説明

情報処理装置および情報処理方法、並びにプログラム

【課題】太陽電池に代表される発電素子による安定した電力供給を維持しつつ、発電素子にユーザインタフェースとしての機能を兼ねさせて、装置の省スペース化を実現する。
【解決手段】発電モジュール21は、照射光を電力に変換して電力供給部23に出力する。電圧検出部22は、電圧の検出結果を操作判定部27に通知する。電力供給部23は、内蔵する充電池あるいはコンデンサなどからなる蓄電部24に電力を蓄積した後、後段のディスプレイ12および制御部25に電力を供給する。操作判定部27は、各電圧検出部22の検出結果に基づき、太陽電池セル11−A乃至11−Dのいずれがユーザによって操作されたか(指などで覆われたか)否かを判定し、判定結果を信号処理部28に通知する。本発明は、太陽電池に代表される発電素子を備えたあらゆる電子装置に適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置および情報処理方法、並びにプログラムに関し、特に、太陽電池に代表される発電素子を電力源としてのみならず、ユーザインタフェースとして使用できるようにした情報処理装置および情報処理方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子装置に操作ボタンなどのユーザインタフェースを設ける場合、ひとつのボタンにひとつのコマンドを対応付けるように、操作ボタンに一義的な意味合いを持たせれば、ユーザにとって操作し易い。
【0003】
しかしながら、操作ボタンに一義的な意味合いを持たせることは、操作ボタン数の増加につながり、電子装置を小型化する際、不利になったり、ユーザにとって操作が煩雑になったりするという側面もある。
【0004】
ところで従来、ユーザインタフェースとして光センサを用いるものがある。例えば特許文献1には、発光部から受光部に向けて照射される光がユーザによって遮断されたときに操作されたと判断する発明が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2000−181602号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
小型化した電子装置にさらに太陽電池も設ける場合、太陽電池も操作ボタンも共に筐体外側面に設置する必要があるので、両者にそれぞれ十分な領域を割り振ることができなくなることが起こり得る。
【0007】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、太陽電池に代表される発電素子による安定した電力供給を維持しつつ、発電素子にユーザインタフェースとしての機能を兼ねさせて、装置の省スペース化を実現できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面である情報処理装置は、発電素子を備える情報処理装置において、前記発電素子によって発生された電力の電圧を検出する電圧検出手段と、検出された前記発電素子の電圧に基づき、ユーザが行った入力操作を判定する判定手段と、判定された操作対象に対応する処理を行う処理手段とを含む。
【0009】
前記判定手段は、前記電圧検出手段による電圧変化の検出回数に応じて前記入力操作を判定するようにすることができる。
【0010】
前記発電素子を複数含み、前記電圧検出手段は、複数の前記発電素子によって発生された電力の電圧をそれぞれ検出し、前記判定手段は、前記複数の発電素子のうちで発電効率が他と異なるものを特定し、特定した発電素子をユーザによって選択操作された操作対象と判定するようにすることができる。
【0011】
前記判定手段は、前記特定された発電素子の組合せに応じて、ユーザの行った入力操作を判定するようにすることができる。
【0012】
本発明の一側面である情報処理装置は、各種のサービスを提供するための複数のアプリケーションプログラムが記録された記録手段と、前記アプリケーションプログラムに基づく処理を実行する処理手段とをさらに含み、前記判定手段は、実行対象となる前記アプリケーションプログラムに応じて、前記電圧検出手段によって検出された電圧値に対応する制御信号を変化させ、当該制御信号を前記処理手段に供給するようにすることができる。
【0013】
本発明の一側面である情報処理装置は、前記処理手段による処理結果を表示する表示手段をさらに含むことができる。
【0014】
前記発電素子は、太陽電池であるようにすることができる。
【0015】
本発明の一側面である情報処理方法は、発電素子を備える情報処理装置の情報処理方法において、前記発電素子によって発生された電力の電圧を検出し、検出された前記発電素子の電圧に基づき、ユーザが行った入力操作を判定し、判定された操作対象に対応する処理を行うステップを含む。
【0016】
本発明の一側面であるプログラムは、発電素子を備える情報処理装置の制御用のプログラムであって、前記発電素子によって発生された電力の電圧を検出させ、検出された前記発電素子の電圧に基づき、ユーザが行った入力操作を判定し、判定された操作対象に対応する処理を行うステップを含む処理をコンピュータに実行させる。
【0017】
本発明の一側面においては、発電素子によって発生された電力の電圧が検出され、検出された発電素子の電圧に基づき、ユーザが行った入力操作が判定され、判定された操作対象に対応する処理が行われる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一側面によれば、太陽電池に代表される発電素子による安定した電力供給を維持しつつ、発電素子にユーザインタフェースとしての機能を兼ねさせて、装置の省スペース化を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施の形態である携帯型情報処理装置の概観図を示している。この携帯型情報処理装置10は、例えばクレジットカードと同サイズのIC(Integrated Circuit)カードなどであり、その外側面に複数(図1の場合、4)の太陽電池セル11−A乃至11−D、および所定の情報を表示するディスプレイ12が設けられている。
【0021】
ここで、図1に示すように、携帯型情報処理装置10の場合、装置の表面積に限りがあるため、太陽電池セル11−A乃至11−Dの他にディスプレイ12を設置すると、他にユーザインタフェース用のキー等を設けることが難しくなる。特に装置の小型化が求められる近年の動向を見る限り、かかる傾向は今後、より顕著になるものと考えられる。
【0022】
従って、この種の携帯型情報処理装置に対して、如何にしてユーザが入力を行うための手段を設けるのかが問題となる。本実施の形態である携帯型情報処理装置10においては、かかる観点から、以下のような手法を採用するようにした。
【0023】
すなわち、太陽電池セル11−A乃至11−Dの各々に対して少なくとも1つのコマンドを対応付ける。そして、この太陽セル11−A乃至11−Dにおける発電状況に応じて、コマンドを特定するようにする。ユーザは何らかのコマンドを入力したい場合、太陽電池セル11−A乃至11−Dの中の一部の太陽電池セルを手で覆う等の操作を行うことによりコマンドを入力することが可能となる。この結果、太陽電池セル11−A乃至11−Dをユーザインタフェースとして利用し、携帯型情報処理装置10の外側面に特別なボタン等を配設すること必要性が無くなる。
【0024】
なお、各太陽電池セル11−A乃至11−Dに対して、幾つのコマンドを割り当てるのかについては任意であり、例えば、1つの太陽電池セルに1つのコマンドを割り当ててもよいし、複数のコマンドを割り当てておき、ユーザによる入力回数に応じてどのコマンドが選択されているのかを判定するようにしてもよい。
【0025】
さらには、複数の太陽電池セルにより1つのコマンドを意味するようにしておけば、少ない数の太陽電池セル11の組合せにより、セル数以上のコマンドを定義付けることも可能となる。
【0026】
以下、かかる機能を実現するための本実施形態にかかる携帯型情報処理装置10の構成及び動作について説明する。
【0027】
太陽電池セル11−A乃至11−Dは、照射光を電力に変換するのみならず、ユーザインタフェースとして機能する。具体的には、太陽電池セル11−A乃至11−Dのいずれかがユーザの指などで覆われた場合、これをユーザの選択操作として検出し、操作に対応する処理が行われるようになされている。
【0028】
なお、照射光を電力に変換する太陽電池セル11−A乃至11−D(以下、太陽電池セル11−A乃至11−Dを個々に区別する必要がない場合、単に太陽電池セル11と称する。また、太陽電池セル11の代わりに、照射光に基づいて発生する熱を電力に変換する発電素子を用いてもよい。太陽電池セル11の数は4に限られるものではない。
【0029】
ディスプレイ12には、例えば電子ペーパや液晶パネルなどを適用することができる。
【0030】
図2は、携帯型情報処理装置10の第1の構成例を示している。携帯型情報処理装置10は、上述したように筐体外側面に設けられる太陽電池セル11およびディスプレイ12の他、太陽電池セル11から得られる電力を安定して後段に供給する電力供給部23、並びに、太陽電池セル11をユーザインタフェースとみなし、太陽電池セル11に対するユーザの操作に応じた処理を行う制御部25から構成される。
【0031】
太陽電池セル11−Aは、照射光を受光して電力に変換する発電モジュール21−Aと、発電モジュール21−Aで発電された電力の電圧を検出する電圧検出部22−Aから構成される。発電モジュール21−Aは、発生された電力を電力供給部23に出力する。電圧検出部22−Aは、電圧の検出結果をAD変換した後、制御部25の操作判定部27に通知する。
【0032】
なお、太陽電池セル11−B乃至11−Dは、太陽電池セル11−Aと同様に構成されるので、その説明は省略する。
【0033】
電力供給部23は、所望の電圧を得るよう発電モジュール21−A乃至21−Dからの電力ラインを適宜並列または直列に接続し、内蔵する充電池あるいはコンデンサなどからなる蓄電部24に電力を蓄積した後、後段のディスプレイ12および制御部25に電力を供給する。
【0034】
制御部25は、内蔵するメモリ26に保持されたプログラムを実行することにより、操作判定部27、信号処理部28、および表示制御部29を実現する。操作判定部27は、電圧検出部22−A乃至22-Dの検出結果に基づき、太陽電池セル11−A乃至11−Dのいずれがユーザによって操作されたか(指などで覆われたか)否かを判定し、判定結果を信号処理部28に通知する。信号処理部28は、通知された判定結果に応じた処理を行い、処理結果を表示制御部29に出力する。
【0035】
なお、信号処理部28は、ハードウェアにより実現するようにしてもよいし、ソフトウェアにより実現するようにしてもよい。例えば、ソフトウェアにより実現する場合には、複数のアプリケーションを実装し、実行対象となっているアプリケーションによって実行すべき処理を変化させるようにしてもよい。
【0036】
例えば、この機能を携帯型情報処理装置10に実装した場合、携帯型情報処理装置10を用いて、電子マネー決済サービスや天気予報等の各種情報提供サービスといった、各種のサービス提供態様を実現することが可能となる。
【0037】
また、このように、実行対象アプリケーションに応じてユーザに提供されるサービス内容が変化する場合、提供サービスに応じて、コマンドを変化させる必要性が出てくる。この場合、実行対象アプリケーションに応じて、各太陽電池セル11に対して割り当てたコマンドを変化させようにすることも可能である。さらに、この場合、一部の太陽電池セルに対しては、コマンドを割り当てない、或いは、複数の太陽電池セル11の組合せに対して1つのコマンドを割り当てるようにする等の手法を採用することも可能である。更には、ユーザによる入力態様に基づき処理内容を変更するようにしてもよい(例えば、何回、同じ太陽電池セル11を覆ったか、或いは、どの順番に太陽電池セル11を覆ったか)。
【0038】
なお、上述した各太陽電池セル11に対するコマンドの割当の変更については、信号処理部28のハードウェア構成を変更する事により実現するようにしてもよいし、実装アプリケーションによる処理内容に応じて変更するようにしてもよい。
【0039】
次いで、表示制御部29は、信号処理部28から入力される処理結果を表示するようにディスプレイ12の画面表示を制御する。
【0040】
ここで、太陽電池セル11にも適用される太陽電池の一般的な発電特性について説明する。図3は、照射光の照度に対する電流iと電圧vの関係を示している。同図において、横軸は照射光の照度を示し、左縦軸は電流iを示し、右縦軸は電圧vを示している。
【0041】
同図から明らかなように、電圧vは、照度が所定の値を超えると急激に上昇し、それ以降、照度が増してもわずかずつ上昇するに過ぎない。これに対して、電流iは、照度の増加に比例してその値が上昇する。
【0042】
図4は、電圧vおよび電流i、並びにこれらの積である電力pの後段の負荷変動に対する相関関係を示している。同図において、横軸は電圧vを示し、左縦軸は電流iを示し、右縦軸は電力pを示している。ここで、後段の負荷変動とは、太陽電池セル11の後段に設けられた、例えば電力供給部23の蓄電部24に対する充電状況の変化、制御部25あるいはディスプレイ12の消費電力の変化に起因する。
【0043】
電圧v、電流i、および電力pは、上述したように照度に応じて変化するだけでなく、後段の回路の負荷変動によっても変化する。その結果、電圧v、電流i、および電力pは、同図に示すような遷移曲線上を移動することになる。通常、電力pが最大となる遷移曲線上のポイントを、当該太陽電池の発電動作点Pに決定する。
【0044】
図5は、電圧vおよび電流iの後段の負荷変動に対する相関関係を、照射光の異なる3種類の照度ごとに示している。同図において、横軸は電圧vを示し、縦軸は電流iを示している。同図から明らかなように、照度の変化は電流iの変化として顕著に現れる。
【0045】
以上説明した太陽電池の発電特性に基づき、携帯型情報処理装置10ではユーザが指で太陽電池セル11を覆うなどの操作をした場合、これによって生じる照度変化を電圧の変化として検出し、ユーザの入力操作を検出するために利用する。
【0046】
次に、携帯型情報処理装置10の太陽電池セル11−A乃至11−Dに対するユーザの操作に対応する処理(以下、操作対応処理と称する)について、図6のフローチャートを参照して説明する。
【0047】
ステップS1において、各太陽電池セル11の電圧検出部22は、発電モジュール21によって発生された電圧を検出してAD変換し、その変換結果の値を操作判定部27に通知する。ステップS2において、操作判定部27は、各太陽電池セル11から通知された検出電圧の変換結果の値(以下、検出電圧値と称する)の変化を比較し、変化が一様であるか否かを判定する。各検出電圧値の変化が一様であると判定された場合、処理はステップS3に進められる。
【0048】
ステップS3において、操作判定部27は、各太陽電池セル11のその時点における発電動作点P(i,v)を決定する。この後、処理はステップS1に戻ってそれ以降の処理を繰り返し、ステップS2において、各太陽電池セル11から通知された検出電圧値の変化が一様ではないと判定された場合、処理はステップS4に進められる。
【0049】
ステップS4において、操作判定部27は、各太陽電池セル11の発電動作点Pが特定済みであるか(すなわち、ステップS3の処理を経ているか)否かを判定する。各太陽電池セル11の発電動作点Pが特定済みではないと判定された場合、処理はステップS1に戻ってそれ以降の処理が繰り返される。反対に、各太陽電池セル11の発電動作点Pが特定済みであると判定された場合、処理はステップS5に進む。
【0050】
ステップS5において、操作判定部27は、各太陽電池セル11からの検出電圧値のうち、前回特定されたそれぞれの発電動作点Pの電圧に比較して、その値が低下したものがあるか否かを判定する。検出電圧値の低下したものがないと判定された場合、処理はステップS1に戻ってそれ以降の処理が繰り返される。反対に、検出電圧値の低下したものがあると判定された場合、処理はステップS6に進められる。
【0051】
ステップS6において、操作判定部27は、前回特定された発電動作点Pの電圧に比較して、その値が低下した検出電圧値を通知してきた太陽電池セル11を、ユーザによって操作(ユーザが手などで覆う)されたものであると判断して判断結果を信号処理部28に通知する。
【0052】
ステップS7において、信号処理部28は、操作判定部27から通知された判断結果に対応する処理を行い、処理結果を表示制御部29に出力する。表示制御部29は、入力された処理結果に基づいてディスプレイ12の表示を制御する。例えば、操作対象が太陽電池セル11−Aであるならば、信号処理部28は画像データAを表示制御部29に出力し、表示制御部29は画像データAに対応する画像をディスプレイ12に表示させる。また例えば、操作対象が太陽電池セル11−Bであるならば、信号処理部28は画像データBを表示制御部29に出力し、表示制御部29は画像データBに対応する画像をディスプレイ12に表示させる。
【0053】
この後、処理はステップS1に戻ってそれ以降の処理が繰り返されることになる。以上で、携帯型情報処理装置10による操作対応処理の説明を終了する。
【0054】
ところで、上述した携帯型情報処理装置10において太陽電池セル11の検出電圧値は、後段の負荷変動に起因して変化していた。そこで、検出電圧値の変化を減少させるべく、後段の負荷変動が太陽電池セル11に影響しないように動作する負荷安定部を追加した構成例について、図7を参照して説明する。
【0055】
図7は、本発明の一実施の形態である携帯型情報処理装置の第2の構成例を示している。この第2の構成例は、図2に示された第1の構成例の太陽電池11と電力供給部23の間に、負荷安定部41を追加したものである。負荷安定部41は、太陽電池セル11に対する電力供給部23以降による負荷変動を安定させるものである。負荷安定部41以外の構成要素については、第1の構成例と同様であって同一の符号を付しているので、その説明は省略する。
【0056】
負荷安定部41の構成例とその動作について、図8を参照して説明する。
【0057】
太陽電池セル11の電圧VPにとっての負荷電流は、抵抗(RS)51に流れる電流ISと、抵抗(RZ)52に流れる電流IZの和である。
負荷電流=IS+IZ
【0058】
抵抗(RZ)52を流れる電流IZは、比較器(CM)54の入力インピーダンスが十分に高い仮定すれば、ツェナダイオード(DZ)53に流れる常に一定の電流のみを考えればよい。
IZ=一定
【0059】
一方、抵抗(RS)51に流れる電流ISは、電力供給部23以降に相当する回路負荷(RL)55に流れる電流ILとトランジスタ(TR)56に流れる電流ITの和である。
IS=IL+IT
【0060】
したがって、抵抗(RS)51に生じる電圧VSを一定にすれば、電流ISも一定となるので、太陽電池セル11の電圧VPにとっての負荷電流を一定にすることができる。
【0061】
具体的には、ツェナダイオード(DZ)53の降伏電圧VZをVZ=VP−VSとなるように設定する。ここで、VS=RS・ISであるから降伏電圧VZは次式のとおりとなる。
VZ=VP−(RS・IS)
【0062】
例えば回路負荷(RL)55の負荷が減少したことにより、抵抗(RS)51に流れる電流ISが一定としたい電流値よりもΔILだけ減少した場合、ツェナダイオード(DZ)53の降伏電圧VZと抵抗(RS)51の電圧とは、以下の関係となる。
VZ<VP−(RS・(IS−ΔIL))
【0063】
この関係により、比較器(CM)54の出力は上昇し、トランジスタ(TR)56に流れる電流ITは増加され、抵抗(RS)51に流れる電流ISが増加されることになる。比較器(CM)54の出力は、VZ=VP−(RS・IS)の関係が成立するまで続くので、結果として抵抗(RS)51に流れる電流ISは電流変動ΔILが生じる前の状態に戻って一定化される。したがって、太陽電池セル11の電圧VPにとっての負荷電流も一定化される。
【0064】
逆に、例えば回路負荷(RL)55の負荷が増加したことにより、抵抗(RS)51に流れる電流ISが一定としたい電流値よりもΔILだけ増加した場合、ツェナダイオード(DZ)53の降伏電圧VZと抵抗(RS)51の電圧とは、以下の関係となる。
VZ>VP−(RS・(IS+ΔIL))
【0065】
この関係により、比較器(CM)54の出力は下降し、トランジスタ(TR)56に流れる電流ITは減少され、抵抗(RS)51に流れる電流ISが減少されることになる。比較器(CM)54の出力は、VZ=VP−(RS・IS)の関係が成立するまで続くので、結果として抵抗(RS)51に流れる電流ISは電流変動ΔILが生じる前の状態に戻って一定化される。したがって、太陽電池セル11の電圧VPにとっての負荷電流も一定化される。
【0066】
なお、この負荷安定部41は、本実地の形態のように太陽電池に対する負荷を一定化する用途だけでなく、例えば、温度差、風力、圧力等を利用した発電素子に対する負荷を一定化する用途にも適用することができる。
【0067】
以上説明したように、本発明の一実施の形態である携帯型情報処理装置10によれば、太陽電池セル11−A乃至11−Dを発電の用途のみならず、ユーザインタフェースとして用いるようにしたので、太陽電池と操作スイッチなどのユーザインタフェースを別個に設ける場合に比較して省スペース化が実現される。
【0068】
なお、本実施形態においては、太陽電池セル11−A乃至11−Dが操作されたか(指などで覆われたか)否かの2段階の変化を判定するようにしたが、例えば、指で覆われた程度に応じて2段階以上の操作段階を判定できるようしてもよい。
【0069】
また、上述した説明では、太陽電池セルの電圧を検出し、検出結果をAD変換を用いていたが、検出精度によっては、複数の閾値と比較するような手段を用いることも可能である。
【0070】
さらに、太陽電池セル11は、1つであってもよいが、この場合、1つの太陽電池セルにより、複数のコマンドを判別可能にする必要がある。かかる判別の手法としては、電圧変化の検出回数に応じて、ユーザの入力操作を検出し、この検出結果に応じて、コマンドを判定するようにすればよい。
【0071】
本発明は、本実施の形態のような携帯型情報処理装置の他、太陽電池に代表される発電素子を備えたあらゆる電子装置に適用することが可能である。
【0072】
本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明を適用した携帯型情報処理装置の概観略図である。
【図2】携帯型情報処理装置の第1の構成例を示すブロック図である。
【図3】太陽電池の発電特性を示す図である。
【図4】太陽電池の発電特性を示す図である。
【図5】太陽電池の発電特性を示す図である。
【図6】操作対応処理を説明するフローチャートである。
【図7】携帯型情報処理装置の第2の構成例を示すブロック図である。
【図8】図7の負荷安定部の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0074】
10 携帯型情報処理装置, 11 太陽電池セル, 12 ディスプレイ, 21 発電モジュール, 22 電圧検出部, 23 電力供給部, 24 蓄電部, 25 制御部, 26 メモリ, 27 操作判定部, 28 信号処理部, 29 表示制御部, 41 負荷安定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電素子を備える情報処理装置において、
前記発電素子によって発生された電力の電圧を検出する電圧検出手段と、
検出された前記発電素子の電圧に基づき、ユーザが行った入力操作を判定する判定手段と、
判定された操作対象に対応する処理を行う処理手段と
を含む情報処理装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記電圧検出手段による電圧変化の検出回数に応じて前記入力操作を判定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記発電素子を複数含み、
前記電圧検出手段は、複数の前記発電素子によって発生された電力の電圧をそれぞれ検出し、
前記判定手段は、前記複数の発電素子のうちで発電効率が他と異なるものを特定し、特定した発電素子をユーザによって選択操作された操作対象と判定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記特定された発電素子の組合せに応じて、ユーザの行った入力操作を判定する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
各種のサービスを提供するための複数のアプリケーションプログラムが記録された記録手段と、
前記アプリケーションプログラムに基づく処理を実行する処理手段と
をさらに含み、
前記判定手段は、実行対象となる前記アプリケーションプログラムに応じて、前記電圧検出手段によって検出された電圧値に対応する制御信号を変化させ、当該制御信号を前記処理手段に供給する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記処理手段による処理結果を表示する表示手段を
さらに含む請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記発電素子は、太陽電池である
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
発電素子を備える情報処理装置の情報処理方法において、
前記発電素子によって発生された電力の電圧を検出し、
検出された前記発電素子の電圧に基づき、ユーザが行った入力操作を判定し、
判定された操作対象に対応する処理を行う
ステップを含む情報処理方法。
【請求項9】
発電素子を備える情報処理装置の制御用のプログラムであって、
前記発電素子によって発生された電力の電圧を検出させ、
検出された前記発電素子の電圧に基づき、ユーザが行った入力操作を判定し、
判定された操作対象に対応する処理を行う
ステップを含む処理をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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