説明

情報処理装置及びプログラム

【課題】各々の設計工程の関係を表示する場合に、設計工程間の繋がりを表す画像の重なりを軽減する。
【解決手段】情報処理装置1の制御部11は、複数の設計工程の工程順位を表す順位情報を取得するとともに、複数の設計工程間における前後の繋がり関係を表す繋がり情報を取得する。制御部11は、複数の設計工程のそれぞれについて、その設計工程(自工程)のx座標を自工程よりも工程順位の高い前工程のx座標よりも大きくするとともに、自工程のy座標を自工程よりも工程順位の高い前工程のy座標の最大値とする。また、制御部11は、決定したy座標上に複数の前工程がある場合には、y座標の値に1を加算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
製品の開発等を支援するために、製品等の設計工程フローを生成する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、設計しようとする機種の設計仕様や部品が設計者によって入力されると、設計作業データベースから設計項目を抽出して、設計項目をツリー形式で表示装置のモニタ画面に出力する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2006−18461号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、各々の設計工程の関係を表示する場合に、設計工程間の繋がりを表す画像の重なりを軽減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の請求項1に係る情報処理装置は、複数の設計工程について、各設計工程の工程順位を示す順位情報を取得するとともに、該複数の設計工程間における前後の繋がりの関係を表す繋がり情報を取得する取得手段と、前記複数の設計工程のそれぞれについて、該設計工程と前後の繋がり関係を有する他の設計工程であって該設計工程の工程順位よりも工程順位が高い他の設計工程がある場合に、該設計工程の表示位置と該他の設計工程の表示位置とが予め定められた位置関係となるように、前記取得手段によって取得された順位情報及び繋がり情報に基づいて該設計工程の表示位置を決定する決定手段と、前記決定手段によって決定された前記複数の設計工程の各々の表示位置と前記記憶手段に記憶された繋がり情報とに基づいて、前記複数の設計工程及び該複数の設計工程間の繋がりを表す画像データを生成する生成手段と、前記生成手段によって生成されたデータを出力する出力手段とを備える構成を有する。
【0005】
本発明の請求項2に係る情報処理装置は、請求項1に記載の構成において、前記決定手段は、予め定められた第1の方向において予め定められた基準位置に対する前記設計工程の表示位置が、前記第1の方向において前記基準位置に対する前記他の設計工程の表示位置よりも遠くなるように、前記設計工程の表示位置を決定する構成を有する。
【0006】
本発明の請求項3に係る情報処理装置は、請求項2に記載の構成において、前記決定手段は、予め定められた第2の方向における前記基準位置からの距離が、前記第2の方向における前記基準位置と前記他の基準位置との距離以上となるように、前記設計工程の表示位置を決定する構成を有する。
【0007】
本願の請求項4に係る情報処理装置は、前記決定手段は、前記設計工程に対して前の繋がり関係を有する他の設計工程であって該設計工程の工程順位よりも工程順位が高い他の設計工程について、該他の設計工程のうち前記第2の方向において前記基準位置との距離が最大となるものが複数ある場合には、前記第2の方向において前記基準位置との距離が該他の設計工程の表示位置よりも遠くなるように前記設計工程の表示位置を決定する一方、それ以外の場合には、前記第2の方向において前記基準位置との距離が最大となる他の設計工程の表示位置を該設計工程の表示位置として決定する構成を有する。
【0008】
本発明の請求項5に係るプログラムは、コンピュータを、複数の設計工程について、各設計工程の工程順位を示す順位情報を取得するとともに、該複数の設計工程間における前後の繋がりの関係を表す繋がり情報を取得する取得手段と、前記複数の設計工程のそれぞれについて、該設計工程と前後の繋がり関係を有する他の設計工程であって該設計工程の工程順位よりも工程順位が高い他の設計工程がある場合に、該設計工程の表示位置と該他の設計工程の表示位置とが予め定められた位置関係となるように、前記取得手段によって取得された順位情報及び繋がり情報に基づいて該設計工程の表示位置を決定する決定手段と、前記決定手段によって決定された前記複数の設計工程の各々の表示位置と前記記憶手段に記憶された繋がり情報とに基づいて、前記複数の設計工程及び該複数の設計工程間の繋がりを表す画像データを生成する生成手段と、前記生成手段によって生成されたデータを出力する出力手段として機能させる構成を有する。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、各々の設計工程の関係を表示する場合に、設計工程間の繋がりを表す画像の重なりを軽減することができる。
請求項2に記載の発明によれば、各々の設計工程の関係を表示する場合に、設計工程間の繋がりを表す画像の重なりを軽減することができる。
請求項3に記載の発明によれば、各々の設計工程の関係を表示する場合に、設計工程間の繋がりを表す画像の重なりを軽減することができる。
請求項4に記載の発明によれば、各々の設計工程の関係を表示する場合に、設計工程間の繋がりを表す画像の重なりを防ぐことができる。
請求項5に記載の発明によれば、各々の設計工程の関係を表示する場合に、設計工程間の繋がりを表す画像の重なりを軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
<A:構成>
図1は、本実施形態である情報処理装置1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。この情報処理装置1は、例えばパーソナルコンピュータであり、複数の設計工程の関係を表す設計フローデータを生成する装置である。図において、制御部11は、CPU(Central Processing Unit)や、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を備え、ROM又は記憶部12に格納されたプログラムにしたがって情報処理装置1の制御を行う。記憶部12は、ハードディスク等の記憶手段であり、情報処理装置1の制御に関するプログラムなどの各種プログラムが格納されている。操作部13はキーボードやマウス等を備えた操作手段である。情報処理装置1の利用者はこの操作部13を用いて各種操作を行う。表示部14は、液晶ディスプレイ等を備え、制御部11の制御の下に各種の画像を表示する表示装置である。通信部15は、外部装置と通信する通信手段である。ここにおいて、外部装置とは、例えば、自装置と異なる記録装置や、インターネットやLAN等の通信網を介して接続されるサーバ装置である。通信部15は、外部装置と有線により通信を行ってもよいし、赤外線通信などによって外部装置と無線により通信を行ってもよい。なお、図1に示す例では、操作部13や表示部14が情報処理装置1に含まれている場合について説明するが、操作部13や表示部14が情報処理装置1に含まれない構成であってもよい。この場合に、情報処理装置1に外部出力端子や外部入力端子を設け、外部モニタや外部操作子を接続する構成としても良い。
【0011】
記憶部12は、図示のように、工程情報記憶領域121を有している。工程情報記憶領域121には、設計工程を示す工程情報が複数記憶されている。図2は、工程情報の内容の一例を示す図である。図示のように、工程情報は、「前工程」と「自工程」と「後工程」との各項目が互いに関連付けて構成される。これらの項目のうち、「自工程」の項目には、その設計工程の工程順位を示す順位情報が格納される。「前工程」と「後工程」の項目には、複数の設計工程間における前後の繋がりの関係(依存関係)を表す繋がり情報が格納される。より具体的には、「前工程」の項目には、その設計工程に対して前の繋がり関係を有する他の設計工程(以下「前工程」という)の工程順位を示す情報(以下「前工程情報」という)が格納される。「後工程」の項目には、その設計工程に対して後ろの繋がりの関係を有する他の設計工程(以下「後工程」という)の工程順位を示す情報(以下「後工程情報」という)が格納される。図2に示す例では、7つの設計工程に対して「1」から「7」の工程順位が付けられている。図2に示す例において、例えば、工程順位が「3」の設計工程については、工程順位が「1」と「2」の2つの設計工程が前工程として登録されているとともに、工程順位が「5」と「7」の2つの設計工程が後工程として登録されている。以下の説明では、説明の便宜上、前工程情報と後工程情報とを各々区別する必要がない場合には、これらを「繋がり情報」と称して説明する。
【0012】
なお、ここでは、図2に例示するデータ形式の工程情報を用いるが、工程情報のデータ形式はこれに限らず、他の形式であってもよい。また、ここでは、繋がり情報として前工程情報と後工程情報とを用いるが、繋がり情報はこれらに限定されるものではなく、他のデータ形式であってもよい。例えば、繋がり情報として前工程情報のみを用いるようにしてもよく、また、例えば、繋がり情報として後工程情報のみを用いるようにしてもよい。要は、繋がり情報は、複数の設計工程間の繋がりを表す情報であればよい。
【0013】
<B:動作>
次に、情報処理装置1の動作について、図3に示すフローチャートを参照しつつ説明する。図3は、情報処理装置1の制御部11が行う処理の流れを示すフローチャートである。情報処理装置1の制御部11は、図3に示す処理を行うことによって、複数の設計工程を表示する際の各設計工程の配置(表示位置)を決定するとともに、決定した配置に基づいて設計工程間の繋がりを表す画像データを生成する。
【0014】
まず、制御部11は、記憶部12内に、複数の設計工程の配置を決定するために用いるマトリクス領域(作業領域)を確保する(ステップS1)。図4は、ステップS1において確保されるマトリックス領域とこのマトリックス領域に配置される設計工程の配置の一例を示す図である。図4に示す例では、図中左右方向をx軸方向とし、図中上下方向をy軸方向として、矩形の領域が格子状に複数に分割されている。分割された各領域は、x座標とy座標で表される。図4に示す例では、図中左上の領域が(x,y)=(0,0)で表され、各領域のx座標方向における位置とy座標方向における位置とに応じて、各領域の座標が表される。この(x,y)座標で表されるそれぞれの領域のいずれかに設計工程が配置される。制御部11は、このマトリックス上に複数の設計工程を重ならないように配置し、このマトリックス上に配置された設計工程の配置態様に従って、表示部14に設計工程フローを表示する。
【0015】
マトリックス領域を確保すると、制御部11は、工程情報記憶領域121から全工程の順位情報と繋がり情報を取得する(ステップS2)。なお、ここでは、制御部11は、順位情報と繋がり情報とを工程情報記憶領域121から読み出すことによって取得するようにしたが、順位情報と繋がり情報の取得の態様はこれに限らず、例えば、通信部15を介して接続された他の装置から工程情報を受信するようにしてもよい。要は、制御部11が、順位情報と繋がり情報とを取得するものであればよい。制御部11は、工程情報記憶領域121から取得した順位情報及び繋がり情報に基づいて、設計工程の表示位置を決定する。
【0016】
制御部11は、複数の設計工程の表示位置を工程順位の高い順に決定する。まず、制御部11は、工程順位が最も高い設計工程を、マトリックス上の予め定められた基準位置(ここでは、(x,y)=(0,0)の位置)に配置する(ステップS3)。具体的には、例えば、工程情報記憶領域121に記憶された工程情報が図2に示す内容である場合には、制御部11は、工程順位が「1」である設計工程をマトリックス上の(x,y)=(0,0)の位置に配置する。
【0017】
工程順番が最上位の設計工程を基準位置に配置すると、制御部11は、ステップS4乃至ステップS10の処理を繰り返し実行することによって、その他の設計工程(工程順番が最上位の設計工程以外の設計工程)のそれぞれについて配置座標(表示位置)を決定する。ステップS4においては、制御部11は、処理対象となる設計工程が最終工程か否かを判定し(ステップS4)、最終工程でない場合は(ステップS4;NO)、ステップS5の処理に進む一方、最終工程の場合は(ステップS4;YES)、ステップS11の処理に進む。
【0018】
ステップS5からステップS10の処理を実行することによって、制御部11は、処理対象となる設計工程の表示位置を決定する。ステップS5からステップS10の処理において、以下の説明では、説明の便宜上、処理対象となる設計工程を「自工程」と称して説明する。また、以下の説明では、説明の便宜上、前工程情報によって示される前工程のうち、自工程よりも順位の高い前工程を「前工程Pa」と称するとともに、後工程情報によって示される後工程のうち、自工程よりも順位の高い後工程を「後工程Pb」と称して説明する。また、以下の説明では、説明の便宜上、工程順位が「1」の設計工程を「設計工程P1」、工程順位が「2」の設計工程を「設計工程P2」、といったように、工程順位が「i」の工程を「工程Pi」として説明する。
【0019】
まず、制御部11は、自工程の前工程情報を参照して、前工程情報によって示される前工程のうち、自工程よりも順位の高い前工程Paを特定し、特定した前工程Paの配置座標に基づいて、自工程の仮配置座標(xa,ya)を決定する(ステップS5)。ここでは、制御部11は、自工程よりも順位の高い前工程Paのそれぞれのx座標とy座標から、x座標の最大値xamaxとy座標の最大値yamaxを特定し、自工程の仮配置座標を、(xa,ya)=(xamax +1,yamax)とする。すなわち、制御部11は、自工程のx座標が、自工程よりも順位の高い前工程Paのx座標よりも大きくなるように、自工程のx座標を決定する。また、制御部11は、自工程のy座標が、自工程よりも順位の高い前工程Paのy座標の最大値と等しくなるように、自工程のy座標を決定する。言い換えると、制御部11は、x軸方向(第1の方向)において、予め定められた基準位置(ここでは、(x,y)=(0,0)の位置)に対する自工程の表示位置が、x軸方向において基準位置に対する前工程Pa(自工程より順位の高い前工程)の表示位置よりも遠くなるように、自工程の表示位置を決定するとともに、y軸方向(第2の方向)において予め定められた基準位置(ここでは、(x,y)=(0,0)の位置)に対する自工程の表示位置が、y軸方向において基準位置に対して最も遠い位置にある前工程Pa(自工程より順位の高い前工程)の表示位置と等しくなるように、自工程の表示位置を決定する。
【0020】
ステップS5の処理によって、自工程よりも順位の高い前工程Paのうちの工程順位が最も大きい前工程Paが特定され、その特定された前工程Paの右隣に自工程が仮配置される。すなわち、自工程よりも順位の高い前工程Paは、必ず自工程よりも図中左又は左上に配置される。これにより、自工程と前工程との繋がりを表す繋がり線は、必ず右下がり線又はx軸と並行な線となる。
【0021】
前工程Paに基づいた仮配置座標(xa,ya)を決定すると、制御部11は、y座標がyaである前工程Pa(y座標の値がyamaxである前工程Pa)が複数あるかを判定し、複数ある場合には、yaの値を、1を加算した値に変更する(ステップS6)。すなわち、制御部11は、自工程より順位の高い前工程Paのうち、y座標の値が最大のものが複数ある場合には、自工程のy座標を前工程Paよりも大きくする一方、それ以外の場合には、自工程のy座標を前工程Paのy座標の最大値と等しい値にする。
【0022】
y座標が自工程と等しい前工程Paが複数存在する場合は、自工程と前工程Paを繋ぐ繋がり線が重なってしまい、図が煩雑になる。具体的には、例えば、設計工程P3については、制御部11によってステップS5の処理が実行されることによって、仮配置座標が(xa,ya)=(2,0)と決定される。しかしながら、(2,0)の位置に設計工程P3を配置した場合には、図4を参照すると明らかなように、(0,0)に配置された設計工程P1と設計工程P3との間の繋がりを表す繋がり線と、(1,0)に配置された設計工程P2と設計工程P3との間の繋がりを表す繋がり線とが重なってしまい、表示が見づらくなる。それを防ぐために、制御部11は、ステップS6において、前工程Paが同じy座標上に複数ある場合に自工程のy座標を一段下にずらす処理を行う。この処理によって繋がり線の重なりがなくなる。
【0023】
ステップS5とステップS6の処理によって、前工程Paの配置座標に基づいた自工程の仮配置座標(xa,ya)が決定される。ステップS5及びステップS6の処理を終えると、次いで、制御部11は、ステップS7の処理を行うことによって、後工程Pbの配置座標に基づいた自工程の仮配置座標(xb,yb)を決定する。ステップS7においては、制御部11は、まず、自工程の後工程情報を参照して、後工程情報によって示される後工程のうち、自工程よりも順位の高い後工程Pbを特定し、特定した後工程Pbの配置座標に基づいて、自工程の仮配置座標(xb,yb)を決定する(ステップS7)。ここでは、制御部11は、自工程よりも順位の高い後工程Pbのそれぞれのx座標とy座標から、x座標の最大値xbmaxとy座標の最大値ybmaxを特定し、自工程の仮配置座標を、(xb,yb)=(xbmax +1,ybmax)と決定する。すなわち、制御部11は、自工程のx座標が、自工程よりも順位の高い後工程Pbのx座標よりも大きくなるように、自工程のx座標を決定する。また、制御部11は、自工程のy座標が、自工程よりも順位の高い後工程Pbのy座標の最大値と等しくなるように、自工程のy座標を決定する。言い換えると、制御部11は、x軸方向において、予め定められた基準位置に対する自工程の表示位置が、x軸方向において基準位置に対する後工程Pb(自工程より順位の高い後工程)の表示位置よりも遠くなるように、自工程の表示位置を決定するとともに、y軸方向において予め定められた基準位置に対する自工程の表示位置が、y軸方向において基準位置に対して最も遠い位置にある後工程Pb(自工程より順位の高い後工程)の表示位置と等しくなるように、自工程の表示位置を決定する。
【0024】
ステップS7の処理によって、自工程よりも順位の高い後工程Pbのうちの工程順位が最も後ろの後工程Pbが特定され、その特定された後工程Pbの右隣に自工程が仮配置される。すなわち、自工程よりも順位の高い後工程Pbは、必ず自工程よりも図中左又は左上に配置される。これにより、自工程と自工程よりも順位の高い後工程との繋がりを表す繋がり線は、必ず左上方向又は左方向に向かう線となる。なお、以下の説明では、説明の便宜上、自工程よりも順位の高い後工程との繋がりを表す繋がり線を「戻り線」と称して説明する。
【0025】
ステップS5及びステップS6の処理によって、前工程Paに基づいた仮配置座標(xa,ya)が決定される。また、ステップS7の処理によって、後工程Pbに基づいた仮配置座標(xb,yb)が決定される。制御部11は、ステップS7までの処理を終えると、仮配置座標(xa,ya)と仮配置座標(xb,yb)のそれぞれのx座標とy座標を比較し、x座標とy座標のそれぞれについて、大きいほうの値を自工程の仮配置座標(xi,yi)として決定する(ステップS8)。
【0026】
ステップS8の処理によって、自工程と前工程との繋がりを表す繋がり線は、必ず右方向又は右下がり方向となるとともに、自工程と自工程よりも順位の高い後工程を繋ぐ戻り線は、必ず左方向又は左上方向となる。このように、繋がり線と戻り線はともに、必ず、x軸と並行になるか、または、左上から右下に向けて傾きを有する線となる。このように、この実施形態では、繋がり線と戻り線の傾斜方向が統一される。
【0027】
また、制御部11は、ステップS8によって決定された仮配置座標に、既に他の設計工程が配置されている場合には、y座標yiの値を1ずつ増やす処理を繰り返し行って、他の設計工程が配置されていない位置まで自工程の仮配置座標を移動させる(ステップS9)。例えば、図2に示す例において、設計工程P6は、ステップS5乃至ステップS8の処理が実行されることによって、(3,2)に仮配置されるが、この座標には既に設計工程P5が配置されている。そのため、制御部11は、設計工程P6に対してステップS9の処理を実行することによって、設計工程P6の配置座標を(3,3)に移動させる。この処理が実行されることによって、設計工程の重なりが防止されるとともに、設計工程を表示する際の左右方向への広がりが軽減される。
【0028】
さて、ステップS5及びステップS6においては、自工程よりも順位の高い前工程Paがある場合の処理を示し、ステップS7では、自工程よりも順位の高い後工程Pbがある場合の処理を示した。ここで、自工程よりも順位の高い前工程Paや自工程よりも順位の高い後工程Pbがない場合がある。その場合は、制御部11は、ステップS10の処理を行って、自工程の配置座標(xi,yi)を決定する。ステップS10の処理においては、制御部11は、既に配置済みの全ての設計工程(すなわち自工程よりも順位の高い全ての設計工程)について、x座標の最大値xcmaxとy座標の最大値ycmaxを求め、自工程の配置座標を(xi,yi)=(xcmax,ycmax +1)と決定する(ステップS10)。すなわち、制御部11は、工程順位が自工程のひとつ前である設計工程の直ぐ下に、自工程を配置する。ステップS10の処理によって、設計工程の配置位置が重なることがなく、かつ、設計工程を表示する際の表示位置の左右方向への広がりが軽減される。例えば、図2に示す例においては、設計工程P4は、自工程よりも順位の高い前工程及び後工程がないため、ステップS10の処理によって、設計工程P3の直ぐ下に配置される。
【0029】
以上のように、制御部11は、複数の設計工程のそれぞれについて、ステップS5からステップS10の処理を実行し、各設計工程の配置座標を決定する。全ての設計工程について配置座標を決定すると(ステップS4;YES)、制御部11は、決定した複数の設計工程の各々の配置位置と工程情報記憶領域121に記憶された繋がり情報とに基づいて、複数の設計工程及び複数の設計工程間の繋がりを表す画像データを生成し、表示部14に出力する。まず、制御部11は、決定された配置座標に基づいて複数の設計工程を描画するためのデータを表示部14に出力することによって、決定された配置座標に配置された複数の設計工程を表示部14に表示させる(ステップS11)。次いで、制御部11は、設計工程を工程順位に従って順番に読み出し、最終工程であるか否かを判定し(ステップS12)、最終工程でない場合は(ステップS12;NO)、処理対象となる設計工程(自工程)について後工程への繋がり線を表すデータを生成するとともに、自工程よりも工程順位が高い後工程とを繋ぐ戻り線を表すデータを生成し、生成したデータを表示部14に出力することによって、自工程と後工程とを繋ぐ繋がり線及び戻り線を表示部14に表示させる(ステップS13)。制御部11は、設計工程のそれぞれについて繋がり線と戻り線を描画するためのデータを表示部14に出力し、最終工程についてのデータの処理を終えると(ステップS12;YES)、処理を終了する。
【0030】
図5は、情報処理装置1の表示部14に表示される画面の一例を示す図である。図5に示す例においては、繋がり線と戻り線はそれぞれ異なる表示態様で表示される。より具体的には、図5に示すように、繋がり線は複数の設計工程間をダイレクトに結ぶ直線で描画される一方、戻り線はx軸と並行な直線及びy軸と並行な直線を組み合わせて描画される。図示のように、複数の設計工程間の繋がりを表す繋がり線は、x軸と並行な方向又は図中左下方向へ向かう線となる。また、複数の設計工程間の戻り線は、x軸と並行な方向又は図中右上方向へ向かう線となる。このように繋がり線と戻り線の傾き方向が統一されることによって、繋がり線の重なりや繋がり線の交差が軽減され、利用者が工程フローの内容を視認し易くなる。
【0031】
また、図5に示す画面において、利用者は、操作部13を用いて、表示部14に表示された設計工程のうちのいずれかを選択する操作を行うことができる。表示部14に表示された設計工程のうちのいずれかが選択されると、制御部11は、操作部13から出力される信号に応じて、選択された設計工程に係る繋がり線を強調表示する。図5に例示する例においては、設計工程P5が選択され、この設計工程P5と前後の繋がり関係を有する設計工程が強調表示されるとともに、設計工程P5との繋がりを表す繋がり線及び戻り線が強調表示される。
【0032】
以上説明したように本実施形態によれば、工程フロー図を表示する際に、工程間の依存関係(繋がり)を表す線の重なりが軽減される。これにより、利用者は、表示される工程フロー図を参照する際に、複数の工程間の繋がりを把握し易い。
【0033】
<C:変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。以下にその一例を示す。
(1)上述の実施形態では、制御部11が、設計工程間の繋がり線の向きが図中右方向又は右下方向となるように、複数の設計工程の表示位置を決定した。複数の設計工程間の位置関係はこれに限らず、例えば、設計工程間の繋がり線の向きが左方向又は左下方向となるようにしてもよい。要は、制御部11が、複数の設計工程のそれぞれについて、自工程と前後の繋がり関係を有する他の設計工程であって自工程の工程順位よりも順位が高い他の設計工程がある場合に、自装置の表示位置と他の設計工程との表示位置とが、予め定められた位置関係となるように、順位情報及び繋がり情報に基づいて設計工程の表示位置を決定すればよい。
【0034】
(2)上述の実施形態において情報処理装置1の制御部11によって実行されるプログラムは、磁気テープや磁気ディスクなどの磁気記録媒体、光ディスクなどの光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体メモリなどの、コンピュータが読取可能な記録媒体に記録させた状態で提供し得る。また、このプログラムを、インターネット等の通信網経由でダウンロードさせることも可能である。また、上述の制御を行う制御手段としてはCPU以外にも種々の装置を適用することができ、例えば、専用のプロセッサなどを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図2】繋がり情報の内容の一例を示す図である。
【図3】情報処理装置の制御部が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】マトリックス領域の内容の一例を説明するための図である。
【図5】情報処理装置の表示部に表示される画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
1…情報処理装置、11…制御部、12…記憶部、13…操作部、14…表示部、15…通信部、121…工程情報記憶領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の設計工程について、各設計工程の工程順位を示す順位情報を取得するとともに、該複数の設計工程間における前後の繋がりの関係を表す繋がり情報を取得する取得手段と、
前記複数の設計工程のそれぞれについて、該設計工程と前後の繋がり関係を有する他の設計工程であって該設計工程の工程順位よりも工程順位が高い他の設計工程がある場合に、該設計工程の表示位置と該他の設計工程の表示位置とが予め定められた位置関係となるように、前記取得手段によって取得された順位情報及び繋がり情報に基づいて該設計工程の表示位置を決定する決定手段と、
前記決定手段によって決定された前記複数の設計工程の各々の表示位置と前記記憶手段に記憶された繋がり情報とに基づいて、前記複数の設計工程及び該複数の設計工程間の繋がりを表す画像データを生成する生成手段と、
前記生成手段によって生成されたデータを出力する出力手段と
を具備することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記決定手段は、予め定められた第1の方向において予め定められた基準位置に対する前記設計工程の表示位置が、前記第1の方向において前記基準位置に対する前記他の設計工程の表示位置よりも遠くなるように、前記設計工程の表示位置を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記決定手段は、予め定められた第2の方向における前記基準位置からの距離が、前記第2の方向における前記基準位置と前記他の基準位置との距離以上となるように、前記設計工程の表示位置を決定する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記決定手段は、前記設計工程に対して前の繋がり関係を有する他の設計工程であって該設計工程の工程順位よりも工程順位が高い他の設計工程について、該他の設計工程のうち前記第2の方向において前記基準位置との距離が最大となるものが複数ある場合には、前記第2の方向において前記基準位置との距離が該他の設計工程の表示位置よりも遠くなるように前記設計工程の表示位置を決定する一方、それ以外の場合には、前記第2の方向において前記基準位置との距離が最大となる他の設計工程の表示位置を該設計工程の表示位置として決定する
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
コンピュータを、
複数の設計工程について、各設計工程の工程順位を示す順位情報を取得するとともに、該複数の設計工程間における前後の繋がりの関係を表す繋がり情報を取得する取得手段と、
前記複数の設計工程のそれぞれについて、該設計工程と前後の繋がり関係を有する他の設計工程であって該設計工程の工程順位よりも工程順位が高い他の設計工程がある場合に、該設計工程の表示位置と該他の設計工程の表示位置とが予め定められた位置関係となるように、前記取得手段によって取得された順位情報及び繋がり情報に基づいて該設計工程の表示位置を決定する決定手段と、
前記決定手段によって決定された前記複数の設計工程の各々の表示位置と前記記憶手段に記憶された繋がり情報とに基づいて、前記複数の設計工程及び該複数の設計工程間の繋がりを表す画像データを生成する生成手段と、
前記生成手段によって生成されたデータを出力する出力手段
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−140339(P2010−140339A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−317161(P2008−317161)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】