
また、図7は、動作中に旧型の拡張ユニット2または新型の拡張ユニット3のいずれかが接続された場合における情報処理装置9の映像信号出力に関わる動作手順を示すフローチャートである。
【0037】
旧型の拡張ユニット2または新型の拡張ユニット3のいずれかが接続されると、例えばOSや常駐プログラムとして用意されたユーティリティが、PCH92のポート92aの入力値を読み出し(ステップB1)、また、PCH92のCMOSメモリ921内の値を読み出す(ステップB2)。
【0038】
OSまたはユーティリティは、読み出した2つの値が一致しているか否かを調べ(ステップB3)、一致していなければ(ステップB3のNO)、情報処理装置9を再起動する(ステップB4)。この再起動により、図6に示した動作手順で、GPU91のポート91aを適切に設定するためのビデオBIOSが改めてロードされることになる。
【0039】
しかしながら、この再起動は、使い勝手の悪さをユーザに感じさせることになってしまう。そこで、本情報処理装置1は、動作中に旧型の拡張ユニット2と新型の拡張ユニット3との間で付け替えが行われた場合でも、再起動を不要としたものであり、以下、この点について詳述する。
【0040】
図1に示すように、本情報処理装置1は、GPU11のポート(Port-A)11aをHDMIに準拠した映像信号出力用のポートとして設定し、また、これと並行して、GPU11のポート(Port-B)11bをDisplayPortに準拠した映像信号出力用のポートとして設定する。つまり、本情報処理装置1においては、GPU11のポート11aをHDMIに準拠した映像信号出力用のポートとして設定すると共に、GPU11のポート11bをDisplayPortに準拠した映像信号出力用のポートとして設定するビデオBIOS(ポート設定手段)を設けて、起動時に、当該ビデオBIOSをロードする。
【0041】
また、本情報処理装置1は、セレクタ13を、GPU11のポート11aまたはGPU11のポート11bを選択的にコネクタ15の入出力ピン15aと接続すべく、GPU11のポート11aおよびGPU11のポート11bとコネクタ15の入出力ピン15aとの間に介在させる。
【0042】
そして、本情報処理装置1は、(前述した情報処理装置9の判別信号生成回路93に対応する)セレクタ制御回路14の出力先をセレクタ13とする。
【0043】
図8は、本情報処理装置1に旧型の拡張ユニット2または新型の拡張ユニット3が接続された状態を示す図である。(A)は、本情報処理装置1に旧型の拡張ユニット2が接続された状態、(B)は、本情報処理装置1に新型の拡張ユニット3が接続された状態をそれぞれ示している。
【0044】
旧型の拡張ユニット2が接続された場合、図8(A)に示すように、セレクタ13には”0”が入力されることになるので、当該セレクタ13を介して、GPU11のポート11aとコネクタ15の入出力ピン15aとが接続される。また、新型の拡張ユニット3が接続された場合には、図8(B)に示すように、セレクタ13には”1”が入力されることになるので、当該セレクタ13を介して、GPU11のポート11bとコネクタ15の入出力ピン15aとが接続される。
【0045】
このように、本情報処理装置1は、起動時に、GPU11のポート11aをHDMIに準拠した映像信号出力用のポートとして設定すると共に、GPU11のポート11bをDisplayPortに準拠した映像信号出力用のポートとして設定するビデオBIOSをロードすることにより、動作中に旧型の拡張ユニット2と新型の拡張ユニット3との間で付け替えが行われた場合でも、ビデオBIOSをロードし直すための再起動を不要とする。
【0046】
図9は、起動時における本情報処理装置1の映像信号出力に関わる動作手順を示すフローチャートである。
【0047】
本情報処理装置1の起動時、例えばシステムBIOSが、GPU11のポート11aをHDMIに準拠した映像信号出力用のポートとして設定すると共に、GPU11のポート11bをDisplayPortに準拠した映像信号出力用のポートとして設定するビデオBIOSをロードする(ステップC1)。
【0048】
この動作のみで、以降、セレクタ13のスイッチングのみで対応可能となるため、旧型の拡張ユニット2または新型の拡張ユニット3のいずれが接続されたかを判定することは不要となる。また、本情報処理装置1では、(図7に示したような)動作中に旧型の拡張ユニット2または新型の拡張ユニット3のいずれかが接続された場合における映像信号出力に関わる動作も不要となる。
【0049】
なお、以上の説明では、GPU11が生成した表示画面の映像信号を出力するための入出力ピンがGPU11に設けられている例を示した。しかしながら、本情報処理装置1の映像信号の出力制御方法は、これに限定されるものではない。図10は、GPU11が生成した表示画面の映像信号を出力するための入出力ピンの設置例を示す図である。
【0050】
図10中、(A)は、GPU11が、CPU(Central processing unit)10に外付けされる場合の映像信号出力用の入出力ピンの設置例を示している。この場合は、前述の説明で示した通り、GPU11が生成した表示画面の映像信号を出力するための入出力ピンはGPU11に設けられる。一方、(B)は、GPU11が、CPU10に内蔵される場合の映像信号出力用の入出力ピンの設置例を示している。この場合、GPU11が生成した表示画面の映像信号を出力するための入出力ピンはPCH12に設けられる。そして、この場合には、ビデオBIOSは、PCH12の1つのポートをHDMIに準拠した映像信号出力用のポートとして設定すると共に、PCH12の他の1つのポートをDisplayPortに準拠した映像信号出力用のポートとして設定する。また、セレクタ13は、PCH12とコネクタ15との間に介在させて設けられる。この(B)に示す構成においても、本情報処理装置1の映像信号の出力制御方法は当然に適用可能である。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0052】
1…情報処理装置、2…旧型拡張ユニット、3…新型拡張ユニット、10…CPU、11…GPU、12…PCH、13…セレクタ、14…セレクタ制御回路、15…コネクタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタと、
表示画面の映像信号を生成するグラフィックスコントローラと、
前記映像信号を出力するための第1のポートを第1のインタフェース規格に準拠したデータ転送用のポートとして設定し、前記映像信号を出力するための第2のポートを第2のインタフェース規格に準拠したデータ転送用のポートとして設定するポート設定手段と、
前記第1および第2のポートと前記コネクタとの間に介在させて設けられ、前記第1および第2のポートのうちの1つを前記コネクタと接続するセレクタと、
第1の外部ユニットが前記コネクタに接続された場合、前記第1のポートを前記コネクタと接続させるための信号を前記セレクタに供給し、第2の外部ユニットが前記コネクタに接続された場合、前記第2のポートを前記コネクタと接続させるための信号を前記セレクタに供給するセレクタ制御手段と、
を具備する情報処理装置。
【請求項2】
前記ポート設定手段は、ビデオBIOS(Basic input/output system)である請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ポート設定手段は、前記情報処理装置の起動時に作動して、前記第1および第2のポートの設定を行う請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1のインタフェース規格は、HDMI(High-definition multimedia interface)であり、
前記第2のインタフェース規格は、DisplayPortである、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第1および第2のポートは、前記グラフィックスコントローラに設けられる請求項1記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記グラフィックスコントローラは、CPU(Central processing unit)内に設けられ、
前記第1および第2のポートは、前記CPUと接続されるPCH(Peripheral control hub)に設けられる、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第1の外部ユニットは、前記第1のインタフェース規格に準拠したデータ転送用のポートを備えた拡張ユニットであり、
前記第2の外部ユニットは、前記第2のインタフェース規格に準拠したデータ転送用のポートを備えた拡張ユニットである、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項8】
情報処理装置における映像信号の出力制御方法であって、
グラフィックスコントローラによって生成された映像信号を出力するための第1のポートを第1のインタフェース規格に準拠したデータ転送用のポートとして設定し、前記映像信号を出力するための第2のポートを第2のインタフェース規格に準拠したデータ転送用のポートとして設定することと、
第1の外部ユニットがコネクタに接続された場合、前記第1および第2のポートのうちの1つを前記コネクタと接続するセレクタに対して前記第1のポートを前記コネクタと接続させるための信号を供給し、第2の外部ユニットが前記コネクタに接続された場合、前記セレクタに対して前記第2のポートを前記コネクタと接続させるための信号を供給することと、
を具備する映像信号の出力制御方法。
【請求項9】
前記第1および第2のポートを設定することは、前記情報処理装置の起動時に実行される請求項8記載の映像信号の出力制御方法。
【請求項10】
前記第1のインタフェース規格は、HDMI(High-definition multimedia interface)であり、
前記第2のインタフェース規格は、DisplayPortである、
請求項8記載の映像信号の出力制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−133652(P2012−133652A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286277(P2010−286277)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】