説明

情報処理装置及びその制御方法

【課題】印刷を行う画像データは、印刷を行わすに単に保存している画像データと比較して重要度が高いと推定されるという点に着目して、重要度が高いと推定される画像データを自動的に選別して格納する。
【解決手段】プリンタに対して印刷処理の対象となる画像データの転送を指示する印刷実行コマンドをトリガとして(S103:YES)、外部に接続した記憶装置に対して画像データを転送する(S106)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプリンタを制御するドライバを搭載した情報処理装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラやカメラ付き携帯電話機の普及に伴って、撮影した画像データを外部の撮像機器からパーソナルコンピュータ(以下、パソコンと称する)の記録装置へ転送、保存したり、保存した画像をパソコンに接続するプリンタで印刷したりする機会が増加している。そのため、パソコン等に蓄積した画像データの中から、所望の画像を容易に検索、選択して印刷するための手法が各種提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示された画像データの選択方法は、パソコンの画面上に、画像データに予め付加されているサムネイル画像を一覧表示し、サムネイル画像を見ながら印刷したい画像を適宜選択するというものである。この方法によれば、指定したフォルダまたはメディア内に格納されている画像データを小さなサムネイル画像で確認できるので、所望の画像データを容易に選択することができる。
【特許文献1】特開平10−200839号公報(第4頁−第8頁、図9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
個人で撮影または取得した画像データは、上記のように撮像機器やそれに装着した記録メディアを介して最終的にパソコンに保存されるのが一般的である。パソコンは、大量の画像データを容易に保存することができるので便利である反面、その容易さから要・不要を問わずあらゆる画像データがどんどん蓄積されると、膨大な画像データを管理したり、整理したりすることが困難になってしまうという問題があった。
【0005】
画像データの整理に関しては、電子アルバムを作成するソフトウェアなども周知されているが、画像を選択してレイアウト等を決定するという作業は時間と労力を要し、煩雑である。このように、蓄積した画像データを簡単に整理して、必要なデータだけを半永久的に残したいというニーズへの対処は大きな課題となっている。
【0006】
ここで、画像データの印刷という動作に着目してみると、パソコンに取り込んだ直後に印刷を行った画像データや、印刷を行うためにフォルダ内を検索して選択された画像データは、一般的に、お気に入りの写真など重要度の高い画像であることが判る。
【0007】
本発明は、印刷を行う画像データは、印刷を行わすに単に保存している画像データと比較して重要度が高いと推定されるという点に着目して、重要度が高いと推定される画像データを自動的に選別して格納することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、プリンタを制御するドライバを搭載した情報処理装置であって、前記プリンタに対して印刷処理の対象となる画像データの転送を指示する印刷実行コマンドをトリガとして、前記画像データを格納させる制御手段を備える。この構成によれば、印刷実行コマンドをトリガとして、印刷処理の対象となる画像データを格納させることで、印刷処理の対象となる画像データを自動的に記憶させることができるため、操作者が意識することなく重要度の高いと推定される画像データを自動的に選別して格納することができる。
【0009】
本発明において、前記制御手段は、前記画像データを外部に接続した記憶装置に対して転送する。この構成によれば、印刷処理の対象となる画像データを外部の記憶装置に転送することで、画像データを外部の記憶装置へ格納させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、印刷処理の対象となる画像データを自動的に記憶させることができるため、操作者が意識することなく重要度の高いと推定される画像データを自動的に選別して格納することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、本発明の実施の形態におけるプリントシステムの構成を示す図である。プリントシステム100は、主に、パソコン10、プリンタ20、サーバ30で構成される。
【0012】
パソコン10は、情報処理装置としての機能を担うもので、デジタルカメラなどで撮影された画像データを外部より取得して格納するメモリ11と、メモリ11に格納された画像データを選択し、選択した画像データをプリンタ20に転送するなどの各種制御動作を行う制御部12とを含む。
【0013】
制御部12は、画像データをプリンタ20で処理可能な印刷用画像データに変換するためのプリンタドライバ13と、選択された画像データの印刷実行コマンドをトリガとして、当該画像データをネットワーク40経由でサーバ30へアップロードするための画像データ転送部14とを含む。画像データをアップロードするサーバ30との通信接続を確立するための処理などもこの画像データ転送部14で行う。画像データ転送部14は、更にプリンタドライバ13からのビットマップデータを画像データファイル(JPEGやTIFF等)に変換する機能を有する。プリンタドライバ13や画像データ転送部14の機能は、具体的には、それぞれの機能に係るプログラムを制御部12のCPU(図示省略)で実行することにより実現される。
【0014】
プリンタ20は、接続するパソコン10から転送される印刷用画像データを受信して、印刷処理を行う公知のプリンタである。また、サーバ30は、ネットワーク40を介してパソコン10と接続し、パソコン10から転送される画像データを受信して格納する公知のサーバである。なお、転送される画像データをパソコン10に直接接続された外部記憶装置に格納するようにしてもよい。なお、サーバや外部記録装置へ画像データを転送する際に、暗号化された画像データファイルを転送して転送先で復号化し、更に転送中の通信をセキュアプロトコルにより保護することが望ましい。
【0015】
図2は、本発明の実施の形態におけるプリントシステムの印刷動作手順を示すフローチャートである。本発明の実施の形態におけるプリントシステムでは、印刷を行う画像データをサーバへアップロードする処理を選択している場合は、印刷動作をトリガとして、印刷を行う画像データをサーバへアップロードする転送動作が実行される。なお、試し印刷等を実行する場合に、画像データのアップロードをキャンセルする設定を、例えばプリンタドライバ13のチェックボックスに設けてもよい。
【0016】
パソコン10の操作者が、既存の印刷用アプリケーションを起動すると(ステップS101)、パソコン10のメモリ11に格納された複数の画像データから所望の画像データを選択して印刷することが可能な状態となる。
【0017】
図3は、既存の印刷用アプリケーションのユーザーインターフェース画面表示例を示す模式図である。図に示すように、印刷を行うための画像データ選択画面50は、フォルダ(またはメディア)のルート位置を表示する領域51と、フォルダ内にある画像データのサムネイル画像を表示する領域52とに分割されている。サムネイル画像の表示領域には、サムネイル画像53ごとに、画像データの固有番号54と、印刷を行うか否かを選択するためのチェックボックス55が表示されており、チェックボックス55にチェックが入っている画像の印刷が行われる。印刷実行ボタン56は、選択したすべての画像の印刷を実行するためのボタンである。キャンセルボタン57は、チェックボックスに入れたチェックをすべて解除するためのボタンである。アップロードボタン58は、印刷を行う画像データをサーバへアップロードする処理を選択するためのボタンである。
【0018】
図2のフローチャートに戻り、パソコン10の制御部12は、図3に示すような選択画面で所望の画像が選択されたあとに(ステップS102)、印刷実行コマンドが実行されたか否かを判断する(ステップS103)。具体的には、選択画面50上の印刷実行ボタン56が押下されたか否かを判断する。
【0019】
印刷実行コマンドが実行された場合(ステップS103のYes)、印刷を行う画像データのアップロードが許可されている場合は(ステップS104のYes)、プリンタドライバ13は、選択された画像データを印刷用データに変換してプリンタ20へ送信し、プリンタ20で印刷処理が実行される(ステップS105)。尚、プリンタ20における印刷処理は公知の手法を用いてよく、従って、詳細な説明は省略する。
【0020】
画像データ転送部14は、印刷実行コマンドの実行をトリガとして、ネットワーク40を介して接続するサーバ30へ印刷実行コマンドに係る画像データの転送を行うアップロード処理を実行する(ステップS106)。アップロード処理が終了すると、制御部12は一連の印刷動作を終了する。
【0021】
図4は、本発明の実施の形態におけるプリントシステムの画像データアップロード処理手順を示すフローチャートである。はじめに、画像データ転送部14は、サーバ30との通信接続を開始する(ステップS201)。画像データ転送部14は、通信接続が確立したか否かを判断し(ステップS202)、接続が確立した場合(ステップS202のYes)、選択された画像データをネットワーク40を介して接続されたサーバ30へ転送する(ステップS203)。尚、画像データ選択画面50で複数の画像データが選択されている場合は(図3参照)、該当するすべての画像データをサーバ30へ転送する。
【0022】
次に、画像データ転送部14は、選択した画像データの転送が完了したか否かを判断する(ステップS204)。転送が完了した場合は(ステップS204のYes)、サーバ30との通信接続を終了して(ステップS205)、一連のアップロード処理を終了する。一方、画像データの転送処理が完了していない場合は(ステップS204のNo)、再びステップS203に戻り、画像データの転送動作を繰り返す。
【0023】
尚、ステップS202において通信接続が確立できなかった場合は(ステップS202のNo)、所定のエラー処理を行ってから(ステップS206)、アップロード処理を終了する。
【0024】
上記の実施の形態において、画像データ転送部14の機能をプリンタドライバ13に含めるようにしてもよい。プリンタドライバ13で画像データをアップロードするように設定すれば、起動するアプリケーションに依存することなく、印刷実行コマンドに係る画像データをサーバ30へ転送することができる。
【0025】
上記実施の形態によれば、印刷動作の有無によって画像データの重要度が判定され、重要度が高いと推定される画像データのみが遠隔のサーバに自動的に格納されるので、操作者が意識することなく、重要度の高い画像データを整理、保存することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態におけるプリントシステムの構成を示す図
【図2】本発明の実施の形態におけるプリントシステムの印刷動作手順を示すフローチャート
【図3】既存の印刷用アプリケーションのユーザーインターフェース画面表示例を示す模式図
【図4】本発明の実施の形態におけるプリントシステムの画像データアップロード処理手順を示すフローチャート
【符号の説明】
【0027】
10:パソコン、11:メモリ、12:制御部、13:プリンタドライバ、14:画像データ転送部、20:プリンタ、30:サーバ、40:ネットワーク、50:画像データ選択画面、53:サムネイル画像、55:チェックボックス、56:印刷実行ボタン、アップロードボタン57、100:プリントシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタを制御するドライバを搭載した情報処理装置であって、
前記プリンタに対して印刷処理の対象となる画像データの転送を指示する印刷実行コマンドをトリガとして、前記画像データを格納させる制御手段を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記画像データを外部に接続した記憶装置に対して転送する請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
プリンタを制御するドライバを搭載した情報処理装置の制御方法であって、
前記プリンタに対して印刷処理の対象となる画像データの転送を指示する印刷実行コマンドをトリガとして、外部に接続した記憶装置に対して前記画像データを転送する情報処理方法。
【請求項4】
プリンタを制御するドライバを搭載した情報処理装置を制御するプログラムであって、コンピュータを、前記プリンタに対して印刷処理の対象となる画像データの転送を指示する印刷実行コマンドをトリガとして、前記画像データを格納させる手段として機能させるプログラム。
【請求項5】
請求項1または2記載の情報処理装置と、前記情報処理装置から転送された画像データに基づいて印刷処理を行うプリンタと、前記情報処理装置から転送された画像データを記憶する記憶装置とを備えるシステム。
【請求項6】
前記記憶装置はネットワークを介して接続されている請求項5記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−35322(P2008−35322A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−207634(P2006−207634)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】