説明

情報処理装置および情報処理装置の時刻同期方法

【課題】メインシステムと保守管理システムにおける精度の高い時刻同期を行うことを可能にし、障害発生時にはメインシステムと保守管理システムで検出された障害の時刻関係が明確なログを採取する情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置において、BMC118は、TIMERTC122を取得してメモリ121に保存し、TIMERTC122を保存した時におけるシステムバスクロックカウンタ回路115のCOUNTSTART123をメモリ121に保存し、メインシステム101側の障害発生時に、その障害発生時のシステムバスクロックカウンタ回路115のCOUNTOFFSET124をメモリ121に保存し、ソフト時計108の計時の刻みとシステムバスクロックカウンタ回路115のカウンタの計時の刻みとの比率、TIMERTC122、COUNTSTART123、およびCOUNTOFFSET124に基づいて、障害発生時のOS時刻を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバ等の情報処理装置に関し、特に、障害発生時に採取するログの時刻の同期に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、サーバのような情報処理装置では、計算機システムとして所定の機能を提供するメインシステムと、このメインシステムのファン、電源、演算処理装置(CPU)、メモリといった構成要素の物理的な健全性を監視する保守管理システムで構成されていることが一般的である。
【0003】
このような計算機システムにおいて、例えば、特許文献1(特開2005−135063号公報)に記載されているように、メインシステムおよび保守管理システムがそれぞれ独立した時刻管理が行われ、障害発生時のログの時刻が不正確になるという課題が知られている。
【0004】
この課題に対して、従来の時刻同期方法としては、サーバなどの情報処理装置内部の時刻を、同期したい情報処理装置から時刻同期の基準となる情報処理装置への、時刻送付要求により転送し、転送された時刻を元に計算機のクロックを増減し、徐々に補正していくものがある。
【0005】
例えば、特許文献2(特開平11−25057号公報)に記載されたような、4.3BSD UNIX(登録商標)システムのタイムサーバデーモン(以下timedと称する)方式やtimedにネットワーク等の伝送路の付加による遅延を統計的に考慮したNetwork Time Protocolデーモン(以下ntpdと称する)方式などがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−135063号公報
【特許文献2】特開平11−25057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1は、Real Time Clock(以下RTCと称する)およびBase Board Management Controller(以下BMCと称する)の基準時刻を計時する共有の時計となる共有RTCを設け、共有RTCの時刻による時間管理を行うことについて記載されているが、共有RTCを用いる場合は、同期の処理が複雑になる場合がある。
【0008】
また、特許文献2に記載されたような、timedやntpdといった従来の技術では、基準時刻となる時刻情報を元に同期させたい時計を補正していくために、個々の時刻が同期するまでに時間がかかるという問題がある。また、時刻同期がなされていることを確認することは難しく、時刻同期のタイミングは一定時間毎に行うので、精度が不明確であるという問題もある。
【0009】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みて提案されたものであり、メインシステムと保守管理システムにおける精度の高い時刻同期を行うことを可能にし、障害発生時にはメインシステムと保守管理システムで検出された障害の時刻関係が明確なログを採取する情報処理装置および情報処理装置の時刻同期方法を提供することを目的とする。
【0010】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次の通りである。
【0012】
すなわち、代表的なものの概要は、メインシステムは、演算部と、メインシステムにクロック信号を供給するクロックジェネレータと、演算部と接続される第1記憶部と、演算部と接続されるサウスブリッジとを有し、演算部は、メインシステム上で動作するOSの時刻を計時する第1計時部を有し、サウスブリッジは、メインシステムの基準時刻を計時する第2計時部を有し、保守管理システムは、メインシステムのクロックジェネレータからクロック信号を受信するシステムバスクロックカウンタ部と、システムバスクロックカウンタ部および第2計時部と接続されるBMCと、BMCと接続される第2記憶部とを有し、BMCは、第2計時部から起動時点の時刻TIMERTCを取得して第2記憶部に保存し、時刻TIMERTCを保存した時におけるシステムバスクロックカウンタ部のカウンタ値COUNTSTARTを、第2記憶部に保存し、メインシステム側で第1計時部による時刻を含むログが保存された際に、その保存に同期して保守管理システム側でログを保存する場合、メインシステム側でログが保存された時におけるシステムバスクロックカウンタ部のカウンタ値COUNTOFFSETを、第2記憶部に保存し、第1計時部の計時の刻みとシステムバスクロックカウンタ部のカウンタの計時の刻みとの比率、時刻TIMERTC、カウンタ値COUNTSTART、およびカウンタ値COUNTOFFSETに基づいて、メインシステム側でログが保存された時のOS時刻を算出するものである。
【発明の効果】
【0013】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下の通りである。
【0014】
すなわち、代表的なものによって得られる効果は、システムバスクロックカウンタ回路は、クロック信号からクロックをカウントすることにより、メインシステムのインターバルタイマによって計時されるソフト時計の時刻の刻みをカウントすることができる。保守管理システムは、システムバスクロックカウンタ回路が保持するクロックのカウントした値とOS起動時のRTC時刻から精度の高いOS時刻求めることができる。また、メインシステムの障害発生時に、メインシステムと保守管理システムで検出された障害の時刻関係が明確なログを採取することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態に係る情報処理装置の構成を示す構成図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る情報処理装置のRTCの構成を示す構成図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る情報処理装置のBMCの構成を示す構成図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る情報処理装置のBMCによる時刻同期処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施の形態に係る情報処理装置のBMCによる時刻同期処理時のメインシステムとBMCとの間の動作を示すタイムシーケンスである。
【図6】従来の情報処理装置における障害検出時の動作を示すタイムシーケンスである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0017】
図1により、本発明の一実施の形態に係る情報処理装置の構成について説明する。図1は本発明の一実施の形態に係る情報処理装置の構成を示す構成図である。
【0018】
図1において、情報処理装置100は、メインシステム101、保守管理システム102を備え、メインシステム101は主電源128からの電源供給により動作している。
【0019】
メインシステム101は、クロックジェネレータ103、第1記憶部であるメモリ104、CPU106、I/O Hub(以下IOHと称する)109、サウスブリッジであるI/O Controller Hub(以下ICHと称する)111を有している。
【0020】
メモリ104は、ログ(以下メインシステムのログをログOSと称す)105を保存している。
【0021】
CPU106は、メインシステム101上で動作するOS107を実行し、第1計時部であるソフト時計108も動作させている。また、CPU106は、クロック信号線126を介しクロックジェネレータ103と接続している。
【0022】
ICH111は、メインシステム101の基準時刻を計時する第2計時部であるRTC113を備えている。
【0023】
クロックジェネレータ103は、CPU106のクロック信号を生成させるための回路である。クロックジェネレータ103により生成されるクロック信号は、CPU106上で動作するソフト時計108の時刻の更新に使用される。
【0024】
また、クロックジェネレータ103は、詳細は後述するが、保守管理システムのシステムバスクロックカウンタ回路115と接続され、クロックジェネレータ103により生成されるクロック信号は、システムバスクロックカウンタ回路115に出力される。
【0025】
CPU106上で動作するOS107は、ソフト時計108を用いてOS107の時刻を管理する。OS107は、メインシステム101の障害を検出すると、メモリ104にログOS105を保存する。ログOS105には、障害情報と、障害検出時のソフト時計108の時刻とが保存される。
【0026】
また、CPU106は、QuickPath Interconnect(以下QPIと称する)110を介し、IOH109と接続をしている。IOH109は、Enterprise Southbridge Interface(ESI)112を介し、ICH111と接続している。
【0027】
また、保守管理システム102は、システムバスクロックカウンタ回路115、BMC118、センサ119、第2記憶部であるメモリ121を備えている。
【0028】
システムバスクロックカウンタ回路115は、クロック信号線126を介し、クロックジェネレータ103が生成するクロック信号を受信し、クロックをカウントする。このカウントした値は、カウンタレジスタ116に保存される。
【0029】
また、BMC118は、I2Cバス120を介し、センサ119と接続している。センサ119は、メインシステム101の障害情報が入力されるのを監視し、障害を検出する。メインシステム101の障害の検出後、BMC118はメモリ121にログ(以下保守管理システムのログをログBMCと称す)125を保存する。
【0030】
また、BMC118は、I2Cバス114を介し、メインシステム内のRTC113と接続している。BMC118は、メインシステム101の基準となるRTC時刻をRTC113からI2Cバス114を介し取得し、取得したRTC時刻をメモリ121にTIMERTC122として保存する。
【0031】
メモリ121にRTC時刻を保存した直後に、BMC118は、カウンタレジスタ116の値をCOUNTSTART123としてメモリ121に保存する。そして、障害が発生すると、BMC118は、障害発生時におけるカウンタレジスタ116の値をCOUNTOFFSET124としてメモリ121に保存する。
【0032】
また、BMC118は、主電源制御バス127を介して、主電源128に接続され、主電源128を制御している。
【0033】
次に、図2および図3により、本発明の一実施の形態に係る情報処理装置のRTCおよびBMCの構成について説明する。図2は本発明の一実施の形態に係る情報処理装置のRTCの構成を示す構成図、図3は本発明の一実施の形態に係る情報処理装置のBMCの構成を示す構成図である。
【0034】
図2において、RTC113は、電池130から電源供給を受けて内部の基準計時部で動作を行い時刻を刻む。RTC113は、日付および時刻をRTC時刻129として提供する。CPU106のOS107は、ブート時にRTC113からRTC時刻129を取得し、RTC時刻129をソフト時計108に設定する。その後OS107は、ソフト時計108を用いて時刻を管理する。
【0035】
図3において、BMC118は、CPU131、各種インタフェースを1チップに集積したシングルチップ・マイコンであり、保守管理システム102に必要な障害の監視や、ログ管理のためのプログラムを実行する。BMC118は、I2Cバス117を介し、システムバスクロックカウンタ回路115と接続している。CPU131は、保守管理システム102上で動作するOS132を実行する。
【0036】
次に、図4により、本発明の一実施の形態に係る情報処理装置のBMCによる時刻同期処理について説明する。図4は本発明の一実施の形態に係る情報処理装置のBMCによる時刻同期処理を示すフローチャートである。
【0037】
まず、BMC118は、パワーボタン押下などにより、主電源投入要因があると、主電源制御バス127を介して、主電源128の投入指示を行う(S101)。
【0038】
S101での主電源投入指示後、BMC118は、RTC114からRTC時刻129を取得する。この時刻をTIMERTC122とする。BMC118は、TIMERTC122をメモリ121に保存する(S102)。
【0039】
TIMERTC122をメモリ121に保存した直後に、カウンタレジスタ116の値を取得する。この時取得したカウンタレジスタ値をCOUNTSTART123とする。BMC118は、COUNTSTART123をメモリ121に保存する(S103)。
【0040】
そして、BMC118は、センサ119に障害情報が入力されるのを監視し、メインシステム101の障害を検出し(S104)、S104で障害を検出するまでS104を繰り返す。
【0041】
そして、S104で障害を検出すると、BMC118は、障害を検出した直後にカウンタレジスタ116の値を取得する。この時取得したカウンタレジスタ値をCOUNTOFFSET124とする。BMC118は、COUNTOFFSET124をメモリ121に保存する(S105)。
【0042】
そして、メモリ121に保存された、TIMERTC122、COUNTSTART123、COUNTOFFSET124を基に、障害発生時のOS時刻を算出する(S106)。
【0043】
BMC118は、以下の式1から得られた障害発生時のOS時刻を、ログBMC125を出力し、メモリ121に記録する(S107)。
【0044】
障害発生時のOS時刻=TIMERTC122+ClockToTime(COUNTOFFSET124−COUNTSTART123) …(1)
システムバスクロックカウンタ回路115は、メインシステム101のクロックジェネレータ103のクロック信号を用いているので、システムバスクロックカウンタ回路115でカウントしたCOUNTOFFSET124とCOUNTSTART123との差分Δは、メインシステム101においても同じクロック刻みの差分Δといえる。
【0045】
ところで、OS107の時刻は、ソフト時計108により計時されているので、保守管理システム102の計時の刻みとは、一致しているとは限らない。
【0046】
そこで、本実施の形態では、ソフト時計108の計時の刻みと、カウンタレジスタ(クロックジェネレータ103ともいえる)116の計時の刻みとの比率を算出し、その比率をClockToTime関数に反映することで、上記の式1から障害発生時のOS時刻を算出することができる。
【0047】
例えば、CPU106の種類等により、CPU106に供給される動作クロックが異なり、ソフト時計108の計時の刻みが1秒単位であれば、CPU106の動作クロックに対応した1秒当たりのクロック数が比率となり、この比率が予めメインシステム101のCPU106が決定した際に、BMC118内でClockToTime関数として設定されるか、またはCPU106の種類等やCPU106に供給される動作クロックが可変するような場合は、それに合わせて、例えばBMC118などによりClockToTime関数が変更されて設定されるようになっている。
【0048】
次に、図5により、本発明の一実施の形態に係る情報処理装置のBMCによる時刻同期処理時のメインシステムとBMCとの間の動作について説明する。図5は本発明の一実施の形態に係る情報処理装置のBMCによる時刻同期処理時のメインシステムとBMCとの間の動作を示すタイムシーケンスである。
【0049】
まず、メインシステム101は、BMC118による主電源投入指示(S101)による主電源投入開始(S201)の後、リセット解除を行う(S202)。
【0050】
メインシステム101のリセット解除後、OS107のブートが開始する(S204)。
【0051】
BMC118は、S101の主電源投入指示後は、TIMERTC122をメモリ121に保存し(S102)、COUNTSTART123をメモリ121に保存する(S103)。
【0052】
OS107は、ブート開始時にRTC113から基準となる時刻を読み込み(S205)、この時刻をソフト時計108に設定する(S206)。この後、OS107はソフト時計108により時刻を確認している。
【0053】
メインシステム101上でハードウェア(H/W)障害が発生すると(S203)、OS107およびBMC118がそれぞれ障害を検出する(S104、S207)。
【0054】
障害検出後、OS107は、ソフト時計108の時刻を基に障害時刻および障害情報をログOS105としてメモリ104に保存する(S208)。
【0055】
BMC118では、障害を検出した後、COUNTOFFSET124をメモリ121に保存し(S105)、TIMERTC122、COUNTSTART123、COUNTOFFSET124を基に、障害発生時のOS時刻を算出する(S106)。
【0056】
BMC118は、上記の式1から得られた障害発生時のOS時刻を、ログBMC125を出力し、メモリ121に記録する(S107)。
【0057】
本発明では、BMC118側での、障害発生時のOS時刻の算出を、システムバスクロックカウンタ回路115のカウンタレジスタ116の値で算出しているので、メインシステム101のCPU106で処理されるソフト時計108の計時の基となるクロックジェネレータ103のクロック数に基づいた差分Δは、ソフト時計108での計時に使用されるクロック数の差分Δと同じなため、ClockToTime関数によるクロック数とソフト時計108での計時の刻みの比率の計算により、BMC118側でメインシステム101のソフト時計108のOS時刻と同じ時刻を算出することが可能である。
【0058】
ここで、具体的な時間関係を示す一例を説明する。
【0059】
BMC118が主電源投入指示を行い、RTC時刻129を保存した時のRTC時刻129を10時00分(この時刻をT1とする)とし、この直後にBMC118がカウンタレジスタから取得した値を100する。
【0060】
また、OS107がブート時にRTC時刻129の取得をした時のRTC時刻129を10時01分(この時刻をT2とする)とし、メインシステム101に障害が発生し、OS107が障害を検出した時のOS時刻を10時20分(この時刻をT3とする)とする。
【0061】
また、システムバスクロックカウンタ回路115は、クロック信号線126からのクロック数をカウントし、1秒にカウンタレジスタ116を1カウントするものとする。
【0062】
この場合において、BMC118は障害検出後に、カウンタレジスタ116の値は1300になる。BMC118が電源投入開始指示後から、OS107がRTC時刻129を取得するまで時間は、T2−T1=60秒である。この60秒間は、RTC113自身が時刻を刻むことになるが、BMC118がRTC時刻129を保存してから、OS107のブート開始からRTC時刻129の読み込みまでの時間は十分時間が短いため、この時点でのOS時刻とRTC時刻129の刻み幅に誤差はほとんど生じないため、この誤差はないものとする。
【0063】
この60秒間にシステムバスクロックカウンタ回路115は60カウントする。OS107がRTC時刻129を取得し、OS107が障害検出までの時間は、T3−T2=1140秒である。この1140秒間は、ソフト時計108を基に時刻を刻むので、システムバスクロックカウンタ回路115は1140カウントする。
【0064】
この時のカウンタレジスタ116の値は、100+60+1140=1300となっている。
【0065】
よってBMC118はOS107の障害検出時に時間をT1+ClockToTime(1300−100)となり、この場合のClockToTime関数は1秒間に1カウントアップするので10時00分+1200秒となり、BMC118は、OS障害発生時刻を10時20分と算出することが可能である。
【0066】
すなわち、常に、BMC118側でのメインシステム101側のOS時刻の確認は、ソフト時計108の計時の基となるクロックジェネレータ103のクロック数の差分Δに基づいて算出しているため、ソフト時計108によるOS時刻と同じ時刻を算出することが可能である。
【0067】
ここで、図6により、比較例として、従来の情報処理装置における障害検出時の動作について説明する。図6は従来の情報処理装置における障害検出時の動作を示すタイムシーケンスである。
【0068】
まず、メインシステム101は、BMC118による主電源投入指示(S101)による主電源投入開始(S201)の後、リセット解除を行う(S202)。
【0069】
メインシステム101のリセット解除後、OS107のブートが開始する(S204)。
【0070】
OS107は、ブート開始時にRTC113から基準となる時刻を読み込み(S205)、この時刻をソフト時計108に設定する(S206)。この後、OS107はソフト時計108により時刻を確認している。
【0071】
メインシステム101上でハードウェア(H/W)障害が発生すると(S203)、OS107およびBMC118がそれぞれ障害を検出する(S104、S207)。
【0072】
障害検出後、OS107は、ソフト時計108の時刻を基に障害時刻および障害情報をログOS105としてメモリ104に保存する(S208)。
【0073】
また、BMC118は、BMC118内で計時しているBMC時刻を基にログを出力する(S108)。BMC118によるBMC時刻およびソフト時計108によるOS時刻はともに独立して時刻を刻むので、BMC118およびOS107のログの時間関係が必ずしも一致しているとは限らない。
【0074】
したがって、このような従来の情報処理装置では、保守管理システム102側での障害時のログの時刻を確認する際、メインシステム101側で保存されたOS時刻と一致しないため、その確認作業に時間がかかったり、確認が困難になる場合がある。
【0075】
本実施の形態では、メインシステム101と保守管理システム102に保存される障害発生時の時刻が必ず一致するため、このような問題は発生しない。
【0076】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0077】
例えば、本実施の形態では、障害発生時のログの時刻について説明したが、障害発生時に限らず、メインシステム101および保守管理システム102において、メインシステム側でソフト時計108の時刻を含むログが保存される際に同期して、保守管理システム102にログを保存する場合などでの時刻の記録にも適用することが可能である。
【0078】
BMC118側でカウンタレジスタ116のカウント値による算出した時刻は、必ず、ソフト時計108の計時のよる時刻と同じになるため、保守管理システム側でのメインシステム101の監視時の時間管理などに適用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、サーバ等の情報処理装置に関し、障害発生時に採取するログの時刻の同期を行う装置やシステムなどに広く適用可能である。
【符号の説明】
【0080】
100…情報処理装置、101…メインシステム、102…保守管理システム、103…クロックジェネレータ、104、121…メモリ、105…ログOS、106、131…CPU、107、132…OS、108…ソフト時計、109…IOH、110…QPI、111…ICH、112…ESI、113…RTC、114、117、120…I2Cバス、115…システムバスクロックカウンタ回路、116…カウンタレジスタ、118…BMC、119…センサ、122…TIMERTC、123…COUNTSTART、124…COUNTOFFSET、125…ログBMC、126…クロック信号線、127…主電源制御バス、128…主電源、129…RTC時刻、130…電池。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインシステムと、前記メインシステムを管理する保守管理システムとを備える情報処理装置であって、
前記メインシステムは、
演算部と、前記メインシステムにクロック信号を供給するクロックジェネレータと、前記演算部と接続される第1記憶部と、前記演算部と接続されるサウスブリッジとを有し、
前記演算部は、前記メインシステム上で動作するOSの時刻を計時する第1計時部を有し、
前記サウスブリッジは、前記メインシステムの基準時刻を計時する第2計時部を有し、
前記保守管理システムは、前記メインシステムの前記クロックジェネレータからクロック信号を受信するシステムバスクロックカウンタ部と、前記システムバスクロックカウンタ部および前記第2計時部と接続されるBMCと、前記BMCと接続される第2記憶部とを有し、
前記BMCは、
前記第2計時部から起動時点の時刻TIMERTCを取得して前記第2記憶部に保存し、
前記時刻TIMERTCを保存した時における前記システムバスクロックカウンタ部のカウンタ値COUNTSTARTを、前記第2記憶部に保存し、
前記メインシステム側で前記第1計時部による時刻を含むログが保存された際に、その保存に同期して前記保守管理システム側でログを保存する場合、前記メインシステム側でログが保存された時における前記システムバスクロックカウンタ部のカウンタ値COUNTOFFSETを、前記第2記憶部に保存し、
前記第1計時部の計時の刻みと前記システムバスクロックカウンタ部のカウンタの計時の刻みとの比率、前記時刻TIMERTC、前記カウンタ値COUNTSTART、および前記カウンタ値COUNTOFFSETに基づいて、前記メインシステム側でログが保存された時のOS時刻を算出することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記メインシステム側で前記第1計時部による時刻を含むログが保存される時は、前記メインシステムで障害が発生した時であることを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記BMCは、算出した前記メインシステム側でログが保存された時の前記OS時刻を、前記第2記憶部に記録することを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記BMCは、前記メインシステム側でログが保存された時の前記OS時刻を、前記カウンタ値COUNTSTARTおよび前記カウンタ値COUNTOFFSETの差分に基づいた前記OS時刻の差分時間として算出し、前記差分時間と前記時刻TIMERTCに基づいて算出することを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の情報処理装置において、
前記BMCは、前記メインシステム側でログが保存された時の前記OS時刻を、ClockToTime関数を前記第1計時部の計時の刻みと、前記システムバスクロックカウンタ部のカウンタ値の刻みの比率が設定された関数として、以下の式により算出することを特徴とする情報処理装置。
OS時刻=TIMERTC+ClockToTime(COUNTOFFSET−COUNTSTART
【請求項6】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記第2計時部は、前記メインシステムの基準時刻を計時する基準計時部と、前記基準計時部に電源を供給する電池を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
メインシステムと、前記メインシステムを管理する保守管理システムとを備える情報処理装置の時刻同期方法であって、
前記メインシステムは、演算部と、前記メインシステムにクロック信号を供給するクロックジェネレータと、前記演算部と接続される第1記憶部と、前記演算部と接続されるサウスブリッジとを有し、前記演算部は、前記メインシステム上で動作するOSの時刻を計時する第1計時部を有し、前記サウスブリッジは、前記メインシステムの基準時刻を計時する第2計時部を有し、前記保守管理システムは、前記メインシステムの前記クロックジェネレータからクロック信号を受信するシステムバスクロックカウンタ部と、前記システムバスクロックカウンタ部および前記第2計時部と接続されるBMCと、前記BMCと接続される第2記憶部とを有し、
前記BMCにより、前記第2計時部から起動時点の時刻TIMERTCを取得して前記第2記憶部に保存し、前記時刻TIMERTCを保存した時における前記システムバスクロックカウンタ部のカウンタ値COUNTSTARTを、前記第2記憶部に保存し、前記メインシステム側で前記第1計時部による時刻を含むログが保存された際に、その保存に同期して前記保守管理システム側でログを保存する場合、前記メインシステム側でログが保存された時における前記システムバスクロックカウンタ部のカウンタ値COUNTOFFSETを、前記第2記憶部に保存し、前記第1計時部の計時の刻みと前記システムバスクロックカウンタ部のカウンタの計時の刻みとの比率、前記時刻TIMERTC、前記カウンタ値COUNTSTART、および前記カウンタ値COUNTOFFSETに基づいて、前記メインシステム側でログが保存された時のOS時刻を算出することを特徴とする情報処理装置の時刻同期方法。
【請求項8】
請求項7に記載の情報処理装置の時刻同期方法において、
前記メインシステム側で前記第1計時部による時刻を含むログが保存される時は、前記メインシステムで障害が発生した時であることを特徴とする情報処理装置の時刻同期方法。
【請求項9】
請求項7に記載の情報処理装置の時刻同期方法において、
前記BMCにより、算出した前記メインシステム側でログが保存された時の前記OS時刻を、前記第2記憶部に記録することを特徴とする情報処理装置の時刻同期方法。
【請求項10】
請求項7に記載の情報処理装置の時刻同期方法において、
前記BMCにより、前記メインシステム側でログが保存された時の前記OS時刻を、前記カウンタ値COUNTSTARTおよび前記カウンタ値COUNTOFFSETの差分に基づいた前記OS時刻の差分時間として算出し、前記差分時間と前記時刻TIMERTCに基づいて算出することを特徴とする情報処理装置の時刻同期方法。
【請求項11】
請求項10に記載の情報処理装置の時刻同期方法において、
前記BMCにより、前記メインシステム側でログが保存された時の前記OS時刻を、ClockToTime関数を前記第1計時部の計時の刻みと、前記システムバスクロックカウンタ部のカウンタ値の刻みの比率が設定された関数として、以下の式により算出することを特徴とする情報処理装置の時刻同期方法。
OS時刻=TIMERTC+ClockToTime(COUNTOFFSET−COUNTSTART

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate