情報処理装置および情報処理方法
【課題】ルーティングに影響を与える可能性の高いデータをネットワークに送出しても、ルーティングを維持することを可能にした情報処理装置を提供する。
【解決手段】ネットワークの負荷または品質の観測値に基づいて、ルーティング、トポロジおよび帯域割当てのうち、少なくともいずれかを対象として制御を行うネットワーク制御装置に接続された情報処理装置であって、ネットワーク制御装置が制御を実行するか否かの判定に用いる、観測値に関する閾値を記憶するメモリと、観測値を閾値以上に変化させるデータをネットワークに送出する際、ネットワーク内において負荷または品質を均一化させる制御部とを有する。
【解決手段】ネットワークの負荷または品質の観測値に基づいて、ルーティング、トポロジおよび帯域割当てのうち、少なくともいずれかを対象として制御を行うネットワーク制御装置に接続された情報処理装置であって、ネットワーク制御装置が制御を実行するか否かの判定に用いる、観測値に関する閾値を記憶するメモリと、観測値を閾値以上に変化させるデータをネットワークに送出する際、ネットワーク内において負荷または品質を均一化させる制御部とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークに接続された情報処理装置、および情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを介してサーバと情報端末との間で通信を行う、サーバ=情報端末の通信において、通信品質を向上させるためには、通信遅延を小さくすることが有効である。そのため、サーバと情報端末との間の遅延が最も小さくなるように、サーバの機能をネットワーク上の他のサーバに移動させることが考えられている。このことを、図12を参照して説明する。
【0003】
図12は関連する通信システムの一構成例を示す図である。図12に示すように、ネットワーク201は複数のルータ210a〜210gを有し、これらのルータが相互に通信線で接続されている。また、サーバ151がルータ210cを介してネットワーク201に接続され、サーバ152がルータ210gを介してネットワーク201に接続されている。
【0004】
はじめの段階では、情報端末161がルータ210fと接続されている。このときの情報端末161を破線で示している。情報端末161は、携帯型端末であり、例えば、ノート型パーソナルコンピュータ(以下では、PCと略記する)であるものとする。この図では、説明を簡単にするために、情報端末161をルータを介してネットワーク201に接続するように示しているが、情報端末161をハブ(不図示)または無線基地局(不図示)を介してネットワーク201と接続してもよい。
【0005】
ユーザが情報端末161を操作することで、情報端末161がサーバ152とデータの送受信を行う。その後、ユーザは、情報端末161とネットワーク201との接続を一旦切り、情報端末161を携帯して場所を移動し、情報端末161をルータ210bを介してネットワーク201に接続させる。
【0006】
情報端末161とサーバ152との間の通信遅延が、情報端末161の移動前よりも移動後の方が大きくなっている場合、情報端末161との通信遅延が小さいサーバが他にあれば、サーバ152の機能をそのサーバに移動させ、そのサーバと情報端末161との間で通信を行った方が、ユーザは効率よく作業できる。図12に示す場合で、移動後の情報端末161およびサーバ151間の通信遅延が、移動後の情報端末161およびサーバ152間の通信遅延よりも小さければ、サーバ152の機能をサーバ151に移動させ、情報端末161をサーバ151と接続すればよい。
【0007】
サーバ152の機能の移動には、少なくとも、ユーザがサーバ152で使用していたOS(Operating System)およびアプリケーションプログラムの転送が必要である。これらのOSおよびアプリケーションプログラムの転送は、ファイル転送と同様にデータ転送処理で行われる。
【0008】
ここで、ファイル転送を行うルータ210a〜210gの構成を簡単に説明する。ルータ210a〜210gは同様な構成であるため、ルータ210aの構成を説明する。
【0009】
図13は図12に示したルータの一構成例を示すブロック図である。通信プロトコルに、インターネットで用いられるTCP(Transmission Control Protocol)/IP(Internet Protocol)を用いるものとする。
【0010】
図13に示すように、ルータ210aは、TCPレイヤ制御部30およびIPレイヤ制御部140を含む制御部95を有する。TCPレイヤ制御部30は、ファイルをftp(file transfer protocol)を用いてIPレイヤ制御部140に転送するftp転送部31を有している。データ量の多いファイルが入力された場合、TCPレイヤ制御部30は、ネットワークからファイルを受け取ると、TCPとして許容される最大の速度(レート)でデータをIPレイヤ制御部140に渡す。IPレイヤ制御部140は、TCPレイヤ制御部30から受け取ったデータを、IPとして許容される最大レートでネットワークに送り出す。
【0011】
通信遅延が小さいほど、通信品質が向上するため、サーバ152の機能の移動先は、ユーザが操作する情報端末161の位置およびネットワーク201の遅延状況を考慮して、より通信遅延が小さくなるところが望ましい。
【0012】
ここで、通信遅延が装置間距離に必ずしも比例しないことを説明する。図12では、サーバ151と情報端末161との物理的な距離がサーバ152と情報端末161との物理的な距離に比べて小さく見えるが、通信する装置間の物理的距離を小さくしても、必ずしも遅延が小さくなるとは限らない。図12に示すように、情報端末161を移動させた後の状態で、例えば、サーバ152および情報端末161間の経路の方が、サーバ151および情報端末161間の経路よりも、帯域幅が広い場合、経路が長くても、遅延が小さいということがあり得る。帯域幅も考慮した上で、サーバの機能の移動先が決定される。
【0013】
一方、ネットワークのQoS(Quality of Service)制御のため、ネットワークの通信状況に応じたダイナミックなルーティングを行うルーティング制御が提案されている。ここで、QoSとは、遅延、パケット廃棄およびスループットなどの尺度で定義される通信品質である。ルーティングとは、物理的なルータ間接続に対して、実際にルータがパケットを転送する論理的ルータ間接続を決めることであり、例えば、OSPF(Open Shortest Path First)やBGP(Border Gateway Protocol)といったルーティングプロトコルにより決められるルーティングを指す。
【0014】
このOSPFにおいては、実際に観測された遅延などのQoSにより、最短経路を決める方法が知られている。この場合、ネットワークのトラヒック変動に応じてQoSが変動するため、ルーティングも変化することになる。これをダイナミックなルーティングと呼び、その制御をダイナミックなルーティング制御と呼ぶ。以下では、スタティックなルーティングと区別して表現する場合を除いて、ダイナミックなルーティングを単に「ルーティング」と称し、ダイナミックなルーティング制御を単に「ルーティング制御」と称する。
【0015】
ファイルはデータ量が多いため、ファイル転送により通信トラヒックが発生すると、ネットワークの負荷が上がり、QoSが変化する。この変化がルーティング制御を行うか否かの判定基準となる閾値を越える場合、ルーティングが変化することになる。ルーティング制御では、QoSを観測する時のインターバル(以下では、観測期間と称する)が予め決められており、観測期間毎に、QoSを観測し、その統計値を用いて制御を行う。
【0016】
統計値として、観測期間のQoSの平均値を用いるものとする。例えば、観測期間が非常に長く、その期間の長さに対して、QoSの変動が小さく、かつ、一時的である場合、統計値は、複数の観測期間で、ほとんど変化しないため標準偏差が小さくなる。その結果、ルーティング制御は行われず、ルーティングは変化しない。一方、観測期間が短く、その期間の長さに対して、QoSの変動が大きく、かつ、長期的である場合、統計値は、複数の観測期間で、大きく変化するため標準偏差が大きくなる。その結果、ルーティング制御が行われ、ルーティングが変化する。
【0017】
上述のダイナミックなルーティング制御と言うより、スタティックなルーティング制御に近い技術の一例が、特許文献1に開示されている。特許文献1には、2つのルータ間のトラフィック負荷が過大になると、ネットワーク制御装置がロード・バランシング制御を行うことが記載されている。ネットワーク制御装置がロード・バランシング制御を行うことで、ルーティングが変化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2009−224947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
サーバの機能を移動させる、大きなデータ量のファイル転送を行う場合、上述したように、ネットワークの負荷が上がり、QoSが変化すると、ルーティングが変化してしまうことになる。そのため、サーバの機能を、情報端末との通信において遅延の小さい他のサーバに移動させても、ルーティングが変化したことで、情報端末およびサーバ間の通信遅延が大きくなってしまうおそれがある。
【0020】
このことを、図12および図13を参照して説明する。ルータ210aのIPレイヤ制御部140は、転送すべきファイルを、TCPが許容する最大レートで送信する。そのため、より深刻な輻輳がネットワーク201に起こる可能性が高くなる。このファイルの転送により、ネットワーク201に深刻な輻輳が起きてしまうと、ファイルの転送中または転送後に、ルーティングが変化してしまうことが起こり得る。このとき、サーバ152の機能を、遅延の小さいサーバ151に移動したはずなのに、ルーティングが変化したことで、情報端末161とサーバ151との間の通信遅延が大きくなってしまうおそれがある。
【0021】
さらに、ルーティングの変化が通信遅延を大きくしてしまうことを、図12を参照して具体的に説明する。
【0022】
例えば、ルーティングの変化前では、情報端末161およびサーバ151間の通信経路は、ルータ210b→ルータ210d→ルータ210cを結ぶ経路301であったものとする。サーバ152からサーバ151にファイル転送が行われると、ルータ210cとルータ210dを結ぶ経路で輻輳が起こり、ルーティングが変化する。ルーティングの変化により、情報端末161およびサーバ151間の通信経路が、ルータ210b→ルータ210d→ルータ210e→ルータ210cを結ぶ経路302に変わってしまうおそれがある。仮に帯域幅がどのルータ間でも均一であるとすると、ルーティング変化前よりも変化後の方が、情報端末161およびサーバ151間の通信経路が長くなるため、通信遅延が大きくなってしまうことになる。また、経路301の帯域幅よりも経路302の帯域幅の方が狭ければ、ルーティングの変化後は、変化前に比べて、通信レートが遅くなってしまうことになる。
【0023】
問題の原因は、大きなデータ量のファイルの転送がルーティングに影響を与え、そのことが、ルーティングを変更させてしまい、変更前のルーティングの意味がなくなってしまうことにある。この問題は、特許文献1に開示された技術でも起こり得る。
【0024】
本発明は上述したような技術が有する問題点を解決するためになされたものであり、大容量データのように、ルーティングに影響を与える可能性の高いデータをネットワークに送出しても、ルーティングを維持することを可能にした情報処理装置および情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記目的を達成するための本発明の情報処理装置は、ネットワークの負荷または品質の観測値に基づいて、該ネットワークのルーティング、トポロジおよび帯域割当てのうち、少なくともいずれかを対象として制御を行うネットワーク制御装置に接続された情報処理装置であって、
前記ネットワーク制御装置が前記制御を実行するか否かの判定に用いる、前記観測値に関する閾値を記憶するメモリと、
前記観測値を前記閾値以上に変化させるデータを前記ネットワークに送出する際、該データを特定するための識別子と該データを検知しても前記制御を実行しない旨の要求とを前記ネットワーク制御装置に送信する制御部と、
を有する構成である。
【0026】
また、本発明の情報処理装置は、ネットワークの負荷または品質の観測値に基づいて、該ネットワークのルーティング、トポロジおよび帯域割当てのうち、少なくともいずれかを対象として制御を行うネットワーク制御装置に接続された情報処理装置であって、
前記ネットワーク制御装置が前記制御を実行するか否かの判定に用いる、前記観測値に関する閾値を記憶するメモリと、
前記観測値を前記閾値以上に変化させるデータを前記ネットワークに送出する際、前記ネットワーク内において前記負荷または前記品質を均一化させる制御部と、
を有する構成である。
【0027】
また、本発明の情報処理装置は、ネットワークの負荷または品質の観測値に基づいて、該ネットワークのルーティング、トポロジおよび帯域割当てのうち、少なくともいずれかを対象として制御を行うネットワーク制御装置に接続された情報処理装置であって、
前記ネットワーク制御装置が前記制御を実行するか否かの判定に用いる、前記観測値に関する閾値を記憶するメモリと、
データを前記ネットワークに送出する際、前記観測値が前記閾値を越えない範囲で該データを該ネットワークに送出する制御部と、
を有する構成である。
【0028】
一方、上記目的を達成するための本発明の情報処理方法は、ネットワークの負荷または品質の観測値に基づいて、該ネットワークのルーティング、トポロジおよび帯域割当てのうち、少なくともいずれかを対象として制御を行うネットワーク制御装置に接続された情報処理装置による情報処理方法であって、
前記ネットワーク制御装置が前記制御を実行するか否かの判定に用いる、前記観測値に関する閾値に基づいて、送信対象のデータが前記観測値を前記閾値以上に変化させるか否かを判定し、
前記送信対象のデータが前記観測値を前記閾値以上に変化させると判断すると、該送信対象のデータを特定するための識別子と該データを検知しても前記制御を実行しない旨の要求とを含む閾値不感情報を前記ネットワーク制御装置に送信し、
前記閾値不感情報を送信した後、前記送信対象のデータを前記ネットワークに送出するものである。
【0029】
また、本発明の情報処理方法は、ネットワークの負荷または品質の観測値に基づいて、該ネットワークのルーティング、トポロジおよび帯域割当てのうち、少なくともいずれかを対象として制御を行うネットワーク制御装置に接続された情報処理装置による情報処理方法であって、
前記ネットワーク制御装置が前記制御を実行するか否かの判定に用いる、前記観測値に関する閾値に基づいて、送信対象のデータが前記観測値を前記閾値以上に変化させるか否かを判定し、
前記送信対象のデータが前記観測値を前記閾値以上に変化させると判断すると、前記ネットワーク内において前記負荷または前記品質を均一化させるとともに、前記送信対象のデータを前記ネットワークに送出するものである。
【0030】
さらに、本発明の情報処理方法は、ネットワークの負荷または品質の観測値に基づいて、該ネットワークのルーティング、トポロジおよび帯域割当てのうち、少なくともいずれかを対象として制御を行うネットワーク制御装置に接続された情報処理装置による情報処理方法であって、
前記ネットワーク制御装置が前記制御を実行するか否かの判定に用いる、前記観測値に関する閾値に基づいて、送信対象のデータが前記観測値を前記閾値以上に変化させるか否かを判定し、
前記送信対象のデータが前記観測値を前記閾値以上に変化させると判断すると、前記観測値が前記閾値を越えない範囲で、前記送信対象のデータを前記ネットワークに送出するものである。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、大容量のデータをネットワーク介して転送しても、ルーティングが変化することを抑制でき、データ転送前のルーティングを維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第1の実施形態の中継装置を含む通信システムの一例を示す図である。
【図2】図1に示したルータの一構成例を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態の中継装置の一構成例を示すブロック図である。
【図4】第1の実施形態における情報処理方法の手順を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施形態の中継装置の一構成例を示すブロック図である。
【図6】第2の実施形態における情報処理方法の手順を示すフローチャートである。
【図7】ネットワーク制御装置の一構成例を示すブロック図である。
【図8】第3の実施形態の中継装置の一構成例を示すブロック図である。
【図9】第3の実施形態における情報処理方法の手順を示すフローチャートである。
【図10】第4の実施形態のサーバを含む通信システムの一例を示す図である。
【図11】第4の実施形態のサーバの一構成例を示すブロック図である。
【図12】関連する通信システムの一構成例を示す図である。
【図13】図12に示したルータの一構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本実施形態では、通信プロトコルが、インターネットで用いられるTCP/IPの場合で説明するが、通信プロトコルはTCP/IPに限らず、他の通信プロトコル、例えば、X25、フレームリレー、またはATM(Asynchronous Transfer Mode)方式でも本実施形態を実行することが可能である。また、以下では、図12および図13で説明した構成と同様な構成には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0034】
(第1の実施形態)
本実施形態の情報処理装置は、データ転送を行うルータおよびゲートウェイ装置などの中継装置である。本実施形態の中継装置の構成を説明する。
【0035】
図1は本実施形態の中継装置を含む通信システムの一例を示す図である。
【0036】
図1に示すように、本実施形態の中継装置10がネットワーク101に接続されている。複数のルータ110a〜110fがネットワーク101に接続されている。本実施形態では、ルータ110a〜110fは、ルーティングを動的に制御するネットワーク制御装置に相当する。以下では、ルータ110a〜110fの制御対象をルーティングの場合で説明するが、ルータ110a〜110fは、ルーティング、トポロジおよび帯域割当てのうち、いずれか1つ以上を制御対象としてもよい。
【0037】
図2は図1に示したルータの一構成例を示すブロック図である。ルータ110a〜110fは同様な構成であるため、ルータ110aの構成を説明する。
【0038】
図2に示すように、ルータ110aは、制御部95と、動的にルーティング制御を行うルーティング制御部112と、記憶部114とを有する。記憶部114には、ルーティングテーブル、および、ネットワーク制御に関する制御アルゴリズムが格納されている。また、ルータ110aがルーティング制御を行うか否かの判定に用いる、ネットワークの負荷または品質の観測値に関する基準値である閾値が記憶部114に格納されている。ネットワークの負荷の一種であるトラヒックレートが大きくなると、品質が悪くなるように、ネットワークの負荷と品質は関係している。いずれを監視対象としてもよいが、ここでは、観測値がトラヒックレートであるものとする。
【0039】
なお、ルータ110a〜110fは動的にネットワーク制御を行う装置であるが、特許文献1に例示されるように、ルータがスタティックルーティング制御を行う装置であり、このルータに上記制御対象を動的に制御させるネットワーク制御装置が別に設けられていてもよい。また、以下では、ルータ110a〜110fのうち、任意のルータを指す場合には、符号「110」を用いるものとする。
【0040】
図3は本実施形態の中継装置の一構成例を示すブロック図であり、プロトコルスタックに対応して機能ブロックを示している。
【0041】
図3に示すように、中継装置10は、制御部20と、メモリ21とを有する。制御部20は、TCPレイヤ制御部30と、IPレイヤ制御部40と、サブレイヤ制御部50とを有する。なお、中継装置10には、外部から入力されるデータを外部に転送するまでの間、データを保管するための記憶部が設けられているが、記憶部を図に示すことを省略している。また、TCPレイヤ制御部30、IPレイヤ制御部40、およびサブレイヤ制御部50のそれぞれは、各機能を実行するための専用回路で構成されているが、その一部の機能が、CPU(Central Processing Unit)がプログラムを実行することで構成されてもよい。
【0042】
メモリ21には、ルータ110の記憶部114に格納されたものと同じ閾値が格納されている。この閾値は、制御部20がルータ110から直接に取得してメモリ21に格納したものである。なお、制御部20が制御アルゴリズムをルータ110から取得し、制御アルゴリズムから、どのくらいのトラヒックレートまで許容可能かを調べて閾値を算出してもよい。
【0043】
サブレイヤ制御部50は、転送レート計算部501およびインパクト低下制御部502を有する。転送レート計算部501は、閾値からネットワーク101における現在のトラヒックレートを引いた値を求め、求めた値を送信レートとする。インパクト低下制御部502は、転送レート計算部501で算出された送信レートの情報をIPレイヤ制御部40に渡す。
【0044】
ここで、送信レートの算出方法の具体例を説明する。閾値は、許容される、遅延の増加割合x%であるものとする。つまり、遅延の増加割合がx%以上であると、ルータ110がルーティング制御を実行するが、遅延の増加割合がx%未満であると、ルータ110はルーティング制御を実行しない。
【0045】
転送レート計算部501は、これから送出しようとしているデータを送った場合に発生するトラヒックレートとネットワーク101における現在のトラヒックレートとの和のレートを算出する。続いて、転送レート計算部501は、算出した和のレートを用いて、M/M/1待ち行列モデルで遅延を算出する。算出した遅延を予想遅延とし、現在のトラヒックレートから算出される遅延を現遅延とすると、転送レート計算部501は、(予想遅延/現遅延)×100=yを求める。転送レート計算部501は、xとyとを比較し、y≧xである場合、ルータ110がルーティング制御を実行し、y<xである場合、ルータ110がルーティング制御を実行しない、と判定することが可能である。
【0046】
IPレイヤ制御部40は、サブレイヤ制御部50から受け取った送信レートとIPとして許容される最大レートとを比較し、これらのレートのうち、小さい方のレートでデータをネットワーク201に送出する。
【0047】
次に、中継装置10による情報処理方法の手順を説明する。図4は本実施形態の情報処理方法の手順を示すフローチャートである。
【0048】
サブレイヤ制御部50は、TCPレイヤ制御部30がIPレイヤ制御部40に渡すデータの容量を認識すると、データがネットワーク101内を送信することでネットワークのトラヒックレートが閾値以上になるか否かを判定する(ステップ101)。
【0049】
サブレイヤ制御部50は、ステップ101の判定の結果、トラヒックレートが閾値以上になると判定すると、観測値のトラヒックレートが閾値を越えない送信レートを算出し(ステップ102)、算出した送信レートの情報をIPレイヤ制御部40に通知する。IPレイヤ制御部40は、サブレイヤ制御部50から受け取った算出レートとIPとして許容される最大レートのうち、小さい方のレートでデータをネットワーク101に送出する(ステップ103)。
【0050】
一方、ステップ101の判定の結果、サブレイヤ制御部50は、トラヒックレートが閾値未満であると判定すると、IPレイヤ制御部40にデータの送信を指示する。IPレイヤ制御部40は、TCPレイヤ制御部30から受け取るデータを、IPとして許容される最大レートでネットワーク101に送出する(ステップ104)。
【0051】
上述のようにして、中継装置10は、データ量の大きいデータをネットワーク101に送出する際、ネットワーク101へのインパクトがほぼ無視され得る送信レートで、データをネットワークに送出している。そのため、ネットワーク101に深刻な輻輳が起こる可能性が小さくなり、ルーティングが変化することを抑制できる。
【0052】
このことを、図1を参照して説明する。サーバ152がサーバ151に大容量のファイルを転送しようとすると、中継装置10は、サーバ152から受信したデータを、送信レートを下げてサーバ151宛に送出する。これにより、中継装置10→ルータ110d→110cの経路を含むネットワーク201に深刻な輻輳が起こる可能性が小さくなり、情報端末161とサーバ151との間のルーティングが変化することを抑制できる。
【0053】
なお、上述した方法に限らず、ルータ110に輻輳が観測されないように、中継装置10は、次のようにして、データをネットワーク101に送出してもよい。
【0054】
ルータ110は、一定時間間隔でネットワーク101の状況を調べ、ネットワーク101の負荷または品質を観測している。この一定間隔を観測期間と称する。メモリ21には、閾値の他に、観測期間の情報が格納されている。この観測期間の情報も、閾値と同様に、中継装置10が直接にルータ110から取得してもよく、制御アルゴリズムから導き出してもよい。転送レート計算部501は、送信対象のデータを観測期間内にその宛先に届けることが可能な送信レートを算出する。インパクト低下制御部502は、転送レート計算部501から送信レートの情報を受け取ると、送信レートの情報をIPレイヤ制御部40に通知するとともに、観測期間の開始時刻に合わせてデータを送出するように指示する。その際、算出された送信レートがIPとして許容される最大レートよりも大きければ、IPレイヤ制御部40は、データを分割し、分割したデータのそれぞれを観測期間の開始時刻に合わせて段階的に送出する。
【0055】
この方法によれば、中継装置10がデータをネットワーク101に送出したとき、瞬間的に輻輳が発生するかもしれないが、ルータ110が観測値を取得する合間にデータが転送される。そのため、ルータ110が次に観測値を取得する時刻には、中継装置10から送出されたデータはサーバ151に到達しており、ネットワーク内では、深刻な輻輳が終了している可能性が高くなる。その結果、深刻な輻輳がルータ110に感知されず、ルーティングが変化する可能性が小さくなる。
【0056】
また、別の方法として、中継装置10は、次のようにして、データをネットワーク101に送出してもよい。
【0057】
図1に示すネットワーク101において、サーバ152とサーバ151との間に通信のリンクが張られたとする。そして、中継装置10およびルータ110d間のリンク(リンクAとする)の帯域幅とルータ110cおよびルータ110d間のリンク(リンクBとする)の帯域幅が異なっており、リンクAの方がリンクBよりも帯域幅が大きいとする。この場合、リンクAで輻輳を起こさない送信レートでデータを送出してしまうと、リンクBで輻輳が起き、ルータ110cまたはルータ110dで輻輳が感知されてしまう。
【0058】
そこで、転送レート計算部501は、リンクAとリンクBのそれぞれにおいて閾値を越えない送信レートを算出し、リンクA用の送信レートとリンクB用の送信レートをインパクト低下制御部502に通知する。インパクト低下制御部502は、IPレイヤ制御部40に対して、リンクAではリンクA用の送信レートでデータを転送するように指示し、リンクBではリンクB用の送信レートでデータを転送するように指示する。
【0059】
この方法によれば、データを送受信する通信リンク中に帯域幅の異なる部分があっても、それぞれの帯域幅を越えないようにデータが転送されるため、深刻な輻輳がルータ110に感知されず、ルーティングが変化することを抑制できる。
【0060】
(第2の実施形態)
本実施形態の情報処理装置は、データをネットワークに送出する際、ネットワーク内における負荷または品質を均一化させるものである。本実施形態の中継装置の構成を説明する。
【0061】
図5は本実施形態の中継装置の一構成例を示すブロック図である。第1の実施形態と同様な構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。図5に示す中継装置12が図1に示した通信システムの中継装置10の代わりにネットワーク101に接続される。
【0062】
図5に示すように、中継装置12は、制御部24と、メモリ25とを有する。制御部24は、TCPレイヤ制御部30と、IPレイヤ制御部40と、サブレイヤ制御部54とを有する。メモリ25には、第1の実施形態と同様に、ルータ110の記憶部114に格納されたものと同じ閾値が格納されている。なお、中継装置12には、外部から入力されるデータを外部に転送するまでの間、データを保管するための記憶部が設けられているが、記憶部を図に示すことを省略している。
【0063】
サブレイヤ制御部54は、転送レート計算部501およびインパクト均質化制御部542を有する。インパクト均質化制御部542は、IPレイヤ制御部40に対して、転送レート計算部501で算出された送信レートを通知するとともに、複数の経路からネットワーク101にデータを分割して送出するように指示する。
【0064】
次に、中継装置12による情報処理方法の手順を説明する。図6は本実施形態の情報処理方法の手順を示すフローチャートである。
【0065】
サブレイヤ制御部54は、TCPレイヤ制御部30がIPレイヤ制御部40に渡すデータの容量を認識すると、データがネットワーク101内を送信することでネットワークのトラヒックレートが閾値以上になるか否かを判定する(ステップ201)。
【0066】
サブレイヤ制御部54は、ステップ201の判定の結果、トラヒックレートが閾値以上になると判定すると、観測値のトラヒックレートが閾値を越えない送信レートを算出し(ステップ202)、算出した送信レートと、データを複数に分割して複数のルートから送出することをIPレイヤ制御部40に指示する。
【0067】
IPレイヤ制御部40は、TCPレイヤ制御部30から受け取るデータを分割し、サブレイヤ制御部54から受け取った算出レートとIPとして許容される最大レートのうち、小さい方のレートを用いて、分割したデータを複数の経路からネットワーク101に送出する(ステップ203)。
【0068】
一方、ステップ201の判定の結果、サブレイヤ制御部54は、トラヒックレートが閾値未満であると判定すると、IPレイヤ制御部40にデータの送信を指示する。IPレイヤ制御部40は、TCPレイヤ制御部30から受け取るデータを、IPとして許容される最大レートでネットワーク101に送出する(ステップ204)。
【0069】
本実施形態によれば、図1に示したネットワーク101で説明すると、中継装置12は、データを分割し、中継装置12およびルータ110f間の経路と中継装置12およびルータ110dの経路のそれぞれに、分割したデータを送出する。複数のルートでデータを転送することで、データ転送時間が短くなる。これにより、ネットワーク101では、深刻な輻輳が起こる可能性が小さくなり、ルーティングが変化することを抑制できる。
【0070】
また、中継装置12およびルータ110f間の経路(ルートA)と中継装置12およびルータ110dの経路(ルートB)とで帯域幅が異なっている場合、中継装置12は、次のように行えばよい。転送レート計算部501は、ルートAとルートBのそれぞれにおいて帯域幅を越えない送信レートを算出し、ルートA用の送信レートとルートB用の送信レートをインパクト均質化制御部542に通知する。インパクト均質化制御部542は、IPレイヤ制御部40に対して、ルートAではルートA用の送信レートでデータを送出するように指示し、ルートBではルートB用の送信レートでデータを送出するように指示する。
【0071】
この場合、データを送出する複数のルートに帯域幅の異なるルートがあっても、それぞれの帯域幅を越えないようにデータが転送されるため、深刻な輻輳がルータ110に感知されず、ルーティングが変化することを抑制できる。
【0072】
また、上述した方法に限らず、ネットワーク内における負荷または品質を均一化するために、中継装置12は、次のように実行してもよい。
【0073】
インパクト均質化制御部542は、データの送出をIPレイヤ制御部40に指示する際、ダミーデータをネットワーク101に送出することを指示する。その際、インパクト均質化制御部542は、転送レート計算部501が算出した送信レートをIPレイヤ制御部40に通知しなくてもよい。IPレイヤ制御部40は、インパクト均質化制御部542から指示を受けると、TCPレイヤ制御部30から受け取ったデータをIPとして許容される最大レートでネットワーク101に送出するとともに、同じレートでダミーデータをネットワーク101に送出する。なお、IPレイヤ制御部40は、インパクト均質化制御部542から送信レートの情報を受け取っていれば、TCPレイヤ制御部30から受け取ったデータとダミーデータをその送信レートで送出する。
【0074】
中継装置12からサーバ151宛の大容量のデータを送出する際、ダミーデータをネットワーク101に送出することで、その大容量のデータによる、ネットワークへのインパクトが、ネットワークの他の部分に比べて相対的に軽減される。
【0075】
中継装置12がサーバ151にデータを送出する際、ネットワーク101内には、中継装置12からサーバ151宛にデータが転送されるリンク以外にも、ダミートラヒックによる輻輳が同時に起こる可能性が生じる。その結果、ネットワーク101全体として負荷の均衡が取れるため、ルーティングが変化する可能性が小さくなる。
【0076】
さらに、ダミートラヒックを生じさせる代わりに、中継装置12は、次のように実行してもよい。
【0077】
図1に示すネットワーク101において、サーバ152とサーバ151との間に通信のリンク(リンクCとする)が張られたとする。ネットワーク101内に、リンクC以外のリンクDが張られていると、インパクト均質化制御部542は、リンクDの観測値を監視し、リンクDで観測値が閾値以上になるタイミングで、リンクCを介してデータを送出することをIPレイヤ制御部40に指示する。
【0078】
この場合、リンクDでデータ転送が起こるときに同期して、リンクCでデータ転送を行っているので、深刻な輻輳がリンクC以外でも同時に起こる可能性が生じる。そのため、ネットワーク全体として負荷の均衡が取れるため、ルーティングが変化する可能性が小さくなる。
【0079】
(第3の実施形態)
本実施形態の情報処理装置は、データをネットワークに送出する際、ルータにネットワーク制御を実行させないようにするものである。本実施形態の中継装置の構成を説明する。
【0080】
図7は本実施形態の中継装置の一構成例を示すブロック図である。図8はネットワーク制御装置の一構成例を示すブロック図である。第1の実施形態と同様な構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。図7に示す中継装置14が図1に示した通信システムの中継装置10の代わりにネットワーク101に接続される。
【0081】
図7に示すように、中継装置14は、制御部22と、メモリ23とを有する。制御部22は、TCPレイヤ制御部30と、IPレイヤ制御部40と、サブレイヤ制御部52とを有する。メモリ23には、第1の実施形態と同様に、ルータ110の記憶部114に格納されたものと同じ閾値が格納されている。なお、中継装置14には、外部から入力されるデータを外部に転送するまでの間、データを保管するための記憶部が設けられているが、記憶部を図に示すことを省略している。
【0082】
サブレイヤ制御部52は交渉部521を有する。交渉部521は、データをネットワーク101に送出する旨をIPレイヤ制御部40に指示する前に、データに起因する輻輳により、ネットワーク制御が実行されないように、閾値不感情報をネットワーク制御装置120に送出することをIPレイヤ制御部40に指示する。閾値不感情報は、送信対象のデータを特定するための識別子の情報と、そのデータを感知してもネットワーク制御を実行しない旨の要求とが含まれている。データを特定するための識別子は、例えば、データの送信先またはデータの送信元を特定するための情報であり、装置毎に異なる識別子である。
【0083】
IPレイヤ制御部40は、サブレイヤ制御部52から受け取る閾値不感情報をネットワーク制御装置120に送信した後、TCPレイヤ制御部30からサブレイヤ制御部52を介して受け取るデータを、IPとして許容される最大レートでネットワーク101に送出する。
【0084】
次に、図8に示すネットワーク制御装置の構成を説明する。
【0085】
ネットワーク制御装置120は図1に示したネットワーク101に接続されている。ネットワーク制御装置120は、ルータ110a〜110fに対して、ルータ110が実行するルーティング制御に対して、必要な場合に指示するものである。ネットワーク制御装置120の制御対象は、ルータ110の制御対象に合わせて、ルーティング、トポロジおよび帯域割当てのうち、いずれか1つ以上を制御対象としてもよい。
【0086】
図8に示すように、ネットワーク制御装置120は、記憶部122と、ネットワーク制御部124とを有する。記憶部122には、ルータ110の記憶部114に格納されたものと同じ閾値が格納されている。ネットワーク制御部124は、中継装置14から閾値不感情報を受信すると、ルータ110a〜110fに閾値不感情報を転送する。
【0087】
ルータ110a〜110fの制御部95は、ネットワーク制御装置120から閾値不感情報を受信すると、閾値不感情報に含まれる、データの識別子を読み出し、その識別子を含むデータを検知したときは、輻輳が発生しても、ルーティング制御を実行しない。
【0088】
次に、中継装置14による情報処理方法の手順を説明する。図9は本実施形態の情報処理方法の手順を示すフローチャートである。
【0089】
サブレイヤ制御部52は、TCPレイヤ制御部30がIPレイヤ制御部40に渡すデータの容量を認識すると、データがネットワーク101内を送信することでネットワークのトラヒックレートが閾値以上になるか否かを判定する(ステップ301)。
【0090】
サブレイヤ制御部52は、ステップ301の判定の結果、トラヒックレートが閾値以上になると判定すると、閾値不感情報をネットワーク制御装置120に送信することをIPレイヤ制御部40に指示する。IPレイヤ制御部40は、サブレイヤ制御部52から受け取る閾値不感情報をネットワーク制御装置120に送信し(ステップ302)、TCPレイヤ制御部30からサブレイヤ制御部52を介して受け取るデータを、IPとして許容される最大レートでネットワーク101に送出する(ステップ303)。
【0091】
一方、ステップ301の判定の結果、サブレイヤ制御部52は、トラヒックレートが閾値未満であると判定すると、IPレイヤ制御部40にデータの送信を指示する。IPレイヤ制御部40は、TCPレイヤ制御部30から受け取るデータを、IPとして許容される最大レートでネットワーク101に送出する(ステップ303)。
【0092】
本実施形態では、ネットワークで深刻な輻輳が発生しても、ルーティング制御が行われないため、ルーティングが変化することを防げる。
【0093】
なお、本実施形態では、ルータ110a〜110fが動的にルーティング制御を行う場合で説明したが、静的にルーティング制御を行うルータであってもよい。この場合、ネットワーク制御装置120がネットワーク101内の負荷と品質を観測し、ルーティングテーブルの更新などルーティング制御を、そのルータに指示する。
【0094】
また、本実施形態では、ネットワーク制御装置120が設けられている場合で説明したが、ネットワーク制御装置120が設けられていない場合、中継装置14は、動的にルーティング制御を行うルータ110に閾値不感情報を送信してもよい。その際、閾値不感情報の送信先を、ルータ110a〜110fのうち、中継装置10がリンクを張った通信経路に接続されたルータに限ってもよい。
【0095】
(第4の実施形態)
本実施形態の情報処理装置は、第1の実施形態で説明した中継装置をサーバ装置に適用したものである。本実施形態のサーバ装置の構成を説明する。以下では、第1の実施形態と同様な構成には同一の符号を付している。
【0096】
図10は本実施形態のサーバ装置を含む通信システムの一例を示す図である。図10に示すように、図1に示した通信システムの図と見比べると、中継装置10の代わりにルータ110gが接続され、サーバ152の代わりに、本実施形態のサーバ60が接続されている。ルータ110gは図2で説明したルータ110aと同様な構成である。
【0097】
図11は本実施形態のサーバ装置の一構成例を示すブロック図である。サーバ60は、データを格納する記憶部64と、制御部62とを有する。記憶部64には、データの他に、ルータ110の記憶部114に格納されたものと同じ閾値が格納されている。制御部62は、TCPレイヤ制御部30と、サブレイヤ制御部50と、IPレイヤ制御部40とを有する。
【0098】
なお、これらの構成および動作は第1の実施形態と同様になるため、以下では、詳細な説明を省略する。本実施形態によれば、第1の実施形態と同様な効果が得られる。
【0099】
また、本実施形態では、第1の実施形態の中継装置をサーバ装置に適用した場合を説明したが、第2および第3の実施形態のいずれかの中継装置をサーバ装置に適用してもよい。
【0100】
上述したように、第1から第4の実施形態のデータ転送方法では、ルーティング制御がルーティングを変更しないようなデータ転送を試みている。その手段は、例えば、ネットワークのQoSの変化を抑制する、データ転送経路の他の経路のQoSも変化させることで相対的に変化がないように見せかける、QoSが変更しても制御を行わないように交渉する、というものである。そのため、ルーティング制御が実行されず、ルーティングが変更されない。
【0101】
図1に示したネットワーク101において、情報端末161との通信遅延が小さくなるように、サーバ152の機能をサーバ151に移動させる際、大容量のデータが転送されても、ネットワーク101内のルーティングが変化してしまうのを防げる。そのため、情報端末161とサーバ151との間のルーティングがサーバの機能の移動前の状態を維持する。その結果、情報端末161とサーバ151との間の通信遅延がサーバ152の場合に比べて小さいので、ユーザは情報端末161を操作して、効率よく作業することができる。
【0102】
一方、他のトラヒックに埋もれてしまうほどの低速でデータを転送することで、ルーティングへの影響を抑えることも考えられる。しかし、この場合、データ転送時間の増大をもたらし、データ転送の終了時間が長引いてしまう。その結果、その間に本来行うべき情報端末=サーバ間通信が不可能になってしまう。これに対し、上述の実施形態では、ネットワーク内で輻輳を検知しても制御を行わないようにしている。または、ネットワーク内のQoSの変化を抑制し、かつ、できる限り高速でデータを転送可能な送信レートでデータ転送を行っている。そのため、データ転送時間が長くなるのを抑制でき、データ転送の間も、情報端末=サーバ間通信が可能となる。
【0103】
なお、図1に示したネットワーク101は、本発明を説明するための一例にすぎず、ルータ110の数およびトポロジは図に示す構成に限らない。上述の実施形態では、中継装置10、12、14がデータ送出元であるサーバ152に直接に接続されている場合で説明したが、データ送出元のサーバ152に必ずしも直接に接続されていなくてもよく、データの転送経路の途中に設けられていれば上述の効果が得られる。また、第1から第4の実施形態のうち、いずれか2つ以上の実施形態を組み合わせてもよい。
【0104】
(付記1)ネットワークの負荷または品質の観測値に基づいて、該ネットワークのルーティング、トポロジおよび帯域割当てのうち、少なくともいずれかを対象として制御を行うネットワーク制御装置に接続された情報処理装置であって、前記ネットワーク制御装置が前記制御を実行するか否かの判定に用いる、前記観測値に関する閾値を記憶するメモリと、前記観測値を前記閾値以上に変化させるデータを前記ネットワークに送出する際、前記ネットワーク内において前記負荷または前記品質を均一化させる制御部と、を有する情報処理装置。
【0105】
(付記2)前記制御部は、前記データを複数に分割し、分割したデータのそれぞれを前記ネットワークの複数の経路のそれぞれに送出する、付記1記載の情報処理装置。
【0106】
(付記3)前記観測値がトラヒックレートであり、前記制御部は、前記複数の経路のそれぞれの帯域幅が異なっていると、該複数の経路のそれぞれの帯域幅に対応して、該帯域幅を越えない送信レートで、分割したデータをそれぞれの経路に送出する、付記2記載の情報処理装置。
【0107】
(付記4)前記観測値がトラヒックレートであり、前記制御部は、前記データの宛先との間に第1のリンクを張り、前記第1のリンクに前記閾値の異なる第3および第4のリンクが張られていると、該第3および第4のリンクのそれぞれの閾値未満の送信レートで、該第3および第4のリンクのそれぞれを介して前記データを送信する、付記1記載の情報処理装置。
【0108】
(付記5)ネットワークの負荷または品質の観測値に基づいて、該ネットワークのルーティング、トポロジおよび帯域割当てのうち、少なくともいずれかを対象として制御を行うネットワーク制御装置に接続された情報処理装置であって、前記ネットワーク制御装置が前記制御を実行するか否かの判定に用いる、前記観測値に関する閾値を記憶するメモリと、データを前記ネットワークに送出する際、前記観測値が前記閾値を越えない範囲で該データを該ネットワークに送出する制御部と、を有する情報処理装置。
【0109】
(付記6)前記観測値がトラヒックレートであり、前記制御部は、前記データの宛先との間に第1のリンクを張り、該第1のリンクに前記閾値の異なる第2および第3のリンクが張られていると、該第2および第3のリンクのそれぞれの閾値に対応する送信レートで、該第2および第3のリンクのそれぞれを介して前記データを送信する、付記5記載の情報処理装置。
【0110】
(付記7)前記観測値がトラヒックレートであり、前記制御部は、前記閾値から前記ネットワークにおける現在のトラヒックレートを引いた値を送信レートとして、前記データを該ネットワークに送出する、付記5記載の情報処理装置。
【0111】
(付記8)前記閾値は、前記制御部が前記ネットワーク制御装置から前記制御に関する制御アルゴリズムを取得し、該制御アルゴリズムから算出したものである、付記5記載の情報処理装置。
【0112】
(付記9)ネットワークのルーティング、トポロジおよび帯域割当てのうち、少なくともいずれかを対象として制御を行うか否かの判定に用いる、該ネットワークの負荷または品質の観測値に関する閾値を記憶する記憶部、および、前記観測値に基づいて、前記制御を行う制御部を含むネットワーク制御装置と、前記閾値を記憶するメモリ、および、前記観測値を前記閾値以上に変化させるデータを前記ネットワークに送出する際、該データを特定するための識別子と該データを検知しても前記制御を実行しない旨の要求とを前記ネットワーク制御装置に送信する制御部を含む情報処理装置と、を有する通信システム。
【0113】
(付記10)前記ネットワーク制御装置がルータである、付記9記載の通信システム。
【0114】
(付記11)前記情報処理装置が中継装置またはサーバである、付記9記載の通信システム。
【符号の説明】
【0115】
10、12、14 中継装置
20、22、24 制御部
21、23、25 メモリ
60 サーバ
110a〜110g ルータ
120 ネットワーク制御装置
122 記憶部
124 ネットワーク制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークに接続された情報処理装置、および情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを介してサーバと情報端末との間で通信を行う、サーバ=情報端末の通信において、通信品質を向上させるためには、通信遅延を小さくすることが有効である。そのため、サーバと情報端末との間の遅延が最も小さくなるように、サーバの機能をネットワーク上の他のサーバに移動させることが考えられている。このことを、図12を参照して説明する。
【0003】
図12は関連する通信システムの一構成例を示す図である。図12に示すように、ネットワーク201は複数のルータ210a〜210gを有し、これらのルータが相互に通信線で接続されている。また、サーバ151がルータ210cを介してネットワーク201に接続され、サーバ152がルータ210gを介してネットワーク201に接続されている。
【0004】
はじめの段階では、情報端末161がルータ210fと接続されている。このときの情報端末161を破線で示している。情報端末161は、携帯型端末であり、例えば、ノート型パーソナルコンピュータ(以下では、PCと略記する)であるものとする。この図では、説明を簡単にするために、情報端末161をルータを介してネットワーク201に接続するように示しているが、情報端末161をハブ(不図示)または無線基地局(不図示)を介してネットワーク201と接続してもよい。
【0005】
ユーザが情報端末161を操作することで、情報端末161がサーバ152とデータの送受信を行う。その後、ユーザは、情報端末161とネットワーク201との接続を一旦切り、情報端末161を携帯して場所を移動し、情報端末161をルータ210bを介してネットワーク201に接続させる。
【0006】
情報端末161とサーバ152との間の通信遅延が、情報端末161の移動前よりも移動後の方が大きくなっている場合、情報端末161との通信遅延が小さいサーバが他にあれば、サーバ152の機能をそのサーバに移動させ、そのサーバと情報端末161との間で通信を行った方が、ユーザは効率よく作業できる。図12に示す場合で、移動後の情報端末161およびサーバ151間の通信遅延が、移動後の情報端末161およびサーバ152間の通信遅延よりも小さければ、サーバ152の機能をサーバ151に移動させ、情報端末161をサーバ151と接続すればよい。
【0007】
サーバ152の機能の移動には、少なくとも、ユーザがサーバ152で使用していたOS(Operating System)およびアプリケーションプログラムの転送が必要である。これらのOSおよびアプリケーションプログラムの転送は、ファイル転送と同様にデータ転送処理で行われる。
【0008】
ここで、ファイル転送を行うルータ210a〜210gの構成を簡単に説明する。ルータ210a〜210gは同様な構成であるため、ルータ210aの構成を説明する。
【0009】
図13は図12に示したルータの一構成例を示すブロック図である。通信プロトコルに、インターネットで用いられるTCP(Transmission Control Protocol)/IP(Internet Protocol)を用いるものとする。
【0010】
図13に示すように、ルータ210aは、TCPレイヤ制御部30およびIPレイヤ制御部140を含む制御部95を有する。TCPレイヤ制御部30は、ファイルをftp(file transfer protocol)を用いてIPレイヤ制御部140に転送するftp転送部31を有している。データ量の多いファイルが入力された場合、TCPレイヤ制御部30は、ネットワークからファイルを受け取ると、TCPとして許容される最大の速度(レート)でデータをIPレイヤ制御部140に渡す。IPレイヤ制御部140は、TCPレイヤ制御部30から受け取ったデータを、IPとして許容される最大レートでネットワークに送り出す。
【0011】
通信遅延が小さいほど、通信品質が向上するため、サーバ152の機能の移動先は、ユーザが操作する情報端末161の位置およびネットワーク201の遅延状況を考慮して、より通信遅延が小さくなるところが望ましい。
【0012】
ここで、通信遅延が装置間距離に必ずしも比例しないことを説明する。図12では、サーバ151と情報端末161との物理的な距離がサーバ152と情報端末161との物理的な距離に比べて小さく見えるが、通信する装置間の物理的距離を小さくしても、必ずしも遅延が小さくなるとは限らない。図12に示すように、情報端末161を移動させた後の状態で、例えば、サーバ152および情報端末161間の経路の方が、サーバ151および情報端末161間の経路よりも、帯域幅が広い場合、経路が長くても、遅延が小さいということがあり得る。帯域幅も考慮した上で、サーバの機能の移動先が決定される。
【0013】
一方、ネットワークのQoS(Quality of Service)制御のため、ネットワークの通信状況に応じたダイナミックなルーティングを行うルーティング制御が提案されている。ここで、QoSとは、遅延、パケット廃棄およびスループットなどの尺度で定義される通信品質である。ルーティングとは、物理的なルータ間接続に対して、実際にルータがパケットを転送する論理的ルータ間接続を決めることであり、例えば、OSPF(Open Shortest Path First)やBGP(Border Gateway Protocol)といったルーティングプロトコルにより決められるルーティングを指す。
【0014】
このOSPFにおいては、実際に観測された遅延などのQoSにより、最短経路を決める方法が知られている。この場合、ネットワークのトラヒック変動に応じてQoSが変動するため、ルーティングも変化することになる。これをダイナミックなルーティングと呼び、その制御をダイナミックなルーティング制御と呼ぶ。以下では、スタティックなルーティングと区別して表現する場合を除いて、ダイナミックなルーティングを単に「ルーティング」と称し、ダイナミックなルーティング制御を単に「ルーティング制御」と称する。
【0015】
ファイルはデータ量が多いため、ファイル転送により通信トラヒックが発生すると、ネットワークの負荷が上がり、QoSが変化する。この変化がルーティング制御を行うか否かの判定基準となる閾値を越える場合、ルーティングが変化することになる。ルーティング制御では、QoSを観測する時のインターバル(以下では、観測期間と称する)が予め決められており、観測期間毎に、QoSを観測し、その統計値を用いて制御を行う。
【0016】
統計値として、観測期間のQoSの平均値を用いるものとする。例えば、観測期間が非常に長く、その期間の長さに対して、QoSの変動が小さく、かつ、一時的である場合、統計値は、複数の観測期間で、ほとんど変化しないため標準偏差が小さくなる。その結果、ルーティング制御は行われず、ルーティングは変化しない。一方、観測期間が短く、その期間の長さに対して、QoSの変動が大きく、かつ、長期的である場合、統計値は、複数の観測期間で、大きく変化するため標準偏差が大きくなる。その結果、ルーティング制御が行われ、ルーティングが変化する。
【0017】
上述のダイナミックなルーティング制御と言うより、スタティックなルーティング制御に近い技術の一例が、特許文献1に開示されている。特許文献1には、2つのルータ間のトラフィック負荷が過大になると、ネットワーク制御装置がロード・バランシング制御を行うことが記載されている。ネットワーク制御装置がロード・バランシング制御を行うことで、ルーティングが変化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2009−224947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
サーバの機能を移動させる、大きなデータ量のファイル転送を行う場合、上述したように、ネットワークの負荷が上がり、QoSが変化すると、ルーティングが変化してしまうことになる。そのため、サーバの機能を、情報端末との通信において遅延の小さい他のサーバに移動させても、ルーティングが変化したことで、情報端末およびサーバ間の通信遅延が大きくなってしまうおそれがある。
【0020】
このことを、図12および図13を参照して説明する。ルータ210aのIPレイヤ制御部140は、転送すべきファイルを、TCPが許容する最大レートで送信する。そのため、より深刻な輻輳がネットワーク201に起こる可能性が高くなる。このファイルの転送により、ネットワーク201に深刻な輻輳が起きてしまうと、ファイルの転送中または転送後に、ルーティングが変化してしまうことが起こり得る。このとき、サーバ152の機能を、遅延の小さいサーバ151に移動したはずなのに、ルーティングが変化したことで、情報端末161とサーバ151との間の通信遅延が大きくなってしまうおそれがある。
【0021】
さらに、ルーティングの変化が通信遅延を大きくしてしまうことを、図12を参照して具体的に説明する。
【0022】
例えば、ルーティングの変化前では、情報端末161およびサーバ151間の通信経路は、ルータ210b→ルータ210d→ルータ210cを結ぶ経路301であったものとする。サーバ152からサーバ151にファイル転送が行われると、ルータ210cとルータ210dを結ぶ経路で輻輳が起こり、ルーティングが変化する。ルーティングの変化により、情報端末161およびサーバ151間の通信経路が、ルータ210b→ルータ210d→ルータ210e→ルータ210cを結ぶ経路302に変わってしまうおそれがある。仮に帯域幅がどのルータ間でも均一であるとすると、ルーティング変化前よりも変化後の方が、情報端末161およびサーバ151間の通信経路が長くなるため、通信遅延が大きくなってしまうことになる。また、経路301の帯域幅よりも経路302の帯域幅の方が狭ければ、ルーティングの変化後は、変化前に比べて、通信レートが遅くなってしまうことになる。
【0023】
問題の原因は、大きなデータ量のファイルの転送がルーティングに影響を与え、そのことが、ルーティングを変更させてしまい、変更前のルーティングの意味がなくなってしまうことにある。この問題は、特許文献1に開示された技術でも起こり得る。
【0024】
本発明は上述したような技術が有する問題点を解決するためになされたものであり、大容量データのように、ルーティングに影響を与える可能性の高いデータをネットワークに送出しても、ルーティングを維持することを可能にした情報処理装置および情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記目的を達成するための本発明の情報処理装置は、ネットワークの負荷または品質の観測値に基づいて、該ネットワークのルーティング、トポロジおよび帯域割当てのうち、少なくともいずれかを対象として制御を行うネットワーク制御装置に接続された情報処理装置であって、
前記ネットワーク制御装置が前記制御を実行するか否かの判定に用いる、前記観測値に関する閾値を記憶するメモリと、
前記観測値を前記閾値以上に変化させるデータを前記ネットワークに送出する際、該データを特定するための識別子と該データを検知しても前記制御を実行しない旨の要求とを前記ネットワーク制御装置に送信する制御部と、
を有する構成である。
【0026】
また、本発明の情報処理装置は、ネットワークの負荷または品質の観測値に基づいて、該ネットワークのルーティング、トポロジおよび帯域割当てのうち、少なくともいずれかを対象として制御を行うネットワーク制御装置に接続された情報処理装置であって、
前記ネットワーク制御装置が前記制御を実行するか否かの判定に用いる、前記観測値に関する閾値を記憶するメモリと、
前記観測値を前記閾値以上に変化させるデータを前記ネットワークに送出する際、前記ネットワーク内において前記負荷または前記品質を均一化させる制御部と、
を有する構成である。
【0027】
また、本発明の情報処理装置は、ネットワークの負荷または品質の観測値に基づいて、該ネットワークのルーティング、トポロジおよび帯域割当てのうち、少なくともいずれかを対象として制御を行うネットワーク制御装置に接続された情報処理装置であって、
前記ネットワーク制御装置が前記制御を実行するか否かの判定に用いる、前記観測値に関する閾値を記憶するメモリと、
データを前記ネットワークに送出する際、前記観測値が前記閾値を越えない範囲で該データを該ネットワークに送出する制御部と、
を有する構成である。
【0028】
一方、上記目的を達成するための本発明の情報処理方法は、ネットワークの負荷または品質の観測値に基づいて、該ネットワークのルーティング、トポロジおよび帯域割当てのうち、少なくともいずれかを対象として制御を行うネットワーク制御装置に接続された情報処理装置による情報処理方法であって、
前記ネットワーク制御装置が前記制御を実行するか否かの判定に用いる、前記観測値に関する閾値に基づいて、送信対象のデータが前記観測値を前記閾値以上に変化させるか否かを判定し、
前記送信対象のデータが前記観測値を前記閾値以上に変化させると判断すると、該送信対象のデータを特定するための識別子と該データを検知しても前記制御を実行しない旨の要求とを含む閾値不感情報を前記ネットワーク制御装置に送信し、
前記閾値不感情報を送信した後、前記送信対象のデータを前記ネットワークに送出するものである。
【0029】
また、本発明の情報処理方法は、ネットワークの負荷または品質の観測値に基づいて、該ネットワークのルーティング、トポロジおよび帯域割当てのうち、少なくともいずれかを対象として制御を行うネットワーク制御装置に接続された情報処理装置による情報処理方法であって、
前記ネットワーク制御装置が前記制御を実行するか否かの判定に用いる、前記観測値に関する閾値に基づいて、送信対象のデータが前記観測値を前記閾値以上に変化させるか否かを判定し、
前記送信対象のデータが前記観測値を前記閾値以上に変化させると判断すると、前記ネットワーク内において前記負荷または前記品質を均一化させるとともに、前記送信対象のデータを前記ネットワークに送出するものである。
【0030】
さらに、本発明の情報処理方法は、ネットワークの負荷または品質の観測値に基づいて、該ネットワークのルーティング、トポロジおよび帯域割当てのうち、少なくともいずれかを対象として制御を行うネットワーク制御装置に接続された情報処理装置による情報処理方法であって、
前記ネットワーク制御装置が前記制御を実行するか否かの判定に用いる、前記観測値に関する閾値に基づいて、送信対象のデータが前記観測値を前記閾値以上に変化させるか否かを判定し、
前記送信対象のデータが前記観測値を前記閾値以上に変化させると判断すると、前記観測値が前記閾値を越えない範囲で、前記送信対象のデータを前記ネットワークに送出するものである。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、大容量のデータをネットワーク介して転送しても、ルーティングが変化することを抑制でき、データ転送前のルーティングを維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第1の実施形態の中継装置を含む通信システムの一例を示す図である。
【図2】図1に示したルータの一構成例を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態の中継装置の一構成例を示すブロック図である。
【図4】第1の実施形態における情報処理方法の手順を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施形態の中継装置の一構成例を示すブロック図である。
【図6】第2の実施形態における情報処理方法の手順を示すフローチャートである。
【図7】ネットワーク制御装置の一構成例を示すブロック図である。
【図8】第3の実施形態の中継装置の一構成例を示すブロック図である。
【図9】第3の実施形態における情報処理方法の手順を示すフローチャートである。
【図10】第4の実施形態のサーバを含む通信システムの一例を示す図である。
【図11】第4の実施形態のサーバの一構成例を示すブロック図である。
【図12】関連する通信システムの一構成例を示す図である。
【図13】図12に示したルータの一構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本実施形態では、通信プロトコルが、インターネットで用いられるTCP/IPの場合で説明するが、通信プロトコルはTCP/IPに限らず、他の通信プロトコル、例えば、X25、フレームリレー、またはATM(Asynchronous Transfer Mode)方式でも本実施形態を実行することが可能である。また、以下では、図12および図13で説明した構成と同様な構成には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0034】
(第1の実施形態)
本実施形態の情報処理装置は、データ転送を行うルータおよびゲートウェイ装置などの中継装置である。本実施形態の中継装置の構成を説明する。
【0035】
図1は本実施形態の中継装置を含む通信システムの一例を示す図である。
【0036】
図1に示すように、本実施形態の中継装置10がネットワーク101に接続されている。複数のルータ110a〜110fがネットワーク101に接続されている。本実施形態では、ルータ110a〜110fは、ルーティングを動的に制御するネットワーク制御装置に相当する。以下では、ルータ110a〜110fの制御対象をルーティングの場合で説明するが、ルータ110a〜110fは、ルーティング、トポロジおよび帯域割当てのうち、いずれか1つ以上を制御対象としてもよい。
【0037】
図2は図1に示したルータの一構成例を示すブロック図である。ルータ110a〜110fは同様な構成であるため、ルータ110aの構成を説明する。
【0038】
図2に示すように、ルータ110aは、制御部95と、動的にルーティング制御を行うルーティング制御部112と、記憶部114とを有する。記憶部114には、ルーティングテーブル、および、ネットワーク制御に関する制御アルゴリズムが格納されている。また、ルータ110aがルーティング制御を行うか否かの判定に用いる、ネットワークの負荷または品質の観測値に関する基準値である閾値が記憶部114に格納されている。ネットワークの負荷の一種であるトラヒックレートが大きくなると、品質が悪くなるように、ネットワークの負荷と品質は関係している。いずれを監視対象としてもよいが、ここでは、観測値がトラヒックレートであるものとする。
【0039】
なお、ルータ110a〜110fは動的にネットワーク制御を行う装置であるが、特許文献1に例示されるように、ルータがスタティックルーティング制御を行う装置であり、このルータに上記制御対象を動的に制御させるネットワーク制御装置が別に設けられていてもよい。また、以下では、ルータ110a〜110fのうち、任意のルータを指す場合には、符号「110」を用いるものとする。
【0040】
図3は本実施形態の中継装置の一構成例を示すブロック図であり、プロトコルスタックに対応して機能ブロックを示している。
【0041】
図3に示すように、中継装置10は、制御部20と、メモリ21とを有する。制御部20は、TCPレイヤ制御部30と、IPレイヤ制御部40と、サブレイヤ制御部50とを有する。なお、中継装置10には、外部から入力されるデータを外部に転送するまでの間、データを保管するための記憶部が設けられているが、記憶部を図に示すことを省略している。また、TCPレイヤ制御部30、IPレイヤ制御部40、およびサブレイヤ制御部50のそれぞれは、各機能を実行するための専用回路で構成されているが、その一部の機能が、CPU(Central Processing Unit)がプログラムを実行することで構成されてもよい。
【0042】
メモリ21には、ルータ110の記憶部114に格納されたものと同じ閾値が格納されている。この閾値は、制御部20がルータ110から直接に取得してメモリ21に格納したものである。なお、制御部20が制御アルゴリズムをルータ110から取得し、制御アルゴリズムから、どのくらいのトラヒックレートまで許容可能かを調べて閾値を算出してもよい。
【0043】
サブレイヤ制御部50は、転送レート計算部501およびインパクト低下制御部502を有する。転送レート計算部501は、閾値からネットワーク101における現在のトラヒックレートを引いた値を求め、求めた値を送信レートとする。インパクト低下制御部502は、転送レート計算部501で算出された送信レートの情報をIPレイヤ制御部40に渡す。
【0044】
ここで、送信レートの算出方法の具体例を説明する。閾値は、許容される、遅延の増加割合x%であるものとする。つまり、遅延の増加割合がx%以上であると、ルータ110がルーティング制御を実行するが、遅延の増加割合がx%未満であると、ルータ110はルーティング制御を実行しない。
【0045】
転送レート計算部501は、これから送出しようとしているデータを送った場合に発生するトラヒックレートとネットワーク101における現在のトラヒックレートとの和のレートを算出する。続いて、転送レート計算部501は、算出した和のレートを用いて、M/M/1待ち行列モデルで遅延を算出する。算出した遅延を予想遅延とし、現在のトラヒックレートから算出される遅延を現遅延とすると、転送レート計算部501は、(予想遅延/現遅延)×100=yを求める。転送レート計算部501は、xとyとを比較し、y≧xである場合、ルータ110がルーティング制御を実行し、y<xである場合、ルータ110がルーティング制御を実行しない、と判定することが可能である。
【0046】
IPレイヤ制御部40は、サブレイヤ制御部50から受け取った送信レートとIPとして許容される最大レートとを比較し、これらのレートのうち、小さい方のレートでデータをネットワーク201に送出する。
【0047】
次に、中継装置10による情報処理方法の手順を説明する。図4は本実施形態の情報処理方法の手順を示すフローチャートである。
【0048】
サブレイヤ制御部50は、TCPレイヤ制御部30がIPレイヤ制御部40に渡すデータの容量を認識すると、データがネットワーク101内を送信することでネットワークのトラヒックレートが閾値以上になるか否かを判定する(ステップ101)。
【0049】
サブレイヤ制御部50は、ステップ101の判定の結果、トラヒックレートが閾値以上になると判定すると、観測値のトラヒックレートが閾値を越えない送信レートを算出し(ステップ102)、算出した送信レートの情報をIPレイヤ制御部40に通知する。IPレイヤ制御部40は、サブレイヤ制御部50から受け取った算出レートとIPとして許容される最大レートのうち、小さい方のレートでデータをネットワーク101に送出する(ステップ103)。
【0050】
一方、ステップ101の判定の結果、サブレイヤ制御部50は、トラヒックレートが閾値未満であると判定すると、IPレイヤ制御部40にデータの送信を指示する。IPレイヤ制御部40は、TCPレイヤ制御部30から受け取るデータを、IPとして許容される最大レートでネットワーク101に送出する(ステップ104)。
【0051】
上述のようにして、中継装置10は、データ量の大きいデータをネットワーク101に送出する際、ネットワーク101へのインパクトがほぼ無視され得る送信レートで、データをネットワークに送出している。そのため、ネットワーク101に深刻な輻輳が起こる可能性が小さくなり、ルーティングが変化することを抑制できる。
【0052】
このことを、図1を参照して説明する。サーバ152がサーバ151に大容量のファイルを転送しようとすると、中継装置10は、サーバ152から受信したデータを、送信レートを下げてサーバ151宛に送出する。これにより、中継装置10→ルータ110d→110cの経路を含むネットワーク201に深刻な輻輳が起こる可能性が小さくなり、情報端末161とサーバ151との間のルーティングが変化することを抑制できる。
【0053】
なお、上述した方法に限らず、ルータ110に輻輳が観測されないように、中継装置10は、次のようにして、データをネットワーク101に送出してもよい。
【0054】
ルータ110は、一定時間間隔でネットワーク101の状況を調べ、ネットワーク101の負荷または品質を観測している。この一定間隔を観測期間と称する。メモリ21には、閾値の他に、観測期間の情報が格納されている。この観測期間の情報も、閾値と同様に、中継装置10が直接にルータ110から取得してもよく、制御アルゴリズムから導き出してもよい。転送レート計算部501は、送信対象のデータを観測期間内にその宛先に届けることが可能な送信レートを算出する。インパクト低下制御部502は、転送レート計算部501から送信レートの情報を受け取ると、送信レートの情報をIPレイヤ制御部40に通知するとともに、観測期間の開始時刻に合わせてデータを送出するように指示する。その際、算出された送信レートがIPとして許容される最大レートよりも大きければ、IPレイヤ制御部40は、データを分割し、分割したデータのそれぞれを観測期間の開始時刻に合わせて段階的に送出する。
【0055】
この方法によれば、中継装置10がデータをネットワーク101に送出したとき、瞬間的に輻輳が発生するかもしれないが、ルータ110が観測値を取得する合間にデータが転送される。そのため、ルータ110が次に観測値を取得する時刻には、中継装置10から送出されたデータはサーバ151に到達しており、ネットワーク内では、深刻な輻輳が終了している可能性が高くなる。その結果、深刻な輻輳がルータ110に感知されず、ルーティングが変化する可能性が小さくなる。
【0056】
また、別の方法として、中継装置10は、次のようにして、データをネットワーク101に送出してもよい。
【0057】
図1に示すネットワーク101において、サーバ152とサーバ151との間に通信のリンクが張られたとする。そして、中継装置10およびルータ110d間のリンク(リンクAとする)の帯域幅とルータ110cおよびルータ110d間のリンク(リンクBとする)の帯域幅が異なっており、リンクAの方がリンクBよりも帯域幅が大きいとする。この場合、リンクAで輻輳を起こさない送信レートでデータを送出してしまうと、リンクBで輻輳が起き、ルータ110cまたはルータ110dで輻輳が感知されてしまう。
【0058】
そこで、転送レート計算部501は、リンクAとリンクBのそれぞれにおいて閾値を越えない送信レートを算出し、リンクA用の送信レートとリンクB用の送信レートをインパクト低下制御部502に通知する。インパクト低下制御部502は、IPレイヤ制御部40に対して、リンクAではリンクA用の送信レートでデータを転送するように指示し、リンクBではリンクB用の送信レートでデータを転送するように指示する。
【0059】
この方法によれば、データを送受信する通信リンク中に帯域幅の異なる部分があっても、それぞれの帯域幅を越えないようにデータが転送されるため、深刻な輻輳がルータ110に感知されず、ルーティングが変化することを抑制できる。
【0060】
(第2の実施形態)
本実施形態の情報処理装置は、データをネットワークに送出する際、ネットワーク内における負荷または品質を均一化させるものである。本実施形態の中継装置の構成を説明する。
【0061】
図5は本実施形態の中継装置の一構成例を示すブロック図である。第1の実施形態と同様な構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。図5に示す中継装置12が図1に示した通信システムの中継装置10の代わりにネットワーク101に接続される。
【0062】
図5に示すように、中継装置12は、制御部24と、メモリ25とを有する。制御部24は、TCPレイヤ制御部30と、IPレイヤ制御部40と、サブレイヤ制御部54とを有する。メモリ25には、第1の実施形態と同様に、ルータ110の記憶部114に格納されたものと同じ閾値が格納されている。なお、中継装置12には、外部から入力されるデータを外部に転送するまでの間、データを保管するための記憶部が設けられているが、記憶部を図に示すことを省略している。
【0063】
サブレイヤ制御部54は、転送レート計算部501およびインパクト均質化制御部542を有する。インパクト均質化制御部542は、IPレイヤ制御部40に対して、転送レート計算部501で算出された送信レートを通知するとともに、複数の経路からネットワーク101にデータを分割して送出するように指示する。
【0064】
次に、中継装置12による情報処理方法の手順を説明する。図6は本実施形態の情報処理方法の手順を示すフローチャートである。
【0065】
サブレイヤ制御部54は、TCPレイヤ制御部30がIPレイヤ制御部40に渡すデータの容量を認識すると、データがネットワーク101内を送信することでネットワークのトラヒックレートが閾値以上になるか否かを判定する(ステップ201)。
【0066】
サブレイヤ制御部54は、ステップ201の判定の結果、トラヒックレートが閾値以上になると判定すると、観測値のトラヒックレートが閾値を越えない送信レートを算出し(ステップ202)、算出した送信レートと、データを複数に分割して複数のルートから送出することをIPレイヤ制御部40に指示する。
【0067】
IPレイヤ制御部40は、TCPレイヤ制御部30から受け取るデータを分割し、サブレイヤ制御部54から受け取った算出レートとIPとして許容される最大レートのうち、小さい方のレートを用いて、分割したデータを複数の経路からネットワーク101に送出する(ステップ203)。
【0068】
一方、ステップ201の判定の結果、サブレイヤ制御部54は、トラヒックレートが閾値未満であると判定すると、IPレイヤ制御部40にデータの送信を指示する。IPレイヤ制御部40は、TCPレイヤ制御部30から受け取るデータを、IPとして許容される最大レートでネットワーク101に送出する(ステップ204)。
【0069】
本実施形態によれば、図1に示したネットワーク101で説明すると、中継装置12は、データを分割し、中継装置12およびルータ110f間の経路と中継装置12およびルータ110dの経路のそれぞれに、分割したデータを送出する。複数のルートでデータを転送することで、データ転送時間が短くなる。これにより、ネットワーク101では、深刻な輻輳が起こる可能性が小さくなり、ルーティングが変化することを抑制できる。
【0070】
また、中継装置12およびルータ110f間の経路(ルートA)と中継装置12およびルータ110dの経路(ルートB)とで帯域幅が異なっている場合、中継装置12は、次のように行えばよい。転送レート計算部501は、ルートAとルートBのそれぞれにおいて帯域幅を越えない送信レートを算出し、ルートA用の送信レートとルートB用の送信レートをインパクト均質化制御部542に通知する。インパクト均質化制御部542は、IPレイヤ制御部40に対して、ルートAではルートA用の送信レートでデータを送出するように指示し、ルートBではルートB用の送信レートでデータを送出するように指示する。
【0071】
この場合、データを送出する複数のルートに帯域幅の異なるルートがあっても、それぞれの帯域幅を越えないようにデータが転送されるため、深刻な輻輳がルータ110に感知されず、ルーティングが変化することを抑制できる。
【0072】
また、上述した方法に限らず、ネットワーク内における負荷または品質を均一化するために、中継装置12は、次のように実行してもよい。
【0073】
インパクト均質化制御部542は、データの送出をIPレイヤ制御部40に指示する際、ダミーデータをネットワーク101に送出することを指示する。その際、インパクト均質化制御部542は、転送レート計算部501が算出した送信レートをIPレイヤ制御部40に通知しなくてもよい。IPレイヤ制御部40は、インパクト均質化制御部542から指示を受けると、TCPレイヤ制御部30から受け取ったデータをIPとして許容される最大レートでネットワーク101に送出するとともに、同じレートでダミーデータをネットワーク101に送出する。なお、IPレイヤ制御部40は、インパクト均質化制御部542から送信レートの情報を受け取っていれば、TCPレイヤ制御部30から受け取ったデータとダミーデータをその送信レートで送出する。
【0074】
中継装置12からサーバ151宛の大容量のデータを送出する際、ダミーデータをネットワーク101に送出することで、その大容量のデータによる、ネットワークへのインパクトが、ネットワークの他の部分に比べて相対的に軽減される。
【0075】
中継装置12がサーバ151にデータを送出する際、ネットワーク101内には、中継装置12からサーバ151宛にデータが転送されるリンク以外にも、ダミートラヒックによる輻輳が同時に起こる可能性が生じる。その結果、ネットワーク101全体として負荷の均衡が取れるため、ルーティングが変化する可能性が小さくなる。
【0076】
さらに、ダミートラヒックを生じさせる代わりに、中継装置12は、次のように実行してもよい。
【0077】
図1に示すネットワーク101において、サーバ152とサーバ151との間に通信のリンク(リンクCとする)が張られたとする。ネットワーク101内に、リンクC以外のリンクDが張られていると、インパクト均質化制御部542は、リンクDの観測値を監視し、リンクDで観測値が閾値以上になるタイミングで、リンクCを介してデータを送出することをIPレイヤ制御部40に指示する。
【0078】
この場合、リンクDでデータ転送が起こるときに同期して、リンクCでデータ転送を行っているので、深刻な輻輳がリンクC以外でも同時に起こる可能性が生じる。そのため、ネットワーク全体として負荷の均衡が取れるため、ルーティングが変化する可能性が小さくなる。
【0079】
(第3の実施形態)
本実施形態の情報処理装置は、データをネットワークに送出する際、ルータにネットワーク制御を実行させないようにするものである。本実施形態の中継装置の構成を説明する。
【0080】
図7は本実施形態の中継装置の一構成例を示すブロック図である。図8はネットワーク制御装置の一構成例を示すブロック図である。第1の実施形態と同様な構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。図7に示す中継装置14が図1に示した通信システムの中継装置10の代わりにネットワーク101に接続される。
【0081】
図7に示すように、中継装置14は、制御部22と、メモリ23とを有する。制御部22は、TCPレイヤ制御部30と、IPレイヤ制御部40と、サブレイヤ制御部52とを有する。メモリ23には、第1の実施形態と同様に、ルータ110の記憶部114に格納されたものと同じ閾値が格納されている。なお、中継装置14には、外部から入力されるデータを外部に転送するまでの間、データを保管するための記憶部が設けられているが、記憶部を図に示すことを省略している。
【0082】
サブレイヤ制御部52は交渉部521を有する。交渉部521は、データをネットワーク101に送出する旨をIPレイヤ制御部40に指示する前に、データに起因する輻輳により、ネットワーク制御が実行されないように、閾値不感情報をネットワーク制御装置120に送出することをIPレイヤ制御部40に指示する。閾値不感情報は、送信対象のデータを特定するための識別子の情報と、そのデータを感知してもネットワーク制御を実行しない旨の要求とが含まれている。データを特定するための識別子は、例えば、データの送信先またはデータの送信元を特定するための情報であり、装置毎に異なる識別子である。
【0083】
IPレイヤ制御部40は、サブレイヤ制御部52から受け取る閾値不感情報をネットワーク制御装置120に送信した後、TCPレイヤ制御部30からサブレイヤ制御部52を介して受け取るデータを、IPとして許容される最大レートでネットワーク101に送出する。
【0084】
次に、図8に示すネットワーク制御装置の構成を説明する。
【0085】
ネットワーク制御装置120は図1に示したネットワーク101に接続されている。ネットワーク制御装置120は、ルータ110a〜110fに対して、ルータ110が実行するルーティング制御に対して、必要な場合に指示するものである。ネットワーク制御装置120の制御対象は、ルータ110の制御対象に合わせて、ルーティング、トポロジおよび帯域割当てのうち、いずれか1つ以上を制御対象としてもよい。
【0086】
図8に示すように、ネットワーク制御装置120は、記憶部122と、ネットワーク制御部124とを有する。記憶部122には、ルータ110の記憶部114に格納されたものと同じ閾値が格納されている。ネットワーク制御部124は、中継装置14から閾値不感情報を受信すると、ルータ110a〜110fに閾値不感情報を転送する。
【0087】
ルータ110a〜110fの制御部95は、ネットワーク制御装置120から閾値不感情報を受信すると、閾値不感情報に含まれる、データの識別子を読み出し、その識別子を含むデータを検知したときは、輻輳が発生しても、ルーティング制御を実行しない。
【0088】
次に、中継装置14による情報処理方法の手順を説明する。図9は本実施形態の情報処理方法の手順を示すフローチャートである。
【0089】
サブレイヤ制御部52は、TCPレイヤ制御部30がIPレイヤ制御部40に渡すデータの容量を認識すると、データがネットワーク101内を送信することでネットワークのトラヒックレートが閾値以上になるか否かを判定する(ステップ301)。
【0090】
サブレイヤ制御部52は、ステップ301の判定の結果、トラヒックレートが閾値以上になると判定すると、閾値不感情報をネットワーク制御装置120に送信することをIPレイヤ制御部40に指示する。IPレイヤ制御部40は、サブレイヤ制御部52から受け取る閾値不感情報をネットワーク制御装置120に送信し(ステップ302)、TCPレイヤ制御部30からサブレイヤ制御部52を介して受け取るデータを、IPとして許容される最大レートでネットワーク101に送出する(ステップ303)。
【0091】
一方、ステップ301の判定の結果、サブレイヤ制御部52は、トラヒックレートが閾値未満であると判定すると、IPレイヤ制御部40にデータの送信を指示する。IPレイヤ制御部40は、TCPレイヤ制御部30から受け取るデータを、IPとして許容される最大レートでネットワーク101に送出する(ステップ303)。
【0092】
本実施形態では、ネットワークで深刻な輻輳が発生しても、ルーティング制御が行われないため、ルーティングが変化することを防げる。
【0093】
なお、本実施形態では、ルータ110a〜110fが動的にルーティング制御を行う場合で説明したが、静的にルーティング制御を行うルータであってもよい。この場合、ネットワーク制御装置120がネットワーク101内の負荷と品質を観測し、ルーティングテーブルの更新などルーティング制御を、そのルータに指示する。
【0094】
また、本実施形態では、ネットワーク制御装置120が設けられている場合で説明したが、ネットワーク制御装置120が設けられていない場合、中継装置14は、動的にルーティング制御を行うルータ110に閾値不感情報を送信してもよい。その際、閾値不感情報の送信先を、ルータ110a〜110fのうち、中継装置10がリンクを張った通信経路に接続されたルータに限ってもよい。
【0095】
(第4の実施形態)
本実施形態の情報処理装置は、第1の実施形態で説明した中継装置をサーバ装置に適用したものである。本実施形態のサーバ装置の構成を説明する。以下では、第1の実施形態と同様な構成には同一の符号を付している。
【0096】
図10は本実施形態のサーバ装置を含む通信システムの一例を示す図である。図10に示すように、図1に示した通信システムの図と見比べると、中継装置10の代わりにルータ110gが接続され、サーバ152の代わりに、本実施形態のサーバ60が接続されている。ルータ110gは図2で説明したルータ110aと同様な構成である。
【0097】
図11は本実施形態のサーバ装置の一構成例を示すブロック図である。サーバ60は、データを格納する記憶部64と、制御部62とを有する。記憶部64には、データの他に、ルータ110の記憶部114に格納されたものと同じ閾値が格納されている。制御部62は、TCPレイヤ制御部30と、サブレイヤ制御部50と、IPレイヤ制御部40とを有する。
【0098】
なお、これらの構成および動作は第1の実施形態と同様になるため、以下では、詳細な説明を省略する。本実施形態によれば、第1の実施形態と同様な効果が得られる。
【0099】
また、本実施形態では、第1の実施形態の中継装置をサーバ装置に適用した場合を説明したが、第2および第3の実施形態のいずれかの中継装置をサーバ装置に適用してもよい。
【0100】
上述したように、第1から第4の実施形態のデータ転送方法では、ルーティング制御がルーティングを変更しないようなデータ転送を試みている。その手段は、例えば、ネットワークのQoSの変化を抑制する、データ転送経路の他の経路のQoSも変化させることで相対的に変化がないように見せかける、QoSが変更しても制御を行わないように交渉する、というものである。そのため、ルーティング制御が実行されず、ルーティングが変更されない。
【0101】
図1に示したネットワーク101において、情報端末161との通信遅延が小さくなるように、サーバ152の機能をサーバ151に移動させる際、大容量のデータが転送されても、ネットワーク101内のルーティングが変化してしまうのを防げる。そのため、情報端末161とサーバ151との間のルーティングがサーバの機能の移動前の状態を維持する。その結果、情報端末161とサーバ151との間の通信遅延がサーバ152の場合に比べて小さいので、ユーザは情報端末161を操作して、効率よく作業することができる。
【0102】
一方、他のトラヒックに埋もれてしまうほどの低速でデータを転送することで、ルーティングへの影響を抑えることも考えられる。しかし、この場合、データ転送時間の増大をもたらし、データ転送の終了時間が長引いてしまう。その結果、その間に本来行うべき情報端末=サーバ間通信が不可能になってしまう。これに対し、上述の実施形態では、ネットワーク内で輻輳を検知しても制御を行わないようにしている。または、ネットワーク内のQoSの変化を抑制し、かつ、できる限り高速でデータを転送可能な送信レートでデータ転送を行っている。そのため、データ転送時間が長くなるのを抑制でき、データ転送の間も、情報端末=サーバ間通信が可能となる。
【0103】
なお、図1に示したネットワーク101は、本発明を説明するための一例にすぎず、ルータ110の数およびトポロジは図に示す構成に限らない。上述の実施形態では、中継装置10、12、14がデータ送出元であるサーバ152に直接に接続されている場合で説明したが、データ送出元のサーバ152に必ずしも直接に接続されていなくてもよく、データの転送経路の途中に設けられていれば上述の効果が得られる。また、第1から第4の実施形態のうち、いずれか2つ以上の実施形態を組み合わせてもよい。
【0104】
(付記1)ネットワークの負荷または品質の観測値に基づいて、該ネットワークのルーティング、トポロジおよび帯域割当てのうち、少なくともいずれかを対象として制御を行うネットワーク制御装置に接続された情報処理装置であって、前記ネットワーク制御装置が前記制御を実行するか否かの判定に用いる、前記観測値に関する閾値を記憶するメモリと、前記観測値を前記閾値以上に変化させるデータを前記ネットワークに送出する際、前記ネットワーク内において前記負荷または前記品質を均一化させる制御部と、を有する情報処理装置。
【0105】
(付記2)前記制御部は、前記データを複数に分割し、分割したデータのそれぞれを前記ネットワークの複数の経路のそれぞれに送出する、付記1記載の情報処理装置。
【0106】
(付記3)前記観測値がトラヒックレートであり、前記制御部は、前記複数の経路のそれぞれの帯域幅が異なっていると、該複数の経路のそれぞれの帯域幅に対応して、該帯域幅を越えない送信レートで、分割したデータをそれぞれの経路に送出する、付記2記載の情報処理装置。
【0107】
(付記4)前記観測値がトラヒックレートであり、前記制御部は、前記データの宛先との間に第1のリンクを張り、前記第1のリンクに前記閾値の異なる第3および第4のリンクが張られていると、該第3および第4のリンクのそれぞれの閾値未満の送信レートで、該第3および第4のリンクのそれぞれを介して前記データを送信する、付記1記載の情報処理装置。
【0108】
(付記5)ネットワークの負荷または品質の観測値に基づいて、該ネットワークのルーティング、トポロジおよび帯域割当てのうち、少なくともいずれかを対象として制御を行うネットワーク制御装置に接続された情報処理装置であって、前記ネットワーク制御装置が前記制御を実行するか否かの判定に用いる、前記観測値に関する閾値を記憶するメモリと、データを前記ネットワークに送出する際、前記観測値が前記閾値を越えない範囲で該データを該ネットワークに送出する制御部と、を有する情報処理装置。
【0109】
(付記6)前記観測値がトラヒックレートであり、前記制御部は、前記データの宛先との間に第1のリンクを張り、該第1のリンクに前記閾値の異なる第2および第3のリンクが張られていると、該第2および第3のリンクのそれぞれの閾値に対応する送信レートで、該第2および第3のリンクのそれぞれを介して前記データを送信する、付記5記載の情報処理装置。
【0110】
(付記7)前記観測値がトラヒックレートであり、前記制御部は、前記閾値から前記ネットワークにおける現在のトラヒックレートを引いた値を送信レートとして、前記データを該ネットワークに送出する、付記5記載の情報処理装置。
【0111】
(付記8)前記閾値は、前記制御部が前記ネットワーク制御装置から前記制御に関する制御アルゴリズムを取得し、該制御アルゴリズムから算出したものである、付記5記載の情報処理装置。
【0112】
(付記9)ネットワークのルーティング、トポロジおよび帯域割当てのうち、少なくともいずれかを対象として制御を行うか否かの判定に用いる、該ネットワークの負荷または品質の観測値に関する閾値を記憶する記憶部、および、前記観測値に基づいて、前記制御を行う制御部を含むネットワーク制御装置と、前記閾値を記憶するメモリ、および、前記観測値を前記閾値以上に変化させるデータを前記ネットワークに送出する際、該データを特定するための識別子と該データを検知しても前記制御を実行しない旨の要求とを前記ネットワーク制御装置に送信する制御部を含む情報処理装置と、を有する通信システム。
【0113】
(付記10)前記ネットワーク制御装置がルータである、付記9記載の通信システム。
【0114】
(付記11)前記情報処理装置が中継装置またはサーバである、付記9記載の通信システム。
【符号の説明】
【0115】
10、12、14 中継装置
20、22、24 制御部
21、23、25 メモリ
60 サーバ
110a〜110g ルータ
120 ネットワーク制御装置
122 記憶部
124 ネットワーク制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークの負荷または品質の観測値に基づいて、該ネットワークのルーティング、トポロジおよび帯域割当てのうち、少なくともいずれかを対象として制御を行うネットワーク制御装置に接続された情報処理装置であって、
前記ネットワーク制御装置が前記制御を実行するか否かの判定に用いる、前記観測値に関する閾値を記憶するメモリと、
前記観測値を前記閾値以上に変化させるデータを前記ネットワークに送出する際、該データを特定するための識別子と該データを検知しても前記制御を実行しない旨の要求とを前記ネットワーク制御装置に送信する制御部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
ネットワークの負荷または品質の観測値に基づいて、該ネットワークのルーティング、トポロジおよび帯域割当てのうち、少なくともいずれかを対象として制御を行うネットワーク制御装置に接続された情報処理装置であって、
前記ネットワーク制御装置が前記制御を実行するか否かの判定に用いる、前記観測値に関する閾値を記憶するメモリと、
前記観測値を前記閾値以上に変化させるデータを前記ネットワークに送出する際、前記ネットワーク内において前記負荷または前記品質を均一化させる制御部と、
を有する情報処理装置。
【請求項3】
請求項2記載の情報処理装置において、
前記制御部は、
前記データを複数に分割し、分割したデータのそれぞれを前記ネットワークの複数の経路のそれぞれに送出する、情報処理装置。
【請求項4】
請求項2記載の情報処理装置において、
前記制御部は、
前記データを前記ネットワークに送出する際、前記ネットワーク内の前記負荷を均一化するためのダミーデータを該ネットワークに送出する、情報処理装置。
【請求項5】
請求項2記載の情報処理装置において、
前記制御部は、
前記データの宛先との間に第1のリンクを張り、該第1のリンクとは異なる第2のリンクが前記ネットワーク中に張られていると、該第2のリンクにおける前記観測値を監視し、該第2のリンクで該観測値が前記閾値以上になるタイミングで、前記データを前記第1のリンクを介して送出する、情報処理装置。
【請求項6】
ネットワークの負荷または品質の観測値に基づいて、該ネットワークのルーティング、トポロジおよび帯域割当てのうち、少なくともいずれかを対象として制御を行うネットワーク制御装置に接続された情報処理装置であって、
前記ネットワーク制御装置が前記制御を実行するか否かの判定に用いる、前記観測値に関する閾値を記憶するメモリと、
データを前記ネットワークに送出する際、前記観測値が前記閾値を越えない範囲で該データを該ネットワークに送出する制御部と、
を有する情報処理装置。
【請求項7】
請求項6記載の情報処理装置において、
前記観測値がトラヒックレートであり、
前記ネットワーク制御装置が前記観測値を取得する間隔である観測期間が前記メモリに予め格納され、
前記制御部は、
前記観測期間内に前記データを該データの宛先に送信可能な送信レートを算出し、算出した送信レートで該データを前記観測期間の開始時刻に前記ネットワークに送出する、情報処理装置。
【請求項8】
ネットワークの負荷または品質の観測値に基づいて、該ネットワークのルーティング、トポロジおよび帯域割当てのうち、少なくともいずれかを対象として制御を行うネットワーク制御装置に接続された情報処理装置による情報処理方法であって、
前記ネットワーク制御装置が前記制御を実行するか否かの判定に用いる、前記観測値に関する閾値に基づいて、送信対象のデータが前記観測値を前記閾値以上に変化させるか否かを判定し、
前記送信対象のデータが前記観測値を前記閾値以上に変化させると判断すると、該送信対象のデータを特定するための識別子と該データを検知しても前記制御を実行しない旨の要求とを含む閾値不感情報を前記ネットワーク制御装置に送信し、
前記閾値不感情報を送信した後、前記送信対象のデータを前記ネットワークに送出する、情報処理方法。
【請求項9】
ネットワークの負荷または品質の観測値に基づいて、該ネットワークのルーティング、トポロジおよび帯域割当てのうち、少なくともいずれかを対象として制御を行うネットワーク制御装置に接続された情報処理装置による情報処理方法であって、
前記ネットワーク制御装置が前記制御を実行するか否かの判定に用いる、前記観測値に関する閾値に基づいて、送信対象のデータが前記観測値を前記閾値以上に変化させるか否かを判定し、
前記送信対象のデータが前記観測値を前記閾値以上に変化させると判断すると、前記ネットワーク内において前記負荷または前記品質を均一化させるとともに、前記送信対象のデータを前記ネットワークに送出する、情報処理方法。
【請求項10】
ネットワークの負荷または品質の観測値に基づいて、該ネットワークのルーティング、トポロジおよび帯域割当てのうち、少なくともいずれかを対象として制御を行うネットワーク制御装置に接続された情報処理装置による情報処理方法であって、
前記ネットワーク制御装置が前記制御を実行するか否かの判定に用いる、前記観測値に関する閾値に基づいて、送信対象のデータが前記観測値を前記閾値以上に変化させるか否かを判定し、
前記送信対象のデータが前記観測値を前記閾値以上に変化させると判断すると、前記観測値が前記閾値を越えない範囲で、前記送信対象のデータを前記ネットワークに送出する、情報処理方法。
【請求項1】
ネットワークの負荷または品質の観測値に基づいて、該ネットワークのルーティング、トポロジおよび帯域割当てのうち、少なくともいずれかを対象として制御を行うネットワーク制御装置に接続された情報処理装置であって、
前記ネットワーク制御装置が前記制御を実行するか否かの判定に用いる、前記観測値に関する閾値を記憶するメモリと、
前記観測値を前記閾値以上に変化させるデータを前記ネットワークに送出する際、該データを特定するための識別子と該データを検知しても前記制御を実行しない旨の要求とを前記ネットワーク制御装置に送信する制御部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
ネットワークの負荷または品質の観測値に基づいて、該ネットワークのルーティング、トポロジおよび帯域割当てのうち、少なくともいずれかを対象として制御を行うネットワーク制御装置に接続された情報処理装置であって、
前記ネットワーク制御装置が前記制御を実行するか否かの判定に用いる、前記観測値に関する閾値を記憶するメモリと、
前記観測値を前記閾値以上に変化させるデータを前記ネットワークに送出する際、前記ネットワーク内において前記負荷または前記品質を均一化させる制御部と、
を有する情報処理装置。
【請求項3】
請求項2記載の情報処理装置において、
前記制御部は、
前記データを複数に分割し、分割したデータのそれぞれを前記ネットワークの複数の経路のそれぞれに送出する、情報処理装置。
【請求項4】
請求項2記載の情報処理装置において、
前記制御部は、
前記データを前記ネットワークに送出する際、前記ネットワーク内の前記負荷を均一化するためのダミーデータを該ネットワークに送出する、情報処理装置。
【請求項5】
請求項2記載の情報処理装置において、
前記制御部は、
前記データの宛先との間に第1のリンクを張り、該第1のリンクとは異なる第2のリンクが前記ネットワーク中に張られていると、該第2のリンクにおける前記観測値を監視し、該第2のリンクで該観測値が前記閾値以上になるタイミングで、前記データを前記第1のリンクを介して送出する、情報処理装置。
【請求項6】
ネットワークの負荷または品質の観測値に基づいて、該ネットワークのルーティング、トポロジおよび帯域割当てのうち、少なくともいずれかを対象として制御を行うネットワーク制御装置に接続された情報処理装置であって、
前記ネットワーク制御装置が前記制御を実行するか否かの判定に用いる、前記観測値に関する閾値を記憶するメモリと、
データを前記ネットワークに送出する際、前記観測値が前記閾値を越えない範囲で該データを該ネットワークに送出する制御部と、
を有する情報処理装置。
【請求項7】
請求項6記載の情報処理装置において、
前記観測値がトラヒックレートであり、
前記ネットワーク制御装置が前記観測値を取得する間隔である観測期間が前記メモリに予め格納され、
前記制御部は、
前記観測期間内に前記データを該データの宛先に送信可能な送信レートを算出し、算出した送信レートで該データを前記観測期間の開始時刻に前記ネットワークに送出する、情報処理装置。
【請求項8】
ネットワークの負荷または品質の観測値に基づいて、該ネットワークのルーティング、トポロジおよび帯域割当てのうち、少なくともいずれかを対象として制御を行うネットワーク制御装置に接続された情報処理装置による情報処理方法であって、
前記ネットワーク制御装置が前記制御を実行するか否かの判定に用いる、前記観測値に関する閾値に基づいて、送信対象のデータが前記観測値を前記閾値以上に変化させるか否かを判定し、
前記送信対象のデータが前記観測値を前記閾値以上に変化させると判断すると、該送信対象のデータを特定するための識別子と該データを検知しても前記制御を実行しない旨の要求とを含む閾値不感情報を前記ネットワーク制御装置に送信し、
前記閾値不感情報を送信した後、前記送信対象のデータを前記ネットワークに送出する、情報処理方法。
【請求項9】
ネットワークの負荷または品質の観測値に基づいて、該ネットワークのルーティング、トポロジおよび帯域割当てのうち、少なくともいずれかを対象として制御を行うネットワーク制御装置に接続された情報処理装置による情報処理方法であって、
前記ネットワーク制御装置が前記制御を実行するか否かの判定に用いる、前記観測値に関する閾値に基づいて、送信対象のデータが前記観測値を前記閾値以上に変化させるか否かを判定し、
前記送信対象のデータが前記観測値を前記閾値以上に変化させると判断すると、前記ネットワーク内において前記負荷または前記品質を均一化させるとともに、前記送信対象のデータを前記ネットワークに送出する、情報処理方法。
【請求項10】
ネットワークの負荷または品質の観測値に基づいて、該ネットワークのルーティング、トポロジおよび帯域割当てのうち、少なくともいずれかを対象として制御を行うネットワーク制御装置に接続された情報処理装置による情報処理方法であって、
前記ネットワーク制御装置が前記制御を実行するか否かの判定に用いる、前記観測値に関する閾値に基づいて、送信対象のデータが前記観測値を前記閾値以上に変化させるか否かを判定し、
前記送信対象のデータが前記観測値を前記閾値以上に変化させると判断すると、前記観測値が前記閾値を越えない範囲で、前記送信対象のデータを前記ネットワークに送出する、情報処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−254296(P2011−254296A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126733(P2010−126733)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
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