説明

情報処理装置及びプログラム

【課題】電源オフ時に揮発メモリから不揮発メモリへより多くのデータを退避させることのできる情報処理装置を提供する。
【解決手段】電源電圧が、瞬断判別閾値以下のとき瞬断検知信号PSを出力する瞬断検知回路40を設ける。プロセッサ11は、瞬断検知信号PSを検知したとき、システムメモリ14から不揮発メモリ16へのデータ退避を開始し、瞬断検知信号が出力されてから所定時間の経過後にも瞬断検知信号が出力されている場合は、データ退避を継続すると共に、装置のシャットダウン処理を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源オフ時に揮発メモリから不揮発メモリにデータを退避するようになされた情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電源オフ時に、システムメモリなどの揮発メモリからは不揮発メモリに所定のデータを退避する情報処理装置では、通常、停電検知回路で停電を検知した後、CPU(Central Processing Unit)などの回路部品に対してリセット回路からリセット信号が出力されるまでの間に、揮発メモリから不揮発メモリへのデータ退避を行なうようになっている。
【0003】
図15は、AC(交流)入力がオフしたときの各部の波形とデータ退避期間との関係の一例を示すタイミングチャートである。時刻T1にAC入力が途絶えると、その直後から平滑回路の出力電圧は次第に低下し、予め定めた停電判別閾値まで低下すると停電検知回路から停電検知信号が出力され(時刻T2)、該停電検知信号の出力を契機にデータ退避が開始される。CPUなどの回路部品にDC電圧を供給するDC電源は、AC入力が途絶えた後もコンデンサに蓄えた電荷により暫くの間は通常の出力電圧を維持しており、DC電源の出力電圧が予め定めたリセット閾値電圧以下に低下したときリセット回路からリセット信号が出力される(時刻T3)。データ退避は、停電検知からリセット信号が出力されるまでの限られた時間内に行なわれる。
【0004】
ところで、停電には、通常の停電のほかに、AC入力が瞬間的に途絶える瞬断があり、通常の停電と瞬断とを区別して検出することで、それぞれの発生時に適切な対応を採るようにした装置がある。たとえば、AC入力の途絶えた時間を監視し、該時間が第1の設定時限値を超えた場合に瞬断と判断してメイン業務を中断し、第1の設定時限値より長い第2の設定時限値を超えると停電と判断して所定の停電処理を行なう演算処理装置が開示されている(特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開平11−51985号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
不揮発メモリへのアクセスは揮発メモリに比べて遅く、電源オフ時の不揮発メモリへのデータ退避には、以前から長い時間を要しており、時間的余裕は少なかった。一方、近年のシステムの複雑化に伴い、不揮発メモリに退避すべきデータ量は増加の傾向にあり、電源が確実に保持されている時間内(リセット信号の出力前)により多くのデータを退避させたいという要請が高まっている。
【0007】
かかる要請に対応するために、たとえば、停電よりも早期に生じる瞬断の検知を契機に一連の停電処理を行なうようにすると、電源事情の良くない使用環境下では、瞬時停電は頻発し、これに伴って頻繁に停電処理が行なわれて装置が停止するという問題が生じてしまう。
【0008】
また、デジタル複写機などのように、オプション装置が装着され得る装置では、オプション装着時は、非装着の場合に比べて装置全体としての消費電流が増加し、AC入力が途絶えてからリセット信号が出力されるまでの時間が短くなるので、データ退避のための時間的余裕がさらに短くなってしまう。
【0009】
このような、電源オフ時のデータ退避に係わる問題は、無停電電源を搭載すれば解消されるが、定着ヒータを有するデジタル複写機などのように消費電力の大きい情報処理装置では、必要な無停電電源が大型で高価なものになってしまう。
【0010】
一方、特許文献1で開示された技術は、AC入力の途絶えた時間の長さによって停電と瞬時停電とを区別することで、電源の停電・復電を発振させることなく検出するための技術であり、電源オフ時に不揮発メモリへ退避可能なデータ量を増加させるという問題を解決するものではない。
【0011】
また、特許文献1に開示の技術では、AC入力の途絶えた時間が第2の設定時限値を超えた場合に停電と判断しているが、オプション装置の装着状況やAC入力が途絶えた時点での装置の動作状態(動作中かスタンバイ中か)などによって装置全体としての消費電流は変動するので、消費電流が多い場合には停電を検知する前に動作不能になってしまい、データ退避を完了させることができない虞が生じてしまう。
【0012】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、電源オフ時に揮発メモリから不揮発メモリへより多くのデータを退避させることのできる情報処理装置およびそのプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0014】
[1]電源オフ時に揮発メモリから不揮発メモリへデータを退避する情報処理装置において、
電源電圧が所定の閾値電圧以下のときに瞬断検知信号を出力する検知回路と、
前記検知回路から前記瞬断検知信号が出力されたとき、前記揮発メモリから前記不揮発メモリへのデータ退避を開始し、前記瞬断検知信号が出力されてから所定時間の経過後にも前記瞬断検知信号が出力されている場合は、前記データ退避を継続し、かつ所定のシャットダウン処理を行なう制御手段と
を有する
ことを特徴とする情報処理装置。
【0015】
上記発明では、電源の瞬断を検知した時点で、揮発メモリから不揮発メモリへのデータ退避を開始する。また、瞬断検知信号が出力されてから所定時間の経過後にも瞬断検知信号が出力されている場合は、停電であると認識して、データ退避を継続し、かつ装置のシャットダウン処理を行なう。瞬断の検知に基づいてデータ退避を開始するので、データ退避に費やすことのできる時間が長くなり、退避可能なデータ量を増やすことができる。また、停電検知信号を使用しないので、装置構成が簡略化される。なお、瞬断検知信号の検知から所定時間の経過後に瞬断検知信号が出力されていない場合は、シャットダウン処理は行なわれない。また、この場合、データ退避を中止してもよいし、そのままデータ退避を継続させてもよい。
【0016】
[2]前記制御手段は、前記瞬断検知信号が出力されてから所定時間の経過後に前記瞬断検知信号が出力されていない場合は、前記データ退避を中止する
ことを特徴とする[1]に記載の情報処理装置。
【0017】
[3]当該情報処理装置全体の消費電流値に応じて、前記閾値電圧の設定を変更する
ことを特徴とする[1]に記載の情報処理装置。
【0018】
上記発明では、たとえば、オプション装置の装着などにより装置全体としての消費電流が通常より増加している場合は、閾値電圧を通常よりも高く設定変更する。これにより、AC入力が途絶えてからリセットまでの時間が消費電流の増加のために短くなっても、通常よりAC入力が途絶えてから瞬断検知信号が出力されるまでの時間が短くなるので、その分、データ退避が早期に開始され、データの退避に費やすことのできる時間の減少を少なくすることができる。
【0019】
[4]当該情報処理装置全体の消費電流値に応じて、前記所定の時間を変更する
ことを特徴とする[1]に記載の情報処理装置。
【0020】
上記発明では、たとえば、オプション装置の装着などにより装置全体としての消費電流が通常より増加している場合は、上記所定時間を通常よりも短く設定変更する。たとえば、瞬断検知信号が出力されてから所定時間の経過後に瞬断検知信号を再検知した場合に装置の動作を停止させる場合は、通常よりも所定時間を短く設定することで通常よりも再検知の時期が早まり、早期に装置の動作が停止する。その結果、AC入力が途絶えてから装置の動作が停止するまでの時間が短くなり、これに伴い、この間の消費電力が減り、装置の動作が停止してからリセットになるまでの時間を延長する効果が出て、データ退避に費やすことのできる時間の減少を少なくすることができる。
【0021】
[5]前記データ退避は、前記揮発メモリから一時退避用のメモリにデータを転送する第1段階と、前記一時退避用のメモリから前記不揮発メモリに前記データを転送する第2段階とで構成され、
前記制御手段は、前記検知回路から前記瞬断検知信号が出力されたとき、通常動作を一時中断して前記第1段階を実行した後前記通常動作を再開し、前記瞬断検知信号が出力されてから所定時間の経過後にも前記瞬断検知信号が出力されている場合は前記第2段階を実行する
ことを特徴とする[1]に記載の情報処理装置。
【0022】
上記発明では、第1段階では退避対象のデータを一時退避用のメモリに転送し、不揮発メモリにはアクセスしないので、転送を高速に行なうことができると共に、停電に至らない場合には不揮発メモリにアクセスしないので、不揮発メモリの寿命に貢献する。
【0023】
[6]前記データ退避は、第1段階と、第2段階とで構成され、
前記制御手段は、前記検知回路から前記瞬断検知信号が出力されたとき、通常動作を中断して前記第1段階を実行した後前記通常動作を再開させ、前記瞬断検知信号が出力されてから所定時間の経過後にも前記瞬断検知信号が出力されている場合は前記第2段階を実行し、
前記第1段階では、退避の対象データのうち、前記再開後の通常動作で値の変化しないデータを退避し、前記第2段階で残りのデータを退避する
ことを特徴とする[1]に記載の情報処理装置。
【0024】
上記発明では、瞬断検知を契機に実行する第1段階のデータ退避では、再開後の通常動作で値の変化しないデータを退避し、瞬断検知信号が出力されてから所定時間の経過後に瞬断検知信号を再び検知した場合に行なわれる第2段階のデータ退避では、残りのデータを退避する。通常動作を再開させても、その影響を受けることなく、揮発メモリ上にある最終的な値と一致する。なお、再開後の通常動作で値の変化しないデータとは、瞬断検知後に停電となった場合、再開後から該停電により通常動作を終了させるまでの間の動作で値の変化しないデータである。
【0025】
[7]不揮発メモリと揮発メモリとを備えたコンピュータに、
電源電圧が第1閾値電圧以下であることを示す瞬断検知信号を検知したとき、揮発メモリから不揮発メモリへのデータ退避を開始し、前記瞬断検知信号の検知から所定時間の経過後に前記瞬断検知信号を再び検知した場合は、前記データ退避を継続し、かつ所定のシャットダウン処理を行なう機能を実現させるためのプログラム。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係わる情報処理装置およびプログラムによれば、電源の瞬断を検知した時点で揮発メモリから不揮発メモリへのデータ退避を開始するので、停電検知を契機にデータ退避を開始する場合に比べて、データ退避に費やすことのできる時間が長くなり、退避可能なデータ量を増やすことができる。また、瞬断の検知後に停電を検知した場合はシャットダウン処理を行なうので、瞬断だけで停電に至らない場合に装置の動作が停止することはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態およびこれに関連する参考例を説明する。
【0028】
図1は、参考例に係わる情報処理装置の一例である画像処理装置10の構成を示している。画像処理装置10は、原稿画像を読み取ってその複製画像を記録紙上に作成して出力するコピー機能などを備えた装置である。画像処理装置10は、当該装置の動作を制御する制御手段としてのプロセッサ(CPU)11を備えている。プロセッサ11にはバス12を介してメモリコントローラ13が接続され、該メモリコントローラ13の配下に揮発性のシステムメモリ14と、DMA(Direct Memory Access)コントローラ15と、I/Oコントローラ18とが接続されている。DMAコントローラ15の配下には不揮発メモリ16が接続されている。またDMAコントローラ15の内部には一時退避用メモリ17が設けてある。これらは、制御基板10aに搭載されている。
【0029】
さらに、バス12にはプリンタ部21、スキャナ部22が接続されるほか、印刷された用紙に穴あけ、綴じ、折りなどの後処理を施すフィニシャーなどのオプション装置23を接続可能になっている。このほか、バス12には、操作画面などの表示およびユーザ操作の入力を受ける不図示の操作表示部、LAN(Local Area Network)を通じて外部装置と通信する不図示の通信制御部などが接続されている。
【0030】
スキャナ部22は、原稿を照射する光源、原稿を幅方向に1ライン分読み取るラインイメージセンサ、ライン単位の読取位置を原稿の長さ方向に移動させる移動機構、原稿からの反射光をラインイメージセンサに導いて結像させるレンズやミラーからなる光学部品、およびスキャナ部22の動作を制御する制御部などを備えている。ラインイメージセンサはCCD(Charge Coupled Device)で構成される。また、ラインイメージセンサが出力するアナログ画像信号をデジタルの画像データに変換するA/D変換器を備えている。さらにスキャナ部22は、複数枚の原稿を順次連続的に読み取るための図示しない自動原稿送り装置を備えている。
【0031】
プリンタ部21は、入力された画像データに対応する画像を電子写真プロセスによって記録紙上に形成して出力する装置であり、図示しない、記録紙の搬送装置と、感光体ドラムと、帯電装置と、レーザーユニットと、現像装置と、転写分離装置と、クリーニング装置と、定着装置と、これらを制御する制御部とを備えた、いわゆるレーザープリンタとして構成されている。
【0032】
プリンタ部21、スキャナ部22の制御部はそれぞれ、CPU、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を主要部として構成されている。プリンタ部21、スキャナ部22の各制御部はプロセッサ11と動作コマンドやステータスの通信を行ない、プロセッサ11からの指示に基づいて原稿の読み取りや画像形成動作を制御するようになっている。
【0033】
システムメモリ14は、プロセッサ11が実行するプログラムの格納やプロセッサ11がプログラムを実行する際のワークメモリ、画像データの格納などに共用される揮発性のメモリである。
【0034】
不揮発メモリ16は、電源がオフしても記憶内容が保持されるメモリである。不揮発メモリ16には、装置固有の各種パラメータなど、電源オフ後も保存すべき所定のデータが記憶される。
【0035】
一時退避用メモリ17は、電源オフ時にシステムメモリ14から不揮発メモリ16へ退避するデータ(以後、保存データと呼ぶ)を、一時的に記憶するためのメモリである。
【0036】
DMAコントローラ15は、一時退避用メモリ17の内容を不揮発メモリ16へ転送する機能を果たす。DMAコントローラ15はASIC(Application Specific Integrated Circuit)として構成されており、一時退避用メモリ17は該ASIC内に設けられている。プロセッサ11は、メモリコントローラ13およびDMAコントローラ15を通じて一時退避用メモリ17や不揮発メモリ16にアクセスしてデータをリード/ライトできるようになっている。また、DMAコントローラ15はシステムメモリ14と一時退避用メモリ17との間のデータ転送も可能に構成されている。
【0037】
また、画像処理装置10は、AC入力を直流電圧に変換して制御基板10a、プリンタ部21、スキャナ部22、オプション装置23など画像処理装置10内の各電気部品へ電源を供給するDC電源31と、AC入力の瞬断および停電を検知する瞬断/停電検知回路32とを備えている。DC電源31の出力はさらに制御基板10aに設けられたリセット回路19に入力されている。リセット回路19は、DC電源31の出力電圧SPを監視し、該出力電圧SPが予め定めたリセット閾値以下のときにリセット信号RSをプロセッサ11に出力する。
【0038】
瞬断/停電検知回路32は、平滑回路33と、瞬断判定回路34と、停電判定回路35とを有する。平滑回路33は、AC入力を平滑化し、該AC入力に応じた直流電圧に変換する機能を果たす。
【0039】
瞬断判定回路34は、AC入力の瞬断を検知する回路である。瞬断とは、AC入力電圧が、一瞬低下もしくは停止することを示す。瞬断があってもDC電源31の出力電圧SPは、ほとんど低下せず、リセット回路19はリセット信号RSを出力しない(もしくは、プロセッサ11など各回路部は正常動作できる)。詳細には、瞬断判定回路34は、平滑回路33の出力電圧Fが予め定めた瞬断判別閾値(第1閾値電圧)以下の場合に、瞬断の発生を示す瞬断検知信号PSを出力する。
【0040】
停電判定回路35は、AC入力の停電を検知する回路である。停電とは、瞬断状態が継続することによって、リセット回路19がリセット信号RSを出力するまで、(もしくは、プロセッサ11などの各回路部が正常動作できなくなる状態まで)DC電源31の出力電圧SPが低下する状態を示す。停電判定回路35は、平滑回路33の出力電圧Fが瞬断判別閾値よりさらに低い停電判別閾値(第2閾値電圧)以下の場合に停電検知信号PDを出力する。
【0041】
たとえば、瞬断判別閾値は、AC入力が1波分以上欠けたことにより平滑回路33の出力電圧Fが電圧降下した値に設定する。停電判別閾値は、AC入力が、3波分以上欠けたことにより平滑回路33の出力電圧Fが電圧降下した値に設定する。AC入力が、たとえば、50Hz(ヘルツ)の交流の場合、1波の1周期は20msになる。瞬断判別閾値および停電検知閾値は、機器の最大消費電流や、必要なデータを不揮発メモリ16へ退避するのに要する時間などから適宜、設定すればよい。
【0042】
瞬断/停電検知回路32から出力される瞬断検知信号PSおよび停電検知信号PDはI/Oコントローラ18に入力されており、プロセッサ11は、I/Oコントローラ18の状態をサンプリングすることで瞬断検知信号PSおよび停電検知信号PDの出力状態を検知する。
【0043】
図2は、瞬断/停電検知回路32の構成例を示している。AC入力はトランス32aの一次側に入力され、トランス32aの2次側には、ダイオードブリッジ33aと、コンデンサ33bと、抵抗器33cとにより平滑回路33が構成されている。平滑回路33の出力Fは、瞬断判定回路34を構成するコンパレータ34aの(+)端子に入力され、該コンパレータ34aの(−)入力端子には瞬断判別閾値となる電圧が印加されている。コンパレータ34aの出力は瞬断検知信号PSになっている。
【0044】
同じく平滑回路33の出力電圧Fは、停電判定回路35を構成するコンパレータ35aの(+)端子に入力され、コンパレータ35aの(−)入力端子には停電判別閾値となる電圧が印加されている。コンパレータ35aの出力は停電検知信号PDになっている。
【0045】
瞬断/停電検知回路32は、図2に示す構成のほか、AC入力のゼロクロスを検出する回路を設け、ゼロクロスするタイミングの間隔から、電圧の低下を判断する回路で構成してもよい。たとえば、50HzのAC入力の場合、通常状態では、10ms毎にゼロクロスするが、AC入力が途絶えている間は次のゼロクロスが到来しないので、ゼロクロスの間隔が長くなる。たとえば、瞬断によりAC入力が1波抜けるとゼロクロスの間隔は30msとなり、2波抜けると50msになる。そこで、ゼロクロスの間隔が、たとえば、40ms以上になれば瞬断と判断し、70ms以上になると停電と判断するように構成することができる。
【0046】
図3は、AC入力が長期に途絶えた場合の電源系の各信号状態を示している。AC入力が途絶えると(時刻Ta1)、平滑回路33の出力電圧Fはその直後から次第に低下し、瞬断判別閾値以下になったとき(時刻Ta2)、瞬断判定回路34から瞬断検知信号PSが出力される。さらに平滑回路33の出力電圧Fが低下して停電判別閾値以下になったとき(時刻Ta3)、停電判定回路35から停電検知信号PDが出力される(出力時ローレベル)。DC電源31の出力SPは、AC入力が途絶えた後もコンデンサに蓄えた電荷により、時刻Ta3を超えても暫くの間は通常の出力電圧を維持した後、やがて低下し始め、DC電源31の出力電圧SPが予め定めたリセット閾値以下に低下したとき(時刻Ta4)、リセット回路19からリセット信号RSが出力される。
【0047】
図4は、AC入力が瞬断した場合の電源系の各信号状態を示している。時刻Tb1にAC入力が途絶え、その後、時刻Tb2に瞬断検知信号PSが出力されるが、その直後の時刻Tb3にAC入力は復帰し、平滑回路33の出力電圧Fは、停電判別閾値以下になる前に上昇し始め、時刻Tb4には瞬断判別閾値を超えて、通常時の電圧に復帰している。このように瞬断の場合には、瞬断検知信号PSは出力されるが停電検知信号PDは出力されない。また、DC電源31の出力電圧SPは通常の電圧を維持し、リセット信号RSは出力されない。
【0048】
図5は、AC入力電圧が50%に低下した状態が継続した場合の電源系の各信号状態を示している。AC入力の電圧が低下すると(時刻Tc1)、平滑回路33の出力電圧Fはその直後から次第に低下する。該低下の勾配は、図3に示す場合(AC入力が途絶える場合)よりも緩やかになる。平滑回路33の出力電圧Fが瞬断判別閾値以下になったとき(時刻Tc2)、瞬断判定回路34から瞬断検知信号PSが出力(ローレベル)され、さらに停電判定回路35の出力電圧Fが低下し停電判別閾値以下になったとき(時刻Tc3)、停電判定回路35から停電検知信号PDが出力(ローレベル)される。
【0049】
図6は、プロセッサ11が行なう処理の第1例を示している。プロセッサ11は、通常の状態では、コピー動作などの機器動作を制御する通常動作モードにて通常動作を行なっており(ステップS101、ステップS102;No)、該通常動作中に、瞬断判定回路34からの瞬断検知信号PSの出力を検知したとき(ステップS102;Yes)、プリシャットダウンモードへ移行する。プリシャットダウンモードでは、現状の動作(通常動作)を一時的に中断し(ステップS103)、不揮発メモリ16へのデータ退避を開始した後、通常動作を再開する(ステップS105)。
【0050】
通常動作の一時的中断とは、プリンタ部21やスキャナ部22などに対する制御をプロセッサ11が一時的に中断することである。中断は短時間で終了すると共に、中断している間もプリンタ部21やスキャナ部22は動作を継続しているので、ユーザから見た動作は中断せず、通常と変わらない。
【0051】
データ退避に係わる動作は、第1段階と第2段階とに分けてあり、プリシャットダウンモードではデータ退避の第1段階を実行する。第1段階では、退避の対象データをシステムメモリ14から一時退避用メモリ17へ転送する(ステップS104)。該転送はプロセッサ11が行なってもよいし、DMAコントローラ15に行なわせてもよい。
【0052】
通常動作の再開(ステップS105)後、プロセッサ11は、停電検知信号PDと瞬断検知信号PSとの出力状態を監視する(ステップS106、ステップS107)。ここで、停電検知信号PDの出力を検知する前に瞬断検知信号PSの出力が検知されなくなった場合は(ステップS107;No)、停電に至らずに瞬断だけでAC入力が正常状態に復帰しているため、通常動作モードに戻って(ステップS101)処理を継続する。この場合、図4下部に示すようにデータ退避は途中で中止される。ここでは、第1段階のみ実行してデータ退避を中止する。
【0053】
一方、停電検知信号PDの出力が検知された場合は(ステップS106;Yes)、AC入力が停電状態にあると判断し、シャットダウンモードへ移行する。シャットダウンモードでは、通常動作を終了させる(ステップS108)。通常動作の終了は、たとえば、プリンタ部21やスキャナ部22に対して終了コマンドを送信して動作の終了を指示することにより行なわれる。
【0054】
その後、データ退避の第2段階を実行する。第2段階では、一時退避用メモリ17の内容(第1段階でシステムメモリ14から一時退避用メモリ17へ転送したデータ)をDMAコントローラ15により不揮発メモリ16へ転送する(ステップS109)。さらにプロセッサ11は、装置のシャットダウン処理を行なう(ステップS110)。データ退避およびシャットダウン処理が終了した後、リセット回路19からリセット信号RSが出力されて電源が完全にオフする。
【0055】
上記のように瞬断検知信号PSの出力を検知した時点でデータ退避を開始するので、図3下部に示すように、データ退避に費やすことのできる時間は、瞬断検知信号PSが出力されてから停電検知信号PDが出力されるまでの時間P1と停電検知信号PDが出力されてからリセット信号RSが出力されるまでの時間P2の合計時間P3となり、停電検知信号PDが出力されてからデータ退避を開始する従来の場合に比べて、時間P1分だけデータ退避に費やすことのできる時間が長くなり、その分、退避可能なデータ量が増加する。
【0056】
また、第1段階では退避の対象データを一時退避用メモリ17に転送し、低速な不揮発メモリ16には転送しないので、DMAコントローラ15から一時退避用メモリ17への転送を高速に行なうことができる。また、停電に至らない場合には第2段階を実行せず、不揮発メモリ16への転送を行なわないので、瞬断が頻繁に生じても不揮発メモリ16への不要なアクセスがなく、不揮発メモリ16の劣化を抑えて寿命に貢献する。
【0057】
なお、シャットダウン処理とは、電源オフのための正規の処理であり、たとえば、ハードディスク装置のヘッドを退避させたり、特定の順序で終了処理や各部の電源オフを行なったりする一連の電源オフ処理である。
【0058】
図7は、プロセッサ11が行なう処理の第2例を示している。第2例は、データ退避の第1段階および第2段階で行なう処理内容が第1例と異なっており(ステップS104AおよびS109A)、他のステップの処理は第1例と同一になっている。図7では、図6と同一処理には同一のステップ番号を付してあり、それらの説明は省略する。
【0059】
ステップS104Aでは、データ退避の第1段階として、退避の対象データのうち再開後の通常動作中に値の変化しないデータを不揮発メモリ16へ転送する。該転送は、プロセッサ11がデータを不揮発メモリ16へ直接書き込むことで行なっても良いし、プロセッサ11はシステムメモリ14から読み出したデータを一時退避用メモリ17へ書き込み、一時退避用メモリ17から不揮発メモリ16への転送はDMAコントローラ15に行なわせてもよい。また、システムメモリ14から一時退避用メモリ17への転送と一時退避用メモリ17から不揮発メモリ16への転送の双方をDMAコントローラ15に行なわせてもよい。
【0060】
再開後の通常動作中に変化しないデータとは、ステップS105にて再開させた後、ステップS108で通常動作を終了させるまでの間の動作で値の変化しないデータである。再開後の通常動作中に値の変化しないデータの例としては、「瞬断の発生時間データ」、「コピー部数」などがある。
【0061】
第2例のステップS109Aでは、データ退避の第2段階として、退避の対象データのうち第1段階で退避しなかったデータ、すなわち、再開後の通常動作中に値の変化し得るデータを不揮発メモリ16へ転送する。該転送は、ステップS104Aの第1段階の転送と同様に、プロセッサ11がデータを不揮発メモリ16へ直接書き込むことで行なっても良いし、プロセッサ11はシステムメモリ14から読み出したデータを一時退避用メモリ17へ書き込み、一時退避用メモリ17から不揮発メモリ16への転送はDMAコントローラ15に行なわせてもよい。また、システムメモリ14から一時退避用メモリ17への転送と一時退避用メモリ17から不揮発メモリ16への転送の双方をDMAコントローラ15に行なわせてもよい。再開後の通常動作中に値の変化するデータとしては、「停電発生時間データ」、「装置のトータルコピー数」、「セットされたコピー部数のうち、コピー終了した部数」などがある。
【0062】
このように、瞬断検知信号PSが出力されたことを契機に実行する第1段階のデータ退避では、再開後の通常動作で値の変化しないデータを退避し、その後、停電検知信号PDが出力された場合に実行する第2段階のデータ退避では、残りのデータを退避するので、第1段階のデータ退避後に、ステップS105で通常動作を再開させても、第1段階で不揮発メモリ16へ退避したデータの値は、最終的に停電になった場合のシステムメモリ14上での最終的な値と一致する。
【0063】
次に、オプション装置の装着状況によって装置全体の消費電流が変化することへの対応例を説明する。
【0064】
オプション装置(フィニッシャ等)23を取り付けた場合、画像処理装置10全体としての消費電流が非装着時に比べて増加するため、図8に示すように、AC入力が途絶えた以後の、平滑回路33の出力電圧Fの低下する勾配K1はオプション装置23を装着しない場合の勾配K2に比べて大きくなる(図8では、オプション非装着時の波形を破線小で示してある)。このため、AC入力が途絶えて(時刻Td1)から瞬断検知信号PSが出力される(時刻Td2)までの時間はオプション装置23が装着されていない場合に比べて短くなる。また、瞬断検知信号PSが出力されてから停電検知信号PDが出力されるまでの時間(Q1)も、オプション装置23が装着されてない場合の同時間(P1)に比べて短くなる。
【0065】
一方、停電検知信号PDが出力されてからリセット信号RSが出力されるまでの時間については、オプション装置23を装着している場合(Q2)とオプション装置23を装着していない場合(P2)とでは大差ない。これは、図6、図7に示すように、停電検知信号PDを検知した後、すぐに通常動作を終了させ、オプション装置23を含め、各装置のシャットダウン処理を行なうことによる。したがって、オプション装置23の装着時にデータ退避に費やすことのできる時間(Q3)、オプション非装着時の同時間(P3)に比べて短くなるのは、瞬断検知信号PSを検知してから停電検知信号PDを検知するまでの時間が短くなることに主に起因している。
【0066】
そこで、オプション装置23が取り付けられた場合は、取り付けられたオプション装置23の消費電流に応じて、瞬断判別閾値を高く設定変更する。これにより、瞬断判別閾値が通常値の場合に比べて、AC入力が途絶えてから瞬断検知信号が出力されるまでの時間が短くなり、その結果、データ退避に費やすことのできる時間を長くすることができる。図9は、瞬断判別閾値を通常値Nより高い上昇値Mにした場合と、通常値Nの場合との各部の波形を対比して示している。瞬断判別閾値が通常値Nに設定されている場合は、AC入力が時刻Te1に途絶えた後、時刻Te3に瞬断検知信号PSが出力されるのに対し、瞬断判別閾値を上昇値Mに設定した場合は、時刻Te3よりも早い時刻Te2に瞬断検知信号PSが出力され、その差の時間Eの分だけ、データ退避に費やすことのできる時間が長くなっている。
【0067】
図9では、通常値Nの場合の瞬断検知信号PSが出力されてから停電検知信号PDが出力されるまでの時間、停電検知信号PDが出力されてからリセット信号RSが出力されるまでの時間、これらの合計時間のそれぞれ、通常値Nの場合はQ1、Q2、Q3で示し、上昇値の場合の同時間をQ1´、Q2´、Q3´で示してある。
【0068】
また、オプション装置23の装着状況(消費電流の大小)に応じて、停電判別閾値を設定変更するようにしてもよい。すなわち、オプション装置23の装着により装置全体としての消費電流が通常より増加している場合に、停電判別閾値を通常より高くすると、以下のような流れで、データ退避に費やすことのできる時間が長くなる。
1.停電判別閾値を高くする。
2.通常より早くシャットダウンモードに入る。
3.オプション装置23への電力供給を早く断つことができる。
4.DC電源31の出力電圧SPの降下を抑えられる。
5.リセット信号RSの出力が遅れる。
6.データ退避時間を長く確保できる。
【0069】
なお、プロセッサ11は、電源オン時などにオプション装置23の装着状態を調べ、その結果に応じて瞬断判別閾値や停電判別閾値を自動的に設定変更する。このほか、サービスマンモードなどにおいて、瞬断判別閾値や停電判別閾値をオプション装置23の装着状況に応じて手動で設定を変更するように構成されてもよい。
【0070】
次に、本発明の実施の形態について説明する。
【0071】
図10は、本発明の実施の形態に係わる情報処理装置としての画像処理装置10Bの構成を示している。参考例では、瞬断/停電検知回路32で瞬断と停電の双方を検知するように構成したが、実施の形態では、瞬断/停電検知回路32に代えて、瞬断のみを検出する瞬断検知回路40を設けると共に、停電検知に相当する機能をI/Oコントローラ18内に設けたタイマ50で実現している。
【0072】
瞬断検知回路40は、瞬断/停電検知回路32から停電判定回路35を取り去った構成であり、瞬断/停電検知回路32と同様の平滑回路33および瞬断判定回路34を備えている。瞬断検知回路40は、瞬断検知信号PSをI/Oコントローラ18およびI/Oコントローラ18内のタイマ50へ出力する。その他の回路構成は図1に示す画像処理装置10と同様であり、それらの説明は省略する。
【0073】
図11は、AC入力が長期に途絶えた場合の電源系の各信号状態を示しており、図12は、AC入力が瞬断した場合の電源系の各信号状態を示している。図11では、AC入力が途絶えると(時刻Tf1)、平滑回路33の出力電圧Fはその直後から次第に低下し、瞬断判別閾値以下になったとき(時刻Tf2)、瞬断判定回路34から瞬断検知信号PSが出力される。該瞬断検知信号PSの出力を契機にタイマ50は予め設定されている時間(タイマ設定時間)の計時を開始し、該タイマ設定時間が経過してタイムアップすると(時刻Tf3)、タイムアップ信号Tupを出力する。プロセッサ11はI/Oコントローラ18をサンプリングすることでタイムアップ信号Tupの出力有無を認識する。
【0074】
タイマ設定時間の長さは、AC入力の途絶えが継続している場合に、瞬断検知信号PSの出力時から平滑回路33の出力電圧Fが停電判別閾値まで低下するのに要する時間に相当する長さであり、予め実験により適切な値を調べて設定してある。
【0075】
したがって、図11に示すように、タイムアップ信号Tupが出力された時点で瞬断検知信号PSの出力が継続していれば、停電に至ったと判断し、一方、図12に示すように、タイムアップ信号Tupが出力された時点で瞬断検知信号PSの出力が既に停止している(ハイレベルになっている)ときは、瞬断のみで停電に至らなかったと判断することができる。
【0076】
図13は、実施の形態の画像処理装置10Bのプロセッサ11が行なう処理(第3例)を示している。図13に示す第3例の処理は、図6に示した第1例の処理のステップS106をステップS126に、ステップS107をステップS127に置き換えたものであり、他の処理は第1例と同一である。図6に示す第1例と処理内容が同一のステップには同一のステップ番号を付してある。
【0077】
通常動作中に(ステップS101)、瞬断検知信号PSの出力を検知すると(ステップS102;Yes)、プリシャットダウンモードに入り、通常動作を中断し(ステップS103)、データ退避の第1段階として退避の対象データをシステムメモリ14から一時退避用メモリ17へ転送(ステップS104)した後、通常動作を再開する(ステップS105)。
【0078】
その後、タイマ設定時間の経過(タイムアップ信号Tupの出力)を待ち(ステップS126;No)、タイマ設定時間が経過したとき(ステップS126;Yes)瞬断検知信号PSが出力されているか否か再び調べる(ステップS127)。ここで、瞬断検知信号PSの出力が検知された場合は(ステップS127;Yes)、AC入力が停電状態にあると判断してシャットダウンモードへ移行し、通常動作を終了させ(ステップS108)、データ退避の第2段階として一時退避用メモリ17の内容をDMAコントローラ15により不揮発メモリ16へ転送し(ステップS109)、さらに装置のシャットダウン処理を行なう(ステップS110)。
【0079】
一方、タイマ設定時間の経過時点で瞬断検知信号PSの出力が停止していた場合は(ステップS127;No)、停電に至らず、瞬断だけでAC入力が正常状態に復帰しているため、通常動作モードに戻り(ステップS101)、処理を継続する。
【0080】
図14は、実施の形態の画像処理装置10Bのプロセッサ11が行なう処理(第4例)を示している。第4例は、図13に示す第3例の処理のステップS104、S109を、図7の第2例と同様のステップS104AおよびS109Aに置き換えたものであり、他のステップの処理は第3例と同一になっている。
【0081】
図14に示す第4例の処理では、図7の場合と同様に、ステップS104Aで、データ退避の第1段階として、退避の対象データのうち再開後の通常動作中に値の変化しないデータを不揮発メモリ16へ転送する。また、ステップS109Aでは、データ退避の第2段階として、退避の対象データのうち第1段階で退避しなかったデータ、すなわち、再開後の通常動作中に値の変化し得るデータを不揮発メモリ16へ転送する。
【0082】
このように、瞬断検知信号PSとタイマ50とを使用して瞬断と停電とを検知する構成とした場合にも、瞬断検知信号PSと停電検知信号PDの2つの信号を使用する場合と同様に、早期にデータ退避を開始することができ、従来に比べて、データ退避に費やすことのできる時間が延長され、その分、退避の対象のデータ量を増やすことができる。また、停電検知信号PDを発生させる停電判定回路35が不要になり、装置構成が簡略化される。
【0083】
また、参考例と同様に、オプション装置23の装着状況に応じて、瞬断判別閾値を設定変更することで、オプション装置23の装着により消費電流が増加した場合にも、データ退避に費やすことのできる時間の減少を少なく抑えることができる。また、オプション装置23の装着により消費電流が増大した場合には、オプション装置23の非装着時に比べてタイマ設定時間を短くすることで、第1の参考例で停電判別閾値を高くした場合と同様の効果を得ることができる。
【0084】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0085】
たとえば、実施の形態では、瞬断は検知したが停電に至らなかった場合に、データ退避を中断する(データ退避の第2段階を行なわない)ようにしたが、そのまま、データ退避を継続(第2段階も実行)するように構成されてもよい。
【0086】
実施の形態では、データ退避を第1段階と第2段階とに分けるようにしたが、データ退避は一連の動作として構成されてもよい。また、一時退避用メモリ17を経由して不揮発メモリ16へデータを退避させるようにしたが、システムメモリ14から直接不揮発メモリ16へ退避するように構成されてもよく、瞬断検知を契機にデータ退避を開始し、停電検知によりデータ退避の継続およびシャットダウン処理を行なうように構成されれば、データ退避の内容や転送手順などは任意でよい。
【0087】
なお、不揮発メモリ16へのデータ転送は、プロセッサ11の処理負担を軽減するためにDMAコントローラ15に行なわせることが好ましい。特に、シャットダウン処理に係わるプロセッサ11の動作を確保するためは、一時退避用メモリ17から不揮発メモリ16への転送はDMAコントローラ15に行なわせることが好ましい。また、一時退避用メモリ17は、不揮発メモリ16に比べてアクセスが高速なメモリやレジスタを使用することが好ましい。
【0088】
実施の形態では、消費電流の大小をオプション装置23の装着状況により判別するようにしたが、装置の動作モード(たとえば、コピー動作中か待機中か)などに応じて消費電流の大小を判別し、該判別結果に応じて、瞬断判別閾値や停電判別閾値、タイマ設定時間を設定変更するように構成されてもよい。すなわち、消費電流が通常より多い動作状態にあると判別したときは、オプション装置23が装着されている場合と同様に、通常値より、瞬断判別閾値を高くしたり、停電判別閾値を高くしたり、タイマ設定時間を短くしたりするように設定変更すればよい。
【0089】
実施の形態では、タイマ50でタイマ設定時間を計時するようにしたが、プロセッサ11が該時間を計時するように構成されてもよい。
【0090】
実施の形態では、画像処理装置を例に説明したが、電源オフ時に揮発メモリ上の所定のデータを不揮発メモリに退避させるようになされた情報処理装置であれば本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の実施の形態に関連する参考例に係わる情報処理装置の一例である画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に関連する参考例に係わる画像処理装置の瞬断/停電検知回路を示す回路図である。
【図3】本発明の実施の形態に関連する参考例に係わる画像処理装置において、AC入力が長期に途絶えた場合の電源系の各信号状態を示す波形図である。
【図4】本発明の実施の形態に関連する参考例に係わる画像処理装置において、AC入力が瞬断した場合の電源系の各信号状態を示す波形図である。
【図5】本発明の実施の形態に関連する参考例に係わる画像処理装置において、AC入力電圧が50%に低下した状態が継続した場合の電源系の各信号状態を示す波形図である。
【図6】本発明の実施の形態に関連する参考例に係わる画像処理装置のプロセッサが行なう処理の第1例を示す流れ図である。
【図7】本発明の実施の形態に関連する参考例に係わる画像処理装置のプロセッサが行なう処理の第2例を示す流れ図である。
【図8】電源系の各信号状態を、オプション装置の装着時と非装着時とで対比して示す波形図である。
【図9】電源系の各信号状態を、瞬断判別閾値を通常値Nより高い上昇値Mにした場合と通常値Nの場合とで対比して示す波形図である。
【図10】本発明の実施の形態に係わる情報処理装置の一例である画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の実施の形態に係わる画像処理装置において、AC入力が長期に途絶えた場合の電源系の各信号状態を示す波形図である。
【図12】本発明の実施の形態に係わる画像処理装置において、AC入力が瞬断した場合の電源系の各信号状態を示す波形図である。
【図13】本発明の実施の形態に係わる画像処理装置のプロセッサが行なう処理の第3例を示す流れ図である。
【図14】本発明の実施の形態に係わる画像処理装置のプロセッサが行なう処理の第4例を示す流れ図である。
【図15】従来の装置における、AC入力がオフしたときの各部の波形とデータ退避期間との関係の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0092】
PS…瞬断検知信号
PD…停電検知信号
RS…リセット信号
SP…DC電源の出力電圧
F…平滑回路の出力電圧
Tup…タイムアップ信号
10、10B…画像処理装置
10a…制御基板
11…プロセッサ
12…バス
13…メモリコントローラ
14…システムメモリ
15…DMAコントローラ
16…不揮発メモリ
17…一時退避用メモリ
18…I/Oコントローラ
19…リセット回路
21…プリンタ部
22…スキャナ部
23…オプション装置
31…DC電源
32…瞬断/停電検知回路
32a…トランス
33…平滑回路
33a…ダイオードブリッジ
33b…コンデンサ
33c…抵抗器
34…瞬断判定回路
34a…コンパレータ
35…停電判定回路
35a…コンパレータ
40…瞬断検知回路
50…タイマ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源オフ時に揮発メモリから不揮発メモリへデータを退避する情報処理装置において、
電源電圧が所定の閾値電圧以下のときに瞬断検知信号を出力する検知回路と、
前記検知回路から前記瞬断検知信号が出力されたとき、前記揮発メモリから前記不揮発メモリへのデータ退避を開始し、前記瞬断検知信号が出力されてから所定時間の経過後にも前記瞬断検知信号が出力されている場合は、前記データ退避を継続し、かつ所定のシャットダウン処理を行なう制御手段と
を有する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記瞬断検知信号が出力されてから所定時間の経過後に前記瞬断検知信号が出力されていない場合は、前記データ退避を中止する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
当該情報処理装置全体の消費電流値に応じて、前記閾値電圧の設定を変更する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
当該情報処理装置全体の消費電流値に応じて、前記所定の時間を変更する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記データ退避は、前記揮発メモリから一時退避用のメモリにデータを転送する第1段階と、前記一時退避用のメモリから前記不揮発メモリに前記データを転送する第2段階とで構成され、
前記制御手段は、前記検知回路から前記瞬断検知信号が出力されたとき、通常動作を一時中断して前記第1段階を実行した後前記通常動作を再開し、前記瞬断検知信号が出力されてから所定時間の経過後にも前記瞬断検知信号が出力されている場合は前記第2段階を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記データ退避は、第1段階と、第2段階とで構成され、
前記制御手段は、前記検知回路から前記瞬断検知信号が出力されたとき、通常動作を中断して前記第1段階を実行した後前記通常動作を再開させ、前記瞬断検知信号が出力されてから所定時間の経過後にも前記瞬断検知信号が出力されている場合は前記第2段階を実行し、
前記第1段階では、退避の対象データのうち、前記再開後の通常動作で値の変化しないデータを退避し、前記第2段階で残りのデータを退避する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
不揮発メモリと揮発メモリとを備えたコンピュータに、
電源電圧が第1閾値電圧以下であることを示す瞬断検知信号を検知したとき、揮発メモリから不揮発メモリへのデータ退避を開始し、前記瞬断検知信号の検知から所定時間の経過後に前記瞬断検知信号を再び検知した場合は、前記データ退避を継続し、かつ所定のシャットダウン処理を行なう機能を実現させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2009−15874(P2009−15874A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−271591(P2008−271591)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【分割の表示】特願2006−274630(P2006−274630)の分割
【原出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】