説明

情報処理装置および情報処理装置の制御方法

【課題】本体起動時に、使用制限された搭載デバイスがあることをユーザに示すことの可能な情報処理装置を提供することを目的とする。
【解決手段】電源スイッチを押し、コンピュータを起動しS1−1、ハードウェアの初期化を行うS1−2。次に、使用制限されているデバイスがあるかを判断できる情報を不揮発性メモリ等から取得するS1−3。不揮発性メモリには、どのデバイスの使用を禁止するかの情報が予め格納されている。不揮発性メモリ等から取得した情報に基づいて、使用制限されているデバイスがあるかどうか判断しS1−4、使用制限されているデバイスがある時Yesは、使用制限デバイスがある旨のアイコン表示処理を行うS1−5,S1−6。使用制限デバイスがある旨は、使用制限されているデバイスを模したアイコン、またはデバイスの使用が制限されている事を示すアイコンを表示することにより明示することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関し、特に情報処理装置の起動時の表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、情報処理装置が持つ入出力デバイスなどのハードウェアに対し、あらかじめ定められた利用者以外の第3者が不正使用を行うのを防止する技術が種々提案されている。例えば、特許文献1には、Basic Input Output System(以下、BIOSと呼ぶ)の機能により、入出力デバイスを個別にロックする機能を備え、そのロックの指定/解除にパスワード入力を求める情報処理システムが記載されている。
【0003】
利用者が、自身でロックしたデバイスを使用する場合、まずは各入出力デバイスを制御するBIOSを起動する。BIOSはバックアップメモリを参照し、ロック指定があればパスワードの入力を求める。パスワードの照会を行い、一致した場合はロックを解除して、デバイスのアクセスと処理を行う。その後、処理が終了したら、再びロックを行う。一定時間の間にパスワードの入力がなかった場合や入力されたパスワードが不一致であった場合は、デバイスへのアクセスが拒否される。この結果、第3者の不当なアクセスが防止され、さらに不当にハードウェアアクセスを行っても、ハードウェアが使用不可となっているので、動作せず、セキュリティを保つことができる。
【特許文献1】特開平10−177524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の方式の場合、BIOSの機能により情報処理装置に搭載されているデバイスの使用が制限されていても、使用が制限されているデバイスをユーザには明示していなかった。そのため、使用制限をしたことを忘れて起動した場合や、使用制限した搭載デバイスがあることを知らずに情報処理装置を起動した場合、ユーザは使用制限されている搭載デバイスが外見上故障したなどと勘違いしてしまうことがある、という問題があった。
【0005】
そこで本発明は、本体起動時に、使用制限された搭載デバイスがあることをユーザに示すことの可能な情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明に係る情報処理装置は、本体と、前記本体に設けられるデバイスと、表示装置を初期化する初期化手段と、前記デバイスの使用を許可/禁止を設定する設定手段と、前記初期化手段による前記表示装置の初期化後に、前記設定手段により使用が許可/禁止されているデバイスを前記表示装置に表示させる制御手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
上記目的を達成するために本発明に係る情報処理装置の制御方法は、本体と表示装置を有する情報処理装置の制御方法において、前記本体に電源を投入し、前記表示装置を初期化し、前記本体に設けられるデバイスの使用を許可/禁止し、前記表示装置の初期化後に、前記使用が許可/禁止されているデバイスを前記表示装置に表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、本体起動時に、使用制限された搭載デバイスがあることをユーザに示すことの可能な情報処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明に係る実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0010】
図1は本発明の実施形態に係る情報処理装置を示す外観斜視図である。本実施形態では情報処理装置としてノート型のコンピュータを例に説明する。コンピュータ1は本体2を備え、ディスプレイユニット3はヒンジ部4を介して本体2と回動可能に取り付けられる。ディスプレイユニット3には液晶等のディスプレイ3aが一体に設けられている。ディスプレイ3aは画像表示を行う。
【0011】
本体2内には複数の電子部品を搭載した回路基板が収容されている。本体2の前上面2aにはタッチパッド5が取り付けられているとともに、本体2の後上面2bにはキーボード6が取り付けられている。本体2の後上面2bには電源スイッチ7、インジケータ8、サブディスプレイ9が設けられている。電源スイッチ7を押下することで、本体2に電源を投入し本体2を起動する。インジケータ8は、LEDの点灯や点滅等によりコンピュータ1の状態を示す。例えば、バッテリ残量や、本体2内に収納されたHDD(Hard Disc Drive)が駆動中であるか、本体2がサスペンド状態であるかどうか等を示す。
【0012】
サブディスプレイ9は、ディスプレイ3aに代わってコンピュータ1の使用時に警告等のメッセージを表示することができる。サブディスプレイ9を使用せず、ディスプレイ3aに全てを表示させるようにしても良い。
【0013】
図2は本発明の実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。コンピュータ1の本体2内には、CPU10、ノースブリッジ11、主メモリ12、表示コントローラ13、サウスブリッジ15、ハードディスクドライブ(HDD)16、光ディスクドライブ(ODD)17、BIOS−ROM18、USBマウス19、エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)20、等が設けられている。
【0014】
CPU10は、コンピュータ1の各コンポーネントの動作を制御するプロセッサである。このCPU10は、HDD16から主メモリ12にロードされる、オペレーティングシステムおよび各種アプリケーションプログラム/ユーティリティプログラムを実行する。また、CPU10は、BIOS−ROM18に格納されたBIOSも実行する。BIOSはハードウェア制御のためのプログラムである。
【0015】
ノースブリッジ11は、CPU10のローカルバスとサウスブリッジ15との間を接続するブリッジデバイスである。また、ノースブリッジ11は、AGP(Accelerated Graphics Port)バスなどを介して表示コントローラ13との通信を実行する機能も有している。さらに、ノースブリッジ11には、主メモリ12を制御するメモリコントローラも内蔵されている。
【0016】
表示コントローラ13は、コンピュータ1の表示装置として使用されるディスプレイ3aを制御する。サウスブリッジ15は、PCI(Peripheral Component Interconnect)バスおよびLPC(Low Pin Count)バスにそれぞれ接続されている。サウスブリッジ15にはUSBを制御するUSBコントローラも内蔵されている。サウスブリッジ15には、例えばHDD16、ODD17やUSBマウス19が接続され、サウスブリッジ15はこれらのデバイスを制御する。また、サウスブリッジ15には、不揮発性メモリ15aが内蔵されている。不揮発性メモリ15aには、後述するように、どのデバイスの使用を禁止するかの情報が予め格納されている。
【0017】
エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラ(EC/KBC)20は、電源管理のためのエンベデッドコントローラと、タッチパッド5およびキーボード6等を制御するキーボードコントローラとが集積された1チップマイクロコンピュータである。タッチパッド5およびキーボード6はそれぞれ入力装置であり、図1に示したように、例えば、コンピュータ本体の上面上に設けられている。
【0018】
エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラ20は、電源回路21と共同して、ユーザによる電源スイッチ7の操作に応じてコンピュータ1の電源をオン/オフする。電源回路21は、バッテリ22、またはACアダプタ23を介して供給される外部電源を用いてコンピュータ1の各コンポーネントに供給すべきシステム電源を生成する。
【0019】
図3は本発明の実施形態に係る情報処理装置の使用制限されているデバイスの表示動作を示すフローチャートである。電源スイッチ7を押し、コンピュータ1を起動すると(ステップ1−1)、起動時のBIOS処理で、ハードウェアの初期化を行う(ステップ1−2)。この時、BIOSはディスプレイ3a、表示コントローラ13、主メモリ12、不揮発性メモリ15a、ノースブリッジ11、サウスブリッジ15、HDD16、ODD17、USBマウス18等の各ハードウェアの初期化を行う。ハードウェアの初期化を行った後、不揮発性メモリ15aの初期化が完了したら、BIOSは不揮発性メモリ15aの内容を読み込む(ステップ1−3)。不揮発メモリ15aには、どのデバイスの使用を禁止するかの情報が予め格納されている。BIOSにより不揮発性メモリ15aから、使用制限されているデバイスの情報の取得処理を行い、使用制限されているデバイスがあるかどうか判断する(ステップ1−4)。使用制限されているデバイスがない時は(ステップ1−4のNo)、そのまま処理を終える。使用制限されているデバイスがある時は(ステップ1−4のYes)、ディスプレイ3aが表示できる状態かどうか判断する(ステップ1−5)。ディスプレイ3aや表示コントローラ13等の初期化が完了しておらず表示できない時は(ステップ1−5のNo)、初期化の完了を待つ。ディスプレイ3aや表示コントローラ13等の初期化が完了し表示できる状態になったら(ステップ1−5のYes)、使用制限デバイスがある旨のアイコンをディスプレイ3aに表示する(ステップ1−6)。使用制限デバイスがある旨は、使用制限されているデバイスを模したアイコン、またはデバイスの使用が制限されている事を示すアイコンにより表示することができる。
【0020】
なお、デバイスの使用制限をするには、デバイスへの電源供給を遮断する、オペレーティングシステム上でデバイスを認識させないようにする、BIOSでのデバイスの初期化を行わない等の方法がある。
【0021】
図4は本発明の実施形態に係る情報処理装置のロゴ表示画面を模式的に示す図である。電源スイッチ7を操作してコンピュータ1に電源を投入すると、BIOS処理によりディスプレイ3aにはコンピュータ1の製造元等を示すロゴが表示される。このとき、あらかじめ使用制限をしているデバイスが一つでもあれば、コンピュータ1を起動した時のロゴ表示画面には、"Device Lock"の表示がされる。"Device Lock"の表示をして使用制限されているデバイスがあることをユーザに明示する。また"Device Lock"の表示だけでなく、実際に使用制限されているデバイスを表示するアイコンを一つずつ表示しても良い。例えば、図4ではHDD16とUSBマウス19が使用制限されていることを示している。
【0022】
図4で示したように、デバイスの使用が制限されている事を示すアイコンを表示する以外にも、コンピュータ1に設けられたインジケータ8の点灯や点滅によってユーザに対して明示することが可能である。また、使用の制限を設定したデバイスだけでなく、起動の制限を設定したデバイスがある場合にも、本実施形態により表示することができる。デバイスの使用が制限されている事を示すアイコンを、ロゴ表示時にディスプレイ3aに対して表示しているが、例えばサブディスプレイ9に対して表示することも可能である。
【0023】
本発明では、コンピュータ1の起動時のBIOS処理中に、使用制限をしたデバイスの表示を行う。一般に、BIOS処理を終えてオペレーティングシステムを起動した後は、ユーティリティなどで使用制限をしたデバイスを見る事ができる。しかし、デバイスの使用制限をしていることを知らない、デバイスの使用制限をしたことを忘れている、等の事情でユーザがユーティリティ画面を見ないことがある。本発明のように、コンピュータ1の起動時のBIOS処理中に表示すれば、デバイスに対する使用制限を忘れているユーザに対しても注意喚起することができる。コンピュータ1の起動時に搭載デバイスの使用が制限されている事を明示することにより、コンピュータ1の故障や不具合等が起きたとユーザが勘違いすることを防止することができる。
【0024】
本発明を実施した場合、本体起動時にユーザに対し使用制限された搭載デバイスがあることを明示することの可能な情報処理装置を提供することができる。
【0025】
本発明ではその主旨を逸脱しない範囲であれば、上記の実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態に係る情報処理装置を示す外観斜視図。
【図2】本発明の実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図
【図3】本発明の実施形態に係る情報処理装置の使用制限されているデバイスの表示動作を示すフローチャート。
【図4】本発明の実施形態に係る情報処理装置のロゴ表示画面を模式的に示す図。
【符号の説明】
【0027】
1…コンピュータ、2…本体、3…ディスプレイユニット、3a…ディスプレイ、4…ヒンジ部、5…タッチパッド、6…キーボード、7…電源スイッチ、8…インジケータ、9…サブディスプレイ、10…CPU、11…ノースブリッジ、12…主メモリ、13…表示コントローラ、14…、15…サウスブリッジ、15a…不揮発性メモリ、16…HDD、17…ODD、18…BIOS−ROM、19…USBマウス、20…EC/KBC、21…電源回路、22…バッテリ、23…アダプタ





【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体に設けられるデバイスと、
表示装置を初期化する初期化手段と、
前記デバイスの使用を許可/禁止を設定する設定手段と、
前記初期化手段による前記表示装置の初期化後に、前記設定手段により使用が許可/禁止されているデバイスを前記表示装置に表示させる制御手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記設定手段により使用が禁止されている前記デバイスの情報を記憶する記憶手段を備え、前記制御手段は、前記記憶手段により記憶された情報に基づいて、使用が禁止された前記デバイスを前記表示装置に表示させることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記初期化手段による前記表示装置の初期化後にオペレーティングシステムを起動する起動手段を備え、前記制御手段は、前記オペレーティングシステムが起動される前に、前記設定手段により使用が禁止された前記デバイスを前記表示装置に表示させることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】
オペレーティングシステムの制御下で動作する情報処理装置において、
本体と、
前記本体に設けられるデバイスと、
表示装置を初期化する初期化手段と、
前記初期化手段による前記表示装置の初期化後にオペレーティングシステムを起動する起動手段と、
前記デバイスの使用を許可/禁止する設定手段と、
前記設定手段により、前記デバイスの使用が許可/禁止されているかどうかの情報を記憶する記憶手段と、
前記初期化手段による前記表示装置の初期化後で前記オペレーティングシステムが起動される前に、前記設定手段により使用が許可/禁止されているデバイスを前記表示装置に表示させる制御手段と、を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
本体と表示装置を有する情報処理装置の制御方法において、
前記本体に電源を投入し、
前記表示装置を初期化し、
前記本体に設けられるデバイスの使用を許可/禁止し、
前記表示装置の初期化後に、前記使用が許可/禁止されているデバイスを前記表示装置に表示することを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項6】
使用が禁止されている前記デバイスの情報を取得し、
前記取得された前記デバイスの情報を記憶し、
前記表示装置の初期化後に前記使用が禁止されたデバイスを前記表示装置に表示することを特徴とする請求項5記載の情報処理装置の制御方法。
【請求項7】
前記表示装置の初期化後にオペレーティングシステムを起動し、
前記表示装置の初期化後で前記オペレーティングシステムが起動される前に、前記使用が禁止されている前記デバイスを前記表示装置に表示することを特徴とする請求項5記載の情報処理装置の制御方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−59379(P2008−59379A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−236800(P2006−236800)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】