説明

情報処理装置及びその補正制御方法並びにプログラム

【課題】 高速な再印刷を可能とする情報処理装置を提供する。
【解決手段】 中間データのトラッピング済みである旨を識別するためのデータの有無に基づいて、保存された中間データがトラッピング済みであるか否かを判定する判定ステップと(S605)、トラッピング済みであると判定された場合、中間データの設定値を確認する設定確認ステップと(S608)、その結果に基づいて設定値の変更を要する場合、設定値を変更し、変更した設定値を中間データに再設定する再設定ステップと(S610)、中間データにおいて識別されるトラッピングオブジェクトと識別されるBase輪郭とを検出し、それらに基づいて、再設定ステップにおいて再設定された設定値に従って中間データにトラッピングを行ってトラッピングオブジェクトを再度生成するトラッピング再処理ステップと(S611)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル印刷システムにおける版ずれ補正技術を適用する情報処理装置及びその補正制御方法並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、POD(Print On Demand)と呼ばれるデジタル印刷システムの需要が広まっている。ネットワークでつながれたプリンタや複写機、スキャナ、FAX等の各種機器に加え、製本やRIP(Raster Image Processor)といったPOD独自のソフトウェアが相互に連携しプリンティングシステムを形成する。
【0003】
RIPとは、PostScriptのような中間データ(PDL; page-description language)で記述されたデータを印刷や表示が可能なビットマップデータに展開するハードウェアのことである。ソフトウェアでこれを実現するものをソフトウェアRIPという。PostScriptは画像を点とそれを結ぶ曲線の集合(ベクトルデータ)として扱うため、そのままでは印刷や表示ができない。これを解像度に応じて画素の集合(ビットマップデータ)に変換するのがRIPである。
【0004】
またそのようなシステムで運用されるデータもシステムが有効に動作するために各メーカーが独自の中間データ(PDL)を考案している。この中間データは、その後の印刷処理を、またはその後の保存を、またはその後の修正を高速に、そして高品位に行うため、出力までのいろいろな工程を済ませた形で作られている。例えば、出力先のプリンタを決めることにより、そのプリンタに合わせた色変換を済ませた色データを中間データとして持たせる等の工夫がされている。このような中間データを用いたプリンティングシステムにおいて、その出力品位を高めるソフトウェアとして、トラッピングのような版ずれ補正技術が存在する。
【0005】
トラッピングとは、隣接する色について、印刷時の版ずれを補正する技法である。より詳細には、トラッピングとは、印刷時にC、M、Y、K(Cyan、Magenta、Yellow、Black)各色の版がずれることによるいわゆる版ずれを補正する技術の1つで、印刷時に生じる版ずれに備え、色が重なり合う境界部分をわずかにだぶらせることをいい、トラッピングでは、隣り合った色が印刷した時にずれないように、境界にほんの少し両方の色を混ぜておく。トラッピングは、一般的には,異なる色同士の隣接部分で,薄い色を濃い色のほうに広げるようにして,刷り重ね部分を作成する。トラッピングは、当業者には周知であるため詳細な説明は要しないであろうが、色や絵柄により効果が変わるので、重ね方、幅などには十分注意が必要である。
【0006】
PODシステムにおいてトラッピングのような版ずれ補正を行うソフトウェアは、DTP(desktop publishing)アプリケーションに搭載された1機能であったり、RIPのオプションとして用意された高額なソフトウェアであったりする。この機能をPODシステムで運用する際に、上記で述べたように、トラッピング処理を済ませたデータを、中間データとして保存することも当然考えられる。ここで、このような中間データを再印刷する際に、そのデータがトラッピング処理を行ったデータであるか否かを判定できなくては、トラッピング処理を2度かけることによる種々の問題を引き起こす可能性がある。
【0007】
そのため、トラッピング処理が既に行われたデータであるか否かを判定する技術として、
(1)Adobe社のAcrobat(商標)に用意されているような、そのPDLデータの作成者が、トラッピング処理を行ったことを示すフラグをPDL中に立てる技術
がある。この技術はDTPアプリケーションでトラッピング処理を行ったままではトラッピングが行われたか判別が付かないため、Acrobat(商標)によってPDF(Portable Document Format)のようなPDLを作成する際に、作成者が意識してフラグを立てトラッピングの判別を可能にしている。
【0008】
また、別のケースとしては
(2)Adobe社のPDL言語であるPostScript(商標)のように、コマンドとしてトラッピングを用意し、RIPによるインタープリット(interpret)時に、トラッピング処理を行う技術
がある。この場合はコマンドとしてPDL内に記述されているため、まだトラッピング処理は完結していないものの、トラッピングを行う意思のあるデータであることは分かる。
【0009】
いくつかの文献に上述のような従来の技術に関連した技術内容が開示されている(特許文献1参照)。
【0010】
【特許文献1】特開2003−224736号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ここで、上述した技術(1)は、トラッピング処理が済んでいるため、再印刷時にはトラッピング処理を行う必要がなく、高速に印刷処理を行うことが出来ることに対し、上述した技術(2)は、まだコマンド状態なので、再印刷時にトラッピング処理を行わなくてはならず、印刷時に時間がかかることになる。
【0012】
また、版ずれ補正の精度を高めるために、プリンティングシステムのネットワーク上につながれた出力機器(プリンタ等)それぞれが独自に持つ版ずれの特性に合った補正値を用意し、補正をすることが考えられる。この場合、ある出力機器の特性に合わせてトラッピング処理(補正処理)が済まされた中間データを保存しておき、その中間データを違う出力機器に対して再印刷することも十分に考えられる。このような場合、上述した技術(1)のトラッピングでは、トラッピング処理がされていることだけしか分からないため、改めて元データから処理しなおすか、または出力機器に適した補正がされていないまま、再印刷するしかない。上述した技術(2)のトラッピングの場合には、コマンド状態のため、出力機器に適した補正値に修正することは可能であるが、再印刷時にはトラッピング処理を最初から行わなくてはいけないため出力に時間を要してしまう。
【0013】
本発明は、このような状況課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、高速な再印刷を可能とする情報処理装置及びその補正制御方法並びにプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような目的を達成するために、本発明の情報処理装置は、出力機器で印刷をするためのデータに展開する前の中間データに対して、印刷時の版ずれを補正するためのトラッピングを行う情報処理装置であって、前記トラッピング用の設定値を前記中間データに付加する設定付加手段と(S509)、前記設定付加手段によって付加された前記設定値に従い、前記中間データに前記トラッピングを行ってオブジェクトを生成する第1のトラッピング手段と(S506)、前記第1のトラッピング手段によって生成された前記オブジェクトを識別するための第1のデータを前記中間データに付加するオブジェクト識別手段と(S507)、前記第1のトラッピング手段によって前記オブジェクトを生成する基となった、元のオブジェクトの境界線を識別するための第2のデータを前記中間データに付加する境界線識別手段と(S508)、前記オブジェクト識別手段によって前記第1のデータを付加され、前記境界線識別手段によって前記第2のデータを付加された前記中間データを、前記第1のトラッピング手段によって前記トラッピング済みである旨を識別するための第3のデータを付加して保存する記憶手段と(S509)、前記中間データの前記第3のデータの有無に基づいて、前記前記記憶手段によって保存された前記中間データが前記トラッピング済みであるか否かを判定する判定手段と(S605)、前記判定手段によって前記トラッピング済みであると判定された場合、前記中間データの前記設定値を確認する設定確認手段と(S608)、前記設定確認手段の結果に基づいて前記設定値の変更を要する場合、前記設定値を変更し、当該変更した設定値を前記中間データに再設定する再設定手段と(S610)、前記中間データにおいて、前記第1のデータによって識別される前記オブジェクトと、前記第2のデータによって識別される前記境界線とを検出し、当該検出された前記オブジェクトと前記境界線とに基づいて、前記再設定手段によって再設定された設定値に従って前記中間データに前記トラッピングを行って前記オブジェクトを再度生成する第2のトラッピング手段と(S611、図8)を備えたことを特徴とする。
【0015】
また上記目的を達成するために、本発明の情報処理装置の補正制御方法は、出力機器で印刷をするためのデータに展開する前の中間データに対して、印刷時の版ずれを補正するためのトラッピングを行う情報処理装置の補正制御方法であって、前記トラッピング用の設定値を前記中間データに付加する設定付加ステップと、前記設定付加ステップにおいて付加された前記設定値に従い、前記中間データに前記トラッピングを行ってオブジェクトを生成する第1のトラッピングステップと、前記第1のトラッピングステップにおいて生成された前記オブジェクトを識別するための第1のデータを前記中間データに付加するオブジェクト識別ステップと、前記第1のトラッピングステップにおいて前記オブジェクトを生成する基となった、元のオブジェクトの境界線を識別するための第2のデータを前記中間データに付加する境界線識別ステップと、前記オブジェクト識別ステップにおいて前記第1のデータを付加され、前記境界線識別ステップにおいて前記第2のデータを付加された前記中間データを、前記第1のトラッピングステップにおいて前記トラッピング済みである旨を識別するための第3のデータを付加して記憶手段に保存する記憶ステップと、前記中間データの前記第3のデータの有無に基づいて、前記前記記憶ステップにおいて前記記憶手段に保存された前記中間データが前記トラッピング済みであるか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップにおいて前記トラッピング済みであると判定された場合、前記中間データの前記設定値を確認する設定確認ステップと、前記設定確認ステップの結果に基づいて前記設定値の変更を要する場合、前記設定値を変更し、当該変更した設定値を前記中間データに再設定する再設定ステップと、前記中間データにおいて、前記第1のデータによって識別される前記オブジェクトと、前記第2のデータによって識別される前記境界線とを検出し、当該検出された前記オブジェクトと前記境界線とに基づいて、前記再設定ステップにおいて再設定された設定値に従って前記中間データに前記トラッピングを行って前記オブジェクトを再度生成する第2のトラッピングステップとを備えたことを特徴とする。
【0016】
また上記目的を達成するために、本発明のプログラムは、上述の情報処理装置の補正制御方法の各ステップをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0017】
また上記目的を達成するために、本発明の補正制御方法は、印刷するデータを選択し、プリンタを選択し、前記データに付加された属性からトラッピングが済んでいるか判断し、前記トラッピングが済んでいる場合であって、前記選択されたプリンタ用のトラッピングが前記データに行なわれていない場合、前記選択されたプリンタ用のトラッピングを再処理することを特徴とする。
【0018】
なお、特許請求の範囲の構成要素と対応する実施形態(参考に実施形態1)中の図中符号を()で示した。ただし、特許請求の範囲に記載した構成要素は上記()部の実施形態の構成要素に限定されるものではない。
【0019】
以上の構成により、トラッピング処理を終了したデータを中間データとしてプリンティングシステムで運用する際に、再印刷時にトラッピング処理をせずに高速に印刷ができ、再印刷時にトラッピングの設定値の判定が行え、必要があれば、設定値を変更し、トラッピング処理の内、最小限の必要な処理だけを中間データに対して再度行う。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように本発明によれば、版ずれ補正において、必要に応じて適切なトラッピング処理を行い高速な再印刷を可能とする効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明を適用できる実施形態を詳細に説明する。なお、各図面において同様の機能を有する箇所には同一の符号を付し、説明の重複は省略する。
【0022】
[実施形態1]
(装置構成)
図1は、本実施形態1に係る情報処理装置の基本的な構成を示すブロック図である。図1において図中符号1はCPU(central processing unit)であり、情報処理装置全体の制御及び演算処理を行う。符号2はRAM(ランダムアクセスメモリ)であり、処理毎にCPUによって、それぞれのプログラム及びデータがロードされ、処理が実行される領域である。符号3はROM(読み出し専用メモリ)であり、システム制御プログラムや、フォントデータなどの記憶領域である。符号4はKBC(キーボード制御部)であり、KB(キーボード)5からのキー入力によりデータを受け取りCPU1へ伝達する。符号6はPRTC(プリンタ制御部)であり、プリンタ装置(PRT)7を制御するためのものである。プリンタ装置7は、レーザービームプリンタ、インクジェットプリンタなどである。符号8はCRTC(ディスプレイ制御部)であり、ディスプレイ装置(CRT)9への表示制御を行う。
【0023】
尚、本実施形態1の情報処理装置が使用可能なプリンタは、PRTC6に接続されたプリンタ装置7に限られるものではない。図1において不図示ではあるが、情報処理装置は、ネットワークアダプタを介して接続可能なネットワーク上に配置されたプリンタ群の中から、出力するプリンタを選択可能なことは、当業者には自明であろう。以下では、プリンタ装置7も包含した広義な意味において、ネットワーク上に配置されたプリンタに出力する場合を想定して説明する。
【0024】
符号10はDKC(ディスク制御部)であり、データ伝送などの制御を行う。符号11は外部記憶装置であり、FD(フロピーディスク装置)(登録商標)11a、HD(ハードディスク装置)11b、CD(compact disc)ROM11c、DVD(Digital Versatile Disc)ROM11dなどの1つまたは複数で構成され、CPUがプログラム及びデータを記憶し、実行時必要に応じてそれらを参照またはRAM2へロードする。符号12はシステムバスであり、上述の構成要素間におけるデータ転送の通路となる。
【0025】
本実施形態1の情報処理装置は、基本I/O(入出力)プログラム、OS(オペレーティングシステム)、及び以下に説明する版ずれ補正制御プログラムをCPU1が実行することにより動作する。
【0026】
基本I/OプログラムはROM3に記憶されており、OSはHD11に格納されている。そして情報処理装置の電源がONにされたとき、基本I/Oプログラム中のIPL(イニシャルプログラムローディング)機能によりCPU1によってHD11からOSがRAM2に読み込まれ、OSの動作が開始される。
【0027】
図2は、外部記憶装置11の記録内容を示す図である。本実施形態1では、版ずれ補正制御プログラムおよび関連データは、図2に示すようにFD(登録商標)11a、またはCDROM11c、またはDVDROM11d中に記録されている。
【0028】
図3に示すように、このFD(登録商標)11a、またはCDROM11c、またはDVDROM11dに記録された版ずれ補正制御プログラムおよび関連データは、FD(登録商標)ドライブまたはCD-ROMドライブまたはDVD-ROMドライブを通じて、情報処理装置のHD11bにインストールする事ができる。この場合、FD(登録商標)11a、またはCDROM11c、またはDVDROM11dをFDドライブまたはCD-ROMドライブまたはDVD-ROMドライブにセットすると、CPU1によって、OS及び基本I/Oプログラムの制御のもとに版ずれ補正制御プログラム及び関連データがFD(登録商標)11a、またはCDROM11c、またはDVDROM11dから読み出され、HD11bにインストールされて動作可能となる。
【0029】
図4は、版ずれ補正制御プログラムがHD11bにインストールされ実行可能になった状態のメモリマップを示す。
【0030】
(動作説明)
以下、本実施形態1において、CPU1が、版ずれ補正制御プログラムおよび関連データを参照しまたはRAM2へロードし実行する場合の処理について説明する。本実施形態1は、プリンタを決定しそのプリンタに合わせた色処理等を行ったデータを中間データとして保存し修正、再印刷を行うプリンティングシステムにおける、版ずれ補正処理に関するものである。
【0031】
図5は、本実施形態1におけるCPU1がトラッピング処理を行ったデータを中間データとして保存する流れを示すフローチャートである。
【0032】
まず、CPU1は、オペレータの指示に基づき、ステップS501でネットワーク上に接続されている出力可能なプリンタ群の中から、出力するプリンタを決定する。次にステップS502へ進み、CPU1は、出力先に決定したプリンタのプリンタ機種名を中間データに保存する。次にステップS503へ進み、CPU1は、出力先に決定したプリンタのネットワークアドレスを中間データに保存する。次にステップS504へ進み、CPU1は、決定したプリンタの特性に合わせ、トラッピング処理に使う各種設定値をRAM2上に設定する。ここで、トラッピング用の設定値とは、トラッピングの幅や、刷り重ね部分の色の減色率、トラッピング処理によって生成したオブジェクト(トラッピングオブジェクト)の端部の形、トラッピング処理に参照される各種閾値など、トラッピングによる補正の結果を所望の結果にするためのパラメータである。次にステプS505へ進み、CPU1は、ステップS504で設定したトラッピング設定値を中間データに保存する。
【0033】
次にステップS506へ進み、CPU1は、ステップS504で設定した設定値に従い、決定したプリンタに合わせた色処理等を行ったデータに、トラッピング処理を行う。次にステップS507へ進み、CPU1は、上記データにトラッピング処理によって生成したオブジェクト(トラッピングオブジェクト〜図11(a)参照)を他のオブジェクトと識別するために、その識別フラグを、トラッピングオブジェクトに附随させる。トラッピングオブジェクトの識別フラグは、中間データ内の複数あるオブジェクトの内、トラッピング処理により、重なりを持つ2つのオブジェクトの境界部分に生成されるトラッピングオブジェクトに対し、元々あるオブジェクトと識別するために付けられるデータである。
【0034】
次にステップS508へ進み、CPU1は、トラッピングオブジェクトを生成させる基となったBase輪郭(図11(b)参照)の識別フラグを上記データのBase輪郭の構成点に属性として付加する。Base輪郭とは、2つのオブジェクトが重なったことにより出来る境界部分を示す境界線であり、重なった2つのオブジェクトの内、上位のオブジェクトの輪郭の全部または一部分である。Base輪郭の識別フラグは、オブジェクト同士の重なりを判定し検出された交点及びBase輪郭構成点の中から、Base輪郭の両端点である対の交点を識別するためのデータである。
【0035】
次にステップS509へ進み、CPU1は、上記データを、トラッピング済みデータであることを示す属性を付加し、中間データとしてHD11bに保存する。
【0036】
図6は、本実施形態1における保存されたトラッピング処理済みまたはトラッピング未処理の中間データの再印刷の流れを示したフローチャートである。
【0037】
ステップS601で、CPU1は、オペレータの指示に基づき、再印刷する中間データを保存された中間データ群から選択、決定する。次にステップS602へ進み、CPU1は、オペレータの指示に基づき、ネットワーク上に接続された出力可能なプリンタ群の中から出力するプリンタを決定する。次にステップS603へ進み、CPU1は、決定したプリンタへ印刷命令を出力する。次にステップS604へ進み、CPU1は、ステップS601で選択された中間データを解析する。
【0038】
次にステップS605へ進み、CPU1は、解析の結果、中間データがトラッピング処理されたものか否かを判定する。この判定は、図5のステップS509を参照し説明した、中間データに付加されたトラッピング済み属性の有無によって行われる。この判定の結果、トラッピング処理が行われていなかった場合は、CPU1はステップS606の処理へ進み、トラッピング処理が行われていた場合は、CPU1はステップS608の処理へ進む。
【0039】
トラッピング処理が行われていなかった場合、CPU1は、ステップS606進み、S602で指示されたプリンタに応じたトラッピングの設定を行い、ステップS607でトラッピング処理を行う。これら処理は、図5を参照し説明したトラッピング処理の流れと同様である。
【0040】
ステップS605でトラッピング処理が行われていると判定された場合は、CPU1は、ステップS608へ進みトラッピング処理がどのように行われているかを確認する。これは図5を参照し説明した、中間データに保存されたトラッピング設定値の確認により行われる。次にステップS609に進み、CPU1は、決定したプリンタの特性に合わせ、確認したトラッピング設定を変更するか否かの判定を行う。即ちS501で設定されたプリンタとS602で指示されたプリンタが違うか判定する。CPU1は、トラッピングの設定を変更する場合(プリンタが違う場合)はステップS610へ進み、設定を変更しない場合はステップS612へ進む。
【0041】
ステップS610では、CPU1は、トラッピングの設定を変更し、変更した設定値を中間データに再設定する。次にステップS611へ進み、CPU1は、ステップS610で変更された設定に従って、トラッピングを再処理し、中間データに保存する。また、CPU1は、以前の処理で生成されたトラッピングオブジェクトは削除する。この時、元の設定の中間データを残したい時は、削除せずに別ファイルとして中間データを保存しても構わない。次にステップS612へ進み、CPU1は、決定したプリンタへ、トラッピング済み中間データを出力し印刷する。
【0042】
次に図6のステップS611におけるトラッピングの再処理について、図8のフローチャートを用いてさらに詳細に説明する。
【0043】
ステップS801でCPU1は、中間データの解析を行う。次にステップS802でCPU1は、中間データ内のオブジェクト群から、トラッピング処理によって生成されたオブジェクトを検出する。この検出は、図5を参照して説明したトラッピングオブジェクト識別フラグによって行われる。次にステップS803へ進み、CPU1は、検出されたトラッピングオブジェクトの輪郭上のBase輪郭を検出する。この検出は、図5を参照し説明した輪郭構成点に付加されたBase輪郭識別フラグによって行われる。
【0044】
次にステップS804へ進み、CPU1は、検出されたトラッピングオブジェクト及びそのBase輪郭の情報に基づいて、以前に求めたBase輪郭を元に新たに設定された項目に従ってそのトラッピングオブジェクトを再構築し生成するように、変更後の設定に従ってトラッピング処理を行う。次にステップS805へ進み、CPU1は、ステップS804で生成した新しいトラッピングオブジェクトを中間データに保存する。また、CPU1は、以前の処理で生成されたトラッピングオブジェクトは削除する。この時、元の設定の中間データを残したい時は、削除せずに別ファイルとして中間データを保存しても構わない。
【0045】
[実施形態2]
(装置構成)
本実施形態2における装置構成は、実施形態1において図1〜4を参照し説明した構成と同様である。
【0046】
(動作説明)
以下、本実施形態2において、CPU1が、版ずれ補正制御プログラムおよび関連データを参照しまたはRAM2へロードし実行する場合の処理について説明する。実施形態1において図5を参照し説明した動作説明は、本実施形態2においても同様である。
【0047】
図7は、本実施形態2における保存されたトラッピング処理済みまたはトラッピング未処理の中間データの再印刷の流れを示したフローチャートである。
【0048】
ステップS701で、CPU1は、オペレータの指示に基づき、再印刷する中間データを保存された中間データ群から選択、決定する。次にステップS702へ進み、CPU1は、オペレータの指示に基づき、ネットワーク上に接続された出力可能なプリンタ群の中から出力するプリンタを決定する。次にステップS703へ進み、CPU1は、印刷命令を決定したプリンタへ出力する。次にステップS704へ進み、CPU1は、ステップS701で選択された中間データを解析する。
【0049】
次にステップ705へ進み、CPU1は、解析の結果、中間データがトラッピング処理されたものか否かを判定する。この判定は、図5のステップS509を参照し説明した、中間データに付加されたトラッピング済み属性の有無によって行われる。この判定の結果、トラッピング処理が行われていなかった場合は、CPU1はステップS706の処理へ進み、トラッピング処理が行われていた場合は、CPU1はステップS707の処理へ進む。
【0050】
ステップS706では、CPU1は、出力先プリンタ名及びアドレスに対して定められた設定値を用いトラッピング処理を行い、ステップS712へ進む。この定められた設定値とは、各プリンタが持つ固有の版ずれ特性に合わせた設定値のことをいう。このトラッピング用の設定値は、トラッピングの幅や、刷り重ね部分の色の減色率、トラッピング処理によって生成したオブジェクト(トラッピングオブジェクト)の端部の形、トラッピング処理に参照される各種閾値など、トラッピングによる補正の結果を所望の結果にするためのパラメータである。これはプリンタの各機種毎に種々の特性があり、それらを個別に設定するために、機種名及びアドレスに対して定められた設定値が予め情報処理装置のHD11に格納されている。
【0051】
ステップS707では、CPU1は、出力先プリンタ名と中間データに保存されている出力先プリンタ名が一致するか否かを判定する。一致している場合は、CPU1はステップS708の処理へ進む。一致しない場合は、ステップS706へ進み、CPU1は、出力先プリンタ名と同一出力プリンタ名で保管されている設定値を用いてトラッピング処理を行う。
【0052】
ステップS708では、CPU1は、出力先アドレスと中間データに保存されている出力先アドレスが一致しているか否かを判定する。一致している場合は、CPU1はステップS709の処理へ進む。一致しない場合は、ステップS706へ進み、CPU1は、出力先プリンタ名と同一出力プリンタ名で保管されている、または出力先プリンタ名と同一出力プリンタ名でかつ出力先プリンタと同一アドレスで保管されている設定値を用いてトラッピング処理を行う。
【0053】
ステップS709では、CPU1は、決定したプリンタの特性に合わせ、中間データに保存されている設定値を変更するか否かを判定する。変更する場合は、CPU1はステップS710へ進み、変更しない場合は、CPU1はステプS712へ進む。ステップS710でCPU1は、中間データに保存されているトラッピングの設定を変更し、変更した設定値を中間データに再設定する。次にステップS711へ進みCPU1は、変更したトラッピング設定値に従いトラッピング処理を行う。次にステップS712へ進み、CPU1は、決定したプリンタへ、トラッピング済み中間データを出力し印刷する。
【0054】
図7のステップS711におけるトラッピングの再処理の詳細については、前述の図8のフローチャートを用いた詳細な説明と同様である。
【0055】
[実施形態3]
(装置構成)
本実施形態3における装置構成は、実施形態1において図1〜4を参照し説明した構成と同様である。
【0056】
(動作説明)
以下、本実施形態3において、CPU1が、版ずれ補正制御プログラムおよび関連データを参照しまたはRAM2へロードし実行する場合の処理について説明する。本実施形態3は、プリンタを決定しそのプリンタに合わせた色処理等を行ったデータを中間データとして保存し修正、再印刷を行うプリンティングシステムにおける、版ずれ補正処理に関するものである。
【0057】
図9は、本実施形態3におけるCPU1がトラッピング処理に使う各種設定項目を設定したデータを中間データとして保存する流れを示すフローチャートである。
【0058】
まず、CPU1は、オペレータの指示に基づき、ステップS901でネットワーク上に接続されている出力可能なプリンタ群の中から、出力するプリンタを決定する。次にステップS902へ進み、CPU1は、出力先に決定したプリンタのプリンタ機種名を中間データに保存する。次にステップS903へ進み、CPU1は、出力先に決定したプリンタのネットワークアドレスを中間データに保存する。次にステップS904へ進み、CPU1は、決定したプリンタの特性に合わせ、トラッピング処理に使う各種設定値をRAM2上に設定する。次にステップS905へ進み、CPU1は、ステップS904で設定したトラッピング設定値を中間データに保存する。
【0059】
次にステップS906へ進み、CPU1は、決定したプリンタに合わせた色処理等を行ったデータにおける、トラッピングオブジェクトを生成させる基となるBase輪郭(図11(b)参照)を検出し、その識別フラグを上記データのBase輪郭の構成点に属性として付加する。次にステップS907へ進み、CPU1は、Base輪郭検出まで済んだ上記データを、中間データとしてHD11bに保存する。
【0060】
尚、本実施形態3は、上述の図9の処理に換えて実施形態1で説明した図5の処理を適用してもよい。
【0061】
図10は、本実施形態3における保存されたトラッピング処理済みまたはトラッピング未処理の中間データの再印刷の流れを示したフローチャートである。
【0062】
ステップS1001で、CPU1は、オペレータの指示に基づき、再印刷する中間データを保存された中間データ群から選択、決定する。次にステップS1002へ進み、CPU1は、オペレータの指示に基づき、ネットワーク上に接続された出力可能なプリンタ群の中から出力するプリンタを決定する。次にステップS1003へ進み、CPU1は、印刷命令を決定したプリンタへ出力する。次にステップS1004へ進み、CPU1は、ステップS1001で選択された中間データを解析する。
【0063】
次にステップ1005へ進み、CPU1は、解析の結果、中間データがトラッピング処理されたものか否かを判定する。この判定は、実施形態1において図5のステップS509を参照し説明した、中間データに付加されたトラッピング済み属性の有無によって行われる。図9の処理の後に図10の処理を行う場合、図5のステップS509を参照し説明したようなトラッピング済み属性は中間データに付加されていないので、ステップ1005の判定の結果は、トラッピング処理が行われていないものとなる。ステップ1005の判定の結果、トラッピング処理が行われていなかった場合は、CPU1はステップS1006の処理へ進み、トラッピング処理が行われていた場合は、CPU1はステップS1007の処理へ進む。
【0064】
ステップS1006では、CPU1は、出力先プリンタ名及びアドレスに対して定められた設定値を中間データに保存し、ステップS1011へ進む。この定められた設定値とは、各プリンタが持つ固有の版ずれ特性に合わせた設定値のことをいう。これはプリンタの各機種毎に種々の特性があり、それらを個別に設定するために、機種名及びアドレスに対して定められた設定値が予め情報処理装置のHD11に格納されている。
【0065】
ステップS1007では、CPU1は、出力先プリンタ名と中間データに保存されている出力先プリンタ名が一致するか否かを判定する。一致している場合は、CPU1はステップS1008の処理へ進む。一致しない場合は、ステップS1006へ進み、CPU1は、出力先プリンタ名と同一出力プリンタ名で保管されている設定値を中間データに保存しなおす。
【0066】
ステップS1008では、CPU1は、出力先アドレスと中間データに保存されている出力先アドレスが一致しているか否かを判定する。一致している場合は、CPU1はステップS1009の処理へ進む。一致しない場合は、ステプS1006へ進み、CPU1は、出力先プリンタ名と同一出力プリンタ名で保管されている、または出力先プリンタ名と同一出力プリンタ名でかつ出力先プリンタと同一アドレスで保管されている設定値を中間データに保存する。
【0067】
ステップS1009では、CPU1は、決定したプリンタの特性に合わせ、中間データに保存されている設定値を変更するか否かを判定する。変更する場合は、CPU1はステップS1010へ進み、変更しない場合は、CPU1はステプS1011へ進む。ステップS1010でCPU1は、中間データに保存されているトラッピングの設定を変更し、変更した設定値を中間データに再設定する。次にステップS1011へ進みCPU1は、中間データを決定したプリンタへ送信する。次にステップS1012において、そのプリンタ内で中間データに保存された設定値を基に、トラッピング処理を行う。次にステップS1013において、そのプリンタによってトラッピング処理が済んだデータが印刷される。
【0068】
[実施形態4]
(装置構成)
本実施形態4における装置構成は、実施形態1において図1〜4を参照し説明した構成と同様である。
【0069】
(動作説明)
以下、本実施形態4において、CPU1が、版ずれ補正制御プログラムおよび関連データを参照しまたはRAM2へロードし実行する場合の処理について説明する。実施形態1において図5を参照し説明した動作説明は、本実施形態4においても同様である。
【0070】
図12は本実施例4における保存されたトラッピング処理済みまたはトラッピング未処理の中間データの再印刷の流れを示したフローチャートである。
【0071】
ステップS1201で、CPU1は、オペレータの指示に基づき、再印刷する中間データを保存された中間データ群から選択、決定する。次にステップS1202へ進み、CPU1は、オペレータの指示に基づき、ネットワーク上に接続された出力可能なプリンタ群の中から出力するプリンタを決定する。次にステップS1203へ進み、CPU1は、印刷命令を決定したプリンタへ出力する。次にステップS1204へ進み、CPU1は、ステップS1201で選択された中間データを解析する。
【0072】
次にステップ1205へ進み、CPU1は、解析の結果、中間データがトラッピング処理されたものか否かを判定する。この判定は、図5のステップS509を参照し説明した、中間データに付加されたトラッピング済み属性の有無によって行われる。この判定の結果、トラッピング処理が行われていなかった場合は、CPU1はステップS1206の処理へ進み、トラッピング処理が行われていた場合は、CPU1はステップS1207の処理へ進む。
【0073】
ステップS1206では、CPU1は、出力先プリンタ名及びアドレスに対して定められた設定値を用いトラッピング処理を行い、ステップS1214へ進む。この定められた設定値とは、各プリンタが持つ固有の版ずれ特性に合わせた設定値のことをいう。これはプリンタの各機種毎に種々の特性があり、それらを個別に設定するために、機種名及びアドレスに対して定められた設定値が予め情報処理装置のHD11に格納されている。
【0074】
ステップS1207では、CPU1は、出力先プリンタ名と中間データに保存されている出力先プリンタ名が一致するか否かを判定する。一致している場合は、CPU1はステップS1208の処理へ進む。一致しない場合は、ステップS1206へ進み、CPU1は、出力先プリンタ名と同一出力プリンタ名で保管されている設定値を用いてトラッピング処理を行う。
【0075】
ステップS1208では、CPU1は、出力先アドレスと中間データに保存されている出力先アドレスが一致しているか否かを判定する。一致している場合は、CPU1はステップS1209の処理へ進む。一致しない場合は、ステプS1206へ進み、CPU1は、出力先プリンタ名と同一出力プリンタ名で保管されている、または出力先プリンタ名と同一出力プリンタ名でかつ出力先プリンタと同一アドレスで保管されている設定値を用いてトラッピング処理を行う。
【0076】
ステップS1209では、CPU1は、決定したプリンタの特性に合わせ、中間データに保存されている設定値を変更するか否かを判定する。変更する場合は、CPU1はステップS1210へ進み、変更しない場合は、CPU1はステプS1214へ進む。ステップS1210でCPU1は、中間データに保存されているトラッピングの設定を変更し、変更した設定値を中間データに再設定する。
【0077】
次にステップS1211へ進みCPU1は、再設定された設定項目がトラッピング方法に及んでいるか否かを判定する。ここでトラッピング方法とは、トラッピングするオブジェクトの重なりを判定し、重なりによって発生する境界部分だけにトラッピング処理を行うのか(図13(a)参照)、トラッピング対象となるオブジェクト全てを全輪郭でトラッピング処理を行うか(図13(b)参照)等の、トラッピング方法自体の違いを示す。この判定の結果、トラッピング方法自体を変更が必要な設定項目の変更になっている場合、CPU1は、ステップS1212に進み、トラッピング方法自体には変更が及ばない設定の変更の場合、CPU1は、ステップS1213へ進む。
【0078】
ステップS1212では、CPU1は、トラッピング方法自体の変更を伴う再処理を行う。つまり、以前の設定が、重なりによる境界部分のみへのトラッピング処理であり、再設定が全輪郭のトラッピングの場合は、CPU1は、トラッピングを行うオブジェクト間において、設定項目に従い、以前求めたBase輪郭に関係なく全輪郭のトラッピングオブジェクトを生成し、以前に生成したトラッピングオブジェクトは中間データより削除する。逆に以前の設定が全輪郭のトラッピング処理であり、再設定が重なりによる境界部分のみへのトラッピングの場合は、CPU1は、設定項目に従い、新たにオブジェクト同士の重なりを判定し、交点検出を行いBase輪郭を検出した後、Base輪郭に従ってトラッピングオブジェクトを生成し、以前に生成したトラッピングオブジェクトは中間データより削除する。
【0079】
ステップS1213では、トラッピング方法に及ぶ設定項目の変更がなかったため、CPU1は、以前に求めたBase輪郭を元に新たに設定された項目に従って、もとのトラッピングオブジェクトを再構築し生成する。
【0080】
次いでステップS1214へ進み、CPU1は、決定したプリンタへ、トラッピング済み中間データを出力し印刷する。
【0081】
[他の実施形態]
以上述べた実施形態の他に次の形態を実施できる。
1)前述した実施形態の機能を実現するように各種のデバイスを動作させるように、それら各種デバイスと接続された装置あるいはシステム内のコンピュータに、上記記実施形態機能を実現するためのソフトウェアのプログラムコードを供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(CPUあるいはMPU(micro processing unit))を格納されたプログラムに従って、上記各種デバイスを動作させることによって実施したものも本発明の範疇に含まれる。
2)またこの場合、上記ソフトウェアのプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、及びそのプログラムコードをコンピュータに供給するための手段、例えば係るプログラムコードを格納した記憶媒体は本発明を構成する。
3)係るプログラムコードを格納する記憶媒体としては、例えばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD(compact disc [disk])−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
4)またコンピュータが供給されたプログラムコードを実行することにより、前述の実施形態の機能が実現されるだけではなく、そのプログラムコードがコンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)、あるいは他のアプリケーションソフト等と共同して前述の実施形態の機能が実現される場合にも、係るプログラムコードは本発明の実施形態に含まれることは言うまでもない。
5)さらに供給されたプログラムコードが、コンピュータの機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに格納された後、そのプログラムコードの指示に基づいてその機能拡張ボードや機能格納ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も本発明に含まれることは言うまでもない。
6)また、本発明は、上記実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードがネットワークを介して配信されることにより、システム又は装置のハードディスクやメモリ等の記憶手段又はCD−RW(CD-ReWritable)、CD−R(CD recordable)等の記憶媒体に格納され、そのシステム又は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)がそれら記憶手段や記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行することによっても、達成されることは云うまでもない。
7)上述の実施形態では、ネットワーク上に配置されたプリンタ群の中から選択したプリンタを、情報処理装置が使用可能な出力機器としている。しかし出力機器はプリンタに限られるものではなく、プリンタ機能を有していれば複合機等その他の機器を適用可能である。さらに、情報処理装置と出力機器とが一体化した機器にも、本発明は適用可能である。
8)上述の実施形態は本発明の例示のために説明したが、上述の実施形態の他にも変形が可能である。その変形が特許請求の範囲で述べられている本発明の技術思想に基づく限り、その変形は本発明の技術的範囲内となる。
【0082】
[実施形態の効果]
以上説明したように本発明を適用できる実施形態によれば、出力機器を特定した処理を終了させた中間データを使用して、トラッピング処理がなされているか否かの判定及びトラッピング処理がされていた場合の設定項目を確認でき、その設定項目に基づいて更に設定の修正を行うことにより、元データからトラッピング処理を行うことなく、中間データから高速に所望のトラッピング処理がなされたデータを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明を適用できる実施形態の情報処理装置の構成図である。
【図2】本発明を適用できる実施形態の外部記憶装置の記録内容を示す図である。
【図3】本発明を適用できる実施形態の記録媒体と情報処理装置の関係図である。
【図4】本発明を適用できる実施形態の版ずれ補正制御プログラムがHDにインストールされ実行可能になった状態のメモリマップを示す図である。
【図5】本発明を適用できる実施形態1のトラッピング処理を行ったデータを中間データとして保存する流れを示すフローチャートである。
【図6】本発明を適用できる実施形態1の保存されたトラッピング処理済みまたはトラッピング未処理の中間データの再印刷の流れを示したフローチャートである。
【図7】本発明を適用できる実施形態2の保存されたトラッピング処理済みまたはトラッピング未処理の中間データの再印刷の流れを示したフローチャートである。
【図8】本発明を適用できる実施形態1のトラッピングの再処理の流れを示したフローチャートである。
【図9】本発明を適用できる実施形態3のトラッピング処理に使う各種設定項目を設定したデータを中間データとして保存する流れを示すフローチャートである。
【図10】本発明を適用できる実施形態3の保存されたトラッピング処理済みまたはトラッピング未処理の中間データの再印刷の流れを示したフローチャートである。
【図11】本発明を適用できる実施形態のトラッピングオブジェクトとBase輪郭を示す図である。
【図12】本発明を適用できる実施形態4の保存されたトラッピング処理済みまたはトラッピング未処理の中間データの再印刷の流れを示したフローチャートである。
【図13】本発明を適用できる実施形態4のオブジェクトの重なりによる境界部分のみへのトラッピングと全輪郭へのトラッピングを示す図である。
【符号の説明】
【0084】
1 CPU
2 RAM
3 ROM
4 KBC
5 KB
6 PRTC
7 PRT
8 CRTC
9 CRT
10 DKC
11 外部記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力機器で印刷をするためのデータに展開する前の中間データに対して、印刷時の版ずれを補正するためのトラッピングを行う情報処理装置であって、
前記トラッピング用の設定値を前記中間データに付加する設定付加手段と、
前記設定付加手段によって付加された前記設定値に従い、前記中間データに前記トラッピングを行ってオブジェクトを生成する第1のトラッピング手段と、
前記第1のトラッピング手段によって生成された前記オブジェクトを識別するための第1のデータを前記中間データに付加するオブジェクト識別手段と、
前記第1のトラッピング手段によって前記オブジェクトを生成する基となった、元のオブジェクトの境界線を識別するための第2のデータを前記中間データに付加する境界線識別手段と、
前記オブジェクト識別手段によって前記第1のデータを付加され、前記境界線識別手段によって前記第2のデータを付加された前記中間データを、前記第1のトラッピング手段によって前記トラッピング済みである旨を識別するための第3のデータを付加して保存する記憶手段と、
前記中間データの前記第3のデータの有無に基づいて、前記前記記憶手段によって保存された前記中間データが前記トラッピング済みであるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記トラッピング済みであると判定された場合、前記中間データの前記設定値を確認する設定確認手段と、
前記設定確認手段の結果に基づいて前記設定値の変更を要する場合、前記設定値を変更し、当該変更した設定値を前記中間データに再設定する再設定手段と、
前記中間データにおいて、前記第1のデータによって識別される前記オブジェクトと、前記第2のデータによって識別される前記境界線とを検出し、当該検出された前記オブジェクトと前記境界線とに基づいて、前記再設定手段によって再設定された設定値に従って前記中間データに前記トラッピングを行って前記オブジェクトを再度生成する第2のトラッピング手段と
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記設定値は、少なくとも前記トラッピングの幅、色の減色率、前記トラッピングによって生成するオブジェクトの端部の形、前記トラッピングの際に参照される所定の閾値のいずれかを含む、前記トラッピングによる補正の結果を所望の結果にするためのパラメータである
こと特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1のデータは、前記中間データにおいて、前記トラッピングにより重なりを持つ2つのオブジェクトの境界部分に生成される前記オブジェクトを、前記2つのオブジェクトと識別するためのデータである
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記境界線は、2つのオブジェクトが重なったことにより出来る境界部分を示す境界線であり、前記2つのオブジェクトの内、上位のオブジェクトの輪郭の全部または一部分である
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第2のデータは、2つのオブジェクトの重なりを判定し検出された交点及び前記境界線の構成点の中から、前記境界線の両端点である対の交点を識別するためのデータである
ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記トラッピングは、前記境界線が前記輪郭の一部分の場合に行う第1のトラッピング、及び前記境界線が前記輪郭の全部の場合に行う第2のトラッピングのいずれかであり、
前記第2のトラッピング手段は、前記再設定手段によって再設定された設定値に従って前記トラッピングが前記第1のトラッピングと前記第2のトラッピングとの間の変更となっているか否かを判定し、当該変更となっていない場合に、前記中間データにおいて検出された前記オブジェクトと前記境界線とに基づいて、前記再設定手段によって再設定された設定値に従って前記中間データに前記トラッピングを行って前記オブジェクトを再度生成する
ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
出力機器で印刷をするためのデータに展開する前の中間データに対して、印刷時の版ずれを補正するためのトラッピングを行う情報処理装置の補正制御方法であって、
前記トラッピング用の設定値を前記中間データに付加する設定付加ステップと、
前記設定付加ステップにおいて付加された前記設定値に従い、前記中間データに前記トラッピングを行ってオブジェクトを生成する第1のトラッピングステップと、
前記第1のトラッピングステップにおいて生成された前記オブジェクトを識別するための第1のデータを前記中間データに付加するオブジェクト識別ステップと、
前記第1のトラッピングステップにおいて前記オブジェクトを生成する基となった、元のオブジェクトの境界線を識別するための第2のデータを前記中間データに付加する境界線識別ステップと、
前記オブジェクト識別ステップにおいて前記第1のデータを付加され、前記境界線識別ステップにおいて前記第2のデータを付加された前記中間データを、前記第1のトラッピングステップにおいて前記トラッピング済みである旨を識別するための第3のデータを付加して記憶手段に保存する記憶ステップと、
前記中間データの前記第3のデータの有無に基づいて、前記前記記憶ステップにおいて前記記憶手段に保存された前記中間データが前記トラッピング済みであるか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおいて前記トラッピング済みであると判定された場合、前記中間データの前記設定値を確認する設定確認ステップと、
前記設定確認ステップの結果に基づいて前記設定値の変更を要する場合、前記設定値を変更し、当該変更した設定値を前記中間データに再設定する再設定ステップと、
前記中間データにおいて、前記第1のデータによって識別される前記オブジェクトと、前記第2のデータによって識別される前記境界線とを検出し、当該検出された前記オブジェクトと前記境界線とに基づいて、前記再設定ステップにおいて再設定された設定値に従って前記中間データに前記トラッピングを行って前記オブジェクトを再度生成する第2のトラッピングステップと
を備えたことを特徴とする情報処理装置の補正制御方法。
【請求項8】
前記設定値は、少なくとも前記トラッピングの幅、色の減色率、前記トラッピングによって生成するオブジェクトの端部の形、前記トラッピングの際に参照される所定の閾値のいずれかを含む、前記トラッピングによる補正の結果を所望の結果にするためのパラメータである
こと特徴とする請求項7に記載の情報処理装置の補正制御方法。
【請求項9】
前記第1のデータは、前記中間データにおいて、前記トラッピングにより重なりを持つ2つのオブジェクトの境界部分に生成される前記オブジェクトを、前記2つのオブジェクトと識別するためのデータである
ことを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置の補正制御方法。
【請求項10】
前記境界線は、2つのオブジェクトが重なったことにより出来る境界部分を示す境界線であり、前記2つのオブジェクトの内、上位のオブジェクトの輪郭の全部または一部分である
ことを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置の補正制御方法。
【請求項11】
前記第2のデータは、2つのオブジェクトの重なりを判定し検出された交点及び前記境界線の構成点の中から、前記境界線の両端点である対の交点を識別するためのデータである
ことを特徴とする請求項10に記載の情報処理装置の補正制御方法。
【請求項12】
前記トラッピングは、前記境界線が前記輪郭の一部分の場合に行う第1のトラッピング、及び前記境界線が前記輪郭の全部の場合に行う第2のトラッピングのいずれかであり、
前記第2のトラッピングステップは、前記再設定ステップにおいて再設定された設定値に従って前記トラッピングが前記第1のトラッピングと前記第2のトラッピングとの間の変更となっているか否かを判定し、当該変更となっていない場合に、前記中間データにおいて検出された前記オブジェクトと前記境界線とに基づいて、前記再設定ステップにおいて再設定された設定値に従って前記中間データに前記トラッピングを行って前記オブジェクトを再度生成する
ことを特徴とする請求項10に記載の情報処理装置の補正制御方法。
【請求項13】
請求項7乃至12のいずれかに記載の情報処理装置の補正制御方法の各ステップをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項14】
印刷するデータを選択し、
プリンタを選択し、
前記データに付加された属性からトラッピングが済んでいるか判断し、
前記トラッピングが済んでいる場合であって、前記選択されたプリンタ用のトラッピングが前記データに行なわれていない場合、前記選択されたプリンタ用のトラッピングを再処理することを特徴とする補正制御方法。
【請求項15】
前記再処理では、前記済んでいるトラッピングのオブジェクトを削除する
ことを特徴とする請求項14に記載の補正制御方法。
【請求項16】
前記再処理では、前記済んでいるトラッピングのオブジェクトを別ファイルとして記憶することを特徴とする請求項14に記載の補正制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−103060(P2006−103060A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−290518(P2004−290518)
【出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】