説明

情報処理装置及びプログラム

【課題】複数の標本同士の間の直接的な関連性を考慮して、複数の標本を分類して得られる複数の標本群同士の間の関連性を評価する情報処理装置を提供する。
【解決手段】複数の標本からなる標本集合について、当該標本集合に属する標本同士の間の関連性を示す標本関連情報を取得し、当該標本集合に属する標本を分類して得られる複数の標本群のうちの2つの標本群の間の関連性を、一方の標本群に分類される標本と、他方の標本群に分類される標本と、の間の関連性を示す標本関連情報を用いて評価する情報処理装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の標本からなる情報を分析する方法の一つとして、これら標本のそれぞれが持つ特徴量などを用いて、複数の標本を標本群に分類する方法がある。このような方法によれば、互いに似た特徴を持つ標本をまとめて標本群とすることで、多数の標本からなる情報が持つ全体的な傾向などを、容易に分析することが可能となる。このように複数の標本を分類し、さらにその結果得られる標本群を座標空間内に配置して可視化する方法の一例が、非特許文献1や非特許文献2、特許文献1などに記載されている。
【非特許文献1】James A. Wise、”The ecological approach to text visualization”、”Journal of the AmericanSociety for Information Science and Technology”、(米国)、1999年11月、第50巻、第13号、p.1224-1233
【非特許文献2】武田隼一、池田仁、「大量特許分類分析結果の可視化」、「第4回情報プロフェッショナルシンポジウム 予稿集」、2007年10月
【特許文献1】特開2005−92442号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、複数の標本同士の間に、例えば従属関係や影響関係などの直接的な関連性(結びつき)がある場合に、このような関連性を考慮して、複数の標本を分類して得られる複数の標本群同士の間の関連性を評価する情報処理装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1記載の発明は、情報処理装置であって、複数の標本からなる標本集合について、当該標本集合に属する標本同士の間の関連性を示す標本関連情報を取得する標本関連情報取得手段と、前記標本集合に属する標本を分類して得られる複数の標本群のうちの2つの標本群の間の関連性を、一方の標本群に分類される標本と、他方の標本群に分類される標本と、の間の関連性を示す前記標本関連情報を用いて評価する標本群関連性評価手段と、を含むことを特徴とする。
【0005】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の情報処理装置であって、前記複数の標本群を座標空間内の位置によって示すとともに、当該座標空間内に示される複数の標本群の間の関連性を、前記標本群関連性評価手段による評価結果に応じて決まる画像要素によって表す画像を出力する画像出力手段をさらに含むことを特徴とする。
【0006】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の情報処理装置であって、前記標本群関連性評価手段は、前記2つの標本群の間の関連性の程度を示す評価値を算出することにより、当該2つの標本群の間の関連性を評価し、前記画像出力手段は、前記複数の標本群の間の関連性を、前記算出される評価値の大きさに応じて変化する画像要素によって表す画像を出力することを特徴とする。
【0007】
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか記載の情報処理装置であって、前記標本関連情報取得手段は、前記標本関連情報として、標本同士の間の向きに依存する関連性を示す情報を取得し、前記標本群関連性評価手段は、前記一方の標本群に分類される標本から前記他方の標本群に分類される標本へ向かう方向の関連性を示す前記標本関連情報を用いて、前記一方の標本群から前記他方の標本群へ向かう方向の関連性を評価するとともに、前記他方の標本群に分類される標本から前記一方の標本群に分類される標本へ向かう方向の関連性を示す前記標本関連情報を用いて、前記他方の標本群から前記一方の標本群へ向かう方向の関連性を評価することを特徴とする。
【0008】
請求項5記載の発明は、複数の標本からなる標本集合について、当該標本集合に属する標本同士の間の関連性を示す標本関連情報を取得する標本関連情報取得手段、及び前記標本集合に属する標本を分類して得られる複数の標本群のうちの2つの標本群の間の関連性を、一方の標本群に分類される標本と、他方の標本群に分類される標本と、の間の関連性を示す前記標本関連情報を用いて評価する標本群関連性評価手段、としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1及び5記載の発明によれば、複数の標本同士の間の直接的な関連性に応じて、複数の標本を分類して得られる複数の標本群同士の間の関連性が評価される。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、複数の標本同士の間の直接的な関連性を考慮して得られる、標本群同士の間の関連性を表す画像が出力される。
【0011】
請求項3記載の発明によれば、標本群同士の間の関連性の度合いを表す画像が出力される。
【0012】
請求項4記載の発明によれば、複数の標本同士の間の向きに依存する関連性に応じて、複数の標本群同士の間の向きに依存する関連性が評価される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置の構成例を示す図である。本実施形態に係る情報処理装置1は、例えばパーソナルコンピュータ等であって、制御部11と、記憶部12と、操作部13と、表示部14と、を含んで構成される。
【0015】
制御部11は、例えばCPU等であって、記憶部12に格納されるプログラムに従って各種の情報処理を実行する。本実施形態において制御部11が実行する処理の具体例については、後述する。
【0016】
記憶部12は、例えばRAMやROM等のメモリ素子、ハードディスクなどを含んで構成される。記憶部12は、制御部11によって実行されるプログラムや、各種のデータを保持する。また、記憶部12は、制御部11のワークメモリとしても動作する。
【0017】
操作部13は、例えばキーボードやマウス等であって、利用者の指示操作を受け付けて、当該指示操作の内容を制御部11に出力する。表示部14は、例えば液晶ディスプレイ等であり、制御部11からの指示に従って、画像の表示を行う。
【0018】
以下、情報処理装置1が実現する機能について、説明する。情報処理装置1は、機能的に、図2に示すように、標本関連情報取得部21と、標本分類処理部22と、標本群関連性評価部23と、画像出力部24と、を含んで構成される。これらの機能は、例えば制御部11が記憶部12に格納されているプログラムを実行することにより、実現される。このプログラムは、インターネット等の通信手段を介して提供されてもよいし、CD−ROMやDVD−ROM等、各種のコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に格納されて提供されてもよい。
【0019】
標本関連情報取得部21は、複数の標本からなる標本集合について、当該標本集合に属する標本同士の間の関連性を示す標本関連情報を取得する。ここで標本は、情報処理装置1によるデータ分析の対象となる情報要素であって、例えば論文や特許文献などの文献データであってもよい。
【0020】
標本関連情報は、標本集合に属する2つの標本の組(ペア)について、その2つの標本の間の関連性(リンク)を示す情報であって、複数の標本組についての情報を含んでよい。また、標本関連情報は、標本集合に属する任意の2つの標本の間に関連性があるかないかを示すだけでなく、関連性がある場合における関連性の程度(関連が強いか弱いかなど)を示す情報を含んでもよい。さらに、例えば従属関係や影響関係など、2つの標本の間の関連性は、その両者の間の向きに依存する非対称な関連性(有向リンク)である場合も考えられる。具体的には、例えば一方の標本が他方の標本に従属しているが、その逆は成り立たない場合などである。標本関連情報は、このような一方から他方へ、及び他方から一方への2方向の関連性それぞれの有無や程度を示す情報であってもよい。
【0021】
具体例として、標本関連情報は、各標本が文献データである場合、文献の著者として互いに同じ人物が含まれる標本同士に関連性があり、文献の著者が互いに共通しない標本同士には関連性がないことを示す情報であってもよい。また、複数人の共著による文献の場合には、共通する著者が多ければ多いほど関連性が強いと判断し、共通する著者の人数を示す情報を標本関連情報としてもよい。あるいは、ある一つの文献D1が他の文献D2を引用している場合、文献D2が文献D1に影響を与えている(すなわち文献D1が文献D2に従属している)と判断し、文献D2から文献D1へ向かう一方向の従属関係を示す情報を標本関連情報としてもよい。この場合には、文献D1から文献D2へ向かう逆方向の従属関係を示す標本関連情報は取得されないこととなる。
【0022】
なお、標本関連情報取得部21は、複数の標本それぞれのデータ内容(例えば文献の書誌事項や本文など)を解析することによって標本関連情報を取得してもよいし、予め生成されて記憶部12に記憶されている情報を読み出すことによって、標本関連情報を取得してもよい。また、他の情報処理装置によって生成された標本関連情報を、通信手段を介して外部から受け入れるなどの方法で、標本関連情報を取得してもよい。
【0023】
標本分類処理部22は、標本関連情報取得部21が標本関連情報を取得する対象とした標本集合に属する複数の標本のそれぞれを、複数の標本群のいずれかに分類する。具体例として、各標本がその特徴を示す複数種類の特徴量のデータを持っている場合、標本分類処理部22は、この複数の特徴量によって構成される特徴ベクトルに対して、公知のクラスタリング処理を実行することによって、各標本が、それぞれいずれかの標本群(クラスタ)に属するように標本を分類する。これによって、標本集合に属する各標本は、互いに似た特徴を持った標本同士(すなわち、特徴ベクトルにより示される位置が近い標本同士)が同じ標本群に属するように分類される。
【0024】
例えば各標本が文献データである場合、標本分類処理部22は、まず各文献から複数種類のキーワードを抽出し、この複数のキーワードが、各文献に何個ずつ出現するかを計数する。これによって、各標本について、複数のキーワードそれぞれの文献内の出現数を特徴量とした特徴ベクトルが得られる。そして、標本分類処理部22は、この各標本について得られる特徴ベクトルに対して、例えばK平均法などの手法によるクラスタリング処理を実行して、各標本を複数の標本群のいずれかに分類する。
【0025】
また、標本分類処理部22は、クラスタリング処理によらずに、他の手法によって標本の分類を行ってもよい。例えば標本分類処理部22は、標本それぞれが持つ属性情報(標本が特許文献のデータである場合における特許分類など)を用いて複数の標本を標本群に分類してもよい。
【0026】
標本群関連性評価部23は、標本分類処理部22が複数の標本を分類して得られる複数の標本群のうちの2つの標本群の間の関連性を、標本関連情報取得部21が取得した標本関連情報を用いて評価する。このような処理が標本分類処理部22によって得られる複数の標本群の全ての組み合わせについて実行されることにより、全ての標本群の組み合わせについて、その関連性が評価されることになる。
【0027】
具体的に、関連性評価の対象となる2つの標本群をそれぞれ第1標本群G1及び第2標本群G2とすると、標本群関連性評価部23は、第1標本群G1に分類される標本と、第2標本群G2に分類される標本と、の間の関連性を示す標本関連情報を用いて、第1標本群G1と第2標本群G2との間の関連性を評価する。以下、標本群関連性評価部23による第1標本群G1と第2標本群G2との間の関連性評価の具体例について、説明する。
【0028】
例えば標本関連情報が標本同士の関連の有無のみを示す情報である場合、標本群関連性評価部23は、第1標本群G1に属する標本のそれぞれについて、当該標本との間で関連性がある標本のうち、第2標本群G2に属する標本が何個あるかを計数する。そして、この第1標本群G1に属する標本それぞれについて計数された数値を合計することによって、第1標本群G1と第2標本群G2との間で互いに関連する標本の組の数が算出される。標本群関連性評価部23は、この互いに関連する標本の組の数を、第1標本群G1と第2標本群G2との間の関連性を示す評価値として決定する。この評価値が大きければ大きいほど、両者の間の関連性が強いことになる。
【0029】
また、標本関連情報が標本同士の関連の程度を示す数値情報である場合には、標本群関連性評価部23は、第1標本群G1と第2標本群G2との間で互いに関連する標本の組の全てについて、この標本同士の関連の程度を示す数値を合計することによって、第1標本群G1と第2標本群G2との間の関連性を示す評価値を算出する。なお、標本関連情報が数値情報以外の指標によって標本同士の関連の程度を示す情報である場合には、こうした指標を予め定められた規則に従って数値に換算して、換算された数値を合計することによって、第1標本群G1と第2標本群G2との間の関連性を示す評価値を算出してもよい。
【0030】
さらに、標本関連情報が標本同士の間の向きに依存する関連性に関する情報である場合には、標本群関連性評価部23は、第1標本群G1に属する標本から第2標本群G2に属する標本へ向かう方向の関連性を示す標本関連情報について、前述したような互いに関連する標本の組を計数するなどの処理を実行することにより、第1標本群G1から第2標本群G2へ向かう方向の関連性を示す評価値(影響度や依存度を示す値)を算出する。また、これとは独立に、第2標本群G2に属する標本から第1標本群G1に属する標本へ向かう方向の関連性を示す標本関連情報について、同様の処理を実行することにより、第2標本群G2から第1標本群G1へ向かう方向の関連性を示す評価値を算出する。これにより、第1標本群G1と第2標本群G2との間における、標本群同士の向きに依存する関連性のそれぞれが評価される。
【0031】
画像出力部24は、標本集合に属する各標本が分類された複数の標本群の間の関係を示す分析用画像を生成し、出力する。画像出力部24が出力する分析用画像は、複数の標本群を座標空間(例えば2次元平面や3次元空間など、視覚的に表現されうる空間)上の位置によって示す画像であって、当該座標空間内に示される複数の標本群の間の関連性を、標本群関連性評価部23による評価結果に応じて決まる画像要素によって表す画像である。
【0032】
具体例として、まず画像出力部24は、各標本群に対して、当該標本群に属する標本の特徴などに応じて、当該標本群の座標空間内における代表位置を決定する。すなわち、まず当該標本群に属する各標本の特徴ベクトルの重心を演算するなどの方法で、当該標本群の代表ベクトルを算出する。そして、例えば主座標分析などの方法によって、この代表ベクトルを座標空間に射影する。これによって、座標空間内における各標本群の代表位置が決定される。このとき、各標本群の代表ベクトル間の距離が保存されるように射影が行われれば、2つの標本群のそれぞれに属する標本の特徴が近いほど、これら標本群の間の距離が近くなるように、座標空間内における各標本群の代表位置が決定されることになる。このように各標本群を座標空間内に配置する方法の具体例については、非特許文献1、非特許文献2、及び特許文献1などに例示されている。
【0033】
このような方法により各標本群を座標空間内に配置することによって、各標本群の間の位置の遠近によって標本群同士の相対的な関係を示すマップ画像が生成される。なお、このマップ画像には、標本群の代表位置を表す画像要素だけでなく、座標空間内における各標本の位置や密度を表す画像要素や、各標本群に属する標本の分布範囲を示す標本群の境界線などの画像要素が含まれてもよい。しかしながら、このマップ画像には、標本関連情報取得部21が取得した標本関連情報によって示される、各標本同士の直接的な関連性は反映されていない。そこで本実施形態では、画像出力部24は、このマップ画像に対して、さらに標本群関連性評価部23による評価結果に応じて決まる画像要素を配置することによって、各標本群に属する標本同士の間の関連性を反映した、各標本群の間の従属関係や影響関係などの直接的な関連性を表現する分析用画像を生成する。
【0034】
具体的に、例えば標本群関連性評価部23による評価結果が、標本群同士の間の向きに依存しない関連性を示す評価値である場合、これら標本群同士の間の関連性を表す画像要素は、座標空間においてこれら標本群それぞれの代表位置同士を結ぶ線分であってもよい。ここで、画像出力部24は、評価値の大きさに応じて画像要素を変化させることによって、標本群の組み合わせごとの評価値の大きさ(すなわち各標本群の間の関連性の強さ)の違いを表現してもよい。具体的には、例えば評価値が大きくなるほど、線分の太さを太くしたり、あるいは線分の描画色を予め定められた色から別の色に徐々に変化させたりすることによって、評価値の大きさを表してもよい。
【0035】
図3は、このような画像要素の一例を示す図である。この図の例における画像要素I1は、第1標本群G1の代表位置P1と、第2標本群G2の代表位置P2と、の間を結び、第1標本群G1と第2標本群G2との間の関連性を示す評価値に応じた太さtの線分になっている。なお、画像出力部24は、関連性を示す評価値が予め定められた閾値以下になる標本群同士については、このような画像要素を描画しないこととしてもよい。
【0036】
また、標本群関連性評価部23による評価結果が、標本群同士の間の向きに依存する関連性を示す2種類の評価値の組である場合には、例えば以下に説明する方法で標本群同士の間の関連性を表す画像要素を決定する。なお、ここでは、第1標本群G1と第2標本群G2との間の関連性を表す評価値として、第1標本群G1から第2標本群G2へ向かう方向の関連性を示す評価値E1と、逆に第2標本群G2から第1標本群G1へ向かう方向の関連性を示す評価値E2と、が標本群関連性評価部23によって得られているものとする。このとき画像出力部24は、第1標本群G1と第2標本群G2との間の関連性を表す画像要素として、第1標本群G1の代表位置P1と第2標本群G2の代表位置P2との間を結ぶ双方向の矢印を描画する。具体的にこの双方向の矢印は、P1とP2との間を結ぶ線分の両端に鏃部分(矢印の向きを示す三角形などの形状)が付された画像要素である。画像出力部24は、評価値E1及び評価値E2の大きさに応じて、線分の両端に描画されてそれぞれ代表位置P2及び代表位置P1を指す鏃部分の大きさや色などを変化させてもよい。また、各評価値の大きさが予め定められた閾値を超えるか否かに応じて、鏃部分の大きさや色、形状などを変化させてもよい。
【0037】
図4は、以上説明したような画像要素の一例を示す図である。この図は、E1>E2の場合の例を示しており、画像要素I2において、第2標本群G2の代表位置P2を指し示す鏃部分A1の大きさが、第1標本群G1の代表位置P1を指し示す鏃部分A2の大きさより大きくなっている。なお、評価値E1及び評価値E2のうち、いずれか一方の大きさが予め定められた閾値を下回る場合には、対応する鏃部分を描画せずに、一方の端のみ鏃部分が付いた一方向の矢印を描画することとし、評価値E1及び評価値E2の双方が当該閾値を下回る場合には、第1標本群G1と第2標本群G2との間の関連を示す矢印全体を描画しないこととしてもよい。
【0038】
また、画像出力部24は、双方向の矢印ではなく、一方向の矢印を第1標本群G1と第2標本群G2との間の関連性を示す画像要素として描画してもよい。例えば前述のように第1標本群G1と第2標本群G2との間の関連性が評価値E1及び評価値E2で表される場合、この評価値E1及び評価値E2のうちいずれか値の大きい方のみに応じて、一方から他方への関連を示す矢印を描画してもよい。具体的に、例えばE1>E2であれば、第1標本群G1の代表位置P1から第2標本群G2の代表位置P2へ向かう一方向の矢印を描画し、E2>E1の場合には逆向きの矢印を描画することとしてもよい。また、この場合に、評価値E1及び評価値E2のうちいずれか値の大きい方の評価値の大きさに応じて、鏃部分の大きさや色、形状を変化させてもよい。あるいは、E1−E2の絶対値に応じて鏃部分の大きさや色、形状を変化させてもよい。以上説明した例によれば、第1標本群G1と第2標本群G2との間で、どちら向きの関連性(影響度や依存度)がより強いかを表現する分析用画像が生成される。
【0039】
図5は、画像出力部24が、以上説明したような画像要素を、各標本群の組み合わせについて描画して得られる分析用画像の一例を示している。この図の例では、標本群同士の向きに依存する関連性が標本群関連性評価部23によって評価されており、それぞれの向きに依存する関連性の程度が矢印の鏃部分の大きさによって示されている。また、各標本群の代表位置は黒丸で示されており、標本の分布状況も併せて灰色の画像要素によって示されている。
【0040】
この図5において、例えば第1標本群G1の代表位置P1は、第3標本群G3の代表位置P3よりも第2標本群G2の代表位置P2に近い位置に配置されており、第1標本群G1に分類される標本の特徴は第3標本群G3よりも第2標本群G2に近いと考えられる。しかし、代表位置P3から代表位置P1に対しては、代表位置P2から代表位置P1に向かうものよりも鏃部分の大きな矢印が描画されており、第1標本群G1に属する標本は、全体として、第2標本群G2に属する標本よりも第3標本群G3に属する標本からの影響を受ける度合いが大きいことが示されている。また、第4標本群G4の代表位置P4は、代表位置P1と比較的近い位置に配置されているが、両者の間には矢印が描画されていない。したがって、第1標本群G1と第4標本群G4との間にはほとんど直接的な関連性はないと評価されていることが示されている。このような分析用画像によれば、各標本群に属する標本同士の特徴の類似性の傾向と、従属関係や影響関係などの直接的な関連性の傾向とが、ともに表現される。
【0041】
なお、画像出力部24は、以上説明したような分析用画像を記憶部12に出力して記憶させてもよいし、表示部14に表示させてもよい。また、通信ネットワークを介して他の情報処理装置に対して分析用画像を送信してもよい。また、画像出力部24は、以上説明した分析用画像の他に、標本関連情報取得部21によって取得された標本同士の直接的な関連性をそのまま示す分析用画像も生成することとしてもよい。具体的に、この分析用画像は、前述したマップ画像上において予め定められた画像要素によって示される標本のそれぞれについて、他の標本との間の関連性を示す線分や矢印などの画像要素を配置した画像である。例えば画像出力部24は、ユーザの指示に応じて、以上説明したような標本群の間の関連性を示す分析用画像と、標本同士の関連性を示す分析用画像と、を切り替えて出力することとしてもよい。
【0042】
なお、本発明の実施の形態は、以上説明したものに限られない。例えば以上の説明においては、線分や矢印などの画像要素によって各標本群の間の関連性を示す分析用画像が出力されることとしたが、標本群同士の間の関連性はこれ以外にも各種の画像要素によって表現されてよい。また、本発明の実施の形態により処理の対象となる標本は、文献などのデータに限らず、互いに関連性を持ちうる各種の情報であってよい。
【0043】
また、以上の説明においては、情報処理装置1が分析用画像の生成、出力まで行うこととしたが、情報処理装置1は各標本群の間の関連性の評価までを行い、評価結果を例えば通信ネットワークを介して他の情報処理装置に送信することとしてもよい。この場合、情報処理装置1から評価結果を受信した他の情報処理装置が、分析用画像を生成して、表示画面に表示するなどの方法で利用者に提供してもよい。また、以上の説明においては情報処理装置1が各標本の分類を行うこととしたが、これに限らず情報処理装置1は他の情報処理装置によって実行された標本の分類結果を受け入れて、標本群同士の間の関連性の評価を実行することとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態に係る情報処理装置の構成例を表す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る情報処理装置が実現する機能の一例を示す機能ブロック図である。
【図3】分析用画像に含まれる画像要素の一例を示す図である。
【図4】分析用画像に含まれる画像要素の別の例を示す図である。
【図5】画像出力部が出力する分析用画像の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
1 情報処理装置、11 制御部、12 記憶部、13 操作部、14 表示部、21 標本関連情報取得部、22 標本分類処理部、23 標本群関連性評価部、24 画像出力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の標本からなる標本集合について、当該標本集合に属する標本同士の間の関連性を示す標本関連情報を取得する標本関連情報取得手段と、
前記標本集合に属する標本を分類して得られる複数の標本群のうちの2つの標本群の間の関連性を、一方の標本群に分類される標本と、他方の標本群に分類される標本と、の間の関連性を示す前記標本関連情報を用いて評価する標本群関連性評価手段と、
を含むことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記複数の標本群を座標空間内の位置によって示すとともに、当該座標空間内に示される複数の標本群の間の関連性を、前記標本群関連性評価手段による評価結果に応じて決まる画像要素によって表す画像を出力する画像出力手段をさらに含む
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記標本群関連性評価手段は、前記2つの標本群の間の関連性の程度を示す評価値を算出することにより、当該2つの標本群の間の関連性を評価し、
前記画像出力手段は、前記複数の標本群の間の関連性を、前記算出される評価値の大きさに応じて変化する画像要素によって表す画像を出力する
ことを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記標本関連情報取得手段は、前記標本関連情報として、標本同士の間の向きに依存する関連性を示す情報を取得し、
前記標本群関連性評価手段は、前記一方の標本群に分類される標本から前記他方の標本群に分類される標本へ向かう方向の関連性を示す前記標本関連情報を用いて、前記一方の標本群から前記他方の標本群へ向かう方向の関連性を評価するとともに、前記他方の標本群に分類される標本から前記一方の標本群に分類される標本へ向かう方向の関連性を示す前記標本関連情報を用いて、前記他方の標本群から前記一方の標本群へ向かう方向の関連性を評価する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか記載の情報処理装置。
【請求項5】
複数の標本からなる標本集合について、当該標本集合に属する標本同士の間の関連性を示す標本関連情報を取得する標本関連情報取得手段、及び
前記標本集合に属する標本を分類して得られる複数の標本群のうちの2つの標本群の間の関連性を、一方の標本群に分類される標本と、他方の標本群に分類される標本と、の間の関連性を示す前記標本関連情報を用いて評価する標本群関連性評価手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−44541(P2010−44541A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−207578(P2008−207578)
【出願日】平成20年8月12日(2008.8.12)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】